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【Banana Oil 2025─06─】ProgressとKNOCK OUT Unlimitedで強くなる日本のMMA─02─Unlimited編

【写真】(C)MMAPLANET

12日に大阪でGladiator、19日は東京でプロ修斗公式戦が開催され、米国でもLFAやUFC、中東では先週末にUAEWがアブダビで、今週末にはPFLがドバイで始動するように2025年のMMA界は既に動き始めている。UFCに絶対の価値を置いたJ-MMAを想定し、如何に強くなるかを考えるコラムも今回を最終回としたい。
Text by Manabu Takashima

「日本人選手の5勝1敗は、米国では2勝1敗」。「修斗、パンクラス、DEEPのタイトルはUFCで戦える力をつけるために、意味はない」──このショッキングなヘンリー・フーフトの言葉を現実的に捉えると、日本のMMA界は社会構造として興行主が生き残るために懸命で、強さ=ビジネスという状況にない。

結果、勝負論とは別軸でエンターテイメント性に重きが置かれ、選手達の思考回路もそちらに軸が置かやすくなりがちだ。日本の格闘技界には(世界中を見渡しても──だが)UFCのような資金力はない。それでも、その道しか存在しない多くの国と違って、格闘技を戦うことで得られる「幸」は多い。そんな独特な格闘技文化がある日本だからこそ、国際戦の数は減少し、世界との違いや距離を肌感覚、空気で知る機会も減った。

それでもMMAでなくても実戦で選手は強化できる。そんな2024年に感じた成果と希望──スクランブルにポイントを与えた組み技=Progressに続き、立ち技プロモーション=KNOCK OUTが2023年末より導入したテイクダウン、パウンドが許されたUnlimitedルールによる日本人選手の強化を探りたい。


KNOCK OUTを率いる山口元気さんは、自分が格闘技の記者を始めた1995年には既に日本のトップキックボクサーだった。強さを求め、UFC以前には地上最強と思われたムエタイに傾倒し、強い相手と戦うためなら自身で相手のファイトマネーを工面するまでしていた格闘バカだ(スミマセン)。

ちょっといい加減なところもあるが、ファンから記者になった頃の自分にとっては吉鷹弘、金泰泳に次ぐ憧れの人だったこともあり、そんないい加減なところも強さを求める姿勢に霞んでしまう。キックの記事を書かなくなり、相当な年数を経ても定期的にやり取りをするような間柄が続いてきた。

元気さんが自分に振る話題の90パーセント以上が、選手の強化策。しかもMMAで勝つためだ。海外からトレーナーを招きたい、合宿所を創る。MMAで勝つための首相撲、ヒザ蹴り、タイナーの有効性。ジムの拡張とプロチームの結成。打撃で勝てるための組み技、寝技の強化。そんな話ばかりをしてきた元気さんが、キックボクサーやムエタイ戦士がMMAに転向するため、キックとMMAの接点としてUnlimitedルールを遂に興行に組み入れ始めた。

試合時間は3分3R、MMAグローブ着用で投げ、テイクダウンが認められ、寝技でもパンチ、蹴り、ヒザ、ヒジによる攻撃が許されている。サッカーボールキック、踏みつけも4点ヒザもOKで、関節技&絞め技は反則だ。ブレイクはスタンドもグラウンドもMMAと比較すると非常に早い。

一昨年12月の同ルール初戦はMMAファイターの三上ヘンリーが、極真空手のパトリック・ケンソンから左ストレートでダウンを奪い、サッカーボールキックから鉄槌とヒジの連打で勝利を収めた。昨年7月にはNOCK OUTの首相撲やヒジ無しルールのチャンピオンである栗秋祥梧が、RIZINを主戦場とする中村優作を左ストレートでKOしている。

そして昨年12月30日に、その栗秋が元LFAフライ級王者で元UFCファイターのカルロス・マタを迎え撃つ一戦を始め、グレコベースの倉本一真がムエタイの重森陽太と、さらにキックボクサー同士のバズーカ巧樹×大沢文也というUnlimitedルール3試合が行われた。

元気さんは強さを追求するだけでなく、興行主だ。スポンサーを獲得し、チケットを売って選手と観客、応援してくれる人々を満足させることが職務だ。だから格闘技を連想させる喧嘩マッチでなく、喧嘩を想像させる格闘技を世に伝えなければならない。

加えてキックボクサーが日本の格闘技界のトップであるRIZINルールに移行することも、当然のように考慮している。

つまりUFCを軸とした日本人ファイターの強化策以外のファクターも、Unlimitedルールには散りばめられている。

キックボクサー同士の対戦は、まさに喧嘩を匂わせた。

組みとグラウンドでの打撃があることで、中間距離以内のレンジでのコンビネーションを駆使する戦いではなく、一発狙い。

そこに殺気と恐怖心が入り混じっていることで、動きはどうしても荒くなるように映った。

そして、一方の選手が下になると──第1回VTJのヒクソン・グレイシー以外の選手が放つ、本能の赴くままの打撃が見られた。

2試合目の重森×倉本は、まさに異種格闘技戦の様相を呈していた。

殴りたい重森、倉本は殴られずにテイクダウンし、抑えつつダメージを与えたい。組みの展開は動きがないと、ブレイクになる。重森陣営は膠着を誘発して打撃の間合いに戻ることを第一の対策とし、スクランブルに持ち込んで立ち上がるだとか、テイクダウンを切って間合いを取り直すという動きは放棄していた。それらの技術の習得には時間が掛り、彼らにとって本分ではない(MMAファイターを本格的に目指すなら、時間を掛ける必要があるが)。勝つためにリングに上がっているのだから、当然だ。

倉本は何度ブレイクが掛かっても、倒して、殴る。最終的には削って、2Rにパウンドアウトで勝利した。RIZINでトップを目指すなら、テイクダウンをしてサッカーボールキックという選択肢もあっただろう。サッカーボールキックは足の甲を痛めそうで避けたいのであれば、踏みつけ。あるいはがぶってニーなど、ブレイクされない攻撃手段は存在する。が、それを時間に追われて畳みかけ続けると自らが体力的に削られ、打撃の間合いで神経も削られることを考えると、一気呵成に攻めるという手段に出られなかったのは分かる。

対戦相手だけでなく、倉本にとっても初めてのルールでの戦いだったのだから。

と同時にトップコントロールした時、もっと有効なパウンドを序盤から落とすことができれば、ブレイクの数も減っていたという見方もできる。

Unlimitedルール最後の試合は、非常にスリリングだった。

栗秋の打撃は蹴りもパンチも相手を倒す、ダメージを与えることができる。

テイクダウン防御は簡単ではないが、寝技ではスクランブルに持ち込むだけでなく、リバーサルを決めるシーンもあった。加えて3Rには全くテイクダウンを警戒していないモタに、ダブルレッグを決めサッカーボールキックを蹴り込む場面まで見られた。

結論をいえば終始モタが組み勝ち、コントロールでもクリアに柔術的なポジションを奪取し続けた。それでもパウンドに心が折れず、栗秋は判定勝負になるまで粘りを見せた。

キックボクサーがUnlimitedをキックとMMAの接点として、MMAファイターへの移行を図るならテイクダウン防御と、倒されても立つという練習を日々、日常的に採り入れる必要があるのは明白だ。

(C)RIZIN FF

その上で短いブレイクを生かして、戦う。

仮に大晦日のカルシャガ・ダウトベック×YA-MANがUnlimitedルールで組まれていたなら、打撃の圧を嫌がったダウトベックはテイクダウンをしてもステイトップはできず、立ち技で削られてYA-MANに敗れることも十分に考えられる。

Unlimitedを生かし、強豪MMAファイターと立ち会う。その間にジムで、テイクダウン防御とスクランブル力をつける。練習はもう、打撃より組み重視だ。それこそが、キックから転向組のベストUnlimited活用方法だろう。

