【写真】2004年12月19日生まれの19歳—―試合直後には20歳になる平田。現在は歯科衛生士になるため、専門学校に通っているそうだ(C)SHOJIRO KAMEIKE
15日(日)、東京都の新宿FACEにて開催されるColors04にて、平田彩音がNOELとのインフィニティリーグ最終戦を迎える。
Text by Shojiro Kameike
2024年の女子アトム級インフィニティリーグにおいて、平田は8月の初戦でパク・ソヨンに敗れた。しかし翌月の檜山美樹子戦では1Rわずか33秒でKO勝ちを収め、ポイントを巻き返している。まだ10代の平田が檜山を沈めた左フックの連打は、いかに培われてきたのか。混戦模様のインフィニティリーグ最終戦を控える平田に格闘技キャリアを訊くと、意外ながらその腕っぷしの強さが理解できる事実が次々と明らかになった。
――檜山戦のKO劇と、デビュー2戦目のパウンドアウトから、その腕っぷしの強さが気になる平田選手です。
「前回の試合は、周りからもビックリされました。『怖いわぁ~』って(笑)」
――それはファイターへの誉め言葉でもあると思います。視ているだけで怖いと感じるとは、相手にとってはもっと怖いわけで。特に平田選手の場合はデビュー戦の相手も檜山選手でした。判定で勝利した初戦と違い、パンチで相手を下がらせたことで自身の成長も感じたのではないですか。
「はい、それは感じました!」
――格闘技歴として、打撃競技の経験があったのでしょうか。
「3歳から空手を始めて、中学1年生から高校2年生までキックボクシングをやっていました。あのフックの軌道は空手の時にメッチャ練習していたんです。当時は左ボディの連打が得意技で。それを顔面まで繋げることができたのが、前回の試合でした」
――3歳から空手ですか!
「白蓮会館の道場に通っていました。だからフルコンですね。空手道場の体験に行ったあと、お父さんとお母さんに『どうする? 通う?』と聞かれて、私は『妹と弟を守るために空手をやりたい』と答えたそうなんですよ」
――ご自身が3歳の時ということは、当時の妹さんと弟さんは……。
「年子なので2歳と1歳ですね。なぜ自分が守りたいと言ったか、全く分からないです(笑)」
――アハハハ。空手時代の実績は?
「小学4年生の時だったと思いますけど、全日本の中級クラスで3位になったことはあります。当時は結構、試合に出ていました」
――そこから、なぜキックボクシングを始めたのでしょうか。
「えーっ、キックボクシングってコスチュームがキラキラしていて可愛いじゃないですか。あのキックパンツを履きたいと思って、キックボクシングを始めたんです。福山市にあるキックボクシングのジムに通い始めて、高2まで続けていました」
――当時、他のスポーツは経験していなかったのですか。
「結構やっていましたよ。小学校の時は空手と水泳、ほんのちょっとだけフットボール(※サッカードッチ、サッカードッチボールとも呼ばれ、ボールを蹴って相手に当てること以外のルールは、ほぼドッジボールと同じ)をやっていました。
中学校はバレーボール部に入って、キックボクシングもやっていました。高校に入ると野球部のマネージャーをやっていたんですけど、半年で辞めて。次に華道部に入って花を生けていたんですよ(笑)」
――えぇっ!? 運動部からマネージャー、そして華道部まで振り幅が大きいですね。
「ずっと野球部のマネージャーに憧れていたんです。だけどやっぱり自分が体を動かしたいと思って辞めました。ただ、『野球部を辞めて、すぐ他の部活に入るのも良くないかなぁ』と思っていたら、当時の担任の先生が華道部を担当していて。先生の誘いもあって華道部に入部しました。でもやっぱり運動をやりたくて、ソフトボール部に入ったんですよ。ソフトボールではキャッチャーをやっていました」
――キャッチャーですか。それだけ当時から体幹が強く、今の打撃にも繋がっているかもしれません。空手と水泳、キックボクシングとバレーボールを並行していながら、格闘技以外の競技にはハマらなかったのですか。
「バレーボールにはハマッていました。私、アタッカーだったんですよ」
――え……、失礼ながら、現在の身長はプロフィールによると147センチですよね。
「そうですね。当時も身長はそれぐらいでした」
――垂直跳びは、どれくらい跳べるのですか。
「測ったことはないけど、結構跳べるんです。ジャンプすると、指はネットを超えますね。あとは腕の力だけで――意外と打てました」
――腕の力だけでアタックを打てるということは、腕の力であり背筋が強いのでしょう。当時から自分は体の力が強いと自覚していましたか。
「ウフフフ、はい」
――BURSTに入るまで、組技の経験はなかったのですね。
「そうなんですよ。BURSTに入ったのは高3の時です。テレビでRIZINを視ていたら、浜崎朱加さんがかっこ良くて。MMAはグローブが薄くて小さいし、かっこ良いと思ってジムの体験に行ってみました。するとジムには女の先生もいるし、良いなぁって」
――キックボクシングにしてもMMAにしても、始めるキッカケはコスチュームでしたか。
「はい!」
――ただ、その薄くて小さいグローブで、思いっきりブン殴りたいと考えたでしょう。
「エヘヘヘ、分かりますか。あとのグローブだと相手は効くだろうなぁ、と思って」
――凄く目が輝いています(笑)。一方、BURSTに入ってから始めた組技については?
