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【Road to ONE03】記者会見─02─松井珠理奈「どんな青木真也を?」✖青木真也「遊びじゃないからさ」

【写真】江藤への質問をし、目を見て真剣に返答に聞き入る松井珠理奈。そして、後方の今成はピンが来ていなくても良い味すぎるのが伝わってくる (C)MMAPLANET

8日(火)、10日(木)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE 3rd TOKYO FINGHT NIGHTの記者会見が港区の東京ミッドタウン・カンファレンスROOM7行われた。

出場選手がそれぞれ意気込みを語ると、大会ゲストで当日も解説を加わる松井珠理奈自らが選手に質問を投げかけ、選手が返答。ここではそのやり取りを振り返りたい。

松井珠理奈 江藤選手に質問したいのですが、青木さんと戦うことになって青木選手の存在が変わったなとか、今どのように考えていますか。

江藤公洋 一緒に練習したこともありますし、強さもそのなかで感じています。実際にやってもそれは変わらないです。変わらないのですけど、勝つためにどうやれば良いのかをずっと準備してきたので、それを試合で見せられたらと思っています。


松井珠理奈 ありがとうございます。手塚選手に聞きたいのですが、最近の筋肉の調子はどうですか。

手塚裕之 筋肉の調子はバッチリです。筋細胞が疼いているので。もう滾っているので。

松井珠理奈 筋肉とお米は?

手塚裕之 裏切らないっ!!

松井珠理奈 最後に青木選手に質問したいのですけど、今回のテーマ──どんな青木真也を見せたいですか。

青木真也 遊びじゃないからさ。遊びじゃないからさ、2005年からこれで飯食っているんだけど『お前ら、俺に何か言葉発せられるヤツいるのか』、偉そうに言って『青木真也って名前、お前ら出せるヤツいるのか?』、『誰もいねぇよ』、『勘違いすんなよ』って感じかな。

松井珠理奈 ハイ。ありがとうございます。

大沢ケンジ そういう風になかなか簡単に名前は出せないですよね。

青木真也 だから出すなよ。だから出すなよ。

大沢ケンジ これだけ緊張感があるので、僕の喋りも控えた方が良いですね。

この後、会見は記者との質疑応答へ移った。

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News ONE Road to ONE03 グンダー・カルンダ ブログ 今成正和 内藤のび太 手塚裕之 根津優太 江藤公洋 猿田洋祐 青木真也

【Road to ONE03】イベント2日前・記者会見─01─松井珠理奈降臨、「特に注目は猿田選手とのび太選手」

【写真】会見中の青木と今成が驚くべき程、同じような仕草を見せていた。自分があり過ぎる(C)MMAPLANET

8日(火)、東京都港区の東京ミッドタウン・カンファレンスROOM7で開催が2日後に迫ってきたRoad to ONE 3rd TOKYO FIGHT NIGHTの記者会見が行われた。

今回の会見には全6試合から11名の出場選手と、大会ゲストの松井珠理奈も登壇し選手に質問を行い、自らも記者の質疑応答に応えていた。

まず試合を務めた大沢ケンジ氏が「僕も緊張してきました。いよいよだなって。(江藤も猿田も)覚悟を決めています。勝てると思います」という心境を吐露した直後に、第1試合から出場選手から順にステージに登壇。

グンター・カルンダと手塚裕之が向き合って距離を詰まると小競り合いになると、その大沢氏が割って入って両者を止めるという一幕も見られた。

メインに出場の青木真也までがステージの席に着くと、松井珠理奈がトリを務める形で登場し、「佐藤将光選手のお父様がデザインした服を今日は着てきました(笑)」とまずは開口一番、笑顔を見せる。

そして「ピリピリしている感じがしていて、自分がここにいて良いのかなっていう気持ちなります。全試合が楽しみですが、なかでも猿田選手とのび太選手は修斗の時代から猿田選手がのび太選手を追いかけていたということで、その2人が交わるということで楽しみです。そして、もしかしたら勝者がパシオ選手と戦うかもしれないというワクワク感があって凄く注目しています」とONE通らしい発言をした。

続いて秦英之ONE JAPAN代表がマイクを握り、英語と日本語を駆使して挨拶。「10月以降、世界大会の準備も開始しています。できれば木曜日を皮切りに……普段から練習はやっているかと思いますけど、Road to ONEという名前の通り、世界でとにかく一番になる選手を受け入れる体制をONE全体で準備していますので、とにかく熱い戦いを木曜日ぜひご期待ください」と、10月に予定されているシンガポール大会で日本人選手の招聘に向けて、準備が進んでいることを匂わせる発言があった。

ここからは各MMAマッチに出場する選手の抱負の言葉をお届けしたい。


根津優太
「全てのタイミングが良くて今回、試合を受けさせてもらいました。相手が今成選手とやるとは思っていなかったので、これも良いタイミングだと思います。しっかりと勝ちにいきます」

