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UFC on ESPN+104:メインイベント・ブランドン・モレノ vs. アミル・アルバジ

フライ級5分5R。モレノ2位、アルバジ3位。

前王者モレノはタイトルを失った昨年7月のパントージャ戦、今年2月のメキシコ大会でのロイバル戦と連敗中だが、どちらの試合もスプリット判定での負けで、内容は競っていた。2連敗したことで、一度は長期休養を宣言したが、すぐにモチベーションが戻ってきて、翌月にはもう戦いたいと思うようになったとのこと。現王者パントージャとはTUFの非公式戦から3度戦って3連敗中。初期はグラップラーの印象が強かったが、タイトルに絡むようになってからはボクシングも向上している。30歳で、現時点の元UFC王者では最年少。

アルバジは中東生まれ初のUFC王者にもっとも近い存在(ウェルター級王者ベラル・ムハメドは両親はパレスチナ人だが、出生地はアメリカ)。イラクで生まれ、7歳の時に一家で国外に脱出。スウェーデンで育ち、一時はストリートギャングに加わったこともあったが、UFCを見てMMAを始める。中東のBRAVE CFでキャリアを積む中、コロナ禍で行われていたアブダビUFCファイトアイランド大会に代役出場する機会を得てUFCと契約。UFCデビューからは5連勝中だが、3位ながらランカーとの対戦は前回のカイ・カラフランス戦のみ。柔術バックボーンのグラップラー。本来は、今年2月にモレノ戦が組まれていたが、首を負傷し欠場。左手が動かなくなり、5ヶ月間は練習もできなかったとのこと。今回が1年5ヶ月ぶりの試合となる。31歳。

ジャブで牽制する両者。パンチから組み付いたモレノだが、こだわらずに離れる。アルバジワンツー。ジャブから左ミドルを出したモレノ。さらに右をヒット。前蹴りを見せるアルバジ。アルバジカーフキック。前傾姿勢のモレノがバランスを崩した。ジャブのダブルを放つモレノ。ステップインしてジャブ。残り1分。ボディを入れたアルバジ。ワンツー。前蹴り。モレノ飛び込んでワンツーからロー。ホーン。

1Rは打撃のヒット数でモレノ。アルバジはまだ組みに行く動きはない。アルバジだけ、なぜかさかんに足がスリップしている。

2R。ジャブをヒットさせるモレノ。ワンツーに下がったアルバジだがそこに左ハイ。圧を掛けてきた。アルバジケージ際をサークリング。右オーバーハンドで出たモレノだが組み付いたアルバジ。しかしモレノ引き剥がす。ジャブを入れたモレノにアルバジもジャブを返す。ワンツーを入れたモレノ。アルバジ手数が減っている。しかしアルバジタックル。テイクダウン。が、寝かされる前に素早く立って引き剥がしたモレノ。ワンツー。ジャブを出したアルバジだがモレノのジャブを被弾。さらに右オーバーハンドもヒット。モレノパンチのコンビネーションを打ち込む。残り1分。ジャブがヒットし一瞬ぐらついたアルバジ。残り30秒でまたパンチ連打を入れるモレノ。左アッパーから右。ホーン。

2Rも打撃で攻勢のモレノセミは3Rからペースが変わったが、アルバジには展開を変える力はあるか。

3R。アルバジタックルフェイントからパンチで出る。一瞬バランスを崩したモレノだがワンツーをヒット。左ハイ。右フックから左ボディ。モレノ振りが大きくなってきた。左ボディ。アルバジのワンツーがヒット。しかしモレノ右のクロスカウンター。ヒザを出したアルバジ。ヒットしたがモレノがさらにパンチを入れる。モレノ飛び込むと左フック。パンチが目にヒット。アイポークをアピールするが違うとアピールしたモレノが出る。残り1分。アルバジ虚を突いてシングルレッグ。が、しつこく仕掛けることなく放した。ホーン。

3Rもモレノ。アルバジはフィニッシュが必要。

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UFC on ESPN+104:オッズ/予想と展望

ブランドン・モレノ 1.57
アミル・アルバジ 2.45
エリン・ブランチフィールド 1.77
ローズ・ナマユナス 2.10
デリック・ルイス 2.50
ジョナタ・ディニス 1.56
カイオ・マシャド 1.65
ブレンドソン・ヒベイロ 2.30
マルク・アンドレ・バリオー 1.49
ダスティン・シュトルツフス 2.70
マイク・マロット 1.37
トレヴィン・ジャイルズ 3.20
アイマン・ザハビ 1.85
ペドロ・ムニョス 1.98
アリアネ・ダ・シウバ 2.85
ジャスミン・ジャスダビシアス 1.44
シャルル・ジョーデイン 1.74
ビクター・ヘンリー 2.14
ジャック・ショア 3.35
ユーセフ・ザラル 1.34
アレクサンドル・ロマノフ 1.95
ホドリゴ・ナシメント 1.87
セルヒー・シーディー 1.70
ギャレット・アームフィールド 2.20
チャド・アンヘリガー 2.60
コーディ・ギブソン 1.52
ジェイミー・リン・ホース 1.46
イバナ・ペトロビッチ 2.80

メインは翌月にタイトルマッチが行われるフライ級のトップランカー対決。この試合の勝者と、今月平良に勝ったブランドン・ロイバルのいずれかが、次期挑戦者となる可能性が高い。タイトル戦の勝敗にもよるが、朝倉海のUFC2戦目の相手となる可能性も十分ある。

前王者モレノはタイトルを奪われた昨年7月のパントージャ戦も接戦で、スプリットでの判定負け。今年2月に地元メキシコでアルバジとの対戦が組まれた。当時、王者パントージャは5月の地元ブラジル大会での防衛戦の噂があったが、相手が決まっておらず、この試合の勝者が次期挑戦者となることが濃厚だった。しかし、アルバジは負傷欠場。モレノは代役のロイバルとの対戦が組まれ、またも僅差の試合でスプリット判定負けし、王座挑戦からは遠のいた。ロイバルもその試合で負傷し、結局タイトル挑戦は当時ランキング10位のスティーブ・エルセグになっている。