(C)RIZIN FF

一方MMAファイターとすれば、短いブレイクを許さず如何にダメージを与えるのか。

寝技でクラッチをするのではなく、腰、腹など体の軸と一方の手足=先端のコントロールで対戦相手を制する術を学び、余った方の手で力強いパウンドを落とす。そう、これも大晦日で堀口恭司が、ズールーを相手に見せていた抑え&パウンドだ。

スクランブルに長けた相手と戦う機会があれば、金網をより押し込みにくいロープ際の攻防は、組み&パンチ=ダーティーボクシングの技術力アップになるに違いない。クラッチをしないで如何に制することができるのか。ここの技術力アップは、前回触れさせてもらったPROGRESSが絶対的に効果的だ。それ故にMMAでなくとも、UnlimitedとProgressで日本のMMAファイターは強くなれると、定義した次第だ。

Unlimitedに関していえば12月30日の試合出た選手たちがキックやムエタイで、どのような戦いをしているのか理解せずに、このようなことを書くのは失礼にあたるだろう。それでも彼らが、よりMMAを距離とタイミング、つまり間合いを研究した打撃を駆使できていればと素直に思った。その上達こそが、彼らがMMAで成功に近づき、MMAファイターの強化にも通じる。

テイクダウンを考慮した間合い、重心、ステップ。キックでもムエタイでもない。しかし、キックとムエタイの理をMMAに落とし込んだ打撃術が発展する。これこそが、UFCに絶対の価値とした日本人選手の強化策に最大の効果をもたらすに違いない。

テイクダウン防御は完璧でなくてもブレイクが早いルール特性を生かし、組ませない打撃をファイターだけでなく指導者───殴る、蹴るの専門家──が進化させてくれれば、その打撃に対応して組んで倒す、そこからコントロールとダメージをシンクロさせた技術がMMAファイターに不可欠となる。

さらにテイクダウンを切り、倒されても立つことがキックボクサーからMMAファイターを目指す選手たちが磨いていく。倒してサッカーボールキック、組まれて膠着誘発の向う側に──キックボクサーも和製ナックモエも、MMAファイターも強くなれる要素が散りばめられている。それこそが元気さんがMMA界に持ち込んだ、Unlimitedのポテンシャルだ。

もちろんRIZINで勝つためのUnlimited、KNOCK OUTを盛り上げるためのUnlimitedが存在しても良い。ただし、UFCと契約してオクタゴンで勝つことを目指す立ち技選手、MMAファイターは上に挙げたようなUnlimitedの効果的な活用法を見出して欲しい。

改めて書き記すと日本のMMAファイターはProgressとUnlimitedで強くなれる。いやぁ、四半世紀も前にαとΩを考案した佐山さんって、どれだけ天才だったのだろう。

ただし、天才には継続する持続力や理解者がなかった。今の日本の格闘技界は違う。

日本はまだまだ強くなれる。日本の5勝1敗は北米の5勝1敗と同等になれるし、修斗、DEEP、パンクラスのベルトはUFCで戦える力をつけるために意味があるようになる。HEAT、Grachan、Gladiator、NEXUS、TTF Challenge、CROSS X OVER、Breakthrough Combat、Bloom FC、PFC、GFGで戦うことは、頂点に通じる道を切り開く。そんな日本に、まだなれると信じているという言葉を──長すぎた新年の挨拶の締めとさせていただきます。

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45 AB ABEMA Black Combat Black Combat13 DEEP GFC GFG Gladiator KOMA News ジョン・ハングク ジン・テホ チェ・ジュンソ チャ・ジョンファン パク・オジン ブログ ロッキー・マルチネス

【Black Combat13】計量終了 15キロ減のロッキー・マルチネスが、121カ月振り復帰のチャ戦へ

【写真】今年3月と今日のロッキー・マルチネス(C)MMAPLANET

明日28日(土・現地時間)に、韓国はソウルのソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催されるBlack Combat13の計量が同所で行われた。
Text Manabu Takashima

日本から大原樹理、山本聖悟、木下カラテ、駒杵崇大が出場する今大会。

2024年最後のイベントということもあり、宮平守太郎がジ・ヒョクミンと対戦するアンダーカードも充実のラインアップが揃っている。


6試合が組まれたアンダーカード、そのプレリミメインにはONEで活躍したジン・テホとチェ・ジュンソのウェルター級戦マッチが実現する。Double GFGでキム・ハンソルに勝利しウェルター級王者となったジン・テホは、ONEではアギラン・タニに勝利し、手塚裕之に敗れている。

対するチェ・ジュンソは昨年9月のDEEP x Black Combat対抗戦で当時のDEEPウェルター級王者だった鈴木を89秒でKOしているファイターだ。チェ・ジュンソは今大会のコメインでBlack Combatミドル級王者チェン・ウォンジュンに挑戦する――2019年Road FC新人王オ・イルハクに敗れ、Black Combatでもウェルター級で戦うことになった。クラシカルなグラップラー=ジン・テホ×ストライカー=チェ・ジュンソの一戦だ。

プレリミ第5試合にはDouble GFCとZeus FCのライト級王者で、今年の5月にGladiatorで暫定ライト級王座決定戦に挑みながら計量失敗――変則タイトル戦で田中有をカーフライサーで破ったが、結果はノーコンテスト……ジョン・ハングクが、パク・オジンと相対する。

グラジ後にBlack Combatと契約したジョン・ハングクは9月の初戦でキム・ジョンキュンを内ヒールで破るという足関猛者ぶりを発揮している。

対するパク・オジンは同じ前回大会で大ベテラン、元UFCファイターでRoad FCライト級王者だったナム・ウィチョルを4分11秒で沈めている。キャリア8勝1敗1分で4つのKO勝ちと3つの一本勝ちを誇るパク・オジンとジョン・ハングクの一戦は、大原が頂点に君臨するライト級戦線に大きく影響を与えるマッチアップといえるだろう。

さらに第3試合では名門MMA STORY総帥で、元Road FCミドル級王者のチャ・ジョンファンがなんと10年1カ月ぶりに実戦復帰を果たす。山上幹久の9年5カ月振りを上回る引退期間を経て、ケージに戻るチャ・ジョンファンの相手はDEEPメガトン級王者ロッキー・マルチネスだ。

しかもロッキーは今回、93キロ契約マッチでチャ・ジョンファンと対戦する。7月のBlack Combatデビュー戦はヘビー級で107.8キロ、3月のDEEPメガトン級王座統一戦では108.5キロだったロッキーの体型はまるで別人のようで、92.4キロで計量をパスしている。果たして明日、どのような体型でケージインするのか。そこから興味深い、チャ・ジョンファン×ロッキー・マルチネスの一戦だ。

なお本計量終了後、キム・ジェウンとバンタム級王座決定戦に挑む山本聖悟にパク・オンシクが詰め寄り、街中では決して口にしてはいけない「シーバ〇・セキ〇」という韓国のFワードを連呼。なんでも山本が14日の会見で、ギャングスタ―の異名を持つパク・オンシクのことを「フェイク・ギャングスタ―」とバッサリと切って落としたことに――やらせなし、怒りを爆発させたという。

実はこの両者、今年の1月大会から因縁があり、芦澤竜誠とともに韓国入りをしていた山本陣営に差別用語をパク・オンシクが言い放っていた。その後、来日をした際に和解を申し入れたパク・オンシクだったが、再び自身の試合を実況LIVEしていたパク・オンシクが、再び差別用語を使ったことで山本はパク・オンシクのSNSをブロックしていた。

