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【RTU ASIA 2022 Ep05】「UFCは自分らなんて、いてもいなくても変わりない。だから……」風間敏臣─02─

【写真】根底にあるのは、此畜生だろう(C)MMAPLANET

10月23日(日・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるROAD TO UFC AISA2022 Episode05――バンタム級準決勝でキム・ミンウと戦う風間敏臣がインタビュー後編。

世界的に見れば優勝候補のキム・ミンウとの対戦を前に、スパーでも殺気溢れる極めを見せていた風間は、「この試合で契約を取りに行く」という驚きの発言をした。

<風間敏臣インタビューPart.01はコチラから>


──打撃勝負ではない。如何に組むか。キム・ミンウの攻撃は何を気をつけたいですか。

「う~ん、一番は……いや、その答えは無しでお願いします(笑)」

──了解しました(笑)。ところでキム・ミンウの特徴としては、やはり大きさと言うこともあるかと思います。減量は相当に厳しいのか、計量の時は相当に水抜きをしていそうでした。

「シンガポールでは見ていないんですよね。でもタッパがありますからね。試合がなかったのに、リミットまで落としていたんですね。まぁフィジカルは間違いなく強いでしょうね。本当に正面の受けは自分が経験したことがないような強さだと思います。ただ入り方は正面だけではないですからね」

──今、シンガポールという言葉が聞かれましたが、次はアブダビです。フライト時間はずっと長いです。

「そうですね、12時間近く……。だいぶ長いですからね。到着した時のむくみとか怖いです。でも時差はそれほど気にしていないです。試合までまるまる5日間ぐらいあるので」

──1回戦と準決勝で気持ちの違いはありますか。

「う~ん、あまりないですね」

──ここで勝てば、もう一つだという昂りは?

「ないです。自分、このキム・ミンウ戦で契約を取るつもりでいるので。優勝とかでなくても、優勝候補と言われているキム・ミンウと戦うなら勝って契約を取っちゃいたいと思います」

──そこまで口にするのであれば、一本勝ち以外考えていないかと。

「ハイ。もちろんです。1Rから狙っていきます。それでも自分が削られることなく戦います。15分の間に極める。もう1Rからどんどん極めていくので、そこを見て欲しいです」

──その決意があるからこそ、スパーリングで極めに行くときに殺気が感じられたのですね。

「アハハハ。そんなことないと思いますよ。でも、試合も同じで、ああやってずっと狙っていきます」

────Road to UFC準決勝に出場する日本人選手に共通して尋ねようと思っているのですが、コンテンダーシリーズから木下憂朔選手がUFCと契約を果たし、RTU準決勝の前日には西川大和選手がUFC280でUFCデビュー戦を戦う。この両者が一足先を進んだことに関して、どのように思っていますか。

「何にもないです。申し訳ないけど。興味がないとかではなくて。木下選手はああいう相手に勝って契約だから凄いなと思います。ただし、自分の気持ちが動くことはないです。だいたい僕はこのトーナメントに出る直前の試合で、負けていますからね(笑)。自分には1試合で勝ち取れるような価値はないです。

西川選手に関しても本当に何も思わないんです。人に興味がないわけじゃないけど、それで感情が動くことって本当にないんです。それはそれで別モノで、意識することじゃない。普段から人がやることで、感情が動かないです」

──自分は50代半ばになっても、今日のように雨が降りやがってとか文句が言いたくなります。自分がコントロールできないことなのに。

「アハハハ。それはしょうがないんじゃないですか。人間だから。自分の感情が動かないのは、格闘技に対してなので。それに順番としては遅くなったけど、このトーナメントは優勝すれば契約できることが決まっています。

だから──ただ優勝すれば良いだけなので。全く契約の話がないのなら他の選手が契約したことが気になるのかもしれないですけど、この先に契約が見えている場所に今いるので。優勝すれば確実なんですけど、自分は優勝するまで待てない。アハハハハハハ。次で取りたいです」

──それでも決勝戦があるトーナメントなので、決勝戦で戦いたいのはどちらの選手ですか。

「う~ん、戦いたいのはやっぱり中村倫也かなっていうのはあるッスね。純粋に日本で知名度が高い。だから、どうせなら中村倫也とやりたい。ただし、どっちが上がって来るかは分からないです」

──正直、前評判だと中村倫也選手一色でしょうが、風間選手は野瀬選手という線もあると。

「ハイ、僕は彼はそれぐらい強いと思っています。強いですよ。全然、上がって来ることはあります。いずれにしても、決勝は自分が勝って日本人対決にしたいです。しないといけないですね。

そのためにキム・ミンウと当てられたと思っているので。それで良いと思っている、それぐらいの気持ちでいます」

毎日を全力で過ごしてきた

──ただ、それにしてもなぜシャッフルしたのでしょうね……。

「あれ、ちょっと謎ですよね(笑)。バンタム級だけ、こうなって。理由の説明もないし。でもUFCからしたら、自分らなんていてもいなくても変わりないですからね。代わりなんていくらでもいる。向うからすれば『こいつらの試合なんて、どうなっても構わない』ぐらいでいるんじゃないですか。

だから、のし上がってやりますよ」

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode05対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
松嶋こよみ(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
チェ・スングク(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ジェカ・サラギ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
キム・ミンウ(韓国)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
パラチン(中国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode06対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イ・ジョンヨン(韓国)
ルー・カイ(中国)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
野瀬翔平(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
トップノイ・キウラム(タイ)
パク・ヒョンソン(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
キム・ギョンピョ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
フィリッピ・リマ(ブラジル)

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【RTU ASIA 2022 Ep06】準決勝=野瀬翔平戦へ。中村倫也─02─「自分のMMAを創るのは、自分です」

【写真】出場選手たちは月曜日に日本を発つ、いよいよファイトウィークだ(C)MMAPLANET

10月23日(日・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるROAD TO UFC AISA2022 Episode06で、野瀬翔平と対戦する中村倫也インタビュー後編。

自らの将来を左右する一戦を前に伝わってくるのは楽しさであり、UFCという最高峰で戦うことで日本のMMAを盛り上げたいという中村の想いだった。

<中村倫也インタビューPart.01はコチラから>


──野瀬選手のバックボーンとそれでもMMAを戦いたいという想いが、彼をMMAファイターとして強くさせているでしょうか。

「間違いなく、その想いが野瀬選手を支えているはずです。強いと思います、人間的に」

──MMAへの強い想いを持つ者対決になるわけです。

「そこでは負けないです。もちろん負けないです。負けないと思っています。野瀬選手だって負けないと思っているでしょう。それが最後どうなるのか、天運にお任せするところまで、しっかりと創っていけたら良いと思います」

──疲れのピークにあることを踏まえて、仕上がり具合は?

「バッチリですね。あらゆることを想定して練習しているので、このまま創っていけばまちがいないです」

──津田(勝憲)さんとも練習をしているそうですね。

「ハイ。僕が体の使い方が好きなトレーナーさんがいて、そこに上手く打撃を組み合わせている津田さんのミットが凄く好きなんです。津田さんも僕のことを心配してくれて、困っているなら見るよと言ってくださったことが本当に嬉しくてお願いした形です。だから打撃をメインに見てもらっています」

──ではヘッドコーチのように結合するのは中村選手自身で?