アルバジはUFCデビューから5連勝中。イラク生まれで、8歳の時に一家で出国し、16歳まではスウェーデンの難民キャンプで生活。そこで柔術を始めたことをきっかけに、後にMMAの転向。中東のBRAVE CFでキャリアを積んでUFCと契約した。キャリアで唯一敗れた相手はBRAVE CF時代に対戦したホセ・トーレス(後にUFCと契約したが、1勝1敗でフライ級ファイターの大量契約解除に遭いリリース)。現在はラスベガスのエクストリーム・クートゥアでトレーニングしているが、出稽古に行きアルバジとスパーをした鶴屋怜が言うには「余裕でボコった」とのこと。

モレノは前回敗れた後に長期休養を宣言していたが、4年間・6試合連続でタイトルマッチをやって、精神的に削れていたのかもしれない。結果として、8ヶ月ちょっとでの復帰となるので、普通よりちょっと長めな程度の試合間隔に。リフレッシュできたので戻ってきたのか。

アルバジは昨年7月の前戦でカイ・カラフランスと対戦したのが唯一のランカーとの対戦もだったが、スプリット判定勝ちしたものの、メディアのジャッジはほぼ全員がカラフランスを支持する内容での勝利。モレノはカラフランスをKOしていることを考えると、ちょっと力の差はあるか。

モレノ判定勝ち。

プレリムでは元DEEP王者ビクター・ヘンリーが登場。前戦は大ベテランのハニ・ヤヒーラをKOして、UFC戦績を3勝1敗1NCとした。今回の相手はランキング未満の中堅で地元カナダのシャルル・ジョーデイン。UFC戦績は負け越しだが、チェ・ドゥホやクロン・グレイシーに勝利している。オッズは地元のジョーデインがフェイバリットだが、ヘンリーは今後ランキング入りを狙っていくなら、このレベルの相手には星を落とせない。

今回はUFCで初めて新ユニファイドルールが適用されるイベントとなる。

変更となるのは「グラウンド定義の変更」と「12-6エルボー(垂直ヒジ)の解禁」。グラウンド定義は「足(足首から先)と手(手首から先)のみがついている場合」は、以前はグラウンドだったが、新ルールではスタンドとみなされる。そもそもこの手のみをマットにつく状態というのが不自然で、このルールを利用して顔面へのヒザを防ぐ場合などにしか発生しないポジションだった。例えば、ケージ際でスタンドバックを取った選手が、テイクダウンを狙いつつ、後方から相手の頭部にヒザを入れる場合などで、蹴られる選手がディフェンスとして手をマットにつくということが多く見られた。当然、新ルールではわざわざそういったディフェンスをすることは選手はいなくなるので、大きな影響はないと思われる(今後は片膝をつくことでグラウンド状態にするという対処が増えるかもしれない)。

第1試合開始は3日朝6時から。速報します。

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【Special】月刊、良太郎のこの一番:8月 カラフランス×アーセグ「スイッチを使う打撃として参考になる」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は良太郎氏が選んだ2024年8月の一番──8月17日に行われたUFC 305「Du Plessis vs Adesanya」のカイ・カラフランス×スティーブ・アーセグについて語ろう。


――今回はカラフランスのKOをピックアップしていただきました。まずその理由から聞かせてください。

「カラフランスは約10カ月ぶりの復帰戦で、アーセグはアレッシャンドリ・パントージャに負けて以来の試合だったんですよね。アーセグはフライ級では身長が高いんですけど(173㎝)、カラフランスは身長に対してリーチが長い体系なんですね。で、僕もMMAの選手を指導するうえで構えをスイッチする打ち方を勉強していて、この試合でカラフランスはファーストコンタクトから左→右→左とスイッチしながら出す攻撃を積極的にトライしていたんですよね。この形をトータル3回くらいトライしていて、アーセグもカラフランスの左のオーバーハンドを気にして、あまり自分から前に行くことが出来ていなかったんです。

アーセグもカラフランスが入ってくるところにアッパーを用意していて、それがいい形で当たったんですけど、フィニッシュシーンのカラフランスは左→左で入ってるんですよ。しかも左を見せたあとに左手でアーセグの前手を払って、それをアーセグに反応させておいて、右のオーバーハンドからスイッチしての左フックでダウンを奪っていました。あれは僕もすごく参考している動きですね。マイケル・チャンドラーもストレートでやる動きなんですけど、カラフランスの場合はストレートというよりもしっかり骨盤・軸に体重を乗せて、いい角度でフックが入りましたよね」

――試合途中にカラフランスのパンチの空振りが目立っていて、少しやりにくそうに見えていました。

「最初カラフランスは自分の右側に回ってトライしようとしてたんですよ。そこをリセットして左に回ったときにアーセグにアッパーを合わせられてるんですね。で、それもあったので次のトライではカラフランスがアーセグの前手を払いにいってるんです。あの前手払いにアーセグが反応してしまい、軸・顔が上がってしまったんです。あれはスイッチパンチャーに対して絶対にやってはいけない動きなんです」

――アーセグにミスがあったんですね。

「カラフランスはカラフランスで失敗もしているんですけど、最後のトライではそこを修正して打ち抜きました。だからここはしつこくやり続けたもの勝ちというか。アーセグはカラフランスのプレッシャーを感じていて、バックステップが少し甘くなっていたのかもしれないです。この試合は僕がMMAファイターを指導するにあたって、すごく勉強になる試合でした。構えをスイッチしてくる選手に対して“これをやってはいけませんよ”という意味でも参考になりました」

――良太郎さんはただ構えをオーソドックスとサウスポーに変えるだけではなく、スイッチしながらの打撃も研究しているのですか。

「はい。そういったスイッチしながらの打撃=ムービングの打撃に関しては、アルファメールの流れでいうとTJ・ディラショーとコーディ・ガ-ブランドがいて、ドゥェイン・ラドウィックのチームに分家していって……ですよね。実際にラドウィックはすごくムービングの打撃を研究していて、そこの指導が上手いんですけど、かなり複雑で覚えるのが難しいんですよ。あとはムービングをよく使う選手は体の反応速度が衰えると、それがパフォーマンスの低下に直結しちゃうんですよね。それこそディラショーやガ-ブランド、イスラエス・アデサニャもそうですよね。年齢を重ねることでの反応や体の連動が落ちると、一気に動きが落ちてしまうんです」

――スイッチしながらの打撃は運動能力に影響される部分も大きい、と。

「僕はそう思います。やはりムービングは体を連動させる動きなので、一つの形を覚えるのではなくて(重心を)おしりに乗せる、股関節に乗せる、体軸を変える……そういった動きが必要になるんです。どうしても年齢やキャリアを重ねると無理して戦わなくなるというか、若い時のようにたくさん動いて戦うというよりも、どっしりと構えて動きのベースをしっかり作って戦う選手の方が被弾は少なくなりますよね」

