カテゴリー
Interview ONE ONE Revolution ジョシュア・パシオ ブログ 猿田洋祐

【ONE Revolution】パシオに挑戦、猿田洋祐─02─「青木真也や朝倉未来と違う、猿田洋祐を表現していく」

【写真】地道にコツコツの繰り返し、それが猿田洋祐だ(C)MMAPLANET

24日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE「Revolution」でジョシュア・パシオの持つONE世界ストロー級王者に挑戦する猿田洋祐インタビュー後編。

2019年1月、そして4月に続きパシオとは3度目の対決となる猿田は、前回敗れた試合のことを悔いていた。楽な方を選択してしまった自分を──。

<猿田洋祐インタビューPart.01はコチラから>


──ジョシュア・パシオは2020年1月から1試合をしていないです。どのような彼をイメージしていますか。

「パシオ対策というものも確かにあるのですが、どちらかというと、のび太戦からアップグレードしたモノを試合で出して、それで勝ちたいです。打撃も組み技もそうですが、これまで出してきていなかったモノも含めて──ですね。ケガをして手術をし、練習ができない時間にこれまで以上に色々な試合をチェックしました。練習ができないからこそ、見えてきたモノがあるというか。気付いていなかったことに気付けたということが、たくさんありました。そこを踏まえて細かく練習しているので、よりMMAが楽しくなっています。15年やってきて、やっと気づけたということがありますね」

──手応えを感じることができた?

「できました。ある程度、固まってきています。ただし、それを試合で出すことができるのか。実戦の緊張感のなかで出せるのか……、楽しみです」

──猿田選手はSNSなどで、困難な方を選択するということを言われていますね。

「しんどい道を選ぶと言ったのは、前回のパシオ戦の後悔があります。15年間、MMAをやってきて、どの試合中でも厳しい方を選んで戦ってきました。それが……あの試合だけ一瞬、楽な方を選んでしまったんです。そこで一瞬にして負けてしまいました。

このことはずっと後悔しています。あの時、初めて『早く試合が終わって欲しい』という気持ちが本当に一瞬だけですけど、出てしまったんです。で、相手のことも見ずに闇雲に振ったパンチに蹴りを合わされて、KOされてしまいました。テクニックとかでなく、メンタルで負けた。

あれからは普段の生活から、楽をしないでいこうということを意識してやってきました。仕事でも練習でも、厳しい方を選んできました。そういうことが試合に生きる……今回は最初から最後まで辛い道、厳しい道を自分から進んで戦い抜きたいと思います」

──なぜ、楽な方を選択してしまったのか。その原因は掴めていますか。

「ハイ。あの時は、まずコンディションを創ることが難しかったです。チャンピオンになって、気持ちは次に向いていたのですが、12月、1月(2018年12月にアレックス・シウバに3R判定勝ち、2019年1月にジョシュア・パシオに5R判定勝ちでストロー級王者に)と連続で戦い、多少ケガもありました。防衛戦が決まってからは2カ月あったので、自分のなかでは2カ月あればもっと良い準備ができると思っていました。

ただ疲労、ダメージの蓄積というモノが体に残っていました。そこを考えることができず、万全の状態で防衛戦に臨めなかったです。そこも後悔しています。そんな状態だったので、早く試合が終わって欲しいという気持ちに向いてしまったかと思います」

──なるほどぉ。その経験をして、私生活から厳しい道を選択するという風に心掛けてきたと。その厳しさに通じるのですが、ONEストロー級はバンマードォーチーこそ経験不足を露呈した感もありますが、ボカン・マスンヤネやジャレッド・ブルックスなどニューカマーがおり、層が厚くなり、厳しい戦いが増えそうです。だからこそ、猿田選手が言われてきたストロー級も盛り上げることに通じるかと。今も、そのように思い続けていますか。

「そうですね。ONEのストロー級と日本のストロー級の違いは稼げるということです。やはりプロスポーツなので、お金のことは大切です。引退後のことを考えても。夢がないと続かない。

若い選手たちも日本でチャンピオンになってONEや海外で活躍できれば、体が小さくてもMMAで食っていける。そういう夢を以前より、持てるようになってきています。その一例に自分がなれれば……厳しい環境で、に勝っていければと良いなと思っています」

──ONEで戦うことで、その意識が芽生えたということですか。

「そうですね。国内だけで見ていると、稼げない。同じように体を張って、命を賭けてやっているのだから、今の自分からすると以前はよく戦っていたなと思うところは……本音ですけど、あります。

ただしONEのチャンピオンになっても人生は変わらなかったです。期間も短かったですし。チャンピオンになって、どういう人生を歩めるのか。ONEが人生を変えてくれるわけじゃない。ONEのチャンピオンになって、自分で変えていかないと。そこがまた楽しみでもあります。チャンピオンになってどういう発言をして、どういう行動をしていくのか。

前回はできなかったので、ここでベルトを巻いてやっていきたいと思います。青木真也とも朝倉未来とは違う、猿田洋祐というモノを表現していきたいです」

■視聴方法(予定)
9月24日(金・日本時間)
午後8時00分~ ABEMA格闘チャンネル
午後8時00分~ONE Super App

■ ONE「Revolution」対戦カード

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者] オク・レユン(韓国)

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
【王者】カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
【挑戦者】メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
[挑戦者]猿田洋祐(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
マーチン・ウェン(豪州)
キム・ジェウン(韓国)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
アミール・アリアックバリ(イラン)
アナトリー・マリキン(ロシア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・リー(米国)
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ハシガトゥ(中国)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ペッダム・ペッティンディー・アカデミー(タイ)
内藤大樹(日本)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
マーカス・アルメイダ(ブラジル)
トーマス・ナルモ(ノルウェー)

<キックボクシング・バンタム級/3分3R>
ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)
ジャン・チェンロン(中国)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ジェームス・ヤン(米国)
ロエル・ロサウロ(フィリピン)

