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F2W167 JJ Globo Preview ガブリエル・ソウザ ケネディ・マシエル ジェイク・ワトソン ティム・スプリッグス ブログ ペドロ・マリーニョ ヴィクトー・ウゴ

【F2W167】マシエルが道着ライト級王座防衛戦。ヴィクトー・ウゴは立ちレスのスプリッグス攻略なるか

【写真】2カ月連続でタイトル防戦となるケネディ。柔術やグラップリングでタイトル戦、こういう形態で試合ができるフォーマットがファイナンシャルも含め、米国には存在するということか (C)F2W

20日(土・現地時間)、プロ柔術大会Fight to Win 167が開催され、Flo Grapplingにて中継される。もはや毎週土曜日のグラップリング大会──といっても過言でない北米を代表する豪華組技イベント。

道着ライト級選手権試合など、上位カードの見どころを紹介したい。
Text by Isamu Horiuchi


<F2W道着ライト級選手権/10分1R>
ケネディ・マシエル(米国)
ガブリエル・ソウザ(ブラジル)

王者マシエルは、コブリーニャことフーベン・シャーレスの息子。父親を彷彿させるトップからのプレッシャーの強さと極めの威力は出色で、先月のF2W 163におけるディエゴ・パト・オリヴェイラとの防衛戦では、激しい攻防のなか上からのベリンボロで見事にバックテイクに成功し、さらに腕十字を極めかける等、判定は2-1ながらも、実質完勝と言える内容で王座防衛した。

対するガブリエル・ソウザは2018年に黒帯取得し、2019年にはジョアオ・ミヤオを決勝で下してアブダビ・ワールドプロ62キロ級を制した新鋭。昨年戦場をライト級に上げてからも力を発揮しており、今年2月のF2W164では、ジアニ・グリッポと道着着用で対戦。飛びつき、下からの仕掛け、足関節狙い等積極的に攻撃して3-0で接戦を制し、今回の挑戦権を掴んだ。

両者は2020年パンノーギフェザー級決勝で対戦。この時はマシエルがストレートフットロックで一本勝ちしているが、今回は道着着用ルール。今年の世界選手権のライト級決勝で行われてもまったく不思議ではないこの一戦は、ディエゴ・パトの卓越したオープンガードをも制したマシエルの強烈無比なトップゲームに、ソウザがどう対抗するかが見どころとなるだろう。

<ノーギ/0分1R>
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)
ティム・スプリッグス(米国)

ヒベイロ兄弟の弟子にして23歳のウゴは、2019年の世界柔術にて、茶帯として自分の階級と無差別級の両方で完全優勝を果たしている。同年末のノーギ・ワールズには黒帯として参戦。無差別級の決勝にて、サイボーグことホベルト・アブレウをシッティングから左足に絡んで崩し、その足を脇に抱えての膝十字で驚きの一本勝ちを収めてみせた。

今年に入ってもウゴの勢いは止まらず、ニック・ロドリゲス、ニコラス・メレガリ、フィリッピ・アンドリューらそうそうたるメンバーから勝利。将来の世界最強グラップラー候補の一人だ。

対するスプリッグスは、強力なレスリングベースを持つ2018年のノーギ・ワールズ王者。昨年はメジャー大会では一度も試合をしておらず、今年1月のF2W 161にてサイボーグことホベルト・アブレウ相手に復帰戦を行なった。しかし試合の大部分をスタンドで費やした結果、2度テイクダウンを奪われて0-3で判定負けを喫している。

トップにこだわることの多いスプリッグスに対して、万能型のウゴは下からの戦いも辞さない。ポジションよりもサブミッション狙いを評価すると発表されているこの大会だけに、お互いが仕掛け合う攻防を期待したい。

<道着/8分1R>
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)
ジェイク・ワトソン(米国)

マリーニョは2019年ノーギ・ワールズ茶帯王者。決勝ではロベルト・ヒメネスと大激闘を展開した末、テイクダウンのポイントを守り抜いた末の歓喜の戴冠劇だった。今年に入ってすでに二度F2W大会のノーギマッチに出場。豪快なテイクダウンと、そこからスクランブルしてきた相手を狙う必殺のギロチンを武器にガブリエル・アウメイダ、マテウス・ルナという黒帯2人に完勝している。

相手の米国出身の23歳、ジェイク・ワトソンは米国中重量級ホープの一人。下からは長いリーチと懐の深さを活かしたガードゲームを展開し、上になると瞬時に相手の足を超えるトレアナ・パスを持っている。昨年はホナウド・ジュニオールやガブリエル・アウメイダから勝利を挙げ、世界のトップに肉薄する力を付けて来ている。

ノーギならマリーニョ有利は動かないと思われるこの米伯若手対決だが、今回は道着着用。長いリーチを用いて相手のラペルやズボンを掴んでの崩しを得意とするワトソンのガードゲームを、マリーニョがどう突破するかが見ものだ。

さらに今大会では、昨年のパン大会にてジアニ・グリッポやマテウス・ガブリエルら強豪を倒してフェザー級を制したチアゴ・マセドと、昨年SJJIF主催のノーギ世界大会でケネディ・マシエルから金星を上げた米国人柔術家、コール・フランソンのノーギマッチも行われる。今回も見どころ満載のF2Wだ。

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F2W166 JJ Globo Report ガブリエル・アウメイダ ブログ ラファエル・ロバトJr

