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ABEMA Fighter's Diary Interview J-CAGE ONE ブログ 青木真也

【Fighters’s Diary con on that day】「試合がない日々」を生きる青木真也の声 on 2012年8月某日

Aoki & Zoro【写真】写真はその前年=2011年にEvolve MMAの柔術クラスでゾロ・モレイラと談笑する青木 (C)ABEMA & MMAPLANET

全世界を巻き込む新型コロナウィルス感染拡大の影響は当然のように日本の格闘家たちの人生にも影響が出ている。試合がない、大会が開かれない、練習場所の確保も困難だ。

そんな今、格闘技を愛する全ての人へ──ABEMA格闘CH が公式YouTubeチャンネルで Fighter’s Diary Ep.01というドキュメンタリームービーが12日(日)より、アップされている。

第1回でクローズアップされた格闘家は平田樹、若松佑弥、中村K太郎&杉山しずか夫妻、堀口恭司、青木真也の6名だ。

Fighter'sDiaryFighter’s Diaryは3週に渡り、3つのエピソードで総勢16人の格闘家たちの声をYouTubeで伝え、26日(日)午後7時より、ABEMA格闘CHにて Fighter’s Diary完全版が放送される。

そんなFighter’s Diaryでは「試合がない日々」を格闘家たちはどう生きるのか? ──という今の声を集めた。MMAPLANETでは、タイアップ企画ならぬボーディング企画を提案。MMAファイター達が今を発せられるようになった原点を探る上で、あの日の彼らや彼女達の声=on that dayとして、MMAPLANETインタビュー初登場時の声を紹介したい。

題してFighter’s Diary con on that day、第7回は2012年8月14日公開、8月某日に取材が行われた──ONEデビュー戦=アルナウド・ルポン戦が決まったばかり、ONEがONE FCと呼ばれていた時代──青木真也のあの日の声をお届けしよう。


<リードを含めた完全版はコチラから>

――OFC06への出場が決まりました。今回はシンガポールのイヴォルブMMAに入って、そのまま試合をするそうですね。

「はい。試合の日程が決まった時点で、そのスケジュールで行こうと思ったので、試合が終わるまでの約1カ月間をシンガポールで過ごすことになります」

――OFC参戦までの経緯については、すでに各媒体でお話されていると思うので、参戦決定以降の話を聞かせてもらえればと思います。7月に大会のプロモーションでフィリピンに行かれたそうですが、現地の様子はいかがでしたか?

「とにかくエナジーを感じましたね。主力選手をほとんど集めて、150人以上のメディアを招いて、フィリピンのYahoo!でトップニュースとして報道されたという話も聞きました。

またプロモーションそのものも、格闘技だけではなくて対外的な部分にアプローチしているので、今すぐに成果が出なくても1~2年後を見越した投資だと感じました。出場選手を見てもグレイシーが3人、UFCの元王者が2人もいる。スポンサーも有名企業が名を連ねているんで、世界的にも見てもビッグプロモーションと言ってもいい大会規模だと思います」

――フィリピンでもMMAは人気がある競技なのでしょうか?

「マニー・パッキャオを生んだ国だし、基本的にファイトが好きな国だと思うんですよ。だからMMAも興味を持たれているという印象を受けました」

――OFCと契約して初めてビクター・クイCEOと顔を合わせる機会だったと思うのですが、何か会話されましたか?

「僕の場合はイヴォルブのチャトリ会長を通してやりとりしているので、ビクターと直に話をする機会はなかったです。逆にチャトリにはとにかく感謝の気持ちを伝えました。イヴォルブでの練習環境も含めて、今まで以上にチャトリにはサポートしてもらいましたからね」

――OFCという新たな団体で試合をするうえで心境に変化はありますか?

「PRIDEやDREAMの頃とは全く違います。OFCでデビューするじゃないですけど『ここでもう一山稼いでやる!』って気持ちです」

――現時点ではまだ対戦相手が発表されていません。過去にDREAMでは対戦相手選びが難航したこともありましたが、不安はないですか?(※取材はシンガポール入りする前に行われた)

「正直、簡単には決まらないだろうなとは思いますけど……。今は自分になんだかんだで、自信があるんです。4月にエディ・アルバレスに負けちゃいましたけど、この2年間でMMAで負けたのはアルバレスとギルバート・メレンデスだけですからね。そのクラスの選手以外には負けないよという気持ちはあります」

――イヴォルブMMAでの練習も3月以来ですが、それについてはいかがでしょう?

「久しぶりにゾロ(バベル・モレイラ)やエディー(・アング)たちと会えるから楽しみですよ。あとナルポン・フェアテックスがトレーナーに加わるそうなので、それも気になりますね」

――イヴォルブのメンバーは青木選手が練習をスタートした頃に比べると、かなりレベルアップしていますよね。

「僕がイヴォルブに行く度に、みんなが強くなっています。特にやばいのはゾロ。初めて練習した時から『こいつは強いな』と思っていましたけど、それがさらに強くなっている感じですね。8月のOFCには出ずに、72~73kgまで体重を落として、ルンピニーかラジャでヨーロッパ人とムエタイの試合をするみたいです」

――青木選手はもちろんイヴォルブ勢の活躍にも注目が集まります。

「ライト級は特に層が厚いんですよ。僕とゾロがいて、少し僕らよりは劣るけどエディもいて。UFCに出ているハファエル・ドスアンジョスもいるから、イヴォルブのライト級はチームとして強いと思いますよ」

――OFC参戦で青木選手を取り巻く環境も大きく変わると思いますが、そこで自分がどうなるのか楽しみな部分はありますか?

