<女子フライ級/5分3R>
渡邉史佳(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
端貴代(日本)
※詳細は後ほどアップします
<女子フライ級/5分3R>
渡邉史佳(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27.
端貴代(日本)
※詳細は後ほどアップします
【写真】有終の美ではないかもしれないが、終わりを見て現役生活を全うしている (C)MMAPLANET
本日29日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347で、アトム級QOPのSARAMIがホン・イェリンとノンタイトル戦で戦う。
Text by Shojiro Kameike
3月に同王座決定トーナメント決勝で沙弥子を48秒で下したSARAMIにとって、あの右ストレートで一発の勝利は何を意味したのか。その後、パンクラスイズム横浜を離れ、毎日のように違う場所でトレーニングの日々を送る。
「この生活も長くは続けられない」というSARAMIに3月のKO劇と今、そして──これからについて尋ねた。
――もう次の日曜日にホン・イェリン戦を控えているSARAMI選手ですが、今一度3月のアトム級王座奪取について話をきかせてください。見事過ぎる右ストレート一発のKO劇。格闘技生活で、一番の喜びようだったのではないかと。
「あの瞬間は『嘘でしょ!!』っていう感じでした」──そこから笑顔の時間が、凄く長かったです。
「アハハハハハハ。北岡(悟)さんや、矢澤(諒)君は『パンチで倒す』と思っていたらしいです。いつか、パンチで倒すと。北岡さんにはずっと前から言われていました。でも、私はできないだろうって思っていたんです。女子で一発KOなんて、ないじゃないですか。まさか自分がするなんて思っていなくて(笑)。打撃に自信があるわけじゃないので」
──ただ、あのパンチです。練習をしてきて、成長しているという風に自分で感じることはなかったですか。
「自分の右のパンチが凄く強いという実感はありました。打ち方とかも、凄く考えてきたので。それは分かっていたけど、試合でソレを出せるとは思っていなかったです」
──あの勝ち方をこれからも続けたいという想いは?
「ないです」
──本当ですか。それを想って戦えないかもしれないですが、どこか少しでも残っていないですか。
「えぇぇ……。また、したい気持ちはありますけど。アレを狙うと、絶対にできないです。自分の攻めをしているなかで、ああいう偶然が起これば良いかなって。あのパンチを狙うと、自分のスタイルが崩れてしまいます。私の試合はドロドロで、勝つ時も負ける時も。殴り合いって誰でもできるので、それは余り格好良いとは思えないんです」
──練習仲間、女子選手たちの反応はどうでしたか。
「びっくりしていました。練習では私は打撃が上手くはないので。男子も女子も当てっこゲームが上手な人が、練習では打撃は上手です。思い切り打てないから、試合とは違うと思っています」
──ぶっちゃけてKO勝ちとタイトル奪取、どちらの方が嬉しかったですか。
「一発KOです」
──ずっと練習を続けてきて、あのKO劇があって良かったと本当に思います。
「私の人生にこんなことがあるんだって。本当に。私、格闘技の試合で勝って、お客さんが盛り上がる瞬間──あの気持ち良さって多分、結婚式をする時の気持ち良さよりも上だと思うんです。なのに、あんなKO勝ちしちゃうと、もう最高ですよ」
──そんなタイトル奪取後、所属先が整体北西に変わりました。
「もともとトーナメント中もパンクラスイズムで練習するのは1度か2度で。ジムの面子も変わっていく中で、私が格闘技をやる場所はイズムではなくなってきたように思えたんです」
──練習場所が所属名になったわけではないですよね。
「ハイ。私がずっと体を見てもらってきた整体です。北西(英司)さんはパンクラスができた頃から、選手の体を診ていて、格闘技の試合も物凄く見ている人で。フォースタンス理論に出会えたから、こっちに出てきて少し結果を残せたと思っています」
──イズムを離れる時、どこかジムの所属になろうと考えることはなかったですか。
「それは今も迷っています。決まった練習場所があることは大切だと思うので。ただ試合がもう決まっていたから、そこままという感じできました」
──今、練習場所はどういう風になっているのでしょうか。
「なかなか、色々なところに行っています。行動範囲は相当に広いですよ(笑)。女子選手がいるところに、練習に行かせてもらっていて」
──では万智選手ばりに1週間のルーティンをお願いします。
「月曜日は朝から仕事をして、夜は坂口道場に行きます。火曜日は昼ぐらいにKRAZY BEEに行き、夕方は元町にあるクロスフィットでパーソナルトレーニング。夜はカルペディウム三田のレスリングクラスに参加したり、しなかったり。水曜日は1日仕事をして、行けたらファイトベースに。木曜日も1日仕事して夜に東中野のトイカツ道場。金曜日は昼にマスタージャパンでグラップリング、夕方は国立に体の使い方のコンディショニング・トレーニングに行って、夜に整体をして帰って来ます。
土曜日は朝から仕事をして、夕方に千葉の市川市にあるトランセンド・ジムでロッキー川村さんにミットを持ってもらっています。で日曜日の朝にJTTに女子練習ですね(笑)」
──仕事をしながら……ですよね。1週間で7位置の練習を。
「やばいですよね(笑)」
──その原動力は何なのでしょうか。
「不安だから。やらないと不安なんです。もちろん毎週 、完璧にやっているわけじゃないですけど、この生活と練習を維持するには心もお金も、体力も大変です」
──そうですよね。
「だから、これをずっとやっていられないなって。引退も近いのかなって思っています」
──それでも結婚式よりも嬉しいモノがMMAでの勝利なわけですよね。
「結婚式をしたことないんですけどね(笑)。私は結婚して子供も欲しい。だからずっとできない」
──そうなると限られた試合のなかで、今回はタイトルマッチでないですが、その辺りはどのように思っているのですか。
「ホン・イェリン戦が用意されたことに、全く不満はないです。ちゃんと強い相手ですし、国際戦が戦いたかったので。用意してもらった相手に、今の全てをぶつけます。対戦相手の格とか関係なく、準備したことを全て出します」
──それは右ストレートですね(笑)。
「違います(笑)。塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はないし、一度したから思い切り漬けにいけます(笑)」
──女子は比較的行き来ができていますが、これからのキャリアをどのように考えていますか。
「目標がなんなのかよくわからない状況ではあるんですけど、海外でやりたいです。もう日本人は皆やったし、今さら新しい子とやる必要はないかなって。めちゃくちゃ強い外国人にメチャクチャにやられたら、辞めることができるかなって」
──刹那的ですね。
「もう私、敵わないんだっていう経験をしたら辞められるかなって」
──その将来を望むとしても、メチャクチャ強い外国人を戦うためには次の試合でしっかりと勝つ必要があるかと思います。どのような試合にしたいですか。
