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DWCS o UFC カーティス・ブレイズ トム・アスピナル マルチン・ティブラ

UFC311:第10試合・ジャイルトン・アウメイダ vs. セルゲイ・スピバック

ヘビー級。アウメイダ6位、スピバック7位。

アウメイダはDWCSにはライトヘビー級で出場し、UFC契約当初もライトヘビー級だったが、その後ヘビー級に転向。ヘビー級としては小柄で、スピードとテイクダウンしてのグラウンドテクニックで勝負する選手。UFCデビューから6連勝していたが、カーティス・ブレイズにはタックルを受け止められたところにパンチを打ち込まれて効かされ、2RKO負けでUFC初黒星を喫した。前戦は下位ランカーのアレクサンドル・ロマノフとの対戦で、いつも通りテイクダウンを奪うと、バックマウントを奪ってのチョークで一本勝ち。33歳。

スピバックはテイクダウンからのパウンドが武器で、UFC8勝4敗。前戦はかつて判定負けしたマルチン・ティブラとの再戦で、テイクダウンからバックを狙ったところで下に落とされたものの、ガードからの腕十字でタップを奪いリベンジに成功している。ヘビー級ランカー最年少の29歳。

スピバックはいつも110kg前後で計量をクリアしているが、今回は絞ってきており105.7kg。アウメイダは106.6kgで、ヘビー級では初めて相手より重い体重での試合となる。

サウスポーのアウメイダにオーソドックスのスピバック。ジャブで距離を測るスピバックに対し、アウメイダもオーソドックスにスイッチ。四つに組んだスピバックが体落としでテイクダウン。すぐにガードを取るアウメイダ。ガードで両腕をカンヌキに捕らえてフックスイープを狙ったアウメイダだが、スピバックこらえた。インサイドからヒジを打ち込むスピバック。打ち込みながらハーフに。アウメイダは潜ってスイープ。上を取った。ハーフから足を抜いてマウントに。パウンドを入れるとスピバックがアウメイダの左腕を両手で掴んで前に落とそうとするが、バックキープするアウメイダ。しかしスピバックが反転して上を取り返した。ガードの中から左右のパウンドを連打するスピバック。アウメイダスイープで返してスタンドに。アウメイダ右ストレートから右アッパーをヒット。ケージを背負ってガードを固めたスピバックにパンチを連打するとタックル。テイクダウンしてマウント。ケージを蹴って逃れようとしたスピバックだが、アウメイダはバックに回り体を伸ばしてパウンドを打ち込む。残り10秒の拍子木が鳴るが、体を伸ばされ身動きが取れないまま打たれるスピバックを見てレフェリーストップ!

1R4分53秒、TKOでアウメイダ勝利。

アウメイダ「レッツゴー、ラスベガス!ごめん、ロサンゼルスだったね。LAのみんなのためにいい試合を届けたかった。ボーナスが欲しいな。シリル・ガーン、逃げるな!ガーン以外なら、トム・アスピナルと戦いたい」

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45 DWCS MMA MMAPLANET o UFC UFC311 キック クレイトン・カーペンター タジル・ウランベコフ

【UFC311】無敗カーペンターをTDで封じこめたカーペンターは、世界王者パントージャへの挑戦をアピール

<フライ級/5分3R>
タジル・ウランベコフ(ロシア)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28.
クレイトン・カーペンター(米国)

身長で上回るウランベコフに対し、カーペンターが左ジャブを突く。ウランベコフは右カーフ。カーペンターの左ジャブに右を被せるが当たらず。出入りが速いカーペンターの顔面に、ウランベコフが右前蹴りを打ち込む。カーペンターの左フックをかわしてボディロックで組んだウランベコフ。しかしカーペンターが体勢を入れ替えてウランベコフをケージに押し込む。右腕を差し上げたウランベコフが切り返し、さらにボディロックからグラウンドに持ち込んだ。カーペンターはハイガードからヒジを突き刺していく。

ウランベコフが体を起こしてパウンドと右ヒジを連打する。顔面に受けたカーペンターは再び足を上げていくも、ウランベコフを固定することはできない。そのままウランベコフがパウンド&エルボーを連打する。カーペンターのラバーガードを切ったウランベコフが腰を上げて鉄槌を落とした。すかさずカーペンターが反転して立ち上がる。スタンドに戻るとカーペンターが右カーフから右に回り、サウスポーにスイッチすると。ウランベコフは右ヒザのフェイントから右ストレートを打ち込んだ。ウランベコフのワンツーをかわしたカーペンターがダブルレッグで飛び込むも、これはウランベコフが切って初回を終えた。

2R、カーペンターが右ローからサウスポーへのスイッチする。距離を詰めて左ストレート、右ジャブ。オーソドックスに戻し、ウランベコフの左ミドルをキャッチしてグラウンドへ。ウランベコフはハーフガードから潜りにいくも、カーペンターがトップをキープする。パスを仕掛けるカーペンターに対し、フックガードで守るウランベコフがスイープした。すぐに立ち上がったカーペンターに、ウランベコフがシングルレッグで飛び込む。カーペンターはスプロールするも、ボディロックに切り替えたウランベコフがテイクダウンした。

カーペンターがクローズドガードから、ウランベコフの右腕をキムラで抱えようとする。すぐに腕を抜いたウランベコフは、頭をつけてパウンドで削っていく。下から左右のヒジを突き刺すカーペンター。ウランベコフが腰を上げると、カーペンターはZハーフで守りつつ右足を取りに行ったところでラウンド終了のホーンが鳴った。

