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Interview Special UFC249 ジャスティン・ゲイジー トニー・ファーガソン ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:5月─その壱─ジャスティン・ゲイジー✖トニー・ファーガソン

【写真】青木の好きだったゲイジーは、このゲイジーではなかった?! (C) Zuffa / UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年5月の一番、第一弾は9日に行われたUFC249からジャスティン・ゲイジー✖トニー・ファーガソンの一戦を語らおう。


──2020年5月度、世界的見るとUFCが4大会、そして日本で修斗、韓国でARCが行われました。そのなかで青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?

「ジャスティン・ゲイジー✖トニー・ファーガソンですね。UFCがあれだけ大会をやっても、米国中心なので印象がやや薄い感じがしてしまって。そして、このPPV大会ではこれまでと比較して、ゲイジー✖ファーガソン戦、ヘンリー・セフード✖ドミニク・クルーズ戦と揃ってストップが早かったと思います。

ゲイジーの試合に関しては、本来はタイミングもジャストで良いストップでした。でも、倒れていない。だから観客がいたら続いていたんじゃないかと。セフードとドミニクも歓声があったら、もう少し見ただろうなって。レフェリーも人の子なので、観客がいると見ちゃうと思います。

と同時に盛り上がるが欠けるなかで、客の声に影響されないから判定が割れないのかとも感じました。ONEのフィリピン大会みたいなことはないですよね。無観客はデメリットとメリットがあり、デメリットの方が多いですが、ジャッジが目の前のコトに集中できるメリットがあることが分かりました」

──逆にマイクアピールは味気ないですね。

「無理ですよね。客がいないのにマイクは。そのなかで、あのセフードの空気の読まなさは凄いです。あの場で引退を言ってしまう。アレはちょっと壊れていますよ。良くも悪くも」

──試合内容についてはどのように思いましたか。

「試合前はワンサイドでファーガソンかと思っていたのですが、ゲイジーの圧力を侮るとダメだ……格闘技だなって」

──攻めすぎることはないスマートさが出ていました。

「それでもローをパカパカ蹴っていましたけど、お前のスネは大丈夫かって思いました(笑)。あれだけ蹴っていたら、ファーガソンはチェックもするし、自分のスネが痛いときもあるはずです。特にカーフキックとかでは……どうしちゃったんだって。ムエタイだと相手がカットしてくると、危ないから緩めたりするけど、ゲイジーは全くなかった。

そういう攻防も、も客の声がないからパンパンやっていたとしても──悪く言うとスパーリングのようにも見えてしまいます」

──と同時にファーガソンがあそこまで、一方的にやられるとは思いもしませんでした。要因はどこにあったと思いますか。

「タッチボクシングが凄くて距離感が良い、攻撃を貰わない選手なのでゲイジーは触ることができないと予想していたんです。それが思った以上に、ずっと近い距離で試合が展開されましたよね」

──ファーガソンは、ヌルマゴメドフ戦が流れた影響は心身ともになかったでしょうか。

「それは当然あります。ファーガソンはずっとヌルマゴドフとやる予定で、ゲイジーに変わってしまった。さらに試合の日程も変わった。体重のこともあるだろうし、もう体のフレッシュさがなかったかもしれないです。ゲイジーの方がフレッシュで。こういう違いっていうのは、選手にしか分からないところかもしれないです。まぁファーガソンは運がなかったですね」

✖ブライアン・コップ(C)DAVE MANDEL

──しかし、ゲイジーがUFCで世界王者になるファイターという風には正直なところ見ていなかったです。

「いやっ、本当にそうなんですよ。僕らがゲイジー論を語ると超面白い、普通じゃないって話で。ブライアン・コップをローで蹴りまくって勝った。

✖ルイス・パロミーノ(C)DAVE MANDEL

ルイス・パロミーノと意味不明な殴り合いをした。

✖メルヴィン・ギラード(C)WSOF

体重オーバーのメルヴィン・ギラードに分の悪いスプリット判定勝ちだった。そういうことだったわけじゃないですか?」

──だからUFCではエディ・アルバレスとダスティン・ポイエーに殴り負けたと。

「そこから3試合連続で1RKO勝ちをしちゃって、謎でしたよね。嫌らしいのはチャンピオンシップだと、勝ちに来たってことです。強烈な打ち合いじゃないし、テイクダウンのフェイクまで入れて。なんか面白さがなくなりましたよ」

──アハハハハ。

「なんだろうなぁ。ゲイジーは休憩明けとかで『OK、KO』みたいな」

──それは俺だけのゲイジーが、皆のゲイジーになってしまったという感じではないですか(笑)。

「そうなんですよ。WSOFでギャアギャアやっていた時のゲイジーが一番面白かった。メインストリームにいない価値というのか。この試合ではスマートになっちゃいました。エディ・アルバレスとかもUFCに来たらスマートになっていましたし、UFCのレベルがそうさせるんでしょうね。そういうゲイジーになったのだろうけど、だからって次にガビブ・ヌルマゴメドフとかっていう想いを馳せることができないんですよ」

──ゲイジー✖ヌルマゴメドフは楽しみではない?

「勝負論まで行き着かない。ヌルマゴ先生には敵わない。それならファーガソンの方が、何ができたと思います。だから、ゲイジーのことを穿って見ているのかもしれないですね」

──ゲイジーのレスリング力が真価を発揮するかもと思います。

「いやぁ、でもヌルマゴメドフは誰でもテイクダウンしますよ。だから、テイクダウンの攻防を楽しみにしたいのは分かりますが、ヌルマゴメドフは抜けすぎています。それならゲイジーはマクレガーかな。マクレガーとは見たいです。お祭りファイトなら、そっちの方が良いです」

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J-CAGE JJ Globo News Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰 青木真也

【Shooto2020#03】組み技異種格闘技戦=世羅智茂✖岩本健汰のノーギグラップリングマッチが決定!!

