【写真】現在23歳、9カ月ぶりの試合でユナニマス判定勝ち(C)MMAPLANET
<フェザー級/5分3R>
栁川唯人(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
糸川義人(日本)
※詳細は後ほどアップします
【写真】現在23歳、9カ月ぶりの試合でユナニマス判定勝ち(C)MMAPLANET
<フェザー級/5分3R>
栁川唯人(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
糸川義人(日本)
※詳細は後ほどアップします
【写真】有終の美ではないかもしれないが、終わりを見て現役生活を全うしている (C)MMAPLANET
本日29日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347で、アトム級QOPのSARAMIがホン・イェリンとノンタイトル戦で戦う。
Text by Shojiro Kameike
3月に同王座決定トーナメント決勝で沙弥子を48秒で下したSARAMIにとって、あの右ストレートで一発の勝利は何を意味したのか。その後、パンクラスイズム横浜を離れ、毎日のように違う場所でトレーニングの日々を送る。
「この生活も長くは続けられない」というSARAMIに3月のKO劇と今、そして──これからについて尋ねた。
――もう次の日曜日にホン・イェリン戦を控えているSARAMI選手ですが、今一度3月のアトム級王座奪取について話をきかせてください。見事過ぎる右ストレート一発のKO劇。格闘技生活で、一番の喜びようだったのではないかと。
「あの瞬間は『嘘でしょ!!』っていう感じでした」──そこから笑顔の時間が、凄く長かったです。
「アハハハハハハ。北岡(悟)さんや、矢澤(諒)君は『パンチで倒す』と思っていたらしいです。いつか、パンチで倒すと。北岡さんにはずっと前から言われていました。でも、私はできないだろうって思っていたんです。女子で一発KOなんて、ないじゃないですか。まさか自分がするなんて思っていなくて(笑)。打撃に自信があるわけじゃないので」
──ただ、あのパンチです。練習をしてきて、成長しているという風に自分で感じることはなかったですか。
「自分の右のパンチが凄く強いという実感はありました。打ち方とかも、凄く考えてきたので。それは分かっていたけど、試合でソレを出せるとは思っていなかったです」
──あの勝ち方をこれからも続けたいという想いは?
「ないです」
──本当ですか。それを想って戦えないかもしれないですが、どこか少しでも残っていないですか。
「えぇぇ……。また、したい気持ちはありますけど。アレを狙うと、絶対にできないです。自分の攻めをしているなかで、ああいう偶然が起これば良いかなって。あのパンチを狙うと、自分のスタイルが崩れてしまいます。私の試合はドロドロで、勝つ時も負ける時も。殴り合いって誰でもできるので、それは余り格好良いとは思えないんです」
──練習仲間、女子選手たちの反応はどうでしたか。
「びっくりしていました。練習では私は打撃が上手くはないので。男子も女子も当てっこゲームが上手な人が、練習では打撃は上手です。思い切り打てないから、試合とは違うと思っています」
──ぶっちゃけてKO勝ちとタイトル奪取、どちらの方が嬉しかったですか。
「一発KOです」
──ずっと練習を続けてきて、あのKO劇があって良かったと本当に思います。
「私の人生にこんなことがあるんだって。本当に。私、格闘技の試合で勝って、お客さんが盛り上がる瞬間──あの気持ち良さって多分、結婚式をする時の気持ち良さよりも上だと思うんです。なのに、あんなKO勝ちしちゃうと、もう最高ですよ」
──そんなタイトル奪取後、所属先が整体北西に変わりました。
「もともとトーナメント中もパンクラスイズムで練習するのは1度か2度で。ジムの面子も変わっていく中で、私が格闘技をやる場所はイズムではなくなってきたように思えたんです」
──練習場所が所属名になったわけではないですよね。
「ハイ。私がずっと体を見てもらってきた整体です。北西(英司)さんはパンクラスができた頃から、選手の体を診ていて、格闘技の試合も物凄く見ている人で。フォースタンス理論に出会えたから、こっちに出てきて少し結果を残せたと思っています」
──イズムを離れる時、どこかジムの所属になろうと考えることはなかったですか。
「それは今も迷っています。決まった練習場所があることは大切だと思うので。ただ試合がもう決まっていたから、そこままという感じできました」
──今、練習場所はどういう風になっているのでしょうか。
「なかなか、色々なところに行っています。行動範囲は相当に広いですよ(笑)。女子選手がいるところに、練習に行かせてもらっていて」
──では万智選手ばりに1週間のルーティンをお願いします。
「月曜日は朝から仕事をして、夜は坂口道場に行きます。火曜日は昼ぐらいにKRAZY BEEに行き、夕方は元町にあるクロスフィットでパーソナルトレーニング。夜はカルペディウム三田のレスリングクラスに参加したり、しなかったり。水曜日は1日仕事をして、行けたらファイトベースに。木曜日も1日仕事して夜に東中野のトイカツ道場。金曜日は昼にマスタージャパンでグラップリング、夕方は国立に体の使い方のコンディショニング・トレーニングに行って、夜に整体をして帰って来ます。
土曜日は朝から仕事をして、夕方に千葉の市川市にあるトランセンド・ジムでロッキー川村さんにミットを持ってもらっています。で日曜日の朝にJTTに女子練習ですね(笑)」
──仕事をしながら……ですよね。1週間で7位置の練習を。
「やばいですよね(笑)」
──その原動力は何なのでしょうか。
「不安だから。やらないと不安なんです。もちろん毎週 、完璧にやっているわけじゃないですけど、この生活と練習を維持するには心もお金も、体力も大変です」
──そうですよね。
「だから、これをずっとやっていられないなって。引退も近いのかなって思っています」
──それでも結婚式よりも嬉しいモノがMMAでの勝利なわけですよね。
「結婚式をしたことないんですけどね(笑)。私は結婚して子供も欲しい。だからずっとできない」
──そうなると限られた試合のなかで、今回はタイトルマッチでないですが、その辺りはどのように思っているのですか。
「ホン・イェリン戦が用意されたことに、全く不満はないです。ちゃんと強い相手ですし、国際戦が戦いたかったので。用意してもらった相手に、今の全てをぶつけます。対戦相手の格とか関係なく、準備したことを全て出します」
──それは右ストレートですね(笑)。