最終回、カーペンターがスイッチしつつ右に回る。ウランベコフの左ジャブがカーペンターの顔面を捉えた。カーペンターは右カーフキックを連打。左に回ろうとしたカーペンターの顔面に、ウランベコフの右ストレートがクリーンヒットする。カーペンターも右カーフから左フックで飛び込んでいく。左ミドルハイから、右ストレートを受けつつダブルレッグで入ったカーペンター。ドライブして右腕を差し上げた。ボディロックで組み、ウランベコフを揺さぶる。

ウランベコフは押し返して、反対にケージ中央からドライブし、さらにテイクダウンに成功した。カーペンターはやはりクローズドガードあるいはラバーガードからヒジを打ち込続ける。パスを狙ったウランベコフの左足を、カーペンターが取りに行った。これをかわしたウランベコフが再びトップに回って試合を終えた。

裁定はウランベコフのユナニマス判定勝ち。DWCS出身のカーペンターは、これがMMA初黒星に。勝利したウランベコフは「コーチのカビブと本当にハードなトレーニングをしてきたので、今日の勝利が本当に嬉しい。この階級でチャンピオンと戦って倒せるのは俺だ。パントージャ、ベルトを賭けて戦え」とアピールした。


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AB DWCS MMA o UFC キック

UFC311:第2試合・リッキー・トゥルシオス vs. ベルナルド・ソパイ

バンタム級。当初11月に組まれていた試合だが、トゥルシオスが計量後にメディカルチェックをクリアできず延期となっていた試合。

トゥルシオスは2021年のTUF29ウィナーだが、TUF後は1勝2敗。柔術がバックボーンで、下からも仕掛けられるが、スタンドでは打撃で打ち負け、テイクダウンを切られる展開が多いために苦戦している。前戦はUFC最年少のラウル・ロザスJr.との対戦で、お互いグラウンドで攻め合う好勝負となったものの、2Rにバックを取られてのチョークで一本負けしている。31歳。

アルバニアのソパイは昨年3月にファイトウィークに入ってからの欠場選手の代役としてUFCデビュー。15歳でプロデビューし、17歳でギリシャMMA王者になっている。キックの試合経験もあるストライカー。前戦はDWCS出身で同じくUFCデビューとなるヴィニシウス・オリベイラとの対戦で、2RにバックマウントからのパウンドラッシュでKO寸前まで追い込んだものの、緊急出場の影響もあってか後半スタミナ切れ。最後に飛び膝をもらって逆転KO負けした。24歳。

オーソドックスのソパイに対し、トゥルシオスはスイッチを繰り返す。ソパイがプレッシャーを掛けていく。距離を取り蹴りで牽制するトゥルシオスだが、ケージに詰められる。ソパイの右ハイがヒット。詰めてくるソパイにローを蹴るトゥルシオス。トゥルシオスが出たところに右を合わせるソパイ。またカーフを蹴る。組みに行くトゥルシオス。振りほどいて距離を取ろうとするが、トゥルシオスは首相撲でケージに押し込もうとする。振りほどいて離れたソパイ。ソパイの蹴りにタックルを合わせたトゥルシオス。スイッチを狙ったソパイだが、バックに回ったトゥルシオスがテイクダウン。すぐに背中に乗るが、乗りすぎて前に落とされたトゥルシオス。ケージを使って立ったトゥルシオスだが、ソパイは立ち際にヒザ。離れ際にヒジを入れる。トゥルシオスもパンチを打ち返す。打ち合いからタックルに入ったトゥルシオスだが1R終了のホーン。

2R。またプレスしていくソパイ。トゥルシオスがミドルを入れながら出ると、ソパイのパンチをかいくぐってタックルへ。切って引き剥がしたソパイ。左右のパンチを打ち込むと背中を向けて距離を取ったトゥルシオス。ソパイがカーフキック、左右のパンチを入れていく。トゥルシオスタックルへ。小手投げで投げて上になるソパイだが、トゥルシオスはハーフから潜ろうとする。小手に巻いて防いだソパイ。立つと四つからヒザを打ち込み離れる。詰めてくるトゥルシオスを受け止めてヒザを入れるソパイ。組もうとするトゥルシオスだが引き剥がされていく。残り1分。組んでケージに押し込んだトゥルシオスが首相撲からヒザを入れる。ソパイもヒザを返した。お互い消耗が見える。トゥルシオスのタックルを切ってヒジを入れたソパイ。ソパイがシングルレッグから軸足を払ってテイクダウンを狙ったが倒しきれず。2R終了。

3R。ソパイの右ミドルがヒットし一瞬効いたトゥルシオス。蹴り足を掴んでテイクダウンを狙ったが、トゥルシオスにパンチを打ち込まれダウン気味に倒れた。足を掴んでテイクダウンを狙いしのごうとするトゥルシオスだが、ソパイにパンチを打ち込まれる。トゥルシオスの立ち際にヒザを入れたソパイだが、トゥルシオスがキャッチしてテイクダウンへ。しかし倒されずにこらえてパンチを入れたソパイ。お互い疲れが見える。トゥルシオスが詰めるとタックルへ。テイクダウンすると背中に乗るが、すぐに前に落とされる。逆にバックに回ったソパイがテイクダウンするとサイドで押さえ込む。トゥルシオスはスクランブルで立ち上がりスタンドへ。腹に前蹴りを入れるソパイ。飛びヒザ。詰めるトゥルシオスにヒザを入れるとタックルを切ったソパイ。残りわずかで胴回し回転蹴りを見せたソパイ。そのまま下から三角に捕らえると、そのままヒジを入れる。タイムアップ。

