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【DWCS S08 Ep05】アデサニャ&アルバーグに続け、ステーリングが契約。岩﨑に勝ったベルガウイは不合格

<ライトヘビー級/5分3R>
ナバホ・ステーリング(ニュージーランド)
Def.2R2分21秒by TKO
フィリップ・ラトゥ(米国)

コメインのコディ・スティール×ケムエウ・オットーニ戦が後者の欠場で、4試合となった今大会。豪州HEX FSライトヘビー級王者のキウイファイター=ステーリングが、ジャブから右ローを蹴る。ラトゥも左インローを蹴るが、ステーリングは下から顔面を蹴り、右ボディストレートを決める。ラトゥは蹴り足をキャッチするが、リリースしつつ放ったパンチは空振りに。前蹴りでリズムを刻み、ワンツーで右オーバーハンドを狙ったステーリングだったが、ここは距離が合わない。ラトゥも右を振るい、圧を掛けようとする。

ステーリングはここも前蹴りがワンツーも、直後にラトゥの左を被弾。右カーフで姿勢を乱したラトゥだったが、ワンツーで前に出る。ジャブ、ボディストレートを繰り出したラトゥは、ステーリングの踏み込みに右をカウンターで合わせようとする。そのまま組んだステーリングがシングルレッグを仕掛ける。倒れないラトゥにヒザ、そしてヒジを入れたステーリングがダブルレッグで十分に形になったラトゥが絶え、アッパーボディロックから投げを打つ。頭がすっぽ抜けたステーリングは、急ぎ立ち上がると打撃の間合いに。互いにクリーンヒットがないまま時間となった。

2R、まず右カーフを2度、そして右ハイを蹴ったステーリング。ジャブ&ボディと前手で攻撃を試みるラトゥの腹にストレートを入れる。さらにワンツーの右ストレート、インローと正確な攻撃を繰り出すステーリングは、左ジャブを被弾して目を気にする。詰めるラトゥはボディを殴り、ワンツーで前に出て右を当てる。ここでラトゥはシングルレッグも、切ったステーリングが首相撲からヒザ蹴り、そしてヒジを入れる。

間を取り直してワンツーのステーリングが右から左の返しで、左フックを放ったラトゥの顔面を打ち抜く。この一発でステーリングがKO勝ちを決めた。King of RING王者からMMAへというイエスラル・アデサニャ、カーロス・アルバーグと同じ道を進むステーリングは「左サイドのから攻撃は、肩が凄く下がっていたから狙っていた。右で倒すことも考えていたんだけどね。2人のアニキに続いて、MMAで戦いたい」と勝者は話した。

ダナ・ホワイトは試合が流れたコディ・スティールに他の機会を与えることを約束し、まずニコーリ・カリアーリとの契約を発表。続いて「オタール・タンジロヴィが勝ったと思ったけど、ジョジアス・ムサザの方が興味深かった。本当にまだグリーンだけど」とうことでサインへ。

しかし、岩﨑大河を破ったユースリ・ベルガウイは「何度もアイポークがあった。今日のファイトでは興味はない」とバッサリと切って落とした。そしてステーリングを「今夜のベストガイ」というUFC昇格を名言した。


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45 DWCS DWCS S08 DWCS S08 Ep05 MMA MMAPLANET o UFC ユースリ・ベルガウイ 岩﨑大河

【DWCS S08 Ep05】果敢に前に出た岩﨑大河だが、ベルガウイのヒザ&ボディストレートにTKO負け

【写真】傷つきながら距離をつめても、このヒザに行くてを阻まれた(C)Zuffa/UFC

<ミドル級/5分3R>
ユースリ・ベルガウイ(オランダ)
Def.3R2分34秒by TKO
岩﨑大河(日本)

岩﨑は+800のアンダードッグ。左右にステップを踏む岩﨑が様子見の左ハイを繰り出す。ベルガウイはジャブを伸ばし、岩﨑の蹴りをかわす。ジャブに左ローを蹴った岩﨑は右ストレートを右に回ってかわす。カーフを蹴ったベルガウイは、岩﨑のステップインをバックステップで対応し、カウンターを狙う。ジャブを2つ被弾した岩﨑は、その後もジャブを打たれる。岩﨑のステップインも構えを変えて対応するベルガウイ。

