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【UFC303】バンタム級の新鋭ペイトン・タルボット「安全なポイントゲームなんて、やりたくない」

【写真】スクショを撮る際に、5秒以上も目を剝いて待ってくれていたタルボット。実はいいヤツ (C)MMAPLANET

29日(土・現地時間)、米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催されるUFC303「Pereira vs Prochazka 2」で、ペイトン・タルボットがヤニス・ゲムリと戦う。
Text by Manabu Takashima

2023年のコンテンダーシリーズでUFCと契約し、2試合連続でKO勝ちのタルボット。キャリアは8戦8勝、負け無しの新鋭は自らの一番の武器はペースだと言い切った。


MMAに求められるのは、アクションだから

――今週末にヤニス・ゲムリ戦を控えたペイトンです。調子はいかがですか(※取材は26日に行われた)。

「最高だよ。ヤニス・ゲムリとは良い顔合わせだと思う。殴り合って、エキサイティングなファイトをするよ」

──UFCで2度戦って2つのKO勝ち、判定勝ちだったコンテンダーシリーズのファイトも素晴らしいパフォーマンスでした。そんなペイトンのことを我々は、まだまだ分かっていないのですが、なぜMMAを始めたのですか。

「2017年、18歳の時にコナー・マクレガーの影響を受けて、試しにジムに行くようになった。すぐにマーシャルアーツに夢中になったよ。トレーニングをしていると、試合に出るようになって。そうなると、日に日にMMAへの想いが強くなっていった」

──MMAを始める前に格闘技の経験はあったのでしょうか。

「凄く小さな時にボクシングをやったことがあったけど、全然ダメで2カ月ほどで辞めてしまった。経験という経験があったのはレスリングだけで。レスリングはハイスクールを中心に4年ほどやっていた。けど、コレといって目立った戦績は残していない」

──それでもレスリングというベースがあったのですね。ファイトスタイルから、打撃系格闘技の経験の持ち主だと勝手に思っていました。

「う~ん、打撃が自分の一番の武器だとは思っていないよ」

──そうなのですか。

「僕の武器は体力だ。ハイペースで15分間、戦い続けることができる。結果、対戦相手は疲れて僕の打撃の餌食になるんだ」

──まさに現代MMAの申し子ですね。

「だって皆、それが見たいだろう? テイクダウンをされて、ガードの中に相手を入れて止まるなんて試合は誰も見たくないはずだ。MMAに求められるのは、アクションだから。それにケージのなかでは動きが多い方が、勝つ確率も高くなる。だから、常に動いてペースの速い試合を心掛けている」

──そして、フィニッシュを狙うのがコンテンダーシリーズ世代ですね。

「もちろん、フィニッシュを狙うのは当然だ。もともと、組んで倒してコントロールする試合なんか、好きじゃなかったし。そうやって勝つファイターがいることは分かっている。それはそれで構わないけど、そんなことがしたくてMMAを戦っているわけじゃないから。

結果的に僕は自分がやりたいことをするためにオクタゴンに上がっている。それこそが、コレをやって金を稼ぐのに相応しいファイトだと思っている。安全なポイントゲームなんて、やりたくない」

日本のアニメから受けた影響も絶大だよ

──それこそ、コナー・マクレガーに感化されてMMAを始めたペイトンらしいファイト・フィロソフィーですね。

「実際にMMAのトレーニングを始めてからも、コナーから受けた影響は大きい。あとはマックス・ホロウェイ、そしてネイト・ディアズ……でも、子供の頃に日本のアニメから受けた影響も絶大だよ(笑)。ドラゴンボールZに、幽遊白書からファイティング・スプリットとは何かを学んだんだ」

──なるほどぉ。では日本のMMAに興味を持ったことは?

「それは……余りないかなぁ。なんか、凄いステージがあって、ダンスをしたりしているのは受けたけど(笑)。ファイターでは、UFCとサインをしたばかりの……。そう、カイ・アサクラだ。彼のハイライトは見たよ。良い選手だよね」

──では同じバンタム級でUFCデビューを果たし、連勝中の中村倫也選手の印象を教えてください。

「う~ん、ちょっと分からないなぁ……。あのレスラーかい?」

──そうです、レスリングがベースです。

「まぁ、視界に入ってくれば気にかけるようにするよ」

──……押忍。では、土曜日に戦うゲムリの印象は?

「きっと、たくさん蹴ってくるだろうね。そしてカウンターの一発を狙って、我慢強く戦ってくるはずだ。ちょっとフラストレーションがたまる試合になるかもね。あの動きを僕のグルーブに誘い込むのは、ちょっと面倒くさいと思う。

ちょっと変な打撃だろう? なんか蹴りとパンチのコンビネーションがおかしいんだよ」

──確かに。構えも特徴的で。ただ、時折り力強いクリンチゲームも展開します。

「あんまり寝技の展開は見たことがないけど、上半身を固める組みを使うのは確かだ。でも、あんな風に固めてくるとスタミナを無駄にするだけだ。そこから先は、彼のやりたい試合にはならない。まぁ、何分間も相手をケージに押し込むようなヤツだよ。

だからこそ、動きまくって肉弾戦を皆に見てもらいたい。まだ僕のことを認識していないファンがいれば、きっと考え方が変わる試合になる。もう意識しないわけにはいかなくなるよ。しっかりと皆が喜ぶ試合をし続けるよ」

──その先に狙うは、タイトル挑戦と。

「そうだね、上手くいけば1年半後ぐらいにはトップに立っているだろう」

──ペイトン、今日はインタビューに時間を割いてくれてありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「ハイ。アリガトゴザイマス。オヤスミ」

■視聴方法(予定)
6月30日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■ UFC303対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] イリー・プロハースカ(チェコ)

<ライト級/5分3R>
ブライアン・オルテガ(米国)
ディエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
ロマン・デリツ(ジョージア)

<女子バンタム級/5分3R>
マイラ・ブエノ・シウバ(ブラジル)
メイシー・シェエソン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー(アイルランド)
マイケル・ペイジ(英国)

<ミドル級/5分3R>
ジョー・パイファー(米国)
マフクアンドレ・バリユー(カナダ)

<フェザー級/5分3R
カブ・スワンソン(米国)
アンドレ・フィーリ(米国)

<フェザー級/5分3R>
シャルル・ジョーダン(カナダ)
ジアン・シウバ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ペイトン・タルボット(米国)
ヤニス・ゲムリ(フランス)

<女子ストロー級/5分3R>
ミッシェレ・ウォーターソン・ゴメス(米国)
ジリアン・ロバートソン(カナダ)

<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
マルティン・ブダイ(スロバキア)

<フライ級/5分3R>
カーロス・ヘルナンデス(米国)
鶴屋怜(日本)

<バンタム級/5分3R>
リッキー・シモン(米国)
ヴィニシウス・オリヴェイラ(ブラジル)

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45 GLORY MMA MMAPLANET o Preview UFC UFC303 アレックス・ポアタン・ペレイラ イリー・プロハースカ ブログ

【UFC303】展望 ポアタン×イリーの超常現象世界戦。先住民族×侍、非科学的要素の効果は??!!

