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RIZIN.49:オッズ/予想と展望

大雅 1.38
梅野源治 3.00

オープニングファイト(RIZIN甲子園決勝)の後の第1試合がキックボクサー同士のMMAデビュー戦。両者とも、MMA転向に向けて準備はしてきたというが…。梅野のムエタイスタイルをMMAに適用させたとしても、同じキックボクサー相手にはあまり有効にならないのではと思う。

両者未知数すぎるので予想は無理だし、この試合でもしどちらかがいい内容を見せても、次戦以降MMAファイターとやる時の参考にはならない気がする。

貴賢神 2.70
エドポロキング 1.48

3月に本来ミドル級のキャリア1勝0敗の相手にKO勝ちでMMA初勝利を上げた貴賢神。逆転負けした昨年の名古屋大会での荒東戦では打撃の技術も上がっていて成長は見えた。

エドポロキングは実質MMAプロデビュー戦でこれも未知数。貴賢神の四つからのテイクダウンにどれだけ対処できるのか。

このマッチメイクはエドポロキングを勝たせる意向だと思うのでエドポロキングKO勝ち。

武田光司 1.42
新居すぐる 2.90

武田はフェザーに落としてから萩原を塩漬けにしての判定勝ちと、シェイドゥラエフに得意の組みで完全に上を行かれての1R一本負け。階級を落として相手のパワーはライトよりは下かもしれないが、武田自身のパフォーマンスも落ちているように見える。

が、相手が新居なら、キムラにだけ注意すれば問題はないか。

武田判定勝ち。

矢地祐介 1.42
桜庭大世 2.90

サクJr.は若いと言っても26歳で鈴木千裕より年上。練習仲間からの評判も、そこまで強いという話は聞かないというレベルのよう。負けてもともとで、ちょっとでも健闘すれば「デビュー戦なのにすごい」と言わせるためのマッチメイク。組みでも矢地が上だと思うので、何か起こすならむしろ打撃か。

矢地一本勝ち。

神龍-
ホセ・トーレス -

この試合はオッズなし(見つけ次第追加予定)。

UFCトーレスだが、本来ストロー級のジャレッド・ブルックスには組みで劣勢な展開から、ブルックスが水車落としをかけた際に頭を打って自爆しての勝利。2戦目のアレックス・ペレスには1RKO負けで、当時(2018年)はランカーレベルとは差があった。その後はBRAVE CFのフライ級トーナメントは体重が落とせず途中棄権。バンタムでは王者となったが、直近では王座から陥落し、ダイレクトリマッチでも敗れて連敗中。

今回はブルックスに合わせた59kg契約。そのパワー差の部分だけ不安がある。

神龍判定勝ち。

上田幹雄 3.00
キム・テイン 1.38

ともにキャリア5戦で、前戦で敗れて3勝2敗の上田に対し、テインは全試合KO勝ちの5連勝。しかし前戦のコバルチェクのように寝技が強い相手ではなさそうなので、上田には相性がいい相手か。

上田KO勝ち。

福田龍彌 1.25
芦澤竜誠 4.00

芦澤は昨年大晦日MMAデビュー戦は太田相手にあまりにも差がありすぎたが、参考にならない今年の2連勝を経て、MMAでの現在地を測る一戦。普通に考えたら1年でDEEP王者の福田というのも無茶なマッチメイクのはず。

イージーファイトで福田KO勝ちと予想。

YA-MAN 3.80
カルシャガ・ダウトベック 1.19

これもキック選手の飛び級マッチ。ダウトベックが打撃主体で、その打撃でYA-MANが上を行けるなら勝機はあるのかもしれないが、これも普通に考えたら大きな差がある試合。

ダウトベックKO勝ち。

久保優太 13.00
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ 1.04

この試合もキック選手が格上と戦う試合だが、久保の場合は芦澤やYA-MANよりもMMAでの実績を上げた上での挑戦。しかしながらオッズでは芦澤・YA-MANを下回る一番の大差でのアンダードッグ。当然タックルへの対策はしてきていると思うが、一度もテイクダウンされないで戦えるとも思えないので、寝技を凌いでスタンドに戻せるかどうか。シェイドゥラエフには一度目のテイクダウンであっさりフィニッシュされそう。