――非常に興味深い話です。

「例えばオーソドックスだけ、サウスポーだけしか使わない選手だったら、年齢を重ねても自分と相手との空間支配能力でなんとかなるものなんですよ。そしてその空間支配能力はあまり年齢に影響されることがない。アレックス・ペレイラがまさにそれです。逆にムービングする選手は空間支配の仕方が変わるし、反応速度が衰えてくると、そこに大きなズレが生じてくるんです。だからもし年齢を重ねてスイッチを使うとするなら、流れるようにスイッチを使って動き続ける=ムービングのスタイルよりも、オーソドックスとサウスポーをどちらも使えるスタイルの方が合っていると思うし、どうしても前者のスタイルは全盛期が少し短くなるのかなと思います。それでいくとカラフランスはキャリアは37戦やっていますけど、年齢的には31歳だし、まだ体力的に落ちることはないと思うんですよ。もし朝倉海選手がUFCのフライ級でやっていくなら、カラフランスとやると面白いと思いますよ」

――今後もスイッチしながらの打撃、良太郎さんが言うところのムービングの打撃は伸びていくでしょうか。

「日本人でも頻繁にスイッチしたり、ムービングする選手は増えていますけど、アメリカに比べると遅いじゃないですか」

――僕が初めてスイッチやムービングを意識したのは、おそらくドミニク・クルーズだと思っていて、彼がWECチャンピオンとして防衛を重ねてUFCに参戦したのは2010年~2011年です。

「僕もアメリカに練習にいった選手に聞くと、アメリカではスイッチやムービングがMMAをやる選手たちの基本的なドリルに組みこまれているそうなんです。ボクシングも国によってファイトスタイルが違うと言われますが、あれはその国の選手に合ったスタイルというわけではなくて、指導方法・方針の違いだと思うんです。もし日本人がメキシコでボクシングを始めたらメキシカンスタイルになるはず。もちろんそこには持って生まれた身体能力という部分での向き不向きはあると思いますけど、ただし最初からスイッチすることを教えていれば、そういう動きはできますよね。僕が最初から指導する選手は子供も含めて、オーソドックス・サウスポーどちらもできるようにしていますし、初歩の段階でどちらの構えもできるように仕込んでおくことで、将来的にスイッチやムービングの基礎はできやすいと思います」

――最初にどちらかに構えて、逆の構えを覚えるではなくて、最初からどちらも構えるようにするわけですね。

「どちらが利き手か、どちらの構えの方が力が伝わりやすいかは選手によって違うし、格闘技のバックボーンによっても変わってくるので、それはやりながらカスタムしていくイメージです。スイッチを練習するからスイッチヒッターにならなくてもいいし、どちらも構えることが出来たら、オーソドックスがやられて嫌なこと、サウスポーがやられて嫌なことを自分で覚えることもできて、同じジムの仲間の練習相手にもなる。そういう意味でもプラスですよね。どちらもの構えも出来ることと、構えをスイッチしながら打撃を出すことは別で、そこへの向き・不向きもあるので、僕はそういう考え方で見ています。少し話は脱線してしまいましたが、アーセグをKOしたカラフランスの打撃はスイッチを使う打撃として非常に参考になりました」

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【Special】Fight&Life#104より。ロイヴァル戦決定、平良達郎「向うの攻撃が想定内になることが重要」

【写真】MMAへの透明度が、さらに上がっているように感じた (C)FUMIO KURODA

今月23日(金)に発売されるFight & Life#104のワイド特集「格闘技日本代表」内で平良達郎の巻頭インタビューが掲載される予定だ。UFCフライ級5位の平良は、10月12日に1位のブランドン・ロイヴァルとの一戦が決まった。
Text by Manabu Takashima

ロイヴァル戦を通して、タイトル挑戦への筋道。平良のUFCへの想いを尋ねたインタビューで、スペースの都合上誌面で掲載できなかった箇所を切り取って、MMAPLANETで公開したい。


──ペレスに勝った直後にはムハマド・モカエフという同い年で無敗同士の対戦というストーリーラインも盛り上がるという話もされていました。しかしUFCはモカエフとの契約を更新せず。モカエフが12月に予定されるアレッシャンドリ・パントージャへのチャレンジャーの有力候補でもあったので、平良選手にその枠が回ってくるかもしれないという話が内々では聞かれていました。

「モカエフがマネル・ケイプ戦で圧倒的な勝ち方をして、彼が次の挑戦者になってもいずれは交わる日が来る。そうなれば僕らの試合は盛り上がるから、モチベーションも高く保てるという心境でした。結果としてモカエフがいなくなり、僕はランク5位だし挑戦者になるのは唐突だなという想いでしたね。

同時にちょっと早いと思いつつ、そうなった時のために準備はしていました。ただ、モカエフとは将来的にオクタゴンで戦える日が来ることを期待しています」

──結果、10月にロイヴァルと戦うことになった。同時に8月18日のUFC305ではカイ・カラフランス×スティーブ・アーセグのタイトルコンテンダー同士の一戦も組まれており(※結果はカイ・カラフランスが勝利)、挑戦権争いのライバルと見て良いかと。

「ロイヴァル戦がなくて12月に挑戦となれば、美味しいという見方はできかと思います。でも、14位の状態で5位の選手と試合ができたわけだし、そこまで都合が良いようには望んでいなかったです(笑)。元々トップ5の選手と戦うには、あと2勝ぐらい必要だと考えていたので。5位になったといっても、ここから上の選手と戦って自分の力を見せることでよりタイトル戦が盛り上がるはずです。

同時にカイ・カラフランスとアーセグの試合の勝者の方が先に挑戦することになるかもしれないですが、ロイヴァル戦は文句なしで挑戦者決定戦の意味合いを含んでいるので、凄く気合いが入っています」

──おおッ!! 力強い言葉です。同時に今のMMAはテイクダウンを軸に攻撃が評価対象になりやすい打撃、スクランブル、攻防になることが少なくなってきた寝技という3つの局面があるなかで、ロイヴァルは寝技の攻防が可能になるファイターで極めが強いです。そういう点でも、過去の試合と比較して対策練習の比重も変わってくるかと思われます。そこで平良選手がフィニッシュを警戒するレベルにある練習パートナーは存在しているのでしょうか。

