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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase350 Pancrase351 名田英平 柳川唯人

【Pancrase350】柳川が初回に名田をパウンドアウト。フェザー級KOP決定戦の勝者へ挑戦をアピール

【写真】これだけご機嫌になるのも理解できる快勝(C)MATSUNAO KOKUBO

<フェザー級/5分3R>
柳川唯人(日本)
Def.1R3分21秒 by TKO
名田英平(日本)

左右にステップを踏む柳川。右ローの交錯で名田が尻もちをつく。背中もつけた名田が柳川の右足を取ると、柳川も名田の左足を極めに行く。すぐに名田は立ち上がり、両腕を差し入れてケージへ。柳川が体勢を入れ替える。ボディロックで組まれた柳川が、右オーバーフックから左足で小外刈りへ。これを耐えた名田を、右足の小外刈りで倒した。立ち上がる名田のバックに回った柳川。名田がスクランブルに持ち込むが、柳川がバックを制した。左足を差し入れ、左腕を首に回す。四の字フックで固めると、RNCからパウンドとヒジに移行した。体を起こす名田に、再度RNCを仕掛けるも極められず。そのままマウントから左パウンドを連打、レフェリーストップを呼び込んだ。

勝利した柳川はバク宙を披露。試合後には、夜の部(Pancrase351)で行われるフェザー級KOP決定戦の勝者への挑戦をアピールした。


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45 AB MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase350 ギレルメ・ナカガワ ブログ 渡邉泰斗

【Pancrase350】流れるようなグラウンド技術。ナカガワがバックからの腕十字で渡邉を仕留める

【写真】エグい極め方でナカガワはプロ初勝利(C)MATSUNAO KOKUBO

<63キロ契約/5分3R>
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)
Def.1R2分20秒 by 腕十字
渡邉泰斗(日本)

渡邉が左ハイで先制。続いて左フックを見せるも、ナカガワがブロックする。渡邉の左インローがヒット。ナカガワはプレスをかけてパンチを伸ばす。ガードを固めて右ローを当てるナカガワの顔面を、渡邉の右ボディストレートからの返しの左フックが捕らえる。ナカガワは渡邉にケージを背負わせ、ダブルレッグで組んだ。バックに回り、リフトアップからグラウンドへ。バックマウントを奪取したナカガワは左側に回り、渡邉の左腕を十字で伸ばす。うつ伏せになった渡邉は苦悶の表情でタップした。


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45 AB MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase350 時田隆成 砂辺光久

【Pancrase350】レスリングの猛者、時田がMMA2連勝。バックコントロールからヒジ連打で砂辺をストップ

【写真】時田が砂辺につけ入る隙を与えず完勝(C)MATSUNAO KOKUBO

<フライ級/5分3R>
時田隆成(日本)
2R4分42秒 by TKO
砂辺光久(日本)

開始早々、砂辺が距離を詰めるも跳びヒザなどはなし。ガードを固めて時田と向かい合う。サウスポーの時田は左に回って、シングルレッグで尻もちを着かせた。体を起こす砂辺は、時田が体重をかけてくるとニンジャチョークも狙う。時はケージまで下がる時田にバックコントロールからパンチの連打を浴びせる。立ち上がる砂辺を押さえ、さらに頭をマットに叩きつけた。砂辺は立ち上がり切ることができない。スタンドの状態でバックに飛び乗る時田。足を差し入れることはできなかったが、バックコントロールでグラウンドに引き戻す。

ここでバックマウントに移行した時田は、パンチで削りながら左腕を砂辺の首に回す。アゴを入れて耐える砂辺。RNCを外した時田は四の字フックに切り替える。砂辺はケージウォークも脱することはできず。時田が四の字フックをキープし、体を起こして右ヒジを入れたが、これは後頭部に当たったか。さらにパンチで削り続けて初回を終えた。

2R、砂辺が距離を詰める。ケージを背にして左に回る時田。左ストレートを伸ばし、シングルレッグで飛び込んだ。尻もちを着かせるとバックに回り、四の字フックで固める。削りつつ左腕を首に回すが、砂辺のディフェンスも固い。ならばとバックから強いパンチを入れていく時田。砂辺は相手の右腕を抱えるも、時田は左一本でパンチの連打を浴びせる。さらに左手のワンハンドでRNCを狙う。これを凌いだ砂辺だが、体を伸ばされて左ヒジの連打を受けてしまう。砂辺が防戦一方になると、レフェリーが試合を止めた。


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45 AB MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase350 Pancrase351 PFL Road to UFC SASUKE UFC YouTube キム・サンウォン ギレルメ・ナカガワ ジョセフ・カマチョ ライカ リトル 三宅輝砂 修斗 名田英平 安藤武尊 小川道的 平信一 平田直樹 時田隆成 栁川唯人 武尊 水戸邉荘大 泰斗 猿飛流 砂辺光久 鈴木悠斗

【Pancrase351】グラップラー受難自体の到来で、平田直樹はタイトル戦で何を見せるのか「変わらない」

【写真】会見の日の軽めのトレーニングで追った傷で、さらに気持ちは引き締まったか(C)MMAPLANET

明日15日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase351のメインで平田直樹が、三宅輝砂とフェザー級KOP決定戦を戦う。
text by Manabu Takashima

デビューから4年、キャリア11戦目の初タイトル戦は当初、Road to UFCベテランのキム・サンウォンと対戦予定だった。しかし、キム・サンウォンがPFLと契約しタイトル戦を回避することに。急遽、三宅と戦うことになった。

キム・サンウォン戦はタイトルが掛かっているだけでなく、Road to UFCベスト4で、修斗世界フェザー級王者SASUKEをKOした相手と戦うことで――世界を目指す平田の今の位置が、明確になる一戦だった。

グラップラー受難時代の到来は、その強みを出すまでのプロセスの重要性を浮き彫りにしている。如何に組み、如何に倒すか。そこがあって初めて、インパクトを残すフィニッシュ力が問われる展開に持ち込むことができる。

