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【パンクラス】速報中!PANCRASE 345

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さてさて、朝からひとしきりUFCで盛り上がりましたが日本はパンクラスの日。浜松町のニューピアホールではPANCRASE344、PANCRASE345が開催されます。既に昼の部は終了しているため、夜の部PANCRASE 345を速報します。メインに出場予定だったディラン・オサリバン(米国/キルクリフFC)は入国問題で試合出来ず、代わりにアリ・カラダギィ(クルディスタン/パラエストラ東京)がミドル級チャンピオン内藤由良(リバーサルジム横浜グランドスラム)と対戦するメインイベント。電波と充電の続く限り速報します。乱筆乱文にはご勝者くださいませ。

プレリミナリーファイトは友寄龍太(パラエストラ西東京)、武者孝大郎(マスタージャパン東京)がそれぞれ判定勝ちしました。こちらの詳細は追って。


【第3試合 フライ級】
○大塚智貴(CAVE)
(2R KO)
×山崎聖哉(BRAVE)
1R、距離を置いたスタンドの立ち上がり。大塚はインローを多用してリズムを作る。さらに左フックで一瞬グラつかせて攻勢。さらに打撃の交差からタックルで組みつく大塚。リフトしてテイクダウンに成功。上を固めてラウンドを終えた。
2R、前に出て打撃を出す山崎に対して大塚は胴タックルでテイクダウンに成功。しかし山崎はすぐに立ち上がってスタンドに戻る。すると至近距離でのパンチの打ち合い。ヒヤッとする場面が続くが大塚が組み付くとテイクダウン。山崎が立ち上がると大塚はスタンドでバックに周る。しかし山崎は正対して脱出。距離が出来ると打ち合い。大塚の右ストレートがクリーンヒット。山崎は大の字!レフェリーが試合を止めた!衝撃的なKO勝ち!


【第4試合 ライト級】
西尾真輔(宇留野道場)
(ノーコンテスト) 
神谷大智(BRAVE)
1R、開始直後に神谷は片足タックル。西尾は首を掴んでギロチン。しかし神谷はお構いなしにテイクダウンに成功。さらに強引にサイドに移行する。首を抱えて離さない西尾に対して、そのままパスガードを狙う。しかし西尾は立ち上がって脱出。立ち上がると攻防の流れの中でバッティングがあって試合は中断。ドクターチェックの末に神谷は眼下底骨折の可能性があるとして続行不能と判断。試合はノーコンテスト。
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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase344 上田将年 眞藤源太

【Pancrase344】アグレッシブ眞藤、2Rにギロチンを極めかけて上田にスプリット判定勝ち

【写真】上田はギロチンのディフェンスで力とスタミナを使い果たしたか。とにかく眞藤がよく攻めた(C)MMAPLANET

<フライ級/5分3R>
眞藤源太(日本)
Def.2-1:30-27.29-28.28-29.
上田将年(日本)

ガードを固める上田に対し、眞藤が左右に体を振って距離を詰める。頭を下げて中に入る眞藤に、上田が左フックを合わせた。左右に動いて中に入ってきたところを右ハイで迎え撃つ。上田の遠い距離からのダブルレッグを眞藤が外した。眞藤はプレスをかけて上田にケージを背負わせる。右カーフからボディロックで組みついた眞藤が左右に揺さぶるも、上田が左オーバーフック&左足を絡めて耐える。ここは眞藤が離れた。

ケージ中央で上田が右ローに左ジャブを合わせる。左を合わせるタイミングを掴んだか。眞藤は中に入れず、来いと上田を挑発する。挑発に乗らない上田に、眞藤が右カーフを当てる。上田は左ジャブからニータップで入り、背中を着かせた。眞藤の左手を抑えている上田は、頭を着けて押さえ込む。リストのクラッチを切った眞藤は左オーバーフックで抱え、スイープを狙うもボトムを強いられた。初回はジャッジ1名が10-9で眞藤、2名が上田の10-9としている。

2R、上田が左ジャブを繰り出すと、眞藤も右カーフを当てる。上田の左ハイをかわした眞藤が跳びヒザを繰り出すも、かわされてグラウンドへ。すかさずトップに回る上田。眞藤はケージに背中を着けてバタフライガードに。上田がクラッチすると、眞藤が左腕を巻き付け、ギロチンで引き込んだ。絞り上げる眞藤に対し、上田はパンチを打ち込む。

体勢を変える眞藤、回転したために極まりが浅くなってしまう。首を抜いた上田は苦しそうな表情を浮かべている。ボディロックで押し込む上田は、両脇を差し上げて押さえ込み続ける。眞藤の左手を抑えたが、すぐにクラッチを切られた。このラウンドはジャッジ1名が上田の10-9、2名が眞藤の10-9としている。

最終回、上田が組んでケージに押し込む。眞藤は左オーバーフックからボディロックへ。なおも上田が押し込んでいく。頭をおっつけてボディロックで組んだところで、なぜかレフェリーがブレイクをかけた。これは上田にとって苦しい……。上田のシングルレッグを切った眞藤に対し、立ち上がった上田がバランスを崩し、そのままトップを奪われる。眞藤がケージに押し込むが、立ち上がってブレイクを促す。スタンドで再開後、眞藤が右を当てる。上田はダブルレッグで押し込むが、足を切った眞藤がシングルレッグで食らいつく上田にパウンドを落とす。両者が立ち上がると、眞藤が払い腰で投げて試合を終えた。

裁定は割れたが、ジャッジ1名が眞藤にフルマークを付ける判定で眞藤が勝利した。


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【Pancrase345】メンタル乱降下のファイトウィーク、内藤由良「勝たないと何も始まらない」

【写真】スーツを脱げばカルバンクラインのカラダギィに対し、内藤はまさかのミーアキャット。実家でミーアキャットを飼っているそうだ (C)MMAPLANET

本日30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるダルヘッダー夜の部= Pancrase345のメインで、内藤由良がアリ・カラダギィと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2年3カ月振りの実戦となる内藤は、キルクリフFC所属のディラン・オサリバンと対戦予定だったが、水曜日の夜にオサリバンが入国できなかったことが発覚──急遽、カラダギィと戦うことが決まった。

