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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 久米鷹介 粕谷優介

【Pancrase342】久米が右ストレート&アッパーとTDを織り交ぜるMMAで粕谷を封じ、涙の判定勝ち

【写真】(C)MMAPLANET

<ライト級/5分3R>
久米鷹介(日本)
Def.30-27.30-27.30-27
粕谷優介(日本)

サウスポーの粕谷に対し、久米が左カーフを当てた。左右、前後に動く久米に、粕谷の左ミドルが突き刺さる。久米がプレスをかけて左カーフを蹴る。粕谷は久米の右をスウェーでかわしたが、ケージに詰められて右アッパーを食らう。粕谷が右ローを見せると、久米も左カーフを当て、さらに右ストレートを突き刺す。粕谷は左ミドルを返した。しかし久米が粕谷の左ミドルを捌き始める。左アッパーから右三日月蹴りを突き刺した久米が粕谷をケージに押し込んだ。左腕を差し上げ、さらにボディロックの形を整えていく久米。粕谷や久米の右手首を抑える。久米は右ヒザを粕谷の足に打ち込み、久米は左ヒジを入れていく。久米が左足を外から差し入れ、久米の顔面に右アッパーを連打した。

初回はジャッジ3者が久米の10-9とつけている。

2R、距離を詰めた粕谷が左ミドルを打ち込む。ケージ中央で粕谷が右カーフを当てた。粕谷の左ミドルをブロックした久米が距離を詰める。しかし粕谷が久米をケージに押し込み、右腕を差し上げた。久米が差し返す。小外刈りで粕谷を揺さぶった久米は、左ヒザを顔面に突き上げる。差し合いが続き、レフェリーがブレイクをかけた。久米の右三日月蹴りが粕谷のボディに突き刺さり、すぐさまダブルレッグで飛び込んだ。グラウンドに持ち込んだ久米は、うつ伏せになった粕谷からバックマウントを奪い、パンチを連打する。粕谷は動きが止まるも、ラウンド終了まで耐えた。

2Rもジャッジ3者が久米の10-9に。

最終回、サークリングから左カーフを蹴る。粕谷の左前蹴りは届かず。粕谷が左ミドルを打ち込むと、久米もすぐに右ローを打ち返した。ダブルレッグをかわされた久米は左ロー、右ストレートから足をかけていく。これは耐えた粕谷だったが、続いて組みつかれ、尻もちを着かされた。起き上がる粕谷を潰した久米は、背中を着かせる。ボディロックからパス、さらにバックを狙う久米。左足を差し入れ、パンチで削りながら右腕で粕谷のアゴを上げる。ここで粕谷は反転して立ち上がるも、久米のバックコントロールは続く。ケージ際で正対した粕谷だったが、離れたところで久米の左フックを食らい、足がフラつく。すると粕谷はシングルレッグで飛び込み、久米に背中を着かせた。ハーフガードの久米をパウンドで削る粕谷が、残り10秒で鉄槌とパウンドを連打していった。

粕谷の逆襲はポイントを奪うまでには至らず。久米がフルマークの判定勝利を収めた。マイクを握った久米は「もう少し頑張っていきたいと思っています。僕のことを心配してくれる方も多いと思いますが……」と言葉を詰まらせ、「メインのタイトルマッチを楽しんでいってください」と語った。


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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 ボクシング 佐藤生虎 和田良覚 長岡弘樹

【Pancrase342】これぞタフファイト。耐える長岡に左とヒジを当て続けた佐藤が初の判定勝ち

【写真】これぞ長岡ファイト。そして佐藤も疲労を乗り越えた(C)MMAPLANET

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
Def.3-0:29-28.29-28.28-29.
長岡弘樹(日本)

共にサウスポー。サークリングしながら右を突く佐藤は、長岡が距離を詰めて来ると左を振るう。下から、さらに上から左を伸ばし、さらに右ジャブを突いていく。長岡もワンツーからから距離を詰めるも、組みつこうとした長岡に左ストレートから乱打を浴びせた。長岡も顔面に左を受けながら組み付き、ケージに押し込んだ。両脇を差し上げて押し返す佐藤。長岡はダーティボクシングに持ち込むが、佐藤が体勢を入れ替えた。左腕で長岡の頭をなぎ倒してから、佐藤が離れる。佐藤がケージ中央で左ストレートを幾度も叩き込むが、長岡は倒れない。ならばと佐藤の右フックが長岡の顔面を捉える。頭を振って近づく長岡に右ジャブを叩きこむ佐藤は、右ヒジから左を突き刺した。しかし長岡は前に出続ける。ケージ中央で組んだ両者、佐藤が離れながらヒジとストレートを繰り出すも倒せず、初の2Rに突入する。

初回はジャッジ3者が佐藤の10-9とした。

2R、長岡が右ジャブで佐藤の顔面を跳ね上げる。佐藤が左右のパンチから突進すると、和田良覚レフェリーが巻き込まれかけた。ケージ際で体勢を入れ替えた長岡がシングルレッグで組むも、佐藤が手首を抑える。すると長岡はバックに回り、さらに左足をすくって背中を着かせた。バックを奪った。立ち上がって正対した佐藤を、長岡がケージに押し込む。シングルレッグからバックに回った長岡の左腕を取った佐藤が、キムラでリバーサルしてバックマウントへ。長岡はスクランブルからダブルレッグで組むと、再び佐藤は長岡の左腕をキムラで抱える。長岡はシングルレッグから、しっかりと佐藤に背中を着かせた。ハーフガードの佐藤を、長岡がパウンドで削りラウンドを終える。

