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【Eternal MMA & Grachan】豪州で王座奪取月、伊藤空也「どうやれば外国人選手に勝てるのかを考えて」

【写真】GrachanでのストーリーとEternalのストーリーを描いている点も、好感が持てる (C)TAKUMI NAKAMURA

Road to UFC準決勝で日本人4選手が全滅という結果に終わるなか、さかのぼること約2カ月半前、6月8日に豪州はパースで開催されたETERNAL MMA85で伊藤空也がロッド・コスタをスプリット判定で下して、同団体の豪州バンタム級王座のベルトを巻いた。
text by Takumi Nakamura

テイクダウンやコントロールよりも打撃・ダメージが明らかに評価されるようになった最近のMMA。伊藤はコスタにテイクダウンを許しながらも確実にジャブとカーフキックでダメージを与え続け、要所要所のビッグヒットやラッシュで攻勢を印象づけ、ジャッジの傾向を味方につけて勝利を引き寄せた。

改めて伊藤にコスタ戦を振り返ってもらいつつ、今後の展望、そして海外でのタイトルマッチで感じたことを訊いた。


――試合からしばらく経ってしまいましたが、改めてEternal MMAでの王座戴冠劇を振り返っていただきたいと思います。この試合は黒帯柔術家のロッド・コスタと対戦して、スプリット判定で勝利しました。ご自身で試合映像を見返して、どんな試合だったと感じましたか。

「世界的にもユニファイドルールの判定基準が変わってきて、今は打撃寄り・ストライカー有利じゃないですか。そのなかで対戦相手のコスタが、黒帯柔術家で1本勝ちが多い選手で、僕とは真逆のファイトスタイルだったと思うんですね。

正直1Rは取ったと思ったのですが、2R~5Rは相手がテイクダウン&トップキープしてきた試合だったと思います。そのなかで僕は相手のグラウンドを凌ぎながらパンチを当てていて、自分の方がダメージを与えていたなと思います。それが判定にも反映されたと思うのですが、『スプリットディシジョン…』とコールされた時は正直負けたと思いました。

でも結果的には僕の方にポイントが入っていて、打撃寄りの判定基準だったらそうなるかなとは思いましたね」

――今回の取材前に試合映像を見直したのですが、僕もコスタの組み技よりも伊藤選手の打撃が評価されるなら伊藤選手の勝ちだなと思いました。ただし試合が行われた時点では、今ほど打撃の方が評価されるという傾向はなかったので、伊藤選手自身が負けたと感じたのも納得できます。

「Grachanの岩﨑(ヒロユキ)代表も現地入りしていて、日本人数名で試合を見ていたそうなんですけど、判定になった時は僕が負けたと思ったそうです。だからもしかしたらあの試合で僕が負けると思うのが日本人の感覚なのかもしれないですし、選手はもちろんセコンドも今までの考え方を変えなければいけないと思いました。 

僕もあとで試合映像を見直したら、僕が与えたダメージを(ポイントとして)取ったんだったら、そういう判定になるのかなと思うし、テイクダウン・コントロールするだけでは評価されない時代なんだと思います」

――実際にコスタ戦では相手の相性もあったの思うのですが、打撃で削って見せ場を作ることを想定していたのですか。

「5Rあったので、打撃で削る作戦でした。コスタは本当にしつこかったし、ケージ際での細かい技術は上手かったんですけど、僕もそこはひたすら練習していたところだったので、何とか対応できたかなと思います。コスタは常にバックを狙っていて、少しでも僕が気を抜いていたらバックを取られていたでしょうね」

――コスタが狙っていたのはバックコントロールですか。

「そう思います。僕はバックを取られたら致命的だと思ったので、もしそうなったらそのラウンドは捨てようと思っていたんです。でもそこでバックを許さずに凌ぎ切れたので、ちょっとそこは自分で自分を褒めてあげたいです」

――背中を見せて立ち上がるよりも、バックを取らせないことを一番意識していたのですか。

「はい。あと試合をやっていてコスタがすごく力を使っているのが分かったんです。だからグラウンドを凌いで、スタンドになったら細かいパンチを当てる。そこを考えて戦っていました」

――打撃の手応えはいかがでしたか。

「4Rに僕のパンチ、おそらくジャブか右のクロスだと思うんですけど、それでコスタの鼻が折れちゃったんですよね。インターバル中に必死に止血していたし、おそらくあれ以降は血で鼻呼吸もできていなかったと思います。そのくらい組んだ時にコスタの息が荒くなっているのを感じました。ただ僕も5Rは未知数だったのでかなりしんどくて。3Rを過ぎてからはラウンド数がどうでもよくなるというか、ゴールのない水泳をやっているような感覚なんですよ」

――3Rに慣れていると、4R以降をどういう感覚で戦えばいいのかが分からないんですね。終わりをイメージできないというか。

「そうですね。自分としては5R用の練習をしてきたんですけど、試合での5Rの戦い方や時間の使い方があるんだなと思いました」

――ただ伊藤選手も大きなピンチにハマることなく5R戦い抜きましたよね。

「3Rにマウントを取られたんですけど、あれもマウントを取られただけと言えば取られただけで。特にダメージを受けていないので、そこまで評価されてなかったんだと思います。マウントとかいいポジションを取っても確実にダメージを与えるか、サブミッションでキャッチが入るくらいじゃないと厳しい時代ですよね」

――テイクダウンや寝技の対応など、この試合に向けて取り組んできたことは出せましたか。

「かなり出ましたね。この試合に向けて、とにかくグラップリングを強化しようと思って、トライフォースさんにお世話になって、そこで組み技の選手とたくさん練習してきたんです。それが活きたと思います。打撃に関しては1Rで感覚が掴めたので、そこは問題ないだろうと思いました」

――しっかり打撃で距離を取ることも意識していましたか。

「はい。具体的にはジャブとカーフキックですね。それで近い位置にはいないように遠い間合いで戦って、そこで削りながら右の強打やハイキックを当てる作戦でした。お互い体力的にきつくなって、後半は四つで組む場面もありましたが、そこで細かいヒジも当てられて、あれも良かったです」

――ポイント的にはスプリットでしたが、自分がやるべきことはできた試合だったようですね。

(C)ETERNAL MMA

「でも5Rにラッシュを仕掛けなかったら負けていたと思います。

あのまま展開が変わらずに判定になっていたら負けると思っていたので、あれはもうとにかく攻撃しようと思って必死に手を出しました」

――試合後に現地のプロモーターとは話はできたのですか。

「はい。相手のコスタが豪州在住なので、地元のお客さん的には僕が勝って微妙な雰囲気でしたけど、プロモーターからはすごく評価してもらいました」

――海外の団体でベルトを巻いたことは伊藤選手にとって大きなターニングポイントになったと思います。

「ひとまず僕の格闘技キャリアの中では大きな集大成を1つ作ることができたと思います。ただこれで終わりじゃないし、次は防衛戦になるので、そこでしっかり勝って、さらに次ですよね」

――今回の王座奪取で今後の可能性も大きく広がったと思うのですが、今はどんなことを考えていますか。

「おそらく12月にGrachanでタイトルマッチがあるので、TSUNE選手に勝ってベルトを奪還すること。そのあとはGrachanのストーリー的には手塚基伸選手にリベンジしたいと思います。そこも視野に入れつつ、Eternal MMAでベルトを防衛していきたいです。試合後にプロモーターと防衛戦の話をしましたし、次はストライカーがいいんじゃないかということで何人か候補も出てきているんですよ。僕も是非次はストライカーとやってみたいです」

(C)ETERNAL MMA

――今年のRoad to UFCはベスト4で日本人が全滅し、厳しい結果が出ました。伊藤選手は海外で戦うことをどうとらえていますか。

「僕もこの間のRTUは見ていて歯がゆかったですし、選手たちはもっと歯がゆかったと思います。実際に原口伸も帰国した次の日から練習しましたからね。僕自身、伸は負けてないと思いますけど、日本人がああいう結果になったということは海外とは差があると感じますし、そこで圧倒的に力の差を見せつけられる何かを身につけなければいけないと思いました。僕も前回は勝つことが出来ましたけどギリギリだったし、どうやれば外国人選手に勝てるのかを考えて、これから練習を続けていきたいと思います」

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【UFC 】平良達郎&松根良太、師弟対談─02─「次が世界戦でなければ、モカエフ×ケイプの勝者と」(平良)

【写真】平良がUFC世界王者になるために、頑強が足場が整ってきている(C)THE BLACBELT JAPAN

UFC on ESPN58でアレックス・ペレスを倒し、フライ級で5位にランクされることとなった平良達郎と師・松根良太対談、第2弾。
Text by Manabu Takashima