J-MMA重量級期待の新鋭はUFCを目指し、海外でのステップアップを図るも決まりかけた試合がことごとく流れた。この間も練習仲間の間で語られる内藤の強さは伝わってきたが、やはりファイターは公衆の面前で強さを見せつける必要がある。紆余曲折がありながらも、その場に戻って来る内藤の話を計量直後に訊いた。


――オサリバン戦が無くなったと聞いたのは、いつ頃だったのでしょうか。

「水曜日の夜でした(苦笑)。ちょうど、パンクラスのオフィスに用事があって。『ロッキーが迎えに行っているから』という話も聞いていたんです。で、チケットを配って家でゴロゴロとしていたら、彼が入国できなかったという連絡がありました。

最悪、体重オーバーはあり得るとは思っていました。でも、ここまできて試合がなくなるとは……。もう99.99パーセント、試合はないと思っていました。国内で階級下の選手がやってくれるわけがないし。外国人が3日で来れるものでもない。もう水曜日の夜から木曜日の夜まで、死んでいました(苦笑)。何もやる気がおきなくて……計量の前日なら、心が折れて食べていたかもしれないですね(笑)。

だから、良く対戦相手を見つけてもらえて……凄く人に恵まれ、パンクラスに愛されていると思います。木曜日の夜に『見つかるかもしれない』、『やってくれると言っている選手がいる』という話があって、そこで気持ちを戻しました。

これから海外で戦っていくと、対戦相手が直前で代わるなんて普通にあると思うんです。そういう場合も気持ちを切らさない必要がある。その予行演習になるんだと言い聞かせていました。で、正式に金曜日の朝にアリ選手が試合に応じたという連絡がありました」

──2年3カ月振りの試合、チャンピオンといえどもキャリアは5試合。オサリバンは北米MMA育ちで、そのポテンシャルを見せつける試合になるという期待がありました。

「ハイ、絶対に噛ませ犬じゃないし。5勝1敗で全て1Rフィニッシュ、UFCを目指している30歳。年齢も近かったですし、自分も目指す道があるので必ず倒さないといけない。そういう相手だったので、めちゃくちゃやりたかったです」

──試合が決まってからの日々は、試合が確定しない時期と比べるといかがでしたか。

「やっぱり気持ちの入り方が違いました。相手が決まってから、あっと言う間にファイトウィークになるぐらい充実していましたね。生きているというか、『これだよ、これ』みたいな。何か、体の中から出てくるモノがありました」

──その成果をアリ・カラダギィ選手にぶつけるのみ……なのですが、キックやラウェイを戦っているUAEがベースのファイターだと聞きました。

「ハイ。中井(裕樹)先生と親交が深くて、柔術をやっていると。あとは合気道とか日本の武術にも傾倒していると聞いています。MMAはやったことがないみたいですけど」

──MMAファイターとしては全く分からないです。ただ、この期間で内藤選手との試合を受けて、計量にあの表情と装いで現れる。人として、相当な強さではないかと。

「確かにそうですね(笑)。ドバイに住んでいるって、バシッとしたスーツ姿でやってきて。格闘技をやる必要なんてない人なんじゃないですか。アハハハハ。これで俺に勝てば、パンクラスのチャンピオンに勝ったという泊がつきますし、腕試しをやってやろうという気持ちなのかもしれないです」

──対して、内藤選手は……。

「もうリスクしかないですよね(苦笑)。負けるわけにいかないです。気を抜かないように、自分の得意なところで仕留めに行きます」

──そこですね。オサリバンが相手だとMMAファイターとしての成長や可能性を見せる試合になるはずでした。ただし、相手が代わってキックボクサーなら、もうベースとなる強い部分で勝つのみという試合が必要です。

「そうッスよね。いくら仲間内で評価されても、それが試合で発揮されるのか。本当に言われているような強さがあるのかっていう見方をされていると思います。そこを見せる試合が、ディラン選手とできると期待していました」

──この間、上を目指してなかなか上手くことは運ばなかったです。この試合後、その状況が劇的に変わることはないはず。そのなかで、今後のキャリアアップをどのように考えていますか。

「UFCを目指す中でUAEWなのか、LFAなのか。海外の目根―ジメントと契約していて、ここで勝てば6勝無敗になるのでゴリゴリに押してもらうしかないです。当然、コンテンダーシリーズに出るつもりでいます。その気は満々です。ミドル級だとRoad to UFCもないし、そこで引っ掛かるしかないと思っています。正規ルートなんてないし、何が正解とかもない。僕の階級だと、この島国からUFCに行くというのはそういうことで。日々、模索し続けないといけない。

とにかく明日の試合で勝つ。フィニッシュして勝つ。2年も試合をしていないので、勝たないと何も始まらない。ここで試合をするというのは、そういうことですし。これからのことは、また周囲と協力しあって……今年こそ、UFCに行かないといけないので──明日はしっかり勝ちますっ!!」

■Pancrase344&345視聴方法(予定)
6月30日(日)
午後12時00分~U-NEXT

■Pancrase345

<ミドル級/5分3R>
内藤由良(日本)
アリ・カラダギィ(UAE)

<フェザー級次期挑戦者決定戦/5分3R>
平田直樹(日本)
Ryo(日本)

<ライト級/5分3R>
西尾真輔(日本)
神谷大智(日本)

<フライ級/5分3R>
大塚智貴(日本)
山崎聖哉(日本)

<ウェルター級/5分3R>
渡邉ショーン(日本)
武者孝大郎(日本)

<バンタム級/5分3R>
友寄龍太(日本)
さぶろう(日本)

■Pancrase344

<フェザー級/5分3R>
キム・サンウォン(韓国)
中田大貴(日本)

<フライ級/5分3R>
上田将年(日本)
眞藤源太(UAE)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
小森真誉(日本)

<フライ級/5分3R>
大野友哉(日本)
小林了平(日本)

