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Interview Special UFC ジャック・ヘルマンソン ブログ ラクラン・ジャイルス 岩本健汰 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:7月─その弐─ヘルマンソン✖ガステラム「シン外ヒール」

【写真】ヘルマンソンがガステラムを破ったアウトサイド・ヒールフックが、グラップリングの進化に伴うMMAの進化を表している (C) Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年7月の一番、第2 弾は19日に開催されたUFN172からジャック・ヘルマンソン✖ケルヴィン・ガステラムの一戦を語らおう。


──7月の青木真也が選ぶ、この一番。2試合目は?

「ジャック・ヘルマンソン✖ケルヴィン・ガステラムですね」

──ヒール決着となった。

「ハイ、そのヒールがアウトサイドのヒールで。それはちょっと笑っちゃったのですが、アウトサイドのヒールフックって、それこそカカトを抱えても取られた足とは逆の方向にグルグルグルって回れば抜けていたじゃないですか。

それがヘルマンソンの外ヒールは、回って抜けることができないラクラン・ジャイルスがADCCとかで使っていたヒールフックなんです」

──クレイグ・ジョーンズの師匠格の?

「ハイ、あのジャイルスのヒールです。僕も岩本(健汰)さんに教えてもらうまでしっかりとは分かっていなかったのですが、これまでの外ヒールはヒザを固定して、カカトを捻っていました。これだと、どうしてもロールされてしまうんです。

でもジャイルスの外ヒールっていうのは、カカトをひっかけてもそこを捻るのではなくて、固定するんです。例えば、これまでの外ヒールの場合は相手の右足を取ると外掛けで、左手でカカトを抱えて、自分の右側に捻っていくから、相手からすると左側に回って逃げることができます」

──ハイ。

「それがジェイルスの外ヒールは右足を取った場合、足は内掛けで、カカトは固定しているだけで、胸で体重をかけてから腰を突き出します。これでヒザに対して横向きにプレッシャーを与えて極めるんです。力の作用としては、腕十字のような感じですね。

この極め方はサドルからインサイド・ヒールを掛けられた時に、体を捻りつつカカトを取らせないようにして、相手のヒザを押すことでもう皆が逃げられるようになった。だから、その内ヒールを外にヒールに持ち替えて、同じ要領で腕十字のように腰を受けに持ち上げることでヒザが極まる。そういうアウトサイドのヒールなんです」

──なるほどぉ!! そんなグラップリングの最先端の技でヘルマンソンは勝っていたのですね。

「もうカカトのクラッチは万力で止めているようなもので、その先のヒザを極めているという形になっています。これをノルウェー人選手のヘルマンソンが、UFCで使って勝ってしまう……」

──恐ろしいですね。

「ハイ。彼はただフロントラインというユノラフ・エイネモやヨアキム・ハンセンがいたところのジムで練習しているようなので、寝技の文化はあるところにもいるんだと思います。あれだけだとMMAでは極めることは難しいかもしれないですけど、潜っておいてからならありますよね」

──でも、UFCですからね。

「逆にMMAのファイターだから、UFCといえども極まったのかもしれないですよ。今のグラップリングシーンの最先端の技を持ってきたので、またバレていないというような」

──そういう見方もできるのですね!! ところでラクラン・ジェイルスの外ヒールを日本のMMA界で見ることはありますか。

「ほぼほぼないです。中にはグラップリングに長けている高橋サブミッション雄己選手とかは知っていると思います。でも、それをMMAで使うというのはないんじゃないですかね。どうしてもMMAでは上が有利で、コントロールすることが大切だから。僕もそういう風に言っていますし、足関節はどうしても後回しにしてしまいがちです、練習でも」

──だからこそ極まるということに、再び行き着きますね。現時点では。

「ハイ。でも万人に勧めることはできない。わざわざ、下になれ──なんて。上を取ってスクランブルからバック、そしてチョークの方が危なくないです。

と同時にケージレスリングでバックを取られた時に前転して、足を取りに行くとMMAの選手は怖がることが多い。だからトランジッションになって一発で極める技というだけでなく、上を取り返す技術、リバーサルとしても使えます。でも……なかなかですよね」

──そして上が強い選手は、パスをしてその技を防ぐことができるというのは、また上だって大切なんだぞという文脈になって非常に面白いですね。

「MMAってのは下があるから、立ち上がることができる。立ちあがることができるから、スイープでひっくり返すことが可能になります。立てば良いとか、一本極めれば良いという切り取った攻防なんて存在しないんです。

全ては繋がっていて、MMAで練習しなくても良いなんて技術はないはずです。そこには足関節も含まれていると思います。ただし、世界のグラップリングの技術が進んでいるから、MMAに影響に与えるわけで。アウトサイドのヒールが、ヒザを攻める技になったと分かる……それだけでも凄く勉強になりました」