「なかなか練習相手で下からの極めを積極的に使う人はいないです。柔術家で下からの仕掛けが上手い人を沖縄に呼んで、対策練習をする必要はあります。ロイヴァルにしても他の対戦相手にしても、向うの攻撃が僕のなかで想定内になることが重要で。

できるだけクローズドガードの中に入らない。入るとラバーガードで足が上って来るので、できるだけハーフガードで足を潰すことはイメージしています。それに柔術に関しては、パラエストラ沖縄時代から松根(良太代表)さんに基礎から習ってきているので、やりあえる基盤はあると思っています」

──ロイヴァルは胴と手が長い。そんな印象があります。

「長いですね(笑)。ただ、その手の長さに関連してくるのは寝技の前の打撃の展開、サウスポー対策が先決だと思っています。そこは松根さんと相談して、福田(龍彌)選手にまた沖縄に来てもらうことになっています」

──福田選手とは今年の1月にも一緒に練習をしていますね。

「ハイ。今回は10日から2週間ほど来てくれます」

──福田選手の呼ぶところのセッションとは、毎回斬り合うイメージで練習をする。スパーだけでなく、ミット打ちも真剣勝負という姿勢です。

「福田選手はスネ当てもつけないし、グローブもボクシンググローブでなくMMAグローブです。僕の打撃スパーはソフトな方なので、福田選手との練習は緊張感があります。それでも福田選手も、京都の方で練習をしている時ほどガチではないと思います。とにかく福田選手の話してくれる打撃論が面白くて」

──福田選手から学べることは、どういったモノですか。

「福田選手はスパー中に、本当に隙を見せないです。だからこそ、あれだけ手数を増やすことができる。逆に僕は福田選手の動きを見てしまうんですよね。そうなると、僕の方に隙ができる。福田選手はミットでも何でもMMAをとことんイメージして、練習をすることができる人で。それをスパーリングと上手く連動させているから、積み上げてきている部分が凄いです。福田さんとは新鮮な気持ちで練習できます」

■「UFCで戦っていると、選手の体調を気遣ってくれるので長く現役生活を送ることできる」、「相手の嫌がることを選択していくことが一番大切」、「1位のロイヴァルに勝ってタイトルに挑戦しようとすることは間違ったことをやっているわけじゃない。納得して歩んでいる道」。なぜ、UFCなのか。MMAという戦いの本質。朝倉海×パントージャ戦の噂──等々への問いに関して、平良達郎の人間性が伝わってくるインタビューが掲載されたFight&Life Vol.104は8月23日(金)の発売です。

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【UFC305】体格で上回るアーセグを左フックで倒したカイカラフランスが右ストレートでフィニッシュ

<フライ級/5分3R>
カイ・カラフランス(ニュージーランド)
Def.1R4分04秒 by TKO
スティーブ・アーセグ(豪州)

カラフランスが左ジャブを突くが、アーセグがプレスをかける。下がりながらパンチを打ち分けるカラフランスに対し、体格で上回るアーセグがケージを背負わせる。しかしカラフランスも左右のパンチでアーセグを下がらせ、ケージ中央に押し戻すも、アーセグのボディブローを受けて下がってしまう。

それでもカラフランスが低い体勢から飛び込み、右ストレートから左フックをクリーンヒット。この一撃で背中から倒れたアーセグは、追撃を狙うカラフランスの足に組みつくも、カラフランスがパウンドを浴びせる。最後は立ち上がってケージまで下がったアーセグの顔面を右で打ち抜き、レフェリーストップを呼び込んだ。

KO勝利のカイカラフランスは「まずスティーブは男の中の男で、紳士だと言いたい。シティキックボクシングは世界一のジム、この場所をMMAを愛しているんだ。スティーブは距離を考えて戦うスマートな相手だから、僕はとにかく大砲をぶちかまそうと戦った。フィニッシュだけを考えて。次はタイトル戦になるのか、皆の声を聞きたい」と語り、アーセグの地元である豪州のファンから歓声を受けた。


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【UFC305】南太平洋最強決定戦=カイ・カラフランス戦へ、スティーブ・アーセグ「ヒジとヒザがある」

【写真】 (C)MMAPLANET

18日(日・現地時間)、豪州はパースのRACアリーナでUFC 305「Du Plessis vs Adesanya」が開催され、コメインでスティーブ・アーセグがカイ・カラフランスと対戦する。
Text by Manabu Takashima

Beatdown Promotionで北野一声を破ったスチュアート・ニコルが、第1試合でヘスウ・アギラーと戦うフライ級も組まれている今大会。日本からの遠征も増え、日本人フライ級ファイターがその視界に豪州勢を入れないといけなくなっている現状で、オーストララシア最強のフライ級を決める一戦が組まれた。

ニュージーランド&豪州の軽量級をリードしてきたカラフランスの対戦を控えたアーセグをインタビュー。昨年6月のスクランブル発進オクタゴン初陣から1年未満で世界王座挑戦を実現させた──ある意味、シンデレラボーイは、オクタゴンの中と同じで、現状の把握と修正が人生でもできるスマートなファイターだ。


カイはボクシングが好きで、接近戦で打撃の攻防がしたいだろう

――カイ・カラフランスと地元パースのファンの前で戦います。今の気持ちを教えてください(※取材は14日に行われた)。

「ホームタウンのファンの前で戦うことはワクワクすると同時に、少しプレッシャーも増えるかな。でも、自分がどれだけ成長できたかを皆に見てもらえる機会でもあるし、色々な気持ちが交錯しているよ」

──PPV大会のコメインでもあります。

「数多くのファイターがUFCとサインをしているけど、訪れる順番としては『試合に出る』、『PPVショーで戦う』、『PPVショーのコメインに出る』という風になるはずだ。地元でPPVがあってコメインで戦う機会が訪れる選手なんてほとんどいない。なにかの間違いないじゃないかという状況をUFCが与えてくれた。その期待に応えないといけない」

──とはいえスティーブは既にMSGで戦い、ブラジルというアウェイの地で世界王座に挑戦するなど僅か14カ月間で他のUFCファイターにはない経験をしているかと思います。特に敗れたとはいえ、オクタゴン4戦目でのタイトル挑戦は得難い経験だったのではないでしょうか。