UFC世界フライ級王座を見据え、武器を増やしながらも軸を崩さない平良の成長の裏には、強い信頼感で結ばれた人間関係とプロアスリートとして彼を支えるマネージメントの存在があった。

王座挑戦が現実的になってきた平良が描く、青写真はファンが見たくなるストーリーだった。

<平良達郎&松根良太対談Part.01はコチラから>


「ボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえた」(松根)

──課題を克服しつつ長所が伸びる。この稀な例を最高に引き出しているのが、平良選手の環境かと感じています。コロラドでの出稽古と拠点である沖縄での練習。そこがしっかりと調和できているようで。

平良 拠点は沖縄にある。そこは絶対です。そのうえでエベレーションファイトチームのコーチも「セカンド・ホームとして使ってくれれば良いから」と言ってくれています。

──練習をするならこっちに来て、チームの一員になれということではないと。

平良 そういうガツガツしたところはないです(笑)。だからってよそ者扱いすることなく、本当に親切で。それでも今回は試合前に行くのは初めてだったで、不安はありました。でもコーチ達もアレックス・ペレスの映像を視て、アドバイスをくれました。それはチームメイトも同じで。沖縄でやってきたことを信じ、最後にコロラドで練習をして良いイメージを持った状態でオクタゴンに上がることができました。

──その最後の調整に帯同していたのも松根さんではなくて、岡田遼選手だった。そこが機能するのも、THE BLACKBELT JAPAN平良チームの良さかと思います。

松根 試合が2度延期されて、ペレス戦が決まったのはジョシュア・ヴァン戦のために渡米する前日でした。あのタイミングで米国に行くと40日間ほど向うにステイしないといけない状態で。相手もペレスになったので、あのタイミングで渡米するのはよそうということになりました。

そこから2週間半、沖縄でペレスと戦うための準備をして、最後にデンバーで高地トレをしつつ時差ボケを解消するというプロセスがしっかりとハマりました。2週間半、平良とペレス戦について話して、対策を施した。そこを岡田に託して、米国で創ってもらえましたね。本当に岡田のサポートには感謝しています。岡田だからこそ、できたことだと思っています。

──3人の間に絶対の信頼関係があるからこそ、この選択ができたと思います。

松根 とても良いチームができています。その上で今年からセカンドキャリアというボクシングを主体としているマネージメント(井上尚弥、武居由樹、平岡アンディらプロボクサーをマネージメントしている)と一緒にやって行くことが本当に大きいです。

2023年まで沖縄の企業様の協力を頂いていましたが、去年の夏ごろからセカンドキャリアから声を掛けてもらって。色々と話をするなかで2024年から一緒にやって行くことが決まりました。「平良達郎をUFCチャンピオンにするためなら、何でもサポートをする」と言って頂けています。

今回のデンバーでの最終調整に関しても岡田遼、そして食事面のサポートをしてもらうために達郎のお母さんにも同行してもらったんですが、渡航及び滞在に必要な費用を全てセカンドキャリアが用意してくれました。「何不自由することなく平良達郎が勝てるベストの状況を整えて欲しい」ということで、最終合宿が実現できました。セカンドキャリアさんと一緒にやって行けていることは、本当に大きいです。

平良達郎の練習、睡眠、食事だけを考えることに集中して欲しいと、SNSやYouTube、テレビなど露出する必要もない。とにかく試合前は練習と体調管理に集中できています。

──プロとは?という部分で強調される露出と話題創り、ここを考える必要がないということですね。

松根 ハイ。オフの時に、自分でやりたいことがあればやってください──というスタンスなんです。これ以上ない、マネージメント会社とチームが組めたと思います。同時に長い歴史を誇るボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえたのかと。その最初の一例を平良達郎で創ることができました。後に続く選手たちに良い背中を見せることができています。

先ほど仰っていただいた打撃、テイクダウン、寝技のつなぎができていることに踏まえて、プライベートの部分もUFCチャンピオンになる環境が整ってきていると実感しています。

──松根さんの言葉も本当に力がこもっていますね。

松根 MMAで頑張る。達郎は今、MMA以外に興味がない人間になっていますね。

平良 僕はだらしないんで、SNSとかやると失言しそうで怖くて。

──炎上ビジネスとは真逆の人間性。ホッとします。UFCでも沖縄で煽りVが撮られるまでの位置にきた。それでいて、修斗で2回戦を戦っていた時のような純朴さが残っている。

平良 その辺りは変わらないです(笑)。というよりも、変われないです。

「達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ」(松根)

──一方で、平良選手のMMAは進化し続けている。前回の試合で話題になったオタツロックですが、着目するようになったのは、どのようなことからだったのでしょうか。

平良 和田選手が使っていることでオタツロックという技があるのを知って、修斗の頃からチョコチョコ使っていました。今ではオタツロックを意識しているというよりも、流れのなかでバックを取れば自然に出るようになっています。流れの中で使う技ですね。そこに関しても和田選手から、勉強をさせてもらえました。

僕はアマ修斗から修斗をやってきて、修斗しか知らなかったんです。そのなかでDEEPのフライ級チャンピオンだった和田選手の試合を視た時に、『全てがしっかりしている選手だ』と思ったんです。MMAとして全ての要素を混ぜて戦っていて、柔軟性がある。パンチも強くて、カーフキックも強い。和田選手の戦い方も好きで、注目して視ていました。

松根 実は達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ。

──そうだったのですね。自分は初めて撮影をした試合だったからか、両足フックの大翔選手をパウンドしたイメージが強かったです。

松根 両足フックを使う時もありますけど、以前からオタツロックでコントロールをしてきました。沖縄では達郎がオタツロックを使うということで、後に続く選手も多かったです。和田選手とは体形も違いますし、もしかすると独自で進化している部分もあるかもしれないです。

──ペレス戦ではスタンドでオタツロックを取り、すぐに煽りました。ペレスと垂直になるぐらいまで煽って、また背中に戻った。ペレスの軸が強いのもありますが、平良選手の軸とロックの強固さにも驚かされました。

松根 そういう技なんだよな?

平良 ハイ、そうなんです。

松根 日本では和田選手がいてくれて皆が知っていたけど、海外ではアルジャメインが「あの技はなんだ」と騒いでいました。なので、これから世界に広まるでしょうね。達郎もタツなんで、面白いですよね(笑)。

──確かに(笑)。

平良 だから僕のオリジナルではないということは、しっかりと言っていかないといけないと思っています。

松根 達郎のタツでなく、和田竜光選手のタツだと。

「何だかんだとモカエフが勝つ」(平良)

──そこを気にするのも、この師弟ならではです。そして、この勝利でUFCフライ級5位にランクされました。ここでパントージャの名前を出すことも説得力があります。実際問題、実現の可能性はどの程度に感じていますか。

平良 UFCのマッチメイク的に、これで進んでくれるのだったら、もうやれます。そうでないなら、次に誰かと戦ったあとで挑戦したいです。挑戦権を争ううえで一番盛り上がる……自分自身、一番燃えるのはやっぱりムハマド・モカエフとマネル・ケイプの勝った方と戦うことですね。僕自身そうだし、フライ級の流れとしても盛り上がるのではないかと思っています。この試合で勝った選手と試合をする方が僕も燃えますし、そこで勝つと「もう平良しかいないだろう」という空気になるでしょうし。

──7月27日、UFC304で対戦する両者。実はこの取材で、両者の対戦について平良選手の予想を尋ねたいと思っていました。

平良 まぁ……何だかんだとモカエフが勝つとは思うのですが、毎試合危なっかしい試合をしますよね。モカエフにはスパッと極めるイメージはもともとないです。でも1Rでフィニッシュできないと、危ない場面を見ることになるかと。それでもフィニッシュするにしろ、判定になるにしろ、モカエフが勝つと思います。

<この項、続く>

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【UFC ESPN58】ペレスを下し、ランク5位。平良達郎&松根良太、師弟対談─01─「謙虚さが強さ」(松根)

【写真】抜群の信頼関係にある松根良太と平良達郎 (C)THE BLACBELT JAPAN

6月15日(土・現地時間)のUFC on ESPN58でアレックス・ペレスから2RTKO勝ちを収めた平良達郎は、日本人前人未到のオクタゴン6連勝とし、フライ級で5位にランクされることとなった。
Text by Manabu Takashima