【F2W166】Timeless Jiu-jitsu Professor=ラファエル・ロバトJr、重厚な柔術でアウメイダから一本勝ち

【写真】ラファエル・ロバトJr、MMAも柔術も重厚極まりない(C)F2W

13日(土・現地時間)、プロ柔術大会Fight to Win 166が開催された。今年7度目となったこの大会、今回もレジェンドからグラップリングの未来を担う超新星まで、北米在住の注目グラップラーが多数登場し、激闘を繰り広げた。
Text by Isamu Horiuchi

ここでは米国人として2人目のムンジアル黒帯王者にして、Bellatorでも世界ミドル級を制したラファエル・ロバトJrとガブリエル・アウメイダの柔術マッチの模様をお伝えしたい。

<道着/10分1R>
ラファエル・ロバトJr(米国)
Def. 6分50秒by キムラロック
ガブリエル・アウメイダ(ブラジル)

スタンドで襟を取り合った両者。ロバトJrが大内刈りを見せるが、それをかわしたアウメイダは左腕を狙って跳び付き腕十字に。ロバトJrが反応よく腕を抜くと、距離を取って立ち上がろうとするアウメイダ。が、ロバトJrはその左足を掴んでアウメイダの体勢を崩して背に回る。ここで場外ブレイクが入り、再開後にアウメイダは間髪入れず立ち上がることに成功した。

次はロバトJrが引き込む。右足に絡んでのハーフガードの形を作ったが、アウメイダがニースライスを狙ってゆくと、ロバトJrは距離を取って素早く立ち上がった。

スタンドに戻ると、アウメイダはまたしても左腕に跳び付き腕十字。ここも腕を抜いたロバトJrは、アウメイダがスクランブルを試みたところにアームインギロチンを合わせる。タイトに極まっているかのように見えたが、アウメイダはなんとか頭を抜く。「浅いサブミッション狙いには1ポイント、深く入ったサブミッション狙いには5ポイントを与える」というF2Wの判定指針(ただし各試合のポイントは非公開)で考えると、5ポイント獲得の可能性が濃厚な攻撃だ。

試合をリードしたロバトJrはクローズドガードへ。ここからアウメイダのラペルを引き出して引き付けて体勢キープを試みる。攻撃を仕掛けなくてはならないアウメイダは立ち上がってスラムを見せるが、ロバトJrのガードは開かない。やがてロバトJrは、アウメイダの左腕をラペルに絡めて固定しての腕十字狙いへ。これを回避したアウメイダは、左膝を入れてロバトJrのガードを開けさせた。

残り4分。ロバトJrがアウメイダを後ろに崩すと、アウメイダはあまり抵抗せずに下に。上からは埒が明かないと踏んだのか、それともスタミナが切れたのか。上を取ったロバトJrは、低くプレッシャーをかけながら、アウメイダの右足を押し下げてゆく重厚なパス攻撃。その右足に自らの右膝を乗せたロバトJrは、そのままニースライスでパスガードに成功した。

さらに上四方に回ったロバトJrは、アウメイダの左腕を捉えると、キムラロックの体勢に。するとアウメイダは精魂尽き果てたかの様子で、ほとんど抵抗せずにタップした。

37歳のロバトJrが、驚きの圧勝──。徒らに派手な攻撃を繰り返した感のあるアウメイダに対し、不利な状況を確実に回避し、チャンスと見るやすかさず攻撃するヴェテランならではの試合運びの巧さ、そして終盤の重厚かつ強烈なパスガードと極め。勝利の際に “Timeless Jiu-jitsu Professor(時を超越した柔術師範)” とコールされた鉄人が、柔術の奥深さを魅せてくれた。


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F2W166 JJ Globo Report ウィリアム・タケット ブログ マニュエル・ヒバマー

【F2W166】ヒール入れ食い状態。茶帯のウィリアム・タケットがヒバマーをヒールで74秒殺!!

【写真】これでF2Wで10勝目を挙げた超茶帯のタケット(C)F2W

13日(土・現地時間)、プロ柔術大会Fight to Win 166が開催された。今年7度目となったこの大会、今回もレジェンドからグラップリングの未来を担う超新星まで、北米在住の注目グラップラーが多数登場し、激闘を繰り広げた。
Text by Isamu Horiuchi

ここではミスターF2Wといっても過言でない、茶帯ながら黒帯とのスーパーファイトで戦うウィリアム・タケットとマニュエル・ヒバマーの一戦をお届けしたい。

<ノーギ/10分1R>
ウィリアム・タケット(米国)
Def. 1分14秒by ヒールフック
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)

スタンドで頭を付けていなし合う両者。やがてタケットが飛びつきカニばさみでヒバマーの右足に絡む。そのままインサイド・サンカクの形を作ってヒバマーのバランスを崩したタケットは、ヒバマーの右足を右脇に抱えての内ヒールを狙い。

そうはさせじと回転してゆくヒバマー。やがて両者の体が場外側に来ると、先回りしてステージの下に降りていたレフェリーがヒバマーの体を押さえる。これで両者の動きが止まると、タケットはすかさずヒバマーの右足を左脇に持ち替えて外ヒール。強烈に極まってヒバマーはすぐにタップした。

米国グラップリング界の新星タケットが、僅か1分少々で強豪ヒバマーから鮮烈な一本勝ち。F2Wでの戦績は、色帯の部でのものも合わせると(実はタケットは現在も茶帯だが、その実力ゆえに黒帯スーパーファイトに登場している)これでなんと10戦全勝。ミスターF2Wとでも呼びたくなるような活躍ぶりだ。


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F2W166 JJ Globo Report ジョシュ・シスネロス ブログ ルーカス・ピニェーロ