最初の組みの展開は、押し込んだ岩﨑が自ら間合いを取り直す。ジャブ、カーフを入れるベルガウイが右前蹴りをボディに決める。岩﨑も右ミドルを蹴るが、距離をあっていない。と、岩﨑のステップインに指を伸ばしたベルガウイ。ここで一旦、試合が止まる。再開後、前蹴りで尻もちをつかせた岩﨑が組むが、ベルガウイがボディをヒザに突き上げる。エルボーから離れた岩﨑、再びアイポークがあったとブレイクが入る。リスタート後、前に出た岩﨑だが右ボディを受け、右エルボーを受けそうに。一旦離れた岩﨑は、近い距離でヒザを受ける場面が多い。と、岩﨑は前進に右を受け、続くヒザをキャッチしたものの初回を落とした。

2R、最初のハイを空振りした岩﨑は右から左を打たれる。カーフにも果敢に前に出るが、距離を詰め切れない。それでも前に出る岩﨑の顔面をベルガウイの左が襲う、ヒザとローも続く。岩﨑は組んでケージにベルガウイを押し込むと、スリップしたところでバックを伺う。ベルガウイがすぐに正対し、試合は打撃の間合いに戻る。左で飛び込む岩﨑だが、これも距離が合わない。

それでもヒザのタイミングで右を振るった岩﨑は、再び組んでケージへ。ベルガウイがヒザを2発突き上げ、右エルボーを打ち込む。岩﨑はここも組みを選択するが、詰め切れず離れたところでヒザ蹴り、右を被弾。ベルガウイが首相撲からヒザを続け、アッパーと岩﨑を追い込んでいく。クリンチに持ち込んでも、その先がない岩﨑だったが、ベルガウイがまたもバランスを崩したところで右を打って組みつく。と、組んでヒザというベルガウイの攻撃の際に、またもアイポークがあり3度目のブレイクに。

ここでベルガウイにペナルティ、マイナス1Pという判断が下る。いずれにせよ、試合内容として、UFCへの道が厳しくなる5分間だった。

最終回、後がない岩﨑は距離を詰める。スイッチして蹴りを繰り出そうとするが、パンチを受けると動きが止まってしまう。それでも蹴りやパンチから、組みにいく岩﨑が組んでバックに。スピニングバックエルボー狙いから正対したベルガウイは、その後も打撃の間合いでジャブ、ヒザと攻勢を維持し、組まれてもオーバーフックでヒザを突き刺す。腹へのヒザが聞いて動きが止まった岩﨑は下がるところに跳びヒザを顔面に受ける。さらに右を打たれ、ケージに詰まったところでボディを効かされると、右ストレートを射抜かれる。岩﨑はヒザをつき、TKO負けとなった。


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45 DWCS DWCS S08 Ep05 Report UFC オタール・タンジロヴィ ジョジアス・ムサザ ブログ

【DWCS S08 Ep05】ケージ際の攻防が多かった熱闘。ムサザがタンジロヴィからキャリア初の判定勝ち

<バンタム級/5分3R>
ジョジアス・ムサザ(コンゴ民主共和国)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29
オタール・タンジロヴィ(ジョージア)

すぐに右ローを蹴ったムサザに対し、タンジロヴィは右の蹴りを返す。右ストレートから組んでテイクダウンを奪ったタンジロヴィは、立ち上がったムサザに対しシングルに入りボディロックでケージに押し込む。離れたタンジロヴィは右の相打ちで一旦間を取り、右ハイを繰り出す。この相打ちで質量が落ちた感のあるタンジロヴィは、ワンツーをかわすが組まれてケージに押し込まれる。