「自分ももう37戦やっていて、2003年のDEEPフューチャーキングトーナメント王者なので、プロとしては来年で10年選手になります。いい条件でOFCとは契約させてもらったので、今までとは違って試合数も少し考えながらやっていきたいとは思っています。あと今年の大晦日、正月は格闘技から離れて、のんびり過ごしたいです(笑)」

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J-CAGE News ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 宮田和幸 工藤諒司 後藤丈治 椿飛鳥 田中路教 祖根寿麻 青木真也

【Road to ONE02】Road to ONEはさらなるクローズドへ、メディアの現地取材もNG

Road to ONE【写真】メディアにも取材規制の通達があったRoad to ONE。UFCの無観客試合もメディアはクローズド、ONEは極一部(2名)のみ取材が許可されていた (C)MMAPLANET

14日(火)、サステインよりRoad to Japan実行委員会主催のRoad to ONE02に関して、メディアもクローズドアウトされるという発表があった。

昨日の対戦カード発表時に会場も公としないことや、「会場を専門業者により1日複数回の消毒を実施、サーモグラフィー・体温計のよる検温、うがい、アルコール消毒を徹底し、3密の状況を極力避け、大会関係者にはマスク着用を義務付ける」などコロナウィルス感染予防の姿勢がリリースで伝えられていたが、メディアにも安全性の確保と3密を避けるために会場での取材ができないことが通達された。

また一部選手の話を聞くと、今大会の出場選手の移動などにも通常にはない配慮がなされているとのこと。この時期に大会を開く、そのためには可能な限りの努力をする意思がメディアの取材規制やこの辺りにも表れている。

※MMAPLANETからMMAファン、格闘技ファンの皆さんへ。「仮にABEMAの中継で、開催場所に思い当たったという方がいらしても、SNSでの拡散及び、目星をつけた会場に足を運ばないこと」を強くお願いしたいです。


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J-CAGE News ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 宮田和幸 工藤諒司 後藤丈治 椿飛鳥 田中路教 祖根寿麻 青木真也

【Road to ONE02】会場はシークレットに。ABEMA中継のTVマッチの体で大会は行われる方向に

Road to ONE02【写真】会場も公とされない、実質シークレットTVマッチとして大会は行われる (C)MMAPLANET

13 日(月・現地時間)、サステインよりRoad to Japan実行委員会主催のRoad to ONE02、全6試合の決定カードが発表された。

本来であれば昨日に港区のニューピアホールで開催予定だった同大会は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大を受け17日(金)にスライドされ無観客で行われることが決まっていた。

この時期での開催ということもあり、主催者からはウィルス対策として、「会場を専門業者により1日複数回の消毒を実施、サーモグラフィー・体温計のよる検温、うがい、アルコール消毒を徹底し、3密の状況を極力避け、大会関係者にはマスク着用を義務付ける」などリリースには明記されている。

また対戦相手の欠場が決まっていたSARAMIは新たな相手が見つからず女子戦は行われないこととなった。さらにキックにも変更が見られ、今大会は以下のように6試合が組まれ、その模様はABEMAでライブ中継される。


■Rod to ONE02対戦カード

<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
世羅智茂(日本)

<ムエタイ72.5キロ契約/3分3R>
緑川創(日本)
西川大和(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
祖根寿麻(日本)
後藤丈治(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
椿飛鳥(日本)

<グラップリング・フェザー級(※70.3キロ)/10分1R>
宮田和幸(日本)
田中路教(日本)

<ムエタイ・ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
HIROYUKI(日本)
ポン・ピットジム(タイ)

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Road to ONE02 (4月17日) 対戦カード──SARAMIの試合は流れる……

Goto【写真】紆余曲折が見られた後藤✖祖根の一戦も組まれる。それでも、大会はこのまま行われるのか──何が起こるか分からないのが、我々の過ごす「今」だ(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

2020年4月17日(金)
Road to ONE02

■視聴方法(予定)
4月17日(金・日本時間)
午後7時~ ABEma格闘チャンネル

※プレスリリースにある予防対策など詳細の後程アップします。

■対戦カード

<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
世羅智茂(日本)

<ムエタイ72.5キロ契約/3分3R>
緑川創(日本)
西川大和(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
祖根寿麻(日本)
後藤丈治(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
椿飛鳥(日本)

<グラップリング・フェザー級(※70.3キロ)/10分1R>
宮田和幸(日本)
田中路教(日本)

<ムエタイ・ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
HIROYUKI(日本)
ポン・ピットジム(タイ)

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ADCC2005 Special The Fight Must Go On ジェイク・シールズ ジョルジュ・サンピエール ディエゴ・サンチェス デミアン・マイア ブログ ホジャー・グレイシー ホナウド・ジャカレ マーシオ・フェイトーザ ユライア・フェイバー レオ・サントス 青木真也