<ネオブラットTフライ級準決勝/5分3R>
饒平名知靖(日本)
山崎蒼空(日本)

<バンタム級/5分3R>
渡邉泰斗(日本)
佐藤ゆうじ(日本)

<ストロー級/5分3R>
渋井宏行(日本)
日向優希(日本)

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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase344 ギレルメ・ナカガワ パンクラス 上田祐起 原田惟紘

【Pancrase344】5年7カ月振りの出場でギレルメ・ナカガワ戦、原田惟紘「おいちゃんをナメんな」

【写真】写真は取材翌日もの。インタビュー時は……(C)TADAHIRO HARADA

30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase344で、原田惟紘がギレルメ・ナカガワと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

原田は2018年11月以来のパンクラス参戦で、当初はランキング10位の谷内晴柾と対戦予定だったが、谷内の負傷で一度は試合が流れていた。しかし改めてギレルメ・ナカガワと対戦することに。ギレルメは格闘代理戦争 THE MAX出場を経て、今回がプロデビュー戦となる。この一戦に向けて原田は「負けたら引退」という覚悟を語った。


今の自分を確かめる試合でもあります

――5年7カ月振りのパンクラス参戦を控えています。その前に昨年11月には、Bloom FC旗揚げ戦で上田祐起選手に勝利しました。まずは5年振りのMMAとなった試合の感想から教えてください。

「地元で自分の生徒や仲間の前で勝つことができたのは、率直に嬉しいです。子供たちも初めて自分の試合を生で見たんですよ。今まではネットで僕が負けている試合を見て『パパ、倒れた』みたいなことは言っていて(笑)。子供たちにも、父親がちゃんと勝つことができるんだというところを見せられて良かったですね」

――タフな試合ではありましたが、しっかりドミネイトしました。あの展開は作戦どおりだったのでしょうか。

「理想は極めたかったんですよ。普通にテイクダウンして極めに行けるだろうというイメージは持っていて。だけど相手は極められないようにするのは上手いと思いました。あとは試合前から考えていたような展開でした」

――Bloom FCでMMAに復帰し、以降はコンスタントに試合をこなしていく、と。

「そうですね。でも自分も上田(将年)も30代後半になってきて……、パンクラスの坂本靖さんには『自分は負けたらMMAは引退する』と伝えています」

――えっ!?

「対戦相手が変わりましたけど、変更になる前からそう伝えていました。今回、最初にオファーを頂いた時は相手がランカーで。勝てば自分がランク入りして、もう少し戦いが続く。対戦相手が変わっても、相手はデビュー戦だけど名前もある選手で――自分も勝つことができれば、もうちょっと頑張ってみようかなとは思っています。

もちろん試合は勝つために挑みますよ。でもずっと家族には心配をかけながらMMAをやってきて、ジムも持つ身ですしね。引き際を考えている自分に、ずっと戦ってきたパンクラスから良い話をもらえました。そこで全てを出し尽くして、まだ現役を続けることができるのか。あるいは身を引くべきなのか――今の自分を確かめる試合でもあります」

――なるほど……。対戦相手変更の話があったのは、いつ頃でしょうか。

「5月の後半ですね。相手が怪我で試合できないと分かったのは火曜日で、日曜日に子供たちと焼肉に行くと決めていたんですよ。そうしたら金曜日に坂本靖さんから電話があって、子供たちとの薬肉をキャンセルしました(笑)」

――お子さんたちは残念がりませんでしたか。

「いやぁ、『へぇー、そうなんだ』みたいな感じですよ。子供たちは子供たちで好きに食べていますし。自分もせっかく体をつくっていたから、練習量も落とさず、暴飲暴食もせずに次の試合を待とうと思っていたので。試合が終わったら、またゆっくり子供たちと行きます」

――話を戻すと、対戦するギレルメ選手はこれがプロデビュー戦です。ランカーとの対戦で引退を考えるなら、分かる気もするのですが……。

「だってプロデビュー戦の相手に負けたら、ランキングなんて言っていられないじゃないですか。相手もアマチュアで勝ち上がり、柔術も黒帯で今が20代前半ですよね。これからガンガン上に行く選手だと思います。勝てば『まだまだ若い者には負けないぞ』と言えるし、負けたら『今の実力はプロデビュー戦の選手に負けるものなんだな』と受け入れざるをえないですよね。たとえどんな試合内容だったとしても」

――勝ち続けてパンクラスのベルトに挑みたいと思っていますか。

「行けるところまで行きたいです。自分はコロナ禍で何度も試合が流れました。30歳前半で5年ものブランクをつくるのって、大きいことじゃないですか。それだけの月日を経て今、これから勝って負けてのキャリアを送る年齢でもない。だから勝って、勝って、勝った末にタイトルマッチがあれば、そこまでは魂を燃やすことができるかもしれないです。

もちろん、これからも負けるつもりは一切ないですよ。でも家族やジムの生徒に、勝ったり負けたりの姿を見せるよりは――負けたら引退、それは何年も前から考えていました。ウチのジムにもパンクラスで上を目指したい子たちがいて、もし彼らがランキングに入った時、そこにジムの先生がいたら嫌でしょう(笑)」

地方の選手はどんな相手だろうと噛みついて、勝ちをもぎ取らないと

――アハハハ、確かにやりにくさはあるかもしれません。Bloom FCの上田戦も、負けたら引退するつもりだったのですか。

「Bloom FCの時は……、やっぱり最後の試合はパンクラスでやりたいとは思っていました。でもあの時は鬼木(貴典)さんが立ち上げに関わっていて。自分も上田も鬼木さんに『立ち上げだから協力しますよ』と言ったんですよ。うん……、……、……鬼木さん、亡くなっちゃいましたからね」

――……。

インタビュー中、涙を浮かべる場面も……(C)SHOJIRO KAMEIKE

「鬼木さん……今年3月のBloom FC第2回にも来ていたから『体調どうなんですか?』と訊いたんですよ。でもあの人はいつも『ずっと悪いんだよ~』と笑って話すから、そんなに状態が悪かったとは知らなくて。『今度ゆっくりメシ食いに行きましょうね』と話をしていたら、体調に関するSNSの投稿があって……。突然のことでビックリしました。

