【写真】タイ在住、タイガームエタイ所属は変わらず。しかし主戦場は国内となるか(C)SHOJIRO KAMEIKE
8日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP123で、本田良介が関原翔と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
本田にとって昨年5月の福田龍彌戦以来、1年7カ月振りの日本での試合となる。福田戦のあとタイに渡ってから1年――ONE Friday Fightでの2勝2敗を経て、本田が得たものとは。試合のために帰国し、福岡で調整する本田がこの1年間と国内復帰について語る。
――12月8日に試合を控えるなか、いつごろ日本入りしたのでしょうか。
「2週間前ぐらい――11月16日ですね。タイと比べて日本は寒い時期なので、環境に体を慣らせておこうと思いました。それぐらいの期間、日本でスパーリングもしたくて」
――この時期でも、やはりタイは暑いのですか。
「そうなんですよ(笑)。トレーナーとかも着ないぐらい暖かいです。帰国して『やっぱり早く帰ってきておいて良かったなぁ』と思っています。試合直前に帰国して、いきなりこの環境だったら、風邪を引いたりしてコンディションを崩すかもしれないですし。どうせ風邪をひくなら、練習のピーク前に引いておきたかったので。あと寒いと走る時にも影響しますしね」
――11月16日といえば、ちょうど日本も寒くなり始めるかどうかの時期で。帰国後、最初の練習では動きに影響はありましたか。
「気候については予想していたのと、まだ帰ってきた時は福岡も暖かかったんですよ。そこから2、3日でグッと寒くなって――この2、3日間があって良かったと思います」
――なるほど。日本での試合は昨年5月の福田龍彌戦以来となります。以降はONE FFで4試合を戦いました。現在、ONEとの契約はどのような状況なのでしょうか。
「ONE FFでは1試合ごとの契約で、あとはいわゆるマッチング期間というものがありました。そこから12月にDEEPで試合をするお話を頂き、ONEとも相談してOKが出たという形ですね。今はフリーランスの状態です」
――このタイミングでONEではなくDEEPで戦う。本田選手の中に、日本で試合をしたいという気持ちがあったのですね。
「はい。前回の試合(トレプチ・ドガクに判定負け)が今年の8月で、その後に佐伯(繁DEEP代表)さんから『久しぶりに日本で試合をしないか』というお話を頂きました。僕も日本で試合をしたいと思っていましたし、特に今はDEEPのカードが毎回凄いじゃないですか。なので、すぐ話を進めてもらいました」
――DEEPひいては日本のプロモーションで試合をするためにタイを離れる、という選択肢はなかったのですか。
「それは無いですね。やっぱり今の練習環境が良いので。今回のように試合前、体を環境に慣らすために帰ってくることはありますけど」
――本田選手のSNSを視ているだけで、様々なファイターがタイガームエタイで練習していることは分かります。
「今一番勢いのある中央アジアのファイターも、たくさん来ていますよ」
――それは貴重な練習環境です。一方で、久々の日本での練習はいかがですか。
「ビザのこととかで、ちょくちょく帰国して練習もしていたので……。あ、でも福岡も選手が増えてきて、盛り上がってきていますよね。レベルが底上げされて、みんな強くなってきているなって感じます。今は福岡でもMMAの大会が増えていますし」
――もう一つ、今はご実家にいるのですよね。ご家族も暖かく迎えてくれて……。
「改めて家族には感謝しています。今、減量がうまく進んでいるのも母に料理をつくってもらっているおかげですね。『こういうのが欲しいな』と言ったら、つくってくれて(笑)」
――アハハハ。普段タイにいる時は、食事の面で不便はないですか。
「タイガームエタイのグリルや、ジムの近くにあるレストランや屋台で食べています。日本食のレストランも、たくさんありますしね。お寿司の食べ放題もありますよ」
――一方、東京で試合をするので、東京で調整するという考えはなかったのですか。
「今回はないですけど、今後はそういう機会も増えると思います。タイガームエタイにいるおかげで、日本から来る人たちと繋がりができました。MMAだけでなくキックボクシングの選手も、たくさん来ていますからね。日本のトップ選手とタイで触れ合うことができるのは凄く新鮮ですし、これを生かして僕も日本全国で練習してみたいです」
――タイガームエタイ所属になって1年強、ご自身の中では何が一番変わりましたか。
「環境が変わったことで選手としてもう一度、格闘技について考えることができました。自分がガラリと変わったかどうかは難しいですけど、結構変わってきているとは思います。
練習環境だけじゃなく、タイに行って1年で4試合できたというのが、一番大きいかもしれないですね。2017年にプロデビューして、とにかく試合がしたかった。でもコロナ禍もあって試合の機会が減り……」
