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【Gladiator016】ケージで殴る黒帯柔術家=井上啓太「二刀流? 練習の成果を両方で出したいだけ」

【写真】 淡々となかなかできなことをやっている──そんな印象だ(C)MMAPLANET

23日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR016で井上啓太が春川広明と対戦する。

コロナパンデミック以前から、畳とケージを行き来していた稀有な存在の井上。しかし、本人は二刀流という言葉にピンと来ていなかったという。

日々、所属するグラウンドコアで練習してきたことを試合という舞台で出す。それが井上啓太のポリシーだった。


──井上選手は5年前に初めてMMAを戦っているのですが、IBJJFルールの競技柔術で結果を残している選手がケージでMMAを戦うというのは、今も当時も稀で。それでも今は須藤拓真選手、イゴール・タナベ選手、グラップリングから転向の岩本健汰選手がいますが、当時は本当に異色でした。

「そうなんですか……僕的にはそういうことを考えて戦っていたわけではなかったので、二刀流って書いてもらっていてもピンと来ていてなかったです(笑)」

──つまりはMMAを戦うことも特別ではなかったと?

「ハイ。もともと柔道をやっていてグランドコアで柔術を始め、2年程は柔術だけだったのですが、それからは打撃もやっていましたし打撃歴が短いわけではないので」

──グランドコアで柔術をするだけでなく、他でも打撃を習い始めたと?

「いえ、グランドコアでは週に2回キックボクシングのクラスがあるんです。週に4回寝技のクラスがあって、1回MMAのクラスがあります。寝技のクラスは3回が柔術で1回がグラップリングで。それ以外に選手スパーとか、打撃とMMAのスパーの時間が毎日のようにあるので、僕は普段から練習していることの試合に出るという感覚でした」

──なるほどぉ。ではジムにMMAを戦う選手も所属しているということなのですね。

「試合に出るまでの人はそれほどですけど、クラスはけっこう盛況です。去年はアマ修斗の関西選手権で2人優勝して、全日本にも出ています」

──そうなのですか。失礼しました! 井上選手は2018年に初めてグラジに出場し飯田健夫選手にTKO勝ち、昨年は6月にDREAMERSの八木敬志選手にヒールで一本勝ちしていますが、この2試合しかMMAは出ていませんでした。

「それは柔術に重きを置いていたからです。僕はこれまではムンジアルを目指していたので、やはり柔術をメインにしてきました。MMAも戦っていきたいと思ってはいたんですけど、どうしてもケガが増えるので、柔術のトーナメント前のオファーは断らさせてもらっていたんです。全日本とかアジアの2カ月前ぐらいはオファーがあっても、そこは柔術を優先していました。

ただコロナになって柔術は随分とトーナメントがなくなって、試合に出る機会がなくなってしまって。それでも去年のJBJJFの全日本も出ていますし、練習は変わらずやってきた感じです」

──コロナにおける柔術の活動停止は、MMAやグラップリング転向を含め色々と変化を起こしましたね。

「ハイ、この間は考えることがありました。もう年齢も年齢ですし、悠長なことを言っている場合じゃないなって思って……今は、両方やろうと。特に柔術の試合が減ったこともあり、MMAも同時にでていこうという風になりました」

──ムンジアルに出ようと思うと、国内にいてはアジアが再開されないとポイントがなかなか獲得できないですしね。

「そうなんです。実は2020年のムンジアルに出たくて、ポイントを計算するようになりました。ソウル・オープンとかに出て2019年の終わりにポイントを貯めることができたのですが、コロナでムンジアルが中止になってしまって……タイミングが悪かったです。今もポイントはどう取れば良いのか……。

ただ基本的に道場のクラスに合わせて練習をしているので、柔術の試合前も週に2回の打撃クラスと週1のMMAクラスに出ていますし、MMAの前だからMMAだけ練習するということもなくて。いつもやっていることを、試合という舞台で出す。だから柔術とMMAを戦うことに違和感はないです」

──練習していることを試合で出す。恰好良いですね。

「ただノーギは大昔に白帯か青帯の時に小さなワンマッチ大会に出ただけで、大きなトーナメントに出たことはないです」

──そこも面白いですね。MMAと柔術よりも、グラップリングと柔術、そしてMMAと柔術の方が近いかと思われるのですが。

「そうなんですよ(笑)」

──とはいえ八木選手に勝った試合など、Kガード的なエントリーから50/50、そしてサドルで内ヒールを極めた。あの流れなど柔術でも、MMAでもなくダナハーの足関節でした。

「それはグラップリングのクラスがあるからです。柔術の時にヒールは当然しないので、グラップリングクラスでやってきたことを試合で出しました」

──素晴らしいです。

「ホント、日々のグランドコアでの練習の成果を柔術とMMAの両方で出したいと思っているだけで(笑)」

──MMAでは他で行われているプロ練習や選手練習に参加というのは?

「もちろん行ったことはあります。ただ基本的にはグラウンドコアの練習だけですね。あまり出稽古をするタイプではないです」

──いやぁ、独自性があって興味深いです。ところで今回グラジエイターにグラップリングを提供したプログレスでは、グラップリング2ルールとコンバット柔術があって、凄く井上選手向きではないかと。

「あれは興味深いです。凄く楽しそうだなあって思って、記事を読んでいました。ノーギの試合は出たことはないのですが、特にMMAに寄ったポイント制のグラップリングは楽しそうだと思います」

──コンバット柔術はいかがですか、掌底は嫌ですか。

「いえ、別にMMAと変わらないですし。掌底がありで、ヒザをついていれば打って良いのなら、それに対応しないといけないですけど拒絶感はないです(笑)」

──MMA大会にあのルールの試合が組まれるということは、どう思われますか。

「やはり柔術家なので嬉しいです。組み技や寝技をMMAのファンに方たちに見ていただけると言うのは。どういう風に捉えられるのかも楽しみです」

──そのなかで今回、井上選手はMMAで春川広明選手との対戦です。

「コーチに試合をチェックしてもらったのですが、パラエストラ広島の選手らしくちゃんとしたMMAの選手ですね。僕は柔術家ですし、寝技が得意だと思ってもらっているでしょうが、昔から一通り何でもやってきて、何でもできるので色々な面を見せることができれば良いかなと思います」

