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【UFC290】エドガー・チャイレス戦に向けて、平良達郎「勝って次にいかないといけない相手」

【写真】今やベガスがホームのように感じられる平良だった (C)MMAPLANET

8日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC290「Volkanovski vs Rodriguez」でエドガー・チャイレスと130ポンド契約マッチを戦う平良達郎。

6月24日のフロリダ州ジャクソンビル大会=UFC ABC05におけるクレイジソン・ホドリゲス戦が、そのホドリゲスの体重オーバーで流れた。そして手にしたPPV大会の出場──ファイトウィークに入る直前、ラスベガスの平良にチャイレス戦にむけてじっくりと話を訊いた。


──もうUFCの指定のホテルで宿泊されているのでしょうか。

「いえ、まだAirbnbで取ったところに泊まっています。明日の昼にニューヨークニューヨークにチェックインします」

──おお、さすがにPPV大会だけあってストリップに面したホテルに移動ですね。ジェットコースターを堪能してください(笑)。

「どこもUFCが用意してくれるホテルは快適ですけど──あのジェットコースターのあるところなのですね(笑)」

──前回の試合がなくなり、試合まで2週間ほどラスベガスで過ごすことになりました。

「ラスベガスはジャクソンビルと比較すると、やりやすいですね。練習もしやすいですし、エクストリーム・クートゥアーのコーチもとても親切なので。エクストリームでクラスに出て、UFC PIに移動して松根さんと体を動かす。そんな感じでやってきました。ただ……ちょっと乾燥していて、暑いのだけが問題です(笑)」

──2週間前に試合がなくなり、もう一度追い込みもやるのですか。

「ハイ、心拍数を上げるトレーニングはしています。エクストリームの練習は練習で、きついですし。試合がなかった分、1週間ほど体が鈍っていたので追い込み練習は必要でしたね」

──130ポンド契約ということで、いつもより2キロ以上重いとファイトウィークに入っても少し輪郭が違いますね。

「違いますか? いつものファイトウィークと比較すると、プラス2キロぐらいの感じですかね。普段はすぐに試合があるわけでないので66、67キロぐらいまで戻すのが、今回は64キロまでしか戻さなかったです。それでも一度、ある程度は体重を戻した方がコンディション的には良くなると思って。減量もいつもより楽ですし、体調も凄く良いです」

──130ポンドというのはチャイレス側の要求でしょうか。

「そうですね。130ポンドなら戦うということだったので」

──あの選手、フライ級では大きいですよね。

「確かにフレームは大きいです」

──実際に試合映像を視て、どのような印象を持っていますか。

「コンテンダーシリーズの試合が一番参考になるかとは思っています。その次の試合は相手が弱すぎて(※2022年11月にロベルト・ゲレーロと戦い63秒で一本勝ち)、次の試合では4Rに三角絞めで勝っているのですが、寝技になればこっちが上かと。あの三角ぐらいですね、寝技で気を付けるのは。寝かせれば、どんどん攻めることができて一本までつなげることができるんじゃないかなと思います。

ただしストライカーで、打撃は多彩ですね。リーチが長い。自分よりリーチのある選手と戦ったことがないので、そこは向き合うと戦い辛いことがあるのか。いずれにしても弱点は寝技だろうとは思っています。一度、背中をつかすとこっちのペースになります」

──打撃の方は5Rの試合は体力温存という風でもあるので、平良選手が言われたようにコンテンダーシリーズのクレイトン・カーペンターに敗れた試合がどういう選手なのか、一番分かりやすいかと思います。

(C)Zuffa/UFC

「あの試合を見ると、打撃は強いです。

パンチも蹴りもできて、左のリードフックで倒していますし、カーフもそうだし、ヒザもそう。打撃に関しては色々なところに気を付けないといけないです。

ただ自分からテイクダウンから上を取りに来るという動きはそれほどないですし、打撃と組み技の融合もさほどないかと思います。逆に僕が打撃と組みをミックスして攻撃し、削っていかないといけないです」

──そんななか、下がりながらの跳びヒザ、あれは嫌な攻撃に見えました。特に下がりながらというところが。

(C)Zuffa/UFC

「あれは危険なタイミングでしたね。

確かに、アレは気を付けないといけないです。それと左フックですね。さっきも言いましたが、何回がダウンを取っている試合がありました。あれがハマるから、ああやって何度も倒せているので。カーフキックもしっかりとチェックします」

──カーペンター戦では終盤にテイクダウンをイージーに許していました。

「あのテイクダウンでの倒され方を見ていると、ダブルレッグやシングルよりもボディロックには自信があるので、そこは上組みでできればなと思います。レスリングに関しては、そこまで拘りのなく、頑張ってくる相手ではない……でも、この間にそこを磨いているかもしれないですしね。

