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HEAT48 Interview J-CAGE JJ Globo アンディ・コング イゴール・タナベ ブログ

【HEAT48】アンディ・コングと金網サブオンリー戦、イゴール・タナベ「HEATに出るのは運命を感じます」

【写真】素晴らしくポジティブなイゴールだった(C)MMAPLANET

月25(日)に名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催されるHEAT48でイゴール・タナベが4分✖2Rのサブオンリー・グラプリングでアンディ・コングと対戦する。

柔術及びノーギ、重量級で日本一といって間違いないイゴールだが、コロナ禍で実戦経験を積むことが出来ていない。参加型格闘技の柔術トーナメントは、ほぼ動きを止めている。同様に昨年、一時は盛んになったグラップリング大会も年が明けてからは音なしの構えだ。

そんななかで決まったイゴールのHEATでの組み技マッチ。練習仲間の石井慧は、相応しい対戦相手が国内では見つからなかったという理由で欠場になってしまうなか、イゴール・タナベ in ケージは、一番の注目試合といっても良いだろう。意外にもHEATとは長い縁があったイゴールに、現状や今回の試合、そしてこれからに関した話を訊いた。


──1週間後、HEATでアンディ・コング選手とグラップリングで戦います。イゴールがHEATの金網でグラップリング、凄くミスマッチで興味深いです。

「石井慧さんが紹介してくれて、HEATが組んでくれた感じです」

──対戦相手のアンディ・コング選手は、GTFのハイサム・リダ戦の善戦が印象深いです。

「パラエストラ小岩の大内(敬)先生の茶帯で、青と紫帯でアジアでも優勝している選手です。ただ相手云々でなく、試合ができることが嬉しいですね」

──昨年、2月以降は柔術界がほぼほぼストップし、その間にGTFなどグラップリングの大会が開催され、イゴールもノーギでの活躍が増えました。そして秋には各柔術連盟も動き出したなか、第3波、そして現在と感染拡大は収束を見せず、昨年以上に柔術、グラップリングの試合は行われなくなっています。

「そうですね……。ASJJFはトーナメントを続けていますが、JBJJFはないですね。ホント、悲しいです。僕はファイターなので、試合をすることが一番楽しいことなのに……それができないのは。

去年は2月に試合をして、次は7月の終わりでした。そこからはGTF、Battle Hazard、KIT、Quintet、JBJJFの全日本と立て続けに試合に出て。でも、11月の半ばからここまでまた試合がない状態です」

──柔術の環境として、アスリートが生活できる基盤はないです。

「そうですね、指導者か道場経営者でないと」

──トーナメントのマネタイズが参加費であって、そこは現状ではもう本当に難しい。競技者のためにワンマッチ大会でもあれば良いのですが……。

「ハイ、でもIBJJFという組織がその上にあるので、JBJJFもワンマッチ形式の大会を開くことは難しいと思います。賞金トーナメントもないですし。JBJJFに関係している人が、違う組織でワンマッチ大会を開催してくれるような形でないと」

──その通りですね。イゴールはアスリートとして、米国で勝負しようという気持ちになってしまわないですか。

「米国は毎週のようにワンマッチやプロ・トーナメントをやっていて羨ましいです」

──昨年、二連勝した相手であるハイサム・リダ選手も脚光を浴びています。

「海外に行くことは考えます。石井さん経由でSUGに出られないか、尋ねてもらったり。でも、米国にそのまま住むことは、家族がいるし無理です。まだ海外の大会に呼んでもらえるほど実績は残していないですし……。

海外は、すぐには行けない。だから米国に行くのではなくて、今できることをやっていきます。練習にしても、指導でも。そして試合があれば、すぐに出られるようにしていくのが、今の僕の選択です」

──そういうなかでHEATからオファーがありました。

「本当に有難いです。HEATは……マックス・フェルナンデスって知っていますか」

──元ウェルター級チャンピオンですね、HEATの。

「実は僕の地元で、同じ道場にいた選手で。格闘技の試合会場に初めて行ったのもHEATだったんです。マックスの応援のために」

──えぇ、そうだったのですか! もう12年、13年前ですよね、彼がチャンピオンになったのは。

2009年3月28日、愛知県武道館。マックス・フェルナンデスがジャスティン・ボルダスを破りHEATウェルター級王者に。この会場のどこかに8歳のイゴール少年がいたわけだ!!(C)HEAT