【写真】青木✖世羅に続き、今度は世羅✖岩本だ(C)MMAPLANET

25日(月)、サステインより31日(日)に会場非公開でABEMAテレビマッチとして開催されるProfessional Shooto2020 Vol.3 Supported by ONE Championshipで、世羅智茂✖岩本健汰のグラップリングマッチがAOKI PROJECTとしてマッチアップされることが発表された。

AOKI PROJECTとは青木真也が今、見たい──旬のカードやプランニングするというモノで、第1回で予定されていたプロ修斗フライ級戦=清水清隆✖平良達郎の一戦はコロナウィルス感染拡大の影響を受け、大会とともに中止されてしまった。

今回は修斗の大会のなかで、敢えて青木は日本グラップリング界の現状を憂い、また存亡を賭けてグラップリングマッチながら世羅と岩本に白羽の矢が立てた。

世羅は4月17日に開かれたRoad to ONE02で、プロジェクトの中心である青木とグラップリングマッチを戦い10分タイムアップのドローだったことは記憶に新しい。対して岩本は青木のトレーニングパートーナーであり、青木がピュアグラップリングでの知識を深め、技を練るのに欠かせないグラップラーだ。


ノーギワールドやADCC予選に挑むなど世羅は道着を着た柔術ともにノーギにもチャレンジする柔術家で、昨年のADCCアジア・オセアニア予選では岩本が優勝した66キロ級にエントリーしていたが、準々決勝で敗れ両者が組み合うことはなかった。

またMMAPLANETのインタビューで、青木戦を終えた世羅は岩本との対戦を口にしていた。その岩本はもはや柔術家という肩書きは持たず、グラップラーとして生きている。そして柔術でいえば岩本は茶帯を巻いているが、JBJJFが認可する帯制度では未だ紫帯のままだ。つまりは連盟主催の柔術では不可能な両者。思えばグラップラーの評価対象が、柔術の帯という現状も興味深い。

閑話休題。

とはいえ岩本は今やノーギ・グラップリング、特に今大会で採用されるノーポイント&サブミッションオンリー・ルールでは間違いなく日本の第一人者といえる。ADCC2019ではパウロ・ミヤオに初戦で敗れたが、当然のようにパウロとやり合う彼の組み技力が紫帯レベルであるわけがない。今年3月のZSTグラップリング=「GTF.3」でも圧巻の3試合連続一本勝ちで断トツの優勝を飾っている。

世羅も青木を相手にパスを許さず、青木が動けばニーシールド・ハーフからの作りや、リバースデラヒーバから足関節という流れを見せていたものの、それらの動きはIBJJFルール以下のポジションを許さない、またはポジションを取ることがベースとなっている足の取り方だった。

(C)SATOSHI NARITA

対して、岩本にとってのグラップリングは極めに行き着く。ポイントに関してはADCCのトップが上位とされる得点であり、IBJJFベースの世羅とはアイデンティティが違うといって過言でない。

青木✖世羅がMMAファイター✖柔術家のノーギ・グラップリングだったのに対し、今回の試合は柔術家=世羅✖グラップラー=岩本という構図が鳴り立つ。現状、日本ではトーナメント&出場料を支払う組み技トーナメントは成立させることが困難であるからこそ、プロ修斗内で見られる組み技・異文化交流は貴重、パウンド有りとは違う「組み」の魅力と怖さを日本中に届けて欲しい一戦だ。

なお同大会ではメインの修斗暫定世界バンタム級王座決定戦=岡田遼✖倉本真一、3回戦でライト級=SASUKE✖西浦ウィッキー聡、フェザー級で石井逸人✖齋藤翼、修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント準決勝=黒部三奈✖大島沙緒里&杉本恵✖中村未来、そして2回戦のライト級戦=木下タケアキ✖西川大和の5試合に加え、バンタム級で清水清隆✖小堀貴広の3回戦も22日(金)に明らかとなっており、全8試合が組まれることが決まった。

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Interview Special SUG13 クレイグ・ジョーンズ ブログ ヴィニー・マガリャエス 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:4月─その参─クレイグ・ジョーンズ✖マガリャエス「タップしない」

Craig Jones【写真】写真は昨年1月にトライフォース新宿で行われたクレイグ・ジョーンズのセミナー。受け手と通訳をしていたいのが岩本健汰だった(C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年4月──格闘技が、この惑星から消えかけた1カ月──の一番、第3弾は26日に開催されたSubmission Underground13から、クレイグ・ジョーンズ✖ヴィニー・マガリャエス戦を語らおう。


──2020年4月度、世界中から格闘技が消えた1カ月。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「SUG13で行われてクレイグ・ジョーンズ✖ヴィニー・マガリャエスですね」

──無観客、リモート撮影のグラップリングからですね!!

「アレ、良かったですよ。セコンドもいなくて。マルチネスとかエレンバーガーが出ていて。申し訳程度にやった感じでしたけどね。この試合に関しては僕は正直、今のグラップリングの知識がそこまでないので岩本(健汰)選手に聞いたんですけど、ニーシールドハーフから裏足を通してヒールへの流れってクレイグ・ジョーンズの強いムーブだそうですね」

──世羅選手も青木選手に狙っていたではないですか。

「あぁ、でもアレって難しくて。ディフェンス有りきでやっていると極められない。だからマガリャエスだって自信を持っていたと思います。でもクレイグ・ジョーンズのは、攻撃的なスネガードからのヒールで。岩本選手も、参考にしてもなかなかできるもんじゃないって言っていました」

──ジョーンズの仕掛けは、スペシャルだと。と同時にマガリャエスはひどく中途半端な対応に見えました。寝技に付き合うけど、足関節から徹底して逃げることはない……ような。

「一発目なんかも、もの凄くイージーに取られましたよね」

──あのインサイド・ヒールはタップをしないと危なくないですか。

「っていうか、アレは普通に取ってもタップしないから、逆手で引き寄せてRNグリップで取りましたからね(笑)。左手で抱えていると、可動域全部にいっちゃたから、右手で抱え直して深く抱くようにした。アレはヒザいったと思います。