シェイドゥラエフ一本勝ち。

元谷友貴 2.00
秋元強真 1.77

9月にデビューしたばかり、先月はフェザー級で鈴木博昭に判定勝ちした18歳の秋元が3戦目で挑戦者決定戦に抜擢。発売中のFight&LIFEの記事によると、秋元はJTTで一番寝技が強いとのことだが、秋元がすごいと言っていいのかどうか迷う情報。18歳の秋元に誰もグラウンドで勝てないというのはどうなのか。いくら強いと言っても元谷より上とは思えない。打撃なら元谷の打たれ弱さもあって秋元になりそうだが。

元谷判定勝ち。

伊澤星花 1.03
ルシア・アプデルガリ17.00

RENA欠場で巌流島でぱんちゃん璃奈に勝っているアプデルガリムが代役だが、MMA2勝3敗ではケイト・ロータス以下だし、さすがに伊澤には盛り上げようもない相手。

伊澤一本勝ち。

ホベルト・サトシ・ソウザ 1.83
ヴガール・ケラモフ 1.91

予想外にオッズが肉薄。パワーのあるケラモフならサトシの下からの極めも凌げそうだが、ケラモフからタックルに行けないようだと、打撃でもサトシが押す展開になり、結局はパンチか組みに捕まってサトシペースになりそう。逆にケラモフがスタンドでテイクダウンを狙っていく展開にできるなら勝機はある。

サトシ一本勝ち。

堀口恭司 1.11
エンカジムーロ・ズールー 7.00

タイトルマッチだがこのオッズ差。堀口は勝っても苦戦するようだと評価を下げかねない、何もメリットがない試合。大舞台でのタイトルマッチだし、モチベーションが低いこともないはず。

堀口KO勝ち。

鈴木千裕 2.25
クレベル・コイケ 1.65

前回の対戦でクレベルに秒殺(体重オーバーでノーコンテスト)されて以降、パトリシオ・ケラモフ・金原と3試合連続でKO勝ちしている鈴木だが、その後は五味とのやる意味も良くわからないボクシングエキシで内容も良くない上に拳を負傷して超RIZIN.3でのパッキャオ戦も欠場と、MMA以外の試合で運気を下げている。前回やられていて苦手意識が生じていないか。クレベル戦以降、テイクダウンされて凌いで立つという展開がなく勝負が終わっていて、クレベルからテイクダウンされても逃れることができるイメージを持てているのか不明。

クレベルは金原には負けたが斎藤とアーチュレッタには完勝。金原のようにクレベルの寝技を恐れる必要がなくテイクダウンに来る選手が相手だと今でも苦戦しそうではあるが、鈴木相手にはさすがにその不安はないか。

クレベル一本勝ち。

第1部は13時開始。MMAの試合のみ速報します。

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45 Fight&Life MMA MMAPLANET o Special UFC UFC303   アレックス・ポアタン イリー・プロハースカ キック ジョン・ジョーンズ 大沢ケンジ 柏木信吾 水垣偉弥

【Special】月刊、良太郎のこの一番:特別編 ペレイラ×プロハースカ「武器を厳選して殺傷能力を上げる」

【写真】二度目のプロハースカはペレイラの格闘IQの高さが詰まったKO劇だった(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客にMMAPLANET執筆陣がインタビューをしてきた「月刊、この一番」シリーズ。そこに新たに初代KNOCK OUT-BLACKウェルター級王者にして、立ち技・MMA問わず多くの選手を指導する良太郎も参加。MMAの主要選手はすべてチェックしているという打撃の専門家の目線でMMAを語ってもらう。

今回は良太郎が選んだ2024年7月の一番として、試合をセレクトしてもらう予定だったが、さっそく良太郎のこだわりがさく裂。どうしてもこの試合を語らせて欲しいということで──6月29日に行われたUFC303のアレックス・ポアタン・ぺレイラ×イリー・プロハースカについて語ろう。


――さて今回から「月刊、この一番」に良太郎選手にも参加していただくことになりました。当初、7月の大会から試合を選んでもらう予定だったのですが、良太郎選手の強い希望で6.29「UFC303」のアレックス・ペレイラとイリー・プロハースカの試合をセレクトしてもらいました。

「この話をいただいて、ペレイラとイリーの試合しかないよなと思って、映像を再チェックしてたら6月30日(※日本時間)だったんですよ。改めて7月の試合からも選ぼうと思ったんですけど、どうしてもペレイラのことを話したいので、第1回目から特別編になっちゃいますが、よろしくお願いします(笑)」