今成正和
「特に意気込みはないですが、まぁ勝つつもりで痛くないようにやります」

グンター・カルンダ
「コンニチワ。マイネーム・イズ・グンター・カルンダ。アフリカからやってきた。ONEの大会に出られることにお礼を言いたい。そして、僕のチームTRY.Hにも。ゲームをするためにONEで戦うんじゃない。プロのファイト・イベント、プロファイト・ショーだ。だから、出場するんだ」

手塚裕之
「このような時期に試合ができるということで、皆さまに感謝しています。しっかり積み上げてきたモノがあるので、それを出して……さっき突っかかってきて、ちょっと舐めてんなって思ったのですが、差を見せつけて勝ちたいと思います」

内藤のび太
「こんちわ。内藤のび太です。自分と戦いたいと言ってくれたことに照れていたのですけど、嬉しいです。頑張ります」

猿田洋祐
「自分が望んでいた試合がやっと実現できて、ファンの皆さんも松井さんにも注目していただいて凄く嬉しいです。どんな試合展開になるか分からないでですけど、どんな試合になっても苦しくて激しい、凄い削り合いになると思いますので、自分が最後に削り勝って、日本人で初めてのび太選手に勝つ選手になろうと思っています。それと自分たちのことを知らないファンの方もいると思いますが、世界で活躍する日本人がいること知って欲しいです」

江藤公洋
「今回、このような状況のなかで試合を組んでもらったこと凄く有難く思っています。そのなかで青木選手という強い選手とやらせてもらうので、良い試合をするために準備してきたのではなく、勝つために準備してきました。それを当日見せます」

青木真也
「ハイ。ヨロシクッ、終り!!」

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Interview Special シャノン・ウィラチャイ ファビオ・ピンカ ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:8月─その弐─ウィラチャイ×ピンカ「ウィラチャイ勝利は救い」

【写真】このスピニングバックフィストが当たるのもMMAならでは (C)ONE

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年8月の一番、第3 弾は21日に中継されたONE No Surrender IIIからシャノン・ウィラチャイ✖ファビオ・ピンカの一戦を語らおう。


──8月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目は?

「シャノン・ウィラチャイ✖ファビオ・ピンカです。正直、競技レベルでいえばそんなに高くないですよ。でも、十分に楽しめました」

──どういう部分で、ですか。

「ウィラチャイがテイクダウンを切られ、でもスピニングバックフィストが当たるとか。MMAなんだよって部分ですね」

──本来、MMAはMMAでラジャのチャンピオンだったから勝てることはない。それがフランス人でアレだけムエタイに挑戦し、そして2年間MMAの練習をしてきたという情報でどれだけ、ムエタイをMMAで見せてくれるのかという部分で幻想が持てました。

「そうなんですよね。でも、これはMMAだから本来はピンカがどこまでやれるかという見方をすべきなんです。ラジャのチャンピオンだからって、MMAで即通用することはないので。いわばMMAファイターが勝って当然なわけで」

──そこをONEという磁場が、狂わせてしまったのかと。

「そういうことですね。ファビオ・ピンカはムエタイでは最高峰ではなかった。でもヨーロッパで一番という見方はできました。外国人がタイの国技に挑戦する。そういう美学を持っていますが、ムエタイではないといえばムエタイではない。

それにMMAをやり込んだという部分では、ムエタイ選手の中ではランバー・ソムデートM16が一番だったと思います。ちょっと異常なぐらいできていました。植松さんが一緒だったというのもありましたけど。やっぱり一番MMAができていたムエタイの選手はランバーです。そして、ランバーと比較するとピンカは打撃も、倒された時もまるでできていなかったです」

──ウィラチャイが踏ん張ったともいえる試合でした。

「ウィラチャイは僕に負けてから4連敗中でしたけど、中堅以下として安定はしている選手です。そんなに弱くないんです。それなのにテイクダウンを仕掛けて、切られていたのは最高でした(笑)。

でも、そうやってテイクダウンが切れたから、ウィラチャイのスピニングバックフィストでピンカはダウンしたのかもしれない。それがMMAの妙ですよね。確かにペースを握っていたのはピンカです。でも2度ダウンをしていますからね」

──裁定結果は、スプリットでした。

「怖いです。リングジェネラルシップを取ったということですけど……あれは、ムエタイでも負けです。2度もダウンしていたら、勝ちはあり得ないです。

この試合でピンカを楽しめるという部分は削げてしまいました。かといってウィラチャイが凄くアップするわけでもなかった。MMAなのにジェネラルシップを取られてしまうし。結果、『あぁあピンカ、ウィラチャイに負けちゃって』という試合になってしまいました。

ただし、MMAとしてあの試合でウィラチャイが勝ったのは救いでした。そこに尽きます。組みがあるから、あのパンチも当たる。組みが合って小さいグローブでやると、こういうことが起こる。ムエタイの実績が、そのままMMAで通じるならMMAなんてやる必要がなくなってしまいますよ」

──その通りですね。そういう意味ではハイキックを空振りしてピンカがバランスを崩しましたが、ムエタイならレフェリーが間に入って安全に立つことができます。でも、MMAはそうじゃなかった。