【F2W166】オールドスクール? 1周回って、新鮮&最新鋭=ジョシュ・シスネロスがピニェーロにレフ判定勝ち

【写真】パス→バックテイク。逆に新鮮な柔術を使い手シスネロス(C)F2W

13日(土・現地時間)、プロ柔術大会Fight to Win 166が開催された。今年7度目となったこの大会、今回もレジェンドからグラップリングの未来を担う超新星まで、北米在住の注目グラップラーが多数登場し、激闘を繰り広げた。
Text by Isamu Horiuchi

今回はダブルガードゲームをしない──現代柔術家=ジョシュ・シスネロスが、日本柔術界軽量級トップ選手のライバル=ルーカス・ピニェーロとの激闘をフィーチャーしたい。

<道着/10分1R>
ジョシュ・シスネロス(米国)
Def. 3-0
ルーカス・ピニェーロ(ブラジル)

しばしスタンドで襟を取り合った両者。やがてピニェーロが引き込むが、瞬時に反応したシスネロスはすかさず右膝を入れてニースライスの体勢に。そのまま前にプレッシャーをかけたシスネロスは、潜るような形になったピニェーロの左脇を抱えて掬い上げての極め狙いへ。

さらにシスネロスがその左腕をキムラグリップに取ると、危機に陥ったピニェーロはスクランブルを試みる。と、その動きに乗じてシスネロスは素早くバックに。ピニェーロは立ち上がったが、煤ネロスは背後から見事に4の字ロックを完成させてみせた。

ピニェーロは、その4の字ロックを片手で外しながら体を揺さぶる。シスネロスはピニェーロの左足を抱えての締めを狙うが、ピニェーロは頭をずらしてシスネロスを前に落とすことに成功。と、次の瞬間逆襲のバック狙いへ。が、シスネロスは素早く前転し、さらに横回転でスクランブルしてピニェーロのガードの中に入ったのだった。ここまで僅か1分。軽量級の世界的実力者二人による、スピード溢れる見応え十分の攻防だ。

やがてシスネロスがピニェーロを抱えて立ち上がると、ピニェーロはガードを解いて素早く着地し、ルールで許されているスラムを巧みに回避してみせた。

試合は再びスタンドに。ピニェーロは素早いシングルからダブルの連携を見せるが、レスリング経験のあるシスネロスは倒れず。ならばとピニェーロはクローズドガードに引き込んでみせた。右膝を入れるシスネロスは、そのままニースライスを狙うが、ピニェーロのガードは開かない。

やがて自らガードを開けたピニェーロは、シスネロスのラペルを引き出してその右膝の裏に通して掴むと、このグリップを用いて前に崩して上を奪取。が、下になったシスネロスもすぐにピニェーロの体を引き付けると、右膝に乗せて後転してすぐにスイープを返す。が、ピニェーロも動きを止めずにスクランブルで再び上になり立ち上がる。シスネロスは下になりながらも、50/50を作ってみせた。ここまでで試合時間の約半分が経過。上からも下からも強い両者が、積極的に仕掛け守り合う一進一退の展開だ。

ピニェーロは、シスネロスの右足をストレートフットロックのグリップで抱えて、倒れ込む。対するシスネロスは逆にトーホールド狙いに。しばし足関節合戦が続いたが、お互い極めには至らない。

残り2分半ほどのところで、足の絡みを解除して立ち上がる両者。同時にピニェーロはシスネロスの右足を取ってのシングルレッグへ。が、左足一本でそれを堪えたシスネロスは隅返しでピニェーロを舞わせる。ピニェーロもすぐにスクランブルで体勢を立て直すと、シスネロスはそこにすかさず三角狙いへ。これまた見事な仕掛けだったが、ピニェーロもすぐに頭を抜いて危機回避した。

ラッソーを作るシスネロスに対し、ピニェーロは低くプレッシャーをかけながら、右に回ってのパス狙い。が、シスネロスは距離を作ってガードを保つ。ピニェーロは左足を取ってストレートフットロックを狙うと、シスネロスは立つ。残り僅かのところで、シスネロスが逆にトーホールド狙いを見せたところで時間切れとなった。

判定は3-0でシスネロスに。両者が存分に持ち味を発揮した熱闘だったが、シスネロスの序盤のパス狙い&腕狙いからの鮮やかなバックテイク、後半のシングルを切り返しての隅返しと三角狙い等の攻撃を考慮すれば妥当な判定だろう。

多くの軽量級強豪選手のように外回り&内回りを中心に試合を組み立てるのではなく、全方面からダイナミックに仕掛けて極めを狙っていった20歳のシスネロス。その戦いは、確かに軽量級柔術の未来を感じさせるものだった。


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F2W166 JJ Globo Preview ウィリアム・タケット ガブリエル・アルメイダ ジョシュ・シスネロス ブログ マニュエル・ヒバマー ラファエル・ロバトJr ルーカス・ピニェーロ

【F2W166】無敗で引退、Bellator世界ミドル級王者ラファエル・ロバトJr参戦。日本勢の好敵手ピニェーロも

【写真】MMA引退後も積極的に組み技の試合に出ているムンジアル王者ロバトJr (C)BELLATOR

13日(土・現地時間)、プロ柔術大会Fight to Win 166が開催され、Flo Grapplingにて中継される。北米在住の大物グラップラーを多数参戦させるこのイベント、早くも今年7度目となる。
Text by Isamu Horiuchi

そんなF2Wの上位3試合、MMA世界王者からの柔術回帰、驚異の20歳と日本軽量級トップ柔術家のライバルの対戦などの見所を探りたい。


<ノーギ/10分1R>
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)
ウィリアム・タケット(米国)