「マックスがウェルター級トーナメントに出ている時、毎大会応援に行っていて。だから、HEATは僕にとって思い出の大会なんです。

ダニロ(ザノリニ)にも7歳ぐらいの時に、キックボクシングを教わっていました。ダニロもHEATのキックでチャンピオンだったし、ここで僕がHEATに出ることは運命を感じます」

──巡りあわせですね。

「ハイ、そう思います。だから僕にとってHEATに出るのは、特別なことなんです。マックス・フェルナンデスを知っている人も、そんなにいないと思いますけど……チャンピオンになってブラジルに戻ってしまったんですよね。めちゃくちゃ強かったので、勿体なかったです」

──ただHEATのお客さんは、キックボクシングが好きでMMAの試合で寝技になると、「おい、立てよ」、「レフェリー、ブレイク!!」などという野次が盛んに飛びます。その会場でグラップリングというのは、なかなかハードルが高いのではないかと……。

「そういう人にも楽しんでもらえる試合をしたいと思います。サブオンリーで、相手が参ったするまで試合が続きますし。グラップリングを知らない人に僕がいきなり座ると『何やってんだ』と思われるので、立ち技から倒して、その流れで極めに行こうと思います」

<この項、続く>

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JJ Globo News WNO08 クレイグ・ジョーンズ グレース・ガンドラム ジェッサ・カーン ジルベウト・ドゥリーニョ タイ・ルオトロ デヴィッド・ガルモ ハイサム・リダ ブログ ラファエル・ロバトJr

【WNO08】ギャビでなくタイ・ルオトロ✖クレイグ。ロバトJr×ドゥリーニョ、AOJ✖10thPlanet女子対決も

【写真】2019年9月のADCCにおけるクレイグとタイ・ルオトロ。同じレフェリーの横に立つと、当時はこれだけ体格差があった……(C)

30日(金・現地時間)に開催されるWNO08のラインナップがほぼ固まっている。

オンライン配信グラップリングが毎週のように開催されるなか、WNOはメインでクレイグ・ジョーンズ✖タイ・ルオトロ、コ・メインでラファエル・ロバトJr✖ジルベルト・ドゥリーニョ・バーンズなど、スペシャル感のあるマッチアップが用意されている。


ギャビ・ガルシアとの道場マッチばかりが話題のクレイグだが、2021年はまだWNOでホナウド・ジュニオールを内ヒールで破った試合しか実戦経験がなく、今回の試合が2戦目となる。

対してタイ・ルオトロは2021年になって初めてプログラップリング大会への出場となる。2019年のADCCでは66キロ級で注目を集めたルオトロだが、その後は160ポンドや170ポンドで試合をすることが多く、今回のクレイグ戦ではついに200ポンドとADCC時代と比べ25キロも違う体重リミットで戦うことになる。

ロバトJrは元Bellator世界ミドル級王者で、ドゥリーニョはUFC世界ウェルター級タイトルコンテンダー。MMAで最も成功を収めたムンジアル優勝者同士の一戦は、ライトヘビー級(205ポンド)で行われる。

女子マッチではグレース・ガンドラムがジェッサ・カーンという非常に興味深いマッチアップも決まった。カーンは2001年10月生まれの20歳のカンボジア系米国人。12歳で柔術を始めAOJに合流し、ギ・メンデスの指導を受け去年の10月に黒帯が巻かれている。

一方のガンドラムは2002年5月生まれの18歳、彼女もまた昨年7月にエディ・ブラボーから黒帯を授けられている。エレクトリックチェアーからの連係を使えば、その柔軟性もあって男子柔術家以上に10thPlanet柔術メソッドを使いこなすガンドラムと、モダン柔術の総本山AOJで鍛え上げられたカーン。両者の対戦は、異文化柔術交流戦となることは間違いない。

これらの試合以外、ついには175ポンドとなったニッキー・ライアンとPJ・バーチ戦、ケイド・ルオトロ、デヴィッド・ガルモが出場するWNO08──YouTubeとFacebookで配信されるプレリミで、ハイサム・リダとスローン・クライマーの対戦も決まっている。

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EUG01 JJ Globo Report アンディ・ムラサキ ブログ マテウス・ガブリエル