いずれにしても、絶対に落とせない試合だと思っています。勝って次にいかないといけない相手です」

──長い間。ブランドン・モレノのトレーニングパートナーをしていたということですが、世界チャンピオンの練習仲間を倒すことはアピールポイントになるとか考えますか。

「それ、言われるまで何も気にしていなかったです(笑)。コンテンダーシリーズの時にブランドンがコーナーに就いていたのは確認していたのですが……そうッスね、『トレーニングパートナー勝っちゃったぜ』って……まぁ威張れることじゃないですよね(笑)」

──アハハハハ。

「威張れないけど、名前をブランドンに覚えてもらうことはできるかもしれないです(笑)」

──待望のPPVショー出場となります。プレリミでも5試合目なら、ベガスのショーでもそこそこお客さんは集まっていそうですね。

「PPV大会のオープニングファイトとか、全く下の方はお客さんがいないですよね(笑)。ただAPEXしか経験していないので、Tモバイル・アリーナで戦うことはシンプルに楽しみでしかないです。ああいう会場で、フェイスオフもお客さんを入れてやりますし。ファイトウィークからスケジュールも変ってくるかもしれないので楽しみです。

ジャクソンビルで試合が無くなった時にはPPV大会云々でなく、戦って帰りたいという想いでした。それがいざ決ると、こんな大きな大会で戦うことができる。それはモチベーションになっています。ここで見に来たお客さんに、名前を覚えてもらえる試合をしないといけない。過去最高にアグレッシブな試合をします」

──では仕切り直しのオクタゴン4戦目に向けて、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

「契約体重でもあり、いつもと違う感覚もあります。こんなデッカイ大会で戦う機会を貰えたのも、UFCのミック(メイナード)が僕に期待してくれているからだと感じました。その期待にしっかりと応えて、若い選手達の中でベルトを狙う一角にいるとアピールできるよう戦います。自分らしいパフォーマンスで、会場をわかして日本に帰りたいと思います。応援、宜しくお願いします」

■視聴方法(予定)
7月9日(日・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時30分~U-NEXT

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【UFC290】エドガー・チャイレス戦決定。平良達郎「本当にこの試合が成立することに感謝しています」

【写真】夕食後の平良、しっかりとリラックスできている。つまり集中もできているということ (C)Zuffa/UFC

7月8日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC290「Volkanovski vs Rodriguez」でエドガー・チャイレスと130ポンド契約マッチを戦うことが決まった平良達郎。

フロリダ州ジャクソンビルから、ラスベガスに移り試合を11日後に控えた平良は今、どのような心境でいるのか。強さへの強い想いが周囲を動かし。動いてくれた人々への感謝の気持ちが、彼をさらに強くする。

<平良達郎UFC290出場までの経緯はコチラから>


──平良選手、凄いですね。

「えへへへ、何がですか?」

──試合消滅から2週間後に戦う決断ができる。凄まじいなと思います。

「そうですね……試合がないことが、だんだん苦しくなってきて。日本に戻ってからも、ずっとこんな気持ちを引きずることになるのか……そうなったら、どうしようって精神的にもグチャグチャになっていて。するとジェイソンが『2週間後でも試合ができる』と言ってくれて、凄く感謝しています」

──24日のホドリゲス戦のために体も気持ちも創った。それが無くなり落ち込み、感情の起伏が相当にあったと思います。そして2週間後に全く別の相手と戦う。普通は躊躇するものかと。

「このまま帰りたくないという気持ちが、一番強かったです。もう1回、フライ級の体を創る覚悟もありましたし。こないだやったんだから、またできるという気持ちになりました。対戦相手が誰になるのか分からなくても、試合がしたいと伝えました」

──相手が誰か分からなくても、試合がしたい。それを上回る他の感情はなかったということですね。

「メンタル的にも、なんか……試合がなくなった日の夜中のジャクソンビルでも、『明日、できないかな』とか考えてしまって(苦笑)。一度崩れたメンタルが、2週間後に戦えるということで立て直すことができました。

やっぱり試合の経験が、何よりも自分を成長させてくれると思っています。素足で、防具無しで皆の前で殴り合うということは、なかなかできないので。お客さんが入った会場に憧れていましたし、その経験をしたいという気持ちも大きかったですね」

──ただ、この試合を落としたら……というリスクを考えることはなかったですか。

「凄く考えました。『負けたらどうしよう』って思いました。でも、最終的には『この選手と、今、戦って俺は勝てなかった』と納得できるだろうと思えるようになりました。リスクは考えても、最終的には『戦いたい』という気持ちが上回ったんです」

──その真っ新なパワーに感動して、日本中が応援していますよ。

「それも松根さんや、まりこさん(EVERGROUND代表)を始め、サポートしてくれる人たちがいてくれるからで。ジェイソンも、僕が試合をするためにずっと交渉を続けてくれました。

国際免許もあるしレンタカーを借りられるから、『ベガスに1週間、一人でも構わないから試合がしたいです』と松根さんに言いました。すると松根さんは『減量もあるし、試合前の選手を1人にはできないよ』と松根さんが言ってくれて……泣いちゃいましたね」