次につなげるために負けられないタイトルショットに臨む、平田の想いとは(※取材は11月29日に行われた)。


――キム・サンウォンとの王座決定戦がなくなり、三宅輝砂選手が代役に名乗りを挙げました。残念というと三宅選手に失礼になるのですが、キム・サンウォン戦はタイトル戦という以外に今の平田直樹の位置が分かる。そういう点でも楽しみな試合でした。

「キム・サンウォンがPFLに行くから、彼とのタイトルマッチが無くなったと……確か発表(11月18日)の直前に聞いて。その時に代役で三宅選手が出てくれるということで、試合はできる。それも聞いてホッとしました。試合がなくならなくて良かったというのはありました。

ただ世界を目指す上で、×外国人選手。キム・サンウォンと戦うことは凄く楽しみにしていたので、そこは残念です。ただ試合があるなら、僕のやることは変わらないです。しっかりとやるべきことをやる。次につなげるために、絶対に勝つんだと気持ちを入れ替えました」

――次につなげるの「次」は、タイトル奪取が必須条件だと。

「まずタイトルを取らないと、次のステップに進めないと思うし。でも先のことばかり考えないで、まずはここを取らないと話にならないです」

――直樹選手の今回のタイトル戦での対戦相手の変更は、致し方ないです。それでも次のステップがRoad to UFCであれば、タイトルが査定の対象になるのか。何より、強さを手にしていないとアジアを勝ち抜けない。個人的にUFCに行くには、国内のタイトル以上に強さが必要になるったと思うようになりました。

「だからこそ、キム・サンウォンでした。ただの外国人選手というわけでなくRoad to UFCに出ていたし、実績がある。韓国でもチャンピオンになっていますしね。そういう選手と5R戦で戦う。もちろん、5Rを戦い抜くつもりで準備していました。そこが楽しみであり、キム・サンウォンに対してどれだけできるのかがチャレンジでした。

そういう試合で、トータルで戦って得意な寝技の部分で強さを見せてフィニッシュする。キム・サンウォンを極めると周囲へのアピールにもなりますし。テイクダウンからトップコントロール、削って極める。そういう試合が、キム・サンウォンにできなければ僕はそこまで。でも、できるつもりでやってきていたし、それを試合で出す気でいました」

――そこで三宅選手に変わっても、先ほど言われたようにやることは変わらないと。

「そうですね、三宅選手はストライカーで。寝技ができないわけでなく、打撃が凄くできる選手です。三宅選手に代わったことで、相手の仕掛けも僕がやるべきこともより明確になったと思います。立ち技と寝技、強いところがハッキリしているので。どっちが、自分の強いところで戦えるように持って行けるのか」

――キム・サンウォンと戦うことになっていた時と比較して、周囲も含め勝てるモードになっているようなことはありませんか。

「そこはどの試合でもそうなのですが、相手のことはあまり考えていなくて。自分がやるべきことをしっかりと準備して、それを試合でぶつける。だから相手が代わったから油断するとか、そういうことはないです。逆に三宅選手は打撃では、キム・サンウォンより優れているかもしれない。

キム・サンウォンと戦うよりも、組みの展開がないかもしれない。それはもうやってみたいなと分からないけど、全然油断をするとかはないです。

向こうも僕の狙いは分かっている。なら、そうさせないための練習はしてきているだろうし。だからこそ、どっちが自分の土俵で戦うのか。キム・サンウォンとの試合と違って、5Rまでもつれることはない。お互い、やることが分かっているのでフィニッシュも早くなるはずです」

――総合力というよりも、直樹選手の組み力と三宅選手の打撃力。そのぶつかり合いになるということですね。そしてMMAはスタンドから始まります。

「今回は貰っても突っ込むつもりで戦います。見合っていると、逆に相手の間合いになると思うので。そこはプレッシャーを掛けて、徐々に潰して突っ込もうと思います」

――もらうのが嫌という気持ちで戦うのと、貰っても行くという気持ちで戦うのでは爆発力が違ってきますか。

「貰っても行けると、大丈夫だとその後も思えます。貰わないで入れると、相手にプレッシャーを掛けることができる。だからクリーンヒットを貰わずに、どんどん仕掛けたいです」

――最初のテイクダウンの仕掛けが、その後に影響を与えそうです。

「ハイ。1Rが凄く大切になると思います。その後の流れが全然違ってくるので」

――そう話している直樹選手の右目の周りの傷が、なかなか気になってくるのですが(笑)。

「まさかのタイミングなんですけど、今日のお昼の軽めの練習で……当たりどころが悪かったのか、会見の日になるのかって(苦笑)」

――さきほどからやることは明確だと言われていますが、自分のタイミングで圧を掛けてテイクダウンを取る。そこの部分の強さに磨きがかかることが、今後の戦いで重要になってくるかと思うのですが、現状での手ごたえはいかがですか。

「以前と比べると、打撃にも慣れてきて少し見えるようになってきました。そんなこと言って、この目ですから(笑)。全然、説得力ないですよね(笑)。でも、これからも『ないだろう』とか油断をしているとダメだと学ぶことができました。試合ではこうならないように戦います。

あと自分は腫れやすいというのがあって。前回の試合もそうだし、練習でもダメージがなくて軽く当たって腫れることがあります。見た目の印象が悪いですよね。

同時にロータス世田谷で練習をしている選手達が相当に強いですし。その練習と比較して、相手の力が落ちる部分も分かるようになりました。『これならいける』と確信を持って組むことができます。多少見えるようになったことで、そういう判断力もつき始めていると思います。それと貰っても行けるようになりました。怖がって距離が遠くなるということが、前よりかはなくなっています。被弾しても、前に出て触りに行くことができつつあります」

――その成長を実感しているうえで、今回の試合の結末をどのように考えているのか。最後に教えていただけますか。

「3Rまでに一本か、フィニッシュします」

■Pancrase350視聴方法(予定)
12月15日(日)
午後12時00分~U-NEXT

■Pancrase350 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
栁川唯人(日本)

<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗(日本)
小川道的(日本)

<フェザー級/5分3R>
岡田拓真(日本)
敢流(日本)

<フライ級/5分3R>
菅歩夢(日本)
岸田宙大(日本)

<63キロ契約/5分3R>
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)
渡邉泰斗(日本)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(日本)
時田隆成(日本)

