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【CJI2024】レポート─01─80以下級、岩本健汰&ジェセフはハルクに逆転負け。タイもまさかのQF敗退に

【写真】岩本は階級上のマルチワールドチャンピオンに大健闘。ジョセフも勝利を手中に収めていたかと思われたが、バルボーザの壁は厚かった。そして、タイ・ルオトロがまさかの準々決勝に敗退に(C)SATOSHI NARITA

16日(金・現地時間)と17日(土・同)の二日間にわたって、ラスベガスのトーマス&マックセンターにて、グラップリング大会クレイグ・ジョーンズ・インビテーショナル(CJI)が行われた。
Text by Isamu Horiuchi

長年グラップリング大会の頂点に君臨してきたADCC世界大会に対抗し、「選手により多額の賞金を」という志のもと、組技系イベントとしては超破格の優勝賞金100万ドル(約1億6千万円)を用意、あえてADCC世界大会と同時期に同じベガスでぶつける形で行われたこの大会。レビュー第1回目は80キロ以下級前半ブロックの準々決勝までの戦いをレポートしたい。

第1試合に早くも優勝候補筆頭のタイ・ルオトロが登場。

NCAAディビジョンIレスリングで三度王座に輝き、一昨年昨年とフリースタイル全米王者でもあるジェイソン・ノルフと対戦した。この超大物レスラーに初回からタイが立ち技で真っ向勝負を挑み、ノルフが受けて立つ白熱の展開に。


ルーカス・バルボーザから初回先制の岩本、これだけも快挙

2Rにノルフが豪快なダブルレッグを仕掛けると、タイは倒される勢いを利用してノルフを背後に放ってスクランブルして上からがぶる体勢に。そこからサイドバックに移行したタイがクルスフィクスを狙う。

と、ノルフは体をリフトしたまま立ち上がり、傾斜壁に投げつける。

が、タイはそのまま横三角をロックオン。

強烈に絞め上げるがノルフはラウンド終了まで耐えてみせた。

3R、ノルフはタイのテイクダウンからのスイッチを力でねじ伏せる形で上に。

タイはここから、下からバギーチョークを試みる。

さらにハーフからヒザ十字に入って、ノルフの足を伸ばし切ってタップを奪った。

超弩級レスラーにレスリングで挑み、跳ね返されても極めを仕掛け続け、最後に仕留める。まさに千両役者ぶりを見せつけたタイは「相手誰であろうが、テイクダウン、パス、サブミッションを狙う。それが俺のスタイル! 自分から引き込むことは絶対にないよ!」と会心の笑顔で語った。

第2試合では豪州の技師リーヴァイ・ジョーンズレアリーが登場。ユニティ柔術で磨き抜いたベリンボロ・ゲームに加え、母国の足関節の第一人者ラクラン・ジャイルズと練習を重ねたリーヴァイは──やはり彼の試合としては、定石通りすぐにシッティングへ。

さらに定石その二──通りに、デラヒーバガードの態勢に入りレッグライドを狙う。

1度、2度と反応したヒメネスだが、攻防のなかでリバースデラヒーバに取ったリーヴァイが内回りからサドルを組んでの内ヒールをセットする。

RNグリップに切り替えたリーヴァイが、初回でIBJJFノーギワールズ無差別級界王者ロベルト・ヒメネスを仕留めてみせた。

第3試合には、主催道場B-teamの主要メンバーでもある日本の岩本健汰が登場。世界柔術を二度制し、2022年ADCC世界大会でも88キロ以下級で準優勝、ムンジアルとノーギワールド通算5度制覇という超大物ルーカス・バルボーザと対戦した。

ハルクのニックネームを持ち、階級上の筋肉獣に立ち技で挑んだ岩本は、果敢にダブルを仕掛けるがスプロウルされてしまう。バルボーザはそこからグリップを組み替えて岩本の右足をクレイドルで捕獲して崩すと、上のポジションを奪った。

