毎週月曜日にラウンドガールをご紹介する「MONDAY RING GIRL」。第406弾は2021年9月12日(日)、東京都江東区のスタジオコーストで開催されたPancrase323のリングガールです。
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【Pancrase327】鶴屋怜のパンクラス初戦の相手は秋葉太樹。立ち技で間を取るのは、どちらだ
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中田大貴(日本)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
Ryo(日本)
サウスポーのRyoに対し、相手の右から回った中田。Ryoは左ミドルを繰り出すが、中田は距離を取る。Ryoがパンチを振りながら前に出ると、ケージ際まで下がる中田。パンチの打ち合いとなるなか、パンチの相打ちでRyoの右ショートを受けた中田がダウンする。すぐさまRyoがトップを奪い、さらにバックに回る。これを凌いだ中田は、Ryoを振り落とし、パンチを落としていく。
しかし、ここでレフェリーが試合を中断した。中田は左目の下から激しい出血が見られる。ドクターチェック後、試合は再開。すぐに距離を詰めていく中田に対し、Ryoもパンチを振るう。中田は組みつき、Ryoをケージに押し込んでいくが、Ryoも離れてパンチを出していく。中田の右ヒジをかわした、Ryoがダブルレッグでテイクダウンを奪った。
ケージ際でRyoが中田の両足を畳む。中田はRyoの顔面に右ヒジを落としていく。足のクラッチが外れたRypは、そのまま中田をケージに押し込んでいくが、中田も立ち上がる。Ryoはしつこく食らいつき、ダブルで中田をケージに押し込む。足を抜いた中田は、左右のパンチ。さらに前に出て、Ryoにケージを背負わせるが、Ryoは組み付いてバックを狙いながら、中田をケージに押し込んで1Rを終えた。
1Rはジャッジ3者ともRyoに10-9をつけた。
2R開始早々、中田が前に出る。左右のパンチから右ミドル。Ryoは下がりながらパンチで迎え撃つも、Ryoが距離を詰めようとしたところで、中田の右テンカオがRyoのボディに突き刺さった。これが効いたかRyoは下がり始めるが、ケージ際まで追い詰められながら組み付いて中田に尻もちを着かせる。ここから立ち上がった中田は、再び打撃を繰り出しながら前に出る。
そしてRyoをケージに追い詰め、パンチとヒジ、さらにヒザのラッシュを繰り出す。これを凌いだRyoが組み付き、シングルで中田をケージに押し込む。ここでブレイクが入ると、再開後に中田は打撃で全身。右ローを繰り出す。パンチの打ち合いで、Ryoの右フックも当たるが、中田がケージに押し込んでいく。Ryoは体勢を入れ替えて組み付き、中田に尻もちを着かせた。
ケージを背にして、上半身は起こしている中田はハーフガードに。ともにスタミナが切れたか、動きがなくなる。中田は右腕を差し入れながら立ち上がろうとするも、Ryoは抑え込みにかかる。それでも立ち上がった中田がプレッシャーをかけ、右ミドルハイを見せた。Ryoも右フックを返し、ラウンド終了のホーンが鳴った。
2Rはジャッジ3者とも中田に10-9をつけている。
最終R、ここでも開始早々、中田が前に出た。Ryoは右手を前に出しながら、後ろに下がる。右ローをコツコツと当てる中田は、クラウチングスタイルでジワリジワリと追い詰め、右ストレートを当てる。手数の少ないRyoに、中田は右ミドルをヒット。Ryoも左ローを連打する。そのローをもらってバランスを崩した中田。尻もちを着いたが、すぐに立ち上がった。
追ってくる中田の左足にシングルを狙ったRyo、中田はケージを背にして堪える。Ryoは抱えた左足をリフトして、中田に尻もちを着かせた。そのままボディロックに切り替えて中田をケージに押し込むRyo。中田は立ち上がり、離れる。そして前に出ていく中田が、Ryoも下がりながら右フックを当てる。
残り1分、Ryoのテイクダウンをカットした中田は、左右のパンチをヒット。Ryoのシングルレッグをスプロールし、下がる相手を追いかけ、右フックでグラつかせる。Ryoも左ストレートを当てるが、中田もパンチを繰り出し続けた。
判定はジャッジ3者とも、29-28で中田の勝利を支持。
試合後、中田は英語でダナ・ホワイトに向けてUFC出場を目指していることをアピールした。
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<ミドル級/5分3R>
ロッキー川村2(日本)
Def.1R3分03秒 by KO
荒井勇二(日本)
フェイントをかけながら距離をつめる川村、荒井は左手を伸ばしながら距離を測る。川村がプレッシャーを強めると、荒井は下がってケージを背負う。右に回る荒井を、ジワリジワリと追い詰めていく川村は、荒井の右ローをバックステップでかわす。互いにヒットはないが、川村は再び荒井にケージを背負わせる。川村が左ハイを繰り出したが、荒井は蹴り足をキャッチしてシングルへ。
ケージを背にして、川村は離れて再びスタンドで距離を詰めていく。川村の右ストレートがクリーンヒットし、グラついた荒井。川村はパンチで追撃すると、荒井はテイクダウンを狙ったが、川村がカウンターの右ヒザで荒井をマットに沈めた。
試合後、ケージ中央で映画のロッキーばりに両手を突き上げた川村。さらにインタビュアーの質問にも、枯れ声で「エイドリアン!」と叫ぶのみだった。
この日の第一試合では、キッズレスリング時代の愛弟子・内藤由良が渡部拓馬に1R1分11秒、腕十字で勝利している。
川村と、対戦表明している内藤の一戦は実現するか!?