「つまりは完全に別競技。そこ挑戦したピンカはこれまで練習していたとしても、パニックに陥ってしまったかもしれないです。なんせデビュー戦ですから」

──そうなると、打撃をどう効かすという部分よりも、そういうMMAとしてやるべきことができているのかという部分で、次のピンカの試合を楽しめるかと。

「それなのにムエタイの評価で、ピンカをMMAで高く見積もっちゃダメってことです」

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Bellator243 Interview Special ブログ ベンソン・ヘンダーソン マイケル・チャンドラー 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:8月─その弐─チャンドラー×ベンヘン「幻想を抱けるファイター」

【写真】これがベラトールで魅せる最後の雄姿となったチャンドラー (C) BELLATOR

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年8月の一番、第2 弾は7日に開催されたBellator243からマイケル・チャンドラー✖ベンソン・ヘンダーソンの一戦を語らおう。


──8 月の青木真也が選ぶ、この一番。2試合目は?

「マイケル・チャンドラー✖ベンソン・ヘンダーソンですね。なんかベンヘンが良くなかったというのか、疲れているような気がします」

──そうですか!! あの左ボディフックとかエゲツナイ攻撃だったように見えましたが。

「当然、凄いですよ。でもベンソン・ヘンダーソンだろうっていうのはあります。もうベラトールに移って4年以上経っているんですよね。まだ皆がUFC時代のベンヘンを求めているから、それはギャップがあるかと思います。対してチャンドラーはずっとエネルギッシュです」

──そもそも試合前は、この試合に関してどのような期待感があったのでしょうか。

「それが……リマッチなので、あまり新鮮味がなかったです。それこそベンヘンはUFCの頃の姿を求められているといっても、その点においてはもう新鮮味がない。小慣れてきてベラトールのキャストに入ると、面白味がなくなってきて」

──あくまでもUFCからの刺客でないと、ベラトールは何かを創っていくことはできない?

「異種格闘技感はないですね。スコット・コーカーのベラトールはUFCから抜いてきた選手と生え抜きで創って来ていて、そのうえUFCから来た選手を楽しめる寿命は決して長くないなって思います。そもそも僕はUFCからベラトールに来て、ぶつけるっていうマッチメイクは興奮できないですし」

──ほお、そうなのですね。

「ビヨン・レブニー体制の時の方が正直、面白かったです。選手もトーナメントのプラットフォームも。なんかスゲェ強いロシア人が出てきたり、パット・カランのようなUFCが拾わなかった実力者が、結果を出して上がっていく。そういう戦いがあの頃は見られていました。

今はその発掘感がなくなりました。だって、面白いのは『こんなところに、こんなヤツがいたっ!!』っていう発掘感が面白いわけで。今はそれが起こりづらくなりましたよね」

──UFCは今も続けていますが、あまりも層が厚いのでベラトールのトーナメントのように1/8、1/4、1/2という注目の集め方はできないですよね。凄まじい潰し合いをしていて。

「ハイ。そしてTitan FCやLFA、ACAまでもが発掘の場になっています。それもまた、レブニーの頃に見たベラトールの面白味ではないですしね。

だって米国のイベントだから、懸命に米国人をトーナメントの決勝に残す努力をしている裏でロシア人とかブラジルの強い選手をぶち込むから、その選手たちを初戦とか準決勝で潰し合わせていて(笑)」

──商売の仕方としてメチャクチャですが、だからこその面白さがありました。

「マルコ・ロウロがトーナメントで優勝しちゃったから、ドゥドゥ・ダンタスとノバウニオン同士で世界タイトルをやったり。それが計算じゃないから、面白かったです(笑)。さっきも言ったパット・カランとか、マルチン・ヘルドのような選手が出てきた。マイケル・チャンドラーだって、そんなもんだし。そういうベラトールが、僕は一番面白かったです。ベンヘンでなく、ロジャー・フエルタで引っ張ったような」

──では、そのチャンドラーの今後に関しては、青木選手はどこで試合が見たいですか。

「そりゃあUFCです。UFCで戦うチャンドラーが見たいと思っちゃいます。ダスティン・ゲイジーとなんて、メチャクチャ楽しみですし。ヌルメゴメドフも見たいですけど、チャンドラー✖ゲイジーはもう単純に腕自慢同士の一戦で。

チャンドラーはパンチが目立っていますけど、それはレスリングが強いから。レスリングで培った高い運動能力があるから、パンチも強い。まぁ、フレッシュなままなのは何があるのか分からないですけど(笑)。

結局、UFCで戦ったらどうなるんだろうって思われる選手が少なくなってきましたね。もうベラトールの一部ぐらいか……。LFAやTitan FCの選手はランク外から上がっていく素材であって、いきなりチャンピオンとの対戦が楽しめる選手じゃない。もう、そういう選手がいなくなりましたよ。RIZINから行く日本のファンが応援したい選手だって、トップ10スタートでもないわけで。

そういう意味でジャスティン・ゲイジーやマルロン・サンドロが行って、今はチャンドラー。幻想を抱くことができるファイターって少ないんですよね。今年はPFLが活動休止しまって。未知の強豪の発掘が、今年は止まってしまっている形です。UFCはリアルな場だから、幻想を抱けるファイターが育つ、そういう大会がUFC以外に必要になってきますね」