「最初は難しかったけど、凄く楽しいと思いました。初めて教わることが多くて『こんな技があるんだ!』『こんな極め方するんだ!』って、面白くなったんです」
――プロデビュー戦も2戦目も、組みの展開が多かったです。打撃がベースであれば、テイクダウンを切って打撃勝負という選択もある。……もしかしてグラウンドで殴りたかったのですか。
「それは思っていました!」
――デビュー2戦目で見せたパウンドの連打も、とても速かったです。やはり子供の頃からの経験がモノを言うのかもしれません。
「はい。お父さん、お母さんに感謝です(笑)」
――しかしデビュー3戦目=インフィニティリーグ初戦で、パク・ソヨン選手に判定負けを喫しました。
「やりたいことを出せず、『まだまだ全体的に足りんなぁ』と思いました。打撃をやりたかったですけど、メンタルが弱かったです。テイクダウンされるかなぁ、と思っていたら自分も打撃を出せなくて。あの試合で負けてしまったので、『次はどうしても4ポイント取らんと優勝できん!』と思いました」
――インフィニティリーグのシステムが、平田選手の本来の姿を引き出したのかもしれませんね。そのインフィニティも次が最終試合で、優勝に向けて大混戦となっています。
「もうやるしかない、という状況ですよね。パク選手が勝った場合、私は判定勝ちだと優勝できなくて。もしパク選手が1Rで勝つと、私が1Rで倒しても優勝できないですよね(※同点の場合は勝利数が多い選手の優勝となる)。だから、とにかく『檜山さん、頑張って!!』と祈っています」
――平田選手が2Rにフィニッシュしても、パク選手は判定勝ちでも優勝が決まります。パク選手の勝敗も大きく影響しますが、自身が優勝するためには、とにかく倒すしかない。
「ただ、NOEL選手も1Rでフィニッシュしたら、優勝の可能性がないわけじゃないんですよね……」
――NOEL選手が1Rで勝てば計6ポイントに。パク・ソヨン×檜山の結果次第で、逆転優勝はあり得るという状況です。
「だから相手も思いっきり狙ってくることは分かっています。私も覚悟はできていますし、今の私なら倒せる自信があります」
――おぉ、力強い言葉です。インフィニティリーグ後の目標を教えてください。
「一番の目標は、修斗の女子アトム級でチャンピオンになりたいです」
――現在、修斗女子アトム級王者は、同じBURST所属の古賀愛蘭選手です。
「……(苦笑)。上にランカーの人たちもたくさんいますし、ベルトに挑戦するには、まだまだ段階を踏まないといけないのですからね。インフィニティで優勝してすぐベルト、ということはないです。まず今回インフィニティで優勝したあとでも、一度負けているパク選手にリベンジしたいです。そのためにも――次の試合は10代最後の試合でもありますし、しっかり1RでKO勝ちか一本勝ちします!」
■Colors04 対戦カード
<女子アトム級インフィニティリーグ/5分2R>
平田彩音(日本)
NOEL(日本)
<女子アトム級インフィニティリーグ/5分2R>
パク・ソヨン(韓国)
檜山美樹子(日本)
<ストロー級/5分2R>
吉成はるか(日本)
erika(日本)
<ストロー級/5分2R>
高本千代(日本)
杉本恵(日本)
<60キロ契約/5分2R>
愛日(日本)
中尾あづき(日本)
<グラップリングマッチ 54キロ契約/8分1R>
藤野恵実(日本)
前澤智(日本)
<ストロー級/5分2R>
高田暖妃(日本)
チョン・チャヒョン(韓国)
<グラップリングマッチ 58キロ契約/8分1R>
植木くるみ(日本)
植田咲(日本)
<グラップリングマッチ 48キロ契約/4分1R>
小笠原颯希(日本)
遠藤ジュリアン桜(日本)
<グラップリングマッチ 35キロ契約/4分1R>
吉村柚咲(日本)
笠井遥月(日本)
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【Colors04】優勝なるか!? NOELとのインフィニティ最終戦へ、平田彩音「今の私なら倒せる自信があります」 first appeared on
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