──現状でMMAと柔術、目指すところはどこでしょうか。

「柔術ではムンジアル、MMAでは試合経験は全然ないので、グラジエイターで一つ一つ積み重ねて……チャンピオンの佐々木選手に挑戦できるようになる相手と戦っていきたいです。そうやってキャリアを積んで、大きな舞台でも戦ってみたいと思っています」

──ありがとうございました。では初インタビューですし、MMAPLANETの読者の皆さんに井上啓太とはどのような選手なのかアピールお願いします。

「えぇと……。難しいですねぇ(笑)、こういうことを話したことがないので。いつも書いていただいているように柔術もMMAも頑張っているので、柔術家としての側面だけでなくMMAファイターとしての僕の一面も見てもらえると嬉しいです」

■Gladiator016対戦カード

<フライ級/5分2R>
藤田健吾(日本)
有川直毅(日本)

<バンタム級/5分2R>
土肥”聖帝”潤(日本)
神田T-800周一(日本)

<フェザー級/5分2R>
中川皓貴(日本)
富田翔市(日本)

<バンタム級/5分2R>
山口翔(日本)
神野翼(日本)

<バンタム級/5分2R>
竹本啓哉(日本)
福島啓太(日本)

<ストロー級/5分2R>
N.O.V(日本)
蒔田真吾(日本)

<ライト級/5分2R>
井上啓太(日本)
春川広明(日本)

<フライ級/5分2R>
坪内一将(日本)
中西哲生(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
谷口武(日本)

<フォークスタイル・グラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
松本一郎(日本)

<フォークスタイル・グラップリング79キロ契約/5分2R>
森戸新士(日本)
濱村健(日本)

<サブオンリー・グラップリング82キロ級/10分1R>
佐々木信治(日本)
伊東元喜(日本)

<フェザー級/5分2R>
伊賀GORI(日本)
斎土泰斗(日本)

<58キロ契約/5分2R>
木村旬志(日本)
荒木凌(日本)

<フェザー級/5分2R>
宋鬼子(日本)
谷口軍曹(日本)

<バンタム級/5分2R>
大前健太(日本)
尾崎大和(日本)

<バンタム級/5分2R>
秋田良隆(日本)
永輝亜(日本)

<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
那須”独歩”育夫(日本)

<フェザー級/5分2R>
大和(日本)
桑本征希(日本)

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【Gladiator016】FSG戦で濱村健と対戦、森戸新士─02─「グラップラーの強さが伝わる試合を」

【写真】アウトサイドヒールを狙う森戸。ちなみにフォークスタイル・グラップリングでは上の状態から足関節を掛けて、相手が立ち上がるとリバーサルで2P失う (C)SHOJIRO KAMEIKE

23日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR016で組まれたプログレス提供のグラップリングマッチ=フォークスタイル・グラップリングで濱村健と戦う森戸新士インタビュー後編。

IBJJFスタイルの競技柔術で日本のトップにある森戸が、ケージのなかでトップ重視のポイント制グラップリングマッチを戦う。かつてカナダでMMAの練習をしていた経験もある森戸にとって、柔術とグラップリングの相関関係はあるのか──そしてコンバット柔術をどのように見ているのかを尋ねた。

<森戸新士インタビューPart.01はコチラから>


──ADCCや海外のグラップリングに言及されていますが、道着とノーギに関しては優先順位というモノはありますか。

「う~ん、僕はどっちとも好きなんです。グラップリングの試合機会が増えれば、練習量も増やすと思います。ただ現状の大会数だと比重を増やしてもリターンが少ないというか、それで柔術の方の力が落ちてはいけないですし。道着とノーギの両方をやっている選手って、バランスのとり方が難しいと思います」

──柔術とノーギは、もう別モノと捉える柔術家が多いですが、森戸選手はどのように考えていますか。

「難しいですね。別モノですが、全く別モノではない。お互いがお互いに生きるところはあるので、グラップリングの試合に出るのであればグラップリングの比重を増やした方が良いですし、柔術の大会で実績を残したいときにグラップリングの練習ばかりをするわけにはいかないです。そういう意味で別モノですけど、技術は繋がっている。ホベルト・サトシ・ソウザ選手とかもMMAの試合前でも、道着の練習をされているみたいですし。

僕も柔術アカデミーを運営しているので、指導をしてそのままスパーリングに入ることが多いので柔術の練習の方が多いですね」

──ところでプログレスはフォークスタイル・グラップリング、コンバット柔術、サブオンリーとありますが、コンバット柔術では先日のIRE06で倉本一真選手が放ったヒザをついた瞬間に、掌底を入れるという戦い方をしました。あの試合を視て、柔術家はコンバット柔術には出たくないという風潮にならないかと危惧しています、アマMMAの経験がある森戸選手はいかがでしょうか。

「あぁ……コンバット柔術は全く練習をしていないので、今のところはサブオンリーの方に興味があり、出るならサブオンリーだと思います」

──コンバット柔術は危なく感じますか。

「危ないというか、掌底が当たると脳みそが揺れますし、リスクも高まります。ちょっと図に乗っていると思われてしまいますが、それなりの条件がないとそこまでリスクをおかして出たくはないかな、と」

──プログレスのコンバット柔術は臀部、背中、体側が付いた場合のみ掌底が使えて、立脚している状態では使えないルールにすると長谷川選手が言っていました。

「まぁヒザをついての掌底は立ち技みたいなものですし、あの辺りはルールが整備されていくのでしょうか」

──いやぁ、IREのことは分かりかねます。でも森戸選手のコンバット柔術も見てみたいですね。IBJJFルールで強い選手のコンバット柔術は、非常に興味深くて。

「打撃の距離感とかは気を使わないといけないですよね……。今はグラップリングに集中したいですけど、オファーがあれば条件なども見て考えます。プログレスがどのように発展してくのか、僕はイメージできていないのですが、ルールにタイトルマッチは5分3Rとかルールに記されていて、そういうこともプランしているのであれば実現してほしいと思っています」