■Pancrase351視聴方法(予定)
12月15日(日)
午後16時50分~U-NEXT

■Pancrase351 対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分3R>
平田直樹(日本)
三宅輝砂(日本)

<フライ級/5分3R>
猿飛流(日本)
ジョセフ・カマチョ(グアム)

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(日本)
船田電池(日本)

<65キロ契約/5分3R>
合島大樹(日本)
安藤武尊(日本)

<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
織部修也(日本)

<ライト級/5分3R>
平信一(日本)
張豊(日本)

<フライ級/5分3R>
水戸邉荘大(日本)
小林了平(日本)

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45 MMA MMAPLANET Pancrase350 カリベク・アルジクル・ウルル ブログ 日沖発 透暉鷹

【Pancrase350】ウルルとの防衛戦延期の前に透暉鷹が語っていたこと「不安がないと強くはなれない」

【写真】残念ながら復帰戦は延期に。しかし今後が楽しみになる透暉鷹の言葉だった ※写真は1月のインタビュー時、ベルトを持っている姿(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase350で、透暉鷹がキルギスのカリベク・アルジクル・ウルルを挑戦者に迎え、バンタム級KOPの初防衛戦を行う予定だった。しかし8日(日)、タイトルマッチの延期が発表されている。
Text by Shojiro Kameike

パンクラスからのリリースによれば透暉鷹は練習中に右足首の靭帯損傷、ならびに骨にヒビが入っており全治1カ月と診断されたという。対するウルルもまた、レスリングの練習中に肩を痛めたとのことで、このタイトルマッチは延期される形となった。
MMAPLANETでは11月15日、透暉鷹にインタビューを行っている。この時透暉鷹はRTUでの敗北、セコンドである日沖発stArt代表の発言について、何よりウルル戦への意気込み――ウルルとの防衛戦こそ延期となったものの、そんな彼の想いを掲載したい。


チィルイイースー戦では、相手の顔つきが違っていた

――RTU2024、バンタム級準決勝でチィルイイースー・バールガンに敗れてから約3カ月が経ちました。セコンドを務めた日沖発stArt代表に、チィルイイースー戦の敗北について訊いたインタビューは読んでいただいていますか。

「はい、もちろんです」

――では日沖代表の言葉に関して、率直な感想を教えてください。

「まず日沖さんの言葉は信頼関係が存在しているからこその言葉だと思っていますし、『ありがたい』の一言に尽きます」

――日沖代表によれば、RTU直後に透暉鷹選手とミーティングの機会を持ったということでした。日沖代表は「本人でも所属ジムの人間でもないので、なかなか言えないこともある」とのことでした。ここで透暉鷹選手から、どのような話をしたのか聞かせていただけますか。

「一番は今後どこで、どうやっていくかという話ですね。どこのケージであろうと、強い相手と対戦していくことは変わらないです。またRoad to UFCを目指すために、自分も力をつけていかないといけない。そこで日沖さんから言われたのは――『準決勝で負けた選手は今年2試合、バンタム級で良い勝ち方をしないと、来年は出られないと思ったほうが良い』ということでした」

――来年からRTUには豪州も加わってくるという噂もあります。そうなると日本人選手枠は、ますます少なくなっていくでしょう。

「……そう言われた時は、僕の中では階級の問題も含めて、まだ気持ちが落ち着いていませんでした。だからまず一度、米国に行こうと思ったんです。とにかく何か変わるキッカケが欲しくて。

チィルイイースー戦では、相手の顔つきが日本人選手とは違っていることに気づきました。『勝って人生を変える!』というハングリー精神みたいなものが伝わってきて。そういう選手たちと比べたら僕なんて――そういう気持ちが全然足りなかった。米国へ行ったあとに決まった試合ですけど、ウルル選手もそういう気持ちで練習しているはずなんですよ」

――……。

「そこで2週間ほどアリゾナのファイト・レディに行ってきました。RTUの試合が終わって2週間後ぐらいに、また米国へ。ファイトレディにいるのはUFCファイターばかりで、練習に対する意識も違っていて。そこから帰国したのが10月1日あたりだったと思います」

――正直なところ、これまで倒したことのある日本人選手を相手に防衛戦を行っても、RTUに繋がるほどの評価を得られるとは考えにくいです。

「対戦相手については考えました。誰に勝てばRTUに繋がるのか。自分の気持ちも、そこに向けられるような相手を考えると、やっぱり外国人選手にはなります。これからUFC、RTUを目指すなら、そんな相手と12月にやっておきたいと思いました」

――ウルルを相手にベルトの防衛戦、という試合は透暉鷹選手から希望したのでしょうか。

「RTUが終わってからパンクラスさんと話をしたんですよ。その時に『ウルルはいつでも試合ができる、と言っている』と聞いて。僕も12月にウルルと防衛戦をやるのが一番良いと思いました」

――同時に、なぜチィルイイースー戦で敗れたのか。技術的な見直しも並行してやっていかなければいけないので難しい、と日沖代表は言っていました。

「記事だと、バックエスケープの話ですよね(苦笑)。確かに自分はバックエスケープが得意でも、相手のほうがバックテイクやバックキープが強かった場合、相手のほうが楽な場面にもなります。日本でも久米鷹介さんと練習している時、一度バックを取らせてから息を整えようとしたら、そのまま持ち上げられたり、テイクダウンされてしまうんですよ。

そういう場合は、押し込まれている時に休むのではない。自分から形を取りに行って、倒してからハーフやバックを取ってから息を整えて削り続ける。そういう練習をしないといけない、と日沖さんからも言われました。だからバックエスケープは最終手段として持っておくとして、他の方法もしっかり練習してきています」

不安があるから練習する。今の自分と向き合わなければ、強くはなれない

――自身と同じ強みを持っているチィルイイースーに敗れた。それは今まで、国内では経験したことのなかった展開だったと思います。

「あの試合は……2R目にテイクダウンして相手に立たれた時、自分が休んでしまったんですよ。そこで『1Rは取っているから2Rめは休んで、3Rめに勝負をかけよう』と考えました。そんな考えでいると、今後もどんどん勝てなくなってしまいますよね。