2Rはジャッジ3者が長岡の10-9とつけた。

最終回、長岡のテイクダウンを切った佐藤が左跳びヒザで飛び込む。それをキャッチした長岡が佐藤をケージに押し込んでいった。右腕を長岡のアゴを上げ、左ヒジを叩き込む佐藤。この一撃で長岡は一瞬下がるも、すぐに組みついた。ケージ中央で押し合う両者、佐藤は長岡の左手首を掴み、左ヒジを叩き込む。さらに左ストレート、右アッパーで顔面を跳ね上げるも、長岡は組みついていく。首相撲からヒザを突き上げた長岡は、さらに右フックを放つ。長岡の投げを耐えた佐藤は、長岡の右ジャブに右アッパーを合わせた。ワンツーから長岡をケージに押し込み、左を入れる。体勢を入れ替えた長岡はダブルレッグへ。佐藤が長岡の右腕を抑えると、長岡は右腕を差し上げてバックを狙うも、佐藤がそれを許さず。ケージから離れた両者は、ケージ中央で打ち合い、組合をてんかいし、最後は佐藤が左を顔面に叩き込んだ。

1Rと3Rを佐藤が取ったか。判定勝利を収めた佐藤は、体力を全て使い切ったようにケージ中央に倒れた。誰もがそれを理解できるほどのタフファイトだった。マイクを持った佐藤は「シンドイです。勝てて良かったです」と語ってケージを後にした。


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F1 KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 ホン・イェリン

【Pancrase342】TD&グラウンドも交えて攻め続けたKARENがイェリンに判定勝利

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
ホン・イェリン(韓国)

イェリンが細かくジャブと左フック、KARENも右ローを蹴る。イェリンが右ミドル、KARENの右ローに右ストレートを合わせる。KARENの蹴りをバックステップでかわしてワンツー、KARENの右ストレートに右ストレートを返し、右ストレートから左フック、右ローを手数を増やす。

ジャブの差し合いからKARENが組みつくと、イェリンがKARENをケージに押し込む。イェリンはKARENの足にヒザ蹴りを入れ、KARENも態勢を入れ替えてテイクダウンする。イェリンはガードポジションから三角絞めを仕掛け、それを外したKARENがトップキープする。残り30秒、イェリンが腕十字を狙ったところでラウンド終了となった。

2R、KARENがジャブと右ロー。イェリンも右ストレートと左フック、左ミドルを蹴る。KARENがジャブと右ストレート、イェリンはKARENの蹴りに右ストレートを伸ばす。イェリンが右フックを見せると、KARENが右ストレートを返す。組みの展開になるが、すぐに離れる両者。KARENはイェリンの右ストレートにシングルレッグに合わせてテイクダウンを奪う。

KARENはイェリンの頭をケージに押し付けてパスガードを狙い、ヒジを入れる。イェリンが体を反転すると、がぶったKARENがボディにヒザ蹴りを入れる。KARENはイェリンの体をケージに押し付けてギロチンを狙いつつ、イェリンがKARENをケージに押し込んで立ち上がったところでラウンド終了となった。

3R、イェリンが細かくステップしてジャブをつく。KARENは右の前蹴り・右ストレートから組み付き、シングルレッグでテイクダウンする。ハーフガードでトップキープするKARENがヒジを入れる。KARENはアームロックを狙いながらヒジを入れ、イェリンが体を起こすとバックキープも狙いながらパンチを入れる。

イェリンは亀になって足を取りに行くが、KARENがそれをつぶしてパンチを落とし続ける。残り1分を切ったところでKARENがバックを取ってRNCへ。イェリンがそれをしのいだところで試合終了。テイクダウン&グラウンドも交えて攻め続けたKARENが判定勝利を収めた。

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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 キック ホン・ソンチャン 松岡嵩志

【Pancrase342】カーフを当てた松岡、パンチ&TDで前に出続けたソンチャンに判定で敗れる

<ライト級/5分3R>
ホン・ソンチャン(日本)
Def.3-0:29-28.29-28.30-27.
松岡嵩志(日本)

ソンチャンがジャブをついて前に出る。松岡は右カーフとヒジを返す。ソンチャンがダブルレッグで組むと、ボディロックで松岡をケージに押し込む。松岡が距離をとって離れると再び右のカーフキック。ソンチャンが右ストレートからシングルレッグで組みつき、そのままケージへ押し込む。松岡はギロチンも狙いつつ、ケージに体を預けてテイクダウンディフェンスする。

お互いに細かくパンチとヒザ蹴りを入れる展開が続き、ブレイクとなる。再開後、松岡は右カーフキック、右フックを狙いつつ、組んでくるソンチャンにヒザ蹴りを突き上げる。構わず組みついたソンチャンがケージに押し込み、松岡は離れる。松岡は右カーフを当ててジャブで距離を取る。今度は松岡が組みついてダブルレッグでテイクダウンを狙ったところでラウンド終了となった。

2R、距離を取りながら松岡が右カーフと左フック。これでソンチャンの足を止めるが、ソンチャンがダブルレッグで松岡に尻餅をつかせる。ケージに体を預けて立ち上がった松岡。距離を取ると松岡が左フックと右ストレート、ソンチャンも右ストレートを返す。このまま組んだ松岡がテイクダウンを狙い、そのままソンチャンをケージに押し込む。ソンチャンが態勢を入れ替えると、松岡が距離を取る。

松岡はパンチと首相撲からヒザ蹴り。ソンチャンが組みついてケージへ押し込むと互いに態勢を入れかえつつ、ソンチャンがシングルレッグでテイクダウンを狙い、松岡は細かくヒジとヒザを入れる。ブレイク後、松岡が右ストレートと右カーフ、ソンチャンも右フックを狙い、ダブルレッグで松岡に尻餅をつかせる。松岡が背中を見せて立ち上がり、スイッチを狙ったところで終了となった。

3R、松岡が右カーフ、ソンチャンもワンツーで前に出て右フック。松岡もパンチで打ち合うが、組みついたソンチャンが松岡をケージに押し込む。ブレイク後、松岡が左フックと右カーフ。ソンチャンのダブルレッグを切ってヒザ蹴り。離れて打撃戦になると両者は左フックを相打ち、松岡が右ストレートからダブルルレッグへ。ここは距離が離れると、打撃の攻防のなかでバッティングが起こる。

再開後、松岡がジャブと右カーフ、左フックで飛び込んで首相撲からヒザ蹴り。ソンチャンも右ストレートと左フック、松岡は右カーフと左フック、ジャブを突いて、前に出る。ソンチャンが右ストレートから組んでテイクダウンへ。尻餅をついた松岡もケージに体をあずけて立ちあがりトップキープを許さない。クリーンテイクダウンを奪えなかったものの前に出続けたソンチャンが判定勝利を収めた。