【EUG01】アンディ・ムラサキ、金字塔レビュー─02─EUG160lbsT優勝「千$分リッチになった気分」

【写真】EUG160ポンド級のベルトと賞金1万ドルをてにしたアンディ・ムラサキ (C)EUG

3日(土・現地時間)、ラスベガスにて新興プロ柔術団体EUG (EVOLVE UR GAME)プロモーションズの旗揚げ大会レポート後編。

1万ドル争奪・道着着用160パウンド以下級の8人トーナメントで快進撃を続けたアンディ・ムラサキとマテウス・ガブリエルの一戦の模様をお伝えしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<アンディ・ムラサキの初戦&準決勝の模様はコチラから>


決勝でムラサキを待っていたのは、2019年の世界柔術フェザー級王者マテウス・ガブリエルだ。1回戦で階級上のジョナタ・アウヴェスと対戦したガブリエルは、必殺のベリンボロで上を取って試合をリード。最後は抜群のバランスでトップキープして4-2で勝利した。

続く準決勝でガブリエルは、マーシオ・アンドレと2019年世界大会フェザー級決勝の再戦を迎える。ここでも鋭いベリンボロでアンドレの強靭なベースを崩して大きな見せ場を作り、ポイントこそないもののレフェリー判定で快勝。ムラサキとの決勝戦を迎えたのだった。

<決勝戦/1R7分>
アンディ・ムラサキ(ブラジル)
Def. Ref Decision
マテウス・ガブリエル(ブラジル)

早々に座り込んだガブリエルは、ムラサキの右足に絡んでデラヒーバを作る。するとムラサキはガブリエルの右足を瞬時に流しての迅速のレッグドラッグ。が、ガブリエルも素早く対応して距離を取る。開始早々、火花が散るがごとき両者の攻防だ。

右腕を伸ばして襟を取るガブリエルに対し、ムラサキは低い体勢でプレッシャーをかけてゆく。下のガブリエルは右足に深く絡んでのデラヒーバで崩しにかかるが、強靭なベースを誇るムラサキがバランスを保つ。ガブリエルはムラサキのラペルを引き出して膝裏を通して掴むが、ムラサキはその足を抜き、レッドグラッグで逆襲。これも防ぐガブリエル。

再びデラヒーバを作ったガブリエルはムラサキの帯を取るが、ムラサキはガブリエルの左足を押し下げてから右足を跨いで抜く。改めて低くプレッシャーをかけたムラサキは、ガブリエルの両ズボンを掴んで左右に動いてから、一気に左にトレアナ・パス。一瞬胸を合わせかけるが、ガブリエルは両腕と両足を利かせて体勢を戻してみせた。

ガブリエルの切れ味抜群のオープンガードと、それに劣らぬ鋭さと重さを併せ持つムラサキのトップゲーム。両者の強みが正面からぶつかり合う凄まじい展開だ。

その後ガブリエルは左側でラッソーを作るが、ムラサキは体勢を低くし右ヒザを当てガブリエルの左の動きを殺す。さらに左腕で襟を掴んでガブリエルの動きを制したいムラサキと、それを防いで逆に手首をコントロールせんとするガブリエル。緊張感溢れるグリップファイティングが行われている。

残り1分。プレッシャーを強めるムラサキだが、ガブリエルは両手両足でその進行を止める。やがてムラサキは絡んでくるガブリエルの右足を力強く押し下げ、右ヒザで潰してからステップバック。段階を踏んで自らの右足を自由にしたムラサキは、左に回ってのパスへ。が。ガブリエルはインヴァーテッドの体勢を作ってここも防御し、逆にムラサキの左足にデラヒーバで絡んでみせた。

残り20秒。フックを深く入れて攻撃体勢を作ったガブリエルは、一気にベリンボロへ。両足を交差させられながらも、なんとか上を保つムラサキ。が、ガブリエルはそのズボンの尻を掴むことに成功。そのまませり上がってバックを狙うが、ムラサキは前転してスクランブルして立つ。が、ガブリエルもその動きに付いてゆき、背後から足をかけてゆく。バックを取られまいとムラサキがもう一度自ら倒れ込んでスクランブルを仕掛けたところで、両者の身体が場外に出て、残り試合タイム4秒の時点でブレイク。

ポイントこそ宣告されなかったものの、通常のIBJJFルールならば間違いなくアドバンテージは獲得できると思われるこの攻撃。世界王者ガブリエルが、最後の最後で大きな見せ場を作ってみせたのだった。

果たして、4秒間のリスタート。時間のないムラサキが前進するが、それを低い体勢で受け止めたガブリエルが逆にムラサキの左足を抱えて押してゆく。再び両者の体が場外に出たところで、試合終了した。