「違います(笑)。塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はないし、一度したから思い切り漬けにいけます(笑)」
──女子は比較的行き来ができていますが、これからのキャリアをどのように考えていますか。
「目標がなんなのかよくわからない状況ではあるんですけど、海外でやりたいです。もう日本人は皆やったし、今さら新しい子とやる必要はないかなって。めちゃくちゃ強い外国人にメチャクチャにやられたら、辞めることができるかなって」
──刹那的ですね。
「もう私、敵わないんだっていう経験をしたら辞められるかなって」
──その将来を望むとしても、メチャクチャ強い外国人を戦うためには次の試合でしっかりと勝つ必要があるかと思います。どのような試合にしたいですか。
「…………(じっくりと考えて)、攻め続ける。とにかく攻め続けます」
■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT
■Pancrase347 計量結果
<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
[挑戦者] 久米鷹介:70.3キロ
<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト:51.95キロ
[挑戦者] 藤野恵実:52.1キロ
<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太:76.95キロ
[挑戦者] 佐藤生虎:77.1キロ
<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希:70.55キロ
天弥:70.65キロ
<女子アトム級/5分3R>
SARAMI:48.05キロ
ホン・イェリン:47.75キロ
<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
カリベク・アルジクル・ウルル:61.65キロ
<ライト級/5分3R>
粕谷優介:70.7キロ
ホン・ソンチャン:70.5キロ
<女子フライ級/5分3R>
端貴代:56.65キロ
渡邉史佳:56.8キロ
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:52.1キロ
エジナ・トラキナス:51.9キロ
<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.9キロ
栁川唯人:65.95キロ
<ストロー級/5分3R>
野田遼介:52.5キロ
船田侃志:52.55キロ
<バンタム級/5分3R>
安藤武尊:61.45キロ
ギレルメ・ナカガワ:61.55キロ
<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大:56.7キロ
山﨑蒼空:57.1キロ
<フライ級/5分3R>
時田隆成:56.95キロ
齋藤楼貴:56.95キロ
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太:61.1キロ
渡邉泰斗:61.5キロ
<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
Def.2-1:29-28.28-28.29-28.
小森真誉(日本)
小森が左ミドルとインロー、ダブルレッグでテイクダウンを奪う。小森の右足を自分の足でフックし、背中越しに小森の左手を取って寝かせる。糸川がケージに背中を預けようとすると、マットに背中をつけさせてトップキープを続ける。糸川は小森の身体を蹴って離れようとするが、小森はしっかり糸川を寝かせる。
残り2分を切ったタイミングで糸川が小森を蹴り離して立ち上がる。小森がケージに糸川を押し込むと、糸川がヒザを蹴って離れる。試合がスタンドになると小森が左ミドル、糸川が右ストレートを当てる。小森がジャブから組みついてケージに押し込む。離れた糸川がスピニングバックフィストと飛びヒザ蹴りを放つ。1Rはジャッジ3名とも10-9で小森を支持した。
2R、小森が左ミドルと右ストレート、糸川はジャブを突いて左ハイキック。これで小森の動きが止まる。糸川は右ストレートを当て、右フックを強振する。立て直した小森は左ミドルを蹴って、ダブルレッグから小森をケージに押し込む。
左腕を差した小森は細かくパンチとヒザ蹴り。四つの攻防になると、糸川はボディにヒザを突き刺す。糸川は小森の太ももにヒジを落とし、小森は糸川の足にカカト落としを入れる。両者が離れて試合がスタンドに戻ると小森がジャブを突く。糸川は左ハイを蹴って、パンチで前に出ていく。2Rはジャッジ3名とも10-9で糸川にポイントをつける。
3R、小森がジャブを見せつつテイクダウンを狙う。糸川はそれを切ってパンチを入れるが、小森が組みついてケージまで押し込む。糸川はテイクダウンを許さずに距離を取る。小森はジャブからダブルレッグへ。一度は切られた小森だが、再びダブルレッグに入ってケージまで押し込む。糸川は膝立ちになってテイクダウンをディフェンスし、立ち上がると四つの攻防になる。
糸川が先に足をかけてテイクダウンを仕掛けるが、耐えた小森が糸川をケージに押し込む。糸川は態勢を入れ替えると左腕を差して、右手で小森の左足をとってテイクダウンを仕掛けてパンチを入れる。さらに糸川は離れ際に右ストレート、スピニングバックフィスト、左ミドル。小森が組みついてテイクダウンを狙うが、逆に糸川が小森をケージに押し込んでテイクダウンへ。小森がスイッチでポジションを返そうとしたところで試合終了となった。判定は2-1と割れて、糸川が勝利を収めた。
The post 【Pancrase345】1R=小森、2R=糸川、勝負の3RにTDも仕掛けた糸川がスプリット判定で勝利 first appeared on MMAPLANET.【写真】スーツを脱げばカルバンクラインのカラダギィに対し、内藤はまさかのミーアキャット。実家でミーアキャットを飼っているそうだ (C)MMAPLANET
本日30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるダルヘッダー夜の部= Pancrase345のメインで、内藤由良がアリ・カラダギィと対戦する。
Text by Manabu Takashima
2年3カ月振りの実戦となる内藤は、キルクリフFC所属のディラン・オサリバンと対戦予定だったが、水曜日の夜にオサリバンが入国できなかったことが発覚──急遽、カラダギィと戦うことが決まった。