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45 AB Pancrase342 Report ブログ 前田浩平 砂辺光久

【Pancrase342】58カ月ぶりのパンクラス参戦、砂辺らしさを見せるも前田にフルマークで敗れる

【写真】このシーンは、いわゆるパイルドライバーを狙おうとしたのか……(C)MMAPLANET

<フライ級/5分3R>
前田浩平(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
砂辺光久(日本)

サウスポーの前田が左インローを放つ。左手を伸ばしてプレスをかける砂辺に、前田が左ミドルを繰り出した。砂辺の右ミドルをキャッチした前田がグラウンドに持ち込んだ。立ち上がって前田に対し、砂辺が足を利かせる。前田はパウンドを打ち込み、ガードの中にに入った。ニーシールドの状態から下から鉄槌、ヒジを打ち込む砂辺。下から三角、腕十字を足をかけていくと、前田が立ち上がった。

前田はパスを狙うも砂辺は右ヒザを差し入れている。前田はしっかりとパスして抑え込み、左腕を枕の状態にして肩固めへ。さらにバックに回ると砂辺が立ち上がった。前田がケージ際で左足を差し入れると、砂辺はその左太ももにヒジを落とす。砂辺が投げを打つと、前田が右オーバーフックで耐えた。ガブってケージに押し込んだ前田は、下から組みつく砂辺にパンチを落とし続けた。

初回はジャッジ3者とも前田の10-9としている。

2R、前田が左ストレートから右ミドルハイに繋げる。さらにワンツーから左ミドル、さらにボディロックで砂辺をケージに押し込んだ。小外刈りでグラウンドに持ち込んだ前田が右のパウンドを落とし、うつ伏せになった砂辺のバックを奪う。立ち上がった砂辺のバックについたままの前田が、バックへの投げでマットに叩きつけ、さらに立ち上がる砂辺の首に腕を回して引き倒した。バックマウントを奪われた砂辺は前田の両腕を抱える。立ち上がろうとした砂辺だが、マットに座る形でグラウンドに戻った。前田は右腕を首に回し、パームトゥパームで絞め上げたあと、さらに砂辺の頭の後ろで腕を組んだ。これは凌いだ砂辺だったが、バックマウントを奪われた状態のままラウンドを終えた。

2Rもジャッジ3者が前田に10-9をつけた。

最終回、前田がフェイントから左ストレートを突く。左インローを当てた前田に対し、砂辺は距離を詰めていくが、左の蹴りで前進を止められてしまう。打ち合いに持ち込んだ砂辺は前田の右フックを受けた。マックス・ホロウェイばりに中央を指差す砂辺。しかし前田は応じない。前田のワンツーが砂辺の顔を跳ね上げた。砂辺はカウンターを狙うと、前田がニータップで入る。砂辺が差し返すと、前田が押して離れた。前田のシングルレッグにアッパーを合わせる砂辺。しかし前田がそのままドライブし、ケージに押し込んでいく。差し返した砂辺が離れる。

砂辺はプレスをかけ、跳びヒザから右を打ち込む。しかし前田が跳びヒザからニータップへ。砂辺は前田の足の間に腕を通し、パイルドライバーを狙うか。ここは前田が離れ、右ジャブを突いてサークリングする。残り1分でシングルレッグに入る前田。カウンターの右アッパーを狙う砂辺。ダブルレッグに切り替えた前田の頭部にヒジを打ち込むが、尻もちを着かされて試合を終えた。

判定はフルマークで前田の勝利となった。


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45 AB AXEL RYOTA IMMAF KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 RIZIN RYO UFC YouTube   キック ブログ 前田浩平 砂辺光久

【Pancrase342】58カ月振りのパンクラス復帰=前田浩平戦へ、砂辺光久「ハイブリッドレスリングをする」

【写真】試合後もこの表情が見られるか(C)SHOJIRO KAMEIKE

明日29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催されるPancrase342で元フライ&スーパーフライ&ストロー級KOP砂辺光久が、1年10カ月振りの実戦復帰を果たし前田浩平と対戦する。
Text by Manabu Takashima

44歳になった砂辺にとってパンクラス登場は実に4年10カ月振りとなる。なぜ、このタイミングなのか──。1993年はUFC活動開始の年でなく、パンクラスの旗揚げ戦のあった年と断言する砂辺のパンクラス愛とハイブリッドレスリングへの拘りの言葉の数々が聞かれた。


──試合自体が1年10カ月振り、このタイミングでパンクラスに戻ってきたのは?

「30周年記念大会に必ず出たかった。それがあります。5年前に北方大地に負けて、ベルトを彼に手渡した。あの瞬間に全て終わったと感じました。あの時、後々振り返ってみると会見の時から何まで、もう疲れてしまっていました。『何回目ですか、この調印式?  8年も僕、チャンピオンですよ』っていう風で。

でも北方選手はリベンジに燃えている。僕は6年間以上負けずに16連勝とかしている途中で、RIZINにキックで出てスコッと負けて。やり返したい北方選手の数年間の想いが詰まった試合で、負けた。なんか大きな役目をやり終えて、肩の荷が下りたというか。なんとなくですが、『ここには戻ってこないだろうな』と言う風に自分のなかで一区切りがつきました。

ただしパンクラスに最後の恩返しとして、地元・沖縄でパンクラスの大会を開く。でも発表後にコロナになり、おかしなことですけど『何かの力が働いてパンクラスと俺の間を止めている流れがあるな。もう、このケージに戻ることはない』と。あれからは好きだから格闘技を続けるという風にしていました。

3歳下の仲間、宮城友一がトップ戦線浮上を狙って頑張っている。教え子の当真桂直も頑張っている。その姿をサポートする立場で見ていて、彼らから刺激を受けつつもパンクラスに自分が戻るという風にはならなかったです」

──それでも、戻って来る気持ちになったのは?