バルボーザは重心低くしてボディロックパスを仕掛けるが、岩本も凌いで距離を作る。やがて足で隙間を作ってレッスルアップして立ち上がることに成功。

さらに右腕でワキを差した岩本は、ニータップを仕掛けて巨体を崩してのテイクダウン。

立ち上がったバルボーザのバックに付いた。バルボーザの前転に離れず付いていった岩本は、その巨大な背中に飛びついて片足フックへ。

ここでラウンドが終了。公表された採点は2-1で岩本。階級上の超大物相手にラウンドを先取しただけでも大快挙だ。

2Rもバルボーザのテイクダウンを切った岩本は、逆にシングルを仕掛けて巨体を壁際で崩す。

が、バルボーザは巧みに壁の傾斜を使って体勢を立て直し、上を取り返してみせた。そのまま上をキープしたバルボーザがこのラウンドを取り、試合を五分に戻した。

勝負の3R。岩本はここも果敢にテイクダウンを狙うが、体格で勝るバルボーザにスプロウルされてしまう。ガードプレイヤーとしての強さも通っている岩本が下から仕掛けるが、重心の低いバルボーザのバランスは崩せない。

岩本は終盤足を絡めて外掛けを作ったが、足関節の対処も巧みなバルボーザに防がれてしまいタイムアップとなった。判定は3者ともに最終Rを僅差ながらポジションキープで手堅く確保したバルボーザに。

一回戦敗退となった岩本だが、階級上の世界のトップ中のトップと紙一重の戦いは天晴れの一言だ。

第4試合は岩本の盟友であり、ADCCのユーロ優勝のジョセフ・チェンの登場となった。

アンディ・ヴァレラをシッティングガードからのレッスルアップで崩して上になり、得意の三点倒立パスを何度も決めて判定3-0で完勝した。

グラップリングの完全体=タイ・ルオトロが、先鋭ベリンボロゲームのリーヴァイ・ジョーンズレアリーに下る

<80キロ以下級準々決勝/5分3R>
リーヴァイ・ジョーンズレアリー(豪州)
Def.3-0:30-27.29-28.29-28
タイ・ルオトロ(米国)

2022年1月に行われたWNO13におけるウェルター級王座決定戦の再戦となったこの試合。

その時はタイがトップからのプレッシャーで優位に立ち、上の体勢から足を取りに行き内ヒールで完勝している。試合開始早々シッティングガードを作るリーヴァイに対し、タイはなんと今成ロールのような動きで飛び込みながらの首狙いへ。振り解かれてしまったものの、開始早々その真骨頂を見せつけた。

その後もパスを狙うタイだが、世界屈指のベリンボロの使い手のリーヴァイは巧みに対応する。ならばとタイはトーホールドを仕掛けるが、リーヴァイが解除。

1R残り約1分、リーヴァイはベリンボロからタイの左足に絡んで内ヒール狙いへ。これが深く入りタイの踵がフックされる寸前まで露出してしまうが、タイは回り続けてなんとか脱出に成功。

トーホールドで逆襲を試みるもののリーヴァイが無難に解除した。

そのまま終了した初回は、ヒール狙いが決定打となり2-1でリーヴァイに。絶対的優勝候補のタイが、体格に劣るリーヴァイにラウンドを取られただけで大きな衝撃だ。

2R、引き続きシッティングから足を絡めて回転してくるリーヴァイに対し、タイが圧力を掛けきれない場面が続く。手を焼くタイはスタンディングの青木ロックを仕掛けるが、リーヴァイは慌てずストレートレッグロックで切り返す。

さらに下からタイのヒザを抱えて崩そうとするリーヴァイ。その動きに合わせてタイが横に飛んでのパスを試みると、リーヴァイは逆にその勢いを利用して上を奪取。

タイがすぐに腕をポストして立ち上がれば、リーヴァイが座る。結局このラウンドもペースを支配していたリーヴァイが2-1で取り、まさかのアップセットの予感が場内を覆った。

3R、後のないタイはルオトロ兄弟の代名詞とも言える足を踏みつけてのパスを仕掛けるが、リーヴァイは侵攻を許さない。逆に下から足を絡めてXガードでタイを崩したリーヴァイ、その右足を抱えて立ちあがる。

片足立ちを余儀なくされたタイだが、リーヴァイは深追いせず、タイに足を引き抜かせるとまた座った。ここまでオープンガードでタイのパス攻撃を完全に封じ込めている以上、ここは無理せず徹底的に下から戦う作戦のようだ。

その後もタイは踏み付けてのパスや担ぎ、青木ロック等を試みるが、リーヴァイはことごとく未然に対応。残り時間が少なくなり、タイは背中を向けるリスクを犯してリーヴァイの攻撃を誘う。バックを狙ってきたリーヴァイに崩されかけたタイは、体勢を立て直すときに苦悶の表情で叫び声を上げたのだった。