離れたムサザは右を貰い、ワンツーを受けそうになっても構わず圧を高める。ワンツーの右を当てたムサザは、直後にシングルレッグにも即スクランブルに持ち込み体を入れ替えてケージにタンジロヴィを押し込む。回って離れたタンジロヴィはワンツーの勢いに下がってヒザを狙う。と、同時にヒザを放ったムサザの蹴りが急所に入り試合が中断する。

再開後、右ボディを蹴られたムサザがそれでも前に出てパンチを振るう。ムサザは組んで攻勢になることはないが、防御はしっかりとデキており荒々しさも良い程度に収まっていた。

2R、タンジロヴィのスピニングバックフィストをかわしたムサザが右を伸ばして組みつく。離れたムサザは左右のフックからボディ、組んだタンジロヴィがボディロックテイクダウを決める。背中をつけたムサザは、直ぐにケージを利して立ち上がると互いにヒザを腹に突き上げる。間合いを取ったタンジロヴィがワンツー、続いて右ハイを繰り出す。

タンジロヴィはワンツーを再び入れ、ムサザの右をスウェイでかわす。組まれたムサザは払い腰を耐えると、左右のパンチを連続で放つ。タンジロヴィも右を見せて位置を変えると、シングルレッグへ。切ったムサザが逆に押し込んでヒザを突き上げる。タンジロヴィもヒザを顔面に入れる。試合は打撃の展開から即クリンチという展開が増え──最終ラウンドへ。

3R、タッチグローブから左ローを時間差攻撃のように入れたタンジロヴィが、シングルレッグでテイクダウン。スクランブルで背中を取る。ケージ際に移動したムサザは胸を合わせて体を入れ替えて離れる。タンジロヴィが右を入れ、ムサザは左ボディ。手数と勢いはムサザ、精度はタンジロヴィという打撃の攻防は如何に評価されるか。

そして試合の大半を占めるクリンチの攻防で、今後はタンジロヴィの足がムサザの急所に入る。リスタート後、2度目の右ハイをキャッチしたムサザがバックに回り、パンチから強引にRNCへ。足で体を制しておらず、難なく防いだタンジロヴィが正対してヒザをボディに突き上げる。ヒザからコンビでダブルレッグを見せたタンジロヴィだが、ムサザは右腕を差して防ぐ。徹底して組み続けるタンジロヴィに対し、ムサザが逆にケージに押し込む場面も少なくない。

残り1分、クリンチから離れるとムサザの左にタンジロヴィがテイクダウンを合わせようとして切られる。ビックポイント、クリーンヒットがなかった15分間、ジャッジの評価は割れムサザに凱歌が挙がった──が、UFC首脳はどのように判断するだろうか。


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45 DWCS DWCS S08 DWCS S08 Ep05 MMA MMAPLANET o コリンヌ・ラフランボワーズ ニコーリ・カリアーニ

【DWCS S08 Ep05】ニコーリ・カリアーニが、見事な肩抜き後転腕十字でラフランボワーズを破る

<女子フライ級/5分3R>
ニコーリ・カリアーリ(ブラジル)
Def.1R4分45秒by 腕十字
コリンヌ・ラフランボワーズ(カナダ)

前に出るラフランボワーズだが、カリアーリが待ち受けて細かいコンビネーションを繰り出す。そこから組んだカリアーリがケージにラフランボワーズを押し込んでボディロックテイクダウンを奪う。右のパンチを落としたカリアーリは自らスタンドへ戻る。ラフランボワーズはここも果敢に前に出ていく。序盤と同じように前に出て殴られたラフランボワーズはクリンチに持ち込むが、払い腰で豪快に投げられる。ラフランボワーズはクローズドガードを捌かれると、横三角を狙う。頭を抜いたカリアーリがシングルを狙うと、切ったラフランボワーズがクルスフィクスに取り、エルボーを打っていく。腰を上げて逃げようとするカリアーリはバックを許さずに正対して立ちあがるも、ボディロックからバックを許しテイクダウンを奪われる。