「…………(じっくりと考えて)、攻め続ける。とにかく攻め続けます」
■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT
■Pancrase347 計量結果
<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
[挑戦者] 久米鷹介:70.3キロ
<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト:51.95キロ
[挑戦者] 藤野恵実:52.1キロ
<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太:76.95キロ
[挑戦者] 佐藤生虎:77.1キロ
<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希:70.55キロ
天弥:70.65キロ
<女子アトム級/5分3R>
SARAMI:48.05キロ
ホン・イェリン:47.75キロ
<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
カリベク・アルジクル・ウルル:61.65キロ
<ライト級/5分3R>
粕谷優介:70.7キロ
ホン・ソンチャン:70.5キロ
<女子フライ級/5分3R>
端貴代:56.65キロ
渡邉史佳:56.8キロ
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:52.1キロ
エジナ・トラキナス:51.9キロ
<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.9キロ
栁川唯人:65.95キロ
<ストロー級/5分3R>
野田遼介:52.5キロ
船田侃志:52.55キロ
<バンタム級/5分3R>
安藤武尊:61.45キロ
ギレルメ・ナカガワ:61.55キロ
<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大:56.7キロ
山﨑蒼空:57.1キロ
<フライ級/5分3R>
時田隆成:56.95キロ
齋藤楼貴:56.95キロ
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太:61.1キロ
渡邉泰斗:61.5キロ
【写真】昨日の計量は問題なく、笑顔を見せてクリア。この笑顔の裏、色々な想いと覚悟を隠している(C)MMAPLANET
本日21日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346で、フライ級QOP重田ホノカが杉山しずかの挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima
3月に大ベテラン端貴代を破り、デビューから11月で王座戴冠。トーピング検査で陽性となり、出場停止処分を受けた重田。そこも踏まえて5日の調印式及び記者会見前にインタビューを行うと──重田からオラオラはキャラで、自分の素ではなかったと涙の告白があった。
──タイトル初防衛戦の前に、まず3月31日に王座奪取がなった試合で端貴代選手と共にエフェドリンの陽性反応が出た件について話を伺わせてもらえますか。
「ハイ」
──端選手は風邪薬、重田選手は漢方薬を服用していた。ただし試合結果は変わらずとタイトルはそのままで、重田選手は100日間のサスペンションとファイトマネーの20パーセント返却に。サスペンション明けの1週間後に防衛戦、ファイトマネーの一部返却以外は事実上のお咎めなしという形です。
「ドーピング=ステロイドという印象でした。お医者さんか漢方薬を処方されて、漢方だし大丈夫なんだと思っていました」
──自然の生薬という説明があると、そのように理解するのは重田選手に限らず多いと思います。生薬である麻黄の成分にエフェドリン、つまりは中枢神経・交感神経系に対して賦活作用がある。つまりは興奮剤の類ですよね。
「ハイ……それを分かっていなかったです」
──使用上の注意にも実は「精神興奮」という交感神経系への副作用の可能性が明示されています。田中路教選手が過去に花粉症を抑えるために漢方薬を服用して、UFCからサスペンションを食らったこともありました。でも重田選手からすると、10歳の時の話なんですよね。チームメイトとは、そのような話をすることはなかったのでしょうか。パンクラスはタイトル戦ではドーピングテストがある状況でも。
「私の方が漢方は大丈夫だと思っていたので、ジムで話すこと自体がなかったです。家族は当然、漢方薬を摂っていることを知っていたのですが、その禁止という意識がなくて……。パンクラスにも飲んでいる薬を伝えるのですが、そこには市販薬となっていたので、私は処方してもらったから書かなかったんです」
──禁止成分が入っているわけないという想いがありますしね。チーム全体で勉強になったと思います。
「今回は服用しているモノ全て、期間と場所と量まで事細かに報告しました」
──ここまで良くも悪くも天真爛漫、SNSでの活動にしても奔放だった重田選手も、色々と勉強になった。それで一件落着ということでしょうか(笑)。
「今回の件でというか……強気の言動とか、もうあのキャラに疲れちゃって……」
──キャラ? あの言動は作っていたのですか。
「もうキャラを続けるのに疲れて、煽りVでも素がでちゃって……。涙を見せちゃったり、でも逆に楽になりました。デビューから負け知らずで、ここまでやってきた。そこ自体がイケイケの印象を与えていたし、そのキャラのままで行こうと思っていたんですけど……疲れちゃって……陰で泣いていることの方が多くなって。
今では練習でも泣いています(笑)。ボクシングの練習に行っても、泣いてばかりで。でも、それで楽になりました」
──オラオラが一転、泣き虫になって練習面に影響が出てしまっていませんか。
「もう、辞めたいって(笑)。での前から毎回、試合が決まってから練習で追い込まれると『このあとはめっちゃ休む』とか『早く辞める』とか言っていて、情緒不安定になっていました。それが(浅倉)カンナさんに、『ありのままで良いんだよ』と言ってもらえて。『泣きたかったら、泣いて良い。でも試合が決れば、やらなきゃ。それはもうしょうがないんだよ』って。じゃぁ、泣きキャラでも良いかなって」
──いうとデビューして11カ月でパンクラスの頂点に立ったわけですし、色々な変化があって然りだと思います。4戦目でチャンピオンになった。そのなかで杉山選手が挑戦者として、登場してきたことに関してはどのように思いましたか。
「やるしかないやって……。前の試合前、会見の時からやると思っていたし。パンクラス的にも、それが面白いから。『やるよね』、『そうだよね』って」
「杉山選手は基本的にMMAが綺麗にできるタイプの選手ですよね。左のノーモーションのパンチ……サウスポーもオーソもデキる。でもサウスポーの方が多くて、ノーモーションとワンテンポ遅らせてのフック。近距離でのハイキック、離れ際のハイキックも上手いです。