結局そのまま試合終了。左足をひきずってコーナーに戻るタイ。どうやらどこかの時点で左足を負傷したようだ。

判定は3-0でリーヴァイに。

驚きの大番狂わせを演じた豪州の若きガードプレイヤーは、きわめて落ち着いた口調で「最初の1分が過ぎたくらいに、何かが起きたのは感じたよ。彼はヒザかどこかを痛めたんだよね。また向こうが100パーセントの時にぜひ戦いたいと思う。僕は彼と戦うためにずっと準備してきたのだから。彼に二年前に負けたことがきっかけで強くなれたんだよ」と語った。

ジョセフ・チェン、ハルクを追い込むも……

<80キロ以下級準々決勝/5分3R>
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
Def. by 3R3分24秒 by カーフスライサー
ジョセフ・チェン(ドイツ)

一回戦を勝利した後、「ぜひ僕がケンタの敗戦のリベンジをしたい。彼はいい試合をしたと思うよ」と語ったチェンは、岩本同様に真っ向から立ち技勝負を挑む。1分過ぎにハルクの左腕にアームドラッグを仕掛ける。

そのままバックに回って襷を作るとチェンは前に飛び込むように崩してバルボーザの巨体を前転させてグラウンドに持ち込んでみせた。こうして素晴らしい動きでポジションを取ったチェンが、そのまま上をキープしてラウンド終了。3-0でチェンが先取した。

2R、下になりたくない両者によるスタンドでの探り合いが延々と続く。残り 30秒のところで、チェンが遠くからタックルの動作を仕掛けるが不発。残り10秒で逆にバルボーザがシュートイン。チェンがこれを防いだところでラウンドが終わった。

ほとんどどちらにも付け難いラウンドとなったが、どちらかに付けなければならないならば、かろうじて評価対象にし得るのは最後のバルボーザのテイクダウン狙いのみ。ということでこの2Rは、3-0でバルボーザに。チェンとしては、値千金のテイクダウンで奪った1Rのリードを、ほぼ何もせずに帳消しにされてしまうという──例えるなら、百万円分の労働をもって得た物品を翌日100円で売り渡してしまうような──なんとも勿体ない形となった。

3R、同様にスタンドでの探り合いが続き、業を煮やしたレフェリーのシャオリンから両者に警告が与えられた。

2分過ぎ、先に仕掛けたのはチェン。ダブルから見事な流れでワキを潜り、バックに回ることに成功した。

さらに1Rと似たような形でバルボーザを崩したチェンだが、バルボーザも立ち上がって振り解く。後がなくなったバルボーザは、すぐにアームドラッグで反撃を試みる。

が、それを振り解いたチェンは自ら座る。このまま下から足を効かせて侵攻を許さなければ、判定勝ちは濃厚だ。

攻撃するしかないバルボーザは、体圧を使ってチェンを傾斜壁に押し付けて動きを封じにかかる。しかしチェンは体の角度をずらしてマットに背中を付ける。

ここでバルボーザは、チェンの右ヒザ裏に太い左腕を外側からこじ入れると、右足をステップオーバーして四の字フックを作りながら背後に倒れ込む。

そのままヒザ固めで絞り上げると、チェンがタップ!

台頭する若手に追い詰められたヴェテランが、意表を付く見事な仕掛けで逆転一本勝ちを奪ってみせた。

客席で見ていた息子さんと娘さんをそれぞれ片腕で抱え上げたバルボーザは「疲れた時には子供たちのことを考えた。マイ・モチベーション。明日も今日と同じさ。どんなことになっても最後まで戦うよ」と力強く語った。

かくて準決勝は、磨き抜いたガードゲームと足関節で大アップセットを引き起こしたリーヴァイ・ジョーンズレアリーと、若手二人に追い詰められつつも、底力を見せつけたバルボーザという組み合わせとなった。

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MMA MMAPLANET WNO13 デヴィッド・ガルモ

【WNO13】スイープの仕掛けから内ヒール。ジェイソン・カウチがガルモから一本勝ち

<ライトヘビー級/15分1R>
ジェイコブ・カウチ(米国)
Def.7分49秒 by ヒールフック
デヴィッド・ガルモ(米国)