試合後、日沖さんから『逆の立場なら、自分だったらどうする?』と訊かれました。1Rと2Rを取り合った場合、相手も3Rめは絶対取りに来る。2Rを有利に終えていたほうがインターバルで息も整えられるし、2Rの内容を3Rに生かすことができる。そんな展開のなか、僕は2Rめに消極的な考えになっていて、結局は3Rを相手に取られてしまいました」

――あるいは1Rと2Rを取ってから3Rに臨むほうが、心理的にも優位に立つことができるでしょう。

「国内の試合では、それができていました。1Rと2Rを取っているから、3Rを取りに行ける。自分の場合はそこで極めに行きすぎて、疲れてしまうことがあるんですけど(苦笑)」

――アハハハ。しかし、疲れても取られなければ、2Rまでの貯金が生きます。

「はい。そのあたりの力加減も考えなければいけないところではあるけど、やっぱり国内の試合とは違いますよね。だから米国で強い選手と『競る練習』ができたことも大きいです。試合形式で、緊張感も違いましたし。そのなかでメンタルも鍛えられました」

――RTUを目指すなら、強い相手に勝っていかないといけない。しかし強い相手だと星を落とすリスクもあります。

「強い相手だからこそ良いんです。『ここで負けたら、もうUFCには行けないな』という気持ちで毎日を過ごさないと。そのためには強い相手と対戦しなきゃいけないんですよ。負けたら――という不安があったほうが、今は良い感じで毎日を過ごすことができています」

――なるほど。

「不安があるから練習する。いろんなことに取り組む。普段の食事から変わってくる。ちゃんと今の自分と向き合わなければ、強くはなれないですから。

それだけウルル選手は強い相手だと思います。映像を視て対策を考えようとしても、彼はオールラウンダーなんですよね。打撃が強いのはもちろん、下になっても足が利いてが、極めることもファイターで。技術は多彩だし、フィジカルは強い。その相手に勝つためには、自分も一つひとつの要素が強くないと、対策しようがないじゃないですか」

――まさに日沖さんが仰っている「まず自分自身を見ないといけない」ということでしょうか。

「強い相手で不安があるからこそ、相手を通して自分のことを見つめ直す。もちろんウルル対策も練習します。だけどウルル云々よりも、自分の中で全体的なレベルアップを目指しています。

チィルイイースー戦のように、1Rは取ったから――なんて考え方をしていると、今後はどんどん勝てなくなる。勝つために、より強くなる練習に取り組めなくなってしまう。最初にチィルイイースーの右を食らってしまった。だから右を食らわない練習をする。そうやって一つ一つ、技術的に伸びていくように考えないといけないですよね」

――ここでウルルに勝てば、来年のRTUに繋がると考えていますか。

「……それは分からないです。正直、最初は自分も『ウルルに勝ったらRTUに行けるかな?』とは考えました。でも今はウルル選手に勝つことで精いっぱいです。その先のことは、あまり考えていません。今はただ、ウルルに勝つことだけに集中しています」

■Pancrase350視聴方法(予定)
12月15日(日)
午後12時00分~U-NEXT

■Pancrase350 対戦カード
<バンタム級/5分3R>
田嶋椋(日本)
オタベク・ラジャボフ(タジキスタン)

<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
栁川唯人(日本)

<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗(日本)
小川道的(日本)

<フェザー級/5分3R>
岡田拓真(日本)
敢流(日本)

<フライ級/5分3R>
菅歩夢(日本)
岸田宙大(日本)

<63キロ契約/5分3R>
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)
渡邉泰斗(日本)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(日本)
時田隆成(日本)

■Pancrase351視聴方法(予定)
12月15日(日)
午後16時50分~U-NEXT

■Pancrase351 対戦カード
<フェザー級KOP決定戦/5分3R>
平田直樹(日本)
三宅輝砂(日本)

<フライ級/5分3R>
猿飛流(日本)
ジョセフ・カマチョ(グアム)

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(日本)
船田電池(日本)

<65キロ契約/5分3R>
合島大樹(日本)
安藤武尊(日本)

<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
織部修也(日本)

<ライト級/5分3R>
平信一(日本)
張豊(日本)

<フライ級/5分3R>
水戸邉荘大(日本)
小林了平(日本)

The post 【Pancrase350】ウルルとの防衛戦延期の前に透暉鷹が語っていたこと「不安がないと強くはなれない」 first appeared on MMAPLANET.
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AB o PANCRASE Pancrase350 UFC UFC310 エイドリアン・ヤネス カマル・ウスマン ギャリー ダナ・ホワイト パンクラス フェルナンド マネル・ケイプ

UFC on ESPN63:オッズ/予想と展望

コルビー・ コビントン 3.40
ホアキン・ バックリー 1.34
カブ・ スワンソン 2.36
ビリー・ クアランティロ 1.62
マネル・ケイプ 1.28
ブルーノ・ シウバ 3.85
ビトー・ ペトリーノ 1.32
ダスティン・ ジャコビー 3.50
エイドリアン・ヤネス 2.70
ダニエル・ マルコス 1.49
ナバホ・ スターリン1.14
トゥコ・ トコス 6.00
マイケル・ ジョンソン 1.49
オットマン・ アザイター 2.70
ヨエル・アルバレス 1.24
ドラッカー・ クロース 4.30
ショーン・ ウッドソン 1.60
フェルナンド・ パディーヤ 2.40
マイルズ・ ジョーンズ 3.00
フェリペ・ リマ 1.41
ミランダ・ マーベリック 1.18
ジェイミー・リン・ ホース 5.10
デイビー・ グラント 1.91
ラモン・ タヴェラス 1.91
ジョセフィン・ クヌットソン 1.42
ピエラ・ ロドリゲス 2.95

2024年UFC終戦。以前は年末または年始の年越しに最も近い週末にイベントを開催していたUFCだが、2018年の年末大会を最後に、12月半ば~1月半ばまで1ヶ月近い年末年始休みを挟むことが恒例となっている。