19歳のタケットは、茶帯にしてすでにワールドクラスの実力を持つノーギグラップラー。昨年の躍進はすさまじく、怪力の足関節師テックス・ジョンソンを肩固めで仕留め、また2019、2020年とパン大会を制しているフィリッピ・アンドリューズをヒールで極めている。さらにミディアムヘビー級世界王者ルーカス・バルボーザともレフェリー判定の接戦を演じてみせた。

今年1月のF2W160ではジョン・コムズと対戦。両者積極的に極めを狙い合う激闘の末に2-1で勝利している。

対する27歳のヒバマーは、2019年ノーギワールズミディアムヘビー級王者。先日ギャビ・ガルシアとの頂上決戦を制して柔術界の新女王に輝いたナチアリ・ディ・ジェススの彼氏でもある。

今年2月のF2W164ではダンテ・リオンと対戦。気迫を前面に出して攻めてくるリオンを相手にカウンター戦術をとったヒバマーは、テイクダウンをギロチンで切り返した動きが評価されて2-1で判定勝利を収めている。

上からも下からも積極的に極めを狙ってゆく戦いを信条とするタケットと、強固なバランスを武器に待ちの姿勢で戦うことが多いヒバマー。対照的なスタイルのぶつかり合いが興味深いメインイベントだ。

<道着/7分1R>
ルーカス・ピニェーロ(ブラジル)
ジョシュ・シスネロス(米国)

アトス所属のピニェーロは、2010年代後半から最軽量級のトップ戦線で戦ってきた選手。2016年のパン大会の準決勝では芝本幸司を下し、決勝ではマイキー・ムスメシからパスガードを奪って追い詰めた末、準優勝に輝いた。以降も橋本知之、吉岡崇人といった日本のトップ勢と世界の舞台で凌ぎを削り続けている。

近年特に勝率を上げているピニェーロは、2019年のF2W128ではジョアオ・ミヤオに勝利し、2020年にはイアゴ・ガマらを倒してパンノーギ大会を制覇。さらに今年のAJPブラジル・ナショナル・プロ大会でもクレベル・ソウザらを制して優勝。今年の世界柔術最軽量級の優勝候補の一人と言えるまで存在感を増してきている。

対する米国カリフォルニア出身のシスネロスは、2000年5月生まれの20歳。ジアニ・グリッポ(1992年生まれ)、アイザック・ドーダーライン(1992年生まれ)、シェーン・ヒルテイラー(1995年生まれ)、マイキー・ムスメシ(1996年生まれ)らに続き、米国柔術界軽量級の未来を背負ってゆくとみられる逸材だ。

12歳の頃、クレバー・ルシアーノの黒帯にしてプロスケーターのトム・ノックス門下で柔術を学びはじめ、才能を開花。色帯時代からディエゴ・パト・オリヴェイラらと激しい戦いを繰り広げており、2019年にはノーギ・ワールズ(ライトフェザー級)の茶帯の部を制している。

昨年8月に黒帯を取得すると、同年のパン大会ライトフェザー級でパウロ・ミヤオやペドロ・ディアズを倒して優勝。アメリカンナショナルズではアイザック・ドーダーラインにも競り勝ってフェザー級を制している。

レスリングの経験もあるシスネロスは、上からも下からも戦える万能型柔術家。昨年のパウロ戦では、自らテイクダウンを仕掛けて上を選択。下からオモプラッタを仕掛けてパウロの左腕を伸ばしかけて上を取る等、互角以上に渡り合った。さらに終盤にはパウロの足を捌いてのトレアナ・パスで見せ場まで作り、全方面で強さを見せての勝利だった。

最軽量級の雄ピニェーロ相手に、やや体格に勝る米国柔術界の未来がどのような戦いを見せるのか。普段のIBJJF大会では見られないだけに楽しみな顔合わせだ。

<道着/7分1R>
ラファエル・ロバトJr(米国)
ガブリエル・アウメイダ(ブラジル)

現在37歳のロバトJrは、07年に世界柔術ウルトラヘビー級を制し、BJ・ペンに続き米国人で2人目の黒帯で世界王者と輝いた大ベテランだ。以降も道着着用、ノーギの両方のルールで世界の重量級のトップ戦線で活躍してきた。

2014年にはMMAデビューを果たし、2019年6月にはゲガール・ムサシに競り勝って10戦全勝の戦績でベラトール世界ミドル級王座に輝いた。が、健康上の理由(後に本人が海綿状血管腫だと明かした)によりそのベルトを防衛することなく返上。以後MMAでは試合をしていない。

MMAで活躍中もノーギの試合に出ていたロバトJrは、昨年のMMA活動停止後も組み技大会への出場は続けており、今年に入ってもダラス・オープンのヘビー級を制している。まさに柔術界の鉄人だ。

対する28歳のアウメイダは、レオジーニョとヒカルジーニョのヴィエイラ兄弟の弟子。18年に黒帯取得し、翌年のヨーロピアン大会で世界王者ルーカス・バルボーザのパスガードを凌ぎ、50/50からのスイープで下す大殊勲を挙げている。さらに昨年のF2W 152では、レジェンドのホムロ・バハウと道着着用ルールで対戦。スパイダーガードで絡んでくるバハウの足を一瞬で捌いてパスガードを奪い、勝利した。

今年1月のF2W 160でのノーギ戦では、ペドロ・マリーニョの強烈なギロチンに脅かされ、高々と抱え上げられてのテイクダウンも取られて判定0-3で完敗したアウメイダ。が、今回はその本領を発揮できる道着着用ルールだ。

バハウに続いて、またしてもアウメイダがレジェンド超えを達成するのか、それとも、柔術で現代MMAのメジャー王座奪取という偉業を成し遂げた鉄人が健在を見せつけるのか、注目の新旧対決だ。

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JJ Globo News SUG19 アマンダ・ローウェン イリマレイ・マクファーレン ジェシカ・アイ ブログ メイソン・ファウラー リッキー・シモン リッチー・ブギーマン・マルチネス ロクサン・モダフェリ 石井慧

【SUG21】ロクサンが女子王座に挑戦。UFC✖Bellator対決、石井慧は3大会連続出場&タッグマッチも!!

