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Interview ONE ONE Championship ブログ 若松佑弥

【ONE】再始動が視野に?! 若松佑弥に訊く、覚醒の秘密─01─「守るべき人がいるなかで戦うこと」

【写真】インタビューは午前零時スタート。2時間半近くの解説のあとに行われた(C)ABEMA

14日(金・現地時間)にABEMAで中継されたONE110「No Surrender II」のゲスト解説を務めた若松佑弥。昨年10月の日本大会以来、新型コロナウィルス・パンデミックの影響で試合から遠ざかっている。

解説中も日本とシンガポールの渡航制限が緩和されるという情報をきき、10月大会出場に強い意欲を見せていた若松を中継終了後にZOOMインタビューした。

ONEが活動を休止していた3カ月間、誰もが若松の練習への取り組みと、心身ともの充実ぶりを絶賛していた。解説という形で活動再開したONEのファイトに触れた若松に、この間の充実ぶり、そしてこれからを尋ねた。すると、この変化は8カ月になる長男・武蔵君の影響が多大にあることが分かった。


──解説お疲れさまでした。ノンオーとカレーを創ったという話が一番耳に残っています(笑)。

「技術の話がしたかったのですが、言葉に出てこなかったです(苦笑)」

──インタビューも決して得意でない若松選手だけに、一生懸命さは伝わってきました。

「なんか逆に前より、話すことが下手になってしまって……。前は学校に行っていた時の名残があったのが、どんどん遠ざかってしまって……。もうわけ分からないですよね」

──学校に通っていた時から、時間が過ぎてしまって話せなくなってしまったということですか。

「ハイ」

──……。ジムで練習仲間とは普通に話しているのではないですか。

「いやぁ、最近諦めかけていて。もうありのままで行こうと思って。前は考えて話そうと思っていたのですが、ダメだなって。阿呆っていうのに気づいたんです。色々なことに対して」

──アハハハハ。赤ん坊をあやしていて、言葉ではないコミュニケーション能力を身に着けたのではないですか。

「ハイ。そういうことですね(笑)」

──4月のジャカルタ大会で試合が決まっていたのが、新型コロナウィルス感染拡大の影響でイベントもキャンセルされ、その後のシンガポールでの無観客シリーズも予定が立たない状況に陥りました。あれから4カ月が過ぎ、若松選手の仕上がり具合が異様に良いという話を何度も聞きます。どのような変化があったのでしょうか。

「コロナ以前に子供が生まれて……。コロナになって、焦る気持ちもあったのですが、できることを最大限にやろうと思えるようになったんです。子供が生まれる前の自分だったら、試合ができなくてお金がなくなったらどうしようとか焦っていたと思います。

でも一家の主として冷静でいられるようになって。そこが戦いにも通じているところがあり、冷静に相手のダメージを判断したり、打撃から寝技に移行するとか見らえるようになりました。そこが前と違います」

──結婚して、子供が生まれて変わったということですか。

「そうですね。今は育てている段階なので。子供が自分の生まれ変わりようで。可愛くて仕方がないです」

──自分の生まれ変わりのようで、可愛くて仕方がない……(笑)。

「しっかりと育てあげないといけないです。人間は子どもを育てることで、ちゃんとした大人になる。輪廻転生、それが人生なんだなって。そのなかで自分のためじゃなくて、家族のために戦うという気持ちになりました。

自分1人で戦うことと、守るべき人がいるなかで戦うことの違いが凄く分かるようになりました。自分だけだったら、もうどうにでもなれって思うんですけど、子供がいるともっと冷静になってしっかりしないといけないと考えることができるようになりました」

──責任感が増したというころでしょうか。ただガムシャラになるのではなくて、逆に冷静になれるのですね。

「DJと対談をさせてもらった時に、『前はいつ死んでも良いと思っていたけど、子供が生まれたらそんなことは思えなくなった』と言っていて……。言葉で説明できないのですが……とりあえず25歳という時期は今しかないので、今を必死に生きようと思っています。

前は生活面とか考えずに適当に生きていたので、そういうところをしっかりと考えるようになりました。教習所にも通うようになったんです」

──それも将来のためですね。

「大変だけど冷静に戦う。大変そうだというのは見せないで、子供や家族のためにやる。そう心に決めています。そういう部分でも、体とかじゃなくて前より心が強くなったと思います。男として人生は働くしかないという考え方になりました。