そして会見前に再び和解を申し入れたパク・オンシクの握手を固辞し、上の発言を山本が行ったというのが計量前までの流れだった。しかも、パク・オンシクは旧知の韓国人記者に「今日、ちょっとやるから」という公言していたという。いうと標的は誰でも良かった。スクリプトのない本気のやりとりとはいえ、YouTubeで注目を集めるための行為。そして試合前日にタイトル戦を控えた山本に蹴りを入れるのは、やりすぎでしかなく障害といっても過言でない。

その行為をとがめることなく、カメラを回し続け大会の宣伝に使うという主催者のありようも――虚と実の境目が失われつつある現代ファイティング・スポーツ・エンターテイメントの一面が露わとなった計量だった。
■視聴方法(予定)
12月28日(土・日本時間)
午後6時30分~メインカードBlack Combat YouTubeメンバーシップ
午後2時00分~アンダーカードBlack Combat YouTubeメンバーシップ

■Black Combat13メインカード計量結果

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ:66.1キロ
木下カラテ:66.3キロ

<Black Combatミドル級選手権試合/5分3R>
[王者]チェン・ウォンジュン:83.6キロ
[挑戦者] オ・イルハク:83.8キロ

<Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
[王者]大原樹理:70.3キロ
[挑戦者] ムン・ギボム:70.1キロ

<Black Combatバンタム級王座決定戦/5分3R>
キム・ジェウン:61.2キロ
山本聖悟:61.2キロ

<Black Combatフライ級王座決定戦/5分3R>
ユン・ホヨン:56.6キロ
駒杵崇大:56.6キロ

■Black Combat13主なプレリミカード計量結果

<ウェルター級/5分3R>
ジン・テホ:77.2キロ
チェ・ジュンソ:77.1キロ

<ライト級/5分3R>#05
パク・オジン:70.4キロ
ジョン・ハングク:70.7キロ

<93キロ契約/5分3R>#03
ロッキー・マルチネス:92.4キロ
チャ・ジョンファン:92.4キロ

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45 AB DEEP DEEP JEWELS DEEP122 GFG GFG04 KENTA MMA MMAPLANET o YouTube 佐伯繁 新井丈 石塚一 神龍誠

【DEEP122】共同取材から。神龍誠「大晦日はズールーと」&佐伯代表「パッと頭に浮かぶ選手がいない」

【写真】前夜のGFG04で勝利した神龍ワールドジムの石塚一の勝利に、「セコンドに就きたかったけど、計量だったので。今度、取材してやってください」と一族の長の顔を覗かせていた神龍だった(C)MMAPLANET

昨日4日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP122。メインでKENTAを激闘の末下した神龍誠の試合後の会見から、MMAPLANETの質問への返答を抜粋してお届けしたい(※要約)。
Text by Manabu Takashima

代表質問では固くなったという話をしていた神龍は、メディアの質疑応答のタイミングでコーナーよりファンタグレープを受け取ると、心底美味しそうに一飲みし質問を待った。


──ファンタグレープを美味しそうに、一飲みされました(笑)。いつも、試合後にはソーダ系ドリンクを飲むのですか。

「はい、減量で飲めなかったので祝勝会です(笑)。ファンタはグレープが一番好きですね」

──そんななか、話せる範囲で構いませんが試合前にインタビューをお願いした時に負傷があって計量の時までインタビューは控えたいということでした。

「体の調子……試合前に大風邪をひきました(笑)。危なかったですよ、水抜き直前に風邪をひいて。朝、寒すぎて。ヤバかったですね」

──熱も出た?

「僕、熱を測って、あると弱っちゃうんで。絶対にヤバいなと思いながら、インフルでないことを祈って全力で寝て治しました」

──体調は回復できたのですか。

「ある程度は戻したッスね。1日ズレていたら、水抜きがヤバかったです。だから本当に怖かったです。水抜きの日がインフルだったら……多分、ヤバかったです」

──今日の動きを見ていると、それまでの仕上がりは上々だったということでしょうか。

「そこまでの仕上がりは、特に大丈夫でした。直前に大風邪をひいたぐらいです」

──固くなったということでしたが、ピンチになった時こそ、本来の力が出しきれるような。そんな強さが感じられました。

「う~ん、出るんスかね。そこは分からないです。エへへへ」

──大晦日、今回の試合に合格になるのか。

「いやぁ、ハイ」

──そこは我々には分からないところなのですが、出場できたら誰かと戦いたいというのはありますか。

「強い外国人選手が入ってきているんで、そこらへんとやりたいですね。今でいうと、この前に新井丈選手に勝ったズールー選手とか空いていると思うんですよ。ズール選手とやりたいですね」

──17日のLANDMARKに来日するフライ級3人の外国人選手のなかで、気になるファイターはいますか。

「全員です。全員、気になります。同じ階級の……同じ戦場のファイターなんで。そこは皆、気になります」

■大晦日の神龍の試合に関して、佐伯繁代表は大会総括の囲み取材に以下のように話した(※要約)。
佐伯繁
「大晦日に出ることが難しい。ワンチャンあるかもしれないですが、事実上ないと思っているので12月の出場希望選手が多いです。ゼロではないですよ、だから神龍選手とケイト(ロータス)さんは今日戦った。ケイトさんに関しては合格として良いと思います。ただ神龍選手、ケイトさんにしても大晦日に誰と戦うのか──という問題ですよね。ケイトさんはDEEP JEWELSがあることでほぼ日本人選手とは戦っています。

今、2人ともパッと頭に浮かぶ選手が俺にはないです。例えば、この間──新井選手に勝ったズールーとか、名古屋に出る外国人選手も俺だったら神龍と大晦日に当てたくないですよ。もう1試合、2試合を戦ってあげてこないと。この大晦日に神龍選手、扇久保(博正)さんと戦って潰しちゃうかもしれないので。だから、もう1試合、2試合とやった後だと思います」

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【GFG04】青森から、全国へ。本州最北のMMA大会から、再確認──J-MMA界における地方独立大会の重要性

【写真】第3試合の勝者・中村友哉とGFGを主催する藤田氏(C)MMAPLANET

3日(日)、青森県五所川原市のプラザマリュウ五所川原でGlobal Fightingsports Gameの第4回大会が開催された。
Text by Manabu Takashima

年に一度の津軽、いや東北MMAの祭典は立ち見客が出るほどの盛況な会場内で、友人たちを応援する声が絶えず響き渡るアットホームなイベントだった。

同市の市議である藤田成保氏の尽力もあり、協賛企業数はパンフに掲載されているだけでも61社!! これぞ町興しMMAといえる協力者と集客といえる。

それでもMMAはMMA、メインで地元の佐々木郁矢が石塚将也に判定負けを喫したようにシビアな現実がある。

特に東北のMMAを支えてきた世代、左東伸哉、石塚丈人の完敗劇は考えさせられるモノがあった。GFGが持つ東北にMMAを根付かせ、盛り上げる基盤を築くというミッションを持つ限り、格闘技にとって第一に守るべき安全面も浸透させる必要がある。


ご当地ファイターとして欠かせないベテラン選手達が、体力のピークやピークに向かうファイターの相手を務めるマッチアップも、昨日の大会を見る限り考える時を迎えようとしていることは間違いない。若い選手も、ベテランも時が過ぎるのは平等だ。と同時に、このGFGならではという部分でベテラン、東北レジェンドや各地域の大ベテラン選手とのマッチアップはMMAでも、グラップリングでも特色となる可能性は十分にある。

そんななか1993年11月に修斗で初マットを踏んだ大石真丈が、平野唯翔を三角絞めで下した直後に、引退を明らかとした。パウンド解禁前、修斗がシューティングと呼ばれた時代を知る最後の1人が現役生活に別れを告げた。

修斗フェザー級(現バンタム級)のベルトを巻いた時点で、33歳。既にいぶし銀の異名を取っていた大石は、それから22年の間に国内ではZST、パンクラス、Cage Force、Grachan、HEAT、Grandslam、DEEP、GLADIATOR、NEXUSで戦い続け、海外もキャリアを通してハワイ、ブラジル、豪州、ロシア、韓国、リトアニアで足跡を残してきた。