――そういうこだわりを語ってもらうのがこの連載の趣旨なので、全く問題ありません(笑)!では良太郎選手はこの試合を見て、どんな感想を持ちましたか。

「過去に一度両者が対戦していて、ややスクランブル的に決まった試合だと思うんですけど、僕は予想として普通にペレイラがいくだろうなと思っていました。ペレイラは武骨だし、器用には見えないんですけど、ものすごく格闘技IQが高い選手だということを再確認しました」

――どこにペレイラの格闘技IQの高さを感じましたか。

「ペレイラは自分の戦い方が確立していて、イリーはやや変則的で、一度目の対戦とは大差ない試合になると思っていたんです。それがいざ蓋を開けてみると、ペレイラが細かく段階を踏んでKOにつなげていて、すごく上手くなっているなと感じました。例えば一度目の対戦ではイリーがタックルのフェイントを入れて、スイッチしながら飛び込んでいて、そこでペレイラはスイッチヒッターにやってはいけない動きをしてしまって、打撃を被弾していました。

 それでも最終的にペレイラは右の縦拳アッパーからの左フックでKOしていて、今回の再戦にあたってイリーからすると一度倒されている恐怖心もあるし、右のカーフや左フックが強烈だという刷り込みもあったと思うんです。それもあって2度目の対戦ではペレイラのゾーンがより確立されているなと思いました。右のカーフでコツコツ削って、イリ―がスイッチしたら左の三日月蹴りを蹴って、またカーフを蹴る。これで完全に制空権を支配して、イリーがステップインして来たらバックステップして得意のスマッシュを合わせる。1R終了間際のダウンはまさにそれでしたよね」

――フィニッシュになった左ハイはいかがでしたか。

「あれも完璧でしたね。試合後にペレイラがコメントしていたように、あの左ハイは試合までに用意していたものではなくて、試合直前に流れたイリーのウォーミングアップの映像を見て、コーチたちと『イリーはカーフを蹴ると手が下がるから、ハイキックを蹴ろう』とセッションして、その場で左ハイを蹴ることを決めたそうなんです。直前でもそこまで相手のことを観察して、それをチームでセッションできる。本人はもちろん、そういう役割を担う参謀役もいるんだろうなと思います」

――直前にそこまでチームで作りこんでいたのはすごいですね。ちなになぜイリーはペレイラにカーフを蹴られて手を下げてしまったのでしょうか。

「もともとイリーはガードを上げない構えで、手を下げたところから差すようなパンチを打ったり、タックルのモーションを見せるんですね。それでペレイラにカーフを蹴られたらカットするのではなく、おそらくパンチを合わせようとしていたんだと思うんです。それで自然に手が下がってしまっていたんでしょうね。あとペレイラが左ハイを蹴った時、手が下がっていたイリーはペレイラの左足をすくおうとしているんですよ。あれは三日月蹴りを蹴られていたから、そういう蹴りが来ると思って左の蹴りをすくおうとしていたんだと思います」

――まさに計算しつくされた左ハイだった、と。

「ペレイラはペレイラで試合直前のアップで左ハイを蹴っていましたからね。前回はカーフを効かされたイリーがタックルに入っていましたが、今回はそれすらさせなかったですし、以前、Fight&Lifeの取材でペレイラのことを“ヘタウマ”と表現しましたが、制空権の支配はピカイチですね。そして必ず自分の勝ちパターンに持っていくところはすごいです。僕はペレイラのことが大好きで、もしかしたらペレイラは左利きのオーソドックスかなと思ったこともあったんですよ。セーム・シュルトも右利きのサウスポーだから、ジャブがストレート並みに強いというじゃないですか。でもペレイラがサインしているところを見ると右手でペンを持っていたので、右利きは右利きだと思うんですよね」

――そこまでチェックしていたんですね(笑)。

「はい(笑)。だから日々の積み重ねであの左を磨いたんだと思います」

――これでペレイラは3連勝、完全に勝ちパターンが確立されてきました。

「相手からしたらとてつもなく嫌ですよね。ただペレイラの戦い方は自分のフレーム、骨格、リーチ、得意不得意、年齢……そういうすべてのものを加味して、自分にしかできないことをやっていると思います。必要なことしかやらない=マイナスの練習をしながら、それが結果的にプラスになっている。持っている武器を厳選しつつ、その武器一つ一つの殺傷能力が上がっていますから」