30-27、30-27、29-28の3-0でソパイがUFC初勝利。

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45 AB DWCS LFA MMA MMAPLANET o ONE UAEW UFC UFC311 YouTube アイリン・ペレス アザマット・ベコエフ イスラム・マカチェフ イリー・プロハースカ ウスマン・ヌルマゴメドフ カロル・ホサ カン・ギョンホ クレイトン・カーペンター ケヴィン・ホランド ジャイルトン・アルメイダ ジャマール・ヒル セルゲイ・スピヴァク タジル・ウランベコフ ハオーニ・バルセロス ヘナト・モイカノ ペイトン・タルボット マラブ・デヴァリシビリ ムイン・ガフロフ リッキー・トゥルシオス 中村倫也

【UFC311】中村倫也と対戦、ONE~UAEW~DWCS~LFAを経てUFCに到達─ムイン・ガフロフ「UFCは違う」

【写真】きっとこういう選手ばかりが、UFCには揃っているんだろう(C)MMAPLANET

18日(土・現地時間)、カリフォルニア州イングルウッドのインテュイット・ドームで開催されるUFC 311「Makhachev vs Moicano 」で中村倫也と戦うムイン・ガフロフ。
Text Manabu Takashima

ONEバンタム級戦線で活躍も、UAEWに転出。コンテンダーシリーズに挑むも、契約ならず。ならばとLFAでバンタム級のベルトを巻き、ついにUFCとサインを果たす。この間に、少しでもUFCで戦うチャンスが広がるようラスベガスに移り住んだ。

人生を賭けてUFCに挑みながら、デビュー後は連敗。3度目の正直を目指し、背水の陣で挑んだカン・ギョンホ戦でオクタゴン初勝利を手にしたガフロフは、中村倫也に負けない情熱、いや情念を持ってオクタゴンに足を踏み入れる。


──ムインのことはONE時代から会場で取材をさせていただいてきたのですが、コロナ前にアジア最大のイベントを離れUAEWに戦場を求めました。

「UFCファイターになるためだよ。ONEは素晴らし団体だった。アジアでトップだ。ONEのお陰で、僕の存在を世界に知ってもらうことができた。いつだって尊敬し、感謝している。ただしUFCとは違う。自分の力をUFCで試したかったんだ」

──そのためにUAEWへ転出し、コンテンダーシリーズに挑んだわけですね。ただし、ONEの時のようなパフォーマンスを見せることができず、試合に負けてUFC行きはならなかったです。

「コンテンダーシリーズで負けても、UFCで戦うという目標が変わることはなかった。ただ、ショックは大きかった。一度、タジキスタンに戻って引退しようかとも考えた。そんな時に友人から連絡があって『戦うことをやめるな。練習も続けろ』って言われて……それまでより、ハードな練習を課すようになった。そして、UFCと契約するためにまずはLFAのチャンピオンになろうと思ったんだ」

──LFAでは2戦目でバンタム級王者となり、ついにUFCとサインを果たしました。

「最高の気分だった。夢が叶った。自分の力を世界最高峰で披露できる時がやったきたんだ。ただUFCはONEとは違った。UAEWとも違うし、LFAとも違う。UFCは世界で、他に比べるものがない一番のオーガニゼーションだ。だからケージの中も違っていて、初戦と2戦目はどうにも上手く戦うことができなかった。でも、前回のカン・ギョンホ戦から慣れてきた。今回の試合ではONE、UAEW、そしてLFAの時のように自分の力を出して戦える自信がある」

──今はラスベガスがホームなのですね。

「そうだよ。シンジゲートMMAに所属している。1年半前からラスベガスに拠点を変えた。それまでプーケットで練習していた。プーケットでも、凄く良い練習ができていたよ。トレーニング環境に問題があったわけじゃない。ただUFCは米国中心にイベントを開いているし、ラスベガスで練習している方がUFCで戦う機会を得やすいと思ったんだ。

とはいっても練習パートナーはUFC世界チャンピオンがいるし、コーチも少し違うかな」

──そんななか中村倫也選手と、今週末に戦います。倫也選手の印象を教えていただけますか。

「ブラザー、ナカムラは素晴らしいファイターだよ。MMAの全て局面で激しく、ファンに喜んでもらえる試合になるだろう。僕は全対戦相手を尊敬しているから、もちろんナカムラのこともリスペクトしているよ」

──倫也選手と戦った際、ムインのアドバンテージはどこにあると思っていますか。

「その質問には答えないでおくよ(笑)。試合を見て欲しい。とにかくファンの期待に応えられるよう戦うよ。日本のファンはナカムラの応援をするだろうけど、そんな日本のファンにも喜んでもらえる試合をする。国籍は関係ない、皆にの試合を楽しんでほしい」

──ところで今大会はバンタム級の世界戦が組まれていますが、ムインに勝利者予想をお願いするのは意味がないですね。

「マラブ・デヴァリシビリは僕のトレーニング・パートナーだからね。彼が勝つことところしか、想像できないよ(笑)」

──その一方で自身のゴールがチームメイトである事実をどのように捉えていますか。

「マラブは僕のモチベーションだよ。彼の活躍を見て、僕も頑張ることができる。そして、マラブのように世界中の人々に『俺がチャンピオンだ』といえる日を迎えるために戦い続けるよ」

■視聴方法(予定)
1月19日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午後12時~PPV
午前7時 30分~U-NEXT


■UFC311対戦カード

<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者] イスラム・マカチェフ(ロシア)
[挑戦者] ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)
[挑戦者] ウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
ジャマール・ヒル(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャイルトン・アルメイダ(ブラジル)
セルゲイ・スピヴァク(モルドバ)

<ミドル級/5分3R>
ケヴィン・ホランド(米国)
ライニエ・デリダー(オランダ)

<バンタム級/5分3R>
ペイトン・タルボット(米国)
ハオーニ・バルセロス(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ザック・リース(米国)
アザマット・ベコエフ(ロシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
バグジン・ガスコフ(ウズベキスタン)
ビリー・アレカナ(米国)