──グラップリング大会ではなく、MMA興行のなかでの試合です。そこを意識することはありますか。

「こういうワンマッチの試合が組まれていくことは、良いことだと思っています。柔術家にとって一番大きな舞台である全日本選手権も関係者しか見ていないです。それがプロのMMAを見ているファンの前で試合ができる。そこで皆が興味を持ってくれる試合をしないといけないのですが、柔術を見てもらえる機会も増えますし、選手としてはプロの条件で試合をさせてもらうので、覚悟もできます。やはり自分で参加費を払って試合をするのとは違う覚悟ができます」

──でも、最近のクレイグ・ジョーンズは緩い試合が多いです(笑)。

「アハハハ。クレイグ・ジョーンズのことは僕レベルでは分からないです(笑)。僕に関してはお金を支払ってもらって試合をするのだから、そこに相応しい試合をしたいと思っています」

──素晴らしいです。では最後にコアなMMAPLANETの読者の皆さんに向けて、今回の試合への意気込みをお願いします。

「今回、MMA寄りの新しいルールで戦うのですが、そのなかでグラップラーの強さが伝わる試合をしたいです。MMAファンの人の目にグラップリングがどのように映っているのか、客観的には分からないのですが、どうせなら観客の人に面白いと思ってもらえる試合になれば嬉しいです。技術的に分からないことでも、一本を取って──もっとグラップリングを見たいと思ってもらえるよう──説得力のある試合をします。何より、プログレスルールで戦うことで、僕が強くなれるように頑張ります」

■Gladiator016対戦カード

<フライ級/5分2R>
藤田健吾(日本)
有川直毅(日本)

<バンタム級/5分2R>
土肥”聖帝”潤(日本)
神田T-800周一(日本)

<フェザー級/5分2R>
中川皓貴(日本)
富田翔市(日本)

<バンタム級/5分2R>
山口翔(日本)
神野翼(日本)

<バンタム級/5分2R>
竹本啓哉(日本)
福島啓太(日本)

<ストロー級/5分2R>
N.O.V(日本)
蒔田真吾(日本)

<ライト級/5分2R>
井上啓太(日本)
春川広明(日本)

<フライ級/5分2R>
坪内一将(日本)
中西哲生(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
谷口武(日本)

<フォークスタイル・グラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
松本一郎(日本)

<フォークスタイル・グラップリング79キロ契約/5分2R>
森戸新士(日本)
濱村健(日本)

<サブオンリー・グラップリング82キロ級/10分1R>
飯田健夫(日本)
伊東元喜(日本)

<フェザー級/5分2R>
伊賀GORI(日本)
斎土泰斗(日本)

<フェザー級/5分2R>
宋鬼子(日本)
谷口軍曹(日本)

<バンタム級/5分2R>
大前健太(日本)
尾崎大和(日本)

<バンタム級/5分2R>
秋田良隆(日本)
永輝亜(日本)

<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
那須”独歩”育夫(日本)

<フェザー級/5分2R>
大和(日本)
桑本征希(日本)

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【Gladiator016】上を取るポイント制グラップリング出場、森戸新士─01─「やってみないと、ですね」

【写真】どのような試合になるのか──非常に楽しみな森戸のプログレス=フォークスタイル・グラップリング出場だ (C)MMAPLANET

23日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR016で組まれたプログレス提供のグラップリングマッチに森戸新士が出場する。

日本の柔術を代表する選手が、フォークスタイル・グラップリングという新しい試みで、濱村健と対戦する。サブオンリーでなく、ポイント有り、上有利のポイント換算での試合出場に対し、森戸の心境を尋ねた。


──広島はコロナの陽性者がオミクロンで一気に広まった形ですが、森戸選手の練習状況などはいかがでしょうか。

「広島に住んでいて、道場が岩国にあるので……基地の感染がヤバイことになった時期もありました。基地関係の会員さんは、練習を自粛してもらっています。なので、今は3、4人で練習している形ですね。それでもやるべきことはやっているので、パフォーマンスに影響が出るようなことはないはずです。グラジエイターさんから送っていただいた抗原キットで陰性でしたし、このまま気を付けるべきことは気をつけて試合の日を迎えたいです。

コロナも第六波、2年近くになろうとしているなかでZSTやQUINTETというプロの場で試合をさせてもらいました。今回、グラジエイター内でのプログレスでの試合ということで声を掛けていただき、生徒の多くが自粛していてモチベーションが落ちかけている人もいると思うので、結果を見せてまた生徒さんについてきてもらえるよう──今は選手として頑張りたいです」

──グラップリングはMMA以上に競技者として生業を立てることが日本では難しいです。

「柔術家やグラップラーは、プロで戦う機会が少ないですし、あっても地方の選手は条件的に厳しいこともあります。そういうなかで少しでも条件を良くという風に舞台を整えてくれるというのは、競技者として凄く嬉しいです。そういう舞台がないと選手も、なかなか育たないと思います。

米国はプロ・グラップリングの舞台が整ってきていて、強い選手もどんどん出てきています。ああいう波があると選手も育ちますし、夢を見て始める人も出てくると思います。MMAにはRIZINとか大きな舞台がありますが、グラップリングや柔術はまだまだ整備はされていないので、今回のように良い条件で戦わせてくれるイベントが出てくると、選手として有難いですし、道場主としても生徒さんが目指す舞台が出来てくれると嬉しいです」

──そういうなかでプログレス提供のクラップリングマッチに出場となりましたが、森戸選手はサブオンリーだとばかり思っていました。

「僕もサブオンリーの方が得意だと思います(笑)。そこは佐々木信治選手とも話をしたりして、今回はフォークスタイル・グラップリングに出場しようということになりました。ADCCの後半にも似ていて、スクランブルでしっかりと上を取って戦えないといけないと思いますし。