The post 【ONE Revolution】パシオに挑戦、猿田洋祐─02─「青木真也や朝倉未来と違う、猿田洋祐を表現していく」 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
ABEMA MMA ONE ONE Revolution オク・レユン キック クリスチャン・リー ジョシュア・パシオ 修斗 海外 猿田洋祐

【ONE Revolution】パシオと決着戦、猿田洋祐「リベンジがしたいわけじゃない。狙っているのはベルト」

【写真】ブレがない猿田。手術痕を誇示してポーズ!!(C)MMAPLANET

24日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE「Revolution」で猿田洋祐が、ジョシュア・パシオの持つONE世界ストロー級王者に挑戦する。

ONE世界ライト級選手権試合=王者クリスチャン・リー✖ 挑戦者オク・レユン、ONEキック世界バンタム級選手権試合=王者カピタン・ペッティンディーアカデミー✖挑戦者メヂ・ザッツプッツと並び、トリプルクラウンが組まれた同大会で、猿田が3度目のパシオ戦に挑む。

昨年9月のRoad to ONE、内藤のび太を破ってから1年が過ぎ、ついにタイトル挑戦の日が決まった猿田の心境、王座奪取に賭ける想いを尋ねた。


──去年9月にRoad to ONEで内藤のび太選手に勝利してから1年が経ち、パシオへの挑戦となりました。内藤のび太戦ですが、今から振り返るとONEと契約している選手が日本で日本人選手と試合をする。なかなかリスキーなことで、大抵の選手は嫌がる状況下での試合を猿田選手は率先して戦いました。これこそ猿田選手のタイトルへの想いが表れた試合だったかと。

「確か1カ月ぐらい前だったと思うんですよね、オファーが来たのが。内藤のび太選手と試合をやるのに準備期間が1カ月、他の選手だったら断るかもしれないですね。でも自分はなんか、あまり試合を断ったことがなくて……というか断ったことは1度もないと思うんですよね。2週間前とかのオファーでも受けてきたので、のび太選手との試合も即決しました。

のび太選手とはやるだろうとイメージしていたので、即答できたというのもあります。ずっと戦いたい相手だったので。それがONEのタイトルマッチでメインイベントとかでできたら最高だなっていうイメージをしていました。だから、自分はすぐに飛びつきました。

迷いはなかったし、あとランキングも発表されていたじゃないですか。1位と2位の対戦、もちろんONEの本戦で戦うことができれば1番のアピールになっていたと思います。でも、ただ待っていてもチャンスは巡って来ないので。O-EASTで試合をしても、その結果は必ずメディアが報じてくれます。良いアピールになるので迷いはなかったです。あの試合があったから、1年という時間は掛かりましたけどタイトル戦が決まったという想いではいます」

──内々では昨年の11月か12月にパシオへの挑戦が決まっていたかと。

「ハイ、11月でした」

──パシオのケガで流れたという話もありましたが、当時のラカイは選手の感染もあったようでメディアでは正確な情報が掴み辛かったです。

「僕もパシオの怪我だと聞きました。ただ、それで精神的な上下というのはなかったです。そういうのはあまりないんですよね。以前はありましたけど、大沢さんに変えてもらって。昔は修斗のチャンピオンを目指していて、そこがゴールだと思っていました。そのためにHEARTSに移籍して、チャンピオンになりました。そこでは『防衛していって引退するのかな』っていうイメージしかなかったです。でも試合が終わった直後に大沢さんから『他の団体でも獲れよ』、『2階級、やれよ』と言ってくれて。

それに乗せられたというか(笑)。大沢さんのような人がいないと、やっぱり自分で考えているだけだったら、上を目指せていなかったです。大沢さんがいてくれて助かりました。自分のスタイルというか、試合は華がある感じではないので……」

──何て返せば良いのか……。

「パッと見で注目されるような試合はできないので、どうすれば注目してもらえるのかを考えた時、大沢さんが『いっぱい試合をしろ』ってアドバイスをくれました。チャンピオンになっても2カ月に1度試合をするとか。団体を渡り歩いて、試合をしていくとか。他のチャンピオンがやらないことをやっていこうと。それしかないと言ってもらえましたね」

──シュガー・レイ・レナードではなくて、トーマス・ハーンズということですね。

「いやぁ、分からないですけど(笑)」

──スーパースターになって大きな試合だけやっていくのか、ランキングを上がってきたボクサーと従来通り防衛していくのか。前者は負けても、それほど傷ついたイメージはなかったです。でも、後者のハーンズはそうやって試合を続けていると、ビックネームを相手にしていなくても負ける可能性がある。そんなハーンズが、どんどん格好良くなっていったんですよね。

「まぁ、そうですね。そういう姿勢を見せていきたいです」

──そういう風に考えると、ストロー級で海外、国際戦で戦っていける。そういう舞台がONEにできたことは猿田選手のキャリアでも本当に大きなことでしたね。それでも11月予定が、10カ月遅れで実現というのはなかなか気持ち的にも難しい時期があったのではないでしょうか。

「そうですね。11月にあるかもと言われていた試合がなくなって、次は1月、それから4月となく、7月ぐらいにあるかもしれないと言われていたので、その度に試合に向けて創っていく、それだけでした。あと今年に入ってから、ちょっとヒジの調子が悪くなって……もともと痛めていたのですが、頭や顔を洗うこともできないとか日常生活にも影響が出てきてしまって」

──それはかなりの症状ですね。

「それこそヒジに抜けそうになっていて、どこかのタイミングで手術をしないといけないと考えていました。でも4月にタイトル戦があるかもしれないということで、テーピングを巻きながら練習はしていたんです。結果、2月の終わりぐらいに4月はないということが分かって、それならこのままずっとやっていても良い練習はできないし、この状態で試合をしても後悔してしまう。そう思ったので、4月の頭に手術をしました。