明らかに小柄なガルモは、立ちレスでダックアンダー。動じず、体をぶつけて潰したカウチはウィザー、ガルモが腕を抜く。再びオーバーハンドのカウチはセンターに戻されると、跳びつき三角からオモプラッタ、そして足関節狙いへ。ウィザーを許していた時点でガルモも準備していたか、落ち着いて対応した。

再び立ちの攻防で、カウチがジャンピングガードを取る。一旦着地して引き込んでカウチは四の字でクローズドを取り、ガルモの右腕をオーバーフックに取る。腕が抜けないガルモは、上体を起こすことができない。カウチは左足をすくいつつ、腰を切っていく。耐えたガルモは、両腕をマットにつく。

カウチは左腕をオーバーハンドに取り、逆側で同じ形を取る。最初の5分はカウチ優勢のアナウンス。ハイガードに移行したカウチが、右腕を固めると潜ってスイープを狙う。腰を押して耐えたガルモは、ギロチンにも頭を抜いてスタンドに戻る。

カウチはすぐに座り、デラヒーバから後方回転気味に回り、右足が伸びたガルモにインサイドヒール――バーバルタップで一本勝ちを決めた。


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MMA MMAPLANET WNO13 エステファン・マルチネス マイキー・ムスメシ

【WNO13】先手のバック奪取、刻みのサブミッション。マイキーがノーギワールズ王者を下し王座防衛

<WNOバンタム級選手権試合/15分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
Def.3-0
エステファン・マルチネス(米国)

新鋭マルチネスは28歳で、実はマイキーより3歳年上だ。開始と同時に座ったマイキーは、ジャンピングパスを狙ったマルチネスにマイキーロックを狙う。離れて立ちあがったマルチネスはまたもジャンプを見せる。クローズドに取ったマイキーは、左足を取って50/50から再びマイキーロックへ。これも防いだマルチネスが横回転で上を取り、側転パスへ。ここもマイキーが足を取りトーホールドを仕掛ける。

離れて立ったマルチネスがパス狙いも、腰を切ったマイキーはオモプラッタ気味のアームサドルから足狙い。マルチネスもストレートフットロックを繰り出し、解除してトップへ。マイキーのアームサドルに自らマルチネスが下になる。チョイバーを仕掛け、解除してバックを取ったマイキーは、ワンフックに持ち込む。

肩をつけ、尻をずらそうとするマルチネスをトライアングルボディロックに捉えたマイキーはシートベルトのままRNCを仕掛ける。セットを解き、立ち上がったマルチネスは両ワキを許した形で前転し、ついにマイキーを前方に振り落とす。マイキーは四の字でクローズド、割れるとマルチネスがパスの圧力を強める。

マイキーはオモプラッタから、足を跨いでパス。マルチネスはフックスイープの要領で上を取る。パス狙いにカウンターのアームロックのマイキー、マルチネスの動きが多くなる。マイキーはここもクローズドを取り、ストレートアームロック。マルチネスは腕を抜くと、立ち上がりスイープを潰してトップを維持する。

ダブルオーバーフック&クローズドガードのマイキー、10分を過ぎマットアナから優勢にあることが会場に告げられる。ハイガード、足をすくいにいったマイキーだが、マルチネスが耐えるとトライアングルからストレートアームロックを狙う。前転で逃れたマルチネスはダブルガードでの足を取り合いで、カウンターのベリンボロ。ならばとマイキーもバックを狙うが、マルチネスがトーホールドへ。バックを取ったマイキーがワンフック&シートベルトを取るが、マルチネスが立ち上がり前方に落とされる。

旋回するようにジャンプしてパスを狙うマルチネスに対し、マイキーは慌てることなく足関へのエントリーへ。マルチネスも足を取り、横回転からトップ。くるくると回ってパスを狙うマルチネスだが、ここもマイキーが足を取ってマイキーロックをセットしようとする。

回転を続けてマルチネスが逃げて時間に――結果、ジャッジは3者ともマイキーを支持しバンタム級王座の初防衛に成功した。終盤の動きはマルチネスが王者を上回っていたが、2度のバック奪取、要所でサブミッションの刻みを入れたマイキーの文句なしの勝利だった。


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MMA MMAPLANET WNO13 マイケル・ピクスリー

【WNO13】サブオンリーでも、コントロールは欠かせない。ピクスリーがリードにジャッジ判定勝利

<ライトヘビー級/15分1R>
マイケル・ピクスリー(米国)
Def.3-0
キャメロン・リード(米国)