「そんな時にRIZINの沖縄大会に声を掛けて頂き、ポンポンと2つ出て。結果は振るわなかったですけど、反響は大きかったです。僕がデビューして23年、パンクラス王になるということに拘り続けて──パンクラスで3階級のチャンピオンになっても得られなかった知名度を、RIZINで負けても得てしまう……。そこには自分のなかでも複雑な想いがあります。パンクラス、RIZINから声が掛かれば行こうかという想いはあっても、自分が試合に出たいと手を挙げることなかったです。

そうこうしているうちにパンクラスが30周年記念大会を開くようになった。今、現役で選手をしている人達のなかで1993年のパンクラス旗揚げを──ライブで観戦したわけじゃないですけどVHSのビデオでリアルに体感している人って、レジェンドの方々を除くともういないと思います。掌底、レガース、ヒールホールドが禁止になった──そんなパンクラスの歴史を体現し、語り継ぐことができる人間は自分しかいない。だから30周年記念大会で、一つ楔を打ちたい。『俺、まだここにいるよ』と……これが正しい表現方法か分からないですけど、今回の試合はハイブリッドレスリングをするつもりです」

──それこそ、その意味合いを理解できる選手たちが少なくなっていると思います。

「ですよね。MMA、総合格闘技を戦っていても僕の動きはハイブリッドレスリングです。それを今のパンクラスのファンの方に──『こんなヤツいたんだ』、『昔はこんなことをしていたんだ』というのを見てもらいたいというのがあります」

──フライ級で戦うというのは?

「もうフライ級でしか戦わないと思います。ストロー級の52キロで戦うには2カ月前から減量を始めて、1カ月前にはヘロヘロになっている。体は辛い、でも一生懸命に練習をする。翌日になってもキツイ。それをずっと続けていると、もう練習がしたくないと思うようになっていたんですよね。そこまでやっても北方選手に、僅差でもなんでもなく負けた。あそこまでやっても結果が出ず、宝物にしていたモノを奪われた。あの辛さを経験したことで、健康的に格闘技を戦おうというマインドに変わりました」

──そんな砂辺選手ですが、今回の試合前は以前のようにグランドスラムで調整をしていないそうですね。

「それは沖縄に、それだけの環境が整ったからです。あの頃、平良達郎がデビューをしていたのか、していないのか。沖縄にいると松根(良太)さん以外にチンチンにされることはない。なので強い練習相手を求めて横浜で合宿をさせてもらっていました。

今回も行こうかとも考えましたけど、沖縄でできるなと。特に達郎と肌を合わせると、毎回勉強になります。達郎は親身になって教えてくれますし。沖縄は凄く良い環境になったと言えます」

──逆に沖縄に練習にいく選手が増えています。

「そうなんですよ。松根さんが創った環境、そこで生まれた平良達郎の影響はデカいです」

──CROSS X LINEという自身のジムを持ち、THE BLACKBLET JAPANでのプロ練習に参加する。ただ修斗沖縄大会では沖縄勢同士が戦うことがあります。

「当真がTHE BLCKBELT JAPAN勢との試合が決まると、僕も練習にいくのは控えます。でも、もう旭那拳とのタイトルマッチ以外では交わらないので、当真も僕も週に2回お世話になっています」

──ところで5年間勝利から遠ざかり、44歳になった砂辺光久の力をどのように自己評価しているのでしょうか。

「なんか吹っ切れたんですよ、5年前に負けた時に。そして平良達郎がUFCと契約する前から、その成長振りを体感してきました。彼と触れることで、どんどん広がっているモノがあると感じています。

同時に最強を目指すことを辞めました。前はストロー級で一番になりたかった。でもパンクラスへの思い入れがあるので、他で戦うのではなくて『こっちに来いよ』という姿勢でした。それが最強でなく最高を目指すようになって……高山×ドン・フライ、あれって僕のなかでは最高なんです。プロとして凄く最高で。

ただ技術的に何か優れているということは一切ない。僕がこれからやらないといけないのは、技術を見せて何連勝をする……というのは難しいけど、勝った上で最高の作品を一つでも多く残すこと。残したいと思っています。

言ったらRIZINで前田吉朗とやった試合。あれってオジサン同士の総合格闘技じゃないですか。MMAが磨かれている時代に逆行したモノを見せて、最高だと思ってくれる人が多かった。あれほど強い人がいる場で、僕と吉朗が尖ったことをして下半期ベストバウトに選ばれた。人の心を動かす──そこに憧れを持ち続けてきました。1993年は僕にとってはUFCが始まった年ではなくて、パンクラスが始まった年です。それから、ずっとパンクラス、パンクラス、パンクラスで来ました。なので、これからはパンクラスにとって最高の作品を1つでも出していきたい」

──高山×フライは両者の共鳴が必要な殴り合いでしたが、前田選手は自身のIMMAF時代から積み上げてきたMMAをぶつけるために、共鳴どころか拒否をしてくることが予想されます。

「今までもそうなんです。田原しんぺー、室伏シンヤはMMAで僕に向かって来た。結果、田原しんぺーはパワーボム(腕十字をスラム)、室伏シンヤは喉輪落とし(ジャンピングガ―ド&ギロチンをスラム)でKOされました。プロレスラーの僕が、プロレスの技で勝った。修斗の人が修斗で戦い、パンクラシストがハイブリッドレスリングで勝っただけなんです。

前田選手は順調に結果を残せている選手ではないですが、辞めないで続けている。強いヤツらに揉まれてきた。どういう選手であっても、僕は自分の持っているパンクラスへの愛情であったり、ハイブリッドレスリングへの拘りを貫くつもりです。北方大地をジャーマンで投げたとか。試合がどうだったねとか、ゲームプランがどうだったではなくて、『アイツのアレ、面白かったね』というモノを一つでも多く創り出したいです」

──UFCが最高の舞台で、若いMMAファイターには最強を目指してほしい。何より、MMAは勝敗が絶対という姿勢を自分は持ち続けますが、砂辺選手に関しては、噛めば噛むほど味が出る「都こんぶ」のようになってほしいと思っています。

「僕のパンクラス30周年はまだ終わっていなくて。今回の試合に勝ったら、パンクラスの扉を開けた男──稲垣克臣(1993年9月21日のパンクラス旗揚げ戦、第1試合で鈴木みのると対戦)を引っ張り出したいと思います!!」