【写真】UFCの合間にSUG、素晴らしいファイター人生を送るロクサンだ(C)Zuffa/UFC
Zuffa/UFC

28日(日・現地時間)に開催予定のチェール・ソネン率いるSubmission Underground=ケージ使用のノーポイント&サブオンリー大会、21度目のイベントのカードが出揃った。

SUGでは男子アブソリュート級と女子王座を認定しているが、ポートランド州オレゴンで開催されるSUG21ではアブソリュート級チャンピオンのメイソン・ファウラーと、女子王者アマンダ・ローウェンの両者が防衛戦に挑む。


(C)SUG

昨年7月にクレイグ・ジョーンズをOTで破り王座を獲得したファウラーは、ダイレクトリマッチもOTで勝利し初防衛に成功。

すると12月には連戦で石井慧、ライアン・ベイダーを破っている。今回が早くも4度目の王座防衛戦となるが、チャレンジャーは10thPlanetサンディエゴの雄リッチー・ブギーマン・マルチネスだ。

(C)SUG

ブギーマンは昨年、SUGで5試合をこなし4勝1敗。

オースチン・ヴァンダーフォードのOTで敗れた以外は、ジェイク・シールズ、C.Bダラウェイに一本勝ち、ベン・アグリとケヴィン・ケイシーにはOTで勝利している。

ファウラーはOTキングのような本戦では勝負に行かないスタイルを徹底していたが、石井とベイダーというMMAファイターを相手にすると一転、攻め=積極的なサブミッション狙いの戦いをし、スコアリングと一本のどちらでも勝てる実力&試合巧者ぶりを見せている。

そのファウラーがブギーマンのエディ・ブラボー流柔術に対して、どのような姿勢で臨むのか興味深い。またファウラーはこの試合から僅か5日後にテキサスで開かれるThird Coast Grapplingでインヴァーテッドもスクランブルも強いウィリアム・タケットとのマッチアップも決まっている。

(C)SUG

一方、SUG19でUFCファイターのフェリシア・スペンサーに腕十字を極めてチャンピオンになったローウェンの初防衛戦の相手は、ハッピーウォリアーことロクサン・モダフェリに決まった。

UFCで確固たる地位を築いているロクサンだが、日本でも慧舟會流の寝技と柔術を身につけ、根幹には組みがあるMMAファイターだ。

MMAではアマしか経験していないローウェンだが、柔術家としての評価は当然ロクサンより高い。そんなローウェンは引き込み上等の選手だけに、パンチ有りで下にならないMMAのグラップリング能力を高めてきたロクサンが、逆に引き込むという展開も見てみたいものだ。

そのロクサンは、昨年10月にもHunter Proでグラップリング戦を戦っており、積極的に試合をこなしてきた。1月にヴィヴィアニ・アロージョに敗れ、5月にはタイラ・サントス戦が決まっているなかでのロクサンのタイトル挑戦は、チェール・ソネンのプロモート力を発揮したカードといえる。

そんなソネンの影響力の高さという点においては、グラップリングながらUFC✖Bellatorというマッチアップが実現し、UFC Fight Passで配信されることほど如実に表していることはないだろう。

それがジェシカ・アイ✖イリマレイ・マクファーレンのマッチアップだ。UFCでは連敗中とはいえフライ級のタイトルコンテンダーだったアイと、12月に王座陥落した元ベラトール女子フライ級王者マクファーレンの一戦は、夢の顔合わせといっても過言でない。

アイはSUGでは4年前にミーシャ・テイト、昨年6月にはローウェンに敗れており、MMA柔術の強さは定評があるが、今回の試合は劣性が予想される。というのも最近こそ打撃とトップを取るMMAを展開してきたマクファーレンだが、その実ブギーマンの愛弟子で10thPlanetムーブを理解し抜いているグラップラーだ。

(C)BELLATOR

さらにいえば掌底有りのコンバット柔術で果敢にハーフガードからの攻めや足関節を仕掛け、最後はOTで勝利し初代女子フライ級王者に輝いている。

腕十字から見事な三角絞めのスイッチなど、打撃のないなかでマクファーレンがどのような柔術を見せることができるのか、非常に興味深い。

(C)SUG

また今回も石井慧の出場が決まっており、石井はSUGに3大会連続で戦うこととなった。

これまでファウラーとクレイグ・ジョーンズに敗れているが、SUGのアンダーカードで戦績を積んできたアンディ・ヴェレラを相手に初白星を挙げることができるか注目だ。

(C)Zuffa/UFC

さらにSUG7と11で実現したことがあったタッグマッチ・グラップリングが復活。

UFCファイターのリッキーと兄ジョン・シモンが組み、ウィリー・オードフリー&マイク・カーリアーと戦うことも決まっている。

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JJ Globo News WNO07 ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ニック・ロドリゲス ブログ ユーリ・シモエス ヴァグネウ・ホシャ