【写真】世界最高峰の戦いに、先進科学以外の精神性が加わる。ある意味、目の前に見られる超常現象だ(C)Zuffa/UFC & MMAPLANET

29日(土・現地時間)、ラスベガス近郊パラダイスのTモバイルアリーナにて、UFC 303大会が行われる。メインイベントは現王者アレックス・ポアタン・ペレイラに元王者イリー・プロハースカが挑むライトヘビー級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

もともと本大会のメインには、3年ぶりの復帰となるコナー・マクレガーとマイケル・チャンドラーのレジェンド戦が予定されていた。しかしマクレガーの負傷により延期が決定。大会僅か16日前である今月13日、このタイトル戦が急遽発表された。

ポアタンことペレイラは、昨年11月のUFC 295にて前王者プロハースカとライトヘビー級王座決定戦に臨み、2RTKO勝利。キック団体GloryとUFCの両方で世界二階級制覇の偉業を達成した。さらに今年4月の記念大会UFC 300のメインイベントでは、前王者ジャマール・ヒルと初防衛戦を行い、試合前に右足の小指を骨折して主武器の右カーフが使えない状況下にもかかわらず、瞬時に距離を詰めて必殺の左フック一閃。目を剥いて倒れたヒルに追撃を浴びせて仕留めて見せた


ニックネームのポアタンは、南米の先住民語であるトゥピ語で「石の如き手」を意味するという。その名に相応しい凄まじき威力の拳で観客を魅了する、現在のUFC最大の(つまり現在MMA界最大の)スーパースターだ。

対するBJP(こちらはBomby jak pičaの略だそうで、UFC.comによると「爆弾をぶっ放せ」的な意味らしい)ことプロハースカは、日本のRIZINにおける活躍でもお馴染みの選手。UFC転出後3連勝を飾りライトヘビー級王座に輝くも、肩の負傷により王座返上を余儀なくされた。復帰して臨んだ11月のポアタンとの王座決定戦には敗れてしまったが、上述のUFC 300のプレリムのメインにてランキング5位のアレクサンダー・ラキッチと対戦。いつものように被弾上等で前進し攻撃を仕掛け続け、初回は失ったものの2Rに強烈な右をヒットさせるや、強引に嵐に巻き込むが如きラッシュをかけて薙ぎ倒し、TKO勝利を収めている。

大会後プロハースカはポアタンへの挑戦の意志を表明し、王者も次の防衛戦はプロハースカとの再戦になるだろうと語った。両者ともに8月の対戦を念頭に置いていたようだが、マクレガーの負傷欠場により事態が急展開。ともに前戦から僅か2ヶ月半ほどでの再登場となった。

もっともプロハースカは先月の段階で「もしUFC 303でタイトル戦が組まれるのなら喜んで」と発言しており、急遽のオファーを受けることに迷いはなかった模様だ。侍の哲学に傾倒する彼らしく「ウォリアーにとって大切なのは、自分の周りに起きる物事や状況の変化にその場で対応することだ。今回のようなショートノーティスの試合は、まさにそれだよ」と、むしろこの展開を歓迎している。

一方のポアタンも、豪州でのプロモーションツアー中だったにもかかわらずオファーを快諾。移動中の車中にて、マネジャーから諸条件の確認の連絡を受けた際「Chama or no Chama!(やるかやらないかだ!)」と笑顔で試合を受けるシーンを自ら動画でアップしている。

ちなみに「Chama(シャーマ)」というのはポルトガル語で「炎」を意味するポアタン愛用のキャッチフレーズだ。

「もともと彼と戦うつもりだったし、この豪州アでのツアー中も毎日トレーニングをしていた。僕はもうすぐ37歳になり、いつまで戦えるかは分からない。こういう機会を逃す選択肢はないよ」と、団体側から見るとこの上なく有り難いメンタリティを持つ王者はさらに

「ずっと世界中で試合してきた。1カ月で2回中国に行ったこともある。1度目は取材等をこなし、2度目は試合に向けての減量中に3度もトランジットを重ねて中国入りして試合した。僕の心は強い。今回の減量も問題ない。これから10キロ減らすだけだ、試合まで15日あれば十分食事で調整できるさ」と語っている。

Gloryにてキック世界王者として君臨するだけでなくKunlun FightやGlory of Heroes等で中国、欧州で&北米を転戦した経験は、この男に桁外れの破壊力を秘めた石の拳だけでなく、常人には測り知れない鉄の精神力をもたらしているようだ。ちなみにプロハースカもそんなポアタンのことを「彼流のウォリアーの道を生きている、真の戦士だ」と評価している。

と同時に、ポアタンが出自である先住民族パタシャオ族の儀礼に参加したり、その民族衣装やフェイスペイントを纏って会見に参加することを受けて「彼はいつも地元のシャーマンからスピリチュアルな力を得ているね。おそらくそれなしでは戦えないのだろう。私もスピリチュアルな力の存在は信じているけど、ああいう『魔術』は使わず、人間のピュアなパフォーマンスを信じているんだ」ときわめてユニークな見解を披露している。

そんなプロハースカも最近、光を遮断した場所に数日間食事も摂らずに籠り自らの魂と向き合う試みを敢行し、また前戦の前夜には会場の前に一人で佇み、場の力を吸収しようとする姿が目撃されている。現代MMAの最先端で極限の強さを競う選手たちが、科学的合理性とは一線を画した方法で精神的追求を行っている事実は興味深い。

ちなみにポアタンのように祖先の魂に触れて力を得ることの効用は、宿命のライバルのイズラエル・アデサニャも認めている。ポアタンに敗れてミドル級タイトルを失ったアデサニャは、再戦の前にポアタンに倣って自分も祖先の文化に立ち返る必要があると考え、幻覚剤のシロサイビン(マジック・マッシュルームをマイクロドーズ(微量使用)することで自己探求の旅を試み──。

「彼(ポアタン)はいつもそうやって力を得ている。俺もそこからインスピレーションを受けた。自分の祖先に触れ、自分は何者かを見つけなければと思ってね。その経験(=マイクロドーズによる自己探求の旅)は本当にあの(リベンジを達成した)試合で役に立ったよ」と語っている。

閑話休題。

チェコ出身のプロハースカが日本の侍文化を独自の形で吸収し、ポアタンは南米先住民族の伝統への回帰を通して精神的・霊的な力を求める。こうした精神世界における世界規模の過去と現在の交錯もまた、21世紀のグローバルスポーツとしてのMMAの一側面だ。

さて、あまり間を置かずに再戦となるこの試合だが、きわめて対照的な戦いで観る者を魅了する両雄による頂上決戦なだけに、興味は尽きない。むしろ前回の試合を経て見所が深まっていると言える。