両者の持ち味が存分に発揮された一進一退の大熱闘。あえて勝者を選ぶなら、最後スイープ成功に限りなく近い場面を作ったガブリエルかと思われたが、レフェリーはムラサキを支持。常にトップからプレッシャーをかけ、鋭いレッグドラッグやトレアナ・パスで何度かサイドに回りかけるシーンを作ったことが評価されたか。

とまれムラサキはこの黒帯デビュー戦において、ケネディ・マシエル、ジアニ・グリッポ、マテウス・ガブリエルという世界の超一流選手を三タテ。しかも準決勝のグリッポ戦に至っては、相手を完全制圧した上での一本勝ちという驚愕の戦いぶりだった。

勝利者インタビューで今の心境を聞かれ「10000ドル分リッチになった気分さ!」と答えたムラサキは、次回同団体で行われる予定の170パウンドトーナメントへの参加も表明した。

一瞬で相手を制圧するスピードと爆発力、着実に手順を踏む動きの精度と多彩さ、そして強烈無比なプレッシャー。全てを兼ね備えたトップゲームをもってフェザー級の世界的強豪たちを連破したムラサキが、ライト級の世界トップ相手にどう戦うのか。興味は尽きない。

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EUG01 JJ Globo Report アンディ・ムラサキ ケネディ・マシエル ジアニ・グリッポ ブログ

【EUG01】アンディ・ムラサキ、金字塔レビュー─01─ケネディ・マシエル&ジアニ・グリッポを連破

【写真】衝撃の黒帯デビューとなったアンディ・ムラサキ(C)EUG

3日(土・現地時間)、ラスベガスにて新興プロ柔術団体EUG (EVOLVE UR GAME)プロモーションズの旗揚げ大会が開催された。記念すべき第1回大会の目玉は、優勝賞金1万ドルを賭けた道着着用160パウンド以下級の8人トーナメントだ。

世界的強豪がズラリと顔を揃えたこのトーナメントの模様を、黒帯デビュー戦にして驚愕の戦いを見せたアンディ・ムラサキの活躍を中心にお伝えしたい。
Text by Isamu Horiuchi

豪華極まりない今回のトーナメントの顔ぶれ&初戦の組み合わせは以下の通りだ。

マテウス・ガブリエル(ブラジル・2019年世界柔術フェザー級優勝)
ジョナタ・アウヴェス(ブラジル・2020年パン大会ライト級優勝)

マーシオ・アンドレ(ブラジル・2019年世界柔術フェザー級準優勝)
アイザック・ドーダーライン(米国・2019年ブラジレイロフェザー級優勝)

ケネティ・マシエル(ブラジル・2019年ADCC世界大会66キロ以下級準優勝)
アンディ・ムラサキ(ブラジル・2020年パン大会茶帯ライト級&無差別級優勝)

ジアニ・グリッポ(米国・2018年パン大会フェザー級王者)
ジョニー・タマ(エクアドル・2019年ノーギワールズライト級優勝)


体重リミットの160パウンドは、IBJJFの階級でいうとフェザー級とライト級の中間あたり。普段ライト級で戦っているアウヴェス、ムラサキ、タマあたりはフェザー級を主戦場とする他の選手たちより少々体格では有利と思われた。それもあって事前の優勝予想でトップを走っていたのは、2019年に黒帯を取得して以来ライト級で快進撃を続けるジョナタ・アウヴェスだった。

この世界的強豪ひしめくトーナメントにて、今回黒帯デビューを迎えたのが日系ブラジル人の両親を持つアンディ・ムラサキだ。インパクトジャパンBJJに所属し日本でティーン時代を過ごし、その無類の強さで当時から将来の世界王者候補と呼ばれていたムラサキは、その後渡米してカイオ・テハの教えを受け、やがてアトスへ。

2019年の世界柔術紫帯ライト級3位、2020年にはヨーロピアン大会茶帯ライト級優勝、さらに同年のパン大会では茶帯ライト級と無差別級の完全優勝を果たしたムラサキは、年末にアンドレ・ガルバォンから黒帯を授けられた。ちなみに上記のパン大会無差別級決勝の相手は、現在SUGで旋風を巻き起こしているメイソン・ファウラーで、同大会スーパーヘビー級茶帯の部を制したSUG無差別級王者相手に、ムラサキはスイープ、パス、マウントを奪って完勝してみせた。