──その試合が実現するなら、ぜひリングでお願いします。

「そうですね、ロープエスケープ有りで」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT

■Pancrase342 計量結果

<ストロー級暫定王者決定戦/5分5R>
黒澤亮平(52.15キロ)
リトル(52.05キロ)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(70.70キロ)
久米鷹介(70.70キロ)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(77.55キロ)
長岡弘樹(77.35キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(52.05キロ)
ホン・イェリン(51.40キロ)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(70.40キロ)
ホン・ソンチャン(70.00キロ)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(57.00キロ)
前田浩平(57.20キロ→57.10キロ)

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(52.25キロ)
氏原魁星(52.10キロ)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(65.85キロ)
櫻井裕康(66.50キロ→66.10キロ)

<バンタム級/5分3R>
坂本瑞氣(61.35キロ)
谷内晴柾(61.25キロ)
<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
饒平名知靖(56.65キロ)
名久井悠成(56.55キロ)

<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
山崎蒼空(56.85キロ)
AXEL RYOTA(56.95キロ)

<フライ級/5分3R>
田中亮祐(56.35キロ)
齋藤桜貴(57.15キロ)

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【Pancrase342】長岡弘樹戦へ。柔道出身の剛腕、佐藤生虎「……次の試合も殴ります」

【写真】生虎(しょうご)という名前の由来は、「正午に生まれたことから当て字で……という説があります」とのことでした(C)SHOJIRO KAMEIKE

28日(日)、翌29日に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase342の計量が行われ、出場選手全員がクリアした。明日の第10試合試合では佐藤生虎が長岡弘樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年プロデビュー以来3試合連続、1ラウンドKO勝ちをマークしている佐藤。しかも合計タイムは3分と、1ラウンド分にも至っていない。特に左ストレートを軸に戦っているが、もともとは柔道ベースだというから驚きだ。なぜ佐藤がこれまでに左ストレートで倒しまくるようになったのか。その秘密をひも解く。豪快なKOの裏には、試合スタイルからは想像できない佐藤の性格が関係していた(※取材は4月24日に行われた)。


――MMAPLANETでは初のインタビューとなりますが、宜しくお願いいたします。

「……、……」

――すみません、ちょっと音声が小さいようですね。

「(マイクを口に近づけて)聞こえますでしょうか?」

――ありがとうございます。聞こえました。もしかして今は職場ですか。

「はい、そうです」

――もしかして小さな声で喋らないとか……。

「そんなことはないのですが――ちょっと周りから見られています(笑)。でも大丈夫です。すみません」

――いえ、職場でインタビューを行わせていただき、ありがとうございます。会社の方にも宜しくお伝えください。

「アハハハ、分かりました(笑)」

――改めて、プロデビュー以来3試合で合計3分ほどしか戦っていない佐藤選手です。

「えっ、そんなに短いですか」

――これまでのKOタイムが1分1秒、35秒、1分22秒ですから、正確には2分58秒です。ご本人としては意識していないのですか。

「そうですね。まぁ、たまたまというか……」

――あれだけ左ストレートを軸に戦っていて、「たまたま」ではないでしょう(笑)。

「いや、もう必死に戦っているだけで(苦笑)。自分でもよく説明できなくて――喋るのも下手なので、すみません」

――いえいえ。あれだけの剛腕っぷりを見せていながら、ベースは柔道なのですよね。

「柔道は10歳から28歳までやっていました。もともと兄が柔道をやっていたので、僕も同じ町道場に入れられて。28歳の時に柔道を辞めて、MMAを始めました」

――28歳というと大学を卒業してから、どこか企業で柔道をやっていたのでしょうか。

「いえ、警察です」

――警察ですか! 大学までの優勝実績などは……。

「特に無かったです。高校の時に県大会で優勝したり、大学も全国大会に出たぐらいで。そこから警察の柔道部に入りました。ずっとMMAは好きで、大学を卒業した時点で柔道を続けるか、MMAを始めるかは一度考えました」

――そこで柔道を続けた理由は何だったのでしょうか。

「……母の反対ですね(苦笑)。今もMMAをやることは反対されています。でも警察の柔道部って定員があり、毎年誰かが引退して誰かが入るということが繰り返されるんです。柔道部の先生から『今年で引退してほしい』と告げられて。柔道部にいられないなら警察にいる理由もないので辞めました」

――柔道部を辞めたとしても、警察には残ることはできるわけですよね。

「はい。もともとMMAをやりたくて、ずっと柔道を続ける気持ちはなかったんです。だから先生から告げられた時に踏ん切りがついたといいますか。ちょうどコロナ禍で試合もできない時期でしたし」

――では警察を退職して、すぐにMMAを始めたのですか。

「MMAを始めようと思ってジムを探した時、自分が柔道出身なので組み技が強いパラエストラ松戸(現THE BLACKBELT JAPAN)に入りました。そのあと去年の3月に、講道館の柔道クラブ時代の先輩である中村K太郎さんと宮澤元樹さんがいる、ユナイテッドジムに移籍してプロデビューしました」

――なるほど。2022年にパンクラスのアマチュア全日本を制してプロデビューに至るわけですが、当時から今のように左をバシバシ当てていたのでしょうか。

「いえ、最初はとにかく組みついていました。それがアマチュア全日本の時に、減量で水抜きしすぎてヘロヘロになってしまい、試合では組めない――スタミナがもたないと思ったんです。それで殴りに行ったら『当たるなぁ』という感じで」

――減量ミスから生まれた左ストレート! 最初に仰った「たまたま」というのは、そういう意味だったのですね。

「アハハハ、そうなんです。自分自身でもグラップラーだと思っていましたけど」

――結果、プロデビュー以降はストライカーで行くと。プロの3試合はほぼ組みに行っていません。それはまだ組みの実力……つまり本当の力を隠しているということではないですか。

「いや、それはないです」

――ハッキリと否定しましたね(笑)。

「もう本当に、いつも限界で。毎試合ギリギリの状態でやっています」

――確かに1戦目と2戦目は、とにかく左を振り回している感もありました。しかし3戦目の川中戦は完全に左ストレートを軸に戦うように進化していたように思います。相手の頭の位置を見ながら、左ストレートを急所に叩きこんでいくという。