ただテイクダウンに関しては、レスラーのような綺麗な入り方はできないです。自分の方が身長も低いし、入りにくいかと思います。そんな感じですけど、前回の試合は久しぶりの試合だったからか固かった。でも次の試合では感覚を取り戻しているかもしれないし、フィジカルも組んで見ないと分からない。だから、杉山選手云々でなくて自分のやりたいことをやろうって思っています」
──そんな杉山選手に対して、重田選手のストロングポイントはどこだと考えていますか。
「杉山選手の方が経験があって、スタンドでもある程度できます。ただ折れない心は自分の方が持っていると思います。ハートの強さが自分の武器です。私は気持ちで戦うタイプなので。試合を見てもらうと分かってもらえると思うんですけど、フィニッシュへの技がたくさんあるわけじゃないんです(涙声に)。けど……」
──えっ、ここって泣くところなのですか……(汗)。競り合った時には負けない強さは持っている。そこが杉山選手との試合で武器になると。
「競り合いになるとハートの強さで、自分は負けないです」
──気持ちの勝負になる前に、技術の勝負ではどのように考えていますか。
「ハッキリ言って、技術的には自分の強味が何か分かっていないです。ただ杉山選手は似たタイプだと思っています。立ちも寝技もどっちもやる──みたいな。でもスクランブルは負けないですね。体の動かし方とか、一瞬の判断からの動きは自分の方が長けていると思います。だからスクランブルに持ち込んで、競り勝ってバックに回るというのは、自分のなかで組み立てています」
──ところで過去4戦の対戦相手、誰が一番手強かったですか。
「デビュー戦で戦った高本(千代)選手です。どうしてですか?」
──この3年ほど、日本の女子MMAレベルは急速に上がったように感じています。それはこの間にデビューした選手達は明確にMMAを戦う目標があり、基礎を身に着けてデビューしている。結果、自力があって数年にさかのぼるキャリアの差を埋めることができているからだと考えています。
「あぁ……。高本選手が一番強かったです。高本選手こそ、下手をするとそこら辺の少しキャリアのある人に全然勝っちゃうんじゃないかと思います。最後にパンチを貰ってカットし、縫っていますし。あれが2Rだと、私はTKO負けしていました。
ただ世代とかは気にしていないです。世代交代を強く意識することもないし。選手一人ひとりのことは尊敬していて、当てられた選手に勝つことに集中しています」
──そんななか、今後に関してですが。国内の女子フライ級は相当に層が薄いです。キャリアップを狙うとなると、海外も視野に入れないといけないかと思うのですが、その辺りはどのように考えていますか。
「自分が憧れているのは、RIZINのベルトです。RIZINがきっかけMMAを始めましたし。ただ盛り上がっているのは49キロで。同時にフライ級は適正階級ではないので今回の試合が終わったら、階級を下げて強い選手と……戦って……いきたいです」
──なぜ、そこで涙が……。
「泣いてないです(笑)。今は泣いてないです」
──ではストロー級、スーパーアトム級に落としていくと。
「ハイ。今回が最後のフライ級なので、しっかりと勝ちたいです」
──そして、RIZINに殴りこむと。
「先のことは今回の試合が終わってから、考えます」
■視聴方法(予定)
7月21日(日)
午後1時45分~U-NEXT
■Pancrase346計量結果
<フライ級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 伊藤盛一郎:56.65キロ
[挑戦者] ムハンマド・サロハイディノフ:56.55キロ
<フライ級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] 重田ホノカ:55.95キロ
[挑戦者] 杉山しずか:56.45キロ
<ライト級/5分3R>
平信一:70.55キロ
鈴木悠斗:70.7キロ
<フライ級/5分3R>
濱田巧:56.95キロ
ラファエル・リベイロ:57.05キロ
<バンタム級/5分3R>
高城光弘:61.3キロ
オタベク・ラジャボフ:61.65キロ
<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂:66.2キロ
石田陸也:65.9キロ
<ライト級/5分3R>
松岡嵩志:70.55キロ
丸山数馬:70.15キロ
<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永:52.0キロ
高島俊哉:52.55キロ
<58.55キロ契約級/5分3R>
前田浩平:58.55キロ
増田大河:58.20キロ
<ネオブラッドT バンタム級準決勝/5分3R>
山口怜臣:61.6キロ
宮城成歩滝:61.55キロ
<ネオブラッドT バンタム級準決勝/5分3R>
白井誠司:61.3キロ
荒田大輝:61.25キロ
<フェザー級/5分3R>
沢木純也:66.2キロ
小島健史:65.8キロ
<フライ級/5分3R>
田中亮祐:56.7キロ
鳴海秀哉:56.75キロ
<フライ級/5分3R>
名久井悠成:56.5キロ
萩島answerタクミ:56.8キロ
【写真】5Rにこそ端の反撃を許した重田だったが、1Rから攻め続けた (C)MMAPLANET
<フライ級QOPC/5分5R>
[挑戦者] 重田ホノカ(日本)
Def.3-0:50-45.50-45.49-46.
[王者] 端貴代(日本)
サウスポーの重田がいきなり飛びかかり、インローと左ストレート、左ミドルを蹴る。端はその左ミドルをキャッチし、蹴り足を抱えてケージに押し込む。重田は足を引いて正対し、ダブルレッグに入る。腰をコントロールして、端の右足をかけて寝かせつつバックを狙う。端はケージを背にして立ち上がり、重田は右腕を差して押し込んでヒザ蹴り。離れると重田が左ストレート、端の右に右フックを合わせ、前足へのシングルレッグをフェイントにした左フックを当てる。重田はプレッシャーをかけてインローと左ストレート。端もインローを蹴るが、重田は左ストレートから右フックを返し、組みになると端をケージに押し込む。ジャッジ3名とも10-9で重田を支持した。
2R、重田が左ストレートとインロー。端はインローと右ストレートを返す。重田は右アッパーから前に出て、端は左腕を差してケージに押し込む。重田は投げを狙いつつ離れ、プレッシャーをかける。端のインローにアッパー気味の左ストレートを合わせ、ダブルレッグでケージに押し込んで端を寝かせる。橋が左腕を差して起き上がろうすると、重田は右腕で首を抱えてギロチンを狙いつつヒジ。重田がトップキープしてラウンド終了となった。ジャッジ1名が10-9で端、2名が10-9で重田となる。
3R、ここも重田が前に出て左ストレート、シングルレッグで組みつく。端がケージに体を預けて立ち上がる。距離が離れると端がジャブを突くが、重田は左ミドル、スピニングバックフィスト、左ストレート。組みの攻防になると首投げから袈裟固めへ。端が頭を抜こうとするとがぶってコントロールし、端の体をケージに押し込む。立ち上がった重田は端の蹴り上げを捌きつつ、端の体をケージに押し込む形でラウンド終了。1R同様にジャッジ3名が10-9で重田にポイントをつけた。