メインのウェルター級トップ対決は、両者ともに、先週のUFC310の防衛戦を王者ベラルが欠場した際に、代役での暫定王座決定戦に名乗りを上げていた選手。バックリーの場合は、すでにイアン・マシャド・ギャリー戦が発表されていた。結局暫定王座戦は組まれなかったが、ノンタイトル戦とはいえ、ラフモノフ vs. ギャリーの無敗対決がUFC310で組まれ、相手がいなくなったバックリーの相手をコビントンが務めるというカードシャッフルが行われた。

暫定王者コビントンは2019年に当時の王者カマル・ウスマンと対戦し敗戦すると、その後は年1試合ペースで、昨年末にはレオン・エドワーズのタイトルに挑戦したが、特に見せ場なく判定負け。ダナ・ホワイトからも「歳をとって遅くなった」と酷評された。ここ2戦勝った相手は、いずれも年上のウッドリーとマスヴィダル。そろそろトップクラスで戦うのは厳しくなってきており、この試合で負けるようだと、タイトル戦線からは大きく外れることになる。

KOアーティストのバックリーは、ウェルター級に落としてから5連勝中。特に前戦は、キャリアで1度しかKO負けのないディフェンスの固いスティーブン・トンプソンを飛び込んでのパンチでKO。ようやくトップ10ランク入りし、今回が初のメインとなる。

加齢とブランクで反応が鈍っているコビントンに、若くスピードのあるバックリーは厳しそう。バックリーKO勝ち。

セミ前にはマネル・ケイプが登場。UFCデビュー年の2021年は4試合したケイプだが、22年・23年は1試合ずつ。今年も7月のムハンマドモカエフ戦と、この試合でようやく2試合目となる。試合消滅が多いが、自身の体重オーバーや怪我によるものもあるので、あまり強く文句は言えない。

2連敗のあと4連勝していたケイプが、今年7月にムハンマドモカエフと対戦した際には、勝った方がタイトルマッチ挑戦か?とも思われていたが、勝ったモカエフがまさかの再契約されずでリリース。ケイプとしては、負けた相手がいなくなったことで、実質負けをなかったことにできるかもと思ったが、しっかり評価が落ちて、下位ランカーとの対戦に。

相手のブルーノ・グスタボ・ダ・シウバは、UFCデビューから3戦は勝ち星がなかったが、そこから4連続フィニッシュ勝利・4連続ボーナス獲得。前戦でランカーのコーディ・ダーデンを破ってランキング入りしたばかり。軽量級ながら打撃が重く、一発で試合の流れを変えられる。ケイプとは手が合いそう。

フライ級は挑戦者候補が不足しているだけに、この試合で勝った方に、次の試合で次期挑戦者決定戦が組まれてもおかしくない。

第1試合開始は15日朝9時から。メインカードは12時から。当日は12時30分からPANCRASE350があるので、それ以降の試合はパンクラスの速報終了後になります。

 

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45 IMMAF K-1 MMA MMAPLANET Pancrase350 オタベク・ラジャボフ ブログ 田嶋椋

【Pancrase350】中央アジア壁=ラジャポフ越えへ、田嶋椋「色々思いつきすぎて、中途半端になるのが怖い」

【写真】集中力を切らさない。そのために最大限のダメージ回避しつつ、スタミナのロスを考えながら攻める。相当に難しい試合になりそうだが、田嶋はそんなタフな戦いを求めている(C)TAKUMI NAKAMURA

15日(日)に東京都港区のニューピアホールで行われるパンクラス師走の大一番=PANCRASE350 & 351の昼夜大会。昼の部350では田嶋椋がオタベク・ラジャボフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

3月の立川ステージガーデン大会で井村塁に激闘の末に敗れた田嶋だが、年内最終戦でIMMAF世界王者ラジャボフとの一戦がマッチメイクされた。田嶋にとっては初の国際戦であり、プロ戦績だけからでは計り知れないポテンシャルを持つ中央アジア勢に挑む戦いでもある。田嶋は「ラジャボフのような相手だからこそやるべき試合」と語った。


――今大会では2022&2023年IMMAF世界大会優勝の実績を持つオタベク・ラジャボフと対戦することになりました。最初にオファーを受けた時の心境から聞かせてください。

「アマチュアMMA(IMMAF)の世界チャンピオンということで、パンクラスは容赦なく強い相手を連れてくるなと思いました(笑)。でも僕はそういう選手と試合をして、自分の強さをぶつけてどうやって戦えるんだろうという楽しみがありますね。ラジャボフのような相手だからこそやるべき試合だと思っています」

――田嶋選手にとっては初の国際戦ですが、キャリア的にも外国人選手とやる時期だと思っていましたか。

「そうですね。僕も10戦以上やってきて、そろそろ(外国人とやる)かなと思っていたので、タイミング的には良かったです」

――アマチュアでの実績も含めて、ラジャボフにはどんな印象を持っていますか。

「しっかりIMMAFで勝って優勝もしていて、試合映像を見ても全部できる、本当強い選手だなと思っています。今年7月がプロデビュー戦でしたが(高城光弘に一本勝ち)『こいつ、これでプロデビューかよ?』みたいな試合をしていましたよね。でも強いやつはそんなもんだろうなと思っていて、キャリア・経験関係なく、強いやつは強いよなっていう。そう思って準備しています」

――そのラジャボフに対して、どんなことを意識して練習を続けていますか。

「自分の感覚では外国人選手は荒い・爆発力がすごい分、細かい技術がちょっと足りないイメージだったのですが、試合映像を見ると意外と丁寧に戦っていて、いきなりドカーン!とくる感じはないのかな、と。だからいざ試合なっても、そんなに驚くことはないんじゃないかなと思います」

――では初の×外国人選手ではありますが、そこまで普段の準備とは変わらないですか。

「実際に組んでみたり、パンチをもらったりしないと分からないですが、比較的イメージしやすい、組み立てやすい相手かなと思います。相手は打撃も組みも丁寧にやってくるんで、自分もしっかり丁寧にやる部分もあるし、逆に派手にやる部分も考えているので、そこのバランスを考えながら試合をしたいと思います」