「ありがとうございます。でも、それも意識したことはなくて……。ただ、今はボクシングで日本と東洋太平洋のチャンピオンだった柴田明雄さんの指導を受けて、打ち方と位置取りは変わってきていると思います。前回の試合は、とにかく相手の左側に回ろうと柴田さんから言われていて――相手との距離、自分の位置については考えるようになりました」

――なるほど。川中選手をKOしてパンクラスのウェルター級5位にランクインしました。そして次は大ベテランの長岡戦で、この試合をクリアすればベルト挑戦も射程圏内に入っくると思います。

「ベルトは意識していますが……う~ん、自分が上がってきているという実感はないですね。次の試合も不安しかないですし(苦笑)」

――浮かれているよりは良いと思いますが、それにしても自信のあるコメントは出て来ないですね。

「長岡選手はキャリアも凄くて、削り合う試合になると思いますし――引き出しの要素も全て、僕が負けていますからね。試合になると、いつも不安しかないです」

――その不安は、どのように解消するのですか。

「ケージに入るまで不安ですし、ケージに入っても頭が真っ白になって。あとは『やるしかない』という気持ちになって試合をするだけです。自分がやらないと、やられてしまう。その気持ちが一番大きいですね。

――では次の長岡戦、どのような試合をしたいですか。

「……次の試合も殴ります。長岡選手って打たれ強いと思うんですけど、それでも殴ります」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT

■Pancrase342 計量結果

<ストロー級暫定王者決定戦/5分5R>
黒澤亮平(52.15キロ)
リトル(52.05キロ)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(70.70キロ)
久米鷹介(70.70キロ)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(77.55キロ)
長岡弘樹(77.35キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(52.05キロ)
ホン・イェリン(51.40キロ)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(70.40キロ)
ホン・ソンチャン(70.00キロ)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(57.00キロ)
前田浩平(57.20キロ→57.10キロ)

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(52.25キロ)
氏原魁星(52.10キロ)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(65.85キロ)
櫻井裕康(66.50キロ→66.10キロ)

<バンタム級/5分3R>
坂本瑞氣(61.35キロ)
谷内晴柾(61.25キロ)
<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
饒平名知靖(56.65キロ)
名久井悠成(56.55キロ)

<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
山崎蒼空(56.85キロ)
AXEL RYOTA(56.95キロ)

<フライ級/5分3R>
田中亮祐(56.35キロ)
齋藤桜貴(57.15キロ)

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【Pancrase342】粕谷優介と対戦、J-MMA界の絶滅危惧種?!=久米鷹介の「人前で戦う資格」

【写真】本当に良いことをインタビューで語ってくれた久米だが、ヨレヨレのもっこりスウェットパンツで名古屋から新幹線に乗ってきていた(笑)(C)MMAPLANET

29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催されるPancrase342で粕谷優介と対戦する久米鷹介。昨年4月30日にアキラとのライト級KOP統一戦をスプリット判定で落として以来、1年振りの復帰戦となる。
Text by Manabu Takashima

試合の前日に39歳になる久米、前回の敗北で自身の進退を考えないわけがなかった。現役を続けることを決めた裏には、まだ戦い気持ち──その裏にある、ただ戦うだけでない格闘家の矜持といえる想いが存在しているからだった。(※取材は3月21日に行われた)。


──1年振りの試合が決まりました。激闘を繰り返しダメージが蓄積している。そのように感じられたアキラ戦でしたが、久米選手自身はあの敗北で自身の進退を考えることはなかったですか。

「引退……は考えました。試合の直後にも、親しい方とは話をさせてもらいましたし。自分ではまだやれるという気持ちがあっても、周囲の人のなかには『もう試合をするのは怖い』という風に言ってくれる人もいました。自分としては世界の強い人と戦いと思って続けてきて、もうそういう戦いをしたいという言える立場でもなくなりました。そうなった時に自分は戦っても良いのかという風にも考えました。

ただ練習をしていると、自己満足じゃないですけど『少しでも強い相手と戦いたい。トップ選手とすぐということではなくて、現時点でそこに挑むための戦いをしていきたい。そのなかで自分がどれだけ創り上げることができるのか』という想いはずっとありました。つまりは、続けたいという気持ちがあった。でも、迷っていました。そのなかでパンクラスとRIZINから声を掛けてもらったのですが、引退も頭にあるなかでしっかりと向き合える相手でないと無暗にケージに上がるべきではない……。それぞれの価値観があるなかで、舞台の大きさではなく、そういう相手と戦うために自分を創る時間があるなら、モチベーションとなる相手と戦っていけるのであれば戦いたい。そう自分が思っていることに気付きました」

──正直、アキラ戦の敗北から数カ月が過ぎると久米選手の動きが良い。練習でも問題ないという話は伝わって来ていました。ただ、練習相手は100パーセントの力で組んでも殴りはしないです。ダメージなんて傍から分からないですし、でも久米選手自身に不安はなかったのですね。

「その辺りは(日沖)発さんは、冷静に見てアドバイスをしてくれます。戦うにしても、戦い方を考えていかないといけないと試合直後の時点で言ってくれていましたし。試合が決まっていない期間は、余裕をもって体創り、MMAの練習に取り組むことができたので感覚や技術面などは以前より上げることができました。以前はガムシャラにやっていたので、そこから冷静に一歩引いて自分のことが見られる期間になったと思います」

──少しでも強い相手と。そのなかで今回は粕谷選手と戦うわけですが、それが20代前半やあるいは10代後半のバリバリの若い選手も構わないのでしょうか。

「年齢やキャリアは関係ないです。強い選手なら。パンクラスからオファーのある相手も、自分が強いと思える選手ばかりですし。と同時に、今も負けた相手にはやり返したいという想いはあります。でも今の自分はいきなり、そういう選手と試合ができる立場ではないので、勝てば近づく相手──今回の粕谷選手がそうですし、それが若くて下から勢いをもって上がってくる選手でも戦います。

そういう試合で自分を出すこと。今回の戦いもそこに集中していきたいです。やってきたモノ、技術的な部分で上がっているといっても若い頃のようにガッと強くなるようなことはない。現実に抗うことに意識をもっていっても、もう目に見えて強くなるなんてないので。そうなると自分の本来の動きに加えて、短期間で身につけたモノを出すことです」

──1年前のアキラ戦と比較して、今の久米選手が一番変わったところは?