このルールで戦うのは初めて実施されるから当然初めてですし、金網でのグラップリングは12月の闘裸男で田村ヒビキ選手と戦ったのが初めてでした。MMAではアマチュアで何度かしたことはあったのですが……」

──そういえば森戸選手はカナダのブリティッシュコロンビアで、クリス・フランコ率いるパンクレーションで練習をしていたそうですね。もう20年以上前ですが、フランコがハワイでダン・スバーンと試合をした試合など取材をしたことがあったのでとても懐かしいです。

「そうなのですか。ただ、あの時はフランコ先生の指導がそうだったのか、時代だったのか壁レスとかはやったことはほぼなかったです」

──壁レスと柔術は相関性がないですよね。

「そうですね……。試合が決まったのもついこないだですし、このための練習というのはイメージのなかでしかできていないです。ただ、藤井章大さんや神田(周一)選手、摩島(一整)選手とも週一で練習をしていて、みな壁レスが強いので。壁際をやってもらったりしていました。神田さんにメチャクチャ合いそうなルールです。壁やスクランブルが凄く強いので」

──ルール的に引き込むと相手に2Pが与えられます。

「少し不利になってしまうルールですが、しっかりと組んでトップも取れるトータル・グラップラーになるには、このルールでも戦えないといけないです。今後、グラップリングのルールも変わって来るかもしれないですし、プロ興行でのグラップリングはこういうルールが主流になるのであれば、それに合わせて戦わないといけない時代がくるかもしれないですから。このルールで戦えることが、今後の自分の強さに繋がっていくかと思います」

──サブオンリー……ノーポイントになると、攻撃力で劣る選手も時間切れまで持ち込むことができます。そこで判定やOTがあるわけですが、ずっと守勢でいることが可能なルールよりも、ポイント有りは勝つために動くことが増えるのではないかと。

「普段も柔術のポイントで試合をしていて、ポイントの取り合いになると攻防は生まれます。ただ僕はサブオンリーの試合は、ほとんどしたことがないので、その辺りは体感としてはまだ分かっていないです。試合を視ていると、ほとんど動きがない試合もありますね」

──MMAファイターが攻防をしないことも、サブオンリーではままあります。

「今回のルールは経験がないし、見たこともない。だから、やってみないと分からない部分もあります。想定外のことが起こるかもしれない。僕の普段持っている極めまでのイメージも当てはまらないかもしれない。だから……やってみないと、ですね」

──ヒールを含めた足関節に関しては、いかがですか。

「一昨年のZSTのタッグマッチの時よりは、ちゃんと攻防ができるようになっています(笑)。あの頃は足関有りのルールで試合をすることがほとんどなくて、練習でも取り入れていなかったです。でも最近は世界的にグラップリングが盛り上がっていて、足関が常識になっており……今後は僕にも必要になると思って練習しています。技術も上達しています」

──対戦相手の濱村選手がどのような組み技マッチを戦うか、そこも想像できないです。

「ハイ……全く分からないです(苦笑)。ただグラジエイターの元王者で、試合経験も豊富です。ケージの経験値は僕より圧倒的にあって、プロの舞台ということも慣れているでしょうし。僕はケージもプロの舞台も経験が少ないですから……でも、パフォーマンスにはあまり影響ないと思います」

<この項、続く>

■Gladiator016対戦カード

<フライ級/5分2R>
藤田健吾(日本)
有川直毅(日本)

<バンタム級/5分2R>
土肥”聖帝”潤(日本)
神田T-800周一(日本)

<フェザー級/5分2R>
中川皓貴(日本)
富田翔市(日本)

<バンタム級/5分2R>
山口翔(日本)
神野翼(日本)

<バンタム級/5分2R>
竹本啓哉(日本)
福島啓太(日本)

<ストロー級/5分2R>
N.O.V(日本)
蒔田真吾(日本)

<ライト級/5分2R>
井上啓太(日本)
春川広明(日本)

<フライ級/5分2R>
坪内一将(日本)
中西哲生(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
谷口武(日本)

<フォークスタイル・グラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
松本一郎(日本)

<フォークスタイル・グラップリング79キロ契約/5分2R>
森戸新士(日本)
濱村健(日本)

<サブオンリー・グラップリング82キロ級/10分1R>
佐々木信治(日本)
伊東元喜(日本)

<フェザー級/5分2R>
伊賀GORI(日本)
斎土泰斗(日本)

<フェザー級/5分2R>
宋鬼子(日本)
谷口軍曹(日本)

<バンタム級/5分2R>
大前健太(日本)
尾崎大和(日本)

<バンタム級/5分2R>
秋田良隆(日本)
永輝亜(日本)

<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
那須”独歩”育夫(日本)

<フェザー級/5分2R>
大和(日本)
桑本征希(日本)

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F1 ONE ONE Championship   エリピツア・シレガー キック ザイード・イザガクマエフ ティファニー・テオ ボクシング 三浦彩佳 上久保周哉 仙三

『ONE: Heavy Hitters』試合結果/ハイライト動画/仙三らが5万ドルのボーナス

【ONE】ジンナンが三浦彩佳の投げを完封、6度目防衛。仙三がKO勝ち、“永久寝技地獄”上久保周哉はONE6連勝! ハビブの練習パートナーのイザガクマエフが一本勝ちで「キル・アオキ」と対戦要求(ゴング格闘技)
▼第8試合 ONE世界女子ストロー級(※56.7kg)タイトルマッチ 5分5R
〇ション・ジンナン(中国)56.40kg, 1.0018
[判定3-0]
×三浦彩佳(日本)56.45kg, 1.0160
※ジンナンが6度目防衛に成功

▼第7試合 ムエタイ キャッチウェイト66.45kg 3分3R
×セーマペッチ・フェアテックス(タイ)65.65kg, 1.0087
[1R KO]
○タワンチャイ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)66.45kg, 1.0214

▼第6試合 ONEライト級 5分3R
×ジェームズ・ナカシマ(米国)76.25kg, 1.0124
[2R 2分17秒 ダースチョーク]
〇ザイード・イザガクマエフ(ロシア)76.80kg, 1.0018