時間っていうのはあっという間に過ぎると思って。この前まで18歳で、あっという間に25歳になりました。25歳って子供じゃない。今、できることは全てをチャンピオンになるためにやる。ただのお父さんでいたくないんです」

──お子さんは今、何カ月ですか。

「8カ月です」

──赤ん坊って、ただ生きようとしている。何も考えずに、生きようとしている。そこから得るモノがあったという記憶が私も蘇ってきました。邪心もなく、ガムシャラに生きている。若松選手も8カ月前と、今で全く違うといって良いほど成長している赤ん坊を目の当たりにしてきたことで、時間の概念というモノが生まれたのではないでしょうか。

「そうかもしれません。この前、教習所で応急救護の講習を受けて。心臓マッサージとかするじゃないですか。その時にもこれから何があるか分からない。チャンピオンを目指してやっていても、どんな災難が待ち受けているのかも。それを考えたら、今を最大限に努力しようと思いました。

それでチャンピオンになれなくても、家族がいるので。今、できることをやる。と同時に今を楽しむために0歳の息子と一緒にいる時間を大切にしようと思っています。そうすると早起きも苦ではなくなりました。前は絶対に無理だったのに」

<この項、続く>

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ONE ONE110 No Surrender II Report ブログ ポンシリ・ミートサティート 藤沢彰博

【ONE110 No Surrender II】藤沢彰博、競り負けず─初回終了間際に左でポンシリを完全ノックアウト!!

<59.5キロ契約/5分3R>
藤沢彰博(日本)
Def.1R by KO
ポンシリ・ミートサティート(タイ)

階級は上の藤沢だが、上背は変わらない。ポンシリの右ミドルに、藤沢がショートのワンツーを放つ。アッパーを見せて距離を詰めたポンシリが細かいパンチ、離れてハイを蹴っていく。ポンシリの前進に左のカウンターを当てた藤沢だが、左ヒジを被弾。前蹴り、ローのポンシリに対し、藤沢がワンツーからシングルレッグを決める。

背中をつけたポンシリの足を払いつつ、再びガードのなかに収まった藤沢がパンチを振るう。ポンシリは下からヒジを入れるものの、スクランブルには持ち込まない。藤沢は足を捌いて左のパウンド、ハーフから立ち上がろうとしたポンシリの体を跨いでマウントに移行する。自らサイドに回った藤沢は左のエルボー、スクランブルにはがぶってヒザを入れる。

ここで離れた藤沢にポンシリが右ハイ、直後に藤沢の右が入りダウンを奪う。パウンドからパス、左のヒザを蹴り込む藤沢は、スクランブルから立ち上がった直後に左フックを打ち抜く。ポンシリが腰から崩れ落ち、藤沢がタフファイトで嬉しいKO勝ちを決めた。


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ONE ONE110 No Surrender II Report ブログ ヨッカイカー・フェアテックス

【ONE110 No Surrender II】ヨッカイカー・フェアテックス、シンクに抑え込ませず左でKO勝ち

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)
Def.2R by KO
ジョン・シンク(英国)

サウスポー同士、ヨッカイカーが右フックを振るう。シンクが左ロー、ヨッカイカーはワンツーを入れる。足を使ってコーナーから逃れたシンクが組んでヒザ蹴り、投げを打ったヨッカイカーにボディロック・テイクダウンを決める。左ワキを差しシングルで立ち上がったヨッカイカーだが、シンクはダブルレッグからスラムで叩きつける。

サイドからニーインベリーに取ったシンク、ヨッカイカーはそのまま手をついて立ち上がる。ヨッカイカーは左を殴るフェイクから左を見せ、首相撲で転がす。すぐに立ち上がったシンクをケージに詰めたヨッカイカーに対し、シンクがエルボーを当てて離れる。強烈な左ローを入れたヨッカイカーがワンツー、シンクが右を2発入れる。打たれても怯むことなく左フックから展開を決めると、ヨッカイカーは蹴り足を払ってシンクを再び転がした。

2R、ヨッカイカーが左ローから左フック、シンクが右フックを返すが右ローを蹴り込む。クリンチからシングルレッグでテイクダウンに出たシンクは、ヨッカイカーのギロチンを防ぐもスクランブルに持ち込まれ試合がスタンドに戻る。直後にシンクの右にヨッカイカーが左のカウンターを入れ、下がったところで右フック&右アッパー、最後は左ストレートでKO勝ちを決めた。 


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News ONE ONE110 No Surrender II ジョン・シンク ブログ ポンシリ・ミートサティート ヨッカイカー・フェアテックス 藤沢彰博

【ONE110 No Surrender II】最終計量結果 ヨッカイカー・フェアテックス──尿比重1.0005!!!!