「色々なことを学ぶことができた。そのなかでも一番良かったことは、自分に自信が持てたということかな。世界のベストとやり合う。ずっと夢見てきたことが、現実になった。初めての5Rの試合で、世界王者とやりあえたことは大きな自信になっている。特にラウンドが進むと、僕と同じようにパントージャにも疲れが見て取れるようになったしね。

序盤からハイペースで戦った。そうしたら世界チャンピオンも疲れ始めたんだ。3Rのファイトなら、そういうことは言うと簡単にトライできる。それを5回戦でやれたのは、大きいよ。次の機会には、フィニッシュを考えて戦うことができるはずだ」

──スティーブは素晴らしいキックボクシングをケージの中で披露しています。構えも蹴りとパンチを出しやすい姿勢で。それでいて相手のテイクダウンを返す力も持っています。しかし、パントージャにはラウンドに1度というぐらいの確立でテイクダウンを許しました。他の選手とパントージャの違いはどこにあったのでしょうか。

「まずパントージャ―にはダブルやシングルでなく、ボディロックでテイクダウンを奪われた。ここが違う。特に左フックに組まれて、ボディロックを許した。足への組みには自信を持って対処できたけど、上半身に組みつかれたことが大きな要因だ」

──ボディロックに入るための、スラッピーな打撃がパントージャにはありました。それを可能にしたのは、パントージャがスティーブの打撃を怖がらないで戦えたからかと。ビビッて下がるとボディロックを取ることはできなかったと思います。

「確かにパントージャの打撃は粗い。そして、それは組むための打撃だったのも絶対だ。あの試合以降、ボディロックテイクダウンの対処は徹底的にやってきた。カイが同じようにしようと思っても、もう違う。足だけでなく、どの箇所でもテイクダウン・ディフェンス力は上達している。

カイはボクシングが好きで、接近戦で打撃の攻防がしたいだろう。でも近距離になると、僕にはエルボーやヒザ蹴りもある。テイクダウンに関しても、倒されることもあるかもしれないけど、倒された後もカイとパントージャは違う。パントージャのトップキープ力、その体の重みはカイにはない。つまり、寝技の攻防は続かずにすぐに立ち上がることができる」

──当然、この試合に勝ってタイトル戦線に戻ることが目的だと思いますが、一度敗れているとすぐに機会は訪れないかもしれないです。そのためにインパクトのある勝ち方が必要になってきますが、日曜日の朝はどのような試合をしたいと考えていますか。

「まず、この試合で僕が勝ってもすぐにタイトル挑戦はできないと思っている。もちろん、そうなれば嬉しいけど──この試合でカイをフィニッシュしても、あと2試合は必要になってくるだろう。フライ級のトップ選手を2人倒すと、またタイトルショットの権利が得られるぐらいの気持ちでいる。

と同時にカイという豪州やニュージーランドの軽量級をリードし、僕らに世界で戦うドアを開いてくれたファイターのことを凄く尊敬している。もし、戦う必要がないのなら試合をしないでおきたい相手だった。でも、決められた試合にNoというつもりはない。

何よりもクラス最強のファイターと戦いたいし、僕の現状ではそれがカイ・カラフランスになる。彼ももう一度世界のベルトに挑戦したいはずだ。僕もそうだ。なら、戦うよ。彼へのリスペクトは一旦、置いてオクタゴンに上がって勝利を手にするだけだよ」

Eternal王者とHEX王者の対戦は凄く興味深い

──そんなカイ・カラフランスとの試合に集中しないといけないことは承知しているのですが、豪州MMA界について一つ質問させてもらっても構わないですか。

「もちろんだよ」

──今、豪州MMA界ではEternal MMAとHEX Fight Seriesが選手を引き抜いたり、ドメスティック・シーンがシビルウォーの様相を呈しています。この現状は豪州MMAにとって、どのような影響を及ぼすと考えていますか。

「なるほど(笑)。僕はEternal MMAの王者からUFCにステップアップしたけど、HEX FSでも戦った経験がある。単独のプロモーションが独走するよりも、複数のプロモーションが競合している状況の方がMMAが発展すると思う。団体運営も良くなっていくし、選手の環境も良くなるだろうからね。一方がベストで、もう一つが大きく水を空けられるという状況に陥らない程度なら、競争は良い効果があると思う」

──その余波がDWCSでも見られて、Eternal MMAフライ級王者だったアンソニー・ドリリッチとHEX FCフライ級王者ショーン・ガウシーの一戦が組まれました。

「Eternal王者とHEX王者の対戦は凄く興味深いよ。でもアンソニーとは一緒に練習をしているので、彼の勝利を願っている」

■視聴方法(予定)
8月13日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

■対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] ドリキュス・デュプレッシー(南アフリカ)
[挑戦者] イスラエス・アデサニャ(ニュージーランド)

<フライ級/5分3R>
カイ・カラフランス(ニュージーランド)
スティーブ・アーセグ(豪州)

<ライト級/5分3R>
マテウス・ガムロ(ポーランド)
ダン・フッカー(ニュージーランド)

<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ(豪州)
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)

<ウェルター級/5分3R>
リー・ジンリャン(中国)
カルロス・プラチス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R
ジュニオール・タファ(豪州)
ヴァルテル・ウォウケル(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジョシュ・クリバオ(豪州)
ヒカルド・ラモス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
ケイシー・オニール(英国)
ルアナ・サントス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジャック・ジェンキンス(豪州)
エウベルチ・バーンズ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
トム・ノーラン(豪州)
アレックス・レイエス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン(中国)
リッキー・グレン(米国)

<フライ級/5分3R>
スチュアート・ニコル(豪州)
ヘスウ・アギラー(メキシコ)

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45 AB DWCS DWCS S08 F1 LFA MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase345 Road to UFC UAEW UFC YouTube   アリ・カラダギィ アンソニー・ドリリッチ アン・トゥアン・ホー アーセグ カイ・カラフランス クァン・リー コ・ソクヒョン ショーン・オマリー ショーン・ガウシー ショーン・シェルビー ジャマール・ヒル スティーブ・アーセグ ダナ・ホワイト チャンネル パンクラス ペイトン・タルボット モンテル・ジャクソン 中務修良 内藤由良 木下憂朔 猿飛流