そして、2024年11月3日に──K’z Factory時代のジム仲間も駆けつけるなか、3年半振りの勝利=31勝目を手に(※26敗9分)、GFGで現役生活に区切りをつけることとなった。

鉄人・大石が最後の戦いに挑んだGFG04では、多くのデビュー戦も組まれていた。安全面に話を戻すと、技量とそこは表裏一体だ。17歳でデビューを迎えた新岡理貴をはじめ、何人かの出場選手は明らかに寝技という面で技術力不足も見られた。同時に東北のMMAの普及に、若い力の台頭は欠かせない。そんな若い選手たちに試合機会を与えるために、ハードルを下げて試合を組むことは絶対的に否定しない。ばかりか、多いに賛同できる。

そのためにもGFGから他のイベントにステップアップを図る際に、この青森の地での戦績を首都圏や他の地域での戦績と同等としない交渉術も必要だ。事実、他の大会でなかなか勝ち星に恵まれていないファイターも、ここでは勝利を挙げることができている。日本という括りで考えると、彼らを起用する首都圏のプロモーターの理解も欠かせないだろう。

第2試合でデビュー戦の激闘で判定勝ちをした塩屋亮平、兄の優斗はPFCからNEXUSで既にキャリアを踏み始めている。「青森のMMAといえば塩屋兄弟」というメイクには、この日一番の歓声が挙がっていた。

オープニングファイト2試合目で勝利した村田在音、新岡に勝利した中村友哉第6試合で勝利した峰田悠生、メインで勝利した石塚将也という岩手や山形の近隣県の選手は、青森で戦うだけでも東京~名古屋間、それ以上の移動が必要となる。

地方在住の若い選手がキャリアを踏み始める。そして、若い選手以上に首都圏での試合のハードルが厳しくなるベテラン選手がキャリアを全うするためにGFGのような地域大会は欠かせない。

加えて石塚のようにNEXUSやパンクラスでキャリアを積む選手にとって、首都圏以外の試合機会は絶対的にポジティブな要素だ。

年に一度だからこその協賛金、集客という側面はあるだろうが、現地でGFGの盛り上がりを見て、このような地方の草の根大会の継続こそが、J-MMAの底上げに欠かせないと改めて感じられた。それゆえに「青森から、世界へ」ではなく「青森から、全国へ」というGFGが、予定する本州で二番目に北の街で開催が予定されている──八戸大会が実現と定期化を期待してやまない。

■GFG04試合結果

<フェザー級/5分2R>
石塚将也(日本)
Def.3-0:20-18.20-18.20-18
佐々木郁矢(日本)

<フェザー級/5分2R>
櫻庭泰裕(日本)
Def.3-0:20-18.19-18.19-19(must)
松藤冬馬(日本)

<バンタム級/5分2R>
大石真丈(日本)
Def.1R1分14秒by 三角絞め
平野唯翔(日本)

<バンタム級/5分2R>
吹田琢(日本)
Def.1R4分23秒by TKO
加藤慎一(日本)

<ウェルター級/5分2R>
石塚一(日本)
Def.1R2分19秒by TKO
佐東伸哉(日本)

<フライ級/5分2R>
萩原和飛(日本)
Def.1R0分39秒by TKO
西塚丈人(日本)

<フライ級/5分2R>
細川勇哉(日本)
Def.1R4分13秒by TKO
澤田良(日本)

<バンタム級/5分2R>
峰田悠生(日本)
Def.2R1分11秒by 腕十字
寺田隆(日本)

<フライ級/5分2R>
苫侑我(日本)
Def.
名久井悠成(日本)

<フェザー級/5分2R>
エスカル御殿(日本)
Def.2R2分22秒by TKO
武田光信(日本)

<ライト級/5分2R>
中村友哉(日本)
Def.3-0:20-18.20-18.20-18.20-18
新岡理貴(日本)

<フェザー級/5分2R>
塩谷亮(日本)
Def.2-1:20-18.20-18.19-19(must中川)
中川涼(日本)

<フライ級/5分2R>
吉田龍馬(日本)
Def.3-0:20-18.20-18.20-18
ベアー誠(日本)

<OPライト級/5分3R>
村田在音(日本)
Def.1R0分58秒by TKO
三浦康平(日本)

<OPフライ級/5分2R>
長谷川暢哉(日本)
Def.1R3分42秒by TKO
上井友斗(日本)

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【GFG04】計量終了 三々五々の本計量。最年長は大石真丈の55歳、最年少は新岡理貴の17歳

【写真】手作り感満載。空気感の良さが伝わってくる計量でした (C)MMAPLANET

明日3日(日)に青森県五所川原市のプラザマリュウ五所川原で開催されるGFG(Global Fightingsports Game)第4回大会。2日(土)には同地のT-Pleasureジムで計量が行われた。
Text by Manabu Takashima
 
新青森駅から車で40分、津軽半島中南部にある人口4万8000人の街で実施される本州最北端のMMAは地元・青森をはじめ、岩手、山形、宮城、秋田の東北5県と津軽海峡を挟んだ北海道、そして首都圏から30名の選手が集まり、全員が本計量で一発クリアしている。


最年長は大石真丈の55歳、最年少はルーマニアの血が流れる新岡理貴の17歳。+50は大石も含め3選手、+40は4名。第4試合のエスカル御殿×武田光信は54歳×47歳というマッチアップになっている。

対して10代は上に挙げた新岡。そして20代の選手は15人と半数を占めており、高齢化が進み生産年齢(15歳~64歳――失礼な区分けではあるが)の減少が目立つ東北地方にあって、GFGは同大会を主催する藤田成保氏の「人材育成」という命題がしっかりと通されている。

そんなGFGの計量だが――基本は車移動の土地柄もあり、計量は1時半スタートも三々五々に集まり解散するような形で進んだ。最後の選手が計量台に乗ったのは実に午後3時6分。96分間の本計量時間は、まるでUFCを思わせるようだ。

また、メイン出場の佐々木郁矢は対戦相手の石塚将也が計量会場に到着していなかったこともあり、自らがパスすると早々に撮影を済ませフェイスオフをすることもなく所属ジムをあとにしている。

さらには少しでもリカバリーと試合前最後の休息をとるために、対戦相手を待つことを切り上げ集合写真もその場にいた選手たちだけが収まることに。

ところでGFGでは上記した撮影を写真家・長尾迪氏の手によって執り行われている。これは地方大会などでは選手の携帯で自撮り写真が宣材になるのが当然になってきたなかで、老舗3団体に匹敵――もしくは凌駕する特別な体験といえるだろう。

まるで国内最高峰のRIZINファイターのように、長尾氏の言葉にハイプされ力の入ったポージングを披露したり、それでもシャイなままの出場選手たちの撮影時の表情を眺めていると、派手な演出ではなくとも小さな幸福感が伝わってくる――選手想いの試みに見えた。

■GFG04計量結果

<フェザー級/5分2R>
佐々木郁矢:65.95キロ
石塚将也:66.05キロ

<フェザー級/5分2R>
櫻庭泰裕:65.45キロ
松藤冬馬:65.86キロ

<バンタム級/5分2R>
大石真丈:61.25キロ
平野唯翔:61.35キロ

<バンタム級/5分2R>
吹田琢:61.2キロ
加藤慎一:59.7キロ

<ウェルター級/5分2R>
佐東伸哉:77.3キロ
石塚一:76.3キロ

<フライ級/5分2R>
西塚丈人:56.35キロ
萩原和飛:56.9キロ

<フライ級/5分2R>
澤田良:57.1キロ
細川勇哉:56.8キロ

<バンタム級/5分2R>
寺田隆:61.05キロ
峰田悠生:60.2キロ

<フライ級/5分2R>
名久井悠成:56.6キロ
苫侑我:57.15キロ

<フェザー級/5分2R>
エスカル御殿:65.6キロ
武田光信:65.35キロ

<ライト級/5分2R>
中村友哉:69.55キロ
新岡理貴:69.1キロ

<フェザー級/5分2R>
塩谷亮:66.25キロ
中川涼:65.3キロ

<OPライト級/5分3R>
三浦康平:69.9キロ
村田在音:70.5キロ

<OPフライ級/5分2R>
長谷川暢哉:56.95キロ
上井友斗:56.7キロ

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【GFG04】本州最北=青森県五所川原市のMMA大会=GFGを主催、藤田成保「今は種をまいている状態」