【写真】素晴らしいミドルの防御、メインに出場のセーマーペッチ・フェアテックスら12選手が体重、尿比重のいずれもクリアしている
(C)MMAPLANET

14日(金・現地時間)に中継される無観客大会=ONE110「No Surrender II」の計量及びハイドレーション結果が発表された。

ONEでは水抜き禁止、北米MMAより実質1階級の体重が上限となり、ハイドレーション・テストが試合の2日前と前日に行われている。体重はリミット+500グラム、ハイドレーションは1.0250以下という規定が設けられており、1日でもパスできないと試合当日の朝に再計量が必要になっている。


今夜の中継で戦う12人のファイターの計量とハイドレーションテストの結果は以下の通りだ。尿比重に関してはロドレックP.K.センチャイムエタイジムとレオ・ピントが上限に近く、逆にヨッカイカー・フェアテックスの1.0005は水分過剰摂取ともとれる低い数字だ。尿比重は水分摂取、食事制限、運動負荷ばかりか発汗状況でも数値が変わってくるので、この数値を見る限り非常に上手くコントロールできる陣営が出てきたといえるだろう。

■ONE No Surrender II計量結果

※赤字の選手の名前をクリックすると、インタビューページに移動します。

<ムエタイ・バンタム級T準決勝/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス:65.3キロ/1.0040
ロドレックP.K.センチャイムエタイジム:65.65キロ/1.0244

<キックボクシング・バンタム級/3分5R>
レオ・ピント:65.65キロ/1.0241
メヂ・ザッツプッツ:65.75キロ/1.0218

<59.5キロ契約/5分3R>
ポンシリ・ミートサティート:58.3キロ/1.0112
藤沢彰博:59.25キロ/1.0095

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ソーグラオ・ペッティンディーアカデミー:69.8キロ/1.0018
ポンシリP.K.センチャイムエタイジム:70.3キロ/1.0183

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ヨッカイカー・フェアテックス:61.0キロ/1.0005
ジョン・シンク:60.3キロ/1.0061

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ファン・ディン:60.9キロ/1.0083
ファディ・カレッド:60.852キロ/1.0074

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Interview ONE ブログ 青木真也

【ONE】そろそろ正式発表? 共同会見前の青木真也の言葉「テイクするだけで、ギブがない」

【写真】つまりは人生を自分の手で切り開くという範疇が、青木は広い (C) MMAPLANET

1日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたShooto2020#05の開場前に、青木真也が次戦について共同取材を受けた。

その直前にMMAPLANETでは、月間、青木のこの一番の取材の流れで次戦について話を聞いていた。今だからこそ──という考えは誰にもあるが、だから頑張らないといけないという思想でなく、当たり前のことをするという青木の真意とは。

そろそろ、正式発表があるのではないかと思われる──青木真也の次の試合──その発表前にぜひとも目を通してほしい彼の言葉だ。


この仕事はケージの中に入って試合をすることなんです

──青木選手、試合が決まったとツイートしました。これから、その試合に向けてこれから共同取材があります。

「具体的なことの発表とかではなく、この時期に試合をすること、そこについて話すことになると思います。そうですね、試合をやりたいと……色々と想うところはあります」

──もうそろそろMMAが戦いたいということでしょうか。

「これ、もう言ってしまうと……アレですけど、すっごい雑な極論でいえばやらなくても良いんです」

──えぇ!! どういうことですか、それは?!

「いや、だって秋山選手とかやらないじゃないですか。試合をやらなくても、僕も細々とご飯を食べることはできる。ただ、好きだから。これが好きだから。これで、もうちょっとやりたいこともあるし、このなかでモノゴトを創りたいって考えると戦いたい。

そこだけなんです。やらなきゃいけないとかっていう気持ちじゃないです」

──やりたい気持ちであって、やらなければいけないということではない……と。

「はい、そういう気持ちです」

──共同取材も具体的な話ではないということですが、現実的には4月に出場したRoad to ONEが開かれ、そこに出場するというのが現状で一番しっくりくるかと思われますが……。