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Interview Special UFC ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:7月─その壱─ピョートル・ヤン×ジョゼ・アルド「ACA」

【写真】ピョートル・ヤンの戴冠=ACA=ロシアの軽量級の強さ (C) Zuffa / UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年7月の一番、第一弾は12日に行われたUFC251からピョートル・ヤン✖ジョゼ・アルドの一戦を語らおう。


──海外の注目すべき試合は、まま戻ってきたMMA界。2020年7月度の青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合をお願いします。

「ピョートル・ヤン✖ジョゼ・アルドですね。ヤンはUFCでも無敗でチャンピオンになった。これはACAのレベルの高さを証明しましたね。フライ級からフェザー級にかけては、なんだかんだといって強い。

フライ級のアルカル・アルカロフも苦戦はしても負けていないし。ヤンがチャンピオンになって、マゴメドシャリポフがフェザー級であの位置にいるというのは」

──思えばUFCのチャンピオンやトップというファイターは、ここまで輩出しているのはACAぐらいかもしれないですね。

「ロシアのこのあたりは強いですよね」

──今は独立した国も多いですが、サンボでも旧ソ連国家ではロシア語も話せない超強豪の軽量級世界王者などがいました。

「ソビエト連邦という共同体から、独立した国にチャンピオンも散らばり、そこいらの国から出てくる柔道やサンボの世界王者クラスの選手はソ連時代には世界大会に出られないという恐ろしい状況だったわけですし」

──その恐ろしさの末裔が、MMAでも活躍していると。

「それぐらいレベルが高いです。ただし、コンディション的にはACAの時の方が強い」

──そこは科学的要素も含まれているでしょうが、結局は強さの上にそこがあり、互いが使用していた。そこが抜けても彼らは強いということなのでしょうか。

「UFCでは抜いているというか、上手く調整している。誰もが(笑)。でも、強いですよ。アルドのローにも下がらない。構えは変えたけど、押し切っちゃう。あれは普通ならローから上を貰っちゃいます。やっぱり、ヤンもタフです」

──ただしヤンはまだジミー・リベラとジョゼ・アルドしか、トップ10とは戦っていない。この辺りがまた楽しみです。

「マルロン・モラエス、コディ・ガーブラント、それとお縄を頂戴しているTJ・ディラショーが出てきたら……。ディラショーがいない間にモラエスとセフードが潰し合い、その間隙をぬってヤンが世界チャンピオンになった感はありますしね。

そこも含めて、コロナ禍での運というのはあります。アブダビはブラジル人とロシア人だらけだったし。そこはあると思います。と同時にアブダビのような状況にロシアがあるということは、これからもどんどん出てくるでしょうね」

──柔道やボクシングだとロシア勢は重量級もトップを走っていますが、MMAは決してそうではないのも興味深いです。

「ACA自体がウェルター級になるとガクンと落ちます。それでもヤンがガーブラントとかやると……、分からないけどガーブラントとかが勝ってしまいそうですね。だからチャンピオンだけど、もう一周できる。これはもうUFCならでは、です。それだけ層が厚い、UFCに集まっているということですよね」

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Interview ONE ブログ 北岡悟 青木真也

【ONE】次の試合は9月前半&国内と明言の青木真也が、北岡悟について共同取材で話したこと

【写真】会見は修斗公式戦開場前にケージサイドで行われた(C)MMAPLANET

1日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたShooto2020#05の開場前に、青木真也の共同取材が行われた。

自己発信で次戦が決まったことを仄めかした青木が自ら会見を開き、「単刀直入に試合をしてみたい。詳細はまだまだ話せることと、話せないことがあります。RIZINは始まりますけど、我々は動けていない状況でしんどい状況が僕だけでなく他の選手にもあると思います。そこで関係各位と協力してやりたいと思った次第です」とまず話した。

時期を問われて以降、「9月前半、国内になると思います。相手は全員顔じゃない……今はどんな興行にしても右と左が両方整うことがない。でも、そこはあまり我がまま言えないところです。今の格闘技界はやればやるほど痛む、全て奇策。本来は僕がやってきたことだけど、当たり前に格闘技をやるということが誰一人できていない。それをマスコミも基本言わない、誰も。それが僕のなかの疑問で、当たり前のことを当たり前にやりたい。今の格闘技界は本来の芸事があるべき姿がない。とりあえず旗を振る立場になると思うけど、体を張ってやりたい。辛い時を支えてくれた人と、今も続いている。彼らと真っ当なことを真っ当にやりたい」と話した青木が、盟友・北岡悟の試合を質問した記者に若干、牙を剥いた。