【WNO07】26日のカードが続々決定。ゴードン・ライアン✖ヴァグネウ・ホシャ、ケイド・ルオトロ出場

【写真】どんな局面でも余裕の表情を崩さないゴードン・ライアン (C)SATOSHI NARITA

26日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンで開催されるWho’s Number One(WNO)07の陣容が固まりつつある。

メインイベントは2021年のグラップリング界で最強といっても過言でないゴードン・ライアンが、グラップリング実績歴は群を抜くヴァグネウ・ホシャと対戦する。


2017&2019年のADCC世界王者──後者な無差別との2冠王、その合間の2018年にはIBJJFノーギ・ワールズでも2階級制覇を成し遂げているライアン。2017年9月のADCCアブソリュート決勝でフィリッピ・ペナ・プレギーサにポイントで敗れて以来、敗北は昨年2月にBJJ Fanaticsのレスリングマッチでパット・ダウニーにピンフォール負けを喫しているだけで、サブミッション有りの試合では3年半、敗北を喫していない。

この間、メタモリスでハレック・グレイシー、Quintetのベガス大会ではジョシュ・バーネットやクレイグ・ジョーンズ、SUGでガブリエル・ナパォンらに勝利し、WNOにも3度出場してカイル・ボエム、マテウス・ジニス、そして前回大会でロベルト・ヒメネスと連続1本勝ちを続けている。

対するホシャも2月19日にF2W164でユーリ・シモエスを破り、WNOでも12月にジョン・ブランクをスプリット判定で下すなど安定して結果を残している。

とはいえライアンに敗れたヒメネスには昨年6月にレフェリー判定で敗れており、試合巧者のホシャといえども、ライアンの技術力が極めて高いパワーグラップリングを前にすると劣性に否めないだろう。

この他、ユーリ・シモエス✖ニック・ロドリゲスの新旧対決、またルオトロ兄弟からケイドが出場し、SUGベテランのカナダ人組技師イーサン・クレリンステインとのマッチアップが決まっている。

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JJ Globo Report WNO06 クレイグ・ジョーンズ ブログ ホナウド・ジュニオール

【WNO06】クレイグ・ジョーンズ、どれだけ警戒されても内ヒールでホナウド・ジュニオールを一蹴

2月26日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンでWho’s Number One(WNO)の2021年初イベントが開催された。ノーポイント&サブオンリー&判定有りにして、世界超一流の組技師がズラリと顔を揃えたこのグラップリング大会から、クレイグ・ジョーンズ✖ホナウド・ジュニオールの試合をレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<ノーギ195ポンド契約/15分1R>
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
Def. 4分15秒by 内ヒール
ホナウド・ジュニオール(米国)

試合開始後すぐに座ったジョーンズは、そのまま前に出る。対するジュニオールは足を絡まれるのを警戒してか、腰を引いてあまり積極的に接触を試みない。

両者の距離が詰まると、ジュニオールはニースライスを試みる素振りに出る。が、ジョーンズが侵攻してくる膝を取りにゆくと、すぐに距離を取って下がった。

その後もジョーンズが下から手足をジョーンズの足に絡めようとするたびに、ジュニオールが露骨に嫌がって距離を取るシーンが続く。

あまり攻防らしい攻防がないまま3分が過ぎた頃、接近したジョーンズはジュニオールの左足を内側から掴んで引き寄せて密着することに成功。さらにジョーンズは取った左足に背後から自らの左足を絡め、前に崩しながら50/50の形を作ってみせた。

当然足関節を警戒するジュニオールは、捕らえられた左足と右足を組んでディフェンス。が、ジョーンズはまずその右足をストレートレッグロックのグリップで捕まえて伸ばして隙間を作ると、ジュニオールの両足の間に左腕を滑り込ませて内ヒールへ。ジュニオールはすぐにタップした。

これだけ警戒されながらも、必殺の内ヒールをあっさり極めてみせたジョーンズ。道着着用の柔術において19年に茶帯世界王者に輝き、黒帯初参加でパン大会を制したジュニオールのような逸材でも、一度形に入ったらなすすべもなくやられてしまう。近年のノーギグラップリングにおける足関節技術の進化の度合いを、いま一度証明するようなジョーンズの完勝だった。


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JJ Globo Report WNO06  グラチアン・サジンスキ ゴードン・ライアン ブログ ロベルト・ヒメネス

【WNO06】組技界のMr.パーフェクト=ゴードン・ライアンがヒメネスに一本勝ちし、ガルバォンに張り手!!

2月26日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンでWho’s Number One(WNO)の2021年初イベントが開催された。ノーポイント&サブオンリー&判定有りにして、世界超一流の組技師がズラリと顔を揃えたこのグラップリング大会から、サブオンリー界一の強豪ゴードン・ライアン✖ポイント柔術を称してサブオンリーに挑むロベルト・ヒメネスの戦をレポートしたい
Text by Isamu Horiuchi

<ノーギ・30分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def. 10分53秒by 腕十字
ロベルト・ヒメネス(米国)

試合開始後座ったライアンは、下から無造作にヒメネスの首を抱えて横に崩すと、当時にバタフライフックで跳ね上げてのスイープへ。なんとかこらえたヒメネスだが、次にライアンはヒメネスの右足を外側から腕でフックして引き出すと、自分の右足を外からヒメネスの左足に絡めて三角ロックを完成。そこからヒールを狙うかと思いきや、ディフェンスに入ったヒメネスの上を取ってみせた。