<ライト級/5分3R>
グラント・ドーソン(米国)
ディエゴ・フェレイラ(ブラジル)

<女子バンタム級/5分3R>
カロル・ホサ(ブラジル)
アイリン・ペレス(アルゼンチン)

<バンタム級/5分3R>
中村倫也(日本)
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)

<バンタム級/5分3R>
リッキー・トゥルシオス(米国)
ベルナルド・ソパイ(アルバニア)

<フライ級/5分3R>
タジル・ウランベコフ(ロシア)
クレイトン・カーペンター(米国)

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45 AB DWCS MMA MMAPLANET o UFC UFC311 YouTube   ハオーニ・バルセロス ブログ ペイトン・タルボット

【UFC311】バルセロス戦へ、DWCS世代ペイトン・タルボット「試合に出るなら、フィニッシュを狙うべき」

【写真】何もずっと、目を見開いてるわけではない。スクショをお願いすると、この表情に。そして、少し髪の毛が短くなっていました(C)MMAPLANET

18日(土・現地時間)、カリフォルニア州イングルウッドのインテュイット・ドームで開催されるUFC 311「Makhachev vs Tsarukyan 2 」。マラブ・デヴァリシビリ×ウマル・ヌルマゴメドフという世界バンタム級選手権試合が組まれている同大会には、日本から中村倫也が出場しムイン・ガフロフと戦う。そんなバンタム級に熱視線が注がれるイベントでは、ペイトン・タルボットがハオーニ・バルセロスと相対する。
Text Manabu Takashima

キャリア9勝0敗、KO勝ちが7試合で一本勝ちが1試合という26歳。オクタゴンでは3試合連続のフィニッシュ勝利を収め、既にパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを2度も獲得している。

エキサイティングな試合をファンに提供することを当然と捉えるタルボットは、コンテンダーシリーズ世代を代表するファイターといえる。柔術とレスリングを融合させ、シャープな打撃を持つベテラン=ハオーニ・バルセロス戦を前にタルボットに話を訊いた。


──前回の試合前に初めてインタビューをさせていただいたのですが、そのヤニス・ゲムリ戦では19秒でKO勝ちを決め強いインパクトを日本のファンにも残しました。

「あんなに短い時間で勝てるとは思っていなかったけど、素晴らしいKO勝ちができた。今回の試合は、同じようにいくとは思ってない。でも同じようなインパクトを残せるよう戦うよ」

──試合中は凄く落ち着いていながら、殺気が感じられました。

「本当に? 特にポーカーフェースでいようとか考えているわけじゃないけど、試合は練習とは違うし。トレーニングをしてきたモノをケージの中で出すにしても、冷静ではいても殺気のようなモノがでてしまうのかもしれないね。

ただ、それが必要かどうかは分からない。対戦相手を殺してやるなんていう気持ちを常に持つ必要はないと思っている。それでも、そういう瞬間っていうのは訪れるものなんだろうね。殺気が感じられるっていうのは。まあ試合内容と対戦相手にもよるものだろうけど」

──2試合連続でパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを獲得していますが、プロMMAファイターとしてボーナスを獲得できる試合内容についてどのように捉えていますか。

「豪快なフィニッシュは欠かせないよ。サブミッションか、ノックアウト。この2つのうちのいずれかの勝利は、プロフェッショナル・ファイターとして必要だ。試合に出るなら、フィニッシュを狙うべきだ。僕の試合を見てくれた人が、エンジョイして次の日が楽しい1日になる。そうなってくれると、僕も嬉しいからね」

──素晴らしいです。今回のハオーニ・バルセロス戦もそのような試合になるのか、期待しています。

「調子は良いし、凄くハングリーだよ。もう、現時点でやるべきことは減量だけになった。ハオーニはスピードがあって、絶対的な経験の持ち主だ。爆発力もある。それでいて、まだブラジルの若い血が流れているような感じだよね」

──と同時にハオーニはタイミングと距離を測り、慎重な一面があります。でも、フィニッシュ力もある。

「僕の方が身長は高いから、距離を取るのは簡単じゃないだろう。それに一発のパワーが違う。僕の方が一つの攻撃で、よりダメージを与えることができる。僕のレンジは、彼に対するアドバンテージになるだろう。とはいっても、そのアドバンテージをポイントを取るために使うつもりはない。倒すために使う」

──ところで今大会のコメインでは世界バンタム級選手権が組まれています。勝利者予想をしてもらえないでしょうか。

「う~ん、凄く接戦になるだろう。興味深い試合だ。でも、僕はマラブ・ダヴァリシビリをピックするかな。ハイペースで戦い、9度倒されても10度立ち上がる。マラブはそんなファイターだから。ハードな状況になると、より強さを発揮すると思う」

──ウマル・ヌルマゴメドフはテイクダウンディフェンス力が高く、切って打撃を入れるという予想もありますが。

「そうかもね。テイクダウンを切ることもあるだろう。ただマラブは常にテイクダウンを狙っているのだから、そのなかの幾つかの試みを遮断することは可能だ。まぁ、僕はあまりウマルの試合をチェックしていないから、あまり彼のことは分かっていないんだけどね」

──押忍。ところで前回にインタビューをさせてもらった時に、中村倫也選手について尋ねたところあまり認識していませんでした。今回、同じイベントで戦う倫也選手のことはまだ視界に入っていないですか。

「まぁ、あまりね……。無敗で、屈強なレスラーといことは分かった。そこ以外は、まだ余り分かっていない。でも今日、彼を見たよ。強そうだった」

──なるほど。ペイトン、計量が近づいているなかメディアデーの翌日にも関わらず、インタビューを受けていただきありがとうございました(※取材は16日に行われた)。最後に日本のファンに一言お願いできますか。