「そうですね。自分のMMAを創るのは、自分です」

──その後、アーセン選手とは?

「まだKRAZY BEEが工事中なのですが、マット回りは使えるようになっているので練習させてらもってスパーもやっています」

──Road to UFCが行われてる最中ですが、コンテンダーシリーズから木下憂朔選手がUFCと契約を果たし、RTU準決勝の前日には西川大和選手がUFC280でUFCデビュー戦を戦います。この両者が一足先を進んだことに関して、どのように思っていますか。

「木下選手の契約は若くて活きの良い戦いができる日本人が出てきて、一緒に戦っていく仲間が増えたので嬉しいです。もちろん、僕も契約を勝ち取らないといけないのですが」

──こっちは3試合なのに、あっちは1試合で契約なのかという気持ちは?

「アハハハハ、ないです。全くないです。日本全体を上げたいので」

──同じ階級の選手だとすれば?

「UFCと契約できたことには何も思ないと思います。逆に一緒に頑張ってタイトルを賭けて日本人対決ができるようにって願うぐらいで。だからバンタム級だとUFCも安藤(達也)選手が契約して欲しいし、同じサウスポーのレスラーが上がりの僕と安藤選手が、UFCのバンタム級の選手を皆、なぎ倒していきたいと思っていました。日本に注目して欲しいので。

西川選手は……本当に心臓が強いファイターなので、楽しみです。一ファンとして楽しみです。どういうスタイルで戦うのか。どういう風にアジャストしていくのか、試合を視るのが楽しみです。でも、今回は自分の試合の前日だから……見られないのが残念です。

まぁ冗談で『なんで、俺らは3試合もやらなきゃいけないんですか!!』とかは言っていますけど(笑)。本心ではそんなことは全くないです。チャンスがあれば行くに決まっています」

──ハイ。そして止めることはできないです。

「そういう選手ですからね、西川君も。凄く楽しみにしています」

──ではその翌日に戦う──日本人対決ですが、意気込みのほどをお願いします。

「本当に状況が変わって、自分の責任で全ての生活をしていくなかで試合が楽しみでしょうがないです。とにかく、楽しみです。ホント、そこにつきますね。楽しいからやっているし。技術や体力的な部分に、この気持ちを融合させたモノがどういうモノなのか。それを野瀬選手にぶつけたいです。

次に勝つことで決勝という大きな舞台に繋がるので、しっかりと勝ちたいという想いもあります。本当に色々な想いがあります。人生が本当に懸かっているし。この一戦で勝つと負けるとでは大きく変わって来る。

ただ勝てば良くて、負けると悪いモノになるとは思っていないです。思っていないなかで、勝った先の景色を見たいので。そこに向けて、試合まで頑張ります」

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode05対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
松嶋こよみ(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
チェ・スングク(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ジェカ・サラギ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
キム・ミンウ(韓国)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
パラチン(中国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode06対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イ・ジョンヨン(韓国)
ルー・カイ(中国)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
野瀬翔平(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
トップノイ・キウラム(タイ)
パク・ヒョンソン(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
キム・ギョンピョ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
フィリッピ・リマ(ブラジル)

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【RTU ASIA2022 Ep05】中村倫也と戦う野瀬翔平─01─「ホテルで1階に下りて計量できるのは有難い」

【写真】フワフワしていた自覚があったため、集中することができたRoad to UFC初戦だった(C)MMAPLANET

23日(日・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるROAD TO UFC AISA2022 Episode05――バンタム級準決勝で中村倫也と戦う野瀬翔平。

6月の1回戦では元UFCファイターのウリジブレンを下し、本来はキム・ミンウと準決勝を戦う予定であったが9月になって中村に対戦相手が変更された。その野瀬に初めての海外での試合&国際戦で得たモノが何かを尋ね、中村戦に向けての意気込みを語ってもらった。

言葉数は決して多くない。上手く話せるわけでもない。それでも、芯の強さが伝わってくる野瀬の受け答えだった。


──あと2週間ほどでRoad to UFCバンタム級Tの準決勝、中村倫也選手との試合です。現状の仕上がり具合はいかがですか。

「体重が順調に落ちていて、調子も上がっているので順調に仕上がっています」

──6月のウリジブレン戦、初めての海外での試合と国際戦をRoad to UFCという場所で経験してどのように感じましたか。

「大会自体はこれまで戦ってきた場所のどこよりも規模が大きくて、会場もケージも大きかったです。だから飲まれないように気持ちを創ることが一番大切だと思いました。もうフワフワして……『うわぁ、UFCのケージだ』っていう風になってしまっていたので、とにかく気持ちを入れようとしました。だからケージに入った時は、しっかりと気持ちを創ることができていました。そこは上手くいったかなと思います」

──我事ですが、UFCの会場、UFCのオクタゴンに向かう日本人選手のウォークアウト・ソングでテレレが流れると感無量になってしまいました。

「良い経験でした。ただ単純に良い経験だったという風で終わらせて、振り返るようにはしたくないので、そこは気持ちを切り替えています。あと2勝したいです」

──海外でUFCファイトウィークを過ごしたことは、どのような財産になっていますか。

「僕は全くいつも通りでした。何が体調面で崩すということもなかったです。シンガポールは気候も良くて、食事もスーパーに行けば日本食を入手できましたし。次のアブダビはその辺りは分からないですけど、シンガポールは全然問題なかったです」

師匠の経験が弟子に生きる

──生まれ故郷のことが掲載されている旅行雑誌を持って行って、日本を懐かしむことはなかったですか。

「そんなことはなかったです。試合に集中していました(笑)」

弘中邦佳マスタージャパン福岡代表 それ、俺がUFCに出た時のことじゃないですか(笑)。山口のるるぶを持って行って。

──野瀬選手、そんな精神状態の人間をどう思いますか。

「……。何もいえないです……。ただ僕は試合前の滞在も楽しんでいました」

弘中 ジョン・フィッチと日本でやったら、勝っていましたよ(笑)。

──アハハハ。

弘中 しょぼいこと言っていますよね(笑)。あの時の経験、ずっと心に残っている後悔を野瀬がすることないように普段から指導しています。

──押忍。

弘中 でも、日本の旅行雑誌とか持って行っていたのは僕だけのようですね。

──当たり前です。消化とか体のことを考えると、日本食を持ち込むべきですが、精神的には『パスタとステーキを食って勝て』とあの時は思いましたよ(笑)。

弘中 アハハハハ。野瀬は僕みたいなことはないので。

──パスタを食って勝ちますか。

「日本食がなければ、食べます(笑)。それで勝てるかどうかは……別ですが、あまり食べ過ぎないようにして戦います。」

──良い心構えです。

「これまで僕の場合は計量の日に福岡から東京に向かっていたので、そこを考えるとホテルの部屋から1階に下りて計量できるのは有難いです。いつもより、きつい時間が短かったので、凄く楽でした」