【DWCS S08】Must Watch!! パンクラスがミドル級KOP内藤由良のコンテンダーシリーズ出場を公表

【写真】人生を賭けた一発勝負、痺れる展開になってきた(C)MMAPLANET

18日(水)、パンクラスが公式YouTubeチャンネルで「内藤由良選手がUFCに挑戦! 内藤選手は、ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ2024に出場することが決まりました。詳細は追って発表されますが、一足先にパンクラスでの軌跡をご覧ください!」と公表した。
Text by Manabu Takashima

6月30日(日)のPancrase345のメインで、2年3カ月振りの実戦を戦ったミドル級KOP内藤。キルクリフFC所属のディラン・オサリバンの代役アリ・カラダギィを相手に、1R1分52秒でマウントからのエルボーでTKO勝ちを収め、改めてUFCを目指すことを宣言していた。


LFA、UAEW、TUF出演など実現しそうで流れたUFCへの道が、結果的に内藤にとって最上の形で歩を進めることになった。Dana White’s Contender Series=DWCSは、その名の通りダナ・ホワイト、ショーン・シェルビー、ミック・メイナードというUFC首脳の前の行われる御前試合で、1年に10大会が火曜日の夜にUFC APEXで実施される。

1大会=5試合というフォーマットで、UFCとの契約が審査される真剣勝負の場だ。2017年からスタートしたコンテンダーシリーズからは既にショーン・オマリーとジャマール・ヒルがUFCの頂点に立っている。そんなUFCに直結する今年の登竜門は8月13日にスタートし、10月15日まで10週に渡って鎬が削られる。

既にEp01とEp02&Ep04は5試合が決定しており、第3週と第5週は3試合が埋まっている状況だ。あとは第9週と第6週で1試合が決まっているがEp07 、08&10は5試合全て10人のスポットが空いたままなので、これらの週に内藤の雄姿が見られることになるだろう。

アジア勢にとってUFCとの契約を賭けた戦いはRoad to UFCが並行して開催しされているが、従来はフライ級からライト級、今年はフェザー級までの3階級しか実施されず、事実上ミドル級の内藤には、アジア勢で競い合ってUFCへ進むというルートは存在していなかった。

事実今年のシーズン8では既にEp01のウェルター級戦で中国のJCKウェルター級王者ティン・ワン、Ep4では韓国Angel’s FCウェルター級王者のコ・ソクヒョンと、中量級のアジアン・ファイターの出場が決まっている。

(C)LFA

広義でアジア系でいえばLFAで戦うベトナム人ファイター(アリゾナ州在住)のアン・トゥアン・ホーが第1週のフライ級に、同じくLFAからチャンスを掴んだクァン・リーも米国に住むベトナム人選手だ。

また、ここでこのカードを組むのか──と豪州のMMAファンが歯ぎしりをしつつ、注目せざるを得ないのがEp09で決まったショーン・ガウシーとアンソニー・ドリリッチのダウンアンダー対決だ。

ガウシーはHEX FSフライ級王者で、今年の5月に中務修良を右クロスで一蹴している。対してEternal MMAフライ級王者ドリリッチは3月に猿飛流を2Rに、6月には1Rでマックス・リアリをKOしている。しかも今、豪州MMA界ではHEX FSとEternal MMAがドメスティック大会#01の称号を得るために、チャンピオンの引き抜き合戦を繰り広げるなど、骨肉の争いを展開している。

とはいえ破壊力十分の右を持つガウシー、必ず当たる左の持ち主ドリリッチが、わざわざコンテンダーシリーズで戦う必要があるのか。なんせガウシーは戦績9勝1敗で5KO勝ち、ドリリッチは8勝1敗で4つのKOと2つの一本勝ちを誇っており、揃ってUFCが求めるフィニッシャーだ。

恐らく両者は8月18日にパースで行われるUFC305出場に標準を合わせていたはず。加えていえば、2人ともカイ・カラフランスとスティーブ・アーセグの両者のうち、どちらかが欠場となればショートノーティスで母国でオクタゴンに足を踏み入れる気持ちでいることも間違いない。

UFC側として、両者ともその力があるからこそ、8月でなく10月にガウシー×ドリリッチの試合を組んだとしか考えられない。

日本からは2年前の木下憂朔に続き、内藤が挑戦することで注目度も上がるに違いないDWCS S08だが、内藤以外の出場ファイターも状況としては、ガウシー×ドリリッチ戦ほどお膳立て揃っていなくても、世界中から人生を賭けて集まって来る。それらの戦いが熱い激闘にならないはずがない。

それらの戦いから明日のショーン・オマリー、ペイトン・タルボット、モンテル・ジャクソンが生まれる可能性が高い。日本のMMAファンにとって、2時間のコンパクトな大会ということも含めて、DWCSはマストウォッチと断言できる。

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN57 アス・アルマバエフ カイ・カラフランス キック ホゼ・ジョンソン

【UFC ESPN57】「レスリング、レスリング、レスリング」バックを制したアルマバエフがジョンソンを下す

<フライ級/5分3R>
アス・アルマバエフ(カザフスタン)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
ホゼ・ジョンソン(米国)

身長で下回るアルマバエフがガードを固めて右ローを打つ。ジョンソンはプレスをかけ、アルマバエフにケージを背負わせて左ジャブを突く。サークリングするアルマバエフに対し、ジョンソンが右を振るった。ジョンソンの右カーフキックを受けて、アルマバエフがバランスを崩す。ジョンソンの右前蹴りをキャッチしたアルマバエフは、ボディロックからグラウンドに持ち込んだ。背中を着かされたジョンソンは、スイープを狙うも失敗。下からパンチを打ち込み、再びアルマバエフを足で浮かせる。

耐えたアルマバエフがパスを狙うと、アルマバエフは三角をセットアップする。これを振りほどいたアルマバエフが、パウンドの上下に散らして削る。しかし手数が少ないアルマバエフに対し、ジョンソンがスイープを仕掛けた。アルマバエフは立ち上がってバックに回る。一度倒したあと、立ち上がったジョンソンの背中に乗っかり、スタンドのまま右腕を首に回した。RNCは極められなかったが、バックコントロールからジョンソンにヒザを着かせる。ラウンド終了までアルマバエフが組みでコントロールした。

2Rもジョンソンが前に出る。アルマバエフは右スピニングバックキックから距離を取り、シングルレッグで組みついた。これをカットしたジョンソンがトップを奪い、マウントから三角をセットアップする。足を組んでから背中を着け、ケージ際で絞め上げるジョンソン。頭を引きつけるも、アルマバエフが耐える。頭を抜いたアルマバエフがバックに回った。