【The Fight Must Go On】DVDチラ見─03─2005年5月28&29日、ADCC2005。最後の柔術家✖UFCファイター

ACDD2005【写真】日本ではクエストが権利を取り、DVDを発売。ここで紹介するDVDは米国版だ (C) FIGHTWORLD.com

国内外のMMA大会の中止及び延期、さらには格闘技ジムの休館など、停滞ムードの真っただ中です。個人的にも大会の延期と中止のニュースばかりを書かざるをえない時期だからこそ、目まぐるしい日々の出来事、情報が氾濫する通常のMMA界では発することができなかったMMAに纏わる色々なコトを発信していければと思います。こんな時だからこそ The Fight Must Go On──第19弾は懐かしくもあり、今や秘蔵っぽさタップリのDVD紹介シリーズ、その第3回として2005年5月28&29日にカリフォルニア州ロングビーチのザ・ピラミッドで開催されたADCC2005のDVDを紹介したい。


2005年はMMA界にとって、転機となったな年だ。この年の1月から4月にかけて全米ケーブルネットワーク局SpikeでThe Ultimate Fighterシーズン01が中継された。この番組が当たらなければ、ZuffaはUFCへの投資と経営を諦めていただろう。

そんな最後の一手が起死回生の場外ホームランとなり、UFCは──いやMMAは世のメインストリームを闊歩する道を歩み始めた。そんな年に開催されたADCCサブミッションレスリング世界大会は、PRIDEに出場している以外のMMAファイターにとってグラップリングの優勝賞金が高額だった最後の大会(※いつの間にかこの名称もサブミッションファイティングに変更されているが……)といえる。

UrajahズッファがWECを買収する以前とはいえ66キロ級にユライア・フェイバー、ギルバート・メレンデス、77キロ級にはジョルジュ・サンピエール、ディエゴ・サンチェス、ジェイク・シールズ、青木真也、88キロ級にフランク・トリッグ、デニス・ホールマンらが出場している。

aoki2年後のADCC2007ではロバート・ドリスデール、ファブリシオ・ヴェウドゥム、シャンジ・ヒベイロ、デミアン・マイア、マルセリーニョ・ガウッシア、ハニ・ヤヒーラという6人の世界王者が全てMMAに進出していることからも、2005年を潮目にMMAと柔術の関係が変化したことが分かる。

GSPそんなMMAファイター達の挑戦を跳ね返した柔術勢と柔術家同士の潰し合いに馳せ参じたメンバーも、レオ・ヴィエイラ、マーシオ・フェイトーザ、レオ・サントス、マルセリーニョ・ガウッシア、ホナウド・ジャカレ、デミアン・マイア、シャンジ・ヒベイロ、ホジャー・グレイシーと凄まじいばかりの面子が揃っていた。

marcio今や柔術も道着とノーギが別物と捉えられるようになったことを考えると、ノーギグラップリングという分野において、MMAファイターが本気で柔術家に挑み、また米国勢のレスリングと柔術の融合が始まったのが、このADCC2005といえる。

■青木のセコンドは欽ちゃん!!

そんなADCC2005は日本国内ではクエストが3枚組、計674分のDVDを発売しており、ここで紹介した米国とは別構成になっている。この米国版はFIGHT MARKET.comから7枚組で発売され、グラフィックの注目すべき点は各選手のセコンドが明記されている点。青木のセコンドには近藤哲也氏、そして橋本欽也君の名前がしっかりと刻まれている!!

そして米国版ではスポンサーが裏表紙で紹介されているが、KORAL、TAPOUT、On The Mat、Jiu Jitsu PRO Gear、FOKAIなどギアやショップだけでなく、Grappler QuestとNAGAという2大グラップリングのロゴも確認される。

ADCC2005も今や、UFC Fight Passで視聴可能だ。もうとやかくいう必要もない。各階級の優勝者、そして今見ても色あせることのない顔合わせを記しておきたい。

66kg
【66キロ級】
優勝レオ・ヴィエイラ 準優勝ハニ・ヤヒーラ
<1回戦>
レオ・ヴィエイラ✖徹肌ィ郎
ギルバート・メレンデス✖バレット・ヨシダ
ユライア・フェイバー✖マルコ・パフンピーニャ
<準々決勝>
ヴァグネイ・ファビアーノ✖ハニ・ヤヒーラ
マーシオ・フェイトーザ✖ユライア・フェイバー
<準決勝>
ハニ・ヤヒーラ✖マーシオ・フェイトーザ

leo
【77キロ級】
優勝マルセリーニョ・ガウッシア 準優勝パブロ・ポポビッチ
<1回戦>
青木真也✖マルコス・アヴェラン
GSP✖オットー・オルソン
パブロ・ポポビッチ✖ヘンゾ・グレイシー
ジェイク・シールズ✖ディエゴ・サンチェス
<準々決勝>
マルセリーニョ・ガウッシア✖青木真也
レオ・サントス✖ジョルジュ・サンピエール
パブロ・ポポビッチ✖ホアン・ジュカォン
ジェイク・シールズ✖キャメロン・アール
<準決勝>
マルセリーニョ・ガウッシア✖レオ・サントス
<3位決定戦>
ジェイク・シールズ✖レオ・サントス

88kg
【88キロ級】
優勝ホナウド・ジャカレ 準優勝デミアン・マイア
<1回戦>
サウロ・ヒベイロ✖ラリー・パパドポロス
ジョルジ・マカコ✖花井岳
デヴィッド・アベラン✖三原秀美
デニス・ホールマン✖フランク・トリッグ
<準決勝>
デミアン・マイア✖サウロ・ヒベイロ