「イタダキマス」

──そ、それは食事をする前に発する一言ですね(笑)。

「オオ、シ〇ト(笑)。ちょと、待って……。アーリガトーゴザイマス」

■視聴方法(予定)
1月19日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前12時~PPV
午前7時 30分~U-NEXT

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DWCS o UFC オーバン・エリオット

UFC on ESPN+101:第5試合・プレストン・パーソンズ vs. ジャコビー・スミス

ウェルター級。

パーソンズはUFC2勝3敗と負け越している。ローカル時代は9勝すべてが一本勝ち(うち8試合が1R)で、KO勝ちはゼロ。しかしUFCでの2勝はいずれも判定勝ちで、ローカル時代は相手のレベルが低すぎただけという疑惑がある。前戦はUFC2戦目のオーバン・エリオットにグラップリング勝負で劣勢となっての判定負け。29歳。

スミスは今年に入ってからアンドレアス・グスタフソンの代役として出場が決まった。昨年10月のDWCSで勝利し、UFCとの契約を決めたばかり。キャリア9戦全勝で、うち7KO勝ち。パーソンズとは逆で、一本勝ちがなくフィニッシュはすべてKOだが、オールアメリカンレスラーで、DWCSの試合では8分間に7度テイクダウンを奪ってパウンド・ヒジで削ってのKO勝ち。ウェルターにしては小さめの178cmで、DWCSの試合では当日リミットより4ポンドしか重くない174ポンドだったとのこと。28歳。

スミスがロー、前蹴りをヒット。ヒザ。四つに組んだパーソンズ。引き剥がしたスミス。ヒジ。テンカオ。右ストレートからの左フックでパーソンズダウン!パウンドに行ったところでレフェリーストップ!

スミス、準備期間は短かったが、秒殺KO勝利でUFCデビューを飾る。

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45 AB BELLATOR DWCS Gladiator Hexagone MMA23 KTT MMA MMAPLANET o ONE UFC YouTube アン・ジェヨン イ・イサク キック ブノワ・サンドニ マチュー・デュクロ 三上ヘンリー大智 内藤由良 岩﨑大河 巌流島 海外

【Hexagone MMA23】三上ヘンリー大智が、コンテンダーシリーズ帰りの王者デュクロに挑戦

【写真】Hexagoneはフランス語的にはイクザゴン。hexagon、英語のヘキサゴンとは綴りも違う (C)MMAPLANET&Zuffa/UFC

本日10日(金・現地時間)にフランスはパリのゼニト・ドゥ・パリで開催されるHexgone MMAのメインに三上ヘンリー大智が出場し、ミドル級王者マチュー・デュクロに挑戦する。
Text Manabu Takashima

ヘンリーは昨年2月にGladiator Challenger Serie01でアン・ジェヨンをTKOして以来11カ月振りのMMAで、初の海外での試合&5回戦のタイトル戦を戦うことになった。もともとGCSではKTT所属のイ・イサクと対戦予定だったヘンリーだが、イ・イサクがTUF出演を控えて試合をキャンセル(※公式発表前。結局、TUF出演はなかった)となりアン・ジェヨンと戦っていた。その後、7月のGCS02でイ・イサク戦が予定されたが、今度はヘンリーの負傷で実現にはいたならかった。

その負傷が原因で、半年ほどMMAを離れる必要が生じたヘンリーは巌流島で立ち技マッチに勝利し、MMAの復帰戦を今回迎える。


チャンピオンのデュクロはキャリア6勝3敗で、29歳。思春期は両親が見放すようなバッドボーイだったというデュクロはストリートで磨いたライトハンドを武器に、21歳にしてMMAのトレーニングを始める。寝技はもちろん、打撃もしっかりとした技術を持つわけでなかったデュクロだったが、パリに出てブノワ・サンドニとの出会いでMMAに目覚めた。

4戦目にBellatorパリ大会に出場し、今年の2月にアレクシ・フォントの足関節を防ぎ、これからというときにフォントが目を気にして試合続行不可能に。スッキリしない内容でHexgone MMA 暫定ミドル級の巻くと、4連勝という状況で8月にDWCSに挑んだ。

(C)Zuffa/UFC

この時は右オーバーハンドに、スピニングバックキックをボディに合わされ悶絶ノックアウト負けを喫している。

それでもスイッチヒッターで、遠近両方の距離で戦うことができるチャンピオン。6勝中5つのKO勝ち誇るデュクロは、ストライキングのポテンシャルをMMAで見せ切れていないヘンリーにとって格好の相手となろう。

去年のコンテンダーシリーズでは岩﨑大河、内藤由良というミドル級の新鋭が揃って敗れている。この両者と日本の中量級を引っ張る存在として期待されるヘンリーだけに、コンテンダーシリーズで白星を得られなかったフランスのチャンピオンを下し、ベルトを巻いて2025年を飛躍の年としてほしい。

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45 DWCS MMAとフィジカル Road to UFC2024 Special ブログ 林巧馬 鈴木陽一

【Special】『MMAで世界を目指す』第8回:鈴木陽一ALIVE代表「UFCの減量食と海外での体重調整」─02─

【写真】写真左は上海PIの試合会場、右は練習スペースだ。透暉鷹のRTU敗戦&負傷からの復帰にも期待したい(C)ISHITSUNA MMA

MMAワールドで勝つためには、フィジカル強化が不可欠となった。この連載では「MMAに必要なフィジカルとは?」というテーマについて、総合格闘技道場ALIVEを運営する鈴木社長=鈴木陽一代表が各ジャンルの専門家とともに、MMAとフィジカルについて考えていく。
Text by Shojiro Kameike