先生は『普通だったら試合に出たり、練習ができるようになるまで半年は掛かる』と言われていたのですが、結局1カ月間で練習に復帰しました(笑)」

──それだけ、治癒が早かったと。頑丈ですね。

「頑丈なんですかね(笑)。でも、自分でも先生に『1カ月半、2カ月あれば治ると思います』って話していたんです。そのイメージでいたら、そうなりました(笑)。そうしないと間に合わないと思っていたので。だからリハビリに関しても、7月に試合をするイメージでやっていました」

──イメージすることが、そこまで大切だったとは。自分も五十肩が治るイメージを持つようにします(笑)。ところでこの間に挑戦権が、他の選手に回るという不安はなかったですか。

「う~ん、そうなるならそれで全然構わないし、別に順番はどうでも良いです。もっと言ったら、別にパシオでなくても良い。狙っているのは、ONEのストロー級王座なので。世界一のタイトルを持っているのが、今パシオ選手だから挑戦したいだけで、別に前回のリベンジをしたいわけじゃないし、彼と絶対に戦いたいというわけではないんです。現段階のチャンピオン、強い奴とやりたいだけで。常にそれは思っています」

<この項、続く>

The post 【ONE Revolution】パシオと決着戦、猿田洋祐「リベンジがしたいわけじゃない。狙っているのはベルト」 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
ABEMA ONE ONE Championship YouTube 修斗 海外 猿田洋祐

格闘技通通信8月26日 RIZIN朝倉未来vs萩原京平○今週日曜8月29日EXFIGHT!○タイロンウッドリーvsジェイクポール

👇👇👇格闘技を見るならABEMA
https://bit.ly/3tCP2mH
👆👆👆大沢ケンジが解説をつとめるABEMAの格闘技中継
ONE Championshipや修斗は下記のURLからABEMA プライムに
2週間無料登録できますので是非!
日本人が海外で戦う姿や国内の団体も面白いのでぜひ!

検証!超体格差バトル52kg級総合格闘技世界王者・猿田洋祐VS180kgビッグジョー

朝倉海vsBIGジョー!衝撃の破壊力パンチvs衝撃の吸収力ボディ

【朝倉未来にドッキリ】大巨人が背後から不意打ち!

内山高志の本気パンチで180kgビッグ・ジョーは倒せるのか!?

カテゴリー
News ONE ONE Evolution オク・レユン クリスチャン・リー ジョシュア・パシオ ブログ 猿田洋祐

【ONE Revolution】9月24日にクリスチャン・リー✖オク・レユン。そしてパシオ✖猿田の決着戦

【写真】ようやくPacio vs Saruta IIIが実現する(C)MMAPLANET

17日(火・現地時間)、ONE Championshipのチャトリ・シットヨートンが自らのSNSで、9月24日(金・同)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムでONE「Revolution」を開催することと、タイトル戦3試合を発表している。

9月3日(金・同)のオール女子イベント=Empowerからオンリー・ライブ中継イベントが復活するONEが、早くもその次のイベントでMMA2階級、ムエタイ1階級のトリプルクラウンを組むことを明らかとした。


その3階級とはMMAがライト級で王者クリスチャン・リーにオク・レユンが挑む一戦と、日本の猿田洋祐がジョシュア・パシオとの決着戦に挑むONE世界ストロー級選手権試合の2試合、そしてキックの世界バンタム級選手権試合=王者=王者カピタン・ペッティンディーアカデミー✖挑戦者メヂ・ザッツプッツ戦だ。

クリスチャン・リーにとって3度目の王座防衛戦は、韓国からのチャレンジャー=オク・レユンを迎え撃つこととなった。オク・レユンは4月のTNTシリーズでマラット・ガフロフ戦勝利に続き、エディ・アルバレスの3大メジャー制覇の夢を潰し、挑戦権を掴んだ。

パシオ✖猿田のトリロジー決着戦は、昨年の国際大会再開期に一度決定していたが、パシオの負傷で流れたという背景がある。去年はパンデミック化で、リスクの高い国内大会=Road to ONEに出場して、内藤のび太に勝利した猿田。それだけタイトル奪回への想いは強い。

またONEにとって2021年9月は活動開始から10年の記念月間。年末まで記念シリーズが続くという話も伝わって来ていたが、10周年に相応しいカードの発表を待ちたい。

■ONE Battle Ground03視聴方法(予定)
8月27日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App

■ ONE Battle Ground03対戦カード

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)

<57.7キロ契約/5分3R>
デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)
バンマードォーチー(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
キム・デフォン(韓国)
シェ・ウェイ(中国)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ビー・ニューイェン(米国)
ジェネリン・オルシム(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ティオル・タン(米国)
ソン・ミンジョン(韓国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
プレウ・オトゴンジャルガル(モンゴル)
ベン・ロイル(英国)

The post 【ONE Revolution】9月24日にクリスチャン・リー✖オク・レユン。そしてパシオ✖猿田の決着戦 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
Interview ONE Road to ONE03 ブログ 内藤のび太 猿田洋祐

【Road to ONE03】猿田洋祐が話していたこと「まだまだストロー級は2人で引っ張っていきたい」

【写真】試合直後だけに、考えがまとまる以前の感情が聞かれたかもしれない (C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

10日(木)、東京都渋谷区のO-Eastで開催されたROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで、猿田洋祐が内藤のび太との激闘を制し3-0の判定勝ちを収めた。

大会終了直後に猿田に語っていた試合内容、そして──のび太への想いを掲載したい。


──長年夢見てきた内藤のび太戦で、判定勝ちを収めました。あらためて今の気持ちを教えてください。

「それは試合直後と同じで、フィニッシュしたかったです。その気持ちが強いです。自信もありましたし、差を見せたかったので。嬉しいというよりも悔しいと気持ちの方が大きいです」