99kg
【99キロ級】
優勝ホジャー・グレイシー 準優勝アレッシャンドリ・カカレコ
<1回戦>
ロバート・ドリスデール✖アンソニー・ペロシュ
アレッシャンドリ・カカレコ✖内藤征弥
<準々決勝>
アレッシャンドリ・カカレコ✖ロバート・ドリスデール
ホジャー・グレイシー✖エドゥアウド・テレス
シャンジ・ヒベイロ✖ジャマール・パターソン
<準決勝>
アレッシャンドリ・カカレコ✖ユノラフ・エイネモ
ホジャー・グレイシー✖シャンジ・ヒベイロ
<3位決定戦>
シャンジ・ヒベイロ✖ユノラフ・エイネモ

99+
【99キロ超級】
優勝ジェフ・モンソン 準優勝ガブリエル・ナパォン
<1回戦>
ガブリエル・ナパォン✖ムスタファ・アルトゥルク
リコ・ロドリゲス✖ハイム・ゴザリ
ラハディ・ファーガソン✖石井淳
ジェフ・モンソン✖カリーム・バイロン
<準々決勝>
マーシオ・ペジパーノ✖ダニエル・グレイシー
<準決勝>
ガブリエル・ナパォン✖マーシオ・ペジパーノ
ジェフ・モンソン✖ファブリシオ・ヴェウドゥム

Open
【アブソリュート級】
優勝ホジャー・グレイシー 準優勝ホナウド・ジャカレ
<1回戦>
ホジャー・グレイシー✖青木真也
アレッシャンドリ・カカレコ✖レオ・サントス
マルセリーニョ・ガウッシア✖リコ・ロドリゲス
<準々決勝>
ホジャー・グレイシー✖ファブリシオ・ヴェウドゥム
ホナウド・ジャカレ✖アレッシャンドリ・カカレコ
マルセリーニョ・ガウッシア✖ディエゴ・サンチェス
<準決勝>
ホナウド・ジャカレ✖マルセリーニョ・ガウッシア
<3位決定戦>
マルセリーニョ・ガウッシア✖アレッシャンドリ・カカレコ

w60kg
【女子60キロ】
優勝キーラ・グレイシー 準優勝レカ・ヴィエイラ
<1回戦>
藤井恵✖リマ・ハダット
キーラ・グレイシー✖エリカ・モントーヤ
ギャジー・パーマン✖レティシア・ヒベイロ
レカ・ヴィエイラ✖ロクサン・モダフェリ
<準決勝>
キーラ・グレイシー✖藤井恵

【女子60キロ超級】
優勝ジュリアナ・ボルジェス 準優勝タラ・ラロサ
<1回戦>
マルース・クーネン✖近藤有希
薮下めぐみ✖アマンダ・ブキャナー
<準決勝>
ステイシー・カートライト✖マルース・クーネン
ジュリアナ・ボルジェス✖薮下めぐみ

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Interview JJ Globo ONE Road to ONE02 Special ブログ 世羅智茂 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:番外編─世羅智茂戦@Road to ONE 02「いつもと変わりなく」

Shinya Aoki【写真】ロータスはMMAグラップリング、IGLOOでピュアグラップリングを構築する青木 (C) MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。世界的にMMAがストップした3月、試合数も激減したなか過去の試合をチェックするなど、変わらぬ情熱を見せる青木は、17日に東京都渋谷区の渋谷TSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE02で、世羅智茂とグラップリングマッチを戦うことが決まっている。

今、このタイミングで組み技を戦う青木に、自身の次戦について引き続き話を訊いた。


──世の中が揺れるなか、青木選手自身は世羅選手とのグラップリングマッチが決まっています。

「試合に関する向き合い方は、普段と変わりないです。最近、グラップリングが面白くなってきているので、一度やってみるのも良いなって。単純に面白くなってきています。もちろん、MMAの試合が決まっていればそっちを優先しますけど、楽しくなってきたグラップリングを試合で試すことができる。そこは単純に楽しみです」

──これまで青木選手がONEで行ってきたグラップリングは、どちらかというとケージグラップリング、MMAグラップリング的な要素が強かったと思います。今回の相手である世羅選手は純粋な柔術家、楽しくなってきたグラップリングを試すには壁にはこだわらない?

「ケージグラップリングではありますけど、相手によりますからね。マラット・ガフロフとやった時は相手がそれを望んできて。ゲイリー・トノンにはケージ中央でやられちゃいましたし。相手次第だから純粋グラップリングになる確率は高いと思います。それが楽しくなっちゃっています」

──世羅選手が座ってきても、対応できますか。

「できると思います。実際、日本にはグラップリングだけを戦っている人はいないし、そのなかで僕も純粋グラップリングの練習を週に一度やっているので。そういう意味でも良い対戦相手だと思います」

──正直なところ世羅選手とのマッチアップは意外でした。

「まぁ、色々対戦相手の名前は挙がりましたけど、現状でできる相手だと国内に限られてきて。そうなると、僕の方から特定の名前を挙げて組んでみたい相手はいないです。

そんななか関根(シュレック秀樹)さんの名前が挙がったことがありましたが、体重差もあって文脈が違い過ぎるだろうって(笑)。逃げたと言われると、まぁ癪に触るけど……。だって、僕のキャリアのアップデートにならないですからね。今、関根さんとグラップリングで試合をしても」