──去年の7月に修斗でもフェザー級からバンタム級に落として、戦うようになりました。その場合は、水抜きをした状態で飛行機に搭乗するわけですよね。

「空港に行く前に水抜きを終らせて、飛行機で東京に向かって。到着してからも電車で移動していたので、そこと比較すると本当に楽です」

──水を抜いて、東京に向かうのですか。

「ハイ。到着したら計量の時間ですし、飛行機に乗る前から水分は取らないままです。それでも移動をしているので計算通りに落ちなくて、東京についてから走ったりとかもしてきました」

──飛行機に乗る前に計量をパスする体重を創る必要があるのは……それは厳しいですね。

「着いた時に落ちているという計算ですね」

──いずれにせよ、その日本での計量と比較してシンガポールの時のリカバリー後の体調や気分に違いはありましたか。

「リカバリーなのか、その時の調子なのか分からないですけど、試合当日は体が軽かったです。僕はリカバリーで浮腫んでしまうことがあるので、そこに注意しているのですが、シンガポールでは全然なかったです。疲労感も全然違っていました」

──では本当のところをいえば、ヒザの負傷により初回で終わるよりももう少し長く戦って、体調の違いを知りたいということはなかったですか。

「3Rかけて、削って極めようと思っていたので、あんな風にあっさりと終ることは想定していなかったです。15分間、動きで相手を上回って疲れさせたら俺が取れると思っていたので。そうなるように試合を進めていたところで試合が終わってしまいました。でも、あのフィニッシュを偶然のように思われるのは納得いかないです」

<この項、続く>

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode05対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
松嶋こよみ(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
チェ・スングク(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ジェカ・サラギ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
キム・ミンウ(韓国)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
パラチン(中国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode06対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イ・ジョンヨン(韓国)
ルー・カイ(中国)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
野瀬翔平(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
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<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
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【RTU2022 ASIA Ep.05】イー・チャア戦へ、松嶋こよみ─01─「MMAはスパーでは思い切りできない」

【写真】ミット打ちという名の戦い。凄まじい闘志が伝わってくるミットだった(C)MMAPLANET

23日(日・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるROAD TO UFC AISA2022 Episode05――フェザー級準決勝で松嶋こよみがイー・チャアと戦う。

UFCとの契約に向けて、最後の勝負──つまりMMAファイター人生の正念場となるトーナメント。その準決勝の相手は初戦でSASUKEを破った中国のイー・チャアだ。今も未知数という表現が当てはまる対戦相手との戦いに向けて、6月の1回戦突破から松嶋はどのよう自らのMMAを練り上げてきたか。

MMAファイターとして異端といっても過言でない剛毅會・武術空手を採りいれた松嶋に、ムエタイにいち早く着眼したラディカルMMAファイター=マモル教祖が首相撲のワンポイント指導を行う。唯一無二のスタイルの構築する松嶋をパンクラスイズム横浜でのプロ練習直後にインタビューを試みた。そこには追い込みのピークで疲労が蓄積するなかで、常に戦意を保ち続ける松嶋がいた。


──イー・チャア戦まで2週間強、パンクラスイズムでのスパーとミット打ちを見させていただきました。正直、疲れている。でも研ぎ澄まされている。そのような風に感じました。

「今回、試合までが凄く長く感じるというか……。早い段階からかなりハードなことをやってきたので、全然動けていないと思っていても、ある程度は動けるようになっているのかと思います」

──6月に対戦相手が決まっていました。そこからどのように練り上げ、対策練習をしてきたのでしょうか。

「最初は前回の試合を反省して、見直す。それから自分を上げるための練習をしてきた感じです。そうやってきて、ここ1カ月半ぐらい武田光司選手にパンクラスイズム横浜に週に1度来てもらって対策練習の相手をしてもらいました」

──まず前回の試合の反省点とはどういう部分だったのでしょうか。

「実際の試合での距離感とスパーリングでの距離感の違いですね。試合から遠ざかっていた分、見定めることができなかった。そこが自分のなかで一番反省しているところなので、一度丁寧にやり直そうと思いました。それと組みの部分ですね。結論として一本を取ることができる選手ではないので、どうコントールするのかを打ち込みなどで再確認してきた感じです。

T-Gripのレスリング練習でそこを試したり、T-Gripでの剛毅會空手の稽古でも大塚(隆史)さんに受けてもらったりしてやってきました」

──一本をとらずに勝つ。覚悟を決めて、しんどいことを3R続けるということでしょうか。

「まぁ今までもそうだから、変わりないといえば変わりないんですけどね(笑)」

──ギロチンやダースで極めることができればなという気持ちは?

「ないです(笑)。それができてもラッキーでしかない。つまり、それを使うということは一か八かということになる。もちろん、練習のなかで極めることができることもあります。でも、それは自分の武器としては使えない。自分がやるべきことはそこじゃないので、これからも変わらずにこのままで行こうと思っています」

──今日、RIZINの会見で武田選手がイズムに来ることができなくなり、2人のスパーリングを見ることができなくて残念だったのですが、なぜ対策練習の相手が武田選手だったのでしょうか。

「距離を関係なく詰めてくる。イー・チャア選手はそういうイメージで、あの四つ組みの強さというのは絶対にあると思います。そういう部分を練習する時に、武田選手と練習したいと思いました。打たれ強い部分、打たれても入って来るところですね。相手のことを気にしないで入って来る。そういうところがイー・チャアに一番近い選手が、武田選手でした」

──ただイー・チャアは、どこが本当に強いのか未だに分からないところもあります。

「分からないです。1回戦を見て凄く強い選手だという人もいますけど、どちらかというと『SASUKE君がどうしちゃったの?』という感じで僕は見ていたので。打撃も別に何か怖いという感覚もない。それをいえば打撃がもっと怖い相手や組みが怖い相手と僕は試合をしてきているので。だからといって舐めてかかるわけではないです。

それでもちゃんとSASUKE選手を極めているし、ちゃんとテイクダウンを取っている。その部分では強いんだろうし侮ることができない相手です。でも、自信を持って勝負できる相手だという風には思っています」

──つまり自分を貫くための対策練習をしてきたということでしょうか。

「そうですね。相手がこうしてくるから、こっちはこうするとかでなく、『何をしてこようが関係ないよ』と言えるぐらいの練習をしてきたつもりです。ただ、試合になると空回りしちゃうし、戦闘意欲が異様に上がることもあります(苦笑)。だからこそ、そういう部分とも向き合って戦わないといけない。勿論5分3R、しんどい試合をして戦うなかでいつでもKOできる気持ちで戦います」

──岩﨑さんとのミット打ちは凄まじい一方で、スパーだと本気で打ちこめない打撃の難しさも感じられました。

「レスリングはかなりガチガチでやってきましけど、MMAはスパーでは思い切りできない攻撃が多いです。ただそのレスリング時代でも練習では強くて、試合ではそうでないという選手はいました。そのなかで思い切りミット打ちをやる。岩﨑先生は組手と言っていますが、一つひとつの強さや精度はアレをやることで完成度が上がります。