――ある意味、達人的なところまでいきつつある選手でしょうか。

「そう思いますよ。実際に“触れたら倒せる”のところまで近づいているわけですし」

――UFCでミドル級とライトヘビー級を獲って、もしヘビー級まで獲ることになったら、いよいよ最強と言える選手になるのではないかなと思います。

「山の頂上が見えている選手ですよね。僕はずばりジョン・ジョーンズをぶつけてほしいですね。ペレイラは戦績はもちろん、武骨なキャラも浸透してきて、ファイターとしての色気もあるじゃないですか。みんなジョン・ジョーンズVSアレックス・ペレイラは見たいと思いますよ」

――ジョーンズは次戦で引退という報道もありましたが、なんとかこの夢のカードは実現して欲しいですね。そういうわけで今後もよろしくお願いいたします!

「次回はちゃんと8月の大会からセレクトします(笑)!」

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Fight&Life Gladiator026 Interview J-CAGE Special ブログ 山上幹臣

【Special】Fight&Life#102より9年5カ月振り、復帰を決めた山上幹臣インタビュー「デビュー戦のつもりで」

【写真】10年近いブランク、それはもう復帰という再デビューというほうが正しいだろう(C)MMAPLANET

5月5日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGLADIATOR026で山上幹臣が9年5カ月振りに復帰、今井健斗と対戦する。
Text by Manabu Takashima

山上は2007年の全日本アマ修斗フライ級(※52キロ=現ストロー級)3位、修斗新人王を格闘するのと同時に、2008年にはRISEのアマチュア部門KAMINARIMONの55キロ級トーナメントで優勝を果たし、プロのリングも経験してきた。組み技に軸があった当時の国内MMAで純粋な立ち技の試合にキックボクサーとして出場するケースは稀だった。

打撃のセンスは誰もが認めるところだった山上は周囲の期待通り修斗世界ストロー級王座を獲得し、フライ級でUFCを目指すように。VTJでは同階級のパイオニア=マモル越えを果たすも、アジアでの実績創りにROAD FCに参戦し連敗。2014年12月を最後に第一線を退いた。あれから9年と5カ月が過ぎ、山上が実戦復帰を決めた。1月のTOPBRIGHTSで現役復帰という噂も流れてきた山上だが、現役復帰の場は意外にもGLADIATORを選択。DEEPとパンクラスで6勝3敗の戦績を残す、今井健斗と戦う。

そんな山上がMMAから離れていた期間の社会人生活で学んだこと、復帰へのプロセスを語ったインタビューが現在発売中のFIGHT & LIFE#102 に掲載されている。そんな山上幹臣インタビューを全文掲載。人として、夫として、父として成長した山上は、ファイターとしてどのような姿を見せるのか──。


──5月5日、GLADIATORで実に9年5カ月振りの実戦の舞台に立つ山上選手です。改めて、あの時に引退を決めたのはどのような理由からだったのでしょうか。

「修斗ストロー級世界チャンピオンになって、フライ級でUFCと契約をすることを目標に戦っていました。その過程で韓国のROAD FCで結果を残し、UFCを狙うというシナリオができていた。でも、その韓国で2連敗をしてしまって、ケガもした。あの時、このまま格闘技を続けて家族を養っていくことができるのかと考えるようになりました。27歳になり、結婚もしたのに収入がない……」

──家族との将来を考えるようになったということですね。

「ハイ。格闘技だけで食っていくことはできない。格闘技のことを一番に考えることができなくなっているのであれば、一度離れようと。一旦、社会に出ようと思いました。あの時に続けていれば違う世界を見ることができたかもしれないですが、自分はちょっとビビッてしまって。そんな気持ちで続けていても、応援してくれる人に申し訳ないという気持ちになりました」

──当時、酷い椎間板ヘルニアの手術をしたばかりでした。

「韓国での最初の試合(2014年2月9日、チョ・ナムジン戦)で負けたあとに出術をして、本当ならもう少し体を休めないといけないのに、年齢的なこともあって焦って試合のオファーを受けてしまいました。もちろん勝てると思っていましたけど。そんな風に焦ること自体が格闘技に集中できていない表れで、気持ちも中途半端だったと思います」

──働きながらMMAを続けている選手はたくさんいます。そこまで線引きをしたのは?