「あのう……僕のなかでの認識では、Road to ONEはONEの大会という認識はあまりないです。ONEの大会ではなく、ABEMAの大会です。そういう認識でいます。そこに関しても今、皆が奇策を練っている。北岡さんのクラウド・ファンディングもうだし、RIZINもそう。奇策……というか、飛び道具というか。

奇をてらっていて、そこでいえば朝倉未来も奇策なんです。誰もがYouTubeをやって……メディアですら、そこにある誰かの水着写真を載っけて。本来、僕は奇をてらう人間だったけど、今それをやると奇策にならない。皆、同じだから。

だから凄くシンプルに当たり前の大会があって、そこで戦いたいということです」

──国内でMMAの試合を戦っても、ファイトマネーはONEで戦う時は違ってくるかと思いますが、その辺りはプロとして戦っていてどのように捉えていますか。

「もう、それは……いただけるなら、いただくし。そうでなければ、それで。逆の言い方かもしれないですけど、あれば使うし、無けりゃ使わない。でもね、メッシが減俸される世の中ですから。

う~ん、なんか業界時代が物乞いが過ぎると思うんです」

──物乞い?

「そんなこと言うと怒られるかもしれないけど、美しくないですよ。本来ある芸事の姿を取り戻さないと。恵んでくださいでなく、くれってことですよ。僕は川端康成スタイルって呼んでいて、今東光とやっていたことってそうだと思っているので。そういう……芸事の基本に戻るっていうことがありますよね(笑)」

──う~ん、その辺りは私は知識がないので、またどういうことか教えてください。ところでONE本体も10月にシンガポールで大会を開き、そこでは特例措置であるグリーンレーン・ビザと呼ばれる2週間の隔離無しで入国できる査証を選手が取得でき、国際戦が組まれるという話もあります。

「う~ん、そこはまだ可能性の話で、正式決定してからですね──考えるのは。そういう意味ではアブダビで国際戦をやってしまうUFCは断トツだし、その部分に関しては僕はもう達観していて……。それに2週間の隔離があっても、オファーがくればやるし。基本、オファーがあれば戦う姿勢でいますから。

2週間の隔離があると調整が十分かといえば、それは分からないです。でも、この仕事はケージの中に入って試合をすることなんです。コンディションが……というのは、僕はやれと言われればやる」

──その辺りは唯一無二の感じになってきていますね。

「とにかく、4月以降に他の選手とか見ていてちょっと嫌なことが多くて。結局、当たり前のことを当たり前にやる。そういうことだと思います。この間、下さいって手を伸ばしているだけで、誰も動かなかった。でも、僕はそうではなかったと思っています。

何かしら、とにかく動いてきた。その辺とは違う。若松佑弥がって言ったら、アイツだけになってしまうけど『試合、どうなるんですかね?』って僕に言ってきて……。これは若松佑弥だけでなく、今、皆がそうなんです。試合がどうなるのか、大会がどうなるのか──と気にして、練習に懸命になっている。

でも、それは自分でどうにかしていくものだから。ファイターだから練習して、試合してナンボという世界観は分かります。でも、今はそれだけやっていれば良い時期じゃない。それでは自分がテイクするだけで、ギブがない。そこに違和感を持ち続けてきたので、僕自身はそうでない……次の試合も港とは違う形でやっていきたいと思います」

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Interview ONE ONE110 No Surrender II ブログ ポンシリ・ミートサティート 藤沢彰博

【ONE110 No Surrender II】ポンシリと対戦、タイ在住=藤沢彰博─02─「しっかりと自分の仕事をしたい」

【写真】理路整然と話すことができる。だからこそ、ここまでたどり着けたのだろう。ここは、ぜひとも結果が欲しい (C)MMAPLANET

14日(金・現地時間)、ONE110「No Surrender II」におけるポンシリ・ミートサティートとのキャッチウエイト戦が中継される藤沢彰博インタビュー後編。

コロナ禍のバンコクの様子を伝えてくれた藤沢にとって、この試合はそのコロナの時代により得たチャンスでもある。ONEデビューから2年4カ月、連勝後に3連敗を喫した藤沢は、この状況で得た機会だからこそ結果を残すという強い意志を持っている。

<藤沢彰博インタビューPart.01はコチラから>


このタイミングでタイにいたことは自分にとって本当に良かったです

──タイ国内で感染者がゼロという状態が続いたということは、試合前の練習も普段通りに行えていたということですか。

「そうですね、僕らは普通にやっていました」

──ムエタイのジムも、もう普通に動いていますか。

「ムエタイはどうなんでしょうね……。でも、僕の友人が8月にMXムエタイ(MMAグローブ使用のムエタイイベント)に出ると言っていました。MMAではフルメタル・ドージョーも8月にはイベントがあると聞いています(※8月23日)」