【写真】厭らしい話だが、胸に光るバッジはMMA大会開催の大きな武器になる(C)GFG

3日(日)、青森県五所川原市のプラザマリュウ五所川原で、Global Fightingsports Gameの第4回大会が開かれる。
Text by Manabu Takashima

五所川原市の市議でもある藤田成保氏が主催するGFGも、コロナの休止期間こそあったが、今回は昨年に続き2年連続での開催となり、試合数はほぼ倍増の15試合が組まれることとなった。

この試合数の増加に関して、藤田氏は出場基準のハードルを少し下げたと本音を話す。どうしても首都圏での試合機会が限られるなか、青森県下でGFGが定期的&継続開催されることが東北の地にMMAが根付くことに通じる。そんな熱い想いが、藤田氏から伝わってきた。


──4度目のGFGを控えた藤田成保さんです。改めてどのような気持ちでしょうか。

「無事に開催され、無事に終了することを望んでいるだけです(笑)」

──昨年の8試合から、オープニングファイトの2試合を加えると15試合のラインナップが揃っています。

「出場する選手がいないと大会は成り立たないです。今回、東北のジムの代表に、セミプロ級の選手にも試合をしてもらおうとお声がけをしました。そうしたら、予想以上に集まりました(笑)。正直、9試合か10試合と考えていたのですが、この試合数は地方都市の選手が試合に飢えている表れだと思います。修斗もパンクラスも、ライセンスが交付されてもなかなか首都圏では試合ができないので。

そういう東北の選手たちが、こぞって出てくることになった形です。正直、プロといってもハードルを下げた部分はあります。でも、そういう選手たちに試合機会を与えたい。目的は人材育成です。選手を育てないことには、継続開催はできない。自分が好きなったMMAを地元に根付かせることは無理になります。

今回のように実力的な部分で基準を少し下げることで、今後に繋がると考えています。今は種をまいている状態なので。いずれは自分がいなくても、開催していければと……」

──もう、それは当然というかむしろそうあるべきだと思います。何も全国一律でなくて良い。地下格は賛成の立場を取れないですが、アマMMAがない土壌でファイトの機会を求める人がいる。その受け皿になる部分もあると思うようにもなりました。

「現状プロの経験がある選手で出られる選手は、皆に出て欲しいという考えです。デビュー戦の選手も、ジムの代表が試合をさせて恥ずかしくないと判断した選手たちです。そして今大会にも地下格出身の選手が2人ほどいます。でも、真面目に練習して、修斗のプロライセンスを取った選手も含まれているんです。

普段は自分のところもそうですし、しっかりと練習をしている選手です。そこは地下格と関係しているジムの代表とも連携を取っています。彼らも弱くない。強いです。一緒に練習していて、どれだけ一生懸命にやっているかも知っています。何より、本当に東北の選手は試合機会を求めているんです。そういう選手には、試合の機会を与えたいです」

──押忍。藤田さんの熱い気持ちが伝わってくる言葉です。

「と同時に実は水面下で私の地元である五所川原だけでなく、八戸でも開催しようと動いています。来年の春、4月か5月に八戸でやりたいと思っています。八戸は人口30万人以上で、五所川原の5倍ほどの人が住んでいます。またパラエストラ八戸のスポンサーで、ホテル経営をされている方がいまして、そのホテルの結婚式場を使わせてもらえそうなんです」

──おお、そこまで現実的な話なのですね。

「ハイ、協賛金の関係などもありまして、五所川原で年に2度というのはどうしても難しいモノがあります。でも、五所川原と八戸と青森県下で2大会が開催できれば、東北の選手に試合機会を少しでも確保できることになるので頑張ります。

五所川原は小さな街ですが、ずっと会場を貸して下さるプラザマリュウ五所川原の御理解などを考えると、徐々に根付いてきたのかとなという想いはしています」

──押忍。本州最北のMMA、期待しています。

■GFG04対戦カード

<フェザー級/5分2R>
佐々木郁矢(日本)
石塚将也(日本)

<フェザー級/5分2R>
櫻庭泰裕(日本)
松藤冬馬(日本)

<バンタム級/5分2R>
大石真丈(日本)
平野唯翔(日本)

<バンタム級/5分2R>
吹田琢(日本)
加藤慎一(日本)

<ウェルター級/5分2R>
佐東伸哉(日本)
石塚一(日本)

<フライ級/5分2R>
西塚丈人(日本)
萩原和飛(日本)

<フライ級/5分2R>
澤田良(日本)
細川勇哉(日本)

<バンタム級/5分2R>
寺田隆(日本)
峰田悠生(日本)

<フライ級/5分2R>
名久井悠成(日本)
苫侑我(日本)

<フェザー級/5分2R>
エスカル御殿(日本)
武田光信(日本)

<ライト級/5分2R>
中村友哉(日本)
新岡理貴(日本)

<フェザー級/5分2R>
塩谷亮(日本)
中川涼(日本)

<フライ級/5分2R>
ベアー誠(日本)
吉田龍馬(日本)

<OPライト級/5分3R>
三浦康平(日本)
村田在音(日本)

<OPフライ級/5分2R>
長谷川暢哉(日本)
上井友斗(日本)

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【NEXUS33】青森から。唐沢タツヤとバンタム級挑戦者決定戦、小蒼卓也「自分はコレしかできないんで」

【写真】言葉でなく、佇まいから伝わってくるものがあった (C)MMAPLANET

10日(日)に東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるNEXUS33。メインでNEXUSフライ級王座決定戦=荻窪祐輔✖豪瑠が組まれた同大会のコメインで小蒼卓也が、唐沢タツヤとNEXUSバンタム級王座挑戦権を賭けて戦う。
Text by Manabu Takashima

青森に自らのジム=スカーフィストを持つ小蒼だが、そのMMAの常設ジムの数が県下で片手の指の数で足りてしまうという。120万の県民数に対して、この数はMMAの浸透度の低さを如実に表しているといえるだろう。

対戦相手だけでなく、そのような現実とも戦い続けてきた小蒼は「青森でもやれるんだ」というモチベーションを次世代のファイター達が抱き続けられるために──戦う。


――初めて青森を訪れさせてもらったのですが、まるで格闘技事情を把握しておらず申し訳ありません。小蒼選手が青森にスカーフィストジムを開いたのは、いつ頃なのでしょうか。

「7年ぐらい前ですかね。その前は公共のスポーツ会館のレスリング場を週に3度借りて練習していました」

──公共の施設にレスリング場があるのですね。そもそもMMAを始めたのは?

「23、24歳の時に友達から、『こんなのがあるよ』って総合格闘技のビデオを見せられたんですよ。それが五味隆典さんと佐藤ルミナさんの修斗の試合(2000年12月)で。その試合で勝った五味さんに憧れて次の年に、この人はどこにいるんだって調べ五木田勝さんが代表の木口ワークアウトスタジオに入会しました」

──つまり青森を出て?