2回目のヤツも相当深かったけど、1発目でいっちゃっているので何かが切れていて効かなかったのかと」

──青木選手は練習中に内ヒールでRNグリップまで入ることなんてありますか。

「ない、ない。ないですよ。あのヒザ十字みたいな組み方は、普通のヒールのアプローチでタップしないからさらに捻るってことですからね」

──クレイグ・ジョーンズは『もう止めよう』とか、『ポップしている』とか話して、マガリャエスは『大丈夫だ』みたいなやりとりがずっと続いていましたよね。

「大丈夫じゃないって(笑)。で、最後はガードを取ろうとしたらヒザがもうきかなくなっていて。アレで試合後にコメントしている動画とか挙がっていて……」

──絶句ですね。でも、ホントにタップしないと。技はもう掛かっているんだからと思うのみでした。

「岩本選手がよく言っているんですけど、『ヒザはケガしない』って。でも、それは我慢しないことが大前提で。ヒールに限らず、サブミッションは我慢するとケガしますよ。メチャクチャ当たり前のことを再確認させてくれました」

──その点、青木選手がゲイリー・トノンと戦った時のタップは潔かったです。

「アレはもう、そういうものですよ。足関節は観念してタップしないと。我慢しちゃダメです。それだけレベルが上がっていることだから。足首を捻くり回すんじゃなくて、ヒザへのアプローチだから。マガリャエスみたいなことをしていると、ダメですよ」

──少人数、10人以上相席しないというロックダウン下でセコンドがいなかった。セコンドがいたらタオル投入ではないでしょうか。1度目で壊れ、2度目がある前に。

「グラップリングってタオルはないと思っていたから、その観点はなかったです。それ良い話ですよ。セコンドがいたら、止めたっていうのは。僕がセコンドだったら、止めさせますしね。

いずれにしてもクレイグのヒールは破壊力が尋常ではなかったですね。ジェイク・シールズ、ジルベウト・ドゥリーニョも取られて。2人はちゃんとタップして。ドゥリーニョとか他に仕事があるから、そりゃ即タップですよ」

──足関節のタップで、なんか機微ですね。もう心の動きでタップしないと。

「そうですね。お互いに分かり合って、『今』ってね。クレイグ・ジョーンズは自分から外して、大人でした。それにしても、下からチャンと仕留めることができる。僕ら日本人選手が、好きなグラップラーですね」

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Interview Road to ONE02 Special ブログ 西川大和 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:4月─その弐─緑川創✖西川大和「花が開く要素のある試合を」

Nishikawa vs Midorikawa【写真】 17歳のMMAファイターが、新日本キックとWKBA世界王者に臆することなく向かっていった(C) MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年4月──格闘技が、この惑星から消えかけた1カ月──の一番、第二弾は17日に行われたRoad to ONE02からムエタイ72.5キロ契約戦=緑川創✖西川大和の一戦を語らおう。


──2020年4月度、世界中から格闘技が消えた1カ月。青木真也が選ぶ、この一番。2試合目は?

「緑川創✖西川大和のムエタイの試合ですね。西川選手もレコードが汚いんですよ。彼も負けたり、ドローが多くて。でも17歳でしょ? ああいう風にプロモーションが彼を登用するのは危ないな、とも感じました。良い選手だけに」

──北のMMA=PFCで頑張って、韓国のTOP FCでも戦っています。

「勿体ないですよ。そして怖い。ああいう試合を受けていると、壊れてしまいます。今回のようにMMAで将来有望な若い選手とキックのトップランカーとやらせてしまうのは、怖かったです。緑川選手有りきだし。僕らからすると西川選手自身、キャリアを大切にしてほしいですね」

──ここで難しい試合を受けて、次の機会を得る。そういう選択が地方選手にはあるのでしょうね。

「日本のMMAは地方に対して、首都圏が強気でいける歴史がありました。地方の選手に対して、チャンスがないから『いつ、誰とでもやれよ』っていうのは……ちょっと業界の悪しき習慣ではありますよね。

だからこそ地方の選手は機会があれば、跳びついてしまう。まぁ日本のMMA業界が地方の選手まで大切にしてあげられる状況にないです。西川選手は17歳で素質があって、あれだけ頑張っている。それなのに首都圏のロジックで登用される。それが現実ですね」

──指導者の方も、チャンスが巡ってきたら掴ませてあげたいですし。

「ハイ。その通りです。それが日本の現状です」

──格闘技は特に地方都市と首都圏の差が大きいですね。プロ野球やJリーグのチームがある都市でも、格闘技の大会は数百人規模になります。大阪や名古屋、札幌、福岡なら1万人越えのイベントはK-1やPRIDE時代はあった。ただし、地上波がない大会は人口200万人都市圏でも一気に数百人規模になる。そういう意味でもRIZINの地方都市大会は価値があるかと。

「RIZINってなんだかんだ言っても大切なんです。TVは人口の多いボリューム・ゾーンが強い。そこと格闘技の東京中心は似ているかと。格闘技界は東京にだけ集中しているので。と同時に地方都市でもABEMAとか新しいメディアも浸透してきていると思います。

地上波とネットTVがあるように、格闘技界もね──新しいやり方というか……西川選手にしても東京にパイプを創って、試合前にキャンプみたいにできる状況とか持てたらなって感じますよ」

──そういうことになるのですね。

「それでも西川選手はKO負けもしなかったし、認められる試合ができた。だからこそ次は、こうでない試合が組まれて欲しいです。彼が切磋琢磨できる試合。少しでも花が開く要素のある試合に、ですね」

──そういう意味では時間の制約もあったRoad to ONEで見られた課題ですね。力の差があったマッチメイクは。

大会終了後、青木は西川を直接労っていた

大会終了後、青木は西川を直接労っていた

「これ言うとアレですけど、言うたらプロモーター側に強いプロレスみたいな大会になる。

それは格闘技としてはフェアじゃない。でも今回は特に時間もなかったし、それは仕方がなかったです」

──コロナの時代の格闘技大会として、それがニューノーマルになるのかもしれないですね。

「金策の部分も含めて、色々と皆が模索し始めた感じはします。ネットTVの需要が高まっている。ただし、企業は金を貯めておきたい。そこで広告とかどうなるのか。それが格闘技界、そして地方の選手の需要にも関係してくるでしょうね」

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Interview Road to ONE02 Special ブログ 後藤丈治 祖根寿麻 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:4月─その壱─後藤丈治✖祖根寿麻「ビックアップセットですよ」

Goto vs Sone【写真】格闘技は勝敗の結果が、勝っても負けても将来に影響することが大切だ (C) MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年4月──格闘技が、この惑星から消えかけた1カ月──の一番、第一弾は17日に行われたRoad to ONE02から後藤丈治✖祖根寿麻の一戦を語らおう。


──2020年4月度、世界中から格闘技が消えた1カ月。選択肢が限りなく少ない状況で青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?