対戦相手が2度変更、戦う日付も2度延期された。その状態で過去最強といって良いペレスから衝撃的なオタツロック→足の負傷というフィニッシュ勝利をした平良と、師匠である松根良太氏に今回の勝利を振り返り、これからに関して尋ねた。

武器を増やしながらも自分の軸を崩さない平良。UFCで王座挑戦が現実的に見えてきた平良の根底にある強さの源が何なのか──が、両者の言葉から見えてきた。


「上手くいかないことを考える時間が凄く長かった」(平良)

──メインでアレックス・ペレスに勝利し、フライ級のランク5位になりました。ティム・エリオット、ジョシュア・ヴァンと対戦相手が2度も変わり、また試合の日も2週間、また2週間と1カ月近く延びました。ただ、一番良い相手との試合をしっかりと勝てたのではないかと。

平良 3人とも面白い選手でしたが、これからチャンピオンを目指す上でペレスが一番良い相手だったと思います。ペレスのテイクダウンディフェンス能力の高さは誰もが認めるところで。そこに対し、僕はどうすれば勝てるのかなってメチャクチャ考えました。

ティム・エリオットだとガチャガチャの展開になって、彼の方から下になることもあったと思います。ジョシュア・ヴァンはグラップリングに穴があって、これまでの試合と戦い方はそれほど変わることはない試合になっていた可能性が高いです。対してペレスと戦うことで、上手くいかないことを考える時間が凄く長かったです。そのペレスからテイクダウンが取れて、自分がやらないといけないことができて勝てた。結果として、一番良い相手に勝てました。

松根 これまでの5試合はランク外の選手と戦って、UFCで上にいくために良い経験が積めているという気持ちはありました。例えば修斗で戦っていた時に清水(清隆)選手に勝った後に、ランキング的に王座挑戦ということでなく前田吉朗選手と戦うべきだと思いました。

ワンクッションを置いてから、挑戦だと。それは平良達郎の経験が足りていないと感じていたからです。前田選手と戦うための練習をしっかりとすることで成長し、福田(龍彌)選手と戦いで勝利する道に繋がりました。彼が修斗で戦っているときは、そんな風に考えていました。対して今の達郎はUFCの5試合で経験が積めています。

ジョシュア・ヴァンとやっても、彼も言ったようにその5試合と同じような試合になっていたはずです。ティム・エリオットに関しては、扇久保(博正)とのストーリーがあるのと、彼のようなスタイルの選手と戦うと、これまでの試合とは違う経験ができるという想いもしていました。

達郎自身も興味を持っていましたし。でも、アレックス・ペレスは現状で一番良い相手でした。紛れもない実力者で、その彼にああいう試合展開で勝てた。達郎にとって、良い経験になりました。ティム・エリオットですが、ACLを痛めたと聞き、その回復の時や今後の復調を考えるともうやることはないかなと思います。

これまでの16試合、達郎も相当に良い経験を積むことができています。機は熟してきているんじゃないかと、僕は思います」

──ペレスはタイトル挑戦経験もあり、直近の試合でマテウス・ニコラウに勝ったこともタイトル挑戦に近づくうえで大きかったのではないかと。

松根 マテウス・ニコラウも越すことができましたしね。

──UFCで上にいくほど、相手は穴が無くなります。そして防御能力が高い。そこが先ほどから平良選手も言われているペレスのテイクダウン防御能力の高さを含めて、過去一番穴のない相手だったかと。

松根 そうですね。そのペレスに対して、初回にはしっかりとジャブをつくことができていました。ペレスがフック系のパンチだったのに対して、達郎は真っ直ぐが打てていた。そして距離を創ることもしっかりとできていました。

バッと来た時に被弾した場面もありましたが、効かされたパンチは一発もなかったです。届いたように見えるパンチも顔を背けて、抜かしています。

沖縄の琉豊ボクシングジムで、與那城(信一)会長の下でやってきたこともしっかりと試合で出ていました。会長も「アッパーをあそこで出せると思わなかった。試合で出せている」と言ってもらえたように、1Rに打撃でやり合えたことはとても大きいです。戦前に僕が予想していたのは、距離感と相手のステップの雰囲気を掴むのに時間を使う。でも2R以降、3R、4Rと達郎はどんどん見えてくるはずだと。それが2R開始の時点で、相当に見えていましたね。

あのまま打撃戦を続けていても、達郎は目が良くて距離感も良いので彼のペースになっていたはずです。岡田(遼)とも話しましたが、初回にやられているということは全くない。そういう印象でした。ただ、取っているかどうかでいうと、そうでないかもしれない。そこで取られるようなことがあれば(※ジャッジは3者とも10-9でペレスを支持していた)、判定に関して今後ももっと勉強をしないといけないと考えています。

平良 1Rは良いラウンドとは言えないですけど、想定通りというか。ペースも思った通りでした。ケージに詰められて手数が減り、ペレスがカーフキックやパンチで攻めてくる展開が続くことは避けたいと試合前に考えていました。それに一番警戒していたカーフキックを2、3発貰ったのですが、「大丈夫だ」と本当に思えて。

──一番嫌だった技が、そうでもなかった。

平良 スコアはそれほど頭になくて、カーフキックに関して「対応できる」と凄く安心できたのは大きかったです。

──個人的に平良選手がUFCとサインをした時に、やっていけるのか不安ばかりでした。スタイル的に一番の武器が寝技、その前のボディロックテイクダウン。寝技はスクランブルゲームが発達している。そしてボディロックは、、その距離に入るための打撃が必要だったからです。

松根 ハイ。

──そうなると、よりボクシング&レスリングが必要で。ただ、そのために自分の良さを失う選手も見てきました。対して平良選手は課題を克服しつつ、得意だったところもより良くなっている。そこが凄いと感じています。

平良 ありがとうございます。

「達郎を信じて少し背中を押した」(松根)

松根 例えば琉豊ジムでのボクシングに関しても、UFCに合わせて近い距離のボクシングが増えています。そこで技術的に上達すると、安心して試合でも距離が近くなります。そこが、自分が通常はボクシングに手を出し始めた選手に感じる不安です。

でも達郎は、それがないんです。自分の戦いを忘れない。軸を崩さないです。ボクシングに関してはいざという時の近い距離の目慣らしをして、試合の時は自分の距離で戦えます。これまでやってきた15戦、今回が16試合目ですが、それまでやってきたことを信じているからだと思います。テイクダウンと寝技を信じて、打撃も信じて戦うことができています。

ただし、試合前は不安になるタイプなんです。15連勝していても、試合前は常に不安に陥って。スタート時点が「これで勝てるのか」ということになるので、そういう彼の謙虚さが、強さです。だからこそ、自分のなかで色々と考えて、噛み砕くことができるので。

平良 今回は特に──でした。これまで戦ってきた選手のなかでテイクダウン防御が一番強く、無駄打ちすると勝手に自分の方からガス欠になってしまう。ただ松根先生にも言ってもらったのですが、自分を信じて2Rになるとテイクダウンに行こうと思っていました。結果、体が動いてテイクダウンからバックを取ることができました。それができたので、しっかりと自信を持つことができる試合になりました。

──5R制だったので3Rよりも不安で、いつも以上に考える。結果、クリアできて自信になったということでしょうか。

松根 今回の試合、そこの部分で達郎と意見が食い違うこともありました。アレックス・ペレスはオールアメリカンで、ディフェンス能力が高いレスラーです。だから達郎はテイクダウンが通用しないかもしれない、無駄打ちすると5R制なので切られてガス欠が怖いと思っていました。

僕はテイクダウンをしっかりと見せること。切られても打撃、打撃からまたテイクダウンを初回から続けることが大切だと考えていました。そういう僕の考えと、5Rだからという達郎の間でせめぎ合いがありました。でも僕は達郎のテイクダウンは、アレックス・ペレスに通じると信じていました。

と同時に達郎が1Rはテイクダウンにいかなかったことで、ペレスは2Rにモロに受けてしまった。そこがあったとしても達郎のテイクダウン能力は、1度で取れなくても2回目、3回目で取れると思っていました。すんなりでなくても、しっかりと取れてきたモノなので。そこに関しては「自信を持って、行きなさい」と伝えていました。

──それでも取れないかもと、考えてしまうものかと。

松根 ハイ。取れないとしても、強い気持ちを持ってリセットする。テイクダウンのフェイントから打撃、打撃からのテイクダウンを織り交ぜて戦う。試合前にデンバーに入って、高地トレーニングでスタミナもあげていたので。スタミナ面も信じていました。