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<ライト級/5分3R>
葛西和希(日本)
Def.3-0:30-27.29-28.29-28.
林源平(日本)
大きく距離を取った葛西が、距離を詰めると林は左ジャブを繰り出す。葛西はステップを使いながら左右のロー。林は右のロングを狙う。ケージ中央で出方を探り合う両者、林の右ローをバックステップでかわした葛西は、自身も距離を詰めてローを放っていく。林のワンツーをブロックした葛西は、右のカーフを当ててから後ろに下がる。
距離が詰まったところで、林が組み付いてバックに回る。しかし葛西が体勢を入れ替え、林をケージに押し込んでいく。ケージ際で首相撲から左ヒジを当ててから離れた葛西。ケージ中央で左ジャブを突き、相手が出てくると右ローを合わせる。対する林も細かくローを繰り出しながら、右スイングを振るう。葛西は前に出てくる林を捌き、ジャブとローを当てる。
葛西の左ミドルハイをキャッチした林がケージに押し込んでいくも、葛西はそれを突き放す。バランスを崩した林に、パンチの連打を浴びせる葛西。林もケージ際から脱出したが、その後も葛西が左ジャブでコントロールした。
1Rはジャッジ2名が10-9で林、1名が10-9で葛西を支持した。
2R、林の左ジャブに対し、左のミドルハイを繰り出す葛西。林は手数を増やし、左ジャブから右クロスを狙う。そんな攻防の中、林の右ストレートからの左フックがクリーンヒットし、葛西がダウン。林はすかさずパウンドを落としていく。しかし下からガードを利かせた葛西が立ち上がり、スタンドの組み合いから投げてテイクダウンを奪った。
トップからパウンドを落としていく葛西に対し、林は反転して逃れようとする。しかしトップをキープする葛西。ハーフガードの林は、顔面から出血が見られる。林が体を起こしたところで、葛西は相手の右腕をネルソンで固めながらサイドバックへ。林が嫌がって上を向くと、葛西はサイドを奪い肩固めを仕掛ける。これは極まらないとみるや、すぐにマウントへ移行した葛西は、林の頭を中央に向けて再び肩固めを狙う。
残り40秒で足を抜き、絞めあげる葛西だったが、林は凌いで立ち上がる。スタンドで組み合うと、足払いでグラウンドに持ち込んだ葛西が、トップのままラウンドを終えた。
2Rはジャッジ3名とも10-9で葛西を支持している。
最終R、葛西がガードを高く上げて、左ジャブを突く。林が近づいてくると左ミドルと左のテンカオで迎え撃つ。林はワンツーを繰り出すが、葛西はそれをバックステップでかわす。互いにジャブを突き合うなか、首相撲から葛西が林をケージに押し込み、グラウンドに引きずり込む。林は立ち上がったが、葛西はダブルレッグでテイクダウンを狙う。
ケージを背にして耐える林。葛西は離れながら左ヒジを放つ。葛西は左ジャブのカウンター、林が前に出て右ミドルを放つと、葛西は蹴り足をキャッチするが、林もすぐに足を抜く。打撃戦から組み付いた葛西が、ケージ際の首相撲からヒジを繰り出す。林は左目尻から出血。葛西はグラウンドに持ち込むが、林が立ち上がりパンチを落とす。しかし葛西も上を取り返して、サイドポジションへ。
林はブリッジからバックを狙うが、それを振り落とした葛西がトップへ。最後は立ち上がり、ケージ際での打ち合いで試合を終えた。
ジャッジ1人がフルマークをつける裁定で、葛西が判定をものにした。
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<フェザー級/5分3R>
岩本達彦(日本)
2R2分41秒 by アナコンダチョーク
遠藤来生(日本)
ともにオーソドックス、まず岩本が左ジャブを伸ばす。遠藤は足を使ってサークリングしながら、中に入るチャンスをうかがう。身長で18cm上回る遠藤は、岩本は距離を測りながら左ジャブ。1分過ぎに遠藤が組み付き、ボディロックから岩本をケージに押し込んでいく。岩本は身長差を生かし、左腕を遠藤の頭の後ろから回し、遠藤の左腕をコントロールする。
岩本のクラッチを外した遠藤が、右腕を差し上げるも倒すことはできない。ここで遠藤が離れる。岩本はケージ中央で、左ジャブから右ストレートを当てていく。さらに首相撲からヒザ蹴りを狙う岩本、遠藤は組まれると岩本を突き放す。遠藤の右ローに左ジャブを合わせた岩本は、距離を詰めて右のショートをヒットさせる。遠藤は右ローに左ジャブを合わせられてしまう。
残り30秒、両手を大きく広げながら左ジャブを当てた岩本。さらにノーモーションからの右でダウンを奪った岩本だったが、起き上がった遠藤が岩本の左右フックをかわしながらダブルレッグで飛び込み、テイクダウンに成功する。そのままケージ際でパウンドを落として、1Rを終えた。
1Rはジャッジ3者とも10-9で岩本を支持した。