J-MMA重量級期待の新鋭はUFCを目指し、海外でのステップアップを図るも決まりかけた試合がことごとく流れた。この間も練習仲間の間で語られる内藤の強さは伝わってきたが、やはりファイターは公衆の面前で強さを見せつける必要がある。紆余曲折がありながらも、その場に戻って来る内藤の話を計量直後に訊いた。
――オサリバン戦が無くなったと聞いたのは、いつ頃だったのでしょうか。
「水曜日の夜でした(苦笑)。ちょうど、パンクラスのオフィスに用事があって。『ロッキーが迎えに行っているから』という話も聞いていたんです。で、チケットを配って家でゴロゴロとしていたら、彼が入国できなかったという連絡がありました。
最悪、体重オーバーはあり得るとは思っていました。でも、ここまできて試合がなくなるとは……。もう99.99パーセント、試合はないと思っていました。国内で階級下の選手がやってくれるわけがないし。外国人が3日で来れるものでもない。もう水曜日の夜から木曜日の夜まで、死んでいました(苦笑)。何もやる気がおきなくて……計量の前日なら、心が折れて食べていたかもしれないですね(笑)。
だから、良く対戦相手を見つけてもらえて……凄く人に恵まれ、パンクラスに愛されていると思います。木曜日の夜に『見つかるかもしれない』、『やってくれると言っている選手がいる』という話があって、そこで気持ちを戻しました。
これから海外で戦っていくと、対戦相手が直前で代わるなんて普通にあると思うんです。そういう場合も気持ちを切らさない必要がある。その予行演習になるんだと言い聞かせていました。で、正式に金曜日の朝にアリ選手が試合に応じたという連絡がありました」
──2年3カ月振りの試合、チャンピオンといえどもキャリアは5試合。オサリバンは北米MMA育ちで、そのポテンシャルを見せつける試合になるという期待がありました。
「ハイ、絶対に噛ませ犬じゃないし。5勝1敗で全て1Rフィニッシュ、UFCを目指している30歳。年齢も近かったですし、自分も目指す道があるので必ず倒さないといけない。そういう相手だったので、めちゃくちゃやりたかったです」
──試合が決まってからの日々は、試合が確定しない時期と比べるといかがでしたか。
「やっぱり気持ちの入り方が違いました。相手が決まってから、あっと言う間にファイトウィークになるぐらい充実していましたね。生きているというか、『これだよ、これ』みたいな。何か、体の中から出てくるモノがありました」
──その成果をアリ・カラダギィ選手にぶつけるのみ……なのですが、キックやラウェイを戦っているUAEがベースのファイターだと聞きました。
「ハイ。中井(裕樹)先生と親交が深くて、柔術をやっていると。あとは合気道とか日本の武術にも傾倒していると聞いています。MMAはやったことがないみたいですけど」
──MMAファイターとしては全く分からないです。ただ、この期間で内藤選手との試合を受けて、計量にあの表情と装いで現れる。人として、相当な強さではないかと。
「確かにそうですね(笑)。ドバイに住んでいるって、バシッとしたスーツ姿でやってきて。格闘技をやる必要なんてない人なんじゃないですか。アハハハハ。これで俺に勝てば、パンクラスのチャンピオンに勝ったという泊がつきますし、腕試しをやってやろうという気持ちなのかもしれないです」
──対して、内藤選手は……。
「もうリスクしかないですよね(苦笑)。負けるわけにいかないです。気を抜かないように、自分の得意なところで仕留めに行きます」
──そこですね。オサリバンが相手だとMMAファイターとしての成長や可能性を見せる試合になるはずでした。ただし、相手が代わってキックボクサーなら、もうベースとなる強い部分で勝つのみという試合が必要です。
「そうッスよね。いくら仲間内で評価されても、それが試合で発揮されるのか。本当に言われているような強さがあるのかっていう見方をされていると思います。そこを見せる試合が、ディラン選手とできると期待していました」
──この間、上を目指してなかなか上手くことは運ばなかったです。この試合後、その状況が劇的に変わることはないはず。そのなかで、今後のキャリアアップをどのように考えていますか。
「UFCを目指す中でUAEWなのか、LFAなのか。海外の目根―ジメントと契約していて、ここで勝てば6勝無敗になるのでゴリゴリに押してもらうしかないです。当然、コンテンダーシリーズに出るつもりでいます。その気は満々です。ミドル級だとRoad to UFCもないし、そこで引っ掛かるしかないと思っています。正規ルートなんてないし、何が正解とかもない。僕の階級だと、この島国からUFCに行くというのはそういうことで。日々、模索し続けないといけない。
とにかく明日の試合で勝つ。フィニッシュして勝つ。2年も試合をしていないので、勝たないと何も始まらない。ここで試合をするというのは、そういうことですし。これからのことは、また周囲と協力しあって……今年こそ、UFCに行かないといけないので──明日はしっかり勝ちますっ!!」
■Pancrase344&345視聴方法(予定)
6月30日(日)
午後12時00分~U-NEXT
■Pancrase345
<ミドル級/5分3R>
内藤由良(日本)
アリ・カラダギィ(UAE)
<フェザー級次期挑戦者決定戦/5分3R>
平田直樹(日本)
Ryo(日本)
<ライト級/5分3R>
西尾真輔(日本)
神谷大智(日本)
<フライ級/5分3R>
大塚智貴(日本)
山崎聖哉(日本)
<ウェルター級/5分3R>
渡邉ショーン(日本)
武者孝大郎(日本)
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太(日本)
さぶろう(日本)
■Pancrase344
<フェザー級/5分3R>
キム・サンウォン(韓国)
中田大貴(日本)
<フライ級/5分3R>
上田将年(日本)
眞藤源太(UAE)
<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
小森真誉(日本)
<フライ級/5分3R>
大野友哉(日本)
小林了平(日本)
<ネオブラットTフライ級準決勝/5分3R>
饒平名知靖(日本)
山崎蒼空(日本)
<バンタム級/5分3R>
渡邉泰斗(日本)
佐藤ゆうじ(日本)
<ストロー級/5分3R>
渋井宏行(日本)
日向優希(日本)
【写真】生虎(しょうご)という名前の由来は、「正午に生まれたことから当て字で……という説があります」とのことでした(C)SHOJIRO KAMEIKE
28日(日)、翌29日に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase342の計量が行われ、出場選手全員がクリアした。明日の第10試合試合では佐藤生虎が長岡弘樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