今、青木が語る北岡について──を、ここでは特化して伝えたい。


──昨日の北岡選手の試合をご覧になられましたか。

「どう思いました?」

──えっ……。

「どう思いましたか?」

──やり切ったと……ルールも違うし、場所も違うし。

「どうして、それを書かないんですか?」

──インターバルのこととかですか。

「ですよね。判定なしとか。おかしくないですか」

──おかしいとは思いますが、ホームでやるというのはそういうことかなと。

「まさにそういうことで、最高の自流試合です……自流試合というか、そこまでするんだという狂気性は出たと思います」

──確かに。

「そこを回りが何とも言わない異常性も感じます。だから、僕は視ていないです。僕は視ていないし、なんて言ったらよいのか……あまり興味がなかったというのはありますね」

──なるほど。

「良い悪いではなくて、僕が創りたいモノとちょっと距離があります」

──ベクトルが違う……。

「それで気持ちが良ければ良い。そういうところが僕にはあります」

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Interview Special UFC UFC ESPN12 ブログ 佐藤天 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月─その参─佐藤天✖ウィット「今、米国にいることが財産」

【写真】3月の一時帰国の際、日程を切り上げてフロリダに戻った佐藤の決断がこの勝利への一歩だった(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ6月の一番、第3弾は27日に開催されたUFC ESPN12から佐藤天✖ジェイソン・ウィットの一戦を語らおう。


──6月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「佐藤天✖ジェイソン・ウィットですね。これ、皆が気付いていないことでいうと、相手はそんなに強くないですから。そこがあるので、彼も完全に気が抜けていないところがあると思います。このご時世でUFCといえども、相手が余りいないというのはあります」

──それも全て佐藤選手の力だと捉えることはできないでしょうか。

「勿論、その通りです。で、これは僕の言い方として……ホントにどうかとは思うけど、今はコレは火事場泥棒だから(笑)。今のUFCって、待っていればまたすぐに回ってくるだろうし。この間みたいにスクランブルで出てくるヤツもいる。体調さえ整えていればチャンスは巡ってくるんです。

でも、日本にいたらそれは無理。米国にいるから、そのチャンスが回ってくる。運は実力でもあります。さらに火事場泥棒だから、今はもうそのまま待っていれば良いよ──って彼にメッセージも送りました。今は米国にいることが財産です」

──確かにその通りですね。

「ホントに結果論ですが、3月のタイミングでフロリダに戻って良かったですね。博打に勝ちました」

──それこそ佐藤選手がUFCで戦うという意志を持ち続け、フロリダに移り住んで強くなるという決意の延長線上に今回の試合もあったということですね。

「だと思います。僕は3月の時点で米国に戻るより、日本に残った方が良いと思っていました。米国はロックダウンがあるし、日本はそんなに増えないから残る方が良いって。でも、全く違いましたね。フロリダに戻ったからこそ、このタイミングで試合ができて……。今はほぼほぼアジア人は米国にいないとチャンスはないですからね」

──新型コロナウィルス拡大からアジア人で戦ったのは佐藤選手とサクラメント在住のソン・ヤードンの2人だけですしね。ファイトアイランド大会はブラジル、ロシア系の選手がかなりの数を占めています。

「米国人を無理からUAEに連れていく必要はなくて、ブラジル人✖ロシア人とか、たくさん組めばOKで。なら佐藤選手も米国で待っていれば良い、8月まで。もう地の利で、完全に掴んでいますよね。凄く良いことです。

今は金とかでなく、自分の物語として確立すべきことがあって。ここ1、2年が勝負でそこを越えるとファイトマネーだって額が違ってくる。そういうタイミングの時にコロナがやってきて、米国にいる」

──チャンスをモノにするチャンスがやってきた、と。

「今回の試合でKOボーナスがもらえないのは、日本市場が盛り上がっていないからで、それは残念だったけどUFCのメインカードでKO勝ち。それもウェルター級ですよ。これはもう尋常でないということは皆に分かって欲しい」

──マイケル・ビスピンなど、実況でも絶賛していました。

「そうなんだぁ」

──とはいえ、さきほど青木選手が言われたUFCのウェルター級です。

「まだまだ佐藤選手は、難しい位置にいます。まだまだ、です。今回の相手はスクランブルで出てきた格下との試合だった。格上を見れば、もうとんでもない連中が揃っています。すぐにトップ10は無理、そう思います。だからこそ今、自分で手に入れた環境で力をつけて、そのトップ10に辿り着くまでに力がつく相手と戦う……ことなんでしょうね。

一度相手になっていたティム・ミーンズにしても、勝ち負けを繰り返していても強い選手です。ロシア人もいるし、ブラジル人もいる。それがUFCですから」

──トップ10と戦うにはもう1、2段ステップアップが必要だと。

「1段、2段で済むのかな。そう思っちゃいます。だからこそ、そんな場で12年近く戦っているジム・ミラーがどれだけ凄いことをやっているのかということで。ホント、佐藤天選手がやっていこうとしていることの凄さ、UFCのウェルター級で結果を残すということは、それだけのコトなんです」

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Interview Special TTFC08 ブログ 岩﨑大河 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月─その弐─岩﨑大河✖サープリス「素材は特A。だから……」

【写真】MMAは1✖1で戦うが、強くなるためにはチーム=組織力も大切になってくる。岩﨑大河という素材をどのような仕上げていけるのか、日本のMMAの力が問われる (C) KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年6月の一番、第2 弾は27日に開催されたTTFC08から<岩﨑大河✖リカルド・サープリスの一戦を語らおう。


──6月の青木真也が選ぶ、この一番。2試合目は?