さて今大会。ムラサキは1回戦でコブリーニャの息子ケネディ・マシエルと対戦。今年2月のF2W 163においてディエゴ・パト・オリヴェイラに完勝して道着ライト級王座を防衛したマシエルのオープンガードを、ムラサキは低い体勢からの強烈なプレッシャーで封じ込め、優位に試合を進めてゆく。

途中、ハーフガード上で脇を差して足を抜きかけるニアパスの場面を作ったムラサキは、ポイント0-0ながら文句なしのレフェリー判定勝利。黒帯初戦にして、横綱相撲と形容したくなるような戦いぶりで世界トップクラスの相手に快勝した。

準決勝のムラサキの相手は、 1回戦でジョニー・タマの股間をくぐって上を取り制したジアニ・グリッポ。引き込んだグリッポのラッソーガードを、ムラサキは初戦同様の重い重いプレッシャーで潰してゆく。

ならばとグリッポが仕掛けたデラヒーバからのスイープを堪えたムラサキは、右膝でニースライスを仕掛けつつ、瞬時にグリッポの左脇を差す。さらに完全に胸を合わせてから左腕で枕を作り、グリッポの首を圧迫したムラサキ。世界トップレベルのガードゲームを誇るグリッポを全く動けない状態に追い込んだ上で最後に右足を抜きみ、まさに完全制圧の形でパスガードを決めたのだった。

が、衝撃はこれに留まらなかった。そのまま抑えこみ続けたムラサキは、さらにステップオーバーしてマウント、と思いきやグリッポの左腕を超えて三角絞めをロックオン。グリッポの右腕を流すまでもなく、きわめてタイトな形で締め上げてタップを奪った。

長年世界トップで戦い続けるグリッポからの完全勝利──これ以上はないほどの強烈なインパクトとともに、ムラサキは決勝進出を決めた。

<この項、続く

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3CG06 JJ Globo Report カイナン・デュアルチ ブログ ヴィクトー・ウゴ

【3CG06】1万5000ドル獲得は、カイナン・デュアルチ。ヴィクトー・ウゴをレフェリー判定で破り優勝

<3CG GP決勝/7分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.OT Ref Judge 3-0
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

ヴィクトー・ウゴに入場に続き、リングアナから入場の呼び出しが掛ったカイナン・デュアルチがBGMが流れ終わっても姿を見せない。その後、5分のインターミッション後にデュアルチがマットに戻るというアナウンスなされる。

何もなかったようにマットサイドの姿を現したデュアルチに対し、ウゴが引き込む。デュアルチは内ヒールを仕掛け、ロールしたウゴが尻を蹴って足を抜く。トップのデュアルチに対し、今度はウゴがヒールを仕掛ける。今度はデュアルチがカウンターアタックを仕掛けつつ、足を抜く。ウゴのXガードを潰したデュアルチがサドルをセットアップする前にウゴが反転して足を抜く。

両者が足関節の仕掛けは、爆発力とスピードに欠け、その次の展開を念頭に置いての仕掛けのように見える。ゆっくりとしたリズムのまま進み、デュアルチが足首を掴んでパスを伺う。ウゴがインヴァーテッドから50/50も立ち上がることはできず、ポイントは入らずデュアルチが解除する。早くも残り時間は1分を切っている、両者揃って延長に向けて力をセーブした終盤戦となった。

ゴールデンスコア形式の延長戦は、ウゴに選択権が与えられボトムを取る。キムラを仕掛けたウゴ、このまま時間が過ぎると仕掛けられているデュアルチはレフェリー判定で勝てない。残り2分、立ち上がったデュアルチはスイープ狙いを潰し、シングルレッグにバックにつく。横回転からワンフック&シートベルトのデュアルチに対し、ウゴは上を向いてガードに戻し、危機的状況は逃れる。

残り75秒、ボトムから仕掛けを増やしたウゴは外掛けからカーフクラッシュへ。この筋肉潰しを20秒間流したデュアルチ、タイムアップとなりジャッジはカイナン・デュアルチの勝利を支持した。

8人トーナメント、7試合。本戦決着はなく、延長でもサブミッションはマイケル・ファウラーの準々決勝のみ。レフ判定が決勝を含め、3試合。ルールを理解し、勝ちに徹する戦略をもって戦うグラップラーを否定はできない──故にグラップリングは難しいと考えさせられるトーナメントとなった。


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3CG06 JJ Globo Report カイナン・デュアルチ ブログ メイソン・ファウラー