昨年プロデビュー以来3試合連続、1ラウンドKO勝ちをマークしている佐藤。しかも合計タイムは3分と、1ラウンド分にも至っていない。特に左ストレートを軸に戦っているが、もともとは柔道ベースだというから驚きだ。なぜ佐藤がこれまでに左ストレートで倒しまくるようになったのか。その秘密をひも解く。豪快なKOの裏には、試合スタイルからは想像できない佐藤の性格が関係していた(※取材は4月24日に行われた)。
――MMAPLANETでは初のインタビューとなりますが、宜しくお願いいたします。
「……、……」
――すみません、ちょっと音声が小さいようですね。
「(マイクを口に近づけて)聞こえますでしょうか?」
――ありがとうございます。聞こえました。もしかして今は職場ですか。
「はい、そうです」
――もしかして小さな声で喋らないとか……。
「そんなことはないのですが――ちょっと周りから見られています(笑)。でも大丈夫です。すみません」
――いえ、職場でインタビューを行わせていただき、ありがとうございます。会社の方にも宜しくお伝えください。
「アハハハ、分かりました(笑)」
――改めて、プロデビュー以来3試合で合計3分ほどしか戦っていない佐藤選手です。
「えっ、そんなに短いですか」
――これまでのKOタイムが1分1秒、35秒、1分22秒ですから、正確には2分58秒です。ご本人としては意識していないのですか。
「そうですね。まぁ、たまたまというか……」
――あれだけ左ストレートを軸に戦っていて、「たまたま」ではないでしょう(笑)。
「いや、もう必死に戦っているだけで(苦笑)。自分でもよく説明できなくて――喋るのも下手なので、すみません」
――いえいえ。あれだけの剛腕っぷりを見せていながら、ベースは柔道なのですよね。
「柔道は10歳から28歳までやっていました。もともと兄が柔道をやっていたので、僕も同じ町道場に入れられて。28歳の時に柔道を辞めて、MMAを始めました」
――28歳というと大学を卒業してから、どこか企業で柔道をやっていたのでしょうか。
「いえ、警察です」
――警察ですか! 大学までの優勝実績などは……。
「特に無かったです。高校の時に県大会で優勝したり、大学も全国大会に出たぐらいで。そこから警察の柔道部に入りました。ずっとMMAは好きで、大学を卒業した時点で柔道を続けるか、MMAを始めるかは一度考えました」
――そこで柔道を続けた理由は何だったのでしょうか。
「……母の反対ですね(苦笑)。今もMMAをやることは反対されています。でも警察の柔道部って定員があり、毎年誰かが引退して誰かが入るということが繰り返されるんです。柔道部の先生から『今年で引退してほしい』と告げられて。柔道部にいられないなら警察にいる理由もないので辞めました」
――柔道部を辞めたとしても、警察には残ることはできるわけですよね。
「はい。もともとMMAをやりたくて、ずっと柔道を続ける気持ちはなかったんです。だから先生から告げられた時に踏ん切りがついたといいますか。ちょうどコロナ禍で試合もできない時期でしたし」
――では警察を退職して、すぐにMMAを始めたのですか。
「MMAを始めようと思ってジムを探した時、自分が柔道出身なので組み技が強いパラエストラ松戸(現THE BLACKBELT JAPAN)に入りました。そのあと去年の3月に、講道館の柔道クラブ時代の先輩である中村K太郎さんと宮澤元樹さんがいる、ユナイテッドジムに移籍してプロデビューしました」
――なるほど。2022年にパンクラスのアマチュア全日本を制してプロデビューに至るわけですが、当時から今のように左をバシバシ当てていたのでしょうか。
「いえ、最初はとにかく組みついていました。それがアマチュア全日本の時に、減量で水抜きしすぎてヘロヘロになってしまい、試合では組めない――スタミナがもたないと思ったんです。それで殴りに行ったら『当たるなぁ』という感じで」
――減量ミスから生まれた左ストレート! 最初に仰った「たまたま」というのは、そういう意味だったのですね。
「アハハハ、そうなんです。自分自身でもグラップラーだと思っていましたけど」
――結果、プロデビュー以降はストライカーで行くと。プロの3試合はほぼ組みに行っていません。それはまだ組みの実力……つまり本当の力を隠しているということではないですか。
「いや、それはないです」
――ハッキリと否定しましたね(笑)。
「もう本当に、いつも限界で。毎試合ギリギリの状態でやっています」
――確かに1戦目と2戦目は、とにかく左を振り回している感もありました。しかし3戦目の川中戦は完全に左ストレートを軸に戦うように進化していたように思います。相手の頭の位置を見ながら、左ストレートを急所に叩きこんでいくという。
「ありがとうございます。でも、それも意識したことはなくて……。ただ、今はボクシングで日本と東洋太平洋のチャンピオンだった柴田明雄さんの指導を受けて、打ち方と位置取りは変わってきていると思います。前回の試合は、とにかく相手の左側に回ろうと柴田さんから言われていて――相手との距離、自分の位置については考えるようになりました」
――なるほど。川中選手をKOしてパンクラスのウェルター級5位にランクインしました。そして次は大ベテランの長岡戦で、この試合をクリアすればベルト挑戦も射程圏内に入っくると思います。
「ベルトは意識していますが……う~ん、自分が上がってきているという実感はないですね。次の試合も不安しかないですし(苦笑)」
――浮かれているよりは良いと思いますが、それにしても自信のあるコメントは出て来ないですね。
「長岡選手はキャリアも凄くて、削り合う試合になると思いますし――引き出しの要素も全て、僕が負けていますからね。試合になると、いつも不安しかないです」
――その不安は、どのように解消するのですか。
「ケージに入るまで不安ですし、ケージに入っても頭が真っ白になって。あとは『やるしかない』という気持ちになって試合をするだけです。自分がやらないと、やられてしまう。その気持ちが一番大きいですね。
――では次の長岡戦、どのような試合をしたいですか。
「……次の試合も殴ります。長岡選手って打たれ強いと思うんですけど、それでも殴ります」
■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT
■Pancrase342 計量結果
<ストロー級暫定王者決定戦/5分5R>
黒澤亮平(52.15キロ)
リトル(52.05キロ)
<ライト級/5分3R>
粕谷優介(70.70キロ)
久米鷹介(70.70キロ)
<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(77.55キロ)