2R、岩本が左ジャブで攻め立てると、遠藤はバランスを崩して左手をマットにつく。両ガードを下げて、左ジャブ、さらに右ミドルハイを繰り出す岩本。遠藤が中に入ってくると、首相撲に捉えようと試みるが、遠藤がそのままケージに押し込んでいく。遠藤が離れると、離れ際に岩本がヒザ蹴りを狙う。ケージ中央に戻った両者、遠藤の右ローに岩本が左ジャブを合わせる。
左フックを当てて前に出る遠藤に、岩本がカウンターで右ヒザをヒット。マットに手を着けながら立ち上がる遠藤に、岩本は左ストレートで再びダウンを奪う。立ち上がった遠藤はダブルレッグへ。岩本はアナコンダで捕らえ、遠藤からタップを奪った。
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【写真】計量からバンテージを巻いて、気合がはいるロッキー2。素手で殴る感覚をどうMMAで生かすか、楽しみだ(C)PANCRASE
明日12日(日)に東京都江東区のUSENスタジオコーストで開催されるPancrase323の計量が、本日11日(土)に新宿区の新宿サンエービル地下1階会議室で行われた。
メインでヒマラヤンこと中田大貴と対戦するRyoが、フェザー級のリミット65.8キロに対し、66.65キロでオーバーに。5ポンド以内の体重差のため、中田が対戦を受託しキャッチウェイト戦で実施されることとなった。
コ・メインでは4年振りのパンクラス出場となるロッキー川村なのか、川村亮なのか、はたまたロッキー川村2なのか……とにかく川村が荒井勇二と対戦する。
ボクシング&キックの印象が強い川村だが、ここ最近──同門の松嶋こよみのスパーリング相手を務めるうちに武術空手に興味を抱き、型、組手から空手の手ほどきを受けているという。生涯武術の空手を習得するのは短期間では不可能だが、武術の理をMMAに生かすことは可能だ。打ち合い上等、拳で戦うことができる川村だからこそ、その理が生きる領域は多い。川村の打撃に、何か変化があるのか興味深い──Road to 内藤由良、負けられない一戦だ。
また6月に中川皓貴に競り勝った遠藤来生が、同じ関西勢の岩本達彦と対戦する。同階級でキャリア5戦目と4戦目の選手がメインで戦う今大会、岩本はRoad to ONE04で中田にKO負けを喫したものの遠藤とともにヘッドライナーに引けを取っているなど、思うわけがないだろう。それだけに明日の試合では両者とも、結果とインパクトを残すファイトを心掛けるに違いない。
また今大会の注目マッチは本戦だけでなく、ポストリムでも見られる。それがOne of DREAMERSの漆間將生高木凌のデビュー戦であり、さらにネオブラTのバンタム級準決&決勝も見逃せない。
特に柔術界で期待された風間敏臣と、DREAMERSの外敵として最終オーディションで現在はプロシューターの齋藤奨司を下した田嶋椋の準決勝は業界内での注目度も高い。それゆえに川北晏生小川準也も準決勝をクリアし、決勝で風間田嶋戦の勝者を喰う気概に溢れているだろう。ワンナイトTを慎重に戦略を駆使して勝ちあがるのか、あるいは勢いをもって駆けあがるのか──見ものだ。
■視聴方法(予定)
9月12日
午後1時40分~ TIGET LIVE
午後14時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
■Pancrase323計量結果
<ネオブラッドTバンタム級決勝/5分3R/5分3R>
TBA──
TBA──
<ミドル級/5分3R>
廣野雄大:83.45キロ
佐藤龍汰朗:82.75キロ
<フェザー級/5分3R>
渡辺謙明:65.6キロ
中野剛貴:65.1キロ
<フェザー級/5分3R>
高木凌:65.85キロ
漆間將生:65.45キロ
<ネオブラッドTストロー級準決勝/5分3R>
大塚智貴:52.55キロ
朝日向大貴:52.15キロ
<ネオブラッドTバンタム級準決勝/5分3R>
田嶋椋:61.0キロ
風間敏臣:60.75キロ
<ネオブラッドTバンタム級準決勝/5分3R>
川北晏生:61.05キロ
小川準也:61.35キロ
<フェザー級/5分3R>
中田大貴:65.55キロ
Ryo:66.65キロ
<ミドル級/5分3R>
ロッキー川村2:83.75キロ
荒井勇二:83.25キロ
<ライト級/5分3R>
林源平: 70.1キロ
葛西和希:70.35キロ
<ウェルター級/5分3R>
高木健太:77.3キロ
木下憂朔:77.1キロ
<フェザー級/5分3R>
亀井晨佑:65.55キロ
三宅輝砂:65.95キロ
<フェザー級/5分3R>
岩本達彦:65.85キロ
遠藤来生:65.4キロ
<バンタム級/5分3R>
TSUNE:61.35キロ
平田丈二:61.65キロ
<フライ級/5分3R>
聡-S DATE:56.85キロ
桐山康平:56.9キロ
<ミドル級/5分3R>
内藤由良:83.6キロ
渡部拓馬:82.65キロ
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【写真】いつの日かUFCのオクタゴンの金網に駆け上がると、どのような景色が見えたのかを中田に聞ける日が来れば良いなと思います(C)MMAPLANET