4R、端は重田の前足にインローと前蹴り。重田はプレッシャーをかけて右フックと左ストレート、端も下がりながら右ストレートを返す。重田は左のスーパーマンパンチ、右のジャブを当ててシングルレッグへ。端はケージに体を預けてスタンドをキープすると、重田はダブルレッグで尻餅をつかせる。パスガードを狙う重田に対し、端は脇を差して上のポジションを取り返すが、残り時間がなくラウンド終了となる。ここもジャッジ3名が10-9で重田を支持した。
5R、端は下がりながら右ストレートを当てる。これを被弾する重田だったがシングルレッグで端をケージに押し込む。端の体を振ってバックも狙いつつ、端をケージに押し込み続ける。端がニンジャチョークを狙うと、重田は低くダブルレッグに入ってバックへ。端は重田の腕を持って巻き込むようにグラウンドで上のポジションを取り、重田をがぶる。端が重田をケージん押し込むと、重田は離れてワンツー、端が右ストレートから組みつく。重田が投げを決めるも、その勢いのまま端がグラウンドで上になる。ここで試合終了となり、重田が判定勝利で新王座に就いた。
試合後、重田は「あれだけ煽っておいて、端選手が強くて心が折れそうになったんですけど、セコンドの鶴屋(浩)先生、(浅倉)カンナさんはじめジム関係者のみなさん、サポートしてくれる人たちたちのおかげで何とかやりきれました。デビューして11カ月、無敗のままチャンピオンになりました。日本には3階級制覇した強いチャンピオン(伊澤星花)がいると思んですけど、いつか挑戦できるように頑張ります」とマイク。先輩の浅倉にもベルトを渡し、喜びを分かち合った。
【写真】今年の9月でデビュー20周年を迎える端(C)SHOJIRO KAMEIKE
31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、フライ級QOPの端貴代が重田ホノカの挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike
2021年10月にNØRIを下して暫定QOPとなった端は、正規王者に昇格後、ダイレクトリマッチでもNØRIに判定勝ちを収めて初防衛に成功した。11カ月の試合に向けて――というよりも、20年にも及ぶ端のキャリアを支えてきた「格闘魂の底力」について訊いたところ、まさかの答えが返ってきた。
――練習後のお疲れのところインタビューを受けていただき、ありがとうございます。
「こちらこそ、すみません。こんな遅い時間に……(※22時から取材がスタート)」
――我々は問題ないのですが、端選手は現在どのようなスケジュールで1日を過ごしているのですか。
「昼間は飲食店で仕事をしていて、夜は19時から22時、23時ぐらいまでジムで練習です。あと土日は実家(御食事処 三好弥)の手伝いをしています」
――今、ファイターが注目するお店といえば三好弥か「スナックふじの」ですね。
「アハハハ! 何か始まりましたね(笑)」
――多くの選手が「端さんの練習はハードだ」と口にします。試合前と通常の期間で練習内容は異なるのでしょうか。
「通常はいろんなことを試して、試合前は試合でやることを徹底して練習するという感じですね。だいたい試合の2カ月前ぐらいから練習内容を切り替えます」
――端選手がプロデビューした頃は、ショートノーティスで試合をすることも多かったです。一方で今回は前の試合から1年という期間が空いており、一般的には「ブランク」と呼ばれる試合間隔ではあります。ただ、現在の端選手にとっては、それぐらいの試合間隔のほうが良いのでしょうか。
「昔のように試合を詰め込むよりは――というぐらいですね。でも最近は、試合のない期間に試し、繰り返していることが試合でも繋がってきています。そういう意味では良い試合間隔なのかもしれないですね。
試合も『機会があれば』という感じで、試合が無ければ無いで……とは考えています。昔は私の人生には格闘技しかなかったけど、今はそういうわけではないですし」
――前回の試合が1年前なので昔の話を振り返るようですが……、端選手は試合前に「相手の心を折りに行く試合をしたい」と仰っていました。実際のところ、相手の心を折ることはできたのですか。
「う~ん、相手も心が強かったですよね。そこで自分も仕留めることができませんでした。私自身がもっと攻めていれば――特に最後は腕十字を極めきりたかったです」
――1Rにあれだけ端選手がコントロールしていながら、2RにNØRIがバックマウントを奪うなど盛り返してくるとは思いませんでした。
「2Rは私がミスしましたね。今もまだ凄く反省しています(苦笑)」
――端選手がバックマウントまで奪われる展開は、あまり記憶にありません。
「そう言われてみると、私も最近では記憶にないですね。特に四の字で腕まで巻き込まれて。自分でも過去最悪のポジションを許してしまったと思います。だから、なのか……2Rは『アレッ!? こんな展開になっちゃった』と、焦りはありました。ただ、あの展開で極められることはないとは感じていましたね。何がどう、ということではなく長年の経験と感覚で(笑)」
――2Rを凌いだ端選手が、3R以降は一方的に攻め込みました。あの展開で心が折れなかったNØRI選手も成長を感じさせたと思います。そんななかで端選手は、どの段階で仕留めようと考えていたのですか。
「一つひとつ積み上げて、最後に極めたいと思っていました。私って、いきなりバシッと極めるスタイルではないじゃないですか。とにかく、私がやることは決まっている。自分がやることを徹底して、貫く。ラウンドごとに細かく作戦を変えるわけでもないですし」
――それが端選手らしさであり、凄さだと思います。フルラウンドに渡って、試合前に決めたスタイルを貫くために動き続ける。普段は体力面のトレーニングはしているのですか。
「体力トレーニングというより、サーキットトレーニングやミット打ちで鍛えていきますね。NØRI選手との初戦は相手がサークリングし続けたので、私も打撃を練習どおりには出せなかったんですよ。それが再戦では相手も組んできてくれて、私としては戦いやすい面はありました。戦いやすい……うん、『試合をした!』という実感はありました」
――端選手はこれまでスマックガール、DEEPジュエルス、そしてパンクラスQOPのベルトを巻いてきました。今の端選手にとってベルトとは、どのようなものなのでしょうか。
「私の『生きた証』ですかね。毎日やり続けてきたことが結果として、形として表れたのがベルトなんじゃないかなって思います。特にパンクラスのベルトに対しては、『守りたい』という気持ちが強いです。今まで初防衛に成功したことがなかったですし」
――確かに。これまでスマックガールはベルトを巻いたあとに活動休止となってしまいましたし、DEEPジュエルスは初防衛戦でキム・ジヨンに敗れました。
「あの頃はベルトを持って海外に挑んでいた時期でもあったんですよ」
――スマックガール王者となってストライクフォースの王座決定戦に出場。 DEEPジュエルスのベルトを巻いてインヴィクタFC王座に挑戦したりと……。「はい。だからといって初防衛戦に憧れがあったというわけではないんですけど――やっぱりキム・ジヨンとの防衛戦が、ずっと心のどこかに残っていて。