自分は試合や仕事のことがあったのでお葬式には参列できず、上田に香典を持っていってもらいました。次の試合の時に、線香をあげに行かせてもらおうかと思っています。だから、いろんな想いが重なる試合になります。

やっぱり勝って線香をあげに行きたいですよね。勝って『もうちょっと続けます』という報告をしたい。もともと訃報を聞く前は上田と、『計量が終わったら、明日試合で勝ちますって言いにいこう』と話をしていたんですよ。それがこういう形になってしまって……、もちろん試合は勝ち負けがあるもので、100パーセントはありえないです。でも1パーセントでも勝つ確率を上げるために、練習でつくり込んできました」

――何か運命的なものを感じますね。このタイミングで上田選手と2人でパンクラスに復帰することになったことも……。

「上田と一緒にパンクラスで試合をする機会は、今回も含めて3回ありました。1回目は2人とも勝って、2回目は自分が計量を失敗して試合できなかったんです。前回のBloom FCも合わせたら合計4回目で。自分の試合が一度流れた時は、上田がメチャクチャ心細くなったらしいですけど(笑)」

――アハハハ。

「同じ大会で試合ができるのも、これが最後でしょうね。お互いに勝ったとしても、なかなか同じ大会に出ることは難しいでしょうから。今回、2人で勝って一緒に笑いたいですね。僕って試合を楽しみすぎちゃって負けることが多いんですよ」

――どういうことですか?

「パンクラスでは前回も前々回も、1Rと2Rを取って3Rに逆転負けしていて(苦笑)。みんな『このまま行けば勝ちだね!』と思って3Rにスマホをイジりだすんですよ。すると会場が沸いて『原田さんが仕留めたか』と思ったら、自分が負けているという。アハハハ」

――笑っている場合ではないです(笑)。

「まぁ、だから今回はフルラウンド集中して戦いたいです。正直オファーをもらった時は、ギレルメ選手のことは知らなかったんですよ。でも自分は相手が誰でも――よほど仕事の都合とかで、その日に仕事ができない場合以外は、オファーを断ったことがなくて。

来る者は拒まず。試合のオファーがあるだけありがたいと思って戦います。だって東京の大会なのに地方の選手へオファーが来ると、『プロモーターも選手を探していて、何か困っているんだろうな』と思うわけですよ。そこでオファーを受けて良い試合をしたら、次のチャンスに繋がる。地方の選手はそこでどんな相手だろうと噛みついて、勝ちをもぎ取らないと。

次の試合も『おいちゃんをナメんな。イジメちゃろ』って感じですよ。上田とともにオジサンたちの試合を見てもらって、いろんな人にエールを送りたいです。そして鬼木さんに勝利の報告ができるよう、しっかり戦います」

■視聴方法(予定)
6月30日(日)
午後12時00分~U-NEXT

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45 Pancrase344 キム・サンウォン ブログ 中田大貴

【Pancrase344】勝負のキム・サンウォン戦へ、中田大貴「同じようなレベルで競っている。1段階超えて」

【写真】勝って、ケージのなかでティラノサウルスをやってほしい (C)TAKUMI NAKAMURA

30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるダルヘッダー昼の部=Pancrase344で、中田大貴がキム・サンウォンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

3月のシュウジ・ヤマウチ戦はヤマウチの計量オーバーにより試合消滅、結果的に約1年ぶりの再起戦となった中田。この1年間で打撃・組技を一から磨き直し、韓国での練習を経て自分が目指すレべルがどこかを体感した。ランキング2位の強豪サンウォンとの一戦を目前にして「強い相手と戦って勝ちたいという気持ちは常にある。こういう相手と巡り会えたことは本当に嬉しい」と心境を明かした。


基本的なところをレベルアップさせるイメージで取り組んできました

──まず3月のパンクラス立川ステージガーデン大会、対戦相手のシュウジ・ヤマウチ選手の計量オーバーにより、試合そのものが消滅という形になりました。あの時のことを振り返っていただけますか。

「まず僕が計量をクリアして、相手が1.8キロオーバーだったんです。その時点では僕も大沢(ケンジ)さんもやる気だったんですよ。しょうがないねって感じで」

──ヤマウチ選手のオーバーの幅も試合が成立する範囲だったんですよね。

「そうですね。2キロ以内だったら試合が成立するんで。ただ1.8キロオーバーは危ないという意見もあったり、再計量の時に50~100グラムしか落ちてなくて、そもそも落とす気ないじゃんと思って(苦笑)。そういうこともあって当日計量の戻しを70.3キロにして、それを条件にしてもらえないかという交渉をしました」

――ようはリカバリーは1階級上までにしてくれということですね。

「そうです。そうしたら、もう体重を戻してリカバリーしてるから、それは無理だと。計量が終わって4~5時間以内の話だったんで、なんとかなるだろうと思いつつ(苦笑)、最終的には話がまとまらなかったです」

──試合がキャンセルになったあとはすぐ気持ちを切り替えられたのですか。

「1週間ぐらいは休んで、すぐに切り替えて練習を再開しました」

──結果的に昨年7月の高木凌戦(1R、TKO負け)から約1年間、試合が空く形になりましたが、この1年間で色んなことにトライしてきたと思います。もともと新しい練習をする時間が欲しいという考えはあったのですか。

「そうですね。あとはダメージですね。自分はコンスタントに試合をしていて、結構ダメージが溜まっているというか、毎回毎回顔が腫れるような試合だったので、一度ダメージを抜くじゃないですけど、頭を休ませて形もしっかり作り直したいと思いました。打撃、組み技、フィジカル、全部を見直した期間になったと思います」