プロハースカの最大の特徴は、その変則的にして超攻撃的な戦闘スタイルだ。軽やかにステップを踏み、スイッチを繰り返してはフリッカージャブ、アッパー、オーバーハンド、前蹴り、縦肘、飛び膝等を奔放に放ってゆく姿は、侍文化に傾倒する本人が大切にする「常に現在に住まう(always live in the present moment)」という言葉を具現化しているかのようだ。

何より型破りなのは、対戦相手全てが一撃必殺の攻撃力を持つUFCライトヘビー級トップ戦線にて、両腕を下げアゴを上げた姿勢で躊躇なく危険な距離に踏み込んで攻撃を仕掛けてゆくことだ。実際UFC転出以降の5試合全てにおいて、プロハースカは自分から強引に距離を詰めていき、結果相手の強烈なカウンターを何度も顔面に被弾している。

それでも持ち前の目の良さと打たれ強さで持ち堪えては前に出続け、最後は強打の嵐に相手を巻き込んでしまうという常識外れの戦い方で、UFC参戦後僅か3戦にして世界に頂点に立った。試合は常にエキサイティングなものとなり、ほぼ毎回何らかの形でボーナスを獲得している。たどたどしい英語で生真面目に侍の精神性を強調する、ユニークな個性と髪型もファンの好感を呼ぶビッグスターだ。

そんな破天荒な戦い方が仇となってしまったのが、前回11月のポアタン戦だ。2Rに強烈な右を当てることに成功したプロハースカだが、下がったポアタンを追いかけて距離を詰めていったところで、カウンターの左右フックを被弾してしまう。膝から崩れ落ちたところに肘を連打で落とされ、万事休す。

他の相手には驚くべき耐久力を発揮したプロハースカの強靭なアゴだが、至近距離でも恐るべき破壊力を発揮するポアタンの拳と肘を耐えられるはずもなかった。お互いのパンチが当たる距離のことを英語で「イン・ザ・ポケット」と呼ぶが、高い精度と桁外れの威力を兼ね備えた拳を持つポアタンと戦う者にとって、そこは誇張なしに「世界一危険なポケット」と化す。

そこで今回の再戦の鍵は、プロハースカがいかに前回の教訓を踏まえ、ポアタンとの間の危険極まりないポケットに切り込んでゆくかとなるだろう。

実際プロハースカは11月の前戦にて、ポアタンの拳を掻い潜って有効な攻撃を仕掛ける場面を幾度か作っている。一つ目は1R中盤に奪ったテイクダウンだ。組みと打撃を織り交ぜたフェイントを駆使するプロハースカは、ポアタンの右ストレートをかわしざま見事なタイミングで懐に入り、片足を抱えることに成功。やがてテイクダウンを奪いラウンドを先取してみせた。

もう一つの場面は2Rに見られた。ギアを上げたプロハースカは、体を振りながら前に出てポアタンを下がらせ、さらに距離を詰めると見せかけてカウンターの左右フックを誘い出し、目の前で空振りさせることに成功。次の瞬間得意の右オーバーハンドをクリーンヒットさせたのだった。

前進しながらも冷静に相手のカウンターを見切る動き自体は、プロハースカがいつも使っているものだ。が、ポアタン戦で見せたそれは今までで最も見事で、本人が憧れる古(いにしえ)の剣豪の如き、とさえ言えるものだった。

臨機応変にして変幻自在の動きを持つプロハースカ。今回はMMAのいかなる要素を組み合わせて「世界一危険なポケット」に侵入そして突破し、ポアタン最大の課題である寝技の領域に試合を持ち込むのか。

それともさらに洗練された見切りを駆使し、ポケットの境界スレスレの位置に留まり「後の先」を取りにゆくのか。最高度にスリリングな攻防となるに違いない。

さらに付け加えるべきは──ポアタンと戦う者にとって、ポケットの外にいさえすれば安全などということは全くないということだ。強烈な左フックを始め、KOパワーを秘めたパンチ力は当然として、ポアタンにはもう一つの主武器がある。それが、パンチを警戒する相手への右カーフキックだ。恐るべき左拳から遠ざかりたい対戦相手が動いた瞬間、逆側からノーモーションでこれが飛んでくるのだから防ぐのは困難だ。

そしてその破壊力がまた尋常ではない。実際11月の試合の初回、プロハースカはオーソに構えるたびに前足に強烈なカーフを被弾し、派手にバランスを崩されている。2Rに強引に攻め込み返り討ちに遭った遠因が、初回に足を壊されかけたことで勝負を急いでしまったことにあるという見方もできるだろう。

危険な拳の射程距離に容易に近づくことすら許さない、まるで城門への接近を試みる敵に向かって放たれる強力な矢の如きポアタンのカーフキック。今回もプロハースカは、前回同様の大きな犠牲を払っての強行突破を試みるのか、それとも新たな対処法を用意しているのかもまた見どころだ。

ネット上の真のMMAファンを自認する皮肉屋たちからは「コナー、怪我してくれてありがとう! おかげで僕らはこんな最高のカードをすぐにまた観ることができるよ!!」などという声まで少なからず聞こえてくるこの再戦。生命活動のほぼ全てを戦いに注ぎ込む真のウォリアー2 人による戦いが、一瞬たりとも目が離せないものとなることは間違いない。

■視聴方法(予定)
6 月30日(日)
午前7時00分~ UFC Fight Pass
午前6時30分~ U-NEXT

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AB F1 Goods JAM MMA o UFC   アンソニー・スミス イリー・プロハースカ カーロス・アルバーグ コナー・マクレガー ジャマール・ヒル ヴィトー・ペトリーノ

6.29『UFC 303』ジャマール・ヒル負傷欠場によりアンソニー・スミスがカーロス・アルバーグと対戦

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6.29『UFC 303: McGregor vs. Chandler』のセミファイナルはジャマール・ヒル vs. カーロス・アルバーグ(2024年05月24日)

6.29『UFC 303』コナー・マクレガー負傷欠場によりメインイベントがアレックス・ペレイラ vs. イリー・プロハースカ2に変更(2024年06月14日)

 こちらの続報。


 UFCが6月29日にネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催する『UFC 303: Pereira vs. Prochazka 2』でカーロス・アルバーグと対戦予定だったジャマール・ヒルが負傷欠場、代わりにアンソニー・スミスがアルバーグと対戦することをデイナ・ホワイトが発表。

 アンソニー・スミスは5月の『UFC 301: Pantoja vs. Erceg』でヴィトー・ペトリーノに1Rギロチンチョークで勝利して以来の試合。現在UFCライトヘビー級ランキング10位。続きを読む・・・
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45 AB MMA o UFC   イリー・プロハースカ コナー・マクレガー ジャマール・ヒル マイケル・チャンドラー