バックマウントから右腕を首に回すもRNCは極められず。しかしトップを奪い、三角対策か足をケージに向けてパウンドを落としていく。ジョンソンもアルマバエフの体を浮かせるも、スイープには至らない。アルマバエフがパスを狙い、亀になったジョンソンからバックを奪う。アルマバエフがRNCを狙いながらパンチを打ち込んでラウンドを終えた。

最終回、ジョンソンが左ジャブを突くも、1R~2Rほどの勢いはない。アルマバエフが右スピニングバックキックから組みつき、バックに回る。しかし切り返したジョンソンがマウントを奪い、暴れるアルマバエフに対してバックマウントに移行した。四の字フックで組んだジョンソンを振り落とせずも、反転したアルマバエフがトップへ。右オーバーフックでディフェンスするジョンソンに、アルマバエフがパウンドを落としながら足を一つ越えた。

さらにバックに回ったアルマバエフが四の字フックからパンチで削り、右腕を首にねじ込む。アルマバエフがRNCで絞め上げると、アゴの上だがジョンソンの目に力がなくなる。アルマバエフは左腕を回してパームトゥパームに切り替えた。凌ぐジョンソン。アルマバエフが再び右腕に戻して絞め上げたところでタイムアップに。

フルマークの判定で勝利したアルマバエフは、試合後に「レスリング、レスリング、レスリング」とゲームプランを語り、次の対戦相手としてカイ・カラフランスの名前を挙げた。


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45 AB BELLATOR MMA MMAPLANET o UFC UFN UFN234 アミール・アルバジ アンドレイ・オルロフスキー ウェスティン・ウィルソン カイ・カラフランス ガブリエル・ベニテス ジアン・シウバ ジム・ミラー ジョシュア・ヴァン ジョニー・ウォーカー トム・ノーラン ナスラ・ハクパレス ファリド・バシャラット フィリッピ・ブニス フィル・ホーズ ブルーノ・フェヘイラ マゴメド・アンカラエフ マテウス・ニコラウ マネル・ケイプ マリオ・バウティスタ マーカス・マギー リッキー・シモン ワルド・コルテスアコスタ 平良達郎

【UFN234】UFC2024年スタート。ニコラウと再戦、マネル・ケイプ「試合の見所は如何に僕がKOするか」

【写真】常に物静か、そして揺るぎない自信(C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFN234:UFN on ESPN+92「Ankalaev vs Walker2」が開催され、マネル・ケイプがコメインでマテウス・ニコラウと対戦する。
Text by Manabu Takashima

両者は2021年3月に1度対戦しており、ケイプは1-2のスプリット判定負けを喫している。当時から裁定に納得がいかず、自分が勝者と明言し続けてきたケイプは、この再戦に何を想うのか。そこには絶対の自信が存在した。


――2024年UFC最初のイベントで戦うマネルです。1月に試合があるとクリスマスとニューイヤーホリデーはお預けになりますね。

「僕はもともと宗教上、クリスマスを祝うことはない。とはいってもクリスマス、ニューイヤーとなると回りは最高に楽しんで、飲み食いをしていた。でもファイターは、その中に入ることはできない。新年を迎えると、試合まで2週間だ。より集中しないといけなかった。皆のように新しい1年の始まりを祝えないのは淋しいことだけど、それが僕の仕事だからね」

──日本では以前から1月に試合があると、練習仲間を見つけることが難しいという話が聞かれてきました。

「日本ではそうかもしれないね。新年の祝い事が大切にされているようだったし。でも、僕らは違う。僕はUFCファイターやBellatorファイターのなかで、練習をしている。皆が試合に向けて、コンディションが落ちるようなお祝いの時間は作らない。皆、練習していたよ」

──ところで以前、ベルトのために戦っているのであってリベンジのために戦っているのではないという発言がありましたが、今回はニコラウとの再戦となりました。

「この対戦は、僕にとって完璧だよ。僕は既に一度、彼に勝っている。もう一度、勝つだけだから。まぁ本音をいえば彼ではなくて、カイ・カラフランスと戦いたいと思っていた。でもね、カイ・カラフランスを含め誰もが僕との対戦を避ける。そしてマテウス以外、僕の前に残らなかった。この試合はタイトルショットに直結するし、受けないわけはなかったよ。あとはマテウスを倒すだけだ」

──ランクが下の選手と戦わないというケースは多く見られるようになりましたね。

「いつも言っているけど、ランキングなんてただ数字だ。問題は勝つか、負けるかなんだ。ランク外にも無敗のファイターがいて、彼らはランク3位ぐらいの力があるかもしれない。ランキングを上り詰めるには、時間が必要なんだ。要は勝つか、負けるか。そして勝利を手にするために全力で戦う。ベストになるは、勝者になることが第一だからね」

──常にニコラウとの最初の試合で勝っていたと発言していますが、オフィシャルの結果は判定負けです。だからこそ、ここで星を取り返したいという気持ちになりますか。

「前回の試合から、僕がどれだけ成長したかを見せつける。ファンの皆は、もう充分に見てきたはずだ。もちろん、この試合に集中しないといけないけど、頭の中ではタイトル戦のことばかり考えている。マテウスのことは軽視していない。それでも、僕の方が優れたファイターであることは間違えようがない。そういうことなんだ」

──2021年3月のマネル・ケイプと比較して、どこが最も成長したと思いますか。

「全てだ。MMAファイターだから、どの局面も強くなっている。どのような試合展開になっても、成長した姿を見てもらえるだろう」

──同様にマテウス・ニコラウも成長しているのではないでしょうか。

「う~ん、そんなことはない。彼は変わっていない。前回の試合、何が悪かったのかと言えばジャッジの裁定が悪かったんだ。彼が強くなっているとは思えない。良いファイターだよ、でも僕のように優れたファイターではないからね。エクセレントな戦い、優秀な戦いを僕は実行する。

この試合の見所は、いかに僕がKO勝ちするかだ。彼は僕のパンチを怖がっている。前の試合で一発でも被弾すれば、試合が終わると思ったに違いないよ」

──では技術的に勝負の鍵を握るのは、どこになるかと思っていますか。

「移動と角度──かな。彼の動きをカットする。僕は長い間、日本で戦ってきた。リングでシューズを履いて。オクタゴンで戦うようになった当初、リングとケージの違いに慣れる必要があった。ただ、あの時点でも十分に戦えていたからね。あの時、僕の未来は開けていると自信を持てたよ」