キム・ジヨンとはROAD FCで試合をしたことがあり、その時はドローでした。そうやって一度対戦したことがある選手のことって何となく分かるじゃないですか。だから再戦では……、何と言えばいいのか」
――再戦では試合前から「勝てる」と考えていたということですか。
「勝つか負けるかは、やってみないと分からないと思うんです。でも試合に向かうまでの気持ちを考えると、自分の中に甘さがありました」
――つまり自分に負けたということですね。
「そんな甘えがあった自分に納得がいかないと言ったら言い過ぎかもしれないけどね。だからNØRI選手との初防衛戦では甘えもなく、私としては初戦の続きを戦うという意識で。ただ初防衛に成功して、NØRI選手との再戦に勝っても結局は満足できなくて(苦笑)。
勝ったことについては、その時は嬉しいです。でも試合後は『あぁバックを取られてしまったなぁ』とか「仕留めきれなかった!」という気持ちのほうが強くなります。だから、ずっとMMAを辞めることができないのかもしれませんね」
――前回のNØRI戦で初防衛を果たすことができました。端選手の中はキム・ジヨン戦のことを払拭できたかもしれません。そして今回も防衛戦になったということは、端選手としては今後もタイトルマッチを続けていきたいということなのでしょうか。
「私としてはタイトルマッチでも、ノンタイトルマッチでも構いません。ただ、私ももうこの年齢なので……」
――どういうことでしょうか。
「NØRI選手に勝って暫定王者になったのが2021年で。そのベルトを持って他のところで戦えるような状態でもなかったです。だから諦めたというわけでもなく、とにかく目の前の試合を考える。チャンピオンであるかぎり、絶対に防衛戦はやらないといけないものじゃないですか。だからMMAを続けるために、このベルトがあるんだなと思っています。
それと今、パンクラスの女子が徐々に盛り上がってきていますよね。同じ大会で女子の試合が他にも3試合あって。私が対戦する重田選手もそうですけど、新しい選手が上がってきて対戦するというのが楽しいんです。もっともっと選手層が厚くなってくれればって」
――では重田選手について印象を教えてください。
「ライカ戦の前はストロー級でやっていたので、当時は対戦するとは考えていなかったです。でもストロー級の時も、『強い選手が出てきなぁ。こういう戦い方を自分もやってみたいなぁ』と思っていましたよ。それは重田選手に限らず、他の選手の試合を視ていても。
でもやっぱりライカ戦の時は『本当に強いなぁ』と感じました。私もライカさんとは対戦したことがありますし。特にテイクダウンする力は本当に強いと思いますね」
――端選手にとっては久々に組みが中心の相手と対戦することになります。
「私の場合は、グラップラーの選手でもあっても組みを避けてくるじゃないですか。だからガッツリ組んで来る試合は、もともと少なかったです(苦笑)。だから重田選手が、どう出て来るのか。ライカ戦を視ると、私としては『テイクダウンしてから、こういうふうに展開できると良いなぁ』と思いました」
――端選手が重田選手のように戦いたいと思うことがあるのですか。
「アハハハ、そうです。『私がやりたい戦いってコレだな』と思う展開がありました。どの展開かは言わないけど、コントロールの方法としてはベーシックで強いと思います。だから私もやりたいけど、自分もしっかり対策できるという面はありますね」
――重田選手の煽りについては、どのように受け止めていますか。
「別に、どうとも思っていないです。私たちがやっているのは言葉の交換ではないので。MMAだから体で感じるものだし、次の試合で感じてもらえることができるとは思います」
――試合で相手に感じさせたいものが、記者会見で仰っていた「格闘魂の底力」なのでしょうか。
「あぁ、あれですね。格闘魂の底力とは――気合いと根性です」
――そこですか!
「やっぱり最後にモノを言うのは気合いと根性なので。次の試合も気合いと根性で頑張ります!」
■視聴方法(予定)
2024年3月31日(日)
午後1時00分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ
【写真】この選手は図太い神経の持ち主だと思っていたのですが、とことん練習をして自信をつけていることが分かりました(C)SHOJIRO KAMEIKE
31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、重田ホノカが端貴代の持つフライ級QOPのベルトに挑む。
Text by Shojiro Kameike
昨年プロデビューし、ここまで3連勝中の重田は、現在20歳。若さゆえのビッグマウスも聞かれるが、決して口だけではない実力を証明してきた。その自身の源は、パラエストラ千葉ネットワーク改めTHE BLACKBELT JAPANでの練習にある。重田が練習で大号泣する理由とは?
――現在は追い込み練習の最中とのことですが(※取材は3月21日に行われた)、タイトルマッチを控えているといえど、表情も気持ちもこれまでの3試合と変わらなそうですね。
「全然変わらないです(笑)。柔道時代から、大きな大会であっても特に気持ちは変わらないんですよ。気を張っていても勝つ時は勝つし、負ける時は負ける。逆に気持ちが乗っていなくても、勝つ時は勝つので。やっぱり試合は、どれだけ準備できているかが大きいと思います。しっかり準備して、あとは戦うだけっていう」
――ベルトに挑戦できることに対する嬉しさはないですか。
「特にないです! 『次はタイトルマッチです』、『やりま~す』みたいな感じで」
――ただ、フライ級1位のライカ選手を下した時に「次はタイトルマッチが組まれるだろう」という想定みたいなものは持っていたのではないでしょうか。
「いやぁ……勝つには勝ちましたけどフィニッシュできなくて、試合後は泣きながら牛丼を食べていました(苦笑)。『もっと大きく叩いておけば良かったんですかね?』とか」
――重田選手としてはフィニッシュできなかったとはいえ、1R終盤はストップしても良かったのではないかと思います。
「あれは私もよくないんですよ。もう1Rでフィニッシュできると思って連打したら、殴りすぎて疲れちゃったんです。両腕の前腕がパンパンになって、2R以降の動きにも少し影響してしまいましたね。
ああいうシーンでは殴り方も重要なんだなって思いました。たとえば少し殴って相手が少し動いて、また私が殴って――ということの繰り返しだと、1回1回リセットされてしまうじゃないですか」
――なるほど。レフェリーストップのタイミングがリセットされてしまうわけですね。
「はい。相手を完全に動けない状態にしてパウンドを落とし続ける、ということも必要なんだなって分かりました。それで殴り続けていたら腕がバンバンになって、2Rにバックを奪ってRNCを極めようと思っても腕が使えなかったんですよ」
――パウンドによるレフェリーストップに対しては、以前に荒東“怪獣キラー”英孝選手が「レフェリーが試合をストップする理由をつくる。効かせるというよりもパンチをまとめるほうが正しい」と仰っていました。
「あぁ、そうなんですね。良いことを聞きました(笑)」
――一方で、あの連打を受け続けても決して諦めないライカ選手の気持ちの強さも見えた試合ではありました。