立ち上がってニースライスを狙うライアン。が、ヒメネスも足を利かせて対処し、ライアンの右足にデラヒーバで絡む。ライアンはその足を押し下げてのパスを狙うが、ヒメネスも足を効かせて守る。するとライアンは淀みない動きでヒメネスの足を捌いて左右に動き、そのまま低く体重をかけてゆく。ヒメネスがどれだけ巧みに守ろうとも、ライアンはその巨体から多彩なパスを静かで隙のない動きで次々と繰り出してくる。恐るべしだ。

そんなライアンの上半身の侵攻を、左のニーシールドでなんとか止めるヒメネス 。が、ライアンはゆっくり隙間を潰してプレッシャーをかけ、ハーフで胸を合わせることに成功。さらにライアンは巨大な肩でヒメネスの首を圧迫し、ワキを差す。理詰めにして隙のない動きでヒメネスの上半身の動きを完全に止めたライアンは、足を抜いてサイドを取ってみせた。

あいかわらずヒメネスの首を殺しているライアンは、全く隙間を与えず低くプレッシャーをかけたまま、ニーインザベリーからマウントに。差している左ワキをこじ開けにかかるが、ヒメネスはブリッジで跳ね上げてなんとか回避。さらにヒメネスはバンプして隙を作ってエビで逃げようとするが、ライアンのマウントは崩れない。

やがて再び体勢を低くしたライアンは、ヒメネスの両ワキを差し、静かにゆっくりとこじ開けて両腕を上げさせてゆく。やがてワキが完全に開いたとみるや、ライアンはそこに自らの右脚を捻じ込みいわゆるSマウントを完成。そのまま孤立させたヒメネスの右腕をがっちり掴み、腕十字で伸ばしにかかる。きわめてタイトな仕掛けだったが、ライアンが極めるために倒れ込んだ瞬間、ほんの少しできた隙間を突いて体を起こすヒメネス 。さらにヒメネスは動き続け、完全に右腕を伸ばされながらも腕十字から脱出。上のポジションを奪い返してみせたのだった。

が、下も得意のライアンは、慌てず騒がずヒメネスの右足に両足を絡ませる。さらにライアンが左足に手を伸ばしたところで、ヒメネスが上からダイブしてバック狙いへ。が、すぐに反応して距離を取ったライアンが上になる。と、ヒメネスはすかさずクローズドガードを取ってみせた。

すぐに立ったライアンに対して、ヒメネスはガードを開いてインヴァーテッドの形に。ここでライアンはヒメネスの内側に両腕をこじ入れて体重をかけると、すかさず左側にパス。これを嫌がって背中を向けたヒメネスは、すぐに前転してスクランブルから上を狙うが、ライアンも反応してそれをがぶる。ライアンの多彩かつきわめて完成度の高いパス攻撃に、ヒメネスが持てる力を振り絞って対抗する素晴らしい攻防だ。

さらにヒメネスの背後を狙うライアン。が、ヒメネスも反応して正対。立ち上がったライアンは、ヒメネスの両足首を掴んで捌くと、寸分も無駄のない動きで左足をステップ。ヒメネスの鼠蹊部を超えてニーオンザベリーに入ると、そのままマウントを取ってみせた。一言、圧巻の動きだ。

胸を合わせたゴードンは、再びヒメネスの両ワキを差して開けさせる。一度目はだいぶ抵抗できたヒメネスだが、今回はあっさりとワキを開けさせられてしまう。またしてもSマウントを作ったライアンは、先ほどとほぼ同じ形で右腕を伸ばしての腕十字へ。今回もなんとか体を起こしてエスケープを試みたヒメネスだが、ライアンが強烈に極めるとタップアウト。試合開始から、約11分ほどのことだった。マットに倒れたまましばし右腕を抑えていたヒメネスだが、やがて立ち上がりライアンと健闘を称え合った。

まさに世界最強のノーギ・グラップラーの名にふさわしい強さを見せつけたゴードン・ライアン。足関節技が脚光を浴びがちだが、パスガードの多彩さと動きの無駄のなさ、その後フィニッシュに至るまでの動きの一つ一つの隙のなさ、完成度の高さが群を抜いている。

芸術的なまでの強さを見せつけたライアンだが、試合後のインタビューでは、来月のWNOにおける相手が因縁のあるヴァグネウ・ホシャに決定したという発表を受け「あんな奴、好きなだけ一方的にいたぶって、飽きたらフィニッシュしてやるよ」とトラッシュトーク。さらに試合後の舞台裏では、(次回のADCC世界大会のスーパーファイトで対戦予定の)アトス総帥のアンドレ・ガルバォンと罵り合あった挙句に張り手一発。乱闘寸前の騒ぎまで引き起こしてみせた。

圧倒的な技術的完成度と、人間的な未完成さ。良い意味でも悪い意味でも、ゴードン・ライアンが現在のグラップリング界の主役であることは間違いない。


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JJ Globo Report WNO06 ギャビ・ガルシア ナチアリ・ディ・ジェスス ブログ

【WNO06】パワフル&アグレッシブなギャビの攻撃を耐え、ポジション奪取でナチアリが快勝

2月26日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンでWho’s Number One(WNO)の2021年初イベントが開催された。ノーポイント&サブオンリー&判定有りにして、世界超一流の組技師がズラリと顔を揃えたこのグラップリング大会から、女子ノーギ戦=ナチアリ・ディ・ジェスス✖ギャビ・ガルシアの一戦をレポートしたい。

<ノーギ/15分1R>
ナチアリ・ディ・ジェスス(ブラジル)
Def. 3-0
ギャビ・ガルシア(ブラジル)