――具体的にそれぞれどういう取り組みをしてきたのですか。まずは打撃から教えてください。

「もともと自分は打撃の基礎ができていなくて、ぶん回すだけでなんとかここまで来くることができてしまって、打撃のスキルがあまり伸びてないなと思ったんです。それでしっかりトレーナーについてもらって、打撃を教えてもらおうと。その時に出会ったのが良太郎さんで。良太郎さんとは髪の毛を切るところが同じで、そこのオーナーに『MMAの選手もたくさん指導しているから、練習を見てもらったら?』と言われて、一度良太郎さんにミットを持ってもらったんですよ。

その時に僕のMMAの形を崩さないように指導してもらって、脱力とか立ち位置とか本当に基本的なところを見直してくれて。それが自分的にすごくしっくり来たので、良太郎さんに練習を見てもらうことを決めました」

――MMAの選手が打撃を強化すると、打撃に特化した戦い方になってバランスが崩れることもありますが、それはないですか。

「はい。良太郎さんはMMAのことをものすごく研究されていますし、色んなタイプの選手を指導していて、それぞれみんな戦い方や特性が違うじゃないですか。だから良太郎さんは選手が持っている良さや個性を伸ばす力があるのかなと思います」

──指導内容としては構えやスタンスなど基本的なことですか。

「そうですね。『力が入りすぎ』、『足がずれている』、『立ち位置が悪い』…本当にそういう基本的なこと、自分が意識の中から抜けがちになることをしつこく言ってもらっています。自分の場合は(肩に力が入っているジェスチャーで)力がこもりすぎるので、そこで力を抜いてリラックスするみたいな。あと打撃と組みの繋ぎ、テイクダウンからパウンドまで、良太郎さんにミットを持ってもらっています」

――組み技に関してはいかがでしょうか。

「NEVER QUITやロータス世田谷に行ってスパーリングを中心にやらせてもらいつつ、HEARTSで江藤(公洋)さんに組み技を見てもらっています。基本的に自分は殴って戦いたい意識があるんで、それをやるための動きというか。逃げやディフェンスを中心にしつつ、自分から一本を取る練習やイメージを作っています」

――打撃・組み技どちらも新しいことを覚えるというよりも、中田選手の戦い方を肉付けしてペースアップするような形ですか。

「そうです。基本的なところをレベルアップさせるイメージで取り組んできました」

──またこの期間に韓国でも練習したそうですが、現地ではどんな練習をしていたのですか。

「技術練というよりもスパーリング中心のメニューが多くて、もう少し技術練ができると期待してたんですけど、日本でやっていることと変わらないと言えば変わらなかったですね。ただその分、色んな選手と練習する機会が多くて、それが自分の中で一番大きな経験になりました。

例えばコリアンゾンビ(ジョン・チャンソン)のジムは一度のプロ練習に30~40人ぐらい参加するので、あれはいい経験になりました」

──韓国のMMAファイターはタフで打ち合うスタイルという印象が強いですが、そういう選手が多いのですか。

「そうですね。ガンガンスパーやって、筋トレやりまくってみたいな。それでいくと筋トレやコンディショニングへの意識がものすごく高かったですね。もともと身体が強いのもあると思うんですけど、筋トレやフィジカルを鍛えることが文化として根付いていて、そこを強化することが当たり前みたいな感じなんですよ。日本人は筋トレやフィジカルをやる人・やらない人がいると思うんですけど、韓国はそれがないですね。筋トレはやって当たり前、そういう感じでした」

──そのうえでどのような収穫があったのですか。

「自分自身はフィジカル負けすることもなかったですし、勝負していけるなと思う一方、通用するだけじゃなくて、頭一つ抜けないといけないなと思いました。UFCで戦っているチェ・スンウ選手とも練習したんですけど、彼はやっぱり他の選手よりも抜けているなって印象があったんです。だから自分もそのレベルを目指さないといけないなと。

今のパンクラスのフェザー級もランカーは同じようなレベルで競っているので、そこからさらに1段階超えてチャンピオンにならないと、そこから先の舞台には行けないんじゃないかなと思います」

──手応えがある、通用すると思っていても、一歩引いてみれば韓国でプロを目指す選手たちの平均的なところにいるということですよね。

「そうです。10回やって5回勝てる、じゃなくて、10回やって7回、8回、9回、10回勝てる。それぐらい頭一つ抜けないと、この格闘技界を生き残っていけないと感じています」

キム・サンウォンは全然UFCに出ていてもおかしくないレベル

──そして今大会では奇しくも韓国のキム・サンウォンと対戦することになりました。どんな印象を持っていますか。

「基本ストライカーよりの選手で、フィジカルが強い。組みも結構タイミング良くタックルやバックを取ってきたり、RNCも極めてくる選手だと思います。まさに韓国で練習してきた選手の中のハイレベルな選手の1人かなという印象ですね」

──個人的にサンウォンはランキングの数字以上の強さを持っている選手だと思います。

「そうですよね。全然UFCに出ていてもおかしくないレベル、ランカーまではいかないまでも、ランカー手前ぐらいにはいるレベルの選手だと思います。だからこそ今回サンウォン選手に勝ったら本当に大きいと思いますね。ただ、今の僕は負けが込んじゃっているので、ここで負けちゃうと負け数が多くなってきてどうしよう?みたいな感じになるので(苦笑)、ここは勝ちに行きたいと思います」

──いろんなマッチメイクの巡り合わせもあると思いますが、このタイミングでサンウォンと戦えることはモチベーションになっていますか。

「強い相手と戦って勝ちたいという気持ちは常にあるので、こういう相手と巡り会えたことは本当に嬉しいです」

──話せる範囲でどういう試合をイメージしていますか。

「やっぱりストライキングがポイントだと思います。相手は距離を取りながら、ドーン!とワンツーで倒しにきたり、自分が追いかけていったところでタックルに入ってきたり、そういうイメージを持っています。だから相手のやりたいことをやらせないで、自分のやりたいことを押し付ける、プレッシャーをしっかりかけていくみたいな。まあいつも通りなんですけど、そこの精度が上がっていて、倒すイメージを用意してきました」