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Interview J-CAGE Shooto2020#05 Special ブログ 杉本恵 青木真也 黒部三奈

【Special】月刊、青木真也のこの一番:8月─その壱─黒部三奈×杉本恵「女子格闘技っていう表記自体…」

【写真】黒部の頑張りの裏で、青木は女子MMAに何を感じていたのか (C) KEISUKE TAKAZAWA/ MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年8月の一番、第一弾は1日に行われたプロ修斗公式戦から黒部三奈✖杉本恵の一戦を語らおう。


──8月度の青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合をお願いします。

「黒部三奈✖杉本恵ですね」

──修斗女子スーパーアトム級王座決定戦ですね。

「ハイ、黒部✖杉本なのですが──まず修斗の大会が5試合しかなかった。そこですよね。現状の後楽園ホールの使用時間の問題で、それだけしか試合が組めない。

そうしたら、余計にお客さんもチケットを買って会場に来ようっていう気がなくなるじゃないですか。大変です。そんな時にパンクラスみたいに当日に『やっぱダメヨ』みたいなことが起こると、お客さんもチケットを買うことに慎重になります」

──当日に陽性反応が出た、そして大会が中止。これは美談ではなく教訓にしないといけないわけですね。

「チョイ、この現状を考えて違うやりようはあったでしょうね」

──そこは業界全体でありんがら、個々が考えるしかない。そんななか黒部✖杉本戦がなぜ、今月の一番になったのでしょうか。

「黒部さんは女性で。女性で43歳、このコンディションを維持するのって男以上に大変だと思うんです。筋量は下がってくるし。ただ、これを言ってしまうとアレですが、女子のレベルは正直そこまで来ていないから──というのはありますよね」

──修斗のトーナメントは経験値に違いもあり、男子のベルトとは成り立ちから違うモノになりましたね。

「ここでタイトルを創って、タイトルがあるから回っていくというのはあるのでしょうが……」

──にしても、王座決定戦の1試合で決めても良かったのではないかと。

「そうですね。ベルトを獲るというところで、どの階級も公平ということはないのですが、それでも……競技レベルからしてちょっとしんどい。それは修斗だけに限らず、そういうもので。それでも黒部さんのアレをやり切る能力、努力は凄いモノがあるんだと思います」

──黒部選手はフレッシュな部分がありますよね。

「フレッシュですか?」

──格闘技を始めたのが遅かったので、10代や子供の頃からレスリングや柔道をやっていて、競技生活を続けている選手と比較すると、疲弊度が少ないのではないかと。

「それはそうですね、ずっとやっている人と違うというのはありますね」

──メンタル面でも、強くなりたいと思い続けるのは大変なことではないでしょうか。

「そこはもう本当に大したモノだと凄く思います。と同時に試合内容としては女性って倒れない。特にあのレベルだと。だから見ていて面白いとは僕は言えなかったです」

──青木選手からして、面白いと思える女子MMAはあったのですか。

「僕ねぇ、それ実はないんです(笑)。女子の試合が格闘技として面白いと思えた試合はほぼないです。ロンダ・ラウジーですから、ちょっと世の中のように熱狂はできなかった。格闘技としての強さを語るなら、やっぱり男子の試合を見ちゃいます」

──今やジェンダーフリーの世の中で、女子MMAという名称すら危うい表現なのですが、そこに確固たる違いは残っています。

「凄いセンシティブな問題で、女子格闘技っていう表記自体、僕は少し気をつかってしまいます」

──ただし、女子選手の試合を楽しむには男子とは競技レベル間に差があり、『女子だから』、『男子とは違う良さがある』という風に見る必要があるということですね。

「そうですね。だから別競技としての楽しみしかないんです」

──それでも随分と女子MMAのレベルが上がりました。

「そうですね、スマックガールとか男子のMMAが今とほぼほぼ同じルールで戦っている時に、パウンド禁止で寝技30秒とかやっていたわけで。パウンドを解禁する・しないで、論議になるような。修斗にもしてもG-SHOOTOが上の方だけパウンド有りで、ほとんどの試合がクラスC+っていう、アマ修斗でヘッドガード無しルールを創って試合をしていたんです」

──確かにG-SHOOTOは青木選手が修斗の世界チャンピオンになった前後でも、パウンド無しのルールを採用していたわけですね。

「ハイ。女子に若林(太郎)さんが力を入れていて、色々と試すなかにプロ興行でもアマ+で試合を組んでいた」

──MMAは色々な評価の仕方があると思います。頑張っていることも評価ですし、ただし頑張っただけを評価の対象にしてはいけない。特にトップの戦いでは結果&内容が問われるものです。

「この試合でいえば、あんな風な内容になるとは思っていなかったです。でもスタイル的、相性としてタフファイトになりがちですね。被弾しても倒されないから、貰って戦うことができるんです。