長岡弘樹(77.35キロ)
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(52.05キロ)
ホン・イェリン(51.40キロ)
<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(70.40キロ)
ホン・ソンチャン(70.00キロ)
<フライ級/5分3R>
砂辺光久(57.00キロ)
前田浩平(57.20キロ→57.10キロ)
<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(52.25キロ)
氏原魁星(52.10キロ)
<フェザー級/5分3R>
糸川義人(65.85キロ)
櫻井裕康(66.50キロ→66.10キロ)
<バンタム級/5分3R>
坂本瑞氣(61.35キロ)
谷内晴柾(61.25キロ)
<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
饒平名知靖(56.65キロ)
名久井悠成(56.55キロ)
<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
山崎蒼空(56.85キロ)
AXEL RYOTA(56.95キロ)
<フライ級/5分3R>
田中亮祐(56.35キロ)
齋藤桜貴(57.15キロ)
【写真】仕上りの良さを感じさせたキム・サンウォン。彼のような選手の来日は非常に貴重だ(C)MMAPLANET
明日12日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるPANCRASE338で名田英平と対戦するキム・サンウォン。
Road to UFCで悲願の契約を目指していたキム・サンウォンだが、8月の準決勝でイー・チャーに敗れ──一旦はその道は断たれた。そしてリスタートに選んだのはパンクラスのケージだった。
──Road to UFC準決勝で敗れた、最大の目標に辿り着かなかった時はどのような気持ちでいましたか。
「あの試合の時はコンディションが良くなかったので、本当に悔しかったです」
──リスタートをする時に、パンクラスで戦うことを決めたのは?
「来たオファーは全て受けるつもりでいましたが、そのなかでもパンクラスが一番に声を掛けてくれたので、出場することにしました」
──国内と海外で再起を図るのは、また違うかと思います。
「パンクラスは日本でも有名な団体だと知っていたので、オファーを貰った時にワクワクして、凄く期待値が高かったです」
「岩のようなイメージがあったので、それをぶち壊していこうと思います」
──名田選手はキム・サンウォン選手のことは打たれ強く、粘り強い。殺しに来てくれると言っていました。
「アハハハハ。自分が殺しに行く勢いで攻めるのかは、ケージに入ってみるまで分からないですね。でも名田選手もしっかりと準備をしてきたはずだし、自分も準備してきたことケージの中で、試合で見せられれば良いと思います」
──KTTのチームメイトであるパン・ジェヒョク選手が、パンクラスで戦った2試合で相当に判定に不満を持っていました。その様子を見ていて、キム・サンウォン選手は判定基準をしっかりと研究してきたのか、フィニッシュ必至のファイトをするのか。どちらでしょうか。
「ジェヒョクの判定の件に関しては、最初の試合の時は凄く悔しかったです。でも、もう過ぎたことなので。自分は判定のことは気に掛けずKO、TKO、判定の全てで勝てるだけの準備をしてきました」
──では明日、どのような試合をしたいと思っていますか。
「言葉よりも、自分が戦う姿で見せたいと思います。明日、ケージのなかで戦っているところを見てください」
■Pancrase339視聴方法(予定)
2023年11月12日(日)
午後5時~ PANCRASE YouTube チャンネル、U-NEXT、TIGET/PPV(英語のみ)
■Pancrase339 Pancrase339計量結果
<ライト級/5分3R>
松本光史:70.55キロ
西尾真輔:70.7キロ
<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.25キロ
矢澤諒:61.35キロ
<ライト級/5分3R>
平信一:70.7キロ
丸山数馬:70.5キロ
<ミドル級/5分3R>
佐藤龍汰朗:83.7キロ
荒井勇二:84.05キロ
<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.95キロ
岡田拓真:65.35キロ
<フライ級/5分3R>
濱田巧:57.05キロ
大塚智貴:56.95キロ
<バンタム級/5分3R>
平岡将英:61.6キロ
谷内晴柾:62.05キロ→61.55キロ
<ストロー級/5分3R>
米山唯人:52.5キロ
織部修也:52.5キロ
■Pancrase338視聴方法(予定)
2023年11月12日(日)
午前11時45分~ PANCRASE YouTube チャンネル、U-NEXT、TIGET/PPV(英語のみ)
■Pancrase338Pancrase338計量結果
<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂:66.0キロ
櫻井裕康:66.05キロ
<フェザー級/5分3R>
名田英平:66.25キロ
キム・サンウォン:66.1キロ
<女子フライ級/5分3R>
ライカ:56.9キロ
重田ホノカ:56.75キロ
<ストロー級/5分3R>
リトル:52.55キロ
寺岡拓永:52.2キロ
<バンタム級/5分3R>
高城光弘:61.6キロ
平田丈二:61.6キロ
<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎:56.8キロ
前田浩平:58.45キロ→58.4キロ
<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗:70.75キロ
上田智大:70.15キロ
<フライ級/5分3R>
饒平名知靖:56.25キロ
金澤臣人:57.0キロ
【写真】338大会のメインで戦う三宅輝砂と櫻井裕康は問題なくクリアしている(C)MMAPLANET
明日12日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるPANCRASE338&339の計量が品川区の目黒セントラルスクエアU-NEXT内13Fカンファレンスルームにて行われた。