■同インタビューの前に、松根代表に話を聞いた際に笑顔交じりで「本人がいると言うのなら、僕もいるしかない。去年のデビュー戦の時と同じですよね。(ジムでの指導は)去年は幸い長いゴールデンウィークがあったので、大丈夫だと思ったのですが……。ただジムの方も指導者も育っていますし、彼らにお願いしつつ……あとは家族ですね。奥さんに離婚を切り出されないか、と(笑)。でも、当然のように彼女も達郎のことを応援してくれているので、『達郎君が頑張りたいなら、サポートしてあげないと』と言ってくれました」と話してくれた。

──オクタゴンの正義は勝つこと。だから、どれだけ性格が悪くて、利己的で、嘘つきであったりしても、勝つことが正義。でも、この世の中に生きてMMAに関わっていると──人様の模範となるような選手に勝って欲しいなと思います。

「もう、本当に僕に関わってくれる全ての人に感謝しています。たくさんの人が動いてくれて、松根さんとまりこさんも2週間も米国滞在を延ばしてくれた。岡田(遼)は一旦帰国するのですが、またファイトウィークにベガスまで来てくれます」

──岡田さんは『マイレッジが貯まる』と一人悦に入って笑っているはずです(笑)。

「アハハハ。でも、本当にこの試合が成立することに感謝しています」

──その感謝の気持ちを込めつつ、日本で応援しているファンの皆さんに一言お願いします。

「試合がなくなって、色々なことがあって2週間後に違う相手とラスベガスで戦うことになりました。大きな舞台ですし、ここで勝てば絶対にランキング戦ができることになるはずです。勝った場合ですけど、ランカーと戦う時にはこの試合をしたことが絶対に生きると僕は信じています。なので、ラスベガス、Tモバイル・アリーナで思いっきり暴れて来たいと思いますっ!!」

■視聴方法(予定)
7月9日(日・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
午前7時30分~U-NEXT

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【UFC290】急転直下、平良達郎──試合消滅から2週間後にPPV大会でチャイレスと対戦決定~の顛末

【写真】チャイレスのMMA戦績は10勝4敗。Combateで5勝2敗、昨年のコンテンダーシリーズでは判定負けを喫しているが、それからは2連勝し8月22日に行われるCS2023第3週で戦うことが決まっていた(C)Zuffa/UFC

27日(火・現地時間)、平良達郎が7月8日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC290「Volkanovski vs Rodriguez」に出場し、エドガー・チャイレスと130ポンド契約マッチを戦うことが発表されている。

平良は先週末24日のフロリダ州ジャクソンビル大会=UFC ABC05「Emmett vs Topuria」でクレイジソン・ホドリゲスと対戦予定だったが、ホドリゲスの体重オーバーで試合はキャンセルされていた。

実はホドリゲスが減量に苦しんでいるという情報は計量前から平良陣営にも伝わっており、次=ランカー対決に向けてのデモンストレーションマッチという位置づけだった試合で、体重オーバー常連の相手と戦う必要がない。それが平良陣営の判断で、当初は「戦いたい」という意志を見せていた平良自身もこの判断を受けいれることとなった。


しかし、すぐに平良は試合を戦わなかったことを悔やみ、何より戦いという強い気持ちと直面することとなったという。平良がホドリゲス戦を拒否した裏には、次の試合がすぐに組めるという状況にあったからだ。そこで当初の予定から戦うことを念頭に置いていた8月26日のシンガポール大会では問題なく戦うことができる──という以外にも、これまで3連勝で2試合が一本勝ちというパフォーマンスを見せていた平良には他のオプションも存在した。

2週間後のベガスでのPPV大会のプレリミ出場、あるいは7月22日のロンドン大会、9月2日のパリ大会まで平良は選択でき、交渉できる──それが彼がマネージメント契約を結ぶイリディウムのジェイソン・ハウス代表の説明だった。

平良の師である松根良太Theパラエストラ沖縄代表は「2週間後はない」という考えだったが、試合がなくなった平良は1日も過ぎると「2週間後、出ましょうか」という言葉を発したという。フロリダからラスベガス。勝手知ったる場所で、そのままトレーニングをして試合を迎える。平良の決断に松根代表、常に平良のキャリアを支えてきた──まりこEVERGROUND代表も2週間の米国滞在延長し、彼を支えることとなった。

ベガスでの試合に向けて松根代表が出した条件は一つ、「体重オーバーをしない選手」。緊急オファーを受ける格上選手は当然おらず、8月にコンテンダーシリーズに出場が決まっていたチャイレスが、130ポインド契約戦で平良との対戦を受けてオクタゴンデビューすることが決まった。

既に1度、フライ級リミットに減量をしている平良の体調を考慮すると130ポンド契約は非常に的を得ているといえる。それでもリスキーな決断には違いない。MMAPLANETではUFC290出場を決めた平良に緊急インタビューを行っており、後程お伝えしたい。

<この項、続く

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