──差を見せた結果が3-0の判定勝ちだと思うのですが、もっと明確な差を見せたかったということでしょうか。

「戦っている途中は必死だったので、どんな試合展開だったのかも覚えていません。ただ、もっとやりたいことを押し通したかったです」

──試合でやりたかったこととは、どういう攻撃だったのでしょうか。

「もっと打撃でプレッシャーをかけて、自分だけが当ててテイクダウン、そしてパウンドするということですね」

──う~ん、相手があってのことですし。

「一番の理想ですけどね。それを1Rからずっと続けていれば、タイムアップまでに終わらせることができたのではないかと。それが一番の勝ち方でしたので」

──試合を見てきて、猿田選手が積んできたことの証明として、のび太選手よりも組みと打撃の融合や接点が多く見られたことだのように思いました。

「もっとミックスしたかったです。のび太選手だけでなく、日本のストロー級の選手に差を見せつけたかったので」

──ケージ・ダーティーボクシング、しんどい試合ではありました。

「ドロドロですよね(笑)。ONEの判定基準を意識した戦い方です。立ちに行ってバックを譲りたくないというのも確かにあります。だけど止まっていて何もしないのではなく、パンチを打つ。ボディでもダメージを与えようとする……というのは、ONEの裁定基準を意識した戦いではありました」

──ダメージを与えるという、ポイント計算でもあったわけですね。あの展開も想定済みだったということでしょうか。

「背中をつかされたり、バックを取られない。のび太選手と戦うと皆、そうなるじゃないですか。だから、あそこまで。ケージに背中をつけて、あれ以上はさせなかったというのはあります。

それでも最終回ののび太選手の気迫というか、執念というか……これまでの自分が戦ってきた試合では感じたことのない必死さがありました。だからこそ、自分もそこに負けてはいけないという気持ちで戦いました」

──のび太選手は諦めない、その一点がここまで凄まじいかと感じました。

「これが4R、5Rがあったらどうなったのか……そういう気持ちはありますね」

──では試合前に言われていた、この試合でジョシュア・パシオにプレッシャーを与えるということはできたでしょうか。

「う~ん、率直な気持ちでいえば……フィニッシュしてパシオ待っていろとか言いたかったですけどね(苦笑)。でも負けなかったということが、自分のなかで重要なんじゃないかと。負けたら、次にタイトルマッチはないですから。勝てたので修正するだけ。勝てばまた試合は組まれますし、修正すれば勝つチャンスはありますから。そこだけですね」

──このコンパクトな大会で、多くの人がストロー級の試合を見たと思います。

「これが5年前だったら、この試合が組まれても回りの人は見たいと思わなかったと思います。この5年間でのび太選手も自分も修斗とONEのチャンピオンになったことで、たくさんの人が見たいと思ってくれた。これだけの人が注目してくれたこと……それだけでも良かったというのはあります」

──だから、のび太選手とストロー級を引っ張っていきたいというマイクでの言葉があったのでしょうか。

「やっぱり……好きなんです。試合が終わって、このままのび太選手が引退してしまうんじゃないかっていう気持ちになって……嬉しいというよりも、心配になってしまって。でも、まだまだストロー級は2人で引っ張っていきたいです」

カテゴリー
ONE Report Road to ONE03 ブログ 内藤のび太 猿田洋祐

【Road to ONE03】最軽量ストロー級、魂の肉弾戦は猿田洋祐が内藤のび太から3-0の判定勝ち

【写真】組みの打撃のバランスで優った猿田がのび太を疲弊させ判定勝ちを手にした(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

<ストロー級(※61.2キロ)/5分3R>
猿田洋祐(日本)
Def.3-0
内藤のび太(日本)

ジャブを伸ばす両者。スイッチを見せる猿田が距離を詰める。飛び込んで左を当てた猿田に対し、のび太は右オーバーハンドから前蹴りを見せる。続いて左亜j部を当てのび太に対し、猿田は左ボディを入れる。のび太の踏み込みにワンツーを振るう猿田が、ステップインに跳びヒザを狙うが、そのままのび太が右足を取ってシングルから撮った足を振るい尻もちをつかせる。

両足を束ね、右足を抜かれても肩で押し込むのび太に対し、猿田はケージに詰まった上体で背中を叩く。残り1分を切っても猿田を立たせないのび太は背中をつかせることはできない。残り15秒を過ぎ、猿田がギロチンスイープから上を取り、パウンドを落とし初回を取ったか。

2R、ワンツーで右を当てた猿田。のび太は左前蹴り、猿田がワンツーを繰り出す。右オーバーハンドから左、右を見せた猿田に対し、のび太の距離はやや遠いか。左フックをかわして左ミドルを蹴ったのび太は、左ジャブを当てる、右をかわして組んだのび太だが、猿田は切って離れる。のび太は予想以上に打撃戦を続け、右を振るう。ここにテイクダウンを合わせた猿田が、立ち上がり際に右のパンチを入れる。のび太のスイープからスクランブルになると、両者がスタンドに。

猿田が左フックを当て、続く右フックでのび太がテイクダウン。ケージを背にした猿田、左足を束ねたのび太、両者がパンチを打っていく。ケージ・ダーティボクシング合戦は、最後の20秒でスタンドに戻り、猿田の内股気味の投げをのび太がすかして離れる。ここから打撃の間合いも、すぐに時間となった。

最終回、左をまず当てたのび太に対し、猿田はハイを狙う、のび太の右ローをキャッチして前に出た猿田だが、これはリリース。打撃の間合いに戻り、のび太がクリンチも猿田が押し返し、左エルボーを打って離れる。のび太のシングルレッグを切った猿田は、離れると右を伸ばす。のび太も前に出て前蹴りも、勢いが落ちたか。それでも前に出るのび太は左を被弾しても、組みへ。