──エンターテイメント要素が強くなりますね。見た目の印象で。

「まぁ、しっくりとは来ないです。そういう試合があっても良いけど、僕が今グラップリングを真面目に取り組んでいるなかで、技術的にもアップデートしているので──ここはヘビー級の関根さんじゃないだろうって。自分の取り組みを良い形で試合に出したいから。

そうなると国内のグラップリングで一番強くて、名前があるのは岩本選手だと思っています。でも岩本選手とは週に3回、組み合う仲になっているので試合はできないですし」

──そして良い対戦相手、世羅選手との試合になったと。どのような印象を持っていますか。

「頑張る選手です。今成戦ではバックを取っているし、全く舐めたりしていないです。シリアスな勝負になると思っています。だから、世羅選手に頑張り勝ちたいです」

──世羅選手と今成選手の試合は、互いに警戒心が強い試合でした。

「僕はああはならないと思います。攻めたいので。まあ、そこは僕の宗教観で。攻めてこそ、ナンボという性分があるので攻めたいです」

──格闘技として楽しくなるには、世羅選手が青木選手の攻めをどれだけ遮断できるのか。そこが見所だと思っています。

Aoki & Iwamoto「僕としては、逆にそこを崩さないといけない。岩本選手や山中(健也)選手とIGLOOで練習できていることは財産になっているので、そこが上手く……技術的に出るかと思います。グラップラーの岩本選手、柔術家の山中選手、そしてMMAファイターの僕。

3つの宗教が混在していて、柔術、グラップリング、MMAとかなく、グラップリングマッチを戦います。本来は僕が技術をたくさん仕入れて引っ張らないといけないのですが、最近は教えてもらうことが多い。それが出る試合になるような気がします。練習でやっていることが出る。そういう試合になるでしょうね」

──自粛、延期、中止が合言葉となりつつある格闘技界。この現状で流動的(このインタビューをした時点で17日の無観客は発表されていなかった)ながら、試合があることについては。

「やるヤツはやる。どうなるか分からない部分はあるけど、そういう状況は関係なく、試合に向けてはいつもと変わりなくやります」

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Interview Special トム・ヘルピン ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その参─コンバット柔術ワールド「足関節が極まらなくなって」

Combat JJ【写真】エディ・ブラボーが主催するコンバット柔術は、突っ込みどころ満載でありながら魅力に満ちている。写真は昨年5月のバンタム級Tのモノ(C)DAVE MANDEL

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ3月の一番、第3弾は8日に開催されたCJJW2020、コンバット柔術ワールド2020を語らおう。


──3月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「これは試合ではなく、コンバット柔術世界大会全体にしたいと思います」

──おおコンバット柔術ですか。グラウンドで掌底ありのノーポイント&サブオンリー、加えてタイムアップになるとシートベルト・ポジションとスパイダーウェブからのオーバータイム制が用いられるグラップリング大会です。

「技術の流れを語るうえで、今回のコンバット柔術は重要だと思います」

──どういうことでしょうか。

「足関節がやっぱり減ってくるんです」

──最終的に?

「ハイ、最終的には(笑)。僕も岩本(健汰)選手とスパーリングをさせてもらっていて、フィニッシュとしてお互いに減ってくるんです。コンバット柔術にしても、他のグラップリングにしても足関節でフィニッシュは減っていると思います」

──ただ優勝したトム・ヘルピンは初戦、準決勝の今成正和選手との試合、そして決勝と内ヒールで一本勝ちしています。

昨年のADCC66キロ級に出場していたヘルピン。パブロ・モントバーニに0-13で敗れている(C)SATOSHI NARITA

昨年のADCC66キロ級に出場していたヘルピン。パブロ・モントバーニに0-13で敗れている(C)SATOSHI NARITA

「あの選手のことは知らなかったですねぇ、全く。

岩本選手はADCC世界大会に出ていたり、その前の欧州予選で勝っている同階級の選手だからしっていたみたいですけど。

アイルランドですよ。あんな奴、いるんだっ──みたいな。しっかりと柔術が強くて、足関節とバック。柔術がちゃんとできるところが、ヘルピンが足関節で勝てた理由だと思います。足関節とバックという組み合わせが多くなって、そういう強いヤツがいるんだなって」

──まさにヘルピンは2回戦で所英男選手をRNCで破っています。それにしても本家・今成ロールにカウンターのヒールを合わせたのは驚きでした。

「切ってバックにいくのが主流で、彼も出来るはずだけと取りに行った。相当、自信あるんだと思います。多分、今成型の瞬発力的にパンと取るヒールフックは、彼らからすると一昔前の技で怖くないと思います。今成さんも今の足関節を凄く研究してレベルアップしたけど、僕と同じでいつの間にか後追いになっているんです」

──あぁあ……。ノーギに関しては、日本では90年代終盤ADCCがあり、こぞってMMAファイターが出場していました。そこから柔術家の時代になりましたが、日本はグラップリングが一度、途絶えた感があります。対して、米国は今の隆盛を迎える前に15年以上に渡り、ずっとノーギ文化が育まれてきた。

「確かに、そうですね。米国にはヒールフックは普通にある。日本にはグラップリングというジャンルがなくなり、ヒールフックも途絶えた」

──ヒールに関しては、佐藤ルミナ選手がMMAで仕掛けて殴られる。だから、MMAで選手が足関節を使わなくなった。そうすると練習でも試さないという流れではないかと。ルミナ選手が足関節の象徴だったので。もともと競技柔術にはヒールはないですし、ヒールを伝えるのはMMAの人、それが日本だったと。