6.29『UFC 303』コナー・マクレガー負傷欠場によりメインイベントがアレックス・ペレイラ vs. イリー・プロハースカ2に変更

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 6月29日にネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催する『UFC 303』のメインイベントで予定されていたコナー・マクレガー vs. マイケル・チャンドラーですが、マクレガーの負傷欠場により中止になることと、アレックス・ペレイラ vs. イリー・プロハースカのライトヘビー級タイトルマッチが新たなメインイベントになることをデイナ・ホワイトが発表。

 ペレイラは4月の『UFC 300: Pereira vs. Hill』でジャマール・ヒルに1R KO勝ちして以来の試合で3連勝中。今回が2度目の防衛戦。

 プロハースカは同じく4月の『UFC 300: Pereira vs. Hill』でアレクサンダー・ラキッチに2R TKO勝ちして以来の試合。現在UFCライトヘビー級ランキング1位。

 両者は11月の『UFC 295: Prochazka vs. Pereira』でライトヘビー級王座決定戦として対戦しており、この時は2R TKO勝ちしています。続きを読む・・・
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45 AB F1 MMA o UFC UFC300   イリー・プロハースカ ジャスティン・ゲイジー マックス・ホロウェイ

『UFC 300: Pereira vs. Hill』パフォーマンスボーナス/マックス・ホロウェイがWボーナスで60万ドル(約9197万円)獲得

一生困らないお金の習慣 150人のお金持ちから聞いた [ 加谷珪一 ]



 UFCが『UFC 300: Pereira vs. Hill』のパフォーマンスボーナスを発表。

▼ファイト・オブ・ザ・ナイト
・マックス・ホロウェイ vs. ジャスティン・ゲイジー

▼パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト
・マックス・ホロウェイ、イリー・プロハースカ


 記念大会ということで各30万ドルのボーナス。マックス・ホロウェイは60万ドル獲得です。続きを読む・・・
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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC300 アレクサンドル・ラキッチ イリー・プロハースカ

【UFC300】身の内のサムライ魂=キラーインスティンクト爆発。イリーがラキッチをパウンドアウト

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
Def.2R3分17秒by TKO
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

ラキッチが右カーフ、イリーもカーフを返す。左ジャブを伸ばすイリーに右カーフを続けるラキッチは左をかわして、ジャブを伸ばす。そして右カーフを入れる。詰めてきたイリーに右をヒットさせたラキッチが、右カーフを続ける。構えを変えるイリーだが、オーソになるとカーフを左足に受ける。ついにカーフで動きが止まったイリーは、スイッチしても右足をアウトローで蹴られてしまう。

ほぼローで試合を組み立てるラキッチは、イリーのステップインには素早くステップで角度を変える。ラキッチは左ハイに右を当て、間合いを取り直すとワンツーの右を続ける。残り1分、イリーが左ハイから左フックで前に、さらに右フックを入れる。追撃の跳びヒザは外されたが、圧を掛けるイリーが右を被弾する。最後の3秒でケージにラキッチを押し込んだイリーは巻き返してラウンドを終えた。

2R、イリーの左インローに、ラキッチが右を合わせる。左ハイで前に出るイリーだが、ここでも右で殴られ、右ローを蹴られる。ワンツーで、動きが一瞬止まったイリーは引き続き前足を蹴られる展開で、左ハイからオーソに戻し右をクリーンヒットさせる。慌てた素振りを見せたラキッチは、再びハイを蹴られケージに下がる。ここで左右のフックを打ち込んだラキッチだが、右ストレートを被弾して背中を見せてケージまで下がる。ラッシュのイリーは、右を打ち返してきたラキッチにヒザ蹴りからパンチを纏める。

足が泳ぎ、押し倒されたラキッチは亀になり、サイドバックから連打されガードを取る。上を向いてもパンチを打たれ続け──再び背中を見せたラキッチがパウンドを被弾したところでレフェリーが試合を止めた。

「ラキッチが言ったように僕はサムライじゃない。僕はチェコ人だ。でも、何かにインスパイアを受けることってあるだろう。僕の身の内にはサムライソウルがある。頭にはサムライのあり方がある。とにかく、メインの勝者に挑戦する。SNSで戦争を仕掛けてきても構わない、でもケージのなかでは痛い目に合うぞ」と微笑を浮かべて話した。


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【UFC300】ケイラ・ハリソンと対戦、女子格レジェンド=ホーリー・ホルム「少しでも成長しようと」

【写真】落ち着き払っているホルムだった (C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC 300「Pereira vs Hill」で、ホーリー・ホルムがケイラ・ハリソンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2017年にボクシングの殿堂入りを果たしたホルムだが、ボクシングでの活動が9年間だったのに対し、MMAは13年目を迎える。そしてボクシングよりも、キックの印象が強い被弾しないMMAストライカーは42歳になっても衰えることを知らない。

ハリソンと戦うことで、ロンダ・ロウジー戦が思い起こされるホルムだが、日進月歩の女子MMAで2011年から戦い続けてきたホルムこそ、今はベルトを巻いていなくともUFC300で戦う相応しいファイターに違ない。


――今週末UFC300という大舞台で戦うこと、どのように考えていますか。

「現役チャンピオンと元チャンピオンが揃って出場している大会に参加できて、本当にワクワクしているわ。この大会で戦うメンバーの1人に選ばれて光栄よ。でも、出場するからにはしっかりと勝たないといけないから」

2009年、MMAデビューの2年目にジャクソンズMMAでMMAファイターとスパーリングをしていたホルム

──ボクシングで世界のベルトを15本も巻いた。

そんなホーリーが、Legacy FCに出場し始めた頃からファイトを見させてもらってきましたが、あの頃ここまでMMAにのめり込むと思っていましたか。

「こんなに長く戦うなんて、思っていなかったわ。ファイト毎に自分の限界を見極める必要があると思って戦ってきて、それが1年、1年と続いてきた感じね。それにしても、ここまで長いキャリアになるとは全く想像もしてなかった」

──ここまで戦うことができる要因はどこにあると思っていますか。

「やっぱり精神面の影響が大きいと思うわ。ファイトでも、ビジネスでもフィジカルよりもメンタルに依るところが大きいから。もちろん肉体的にヘルシーでないといけないけど、メンタルもそうね。心身ともに健康で、しっかりと考えることができる状態でいないと。それに他の選手が負ったような大きなケガとは無縁というのも、やっぱり大きいわね。だからこそ、前進できる。今も、前を見続けて戦うことができているわ」

(C)Zuffa/UFC

──ところで今回のケイラ・ハリソンとの一戦は、多くの人がロンダ・ロウジーとの戦いを連想しているかと思います。

「2人ともバックグラウンドは柔道だから。皆が、あの2人を比べるのはしょうがないこと。でもロンダとケイラは全然違う。ロンダの方が立ち技で戦いたがっていた。それにロンダは柔道で戦っていたけど、ケイラはレスリングで戦っている。何よりロンダはオーソドックスで、ケイラはレフティ。そこからして違っているわ。だから、ロンダ云々でなくケイラの動きに集中する必要があるの。