すかした猿田はワンツー、のび太は左を当てる。続く蹴りに左を当てた猿田が、組んでケージにのび太を詰める。ケージを背負った状態でボディにヒザを受けたのび太は、離れた猿田を追いかけてスタンドへ。頭を振って前に出る猿田は、左フック。ダブルレッグも距離を取り直し、前に出てくるのび太に右、左ローを蹴る。のび太も右を当て返し、ローにも左を伸ばす。

残り40秒で組んだ猿田、のび太は体を入れ替えてケージに押し込む。最後20秒で押し込みに行き、ラスト10秒は打撃の距離に。タイムアップを迎え、猿田が3-0の判定で激闘を制した。

「盛り上げるため、それもありますけど、修斗時代からのび太選手を尊敬しストロー級に落としました。のび太選手に感謝しています。箕輪選手もいますが、、これからものび太選手と2人でONEのストロー級で盛り上げます。青木選手のように賢いこと言えないけど、ONEのストロー級世界王者になって、もっと知ってもらって、もっと金も稼ぎたい」と勝者はマイクで話した。


カテゴリー
News ONE Road to ONE03 グンダー・カルンダ ブログ 今成正和 内藤のび太 手塚裕之 根津優太 江藤公洋 猿田洋祐 青木真也

【Road to ONE03】記者会見─03─猿田「コスプレじゃない」。カルンダ「I love Ramen」

【写真】メディアもソーシャルディスタンスを忘れてしまう件…… (C)MMAPLANET

8日(火)、10日(木)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE 3rd TOKYO FINGHT NIGHTの記者会見が港区の東京ミッドタウン・カンファレンスROOM7行われた。

ここではMMAファイターと記者の質疑応答の模様を振り返りたい(※要約)。

──猿田選手とのび太選手に質問なのですが、珠理奈さんにも注目の試合に挙げられていました。今の心境を教えてください。

内藤のび太 ありがとうございます。ちょっと照れる感じです。なんか男性からのラブコールを受けたみたいで、嬉しいです。あっ、ちょっと気持ち悪い感じになっちゃうんですけど……。凄く嬉しい──と思います。ハイ。

猿田洋祐 自分が長年、修斗時代から戦いたいと思っていた試合が──自分だけでなく、回りの人も思ってくれるようになった。そこまで持ってこられたのが良かったなと思います。自分のなかで成長できたなと思います。


──青木選手に質問です。青木選手は格闘技界自体をプロデュースして生きてきていると思うのですが、そういう立場になるなかで青木選手と今成選手だけ、この場にいて違和感のある馴染まない雰囲気です。昔から一緒にやってきた今成選手とこのタイミングで同じ大会で試合をする。プロデューサー的な立場でなく、青木真也個人としてどのような気持ちですか。

青木真也 まず一つ言えるのが、好きだと思うんですよ、格闘技が。格闘技が好きで、別に世界だとか一番だとかってことをやっていないけど、格闘技が好きと思ってくれるだけで、なんか僕は許せるというか。

ここにいるとさ、皆が格闘技好きです、尊敬していますっていうわけなんですよ。色々言いますよ。でも、そんなの向き合い方で分かるから。格闘技が好きっていう気持ちを持ってくれている──僕も格闘技が好き、それだけが全てじゃないかな。色々なんかあって、僕も人と上手くいかなかったりするけど、格闘技が好きなヤツは許せる。そこに尽きると思います。

──今成選手、今の青木選手の言葉を受けて一言お願いします。

今成正和 凄く良いこと言うなぁって思います(笑)。

──手塚選手に質問です。ソーシャルディスタンスのなか既に触れあってしまったのですが、実際に触れてみてグンダー・カルンダ選手の圧力、肉体力はどのように感じましたか。

手塚裕之 まぁそうッスね。凄い勢いで突っかかってきて……こっちの方が強いかなって感じですね。食っているモンも、やっているモンも。こっちの方が上のことをやっているので。

──手塚選手はお米を作って、お米で体を作っています。カルンダ選手は日本で何を食べて体を作っていますか。

グンダー・カルンダ アイ・ライク・ラーメン(笑)。ラーメン、スシ、フィッシュ、ウォーター。

──のび太選手と猿田選手へ。今回は入場に気合を入れるとか。意気込みがあれば教えてください。

内藤のび太 そこの対決はないかなと思います(笑)。

──コスプレはしない?

内藤のび太 コスプレっていうか、いつもしているのでアレはやると思います。

猿田洋祐 コスプレじゃないんで。忍者なのでやります!!

──青木選手に質問です。格闘技好きという言葉がありましたが、逆にABEMAの中継を通して格闘技がそこまで好きじゃない世間一般にはどのような受け入れられ方をしたいと思いますか。

青木真也 そもそも格闘技が世間に届いているかといえば、首を傾げることが多いじゃないですか。なんかこう、格闘技が世の中に届いています──メジャーですって。

格闘技をメジャーにしたいってやつ100パーセント信用していなくて。そもそもメジャーにならないし、サブカルチャーというか……サブカルチャーだからこそできる、自分で表現できるというのは多分にあると思うので、メジャーにしたいという考えがそもそも余りないです。

結局、格闘技を外に伝えたいときに、何を伝えるかというとコレに尽きると思います。僕の場合は生きろってことで、要約すると。凄く雑な言い方ですけど、どう生きるんだ。お前はこの世の中とどう組み合って、生きていくんだっていうメッセージを伝えたいですね。

それがない格闘技なんて、ただ運動の得意な人が取っ組み合っているだけだからさ。そんなもん、なんの価値もないからさ。何か自分がやっていることで、主義主張はしてほしいね──と思って、伝えたいと思います。ハイ。

──誰にとか、どういう人に向かってとか青木選手はありますか。

青木真也 俺は……僕は別にヒーローになりたいとか思っていないから。子供のヒーローになりたいとか全く思っていない。世の中の人って失敗したりだとか、コミュニティからあぶれたりとか、そういうこと……失敗することの方が多いんですよ。ここにいる人間も全員が強いわけではなくて、ただ強さに憧れて、自分の弱さを認められない人間なわけですよ。そういうなかで、僕の場合は世の中からあぶれたり、上手くやっていけない人間の、転がっている奴らの希望でありたいとは思っています。