「あぁ、その発想はチョットなかったです。要は日本でヒールフックが使われなくなったのは、ルミナ✖ハンセン戦からだと。その史観、面白いっ!! それは衝撃的、面白いですよ!! ルミナさんは特異なタイプだから。ルミナさんはMMAを戦っている間、柔術が入らなかったです。引退されて、柔術を取り入れられているようだけど。

今成さんは柔術が入った。僕もセコンドに就いていた時に『引き込んでヒールフックして上を取りましょう』とか作戦としてやっていたんです。ルミナさんも体を捻って逃げる相手の背中に飛び乗るとか、あの運動神経があるとできていたと思います。でも周囲にも柔術の発想がなかったかもしれないですよね。

そして植松さん、今成さん、戸井田さん、ルミナさん以降は足関節は職人の技になりましたね」

──DREAMと戦極で、青木&北岡コンビが現代足関節時代になる前に、一度脚光を浴びさせました。青木選手がエディ・アルバレス、北岡選手が五味選手に勝って。

「でも、僕は足関節のフィニッシュは2試合しかないんです。エディと川尻さんとの試合しか。北岡さんの方が、足関節で勝っている試合は多いです」

──と同時に青木選手が足関節を逃げられて殴られたという記憶はないです。

「僕は怖いから、それだけ使っていないので。上に居続けないといけないという発想に代わりましたからね。足関節は出ちゃった時は仕方ないけど、自分の作戦として採り入れないようにしていました」

──そんななか掌底有りのコンバット柔術における足関節とはどういう位置づけでしょうか。

「う~ん、コンバット柔術はジャンルとしてメインストリームには来ないと思います。アレがUFCみたいになることはほぼない。ルールの穴が多すぎて、メジャーになるには禁止される部分が増えたり、戦いもグラップリングでなく掌底の殴り合いみたいになっていくでしょうし。

でも現時点のコンバット柔術は逆張りする上で面白い。岩本選手とか出れば良いのに……アレはグラップリングなので。日本でもMMAファイターの人材育成ルールとか、逆に柔術家がMMAをやる前に経験しておく要素──そういうルールかと思います」

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【Road to ONE02】17日&無観客大会に変更。メイン出場の青木真也は「生きるために格闘技をしている」

Shinya Aoki【写真】当然、批判の声も挙がるだろう。これが青木真也の生き様だ(C) MMAPLANET

3日(金)、サステインより12日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催される予定だったRoad to ONE02(Road to ONE実行委員会主催)が、日程・会場ともに変更され17日(金)に渋谷区の渋谷TSUTAYA O-EASTで、無観客大会として行われるという発表があった。

無観客、ウィークデーでの大会は、週末の外出自粛を求める東京都始め行政の要請により忠実に従うことを念頭に決定され、会場ではサーモグラフによる検温、手洗い&うがい、試合中の選手とレフェリー以外の関係者のマスク着用と新型コロナウィルス拡大防止策に取り組むとリリースには明記されている。


キックでWKBA世界ウェルター級王者・緑川創が西川大和と相対するなど、ムエタイとキックの試合が2試合追加された今大会、メインは青木真也✖世羅智茂もグラップリングマッチに決まった。また日程の変更に伴い西浦ウィッキー聡生✖論田愛空隆は5月31日の修斗後楽園ホール大会にスライド、後藤丈治と対戦予定だった祖根寿麻、SARAMIと対戦予定だった鈴木祐子が欠場し、代役が決定し次第アナウンスされるとのことだ。

大会キャッチで「今こそ、本物かどうかが問われている」と銘打たれた同大会のメイン出場となった青木真也は、リリースに今大会の実現、出場に関して以下のようなコメントを寄せている。

青木真也
「ずっと生きるために格闘技をしている。
今やらなくていつやる。最初から命張っているのだから、いまさら恐れることはないだろう。
本物かどうかが問われている…どころではない。
今、何者かが見えるのだ。リスクを負わない正論か、リスクを背負った現場の声か。
青木真也の思想信念、主義主張を無理やりにでもメインに置いてこよう。
37歳を迎えようとするロートルのグラップリングマッチにメインを取られることを他のファイターはよく考えた方がいい。僕だったら耐えられないことだから」

なお今大会はAbema TV格闘チャンネルで全試合がライブ配信される。


             

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Interview Special ケビン・リー シャーウス・オリヴェイラ ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その弐─オリヴェイラ✖リー「ドミネイトの価値を崩す価値観」

Oliveira【写真】削るMMAという軸から外れたフィニッシャーだと青木はシャーウス・オリヴェイラを称した (C) Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年3月の一番、第2 弾は14日に開催されたUFN170からシャーウス・オリヴェイラ✖ケビン・リーの一戦を語らおう。


──3月の青木真也が選ぶ、この一番。2試合目は?

「シャーウス・オリヴェイラ✖ケビン・リーです」

──UFC初の無観客大会のメイン、世界的に見てMMAワールド活動休止前最後の1試合となります。

「シャーウス・オリヴェイラは……もう何ですかね……僕、昨日1日中ジョルジュ・サンピエールの試合を視ていたんです」

──おぉっ、1日中GSPを!!