「後藤丈治✖祖根寿麻ですね。なんか僕、祖根って強いと思っていたんですけど、レコードを見るとこれで5連敗なんですよね。元谷(友貴)、岡田(遼)、根津(優太)、ジャスティン・スコッギンス、そして今回で。

まぁ、強い相手とやってきたというのはありますが、それにしてもコンディションが良くないのかと正直、思いました」

──それは自粛、非常事態宣言でどれだけの準備ができたのかということも影響してこないでしょうか。

「それを言えば、お互い様なんで。バンタム級だし、30歳を越えていると、中量級や重量級とは違って消耗しやすいのかというのも感じています」

──スタイルにもよるかと思いますが。

「まぁ、僕とはスタイルも違いますが……にしても消耗していないかと。ファイターのコンディションとして、ビジネスをしていたり、ジム経営と指導もあってプレーイング・マネージャーだから落ちてきているのか。

野村克也が南海ホークスで(※ダイエー・ホークスを経て福岡ソフトバンク・ホークス)プレーイング・マネージャーをやっていて凄く難しかったと言っていて」

──いや、青木選手はその時代に生まれていないじゃないですか!!(笑)。どちらかといえばヤクルト・スワローズの古田敦也さんの時代では? 自分なんて子供の頃、「なんで野村が4番で門田(博光)が3番なんだ。監督だからって、4番打つなよ」とか言っていましたよ(笑)。

「まるで分からないですよ(笑)。僕は野村監督の書いた本を読んで知った方です(笑)。選手兼監督は凄く大変で、優秀なヘッドコーチがいないとやらないって言ったとか。だから、祖根も難しいんだと思います」

──勝った後藤選手に関しては?

「一緒に練習しているんですけど、打撃の子ですね。でも祖根が有利だと試合前は思っていました」

──パンクラスでプレリミに出ていた選手が、修斗の前環太平洋王者でRIZINに出場している選手との対戦でしたからね。

「そう思いますよね。だからビックアップセットなんですよ。祖根のコンディションが悪かったとしても、この負けをこれから取り返すのは難しくなった。下手すると3年ぐらいかかるので、32歳とかっていう年齢でそこにもう一度向かい合えるのか。そうでない選択もできる状況がありますからね。

彼はそういう意味で優秀だと思うので。ただ後藤もレコードは決して良くない。最後の負けは米山(千隼)選手で、そこからはこれで5連勝なんですけどね。それまではパンクラスの札幌大会とかでも負けもある」

──だからこそ、この勝利が大きくないでしょうか。

「大きいですが、今回はRoad to ONEだから主戦場としているパンクラスでどういう風に評価されるのか。彼が修斗でやっているなら、元王者に勝ったから次は良いカードが来ますよね。修斗公式戦ではなくても、そのヒエラルキーを潰したので。『なら魚井(フルスイング)とやらせてみようか。いや手塚(基伸)かな?』ってなるのですが、パンクラスでも誰かとやらせてみるかってなるのか……分からないですよね」

──大会が再開されるとして、修斗の元王者にこの状況で試合をして勝った。そこはパンクラスも留意してほしいですね。きっと後藤選手がパンクラスで戦っていた試合よりも、今回の大会の方がABEMAで試合を視聴したファンが多いと思いますし。

「そこはありますよね。今回はパンクラスのプレリミよりも、視てもらっているだろうし。そこで結果も残しているし、すぐにアップして使われてほしいです。パンクラスにソレがないなら、修斗でも良い。とにかく次は、より上の選手と組んでもらいたいですね。彼は結果を残したので」

──確かにその通りですね。

「この試合で大きなチャンスを得る資格を得た。なら彼の言葉でメディアに対する発言が欲しいです。そうでないと、彼の人となりが見えてこないので。『誰とやりたい』、『どこでやっていきたい』とか。あの試合後は控室で取材をする状態ではなかったから、後追いで後藤丈治という選手を知りたいです」

──分かりました。それは青木選手からMMAPLANETへの宿題として捉えさせてもらいます。

「宜しくお願いします(笑)」

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News ONE ONE Championship シィォン・ヂィンナン ジョシュア・パシオ スタンプ・フェアテックス ブログ リン・ホーチン 上久保周哉 和田竜光 山田哲也 若松佑弥 青木真也

【ONE】オフィシャルランキング完全版。上久保が4位で青木は5位。スタンプはMMAでランク外に

Stamp【写真】スタンプはムエタイで世界王者、キックは1位。しかしMMAでは5位に入らず(C)ONE

27日(月・現地時間)、ONE Championshipがムエタイ、キックボクシング、MMAのオフィシャルランキングを発表した。

MMAは男子がストロー級からライト級までと女子がアトム級とストロー級の7階級、ムエタイは男子がストロー級からフェザー級までで女子はアトム級と5階級、キックは男子がMMAと同様の5階級とキックも同様に男子はストロー級から5階級、女子はアトム級と計6階級となっている。


全階級で5位前の発表となった初のオフィシャルラキング、ムエタイのキックの重複は多いが、延べ人数でいえばタイ人が25人で一番多く、次いで日本と米国の11人。日本人選手は全てMMAで立ち技ではランクインはなかった。

続いて豪州はMMAではフェザー級王者のマーチン・ウェン、リース・マクラーレンがフライ級ランクに入っている。フィリピンは8名で立ち技は女子ムエタイのラズマ・アブバカーのみ、7人はMMAファイターでラカイは

【MMAストロー級】

ONE MMAの世界王者で最もアクティビティなパシオ

ONE MMAの世界王者で最もアクティビティなパシオ


C ジョシュア・パシオ(フィリピン)
1 猿田洋祐(日本)
2 内藤 のび太(日本)
3 レネ・カタラン(フィリピン)
4 アレックス・シウバ(ブラジル)
5 リト・エディワン(フィリピン)