「試合になってみないと分からないですが、自分の動きを調整できるように。そこは普段から意識しています。どうしても、熱くなる部分があるので」

──永遠の課題ですね。

「ハイ。本当にそうです。だからこそ、そこを意識しないと。ただ格闘技自体、本質は戦いです。冷静になっても、戦えないならしょうがないですし」

──ところで試合の時には39歳になっている久米選手ですが、最近、MMAファイターの意識が変わったと感じることはないでしょうか。

「どういうことですか?」

──若い選手の意見を耳にすると、強さよりも名前を上げる方に意識が向いている。世の中の変化に合わせて、MMA界の空気も変わったように感じます。

「まぁ、そういう子たちも少なからずはいると思います。価値観として、しょうがないと思う部分もあります。正直にいえば、こんな危ないことをやって強さを求めないのは意味が分からないです(苦笑)。39歳になっても、自分のなかで考えて努めて冷静になろうとしつつも、それでも自分が敵わないと思ってしまうような相手と向き合いたい。今は言えない立場ですが、その想いを持ち続けています。勝てる相手を選ぶ……そういう発想に落ちないのは、辿り着けなったUFCにはそういう相手がゴロゴロいて、心の中でそういう相手と戦いたいという気持ちが残っているからだと思います。

本当に強い人は、『敵わない相手』とか感じないで勝ち続けることができるのでしょうけど、そこに行けない状況のなかで『コイツ、ヤバい。もう戦いたくない』と思ってしまうような相手を求めることが、自分にとっての格闘技なので。でも僕の周囲で一緒に練習しているデビュー前の子や、10代の選手は純粋に強さを求めている子ばかりです。

内心、有名になりたいとかっていう想いがあっても、そこに強さが伴っていないといけないと思っているはずです。そういう子たちと練習をしている時は、その子たちの存在が僕のモチベーションになっています。頑張っている子たちが、何か自分の試合で気付いてくれることがあれば嬉しいです。あの子たちのために戦うなんて言えないですけど、あくまでも自分のために戦う試合で、彼らが何かを感じてくれると」

──非常に久米選手らしいです。

「UFCで戦う……そのために戦うというのは、もう現実的ではないです。でも、そのような想いを持ち続けていないと……それを持てないのであったら、戦う必要はないのではないかと思います。本当に格闘技が好きで、試合を見てくれる人達はそういう気持ちがある選手の試合が見たいと思ってくれているはずですし。自分としては、そういう想いを持たずに人前で戦うのは失礼で。口にはできないですが、心の奥にはそういう想いだけは持ち続けます。その想いがなくなったら、人前で戦うことはないです。

楽な相手と戦いたいとか、そういう風に想うようなことがあれば──もう戦うべきじゃない。格闘技のことが好きで、練習を続けても。だから粕谷選手との試合も、全力で勝ちに行きます。どれだけ良い試合をしたとか言われても……勝ち負け以上に良い試合をという発想になるのであれば、僕は人前で戦う資格はないと思っています」

──胸に響く言葉ですが、完全に絶滅危惧種ですね(笑)。

「ハハハハハ。絶滅しないよう頑張ります」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT

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【Pancrase342】修斗に続き、パンクラス・ストロー級の頂点へ。黒澤亮平「まだまだ諦めていない」

【写真】熱いモノを身の内に持ち続けている。そんな黒澤選手でした (C)MMAPLANET

29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催されるPancrase342で澤亮平がリトルと暫定ストロー級王座決定戦を戦う。
Text by Manabu Takashima

2016年7月に修斗世界ストロー級王座に就くも、ベルトを返上し2年4カ月のブランクを経験。復帰後はよりMMAを完成させる過程で手痛い敗北も喫した。そして昨年7月よりパンクラスに戦場を移した黒澤が、3戦目での暫定王座決定戦を戦う。

その暫定王座決定戦に対する想い、これからとMMAファイターとして強くなる苦悩を黒澤に尋ねた(※取材は3月21日の調印式前に行われた)。


――黒澤選手、パンクラス3戦目でストロー級暫定王座決定戦となりました。ここで暫定というのが、第三者としても正直不思議です。

「タイトルマッチが決まったことは嬉しいですが、暫定ということは1位の選手の動きも関係しているので。そこは正直、ムカついています」

──2月の大阪大会はどのような気持ちで眺めていたのですか。

「あの試合は……、すんなりケガがなく勝ってくれれば4月に戦うことになると思っていたので『勝ってくれよ』と。正直、試合内容も微妙だったけど勝ったしやるんだという気持ちでした。ただ4月には試合はできないということで、リトル選手と暫定で戦うことになりました。

僕は八田選手に勝った時点で、次はタイトルと言われていて。僕自身はいつでも戦える準備をしてきました。まず去年の12月の横浜だろうと。すると向うができない、2月か3月になると。12月にできないのは連戦だし、しょうがないと思っています。でも2月に試合はするけど、違う選手とノンタイトルで戦うことになった。

その時点で鶴屋(浩THE BLACKBELT JAPAN代表)さんは『これは、この試合に勝っても断ってくるな』と、あきれたように言っていました」

──それぞれ選手には事情があるかと思いますが、黒澤選手としては納得できないということですね。と同時にリトル選手と戦うことになったことに関しては、どのような気持ちですか。

「ランキング的にタイトルマッチが戦える位置でなかった選手でしょうし、すぐにOKを出してくれたと思います。これから戦う相手に対して、感謝とかいう言葉を使うべきじゃないのですが、試合間隔も空いてしまっていたので有難いです。試合が決まって嬉しいです。