――丁寧にやりつつも、どこかで爆発力を見せる。そういう試合をしないと勝てない相手だと思っていますか。

「お互い丁寧にやりあったら、そこの技術力でやられてしまう可能性もあるんで、そこは気持ちやパワーを出してやりたいです」

――そこのバランスは非常に難しい部分だと思います。

「まさにそうですね。頭は冷静なんだけど、心は熱くというか。毎試合そのバランスが難しいのですが、そこをバランスよくどうやるかも、自分の中の目標ではあります。向こうも最初からガンガン来るだろうし、俺も行くつもりでいるので、おそらくバッチバチになると思います」

――そこはご自身でも楽しみですか。

「そうですね。熱くなる中で、自分の技術を無意識のうちに出せるように、と考えています」

――ここ最近の練習で新たに始めたこと、取り入れたことはありますか。

「レスリングは結構多めにやっているし、×外国人ということでトレーナーと話し合いながら、外国人選手に勝てるフィジカルを作ってきています。打撃に関しては一年以上前からK-1ジム大宮に行かせてもらっていて、稲垣澪くんや稲垣柊くんたちとスパーリングしたり、ミットも持ってもらっています」

――稲垣兄弟はK-1とKrushのトップ戦線で活躍している選手なので、彼らと肌を合わせていると打撃で面食らうことはないですよね。

「はい。打撃には免疫がついてきた感じがあります。だだ打撃を覚えて、できることが増えたからこそ、余計なことをしないように、変なことをしないように、自分の中で落ち着かせている部分はあります」

――技を覚えて出来ることが増えると、それで戦い方が崩れかねないですよね。

「色んなことが思いつきすぎて、全部中途半端になってしまうのが1番怖いので、そこはもう自分のやるべきことを考えてやりたいです」

――やはり自分の強みや一番の武器は組み部分ですか。

「そのしつこさが自分の持ち味なので、そこを忘れないように。そこを忘れて打撃でいけるぜ!みたいにイケイケで行くと多分やられると思うので、そうならないように気を付けます」

――例えば試合前はいつも「組んできついことをやって勝つ」という覚悟を作って戦っていますか。

「はい。そういう気持ちを作ってやっている感じです。ただ試合になると殴り合ってしまう時があるので、そこはちゃんと落ち着かせます」

――今回は国際戦ということもあり、今後のキャリアを左右する一戦になるという捉え方はしていますか。

「本当にその通りですね、この試合はIMMAFの世界チャンピオンとの試合で、IMMAFで勝っている選手はUFCに行ったり、海外の団体で活躍したりしているので、ここで自分が勝てば自分も海外でやっていける証明の1つになると思うんで、 そういう大事な試合だと思っています」

――まずは今回の試合に集中しないといけないですが、そこを踏まえて来年の展望、今後の目標を聞かせてもらえますか。

「パンクラスのベルトを狙いつつ、来年のRoad to UFC(RTU)を目指していきたいですね。どうせやるなら1番強い団体でやりたいので」

――今年は透暉鷹選手がパンクラス王者のままRoad to UFCに参戦しています。

「パンクラスは選手ファーストの団体で、選手のやりたいことを後押ししてくれるし、こうやって海外の選手と戦うチャンスを作ってくれるので、すごくありがたいなと思います。僕は国内ではパンクラスのベルトしか狙っていないので、パンクラスのベルトを狙いつつ、RTUのように海外でチャンスも視野にいれていきたいです」

――前回3月の井村塁戦はダウンを奪われたあとに反撃する激闘の末に判定負けという結果でした。今回は激しい試合だけでなく、勝つ姿を見せたいですか。

「前回から約9カ月空いてしまいましたが、前回の試合でダウンしているので、一度試合間隔をあけて、体もしっかり作り直してきました。今までとは身体も仕上がりも全然違うので、楽しみにしていてください。×外国人仕様、今までとは一段階違う自分を見せます。今年最後を締めくくれるように熱い試合をするので、しっかり見てほしいです」


■ONE FN26視聴方法(予定)
12月15日(土)
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【Pancrase351】2年振りのパンクラス復帰、猿飛流「別にUFCが目標じゃなくてもいいじゃん」

【写真】その通り──と共感ばかりの猿飛流の言葉です(C)TAKUMI NAKAMURA

15日(日)に東京都港区のニューピアホールで行われるパンクラス師走の大一番=PANCRASE350&351の昼夜大会。夜の部351で猿飛流がジョセフ・カマチョと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

3月のEternal MMA83でフライ級王者アンソニー・ドリリッチに2RKO負けを喫した猿飛流。UFC出場という目標に近づくために挑んだ一戦に敗れる結果に終わったが、この敗戦が猿飛流の格闘技に対する向き合い方を変えることになった。「僕はMMAに救われた人生。自分がどこまで強くなれるのかを満足いくまでやりきりたい」という想いを持ってカマチョとの戦いに臨む。


――本日は記者会見後の取材ですが(11月29日)、会見では「一時は格闘技を辞めようと思っていた」とお話されていました。改めてそのことを詳しく聞かせてもらえますか。

「ずっと自分の中ではUFCという目標があって、ちょうど2年前の防衛戦で鶴屋怜君と対戦することになったんですね。負けなしで期待されていた怜君に勝つことが出来たら『UFCを目指す』と言える資格があったと思うのですが、結果的にはRNCで一本負けてしてしまって。その時に自分の中でちょっとUFCへの気持ちが途絶えてしまって。そうなった時に、国内で目標だったパンクラスのベルトを獲って、先輩の仙三さんからベルトを受け継ぐことが出来て、もうやることはやったんじゃないかと思ったんです。

格闘技そのものは好きだし、まだ引退はしたくないと思って練習は続けていたのですが、自分の気持ちとしてはそういう状況でした。そんな時に、3月のEternal MMAでアンソニー・ドリリッチとタイトルマッチのオファーが来て、Eternal MMAはUFCのフィーダーショー的な位置づけで、UFCにつながる大会だと思ったので、これがラストチャンスだと思って試合を受けました。ただその試合でもぶっ飛ばされてしまって、また進退を考えたんですけど、 やっぱりまだ格闘技が好きで、仲間が好きで、僕に期待してくれる人もいる。パンクラスの坂本(靖)さんからも『またうちでやらないか』という連絡をいただいて、気持ちもすごく前向きになっていた時で、色々とタイミングが重なって(復帰を)決めました」