同時にロンダと戦ったことで、私は本当に色々なことを手にすることができたのは事実よ。メンタル的にもあんなに凄いプレッシャーのなかで戦ったことはなかった。それでもポジティブに乗り越えることができた。ケイラは、MMAでそういう経験していないでしょうね。何よりロンダと戦った時と比べると、MMAは凄く進化している。それは私も証明してきたし、多くのガールズがケージのなか見せてきた。今もそう。少しでも成長しようと、練習を続けているから」

──では、ケイラとの試合でカギを握る攻防はどこになると思いますか。

「とにかく集中することよ。ケイラの想うような試合展開にさせないためにも、集中して戦うこと。ファイターなら誰もそうだけど、距離のコントロールは絶対よ。望むような試合をするには、絶対的に自分の距離で戦わないといけない。

どれだけ相手との間に距離があるのか。そして、どれだけ空間をコントロールできるのか。それがMMAというゲームで、自分のパズルで埋めていく必要があるの」

──簡単に伝わることではないでしょうが、そこも踏まえてどのような試合をファンに見せたいと考えていますか。

「今も私がこの階級の実力者だと、証明したい。私の持つ、全ての技術を駆使して戦うわ。とにかくケイラとの試合はビッグファイトよ。この試合で勝利を手にすれば、またタイトルに挑戦できると思っている。どうなるかしらね」

■視聴方法(予定)
4月14日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■UFC300対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] イェン・シャオナン(中国)

<BMFタイトルマッチ・ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マックス・ホロウェイ(米国)

<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
コディ・ブランデージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
カルヴィン・ケイター(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ケイラ・ハリソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ソディック・ユースウ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
ジム・ミラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)
コディ・ガーブラント(米国)

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【UFC300】展望。ゲイジー×ホロウェイ、Baddest Motherfuckeを超越したBMFタイトル戦!!

【写真】両者とも156ポンドで計量を終えている。最高の駆け引きのあとで、最高の殴り合いに発展する可能性も?? (C)Zuffa/UFC

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催される。プレリミ含めて全試合がメインイベント級と呼べるスーパー・メガ・ヒストリカルショーで、UFC認定の非公式タイトル=BMF(Baddest Motherfucker=最高にヤバい奴)現王者であるジャスティン・ゲイジーにマックス・ホロウェイが挑む一戦もラインナップされている。
Text by Isamu Horiuchi

もともとこのBMFタイトルが創設されたのは、2019年11月のネイト・ディアズ×ホルヘ・マスヴィダル戦だ。その3カ月前のアンソニー・ペティス戦に勝利したネイトが「俺は真のBaddest Motherfuckerの座を賭けてマスヴィダルと戦いてぇんだ。ただ相手を抑え込んでルール上の勝利を狙うような連中じゃなくな」と発言。この言葉にダナ・ホワイト代表も大いに乗り気となり、BMFの文字が大きく刻まれたベルトを本当に作成、両者による決定戦を敢行したのだった。


試合は1Rに右ハイでネイトの右目上をカットしたマスヴィダルが終始優勢に試合を進め、3R終了時にTKO勝利。元WWEスーパースターのザ・ロックことドウェイン・ジョンソンにBMFベルトを巻かれたのだった。

その後4年近く封印されていたBMF戦だが、初代王者のマスヴィダルが引退を表明した3カ月後の昨年7月、ゲイジー×ダスティン・ポイエーにて復活。ここでゲイジーが右ハイでポイエーを沈め2代目王座に輝いた。この勝利でイスラム・マカチェフの持つライト級王座の挑戦権を得たと思われたゲイジーだが、その話がなかなか具体化しないまま、今回元フェザー級王者のホロウェイを相手に史上初のBMF王座防衛戦に臨むこととなった。

挑戦者のホロウェイは、現在アーノルド・アレン戦とコリアンゾンビことジョン・チャンソン戦と2連勝中。ライト級のゲイジー同様、こちらもフェザー級タイトル挑戦に最も近いところにいると思われる選手だが、新王者イリャ・トプリアの都合や前王者アレックス・ヴォルカノフスキーとのダイレクトリマッチが優先されているせいか、なかなかタイトル戦の話が挙がらない。

そこで今回──ある意味正式のタイトルよりも世間的な注目は高いかもしれない──BMFタイトル戦に出陣を決めた。

現BMF王ゲイジーはこれまで25勝のうち20KO、実に80パーセントのKO率を誇る。名だたる強豪たちと対戦経験を持つ前ライト級王者シャーウス・オリヴェイラをして「自分が対戦した中で最もパンチ力があったのは断然ゲイジー」と言わしめるライト級屈指のハードヒッターだ。対する挑戦者ホロウェイは、これまでUFCの試合中に誰よりも数多く有効打を当てているとされるボリュームストライカー。(有効打かどうかの判断に厳密さはないと思われるが)昨年のアレン戦のライブ中継の途中で合計3000発ヒットという記録を達成したと伝えられ、2位に1000発以上の差をつけていると説明された。

そんな両者の「ヤバい奴決定戦」である以上、期待されているのがド派手な打撃戦であることは言うまでもない。実際にゲイジーはこの試合について「理想的には、KOして眠らせるよりも目をカットするとか、彼の腕が折れてしまうとか、何らかの形で歩けなくすることで試合が終わってくれる方がいいとは思う。でも実際に向こうはこっちをKOしようと向かってくるだろう。だからこっちも向こうがどうなろうが、完全に眠らせてしまおうがまったく良心の呵責は感じないよ」と彼流の静かな言い方で凄絶な展開を予告している。

対するホロウェイも「僕なりにBMFを一言で言い表すなら”violence(暴力)”だ。ゲイジーはバイオレントな男だ。この試合は暴力そのものとなる。最高だ。生きがいだ。考えるだけで満面の笑みが浮かんでしまうよ」と真っ向から打撃戦を挑む姿勢を見せている。

わざわざ階級上の超弩級のハードパンチャーとの殴り合いに嬉々として臨むホロウェイの精神性は、確かに常識を超越したBMFさ(ヤバさ)に溢れている。しかし、近年の両者の戦いぶりやMMAファイターとしての進化を考えた場合、この戦いで重要なのはBMFな要素のみではないと思われる。むしろBMFを超えたお互いの格闘家としての成熟度こそ、今回問われているのではないだろうか。

前回ポイエーを倒してBMF王座に就いたゲイジーだが、その勝因が本人の成熟ぶりにあったのは自他ともに認めるところだ。2018年4月にポイエーと対戦した際には、序盤から体を振って距離を詰めて殴りに行ったゲイジー。最後も強引に前に出たところにカウンターをもらってマットに沈んだ。以降この試合を教訓として忍耐強く戦う術を身に付け、5年を経た再戦となった前回のBMF戦ではまるで違う戦い方を見せた。