「僕も兄のところで働いていましたけど、格闘技を離れたのを機に不動産系の会社員になりました。パソコンも打てないばかりか、コピーの仕方も分からないのような状態でゼロから始めたので、まずはちゃんと仕事をやらないといけない。そこを第一に考えると、格闘技を続けるという選択はなかったです。子供も生まれたばかり、奥さん1人に子供を任せることもできないですし」

──そこも家庭第一だったのですね。MMAに未練はなかったですか。

「未練だらけでした(笑)。ただ、あの状態でやっても上手くはいかなかったはずです。ちゃんと社会人として地盤を創って、格闘技としっかり向き合ってから練習を再開しようという考えでした」

──そして復帰を決めたのは?

「2年前に会社を辞めて、今は個人事業主になりました」

──おぉ。

「塗装の営業をして、一戸建てや公共事業になるのですが、学校や公園の遊具の塗り替えなんかを受注する。それを兄に振るのですが7、8年と不動産をしてきたことで回りが良く見えるようになり、その経験が生きています。それにほぼ在宅勤務で自由にできる時間が増えました」

──そうなると、またMMAを戦いたくなったと?

「ハイ、練習も週に2度から5日間できるようになりました。しっかりと格闘技に向き合える環境が、整いました」

──サラリーマン時代に練習をすることは?

「それこそ年末年始の休みに、(箕輪)ひろばと一緒に動く程度でした。ほぼやっていなかったです」

──30歳を過ぎ、35歳に近づくなかで再びMMAを始めるなら急がないといけないと思ったことは?

「なかったといえば嘘になります。ヤバいという想いもありました。でも自分の感覚でいえば、2年前に今のような練習ができていたかと考えると、間違いなく無理でした。環境が整うところまできたから、試合を戦う準備が可能になります。だから今も焦りはなく、最後の勝負だけど『やってやろうか』という気持ちです。正直、どこまでできるのか分からないです。ここでケジメをつけるというわけではないですけど、しっかりやりきりたいです。

──箕輪選手が「2022年7月にボカン・マスンヤネ戦が相手の計量失敗で亡くなった時に、山上さんが凄く怒って。あの時に『あぁ、本当に復帰するかも』と思いました」と話していました。

「ひろばの存在は本当に大きくて。僕の気持ちをより、駆り立ててくれます。『早く復帰したい』という気持ちにさせてくれましたし、ひろばが頑張っていなければ、復帰をしなかったかもしれないです。だから、全てはタイミングだと自分のなかでは思っています」

──実際に試合を戦うまで気持ちが戻ったのはいつ頃ですか。

「本当に去年に試合をしたかったです。ただ準備期間もなくて、焦る必要はないと判断しました。いきなり強度をあげても、また腰をやってしまうかもしれないので。それぐらい練習をしてこなかったので、週2から週3、そこで創って今年になって「よしっ!」という状態になりました。実は1月にとある大会からオファーがあったのですが、それは断りました。そこでギアを一段上げて、夏前ぐらいに試合をしたいという風になっていました」

──現状の実力は、一度MMAから離れた時の実力と比較してどれぐらい戻っていると感じていますか。

「それ、皆に尋ねられるんです。落ちていると思われることもあります。でも前よりも技術力は上がっているんです」

──それはどういう点で?

「柔術をやってきたことは大きいです。昔は道着を着ることもなかったけど、ここ1年ほど吉永力選手に指導をしてもらって。3月からですが、ボクシングとレスリングもやらせてもっています。それぞれのシチュエーション毎に細かい分析をして、MMAに落とし込む。前はただバチバチ殴り合っていただけなので、そこは変わりました」

──今日見せていただいた箕輪選手との打撃、MMAスパーでもインターバルの間は、何か考え込んでいるようにも映りました。

「自分の動きを確認しています。どう下がったか、真っ直ぐになっていなかったかとか。そういうことをインターバル中に考えています。漠然とスパーリングをするのではなくて、濃い1Rにしたいので」

──練習をしっかりとしたうえで、選手には個人の力が存在しています。閃きや、打撃を当てる能力という部分は今日の練習を見る限り、10年前のままだと感心させられました。その持って生まれたモノに、考えるという作業が加わったのですね。