MMAワールドの頂点、UFCとの契約は狭き門だ。同時にUFCとの契約を目指すためのトーナメント=Road to UFCや、DWCSに日本人ファイターが出場するチャンスも減少していくかもしれない。その舞台に上がるためには、日本国内で強豪選手に勝利すること以外に、海外フィーダーショーでベルトを巻くという方法も考えられる。では海外で戦うために必要なこととは。技術、戦略はもちろんチームで取り組まなければいけないこともあることを知ってほしい。


透暉鷹について言うと、初めてバンタム級で試合をした河村選手とのKOPタイトルマッチは、減量も順調だったんです。それがRTUの時は……いろいろと国内でも環境や状況が良くなくて、減量に苦労しました。これは言い訳になってしまいますけど。

鈴木 何より僕たちが想像していた食事は、ただ同じものが配られるのかと思っていました。それが、なんど個々に合わせたものだという。

ベースは同じだと思うんです。それが選手に合わせて品目が減ったりすると。

――UFCサイドの減量や体調管理に対するサポートは、RTUだけでなく本戦でも行われるのでしょうか。

写真奥がファイトレディーの打撃コーチ、エディ・チャー。チャーの横にいるのはUFCファイターのアラテンヘイリだ(C)ISHITSUNA MMA

ヘンリー・セフードがいるファイトレディーに行った時、打撃コーチのエディ・チャーにRTUの時のサポートについて訊かれたんですよ。「凄くサポートしてくれた」と答えたら、「ナンバーシリーズのサポートは、RTUとは比べものにならないよ」と言ってくれました。やはり選手のサポートもRTU < UFN < ナンバーシリーズと、差が凄いと言っていましたね。

鈴木 7年前、加藤久輝がベラトールに出場しました。日沖発がUFCに出た時は現地入りが7日前だったら、ベラトールは5~6日前とか、1日か2日は短かったと思います。もちろん現地でコミッションによるメディカルチェックは行われる。でも食事については、自分たちで手配していました。ホテルの近くにあるスーパーマーケットへ買い出しに行って、ホテルで自炊していましたよね。肉や野菜を焼いたりして。

そうだったんですね。

鈴木 発がUFCに出た十年以上前は、UFCでもそれはなかった。それだけ時代は変わり続けているし、進化しているということですよ。

――当時は海外で試合をする場合、「日本から何を持っていくか」という議論が交わされていました。それこそ炊飯ジャーを現地に持ち込んだり。

鈴木 あった、あった(笑)。僕も海外に行く時は、ホテルに直接電話して、電子レンジの有無などを確認しましたよ。無い場合は、お風呂を沸かしてパックのご飯を温めようか――とか。当時はキャンプ用のフリーズドライ食品が重宝しましたね。ただ、UFC以外だと、そうしないといけない団体も多いでしょう。

海外ではホテルの部屋にバスタブがないことも多いですしね。ウチの選手が韓国で試合をした時がそうで、計量直前までランニングで落としているファイターもいました。

鈴木 国によって文化の違いもある。久米がオーストラリア修斗で試合をした時は、宿泊するホテルに何度もバスタブがあるか確認したら、「ある」と言うんです。でもそれは――ホテルに入ってみたら、プールサイドにあるジャグジーのことで(苦笑)。豪州は湯船に浸かる文化がないらしいです(※水資源に乏しいため、シャワーのみが基本と言われる)。

ニュージーランドの試合に帯同した時も、ホテルにバスタブはなかったです。

鈴木 オセアニア全体がそうなのでしょうね。

ニュージーランドのシティキックボクシングにて(C)ISHITSUNA MMA

僕は事前にスパがあるかどうか確認していました。現地ではダン・フッカーが「ウチに来るか?」と気を遣ってくれたんですけど、さすがに申し訳ないから調べておいたスパに行って。そのスパがなかったら体重が落とせなかったです。

鈴木さんと同じで、僕もホテルに確認したら「バスタブはある」と言われていました。でも行ってみたらプールの横にある、ぬる~いお風呂で……。

鈴木 そこは感覚が違ってきますよね。我々は高い温度で半身浴がしたいんだけど。

――バスタブだけでなく現地の環境については、決して人任せではなく、チームとして確認する必要はあります。

鈴木 そう思います。以前は僕も現地の人に任せていたんですよ。でも最近は全て自分で確認するようにしています。

僕はホテル側が「ある」と言っているのを信用できず、自費で別のホテルを押さえていました。確実にバスタブがあることを確認できているホテルを。

鈴木 それも知識や経験が重要ですよね。海外で試合をする場合は、飛行機の時間も変わったりしますし。セコンドが海外慣れしていないと難しいと思う時はあります。今は選手の能力だけでなく、セコンドの能力も必要になりますよ。

――すでにUFCは何度も豪州で大会を開催しており、日本MMAもオセアニアと関わることも多くなるでしょう。文化の違いも含めて、とても貴重な情報です。

鈴木 どれだけ下調べができるか。現地に詳しい人がセコンド、あるいは知り合いにいるか。

――現地のマネージャーやブッキング担当が日本人でないかぎり、日本人選手に何が必要かを理解することは難しいかもしれない……というリスクは想定しておいたほうがいいですね。

鈴木 そうなると、ますます下調べやネットワークは重要になりますね。ウチは、UFCの時は米国在住の方にマネージメントをお願いしていました。最近では豪州に知り合いがいるのと、ALIVE三重支部にいた選手がベトナムに住んでいたりとか。すると通訳をやってくれるだけでなく、現地の文化も分かっていて。

とても重要なことですよね

鈴木 今はRTUもアジアが対象だけど、これからオセアニアも入ってくる。DWCSと同じワンマッチになることも考えられるでしょう。これから世界を目指す選手は、どんどんいろんなことを経験しておかないといけませんね。