▼第5試合 ストロー級 ムエタイ 3分3R
○スーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)56.65kg, 1.0120
[判定2-1]
×エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)56.70kg, 1.0132

▼第4試合 ストロー級 5分3R
〇池田仙三(日本)56.35kg, 1.0191
[3R 2分00秒 KO] ※左ボディ
×エリピツア・シレガー(インドネシア)56.30kg, 1.0031

▼第3試合 ライトヘビー級 キックボクシング 3分3R
×ベイブラット・イスアエフ(ロシア)96.10kg, 1.0136
[1R 0分31秒 KO]※左フック
○ヤニス・ストフォリディス(ギリシャ)101.80kg, 1.0083

▼第2試合 ストロー級 5分3R
〇ティファニー・テオ(シンガポール)56.30kg, 1.0014
[2R 3分45秒 リアネイキドチョーク]
×メン・ボー(中国)56.70kg, 1.0083

▼第1試合 バンタム級 5分3R
〇上久保周哉(日本)64.90kg, 1.0014
[3R 4分36秒 リアネイキドチョーク]
×トロイ・ウォーゼン(米国)65.80kg, 1.0207

 ONE Championshipが1月14日にシンガポール・インドアスタジアムで開催した『ONE: Heavy Hitters』の試合結果。メインイベントの女子ストロー級タイトルマッチはション・ジンナンが三浦彩佳に判定勝ち。仙三はエリピツア・シレガーに3R KO勝ち、上久保周哉はトロイ・ウォーゼンに3Rリアネイキッドチョークで勝利しています。


 エカテリーナ・ヴァンダリーバ、仙三、ザイード・イザガクマエフが5万ドルのボーナスを獲得しています。


 ザイード・イザガクマエフ vs. ジェームズ・ナカシマ ハイライト動画。


 仙三 vs. エリピツア・シレガー ハイライト動画。


 上久保周哉 vs. トロイ・ウォーゼン ハイライト動画。続きを読む・・・
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F1 Gladiator016 MMA MMAPLANET ボクシング 有川直毅 藤田健吾

【Gladiator016】「練習から楽しめているかどうか」グラジ初参戦、藤田健吾と対戦──有川直毅─02─

【写真】MMAPLANET初インタビューの有川。それ基本だなと思わせてもらえる──良いことを言ってくれています(C)NAOKI ARIKAWA

23日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR16のメインイベントで、藤田健吾と対戦する有川直毅のインタビュー後編。

前編では有川が格闘技を始め、プロデビューに至るまでの経緯を語ってもらったが、後編ではプロデビュー以後のファイトスタイル、そして藤田戦について訊いた。

かつて“褐色のパーティーアニマル”と呼ばれた男が求める、アウトボクシングへのロマンとは?

<有川直毅インタビューPart.01はコチラから>


――有川選手はこれまで、打撃を中心としたスタイルで戦っています。20歳で格闘技を始める時、そのスタイルを選択した理由は何かあるのでしょうか。

「打撃のほうが映えるじゃないですか(笑)。もともと須藤元気さんが好きだったんですよ。須藤さんってトリッキーなスタイルで。打撃が好きだけど、殴り合うこともなく」

――そこなんです。有川選手のスタイルの特徴は、アウトボクシングで決して殴り合うことがない。打撃が好きという場合、バチバチの殴り合いを繰り広げる選手も多いですが、有川選手はそのスタイルを徹底しています。

「美学というほどじゃないですけど……足を使って距離を取り、カウンターで仕留めるのが理想です。殴り合って、打たれすぎると選手として寿命も短くなると思いますし。それに、相手のパンチが当たるか当たらないかの距離で、自分が打ちに行く刺激が好きなんです」

――刺激、それこそ有川選手が格闘技に求めたものですよね。

「はい。そのほうが非日常を体感できるというか。やっていて、そういう試合のほうが楽しいんですよね」

――ただ、プロデビュー当初は前に出て、連打でKOする場面もありました。

「ZSTでデビューした頃ですね。当時は、ただただガムシャラに振り回していました」

――それが現在のスタイルに変わったのは、いつ頃でしょうか。

「2019年からパンクラスに出ることが決まってからですね。パンクラスのケージって広いじゃないですか」

――有川選手のアウトボクシングは、ケージ対策だったのですね!

「もともと足を使って動くことはできたんです。でもリングって狭いじゃないですか。すると足を使っていても追い詰められやすいし、それなら自分のほうが詰めていったほうがいいかなと思って」

――なるほど。

「デビューしたての頃は、ガムシャラに振り回して、ただ殴りに行っていたんです、でも、本当の自分を出せていなかったと思います。ケージのほうがやりやすいですね。パンクラスに出る前に1年以上、試合をしていない時があったんですよ」

――ZST時代最後の試合が2017年11月25日で、パンクラス初戦が2019年4月14日……1年半のブランクがありますね。

「その時も手術とかしていて……結果、いろいろ体の部位をかばいながら戦うファイトスタイルを考えました。すると、ようやく自分の武器と向き合えて、もっと自由に戦うことができるようになったんです」

――それでも、今のスタイルで戦いながら、殴りに前へ出たくなることはないですか。

「それはメチャクチャあります。加マーク納戦(2019年12月、判定勝ち)とか、前に行きたかったですね。2Rに相手が流血したり、自分の攻撃が効いているなと思うところもあったので。でも、その試合に勝ったらランキング入りも見えていたので、安全策を取りました。大人になったということですかね(笑)」

――アハハハ。ただ、安全策を取ったことについて、それこそ試合直後に詫びる選手もいますよね。格闘技として勝つために安全策を取ったことを詫びる必要もないかと思うのですが、有川選手の場合はいかがですか。

「今のところ、自分の選択に嘘はなかったと思います。もちろん、そうじゃない戦い方も練習していますから」

――そうした試合を経て、有川選手は現在パンクラスでフライ級4位につけています。ここでグラジエイターに参戦するというのは、キャリアの中でどのような意味を持つと思いますか。