すぐにダブルを仕掛けたピクスリーに対し、リードが座る。足首、ヒザを掴んでパス狙いのピクスリーもヒザをつき、」すぐに立ち上がる。リードのシングルレッグにギロチンをピクスリーが合わせようとする。即座に自ら背中をマットにつけたリードは、上四方で抑えられる。

レフェリーがマット中央に両者を移動させ、試合が再開。ピクスリーはアームインでノースサウス狙いからネッククランク、極めきれないとみると立ち上がる。引き続きパス根らいのピクスリーに対し、リードがツーオンワンで腕を取る。アームドラッグ気味に腕を引き寄せようとしたリードだが、ピクスリーがボディロックから一気にパスを決める。

足を戻せないリードは、フレームを必死で下から作ろうとする。ピクスリーは枕で抑え、トップを2分以上続けたが、ここも自ら立ち上がった。動かない相手を切り崩すのに苦労している感もあるピクスリーだが、リードはここままでは勝ち目がない。ボディロックのピクスリーは顔を押すリードだがパスを許す。さらにマウント狙いのピクスリーだったが、ここはリードが足を戻す。残り7分、リードがゴゴプラッタからオモプラッタへ。

10thPlanetらしい仕掛けをリードが見せ、ピクスリーが腕を抜いてガードの中から立ち上がる。リードはピクスリーのボディロックにバタフライガードを取るが、自らの間合いで密着できない。残り5分、ここでジャッジはピクスリーを支持しているというアナウンスが入る。

ピクスリーのトップコントロールが、リードのゴゴとオモの仕掛けを上回っていることが明らかになり、リードが攻めの姿勢でスクートで前に出る。ピクスリーは捌きつつ、3度目のパスガードを決める。残り2分半、枕のピクスリーにリードはエビも使えない。バギーチョーク狙いか、足を掴みに行ったリード。ホールドできず、ピクスリーが上四方へ。リードはここで足を戻すが、ピクスリーが押し返して守りのグラップリングに。このまま時間となり、3-0でピクスリーが判定勝ちを手にした。

極めに近くなかったサブミッションのトライよりも、ポジションを取ったピクスリーの勝利は戦いとして真っ当と思えた。


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MIKE MMA MMAPLANET UFC WNO13 クレイグ・ジョーンズ タイ・ルオトロ デヴィッド・ガルモ ニック・ロドリゲス ハイサム・リダ ブリアナ・ステマリー ペドロ・マリーニョ マイキー・ムスメシ リーヴァイ・ジョーンズレアリー ロベルト・ヒメネス

【WNO13】ムンジの翌月にWNO王座防衛戦=マイキー・ムスメシ。ADCCへ、無名のピクスリーに注目!!

【写真】哲人であり、鉄人のマイキー・ムスメシ (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

21日(金・現地時間)、WNOの2022年が始まる。テキサス州フリスコにあるUFC PIを彷彿させる設備を誇るスポーツ・アカデミー・アット・ザ・スターが舞台となるWNO13は、3つのタイトル戦を含み注目カードが揃っている。

WNOライトヘビー級王座決定戦=クレイグ・ジョーンズ×ペドロ・マリーニョ、当初WNOミドル級選手権試合と伝えられたタイ・ルオトロ×リーヴァイ・ジョーンズレアリーはウェルター級王座決定戦となり、WNO史上初のチャンプチャンプをルオトロが目指す。

さらに当初の予定ではジョン・カレスティンとワンマッチを戦うと発表されていたエステファン・マルチネスが、バンタム級王者マイキー・ムスメシに挑むこととなった。


その一方で残念なのがハイサム・リダの欠場だ。ジェイソン・カウチとライトヘビー級で戦う予定だったハイサムの代役を務めるのは、カルペディエムからアッセンブリー柔術に掛けて盟友デヴィッド・ガルモとなった。

昨年9月のミドル級トーナメントでロベルト・ヒメネスをヒールで下し一躍注目されるようになったカウチとガルモは普段から電話で話す仲らしく、友人対決となる。カウチが「アイツはチビだから」と言える関係でもあるが、「試合運びが上手い……でもレッグロックを少しでも早く極めるよ」とカウチは自信のほどを伺わせている。

ノーギワールズ・ルースター級優勝で2021年を飛躍の年としたマルチネスと急遽タイトル防衛戦を戦うこととなったマイキー。WNOのポッドキャストで「この一戦が組まれるべきだ」という声を聞き、主催者に「やるよ」とテキストを送り、世界戦が決定したという……。