「岩﨑大河✖リカルド・サープリスですね。岩﨑選手は強い部分があったのですが、そもそも今回の試合はケージが狭かったじゃないですか。ライト級ぐらいまでの選手なら、あのケージでも足が使えます。でも、90キロとかなる足が使えない。そうなると蹴りも使えなくなっていましたね。

結果、手とケージレスリングに集約されるような戦いとしていました。ようは岩﨑選手が空道で発揮していた強さは、打撃においては余り見せることができない試合でした」

──蹴りの威力が今一つだったのは、ケージが狭いことが大きな要因になっているのですか。顔面パンチがあると、蹴りが変わるということはなかったでしょうか。

「いや、それはありますよ。素面ですからね。行き切れないなので、素面には慣れていないようでした」

──古い話になりますが、1999年4月に行われた北斗旗軽量級最強の男・小川英樹✖元修斗ライト級チャンピオン田中(健一)塾長の試合を思い出してしまいました。

「そうなんですよね。僕、逆に空道が使っているスーパーセーフをつけてスパーリングをしたことがあって」

──そうなのですか!! 感覚は変わりましたか。

「やっぱり痛みがないから、アレをつけると前に出ることができます。素面とは全然違うと思います。だから、素面への怖さはあったでしょうね」

──それでも組んで勝てるのも、空道の王者所以かと。

「ハイ。あのサイズの日本人選手って、暫らく出てきていなかったので大事にやってほしいですね」

──現状の力がどこまでなのか。期待は大きいですが、しっかりと育てるマッチメイクも必要になってくると。

「ハイ。あの試合だと、分からないですからね。階級が階級なので、どれだけ試合を組んでいけるかですね」

──練習していくと今回の93キロ契約より軽くなると言っていました。普段の体重が90キロ弱であれば、水抜き減量のウェルター級で戦うことができるのか。

「僕はあまり賛成できないですね。大幅な減量が必要だとしたら。だからこそ彼をしっかりと導き、後押しできるような体制を創ることも岩﨑選手が成功するためには欠かせないと思います。

今のMMAの潮流が分かって、練習場所、試合の組み方をリードしないと、なかなか難しいですよ。あの大きさは。ただ大きい人が多くて、ガチガチのスパーだけでも育たないし、かといって技術の指導をしてもスパーリング相手が70キロじゃ試合の時と感覚が違ってしまう。誰が彼の面倒をちゃんと見ることができるのか、そこも気になりますね」

──青木ファミリーでマネジメントというのは?(笑)。

「だって、僕は『そのガタイがあって、そこまで動けるならプロレスやりな』って言っちゃいましたよ。あのガタイで動くことができれば、小型化が進むプロレス界でも才能の固まりですからね」

──そんな人材流出を!!

「岩﨑選手も首を傾げていましたね(笑)。ここはですね、周囲の話ですが……本人の問題でもあります。彼自身が、誰につくのかをちゃんと考えていかなければならない。どういう指揮者、振付師と自分がやっていくのかを。

なんせ素材的には凄く良いですから。90キロを超えている状態でもシェイプできていて、運動能力が高い。あれだけ動ける能力の持ち主はそうそういないです。でも、日本のMMAだと相手がいない。

素材としては特Aでも、GENで練習している日本のトップクラスの重量級の選手と戦わせるには、まだまだ早い。だから、どういう試合を組んでいけるのか。とても難しいです」

──今は無理ですが、韓国で同じような戦績の選手と試合ができれば。

「ハイ。それに試合だけでなく、もうちょい技量がついたらプサンとかにいって練習できれば良いですね。向うのやり方で気合いを注入された方が彼の打撃、まずは組みを切るという戦い方にフィットしていると思います。

ホント、才能としては頭抜けているので。大谷翔平が格闘技やっても才能の固まりですよね。ジョン・ジョーンズの兄弟は2人ともNFLの選手で、彼はレスリングができていた。そして、MMAであの強さですからね。そういうことなんです」

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Interview Special UFC ESPN11 ジム・ミラー ブログ ルーズベルト・ロバーツ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月─その壱─ジム・ミラー✖ルーズベルト・ロバーツ