気が強いから殴り合いになるし。だから、僕としては格闘技の面白みはないんです。ボクシングで八島有美選手が急性硬膜下血腫で倒れたこととか思い出されたりして」

──それをいうと男子でも起こりえることですよね。

「ずっと殴られ続けると、ですよね。殴るじゃなくて、殴られ続けると。女性は男以上にやり合うところがありますし。いずれにせいても究極、黒部✖杉本のタイトル戦で見えてくるものは黒部三奈のストーリーであって、女子MMAの展開というのは見えてこない。女子は難しいです」

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Interview ONE Road to ONE03 ブログ 江藤公洋 青木真也

【Road to ONE03】青木真也と対戦、江藤公洋「不安と恐怖心が一番に来ました。ても……」

【写真】恐怖に打ち克つ。MMAファイターがケージに足を踏み入れることは、既に何かを乗り越えているはずだ (C)MMAPLANET

10日(木)、東京都渋谷区のO-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHT。

8月17日に行われた会見後、青木真也と対戦する江藤公洋が話していたことは。恐怖。不安という感情を隠さない江藤だが、ここで試合をしないという選択はなかった。


──青木選手を横にしての、会見が終わりました。今の気持ちは?

「どっと疲れました(苦笑)」

──この試合のオファーがあった時、素直にどのように思いましたか。

「自分にオファーが来るのかって……思いましたね。実績としてもONEで1勝しか挙げていないですし。青木選手がSNSで『試合が決まりました』と発信していたのを見て、『へぇ、そうなんだ』っていう他人事みたいな立ち位置で見ていました。

それこそ『誰と戦うんだろう』って。だから、こっちに来るんだ?って。そこからは不安と恐怖心が一番に来ました」

──そこがまた江藤選手らしいところです。でも、試合を受けると。

「この状況のなかで『ノー』と言っていたら試合はできないです。それはファイターとしてどうのなのかって。そこは大沢さんとも話をしました。

このタイミングで青木選手が試合をする。自分も試合に向かうことに関して、考えることはありますし……。普段は試合に集中していますが、今回は色々な感情が出てきているので、それを吐き出して当日に向かっていければと良いと思っています」

──この機会、青木選手でない方が……という気持ちもありましたか。

「ONEと契約している選手との試合に限定されると、青木選手だけでなく徳留選手も、一緒に練習させてもらっているので誰と戦っても複雑な心境にはなります。でも、この状況だからこそ受けないという選択はないです。皆がそうだと思います。

色々と考えて複雑な気持ちになったところで、この状況で日本の格闘技を盛り上げる……注目を絶やさないように頑張っている状況ですから、どのような気持ちでいても参加しないといけないと思っていました。自分もそのなかの1人としてオファーがきたのだから、最大限の行動をしないといけないです」

──試合を受ける前と受けた後、どちらが怖いですか。

「正直、両方怖いです(苦笑)。外国人選手で強いと言われているのと、肌を合わせたことがある選手が強いというのはまるで別物で。色々なシチュエーションが、いつも以上に頭のなかを巡っています。常に試合のことを考えているので、そのたびに不安、怖さはあります」

──この試合は、誰がどうみても青木選手有りきのマッチアップです。

「ハイ、前回のアミール・カーン戦もそうでした。だからこそ噛ませ犬どうこうを考えるのではなくて、当日にどれだけやれるのか。気負わず準備していこうと思います」

──青木選手がタナぼただと発言していましたが、だからこそこの機会を生かしてジャンプアップしたいという想いは?

「そこを深く考えてしまうと、硬くなってしまうので自分の持っている技術を全部出して、良い試合をする。そういう風に意識するようにしています」

──アミール・カーン戦に勝利しての試合です。あの試合はどれだけ江藤選手に自信を与えてくれましたか。

「前回は上手く出せました。ただし、今回もそうなるとは限らないです。あの試合で勝ったから、自分の価値が上がったという驕りは持たず、それ以前の自分に戻ってしまうかもしれないという恐怖心と向き合って創り上げたいと思います」

──恐怖が世界を支配している時期でもあります。青木戦の恐怖を乗り越えた時、江藤選手はどのような人間になっているのでしょうか。

「そうですね、こういう状況で皆が色々な不安を抱えています。そこで自分が恐怖を乗り越えることで、人に何かを伝えることができるようになっていたいです。乗り越えた姿を見てもらい、『自分だって変われるんだ』と思ってもらえると嬉しいです」

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Interview J-CAGE ONE Road to ONE03 ブログ 江藤公洋 青木真也

【Road to ONE03】青木真也「基本に改めて立ち返って」✖江藤公洋「伝えられるモノがあれば良い」

【写真】色々な想いが交錯しているであろう両者 (C)MMAPLANET

17日(月)に東京都渋谷区のシャトー。アメーバで行われたROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHT の記者会見。

9月10日(木)に渋谷のO-Eastで開催される同大会で青木真也が11カ月振りのファイトで江藤公洋と戦うことが発表された。ここでは江藤と青木の抱負、司会者からの質問、そして記者との質疑応答という流れで紹介したい(※要約)。


江藤公洋
「青木選手という格上の選手とやらせていただくことになったのですが、これに対して不安や恐怖心があります。これを乗り越えて、当日には全力でぶつかることができればと思っています」