しっかりとやることをやって、勝ちます。リトル選手はずっと動き続けるイメージがあるので、つき合うと相手のペースになってしまう。そこは気をつけて戦いたいです。打撃の技術は差があると思っているので、打撃を軸にしっかりと作戦を立てれば勝てると思っています」

──未だに飛鳥拳選手と呼びそうになってしまうのですが……個人的には先日行われたTHE BLACKBELT JAPANの創立会見でも黒澤選手は中心にいて然りのファイターだという想いがあります。

「ありがとうございます。ただ若い選手も単純にもの凄く強いので(笑)」

──刺激になりますか。もしくは年齢を考えてしまうのでしょうか。

「若い選手が増えて、それまでいた選手が『敵わない』という風に想うことはないはずです。僕らベテランの年齢になった選手も、彼らが来たことが凄くプラスになっています」

──負けるかという気持ちになりますか。

「負けるか……う~ん、怜とかUFCと契約していますからね(笑)。自分も頑張りたい。まだまだ諦めていないし、もっと頑張って結果を出したいです。弱気になることはないです」

──諦めていないなかでパンクラスの王座の先に見ている先というのは?

「ONEのストロー級が一番強いので、ONE……まだその名を出す段階ではないですが、ジャレッド・ブルックスを勝つことを目指した状況で体感したいというのはあります。今後、自分のコンディションがどうなっていくかは分からないですが、諦めてはいないという感じです」

──諦めないでいるためには勝利が一番かと思います。改めて、今回の暫定王座決定戦への想いをお願いします。

「ここで負けたり、ギリギリ勝つようだとこの先に進むことは難しいです。しっかりと差を見せつけて、フィニッシュできるように練習をしています」

──黒澤選手は一枚抜けることができるポテンシャルの持ち主だと見ていました。卓越した打撃戦のセンスの持ち主で。一時、ファイトから離れて戻って来てからは本田選手のような徹底して組んでコントロール狙いのスクランブルファイターを経験し、MMAとして調和のとれたファイターを目指そうとしたのかと。その結果、猿丸ジュンジ戦があった。そのように感じていたのですが。

「本田選手と戦った時からONEに出たいと思っていました。本田選手は力のある選手なのですが、『ここで負けてしまうのか』と落ち込みました。同時に、あそこまで徹底してくる選手に対して、どう打撃を生かすのか。そういう風に考えることができて、良い経験になりました。意識が変わりましたね、もっと組み技をやらないといけないと。

組み技の打ち込みを凄く増やして……、ただ猿丸選手に負けて組み技のことを考え過ぎたのか……とか。打撃と組み技のバランスをより考えないといけないと思って、凄く悩みました。猿丸戦、新井丈戦はそこが上手く嚙み合っていなかったです」

──キャリア的には痛すぎる連敗でした。

「あれの時は『終わりだ』と思いました。でももっと考えるようになって、もっと練習するようにして。本当に何が足りないかをもっと考えました。あの2試合でパンチが当たって勝てたとしても、ONEにいくと勝てるような力はなかったはずです。そう振り返ることができたので、あの負けも良い経験だったと思います」

──MMAのバランスは自分という軸があって、対戦相手によって配分を変えないといけない。難しいですね。

「今は自分の目指すところがハッキリしていて、レベルも上がりました。良い感じでまとまってきたからこそ、年も年なのでもう『あの負けを経験して良かった』なんていう試合はできないと思っています(笑)。

打撃だけを考えている時の方が、打撃は良かったです。でも、それではMMAは勝てない。そのバランスを考えて、練習仲間がいてくれて成長できていると思います」

──目指す舞台、ONEではテイクダウンされてもさほどマイナスにはならないですが。

「そこは組みを対処して、殴ることができる選手でいたいです。MMAなので」

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【Pancrase342】5月のニューピアで平田直樹✖Ryo。避けろ、恐怖の双六行き=葛西和希✖丸山数馬!!

目指す場所に近づくために、平田に必要なことは目の前の相手に勝ち続けること(C)MMAPLANET

9日(火)、パンクラスより5月25日(土)に東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase343の追加カードが発表され、平田直樹がRyoと対戦することが明らかとなっている。
Text by Manabu Takashima

29日(月・祝)に立川大会を控えているパンクラスが、ポスト30周年記念大会といえるニューピアでのイベントで粒ぞろいといえるカードを揃えてきた。


平田は昨年4月のパンクラス初参戦から1年で4連勝という結果を残し、タイトルコンテンダーの亀井晨介を倒し──現在ランク2位で──フェザー級のベルトが見えてきた。

しかし、KOP新居卓はRIZINでの活動、もしくは強豪海外勢との対戦を求めており、平田の立場は宙ぶらりんになっており、柔術やグラップリングでも戦いながら他のステージを平田も求め始めたという話も伝わって来ていた。

そのような状況下で、ランク3位のRyoとの上位ランカー対決が決まった。Ryoは現バンタム級KOP透暉鷹に大逆転勝利を収めて以降、魔の4連敗を喫したものの昨年7月に西の実力者=名田英平を下し復活、クリスマスイブ大会では平田と同じく若さの台頭と言っても過言でない栁川唯人を破り連勝中だ。

しつこさと一発を併せ持つRyoとの対戦、激闘にならず平坦な勝ち方ができれば──平田直樹はますます力をつけている証となろう。

また元NEXUSフライ級王者からRIZINを経て浜本キャット雄大がパンクラス初出場を果たし、グアムのジョセフ・カマチョと戦う。昨年7月に計量失敗しキャッチ戦で前田浩平に勝利しているカマチョはLFAで1勝2敗のファイターだけに、浜本にとっても北米基準の実力査定ができるマッチアップといえる。

またマニア垂涎枠といっても過言でないライト級戦=葛西和希✖丸山数馬という一戦も決まっている。プレスリリースの「ベルトを巡る動きが混沌とし、1敗が大きく後退させてしまう」という一文の通り、このような対戦で敗れると試合の機会は巡って来ても、サイコロの目が3までしかないような──上への道が大きく開かない厳しい双六合戦がパンクラスではまま見られる。ここに入ると、スポットが当たるまで1年、3試合は待たないといけない。その状況を避けるには葛西、丸山共にこの試合を生き残るしかない。

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