(C)DAVE MANDEL

(C)DAVE MANDEL

「で、やっぱり今見ても凄いんですよ。

テイクダウンして、襷でなく基本ボディロックでバックを取って、レスリングが上手で。凄く洗練されていて色褪せない。ハーフでワキ差しパスが綺麗で」

──枕でプレッシャーをかける印象が凄く残っています。

「ハイ、ハーフで僕なんかは腰を畳むんですが、GSPは畳まずグイグイ押してクラシックなパスガードをしています。GSPが2010年ぐらいにMMAに削るという概念を持ち込んだと思います」

──青木選手はそう見ますか。グラインダーはジョン・フィッチだと思っていました。

「あぁ、フィッチもそうですね。フィッチとかGSPを見て、日本人選手も戦略的に削るという戦いを取り入れるようになりました。そのグライディングやドミネイトするという価値観がUFCの戦い方だったと思うんです。僕もその価値観は今も好きですけど、そこを覆す価値観をオリヴェイラは持っています。綺麗な打撃と下からのサブミッションという。

(C)Zuffa/UFC

(C)Zuffa/UFC

彼自身、ドミネイトするスタイルに苦戦して勝ちが続かない時期があったんですけど、打撃の成長があって綺麗なストライキング&サブミッションというスタイルが確立してきたと思います」

──もともと極め力は非常に強かったです。そこで打撃の精度や威力が上がり、極めという部分がさらに際立つようになったかと。

「めっちゃ凄いと思います。UFCで7試合連続フィニッシュって、本当に凄いです。どれだけのフィニッシャーなんだって(笑)」

──ダメージを与えてから、極めるというファイトになってからそこが際立っていますね。

「以前はヒールとか、三角とか瞬間、瞬間で極める感じでしたよね。それだと防がれて殴られていた。しかも、取り合いでジム・ミラーにヒザ十字とか極めらたり。

Oliveira guillotineでも、今はダメージを与えてフィニッシュに誘い込んでいる。この試合でケビン・リーに極めたギロチンもそうですし、2015年にニック・レンツに勝った時からそういう兆しもあったんですけど、最近は際立っていますね。

ブライアン・オルテガもそういうタイプです。打撃で削って、嫌がって組ませたところでギロチンとか三角で仕留める。オルテガもオリヴェイラもギロチンを途中で、作り直すんですよね。一旦、抱えておいてから組み直す」

──確かにアジャストして、極めています。

「アレは器量が相当ある証拠です。無理から絞めても凌がれるなと思ったら、作り直すことができる。アレは相当です。実は僕、試合ではギロチンで勝ったことないんです」

──青木選手はそれこそ凌がれると、下になる仕掛けは試合でないですね。組み伏せてのフィニッシュが特に最近は多いです。

「そうですね、バックチョークとか肩固め。昔はやっていたから腕十字、三角、足関節はあるんです。でもギロチンはない。練習では作って極めなおすことはできるけど、試合でそれができるかといえば、自分に疑問を持っています。

打撃でいえば仕留めに掛っている時でも、相手の動きを見て完全に外して殴ることができる。そういう極めをオリヴェイラは持っているんです。それぐらい綺麗な技量があって、抜け出ていますね。

それでいて足関節もするんですよね。アウトサイドのヒールを取って。カーフスライサーみたいなのも仕掛けるし。サブミッションはほぼ網羅している」

──ライト級王座を考えると、王者カビブ・ヌルマゴドフの対戦相手として、UFCのビッグファイト路線にオリヴェイラが介入することができるのか。

「グッドファイターで僕は大好きだけど、UFCは組まないような気がしますね。でもUFCのブラジル大会ってMMAが好きな人には面白い大会になっていましたよね」

──TUF BRの頃は北米MMAにかなり近づいていたのが、また柔術を見直した原点回帰的な部分も見られて、個性的な選手が増えてきました。

「そうですね、アルドとかはブラジルっぽくなかったですしね。ブラジル大会はUFCクオリティで、片方の選手は全てブラジルで固めることができる。その層の厚さ、アジアでは韓国と中国はやりかけているけど、ブラジルほどではないですからね。ヤヒーラ、デミアン・マイア、そしてオリヴェイラとか、ブラジル大会──好きですね」

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Interview Special アルマン・オスパノフ ブログ ラスル・ミルザエフ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その壱─オスパノフ✖ミルザエフ「画一化されていないMMA」

Ospanov【写真】オスパノフの公開練習には多くの報道陣やファンが集まっていた (C) ACA

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

Ospanov vs Mirzaev背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

そんな青木が選んだ2020年3月の一番、第一弾は6日に行われたACA105からアルマン・オスパノフ✖ラスル・ミルザエフの一戦を語らおう。


──2020年3月度、選択肢がほぼ2つの週末に限られてきてしまうMMA界となってしまいましたが、青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?

「オスパノフとミルザエフです」

──ACAで行われたカザフスタン✖ロシアの一戦ですか!!