「ハイ。仕事と住むところを探して、アッチに行きました」

──もの凄い決断力と行動力ですね。

「でも2年ぐらいですから。本当はもっといるつもりだったのですが、青森に帰省した時に交通事故を起こしてしまって。あの時、同乗していた当時の彼女が青森の人だったので、そのまま青森に留まることになったんです。アレがなかったから、ずっと向うにいたかもしれないです。木口ワークアウトスタジオにはそれだけの短期間しか在籍していなかったので、試合は柔術に出たぐらいでした」

──戻った時、青森でMMAを続ける土壌というのは?

「無かったですね。先輩がスポーツ会館でサークルみたいに遊びでやっていて、そこに自分も遊びに行っていました。当時は俺もプロになるつもりとか全然なかったので。でも途中で、プロになりたいなって思い始めて。当時はMMAをちゃんと知っている人はいなくて。ボクシングや柔道、レスリングをやっている人達と考えながら練習をしていました。

その頃、アマ修斗が八戸で行われていて。パラエストラ八戸の西塚(丈人※11月19日のGFGに52歳で出場、半澤拓也に87秒アームロックで一本勝ち)さんがやっていたのですが、それこそ藤田(成保T-Pleasure代表、GFG主宰)さんとか皆が出ていて」

──そこからプロになったわけですね。いやぁ、歴史が感じられます。

「今も青森県のMMAの常設ジムはうちと五所川原の藤田さんのところ、西塚さん。それと野辺地で魚住(良太)さんがやっているメビウス・スポーツアカデミーの4つぐらいで。あとはサークルが少しありますけど、MMAはまだまだ知名度は低いです」

東北におけるプロ修斗は仙台で行われていたが、震災後は2013年から2016年にかけて青森に移り、弘前、五所川原で公式戦が組まれていた。現在はプロ修斗公式戦ではなく、GFGが五所川原で開催されている。

──ネットで世界中のMMAが視聴できても……。

「今もK-1ですか?って言う人がたまにいますしね(苦笑)。それとプロレスとも……」

──まだ、それを言われてしまいますか……。格闘技とはいえないのですが、Breakingdownの影響でジムに来るような若い世代は?

「何人かいましたけど、そういう子は続かないです。YouTubeで華やかな場面しか見ていなくて。本当に強くなろうと思えば、コツコツと地道な作業が必要なので。そこで嫌になってしまうんでしょうね(笑)」

──それは首都圏も地方都市も共通かもしれないですね(笑)。地方のMMAを考えると、藤田さんが頑張ってくれていても、北陸と東北がエアポケットのような状況かと。同時に地方のジムの所属選手は、試合機会がどうしても限られている。こちらの選手はどのように実戦の機会を得ようとしているのでしょうか。

「年に1回アマ修斗があって、盛岡でも行われています。盛岡は2時間ちょっとで遠くないので」

──……。

「それって僕らからすると遠くない距離なんです(笑)。あと岩手だとブレイブの細川(英司・東北格闘技連合会=グラップリング、MMA、キックの試合を主宰)さんも定期的に大会を開いてくれていますしね。ウチでもブレイブに出たいという子は多いです。

それにプロも今は以前と違い、色々なプロモーションがあるので修斗以外にもウチの選手は出ています。北海道のPFCと繋がっていて、最近は北海道での試合が多いですね」

──格闘技のジムはフィットネスか、選手志向という2つの目的を持った人達がやってくる場所ですが、スカーフィストはどちら系のジムになりますか。

「ウチは選手志向で、フィットネスは少なくて。結果、会員が少ないジムです(笑)。プロは俺と、同い年の大里洋志(GFGのメインで大高幸平にスプリット判定勝ち)、1つ下の黒石大資(11月19日PFC30で、平井聡一郎を破りPFCフライ級王座を獲得)、12月10日のNEXUSでデビュー戦を戦う塩谷優斗、それと吹田琢ですね。デビュー戦の子以外は、平均年齢は高めです」

──首都圏ではNEXUSの出場機会が多い?

「PFC経由でNEXUSということが多いです。PFCでトーナメントがあって、勝つとNEXUSでプロの試合ができるという流れもあるので」

──小蒼選手自身は7月の後楽園大会で、渡部修斗選手の引退試合の相手を務めPFCバンタム級のベルトを取られてしまいました。引退ストーリーに華を添えるような形になり、納得できていない部分もあるかと。

「まぁ、そうッスね。でも何を言っても言い訳になるんで。負けは負けになります」

(隣で話を聞いていた)藤田成保 自分たちがアマチュア修斗を戦っていた頃に、若林太郎さんから「判定になった時点で、何も文句を言うな」と教わってきました。

「そうっスね。それはずっと残っています。判定に文句を言うぐらいなら一本、KOで勝たないといけない」

──そして本部席の前を絶対に横切ってはならない。これこそ太郎さんイズムです。

「ホント、それです」

藤田 でも、やり始めた時に言ってもらえたことって残っています。だから判定になったら、文句は言えない。

「彼の引退試合ですし、判定になったら分が悪いのは分かっていたことですしね」

──判定云々でなく、完全に良き思い出創りの駒にされた。格闘技は思い通りにいかないんだというストーリーを見たかった気持ちは、個人的にありました。記者がこんなことを言ってはいけないのですが……(笑)。

「でも、あの試合は修斗君本人が一番分かっていると思いますよ」

──そんな敗北を経て、次戦の時点では41歳になっている小蒼選手。次は挑戦者決定戦となりました。

「そんなに長くはできないと思っているので、ここでこの機会を貰えたことは有りがたいです。俺がベルトを取ることで、こっちの選手たちも青森にいてもやっていけるんだというモチベーションになると思うんです。NEXUSのベルトを取ったら、次の道も見えてくるし。まぁアンダードッグとして呼ばれることは、慣れっこですしね」

──今もDEEP、パンクラス、修斗を上3つという見方をする現状は残っていますが、そこへの拘りというものは?

「修斗がないと、やっていなかった。修斗には感謝しています。でも、今はもうそういう拘りはないです。それよりも青森で戦いたい。今回はタイミングが合わなかったのですが、GFGで戦いたいです」

──小蒼選手の想いが、青森におけるMMAの普及に通じることを願っています。

「ハイ。自分はコレしかできないんで。本当にコレしかのめり込んだモノがないんですよ」

──では挑戦者決定戦に向けて、意気込みの方をお願いします。

「とにかく今回の試合に勝って河村(泰博)選手に挑戦し、青森にベルトを持って帰りたいと思います」

■NEXUS33メインカード対戦カード

<NEXUSフライ級王座決定戦/5分3R>
荻窪祐輔(米国)
豪瑠(日本)

<NEXUSバンタム級挑戦者決定戦/5分2R>
唐沢タツヤ(日本)
小蒼卓也(日本)

<バンタム級/5分2R>
神部篤哉(日本)
塩谷優斗(日本)

<ライトヘビー級/5分2R>
マシン(日本)
田馬場貴裕(日本)

<バンタム級/5分2R>
ジェイク・ムラタ(日本)
イ・ヘウォン(韓国)

<フライ級/5分2R>
曾我英将(日本)
鶴屋健人(日本)

<無差別級/5分2R>
Guts(日本)
山本拓海(日本)

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【Fight&Life & Bloom FC01】19日は地方の日!! で上田祐起と対戦、原田惟紘「福岡は持ってこいですよ」

【写真】昨日行われた計量を61.6キロでパスしている原田。下にある取材時(※9月13日)の様子と比較しても、どれだけ過酷な減量しているのかが理解できる(C)BLOOM FC

本日19日(日)は地方の日!! 札幌でPFC31、青森県五所川原でGFGが4年振りに開催され、福岡ではBLOOM FC旗揚げ戦が開かれる。

ここでは現在発売中のFight&Life#99で11月19日(日)に福岡市中央区の西鉄ホールで旗揚げ戦が開催されるBloom FCに関連し、地方都市の独立プロモーションの有りかたに関してのレポートが掲載されているが、誌面上ではその一部しか掲載できなかった原田惟紘のインタビューをお届けしたい。