【3CG06】ADCC世界王者とSUG無差別級王者の大切はデュアルチが、ファウラーから金点勝利

<3CG GP準決勝/7分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.OTGS 2-0
メイソン・ファウラー(米国)

ADCC王者とSUG王者の対戦。座ったデュアルチを警戒するファウラーが、一旦ヒザをついていく。立ち上がったファウラーの腕を引っ張り、直後に立ち上がりながらシングルレッグに出たデュアルチが、反転したファウラーのバックを取る。前転して逃れたファウラー、このまま両者がステージから転落する。

ポイントはなくスタンドでの再開となり、立ちレスでファウラーがダブルレッグへ。ギロチンからスイープしたデュアルチは、腕を伸ばしスクランブルにきたファウラーをギロチンに取ったまま、セットし直す。ファウラーは腰をずらし、ヒザ立ち状態になると立ち上がり、デュアルチもギロチンを解除してスタンドに戻る。

直ぐに座ったデュアルチは、少し息が荒くなっている。再び立ちレスになると、ファウラーがスナップ。レスリングを嫌がったデュアルチが座るが、すぐに立ち上がる。残り4分を切り、座ったデュアルチに序盤のような動きは見られない。

ファウラーはパス狙い、しっかりと休めたデュアルチは動きが戻って来たか。デュアルチがスタンドに戻り、試合は残り150秒に。いなして足払いを見せたデュアルチが、直後にシッティングへ。ロックアップから座ったデュアルチ、ファウラーも効果的な挽回策はなく、両者とも頭の中で延長戦での戦いを思案中か。

結局、タイムアップとなり延長戦はデュアルチがクローズドガードを選択する。下の方が失点の確率が低く、懸命なチョイスといえる。と、パス狙いのファウラーは正対してきたデュアルチに対し、がぶりからクレイドルへ。引き込みなおしデュアルチがファウラーを追って立ち上がる。

座るタイミングで、組みに行ったファウラーは煽ってヘッドロックへ。スプロールできないデュアルチをギロチンで捕える。後方へのフリップでファウラーを腹ばいにさせたデュアルチは、座り直して頭を抜く。

そのまま立ちあがったデュアルチは、ファウラーのシングルにバックに回って自らマットに背中をつける。ボディロック&ファウラーの左腕ごとフックにかかったデュアルチ、ファウラーは背中を預けて前転して場外に。スタンドのバックコントロールから試合は再開となり、ファウラーは前転を繰り返す。背中についたままのデュアルチが、首を狙いにいったところでボディロックがはずれ、ファウラーはスクランブルへ。

バックを譲るのを嫌がったファウラーが引き込むと、ここでデュアルチのスイープポイントが入り試合終了。バックを取られていた状態で、尻もちを瞬間ついたことがボトムの定義に当てはまったということか。

ファウラーのコーナーが大声で抗議するが、当然裁定は覆らない。ならば本戦でファウラーが仕掛けたダブルレッグで、最終的にはデュアルチがギロチンを解除した時点でテイクダウンの2Pが入っても良いはず。とはいえ、グラップリングでルールの解釈が分かれるのは、この競技の常。

デュアルチが攻勢だった事実は動かしようがない。これで賞金1万5000ドル、準優勝賞金5000ドルが掛ったファイナルはヴィクトー・ウゴ×カイナン・デュアルチのマッチアップとなった。


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3CG06 JJ Globo Report ニック・ロドリゲス ブログ ヴィクトー・ウゴ

【3CG06】新星ロドリゲス、延長もポイントなくレフェリー判定でヴィクトー・ウゴに下る

<3CG GP準決勝/7分1R>
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)
Def.OT Ref’s Judge 3-0
ニック・ロドリゲス(米国)

準々決勝と違いすぐに座ったウゴ。ここから手を手繰り寄せにいき、頭を抑えられると一旦背中をマットについてクローズドを狙う。ロドリゲスは立ち上がるが、ガードのなかに入ると、ウゴがハイガードから腕十字を狙う。頭を刈らない十字に、立ち上がったロドリゲスはスラム禁止ルールに、腕を抜いて離れる。シッティングを続けるウゴに対し、ロドリゲスもヒザをついた状態で、組み手重視の試合を続ける。

ウゴは一旦立ち上がって、すぐに座り直し圧力を回避──ニーシールドを取り続ける。ロドリゲスが立ち上がると、足を取りに行ったウゴだが尻をマットにつけているので、離れたロドリゲスを追うことはできない。