韓国コリアンゾンビMMAとも交流がある林代表。日本はどこまで競い合えるか(C)ISHITSUNA MMA

RTUも初戦が上海PIで行われたあと、準決勝は北京の近くで開催されるという話もあったんです。そうなるとPIはない、ホテルで調整しないといけないから気をつけてね――とも言われていました。その準決勝も開催場所がラスベガスになって良かったとは思います。それこそUFCは米国全土で開催していて、州によって違うことも多いでしょうし、いろんなことを想定しておく必要はあります。

鈴木 リカバリー一つでも、僕たちが思っているものとは違います。まだまだ勉強し続けないといけないですね。

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45 DWCS Grachan Grachan Herios MMA MMAPLANET o RIZIN ブログ プリンス・アウナラ 大場慎之助 荒東“怪獣キラー”英貴

【Grachan Herios】徹底的にレスリングを強化中、荒東“怪獣キラー”英貴「晩年の幕開けを飾ります!」

【写真】打撃+レスリング漬けの日々を送る荒東。総合格闘技スタジオSTYLEでは、福井裕士コーチの指導を受けている(C)Kaiju Killer

22日(日)、東京都江東区のTFTホール1000で開催されるGrachan Heriosで、同無差別級王者の荒東“怪獣キラー”英貴が、ノンタイトル戦で大場慎之助と戦う。
Text by Shojiro Kameike

2023年2月にGrachan無差別級トーナメントを制してベルトを巻いた荒東は、続いて10月にRIZINで貴賢神に逆転KO勝ち。プロデビュー以来無敗街道を走っていた怪獣キラーだが、今年7月にはフランスでプリンス・アウナラの持つヘキサゴンMMAヘビー級王座に挑み、1RでKO負けを喫した。そんなMMA初黒星と、フランスでの戦いから考え抜いた自身のスタイルについて語る。


自分のスタイルーー打撃とレスリングにこだわろうと思っているんです

――フランスの試合から5カ月振りの試合となります。Grachanで戦うのは昨年2月以来です。昨年2月にGrachanのベルトを獲得し、RIZINに出場したあとフランスで戦うというのは、どのようなキャリアを考えていたのでしょうか。

「もともと海外志向が強いので、UFCに行けたら面白いとは思っていました。もちろん行くのは難しいけど、とにかくトライしてみたい。RTUで試合を組んでもらったりとか――そのあたりがダメだった時、4月にシュートボクシングのお話を頂いたんですよ(6月にSBで坂本優起に判定負け)。SBのあとは、以前から話があったフランスの試合のオファーを受けた、という流れですね」

――フランスでは1Rにアウナラの右を食らいダウン。その直後に右ヒジを連打され、レフェリーストップとなりました。

「あの試合はレベルの差を感じました。アイツは触らせてくれなかったです。殴りなら行けるやろうと思っていた自分が甘かったですね。殴るまでの緻密さが足りなくて」

――アウナラは中長距離を保ち、左右ストレートをコツコツと当て続けてきました。

「そこに凄く実力差を感じたので、もう喧嘩をするしかないと思いました。それも甘い――僕のアカンところですね。蹴り方も、手を出して蹴るのが当たり前やし、もうちょっと組んでから……。コレ、もうメチャクチャ言い訳してもいいですか」

――はい。

「試合前にチームで『相手に触るのは難しい』という話をしていて。だから真っ直ぐ入って追いかけることを考えすぎてしまったんですよ。そのために左右に動きながら、いろんなアングルから攻めるという――今までやってきたことを忘れてしまいました。新しくできることも増えたのは良かったけど、今までやってきたこととミックスさせるところまで頭が回っていなかったんです」

――荒東選手の場合、これまではローから試合を組み立てて、パンチも右から左を返すといった組み立てが多かったです。しかしアウナラ戦は「ローを蹴る気がないのか?」と思ってしまうような展開でした。

「出入りを考えていたから、重心が違うのでローを蹴ることができなかったです。もうあれは二度とやりません(苦笑)。前回の試合は僕がカスでした。メチャクチャ、カスでしたね」

――カスかどうかはともかく、今の発言を「言い訳」と捉えることができている。反省点を明確に話すことができることで、次につながるのではないでしょうか。もう一つ不思議なのは、荒東選手の場合は自分より大きな相手との対戦が初めてではなかったです。にも関わらず、これまでと戦略が変わるのは……。

「アウナラは運動量が多かったです。日本にいるヘビー級は、ドシドシ歩いて動く選手が多くて。それなら僕も楽に触ることができますから」

――アウナラ戦のフィニッシュについても、相手のほうを見ずに頭を下げて、右ショートをテンプルに食らう。今までの試合であれば、まずあの体勢になかっただろうと思います。

「そうですね。ジリ貧になって、スイッチしてパンチを打つ――なんてことはなかったです。実力差が凄くて『アカン展開やな』という、嫌な気持ちが強くなっていました」

――加えて、荒東選手に限らず日本人選手が海外で戦う場合、とにかく研究しつくされている感は毎回あります。相手は「これをやれば勝てる」というところまで落とし込んでいて。

「それで言うと、グラップリングを教わっている岩﨑正寛(カルペディエム芦屋代表)さんに『関西のファイターは対策しすぎ』と言われました」

――対策しすぎ、ですか。

「対策なんかより、まず自分の芯を強くすること。『相手がどう対策してきても、自分の得意なところに持ち込んだら勝てる――そんな自分のスタイルを磨け』って岩﨑さんに言われて、今は打撃とレスリングにこだわろうと思っているんです」

――それは日沖発stArt代表が、透暉鷹選手がRTU準決勝で敗退した時に「まずは自分を見ないといけない」と仰っていたことに通じますね。

「うん、うん。分かります。僕も自分自身がもっと打撃とレスリングを混ぜていかないといけないと思ったんですよ。だから最近は11月にプーケットのバンタオMMAに行っていました。強いのがいて、一人は僕のパンチをガードで受けながら、どんどん距離を詰めてくる。あるいは背が高くて、足を使われて僕のパンチがあまり当たらなかった。改めて『殴りだけじゃ勝負でけへんな』と思いました」

『誰とやってんねん』とか言っているヤツを黙らせる試合をする

――レスリングは、国内でどのような練習を?