【MMAフライ級】

若松がランク入り、和田竜光はランク外。マクラーレン戦が響くのか……

若松がランク入り、和田竜光はランク外。マクラーレン戦が響くのか……


C アンドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
1 デメトリウス・ジョンソン(米国)
2 ダニー・キンガド(フィリピン)
3 カイラット・アクメトフ(カザフスタン)
4 若松佑弥(日本)
5 リース・マクラーレン(豪州)

【MMAバンタム級】

何と4位に入った上久保、ジョン・リネケル、ムイン・ガフロフより上だ(ONE)

何と4位に入った上久保、ジョン・リネケル、ムイン・ガフロフより上だ(ONE)


C ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
1 ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
2 佐藤将光(日本)
3 ユサップ・サーデュラエフ(ロシア)
4 上久保周哉(日本)
5 竹中大地(日本)

【MMAフェザー級】

去年の5月から試合がない山田もランクイン。次期チャレンジャーと目されるタン・リーは3位

去年の5月から試合がない山田もランクイン。次期チャレンジャーと目されるタン・リーは3位


C マーティン・ウェン(豪州)
1 クリスチャン・リー(米国)
2 松嶋こよみ(日本)
3 タン・リー(米国)
4 山田哲也(日本)
5 ゲイリー・トノン(米国)

【MMAライト級】

本来なら5月に王座挑戦が決まっていたラピクス。青木、フォラヤンら元世界王者はランク外──

本来なら5月に王座挑戦が決まっていたラピクス。青木、フォラヤンら元世界王者はランク外──


C クリスチャン・リー(米国)
1 ユーリ・ラピクス(モルドバ)
2 ダギ・アサラナリエフ(トルコ)
3 ピーター・バウシュト(オランダ)
4 ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
5 青木真也(日本)

【MMA女子アトム級】

リン・ホーチン……誰? 去年の3月にミャンマー大会で勝利もONEではこの1勝のみ。そしてスタンプはランク外……(C)ONE

リン・ホーチン……誰? 去年の3月にミャンマー大会で勝利もONEではこの1勝のみ。そしてスタンプはランク外……(C)ONE


C アンジェラ・リー(米国)
1 デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
2 モン・ボー(中国)
3 リン・ホーチン(中国)
4 山口芽生(日本)
5 ジナ・イニオン(フィリピン)

【MMA女子ストロー級】

アンジェラはアトムとともにランクインも、パンダはストロー級のみ

アンジェラはアトムとともにランクインも、パンダはストロー級のみ


C シィオン・ヂィンナン(中国)
1 ティファニー・テオ(シンガポール)
2 ミッシェル・ニコリニ(ブラジル)
3 アンジェラ・リー(米国)
4 三浦彩佳(日本)
5 マイラ・マザール(ブラジル)

【ムエタイ・ストロー級】
C サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
1 ジョシュ・トナー(豪州)
2 ロッキー・オグデン(豪州)
3 ダレン・ローラン(フランス)
4 アンディ・ホーソン(英国)
5 ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)

【ムエタイ・フライ級】
C ロッタン・シットムアンノン(タイ)
1 パンピャック・シットムアンノン(タイ)
2 スーパレック・キアトモー9(タイ)
3 ジョナサン・ハガディ(英国)
4 エリアス・マムーディ(アルジェリア)
5 ペッダム・ペッティンディー(タイ)

【ムエタイ・バンタム級】
C ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
1 センマニー・サティアンムエタイ(タイ)
2 ボボ・サッコ(フランス)
3 クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
4 アラヴェルディ・ラマザノフ(ロシア)
5 ムエンタイP.K.センチャイムエタイジム(タイ)

【ムエタイ・フェザー級】
C ペットモラコット・ペッティンディー・アカデミー(タイ)
1 スーパーボーン・バンチャメーク(タイ)
2 ジャマル・ユスポフ(ロシア)
3 ジョー・ナタワット(タイ)
4 サミー・サナ(フランス)
5 ヨーセングライ・IWE・フェアテックス(タイ)

【ムエタイ女子アトム級】
C スタンプ・フェアテックス(タイ)
1 ジャネット・トッド(米国)
2 アン・リーネ・フグスタード(ノルウェー)
3 アルマ・ユニク(豪州)
4 エカテリーナ・ヴァンダリエバ(ベラルーシ)
5 ラズマ・アブバカー(フィリピン)

【キックボクシング・ストロー級】
C サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
1 アステミル・ボルソフ(ロシア)
2 ワン・ジュンウァン(中国)
3 ロッキー・オグデン(豪州)
4 ジョシュ・トナー(豪州)
5 ダレン・ローラン(フランス)

【キックボクシング・フライ級】
C イリアス・エナッシ(オランダ)
1 ロッタン・シットムアンノン(タイ)
2 スーパレック・キアトモー9(タイ)
3 ヴァウテウ・ゴンカウベス(ブラジル)
4 パンピャック・シットムアンノン(タイ)
5 エリアス・マムーディ(アルジェリア)

【キックボクシング・バンタム級】
C アラヴェルディ・ラマザノフ(ロシア)
1 ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
2 センマニー・サティアンムエタイ(タイ)
3 ジャン・チェンロン(中国)
4 リアム・ハリソン(英国)
5 ロドレックP.K.センチャイムエタイジム(タイ)

【キックボクシング・フェザー級】
C 空位
1 ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)
2 スーパーボーン・バンチャメーク(タイ)
3 ジョー・ナタワット(タイ)
4 タイフン・オズカン(オランダ)
5 ヨーセングライ・IWE・フェアテックス(タイ)

【キックボクシング・ライト級】
C レギン・アーセル(オランダ)
1 ニキー・ホルツケン(オランダ)
2 ムスタファ・ハイダ(イタリア)
3 アンソニー・ジュングアニ(米国)
4 アンディ・サワー(オランダ)
5 エリオット・コプトン(豪州)

【キックボクシング女子アトム級】
C ジャネット・トッド(米国)
1 スタンプ・フェアテックス(タイ)
2 アルマ・ユニク(豪州)
3 カイティン・チュアン(台湾)
4 アン・リーネ・フグスタード(米国)
5エカテリーナ・ヴァンダリエバ(ベラルーシ)