――これまで年2試合ほどのペースで、多くても3試合。それが次の関原戦は、2024年の4試合目です。
「それが一番望んでいたことでもあるので、嬉しいです」
――ではONEで戦った4試合については、どのような感想を持っていますか。
「2勝2敗、それは決して良い結果とは言えないです。ただ良くも悪くも、どんどん試合をさせてもらって――その経験を踏まえて、また日本でしっかり戦いたいです。今回もそのために仕上げてきました」
――正直なところ、前回のドガク戦については意外でした。本田選手がここで敗れるとは……。判定が下った瞬間、本田選手は「えっ!?」という表情でしたが、自分の中では勝っているだろうと感じていたのですか。
「ダメージという面では、相手も出血していましたし――ただ、自分の中でも『本当にダメだな』って思いました。あまりネガティブなことは考えたくはないけど、『ここで負けてしまうのか』という気持ちはありましたね。でも、良い気づきになったという面もあります」
――そこでポジティブに考えることができて良かったと思います。本田選手が今後どうするのだろうか、と気になる部分ではありました。
「ONEで戦ってきた期間の中で、本当に自分の中で切り替えないといけないと考えました。まだタイに来て1年で、今ようやくジムの人たちともコミュニケーションを取れるようになってきて……」
――確かに1年ではジムのスタッフもまだ本田選手のことを完全に理解することは難しいかもしれないし、本田選手にとっても同じことが言えるでしょう。
「トレーニングのルーティンとか、ジムのシステムに対しても慌てて追いつこうとしていましたね。前回の試合で負けて、もう一度そういう面を見直してきました。自分にとってはタイに来て1年、これからが本当のスタートだと思っています。慌ててやってはきましたけど、タイにいることで得られる経験を一つひとつ、確実に身につけていきたいですね」
――「慌てて……」という言葉が、最も腑に落ちました。
「そうですか(苦笑)。試合についても『タイに来たからには、とにかく試合に出よう』と慌てていましたね。練習は確実に良い強度でやることができているんです。だから改めて、試合への取り組み方を見直していきたいと思いました。
今回の試合に向けて、もう一度自分がやるべきことを明確にする。コーチやセコンドとも話をして、練習内容と試合プランがうまく繋がるように意識を変えることができています」
――タイで対戦相手の映像を視ることはできるのですか。
「そこはDEEPのYouTubeチャンネルです。YouTubeは世界どこでも視ることができますし、メンバーシップにも入っていますから。タイでもライブ中継を視聴していますよ」
――おぉっ! 便利な世の中になりましたね。
「特に自分の団体ですからね」
――自分の団体、ですか。
「あっ、僕の団体ではないですね。こういうことを言っちゃいけないか(苦笑)」
――もちろん本田選手がDEEPを運営していないことは分かっています(笑)。本田選手にとっては、DEEPが日本におけるホームなのですね。
「今回の試合が決まってから、DEEPで試合をしている選手から『頑張ってください』という連絡をもらったりして、嬉しいです」
――話を戻すと、2024年に入って関原選手の試合もリアルタイムで視ていたのですか。
「はい。アグレッシブなファイターですよね。特に怪我で試合から離れたあと、何かパッと掴んで変わってきたのかなって思います。今のDEEPフライ級で一番勢いのある選手だと思いますし、僕もそういう勢いを止めるぐらいの勢いで試合に臨みたいです。それは今回だけじゃなく、今後もずっと――だから勢いのある選手との対戦は嬉しいですね。DEEPに連続参戦できるのであれば、しっかりとDEEPのベルトを目指していきます」
■DEEP123 視聴方法(予定)
12月8日(日)
午後5時05分~ YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV
■DEEP123 対戦カード
<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
芦田崇宏(日本)
<バンタム級/5分3R>
ソン・ジンス(韓国)
CORO(日本)
<ライト級/5分3R>
西川大和(日本)
宇佐美正パトリック(日本)
<フライ級/5分3R>
本田良介(日本)
関原翔(日本)
<ストロー級/5分3R>
越智晴雄(日本)
多湖力翔(日本)
<ライト級/5分3R>
神田コウヤ(日本)
山田聖真(日本)
<フェザー級/5分3R>
高橋遼伍(日本)
GINJI(日本)
<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
小崎連(日本)
<フェザー級/5分2R>
安井飛馬(日本)
牧野滉風(日本)
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