青木真也
「試合をすることも正解でしょうし、試合をしないことも正解だと思います。ここに正解があるからこそ、戦争なんだろうし。今、非常に荒れた状態なんじゃないかと思います。そのなかでこの大会をやってもらえる。ABEMA、北野雄司に感謝したい。そういう気持ちはあります。まぁ、言いたいことはいっぱいあるんだけどね、ヨカタばかりのこの世の中で自分が納得するモノを創りたい、自分が信じたモノを創りたいっていう強い気持ちでやっているから、感情を揺さぶるモノができたらなぁと思います」

この後、司会者から『このチャンス、どう受け止めていますか』と尋ねられた江藤は「こういうコロナ禍という状況だから組まれたカードだと思いますので、そのなかで自分がどれだけできるのか。どれだけ力を出せるのか。しっかりと準備をして戦えたらと思います」と返答。続けて『ビッグネームとの対戦にどのようなプレッシャーを感じていますか』という問いには「一緒に練習させてもらって、その強さも体で感じています。そこは自分がどうやって準備して対抗できるのか。試合までしっかりと準備したいです」と答えた。

一方、青木は『江藤の評価は?』という質問に対して、「なんで俺がプロモーションしてやらないといけないの? なんで俺がソレを喋らないといけないの?」と一刀両断。詫びを入れた司会から、『ABEMAあるいはONEにプッシュしてきたということですか』と話を振られると、「まぁ試合が組まれない状況ですから、試合のない状態で10カ月、11カ月と何とかしてくれないか──みたいな話をしていて。4月のROAD TO ONEで組み技をやらせてもらって。ラッキーですよね、この形で国内で試合をさせてもらって。そこは有難いなと単純に思っています」と答え、記者との質疑応答に移った。

──青木選手に質問です。試合に出ることを決め、対戦相手が決まっていない状況では『誰が来ようが役不足』、『タナぼたで試合すんじゃねぇよ』と言われていましたが、対戦する江藤選手を横にしてどのような気持ちですか。

青木 その気持ちは強いです。僕自身が今一番盛り上がる、一番欲している場所というのは……どこで試合をすれば一番良いのかは僕自身が一番見えていますから。それが状況的にできないなかで今あるベストではあると思いますけど。もうちょっと話題になった時とか、日本の格闘技界みたいな話になった時に、話題になる場所というのは他にもあったことだと思います。

──皆が奇をてらうなかで、奇策ではなくで自分が続けてきたことを見せたいとも言っていました。

青木 結局、皆元気がなくなった時は奇策というか奇をてらったことをやりますが、2人で試合をして良いモノを創って、良い表現をして、人を集めて、銭を貰うっていう一番基本的なコトですから。その基本に改めて立ち返って、やることが大切なんじゃないかと僕は思っています。

──今の青木選手の言葉を受けて、どのような心境ですか。

江藤 僕自身、全然知名度だったり足らなくて、普通ならありえないカードだと思います。でも今回の試合に向けて色々な人に、何か感じるモノ、伝えられるモノがあれば良いなと自分も想っています」

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J-CAGE ONE Road to ONE03 ブログ 内藤のび太 江藤公洋 猿田洋祐 青木真也

【Road to ONE03】9月10日、TOKYO FIGHT NIGHT──青木✖江藤、猿田✖のび太、全世界同時中継

【写真】覚悟は決まっているのか?!(C)MMAPLANET

17日(月)に東京都渋谷区のシャトー。アメーバで9月10日(木)に渋谷のO-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTの開催と2試合の発表会見が行われた。

SNSで青木真也が発言していた試合は、9月10日のRoad to ONE 03「Tokyo Fight Night」だった。会見の冒頭で秦英之ONE JAPAN社長は「大きな会場でも多くのお客さんに来ていただけない現状を鑑みて、逆にタイトな会場で最新の演出でお送りするテレビマッチをONEを盛り上げてくれるABEMAのおひざ元・渋谷からお送りすることにしました」と挨拶した。


大会キャッチフレーズは「覚悟を決めろよ」

上記の発言から思い浮かぶのは、7月12日に那須川天心がメインを務めたRISE on ABEMAだ。巨大スクリーンでファンと現場を繋ぎ、凝った舞台演出も見られた。今回のRoad to ONEは──その天心大会のテイストと、ONE本体の特色であるLED舞台照明の合体した視聴者が楽しめる舞台になることが予想される。

気になる青木の相手は江藤公洋、今回発表ももう1試合はストロー級の猿田洋祐✖内藤のび太の一戦だ。これはもうONE本戦のメインカードといえるマッチアップ、猿田にとっては4年前の修斗で活動していた時期から熱望していた試合が現実となる。

これまで開催されてきたRoad to ONEでは立ち技の試合やグラップリングマッチも組まれてきたが、TOKYO FIGHT NIGHTでもグラップリングはともかくSuper Series出場を目指す日本人キックボクサーや和製ナックモエの登場も十分に考えられる。

また秦社長の口から「数百人規模でお客さんにお越しいただくことになると思います」という話があったように、今回はライブ観戦可能な有観客大会だ。200人から300人の集客を行うという話もあるが、この辺りは他のカードとともに正式発表を待ちたい。