同大会の第2部コメインで上田祐起と対戦する原田。北九州は黒崎に自らのジム=G-Freeを構える彼のBloom FCに対する期待と自らの戦いへの意気込みをお伝えしたい


――2019年6月、闘裸男が初めて九州でケージMMAを開催した際にG-Freeを訪れさせていただき、原田選手がジムも落ち着いたら実戦に戻るという話をされていましたが、その後コロナが起こり実に5年振りの試合となります。

「そうですね。パンクラスにずっと出させていただいていて、それからも出させてほしいとお願いはしていました。でもコロナになり、やはり関東在住の選手が中心となることは理解できていましたが、自分のなかでもう一度戦いたいという気持ちがあったので、指導をしながらでも、自分の練習にも力を入れてきました。なので今回、試合の機会をいただいたのでしっかりと戦いたいと思います。

10何年振りなんですよ、福岡で試合をするのは。修斗やマイナーだった時のGladiator福岡大会でデビューしたばかりの頃に何回が試合をさせてもらって。10何年振りの地元での試合ということで、生徒たちもライブで試合が見られると本当に期待してくれているので、自分の戦う姿を見せて刺激を与えたいと思います」

――MMA界も通常運転となった2022年、そして今年と試合の機会がなかったことはどのように思われていますか。パンクラスで試合ができないのであれば、闘裸男の福岡大会で試合がしたいというような気持ちはなかったですか。

「ありましたよ、ありました。ありました。正直、今年中にパンクラスに呼んでいただけなければ他団体でという気持ちはありました。だから今回、Bloom FCからパンクラスで戦っている選手との試合の話をいただいたので、『よろしくお願いします』と言いました」

――正直、4年前に福岡のジムを回らせてもらった時に、東京で試合をする場合はそれぞれのプロモーション間の行き来は難しいとしても、試合経験をつむために福岡では好きに試合ができないモノかと素直に思っていました。そういう状況で修斗でもパンクラス、DEEPでもないBloom FCが発足したことをどのように感じていますか。

「自分だけでなく、福岡で育った選手にとってもチャンスですし、そういう機会を創っていただいたことも道場主としても感謝しています。わざわざ東京に行かなくても、福岡で戦ってちゃんと実力を見せれば海外へ行ける環境が整えば、選手としてもそうだし道場主としても本当にありがたい話なので、盛り上がって欲しいです。だからこそ、そこで役立てれば良いかなと思っています。

やっぱりこれまで自分や今回、一緒に出る上田(将年)選手も福岡でアマチュアとして戦い、東京の団体でプロという資格をいただいて――福岡で何戦か経験し、良い試合をしてチョット東京に呼んでもらう。東京で実力を見せないと、話がもらえないという状況でした。それが福岡で力を見せれば直で海外への切符がもらえるという話になれば、選手としては嬉しいですからね」

――旗揚げ戦では国際戦も組まれました。

「今はリニューアルしたGLADIATORですが、前の態勢の時の福岡大会なんて韓国からとんでもない選手が来ていました。僕自身、キャリア2年目とかでクォン・アソル選手と戦っていますし。戦極とかに出ていた選手がポーンと呼ばれて福岡で試合をすることあったので、韓国勢の強い選手を呼ぶのであれば福岡は持ってこいですよね。

そういう風にBloom FCが盛り上がれば、逆に東京の選手に『こっちに来いよ』、『良い選手がいるから』と福岡に来て戦ってもらうようになってほしいです。東京の選手のほとんどが、計量の日に水抜きしながら飛行機に乗って、隣の席でお茶を飲むおばちゃんに殺意を抱いたことなんてないと思うんです(笑)。何の罪もないのですが、隣でアイスクリームを食べられると本当に殺意が芽生えてくるんです(笑)」

――あはははは。

「東京で育った選手は、そんな経験はないと思うんです。水を抜いた状態で飛行機に乗って、気圧の変化とかメチャクチャきついんですよ。そういうことを経験するのも、東京の選手にとって良いことなんじゃないですかね」

――そんな希望が持てる福岡産MMA大会が始まるわけですが、コロナを経て福岡のMMAの普及はどのような状況でしょうか。

「4年前と比べると、MMAの競技人口は弱冠増えているかと思います。うちのジムでもクラスに参加する人数が増えています。うちのジムもオープン1年でコロナになり、3年間ずっと足踏み状態が続きました。職場からジムに行かないで欲しいということで休会や退会される方もいました。それが今年になってコロナが5類認定となったので、自分としてはオープン2年目のつもりでいます。5類にかわってから参加人数も、どんどん増えきているのでこれからですね」

――この間は現役ファイターよりも、選手育成の方に気持ちも入っていましたか。

「そうですね。試合に出られるような生徒が育ってくると、同じ階級に自分がいるのは邪魔かなとか思うこともありました。でも戦う姿を見せることが、指導という面でも一番良いかなと考えるようになったんです。自分もあと何試合できるか分からないですし、最後の姿を今頑張っている子たちに見せて燃え尽きたいとうい気持ちです。なので、しっかりとやっていきたいです。

練習もジム生のなかで一番やっていると思います(笑)。生徒たちと比較して、誰よりもやっています。そのなかで実際に試合が決まると、気持ちも上がりますし。ただ練習量をこれ以上増やすと、体が壊れると思います。もともと練習量は多いので、試合までこれまで通り練習して気持ちを創っていきます」

――では今回戦う上田選手の印象を教えてください。

「どこかに偏っている選手でなく打撃も寝技もできる。極めて勝ってもいますし、自分の得意分野と合致するので面白い試合になると思います。打撃に関してもそうだし、寝技になったら寝技になっても取りに行くような――アグレッシブな回転のある試合になるんじゃないかと期待しています」

■視聴方法(予定)
11月19日(日)
第1部:午後12時15分~THE 1 YouTubeチャンネル
第1部:午後4時15分~ THE 1 YouTubeチャンネル

■ Bloom FC01対戦カード

■第2部

<バンタム級/5分2R>
河野慶樹(日本)
荒木雄登(日本)

<バンタム級/5分2R>※
NAO(日本)
後藤優弥(日本)

<フェザー級/5分2R>
出田貴大(日本)
RAGO(日本)

<フライ級/5分3R>
上田将年(日本)
ツェルマー・オトゴンバヤル(モンゴル)

<バンタム級/5分3R>
原田惟紘(日本)
上田祐起(日本)

<フェザー級/5分2R>
盛坪チャッピー大樹(日本)
柿原”RR”昇汰(日本)

<フライ級/5分2R>
柴山鷹成(日本)
真生(日本)

<フライ級/5分2R>
平賢二郎(日本)
陸虎(日本)

■第1部

<フェザー級/5分2R>※
林大輝(日本)
森本健介(日本)

<ライト級/5分2R>
平川杏平(日本)
髙橋惺哉(日本)

<63キロ契約/5分3R>
持田哲兵(日本)
パク・サンヒョン(韓国)

<ライト級/5分2R>
深見弦汰(日本)
清水洸志(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級/5分2R>
野瀬翔平(日本)
米倉大貴(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング無差級/5分2R>
中村勇太(日本)
小次郎(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級/5分2R>
スターリング・ベアー・ミーチャム(米国)
ムクロック(日本)

<フライ級/5分2R>
koki(日本)
下田洋介(日本)

<フライ級/5分2R>
堺龍平(日本)
田上健太(日本)

<フライ級/5分2R>※
林大輝(日本)
森本健介(日本)

※はヒジ無し

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【GFG】19日は地方の日!! 本州最北のMMA=GFGを4年振りに開催、藤田成保「年に2回を目標に!!」