【写真】ファイターが認めるファイター。これは一番の誉め言葉だろう (C) Zuffa / UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年6月の一番、第一弾は20日に行われたUFC ESPN11からジム・ミラー✖ルーズベルト・ロバーツの一戦を、青木の近況説明後に語らおう。


──青木選手、今回は試合の話にいくまでに現状を少し聞かせてください。4月のRoad to ONE02の世羅選手との試合移行、最近は解説やジャッジ、仕掛け人での活躍はありましたが、MMAの活動の方はどのようなものでしょうか。

「格闘技に関しては何か、今は動かないと思っちゃっていますね」

──格闘技に関してはということは、格闘技以外は動いているということですか。

「プロレスなんかは無観客とか、後楽園ホールで500人の集客でも成り立たせることができるじゃないですか。チケットが6000円で500人入ると、300万のチケット収入があり、会場費とか放映料とか考えても回っちゃうんです。

それに僕も無観客とか放映料がないからギャラを下げてくださいっていうのがあっても、全て通していますしね」

──でもMMAはそういうわけにはいかないのではないですか。

「あっ、僕はもうソコも全然OKになっちゃっています」

──それでも一定のラインが存在しませんか、ファイトマネーに関しては。

「う~ん、そこですら抜けてしまっていますけどね」

──自分としては青木選手のファイトマネーに関しては、守って欲しい最低基準は持っていてほしいです。

「もちろん、そこもあるんです。僕がファイトマネーの減額を構わないと思っても、『青木ですら』という風にプロモーター側が持ちかけると、回りに影響が出てしまうじゃないですか。そうなると市場が崩壊してしまいますからね。そこは大事にしないといけない部分でもあります」

──その通りですね。でも、試合はしたいというのが選手であり、プロモーターも現状を乗り切る必要がある。

「いやぁ、難しいですよ。そこは……」

──この話題はまた別の機会に是非ともお聞かせください。

「ハイ、そうですよね……今月の一番をピックしないと、ですね」

──はい、2020年6月度の青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?

「ジム・ミラー✖ルーズベルト・ロバーツです」

──おっ、ジム・ミラーですか。それは青木選手のミラー評が楽しみです。

「実際、この試合がどうこうではなくて……もうレコードがバケモノですよ。UFCに2008年からいて、最初は余り期待されたマッチアップはされていなかった。僕が注目し始めたのは、マーク・ボセックに勝った時かなぁ。ボセックって柔術好きにはたまらない選手で。ボセックに勝つって、相当強いんです。そうしたらチバウに勝って、その次にシャーウス・オリヴェイラにヒザ十字で一本勝ちしたんですよ。

そこからカマル・シャロルスをTKOして。僕がシャロルスと戦う前に、彼を研究するためにミラーの試合をチェックしましたね。それからベンソン・ヘンダーソンに負けて、でもメルヴィン・ギラードに勝って、で、次にネイト・ディアズに負ける

──いやぁ、とんでもない相手と戦い続けていますよ。それは……えげつない。

「でもパット・ヒーリーに負けた時に、少し落ちてきたかなって」

──勝ったヒーリーが、マリファナで引っ掛かりNCになった試合ですね。

「そうです、そうです。パット・ヒーリーも強かったですよねぇ。Strikeforceから来て、出場停止が明けた後も厳しい相手を当てられて切られてしまいましたけど……。

ジム・ミラーはとにかく戦績が凄いですよ。相手も半端ないし」

──ドナルド・セラーニと並ぶUFCで35試合。しかも、セラーニと違い主役ではないですからね。

「セラーニの試合って、メインを張ってファン受けしUFCから気に入られる。それとジム・ミラーがずっとUFCで戦うのは僕のなかでは違っていて。だって、ずっと脇役ですよ。打撃系じゃないのにファイト・オブ・ザ・ナイトを5試合とか獲っているし。

ジョー・ローゾンとジム・ミラーって、だからダブります。なんだろう……、とにかくジム・ミラーは凄いです。UFCでこれだけ長い間戦ってきて、頑丈そうだけど壊れている部分もあるだろうし……ジョー・ローゾンほど壊れていないとはいえ。

3年前とかも、ダスティン・ポイエー戦からダン・フッカー戦まで4連敗して、そのなかにはアンソニー・ペティス戦もある。いや、やっぱりもう凄いって言うしかないですよ。それでも戦い続けることができているのは、コンディションが良いのでしょうね。

それとちゃんとサブミッションを取っている。18試合ぐらいで一本勝ちして……彼は選手がリスペクトする選手。ミュージシャンズ・ミュージシャンってあるじゃないですか、ミュージシャンが認めたミュージシャン。歌や演奏が上手い、売り上げじゃなくて。