12日(日)、東京都江東区のスタジオコーストで開催されるPancrase323のメインに出場する中田大貴のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
インタビュー前編では、トンデモ人生といえる経験を語ってくれた中田だが、ヒマラヤ登山とUFCの話になると俄然、感情の高ぶりを見せた。しかし、そんな感情の中に中田がMMAを戦う本質がうかがえる。
なぜMMAを戦うのか――その答えは、彼が見せる試合の中にある。
<中田大貴インタビューPart.01はコチラから>
――ヒマラヤとUFC……予想外の展開になってきたので、いったん整理させてください。まずヒマラヤ登山について教えていただけますか。
「まず学生時代、アルバイトをしていたレストランから富士山が見えて、富士山に登りたくなったんです。それで登山セットを購入し、富士山に登りました。そこで富士山を見ていたら、さらにヒマラヤに登りたくなったんですね」
――日本一の次は、世界の頂上だと。
「冒険心、ですね。自分は、何でもチャレンジしたいんです。他人から『そんなことできないよ』と言われても、僕は『できる』と答える。そんな感じで、ヒマラヤにも挑戦したくなったんです」
――ヒマラヤ登山というのは、どのルートを通ったのですか。
「ネパールのカトマンズから入って、シェルパと一緒にエベレスト・ベースキャンプを通って、カラパタールという標高5,545メートルのところにある展望台を目指しました」
――標高5千545メートル! 登山に慣れていない状態で、それほどの高地でのトレッキング、何も問題はなかったのですか。
「慣れという部分では問題なかったんですけど、いろいろムチャをしてしまって、高山病になってしまいました。おかげさまで無事でしたけど、それだけの経験をしてたどり着いた場所から見える景色が、自分の人生に大きな影響を与えたんです」
――標高5千545メールから見えた景色というのは……。
「どう表現したらいいのか分からないんですが、『これって現実の世界なのかな?』と思うような景色でした。神の世界というか、自然って神様なんだなと思うぐらい。とにかく、雷に打たれたようにビビッと来たんですよ」
――では、その感覚とUFCが、どのように結びつくのでしょうか。
「初めてUFCを見た時、カラパタールから景色を見た時と同じぐらい、ビビっと来ました。マーク・ハントとロイ・ネルソンが日本で対戦した大会です」
――2014年9月20日のUFC JAPAN2014(UFN52)ですね。
「実は当時、やっぱり現実を見て生きようと考えていました。大学を卒業して就職するか、実家の仕事を手伝ったりとか。でもそういう人生の中で、ヒマラヤに登った時のような、魂が震えるような感覚が消えていってしまうんじゃないかって、怖かったんです」
――自分が自分でなくなってしまう、といった感じですか。
「はい。そんな時にUFCを見て、全身に雷が走ったような感覚を覚えたし、この感覚を大事にして生きていたいと思ったんですよね。そこからMMAについて調べていって、気づきました。やっぱり自分は格闘技が好きなんだなって。過去を振り返ってみても、格闘技だけ、純粋な気持ちで向かい合えていたと思います」
――登山に関する有名な言葉の一つに、「なぜ山に登るのか。そこに山があるからだ」というものがありますが……。
「それです。そういうことなんです。なぜ格闘技をやるのか。そこに格闘技があるから。それぐらいのインスピレーションを、UFCから受けたんですよね」
――MMAをやるうえで目指すのは、やはりUFCですか。
「そうですね。そこにUFCがあるから、UFCに出るしかない。僕の中では、山での経験も、UFCとの出会いも運命だったと思っています」
――中田選手の行動は突発的でも、感覚としては深いですね。
「たとえば、俳優さんって役に対して命を懸けていれば懸けているほど、見ている側に気持ちが伝わりますよね。僕にとっては、格闘技って究極的に命を懸けているものなんです。負けたら全てを失うし、体もプライドもボロボロになる。だからこそ会場も盛り上がるわけで、格闘技のそういう部分に惹かれています。そんな格闘技の中で、UFCという世界の頂きを見てみたい。世界最強のファイターと、命を懸けた試合がしたいです」
――UFCにたどり着くためには、今後も国内で落とせない試合が続くと思います。次の対戦相手、Ryo選手の印象を教えてください。
「アウトサイダー時代から、試合の映像を見ました。柔道ベースで、テイクダウン、足関節や腕十字、そしてギロチンが得意なグラップラーですよね。自分にとっては、勝てないといけない相手だと思っています。確かにグラップリングは強いけど、そのRyo選手にグラップリングだけでも勝てるようなレベルにならないと、UFCには行けないと思うので」