――2年前に鶴屋選手に敗れて、一気に目標を見失ったような気持ちだったのですか。

「そんな感じでしたね。自分がチャンピオンになった時は年齢的にも若くなかったし、1回でも負けたら正直UFCへの道は厳しいだろうと思っていました。僕は勝ち方も派手ではないので。でも、あのタイミングで怜君に勝てばUFCを目指す資格があると思っていたので、あそこで負けた時にバタっと(UFCへの道が)閉ざされた気がしました」

――Eternal MMAの試合を受けたのも、Eternal MMAがUFCにつながる可能性がある団体だからで、そこでもう一度気持ちが燃えましたか。

「燃えましたね。怜君に負けて、これからどうしよう?と考えながら練習を続けていた時にEternal MMAの話が来たんで、すぐに飛び乗りましたね」

――ただしUFCへの道という部分では、わずかな可能性に賭けて出場したEternal MMAでKO負けしてしまったわけじゃないですか。なぜそこからまた気持ちを持ち直すことができたのですか。

「実はあの試合がすごく楽しかったんです。怜君とやって以来、約1年3カ月ぶりの試合で初めての海外だったのですが、Eternal MMAの人たちがすごく歓迎してくれて。Eternal MMAは豪州以外の選手も多いのに歓声もすごいんです。僕も試合をしていて、すごく気持ちが良くて楽しくて、試合中に自然に笑っていました。

試合はぶっ飛ばされてKO負けだったのですが、やっぱり格闘技は最高だなと思って。試合後の気持ちは前向きでしかなかったし、帰りの飛行機でもセコンドのSASUKEと『ここからまた頑張っていこう!』という話をしていました。だからあの試合で格闘技への気持ちが再燃しました」

――映像・中継ベースでしか見たことがないのですが、Eternal MMAはホーム&アウェイ関係ないイベントという印象があります。

「めちゃくちゃいい団体でしたね。代表のカム・オニールさんが海外の選手に対してもすごくよくしてくれて、選手がUFCに行くことになったら、仮にチャンピオンであっても快く送り出してくれるような団体なんです。お客さんも豪州以外の選手にブーイングとかしないですし、他の試合を見ても判定が公平で、めっちゃ好きな団体になりました」

――日本で復帰するのではなく、海外に出てEternal MMAのようなイベントに出られたことが非常に大きかったのではないですか。

「はい。帰りの飛行機の中でも『UFCの道が途絶えてこれからどうしよう…』 じゃなくて『まだまだ強くなれる』や『すげえいい経験できたな』という感じでした」

――しかも気持ちが前向きになったところでパンクラスからもオファーがあって。

「ありがたいことに色んな試合の話をいただいていたのですが、パンクラスからオファーをもらっていて、僕はパンクラスに育ててもらって、パンクラスにずっとお世話になっていて、パンクラスに恩も感じています。しかも×外国人選手のオファーということもあって決めました」

――日本人相手ではなく外国人選手と復帰戦というシチュエーションも燃える要素になりますよね。

「そうなんですよ。今年初めて外国人選手とやって負けて、それを払拭したいという気持ちがある中でのオファーだったので、それも嬉しかったです。あとは唯一パンクラスで心残りだったのが伊藤盛一郎選手と戦えなかったことなんです。Eternal MMAの試合が決まる前、1月ぐらいですかね。まだ自分もギリギリでランキングに残っていたので、今復帰したらもしかしたら伊藤選手とやれるかなと思ったのですが、さすがにそれは出来ないということで。僕は伊藤選手が相手だったらすごい試合ができるんじゃないかなと思っていて、それもパンクラスで復帰するきっかけの一つですね」

――こうしてお話を聞いていると2年前はUFCという目標一択だったのが、鶴屋戦とドリリッチ戦の負けを経験して、MMAをやる上でのモチベーションのベクトルが変わったようですね。

「ホントに情けない話になるのですが、自分はUFCに行くレベルにいなかったんだと思います。怜君に負けて、Eternalでぶっ飛ばされて。でも格闘技が好きな気持ちは変わらないし、格闘技をやるのが楽しいし、まだ自分が強くなっている実感もあります。今、亀海喜寛さんにボクシングを教わっていて、亀海さんからも『伸びしろしかない』と言ってもらえるし、他の先生方も『絶対やめない方がいいよ』と言ってくれています。最後は格闘技を楽しもう、別にUFCが目標じゃなくてもいいじゃんという気持ちが芽生えています」

――しかも今回の対戦相手=ジョセフ・カマチョはまさに手が合う、戦っていても楽しめる相手ではないですか。

「はい。カマチョ選手はフィジカルも強くて”頑張る”選手なので、自分も楽しめる相手だと思います。今はUFCを目指すとかではなく、今までやってきたことの答え合わせというか、最後に自分がどこまで強くなれるのかというところを満足いくまでやりきりたいです」

――自分が考えるMMAを全うしたいですか。

「僕はMMAに救われた人生なので。MMAがなかったら精神疾患も克服できなかったと思うし、まだMMAをやりたいです」

――試合としてはどんな展開をイメージして勝とうと思っていますか。

「イメージ的には全局面で自分は勝ちたいと思います。相手も組みが得意だと思いますが、そこは自分も得意で自信があるところなので、試合スタートの時点で組みは自分の方が上回っていると思います。プラス打撃も強化できているので、打撃でも組みでも両方で圧倒できるんじゃないかなと思います」

――先ほどは現王者の伊藤選手とやりたいというコメントもありましたが、そこまで伊藤選手に魅力を感じる理由はなんですか。

「まず純粋に強い選手ですよね。あと伊藤選手はSASUKEの高校の先輩で、SASUKEから色々といい話を聞いていて、すごく人格者だと思っています。そんな伊藤選手と試合をしたら、自分たちも楽しめて、お客さんも巻き込んで盛り上がる試合ができるんじゃないかなと思うんです。

自分の中ではそれが格闘技で、それができるのが最高だと思うし、伊藤選手とはいつか戦いたいです。で、今回のカマチョ選手もそういう試合が出来る相手だと思います」

――これから自分が理想とする試合をやっていくためにも、カマチョ戦は結果も必要になる試合ですね。

「まさにその通りだと思います。カマチョ選手に勝たなければ、次の話もないと思うので。しっかりカマチョ選手に勝って、これからも自分のMMA、格闘技を見せていきたいと思います」