1日2部制の大会。丸山数馬&キム・サンウォンというRoad to UFC出場選手、井村塁矢澤諒の生き残り戦&1年3カ月振りの復帰戦となる平田丈二高城光弘というバンタム級の注目マッチなど──8試合2=16選手の計量が実施された。
338大会のフライ級で萩原幸太郎と対戦予定だった前田浩平は抱えられて計量台へ。58.45キロとオーバーし、最計量でも50グラムが落ちただけで58.4キロに終わった。傍から見ても最計量に臨むことすら危なげだった前田に対し、萩原は「戦います」と本計量後に話していたが、本稿執筆時点ではキャッチウェイトで行われるか協議中だ。
また339大会のバンタム級で平岡将英に戦う谷内晴柾は本計量で62.05キロだったが、最計量は61.55キロでパスしている。
そしてMMAファイターは計量時にカルバン・クラインを着用する問題だが、今回はファイトショーツを履かずに体重を測った選手でカルバン・クラインの愛用者は1人もおらず、下着を脱いでクリアした3選手よりも少なかった。今や問題視する必要もないカルバン・クライン着用問題だが、MMAPLANETでは引き続き注視していきたい。
■Pancrase339視聴方法(予定)
2023年11月12日(日)
午後5時~ PANCRASE YouTube チャンネル、U-NEXT、TIGET/PPV(英語のみ)
■Pancrase339 Pancrase339計量結果
<ライト級/5分3R>
松本光史:70.55キロ
西尾真輔:70.7キロ
<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.25キロ
矢澤諒:61.35キロ
<ライト級/5分3R>
平信一:70.7キロ
丸山数馬:70.5キロ
<ミドル級/5分3R>
佐藤龍汰朗:83.7キロ
荒井勇二:84.05キロ
<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.95キロ
岡田拓真:65.35キロ
<フライ級/5分3R>
濱田巧:57.05キロ
大塚智貴:56.95キロ
<バンタム級/5分3R>
平岡将英:61.6キロ
谷内晴柾:62.05キロ→61.55キロ
<ストロー級/5分3R>
米山唯人:52.5キロ
織部修也:52.5キロ
■Pancrase338視聴方法(予定)
2023年11月12日(日)
午前11時45分~ PANCRASE YouTube チャンネル、U-NEXT、TIGET/PPV(英語のみ)
■Pancrase338Pancrase338計量結果
<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂:66.0キロ
櫻井裕康:66.05キロ
<フェザー級/5分3R>
名田英平:66.25キロ
キム・サンウォン:66.1キロ
<女子フライ級/5分3R>
ライカ:56.9キロ
重田ホノカ:56.75キロ
<ストロー級/5分3R>
リトル:52.55キロ
寺岡拓永:52.2キロ
<バンタム級/5分3R>
高城光弘:61.6キロ
平田丈二:61.6キロ
<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎:56.8キロ
前田浩平:58.45キロ→58.4キロ
<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗:70.75キロ
上田智大:70.15キロ
<フライ級/5分3R>
饒平名知靖:56.25キロ
金澤臣人:57.0キロ
【写真】ココを取れば──そんな一戦が巡ってきた(C)MMAPLANET
明日12日(日)に東京都港区のニューピアホールでPancrase338&339が開催される。そしてダブルヘッダー第一部のコメインで、名田英平が韓国MMA界の猛者キム・サンウォンと対戦する。
Text by Manabu Takashima
いわゆる関西の地味強ファイター、取りこぼしがなければベルトを巻く位置にいてもおかしくない実力者は、アンダードッグ的な今回の国際戦を逆に大いになるチャンスと捉えていた。MMAPLANET初登場の名田にMMAを始めたきっかけなどを尋ね、そのコツコツMMAファイター人生のステッピングボードとなるファイトについて話してもらった。
――キム・サンウォン戦を約1カ月後に控えた名田選手です(※取材は10月9日に行われた)。名田選手とのマッチアップは彼をタイトル戦線に送り込むための一拍を置くファイトのような印象があります。
「あぁ、勿論です。そういう試合だと分かっています。それでも海外の選手をバンバン連れてきてくれた方が活気づきますし、日本人同士よりも海外の選手とやる方がファイターとして燃えます。オファーが来た瞬間、初めての国際戦だったのでテンションが上がりました」
──逆にチャンスだと。
「ハイ。Road to UFCで修斗のチャンピオンのSASUKE選手をしっかりと倒していますしね。しかも初回はSASUKE選手がゲームメイクしているなかで、2Rにワンツーで仕留める。凄く能力の高い選手ですね。当て勘も良くて、バックステップとかも見ても凄く良い選手で。きっと殺しに来てくれると思うので、どうなるか分からないですけど、やれる試合にはなるやろなと思います。踏み台にされるかもしれない試合ですけど、前回の試合に負けているのに僕を選んでくれて有難いです」
──フェザー級王座はISAO選手が返上、続いて透暉鷹選手もバンタム級に転向で返上。挑戦者決定トーナメントに関わっていた選手として、新居すぐる選手のフェザー級王座戴冠については、どのような想いでいますか。
「なんかこう面白いですよね。あの人、ずっと負け続けていたのに連勝して、RIZINでも結果を残して。練習環境を変えたのか、打撃も凄く良くなっていて。シンプルに強いです。前は極めの一発はあっても、打撃とかない選手やったのに亀井選手との試合を見て、フェザー級の選手は皆がビックリしたんじゃないですか」
──混沌としているフェザー級戦線で、名田選手ご自身では自分の位置をどのように捉えていますか。
「結果的にRYO選手に負けているし……あと2回ぐらい勝たないと挑戦は難しいと思っています」
──だからこそキム・サンウォン戦は印象として、勝てば大きいですね。
「韓国のトップ選手とやれるのは、僕のキャリアのなかで一番大きい肩書を持っている相手になります」
──では、先ほどから良い選手だと言われていたキム・サンウォンですが、改めて印象を教えてください。
「打たれ強いし、スタミナがあります。やられても圧を掛け続けることができる。粘り強いし、打たれ強い。パウンドも凄い強力で。そこも気を付けたいです」
──そのような相手に対して、どのような戦いを挑みたいでしょうか。