「そうですか。試合中に相手のことを見ていなかったので……。私としては、まず1回目のテイクダウンで成功するとは思っていなかったんですよ。だけど倒すことができたから、『今日はいける!』と思ってしまって(苦笑)。手応えとしては、おそらくライカ選手は自分のスピードについてくることができない。さらに1Rでかなり削ったからだと思いますけど、2R以降は相手のパンチもスピードがなくなっていました。このパンチをもらっても効くことはないと判断して、あとはどこでフィニッシュするか――と考えていましたね」
――どの時点でフィニッシュするつもりだったのでしょうか。
「3Rです。最後に私がバックマウントから腕十字を狙ったじゃないですか。腕十字って逃げられると自分が下になるリスクもあるので、最後の最後まで躊躇してしまった部分はあるんです。バックも取っているし、このままキープしていても勝てるわけで。だから極めに行くのが終了間際になってしまいました」
――実際、重田選手が十字で腕を伸ばしたところで試合は終了しました。
「2Rもバックに回ってから、RNCか十字を狙っていたんですよ。でも1Rの展開から、私に時間を考える余裕が生まれちゃって。今、極めに行って失敗したら後半がキツくなるとか。ライカ選手はもともとボクシングの世界チャンピオンだから、スタンドに戻って一発を食らうと危ないですし。であれば、このまま寝かせておいたほうが良い。そう考えながら時計をチラチラ見ていて……。欲を言えばフィニッシュしたかったけど、勝つために安全パイを選んでしまったと思います」
――勝利のために安全パイを選ぶこともあると思います。特に挑戦者決定戦の意味合いを持つマッチメイクで、勝てばタイトル挑戦が待っているわけですから。もう一つはフィニッシュすることと、3R通じて相手に何もさせない――完全にドミネイトすることで、どちらが強さを感じさせるのか。
「確かに。3Rずっと立たせず、抑え込んで殴り続けるのも難しいですもんね」
――これはMMAという競技を考えるうえで、いつも意見が分かれるところです。ただ、ライカ選手をフルラウンド圧倒したことで、さらに重田選手の強さを見ることができたのも事実です。正直なところ「ここまでやれるのか……」と驚きました。
「ありがとうございます。体力には自信があるので(笑)」
――アハハハ。
「前回の試合も自分がコントロールし続けているので、息があがることはなかったです。試合が終わっても息は切れていなかったぐらいで。でも、それって見ているお客さんからすると……って考えることはあるんですよね。『まだ体力が残っているなら、もっと行けよ』と思われるかなって。実際、自分でもそう思われて仕方ない試合をしてしまったと思います。だから次のタイトルマッチは、余力を残さない試合をしたいです。フルラウンド、相手を潰しに行きますよ。でも5Rまでやるつもりはないですけどね」
――まだプロ3戦目でありながら、ライカ選手を圧倒できる試合ができた。そこにご自身の成長は感じますか。
「実感はないですけど、少しは成長できているのかなって思います。でも自信は全くないんですよ。昨日も練習で忍さん(太田忍)さんや御代川(敏志)さんにボコボコにされて、心も折れて半ベソになっていましたもん。『端さんにもボコボコにされて、私も心が折れてタップしてしまうのかな……』と考えてしまいましたから(苦笑)」
――……練習がトラウマになってしまうのではないですか。
「アハハハ。でも毎回、練習でボコボコにされることで『次の相手はここまで強くないだろう』と思えるんですよ。私はボコボコにされて強くなるタイプで。だからライカ選手のようなレベルの相手と対戦しても、気持ちの面で優位に立てるんじゃないかと思います。『端さんもウチの男子選手よりは強くない。強くない』と考えながら練習してきました」
――よほど練習でボコボコにされているのですね(笑)。
「女子MMAファイターって、まだまだ選手人口は多くないじゃないですか。だから男子選手と練習することはあっても、相手が受けてくれることが多いですよね。でも自分は、そんな練習は一切していないので。練習に対して甘えはない。その点だけは自信があります。端さんも男子選手に混ざって、甘えのない練習をしている方じゃないですか。私も同じか、それ以上だと思っていますから」
――確かに、端選手の練習に臨む姿勢は尊敬の対象にもなっています。
「ライカさんもそうですし端さんも、それだけの練習に取り組んできていることは本当に尊敬しています。あとは、今なら伊澤星花さんですかね」
――伊澤選手と練習したことはあるのですか。
「ないです。私は対戦する可能性がある選手とは練習しないので。でも伊澤さんと練習したことのある男子選手から聞くのは、とにかく巧いって。あとは強くなるために妥協がない。だけど、力は私のほうがあるって言われました」
――アハハハ。最後に自分を上げてきますね。
「それだけの練習をさせてもらっていると思うんです。たとえば月曜日の朝から、練習で征矢貴さんにギロチンを極められて大号泣したりとか」
――号泣するのですか。
「号泣ではなく、大号泣です(笑)。しかも一本目のスパーから極めてきますからね。翌日は忍さんと御代川さんにボコられ、また泣いて……。自分ほど試合前に泣かされている選手はいないと思っています。柔道時代から、相手が男だろうと誰だろうと練習でやられたら悔しい。打撃スパーでジャブを1回当てられただけで『絶対にブッ飛ばしてやる』と思うし、グラップリングで倒されたら『足にしがみついてでも極めてやる』っていう気持ちになりますよ。とにかく負けたくない、勝ちたいです」
――これまで端選手は、ジャブとグラウンドコントロールで相手を削り、勝利してきました。本人は謙遜から否定していますが、間違いなく相手の心を折ってきたファイターだと思います。重田選手はご自身が、これまで端選手が戦ってきた相手とは違うと言い切れますか。
「はい。そもそもテイクダウンされることはないし、端さんが私のスピード――特にスクランブルからの回転の速さには、ついてくることができないと思います」
――重田選手はストロー級でプロデビューしましたが、今回はフライ級のベルトに挑みます。前回のライカ戦もフライ級契約で、階級の違いなどは感じませんでしたか。
「私としては、フライ級よりもストロー級のほうが合っていると思います。でもフライ級でチャンスをもらった以上、ここで勝って改めて『ストロー級で戦いたい』と言いますよ。勝たないと自分に発言権はない。それがファイターだと思っているので」
■視聴方法(予定)
2024年3月31日(日)
午後1時00分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ
【写真】3月31日は女子アトム&フライ、ライト級と3階級のタイトルマッチが組まれる(C)MMAPLANET
8日(木)、東京都新宿区のサンエービルで3月31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 341の追加カードの記者会見及びタイトル戦調印式が2部制で行われた。
Text by Manabu Takashima
ここでは第一部に続き、アトム級クイーン・オブ・パンクラス決定戦=SARAMI沙弥子戦、ライト級KOPC=アキラ雑賀ヤン坊達也、フライ級QOPC=端貴代重田ホノカの3試合の調印式の模様をお届けしたい。