なお「覚悟を決めろよ」というキャッチフレーズの今大会は、世界同時中継が行われるということも会見で明らかとなっている。

※出場選手の質疑応答等での発言等は後程、掲載します。

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Interview ONE ブログ 青木真也

【ONE】そろそろ正式発表? 共同会見前の青木真也の言葉「テイクするだけで、ギブがない」

【写真】つまりは人生を自分の手で切り開くという範疇が、青木は広い (C) MMAPLANET

1日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたShooto2020#05の開場前に、青木真也が次戦について共同取材を受けた。

その直前にMMAPLANETでは、月間、青木のこの一番の取材の流れで次戦について話を聞いていた。今だからこそ──という考えは誰にもあるが、だから頑張らないといけないという思想でなく、当たり前のことをするという青木の真意とは。

そろそろ、正式発表があるのではないかと思われる──青木真也の次の試合──その発表前にぜひとも目を通してほしい彼の言葉だ。


この仕事はケージの中に入って試合をすることなんです

──青木選手、試合が決まったとツイートしました。これから、その試合に向けてこれから共同取材があります。

「具体的なことの発表とかではなく、この時期に試合をすること、そこについて話すことになると思います。そうですね、試合をやりたいと……色々と想うところはあります」

──もうそろそろMMAが戦いたいということでしょうか。

「これ、もう言ってしまうと……アレですけど、すっごい雑な極論でいえばやらなくても良いんです」

──えぇ!! どういうことですか、それは?!

「いや、だって秋山選手とかやらないじゃないですか。試合をやらなくても、僕も細々とご飯を食べることはできる。ただ、好きだから。これが好きだから。これで、もうちょっとやりたいこともあるし、このなかでモノゴトを創りたいって考えると戦いたい。

そこだけなんです。やらなきゃいけないとかっていう気持ちじゃないです」

──やりたい気持ちであって、やらなければいけないということではない……と。

「はい、そういう気持ちです」

──共同取材も具体的な話ではないということですが、現実的には4月に出場したRoad to ONEが開かれ、そこに出場するというのが現状で一番しっくりくるかと思われますが……。

「あのう……僕のなかでの認識では、Road to ONEはONEの大会という認識はあまりないです。ONEの大会ではなく、ABEMAの大会です。そういう認識でいます。そこに関しても今、皆が奇策を練っている。北岡さんのクラウド・ファンディングもうだし、RIZINもそう。奇策……というか、飛び道具というか。

奇をてらっていて、そこでいえば朝倉未来も奇策なんです。誰もがYouTubeをやって……メディアですら、そこにある誰かの水着写真を載っけて。本来、僕は奇をてらう人間だったけど、今それをやると奇策にならない。皆、同じだから。

だから凄くシンプルに当たり前の大会があって、そこで戦いたいということです」

──国内でMMAの試合を戦っても、ファイトマネーはONEで戦う時は違ってくるかと思いますが、その辺りはプロとして戦っていてどのように捉えていますか。

「もう、それは……いただけるなら、いただくし。そうでなければ、それで。逆の言い方かもしれないですけど、あれば使うし、無けりゃ使わない。でもね、メッシが減俸される世の中ですから。

う~ん、なんか業界時代が物乞いが過ぎると思うんです」

──物乞い?

「そんなこと言うと怒られるかもしれないけど、美しくないですよ。本来ある芸事の姿を取り戻さないと。恵んでくださいでなく、くれってことですよ。僕は川端康成スタイルって呼んでいて、今東光とやっていたことってそうだと思っているので。そういう……芸事の基本に戻るっていうことがありますよね(笑)」

──う~ん、その辺りは私は知識がないので、またどういうことか教えてください。ところでONE本体も10月にシンガポールで大会を開き、そこでは特例措置であるグリーンレーン・ビザと呼ばれる2週間の隔離無しで入国できる査証を選手が取得でき、国際戦が組まれるという話もあります。

「う~ん、そこはまだ可能性の話で、正式決定してからですね──考えるのは。そういう意味ではアブダビで国際戦をやってしまうUFCは断トツだし、その部分に関しては僕はもう達観していて……。それに2週間の隔離があっても、オファーがくればやるし。基本、オファーがあれば戦う姿勢でいますから。

2週間の隔離があると調整が十分かといえば、それは分からないです。でも、この仕事はケージの中に入って試合をすることなんです。コンディションが……というのは、僕はやれと言われればやる」

──その辺りは唯一無二の感じになってきていますね。

「とにかく、4月以降に他の選手とか見ていてちょっと嫌なことが多くて。結局、当たり前のことを当たり前にやる。そういうことだと思います。この間、下さいって手を伸ばしているだけで、誰も動かなかった。でも、僕はそうではなかったと思っています。

何かしら、とにかく動いてきた。その辺とは違う。若松佑弥がって言ったら、アイツだけになってしまうけど『試合、どうなるんですかね?』って僕に言ってきて……。これは若松佑弥だけでなく、今、皆がそうなんです。試合がどうなるのか、大会がどうなるのか──と気にして、練習に懸命になっている。