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Interview J-CAGE JJ Globo ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 青木真也

【Road to ONE02】青木と戦った世羅智茂─02─次があれば誰と戦いたい?「岩本(健汰)君とか……」

Road to ONE【写真】青木のマイクを眺め、青木に次いでケージを後にする世羅。この時の心境は…… (C)MMAPLANET

7日(金)に行われたRoad to ONE02でメインで青木真也とグラップリングマッチで戦い、10分時間切れとなった世羅智茂インタビュー後編。

世羅は柔術家として、グラップリングマッチに挑み、自分のやるべきことを試みた。そして、勝つつもりで戦った。噛み合わないのも格闘技。「貴重な体験をした」という世羅に、これから先に確かなモノがないなかで、今回のようなイベントがあることを前提で、参加の意思と戦いたい相手がいるのかを尋ねた。

<世羅智茂インタビューPart.01はコチラから>


──もう少し、青木真也の力を試合で感じたかったですか。

「技量を感じたいとか、そういうコトはあまりなかったです。ただ上からしっかりワキを差してパスを狙ってくるのかなって思っていたので、それがなかったのは意外でした」

──試合後、青木選手のマイクパフォーマンスが始まった時、とでも所在なげでしたね。

「ケージから出ていくタイミングを逃しましたね(苦笑)。マイクは僕個人的にはどうでも良いことで。ただ試合が引き分けだったこと、内容が残念だったなと自分のなかで思いつつ、青木選手のマイクは観客がいないし受けているのか、滑っているのか、どうなんだろうって気にはしていました」

──マイク後は間を置かず、2人でケージから出た形ですが暗幕の向こうで言葉は交わしましたか。

「ただ、ありがとうございましたと挨拶をした感じですね」

──なるほどぉ。貴重な体験はデキたけど、貴重な試合にはならなかった?

「貴重な試合にはなりましたよ。メインイベントでグラップリングをやらせてもらうこと自体が、『嘘だろう』って思っていましたし。お客さんもいないし普通の興行とは違って、練習試合のような雰囲気もありましたけど、メインでやるということは自分のなかないことで。

初めての無観客で、青木選手と試合ができたってことは僕のなかでは貴重な試合でした。あれだけ青木選手が盛り上げていたのに、凄い大凡戦になった(笑)。残念ですけど、う~ん、僕は半分ぐらい何かオモロイなって」

──オモロイな、ですか。世羅選手、良いですね。その感性。凡戦になったのも、それは格闘技だからで。

「純粋に勝ちたかった──。そこでお互いの価値観は合わなかったけど、お互いが勝ちたかった。そういうことだと思います」

──柔術、グラップリングもMMAやキックと同様にいつ活動再開するのか分からない状態です。

「ジムがどうなるのか……。カルペディエムのように物販があるジムなら、まだやるべきこともあるのですが……指導だけの道場は、本当に厳しいと思います」

──大会自体も再開の目途は立っていません。ブラジリアン柔術の軸は参加者を集めたトーナメントでありますしね。そういうなかでコロナがある時代の格闘技大会として、今回のイベントはたたき台になるかもしれないです。また、このような機会があれば世羅選手は参加したいでしょうか。

「もちろん、僕は出たいです。石川(祐樹カルペディエム代表)さんがOKなら、全然出たいですね。当分、柔術のグラップリングも大会は無理でしょうし。だから金曜日の大会がどのように捉えられているのかは気になります。きっとクレームを言ってくる人とかもいるでしょうしね。

なにより感染者がでればオジャンだと思いますし。これから、またこういう形の大会を開いてくれるとか話はあるのでしょうか」

──具体的には挙がっていないと思いますが、批判も織り込み済みで主催者もABEMAの中継も仕事をしたと思います。何より日々の状況が変化していますし、その状況に合わせた形で次もあるかもしれないし、できなくなるかもしれないということかと。

「もしまた大会を開いてもらえるのであれば……そうなれば選手として出たいです」

──では思い切って、誰と戦いたいかぶち上げてください。この場を利用して(笑)。

「えっ、ハイ。誰とやりたい? そうッスね。実はとある大会で戦う予定だったのですが、どうも延期になったみたいで。岩本(健汰)君とか。やりたいというか……皆、見たいと思うんじゃないでしょうか」

──青木選手との試合はある意味で、格闘技としての本質ではありましたが、次の機会はグラップリング、柔術といしての神髄を見せるような気持ちになりますか。

「それはないです。僕は神髄を見せたいとか、そういう格好良い目標はなくて。ただ強い人と戦いたい。皆が見たいと思ってくれるカードなら喜んで戦いたいという感じです」

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Interview J-CAGE JJ Globo ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 青木真也

【Road to ONE02】メインで青木真也と戦った世羅智茂に訊く─01─「僕は一本勝ちを目指していた」

Sera【写真】いきなりクローズドが取れたわけでなく、シッティングからハーフ。青木の動きに合わせてクローズドに入れた。ここも注目すべき点だ (C)MMAPLANET

7日(金)に行われたRoad to ONE02でメインで青木真也とグラップリングマッチで戦い、10分時間切れとなった世羅智茂。

ドローという結果よりも、7分間ほぼクローズドガードの攻防が続く動きの少ない試合になった。それでも青木は全局面で制したという言葉は言い放った。では、世羅はどのようにこの試合を捉えているのだろうか。大会から3日後、世羅に電話取材を試みた。


──かつてない状況下での青木選手との試合が終わり、3日が経過しました。改めてあの大会に参加したことをどのように振り返ることができますか。

Sera 02「大会自体、本当に良くできたなって思います。あそこまで厳戒態勢の状態で試合をするっていうのは、普通はないですし。

そういう意味でも貴重な体験ができました。何より、どこもイベントごとが開けない状況下で試合ができたことは幸運でした。選手としては嬉しく想い、運が良かったです」

──その意見すら、自分本位だと捉えられることもある世の中です。

「そうですね。僕のなかでは本当に良くないことですが、他の若者と同じようにコロナに対して甘く見ていた部分もあったかもしれないです。それと練習仲間から感染するのであればしょうがないという気持ちもどこかにありましたし。タクシーや電車に乗っていて、マスクもしない人の飛沫で感染すするのとは違うっていう感じではいましたね。