──パントージャはアミール・アルバジと防衛戦を行うのではないか、そんな話も聞かれます。

「誰がパントージャに挑戦するのか、分からない。だからこそ、この試合を戦う意味がある。この試合でどれだけ僕がスマートで、優れているのかを証明しつつファンに喜んでもらえる試合をする」

──ところでUFCフライ級には平良達郎選手という日本人ファイターがいます。現在、オクタゴンで5連勝中です。彼のことが気になることはありますか。

「素晴らしいウェルラウンダーだ。彼のこれからに期待している。近いうちにトップ3になるだろう。それだけの可能性を秘めている。彼がちゃんと練習して勝ち続ければ、フライ級トップと戦うようになる。そして、僕はフライ級のトップだ」

──マネル、今日は時間を割いてもらってありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「いつも日本のファンには感謝している。次も勝つから、僕の試合を視て欲しい」


■視聴方法(予定)
1月14日(日・日本時間)
午前6時00分~UFC FIGHT PASS
午前5時30分~U-NEXT

■UFN234対戦カード

<ライトヘビー級/5分5R>
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
マテウス・ニコラウ(ブラジル)
マネル・ケイプ(アンゴラ)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
ガブリエル・ベニテス(メキシコ)

<ライト級/5分3R>
ナスラ・ハクパレス(ドイツ)
ジェイミー・バラーキー(豪州)

<バンタム級/5分3R>
リッキー・シモン(米国)
マリオ・バウティスタ(米国)

<ミドル級/5分3R>
フィル・ホーズ(米国)
ブルーノ・フェヘイラ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
ワルド・コルテスアコスタ(ドミニカ)

<ウェルター級/5分3R>
マシュー・セメルスバーガー(米国)
プレストン・パーソンズ(米国)

<バンタム級/5分3R>
マーカス・マギー(米国)
ガストン・ボラノス(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ファリド・バシャラット(アフガニスタン)
テイラー・ラピルース(フランス)

<フェザー級/5分3R>
ウェスティン・ウィルソン(米国)
ジアン・シウバ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
トム・ノーラン(豪州)
ニコラス・モッタ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
フィリッピ・ブニス(ブラジル)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

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45 AB o UFC アミール・アルバジ イリー・プロハースカ カイ・カラフランス ジム・ミラー ジョシュア・ヴァン ジョニー・ウォーカー トム・ノーラン ポール・クレイグ マネル・ケイプ ヤン・ブラホヴィッチ リッキー・シモン

UFC on ESPN+92:オッズ/予想と展望

マゴメド・アンカラエフ 1.22
ジョニー・ウォーカー 4.50
マテウス・ニコラウ 3.00
マネル・ケイプ 1.41
ジム・ミラー 1.85
ガブリエル・ベニテス 1.98
リッキー・シモン 1.57
マリオ・バティスタ 2.45
フィル・ハウズ 1.98
ブルンノ・フェヘイラ 1.85
アンドレイ・アルロフスキー 5.40
ワルド・コルテス・アコスタ 1.17
マシュー・セメルスバーガー 1.80
プレストン・パーソンズ 2.05
マーカス・マクギー 1.36
ガストン・ボラニョス 3.25
ファリド・バシャラート 1.36
テイラー・ラピルス 3.25
ウェスティン・ウィルソン 6.25
ジェアン・シウバ 1.13
ニコラス・モッタ 3.40
トム・ノーラン 1.34
ジョシュア・ヴァン 1.46
フェリペ・ブネス 2.80

今年最初のUFC

メインは10月の対戦で1Rにアンカラエフのグラウンド膝の反則があり、ウォーカーは続行できそうだったが、レフェリーとの意思疎通が上手く行かずにストップされたことで物議を醸した試合の再戦。

アンカラエフはUFCデビュー戦でポール・クレイグを圧倒していたが、三角に捕まって残り1秒での大逆転負けでキャリア唯一の黒星を喫した後、9連勝でイリー・プロハースカが返上したライト級タイトルの王座決定戦に出場。ヤン・ブラホヴィッチ相手に内容では押していたが、これも物議を醸す判定ドロー。その次の試合がノーコンテストになったウォーカー戦と、ここにきてタイトル獲得目前で不運な足踏みが続いている(反則膝は自業自得だが)。

ウォーカーはUFCデビューから3連続1RKO勝ちして将来のスター候補と見られていたが、そこから急に失速してその後1勝4敗。ブラジル人に良くいる調子のいいときは強いが、勢いがなくなるとあっさり負けるパターンの選手になっていた。しかしそこからまた3連勝で復調している。が、下位ランカー相手には強さを見せるものの、トップ5ランカーの壁は崩せていない。

前回もストップがかかるまではアンカラエフが押していたこともあり、オッズは大差でアンカラエフがフェイバリット。

アンカラエフKO勝ち。

セミでは、昨年デイブソン・フィゲイレード戦につづいてカイ・カラフランス戦も流れたマネル・ケイプが、3年前のUFC2戦目で敗れたマテウス・ニコラウとの再戦に臨む。

ケイプは現在4連勝中。5位のニコラウに勝てば、いよいよトップ5ランク入りとなる。

ニコラウはケイプ戦が2年半ぶりのUFC復帰戦で、そこから4連勝したが、昨年4月には先月タイトル挑戦を果たしたブランドン・ロイバルに1RKO負けで、UFC復帰後初黒星。

前回はニコラウの対戦相手が負傷欠場となり、試合9日前に急遽代役としてケイプが出場して対戦した。1Rにニコラウがテイクダウンを奪い、2Rにはケイプがタックルを切って打撃を入れる展開で1Rずつ取り合い、3Rは僅差だが打撃のヒット数ではケイプが上回るという内容で、ニコラウが微妙なスプリット判定勝ち。今回はケイプがオッズでフェイバリットとなっている。

フライ級は来月1位の前王者モレノと2位のアミール・アルバジの対戦が予定されている。3位は先月挑戦したばかりのロイバル、4位はモレノとアルバジに敗れた後、9月のケイプ戦を負傷欠場したカラフランス。王座挑戦の優先順位はモレノ vs. アルバジの勝者が上だと思うが、内容次第ではニコラウ vs. ケイプの勝者にチャンスが回ってきてもおかしくない。

第1試合開始は14日6時から。速報します。