僕自身、5Rを戦ったこともないのに(笑)。でも、達郎を信じて少し背中を押した感じですね。

<この項、続く>

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【Eternal MMA85】バンタム級王者コスタと対戦、伊藤空也「海外で結果を出すことへの挑戦」

【写真】オーストラリア入り後の伊藤。キャリア2度目の海外挑戦でEternal MMAのベルトに挑む。 (C)KUYA ITO

8日(土・現地時間)オーストラリアはパースのHBFスタジアムで開催される「ETERNAL85」にて、伊藤空也がロッド・コスタの持つEternal MMAバンタム級王座に挑む。
Text by Takumi Nakamura

昨年12月の「GRACHAN66」で田中智也を下し、Grachanバンタム級王座への挑戦が内定している伊藤に思わぬチャンスが舞い込んできた。Grachanと協力体制にあるEternal MMAでのタイトル挑戦だ。

デビュー当初から海外での試合、ユニファイドルールで戦うことにこだわりを持っていたという伊藤にとっては、今後のキャリアを左右するであろう重要な一戦だ。オーストラリアに出発する前日(6アg津)に伊藤に話を訊いた。


――Eternal MMAでバンタム級王座挑戦が決まった伊藤選手です。オファーが来たのはいつ頃だったのですか。

「2カ月前くらいですね。最初に話が来たときはびっくりしました。Eternal MMAはUFCファイトパスでも視聴できる大会で、BRAVEジムのみんなも知っているような大会なので、断る理由がないですよね。本当にチャンスだし、ぜひやらせていただきます、という感じでした」

――伊藤選手は昨年12月の「GRACHAN66」で田中智也選手に勝利し、TSUNE選手が保持するGrachanバンタム級王座に挑む流れもあるなかで今回の試合が決まりました。タイトル戦の前に試合をしたいという希望もあったのですか。

「そうですね。タイトルマッチがだいぶ先(2024年12月)になるという話を聞いたので、それまでに試合をしたいと思っていました。今回の試合はGrachanとEternal MMAが協力関係にあって、岩﨑(ヒロユキ)代表経由でいただいたオファーだったので、そこは調整してもらった感じですね。ただタイトルマッチになるとは思っていなかったので、そこはびっくりしました」

――思わぬ形で舞い込んだチャンスだと思います。海外で試合をするという部分もモチベーションになっていますか。

「はい。そういう喜びもあったし、あとはもう本当に集大成というか。今自分がやっていることを試すいい機会かなと思っています」

――伊藤選手にとっては2020年のBrawl以来の海外遠征です。当時と今のキャリアでは海外に出ることの意味合いも変わると思います。海外の大会に出る、海外で実績を残すことは伊藤選手の中のずっと目標にはあったのですか。

「僕がMMAをプロでやり始めたときは、まだRIZINもなかった時代で。UFC、ONE Championshipが盛り上がったときだったので、どうしても世界標準というものを見て、そこを目指していたんですよね。それもあってユニファイドルール、ケージでの試合にずっとこだわってきました」

――海外挑戦は伊藤選手にとって原点でもあるんですね。

「今回タイトルマッチということもあって、自分がどれだけ世界に通用するのかを試せる試合で、その部分でも僕にとっては意味のある試合です。しかもUFCファイトパスで中継される大会のメインイベントをやらせてもらうということで、今まで以上に注目されるだろうし、その中で自分の試合を見せられればなと思います」

――対戦相手のロッド・コスタにはどんな印象を持っていますか。

「一通りファイトパスで試合を見て、これぞ柔術家と言える正統派の落ち着いた戦い方をする選手だと思います。基本的には組んで寝かしたいんでしょうけど、全然下になっても苦にしないとタイプですよね」

――決してきれいな打撃ではないですが、積極的に手数も出すイメージです。

「僕の見た感じの印象なんですけど、それも作戦でやってるんだろうな、と。多少打撃はもらってもかまわないという感覚で戦っている気がします。最終的に組めればいいというか。柔術黒帯でMMAのチャンピオンという部分もあるだろうし、5分5Rにも慣れているでしょうね。最終的に組めば絶対に勝てるという自信を持っているように思います」

――勝ちパターンがはっきりしている選手ではあると思います。

「そうですね。だからそこを凌げばチャンスが来るだろうし、穴はスタンド(打撃)だと思います」

――レコード的にも比較的敗戦も多いキャリアだと思います。

「もともと一階級上のフェザー級でやっていて、その時の負けが多いんだと思います。あとは負けていてもフィニッシュさせないというか、柔術家らしい粘り強さはありそうです」

――サブミッション対策と打撃でどう組み立てるかがポイントだと思うのですが。どのような準備をしてきましたか。

「今回はユニファイドルールなので、RIZINとは全く違いますよね。極論5分5Rのうち3つ取れば勝てるわけで。当然コスタの穴は打撃で、そこに対する対策は練ってきました」

――言える範囲でどういった対策を練ってきましたか。

「BRAVEのタイ人トレーナーからムエタイの細かい打撃を教わったり、ボクシングもやったり、クリンチ際の攻防も練習してきました。あとは今回の試合で言えば柔術とノーギのグラップリングにも力を入れて、トライフォース池袋さんに練習に行かせてもらって、徹底的に柔術家の寝技がどういう流れ・動きなのかをやってきました」

――寝技が強いMMAファイターと純柔術家では質が違いますか。

「全然違いますね。レスラーがやるグラップリングはやっぱり多少フィジカルや身体能力で持って行っちゃう部分があって、逆に柔術家はピュアな寝技のスキルが高くて強い。そこを肌感覚で触れておくことは十分にやってきました」

――5分5Rという部分はいかがでしょうか。

「相手を変えながら階級が上の選手と5R用の練習をやってきたし、コスタに似たタイプの選手とも練習してきたので、実戦的な練習はしっかりできたと思います。あとはそれをそのまま本番でやればいいのかなって感じです。長丁場の難しさはあると思いますが、試合が進めばダメージや打撃の蓄積もあると思うし、後半に倒すチャンスが来る。前半にポイントをリードされても逆転する可能性があると思います。5分5Rは初ですが、シュートボクシングの3分3R延長無制限Rの方がきついですよ」

――Eternal MMAでベルトを巻くことになったら今後のキャリアアップにもつながると思います。そこは意識していますか。

「僕のキャリアとしても箔がつく試合だと思うので、しっかり勝って、次に繋げられるように。そういう試合になればと思ってますね。正直あまりベルトは意識していなくて、ユニファイドルールの5分5Rでコスタ選手に勝つことにフォーカスしています」

――今後も海外では試合を続けていきたいですか。

「僕がチャンピオンになったら当然防衛戦もあるわけで、そうなるとオーストラリアに行くことも増える。オーストラリアの選手やそれ以外の国の選手と戦っていくことになると思います。そこで勝ち続けてUFCとの契約が繋がればいいですよね」

――やはりMMAファイターとしてUFCにはチャレンジしたいですか。

「はい。UFCはもちろん、今はいろんな海外の団体があるので、どれだけ自分が海外で結果を出していけるのか。そういう挑戦でもあると思うし、今回がその第一歩になると思います」

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【Grachan67】ベルト防衛&リベンジへ、手塚基伸「3R制&ラウンドマスト、大阪開催で自分が有利に」

【写真】表情からもコンディションの良さをうかがわせていた(C)Zuffa/UFC

3日(土)、大阪府豊中市の176BOXで翌日に行われるGrachan67の計量が行われた。メインイベントのバンタム級選手権試合に出場する王者の手塚基伸と挑戦者TSUNEは、共に1回目で計量をクリアしている。
Text by Shojiro Kameike

昨年10月のノンタイトル戦で、TSUNEに判定負けを喫している手塚にとって、今回はベルトとリベンジを賭けたダイレクトリマッチとなる。計量直後、手塚が初戦の反省点と、今回の取り組みを語ってくれた。


――計量直後のインタビューとなります。今回、減量は順調に進みましたか。

「はい。前回は体重が増えすぎて、76キロあったところからバンタム級まで落としたんです。1年間も試合をしていなかったこともあり、長期間かけて落としたら筋量も減ってしまったのか、体も細くなってしまっていました。今回は70キロからバンタム級までバッと落とす感じで、しっかりと体をつくることができたと思います」

――前戦は、そうした減量の影響もあったのでしょうか。

「減量というよりも、試合をしていなかったことが大きいですね。1年間、試合がある、ない――ということの繰り返しで、気持ちをつくることもできていなかったです。あと、今回は酒を断ちました」

――えっ!?