――中田選手は、現在フェザー級3位です。Ryo選手に勝つと、タイトルマッチも見えてくると思います。
「パンクラスのフェザー級は、ISAO選手と中島太一選手が突出しています。だけど、最近はフェザー級も選手が増えてきて、レベルが高くなっている。そのなかで僕自身は、まだランキング3位のレベルにはないと思っています」
――そうなのですか。意外な意見です。
「今回の試合は次期挑戦者決定戦とも言われているそうですが、自分がそのレベルにはないことも分かっています。でも、むしろその状況が、自分が成長するキッカケになります。この試合に勝って、あと半年か1年経ったら、すごい速度で成長していると思いますよ」
――……インスピレーションのお話から一転、格闘技に関するお話では、すごく冷静で客観的な語り口になりますね。
「え、そうですか(苦笑)。何でしょうね……。僕にとっては格闘技が、人生の救いだったんです。格闘技があるから、今こうして頑張ることができる。そんな格闘技に感謝しています」
――その気持ちも、お話から伝わってきます。
「今まで人生で、いろんなことがありました。でも、もう後悔しながら生きたくはないんです。格闘技に懸けている、その気持ちが伝わるような試合を見せたいです」
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【写真】最後まで相手の攻撃が見ることができているという中田(C)MMAPLANET
12日(日)、東京都江東区のUSENスタジオコーストで開催されるPancrase323のメインイベントで、中田大貴がRyoと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
今年5月に元キング・オブ・パンクラシストの田村一聖をKOし、フェザー級ランキング3位に浮上した中田が、プロデビューから僅か2年でメインイベントという舞台に立つこととなった。そんな中田に、試合で見せる激しい打ち合いについて訊くと、MMAに辿り着くまでのトンデモ人生が浮かび上がってきた。
――中田選手といえば、田村一聖戦で見せた激しい打ち合いが印象的です。
「そうですね。あの打ち合いには、理由があるんですよ。もともと僕は大道塾出身で打撃が得意だったんですけど、MMAでは打撃でいくことができなかったんです」
――というと?
「大道塾だと、スーパーセーフがあるじゃないですか。でもMMAはプロだとヘッドギアなしで、薄いMMAグローブで殴り合うのは……と行きあぐねていたんですよね」
――それが一転、あれだけの打撃戦をするようになったキッカケは何だったのでしょうか。
「去年のネオブラッド決勝(昨年9月、狩野優に判定負け)ですね。あの試合では負けてしまいましたけど、パンチに対して恐怖心がなくなりました。これからは前に出ることができるかもしれない、むしろ前に出なかったから負けたんじゃないか、と思ったんです。だから、次からは前に出て打っていこうと」
――もともと打撃で攻めたい気持ちは強かったのですね。狩野戦の次の試合、今年2月のRoad to ONEでも、激しい打ち合いから岩本達彦選手をKOしています。
「フラストレーションが溜まっていたなかで、ネオブラ王者の岩本選手と対戦することになって、『これはチャンスだな』と思いました。自分には、打撃でガンガン行く戦い方が合っていると感じています」
――ただ、打ち合いでは当然、相手の攻撃も被弾するリスクがあります。岩本戦でも田村戦でも、顔面にパンチを受けていました。
「田村戦では、普通の人だと倒れるパンチを何発も食らいました。でも倒れなくて、自分は丈夫だなって思ったんです。だから逆に無双状態になっちゃって……」
――無双状態……ですか。
「パンチをもらって倒れることはない、という自信を得て前に出ることができる。そういうタイプは、日本のMMAファイターには珍しいと思います」
――試合中は効かされることがなくても、試合後に何か影響が出る可能性もあります。それは怖くはないですか。
「もちろん、そういうリスクはあります。だからディフェンスの練習も、しっかりやっています。実は僕、パンチをもらう瞬間まで、しっかり見ているんですよ。パンチが当たる瞬間だけ顔を引いたり、急所は外したり。そういったディフェンスは、大道塾にいる頃から教わっていました」
――大道塾で打撃を学んでいたからこそ、可能な打ち合いなのですね。
「これは大沢(ケンジ和術慧舟會HEARTS代表)さんにも言われたんですけど、効くパンチって、自分が見えていないパンチなんですよ。フェイントをかけられたりして、自分が見えていない状態、力が入っていない状態でパンチを食らったら、その力が伝わりやすい、と」
――確かに、そういった面はあるでしょうね。
「でも僕の場合は、最後まで相手のパンチが見えています。だから前に出つつ、急所には当てさせないで攻め続けることができるんじゃないか、と思っていますね」
――なるほど。その打撃を学んだ大道塾に入ったキッカケは何だったのですか。