スパーリングのなかで切り取って、テンポなどダメだったところをミット打ちで修正しています。岩﨑先生にミットを持ってもらうことは僕にはとても大切なことになっています」

──シャドーでも拳をしっかりと握り、手を使って下がる動きなど武術空手の片鱗が伺えました。スパーにしても、構えを変えてからの攻撃や足と拳の連係でも空手らしさもあります。ただし、ミット打ちは移動稽古や型で知る武術空手の理がどこにあるのかは外面では見えなかったです。

「今日はヒジ打ち、ヒザ蹴りが主だったので。でもやる時はやっています。下がる動きを重視するときは、もっと空手の動きになっているでしょうし。下がってコンビネーションというのも普段にやっています。

でも今日のミットにしても、あの距離と高さ引き出したところで、相手を前に出させるという動きを実はやっていました」

──なるほどぉ。

「それにパンチ1つを取ってみても、流れてしまうのではないということも意識しています。言ったら、打ち抜くというよりもサンチンの突きという感覚でやっています」

──とはいえ周囲からはパンチを打ち抜けというアドバイスは当然のように飛んでいます。自分自身の意識と周囲の意見の隔たり……これは従来のMMAやコンバットスポーツを見る目として当たり前のことで、そこに岩﨑さんとのミットと周囲との違いが顕著になると感じることはないですか。

「結局、やるのは自分ですから。人の声に惑わされずという感覚でもいます。そのなかで武術空手だけでなく、フルコンタクト空手で使える部分もありますし、ムエタイから使える部分もある。色々なことを指導してもらって、自分で責任をもって戦うということですよね。

自分の戦いに当てはまるのか、当てはまらないのか。その取捨選択は自分でやります。そのなかで先生とのミットをすることで、回転速度や切れ、精度が上がるので試合に向けて良い状態になっていると感じています」

──岩﨑さんとマモル選手がイズムで首相撲の技術交流、技術談義をしている。非常に興味深かったです。

「実はあんな風に2人が話し込んでいたのは、珍しいことです。普段は先生とマモルさんが鉢合わせになることがなかったので。僕自身、マモルさんのヒザの出し方やヒジ打ちが先生の出し方や打ち方と違うことは分かっていました。それを僕が先生に説明するよりもマモルさんに説明してもらった方が絶対に分かりやすいと思います。そういう風にマモルさんと先生がすり合わせてくれるのは凄く有難いです」

──北岡悟率いるパンクラスイズム横浜が、MMAの梁山泊になっているようですね。面白いのが岩﨑さんと松嶋選手のやりとりのなかで、指導を受けている松嶋選手が「これは使えないです」とハッキリと口にしている点でした。それが岩﨑さんも指導でなくて、自分の稽古になっているという部分なのかと。

「ハイ。僕は『これは使えない』としか言えないことを、マモルさんがその理由を先生に論理的に説明してくれる。

もちろん、僕にとってマモルさんの技術が全てではないです。それこそ僕が自分でやるといっていた取捨選択を2人が理解を深めてしてくれると……僕にとっては一番楽なことで(笑)」

<この項、続く>

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode05対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
松嶋こよみ(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
チェ・スングク(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ジェカ・サラギ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
キム・ミンウ(韓国)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
パラチン(中国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode06対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イ・ジョンヨン(韓国)
ルー・カイ(中国)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
野瀬翔平(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
トップノイ・キウラム(タイ)
パク・ヒョンソン(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
キム・ギョンピョ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
フィリッピ・リマ(ブラジル)

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【RTU ASIA 2022 Ep.05】UFCへの道、準決勝=キム・ミンウ戦へ。風間敏臣─01─「病みつきになります」

【写真】極めへのこだわり、殺気をはらんだスパーを風間は行っていた(C)MMAPLANET

10月23日(日・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるROAD TO UFC AISA2022 Episode05――バンタム級準決勝で風間敏臣がキム・ミンウと戦う。

6月の1回戦で沸き起こったUFCのとの契約を勝ち取るという想い。そして勝利直後から中村倫也戦を想定して創り上げてきながら9月になって対戦相手がキム・ミンウに変更された。レスラーからストライカーへ、大きな軌道修正が必要な状況も過去最高のデザイアを持つ風間に大きな影響を与えることはなかった。

そんなキム・ミンウ戦まで2週間強、10月7日のHEARTSプロ練習後に風間の話を訊いた。


──スパーリングの最後のセッションだけ見せていただいたのですが、相当に気合が入っていますね。

「ハイ。そうですね」

――極めに行く直前のバックグラブからのパンチ、練習としてはギリの線かと感じるほど殺気がありました。

「アハハハ。そんなことないです。ちゃんと肩を殴っていますから。顔面を狙うことはないです。ただ、最初はちょっと顔に入ったので肩に切り替えました(笑)」

――顔面のイメージで、力を入れて肩を殴ると。

「ハイ」

――Road to UFC準決勝まで2週間少し、上々の仕上がりに見えました。

「体調は万全です。疲労は溜まってきても、それはしょうがない時期ですし」

――6月の1回戦。セコンドの大沢ケンジさんが、ケージサイドに立った時に『UFCなんだ』と気持ちが上がったと言われていました。風間選手はいかがでしたか。

「僕はUFCに対して、あまり思うことがなかったです。でも会場について『ここにいたい』っていう気持ちが凄く湧き上がってきて。自分は『何が欲しい』とかあまり思わないんですけど、あれだけ『欲しい』って思ったのは初めてでした。『UFCとの契約が欲しい』――そう思いました。本当にこれまでは『××で戦いたい』とかなくて、自分が進んでいくなかで見えてくるところで戦えるよう探っていきたいという感じでした。

でも、あの舞台に触れることができて『ヤバいな』と。Road to UFCってUFCのサブもサブじゃないですか。ほぼほぼ観客もいないなかで、あれだけ自分の気持ちが動いた。ということは、本戦に出た時はヤバいだろうなって。スタッフの待遇とかも、もっと変わってくるだろうし。それを何としても手にいれたいと思いました」

――取材をしていてONEと同じ会場だけど、別世界でした。UFCの歴史の重みというか、頂の高さと言うか。何か雰囲気が違っていました。

「僕はONEを味わったことがないのですが、なんか雰囲気が凄くて。アレを味わっていないから、以前の自分のように気持ちが動くことがない選手が多いんだと思います。アレを知ってしまうと……ダメっすね(笑)。病みつきになります」

――PPV出場選手と同じファイトウィークを過ごしました。そこで感じ入ることもありましたか。

「そこは僕は本当に選手のこととか知らないので、大沢さんに『××だ』とか教えてもらうような感じで。自分は知らなかったから、何も思わなかったです。それなのに会場入りしてからは……痺れました。最高でした」

――その気持ちになったのが6月9日でした。それから準決勝まで4カ月以上あるわけですが、1回戦が終わってからどのように過ごしてきましたか。

「終わった後は次の相手は中村倫也だと思っていたので、本当にそこに向けて創っていました。試合が終わってホテルに戻ってから、もう大沢さんと次の試合に向けて話をして。帰国して、数日間休んで。次に大沢さんと話をした時も、準決勝に向けて話を詰めていくというか……。それからどんどん創ってきました。

それが9月になってキム・ミンウに相手が代わって(笑)。まぁ気持ち的には何も変わらないのですが、相手がやってくることはメチャクチャ変わりますよね(笑)」

――中村選手と戦うという想定していた時は、どのような準備を?