まず出場6選手が以下のように次回のタイトル戦に関して抱負を語った。
沙弥子
「いよいよベルトを賭けての戦いになったので、私らしいドロドロになっても関係ないファイトで、最後にベルトを巻きたいと思います」
SARAMI
「クリスマスイブに勝利して、ここに今日また呼んでもらえてとても嬉しく思っています。3月31日も勝利して、ベルトを持ってまたこうやって会見できるよう頑張りたいと思います」
重田ホノカ
「この日はベルトを獲って、全体を通しての主役になりたいと思います」
端貴代
「今回約1年振りの試合となりますが、防衛戦というのはベルトを獲ってからずっと決まっていたことなので、今回も全力をもって戦いたいと思います」
雑賀ヤン坊達也
「今回はタイトルマッチを受けてくれてアキラさん、ありがとうございます。前回の試合で初めて判定までいったんですけど、凄く疲れたんで今回は1Rで失神させてKOしてやろうかなと思っています」
アキラ
「初防衛ということで、チャンピオンの強い姿を見せられる試合をしたいと思います」
なお6選手とMMAPLANETとの質疑応答は以下の通りだ。
──沙弥子選手とSARAMI選手、ゴング格闘技の松山編集長が『この2人、3カ月で会見が3度目だよ。何も聞くことねぇよ』と言っていましたが……。逆にこの短期間で3人から1人の選手のことを集中して見てきたことはなかったかと思われます。先ほどまでお二人とも「全然印象は変わっていない」と言われていたのですが、このトーナメントを通して「こんなところがあったんだ」という発見があれば教えてください。
沙弥子 そうですね──正直、私が練習環境に困っていた時に凄く助けてくれて。練習中に体調が悪い時もすぐに気づいてくれて。本当に色々と助けてもらって、ここまで来られて。なんで、今回この決勝で戦うということは、彼女に私がここまでどれだけ成長できたのか見せられるタイミングだと思うので。私は誠意をもって彼女を倒したいと思います。
SARAMI ここ数年見てきた沙弥子選手は凄く優しくて、本当に良い人。
試合も実際にそうなんですけど、12月の試合は進化しているなっていうのは感じました。多分、充実した練習ができているんだろうなっていう印象です。ただ格闘技への向き合い方だったり、深めかたっていうところでは、まだまだ私とは比べ物にならない低い場所にいると思うので。しっかり、ずっとMMAをやってきた実力を見せて勝ちたいと思います。
──重田選手、対戦相手なので強気で行かないといけないと思うのですが、実際に26歳年上の選手との戦いです。お母さんと変わりない年齢の選手がMMAを続けて、チャンピオンでいるということに関してはどのように思っていますか(※重田のお母さんは40歳になったばかり)。
重田 …………。そうですね……。なるべくしてなっているんだろうなって思っていますけど、そこもタイミングとか色々と持っているモノが重なってなっていると思うんで。今回はそれが自分に回ってきていると思っているんで。全部もらいたいなと思っています、ハイ。
──端選手、今の質問をするともう少しリスペクトされた言葉が聞かれるかと思っていたのですが……それでも強気一点張りの彼女のことをどのように思われますか。
気持ちの強さという面でいえば、私も格闘技をずっと続けてきた格闘魂の底力というか──力強さがあると思うので、何を言われても私は動じません(笑)。
──アキラ選手とヤン坊選手、会見の資料に「アキラの豪腕か、ヤン坊の右か」と書かれてあります。アキラ選手は両方なのですが、ヤン坊選手は右のみ。これはどう思われますか。
雑賀 アハハハハ。そのまんまじゃないですか(笑)。ありがとうございます(笑)。
まぁ、そうですね。打撃のヤン坊選手に対して、僕がどう組むのか。そういう捉え方をしている人が多いと思いますが、打撃の部分でも全然勝っていると思うので。リーチの長さは圧倒的に負けていますが、そこを僕がどう工夫して勝つのかを見て欲しいです。
──「俺は左もあるよ」ということでしょうか。
アキラ もちろんです。何なら足もあります(笑)。
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8日(木)、東京都新宿区のサンエービルで3月31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 341の追加カードの記者会見及びタイトル戦調印式が2部制で行われている。
Text by Manabu Takashima
3月最終週に実施されることとなった春の大箱大会は、既にアトム級クイーン・オブ・パンクラス決定戦として同王座決定トーナメント準決勝を勝ち抜いたSARAMI沙弥子戦を筆頭に7試合が明らかとなっていた。
今回の会見ではライト級KOPC=アキラ雑賀ヤン坊達也、フライ級QOPC=端貴代重田ホノカ、バンタム級=田嶋椋井村塁、フェザー級の国際戦=中田大貴シュウジ・ヤマウチ、ライト級では松本光史天弥、そして女子フライ級が2試合=杉山しずかライカ& NØRI渡邉史佳の7試合が発表され、一部はタイトル戦以外の追加カード出場選手が揃い、二部は3つの選手権試合の調印式という段取りで会見は進んだ。
ライカの「今回、30周年記念に呼んでいただいてありがとうございます。思い切り全力で戦いたいと思います。お願いします」という意気込みでスタートした第一部の会見は以下のように順次、選手達が抱負を語った。
杉山しずか
「今年の初試合、パンクラスで初試合ということで良い試合、素晴らしい試合と言われるモノを皆さんに見せられるように頑張ります」
「1年振りの試合になるんですけども、記念大会に呼んでいただけて有難いと思っています」
「30周年という記念大会に今回も出場させていただけて、光栄に嬉しく思っています。
今回、女子のカードがけっこうあるので、その中で自分の好きな戦いで一番良い試合をしたいと思います」
井村塁
「パンクラス30周年、出ることができて光栄です。地元立川でしっかりと勝って、年内中にベルトを獲りに行きます」
田嶋椋
「30周年記念大会に呼んでいただき、ありがとうございます。今年一発目の試合なんで、しっかりと暴れたいと思います」
中田大貴
「去年悔しい思いをして。毎年、ベルトが獲れそうな距離でポカしてしまって。
それが悔しくて。でも、今年はホントにしっかりと創りなおして絶対にベルトを獲りに行きたいと思います」
天弥
「ここで松本選手を倒して、年内にベルトを獲れたらなと思っています」
「しっかりと仕上げて、良い試合をしたいと思います」
ここからはMMAPLANETの質問に対する、選手たちの返答をお届けしたい(※要約)。
──杉山選手、8日前に試合をする人が同じ家にいるとどのような空気になるのでしょうか。
杉山 配信を視てくださっている方に説明をすると、中村K太郎選手のことですね。RIZIN神戸大会に出るんですけど、私も応援に行きますし、試合の日というのは自分で整えるモノなので。とりあえず家の中は大変なことになると思いますが、むしろ同じ大会に出る方が大変かもしれないです。私の方は勝利を見届けるので、家の片づけをやってほしいと思います。