──反省点や伸ばしたい点があっても、自分の中で「こういう戦いをして勝つ」という信念は崩れてないようですね。

「結局自分って別に運動神経も良くないし、小さい頃からスポーツも得意じゃなくて、格闘技が好きという気持ちや何をやっても恐れないという気持ちで、ここまでやってきました。他の選手みたいに身体能力が高いわけじゃないし、打撃のキレがあるわけでも組技が上手いわけでもないから、自分の強いところを相手に押し付けて勝っていく、勝負していくというのは絶対に変わらないです。

ここから勝ち上がっていくためにも、そこの信念はブレたらいけないなと思うし、その信念はしっかり大切にしながらドンドンドンドンいろんなことができるようになっていきたいなと思います」

■視聴方法(予定)
5月5日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

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45 AB K-MMA KTT MMA MMAPLANET o Pancrase344 キム・サンウォン ブログ 中田大貴

【Pancrase344】中田大貴と対戦、キム・サンウォン「彼は炎。なら自分は水になって熱を冷まさせます」

【写真】今はしっかりと胡坐をかくこともできます (C)MMAPLANET

30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるダルヘッダー昼の部=Pancrase344のメインで中田大貴とキム・サンウォンが戦う。KTT所属のK-MMAファイターは昨年のRoad to UFC準決勝敗退後、パンクラスでキャリアの再構築を選択した。
Text by Manabu Takashima

名田英平、高橋遼伍を下したパンクラス3戦目に挑むキム・サンウォンをKTTの壁を使わないレスリング──スタミナ強化の追い込み練習後にインタビュー。試合前はナーバスになるというパンクラスでの戦いに向け、揺るぎない自信をキム・サンウォンは見せていた。


イー・チャア戦は尾てい骨を折っていました

壁を使わないレスリング・スパー。5R×5Rを回すと、摺り上げやその場ジャンプなど地獄の追い込みが待っている

――パンクラスで3戦目。

もうその空気にも慣れましたか。

「歴史のあるプロモーションなので、いつも緊張しています。でも今回の試合はそれ以上にナーバスになっています」

──場慣れしてきたわけでなく?

「言葉では言い表すのは難しいのですが、なんとなくそんな風になってしまっています」

──Road to UFCを経験していても、緊張してしまうものなのですね。

「パンクラスの試合を会場で見ていると、実力者が多いです。なのでRoad to UFCの経験も、それほど自信にはならないです。パンクラスで戦っていると、初心に戻ることができるからこそ、試合に向けてまた緊張をするようになったのかと思います」

──対戦相手も名田英平選手、高橋遼伍選手とマニアがニヤリとするようなファイターとの対戦でした。

「ハードな相手か、ぬるい相手か。自分はハードな選手と試合をしてきたと思いますが、それも上を目指す限り遅かれ早かれ戦うことになっていた選手たちだと思ってきました。なので対戦が決まった相手に集中するだけだという気持ちで戦ってきました」

レスリング、補強のあとはMMAスパー。出来上がっていました

──その2試合のパフォーマンス、どれほど手応えを感じることができていますか。

「反省することが多い2試合でした。決して満足できるような戦いはできていません。だからこそ、貴重な経験になりました。逆をいえば、そういう試合を経験できたことで凄く自信になったので、満足していると考えることもできますね」

──では次に戦う中田選手の印象を教えてください。

「凄くアグレッシブで、タフなファイターです。そして基本を大切にしている。自分も基本を重視しているので、どちらの基礎がより強固なのかが試される試合になると思います」

──中田選手はガンガンと出てくる選手ですが、距離を保つ選手とどちらが戦いやすいですか。

「自分の戦いをどれだけできるか。常にそれが課題になっています。なので、相手がどのように攻めてくるかは深く考えたことはないです」

──圧という部分ではRoad to UFC準決勝のイー・チャア戦は、彼の圧力に下ったように見えた試合でした。1回戦でSASUKE選手をカウンターで倒した時とは、まるで別人のようでもありました。中田選手と戦ううえで、あの試合が活きてくることはあるのでしょうか。

「言いわけになってしまいますが、準決勝のイー・チャア戦の直前に尾てい骨を折ってしまって、本来のパンチは打てなかったです。2日間、座ることも不可能でした。トイレも大変でした(笑)。いずれにせよ、イー・チャアに負けて失った自信をパンクラスで取り戻すことができました。緊張はしているのですが、次の試合も問題ないと自信は持っています。

以前は対戦相手が体調不良だったり、ケガをしていないかという間違った期待をすることもありました。でも今では、中田選手には万全を期して、最高の状態で試合当日を迎えてほしいと思っています。そういう風に思えるようになった時に、試合は相手選手云々ではなく自分の力を出し切るモノだと考えることができるようになったんです」

──なるほどぉ!! 今、パンクラスでキャリアを積んでいる先に何を見ていますか。

「これまでの自分のキャリアは関係なく、新たにパンクラスでキャリアを築いていこうと思って参戦しました。プロとしてメジャーの舞台を目指すのは当然です。今はパンクラスで強い選手と戦い勝利を手にし続けることで、その道が開かれると思っています。同時に今主戦場としているパンクラスのトップを目指すことは当然のことです。ベルトは獲りたいですが、とにかく目の前にある試合に集中して結果を残すことです。

実はパンクラス初戦で勝利した後、すぐに王座挑戦の機会が巡って来ると考えていました。でも、そうでなかった時に自分のなかで焦らず、落ち着いていこうという気持ちが芽生えました。なので先ほどから言って来たように、目の前にある試合に集中しようと思っています」

──タイトル戦を目指し、中田選手とどのような試合をしないといけないという気持ちでしょうか。

「中田選手は殴られて、殴るという炎のような熱い選手です。彼がそうであるならば、自分は水になります。その熱さを冷ましてあげようと思います」

■視聴方法(予定)
6月30日(日)
午後12時00分~U-NEXT

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【Pancrase344】1年半振りのパンクラス=上田将年「若いファイターと対戦したくないと考えるのは違う」