「去年の山中戦(2021年6月、山中憲に判定勝ち)のあと、忙しくて1~2カ月ぐらい練習できない時期があったんですよ。練習を再開したのが11月ぐらいで、その頃にグラジエイターからオファーを頂きました。初参戦なのに良い感じの待遇で迎えてもらって、嬉しいです。メインに出してもらうので、しっかり良い結果を残して、チャンピオンにも挑戦したいですね」

――では対戦相手の藤田健吾選手の印象を教えてください。

「結構打撃が強いイメージがあります。打撃から組んでいくっていう。でも自分とはスピード感が違うと思います。僕のスピードにはついてこられないんじゃないですかね。スペックが全然違うと思うので、あとはカウンターだけ気を付けたいです」

――有川選手の場合、足を使いながらテイクダウンに対する反応も速いですよね。相手が動き始めると同時にテイクダウンディフェンスの体勢に入っていて、組み付かれた時にはもうオーナーフックなりアンダーフックで良い体勢になっていることが多いです。

「その反応には自信があります。意識もしていますけど、感覚的な部分のほうが大きいと思います。その場その場で作っていくタイプなんですよ。反対に自分がテイクダウンに行くこともありますし、相手がやらないフィールドで勝負もする。どの局面でも戦えます」

――初参戦となるグラジで、どのような試合を見せたいですか。

「見ていて面白い作品になれば良いな、って思います。そのためには、試合中に自分がどれだけ楽しめるのか、スリリングな状況の中で面白いことができるか。それで自分の調子も変わってくるんですけど、自分の楽しさを伝えられるような試合になれば、100パーセント勝てます。それは練習から楽しめているかどうか──っていうのも関わってくるんですけど。

――藤田戦を2週間後に控えた今(※取材は1月9日に行われた)、練習を楽しむことはできていますか。

「はい。日々、自分が上がっている感じが楽しいですね。そんな自分の試合を早く見てほしいです」

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F1 Gladiator016 MMA MMAPLANET 有川直毅 藤田健吾

【Gladiator016】グラジ初参戦、藤田健吾と対戦──有川直毅─01─「ジムに行き、ボッコボコにされました」

【写真】戦績は6勝2敗1分の28歳。有川はパンクラス時代にグラジのタイトルコンテンダーだった加マーク納に勝利している (C)NAOKI ARIKAWA

23日(日)、大阪府豊中市の176boxでGLADIATOR16が開催され、メインイベントでグラジエイター初参戦の有川直毅が藤田健吾と対戦する。

2017年にZSTでプロデビューした有川は、2019年からパンクラスに主戦場を移し、昨年12月発表のランキングではフライ級4位につけている。

テイクダウンディフェンスとアウトボクシングを得意とする有川は、敵地・大阪のケージでいかに戦うのか。そんな有川のファイトスタイルを理解するうえで、MMAを始める以前からプロデビューまでの前日譚をお届けしたい。


――有川選手はこれまでZSTとパンクラスで戦い、グラジエイター初参戦となります。また、大阪での試合も初めてですよね。

「はい。ずっと埼玉で暮らしてきて、プライベートでも大阪に行ったのは、今までに1、2回ぐらいだと思います」

――対戦相手の藤田健吾選手は神戸のReliable所属で、これまでグラジエイター参戦経験があります。有川選手にとっては、アウェイでの戦いになるかと思います。

「今のところ、そんなにアウェイとかは感じていないんですけど、自分にとっては良い経験になると思いますね。あまり大阪へ行ったこともないし、旅行がてらサクッと勝ちたいです」

――有川選手はZST時代、“褐色のパーティーアニマル”というキャッチコピーが付けられていました。このキャッチコピーの由来を教えていただけますか。

「アハハハ! キャッチコピーありましたね。肌が黒くて、遊んでいそうだからっていうことでした。確かにパーティーとかも好きだったんですけど。小池さん(小池義信K-PLACE代表)とZSTの担当の方が、そのキャッチコピーを付けてくれて」

――アニマルと付くからには、よほど遊んでいたのでしょうか。

「それは、自分が試合で動物的な動きをするから、っていう意味なんです。勘で動くというか。パーティーが好きっていうのも、みんなでワイワイするのが好きなんですよ。でも格闘技に出会ってからは練習ばかりで、基本的にはパーティーもやっていませんね」

――有川選手が格闘技に出会ったのは、いつ頃のことなのですか。

「20歳になって、21歳になる前だったと思います。それまでは、中学からいろんなスポーツをやっていました。サッカー、陸上、ラグビーとか」

――褐色のパーティーアニマルというニックネームからは想像できない、完全なスポーツマンですね。

「サッカーは中学3年間、陸上は高校2年ぐらいまでやっていました。自分で言うのも恥ずかしいんですけど、身体能力は高いほうで。特に足が速くて、大学に入ってから『足が速いならラグビーをやってみないか』って誘われて、ラグビー部に入ったんです」

――20歳の頃に格闘技を始めたということは、大学のラグビー部は……。

「大学のラグビー部って、名門高校出身の選手がたくさんいるじゃないですか。それを見ながら『俺がいるべきなのは、ココじゃないのかな』って思ったんです。寮生活で、集団行動もすごくしっかりしている部でした。でも、自分はもっと自由にやりたいタイプで、縛られたくないなって思ったんですよ」

――そこで、ラグビー部からは離れたわけですね。

「あと、家に戻らなきゃいけない事情もあって、大学は家から通うようになりました」

――では、格闘技を始めたキッカケは何だったのでしょうか。

「それまでずっとスポーツをやっていて、刺激もあったし、そんな生活が好きでした。でも部活を辞めたあとは刺激もなくなって……。それで前から戦うことには興味があったし、須藤元気さんのことも好きだったので、格闘技を始めようと」

――戦うことが好きだった、とは?