「まず一つは、総合格闘技スタジオSTYLEに福井裕士さんという方がいます。レスリングではフリースタイル125キロ級で全日本クラスの表彰台に立っていた方で。

今まで関西でレスリングを教わるとすれば、有元伸吾さんやったんですよ。でも有元さんは軽量級で、クラスに参加するのも中軽量級の人が多い。その中で重量級の僕やとできることと、できないことがあって……。それは有元さんの指導がどう、ということではなくて。マンツーマンじゃなくてクラスで有元さんに教わっている時も、その点は凄く気を遣わせていたと思います。一方で福井さんは重量級やから合うところも多いです」

――軽量級と重量級では動きも違いますし、さらに指導となると難しい面はあります。

「そのやり方で成功したのは、木下憂朔やと思うんです。軽量級の北方大地が教えて、ウェルター級でもその動きができるという。自分の練習でいうと、あとは金曜日に稲垣組で梶雅晴さんという方にもレスリングを教わっています。

梶さんは天理大の出身で、僕も天理大の練習に参加させもらったりしています。チーム吉鷹で打撃の練習をした翌日に天理大でレスリングやったら、もう歩けないぐらいヒザが痛くなって(苦笑)。10月から、そういう感じでレスリング漬けです」

――レスリングを重点的に練習し始めて、どのように変化してきましたか。

「たとえば、僕は壁レスで押し込むのは得意やったんです。受けて、体勢を入れ替えて反対に押し込むという展開は得意で。だけど、そこから倒すまでには至っていなかったです。でも今は壁レスでテイクダウンを奪うこともできるようになりました」

――なるほど。そのレスリング漬けの日々を経て、次の試合に臨みます。

「グラップリングか打撃か、っていえばグラップリングが得意なのかなっていう相手ですよね。SNSで『お前、誰と試合すんねん?』とか言われましたけど、国内でヘビー級の日本人選手を見つけるのは、なかなか難しいと思うんです」

――そうですね。現状、多くの日本人ヘビー級ファイターはRIZINに集まっています。

「そうなっちゃいますよね。だからまず、試合があることはありがたいです。僕のキャリアも晩年なんでね……」

――えぇっ!?

「それはもう――フランスであんな負け方をしていて、長く続けることは難しいと思いました。試合後もダメージが無かったわけでもないので」

――……。

「フランスの試合で、世界とは実力差があることは分かりました。RTUやDWCS、UFCに挑戦できる機会があるなら嬉しいですよ。挑戦してみたいけど、UFCに行けるとは思っていません。そんな僕でも、国内の防衛戦はもちろん海外のベルトに挑めるなら――良いチャンスがあれば、すぐに飛びつこうと思っています(笑)。

そのためにもこの復帰戦が大事になる、と吉鷹(弘)先生にも言われました。だから今回は『誰とやってんねん』とか言っているヤツを黙らせる試合をして、晩年の幕開けを飾ります!」

■Grachan Herios 視聴方法(予定)
午後14時00分~
GRACHAN放送局
GRACHAN公式YouTubeメンバーシップ

■Grachan Herios 対戦カード
<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] TSUNE(日本)
[挑戦者] 伊藤空也(日本)

<Grachanライト級選手権試合/5分3R>
[王者] 林RICE陽太(日本)
[挑戦者] ロクク・ダリ(コンゴ民主共和国)

<Grachanフライ級暫定王者決定戦/5分3R>
道端正司(日本)
小田魁斗(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
原口伸(日本)
高橋孝徳(日本)

<無差別級/5分2R+ExR>
荒東”怪獣キラー”英貴(日本)
大場慎之助(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
岸本篤史(日本)
大道翔貴(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
小谷直之(日本)
草訳駿介(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
小林大介(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
金井一将(日本)
長野将大(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
長谷川卓也(日本)
徳弘拓馬(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
鈴木嵐士(日本)
二之宮徳昭(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
水谷健人(日本)
上田麟(日本)

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AB DWCS o ONE UFC アレックス・カサレス カイル・ネルソン ルイス・パフエロ

UFC on ESPN63:第5試合・ショーン・ウッドソン vs. フェルナンド・パディーヤ

フェザー級

身長189㎝、リーチ198㎝と、フェザー級の大巨人・ウッドソン。直前の代役でUFCと契約したジュリアン・エローサには、リードしているところからギロチンに捕まってまさかの逆転負けを喫したが、UFCでの負けはその1試合のみで、現在1分けを挟んで5連勝中。前戦は元ランカーのアレックス・カサレスとの対戦で、距離を取りながらの打撃でリードしての判定勝ち。しかし手堅い内容がUFCに気に入られなかったのか、今回もノーランカーとの対戦に。32歳。

メキシコのパディーヤはウッドソンが敗れているエローサにUFCデビュー戦で1RKO勝ち。2戦目はカイル・ネルソンに打撃のヒット数で劣勢となり判定負け。前戦はDWCSからのUFCデビュー戦となるルイス・パフエロとの対戦で、立ち際にダースチョークを決めて一本勝ち。ウッドソン同様、長身のストライカーで、10th Planetで寝技も学んでいる。試合後には麦わら帽子を被り、ONE PIECEのルフィのギアセカンドのポーズをキメるのが恒例となっている。27歳。