「それは言えないです(笑)。決勝で戦う可能性が残っているので。ちょっとそこは申し訳ないです」

――確かにその通りです。失礼しました。それだけ創っていたといことですね。

「ハイ。対戦相手がキム・ミンウになると知ったのは、MMAPLANETの記事を見るのと、ほとんど同じタイミングでした」

――そうなのですか!! 実は私がその情報を得た時にUFCアジアに『正式発表はいつ?』と問い合わせをして。『正式発表の時期は分からないけど、事実だからあなたの得た情報を記事にしてもらって構わない』という返答で。

「ほんと記事を読んで『えっ?』と思ったタイミングで、大沢さんから連絡があって。アハハハハ。ビックリしました。正直、最初は『マジかよ』と思いました。やってきたことが後回しになってしまうので。でも少し考えると、確かに日本では中村倫也で盛り上がっているかもしれないけど、世界的に見たらキム・ミンウの方が評価が高いんで。自分にとっては美味しい話です。

と同時に誰と当たっても強くて、楽な試合はないので誰でも良いっていう気持ちでもありました」
――とはいえ野瀬選手と戦う準備をしていたキム・ミンウは、風間選手に代わってもグラップリング主体のファイターということで、さほど修正は必要ないと思ったかもしれないです。

「構えが逆――なぐらいですよね。自分の場合は、一旦白紙に戻してキム・ミンウ対策をしてきました」

――ほぼ3年ブランクのある選手です。過去の試合映像で、どの試合を参考にしましたか。

「試合は一通り見ました。でも一番チェックしたのは、2017年4月のキム・スーチョル戦ですね。ちょうどキム・スーチョルと扇久保(博正)選手の試合があったので、そこと見比べる感じで」

――そこで得た印象というのは?

「倒せますね。倒せるっていうことです。でも間違いなく強い。圧倒したいけど、無傷では帰ってくることはできないです。でも圧倒します」

――キム・ミンウと戦うことで、4月の齋藤奨司選手との試合の経験が生きてくるということはありますか。

「距離とか違うし、そこは余りないです。ただし、跳びヒザに関してはアレからずっと意識するようになりました。そこは良い経験になりました(笑)」

――テイクダウンにヒザを合わせる、戦い方として正論です。ただし、ドンピシャで入ることは滅多にない。テイクダウンを奪えるパーセンテージと当てられるパーセンテージは圧倒的に前者の方が高いかと。

「自分もそう思っていました。自分が生きている間に、そんなことは起こらないぐらいで思っていました。パンチならまだしも動いているなかで、跳びヒザを当てるって。あの試合は事故だと色々な人は言いますけど、そうではないです。

動画を視ると、自分が頭を振った瞬間に齋藤選手はモーションに入っていました。きっとめちゃくちゃ練習をしてきたはずです。だからあのヒザは事故ではなくて、齋藤選手に僕がはめられた結果です。キム・ミンウだってヒザがある。そこを考えて対策を立てています」

<この項、続く>

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode05対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
松嶋こよみ(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
チェ・スングク(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ジェカ・サラギ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
キム・ミンウ(韓国)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
パラチン(中国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode06対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イ・ジョンヨン(韓国)
ルー・カイ(中国)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
野瀬翔平(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
トップノイ・キウラム(タイ)
パク・ヒョンソン(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
キム・ギョンピョ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
フィリッピ・リマ(ブラジル)

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【RTU ASIA 2022 Ep.06】UFCへの道、準決勝=野瀬翔平戦へ。中村倫也─01─「達人がここにいる」

【写真】ちょっとリー・ジンリャンな中村倫也(C)MMAPLANET

10月23日(日・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるROAD TO UFC AISA2022 Episode06で、中村倫也が野瀬翔平と対戦する。

UFCとの契約を賭けたトーナメント準決勝まで3週間を切り、追い込み練習の真っ最中というなか中村はこの日(※10月5日)、正午前から夕方までパンクラスイズム横浜で汗を流し続けた。

プロ練習、ファンクショナルトレ、そしてマモルとのパーソナル。中村はキャリアの分岐点となる一戦を前に「未来を見据えた」トレーニングもしていた。


──Road to UFCまで3週間弱、現時点での仕上がり具合はいかがですか。

「実家住まいで移動が大変という面はやはりありますが、自分のことを本当に応援してくれる人が常に近くにいる。5年以上1人暮らしをしていた時と比較すると、今の状況はモチベーションになりやすいと改めて実感しています。1日1日のエネルギー量が増えた。『1日24時間じゃ足らない。もっと練習したい』という感覚が久しぶりに戻ってきています」

──そんななか今日はパンクラスイズム横浜での練習となりましたが、スパー等も少し軽めのように映りました。

「そうですね、時期的にも疲労がピークにあるのはもうしょうがないことで。だからこそ自分のやるべきことの確認、そのためのムーブメントとグラップリングの対応……これはしつこいタイプの野瀬選手と戦うための対策練習でもあります。そこを頭においてスパーリングを行い、そのまま岳(大宮司)さんと打撃から組みのつなぎという部分でのファンクショナルトレーニング。そして、このインタビュー後にマモルさんのプライベートで、首相撲の指導を受けます」

──疲労がピークで確認作業と言いつつもスパーリング中心のプロ練習が正午から1時間半、そしてファンクショナルトレーニングが1時間、本来であればそのままパーソナルに入るところで取材を挟ませてもらったということで、実際は3時間半ぶっ通しのトレーニングではないですか。

「だからこそ体の訴えを全て感じ取って、無理をして良いところとしないところの見極めをしながら練習しています。そのためにも午後はずっとパンクラスイズム横浜さんで、練習を続けさせてもらうことにしているというのもあります。移動は実家とここだけで、間に何か挟まない。違う場所に移動すると、疲労が蓄積してしまうので。移動時間は減らして、パンクラスイズム横浜さんで集中して体を動かすようにしています。

ここにはそれぞれの部門でプロフェッショナルが集まっているので、凄く有難い環境で練習させてもらえています」

──マモル選手と倫也選手の組み合わせは、凄く新鮮に感じました。

「でもMMAに転向してから、パンクラスイズム横浜のプロ練習に参加させてもらっていて、月に2回はマモルさんが仕切る日だったんです。だから2年前から少しはマモルさんから教わっていました。この間にマモルさんに習ってきたことが、色々なパーツを接合……融合しやすいと感じていたので、パーソナルをお願いすることにしたんです」

──打撃と組みの融合、それが首相撲ということなのですか。

「メインが組み相撲ですね」

──私の印象ではレスリングは力のぶつけ合い、真っ向勝負だという感覚をずっと持っていました。ただし、R-1のリコ・チャッパレリのスパーリングを見た時に引退して10年以上も経つリコが、MMAファイターにほぼ手をつかわず肩を使っていなすなどしていて。『レスリングの達人は合気道だ』と感じたことがありました。