「もともと浴びるほど飲んでいたわけではないんですけどね(苦笑)。特に年末年始だと、お付き合いで飲む機会も出て来るじゃないですか。前戦から4カ月、そういうのは全て断ちました。お酒に関しては、このままフェードアウトしていこうと思っています。

昔は普段、晩酌程度にお酒を飲んでいても勝つことができていたんですよ。連勝している時もそうでした。だけど、もう年齢的に……」

――少し飲んだ程度でも、お酒が体に残るようになってしまいましたか。

「そうなんです。結果、疲れが取れなくなってしまって」

――前戦の試合内容はいかがでしたか。スクランブルとグラウンドの展開が噛み合った好勝負でしたが、結果は判定負けでした。

前戦はトータルマスト判定で判定負け。ラウンドマストとの違いは大きい(C)GRACHAN

「自分が行ききったほうが良いところもあったし、なんだかアヤフヤになってしまいましたよね。映像を見返しても、自分が何をしたかったのか分からない――そんな試合になりました。何か歯車が噛み合わず、1Rも2Rも同じような展開になって。そういうところを修正する練習をやってきました」

――初戦は2R制でした。今回タイトルマッチで3R制になることは、ご自身に有利だと思いますか。

「はい。判定がラウンドマストであれば尚更、有利になると思います」

――なるほど。前回はノンタイトル戦で、2Rトータルでの判定でした。ノンタイトルとベルトを賭けた試合というのも、気持ちは違いますか。

「そうですね。本来は違っちゃいけないんですけど(苦笑)。やっぱりこのベルトはジムに置いていて、常に目に入ってくる存在なんですよ。ベルトがジムにあるかどうかで、自分のメンタル面やコンディションにも大きく関わってくるかもしれない。とにかくベルトを獲られたくないという気持ちは高いです」

――さらに今回は地元、大阪での試合となります。

「まさしく! それが一番大きいです。なかなか大阪でタイトルマッチができる機会もないですからね。応援してくれる方もたくさん来てくれるので――前戦は負けたので、今回はしっかり勝つところを見せないといけないと思っています」

――最後に試合への意気込みをお願いします。

「前回負けてからスパーリングの数も増やしてきました。最近、また手帳に全て書き込むようにしたんですよ」

――また、というのは……。

「以前は手帳にスパーリングした数も、反省点や改善点なども書き込んでいたんですよ。それをまた始めて。この3カ月間やってきて、手帳を見ると寝技のスパーリングだけで400ラウンドを消化していました。若い気持ちで――といったらアレですけど(笑)、昔の気持ちに戻って今回はつくってきましたから。絶対に前回とは違う試合をお見せできると思いますし、今回は勝たせてもらいますよ」

■視聴方法(予定)
2月4日(日)
午後0時30分~ GRACHAN放送局

■ Grahan67計量結果

フライ級選手権試合も両者、1回目で計量クリア(C)SHOJIRO KAMEIKE

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]手塚基伸(61.2キロ)
[挑戦者]TSUNE(61.2キロ)

<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]松場貴志(56.7キロ)
[挑戦者]御代川敏志(56.7キロ)

<ライト級/5分2R+Ex1R>
林”RICE”陽太(70.1キロ)
大道翔貴(70.1キロ)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
徳弘拓馬(61.4キロ)
南友之輔(62.3キロ → 再計量 62.1キロ)
※南が計量オーバー。徳弘が試合出場に合意し、試合では南にはイエローカード1枚が提示され、南が勝利した場合は試合結果がノーコンテストとなる

<フェザー級/5分2R+Ex1R>
八木匠(66.1キロ)
櫻庭泰裕(64.5キロ)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
今村豊(61.2キロ)
堀之内蒼斗(61.2キロ)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
有田一貴(61.6キロ)
秋田良隆(61.6キロ)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
村上晴紀(60.4キロ)
木下竜馬(61.3キロ)

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【Grachan67】松場貴志に挑戦、御代川敏志「組みの自信がついたから、思いっきり打撃で勝負できる」

【写真】移動で交通機関の遅れが生じるなか、カラオケ店に入りリモート取材に応じてくれました (C)SHOJIRO KAMEIKE

4日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan67で、御代川敏志が松場貴志の持つフライ級王座に挑戦する
Text by Shojiro Kameike

昨年8月、フライ級挑戦者決定トーナメント決勝で児玉勇也をKOした御代川が松場への挑戦権を獲得した。それは御代川にとって、2021年12月に敗れている児玉にリベンジを果たした瞬間でもあった。これまで御代川といえばグラップラーの印象が強かったが、トーナメント中にストライカーへと変貌を遂げている。その御代川に、スタイルの変化とタイトルマッチへの意気込みを訊いた。


――御代川選手といえば丸坊主のイメージが強かったのですが、今は金髪になっています。確かグラジエイターに出場した時はドレッドヘアでした。いろいろ髪型が変化しているのですね。

「確かに変わっていますね。丸坊主にしたのは、ドレッドヘアが絡まるようになり、試合しづらくなったからなんですよ(笑)。でも、せっかく髪を伸ばしていて勿体ないなぁと思って、丸坊主にした時に刈った髪は今も部屋にあります」

――部屋にドレッドヘアが飾られているのですか!

「最初は髪の毛を寄付しようと思ったんですよ。どなたかがヘアエクステンション用に使えってもらえるように。でもゴチャゴチャに絡まっちゃったので寄付もできず、オブジェとして部屋に飾っています」

――髪型と同じように、御代川選手の試合スタイルも変化してきたように感じます。まずは御代川選手のキャリアについてお聞かせください。

「MMAを始めたキッカケはUFCでした。UFCを見てMMAを好きになり――当時はGSPの全盛期でしたね。選手としてはニック・ディアスが好きでした。それで高校1年の夏ごろ、部活代わりにジムに通い始めたんです」

――それまで何かスポーツは経験していたのですか。

「何もやっていなかったです。あんまりスポーツが好きではなくて。でもMMAを始めたら楽しかったので、『MMAで生活していけたら良いなぁ』と思うようになりました」

――なるほど。現在、MMAと並行して士道館の空手大会にも出場されているので、空手がベースなのかと思っていました。

「空手はやっていなかったです。僕が今、ネクスト赤坂ベースというジムで働かせてもらっていて。その職場で空手を教わってみたら、本当に楽しいんですよ。蹴りやのバリエーションや、基本稽古、移動稽古、型とか楽しいですね。だからMMAとは別に空手も練習しているという感じなんですよ」

――御代川選手のファイトスタイルの変化として、グラップラーからストライカーへと大きく変わりました。前回の試合ではカーフを効かせてから綺麗な右ストレートで児玉選手をKOしました。その変化は空手によるところが大きいのでしょうか。

「空手の影響もありますけど、一番は赤坂ネクストでムエタイを教わったことが大きいです。トレーナーはヌンさんを筆頭に――」

――ヌンさん、とは?

「ヌンサヤームですね、元ラジャダムナン王者の……」

――ヌンサヤーム・ギャットウィチアンさんですか! 元ラジャ2階級制覇王者で、日本でもトレーナーとしての評価も高いです。

「はい。試合でKOできるようになったのは、ヌンさんに教わってからです。打撃のコンビネーションだけではなく、倒せるパンチの打ち方、蹴りの打ち方——あとはその打撃を当てるための戦略や考え方がハマりました。試合のコンセプト、どう戦うかっていう」

――これは失礼な言い方になるかもしれませんが、トーナメント決勝で児玉選手をKOした時、「このコンビネーションを出せる選手だったのか!」と驚きました。

トーナメント決勝、児玉戦では開始早々、カーフが当たり強い音が響いたほどだった(C)GRACHAN

「アハハハ、そうでしょうね。以前は組みの要素が強かったと思いますし。カーフで試合をつくれるようになったことも大きくて。カーフの効かせ方は空手で鍛えられたモノかもしれないです」

――結果、あのトーナメント決勝でご自身も手応えを感じましたか。

「それまで練習ではできていたことが、ようやく試合でも出せるようになりました。自分でも言うのも何なんですけど、器用なほうなので練習では結構できたりするんですよ。でもそれを試合で出せないという期間が長かったです」

――御代川選手は2017年にプロデビューし、2021年までは勝ちと負けを繰り返すキャリアでした。しかし2022年以降は5連勝し、トーナメントでも優勝しています。打撃以外で伸びた部分はありますか。

「やっぱりパラエストラ千葉ネットワークで、組みが伸びたからですね。組みの自信がついたから、思いっきり打撃で勝負できる。パラ千葉に入ったのも、ヌンさんに打撃を教わり始めたのも3年前——ちょうど連勝が始まった頃でした」