「今やっているレスリングもそうですし、打撃も良くなってきているので、そういうところを見せたいですね」
──今日はパラエストラ東大阪のプロ練習、竹中大地選手と瀧口脩生選手、健斗デリカット選手という実力がありながら、少し停滞気味のファイターたちとの力のこもったスパーリングが見られました。
「基本、このメンバーでやっていて。あとは林RISE選手、それと起一(ストラッサー)さんと月・金でやらせてもらっています」
──他の曜日の練習はどのようになっているのですか。
「火・木がカルペディウム芦屋で岩﨑(正寛)さんのところに行かせてもらって。ほんで水曜日は岸本(泰昭)のSISUでやらせてもらっています。あとは所属するコブラ会の夜のグラップリングクラスで、やってくる選手と練習して」
──つまり軸となるのは昼のプロ練習ということですね。
「そうですね。基本、昼に動かしてもらって。夜はコブラ会もそうだし、ボクシングジムとかで腕を磨くような練習をしています」
──そんな名田選手ですが、なぜMMAを始めコブラ会で練習するようになったのですか。
「MMAを始めたのは16歳ぐらいで、西成にあったチーム・クラッチという地下格、パワーゲートに出ているジムだったんです。友達が中三ぐらいの時からやっていて、僕は柔道をやっていたのですがMMAに凄く興味があったので、通うようになりました。その時からもうコブラ会でも練習していて。でも、じつはどっちのジムにも二カ所で練習していることは言い辛くて黙っていたんです」
──ハイ。
「でも試合に出る時にチーム・クラッチから出ることになって、まだ昔の慣わしがあった頃で二つの所属って無理だったんですよね。その試合で勝って──17歳の時だったんですけど、もっと強くなりたいと思ったのでコブラ会一本で練習するようになりました。もう12年とか前の話です」
──当時と比較すると、パンクラスのMMAもプロ練習もあり、交流もあって凄く変わりましたね。
「ハイ。組み技が凄く強くなりました。打撃は昔から強いジムはあったのですが、特に組み技……レスリングも身近になりました。岩崎さんが来てくれてから、凄く良い環境になっていますね」
──キャリア的にはDEEPからパンクラスで戦ってきましたが、久しく大阪大会が途絶えたパンクラスに拘っているのは?
「単に強いヤツが多いからです。高木凌選手とか、こないだはRIZINで負けてしまったけど、あの選手のストレートとか凄くヤバいです。イケメンやし、そういう選手に勝ちたいんです」
──そういうイケメンの選手を倒して(笑)、ベルトを目指すと。
「ベルトもそうやし、やっぱり今回のように海外の選手とやっていきたいですね。ここに勝っての話ですけど、海外勢にとってパンクラスの門番のようになって──いずれは海外でも試合がしたいです。ONEとか、アジア圏で」
──そこに向けて、絶好のアピールになるのが今回のキム・サンウォン戦かと思います。
「そうですね。しっかりと戦って、倒す──相手よりしんどいことをやって、しっかりと勝ちたいです」
■Pancrase339視聴方法(予定)
2023年11月12日(日)
午後5時~ PANCRASE YouTube チャンネル、U-NEXT、TIGET/PPV(英語のみ)
■Pancrase339対戦カード
<ライト級/5分3R>
松本光史(日本)
西尾真輔(日本)
<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
矢澤諒(日本)
<ライト級/5分3R>
平信一(日本)
丸山数馬(日本)
<ミドル級/5分3R>
佐藤龍汰朗(日本)
荒井勇二(日本)
<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
岡田拓真(日本)
<フライ級/5分3R>
濱田巧(日本)
大塚智貴(日本)
<バンタム級/5分3R>
平岡将英(日本)
谷内晴柾(日本)
<ストロー級/5分3R>
米山唯人(日本)
織部修也(日本)
■Pancrase338視聴方法(予定)
2023年11月12日(日)
午前11時45分~ PANCRASE YouTube チャンネル、U-NEXT、TIGET/PPV(英語のみ)
■Pancrase338対戦カード
<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂(日本)
櫻井裕康(日本)
<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
キム・サンウォン(韓国)
<女子フライ級/5分3R>
ライカ(日本)
重田ホノカ(日本)
<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
寺岡拓永(日本)
<バンタム級/5分3R>
高城光弘(日本)
平田丈二(日本)
<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎(日本)
前田浩平(日本)
<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗(日本)
上田智大(日本)
<フライ級/5分3R>
饒平名知靖(日本)
金澤臣人(日本)
【写真】シェフチェンコとのスパー。まだプロデビュー前の経験だ(C)MMAPLANET
12日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase338で、ライカと対戦する重田ホノカのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
重田はパラエストラ柏に入会したあとに憧れの浅倉カンナとの練習はもちろん、当時UFC世界王者だったヴァレンチーナ・シェフチェンコのファイトキャンプも経験した。1年で成長し続ける彼女は、ライカ戦への大きな自信を見せた。
<重田ホノカのインタビューPart.01はコチラから>
――MMAを始めてちょうど1年! それは驚きです。ただ、親御さんの反対はなくなったのでしょうか。
「MMAをやりたいと伝えた時には、両親から『格闘技だけで食っていくことが、どれだけ難しいか分かっているのか!? 現実はそんなに楽なもんじゃないんだ!』と言われて。だけど仕事をしながらだと、強くなるのは難しいと思ったんです。だからお母さんに『2年欲しい』とお願いしました。
まず1年でプロデビューして、その1年後は実家暮らしだけど自分の生活は何とかするぐらい稼げるようになるから。そう約束した3カ月後にアマチュアデビューし、さらに4カ月経ってプロデビューしています」