そこでいえばジム・ミラーはファイターズ・ファイターです。選手が認める選手ですよ。今では今回の相手のようにコンテンダーシリーズから上がってきた選手と戦い、普通に腕十字で一本勝ちする。ちゃんと取れている」

──常にUFCライト級戦線のワキを固めてきたようなキャリアですね。

「その選手の居場所があるのも、またUFCで。脇役でもスターです。きっと、そこそこのファイトマネーを貰えますよね。これだけ戦い続けていると」

──このルーズベルト戦は、勝利ボーナスも含めて20万8000ドルという資料があります。

「10万ドル&10万ドルかぁ。そこはUFCの凄さであり、回転の速いUFCでここまで残っているジム・ミラーの凄さです。この試合で、また生き残れましたし。それに他のプロモーションだったらチャンピオン級の実力者であることも間違いないですからね」

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Interview ONE ONE Championship ブログ 平田樹 秋山成勲 青木真也

【ONE】ONEチャンピオンシップ、活動再開に際し──青木真也、秋山成勲、平田樹の声

【写真】青木、秋山、平田はONEの活動再開に何を想う (C)ONE

26 日(金・現地時間)にONE Championshipのチャトリ・シットヨートンCEO兼会長が、7月31日にタイのバンコクでONE「No surrender」を開催することを発表した。

元々ONEでは7月中にタイでのイベント再開を視野に入れており、その状況は関係各所には伝わって来ていた。当然、ONEとパートナーシップを結ぶABEMAにもその報を届いており、ABEMAではあらかじめONE出場日本人選手から活動再開に関してのコメントを集めていた。ONEチャンピオンシップ、リスタートが正式発表のタイミングで、それら日本人MMA選手の声をお届けしたい。まずは第一弾として青木真也、秋山成勲、平田樹の想いだ。


青木真也
「ジャパニーズMMAがやりたい。ジャパニーズMMAとは何か。時代を引き戻してやろう。危機ではなく変化だ。強い奴が勝つんじゃない。勝った奴が強いんだ。オレが憧れたレスラーは悲観するのではなく、どう生きるかを教えてくれた。嘆いていてもはじまらないんだ。変わらないものは変わらない。行こうその先へ!」

秋山成勲
「ついにONEのアスリートや世界中の格闘技ファンが待っていた日がやってきます! 先日5月末の修斗で放送されたインタビューでは、チャトリCEOが『秋山選手は僕のお気に入りだ』と 言ってくれたと聞きましたが、ますます早く試合をしたいですね!」

平田樹
「ONE再開! 自分も『バチッ』てスイッチが入りました。 自粛期間はジムが閉まっていていたし、再開後すぐに怪我もしたりして……今はまだ、良いコンディションとは言えないですけど 『再開が決まった』と聞くとアガってきますね!  この間『スタンプ・フェアテックスが”イツキと試合しても良い” と言ってい』って話を聞きましたけど、私も誰とでもやっちゃうよ?って思っています。最近、密かにトレーニングを重ねているテクニックがあるんです。次の試合でお披露目して、私が主役になります」

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J-CAGE News TTFC08 ブログ 仙三 大沢ケンジ 水垣偉弥 青木真也

【TTFC08】TTFCのジャッジは青木真也、大沢ケンジ、水垣偉弥の豪華布陣。解説は仙三!!

【写真】横浜のロードバイクショップ、ペダリストで第2の人生を歩む水垣がジャッジに (C) TRIBE TOKYO MMA

20(土)、TRIBE TOKYO MMAより27日(土)に会場非公開の無観客大会として開催されるTTF Challenge08で青木真也、大沢ケンジ、水垣偉弥がジャッジを務めることが発表された。

TTFCは過去にも競技を熟知しているという理由で、ジャッジを選考してきたが、青木、大沢に先日引退を発表したばかりの水垣が加わった。3人が打撃のヒッティング、MMAとしてのドミネイトとアグレッシブスネスをどう評価されるのか。3者は揃ってMMA中継での解説者としても活躍しており、大会終了後にそのジャッジメント理由を3人で振り返る番組が見たいほどだ。

またPIA LIVE STREAMの実況は熱唱MMAアナこと市川勝也氏が、ゲスト解説の仙三とタッグを組むことも発表されている。

なお第4試合のミドル級で関野大成と対戦予定だった藤原レジナルドが体調不良で欠場し、代役として同門の泰斗の出場が決まっている。


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Interview Shooto2020#03 Special ブログ 倉本一真 岡田遼 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:5月─その参─岡田遼✖倉本一真「素養はクラスBだけど……」

【写真】素質はクラスB、その岡田がUFCもあるという青木の真意は(C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ4月の一番、第3弾は31日に開催されたShooto2020#03から岡田遼✖倉本一真の一戦を語らおう。