――そこでグラチャンのフライ級挑戦者決定トーナメント出場の機会を得るのも、不思議な縁ですね。そうなると必然というか、運命かもしれません。

「はい。練習はガッツリやっていましたが、目標が定まっていない時期でした。あのトーナメントも代役出場だったんですよ。もともと同じパラ千葉の松井斗輝が出る予定で。でも僕が出ることになり、勝ったらベルトに挑戦できる。そのチャンスをもらえたことで、ベルトという目標ができました」

――ではトーナメントに向けて新たに強化してきたものはありましたか。

「強化したものというか……、準決勝(宮内拓海にスプリット判定勝ち)は直前に抽選でカードを決めることになって。でも直前まで対戦相手が分からないと困るじゃないですか。だから岩﨑(ヒロユキGrachan代表)さんにも『困ります』と言ったんですよ」

――すると岩﨑代表は……。

「このほうが選手も成長するから、って(笑)」

――アハハハ。実際に成長できたのでしょうか。

「そうですね。誰と対戦するか分からない。予想できない。だから普段の練習が大切で――自分も成長できたと思います。自分の希望としては児玉選手にリベンジしたかったけど、それは決勝で達成して優勝できたので良かったです」

――では挑戦するチャンピオン、松場選手の印象をお願いします。

「組みでも打撃でも、自分が勝てると思います。もともと自分で勝手に、松場選手に対して強いイメージを持っていました。でも試合映像を視ていると、組みも打撃も自分のほうがレベルは高いと思うようになって。ただ、松場選手はMMAとしてのレベルが高い。試合のつくり方が巧いですよね。だから自分も戦術とか、そういう部分が大切になってきます」

――今回、ベルト挑戦ということでモチベーションも上がっていますか。

「気持ちは上がっています。でも、いつもどおり戦いたいです。グラチャンのベルトを獲ったら、海外で試合をしてみたいですね。以前ストロー級で試合をしていた時は、ONEを目標にしていました。でも勝てなくて、いろんなジムを転々としていて……。それが今はパラ千葉で若い子たちと練習させてもらって、トーナメントにも出させてもらい、自分も成長することができました。もちろん国内でもそうだし、海外の試合も含めて、どれだけ自分が成長したのかを確かめたいです」

■視聴方法(予定)
2月4日(日)
午後0時30分~ GRACHAN放送局

■ Grahan67対戦カード

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]手塚基伸(日本)
[挑戦者]TSUNE(日本)

<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]松場貴志(日本)
[挑戦者]御代川敏志(日本)

<ライト級/5分2R+Ex1R>
林”RICE”陽太(日本)
大道翔貴(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
徳弘拓馬(日本)
南友之輔(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex1R>
八木匠(日本)
櫻庭泰裕(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
今村豊(日本)
堀之内蒼斗(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
有田一貴(日本)
秋田良隆(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
村上晴紀(日本)
木下竜馬(日本)

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【Grachan67】勝った立場のダイレクトリマッチ=タイトル挑戦、TSUNE「全部潰しに行こうと」

【写真】やるべきことは同じで、ラウンド数が増えた再戦(C)TAKUMI NAKAMURA

4日(日)大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan67で、TSUNEがバンタム級王者・手塚基伸に挑戦する。
Text by Takumi Nakamura

パンクラスを主戦場に戦ってきたTSUNEは昨年10月にグラチャン初参戦。ノンタイトル戦で手塚に判定勝利すると、ダイレクトリマッチでの王座挑戦が決まった。ノンタイトル戦=5分2Rでは手塚の仕掛けをつぶして競り勝ったTSUNEだが、今回はタイトル戦のため5分3R制。この1Rの違いは間違いなく試合展開に影響を及ぼすだろう。ダイレクトリマッチ&王座戦という新たなシチュエーションでベルトに挑むTSUNEに話を訊いた。


――試合直前のインタビューありがとうございます(※取材は1日に行われた)。グラチャン2戦目でタイトル挑戦が決まりました。タイトル戦が決まった時の心境から聞かせてください。

「ずっと自分はパンクラスに出ていて、今回タイトル戦を組んでもらって、本当にありがたい話しをいただいたなと思います」

――昨年10月のグラチャン初参戦で手塚選手にノンタイトル戦で勝利。この勝利が評価されて、ダイレクトリマッチでのタイトル挑戦に繋がったと思いますが、こんなにすぐチャンスが来たことは意外でしたか。

「パンクラスでタイトルが取れなくて(2022年12月にバンタム級暫定王座決定戦に臨むも田嶋椋にTKO負け)、これからどうしようと思っているときにグラチャンからオファーをもらって、すぐにチャンスが来たので意外と言えば意外ですね」

――前回の手塚戦はグラウンドの攻防が主で、テイクダウン&トップキープでTSUNE選手が有利に試合を進めました。あの試合を振り返っていただけますか。

「手塚選手は予想通りに寝技が強かったですし、試合前のインタビューでもお話させてもらった通り、以前手塚選手には指導してもらっていた時期があって、その時はムチャクチャ強くて何も出来なかったんです。だから今回もすごく警戒はしていたんですけど、それなりに戦えたかなと思います」

――かつての自分の先生と試合をするという部分で、気持ち的に臆するところはなかったですか。

「僕も年齢とキャリアを重ねて、自分がどこまでやれるかだと思って戦っているので、それはなかったです」

――また前回の対戦ではTSUNE選手が自分の強みをぶつけて競り勝った勝利に見えました。そういった試合をしようと意識していた部分はありますか。

「今までも相手に合わせていいことはなかったので、相手関係なく自分がやるべきことをやろうと思って戦いました」

――組み技の攻防は手塚選手の強い部分でもありますが、どこでいけると思いましたか。

「自分としてはそういう感覚はなくて。手塚選手はどんなところからでも極めを狙ってくるので『ここで(極めを狙って)くるんだ?』と思いながらやっていました。そのなかでも冷静には戦えていたかなと思います」

――では5分2R、気が抜けない試合でしたか。

「そうです。みんなそこで根負けして一本取られるのかなと思いました」

――今回はタイトルマッチなので5分3Rで行われます。5分2Rでは競り勝てたとしても、3Rになるともう一つ試合展開にも山が来ると思います。

「僕も同じことを思っていて、5分3Rやりきるつもりで作ってきたんですけど、絶対に自分が苦しい展開もあると思っているので、つまらなくてもいいので全部潰しに行こうと思って戦います」

――ダイレクトリマッチで同じ相手と対戦したことはこれまでありましたか。

「ないんですよ。しかも勝った相手とダイレクトリマッチなので、これはこれで難しいなと」

――そのうえでどのような準備を?

「やっぱり3R動けることと、結局は寝技になると思うので、そこを強化してきました」

――練習に関しては新しいことを取り入れるというよりも、リバーサルジム新宿 Me,Weでこれまでやってきたことをさらに練り上げるイメージですか。

「はい。うちのメンバーは全員寝技が強いので、そこに必死についていく感じです。練習仲間の方が強いと思って今回もやっています」

――TSUNE選手の技術が上がると周りも同じようにレベルアップしているというイメージですか。

「みんなスタミナもあってフィジカルも強いし、僕が攻められるようになっても、それにすぐ対応してくるので……何とか頑張っています(苦笑)」

――Me,Weには色々なタイプの選手がいるので「仮想~~」という練習ができそうですね。

「打撃、寝技、レスリング…それぞれ強い選手がいるんで、練習は助かりますね」

――パンクラスではベルトを巻くことが出来ませんでしたが、今はベルトというものに対て想い?