アイポークがあったとレフェリーにアピールするウゴ、残り試合タイムは2分になる。と、ロドリゲスが一気に飛び込んでボディロックに取る。ハーフか、フルガードとかいう攻防にわきまくる館内。ここで下から煽ったウゴが、ボディロックを解除した。

ニースライスのロドリゲスは、ウゴの左足を挟んで右腕を抱えるも、ここから先に進めない。手を引き寄せたウゴがクローズドガードへ、今度はロドリゲスが下がり──時間に。ポイントはないままだったが、レフェリーはウゴにOTGSのポジションの選択権を与えた。

ロドリゲスのレスリング力を警戒するウゴは、当然のようにガードの中を選ぶ。この日、初めて下になったニックに対し、ウゴがボディロックからパスを狙う。蹴って立ち上がったロドリゲスは、クリンチにいくが場外へ。

ボディロックから再開をレフェリーに訴えるロドリゲスをよそに、ウゴはさっさと引き込んでガードを取る。ロドリゲスをクローズドに入れたウゴだが、立ち上がられてガードが開く。ロドリゲスも大きく動くことはなく、正座状態からニースライスで圧力をかける。

残り90秒、左手首を両手で掴んだウゴが、腕を引き寄せてを引いたロドリゲスをクローズドに入れる。首を畳みにいくロドリゲスは、足関節狙いに足を抜き、パスの圧力を高める。ここでタイムアップとなり、ジャッジは3者ともウゴを支持した。新星ニック・ロッドはガードに収まったことで、準決勝敗北となった。この敗北は柔術社会に足を踏み入れ、グラップリングで名を挙げようとするロドリゲスは受け入れるしかないだろう。


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3CG06 JJ Globo Report ブログ マニュエル・ヒバマー メイソン・ファウラー

【3CG06】GSを逆手に取ったSUG王者ファウラー、ポイントでなくワンアームRNCでヒバマーを極める

<3CG GP準々決勝/7分1R>
メイソン・ファウラー(米国)
Def.OTGS 2分20秒by RNC
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)

すぐに引き込んだヒバマー、ファウラーが立ち上がりスタンドに戻る。ヒバマーがシングルレッグへ、キムラクラッチもバランスを崩したファウラーは下になる2Pを献上する。起き上りながらダブルに出たファウラーに対し、ヒバマーが得意のギロチンへ。すぐに頭を抜き、シングルに切り替えたファウラーだったが、ここで場外になる。

この試合も立ちレスが続くが、仕掛けは多い。ファウラーのダブルを切ったヒバマーは、アームドラッグからのシングルを切る。アグレッシブなファウラーだが、ポイントではリードを許しており、このままではOTでのイニシアチブが取れない。

の子凝り3分を切り、ヒバマーのシングルを切ったファウラーががぶる。ここでヒバマーが引き込み、テイクダウンPは入らないと思われたが、ジャッジはテイクダウンを認め同点に。

ファウラーがニースライスを仕掛け、ヒバマーは肩を押して立ち上がると──見せつつ、もう一度ガードを取り直す。ヒバマーのシングルを切り、スタンドに誘ってテイクダウン=リバーサルを狙ったファウラーだが場外に。残り90秒、引き込んだヒバマーは防御に徹し、途中でアイポークがあったとアピールする。その後もヒバマーのシッティングが続き、延長のポジションはヒバマーに与えられる。

ここで、ファウラーの同点じゃないかというアピールに、ジャッジが優位だった選手を選ぶと──結局にヒバマーに。首をかしげるファウラーは、ここもニースライスを仕掛けるが上の人間はGSでは不利は否めない。

下から足をとりにいき、届かないと寝転び直すヒバマーに対し、ファウラーはフラストレーションがたまる。と、シッティングから両ヒザ立ちになったヒバマーが足を触りにいく。その刹那、ファウラーはスプロールしてバックへ。ヒバマーの前転についていったファウラーは、足をフックさせにいく。

ヒバマーは太腿を押しポイントを許さまいと防御するが、ファウラーはフックよりもがら空きになった喉下に右腕を滑り込ませる。左手はワキを取っている状態、グリップすることなくワンアームでRNCを極めタップを奪った。ゴールデンスコアを逆手にとったようなSUG王者の見事な一本勝ちだ。