「昔から喧嘩とかしても強いほうだったんで、腕っぷしでは負けないと思ったんです。運動神経にも自信があって、どのスポーツでもレギュラーになれていました。だから俺、いけるっしょ。そう思ってジムに行ったら、ボッコボコにされました(笑)」

――アハハハ、分かりやすいですね。

「そこから格闘技を本気でやろうと思ったんです。格闘技って、やられると心にも体にも痛みが来るじゃないですか。すごく悔しくて。俺、こんなもんじゃないよなって」

――それまで経験してきたスポーツとは違うものを感じたのですか。

「何か違うものがありましたよね。それと僕、体育の教職を持っているんですよ。それで教育実習に行ったんですけど、教師って生徒に夢を語る仕事じゃないですか。なのに、自分自身がいろんなスポーツをやりながら形を残せていなくて。そんな自分が生徒に対して偉そうなこと言えるのかって思ったんです」

――教育実習ということは、ちょうど格闘技を始めた頃ですか。

「はい。その時はまだアマチュアだったんですけど、プロとしてやっていくために就職せず、アルバイトしながら格闘技を続けました、今は応援してくれている人たちのおかげで、飲食店とかやらせてもらっています」

――ただ、有川選手は2013年に全日本アマチュア修斗に出場していて、プロデビューは2017年ですよね。プロデビューまで、それだけの期間を要した理由は何かあったのでしょうか。

「ずっとスポーツをやっていたから、いろんな怪我があったんです。脱臼とか、手術したりとか……それで1、2年ぐらい体を動かすことができない時期もあって。今までにない状況だったので、途中でくじけそうになりました。今までは自分のほうが早く上に行けていたけど、格闘技では周りの人たちが先にプロになっていて。でも、自分は今まで下積みというものがなかったから、ここで下積みを頑張ろうかなと思いました。もう引くに引けなかったので」

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F1

サリサリカリー@盛岡

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待望のサリサリカリーに行ってきました。店舗はなぜか横浜の白楽と岩手の盛岡だけ。テレビ番組ではマツコデラックスが大絶賛。謎と幻想が膨らむお店です。ラッキーな事に盛岡に帰省したその日が年内最終営業日。新幹線を降りたその足で慌てて向かいました。

開店直後だというのに店内はほぼ満席。サリサリ納めをすべく常連さんがこぞってやってきたようです。皆さんそのままお店で食べて、なおかつテイクアウトもしていたのが印象的。自宅でおせちもいいけどカレーもねって事?そんなに美味しいのか。。。ますます期待が広がります。
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席に座ってみるとなんとメニューが見当たらない。キョロキョロしている私をよそに調理を続けるおかみさん。しばらくすると野菜の盛り合わせとカレーが出てきました。どうやらメニューはカレーのセットのみ。座ると同時に出てくるスタイルです。

サリサリカリーの特徴はパキスタン式の無水カレー。水を一切使わず、味付けは塩のみ。トマトやタマネギ、鶏肉から滲み出る旨味とスパイスで完成させる素材重視のシンプルなカレーです。
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物足りないのでは?と思いましたが、実際食べてみて完全に納得。薄味どころか予想以上に濃いめの味付け。本当に塩だけ?過激でジャンクな味付けが大好物な私の舌でも満足させてくれるからホンモノです。

骨付きチキンがホロホロにほぐれるくらいじっくり煮込まれているのが美味さの秘訣か。スパイスがふんだんに効いて凝縮されたルーはこれまで体感した事がない味わい。そりゃマツコも絶賛せるわけだ。

なお、最初に出された野菜の盛り合わせをカレーに混ぜて食べるのもオススメとの事。酸味の効いた野菜がルーをマイルドにしてくれます。シャキシャキした食感が加わるのもまた美味い。
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完食して一息入れたタイミングでホットチャイが出てくるのもまた心憎い。辛さでホットになった口の中と東北の寒さで冷えた身体を優しく癒されました。

噂のサリサリカリーは想像以上の尖り方。盛岡でこんなにエッジの効いたカレーをいただけるとは夢にも思いませんでした。帰省初日にして目的をひとつ達成。美味しい旅はこうして始まりました。
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BELLATOR F1 Fairtex MMA MMAPLANET ONE UFC   キック スタンプ・フェアテックス プレム・フェアテックス ボクシング ルンピニー

【F1】ルンピニーでMMA。プレム・フェアテックスに訊く─02─「2年でタイ人選手をワールドクラスへ」

【写真】タイ人がMMAで強くなれない理由が見つからない。プレムの踏み出した一歩は、すぐにダッシュに変わるのではないだろうか(C)MMAPLANET

16日(日・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでフェアテックス・ファイト・プロモーション主催興行=F1 Rumpinee Fairtex Fight「New Era」では5試合のムエタイ戦に加え、3試合のMMAが実施される。

そんな格闘技の歴史が変わるイベントを目前に控え、フェアテックス・ファイト・プロモーションのプレム・フェアテックス代表のインタビュー後編をお送りしたい。

ムエタイ400年の歴史、MMA27年の歴史が今、変わろうとしている。

<プレム・フェアテックス・インタビューPart.01はコチラから>


──フェアテックスでは練習だけでなく、試合をそのために組んでいくということですね。

「その通りだよ。ONEでは何人かタイ人のMMAファイターが見られるけど、あのビッグステージで戦う前で経験を積む必要がある。その経験がないから、タイ人選手たちはケージで敗れている。

日本でもローカルショーがあって、そこで選手たちは経験を積んでいるじゃないか。タイ人選手は1勝0敗とかで、5勝0敗や6勝1敗の選手と戦う必要がある。そういうタイの新しい世代に経験を積む場を与えたい。タイ人は環境さえ整えば、どのようなファイトスタイルだって貪欲に学ぶ姿勢を持っている。

そしてMMAと交流することで、ムエタイも新しいビジネスを展開できるはずだ。チェンマイにベストジムがあり、プーケットにもベストジムがある。パタヤにはフェアテックスがある。ムエタイの人間がMMAに扉を開ければ、世界中から多くの選手が集まりキャンプを張り、生活の拠点を置くケースも出てくる。

タイ人ファイターにとっては、他の国と同様にONEという目指す舞台が存在する。他のプロモーションでアジア人ファイターをそこまで登用することはない。だけどONEはアジア人ファイターにとって新しい場を創った。ONEではタイで戦っているのとは別次元の条件で試合ができる。新しい夢をファイターに与えてくれたんだ。