「最初は中学の時にラグビーをやっていて、ラグビーの練習の一環でレスリングをやったことがあるんです。その時に『格闘技って面白いな』と思ったのが最初ですね。それで中3の時に、家の近所にあった大道塾の道場に入門しました」
――大道塾、空道の大会での実績を教えてください。
「2013年に北斗旗の関東地区ジュニア予選、アンダー19の男子240未満で優勝しています。といっても、1回か2回勝っての優勝でしたけど……。2017年には北斗旗の体力別にも出場しています(1回戦負け)」
――空道で得意だった動きなどはありますか。
「打撃はもちろん、あとは組み打撃ですね」
――組み打撃といえば、相手の道衣を掴みながら打撃を打ち込むという、空道ならではのルールですよね。
「掴みからのパンチ、ヒジ、頭突きが好きで、よく使っていました」
――今、MMAをやるうえで空道の動きは生かされていると思いますか。
「組み打撃は、たとえばMMAだとリストコントロールの時に役立つんですよ。組み手争いですね。僕は相手の手首を取ってアームドラッグを狙ったり、手首をコントロールしながら下に移ってテイクダウンを仕掛けたりとか。そういう動きは、大道塾で教わった組み打撃の動きが生かされていると思います」
――全日本体力別まで出場するようになった空道を、そのまま続けようとは思わなかったのですか。
「え~と……、まず私立の中高一貫校に通っていたんですが、勉強を疎かにしていたために内部進学できなくなりまして(苦笑)。それでスイスの高校を受験したんですが、格闘技への熱がドラムに移りました。でもスイスの高校も退学になったんですね」
――えっ!?
「親に申し訳ないなと思って、帰国してから通信制で高卒の資格を取り、大学に入りました。でも入学したのはいいんですが、結局は学校に行くのが面倒になり――」
――……。
「帰国してから空道の練習を再開していたのですが、それが唯一の救いでした。ずっと遊んでいたり、ちゃらんぽらんにやっていたなかで、空道だけは唯一、ちゃんと向き合うことができていたんです。でも練習でヒザを怪我して、空道からも離れてしまいました」
――いろいろ起こりすぎて、お話を聞きながら整理できてないのですが……まず大学は卒業できたのでしょうか。
「大学は5年通いました。単位が取れなくて4年で卒業できなくなった時、もともと親からは『4年間だけはお金を出す』と言われていたので、残りの1年間は自分で学費を稼いで通っていました。その5年目ですね。バイトで貯めたお金で、ヒマラヤに行ったんですよ」
――なぜ、いきなりヒマラヤ!?
「富士山の近くにあったレストランでバイトをしていて、富士山を見ていたらヒマラヤに登りたくなったんです。突発的ですね」
――突発的すぎます(苦笑)。
「ヒマラヤに行って、それこそ魂が震えるような景色を見ることができました。そして初めてUFCを見た時、ヒマラヤに登った時と同じぐらい魂が震える感覚をおぼえたんです」
<この項、続く>
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【写真】自分を貫くことができるか──それが漆間の勝負にもなる(C)MMAPLANET
12日(日)、東京都江東区のUSENスタジオコーストで開催されるPancrase323で、高木凌と対戦する漆間將生のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
格闘DREAMERSでは結果を残すことはできなかったが、そのなかでも漆間は自分のスタイルを見つけたという。パンクラスデビュー戦、そして格闘DREAMERSで苦楽を共にした仲間たちの活躍に、彼は何を思うのか――漆間に訊いた。
<漆間將生インタビューPart.01はコチラから>
――敗戦といえば、格闘DREAMERSの最終選考で、吉村海飛選手に判定負けを喫しました。
「あの試合は、自分の打撃に関して自信をなくしてしまっていたんです」
――なぜ自信を失っていたのですか。
「KRAZY BEEのプロ練に参加すると、相手は強い人ばかりで、自分はやられることが多い。そこで気持ちが折れても頑張って練習に参加していました。でも、やられ続けると『今後プロでやっていけるのだろうか……』と不安になってしまって」
――……。
「もちろん、そのおかげで日に日に技術を覚えて、成長しているのは実感していました。プロ練も、緊張もせずに参加できるようになりました。でも、最終審査では相手もKO率が高くて、自分もまた少し自信がなくなってしまったんです」
――その気持ちが、試合に出てしまったのでしょうか。
「戦略的には『前に出続けて、押し込んで殴り続けろ』と言われていました。その展開を続けて、最後は仕留められればいいと思っていたんですが――。結局は体力的にキツくなり、判定では打撃のダメージを取られてしまったんだと思います。全然、自分の試合ができなかったと思います」
――自分の試合とは?