なので、潤風満帆な人は見なくて良いです。

──江藤選手は何か伝えたいモノはありますか。

江藤公洋 自分自身は試合に向かうなかで怖さだったり、恐怖心を凄く感じるタイプなので。それを乗り越えて試合に向かう、どういう結果になるかは分からないですけど、今回の試合に向けての取り組みと試合のなかでどういう風なことを周りに感じてもらえるのか。恐怖を乗り越えた結果をどういう風に受け止めてもらえるか。そのために準備をしてきたので何かを感じてもらえればとは思っています。

──青木選手という存在は恐怖ですか。

江藤公洋 それもありますけど、試合は誰と戦っても恐怖は感じるので。それは青木選手だから、とかではないと思います。

──青木選手が言われたことに対して、のび太選手も取り扱われ方も特殊な、内気な感じの生き方があるかと思うのですが……。そういう同じような引き込まってしまう人に、何かを見せたいというのはあったりするのですか。

内藤のび太 そういう人たちには、そういう人たちの色々なアレがあると思うので、そういう人たちに見て欲しいということではないですけど、そういう人たちが見た時に、何かを感じてくれれば良いなというのはあります。ハイ。何が糧になるかとか、分からないですが。

──根津選手に質問です。青木選手がうだつの上がらない人に試合を見て欲しいと言われましたが、根津選手は明日の活力にしてほしいというモットーで戦っていますが、今回、この状況でどういう人の活力になるような試合をしたいですか。

根津優太 この状況ですから、全ての人が皆もう頑張っているので。だからチョット頑張り疲れた人達に『もう1回、明日も頑張ろう』とか思ってもらいたいですね。

カテゴリー
News ONE Road to ONE03 グンダー・カルンダ ブログ 今成正和 内藤のび太 手塚裕之 根津優太 江藤公洋 猿田洋祐 青木真也

【Road to ONE03】イベント2日前・記者会見─01─松井珠理奈降臨、「特に注目は猿田選手とのび太選手」

【写真】会見中の青木と今成が驚くべき程、同じような仕草を見せていた。自分があり過ぎる(C)MMAPLANET

8日(火)、東京都港区の東京ミッドタウン・カンファレンスROOM7で開催が2日後に迫ってきたRoad to ONE 3rd TOKYO FIGHT NIGHTの記者会見が行われた。

今回の会見には全6試合から11名の出場選手と、大会ゲストの松井珠理奈も登壇し選手に質問を行い、自らも記者の質疑応答に応えていた。

まず試合を務めた大沢ケンジ氏が「僕も緊張してきました。いよいよだなって。(江藤も猿田も)覚悟を決めています。勝てると思います」という心境を吐露した直後に、第1試合から出場選手から順にステージに登壇。

グンター・カルンダと手塚裕之が向き合って距離を詰まると小競り合いになると、その大沢氏が割って入って両者を止めるという一幕も見られた。

メインに出場の青木真也までがステージの席に着くと、松井珠理奈がトリを務める形で登場し、「佐藤将光選手のお父様がデザインした服を今日は着てきました(笑)」とまずは開口一番、笑顔を見せる。

そして「ピリピリしている感じがしていて、自分がここにいて良いのかなっていう気持ちなります。全試合が楽しみですが、なかでも猿田選手とのび太選手は修斗の時代から猿田選手がのび太選手を追いかけていたということで、その2人が交わるということで楽しみです。そして、もしかしたら勝者がパシオ選手と戦うかもしれないというワクワク感があって凄く注目しています」とONE通らしい発言をした。

続いて秦英之ONE JAPAN代表がマイクを握り、英語と日本語を駆使して挨拶。「10月以降、世界大会の準備も開始しています。できれば木曜日を皮切りに……普段から練習はやっているかと思いますけど、Road to ONEという名前の通り、世界でとにかく一番になる選手を受け入れる体制をONE全体で準備していますので、とにかく熱い戦いを木曜日ぜひご期待ください」と、10月に予定されているシンガポール大会で日本人選手の招聘に向けて、準備が進んでいることを匂わせる発言があった。

ここからは各MMAマッチに出場する選手の抱負の言葉をお届けしたい。


根津優太
「全てのタイミングが良くて今回、試合を受けさせてもらいました。相手が今成選手とやるとは思っていなかったので、これも良いタイミングだと思います。しっかりと勝ちにいきます」

今成正和
「特に意気込みはないですが、まぁ勝つつもりで痛くないようにやります」

グンター・カルンダ
「コンニチワ。マイネーム・イズ・グンター・カルンダ。アフリカからやってきた。ONEの大会に出られることにお礼を言いたい。そして、僕のチームTRY.Hにも。ゲームをするためにONEで戦うんじゃない。プロのファイト・イベント、プロファイト・ショーだ。だから、出場するんだ」

手塚裕之
「このような時期に試合ができるということで、皆さまに感謝しています。しっかり積み上げてきたモノがあるので、それを出して……さっき突っかかってきて、ちょっと舐めてんなって思ったのですが、差を見せつけて勝ちたいと思います」

内藤のび太
「こんちわ。内藤のび太です。自分と戦いたいと言ってくれたことに照れていたのですけど、嬉しいです。頑張ります」

猿田洋祐
「自分が望んでいた試合がやっと実現できて、ファンの皆さんも松井さんにも注目していただいて凄く嬉しいです。どんな試合展開になるか分からないでですけど、どんな試合になっても苦しくて激しい、凄い削り合いになると思いますので、自分が最後に削り勝って、日本人で初めてのび太選手に勝つ選手になろうと思っています。それと自分たちのことを知らないファンの方もいると思いますが、世界で活躍する日本人がいること知って欲しいです」