【写真】もうお孫さんもいるが、現役続行宣言の藤田氏=51歳。MMAと地元愛が滲み出ている(C)MMAPLANET

19日(日)は地方の日!! 札幌でPFC31、青森県五所川原でGFGが4年振りに開催され、福岡ではBLOOM FC旗揚げ戦が開かれる。ここでは青森県五所川原市のプラザマリュウ五所川原で行われるGlobal Fightingsports Game=GFGを率いる藤田成保氏のインタビューをお届けしたい。
text by Manabu Takashima

本州最北のMMA大会。コロナを挟み、4年振りの活動再開に際しに藤田氏のMMAと地域振興への想いの強さを訊いた。


佐々木孝昌五所川原市長と(C)NARIYASU FUJITA

──4年4カ月振りのGFGですが、藤田さんはこの間に五所川原市の市議選挙に出馬し見事に当選を果てしました。もう先生と呼ばないといけないですね(笑)。

「いえいえいえ、勘弁してください。4年間、コロナももちろんありましたが自分自身が時間が創れなかったことも大きいです。父親の体調のこともあり、家業を自分が全面的にこなさないといけなくなりまして。それまでは1日に6時間ほど働いて、ジム(T-Pleasure)へ行っていたのですが、今は本業が終わる時間が夜の11時過ぎで。道場の方は皆に使ってもらっている形です」

──加えて議員の仕事もあるわけですね。

「ハイ。議会は午前10時から午後4時までで、議員の仕事は大体6時までに終わり、そこから会合なんかもありますが、議員の仕事を終えてから家の仕事をやっている感じで──正直いっぱいいっぱいです(苦笑)」

──そのなかでGFGを再開したのは?

「コロナ騒動も収束し、首都圏の選手からもGFGは再開しないのですかと問い合わせもあって。首都圏の関係者の人から再開を望む声があったことは、凄く嬉しかったです。そういう声に応えたいですし、今回はプレ大会でケージでなくリングでの開催となりました。GFGはアマ修斗の全日本、パンクラスゲートに出た選手にも出てもらう。それが自分の基準なんです。パンクラス、修斗でプロになっていなくてもセミプロで戦っている選手たちに試合機会を与える。

以前、修斗の興行をやっている時にプロライセンスを持つ自分、小蒼(卓也)君、大里(洋志)、梶川(卓)、佐々木郁也の5人、誰か1人が欠けると大会が成り立たなくなりました。だから、大会に出られるハードルを少し下げているんです」

──各地域での調整は当然だと思います。MMAの場合は首都圏と同じ条件が、全国共通とはならないですし。

「なのでセミプロ的な選手もGFGでは試合に出てもらっています。とにかく首都圏で戦うと我々はアウェイです。地元では地元の応援団が少なからずいてくれます。そういう応援の声があると、力は3倍になります。自分も試合をしていて、応援団の声があると気持ちが切れないです。

小蒼君と渡部修斗選手の試合、青森で組まれていれば小倉君は倍の力が出ていました。アウェイとホームの差はあると思うので、青森の選手にホームで戦って欲しいです。加えて東北という見方をしても今回、盛岡のDIARIOに声を掛けたら3選手が出場してくれます。やっぱり皆、試合をすることに飢えています。どうしても首都圏の大会のオファーを待っている状態ですしね」

──現状、北海道との交流も見られますが、そこは津軽海峡を挟んでライバル意識は存在しているのでしょうか。

「あんまり考えたことないですね(笑)。自分らは北海道からオファーがあれば、それが有難いことなので。今回はPFCと同日開催になりましたが、こういう選手がいるんだよということが分かってもらえれば、色々なプロモーションからも声を掛けてもらうこともあると思うんです。1回目、2回目に出てくれた選手が今は他の地方に住むようになって。それでも『出たい』と言ってくれます。そういう選手が出られる舞台になるように、自分も頑張らないといけないなって思います」

──いやらしい話ですが、議員になられてGFGが開きやすくなった部分はありますか。

「会場が借りやすくなりました(笑)。あと……これは嫌らしい話ですが、協賛金も集まりやすくなったような気はします」

──いやファイターも、住む自治体の観光大使になんとかなって協賛金を集めるべきだと、自分は思っています。特に地方の選手は「何もない」でなく、自分の街の良いところをアピールしてほしいです。

「先週も大里選手と一緒に新聞社を訪れて、記事にしてもらうと問い合わせも増えました。自治体からの援助というわけではないですが、個人事業主として良い兆しはあります。だから……なんですけど、何とか来年は年2回の開催を目指しています。次回大会は6月か7月。最低でも年に2回やらないと、年に1回だとただのイベントで終わってしまって、選手も継続して出たいと思わなくなります。

本当は3回、4回とやりたいのですが、地方の現実がありますし。年に2回を目標に進めて行こうかと思います。年に複数あると、1度負けても次に頑張ろうってなると思うんです。GFGで経験を積んで、首都圏の大会の目に引っ掛かりやすくなって欲しいです。

実は協賛金を集める際にも『青森から世界というコンセプトの下に、人材育成と地域振興を目指す大会』という旨の説明書きを創らせてもらっているんです。工藤諒司選手、八戸に戻ってきたと伺っています。まだまだ引退なんて早い。ほどほどに練習をしても、これまでの貯金があるはずです。世界レベルの選手ですし、まずは一度会場に来て欲しいですね」

──MMA発展のために議員の道を進んだような言葉です(笑)。

「もちろん、そのためだけではないです。ただし、自分の周りも含めて幸せになってほしい。それが地域の生活を良くしていきたいということに通じます。そのために自分ができることがあれば、力を尽くしたいと思っています」

──あのう……こういうと失礼なのですが、GFGが始まるまで五所川原という街の存在を知らなかったです。だから、五所川原の特産物も盛んなスポーツも何も知らなかったです。

「それは層だと思います。だからこそ、MMAで五所川原を知ってもらうことにも通じています」

──本州最北のMMA大会!!

「ハイ、そういうことになるかもしれないです。五所川原のスポーツ……トランポリンやMMAを盛り上げたいです。2026年には青森国体がありますし。色々な理解を深めたいです。そのためにも自分ができることをやっていきたいです」

──MMAに訪れつつある地方の時代。GFGのこれからに期待させていただきます。

「ありがとうございます。GFGのベルトを創って、『どんどん他に挑戦しろ』という姿勢でやっていきたいと思っています。いろんなところで戦って、経験を積んで欲しい。それと自分も現役引退はしていないので、あと2回ぐらいはやろうかと。大胸筋は切れたままですけど、大丈夫です(笑)」

──いや、決して大丈夫とは言えないのですが……。

「練習はできていないのですが、時間ができれば体を創りなおして──。やはり先ほど言いました小蒼君、大里、梶川君、佐々木君と5人でもう一度同じ興行に出たいです。今回は4年振りということでプレ大会ですけど、これからに向けて色々なテストケースとしようと思っています。配信とかあるわけじゃないので、お客さんがチケットを買ってくれて成り立つ昔ながらの大会ですが、1人でも多くの人に見て欲しいです。そして、次回は7月。年に2回の開催を目指し頑張っていきたいです」

■ GFG対戦カード

<バンタム級/5分2R>
大里洋志(日本)
大高幸平(日本)

<フェザー級/5分2R>
櫻庭泰裕(日本)
中村雄一(日本)

<バンタム級/5分2R>
大石真丈(日本)
山下裕恭(日本)

<54キロ契約/5分2R>
横田毅(日本)
楠美貴嗣(日本)

<フライ級/5分2R>
西塚丈人(日本)
半澤拓也(日本)

<ウェルター級/5分2R>
佐東伸哉(日本)
エスカル御殿(日本)

<フェザー級/5分2R>
石塚将也(日本)
石塚一(日本)

<フライ級/5分2R>
澤田良(日本)
名久井悠成(日本)

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