「打撃を生かした試合です。原口戦と吉永戦を経験して、逆に自分の好きな打撃をもっと伸ばしたいと思いました。そのために、もっとレスリングの練習もしないといけないし、寝技の技術も学んでいかないといけないんですよね」
――今回のパンクラスデビュー戦を迎えるにあたって、自分の打撃を生かす練習はできていますか。
「はい。KRAZY BEEではレスリングを練習する時間も増えています。今はまだできていないですけど、今後は柔術とか、いろんなジムにお邪魔させていただきたいと思っています」
――ファイターとして理想のスタイルを教えてください。
「理想はオールラウンダーです。オールラウンダーの試合をして、最後は打撃で仕留めたいですね。次の試合でも、用意しているものがあります。それを全部出し切りたいです」
――その次の試合についてですが、対戦相手の高木凌選手には、どのような印象を持っていますか。
「相手のことは、あまり分からないんですけど、パラエストラ八王子の選手とは3回目の対戦なので、またやっつけてやろうと思っています」――パラエストラ八王子の選手とは、アマチュア時代に2回対戦しているのですね。
「去年9月の東京ケージファイトで、2試合やりました。最初は1試合の出場だったんですけど、2試合やることになって。1試合目はKO勝ち、2試合目はテイクダウンからマウントを奪って、漬け込んで判定勝ちしました」
――では、次の高木選手にはどのような試合展開を考えていますか。
「今回は楽しく試合をしながら、1Rで仕留めたいと思います。5分3Rですけど、判定勝ちではショッパいので。(中村)倫也さんのデビュー戦って、凄かったじゃないですか」
――2R、強烈な左ハイでKO勝ちでした。漆間選手は格闘DREAMERSで契約を勝ち取ることはできませんでしたが、悔しさは感じますか。
「契約できなかったことは悔しいですけど、倫也さんのKO勝ちは本当に嬉しかったです。あれほどの選手と一緒に過ごせたことは、僕にとって誇りですね。一昨日も倫也さんから電話があって、次の試合は見に来てくれると言っていました」
――今も格闘DREMERSの選手との関係は続いているのですね。
「もちろんです。(鈴木)崇矢がEXFIGHTでKO勝ちした試合は、鈴木家で見ていました(笑)」
――鈴木崇矢選手の実家ですか!?
「そうなんですよ(笑)。崇矢とは家族ぐるみの付き合いです。崇矢は弟みたいな存在で、彼も僕のことも応援してくれていますし。今回の試合も決まってすぐ、みんなから連絡が来ました。倫也さんも崇矢も、次の試合を見に来てくれます」
――宇佐美正パトリック選手も、9月20日の修斗でプロデビューが決まりましたね。
「これから、どんどん出てきますよね。ファーストシーズンの仲間が活躍すると、僕も刺激を受けます。仲間たちに置いていかれたくはないですからね」
――なるほど。では、漆間選手の今後の目標を教えてください。
「次の試合がプロ2戦目ですが、気持ちを入れ替えてデビュー戦のつもりで戦います。ここから負けてはいられないので、3連勝、5連勝と勝ち続ければ、大舞台に立つことができると思っています」
――目標としている大舞台とは?