「毎月のようにベストガイと戦って、自分を試したい」というマイキーは、12月にムンジアルで道着の世界イチに輝いたばかりだ。マルチネスはサブオンリーよりも、ノーギ柔術家というスタイルで、プレッシャーが強い。その攻めのスタイルにマイキーの防御&カウンター攻撃──極めでそれを可能にする能力が見られるのか、あるいはマルチネスが突破するのか要注目だ。

この他、ニッキー・ロドリゲスとプレリミ出場のマイケル・ピクスリー、レスリングで実績を残す新鋭グラップラーも見逃せない。とはいニック・ロッドは既にトップの1人、その力は誰もが認めるところだ。他方ピクスリーはまだ無名といっても過言でない。

柔術では青帯ながら、ノーギワールズではヘビー級で3位、そして無差別級を制したピクスリーはディヴィジョン2の184ポンド級NCAA王者だ。テイクダウンやスクランブルでのマルセロチンやダースの切れ味が抜群──のカウチの同門ピクスリー。ADCCイヤーのWNO13──今大会随一の青田買い候補だ。

■視聴方法(予定)
12月12日(土・日本時間)
午前10時00分~Flo Grappling

■ 対戦カード

<WNOライトヘビー級王座決定戦/15分1R>
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)

<WNOウェルター級王座決定戦/15分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
リーヴァイ・ジョーンズレアリー(豪州)

<ヘビー級/15分1R>
ニック・ロドリゲス(米国)
エルダー・クルーズ(ホンジュラス)

<女子フライ級/15分1R>
ブリアナ・ステマリー(カナダ)
トビー・アレキン(米国)

<ライトヘビー級/15分1R>
ジェイコブ・カウチ(米国)
デヴィッド・ガルモ(米国)

<WNOバンタム級選手権試合/15分1R>
[王者]マイキー・ムスメシ(米国)
[挑戦者]エステファン・マルチネス(米国)

<女子フライ級/15分1R>
ジェシカ・クレイン(米国)
アレクサ・ヤネス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
マイケル・ピクスリー(米国)
キャメロン・リード(米国)

<ミドル級/5分3R>
ジノ・モレリー(米国)
カモイ・アンダーソン(米国)

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MIKE MMA MMAPLANET WNO12 WNO13 アンディ・ヴェレラ オーランド・サンチェス クレイグ・ジョーンズ ジャンカルロ・ボドニ スティーブ・モウリー タイ・ルオトロ タリソン・ソアレス ニック・ロドリゲス ハイサム・リダ ハンター・コルヴィン ブリアナ・ステマリー ペドロ・マリーニョ リーヴァイ・ジョーンズレアリー ロベルト・ヒメネス ヴィニシウス・フェヘイラ

【WNO13】ハイサム・リダがジェイコブ・カウチと!! ニック・ロッド、コンバット2冠のステマリーも出場

【写真】ハイサムにとってもADCCイヤーが始まる (C)MIKE CALIMBAS

21日(金・現地時間)にテキサス州フリスコにあるスポーツ・アカデミー・アット・ザ・スターで開催されるWNO13の追加対戦カードが続々と発表されている。

WNOライトヘビー級王座決定戦=クレイグ・ジョーンズ×ペドロ・マリーニョ、WNOミドル級選手権試合=王者タイ・ルオトロ×挑戦者リーヴァイ・ジョーンズレアリーという2つのタイトル戦が組まれている同大会で、ハイサム・リダの出場とジェイコブ・カウチとの対戦が決まった。


ハイサムは9月のWNOヘビー級王座決定トーナメントでは初戦でティム・ブルックスに敗れたものの敗者復活戦に回りオーランド・サンチェス、ジャンカルロ・ボドニに勝利して3位入賞を果たした。

一躍世界中から注目を集める存在となったものの、その後はノーギワールズでは2回戦でヴィニシウス・フェヘイラに0‐7、SUGでアンディ・ヴェレラにOTで遅れを取るなど――ノーマークの存在でなくなった洗礼を浴びている。