──先日某サイトのインタビューでチャンピオンの透暉鷹選手から「パンクラスのバンタム級で戦う相手がいないので、強い外国人選手と試合がしたい」という発言が聞かれました。この言葉、どのように受け止めていますか。
井村 自分、あと一歩のところでベルトに挑戦できなくて。
まぁ、負けて。言われてもしょうがないかなと。なんで勝ち続けて、かつ内容もそうなんですけど、しっかりと魅せて挑戦して勝つ。そういうことかなと思っています。
しっかりと試合で俺もできるぞというところを見せて挑戦したいです。
──中田選手、コリアンゾンビMMAとチーム・スタンガンで練習してきたことに関して、師匠の大沢ケンジさんが『韓国もやっていることはHEARTSと同じだ。圧を掛けてガンガン殴る。俺たちは間違っていない』と自信を深めていましたが、中田選手が掴んでくることはそこではないのではないかという気持ちもあります。韓国での練習で何を掴んできましたか。
中田 韓国はスパーリングが凄く多い環境でした。たくさん韓国の選手とスパーリングをしてきて、凄く良い経験になったと思います。でも技術的な面に関しては、日本でしっかりと考えながらやった方が、自分が強くなるには良いんじゃないかなと思いました。と同時に強い相手とスパーリングをするという点では韓国での練習は凄く実のある時間だったと思います。
──今回、シュウジ・ヤマウチ選手と戦ううえで韓国人選手のフィジカルを経験したことはどのような意味があると捉えていますか。
中田 そうですね、そういうフィジカルとメンタル。韓国の選手は前に出てくる選手が多かったので、そういったところで凄く良い練習になりました。
──松本選手、対戦相手がついに2勝1敗の若い選手を迎えることになりました。現状、2勝1敗の選手と戦うことをどのように思いますか。
松本 えぇと戦績はそうですけど、映像を視ると強い選手だと思います。ちゃんと取れれば、僕が上がることができる選手だと思います。
──その言葉を受けて、天弥選手。一言お願いします。
天弥 2勝1敗ですけど、その1敗は自分がグラウンドでヒザを蹴ってしまって……自分が悪いんですけど、特に負けたと思っていないので。
全勝で、このまま松本選手にも勝ちたいと思います。
The post 【Pancrase341】追加カード会見第一部。天弥「全勝で松本選手にも勝つ」。田嶋椋「俺もできるぞ」 first appeared on MMAPLANET.パンクラス 4.30 立川ステージガーデン(レポ):アキラ、久米鷹介との死闘制しライト級王座統一「日本一になります」。バンタム級王者・中島太一、5連勝の田嶋椋を完封し初防衛 https://t.co/azZgYtP46b
— BOUTREVIEW/バウトレビュー (@boutreview) April 30, 2023
全試合写真アップしました。 pic.twitter.com/wAoFJ2uCjw
第14試合 メインイベント パンクラス・ライト級王座統一戦 5分5R
×久米鷹介(ALIVE/王者)※4度目の防衛戦
○アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/暫定王者)
判定1-2 (大藪47-48/梅木48-47/山崎47-48)
※アキラが王座統一し正規王者に
第13試合 コーメイン パンクラス・バンタム級王座統一戦 5分5R
○中島太一(ロータス世田谷/王者、ネオブラッドトーナメント2012同級優勝)
×田嶋 椋(OOTA DOJO/暫定王者、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝&MVP)
判定3-0 (大藪50-45/山崎50-45/梅木50-45)
※中島が王座統一および初防衛
第12試合 パンクラス女子ストロー級チャンピオンシップ 5分5R
×KAREN(パラエストラ柏/王者)※PRAVAJRAから所属変更 ※初防衛戦
○ソルト(マルスジム/1位)
判定0-3 (大藪46-49/山崎46-49/梅木46-49)
※ソルトが王者に
第11試合 パンクラス女子フライ級チャンピオンシップ 5分5R
○端 貴代(和術慧舟會AKZA/王者)
×NØRI(PRAVAJRA/1位)
判定3-0 (大藪49-46/山崎49-46/梅木49-46)
※端が初防衛
第10試合 バンタム級 5分3R
○井村 塁(Nexusense/1位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝・MVP)
×石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/修斗世界2位・元環太平洋王者)
判定3-0 (出口29-28/山崎29-28/梅木29-28)
第9試合 フェザー級 5分3R
○亀井晨佑[しんすけ](パラエストラ八王子/2位、ネオブラッドトーナメント2018同級優勝)
×パン・ジェヒョク(韓国/コリアン・トップチーム)
判定2-1 (出口28-29/大藪29-28/梅木29-28)
第8試合 バンタム級 5分3R
○田中路教[みちのり](チーム・アルファメール/元PXC王者)
×笹 晋久[くにひさ](パラエストラ柏)
判定3-0 (出口30-27/大藪30-27/山崎30-27)
第7試合 女子ストロー級 5分3R
×藤野恵実(トライフォース赤坂/2位、元王者)
○エジナ・トラキナス[Edna Trakinas](ブラジル/ホシャ・トップチーム)
判定0-3 (荒牧28-29/大藪28-29/山崎28-29)
第6試合 ライト級 5分3R
×松本光史(M PLATIC/2位、元修斗世界王者)
○ヌルジャノフ・ルスタムベック[Nurzhanov Rustambek](キルギス/Salah/キルギスEFC暫定王者)
2R 1’01” KO (左フック)
※ルスタムベックは70.75kg(ライト級+450g(1ポンド))のリミットを50gオーバー。ルールでは5ポンド以内のオーバーの場合は試合が可能で、松本が同意し70.8kg契約で実施。松本は70.55kg。
第5試合 フライ級 5分3R
○有川直毅(K-PLACE/5位)
×コルトン・キエルバサ[Colton Kielbasa](米国/Marrok Force)
2R 5’00” TKO (ドクターストップ:右ストレートによる左まぶたの負傷)
第4試合 ライト級 5分3R
○粕谷優介(CROWN/3位)
×葛西和希(マッハ道場/4位)
判定3-0 (出口29-28/大藪29-28/山崎30-27)
第3試合 ライト級 5分3R
○松岡嵩志(パンクラスイズム横浜/5位)
×岡野裕城(マッハ道場/HEAT王者)
判定3-0 (山崎30-27/荒牧30-27/大藪30-27)
第2試合 バンタム級 5分3R
×ジェイク・ムラタ(パラエストラTB/ Fighting Nexus/元ZST王者)
○矢澤 諒(パンクラスイズム横浜)
1R 4’33” KO (右フック)
第1試合 女子ストロー級 5分3R
×高本千代(高本道場)
○重田ホノカ(パラエストラ柏)
判定0-3 (大藪27-30/荒牧27-30/出口27-30)
プレリミナリー フェザー級 5分3R
×渡辺謙明(パラエストラ東京)
○平田直樹(フリー)
1R 2’18” 肩固め