「昔は感覚だけでやっていました。正直、教えてもらうことがそんなになかったので。今は柔術、ボクシング、レスリングでやられています。なぜやられるのかを尋ねて、考える。それが自然にできるようになりました。全てにおいて落とし込めないと、その練習をする意味がないですからね。それには考えること。若いヤツとの差を埋めるには、そこしかないです。馬力任せで積み重ねても、自分は成長できない。考えて、落とし込むことで技術力がついたかとは思います。もちろん、年齢を重ねて落ちている部分はあると思いますけど。その分を技術でカバーできていると思います」

──復帰をすると聞いた時に、一番不安だったのは技術面です。10年前と比較すると、フィジカル的にも凄まじく進化しています。当時のトップファイターでも、アップデートしないと時代遅れになる。もちろん、未来永劫に有効な技はありますが、備蓄しないといけない技術が大幅に増えていると思います。

「ひろばの助けもあって、その辺りの技術の溝は埋めてきています。何より将来や肉体に不安を感じないで練習に取り組むことができているので。堀口恭司選手もそうですけど、強い選手って一つの試合に向けて全てをぶつけることができるヤツが強くて、そういう気持ちになれてきているかなと。格闘技を始めた時のように『全員、ぶっ倒してやる』という気持ちに近くなっていますし、やっぱり俺が生きていく世界はここだなと。試合だけでなく、格闘技に携わることがここまで自分に合っているのか、と改めて感じています」

──実社会を経験したことで、これからの格闘家人生第2章に役立つことはあると思いますか。

「う~ん、嫌らしい戦い方ができるようになるかな(笑)。色々なことが勉強になりましたし、格闘技とは違った意味で精神的に強くなれました。28歳で社会に出たので、最初の3年ぐらいはしんどかったです。格闘技でボコボコにされるのと違うんですよね、売れないと上から精神的に詰められるのは(苦笑)」

──世界を目指した修斗世界チャンピオンが詰められる……。

「正直、あの頃は会社に行くために駐車場に車を停めると、動悸が激しくなっていました。でも何も知らなかったので、頭を下げて勉強させてもらいました。格闘家としてのプライドは全部捨てました。本当に仕事は何もできなかったので」

──それは……やはりMMAと並行できなかったのでしょうね。

「今はその経験すら若い子たちに話せて、どう格闘技と向き合うかを話すこともできて。社会に出てからの経験が全て良かったと振り返ることができます。ただ……本当に体力面は試合をやらないと分からない。なので、そこをカバーできる……大人の戦い方をしたいですね」

──復帰戦は夏前と考えていたと言われていましたが、5月5日のGLADIATORになったというのは?

「それは長谷川(賢)さんとの出会い、繋がりですね。長谷川さんがGLADIATORのマッチメイクに関わっていて、こういう出会いを自分は大切にしたいんですよ。新しい出会いを。それも社会に出て、教わったことです。長谷川さんが『一緒にやりましょう。協力させてください』と言ってくれて……。必要としてくれる。そこが一番なんです。妻は『わざわざ大阪で。修斗の後楽園ホールで試合をすれば良いのに』とも言っていました。

──ある意味、当然の話かと(笑)。

「条件面や応援をしてくれる人達の前で最初は試合をすべきだということなので、それは分かるんです。でも、それだけでもない。人との繋がり。付き合っていきたいと思った人と一緒にやっていく。本当にそこですね、社会に出て自分が変わったところは。それまでGLADIATORのことは知らなかったですが(笑)」

──ハハハハ。

「ただ調べてみると、あれだけ外国人選手も来日していて。フライ級なんて本当にそうですよね。でも、東京でも大会を開いてほしいなというのはあります(笑)。こんなに国際戦に力をいれているので、これから爆発していくんじゃないですか」

──それが団体関係者に聞くと、レベルが上がったから出ない選手が増えたそうです。「外国人でなく日本人と戦ってベルトと取りたい」とオファーを断られることもあるとか。

「えぇ……。う~ん……僕は強いヤツと戦いたい。それが格闘技をやる男の気持ちじゃないですか?」

──それは山上選手世代なのですよ。

「でも、僕も10年振りなんで大きなことは言えないです。次の相手をしっかりと倒さないと」

──36歳のファイターの武器として、絶対的に経験値があるかと思います。ただし山上選手は10年間の空白がある。その現実について、どのように考えていますか。

「経験値……そこは考えていないです。以前の自分の何かを生かすとかでなくて、今は一から創り直しているので。5月5日は本当にデビュー戦だという気持ちでやっています。経験値がどうこうでなく、新しい自分を出していきます。正直、先は見えていないです。昔のようにUFCという明確な目標があるわけでもない。自分のゴールが見えていない状況です。ただGLADIATORで戦うなら、GLADIATORのチャンピオンになろうと思います。だからモンゴル人とはチョットやりたいですね(笑)」