前に出てくるポイエーの打撃に柔らかく体を使って反応しては強烈なカウンターを何度も当て、最後もポイエーが近づいてきたところに右ストレートから右ハイ一閃。見事なコンビネーションをもってゲイジーは鮮烈なKO勝利を収めた。

2018年のポイエー戦と並んでゲイジーが「大きな教訓となった」と認めているのが2022年5月のシャーウス・オリヴェイラ戦だ。序盤からお互いに効かせ合う凄絶な展開となった1R。チャンスと見るや我を忘れて大振りの一発狙いを繰り出していったゲイジーは、逆にオリヴェイラの一撃を貰ってダウンし、チョークで仕留められてしまった。

その後ゲイジーは、次戦となる昨年3月のラファエル・フィジエフ戦でこの敗戦の学びを生かしてみせた。最終3R、やや動きの落ちたフィジエフに対してゲイジーは急くことなく強烈なジャブで出鼻をくじき続けてペースを握る。終了寸前、後のないフィジエフが勝負を掛けて振り回してきた左右のフックを見切ったゲイジーは、見事なカウンターのテイクダウンに成功。最後まで冷静さを保ち勝負どころを見極めての完勝だった。

昨年のフィジエフ戦とポイエーとの再戦でゲイジーが見せた冷静さと忍耐強さこそ、今回の対ホロウェイBMF戦の勝利に向けても、最重要視される。一発の威力より圧倒的な手数で勝負するホロウェイだが、相手が強引に前に出たところに放つカウンターには一撃必殺の威力が宿る。前戦にて手負いのコリアンゾンビが強引に詰めてきた時に巧みにバックステップして距離を作り、右オーバーハンドをスマッシュヒットして劇的なKO勝利を挙げたのは記憶に新しいところだ。

5年前、急遽のオファーを受けて短い準備期間で敢行したライト級戦(2019年4月、ポイエーとライト級暫定王者決定戦にて5R判定負け)の時とは違い、今回は十分に時間を掛けて筋肉量を増やしてきたというホロウェイ。減量苦からも解放され「スピードは落ちず、パワーは上がって体調は100パーセントさ」と語っており、過去最高に力強い姿が期待できそうだ。

仮にBMFを期待する雰囲気に流されて、ポイエー初戦やオリヴェイラ戦の向こう見ずなゲイジーが現われるようなことがあれば、ホロウェイが世間を驚かせる可能性も高まるだろう。

当然ゲイジー本人もそこは十分承知しているようで「確固たる技術を用いて、距離を支配し、角度を作って素早く反応して戦う」と予告している。おそらく今回のタイトル戦で我々が見るのは、闇雲に前に出て相手を殴りにゆくのではなく、冷静に相手を見て反応し、有効な打撃を繰り出してゆくゲイジーの姿だろう。

その上で勝負所を見極め凄まじい威力の打撃を爆発させる、前戦に続くゲイジー流進化版BMFを期待したい。

今回のBMF戦で進化が求められるのは、ホロウェイも同様だ。この試合でまず警戒すべきはゲイジーの強烈な右のカーフキックだろう。オーソドックスに構えて絶妙の間合いを保ちつつボクシングで勝負するホロウェイは、以前から相手の右ローを被弾する傾向が見られる。2019年末のヴォルカノフスキーとの初戦では序盤からカーフを何度も貰ってペースを握られ、2年後のジャイー・ロドリゲス戦の序盤でもローを効かされる場面が目立った。

そこで鍵となりそうなのが、昨年4月のアレン戦でホロウェイが見せた新しい戦い方だ。普段とは逆にサウスポー中心に構えたホロウェイは、スイッチや横への動きも随時に交えて多彩な角度を作り、強打を誇る新鋭アレンに動きを読ませずに判定勝利した。

昨年の来日時にこの試合について筆者が質問した際「MMAは常に進化するスポーツだから、自分も進化しないと置いていかれてしまうんだよ」と答えてくれたホロウェイだけに、今回も危険極まるゲイジーの蹴り、そして凄まじい破壊力の拳を捌くための新しい姿を期待したい。

ちなみにゲイジー陣営もこのアレン戦のホロウェイの新しい戦い方を警戒しているらしく、公式予告番組「UFC 300 Countdown」カウントダウンでも、ゲイジーがコーチたちとともにこの試合のホロウェイの立体的な動きを熱心に分析研究する姿が映し出されている。ホロウェイが見事なタイミングでアレンにワンツーを入れた場面を見たゲイジーは「もし俺がローを蹴ることで、彼のこの動きを誘い出すことができたなら、そこにカウンターを合わせることができるよな」とコーチに語っている。

やはり──この試合はただのBMF決定戦ではない。お互いが最も進化した状態の対戦相手を想定し、勝つための緻密な策を組み立て最高の状態に仕上げた上で、死力を尽くして戦うのだ。

すでに長きにわたって世界トップで戦いつつ、なおかつMMAファイターとしての進化を見せてくれるゲイジーとホロウェイ。この階級を超えたBMF戦は、彼らがそれぞれの階級で頂点に登ってゆくための道筋としても興味深い。

■視聴方法(予定)
4月14日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■UFC300対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] イェン・シャオナン(中国)

<BMFタイトルマッチ・ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マックス・ホロウェイ(米国)

<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
コディ・ブランデージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
カルヴィン・ケイター(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ケイラ・ハリソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ソディック・ユースウ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
ジム・ミラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)
コディ・ガーブラント(米国)

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45 AB MMA MMAPLANET o UFC UFC300 アルジャメイン・ステーリング アルマン・ツァルキャン アレックス・ポアタン イェン・シャオナン イリー・プロハースカ カルヴィン・ケイター ケイラ・ハリソン シャーウス・オリヴェイラ ジェイリン・ターナー ジェシカ・アンドラーデ ジエゴ・ロピス ジム・ミラー ジャスティン・ゲイジー ジャマール・ヒル ジャン・ウェイリ ジョン・ジョーンズ デイヴィソン・フィゲイレド ヘナト・モイカノ ホーリー・ホルム ボビー・グリーン ボー・ニコル マックス・ホロウェイ マリナ・ホドリゲス 秋山成勲

【UFC300】UFC100、200&300出場。オクタゴン44戦目ジム・ミラー「予想も期待もしていなかった」

【写真】1983年8月30日生まれ。MMA戦績37勝17敗1NC。UFC戦績26勝16敗1NC。いぶし銀な鉄人(C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC 300「Pereira vs Hill」で、ジム・ミラーがオクタゴン44戦目をボビー・グリーン相手に戦う。
Text by Manabu Takashima

ジム・ミラーはUFC100、UFC200 、UFC300を戦う──この惑星でたった1人の存在だ。UFC100は25歳の時、UFC200は32歳だった。そして40歳になってUFC300を戦う。功労賞的な出場ではない。今も世界最高峰にあってコンペティティブな存在だから、あの場に立てる。世界チャンピオンという肩書はない。それでも紛れもなくMMA界のオンリーワン、ジム・ミラーに話を訊いた。


――今週末、UFC300でボビー・グリーンと対戦します。今の調子は?