腰を切ったカリアーリは首抜き後転から腕十字、腹ばいになりラフランボワーズの左腕を取り直す。ここでラフランボワーズが声を挙げレフェリーが試合を止めた。カリアーリはバックステージインタビューで「父から本当に幼い時よりマーシャルアーツを習ってきた。チームの皆の1日、1日があってこの機会を得ることができた。私の半生の結晶で、皆で手にした幸福」と話した。


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【DWCS S08 Ep05】岩﨑大河以外にもCJJ世界王者スティール & born and raisedアフリカ=ムサザに注目

【写真】結果としてヒザ十字に取られた──ムーンサルトパスは健在か?! (C)Zuffa/UFC

10日(火・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるDWCS S08 Ep05は、日本から岩﨑大河が出場しユースリ・ベルガウイと対戦することで国内でも一際注目度の高いコンテンダーシリーズとなっている。
Text by Manabu Takashima

待望の日本人ファイターが出場する同大会だが、この他のメンバーも当然のように注目すべきファイターが見られる。その筆頭格がケムエウ・オットーニと対戦するコディ・スティールだ。


チェックマット系ブラジリアン・ファイトファクトリーでホドリゴ・カプラルに師事したスティールは、色帯時代から地域オープントーナメントで結果を残し脚光を浴びる柔術家だった。

ノーギワールズでは紫帯と茶帯時代に準優勝を果たしており、2019年にはコンバット柔術ウェルター級GPを制している。極めよりもオーバータイムでの強さが印象深いスティールだが、バック宙をしてパスを狙うムーンサルト・パスガードを仕掛けるなど、爆発力のあるグラップラーだ。

エドウィン・ナジミに勝利するなどグラップリングシーンで実力を見せてきたスティールは、2022年2月にMMAデビューを飾ると2年半の間に6試合、全てFury FCで戦い3つのTKO勝ちと一つの一本勝ちをしている。

打撃は粗いが力強く、何より積極的だ。至近距離でもすぐに組みつかずフックやアッパーとパンチを多用している。テイクダウンもボディロックから後方へのスープレックスなど、豪快な技を使う傾向も強い。それ故にスタミナ面で不安な部分も残るが──スタミナ温存をしていては契約が見えてこないコンテンダーシリーズという舞台は、スティールに合っている。

対するケムエウ・オットーニはJungle Fightのウェルター級王者で、攻めへの意識が防御よりも完全に高い。

ガードの意識は少ないが、真っ向勝負で打撃戦を繰り広げる。肩が柔らかくリーチ以上に伸びるパンチの持ち主オットーニに、スティールが強気の打撃戦からテイクダウンを仕掛けることができるのか。その辺りが見所となろう。

もう1人、興味深いのがコンゴ民主共和国から参戦のジョジアス・ムサザだ。ジョージアのオタール・タンジロフと対戦するムサザはキャリア7勝0敗、その全てがKO勝ちで1Rでの勝利は6試合に及ぶ。

まさにコンテンダーシリーズに出場するためといえる戦績の持ち主は、いくつか確認できる試合映像では当然のようにとにかくパワフルで左右のパンチでKOを奪うことができるファイターだ。

とはいえ、対戦相手が未知数というのも事実。それでもムサザが注目に値するのが、彼はここまでの7試合をコンゴ民主共和国、ナイジェリア、そしてエジプトとアラビック世界にこそ足を踏み入れてはいるが、全ての試合をアフリカ大陸だけで戦ってきたことだ。

しかも、アフリカのMMAをリードする南アフリカで戦ったこともない。粗削りの原石がダイヤモンドなのか、石ころなのかは分からない。

それだけに上段への蹴り、ヒザ、レスリング、そして倒せるボディショットを持つタンジロフという研磨機が、その真実を白日のもとにさらすことになる。

■視聴方法(予定)
9月11日(水・日本時間)
午前9時~UFC FIGHT PASS


■DWCS S08 Ep05対戦カード

<ライトヘビー級/5分3R>
ナバホ・ステーリング(ニュージーランド)
フィリップ・ラトゥ(米国)

<ライト級/5分3R>
コディ・スティール(米国)
ケムエウ・オットーニ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
岩﨑大河(日本)
ユースリ・ベルガウイ(オランダ)