──そこはデビュー戦の気持ちでも、やり残したことがあるという感覚でしょうか。

「韓国で、デキなかった。通用しなかった自分が、今回はデキるのか。通用させたいと思っています」

──GLADIATORは外国人天国になりつつありますが、それを突破した河名マスト選手がROAD TO UFCに出場します。復帰戦で「山上なら、やれるだろう」という期待感を抱かせることができるのか。

「その自信はあります。今回しっかりと勝って。次にまた準備をして、そのレベルまでもっていける自信はあります」

──では現状、期待と不安どちらが大きいですか。

「それは期待です。試合をすることが、凄く楽しみです!!」

■放送予定
5月5日(日)
午後12時30分~THE 1 TV YouTubeチャンネル

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『RIZIN Preparation』動画/『RIZIN.45』公開練習ダイジェスト動画

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 『RIZIN Preparation the LASTMATCH』山本美憂動画。




 『RIZIN Preparation』芦澤竜誠動画。




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『Fighting NEXUS vol.32』試合結果

Fight&Life(ファイト&ライフ) vol.98


第11試合 トリプルメインイベント3 Fighting NEXUS初代ライト級王者決定戦 5分3R
×ジェイク・ウィルキンス[Jake Wilkins](LIBERTAS学芸大ジム)※フリーから所属変更
○岸野“JUSTICE”紘樹(トイカツ道場)
判定0-3 (大藪28-29/小池28-29/梅田28-29)
※岸野が王者に

第10試合 トリプルメインイベント2 Fighting NEXUS初代ストロー級王者決定戦 5分3R
×木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(トイカツ道場/修斗世界同級8位)
○宮澤雄大(K-PLACE/パンクラス同級4位)
判定0-3 (梅田27-30/小池27-30/大藪28-29)
※宮澤が王者に

第9試合 トリプルメインイベント1 PFCバンタム級チャンピオンシップ 5分3R
×小倉卓也(スカーフィスト/王者)
○渡部修斗(FIGHT LINX/挑戦者、元Fighting NEXUSバンタム級王者)
判定0-2 (梅木28-28/梅田28-29/出口28-29)
※渡部が王者に

第8試合 MMA フライ級(ノンタイトル戦) 5分2R(延長1R)
×浜本“キャット”雄大(クロスポイント大泉/Fighting NEXUS同級王者、元WPMF日本スーパーバンタム級(55.33kg)王者)
○荻窪祐輔(K-PLACE)
判定0-3 (大藪18-20/梅木18-20/山崎18-20)

第7試合 MMA 88kg契約 5分2R(延長1R)
×廣野雄大(パンクラスイズム横浜)
○ましん(BULE DOG GYM)
1R 0’58” KO (右フック)

第6試合 MMA バンタム級 5分2R(延長1R)
―森永ユキト(ストライプル新百合ヶ丘)
―中桐涼輔(トイカツ道場)
1R 0’22” 無効試合

第5試合 MMA フェザー級 5分2R(延長1R)
○岩松哲也(リベルダージ)
×千春(FREEDOM@OZ)
1R 0’49” 反則

第4試合 キック 60kg契約 3分3R
○渡邉奎介(HIDE’S KICK)
×瀬川 琉(稲城キックボクシング道場/元新日本キックフェザー級1位)※伊原道場稲城支部から所属先名称変更
判定3-0 (小池30-25/山崎30-25/梅木30-25)

第3試合 MMA フライ級 5分2R(延長1R)
×倉岡幸平(蒼天塾あざみ野道場)
○豪瑠[ごうる](Evermove)
3R 判定1-2 (梅田9-10/大藪9-10/出口10-9)
2R 判定0-1 (梅田18-20/大藪19-19/出口19-19)

第2試合 MMA フェザー級 5分2R(延長1R)
○村井和道(FIGHT BASE都立大)
×亀松寛都(POD/PFC/元PFCフライ級王者)
3R 判定3-0 (出口10-9大藪10-9/小池10-9)
2R 判定0-0 (出口19-19/大藪19-19/小池19-19)