「しかもカザフスタン大会なんですよね。地元のALASH PRIDEが興行を買ったというか、共同開催で。その事実がまた凄いです」

今大会にはキルギスからカナット・ケルディベコフが出場も、ブラジルのヴァウテウ・ペヘイラJrに敗れる

今大会にはキルギスからカナット・ケルディベコフが出場も、ブラジルのヴァウテウ・ペヘイラJrに敗れる

──中央アジアはやはり旧ソ連圏。今回やACA102もカザフ大会としてACAとALASH PRIDEが協力し、そこキルギスのWEFからチャンピオンクラスが派遣されている。そういう一つのMMA圏が成立されていますよね。

「でも、そもそもALASH PRIDEって何なんですかね。僕、把握できていないんですけど」

──私も確かなことは分かりませんが、ジム、マネージメント、そして大会と一手にカザフスタンのMMAを牛耳っているイメージはあります。

「ONEでもカイラット・アクメトフがALASH PRIDEの所属ですよね?」

──ハイ。今日、青木選手が取り上げたオスパノフは英語が話せるので、以前にONEの前にアクメトフをインタビューした時に通訳を手伝ってくれたことがありました(笑)。

「そうなんですか(笑)」

パンチ、蹴り、投げ、決勝で極めた後ろ三角などコンバットサンボ時代から、全局面に優れていたオスパノフ

パンチ、蹴り、投げ、決勝で極めた後ろ三角などコンバットサンボ時代から、全局面に優れていたオスパノフ

──その時に『俺、日本人と戦っているんだ』と言ってきて気付いた次第です。

「ああ、中島太一とやって。そうやって色々とやっている選手がちゃんといるから、今大会はカザフスタンの選手がたくさん出ていた。そこも興味深かったですよね。

オスパノフが中島太一を倒した時も、今の他のカザフスタンの選手と同じで別に頭になかったじゃないですか?」

──自分はオスパノフ自身は、2014年に成田で行われたサンボ世界選手権のコンバットサンボ68キロ級で優勝した時に『こんな選手がいて、アマでパウンド有りとかやっているとどんどん強くなるな』という印象を持ったことがあったのですが、その選手と中島選手がACAで戦うカザフスタン人が一致していなかったです。

「僕は中島太一の試合で知ったんですけど、地が強いですよね。今回の対戦相手のミルザエフも戦極のあとにロシアで戦った金ちゃん(金原正徳)をKOしたヤツですよ。まだ5戦目とかで」

──あぁ、あの選手だったのですか。いやぁ、青木選手に言われるまで気付いていなかったです。

「バーかなんかで人を殴って、入っていたんですよ──確か。で、戻ってきてファイトナイトとかACBに出るようになって、ここで負けているんですよね(※キャリア17連勝後、FNGでジョージアのレヴァン・マカシュビリ、ACAではシャミル・シャブラトフに敗北。18勝2敗で、今回のオスパノフ戦を迎えていた)。

パーフェクトレコードが崩れていたミルザエフですが、この試合は彼が勝つと思っていたんです。そこをオスパノフがパウンドでもっていって。オスパノフは体の強さあって、バックスピンキックを入れたりするのが、独特ですよね。底力がある。そういう国の人間が、ACAと結びつくことでもっと強くなってくるなと正直思いましたね」

──画一的でないのがロシア的ですね。

「ハイ、これまでにない発想があります。う~ん、僕らみたいなある程度見ている人になると、あんな風でないと興奮できないのかと思います。今のUFCは画一化、均一化されつつあるので、そうでない格闘技をMMAで楽しみたいと思うとロシアや中央アジアになっていくのかと」

──グローブ持参で試合に出てしまう様な(笑)。

「それを今の時代にやっているという……。競技や大会としては追いついていないけど、戦っている連中は強い。でも、2005年とかの修斗も僕はメインとかで出ると、誰かがその大会で使ったグローブが回ってくるのを待たないといけないような感じでした。それだけMMAグローブの数も確保できていなかった」

──あぁ、そうでしたか。外国人選手が使用グローブを持って帰らないかと北森さんが目を見張らせていたのは覚えています(笑)。

「今の話を聞いて日本も15年前は一つの大会で使いまわしていたなって思い出しました。だから、ロシアや中央アジアだとグローブ持参もあるんだろうなって(笑)。あの頃の僕は誰かが使う前のグローブで試合がしたいって思っていましたよ。それに今も日本の大会だと、RIZIN以外は基本は団体がグローブを回収して、使いまわしであることは変わらないですよね」

──そう考えると、毎大会のように使用グローブをそのまま選手に譲るというのは、それなりの規模でないとありえないということですね。

「1セットが1万円少しして、10試合とか15試合あると少なくない額が掛かってしまいますからね。それは理解しています」

──そんななかACAもイベントの延期や中止を発表していますが、青木選手はUFC的でないMMAを楽しむならACAだと。

「そうですね。KSWもそうだし、ACAはアリ・バゴフがウェルター級で戦ったり、65キロが回ってきていたので、ちょっと残念ですね。バンタム級でも同じ大会でダニエル・オリヴェイラがシャミル・シャフプラトフに勝って新チャンピオンになりましたよね。2人ともレコード的には凄く綺麗なわけでない(※オリヴェイラが28勝7敗、シャフプラトフが11勝4敗)けど、強い。

韓国人選手のレコードが汚いのと同じです。7勝5敗でも強いのと一緒だと思います」

──オスパノフは10勝3敗ですが、その実力のほどは。

「強いは強いです。ただし、主戦場がACAだからチャンピオンシップとかはまだ見えてこないんじゃないでしょうか。それによりもカザフスタンにはオスパノフのような選手がたくさんいるだろうっていうことが怖いです。

カザフスタン、キルギスのような中央アジア、あとはウクライナ、モルドバ、ルーマニア、ジョージア、黒海沿岸の東欧やユーロロシアの貧しい国はどうなるのか。レベルがドンと上がると思います」