(C)MIKE CALIMBAS

対するカウチはミドル級王座決定トーナメントに代役出場。

初戦で優勝候補のロベルト・ヒメネスをヒールで下したことで、ハイサムと同様に存在感を増したグラップラーだ。同トーナメントでは柔術の神の子ミカ・ガルバォンに敗れたが、連続参戦となったWNO12でハンター・コルヴィンをストレートアームバーで一蹴している。

ADCC北米予選では88キロ級に出場したカウチは、優勝したボドニに準決勝で遅れを取った。ボドニを軸に考えると、ハイサム有利という見方も成り立つもののグラップリングに三段論法は通じない。

ライトヘビー級で実施されるこのカード。ヒール、ストレートフットロックという尖端系から、三角絞め系の体のコアを制するサブミッションの持ち主に対し、ハイサムはスピードと反応、どちらも遅れを取ることができないタフファイトとなる。

またムンジアルではタリソン・ソアレスにエゼキエル・チョークで敗れたが、ノーギワールズ・ルースター級優勝& ADCC北米予選66キロ級3位とグラップリング界最軽量級のブレイクスルー・ファイター=エステファン・マルチネスが、バンタム級でジョン・カレスティンと戦う試合も見逃すことはできない。フィニッシュ率72パーセントを誇るマルチネスのパスガードとサブミッションに要・注目だ。

さらにFury Pro Gralling03でスティーブ・モウリーをRNCで一蹴したニック・ロッドことニック・ロドリゲスが、ADCC予選88キロ級準優勝のエルダー・クルーズと相対する一戦。加えて女子マッチではトビー・アレキンとコンバット柔術ストロー級及びバンタム級の世界王者ブリアナ・ステマリーのマッチアップと、粒揃いのカードが揃っている。

ADCCイヤーとなる2022年、WNOを追うことで世界の情勢が見えてくることは間違いない。

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MMA ONE WNO Championships WNO13 オリバー・タザ クレイグ・ジョーンズ タイ・ルオトロ ダヴィ・ハモス ドナルド・セラーニ ペドロ・マリーニョ リーヴァイ・ジョーンズレアリー

【WNO13】2022年のWNOはクレイグ×ノーギワールズ2冠マリーニョ、タイ・ルオトロ×リーヴァイから

【写真】反応という部分をとっても、若いマリーニョがクレイグを食う可能性は十分にある (C)MMAPLANET

1月21日(金・現地時間)にテキサス州フリスコにあるスポーツ・アカデミー・アット・ザ・スターでWNO13が開催され、WNOライトヘビー級王座決定戦=クレイグ・ジョーンズ×ペドロ・マリーニョ、WNOミドル級選手権試合=王者タイ・ルオトロ×挑戦者リーヴァイ・ジョーンズレアリーという2つのタイトル戦が組まれることが発表されている。

ムンジアルが2年振りに開催された今も、北米でのグラップリング熱は収まらず、MMAファイターも多く参戦するなか、純粋グラップラーの活躍でこのジャンルをリードするWNOが2022年も早速注目カードを揃えてきた。


新設されるライトヘビー級王座を争うクレイグとマリーニョは揃って9月に行われたWNO Championshipsのミドル級王座決定トーナメントを欠場しているが、翌月にクレイグはPolarisノーギ・ミドル級王座をダヴィ・ハモスを相手に防衛し、今月19日には──なんちゃってコンバット柔術でドナルド・セラーニを下している。

一方、グレイシーバッハの黒帯マリーニョは10月に開催されたノーギワールズで無差別級とヘビー級を制し、ポイント有りノーギで──黒帯初年度にして世界最強グラップラーの地位を獲得している。

レスリング力もあり、足関節も使いこなしながら、ギロチンというスクランブル系の極めを持つマリーニョ。ADCCイヤーの戦い初めでクレイグを相手に、どのような試合を見せることができるのか、非常に興味深い。

(C)CLAYTON JONES/WNO

そんなクレイグとマリーニョが欠場したトーナメントを制し、ミドル級王者となったタイの初防衛戦の相手=ジョーンズレアリーは10月のWNOに初参戦し、オリバー・タザを判定で下している。

その後、アブダビ・ワールドプロ、ムンジアルを経てWNO王座挑戦という機会を得た。

(C)CLAYTON JONES/WNO

オープンガードとベリンボロのユニティらしいコンビネーションで、10代の百戦錬磨=タイへの攻略は可能か。

ノーギにおけるベリンボロ攻防が、どのようなグラップリングの未来を見せてくれるのか──見逃せないミドル級選手権試合だ。

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