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3CG06 JJ Globo Report カイナン・デュアルチ テックス・ジョンソン ブログ

【3CG06】余裕綽々のカイナン・デュアルチ。テックス・ジョンソンの足関狙いに立ち上がり、GS勝利

<3CG GP準々決勝/7分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.OTGS 2-0
テックス・ジョンソン(米国)

すぐに引き込んだジョンソンが、デラヒーバから後方に回りつつ外掛けへ。左のワキから右のワキと抱え方を変えつつ内ヒールを狙う。デュアルチはヒザを抜き、尻もちをついてベリンボロのようにバックを取る。ここでデュアルチが両足をフックし、4 Pを先取した。ジョンソンは上を向いてガードに戻す。シントゥシンから後方回転、足を取りにいくジョンソンだが、デュアルチはセットさせない。

なかなか攻め手が見つからないジョンソンはインヴァーテッドを取りにいくが、これもデュアルチが許さない。デュアルチの体を浮かし、右足を取りにいったジョンソン。逆側のヒザをマットにつけたデュアルチのポスチャーが強い。潜っていったジョンソンをキムラで捕えたデュアルチが上四方に回ると、ヒザが頭に当たり試合が一旦中断する。

再開後もシントゥシンのジョンソンが後方へのスイープも、デュアルチは立ち上がって防ぐ。これ以上、デュアルチはポイントを取るにいく意志はないようでタイムアップ。延長で下を選んだ。

OTGS、ガードの中のジョンソンがワキを閉め、ボディロックで固めて動かない。デュアルチはレフェリーに注意を要求するように視線を送ると、ジョンソンに注意が入る。ここでジョンソンが足を取りにいくが、デュアルチはすかさず立ち上がり2Pを先取、試合は決した。


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3CG06 JJ Globo Report ニック・ロドリゲス ブログ ペドロ・マリーニョ

【3CG06】延長GSもポイントなく。12分間中、寝技は30秒?? ニック・ロッドがマリーニョ下す

<3CG GP準々決勝/7分1R>
ニック・ロドリゲス(米国)
Def.OT 3-0
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)

この試合も明らかにロドリゲスが大きく、立ちレスでもじっくりと構えている。対して懸命に頭の後ろを取ろうとするマリーニョは、いなされて手をマットにつく。スタンドのままで2分が経過、さらに時間が進む。サブミッション、11Pの獲得よりも、まずは堅守&セーブエナジーか。

ジャッジがついに注意を両者に与える。ここで攻めないとペナルティという状況になるが、決定的な動きは見られない。ロドリゲスは足払いを見せるようになるが、残り70秒で両者にペナルティが与えられ2-2に。次の注意が入ると、失格だ。

ロドリゲスは胸を押して、マリーニョを場外へ。中央で再開となると、ロドリゲスがマリーニョをスナップして頭を落とさせる。残り5秒でマリーニョはジャンピングガード──もすかされ、尻もちを搗く。ならばとカニハサミを狙い、時間。

延長GSはジャッジ3者が終盤の2つの動きでマリーニョを攻勢と見なし、トップを選択する。マリーニョは上からギロチンを仕掛けるも、頭を抜かれてバックコントロールを許す。ここからのテイクダウンはすぐに立ち上がってポイントとはならない。場外から中央でリスタート、ロドリゲスのグリップの仕方で両者がもめる。

再開後、マリーニョが胸を合わせることに成功。場内では大きな声援が起こる。ロドリゲスのいなしに腹ばいになったマリーニョだったが、ここは場外に。再び中央で仕切り直しとなり、ロドリゲスのシングルをマリーニョがスプロールする。

5分の延長も2分が過ぎ、マリーニョの仕掛けを切ったロドリゲスがバックに回るが、ここも場外と判断されスタンドで再開に。ギロチンを嫌ってかダブルやシングルをほぼ仕掛けず、受けてから動くロドリゲス。試合は60秒を切り、ヒザ立ちからロドリゲスが距離を詰めようとする。

ついにダブルに出たロドリゲスだが、これも場外。マリーニョが何やら叫んでアピールする。5秒を切ってのダブルレッグもマリーニョが切り、延長もポイントなく終了──ジャッジは3人ともロドリゲスを支持し準決勝へ。

マリーニョは両手を広げて、不平を露わにする。試合は徹底してスタンドで進んだが、どんどんクラシカルなブラジリアン柔術的なアピールが増えたマリーニョ。その姿勢が、非常に面白かった。


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