スタンプはタイでは6000バーツ(約2万700円)で戦っていた。彼女は引退しようと考えていたんだ。ムエタイでは生活できなくて、仕事をしないといけなかった。ONEはそんな彼女にとって、ファイトで生きていける機会を与えたんだ。彼女はそのチャンスを生かした。ムエタイ、キックボクシングで成功し、MMAを3試合戦うことで1年間に100万バーツ(約350万円)を稼げるようになったんだよ(※タイの平均年収は140万円程度)。

自分が生きていくだけでなく、ファミリーを支えることができている。人生が変わった。。スタンプは人々が思い描く人生の手本を見せている──皆が「自分だって、デキる」と思うようになったことはとても大きいよ」

──スタンプに続け──と。

「そのためにも私のショーは賭けの対象ではなくて、誰もが楽しめるエンターテインメントにしたい。演出にも力を入れ、何よりもジャッジをフェアにする。試合もアクションを増やし、これまでムエタイを見ていた層とは違う人々が観られるモノにしていくつもりだよ」

──ONEなどグローバルステージにタイ人MMAファイターをステップアップさせるためのショーということですが、リングとケージのどちらを使用するのですか。

「最初はリングを使わないといけない。タイの格闘技はリングとともにある。何よりムエタイ産業を尊重しないといけないからね。1年、2年と順調にショーが発展していけばルンピニーとは違う会場でケージを使うことを考えているよ。

リングとケージは違うという意見は分かっている。ただONEもケージとリングを併用していたように、我々もその2つの舞台を並行して活用していくことは可能だと考えているんだ。

タイ人選手と同じようなキャリアの外国人選手を招聘したい。アジアはMMAの巨大市場だ。コロナパンデミックの動向次第だけど、日本にもフェアテックスはパートナーがいるから、日本人選手もルンピニーに呼びたいんだ」

──おお、素晴らしいです。

「楽天を通して、フェアテックスのファイトギアも日本で購入できるようになった。フィリピンでもフェアテックスの需要は高まっているし、韓国もそうなりつつある」

──日本でも既にフェアテックスの道具は広まっていると思いますが、ファイトショップでなく楽天で購入できるのは大きいですね。

「そうなんだよ。そういう需要があると、日本人選手をタイに呼ぶ追い風になる」

──そのMMAルールはONE方式を踏襲するということでしょうか。ルールやクラスなどは。

「そうだね。ただ体重や計量に関しては、タイ人ファイターはハイドレーションに不慣れだから、これまでの慣例に則してやっていく。半年ぐらい様子を見て、ONEが選手の健康を守るために実施した計量方法を採り入れることができればと思う。

フェアテックスとONEは10年間に及ぶ協力関係がある。チャトリとの関係もあるし、選手をONEにステップアップさせたいのは当然のことだよね。ただし、ONEだけでなく米国でUFCやBellatorで戦えるようにしたい。とはいえ、最初のステップはフェアテックスのショーからONEに選手を送り出すことだよ」

──いやぁ、本当に歴史が変わりますね。仮にルンピニー・スタジアムMMAチャンピオンなんて誕生すると、鳥肌モノです。

「もちろんベルトは創るし、ランキングも作成していくことになるよ。ルンピニーにおけるMMAの歴史を創っていくんだ」

──WOW!! 月に2回、ルンピニーでMMAが組まれるなら、その日が訪れるのも遠くないですね。

「若い世代はMMAで戦うことにより興味を持っているからね。MMAには世界的なステージが存在している。収入面でも、人生を変えることができるチャンスがMMAにはある。そしてルンピニーとフェアテックスの協力関係は、この想いを後押しできる」

──スタンプ・フェアテックス、ローマ・ルックンブミー、アム・ザ・ロケットは世界を舞台に戦える選手たちです。一方でムエタイがこれだけ強いタイから、そのような選手は誕生していません。デイダムロン・ソーアミュアイシルチョークに続く選手は現れていないです。

(C)ONE

「2年だ。2年間、時間を与えてほしい。

立ち技の基礎のあるファイターが、MMAの練習をして、試合をしていけば世界で戦えるようになる。ヨッカイカーを見てほしい。彼は4年間、柔術の練習をしてきた。日本のファンは色々と思うところもあるだろうけど、タツミツ・ワダと互角の試合をした。とにかくタイ人選手のグラウンドのスキルをあげること。それが最も大切なことだよ。2年後、もっと多くのタイ人ファイターが国際的な舞台で戦っているだろう──それが私の願いだよ。

80キロや90キロは難しいけど、タイの軽量級MMAファイターや女子選手は世界のトップになるポテンシャルを持っている。それは絶対だ」

──いやぁ非常に楽しみですが、韓国、フィリピン、中国に次ぎタイ人選手まで強くなると本当に日本人MMAファイターにはアジアで勝つこと自体が、非常に困難になってきますね……。

「私からすれば、そうなることを楽しみにしている。そのためのルンピニーでのMMAマッチだし、ここで試合があることで選手たちがシリアスに組み技を学び、ディフェンスの大切さを知ることになるに違いない。

(C)ONE

スタンプがレスリング、テイクダウンディフェンスの重要性を既に見せ、そこが成長したことでどれだけMMAが戦えるようになったかを示している。

寝技に対応でき、立ち上がることができるようになれば、タイ人ファイターは無敵だ。そして1月16日に──日本だけでなく、他の国に追いつくための第一歩が踏み出されようとしているんだよ」

■視聴方法(予定)
1月16日(日)
午後8時00分~Fairtex Facebook
             
■対戦カード

<50キロ契約/5分3R>
ジェイダ・キャトリー(豪州)
アピデー・フェアテックス(タイ)

<バンタム級/5分3R>
ピーター・ダニソー(タイ)
ザンニャル・ハッサニ(イラン)

<ライト級/5分3R>
クイティン・トーマス(米国)
エリス・コップ(ドイツ)

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