第1試合 キック 57.5kg契約 3分3R
○大島広也(TANG TANG FIGHT CLUB)
×紺野煌人(神龍ワールドジム)
判定3-0 (山崎28-26/小池28-26/梅木28-26)

 遅ればせながら8月20日に後楽園ホールで開催された『Fighting NEXUS vol.32』の試合結果。トリプルメインイベント3の初代ライト級王者決定戦は岸野“JUSTICE”紘樹がジェイク・ウィルキンスに判定勝ち。トリプルメインイベント2の初代ストロー級王者決定戦は宮澤雄大が木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅に判定勝ち。トリプルメインイベント1のPFCバンタム級チャンピオンシップは渡部修斗が小倉卓也に王座戴冠と共に引退し有終の美を飾っています。続きを読む・・・
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『RIZIN.43』続報まとめ

Fight&Life(ファイト&ライフ)vol.97


『RIZIN.43』速報(2023年06月24日)

 遅ればせながら『RIZIN.43』の続報です。続きを読む・・・
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『RIZIN.43』公開計量結果/クレベル・コイケ体重超過により王座剥奪、鈴木千裕が勝利した場合のみ王座獲得の変速タイトルマッチに

Fight&Life(ファイト&ライフ)vol.97






RIZIN.43 全選手計量結果 フェイスオフ、計量結果、身長差、リーチ差を掲載中(RIZIN)
第13試合/フェザー級タイトルマッチ
RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg契約)
クレベル・コイケ(66.40kg)vs. 鈴木千裕(65.95kg)

本日行われた公式計量で王者クレベル・コイケが規定体重(66.00kg)を0.40kg超過した為、RIZIN MMA公式ルール第41条 第1項 第3号に基づき、クレベル・コイケのタイトルは剥奪となり、フェザー級タイトルは空位となります。

タイトルは空位となりますが、本試合は同第4号に基づき計量に合格した挑戦者・鈴木千裕のタイトル認定戦としてタイトルマッチを実施し、鈴木が勝利した場合は、鈴木が新チャンピオンとして認定されます。また、同第7条第4項および第5項に基づき、本試合は次のとおり条件付きにて試合を実施いたします。

試合実施の条件

1.クレベル・コイケの勝利は記録されず、次に掲げるとおり裁定される。

(1)鈴木千裕が勝った場合、その結果を公式記録とする。

(2)鈴木千裕が負けるか、引き分けた場合、記録はノーコンテストとする。

2.クレベル・コイケに減点を課した上で、試合を開始する。本試合は階級超過体重が0.50kg未満につき減点(イエローカード:20%減)とする。

OPENING FIGHT 第1試合

RIZIN キックボクシングルール:3分 3R(58.0kg契約)

星久保将城(59.60kg) vs. がんばれ!ふるかわくん(57.60kg)

本日行われた公式計量で星久保将城が規定体重(58.00kg)を1.60kg超過した為、RIZINキックボクシング公式ルール第7条第4項および第5項に基づき、次のとおり条件付きにて試合を実施いたします。
試合実施の条件

1.星久保将城の勝利は記録されず、次に掲げるとおり裁定される。

(1)がんばれ!ふるかわくんが勝った場合、その結果を公式記録とする。

(2)がんばれ!ふるかわくんが負けるか、引き分けた場合、記録はノーコンテストとする。

2.星久保将城に減点を課した上で、試合を開始する。本試合は超過体重が0.5kg以上につき減点2(レッドカード)とする。

 メインイベントのタイトルマッチとオープニングファイト第1試合で体重超過がありました。その他の選手はパスしています。続きを読む・・・
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『RIZIN CONFESSIONS』第126回動画

『Fight&Life Vol.97』




 『RIZIN CONFESSIONS』第126回動画。今回は6月24日に真駒内セキスイハイムアイスアリーナで開催する『RIZIN.43』の特集です。


 その他RIZIN情報。続きを読む・・・
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『RIZIN.40』続報/堀口恭司、青木真也がRIZIN対抗戦全敗の理由を語る/朝倉未来、牛久絢太郎に負けたら引退宣言 etc.

Fight&Life(ファイト&ライフ)vol.94


『RIZIN.40』速報(2022年12月31日)

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『RIZIN.33』速報

Fight&Life(ファイト&ライフ) vol.88


Yogibo presents RIZIN.33 対戦カード/見所解説(RIZIN)

RIZIN.33(バウトレビュー)

 上記を参照。以下、速報です。続きを読む・・・