──タイもいよいよ動き出しましたね。今回の試合、いわばコロナ禍で巡ってきたチャンスともいえます。

「本当にそうですね。運を引き寄せることができたので、そこを生かして良いパフォーマンスを見せ、しっかりとフィニッシュして勝たないといけないです」

──ポンシリは内藤のび太選手と戦っています。

「のび太選手は普通に勝っていますね。ムエタイ出身で首相撲からヒザが得意かと思います。そこは上手なので気を付けたいです」

──対して藤沢選手のやるべきことは?

「普通のMMA、自分のMMAをやるだけです。引き出しは向うより多いと思っています。ムエタイのリズムに付き合うつもりは全くないです。ポンシリもかなりMMAにアジャストしてはいるのでそういうリズムではないしょうが、相手のやりたいことには付き合わず、自分の持ち味を出せれば普通に勝てると思っています」

──現在、3連敗。期するものがあるかと思います。

「下の階級の選手だし、仕留めて勝って──次は自分の階級で戦えるようにアピールしたいです」

──ムエタイマッチでは同じくタイ在住のLittle Tiger選手が出場します。同じ日本人同士、交流はあるのですか。

「彼女のジムにもたまに練習に行ったりして、普通に仲は良いです。ただTigerの相手も交流があって……(苦笑)。エストニア人選手で、背が高くて細いけど……やっぱり大きいです。Tigerはアトムより小さいけど、そこがONEで一番軽い階級だから体を大きくしていかないといけない」

──バンコクでのライブ&収録シリーズはもう1度予定されています。タイ在住の外国人選手もONEに出場できる機会を虎視眈々と狙っているのではないでしょうか。

「何人か候補がいて、うちのコーチも推している選手がいます。僕もここを勝ってつなげたいですが、フライ級の相手がいるのかどうかと……」

──仮に外国人選手の渡航とファイトが許されても、2週間の隔離とかがあると、いつから入国すれば良いのかという話になってしまいます。

「そうですね、僕なら2週間隔離があって調整できないで試合というのは難しいです。それは選手の立場として、厳しいです」

──しかし、PCRを3度やってホテルはセコンドとも別室、この状況でMMAを戦うって普通はない経験ですね。

「PCR検査を受けるのもそうですし……日本でもやっているとは聞いていますけど、このタイミングでタイにいたことは自分にとって本当に良かったです。しっかりと自分の仕事をしたいですし、色々と想います」

──ここを浮上のきっかけに。

「しないといけないですね。良いところを見せて、勝ちたいと思います」

──では試合前、今の気持ちをファンに一言お願いします。

「数少ない日本人ファイターとして、タイ人ばかりの大会で日本人として強さを見せたいです。バンコクはホームですけど、アウェイで戦うつもりでMMAの魅力をタイの人にも伝えたいと思っています」

■ONE No Surrender II対戦カード

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス(タイ)
ロドレックP.K.センチャイムエタイジム(タイ)

<キックボクシング・バンタム級/3分5R>
レオ・ピント(フランス)
メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<59.5キロ契約/5分3R>
ポンシリ・ミートサティート(タイ)
藤沢彰博(日本)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ソーグラオ・ペッティンディーアカデミー(タイ)
ポンシリP.K.センチャイムエタイジム(タイ)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)
ジョン・シンク(英国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ファン・ディン(中国)
ファディ・カレッド(チュニジア)

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Interview ONE ONE110 No Surrender II ブログ ポンシリ・ミートサティート 藤沢彰博

【ONE110 No Surrender II】ポンシリと対戦、タイ在住=藤沢彰博─01─「決まった時間に食事が部屋に」

【写真】3連敗中、ONE生き残りを賭けて地元で戦う藤沢 (C)MMAPLANET

14日(金・現地時間)に中継されるONE110「No Surrender II」。タイはバンコクのインパクトアリーナで収録された6試合からなる大会で、バンコク在住日本人ファイターの藤沢彰博とポンシリ・ミートサティートのキャッチウエイト戦がラインナップに加わっている。