「ベルトは結果的についてくるくらいの意識でいるのがいいのかなと思います。今思うとパンクラスでタイトルマッチをやった時は最初からベルトのことを意識しすぎていたと思うので、今回はしっかり5分3Rやりきる。そこを一番に考えています」

――パンクラスのタイトル戦=田嶋椋戦は1・2RをTSUNE選手がポイントを取るも最終的に逆転負けする流れでしたが、勝負を急いだ部分もあったのでしょうか。

「あの時はほんと少しなんですけど、1Rに『勝ったな』と思ってしまったところがあったし、それが最終的に悪い方向に出てしまいました(苦笑)。(ベルトを)意識しちゃうとずっと意識しちゃうと思うので、今回は『楽をしない』をテーマにやります」

――キツい・しんどいことをやるものだと思ってケージに上がる、と。

「はい。ジムのみんなはそうやって勝ってきているので、僕も同じですね」

――見ている人たちに対して、どのような試合を見せたいですか。

「打撃でも寝技でも仕留められれば仕留めたいですが、あらゆるポジションで相手を上回りたいと思っています。見ていてつまらないことかもしれませんが、最後に僕の手が上がっていることで喜ぶ人もいるので勝ちに行きます」

――先ほどもあったように「つまらなくてもいいので全部潰しに行く」試合ですね。

「そうですね。今回は挑戦者なので自分から攻めていきたいですし、そこは自分との戦いになると思います」

――2024年最初の試合でもありますが、これからキャリアアップの青写真はどのように描いていますか。

「色々と考えたところでベルトを獲る・獲らないで変わると思うので、まずはしっかりベルトを獲ることですね。パンクラスでベルトを獲れなくて、真っ白になっていたところでいただいたチャンスでもあるので、今はグラチャンのベルトを巻くことが一番です」

――グラチャンからのオファーがTSUNE選手にとっては新たな目標になっているようですね。

「はい。しかも(グラチャンに出ることが決まった時に)パンクラスからも快く『チャンピオンになって帰ってきてください』と言っていただけたので、パンクラスにも恩義があるし、そういう意味でもこのベルトは獲りたいです」

――ベルトを巻くことで新しい何かが開けそうですね。

「これからたくさん試合できるキャリアではないので、一戦一戦で自分の全力を出して戦います」


■視聴方法(予定)
2月4日(日)
午後0時30分~ GRACHAN放送局

■ Grahan67対戦カード

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]手塚基伸(日本)
[挑戦者]TSUNE(日本)

<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]松場貴志(日本)
[挑戦者]御代川敏志(日本)

<ライト級/5分2R+Ex1R>
林”RICE”陽太(日本)
大道翔貴(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
徳弘拓馬(日本)
南友之輔(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex1R>
八木匠(日本)
櫻庭泰裕(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
今村豊(日本)
堀之内蒼斗(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
有田一貴(日本)
秋田良隆(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
村上晴紀(日本)
木下竜馬(日本)

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45 AB Grachan Grachan67 MMA MMAPLANET NavE o TSUNE YouTube 南友之輔 山本聖悟 御代川敏志 徳弘拓馬 手塚基伸 松場貴志

【Grachan67】「なんで、取材がないんじゃ!」──怒りのフライ級チャンプ松場貴志の「?」な意気込み

【写真】一つ言えるのことは、松場は常に一生懸命ということ (C)MMAPLANET

本日1日(木)、携帯に見知らぬ番号からコールがあり、「なんで、僕には取材がないんじゃ」と怒りモードの第一声が聞かれた。
Text by Manabu Takashma

その声の主は、4日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されるGrachan67で御代川敏志の挑戦を受けるGrachanフライ級チャンピオン松場貴志だった。5年5カ月前にオ〇ン〇ヤロー(と絶叫癖のある)山本聖悟を破り、同級王座に就いた松場にとって、今回の防衛戦は2019年12月にNavEとGrandフライ級王座決定戦に出場して以来、4年1カ月振りのGrachan出場となる。

電話口での不満はメディアだけでなく、チャンピオンを軽視するホームの関係者にも向けられているようだったが、結論からいえば松場は「意気込みを送るので、もしよかったら掲載してください」という低姿勢のお願いをMMAPLANETにしてきたことになる。

取材がないなら、自ら売り込む。立派なプロ意識の松場の今回の防衛戦に臨む意気込みは以下の通りだ。


「4年1カ月ぶりにGrachanに参戦させて頂きます松場貴志です!

僕が以前、修行中の失敗で屏風から出してしまった虎が御代川選手の胸に閉じ込められていました。今回、元にあった屏風に返したいと思います!

一休さんの気持ちで戦います。MMAはトンチです!松場貴志は令和の一休さんです!」


■視聴方法(予定)
2月4日(日)
午後0時30分~ GRACHAN放送局

■ Grahan67対戦カード

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]手塚基伸(日本)
[挑戦者]TSUNE(日本)

<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]松場貴志(日本)
[挑戦者]御代川敏志(日本)

<ライト級/5分2R+Ex1R>
林”RICE”陽太(日本)
大道翔貴(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
徳弘拓馬(日本)
南友之輔(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex1R>
八木匠(日本)
櫻庭泰裕(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
今村豊(日本)
堀之内蒼斗(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
有田一貴(日本)
秋田良隆(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
村上晴紀(日本)
木下竜馬(日本)

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【Grachan67】南友之輔と対戦、徳弘拓馬 with 日沖発「3歳から発先生の試合を観ていました」

【写真】戦極、修斗、カナダTKOのベルトが並ぶstArtジムにて(C)SHOJIRO KAMEIKE&MATSUNAO KOKUBO

2月4日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGrachan67で、徳弘拓馬が南友之輔と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

徳弘は2022年、日沖発が主宰するstArtからデビュー。その後、アマチュアMMA全日本フェザー級を制し、昨年10月のグラチャン大阪大会で初勝利を挙げた。そんな徳弘が師である日沖とともに、出会いからこれまでのキャリアと今後の目標を語ってくれた。


――徳弘選手がグラチャン大阪大会でプロ3戦目を迎えます。徳弘選手は前戦も大阪で、名古屋から大阪で試合経験を積む形となっていますね。

前戦は昨年10月、有田一貴をバックマウントまで奪いユナニマス判定勝ち(C)SHOJIRO KAMEIKE

日沖 そうですね。まず現状として、名古屋は以前よりMMA大会が少なくなっています。一方、大阪であれば名古屋からも出やすいという面があって。グラチャンは一度、自分がグラップリングで対戦させていただいた縁もあって、徳弘がキャリアを積む場として良いんじゃないかと思いました。

――名古屋でMMA大会が多く開催されていた時代……日沖さんがキャリアを積んだ名古屋市公会堂と、鶴舞公園の桜が懐かしいです。現在21歳の徳弘選手は、その時代をご存じですか。

徳弘 はい! もともと僕の父がアライブの会員で、僕も3~4歳の頃に発先生の応援に試合会場へ行っていました。

日沖 実は戦極の試合も観に来てくれていたんですよ。

徳弘 戦極のタイトルマッチは会場に行けず、テレビで視ていたのですが、発先生が戦極で金原正徳選手と対戦した時(2009年8月、日沖が判定勝ち)は視に行きました。あと修斗のベルトを巻いた時(2010年5月、リオン武から修斗世界フェザー級を奪取)も現地で観ています。その時は全然、格闘技は全くやっていなかったのですが……。

――お父さんと一緒に格闘技をやろうとは思わなかったのですか。

徳弘 そこまで考えながら、発先生の試合を観ていたわけではなかったですね。

――では、その徳弘選手がなぜMMAを始めることになったのでしょうか。

徳弘 stArtがオープンした頃、僕は中2~3でサッカーをやっていました。高校に進学後もサッカーを続けようと考えていて、そこで父の勧めもあって発先生のフィジカルトレーニングをパーソナルで受け始めたんです。

日沖 3~4歳の頃からウチに通い始めるまで、ほとんど会っていなかったのでビックリしましたよ。急にデカくなっていて(笑)。

徳弘 アハハハ。その流れで柔術クラスに参加させてもらうようになりました。高校時代はサッカーを続けながら週2~3回、打撃とか柔術をやらせてもらっていて。サッカー部を引退したあとは毎日stArtに来て、練習していたらアマチュアMMAの試合に出るようになっていました。

――その間、日沖さんは徳弘選手がサッカーから離れてMMAをやるように仕向けていたのですね。

日沖 そんなことはしません(笑)。実際のところ、僕は無理に試合を勧めたりはしないんですよ。むしろ、ちゃんと練習しない子以外は試合に出ないほうが良いと思っているので。でも彼は試合に出るようになって、さらに一生懸命練習するようになりました。もちろん当時の実力はまだまだし、今も修行中の身です。でもMMAへの取り組み方を見て、彼は伸びていくだろうと思っていました。

――幼少期の徳弘選手にとって、日沖さんはどんな存在だったのですか。

徳弘 試合を観るたびに勝っていたので、凄い選手だなと思っていました。

日沖 本人の前で悪く言いませんよ(笑)。

徳弘 いえ、本当です! カッコイイ選手だと思っていました。

――では現在、日沖さんの悪いところや「ここは直してほしい」という部分はありますか。

日沖 これ、MMAPLANETさんに載るからね。

――圧力をかけてないでください(笑)。

徳弘 本当に無いです。人間的にも尊敬していますし、格闘技だけでなく人として在るべき姿を示してくださるので。それによって自分も成長できています。

日沖 ……これはカットで(苦笑)。

――何を照れているのですか(笑)。日沖さんとしては、幼少期から知っている徳弘選手から「MMAをやりたい」と聞いた時は、嬉しかったのではないですか。

日沖 その時はもちろん、何より練習していく中で『これは本気だな』と分かった時は嬉しかったです。こう言うのも何ですが、アライブでもstArtでも、いろんな人たちを見てきて――言うだけの人っているじゃないですか。「プロになりたいです!」「チャンピオンになりたいです!」と言うのは誰でもできるけど、実行するにはそれなりの覚悟が伴わないといけない。徳弘の場合は、ウチへ通ううちに取り組み方が変化していったんですよ。