江藤公洋
「今回、このような状況のなかで試合を組んでもらったこと凄く有難く思っています。そのなかで青木選手という強い選手とやらせてもらうので、良い試合をするために準備してきたのではなく、勝つために準備してきました。それを当日見せます」

青木真也
「ハイ。ヨロシクッ、終り!!」

カテゴリー
Interview ONE Road to ONE03 ジョシュア・パシオ ブログ 内藤のび太 猿田洋祐

【Road to ONE03】ジョシュア・パシオに訊く、猿田洋祐✖内藤のび太─02─「サルタはよりハングリーだ」

【写真】24歳の若きチャンピオン。このインタビューを読んでいると、彼の試合が見たくなる (C)MMAPLANET

10日(木)、東京都渋谷区のO-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで、実現するストロー級国内トップ対決=猿田洋祐✖内藤のび太。この試合を現ONE世界ストロー級王者ジョシュア・パシオが予想するインタビュー後編。

2度に渡る両者との対戦を経て、猿田洋祐のことも内藤のび太のことも知り抜いているチームラカイの若きチャンピオンは、一点──猿田が有利だという要因を挙げた。

<ジョシュア・パシオ インタビューPart.01はコチラから>


──猿田選手に敗れ、再びこの敗戦から学びを得て3カ月後の再戦に挑んだわけですね。

「その通りだよ。より試合に集中し、サルタの打撃を予測しようと試みた。それでもサルタは強くて、1Rにオーバーハンドを当てられてしまったけどね。でも、絶対にベルトを獲り返したくて集中力を切らすことなく戦ったんだ。そうすることで、打撃を当てるタイミングを掴むことができたんだ」

──猿田✖のび太戦を前に、ジョシュアはのび太選手の強さはどこにあると思っていますか。

「ナイトウの強みは、強力なレスリング力が生み出す尽きることのないプレッシャーだよ」

──では猿田選手のストロングポイントは?

「サルタは爆発力があり、フィジカルも強い。身体能力が優れている。その根底には体が凄く柔軟なことがあると思う」

──続いて、のび太選手の弱みは?

「ナイトウの弱点は打撃が常に挙げられるはずだよ。でも、彼の打撃は進歩している。2016年に対戦した時は、飛びつくようなテイクダウンの仕方だったけど、徐々にレスリングのような入り方に打撃も加わったように、技術的に進歩しているからね」

──なるほど。では猿田選手のウィークポイントはどこだと考えていますか。

「サルタの弱点を挙げることは難しいよ。とてもアグレッシブだし、テイクダウンも打撃も……全局面において凄く強いからね」

──今回の猿田✖のび太、5分3R制だということを踏まえて、勝敗予想をお願いします。

「そうだね、仮にこの試合に4Rや5Rがあれば、ナイトウは競り勝つことができると思うけど……、いやぁ予想するのはメチャクチャ難しいよ。

この試合の鍵を握るのは、2人のコンディションになるだろうし。それによって勝敗は変わって来るけど、とにかく試合を見るのが楽しみだよ。2人とも素晴らしい人物だし、2人にとって良い試合になることを願っている」

──この試合で期待することは?

「僕はナイトウがテクニカルな戦いをすることを期待しているよ。サルタはやはり爆発力のある戦いを見せて欲しい。互いの打撃とディフェンスが交錯する試合が見たいと思っている」

──のび太選手はこの試合に向けて、今後の事は一切考えずに望むと言っています。その一方で猿田選手は『今回の試合を通して、パシオ選手にプレッシャーを与えたい』と言っていました。『パシオは内藤選手のテイクダウンの圧力に対して距離を取っていたけど、自分は彼のテイクダウンやレスリング力を脅威に感じない試合をする』と。

「プレッシャーかい? 僕だっていつも皆の期待を受けているからプレッシャーを感じて戦っている。でも、これまでサルタやナイトウ、アレックス・シウバらトップレベルの選手と試合をしてきたから、僕にプレッシャーは関係ないよ」

──ストロー級王者のジョシュアは、この試合の勝者と将来戦う可能性があります。どちらの選手と決着戦を行いたいですか。

「さっきも言ったように、この試合の勝敗予想をすることは凄く難しい。でも勝った方と戦う準備はできているよ」

──先ほど「もし4Rか5Rがあれば、内藤選手が競り勝つことが出来る」と言いました。のび太選手が最後の2Rで積極的に攻める事が出来る要因として、技術以外にもハートの強さがあると言われています。

「全くもってその通りだよ。あのハートの強さがあるからこそ、ナイトウはチャンピオンになれた。ナイトウがデェダムロンに勝ったのは、まさに気持ちが勝因だったよ。でもナイトウの強さは精神力だけじゃない、コンディショニングの良さや身体能力があってのことだから」

──猿田選手は常にパシオ選手との対戦を想定しているそうですが、内藤選手は全く想定していないそうです。この両選手の考え方の違いについては、どの様な影響があると思いますか。

「チャンピオンに再び返り咲きたい意思があるのかどうか──サルタからは、よりハングリーさが感じられるよね。2人は考え方が違うけど、そのハングリーさがある分、サルタが有利になることもあり得るかと思うよ。

チャンピオンになりたい──それは選手なら誰でも思うところだし。その意志が良い強いサルタが優位に立てるはずだ」

──のび太選手は毎試合ごとに余計な考えを持たず、目の前の試合にのみ全力を尽くす。それについてはいかがでしょうか。

「もちろん、ナイトウは今回の試合に全力を尽くすだろう。でもナイトウだって、まだ王座を狙える年齢だし、サルタとの試合に勝利することがどういう意味があるのか理解しているに違いないさ」