――お母さんとの約束を守っているわけですね。しかも前倒しで。そもそも入るジムとしては、やはり憧れの浅倉カンナ選手のいるパラエストラ柏しか考えていなかったのですか。
「もちろんです。憧れの選手を倒すために他のジムに入る人もいるとは思いますけど、私は常に憧れの選手の背中を追いかけたいタイプなんです。高校も、すごく強い憧れの先輩がいるところを選んだりとか。とにかく『カンナさんみたいな選手になりたい!』と思ってパラエストラ柏に入りました。でも私がジムに入った時は、カンナさんが試合後に休養していた頃で。初めてお会いしたのは、入会から1カ月ぐらい経った頃です」
――初めて会った時の浅倉選手の反応は……。
「……『えーっ!? ありがとう!』と言ってもらいましたけど、やっぱり最初は距離がありました(笑)。カンナさんにしてみれば『気づいたらいる……誰だろう?』という感じだったと思うんです。でも一緒に練習していくうちに、だんだん距離も近くなって。一番大きかったのはシェフチェンコとの練習でした。毎日カンナさんにくっついていて」
――今年1月から2月にかけて、ヴァレンチーナ・シェフチェンコがパラエストラ柏でファイトキャンプを行った時ですか。ということはMMAを始めて3カ月ほどでシェフチェンコと一緒に練習をしているのですね。
「とにかく倒されまくって、シェフチェンコにしがみつくのが精いっぱいでした。練習がキツすぎて死にかけましたね……。あとは防具を全て付けた状態で練習していたら、シェフチェンコが下からヒジ打ちを入れてきて、メッチャ鼻血が出ました(笑)」
――練習で下からヒジ打ちとは……、シェフチェンコは重田選手のキャリアを知っていたのでしょうか。
「いや、絶対にアマチュアでも試合をしたことがない人間だとは知らなかったはずです(苦笑)。組めば投げられるし、ガンガン殴られるし――でも毎日朝から晩までシェフチェンコと一緒に練習できて、得られるものは大きかったです」
――目指しているのは浅倉選手も出場しているRIZINなのですか。
「やっぱりRIZINには強い憧れがあります。憧れの選手が出ている舞台で――さいたまスーパーアリーナで試合がしたいんです。もしRIZINが女子ストロー級のベルトをつくってくれるなら、そのベルトを目指して頑張っていきたいですね。もしストロー級でベルトができなくても、スーパーアトム級までは落とせます」
――もしRIZINのベルトの前に浅倉選手が立ちはだかったら、どうしますか。以前から鶴屋浩代表は「パラエストラ千葉ネットワークは同門対決でも問題ない」と仰っています。
「えーっ!? うーん……、その時は全力で潰しに行きます。いつか憧れは越すしかないですから」
――なるほど。もともと入会してすぐ選手練習に参加していたのですか。
「そうですね。夜のプロ練はアマチュア選手も女子選手もいなくて、杉山廣平さん、鶴屋怜君や松井斗輝君とか男子のプロ選手だけ参加している時もありました。そのなかでまだ入会したばかりの私が、みんなにコテンパンにされて(笑)。でも私は強くなるためにパラエストラ柏へ入ったので、そういう練習に付いていくしかなかったです。柔道以外は何の経験もなかったので、初めてミットを打ったり、レスリングをイチから教えてもらったり……」
――重田選手に関しては、1戦目から2戦目の間の成長具合が速い印象があります。特にシングルレッグの入り方とスピードは、1戦目の高本千代戦と比べて2戦目のソン・ヘユン戦は、1年目とは思えないほど速かったです。
「ありがとうございます。でもレスリングを教わってから1カ月ぐらいで、あれぐらいの入り方はできていたと思います。柔道をやっていたおかげか、相手の懐に入ることには全く抵抗がなくて。ただ、1戦目から2戦目までの間に成長できているというのは、私自身もそう感じています。前の試合から今回のライカ戦まで3カ月ぐらいしか経っていないじゃないですか。その間に私は二回りぐらい、また成長しているので」
――プロ3戦目でライカ戦というのは、かなりのチャレンジだと思いました。しかしマッチメイクの裏には、それだけの自信があったのですか。……今、「チャレンジ? そんなことないよ」という表情になりましたね(笑)。
「ウフフフ。確かにキャリアを考えたら、周りからチャレンジマッチだと思われても仕方ないです。でも私にとっては別に――。今回はストロー級ではなくフライ級の試合だけど、そこも問題ないです。まずは与えられた試合を勝っていくことのほうが大事ですからね。
次も普通にやれば負けないかなと思っています。ライカ選手は元ボクシング世界王者ですけど、これはMMAなので。もちろんパンチの距離になったら危ないとは思っています。階級はひとつ上だし、パンチの距離からガッと詰められることは警戒しています。でも、その前に必ず仕留めますから」
■視聴方法(予定)
11月12日(日)
Pancrase338:
午前11時45分~U-NEXT、PANCRASE YouTubeチャンネル
Pancrase339:
午後17時15分~
■Pancrase338 対戦カード
<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂(日本)
櫻井裕康(日本)
<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
キム・サンウォン(韓国)
<女子フライ級/5分3R>
ライカ(日本)
重田ホノカ(日本)
<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
寺岡拓永(日本)
<バンタム級/5分3R>
高城光弘(日本)
平田丈二(日本)
<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎(日本)
前田浩平(日本)
<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗(日本)
上田智大(日本)
<フライ級/5分3R>
饒平名知靖(日本)
金澤臣人(日本)
■Pancrase339 対戦カード
<ライト級/5分3R>
松本光史(日本)
西尾真輔(日本)
<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
矢澤諒(日本)
<ライト級/5分3R>
平信一(日本)
丸山数馬(日本)
<ミドル級/5分3R>
佐藤龍汰朗(日本)
荒井勇二(日本)
<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
岡田拓真(日本)
<フライ級/5分3R>
濱田巧(日本)
大塚智貴(日本)
<バンタム級/5分3R>
平岡将英(日本)
谷内晴柾(日本)
<ストロー級/5分3R>
米山唯人(日本)
織部修也(日本)