【写真】筋が通っているというか、軸がぶれないというか。さすがの上田将年です(C)SHOJIRO KAMEIKE

30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるダルヘッダー昼の部=Pancrase344で、上田将年が眞藤源太と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

上田にとっては2022年12月以来、1年半振りのパンクラス参戦となる。昨年11月のBloom FC、そして今年2月のRIZIN佐賀大会と地元・九州での2試合を経て、上田は何を掴んだのか。さらに幾度もタイトルに挑み、ランキング上位の常連でもあった上田がノーランカーとの復帰戦を受けた理由に、上田らしさが溢れていた。


――2022年12月の伊藤盛一郎戦以来、1年半振りのパンクラス参戦となります。パンクラス以外で戦っていた1年半は、上田選手にとってどのような期間でしたか。

「地元で2連戦できたのは大きかったです。自分のMMAキャリアが終盤に向かいつつあるなかで、ずっと『地元で試合をしたい』という気持ちがありました。まず鶴屋怜選手、伊藤盛一郎選手と2連敗して、1回期間を空けようかと考えていたんですよ」

――上田選手の場合は、コロナ前からフライ級上位陣と戦い続けてきました。そのぶん疲れが溜まっているのでは……とも思っていました。

「体の疲れよりも、2連敗して心が疲弊していましたね。だから『1回休もう』と。ちょうどその頃に、所英男選手のセミナーが福岡で開催されたんです。僕にとっては所選手って、高校時代にテレビで見ていた憧れのファイターで。その所選手からアドバイスが欲しいと思って、自分の今の気持ちを話してみたんですよ。すると『そういう時は1回ガッツリ休んでみても良いと思う』と言われました。所選手もDREAMやRIZINに出ている中で、ガッツリと休んだ時期があったそうで……」

――伊藤盛一郎戦からBloom FCのオトコンバヤル戦まで約1年の期間がありました。その間はどう過ごしていたのでしょうか。

「いつもどおり練習して、育ってきている福岡の後輩選手たちのサポートに回ったりとか。でもサポートに回っていても、見ていると自分も試合がしたくなってきて(笑)。サポートしながら刺激をもらって、またサポートしながら刺激を――という繰り返しでした」

――Bloom FCではオトコンバヤルに判定勝ちを収めたものの、続くRIZINでは伊藤裕樹選手に敗れています。あの試合については?

「伊藤裕樹戦は、自分が守りに入りすぎてしまいました。自分は組みたい、伊藤選手は殴りたいと互いの作戦が違うなかで、僕は伊藤選手の打撃をブロッキングして組みに行きたかった。そのために伊藤選手としては、打撃の防御についてはイージーになったと思います。自分が殴って触って、次に僕が組みに来るのは分かっていたはずですから」

――伊藤裕樹戦前のインタビューでも、ご自身が守りに入ってしまう点について触れていました。一方でオトコンバヤル戦では、自分からアクションを起こすことができていた、と。しかし伊藤戦で守りに入ってしまったのは、何か理由があるのでしょうか。

「伊藤戦は当て勘が良くて、カウンターを当てるのも巧いですよね。こちらが変に打撃を出したところにカウンターを合わせられたくなかった。序盤に伊藤選手のパンチをブロックした時、このまましっかりブロックしていればKOされることもないし、ダメージを受けることはないと思ったんです。それで逆にブロッキングに頼ってしまい、相手に触られる機会をつくってしまったと考えていて。自分もジャブを打ちながら前に出て、相手に反応させてから組みに行けば――と試合後、原田惟紘さん(G-face代表)とも話をしました」

――では伊藤裕樹戦の内容と結果を受けて、ここまでに取り組んできたことはありますか。

「まず思ったのは……経験値がない時代は、良い形で組めなくてもガムシャラに攻めていたんですよね。スタミナのことも考えずに(笑)。でもその結果、動きが出来てスクランブルになって自分が上を取る。それが僕の強みだったと思います。

でも経験を重ねるなかで、『今ここで行くべきか……』と変に落ち着いて考えてしまうことも増えました。伊藤裕樹戦の映像を視返すと、『ここは練習なら行っとうよな』と思う場面は結構あって。でも試合中は『ここで行ったらスタミナがどうなるか』と考えてしまう。

最近は丁寧につくっていこうという気持ちが強くなっていたかもしれないです。だけど、ちょっと雑でも良い。ドリルとかスパーリングの中でも、自分が完全に良いところを取れていなくても動きをつくることを意識してきました。もちろん、動きをつくる分疲れます。でもその部分をクリアできないと、前回と同じことになってしまうので」

――きっとMMAはその繰り返しなのだろうと思う時はあります。上田選手ほどのベテランでなくても……たとえば若い選手でも、できることが増えたら試合中に考えてしまう場面が増えてしまったと。そこで一瞬、動きが止まったところを相手も見逃さないわけで。

「なるほど。最初のガムシャラな気持ちがあって、技術的にできることも増やし、さらに経験を積んでいった時に、それらをうまく融合させられたら動きに繋がるのでしょうね」

――パンクラスでは現在ランキングから外れています。そんななかでノーランカーの眞藤選手と対戦することになりました。

「実はこの試合の前に、ランカーとの試合のオファーが来ていたんですよ。自分もパンクラスさんには『前戦で負けているので、相手を選べる立場ではないです。パンクラスさんが選んでください』と伝えていて。でもタイミングが合わずに何度か話が流れて、今回の進藤選手との試合が決まりました」

――そうだったのですね。パンクラスに復帰するうえで、目指すはパンクラスのベルトなのでしょうか。

「そうです。伊藤裕樹戦が終わって『これからどうしようかなぁ』とは考えたんですよ。『違う団体で試合をするのも一つだな』とか。でもMMAを戦ううえで何か一つ目標は欲しい。じゃあ今は何が欲しいのか、と考えた時に思い浮かんだのは――やっぱりパンクラスのベルトでした。鶴屋戦、伊藤盛一郎戦と2連敗していても、諦めることができないです」