──ジョシュア、今日は本当にありがとうございます。また近い将来、会って話せる日が来るのを楽しみにしています。

「こちらこそ、ありがとう。日本の状況が良くなることを願っているよ」

カテゴリー
Interview ONE Road to ONE03 ジョシュア・パシオ ブログ 内藤のび太 猿田洋祐

【Road to ONE03】ジョシュア・パシオに訊く、猿田洋祐✖内藤のび太─01─「ナイトウは本当に我慢強い」

【写真】ジョシュア・パシオだからこそ、語ることができる猿田とのび太がいる (C)MMAPLANET

10日(木)、東京都渋谷区のO-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで猿田洋祐✖内藤のび太が組まれている。

ONEストロー級のトップランカー対決は、元世界王者の激突でもある。その両者と過去に2度ずつ世界戦で戦い、共に1勝1敗というイーブンの記録を残しているのが、現ONE世界ストロー級王者ジョシュア・パシオだ。

ここではバギオにいるパシオに、両者との戦いを振り返ってもらい、注目の一戦の予想をしてもらった。


──こうしてインタビューの機会を創ってくれて、ありがとうございます。

「こちらこそ、ありがとう」

──ジョシュアの住んでいるバギオは、新型コロナウィルス感染はどのような感じでしょうか。

「ハードな状況だよ。毎日、沢山の人がコロナに罹っているよ」

──セブやマニラでなくて、バギオがですか。

「そうなんだよ。1日で警察官が46人も感染したりして」

──そのような状況で、チームラカイでの練習は問題ないですか。

「少しずつ良くなって来て、今では1年前と同じように練習ができるようになったよ。それでも今も毎日、どうやって練習するかを模索し続けている感じだね」

──これから何が起こるか誰にも予測は出来ませんが、今どのようにしてモチベーションを保っていますか。

「そうだね、モチベーションを常に保てるようにトライしている。僕は世界チャンピオンだし、ずっとベルトを持っていたいから。だからこそ、コロナの感染状況が悪化しても、日々1パーセントでも良いから進歩していけるようにしたいんだ」

──さすがジョシュアです。今回、ABEMAと一緒にジョシュアのインタビューをお願いしたのは、9月10日のRoad To Oneというイベントで、内藤のび太選手と猿田洋祐選手が対戦するからに他ありません。

「えっ? サルタとナイトウが試合をするの? 知らなかったよ!! 凄いじゃないか!!」

──ONEストロー級でタイトル挑戦者候補の2人が戦うことについてどう思いますか。

「いやぁ、凄く楽しみだよ。ナイトウとサルタは違うスタイルのアスリートだからね。サルタは爆発力があって、ナイトウよりも打撃ができる。対してナイトルはテイクダウンが強い。何よりも……我慢強いんだ。例えパンチを被弾しても積極的にテイクダウンを狙って寝技でフィニッシュして来ようとする。

でもサルタも高いテイクダウン能力を誇っているし、フィジカルが強い。いやぁ、どんな試合になるのか凄く楽しみだよ」

──ジョシュアは過去に2人と2度ずつ戦い、揃って1勝1敗です。まずはのび太選手と最初に戦ったのは2016年10月で、ジョシュアはキャリア11連勝中でした。

「ナイトウは本当に我慢強い。1Rで劣勢になっていても、全く怯まないで攻めてきた。あんな風に攻めてきて、ケージ際でもの凄い圧力を感じたんだ。最終的にはRNCを極められてしまった。とにかくナイトウは我慢強かったよ」

──あの試合から何を学ぶことができましたか。

「それはマナブが考えてよ(笑)」

──いやいや、ジョシュアの言葉で返答をください。

「ナイトウに負けて……自分自身の足らないことに気付かされたよ。コンディション創りであったり、寝技やレスリング。本当に多くのことを見直すことができた」

──のび太選手との最初の試合から2年後、2018年9月にリベンジを果たし、ONE世界ストロー級王座を獲得しました。こ2年間でジョシュアが手にした変化は何だったのでしょうか。

「一番の違いは自信を持って戦えたということ。最初の試合では寝技に自信がなかった。でも2度目の試合では何も怖くなかったんだ。テイクダウンされても、スクランブルで立ち上がることができると思っていたから。そこが一番大きな違いだったよ。ナイトウと初めて戦った時は、ストライカーがMMAを戦っていたようなものだった。でも、再戦の時にはMMAファイターとして、どの局面でも戦えるようになっていたからね。

2016年の試合はテイクダウンに対して、ディフェンス一辺倒で、僕の攻めは打撃だけだった。でも、2018年の再戦ではナイトウがテイクダウンをしてきても、寝技を凌ぐことができた。最初に試合の敗北から学んだことを生かすことができたんだ。

とにかく徹底的に打撃で攻めて、テイクダウンされても防ぐことができた。そういった場面を想定して、スクランブルの練習をたくさんしていたから。バックを取られたり、テイクダウンされることを想定して練習していたんだ。もちろん、実行するのは難しかったけどね」

──ジョシュア✖のび太選手は、ケビン・ベリンゴン✖ビビアーノ・フェルナンデスと同じ戦略なのでしょうか。

「そうは思わないよ。確かに2018年11月のシンガポールの試合では。ビビアーノに対してスクランブルに持ち込んでいた。あの時はバックキックを多用して、ビビアーノを削ることだったんだ」

──ジョシュアはケビンよりも、ガードワークに自信がありますか。

「ノー、ケビンより僕の方が上手いとは思っていないよ。僕とケビンはスタイルが違うから。ケビンは爆発力があり、打撃も切れがある。その辺りはバンタム級とストロー級の違いでもあると思う」

──なるほどぉ。のび太選手が奪ったベルトの初防衛戦は2019年1月でした。当初の予定では鈴木隼人選手と対戦予定が、猿田選手に変更となりました。

「そうだね……サルタに負けた試合も厳しかった。僕は下がるだけで、まるで最初にナイトウと戦った時のようだったよ。ただ下がって、打撃はカウンター狙いだけで。アグレッシブさが欠けていたんだ」

<この項、続く>