ONE参戦から2年を経て、コロナ禍で掴んだ地元バンコクでの試合に先駆け、藤沢にロックダウン下のバンコクと格闘技の練習、そしてミートサティート戦に向けて試合前に収録していたインタビューをお届けしたい。

これまでとは違うファイトウィークを過ごす藤沢から、ONEの感染予防対策も含めて尋ねた。


──当初の予定はDark Seriesの名称で収録された試合を後日中継するという話で誕生した中継マッチ。オファーがあった時はどのように思いましたか。

「噂でシンガポールかバンコクというのを聞いていて、タイなら在住の外国人選手なのでチャンスはあるかなと期待はしていました。他の選手も試合を欲しているなかで、自分に機会が巡ってきたことは非常にありがたいです」

──オファーはいつ頃にあったのですか。

「6月の終わりですかね。最初はフライ級でオファーがあり、それから相手がポンシリ選手になって契約体重でどうかという形で尋ねられました。ストロー級までは厳しいので、59.5キロで戦うことになりました」

──通常より2キロほど軽いですね。調整は難しくなかったですか。

「自粛期間で痩せていたので、大丈夫でした」

──エェ……太るのではなく、痩せたのですか!!

「仕事も行けない状態の時とかでも、家の周りをランニングしたり、ウェイトはやっていたので。それと外食ができなくなり、自炊がメインになると普通に過ごしていると自然に痩せたんです。外食より、自分で創ると体のことを意識しますしね」

──なるほど。新型コロナウィルスの感染拡大は日本でも続いていますが、バンコクは抑えることに成功している。よってONEもバンコクから再スタートとなっていますが、なぜタイで感染拡大をここまで抑えることができたのか、日本でも不思議に思う人が多いです。

「バンコクのロックダウンは3月半ばぐらいに始まって、1カ月半ほど街の機能は止まっていました。バーとか娯楽施設、マッサージ屋さんは3カ月半閉められて。飲食店でも店内飲食ができない状態、ショッピングモールの休館は90日ほどでした。

もともと、タイは持ち帰り文化があって、GRABやフードパンダとかの宅配バイクは増えましたけど。この間、交通量が凄く減ってバンコクの問題だった大気汚染が抑えられて……PM2.5もなくなり空気が綺麗になるほど、街中から人が消えていました」

─ロックダウンという強制に対し、タイの人々が従順するというイメージもなかったです。

「基本的に新型コロナに対する恐怖心が、日本人より強いですね。今でも外国人に入国してほしくないという人が9割を超えています」

──観光立国でありながら!!

「やはり軍事政権というのもあって、御上のトップダウンの決定は文句を言いながら従いますね。なかには違反する人もいるけど、欧米と比較すると少ないと思います。凄くビビっていますから」

──では格闘技の練習もスパッとしなくなるような形だったのですか。

「まぁ……家で陰練習とかは、個人宅でやるというのはあったでしょうね。少人数でタウンハウスを使って……あまり大きな声ではいえないけど、米国と同じようにプロ練習はしていましたね」

──7月から娯楽施設も開放されるとなると、タイの人達の新型コロナへの恐怖感は軽減したのですか。

「マスクをしている人は多いですね。逆にマスクをしていないとほとんどの建物に入ることができません」

──酷暑のタイでも、それがニューノーマルになったのですか。私の場合は空気が汚くてマスクをすることが多かったですが、ホテルの横にある屋台に行くだけでも酸欠になりそうな感じでしたが……。

「大変ですけど、僕も外出するときは必ずマスクをしています。そこは徹底しています。外国からの帰国者も一部のVIPを除いては2週間の隔離が絶対ですし」

──一部のVIPを除いて……ですか(笑)。

「そのVIPからバンコクと地方の方で感染者が出て、大騒ぎになっていました。外交官の娘とか……軍人が隔離なしで入国し、無症状で陽性だったんです。地方の方はもう近隣の200ぐらいの学校が休校し、ホテルも9割ぐらいがキャンセルされたようです」

──なるほど有事になると強い軍事政権なのですね……少し複雑ですが。PCR検査も多く実施されているのですか。

「日本ほど高くないですが、タイの物価で考えるとそれなりの値段が掛かる感じでできますね。ただ、症状が出ていないと公立の病院では受けることができなくて……。検査をして陽性か陰性が分かるのがベストですし、今回の試合に向けてONEでは3度PCR検査が実施されました」