「もうSNSには書いているんですけど、2022年にはRIZINに出たいです。そしてUFCにも出たいです。今はまだ、そんなレベルじゃないことは分かっています。でも勝ち続ければ、いずれ世界に繋がっていくと思うので」
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【写真】DREAMERS出演者たちのPOST DREAMERSが、それぞれ始まっている(C)MMAPLANET
12日(日)、東京都江東区のUSENスタジオイーストで開催されるPancrase323で、格闘DREAMERS出身の漆間將生がパンクラス初戦=高木凌戦に挑む。
Text by Shojiro Kameike
昨年パンクラスのプロライセンスを取得し、大阪のMMA大会WARDOGでプロデビュー戦を行ったあと、格闘DREAMERSに参加した漆間。第一次オーディションからその実力者振りが注目されていたが、徐々に調子を落とLDHとの契約を得ることはできなかった。
今回、改めてKRAZY BEE所属としてパンクラスでキャリアの仕切り直しの一戦に臨むことになった漆間が、格闘DREAMERS後、揺れ動いた心境について語ってくれた。
――ABEMA『格闘DREAMERS』を経て、12日にパンクラス出場が決まりました。今回から所属がKRAZY BEEになっているのですね。
「DREAMERSに参加する前は、鹿児島の桂塾というジムにいたのですが、DREMERSが終わってからKRAZY BEEに移籍しました。DREAMERSの時、KRAZY BEEの高橋遼伍さんがEXFIGHTジムの練習に参加されていたことがキッカケです」
――なるほど。
「KRAZY BEEには同じ鹿児島出身の大木良太さんもいらっしゃって、『KRAZY BEEのプロ練にも来なよ』と誘っていただいたんです。僕、もともとKRAZY BEEが好きだったんです。鹿児島時代は、矢地(祐介)選手と同じスパッツを履いて試合に出ていました(笑)」
――それだけ好きだったのですね(笑)。
「そうなんです。DREMERSが終わったあと、髙谷(裕之)さんからは『EXFIGHT所属でやっていかないか?』とお誘いいただいたんですけど、辞退しました」
――その時には、KRAZY BEEへの移籍を決めていたのですか。
「いえ、その時はまだ決めていませんでした。実はDREAMERSが終わったあと、自分の中でモチベーションが下がってしまい、鹿児島に戻って他の仕事をしていたんです」
――……格闘技から離れてしまっていたのですか。
「DREAMERSで、自分は3試合して3連敗でした。最後の試合(最終審査で吉村海飛と対戦して判定負け)は、所属よりも勝ちが欲しくて挑みましたが、判定で負けてしまい……そこで格闘技が嫌いになったというか」
――自分の中でも大きなショックを受けたのですね。
「それで1カ月ぐらい鹿児島にいたのですが、体重が80キロぐらいまで増えてしまって(苦笑)」
――えっ!? もともと通常体重は何キロだったのでしょう?
「60~70キロぐらいです。こんな体になったら、もう格闘技も無理かな……と思いました。それでも周りの人たちは僕のことを応援してくれている。もう一度、その人たちのために頑張りたくて、東京に戻ったんです」
――そこで、KRAZY BEEに入ることを決めたのですか。
「DREAMERSの頃から、EXIFIGHTでのサポートは、ありがたかったです。でもサポートしてもらってばかりだと、自分に甘えが出ると思いました」
――甘え、ですか……。
「DREAMERSの時は、自分でも殻が破れていないように感じたんです。それはEXFIGHTジムという環境のせいではなく、僕がEXFIGHTの環境に甘えてしまっていたんですよね。格闘技をやるからには心機一転、新しい場所で挑戦してみようと思いました」
――なるほど。格闘DREAMERSに参加期間中だった4月にはEXFIGHTのアマチュア大会に出場し、原口伸選手と対戦していますよね。
「原口選手、GrachanでKO勝ちしていましたね。試合の記事は見ました。僕はもともとパンクラスのプロライセンスも得ていて、大阪のWARDOGでもプロの試合を経験していたんですが(2020年1月、岩本ひろしに判定勝ち)、高谷さんには『今のままプロの試合に出ても通用しないよ』と言われていました。
僕としてもレスリングで足りていないところもあるし、プロの試合に出るには不安だったので、EXFIGHTのアマチュアマッチに挑戦させてもらったんです」
――すると、対戦相手は元レスリング全日本王者の原口選手に……。
「岡見(勇信)さんからは、『とっておきの選手を当てたよ』と言われました(苦笑)」
――厳しいですが、そういった試合が漆間選手の育成に必要だったのでしょうね。
「相手がレスリングを生かして寝かせにきても、すぐ立ち上がる自信はありました。でも開始早々、飛び前蹴りを出したら、相手の口に当たって血だらけに……。それを見て、僕も感覚がフワフワになってしまったんです」
――流血に気後れしてしまったのですか。
「相手がパウンドを打ってくるとき、血が落ちてくるんですよね。それで僕も焦ってしまいました。今までそういう展開を経験したことがなかったので……」
――その話を伺って、格闘DREAMERSの一場面を思い出しました。エピソード4の安永吏成戦で、漆間選手が相手の負傷している左足を抱えながら手を離したのを見て、髙谷さんが「優しい奴だ」と言っていましたが……。
「そうなんです。それは良い印象ではなく、悪い印象だと思っています。安永選手とは合宿中に仲良くなり、左足を怪我したのも知っていました。試合中も、相手のケガのことを考えながら戦っていました。それじゃダメなんですよね」
――格闘技の試合では、その行為が優しさだとは限らないですからね。
「地元の友人からは、『東京に行ってから顔つきが優しくなった』と言われます(苦笑)。昔は尖っていたんだと思いますけど、東京ではイチから学ぶわけですし、下の立場から行こうとばかり考えていました。それで優しくなったとか、丸くなったとか言われているんでしょうね」
――格闘DREAMERSを経て、その気持ちは変わったのでしょうか。
「実はもともとバンタム級だったんですけど、原口選手にリベンジするためにフェザー級に上げたんです。原口選手だけでなく、ここまで負けた相手全員に借りを返しますから」
<この項、続く>
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