当日は、運営される方が如何にシリアスだったかも伝わってきましたし、あの大会で試合をさせてもらって貴重な経験を積むことができました」

──そんななか、試合は動きが少ない展開になってしまいました。

「格闘技を知らない人が見たら、つまらない試合に見えたと思います。いや格闘技が好きな人でも、そうだったかもしれないです(苦笑)。感情移入できない人はつまらないという感想を持ったでしょう。それはしょうがないです、そういう試合でした」

──作戦的には、どのような展開を考えていたのでしょうか。

「とりあえずクローズドガードに一度は入れたいというのはありました。そこからケージに押し込んでくることも考えていましたが、あの展開で全くガードを割ってこないというのは計算外でした。ここまで攻めないのかって。トップで固めることだけ集中してきたので……僕も甘かったです。あそこまで手首を掴んで、ただ上にいるというのは計算していなかったです」

──まずは引き込んでガードにいれること。青木選手に組まれてテイクダウンやバックを取られることは避けようということだったのですね。

「そうですね、一度は入れて。そこで青木選手がどうアクションしてくるのか、そこに合わせて動こくつもりでした」

──基本、青木選手が割ってくるのを待ち、自分から何か仕掛けることは序盤や中盤戦では考えていなかった?

「割ろうとしてきたときが、一番の攻め時だったので。あれだけ固められると、ガードからの攻めは難易度が上がってしまいます。ただし僕も見過ぎました。お互いに動けよと思っていた。僕は割って欲しくて、青木選手は僕から仕掛けてこいよって(笑)。噛み合わなかったですね」

──残り3分の段階で、世羅選手が一度ニーシールドハーフを見せました。

「このまま膠着して終わったら酷い試合になるので、自分から創っていくしかないと思いました。そこで動いてくるかと誘いましたけど、青木選手は攻めてこなかったです。でも僕もクローズドに戻してしまって。あそこでなぜ戻したのか、ちょっと覚えていないです」

──残り3分まで仕掛けることができかった要因は?

Sera 03「ケージ際で仕掛けてハーフで固められるのが嫌だったというのはあります。

ケージに押し込まれていると、首が曲がっていて窮屈な姿勢になるので、あそこで動いてもいつものようには動けないです」

──なるほど、柔術の試合場ではない状況でしたね。それでも最終的にはハーフから潜って足関節を仕掛けました。

「結果論として、もっと早くから攻めるべきだった。そう思います」

──世羅選手の試合で、あそこまで止まるというのは記憶になかったです。

「まぁ……柔術だと青木さんにルーチが掛かるので(苦笑)。柔術のルーチって、膠着を防ぐためにあるじゃないですか。柔術ルールであれば、青木さんが攻めていないということになります。ただ、今回の試合は柔術ルールでもMMAルールでもない。判定もポイントもないので、どっちもどっちだった。そんな試合です。

ルーチもアドバンもないわけですし、それが大前提のルールなので柔術の人が、柔術ならっていう意見も聞かれましたが、それは言ってもしょうがないです。MMAの人も上取っていたのは青木選手だっていうかもしれないし」

──ブレイクがあっても良かったと、試合中に思いましたが、青木選手はでも同じ展開になるという意見でして。そこに関しては、世羅選手はどのように考えますか。

「ブレイクですか、確かにそうですね。ブレイクというのは頭になかったですけど、今から思えばブレイクで仕切り直しがあっても良かったと思います。クローズドはダメだと切り替えたかもしれないです……が、それは結果論ですけどね。それがあっても、どう考えたかはブレイクがなかったので分からないです」

──青木選手が全局面で制していたというのも、青木選手の理論であって、世羅選手には世羅選手のグラップリング論があると。ところで掛け逃げと指摘されたことに関しては、どのように思っていますか。

Sera 04「それは違うと思います。僕は掛け逃げのつもりで仕掛けた技は一つもないです。

青木さんはそう感じたかもしれないけど、それは別に知らない。青木さんがどういう価値観であの試合に臨んでいたのか分からないですけど、僕は一本勝ちを目指していました。前半と中盤はああはなりましたが、後半は一本を狙いにいったのは間違いないです。

でも青木さんにそれがあったかというと、なかったと思います。僕もそうだし、見ていた人もそう感じるんじゃないですか。ノーポイント、サブオンリーだから僕は一本を目指していました」

<この項、続く>

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Interview J-CAGE JJ Globo ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 青木真也

【Road to ONE02】試合直後の青木真也の話。魅せるためにリスクは? 「格闘技をやっているということ」

Aoki Shinya【写真】試合直後、控室となった会議室で (C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

7日(金)に行われたRoad to ONE02。MMAPLANETでは1日を経てからメインで世羅智茂と対戦し、時間切れドローとなった青木真也にマイクの意図などを尋ね、彼の言葉を掲載した。

ここではクローズドショー、開催場所さえアナウンスされないという異様な状況での試合を終えた直後の青木の談話から、試合に関しての部分だけを抜粋してお送りしたい。


──世羅選手とのグラップリングマッチ、時間切れドローとなりました。

「語れるものじゃない」

──語れるものじゃないというのは?

「人に見せられるものじゃなかったですよね。攻めないから、試合が動かないッスよね。あぁ、こういうのかって。動かなくて、負けない試合をされた感じですよね。まぁまぁ、それで良いなら、それで良いけど。勝負はしたかった感じはしましたね」

──青木選手も手堅かったですよね。

「手堅かったです。来ないもん。カウンター待ちされているから、試合にならないですよ」

──そこで隙を見せようが、自分から動くことはできなかった?