──それは安心度が高まりますね。

「ホテルに入った翌日、2回の計量前に。だから僕ももう1度、PCRが残っています。徹底していますね。基本的に外に出ない。3食決まった時間に食事が部屋に運ばれてきて……本当に隔離されているような感じです。ここまで徹底しているのは、凄いです。陰性でないと試合はできない。そしてセコンドも別室で、練習の時だけ顔を合わせる。国内は感染者がゼロの状態なのに、ここまでやっていると不安はないです」

<この項、続く>

■ONE No Surrender II対戦カード

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス(タイ)
ロドレックP.K.センチャイムエタイジム(タイ)

<キックボクシング・バンタム級/3分5R>
レオ・ピント(フランス)
メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<59.5キロ契約/5分3R>
ポンシリ・ミートサティート(タイ)
藤沢彰博(日本)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ソーグラオ・ペッティンディーアカデミー(タイ)
ポンシリP.K.センチャイムエタイジム(タイ)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)
ジョン・シンク(英国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ファン・ディン(中国)
ファディ・カレッド(チュ

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ONE ONE90 ONEリングガール Ring Girl ブログ

【Monday Ring Girl】ONE90「A New Era」

毎週月曜日にラウンドガールをご紹介する「MONDAY RING GIRL」。第316弾は2019年331日(日)、東京都墨田区の両国国技館で行われたONE初の日本大会=ONE90「A New Era」のリングガールです。

<関連レポート>
【ONE110 No Surrender II & III】14日に藤沢彰博、21日にフランス最強ムエタイ戦士ピンカのMMA初陣

(C)KEISUKE TAKAZAWA/ MMAPLANET

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ONE:元RIZINファイターのアミール・アリアックバリがONEと契約。

https://www.espn.com/mma/story/_/id/29592103/one-championship-signs-ex-greco-roman-champ-amir-aliakbari

RIZINファイターのアミール・アリアックバリのマネージャーが、アリアックバリがONEと契約したことを発表。10月末にデビュー予定とのこと。

アリアックバリは昨年UFCと契約したものの、アメリカのイランへの経済制裁により、ファイトマネーをイランに送金できないために断念していた。

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Interview ONE ONE Championship チャトリ・シットヨートン ブログ

【ONE】初めてのリモ―トショーを終え、チャトリ・シットヨートンに訊いたONEのこれから

【写真】バンコク大会のリングにチャトリ代表の姿はなかった (C)MMAPLANET

7月31日にタイはバンコクでONE No Surrenderが開催され、ONEチャンピオンシップの活動再開が本格的に始まった。

ただし、同大会のリングサイドにはチャトリ・シットヨートンCEO兼会長の姿はなく、いわゆるONEの首脳陣はそれぞれの居住国でイベントの行方を見守っていた──のではなく、イベントを遠隔主導していた。

ニューノーマルのONEチャンピオンシップ、これからのONEの活動をチャトリ代表に尋ねた。


ビッグアナウンスは──グリーンレーン・ビザ?!

──ソーシャルベイカーズが発表した2020年上半期のフェイスブックのトータル・エンゲージ数トップ10でONEチャンピオンシップが8位にランクインしています。

「こういうランキングがあることを知らなかったので、驚いたよ。そして、この結果を得ることができたのも世界中に存在しているONEチャンピオンシップのファンおかげだから、とても感謝している」

──この8位という結果から得ることができる、最もポジティブなことは何でしょうか。

「このトップ10にはマンチェスター・ユナイテッド、リバプール、レアル・マドリッド、FCバルセロナ、チェルシー、UEFAチャンピオンズリーグ、リーガ・エスパニョーラら欧州、北米ではNBAという錚々たるスポーツプロパティが錚々たる名前が並んでいる。そのなかでアジアを代表してONEの名前があることは凄く意味のあることだ。2位にはICC(インターナショナル・クリケット・カウンシル)が入っているけど、これはもう13億の人口を抱えるインドで絶大な支持を得ているからに他ならない。

ただし、これも始まりに過ぎない。ONEチャンピオンシップは将来1位になると信じている」

──ところで7月31日にはONE Surrenderというバンコクでの無観客大会によって本格的な活動再開に乗り出しました。大会当日にバンコクを訪れることはできたのでしょうか。

「ノー、それはまだできないからシンガポールにいたよ。ONE SurrenderはONEにとって初めてのリモートショーになった。私のチームはシンガポールからオーガナイズしてね。マット・ヒュームは米国にいた。中継に関してもマイケル・シャベロは豪州で実況し、解説のミッチー・チルソンはフィリピンにいた。バンコクの実働部隊の多くはフリーランスとパートタイマーだったんだ」