「キャンプも最高だったし、凄く調子が良い。後は戦うだけだよ。UFC300に関しては、数年前から出たいという気持ちは口にしていた。でも、自分の立ち位置によってUFC300のようなビッグショーで戦えるか否か状況次第だった。でも、このところのファイトが認められたのか出場オファーが届き、拘って来た甲斐があったよ。

トレーニングキャンプを経て、ボビーと戦う。つまり、ここからということ。ボビーに勝って、このまま正しい方向に進んでいくつもりだよ」

──ところでジムはUFC100、UFC200、そしてUFC300を戦う唯一のファイターです。心の底から、自らを誇れることかと。

「そうだね。自分でも凄いことだと思っている(笑)。ただ、本音をいえば少しプレッシャーも感じているんだ。第1試合からメインイベントまで凄い試合が並んでいるなかで、チャンピオンと元チャンピオンの名前をいくらでも見ることができる。18人もの世界チャンピオンが出ているショーで、僕は彼らに繋げるためにもしっかりとファンの気持ちを温めたい。自分の役割を果たすつもりだ」

──そんな……UFC300は試合順こそあっても、全員がヘッドライナーですよ。この大会は過去の名声だけで戦える場所ではないはずです。UFC100でマック・ダンジグと、UFC200では五味隆典選手と戦った。UFC100は2009年で、UFC200は2016年でした。そして2024年となった今も、ジムはコンペティティブな存在です。だから出場権利を得ることができたに違いない。

「サンキュー。本当に色々と努力を続けてきた。と同時に、幸運でもあったんだ。大きなケガをすることなく、キャリアを積みかさねることができた。ライム病との診断を受けて頭を悩ますこともあったけど、症状を軽減させる努力をして……楽しく、ここまで戦い続けることができた。そして、今回のような大きな大会で大勢のファンの前で試合ができることが凄く嬉しい。コロナ後、今回のような大観衆のなかで戦うのは2度目なんだ。ファンが僕の名前を叫ぶなかで戦うことが楽しみでならない」

──そして今回のファイトが、UFCで実に44戦目になります。信じられないような試合数です。

「アッハハハハハ。こんな風なキャリアを送ることになるなんて、予想もしていなかったよ。期待もしていなかった。年老いたライト級ファイターとして、いかにトレーニングをして、いかに戦うのか。その方向性を見つけ出せたことが大きい。40歳のライト級って、ヘビー級では50歳のようなモノだからね(笑)。

簡単なことではない。でも、MMAの戦い方をずっと研究してきた。マーシャルアーチストとして、自分のスタイル、自分の力に合った方法論を見つけてきたんだ。そうやって積み重ねてきたことが、合致して実を結んだとは思っているよ。なんといってもファイトだけでなく、僕の人生に合致したんだ」

──素晴らしいです。

「UFC100の翌年に生まれた子供がもう14歳だ。以前は子供達は、僕が何をしているのかはちゃんと理解できていなかった。それが今では、より深く理解できている。この時間、経験を子供達と共有できて幸せな限りだ。子供達も土曜日の試合を観戦することを楽しみにしている。本当に喜ばしいことだよ」

──そんな記念すべき夜も、対戦相手はジムをぶっ飛ばしに来ます。

「その通りだ(笑)。ボビーは素晴らしくタフなファイターだよ。彼もまた長い間、UFCで戦ってきた。過去に何度か戦う話もあったけど、実現には至らなかった」

──2022年7月に対戦予定でしたが、グリーンがドラックテストに陽性反応が出てキャンセルとなりました。

「その通りだね。ただ、あれからもいつかは戦う時が来るとずっと思って来たんだ。ボビーのようなユニークなスタイルの選手と、こうやって戦うことができて嬉しいよ。ヤングキッズと戦う時は、何も知らない。本当に何も分からない相手と拳を交えることになる。でもボビーは違う。彼は彼で、色々なことを積んできている。ボビーのようなUFCで20数試合(※23試合)も戦ってきた選手と戦えることが楽しみでしょうがない」

──押忍。ところでUFC100に出場していた選手で現役を続けているのはジムに以外、ジョン・ジョーンズ、そして秋山成勲選手がいます。秋山選手は48歳になった今も試合に出ていますが、ジムが秋山選手の年齢に近づく頃にUFC400が開かれるはずです。

「ノー、ノー(笑)。待ってくれ、UFC400で戦うつもりはないよ(笑)。だから、僕はライト級だからセクシーヤマとは違う。ライト級ファイターが48歳で戦うなんて、あり得ない」

──可能性はゼロとは思えなくて。

「う~ん……。UFCが僕と同じようにリタイアしている選手との試合を組んで、ショーの役に立てるなら……その時は考えるよ(笑)」

■視聴方法(予定)
4月14日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■UFC300対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] イェン・シャオナン(中国)

<BMFタイトルマッチ・ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マックス・ホロウェイ(米国)

<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
コディ・ブランデージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
カルヴィン・ケイター(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ケイラ・ハリソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ソディック・ユースウ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
ジム・ミラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)
コディ・ガーブラント(米国)

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UFC300:オッズ/予想と展望

アレックス・ペレイラ 1.77
ジャマール・ヒル 2.10

ペレイラの初防衛戦。Glory王者ペレイラはUFC4戦目で当時の絶対王者アデサニヤを破りミドル級王者となったがダイレクトリマッチでKO負け。減量が厳しいことからライトヘビー級に階級を上げ、初戦でヤン・ブラホビッチのテイクダウンに苦戦したがスプリット判定勝ち。昨年11月に、負傷で王座返上していたプロハースカと王座決定戦で対戦し、グラウンドへの肘連打でKO勝ちして最短でのUFC2階級制覇を達成した。

ヒルはプロハースカが返上した王座を元王者テイシェイラを破って獲得したものの、UFC290のファイトウィークイベントのバスケットボールの試合で転倒しアキレス腱を断裂。長期欠場となりタイトルを返上した。今回が負傷以来9ヶ月、前回の試合からは1年3ヶ月ぶりの復帰戦。

両者ともストライカーだが、打撃勝負になればペレイラか。あるいはMMAを開始とともに柔術を始め、現在は茶帯ヒルの組技が見られるかもしれないが。

ペレイラKO勝ち。

ジャン・ウェイリー 1.20
ヤン・シャオナン 4.80

UFC初の中国人同士のタイトルマッチ。ストライカーから組みの強さもあるトータルファイターに変貌しているウェイリーに対し、打たれても引かない体の頑丈さが武器のシャオナンは、テイクダウンされるとリカバリーできずに押さえ込まれがちで、グラウンドに穴がある。