<バンタム級/5分3R>
オタール・タンジロフ(ジョージア)
ジョジアス・ムサザ(コンゴ民主共和国)

<女子級/5分3R>
コリンヌ・ラフランボワーズ(豪州)
ニコーリ・カリアーリ(ブラジル)

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【DWCS S08 Ep05】UFC契約を賭けたベルガウイ戦へ、岩﨑大河「今回は勝ちに徹しようと思っています」

【写真】渡米後のインタビューに、いつもの大河スマイル(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日(水・日本時間)、米国ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるDWCS S08 Ep05で、岩﨑大河がユースリ・ベルガウイと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

岩﨑にとっては昨年9月のキム・ウンス戦以来、1年振りの試合がUFCとの契約を賭けたDWCS出場となった。対戦相手のベルガウイはキックボクサー時代、2017年にはGLORYのミドル級トーナメントを制している。さらにGLORYでは現UFC世界ライトヘビー級王者のアレックス・ポアタン・シウバにも勝利したキャリアを持つ。今回2度目のDWCSチャレンジとなるベルガウイと、ABEMA TVの武者修行プロジェクトを経て成長したという岩﨑が戦う。UFC2から30年――あの浪漫を求めて。


ちょうどCMMAで同じようなタイプの選手と練習していた

——昨年9月以来、1年振りの試合を控えている岩﨑選手です。この期間は、UFCとの契約あるいはDWCS出場を調整していたのでしょうか。

「いえ、そういうわけではないんです。ABEMA TVさんの武者修行プロジェクトに参加させてもらったり、修斗さんから何度もオファーを頂いていましたけど、いろいろ重なって——試合が決まらずに1年経ってしまいました」

——岩﨑選手の中で、1年も試合間隔が空いたことに対して、それほど特別に捉えているわけではないのですね。

「知らない間に1年経っちゃった、という感じです(苦笑)」

——なるほど。ではまずABEMA TVの武者修行プロジェクトの感想から教えてください。

「日本と米国ではMMAのロジックが違うというか。そのロジックを学ぶために、以前から米国で練習してみたいと思っていました。ABEMA TVさんのおかげで、ビクター・ヘンリーがいるカリフォルニアのCMMAというジムに行かせてもらえて良かったです」

——日本と米国でMMAのロジックが違うというのは、何が一番大きく違いましたか。

「自分も言葉で説明するのは難しいけど、根本の考え方が違いますよね。米国では皆が、MMAで一番主にしているところが、どこにあるか。そこに重きを置いている感じで。まず全員レスリングができるのはマストで、テイクダウンできることがベスト。そのための壁際の練習をやっていると思います。

たとえば日本でストライカーなら倒されない、あるいは倒されてからの展開からスタートする部分があります。しかも練習中に抽象的な言葉が飛びがちで。米国では一つひとつの要素がチェーンとして繋がっているというか。『米国の選手は、こうやってMMAの構造を考えているんだな』って知りましたね。ちゃんとMMAを勉強しながらMMAをやっているんだと思います」

——キリクリフFCで練習している木下憂朔選手も仰っていますが、どのようなスタイルで戦おうとも、まずはレスリングが根本にあるわけですね。

「第一にレスリングで、レスリングに合わせた打撃を学ぶ。レスリングができれば打撃も生きる、という考えですよね」

——全てレスリングありきで各技術が構築されていくわけですか。

「自分がレスリング出身でなくても、とにかくジムでレスリングの練習をやりますから。日本だと20歳を越えたり大学を卒業すると、なかなかレスリングをイチから学べる環境がないんですよ。それが米国では、MMAのジムで一からレスリングを学ぶことができる。腕の取り方、テイクダウンの入り方から、すごく細かい技術まで教えてもらえたのは良かったです」

——その武者修行プロジェクトを経て、今回のDWCS出場は急きょ決まった話だったのでしょうか。

「まず武者修行プロジェクトに行かせてもらった時、現地のコーチに米国のマネジメント会社を紹介してもらったんです。そこで『UFCを目指している』と言ったら、『じゃあDWCSに出られるよう交渉しよう』という話になって。