──凄まじい状況ですね。

「各部署のリーダーはタイにいない、全くもってクレイジーなイベントだったよ(笑)。ただし、何度もシミュレーションをして、当日の大会開催にこぎつけたんだ。ホント、なんとかなって良かったね。

我々は常に世界規模の連係を行ってイベントを開いてきたけど、この経験は初めだったよ」

──WOW。そして、あれだけの大会となりました。

「いや、全く満足できるショーじゃなかった。小さな課題が数多く見つかった。イベント後に、私はチームを厳しく叱責したよ(笑)」

──うわぁ……想像しただけでも恐ろしいです。

「アハハハハ。かなり厳しいことを伝えたのは確かだ。ホント、一つや二つじゃなく、色々なことに関してね」

──リモートショーである8月28日にバンコクのA NEW BREED、9月25日の上海のREIGN OF DYNASTIESに続き、11月30日にシンガポールでSUPER NOVAというイベントを開催します。この大会は他の2つと違い、ディレイ中継はないようなスケジューリングになっています。ただ、ONEのイベントスケジュールから10月25日に予定されていた日本大会が無くなっています。

「現状を考えると、10月に日本ではイベントはできないと判断したんだ。ただし、今も11月か12月にスライドできないかという話し合いを日本サイドとは続けているんだ」

──なるほど、ONEと契約している日本人選手たちもROAD TO ONEという大会がありますが……なかなか試合ができない状況です。

「まずNo Surrenderの経験により、どこの国でもリモートでイベントを行う算段を立てることができた。その自信を我々は手にすることができたんだ。これによってアジアだけでなく、米国やヨーロッパでもショーを開くことができるようになる。

と同時にABEMAとキタノ・サンという素晴らしいパートナーが、Road to ONEという日本国内用のイベントを開き、ONEをサポートしてくれることに多大なる感謝の気持ちでいるよ。本当に有難いことだ」

──とはいえONEの売りであるクロス・ボーダー、国際戦が日常的に行われるという本来の規模のイベントを開くことはまだ困難な状況です。

「それがね……シンガポール大会に関しては2、3週間にはビッグアナウンスができるはずだよ」

※このビッグアナウンスとはシンガポール政府がONEチャンピオンシップに対して、特別にグリーンレーン・ビザを発給し世界各国から選手を招聘できるもの──という話が既に伝わってきている。よって10月のシンガポール大会は、無観客大会であってもパンデミック以前のようなグローバルショーになり、出場選手は居住国、飛行機搭乗前、シンガポールのチャンギ国際空港、その後も滞在ホテルでチェックを行うことで2週間の隔離は免除される可能性も高い。

とにかくね、最善を尽くすよ。これまでも言ってきたようにONEチャンピオンシップにとって、日本は最も大切なマーケットの一つだ。まだ選手たちにも我慢を強いているけど、私は毎日のように戦い続けている。だから、皆に伝えてほしい──心配しないで、と」

──分かりました。ところでONEではマーカス・アルメイダ・ブシェシャと契約を交わし、またヘビー級の五輪レスラーと契約するという話も伝わってきます。ヘビー級の拡充を図っているのでしょうか。

「ONEはこれから重い階級にも力を入れていくよ。軽量級には世界中から強い選手が集まった。ただしヘビー級とライトヘビー級はそうではないから、今後は世界レベルの実力者を増やして層を厚くしていきたい。UFCにも負けないように、ね。やはりヘビー級の戦いというのは、ファンに与えるインパクトも大きいし。だから来年はヘビー級GPを実現させようと思っている。これは書いてもらって良いよ。ONEは2020年にヘビー級GPを行うってね」

──しっかりと書かせていただきます(笑)。日曜日の夜という時間にインタビューをさせてもらい、ありがとうございました。本来は海外の選手、関係者を日曜日に取材するというのは、ほぼないことです。

「日曜日の夜に働く。マナブ・サン、君も同じじゃないか(笑)。それが私のマーシャルアーツに対するパッションだよ。日本の選手、ファンの皆には『未来を信じて欲しい』と伝えてくれないか。そして、一緒に日本人世界王者を誕生させようじゃないか。私は日本の皆と一緒に歩んでいけることにとても感謝している。そしてONEチャンピオンシップは絶対に、戻って来るから!!」