「マモルさんも達人です。先週とか『ちょっと組んでみようか』と言われて、胸を合わせて取り合ったらめっちゃ吹っ飛ばされました(笑)」

──五輪を目指し、U23で世界チャンピオンだった倫也選手のレスリングは、達人系ではなく真っ向勝負系だったのですか。

「実は……自分では体の機能とか他の選手とは違っていると思っていて。力でやるのではなく、抜いても戦えるという気でいました。でも今となっては、こうやってマモルさんと組ませてもらったりしていると、まるっきり力でやっていたことが分かりました。ホントに、達人がまさにここにいるという感じですね(笑)」

──マモル選手は東農大でレスリングの出稽古をしており、そこからムエタイに傾倒していったことで、MMAに適した首相撲を身に着けたという印象が強いです。

「その通りだと思います。シチュエーションによっては大木のように大地に根をしっかりと張っていて、びくともしない。でも、違う状況になると滑落……重心がストンと抜けるような動きでいなされます。脱力こそ最高のスピードが出るので、そこがマモルさんは本当に上手いです」

──まさにJ-MMA界のエロ系……もとい無形文化財ですね(笑)。

「アハハハ。現状、僕はまだMMAでは常にフルパワーのように動いてしまうので、その足りない要素をマモルさんに教わり、力や瞬発力でいくところとミックスすることで、凄く良いモノがデキるんじゃないかと思っています」

──世界レベルのフリースタイルレスリングと、達人の首相撲の融合。これは楽しみです。

「そうですね、要所でヒジを入れてレベルチェンジだとか。それがあることでテイクダウンを取りにくい選手からも、取れるようになるだろうし。そこをイメージしつつ、ミットでは絶対的な動きをバンバン打つことで、体に落とし込んでいます。そういう風に流れが切れないミットを持ってくれて、自然と体から出るような感じの創り方をしてくれます」

──MMAに落とし込む。そこをイメージできるという部分こそ、中村倫也の最大の武器ではないかと。

「ただし、これが次の試合で成果が出るかと言えば、そんなに簡単なモノでないです。やはり試合ですから、色気を出すようなことはしたくない。それで足下をすくわれると元も子もないので。実際にそういう経験をたくさんしてきましたし。だから、マモルさんから習っていることが次の試合で出るかは分からないです。ただし、ここが勝負だという時には形になっていたいですね」

──つまりはUFCとの契約を賭けたトーナメント戦のなかでも、次の試合に勝つためだけでなくベースアップとなる練習も続けてきたということですか。

「ハイ。常に野瀬選手のことは意識していますけど、そこが当然あるうえで未来を見据えた練習をしていくということですかね」

──では改めてですが、野瀬選手の印象を教えてください。

「大変な過去がある(※高校時代に柔道の試合で首を骨折。呼吸ができなくなる危険な状態で、搬送された大学病院では手術ができないほどの重症だった。運よくこの症状に対応できる日本で2つしかない病院の1つがドクターヘリで移動できる距離にあり、脊椎損傷センターで足の骨を削り、脊椎を繋いで固めるという6時間の手術を受けて命を繋ぐ。野瀬本人によると術後は『痛みという言葉の範疇に入らないほど全身が痛いけど、何もできないので殺してくれと泣き叫ぶばかりでした。また手術をして、あの痛みを経験するなら舌を噛んで死のうと思っていました』という状態だったという。痛みが消えたのは1年後、それでも一生車椅子の生活と宣告をされたが、強靭な肉体と精神力で体を縛った状態で立った状態を保つというリハビリを経て、文字通り奇跡的に回復。『拾った命、体だからやりたかったMMAをやろう』と柔道ではなく、MMAの道を進むこととなった)選手です。

正直なことをいえば、対戦が決まるまで余り注目していなかった。でも改めてちゃんと試合をチェックすると、蹴りが上手くてグラウンドも強い──普通に強いだと思いました。気を抜くことはできないです」

<この項、続く>

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode05対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
松嶋こよみ(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
チェ・スングク(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ジェカ・サラギ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
キム・ミンウ(韓国)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
パラチン(中国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode06対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イ・ジョンヨン(韓国)
ルー・カイ(中国)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
野瀬翔平(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
トップノイ・キウラム(タイ)
パク・ヒョンソン(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
キム・ギョンピョ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
フィリッピ・リマ(ブラジル)

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『ROAD TO UFC ASIA 2022』準決勝は10月23日アブダビで開催/対戦カードも決定






エピソード5:10月23日(日)湾岸標準時15時/日本時間20時
フェザー級:イー・ジャー(中国) 対 松嶋こよみ(日本)
フライ級:チウ・ラン(中国) 対 チェ・ソングク(韓国)
ライト級:キ・ウォンビン(韓国) 対 ジェカ・サラギ(インドネシア)
バンタム級:風間敏臣(日本) 対 キム・ミヌ(韓国)
非トーナメント戦フェザー級:パラジン(中国) 対 佐須啓祐(日本)

エピソード6:10月23日(日)湾岸標準時17時/日本時間22時
フェザー級:リー・ジョンヨン(韓国) 対 ルー・カイ(中国)
バンタム級:中村倫也(日本) 対 野瀬翔平(日本)
フライ級:トップノイ・キウラム(タイ) 対 パク・ヒョンソン(韓国)
ライト級:アンシュル・ジュブリ(インド) 対 キム・ギョンピョ(韓国)
非トーナメント戦バンタム級:シャオ・ロン(中国) 対 フェリペ・リマ(ブラジル)

 『ROAD TO UFC ASIA 2022』準決勝の日程と対戦カードが決定。バンタム級トーナメントは風間敏臣 vs. 中村倫也、キム・ミンウ vs. 野瀬翔平の予定でしたが、シャッフルされています。理由は不明。また、フェザー級トーナメント1回戦のイー・ジャー戦で試合中に右肘を脱臼し直後にリアネイキッドチョークで敗れたSASUKEこと佐須啓祐はワンマッチで出場します。

 日程は日本時間10月22日午後11時からアラブ首長国連邦アブダビのエティハド・アリーナで『UFC 280: Oliveira vs. Makhachev』が開始、同大会のメインカードは10月23日午前3時開始で午前6時頃に終了。その後午後8時から『ROAD TO UFC ASIA 2022』エピソード5、午後10時からエピソード6が行われます。UFC Fight Passの他にABEMAでも生配信予定です。

【RTU ASIA2022】中村倫也が、これからを語る─01─「ケジメをつけることができたとも思っていない」(MMAPLANET)

【RTU ASIA2022】中村倫也─02─「『UFCチャンピオンになります』と口にすることは止めました」(MMAPLANET)

 その他UFC情報。続きを読む・・・
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【RTU ASIA2022】準決勝大会が正式発表、10月23日──日本時間で午後8&午後10時スタート!