ウェイリー判定勝ち。

ジャスティン・ゲイジー 1.57
マックス・ホロウェイ 2.45

BMFタイトルマッチ。前戦でポイエーと対戦したゲイジーは、打撃でポイエーが優勢な展開から、2Rに右ストレートからの右ハイでKO勝ち。

ホロウェイはフェザー級ではヴォルカノフスキー以外には10年間無敗だったが、ヴォルカノフスキーに3連敗中で、タイトル挑戦の機運が高まらない中でポイエーとの暫定王座決定戦以来、ジャスト5年ぶりにライト級に挑むが、このタイミングでヴォルカノフスキーが王座から陥落し、フェザー級王座への挑戦の可能性も高まってきた。しかしこの試合に勝てばライト級でもトップランカーとなり、王者マカチェフに挑戦する話が出てきてもおかしくない。

ゲイジーKO勝ち。

チャールズ・オリベイラ 2.85
アルマン・ツァルキヤン 1.44

元王者オリベイラは昨年10月のアブダビ大会でマカチェフとのリマッチが組まれていたが、直前に目の上をカットし欠場。マカチェフが代役の挑戦者ヴォルカノフスキーに完勝したことで、オリベイラにそのまま次期挑戦権が残るかと思われたが、ブランクもあり強豪ツァルキヤンとの対戦に。

ツァルキヤンはUFCデビュー戦でいきなりマカチェフ戦だったが、マカチェフからテイクダウンを奪うなど、最も苦しめたといっていい内容で健闘。前戦ではベニール・ダリウシュを1RでKOし、ランキングも4位まで上昇した。

ゲイジー vs. ホロウェイの勝者とどちらが次期ライト級挑戦者になるか、試合内容でも争うことになる一戦。

ツァルキヤンKO勝ち。

ボー・ニッカル 1.05
コーディ・ブランデージ 12.00

全米レスリング王者ニッカルはここまでキャリア5戦すべてが1Rフィニッシュ勝利で、もっとも長かった試合でも2分54秒。対するブランデージは、今回の出場者の中で圧倒的に(唯一と言ってもいい)実績のない選手。おそらくニッカルとの対戦をランカークラスの選手が拒否しまくって回ってきたのだろうが、それは仕方ないとしてもメインカードとは。UFCで3連敗の後、ジェイコブ・マルクーンにもバックを取られて肘を打ち込まれ完敗の流れから、マルクーンの肘が後頭部に入り反則勝ちを拾うと、前回は腕十字を掛けてきた相手をスラムで叩きつけKO勝ち。ニッカル相手に勝つ要素はまったくないと思われるが、奇跡を起こせるか。

ニッカルKO勝ち。

イリー・プロハースカ 2.05
アレクサンダル・ラキッチ 1.80

プロハースカはテイシェイラからタイトルを獲得後、肩の大怪我で王座を返上。復帰戦がペレイラとの王座決定戦だったが、2Rにケージに詰めたところでペレイラのショートのパンチで効かされ、タックルに行ったところを肘連打で潰されてKO負けしUFC初黒星。

ラキッチはランキングを3位まで上げ、2022年5月に当時の1位ヤン・ブラホビッチと対戦。優位に試合を進めていたが、3Rにバックステップした際に膝前十字靭帯を断裂(ライトヘビー級怪我人多くない?)し、長期欠場。今回が約2年ぶりの復帰戦となるが、オッズは意外にもラキッチフェイバリット。

プロハースカ判定勝ち。

カルヴィン・ケーター 2.45
アルジャメイン・スターリン1.57

バンタム級王者スターリングのフェザー級復帰初戦。フェザー級で戦うのは13年ぶりだが、もともとバンタム級では減量がかなりきつく、フェザー級転向を常に考えている状態だった。初戦の相手は180cmの長身ケーターで、身長・リーチは前回敗れたショーン・オマリーと同じストライカー。ケーターも前戦で飛び膝から着地した際に膝を負傷して長期欠場しており、1年半ぶりの試合となる。

スターリング判定勝ち。

ホリー・ホルム 4.30
ケイラ・ハリソン 1.24

ボクシングとキックの世界王者だったホルムだが、最近はすっかりグラップリング主体に。しかし相手が柔道2タイムオリンピック金メダリストのハリソンでは分が悪い。原点に戻ってタックルを凌いでの打撃で勝負し、生涯最大の勝利だった柔道銅メダリストロンダ戦の再現なるか。

ハリソンは柔道時代は78kg級。MMAでも主戦場は約70kgのライト級で、フェザーに落としたことも1度しかない。果たしてバンタムまで落とせてちゃんと動けるのか。

ハリソン一本勝ち。

ソディック・ユサフ 2.20
ディエゴ・ロペス 1.70

ロペスはノーランカーだがUFCデビュー戦で無敗のモフサル・エフエロフ相手に互角に近い勝負をして、そこから2連続1Rフィニッシュ勝利し、今回がランカー初挑戦。期待の新星として記念大会に大抜擢された。

相手のユサフは前回初めてメインに登場し、エドソン・バルボーザから序盤にパンチでダウンを奪いKO寸前まで追い込んだが、攻め疲れして以降は盛り返され判定負け。オッズではロペスがフェイバリットになっている。

ジェイリン・ターナー 1.42
ヘナート・モイカ2.95

ライト級10位ターナー vs. 13位モイカノ。ふたりともそこそこハイアベレージだが、化け物揃いのこの階級だと10位~15位あたりから上がっていけない。元王者でも期待の新鋭でもない、ある種今大会唯一の普通の試合。

ジェシカ・アンドラージ 1.74
マリナ・ロドリゲス 2.14

女子ストロー級4位アンドラジ vs. 6位ホドリゲスで、セミのタイトルマッチのバックアップ要員とも思える試合。2人とも2連敗を前回の試合で勝って止めていて、すぐにタイトルに挑戦できるポジションではないが。

ボビー・グリーン 1.54
ジム・ミラー 2.54

2009年のUFC100、2016年のUFC200に続いての記念大会出場となるミラー。当然ただ1人の記録だが、UFC200からの連続出場もミラーのみ。今大会最年少27歳のツァルキヤンがUFC400に出られたとしても、15年後のUFC500に出るのは難しそうなので、当分この記録に並ぶ選手は出てこない。直近6戦5勝1敗で、2017年のポイエー戦以来7年ぶりのランカーとの対戦となる。

デイブソン・フィゲイレード 1.33
コーディ・ガーブラント 3.45

第1試合がフライ級元王者 vs. バンタム級元王者の対戦。前回バンタム転向初戦でランカーのロブ・フォントに判定勝ちしたフィゲイレードに、昨年12月の前戦でノーランカーに勝って7年ぶりの連勝としたガーブラントの対戦。しかしガーブラントが連勝した試合も内容では苦戦しており、全盛期の力が戻っているかは疑問。オッズにもそれが現れている。

第1試合開始は14日朝7時から。速報します。