試合開始後、気合十分のギャビが突進してナチアリを場外まで押してゆく。ブレイク後、ナチアリが座ってギャビをクローズドガードに入れる。すかさず立ち上がったギャビに対して、ガードを開いて左足にデラヒーバで絡むナチアリ。ここでギャビはナチアリの左足を抱えると、吊し上げるようにしてスタンディングアキレスに。

ナチアリは内側からギャビの左足を抱え、前に崩す。が、ギャビも体勢を戻し前に体重をかけてナチアリを二つ折りに。ここでナチアリは背中でマットを回って正体し、ギャビの右腕を超えて三角の形を作りかける。だがギャビは素早く反応して体重を前にかけ、再びナチアリを二つ折りにしていく。

ナチアリがなんとか押し戻すと、ギャビがそのままナチアリの左足を取ってのストレートフットロック狙い。深く入っているが、ナチアリはタップしない。ならばとギャビは外ヒールに移行する。フックが外れるとギャビは立ち、ナチアリの絡む足を押し下げて右にパス狙い。だがナチアリは左腕を伸ばしてガビの巨体を止め、ガードに戻してみせた。ここまで3分。ギャビ圧巻の連続攻撃をナチアリが凌ぐ凄い展開だ。

一旦座ったギャビだが、ナチアリが立とうとうすると、すかさず突進して上を確保。ナチアリがまたしてもギャビの左足に絡むと、ギャビは左足を掴んで押し下げようとしてから、前に倒れ込んでのトーホールド狙いへ。が、ナチアリは回転して防ぎ、上のポジションを奪取した。

しかし、クウォーターでナチの右足に絡んだギャビはすぐにディープハーフに。そのまま横回転を続けると、あっさりスイープを成功させて上を取り返してみせた。

ナチアリのガードの中から立ち上がったギャビは、ガード開くと今度は右足を取ってストレートフットロックで前に倒れ込む。ナチアリのガードへの今回のギャビの作戦は、パスガードではなく足関節狙いのようだ。ナチアリは外ヒールで逆襲。それが極まらないとみるや、ナチアリは50/50の形から内ヒールへ。深く入っているかのように見えるが、ギャビは全く意に介さずフットロックを仕掛け続けている。結局両者とも極めきれず、半分が経過した頃にお互いが立ち上がった。

試合開始後のアグレッシブな姿勢を失っていないギャビは、前に出て二度ほどナチアリを場外に押し出す。やがてナチアリが座ると、ギャビはその左足を抱えてまたしてもストレートフットロック狙い。それを嫌ったナチアリが背中を向けて立とうとすると、ギャビは背後から組みついて倒しにかかるも、場外ブレイクに。

再開後、クローズドガードを取ったナチアリに対し、立ち上がったギャビは左方向に片足担ぎ。それをナチアリが防ぐと、ギャビは三角絞めをもらう心配を一切していない様子で、右腕を中にこじ入れて低く体重をかけてのスタックパス狙い。距離を作って防いだナチアリが立とうとすると、ギャビはすかさず距離を詰めて上をキープした。

残り3分。再び立ち上がったギャビに対し、ナチアリは内側から腕をひっかけて左足を引き出す。が、座り込んだギャビはここもストレートフットロック狙い。ナチアリはトーホールドで逆襲。双方極めることはできず、両者上を狙うが、ここでも上になったのはギャビの方。大きな体格差があるとはいえ、ここまでスクランブルでは必ずギャビが上回っている。

ナチアリは再びギャビの左足に絡み、デラヒーバからバックを狙う。が、正対したギャビはすぐにまたストレートフットロックに。極まらないと見るや外ヒールに移行するギャビだが、ヒザの支点をずらして回転して逃れたナチアリは、そのまま背中を向けたギャビの上に。そのまま襷掛けのグリップを作ったナチアリは、残り2分の時点で両足フックを入れてバックの奪取に成功した。

さらにギャビの巨体を伸ばしたナチアリだが、ギャビは動いてクウォーターガードに持ち込む。ナチアリはギャビの左腕を取りにゆくが。ギャビはブリッジから上を取り返した。再び下になったナチアリだが、ここまでギャビの猛攻を凌ぎ続けた末に、バックテイクというビッグポイントを奪って形成逆転に成功したのだった。

残り1分。立ち上がったギャビはまたしてもストレートフットロックへ。が、ナチアリはそれに乗じて上に。さすがにこれだけ同じことを続けると対応されてしまう。下になったギャビはハーフガードで絡みつつ、腹這いになる守りの体勢に。ここでナチアリは上からギャビの首に腕を回してプレッシャーをかけ、背中を付けさせる。ギャビの上半身を制したナチアリが、足を抜いてパスの体勢に入りかけたところで試合が終了した。

15分間持てる力を出し尽くす激闘となった女子頂上決戦の判定は、3-0でナチアリに。前半のギャビの猛攻を凌ぎ、終盤にバックテイクを決め、さらにハーフからドミネイトしたことを考えても、妥当な裁定だろう。これでナチアリはギャビ相手にギ&ノーギで2連勝をマーク。名実ともに組技界の新女王の座を確立した。

敗れたギャビだが、体格差を利用した上からの膠着を狙うことなく、終始積極的に仕掛け極めを狙っていった姿勢は称賛に値する。滅多に下にならない彼女が見せた、ディープハーフからのスイープも見事だった。今回は新旧対決に敗れてしまった形となったが、パスガードや足関節の技術的精度を上げることで、さらなる進化は十分可能だろう。


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