でも、それは自分でどうにかしていくものだから。ファイターだから練習して、試合してナンボという世界観は分かります。でも、今はそれだけやっていれば良い時期じゃない。それでは自分がテイクするだけで、ギブがない。そこに違和感を持ち続けてきたので、僕自身はそうでない……次の試合も港とは違う形でやっていきたいと思います」

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【Special】月刊、青木真也のこの一番:7月─その参─ガムロ×パーク「あれは死者に鞭を打っている」

【写真】勝ったガムロが、負けたパークにマイクで謝らせる。そしてガムロ陣営が拍手し、パークのセコンドは何とも言えぬ表情を浮かべる。世界観が違う……(C)KSW


過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ7 月の一番、第3弾は11日に開催されたKSW53からマテウス・ガムロ✖ノーマン・パークの一戦を語らおう。


普通にやっても強い

──7月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目は?

「マテウス・ガムロ✖ノーマン・パーク戦です。ただし、パークは体重オーバーでミソをつけちゃいましたね」

──因縁の3連戦ながら2度目の体重オーバーです。

「イっていますよ。そう思いました。計量を何度もミスするって、何かが壊れているってことじゃないかと」

──その分、コンディションも良くなかったです。

「ガムロは1日50分サンドバックを叩いているとか、嘘くさいですよね。でもポーランドはショッピングモールで計量して、人が見に来るくらいだから練習していただろうし」

──英国のパークはそうでなかった可能性は高いです。

「いずれにしても、連敗ですし。ガムロのパンチが普通に強いってことですね」

──と同時にKSWで行われている試合としては、ガムロは以前の方が面白かった。

「ですよね。ATTに行ってから面白くなくなった。アウトに徹して……まぁ、良くあるパターンですよね。打撃もガンガン行って、寝技でクロスヒールを仕掛けていたのが、ATTにいって打撃が強くなり、テイクダウンを切ることができるようになった。そして、普通にやっても強いと。

ノーマン・パークはUFCで中堅の上ぐらい、そこにあの試合ができる。それは強いですよ」

──ノーマン・パークって、個人的にはジョニー・ケースに被ります。

「分かります。そこですよね、UFCでのポジションでは。にししても──ですよ、試合後に『家族に謝れ!』ってヤツ(笑)。面白いですよね」

──性格悪って(笑)。

「本気で嫌いなんでしょうね。アレは文化の違いですかね。家族を侮辱するって、トラッシュトークでも一線を越えるという部分が、国によって違うというか」

──戦い終わってノーサイド……にもならないと。

「いやぁ、でも謝らせる必要は全くないと思いますよ。あれは死者に鞭を打っている。美徳がない。斬ったまでは良いけど、塩を塗っちゃダメでしょって。アレは文化ですね、そうできるというは」

──私がパークのセコンドなら、あそこでまた殴りにいってしまいますね。傷口に塩を塗るような真似をしてきたら。

「勝ったんだから、良いじゃねぇかって。もうそれで良いだろうってことですからね」

──そうなると『青木、あの中指は?』と指摘されそうですが。

「僕はあの時、一切コメントしてないですから。負けた後にトラッシュトークを続けるようなことはしない。だって、試合が終わっているのにトラッシュトークしても仕事にならねぇよって(笑)。そこは、もう執念でやっている北岡さんっぽいなって思いました」

──そのガムロから、青木選手に対戦要求があったみたいですね。

「ハイ、試合後にKSWではあと1試合契約が残っているから、僕と戦いって言ったみたいです」

──凄い展開です。

「ポーランドのメディアから『どう思う?』って意見を求められたので、『ありがとうございます』って答えておきました」

──ONEと契約すればありえますよね。

「でも1試合契約が残っているからってことなので。もう、その先は決めているんでしょうね。だからこそ僕と戦っておきたいという発言でしょうし」

──あぁ、そういうMMA観も持っているのですね、ガムロは。面白です。

「でもガムロ云々ではなくて、1度ポーランドは行っておきたいですね。ロシアとポーランドは。高島さんは今、Brave CFとかUAEウォリアーズとか中東も来ているようだけど、彼らってUFCに行ってしまうじゃないですか。UFCのフィーダーショー的だから、あんまり面白みがなくて。僕は独自な世界……ACAも選手はUFCに行っているけど、KSWと合わせてその世界観に触れてみたいですね。KSWなんて完全に閉ざされた世界だし、ACAも絶対に理解不能なことやっていそうで」

──それは絶対ですよね(笑)。と同時に中東の王族大会って、世が世だけに上を目指す選手が集まってくる可能性があると思うんです。

「あぁロシア系もそうだし、アフリカもいますよね。アラブからどんどん発掘が進むかもしれないですね。対してKSWはLFAとかTitan FCと違って──選手がUFCに行かないから、実力が測れない。その楽しさがあります。ユーロ圏ではない、外籠りの聖地も周囲にある。マーチン・ヘルドを生んだ国ですからね。整備されたリトアニアみたいで、ある意味……KSWは昔の日本のような自分たちの国で自己完結できる世界観があるというのは興味深いです」