だけど8月に入ってDWCSが始まり、カードも埋まっているから諦めます——と伝えた1週間後に、マネジメント会社から『DWCSに欠員が出た!』と連絡が来ました。そういった経緯で自分を代役に選んでもらえたのが、今から1カ月ぐらい前です」

——DWCSを諦めると決めた時点では、もう今後の試合スケジュールを考えていたのですか。

「そろそろ試合しないと、もう1年経っちゃうなという感じで。そうなると自分の仕事は何なのか、って話になってしまいますからね。だからDWCS以外で交渉しようと思っていたところで。個人的には3月から5月まで米国で練習させてもらい、海外勢のフィジカルやMMAのスタイルを肌で感じました。そこから帰国して日本で練習しながら、いつでもDWCSに挑戦できるように準備はしていました。

それと対戦相手の映像を視ると、ちょうどCMMAで同じようなタイプの選手と練習していたんです。スパーリングではその選手に勝っていたと思うし、これは行けるかなと。実際に試合をしてみないと分からないですけど、いろんな伏線が繋がって準備はできていました。おかげで気持ちにも余裕はできていますね」

出場を躊躇していると、ずっと足踏みし続けるMMA人生になってしまう

——CMMAで一緒に練習していた選手というのは?

「ルイス・フランシスコネリというブラジルのウェルター級ファイターで、LFAで4戦4勝——全て1R KO勝ちしていますね。LFA側からも期待されていて、次はメインカードに出るかもしれないと言っていました。今回も自分は早めに渡米して、ルイスと調整しています。身長が198センチ、リーチは235センチぐらいあって」

——ベルガウイ対策としてはピッタリの練習相手ですね! 現在UFCと契約するにはRoad to UFCかDWCSから、という形が多くなっています。日本人選手でも、いきなりUFC本戦出場となった平良達郎選手と朝倉海選手は例外で。

「最初はRTUでワンマッチを組んでもらえるかどうか交渉してみようか、という話もあったんです。でもアジアのRTUは重い階級の試合はやらない、という方向性みたいで。だったらDWCSに狙いを絞ろうということになりました」

——今年のRTUはライト級もワンマッチのみでしたし、ウェルター級以上はワンマッチを組むことすら無さそうですね。とはいえ、RTUとDWCSでは仕組みが大きく異なります。どんな内容でもトーナメントで優勝すればUFCと契約できるRTUに対して、DWCSでは勝利だけでなく試合内容のインパクトも求められる傾向にあります。

「それは分かります。もちろんフィニッシュしたほうが契約してもらいやすい。でも相手は去年のDWCSにも出ていて、組みで負けているじゃないですか。今回は2度目のチャレンジで――もともとベルガウイと対戦する予定だったという選手の試合映像を視たら、僕と同じストライカーでした。だからUFCとしては、今回ベルガウイと契約したいのではないかと思ったんですよ(笑)。

その印象を周りの人たちに伝えたら、みんな『たぶんそうなんだろうね』と言っていて。だから僕がベルガウイにサブミッションで勝っても、UFCとは契約できないんじゃないか。KOでないと契約できない、というぐらいに考えていますね」

——ベルガウイはGLORY時代に対戦しているポアタンとアデサニャに続く、第3のキックボクシング出身ファイターとして期待されているかもしれません。この2選手と同じように身長が高く、リーチが長くてKOも多い。

「しかもGLORYでポアタンに勝ったことがありますからね。その実績だけでも、プロモーター側からすれば欲しい選手だというのも分かるんです」

——昨年のDWCSでマルコ・トゥーリオはベルガウイに判定勝ちを収めたもののUFCと契約できませんでした。しかし今年8月、2度目のチャレンジでKO勝ちして契約に至っています。ということは、昨年のトゥーリオのような勝ち方では契約できない可能性が高いです。