──5月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「岡田遼✖倉本一真ですね。岡田選手は5R制だから、あの戦いができました。それが一番大きいと思います。僕がマラット・ガフロフとやった時の組み方でした。主導権を握って攻めさせる。それを岡田選手がかしこくやりましたね。

倉本選手陣営をくさすことになってしまうかもしれないですが、あの試合運びは完全に作戦ミスです。」

──青木選手が倉本選手のチームなら、どのような作戦を立てましたか。

「ゆっくり見ろと僕なら言います。できる限り力を使わず、テイクダウン。あとはボディクラッチして岡田選手の動きに合わせておけば良いって。泳げってことですね。10-9.8で初回から3Rを取りましょうと言いますね」

──倉本選手はバックと比較して、トップの時の圧力がないように見えました。

「それはサブミッションですね。サブミッションがないから、ゴールがない。だから岡田選手としては、ずっとバックを取られても、グルグルと付き合ってたまにギロチンを狙う。そういう戦いができますよね。倉本選手は終わらせることができないから。

あのギロチンも岡田選手が上手いわけじゃない。あれだけ抱き着いてドミネイトしていると、まぁギロチンは食らいますよ。MMAとして完成度が低い倉本選手が、終らせることができたとすれば、それはテイクダウンのフェイントからぶん殴ってKO。それしか今はないと思います」

──今はそれだけしかできない選手が、ここからMMAを突き詰めていくとUFCで勝てるようにならないでしょうか。

「う~ん、身体的素質が高い選手ならUFCにはいくらでもいますよ。倉本選手はいうても、まだ7試合とか8試合しかやっていない。それで修斗の世界王座に来ること自体が、人材難なんです。だから岡田選手も倉本選手も、この試合でUFCが見えてくるということではないと思います。

皆が世界、世界って言っている時に……まぁ、その世界ってどこなんだよっていうなかで、修斗王座を狙う。そこに愛ある物語があったのが良かったですね、岡田選手は。他と差別化もできて」

──そして、UFCで戦いたいと口にしました。

「良い話ですよ。ATTに行って、そういう気持ちになるって」

──UFCに行きたい、その気持ちは青木選手も持っていましたよね。

「僕も思っていますよ。あのう……何て言うんだろうな、次なる格闘技の人生のなかで機会があって、もう一度北米で何かできれば楽しい……豊かになれるなって思います。僕はUFCに出ている選手へのリスペクトはメチャクチャありますからね。

岡田選手がUFCを目指したいっていうのは良い話ですね。だってさぁ、策士じゃん?」

──アハハハ。

「そもそも……こんなこといったらアレですけど素質的にはクラスBですよ。素養としては。それをアレだけ考えて、整理整頓できて、自分がどこにフォーカスして努力すれば良いのか正解を見出している」

──最高の誉め言葉ではないですか!!

「だから、僕はあると思いますよ。岡田選手のUFCは。UFCのチャンピオンになるとかっていうことは、現実離れしています。でも、UFCに加入して勝ったり負けたりすることは、彼の思考能力からすればあると思います。

やりくり上手じゃないですか。倉本選手との試合で、露骨にのんびりしようぜってできるほど性格は悪いし。1Rと2Rはお前にやるけど、俺は5Rという試合タイムをフルに利用するからよって、戦えるんですよ」

──それって図太いということですよね。

「図太いです。頭が良いし、腹黒い。図太さでいえば、鶴屋門下ですね。倉本選手の方が絶対に良い人ですよ(笑)。なんかKIDさんっぽさがあって。でも策士が勝っちゃうんですよ、良い人に」

──自分は一つ、岡田選手が凄いなと思ったことがあるんです。当日は2階の記者席から写真を撮っていたのですが、試合後にそれに気づいて2階に視線を送ってきました。正直、後楽園やディファのバルコニーで写真を撮影していて、そこに気付いた選手は過去に1人としていなかったです。

「それは凄いッスね。ちゃんと周囲が見えている。自分がコントロールできているんですね」

──それに受験勉強ができる人って、コツコツできる根性があると思いませんか。

「あぁ、ハイ、ハイ、ハイ。だって意味ないですからね。そのゲームを越える以外に。要はセンター試験を越えるって、部活動を頑張るとかよりも、根性ありますよ。だって甲子園に出るとか、サッカーで国立だっていう風に注目を集めるわけでもなく、別に大学に受かっても有名になれるわけでもない。凡人としての強さですね。それがヤツにはあります」

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Interview Special UFC ESPN09 ジルベウト・ドゥリーニョ タイロン・ウッドリー ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:5月─その弐─ドゥリーニョ✖タイロン・ウッドリー

【写真】ウッドリーの消耗とドゥリーニョは覇気、対照的な精神状態だったか (C) Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年5月の一番、第2 弾は29日に開催されたUFC ESPN09からジルベウト・ドリーニョ・バーンズ✖タイロン・ウッドリーの一戦を語らおう。


──5月の青木真也が選ぶ、この一番。2試合目は?