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【Pancrase350&351】透暉鷹×アルジクル、平田×サンウォン、田嶋×ラジャボフ。強くなるために必要な試合

【写真】今年はニューピアで、2に大会。クリスマスの10日前のパンクラスだ(C)MMAPLANET

13日(水)、パンクラスから12月15日(日)に行われる師走の大一番=二部制イベントの振り分けとメインを発表した。昨年&一昨年と横浜BUNTAIで掉尾を飾る大会が行われていたが、今年は東京都港区のニューピアで350大会と351大会として実施される。
Text by Manabu Takashima

既にKOP透暉鷹にキルギスのカリベク・アルジクル・ウルルが挑むバンタム級選手権試合、平田直樹とキム・サンウォンのフェザー級選手権試合を始め、15試合以上がこの日に組まれることが明らかになっていたが、本日の発表で12時15分開始の昼の部=350大会のメインは透暉鷹✖アルジクル、17時開始の夜の部=351大会のメインは平田×キム・サンウォンと決まった。


井村塁を秒殺したアルジクルが、Road to UFCで無念の準決勝敗退となった透暉鷹の持つ王座にパンクラス2戦目で挑む試合の前には、同じ中央アジア勢で高城光弘をRNCで下したオタベク・ラジャボフが田嶋椋と戦う。

そのまま次期挑戦者決定になっても不思議でないラジャボフとの試合に挑む田嶋、王座防衛戦に臨む透暉鷹と共に、Road to UFCを視野に入れているのであれば中央アジア勢との対戦は勝てば勢いはつくが、リスクの高い戦いになる。

これこそが、今のJ-MMAから世界へ出ていく、最高峰を目指すというファイターに必要なカードだ。来年のRoad to UFCには従来通り中国、韓国、インド、フィリピン、インドネシア、タイというアジアの国々以外に豪州勢、そしてニュージーランドやモンゴルが加わるという話も伝わってくる。

綺麗なレコードが絶対というなかで、それが可能なファイトで白星を並べても、さらに厳しくなることが予想されるRoad to UFCを勝ち上がることができる力が養成されるとは思えない。

そうなると、もう強い相手に勝つ。それもRoad to UFCという狭き門への出場権を得るにはコンテンダーシリーズのようなアグレッシブ&フィニッシュ必至というファイトが必要になってくるのも時間の問題だ。そうしなければ勝利が絶対のRoad to UFC=アジア・オセニア予選を勝ち抜くことは困難になってくる。

日本のMMA界の現状は国際戦を組み、実力者をふるい落とすという贅沢な試合を続々と組むことはできなくなっている。中央アジア勢を招聘しても、客席は埋まらないという考えも当然のように一理ある。

そのなかで手を出したくない。掘るべきではない中央アジア勢を招聘するパンクラスの国際戦は時代を先取りした──そして、失敗に終わると攻め過ぎと批判される可能性もある。それだけに透暉鷹、田嶋の両陣営だけでなくパンクラスというプロモーションからも勇気が感じられるマッチアップだ。

また351大会のメインでRoad to UFCベテランのキム・サンウォンとベルトを掛けて戦う平田直樹にとっても、これから先を見据えたうえで非常に大切な戦いとなる。今後はタイトル戦だから勝利が絶対という思考では、もう上の舞台から引っ張られることは難しくなることが予想される。

勝利は絶対でも、その絶対へのプロセスが今後の進路に大きく影響してくる。組み倒して勝つ。それが平田のMMAだけに、組むまでパフォーマンス。そして組み倒してからの動きがこれまで以上に大切になってくる。キム・サンウォンは簡単に組める相手ではない。そして簡単にテイクダウンを奪えないことも、明らかだ。それでも組み倒しコントロールするために、平田が何を身につけてきたのか。そして、今後の武器となる要素が試合から見られるのか。その辺りが査定されるタイトル戦といえよう。

また351では猿飛流×ジョセフ・カマチョという国際戦。350では砂辺光久×時田隆成という特別感のあるファイトが見られる。その一方で、ウィニングトラックに戻ってきた柳川唯人と名田英平のフェザー級戦を始めたとしたラインナップの多くが──その特別感、あるいは将来の方向性を左右するというファイトの機会を得るために戦う、終わりのないスパイラルループの中での生き残り合戦といえる。

強さを求めるのか、自己表現の場なのか。いずれにせよ、果ての無い連鎖ファイトから抜け出すために、不可欠なのが勝利。まさに厳しい現実、世知辛い世の中を勝ち抜くことが求められるパンクラスの2024年最終章だ。


■Pancrase351対戦カード

<フェザー級KOP王座決定戦/5分5R>
平田直樹(日本)
キム・サンウォン(韓国)

<フライ級/5分3R>
猿飛流(日本)
ジョセフ・カマチョ(グアム)

<フライ級/5分3R>
有川直毅(日本)
山崎蒼空(日本)

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(日本)
舩田電池(日本)

<バンタム級/5分3R>
合島大樹(日本)
山本歩夢(日本)

<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
織部修也(日本)

<バンタム級/5分3R>
平岡将英(日本)
ギレルメ・ナガガワ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
平信一(日本)
張豊(日本)

<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
織部修也(日本)

<フライ級/5分3R>
水戸邉荘大(日本)
小林了平(日本)

■Pancrase350対戦カード

<バンタム級KOPC/5分5R>
【王者】透暉鷹(日本)
【挑戦者】カリベク・アルジクル ウルル(キルギス)

<バンタム級/5分3R>
田嶋椋(日本)
オタベク・ラジャボフ(タジキスタン)

<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
柳川唯人(日本)

<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗(日本)
小川道的(日本)

<フェザー級/5分3R>
岡田拓真(日本)
敢流(日本)

<フライ級/5分3R>
菅歩夢(日本)
岸田宙大(日本)

<バンタム級/5分3R>
平岡将英(日本)
ギレルメ・ナガガワ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(日本)
時田隆成(日本)

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