――他の団体に出場することも考えたのですか。

「はい。でも『次どこで試合しようか……』と考えているうちに、試合もせず1年が経ち――ベテラン勢の名前だけが残っていくことって多いじゃないですか。それだとMMA業界全体の新陳代謝には繋がりにくいですよね。僕はそれが嫌で。

若いファイターたちは上の選手を喰いたい。かつて自分もそうであったように。なのにベテランが若いファイターと対戦したくないと考えるのは違う。上の選手も勝てば良い話で、負けたら『自分もここまでか』と思って引退していく。それが格闘技だと思うんですよ。

自分自身もベテランというだけで、名前だけ残しているようなファイター人生を送りたくない。特にパンクラスで試合をしている若い選手からすれば、『1年半もパンクラスで試合をしていないのに、いきなり復帰戦が上位ランカーって……このオッサンは何だ!?』と思うでしょう(笑)」

――アハハハ。逆に若い選手には、それぐらいの意気込みを持ってほしいですね。

「そうなんですよ。それは他の団体に出ても同じだと思います。たとえば僕がDEEPや修斗に出て、いきなり上位陣と組まれるとするじゃないですか。ずっとDEEP、修斗で戦っている選手は『パンクラスでランキングに入っていたからって何だよ』と思うでしょうし。何より僕が同じ立場だったら、絶対にそう思っているはずなので」

――眞藤選手は現在23歳で、次の試合が8戦目です。まさに上田選手を喰いたくて仕方ない立場でしょう。

「そういう相手と対戦することに、少しプレッシャーは感じています。でもパンクラスらしいマッチメイクですよね。オファーが来て、すぐに受けました」

――オファーが来た時点で眞藤選手のことは知っていましたか。

「いえ、名前を見ただけでは分かりませんでした。でも映像を視ると『あぁ、この選手か! 良いファイターだよなぁ』と思って。真っ直ぐ伸びのあるパンチを打つし、寝技も自分からどんどん動いてくる選手です。映像を視ることで改めて、自分もスイッチが入りました」

――とにかく動き続けるスタイルが眞藤選手の特徴です。先ほどの「自分から動きをつくっていく」という話でいえば、上田選手の今が試される相手で正直、一番嫌なタイプの相手ではないですか。

「絶妙なマッチメイクですよね。これは坂本靖さんマジックで毎回『ここで、この相手が来るか!』と感じています(笑)。でもここで自分がオファーを断る理由もなくて。それこそ『上田、お前は前回負けているから、次はこの相手だ』と言われても当然なのが格闘技だと思っていますから」

――上田選手がパンクラスへ、そのように伝えているからではないですか。「確実に自分が勝てる相手と試合を組んでください」と言えば、実現するかもしれません。

「アハハハ! たとえそうであっても、僕は自分を貫きます」

――それこそが上田選手だと思います。

「眞藤選手は運動量が多く、身体能力が高いファイターだと思います。その中にある穴も見つけています。相手もその穴を埋める練習はしているでしょうけど、さらにその穴の奥を突いて、ベテランのズル賢さを見せたいと思います。と同時に、自分としては久々のパンクラス参戦で、上田将年としては初出場です。フレッシュな気持ちで戦い抜きます!」

■視聴方法(予定)
5月30日(日)
午後12時00分~U-NEXT

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【Pancrase344】九州MMA男児に『NO』なし。原田惟紘がギレルメ・チャイ・ナカガワと対戦!!

【写真】ギレルメが原田と対戦。受けた原田も要注目のバンタム級マッチだ(C)MMAPLANET

4日(火)、Pancraseより30(日)に東京都港区のニューピアホールで行われるダブルヘッダー=Pancrase344&345の昼の部344大会にギレルメ・ナカガワが出場し、原田惟紘と対戦することが発表されている。
Text by Manabu Takashima

原田は当初、同大会でランク10位の谷内晴柾と対戦予定だったが、谷内の負傷で中止となっていた。5年7カ月ぶりのパンクラス再戦が宙に浮いた原田だったが、先の格闘代理戦争―MAX―にクレベル・コイケ→ホベルト・サトシを監督したギレルメと相対することに。


昨年のIBJJFアジア茶帯ライトフェザー級3位、アマMMAで10戦10勝という振り込みで代理戦争に挑んだギレルメは、初戦でTHE BLACK BELT JAPANの諸石一砂を40秒腕十字で斬って落とすも、準決勝で優勝した中村京一郎を相手に3R2分14秒で左ストレートから連打でキャンバスに沈んだ。

しかし、得意の組みを切られ、ボディショットを打ち抜かれるなど劣勢から、右でダウンを奪った追い詰められた時の気持ちの強さでインパクトを残していた。そのギレルメは5月の決勝大会にもワンマッチに出場し、見事なストレートフットロックで佐藤藏ノ介を76秒で一蹴している。

優勝こそ逃したが、絶対的な強さを誇る柔術力と、気持ちが折れない荒々しい打撃――そしてクレベルがいうとことのチャイ(シャイ)で寡黙なキャラも相まって今後のキャリアの積み方に注目が集まっていたギレルメが適正体重=バンタム級でパンクラス参戦。結果として3月から4カ月連続でMMAを戦うこととなった。

代理戦争は3分×3Rの参考マッチ、今回は5分×3RとなりフルパワーMMAもペース配分が必要となってくる。対してMMAの中に柔術を落とし込んだ原田が、大注目株といえどもルーキーとの試合を受けたのは、やはり北九州在住で中央で試合をするために相手を選ぶことはない――というMMAファイター人生の指針を貫いたといえよう。

なお同大会では中田大貴×キム・サンウォンが組まれ、夜の部345大会では内藤由良が佐藤天推薦のディラン・オサリバンと対戦するなど国際戦が2試合、さらに5月25日大会から延期のフェザー級の次期挑戦者決定戦=平田直樹×Ryoがスライドで組まれた30日のパンクラス。漢気などではない、それが地方在住ベテランの習性といえる原田の意地が、ギレルメを相手に爆発するのか。ギレルメが静かに猛攻を仕掛けて、新たな一歩を踏み出すのか。要注目の一戦が、加わった。

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