「ドリーニョ✖ウッドリーです。タイロン・ウッドリーも年齢なんだなって。38歳で、ちゃんと年を食っている。それと優しいというか、弱いというか。ローリー・マクドナルドに完封された試合を思い出しましたね。

手詰まりになると、ずっとそのままなんですよね。絶対的なテイクダウンの強さを持っているのに、逆にテイクダウンまで取られてしまって」

──初回のダーティボクシングでダウンし、萎んでしまったのでしょうか。

「クリンチアッパーで」

──セコンドのディーン・トーマスが、4R前のインターバルで『全部取られているから、行くしかない』という指示をしていたのに、まるで出なかったです。

「行かなかったですねぇ。最後のラウンドでも、あそこで組みに行くって謎ですし。もう、この試合に関してだけでなく色々と疲れているのかなって感じました」

──30代後半で世界王座から転落し、ダイレクト・リマッチでなくトップ5に勝ってチャンスを掴めよ──という状況になると、もうしんどいのかなと。

「ドゥリーニョを当てられているということが、どういう意味が分かるわけですしね。『お前、もうイイよ』って言われているようなもので」

──青木選手はプロモーターと協力しあって、イベントを創る選手ですが、その役割を求められなくなると気持ちが落ちるということはあるのでしょうか。

「それは落ちますよ。『あぁ、そういう気なのね』みたいになって」

──では日本大会でホノリオ・バナリオと戦えとなると、張りはなくなったのですか。

「そこは、何て言うのか……仕事になりますよね。『じゃ、やりますか』って。そこで僕はウッドリーの今回の試合のように一発を貰っていないので分からないのですが、頑張れなくなる人もいるでしょうね。ただ、ウッドリーはそれよりも性格のような気がしました」

──ウッドリーの立場だと、自分を育ててくれたスコット・コーカーのBellatorでたくさんお金が欲しいとなるのではないかと。

「あぁ、もうUFCはイイやってことですね。そうだ、StrikeforceのChallengerとかでキャリアを積んできたんだから。まぁウッドリーにそう思わせるかもしれないぐらいの試合をドリーニョがやったということです。ショートノーティスでウェルター級に階級をあげてから、岡見選手に勝ったアレクセイ・クンチェンコをブッ飛ばした。どれだけウェルター級の方が体調が良いのかって。

ライト級ではトップどころと絡まなかったわけですからね。今回の試合でも体がムチムチしていたし、ウェルター級が合っているのでしょうね」

──道着を着たムンジアルの世界王者が、打撃でウットリーに勝つ。考えてみるととんでもないことですね。

「ドゥリーニョは今もグラップリングだけでなく、道着を着て試合に出ていますしね。競技柔術出身で、UFCでも最初は大切にされていなかった。でもウェルター級転向後はデミアン・マイア戦でもジャブにフックを合わせていましたし、アレはサンフォードMMA(ハードノックス)が使うパンチですよね。それとオーソドックスで右手、奥の手のアッパーが使えるのが大きいです。

右手のアッパーって、一番距離が遠くなるパンチじゃないですか? 自信がないと、怖くて打てないですよ。遠いところからアッパーって、キックボクシングでいえば大月晴明さんみたいな攻撃です。そこからダブルレッグを狙うという見方もできますが、それ以上の強振です。あの勢いはテイクダウンにいくパンチではない。なんか昇龍拳みたいに打っています」

──昇竜拳のごとく、戦力で殴ってダメージを奪うという。

「ドンドンって追撃して。あれも謎です。打撃で打ち勝って、柔術を使う。UFCで1年に4試合もしていて、その合間にグラップリングや柔術の試合に出ている。それがドリーニョの凄さです」

──試合後、サンフォードMMAの同門カマル・ウスマンに挑戦することをアピールしました。

「あれはぁ、チームといってもドゥリーニョはブラジル人のコミュニティがあるのかなって思います。それぞれの人種にティがあって、ノヴァウニオンのドゥドゥ・ダンタス✖マルコ・ロウロの初戦のような……勝った方が泣いて、勝利を喜べないという悲壮感はもうないんじゃないかと。

ファイトキャンプが同じということで、皆はUFCでトップになることを考えているので。でも、ウスマンは強い時のウッドリーですからね。ドゥリーニョは組んでも切られるし、打撃でもウスマンが上でしょう。

面白い顔合わせだけど、面白くない試合になる。ウスマン✖デミアン・マイアGSP✖ジェイク・シールズみたいな。面白くない試合のままならウスマンで、面白くなればドゥリーニョにチャンスもあるかなって思います。ドゥリーニョは打撃を振るようになっているので、チャンスは十分にあります。人生をひっくり返すかもしれないです」