【写真】松嶋が某RIZINファイターと対策練習をするなど、既に各選手の準決勝での戦いは始まっている(C)MMAPLANET

13日(火)、UFCよりRoad to UFC ASIA2022準決勝の10月23日(日・現地時間)にUFC280「Oliveira vs Makhachev」ウィークの一環としてUAEはアブダビで開催されることが正式発表された。

先日、明らかになったようにバンタム級のトーナメントでシャッフルが見られた以外は、6月に勝ち上がった選手が順調に対戦することになっている。

1回戦大会と同じく、1大会で5試合=4階級の準決勝とワンマッチ1試合がダブルヘッダーとして実施される。そのワンマッチでは日本からSASUKEがライト級マッチに出場し、ライト級Tを欠場した中国のパラチンとエピソード05で対戦する。

同様にエピソード06では同じく中国からバンタム級T初戦をキャンセルしたシャオ・ロンが、フィリッピ・リマとのワンマッチが決まった。


日本のファンが気になるのはイベントスタート時間、松嶋こよみ、風間敏臣が出場するエピソード05は湾岸標準時の午後3時、つまり日本では午後8時スタート。中村倫也×野瀬翔平が行われるエピソード06は午後10時スタートとなり、1回戦と同様にABEMAでも中継される見込みだ。

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode05対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
松嶋こよみ(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
チェ・スングク(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ジェカ・サラギ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
キム・ミンウ(韓国)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
パラチン(中国)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode06対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準決勝/5分3R>
イ・ジョンヨン(韓国)
ルー・カイ(中国)

<Road to UFCバンタム級T準決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
野瀬翔平(日本)

<Road to UFCフライ級T準決勝/5分3R>
トップノイ・キウラム(タイ)
パク・ヒョンソン(韓国)

<Road to UFCライト級T準決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
キム・ギョンピョ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
フィリッピ・リマ(ブラジル)

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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:6月:松嶋こよみ✖ホン・ジュンヨ「気持ちでも削りきった。完勝」

【写真】負けられないプレッシャーがあるなかでの、松嶋の精神力の強さを水垣氏は感じていた (C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、水垣偉弥氏が選んだ2022 年6月の一番。9日に行われたRoad to UFC ASIA12022#02から松嶋こよみ×ホン・ジュンヨン戦について語らおう。


────水垣さんが選ぶ6月の1番は?

「こよみちゃんと✖ホン・ジュンヨンの試合ですね。6月は全体を通して、Road to UFCが一番響いた大会でしたし。そのなかでベストバウトが、この試合でした」

──松嶋選手はキャリア終盤の時期に、練習パートナーでもあったと思います。

「そうですね。3、4年ほどパンクラスイズム横浜の水曜日のプロ練習でやって。それとタケ(大宮司)さんとのフィジカルでも一緒でした。だから……やはり来るものがある試合でした。

年齢的にもRoad to UFCのなかで上の方ですし、これがラスチャンスかもしれない。本当に頑張って欲しいと思って視ていました。でも一緒に練習していた時と比較しても、全然強くなっていて。スイッチの使い方も巧かったです。特に打撃が変わっていました」

──松嶋選手自身は、技術的な部分は納得できていなかったようです。

「まぁ、相手がいるなかで何を出せるかは練習とは違ってくるところはありますしね。同時に相手が本当に斬りにくるからこそ、できることもあります。本気の相手に、本気で返す。これって試合でしかできないことで。だからこそ、試合に出ると強くなれます。

そこは試合でしか学べない。ある意味、練習量ではカバーできないものです。ただし、練習しないと出せない。練習をやってこそのメンタルの強さ勝負なんです」

──水垣さんは本番に強いメンタルの持ち主だったかと。

「そうですね。僕はミットもシャドーも綺麗に打てる選手ではなかったですし。同時に、あの試合ができて試合内容に不満を感じるというのは、どれだけこよみちゃんがやってきたことが厳しいことだったのかということですよね。

僕が見ていて組みもそうですが、打撃はさっきも言いましたが、スイッチの使い方が本当に上手かったです。常に奥手で力のあるパンチを出すことができるように戦っていたように見えました。

Road to UFCというトーナメントは、出場選手の賭けている気持ちは下手をするとUFC本戦よりも強いと思います。これは日本人選手だけでなく、韓国人選手もそうです」

──積んできたものが、日本人選手と韓国人選手は違うように感じました。

「ハイ、こよみちゃんと戦ったホン・ジュンヨンにしても、スプリット判定はないだろうとは思いますけど、本当に頑張っていましたよね。

ヒザでダウンをしているのに、立て直して。実力ではこよみちゃんが上だと試合前から思っていました。でも簡単にはいかない。それはホン・ジュンヨンが精神力の強い選手だからで。彼も後がない。若手でなくて、仕上がっている選手で。覚悟が決まっている者同士の試合でした。

そういう相手と戦って、こよみちゃんが気持ちでも負けなかった。試合後にホン・ジュンヨンはガクッときて、座り込んでいました。あの姿を見ると、内容的にも完勝だった。気持ちでも削りきったという印象を持ちました」

──ホントに賭けている気持ちがどれだけ強くとも、勝ち上がれるモノではないトーナメントで、ある意味相手の気持ちを折るという難しい作業をやってのけたわけですね。

「そうだと思います。堀内佑馬選手の敗北、SASUKE選手も負けてしまったわけですからね。厳しいトーナメントです。いやぁ、でも堀内選手はフライ級の優勝候補だと思っていたのですが……。

堀内選手に関しては、彼はずっとコンテンダーシリーズに近いファイトスタイルのLFAで戦ってきました。ガンガンやり合うのが、今の北米でステップアップする方法論で。そこで戦ってきたので、トップノイの前に出ずに、隙をついてくるスタイルは戦い難かったんじゃないかと思いましたね。

どちらかというと、のらりくらりの戦い方にアジャストできなかった。勝利+試合内容、米国でUFCと契約するにはガンガンやり合うことが欠かせないです。対してRoad to UFCは優勝が唯一の目標なわけですし、トップノイはしっかりと勝ちに徹していました」

──最終回、バックグラブで終わったことについてはどのように思いましたか。

「何かしら理由があったと思います。スタンドに戻っても挽回できないという気持ちもあったかもしれないですが、それでも一本や殴るにいくものですしね。それは堀内選手も当然やるべきことと理解しているに決まっています。それでも、出せなかったのは何か理由があったのだろうなと。だから、何があったか分からないので、あのままで終わったことも何も言えないです」

──それも試合だから、なのですね。では松嶋選手と次に戦うイー・チャア、つまりSASUKE選手に勝ったファイターに関しては、どのような印象を?

「どういう状況であろうが、あんな風にSASUKE選手をテイクダウンできるのだから強いです。僕はSASUKE選手の方が強いと思っていたので、あのテイクダウンからイニシアチブを握るのだから強い選手だと思います。

SASUKE選手云々でなく、こよみちゃんがあの場で精神的に踏ん張れたのは、やはりONEで相当に強い選手と戦ってきたことが理由の一つに挙げられると思います。ホン・ジュンヨンも強い選手ですけど、ONEで戦ってきたマラット・ガフロフやマーチン・ウェンと戦ってきた経験があるので、そこは精神的も大きかったはずです。

僕がWECからUFCに契約が移管されたときに、バンタム級のファイターが増えて、その分WECよりも正直楽な相手が増えました。WECで戦ってきた時の経験が、そこで精神的に余裕を与えてくれたのは確かです」

──後楽園ホール、ディファ有明レベルからWEC初戦のシカゴ・UICパビリオンでのファイトに緊張することは?