――どのような時に、徳弘選手の変化を感じたのでしょうか。

日沖 具体的に「この時!」というよりは、とにかく毎回練習を休まない。隔週で日曜日の練習をやっていて、「疲れが溜まっていたら休んでいいよ」と言っても休みません。そういう姿勢を見ていると、いろいろ協力してあげたいなと思いますよね。

徳弘 ありがとうございます。サッカーを引退した直後は、そこまで「MMAのプロ選手になりたい」という気持ちはなかったです。ただ、やりからにはMMAを頑張りたい。強くなりたい。もともと運動神経が良いほうではないので、そんな僕が練習を休んではいけないと思っていました。

日沖 お父さんの勧めも大きいですね。お父さんは趣味で続けながら、柔術の黒帯を巻いていて。

徳弘 僕がMMAをやると言った時、父も嬉しそうでした。今もすごく協力的ですし。

――徳弘選手は2022年5月、HEATでプロデビューし、TKO負けを喫しています。

徳弘 あの試合でプロの厳しさを知り、もっと格闘技に懸けて練習しないといけないと思いました。今あの試合を振り返っても、当時はその気持ちが足りなかったです。負けた試合のことを思い出しながら、自分に活を入れるようにしています。

日沖 あのデビュー戦は、まだアマチュアでしたね。もともとHEATのニューエイジというセミプロ枠に出場する話が進んでいて、そのなかでプロキャリアのある選手とプロ枠で試合をしないかというお話を頂いたんです。彼にとってはチャンスではありましたが、やはり現実的には相手のほうがキャリアもあり、勝てませんでした。そのあとアマチュアで数戦し、アマチュアMMA全日本で優勝して昨年10月のグランチャン大阪大会に出ました。だから、前回の試合が本当のプロデビュー戦だったと考えています。

徳弘 アマチュアMMA全日本で優勝して、次はプロとして戦うとなった時、改めて「プロとしてどうあるべきか」ということを考えるようになりました。

「鈴木社長になるための練習」(by日沖)という三転倒立からの回転(C)SHOJIRO KAMEIKE

日沖 彼の一番の良さは、真面目なところです。センスが良い選手、身体能力が高い選手はたくさん見てきました。でも結局は練習を休んだり、試合で勝っているのに途中で諦めたりするケースもあって。そんななか、彼はコンディションを維持しながら練習し続けることができる。長い目で見たら、それが一番だと思うんですよね。目の前のことだけを見ていると、うまくいかないことだってあります。でも、この姿勢で続けていると強くなっていく。そう考えていますね。

――では次に対戦する南選手について印象を教えてください。

徳弘 思いっきり倒しに来る選手です。空手の実績もあって、スピードやタイミングの面で長けている相手だと思います。

日沖 ひとつは厳しい相手だということ。もうひとつは、まだプロとしては名前が知られていない徳弘が、注目されている選手を食うチャンスですよね。今の戦績だと、そういったチャンスも多いわけではないので。

徳弘 目標はまず今出ているグラチャンでチャンピオンになることです。ここで南選手に勝てば確実にベルトへ近づくと思うので、しっかり倒します。今年は何試合かできると思いますが、すべて勝って年内にベルトへ近づきたいです。

――同じ大阪大会ではターゲットであるバンタム級タイトルマッチが行われます。

徳弘 手塚選手もTSUNE選手も、本当に強いファイターです。客観的に今の自分の実力を考えると、厳しいとは感じます。でもMMAをやるからにはチャンピオンにならないといけないし、日々実力を上げていかないといけないと思っています。

――日沖さんとしては、現段階で「目標はUFCです」とは言わせませんか。

日沖 アハハハ、そんなことはないですよ。理想と現実を考えることは重要ですが、現実を見すぎている選手よりも、現実を理想に近づけるために頑張っているほうが良いです。徳弘の場合、今はベルト云々という実力はないですよ。でも「ベルトを目指して頑張っていくべき」という話はしていて。

透暉鷹もそうだったんです。最初にISHITSUNA MMAの林巧馬代表から「UFCを目指している。練習を見てほしい」と相談された時も「UFCって、そんなに甘いもんじゃないよ」とは思いました。実際に透暉鷹がウチに来てスパーリングした時も、その印象は変わりませんでした。でも考えたんです。「まだまだ若い選手に対して、そんなに現実を考えすぎるものではないな」って。透暉鷹も取り組み方がどんどん変わっていきましたし。

stArtの朝練にて、透暉鷹と打ち込み(C)SHOJIRO KAMEIKE

いろんな価値観があって良いです。有名になりたい、お金が欲しいという選手もいます。そこで透暉鷹が「UFCに行きたい」と言ってきた。UFCに行けるかどうかは分からないけど、その目標に向かって頑張っている姿に価値を感じて、ずっと協力させてもらっています。

――なるほど。

日沖 徳弘もそうなんですよ。どこの何を目指せ、とは僕が言うべきことではなくて。彼がベルトを目指し、上に行くために努力していれば周りも協力してくれる。僕も彼と一緒に頑張っていきたいです。現状の実力がかけ離れているからって、目標を口にしてはいけないというわけではなくて。ずっと高い目標を持って続けてほしいですね。

徳弘 僕も応援に来てくれる方、いつもジムで一緒に練習してくださる方々に勇気を与えたり、「また明日も頑張ろう」と思ってくれるような試合をしたいです。そのためにも次の試合は、しっかりとフィニッシュします。


■視聴方法(予定)
2月4日(日)
午後0時30分~ GRACHAN放送局

■ Grahan67対戦カード

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]手塚基伸(日本)
[挑戦者]TSUNE(日本)

<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]松場貴志(日本)
[挑戦者]御代川敏志(日本)

<ライト級/5分2R+Ex1R>
林”RICE”陽太(日本)
大道翔貴(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
徳弘拓馬(日本)
南友之輔(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex1R>
八木匠(日本)
櫻庭泰裕(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
今村豊(日本)
堀之内蒼斗(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
有田一貴(日本)
秋田良隆(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
村上晴紀(日本)
木下竜馬(日本)

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Grachan Grachan66 MMA MMAPLANET o TSUNE キック 伊藤空也 田中智也

【Grachan66】伊藤が田中を下して5連勝。バンタム級王座返り咲き&手塚へのリベンジをアピール

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
伊藤空也(日本)
Def.3-0
田中智也(日本)

伊藤が左ミドルから右カーフキック。田中も右ストレートを返し、伊藤は右のカーフキックを蹴る。田中が前に出て伊藤にケージを背負わせると、左腕を差してケージに押し込む。

田中は足をかけてテイクダウンし、伊藤の膝上で両足を組んでマウントポジションを奪う。田中は腰の上まで移動し、伊藤がケージを蹴ってポジションを返すと三角絞めへ。伊藤は背筋を伸ばしてディフェンスし、立ち上がってパンチを落とす。田中が起きてくるところでバックへ回り、この態勢でラウンドを終えた。

2R、ここも伊藤が左ミドルで先制。田中の前足にローを集め、距離を詰めると左フックを打つ。組みの攻防になると、田中が背中を見せつつアームロックを狙う。そのままグラウンドに持ち込む田中は、足関節を仕掛けて上になってバックへ。伊藤も正対し、最終的インサイドガードで上になる。

伊藤はしっかりベース作って立ち上がってパンチを落とす。田中は再び足関節を狙うが、伊藤はそれを潰してトップキープ。田中もしつこく足関節を狙い、最後は田中が伊藤をケージに押し込む形で試合終了となった。

判定は3-0で伊藤の勝利。試合後、伊藤は「田中選手は実力者で、自分の立ち位置が分かる試合だったので勝ってよかったです。これで5連勝なんですけど、来年またベルトを獲りに行きたいです。手塚基伸選手とTSUNE選手の勝った方とやりたいし、手塚選手にリベンジしてケジメをつけたいです」と王座返り咲きと手塚へのリベンジを誓った。


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