「本当に分かりやすいです。でも個人的には、勝ちに徹しようと思っています。たとえば序盤にバックを奪って、ボディクラッチで相手は動けない。だったら残りの時間はずっとその状態でいたいですね。

正直言うと、自分はどんな試合内容でも今回は契約してくれないと思っています。でも勝てば来年もDWCSに出場できる可能性がある。その場合は、自分と契約したいためのカードになっているかもしれないですよね。その試合のために、また1年頑張れば良い。

僕としては今回、このレベルの相手に対して自分がどれぐらい通用するのか。それが分かれば良いと考えているんですよ」

――なるほど。考えてみれば北米MMAと自分の現在のレベルを比較できる相手といえば、IGFで対戦したハファエル・ロバトJrのみでした。

「しかも海外でMMAの試合に出るのは今回が初で。だからって出場を躊躇していると、ずっと足踏みし続けるMMA人生になってしまうと思うんです。ここで一回ステップアップできるなら挑戦したい、という気持ちでいます」

——翌週にはパンクラスのミドル級KOP、内藤由良選手もDWCSに臨みます。同じ階級の日本人ファイターとして意識するようなこともないですか。

「ないです。同じ日本人ファイターである、というだけで。今回UFCは内藤選手と契約したいマッチアップなのかな、とも思っています。それだけ立場が違うなかで比べても仕方ないですよね。自分は自分であって」

UFC2から30年の時を経て、再び大道塾の選手がオクタゴンに入る

——DWCSの試合を目前に控えて、それだけ自分自身のことを客観視できていることも凄いですね。

「いえいえ(苦笑)。いわばUFCはプロモーターとしてプロフェッショナルであり、こちらもプロのファイターとして自分に何がもとめられているかは理解しないといけないと思うんですよ。今回、自分の立場は相手を立てるための脇役だと考えています。そこで僕が勝ったりすると、視ている側としても面白いでしょうし。

もちろん自分が一番欲しいものは、UFCとの契約です。UFC2から30年の時を経て、再び大道塾の選手がオクタゴンに入るということを大切にしたかったです」

——UFC2から30年! その言葉を聴くと、格闘技ファンの気持ちが蘇ってきます。以前、オクタゴンのスポンサーバナーに「KUDO」という文字が見えた時は興奮しました。「KUDO」が何の会社かは分かりませんが……。

「自分も視ていて気になりました! 調べてみると飲食関連の会社みたいですね。詳しいことは分からないのですが」

——そうだったのですね(笑)。では対戦するベルガウイの印象を教えてください。

「好き嫌いがハッキリしている選手ですよね。距離を取って打撃で戦うのは好きだけど、距離を詰められるのは嫌い。自分にとって気持ち良いことを続けたい選手だと思います。それはキック時代から今のMMAに至るまで変わっていなくて――。僕も20年、格闘技をやっているから分かるんです。長い期間をかけて染みついたものは消えない。なかなか新しいスタイルに変えるのは難しいですよね」

——昨年のトゥーリオ戦でも、打撃の圧をかけられたら極端に手数が減っていました。

「たぶん打撃面がしっかりしているからこそ分かる部分ってあるんですよ。打撃を知らない人のほうが、プレッシャーをかけられても無視して打ち返してきたりとか。でも——自分もそうですけど、打撃の間合いが大切だと分かるからこそ、間合いを保とうとしてしまうところがある。そういう意味ではメチャクチャ分かりやすいです。それとグラップリングは何もやっていないんじゃないか、というレベルで。ただフレームが大きいので、そこは気にしないといけないです」

——そのベルガウイを相手に、遠い間合いで待つのはリスクがあります。となると至近距離で戦うことになるのでしょうか。

「自分もリーチが長いわけではないし、かといってパンチをよく使うタイプではないので、近い距離で組むチャンスを探すことにはなると思います。また日本人選手がUFCと契約することが増えてきたなかで、まだ中量級の選手は少ないです。そんななかで自分がUFCとの契約を目指して頑張ります」

■視聴方法(予定)
9月11日(水・日本時間)
午前9時00分~UFC FIGHT PASS

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