「楽しくてしょうがなかったです。あの夜のことは一生忘れることはないと思います。会場はミゲール・トーレスの地元で、もの凄いブーイングのなか入場中にファンにドンって突き飛ばされて(笑)。もう、本当に楽しかったですね。『やるしかない』って。

でも、Road to UFCって違いますよね。僕がWECに挑戦した時は、若くて前しか向いていない。負けてどうだとか一切考えていなかったです。でも、こよみちゃんにとってRoad to UFCって負けたら終わり、人生が懸かった瀬戸際の試合です。いうと僕がUFCをリリースされて、また戻るためにACBを選んだ時と同じで。

あのときは、僕自身負けられないというプレッシャーを感じていました。そういう状況で、あのパフォーマンスをこよみちゃんはやってのけた。だから次のイー・チャアは当然として、決勝の相手は恐らく元Road FC王者のイ・ジョンヨンだと思いますが、こよみちゃんが出し切ることができるなら、あの猛者を相手にしても6-4で有利だと思っています」

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【Fight&Life】Road to UFCフェザー級T準々決勝、勝ち抜き。松嶋こよみ「僕には極めないがないから…」

【写真】バックコントロールも、そこからの戦いによって組み方、使い方が変わって来る (C)MMAPLANET

28日(火)に発売されたFight&Life#91に9日(木・現地時間)にシンガポールで開催されたRoad to UFCフェザー級T準々決勝で勝利した松嶋こよみのインタビューが掲載されている。

ここでは同記事に掲載しきれなかったシンガポール・インドアスタジアムで戦う利、今後の課題で見えたボディロックコントオールなどについて松嶋が話したことをお届けしたい。


──試合前に気持ちが昂ることはなかったですか。

「会場に入っても、冷静に……多分、チームのなかでも一番冷静に準備は出来ていたと思います(笑)」

──勝手ながら他の日本人選手はシンガポール・インドアスタジアムでの試合は初めてですが、松嶋選手はONE時代に経験しています。建物自体を知っているし、そしてRoad to UFCは平日開催ということもありガラガラでした。その部分もONEで無観客大会を経験していることはポジティブに働くことはなかったですか。

「あぁ、確かにそうですね(微笑)。1度試合をしたことがある会場だと、勝手が分かっているというのはありました。だから変な緊張もなく、試合前も普通に過ごせたと思います。そうやって指摘されるまで気付いていなかったですけど、国内だけで戦っている選手より平常心でいることができていたのかもしれないです。

ホントに何もない、だだっ広いところにオクタゴンが置かれていて。ONEと違い、花道もなかったので余計に広かったですが、ONEで戦ってきたことが生きていたと思います。海外の経験、大きな会場、シンガポールでの過ごし方や創り方に関しては、何度もやってきたことなので場数を踏んできたことが役立ったとは思います。とにかく、戸惑うことがないというのは、試合に向けて違いになったかと思います」

──UFCとONEでは受付、メディアルームとまるで違っていて、逆に私などは戸惑いました。2019年のシンガポール大会もそうだったはずなのに。

「そうなんですね。僕ら選手の立場だと、本当に何も気になることがなかったです」

──相当にタフな試合内容で、結果的に根性ファイトで攻めに行く気持ちが問われコンテンダーシリーズ・ファイトになっていました。結果、UFC関係者の受けも良かったようです。

「本当にホン・ジュンヨンが強かったです。彼が強かったから、ああいう試合になりました。とにかく……めちゃくちゃしんどかったですね(苦笑)」

──経験値が上がったファイトになりました。この試合で何を得られたと思いますか。

「良い相手と1回戦を戦えて、次の試合に必要なモノが何か分かりました」

──次の相手はSASUKE選手にRNCで一本勝ちしたイー・チャオ選手です。事前にインタビューをしている時に、『なぜ、この選手はこの面子に入ってここまで自信があるのか』と感じました。結果的にSASUKE選手にケガがあったとしても、ああいう自信ってファイターにとって武器になるんだなと再確認しました。

「そうですね、体も強そうだったし。でも、SASUKE選手のような負け方はしないです。今回の試合で打撃の距離とともに組んで倒した後にも課題が見つかりました。結構、滑ってコントロールができなかったです。ただ、試合中は汗もかくし当然滑るのですが、その対応が甘かったですね。

ああいう風になった時、どうしていくのかも課題で。本当は一つ極め技があればとは思いますけど、そういう部分も周囲と話して考えていきます」

──極めがないにも積み重ねで。その分、打撃でやり敢えてテイクダウンも取れるというスタイルがあるわけですし。

「極めないとって指摘されるのですが、ないモノはないんですよね。ただ今回はボディロックの部分や壁際の攻防、起こして倒してという部分は青木さんに教えてもらったことで、本当に助かりました。その上で僕にはあそこから極めがない。ならばボディロックの仕方も、変化させる必要がある。そこにすら、気付いていなくて」

──とはいえ勝って、気付けたわけですから。良しとすべきではないでしょうか。

「そうですね。そこに気付けたということは、色々な視点から自分の組みを見つめ直すことができます。当然のように青木さんの考え、八隅さんの考え、北岡さんの考えとそれぞれでボディロック、組みの組み方でも違っています。僕には極めないがないから、八隅さんの考える方向で伸ばしていくのか……とか、そういう難しい判断をしていかないといけないです」

──組みが命綱でない、組みということですね。

「そうなんです。打撃に戻る方が良いこともあるでしょうし。ただ組んでテイクダウンしたなら、優位なポジションをキープすべきですし。その時にどこで重心を掛けるのか、今回の試合も映像を見返すと、やってはいけないことを何度もやって立たれてしまっていました。そこは打ち込みとかで変えていかないとダメですね。

普通に考えて決勝の相手はイ・ヨンジョンだと思うので、彼に勝つことも頭の残しつつ、どういう風に組み立てていくか。そこを考えないといけないですね。ただ、あの試合も相手が弱かったので、次のルー・カイは打たれ強くて、テイクダウンが取れるので。次の試合がどうなるのか、見極めたいです。あと2試合は絶対に勝ち残らないといけないので、決勝まで考えないといけないですし。こういう本格的なトーナメント戦は初めてなので、いろいろと勝手が違ってきますね。

でも2カ月半前のこれからどうなるんだという状態から、次の試合とその次の試合が控えている状況を嬉しいと捉えるようにしています」

※激闘となったホン・ジュンヨンとの試合の反省点、SASUKEとの日本人対戦が準決勝で実現しなかったことなどを松嶋こよみが語ったインタビューが掲載されたFight&Life#91は6月28日(火)より発売中です。

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