「そうですね……最後は少し動かせたけど、そういう風にしても乗ってこないですよね」

──世羅選手のクローズドが、オープンになった瞬間も青木選手はスッと動くことはなかった。そして、セコンドからもオープンになっているという指示がなかったです。

「そうですか? 僕はクローズドで待たれた感じがします。でも、セコンドの声がなくてもそれは分かりますし。オープンにしても仕掛けはなかったですからね。そのままステイ、ステイ、ステイにされましたね」

──この試合、グラップリングを普段見ていないファンも視聴する機会だったと思います。そして、その視聴者は『青木、攻めろよ』という印象を持ったかもしれないです。

「そうですね、僕はこれで全局面で圧倒しちゃっているから。僕の概念では。僕が上からコントロールしていて、相手が掛け逃げをしている。まぁ、意識の差ですよ。この1つの試合じゃなくて、大会ごと背負って見ているつもりだから。全部まとめて大会を見ているつもりだから、もうちょっとお互い良いモノを創れたとは思います」

──う~ん、ただそこで足関節に入るとかやってしまうと、実は青木選手らしくない。あのままステイし続ける、それが青木真也の格闘技だと思います。

「ずっとステイ、相手が掛け逃げしてもステイする。これはこれで我慢比べなんです」

──我慢比べになるとになると譲れない?

「根負けはしないです」

──逆にブレイクがあっても良いのかもしれないですね。そういう意味では。仕切り直すために。

「良いかもしれないけど、それは戦うほうの意識だからブレイクがあっても同じ形になるんじゃないですかね。だから結論としてEBIはオーバータイムの決着戦があるという。そこに行き着くってことで」

──それでも魅せたいモノは見せられましたか。

「もうチョットかな。とりあえず及第点です。こういう時は仕方がない。だからマイクで誤魔化しました。そういうことです」

──繰り返しますが、良いモノを創るために勝負から外れるリスク、魅せるためのリスクは試合でおかさないと。

「それが、ちゃんと格闘技をやっているということだし」

──では、このような状況が続くとすれば青木選手は次は何を目指しますか。

「ここでMMAをやるかも。それはあるかと思います。もう寿命が短いから、勝負したいかな。もう別にいつ死んだって、いつ辞めたって良いって言いましたけど、本当に思っていますから。だから試合しても、良いのかなって思います」

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Interview J-CAGE ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 青木真也

【Road to ONE02】大会決行から1日を経て、試合後のマイクを青木真也に尋ねた「種明かしをすると……」

Shinya Aoki【写真】試合終了直後の青木の表情。彼の話を訊く限り、これは苦笑いだったか(C)MMAPLANET

昨日、7日(金)にRoad to ONE02のメインで世羅智茂と対戦し、時間切れドローとなった青木真也

MMAPLANETでは試合直後に試合内容に関して、青木に話を訊いた。その前にここではマイクアピールへの反応に対し、今夜、電話取材を行った時の青木の返答を紹介したい。


──昨日のマイク、まずキ〇〇イという放送禁止用語を使ったこと。アレはまずくないですか?

「言わないなら、言わない方が良かったと思います。でも、もう言ってしまったことなので。放送禁止用語かどうかでいえば、ネットTVで。その辺は地上波ではないですし。

あと、こういうのはその時に伝わらないとしょうがないんですけど、別に悪い意味で使ったんじゃない。最高の連中っていう文脈で使った言葉ですからね」

──Fucking Coolのような感じだと。

「そこにセンシティブに引っ掛かる人がいるんでしょうね」

──マイクの内容はあらかじめ考えているのですか。

「だいたい何を話すかは、こんな感じでっていうのはあるんだけど、昨日は試合内容がアレだったんで、あのまま終わるわけにはいかないと思って話していて。なんかやらないといけない、締めないといけないなって(苦笑)」

──「いつ死んだって良いんだよ」と「なぁ」を連呼していたのは、次のセリフを考えているから?

「そうっ! そうなんですよ。分かっちゃいましたか(笑)」

──アハハハハ。

「大仁田(厚)さんとか、真壁(刀義)さんとかも(笑)。長州さんが、『うんうん、そうだな』っていう時とか考えているの(笑)。で気負った時こそ、連呼するんです」

──青木選手も昨日はマイクで気負っていた?

「ヤバイ、これ。何とかしないとって(笑)。これ帳尻合わせられるかなとは思っていました。世羅とは掛け合いできないし。いやぁ、考えているの、まさか……バレていましたか(笑)」

──あとですね、昨日の発言内容に関しても、大会を開催したことを含めて賛成意見ばかりでなく、しっかりと反対意見があったことが良かったと思いました。

「逆にないとヤバイですよね、世の中として。やっちゃダメだっていう声がないと。バランスは取れないですからね」

──「死にたくねぇ。負けたくねぇだったら、試合しなきゃ良いし、ずっと家に居ろよ。ステイ・ホームってずっと書き込んでいろっ!」という言葉に対し、逆上したような反応でなく、『分かるけど、今じゃないんだよ』という反応がありました。

「ハイ……」

──あの強い言葉があり、反論でも反応がある。自粛に関して「耐えて、終息したら──こんなことやりましょう」という優しい言葉は、逆に頭を麻痺させますよ。青木選手の劇薬のような言葉は、皆にまた考える機会を与えることになったのではないかと。

「それは種明かしすると、考えていました。僕が本当に言いたいことは家にいろ、出てこい、自粛バカヤローっていうことじゃない。自分で考えろってことだから。だから、考えないで……ただ試合の機会があるからって、このタイミングで試合をするヤツも同じ。

何も考えず、このままどうなるのか、家にいると終息するなんて思っているのはダメ。家にいるなら自分の価値観を持って家にいて欲しい。自分でもっと考えようよってことなんです。ちゃんと考えて自粛するのも、考えて何かをアクションを起こすのも同じことで。それはホントに。僕がズレているとか、おかしなヤツって思われるのは構わないけど。

でも今、それすら考えられず、明日のご飯も食べられない人がいる。これが終息しないと、国全体、国民全体が貧しくなっていく。格闘技界も、社会もそう。このままじゃ、コロナは終息なんてしなくて長引く。そんな時にこのままジリ貧で良いのかて、色んなことを自分で考えた人が、昨日はあの場に集まった。

コロナが続くなかで、無観客大会のノウハウを創ろうとした。これが続くと覚悟した連中が一緒になって、一体感を持って創り上げたんです」

──青木選手も思い入れがあったと。

「アントニオ猪木が世間とプレロスをしていましたが、そういうモノと戦った大会でした。世間とか常識と戦った。やって良かったと思います。何より夜明けが見えないなかで、ここで何か一つ動かしてもらったのはありがたかったです」