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【GLORY93】宿敵ペットパノムルンと3度目の対戦、原口健飛「GLORY王者になって歴史に名を残す」

【写真】部屋に飾られてる「獲」は、原口が今年の書初めで書いたものだ(C)MMAPLANET

7月20日(土・現地時間)、オランダはロッテルダムのトップスポーツセントラムで開催されるGLORY93にて、原口健飛がペットパノムルン・キャットムーカオが保持するGLORYフェザー級(65kg)タイトルに挑戦する。
Text by Takumi Nakamura

原口とペットパノムルンは2021年11月と2022年8月にRISEのリングで対戦し、いずれもペットパノムルンが勝利している。2度目の対戦以降、原口はRISEのリングでGLORYのファイターたちを次々と撃破し、2023年12月のRISE両国大会ではGLORYフェザー級1位(当時)のエイブラハム・ヴィダレスにKO勝ちし、ペットパノムルンとの3度目の対戦=GLORY王座への挑戦につなげた。

ペットパノムルン超え、そして日本人初のGLORY王座獲得に向けて、オランダ入りする直前の原口に話を訊いた。(取材日は7月9日)


――ペットパノムルンとの3度目の対戦、GLORYフェザー級タイトルマッチが決まりました。試合としては昨年12月のエイブラハム・ヴィダレス戦以来となりましたが、次はペットパノムルンと戦いたいと想いが強かったのですか。

「そうですね。ヴィダレスのときも、これに勝ったらペッチ(ペットパノムルン)とやれると言われてヴィダレスに決まったので、そこ(ペットパノムルンとの対戦)しか見てなかったですね。だからオファーが来た時も、ようやく来たかという感じでした」

――ではヴィダレス戦以降はペットパノムルン戦に集中していたわけですね。

「はじめは4月にやるかもということやったんで、ずっとペッチ対策をやっていたし、それを変えるという考えはなかったです。どれだけ試合間隔が空いても次はペッチとやりたいとRISEサイドにも伝えていたし、自分自身もそのつもりで2年間やってきたんで」

――ヴィダレス戦以降はペットパノムルンに勝つためだけに時間を過ごしていた、と。

「はい。ペッチと再戦(2022年8月)に負けてからジェレミー(・モンテーリョ)、アンバー(・ボイナザロフ)、(セルゲイ・)アダムチャックに勝って、ランキング1位のヴィダレスがラスボスやと思っていたんで。ヴィダレスに勝てば、みんな僕が挑戦することに納得するだろうと思ったし、しかもペッチが判定までいったヴィダレスにKO勝ちできたので、これ以上(ペットパノムルン以外に)やる相手はいないやろうっていう気持ちもありました」

――ペットパノムルンは過去に2度対戦して2度敗れている相手ですが、原口選手にとってはどんな存在ですか。

「2回負けているというのももちろんあるんですけど、1戦目(2021年11月)は選手生命が終わるぐらいにコテンパンにされたんですよ。それがすごい悔しかったし、情けないという感じで。2戦目は1戦目に比べて上手く戦えたんですけど、勝つことを意識しすぎて、本来の自分を出せなかったんですよね」

――ペットパノムルンを倒すというよりも判定でもいいから勝つという考えだったのですか。

「そうですね。(2戦目は)ルールをしっかり利用して、ペッチに勝つためだけに動いたんですよ、本能を捨てて。それが結果的に勝ちに行きすぎたというか、倒す気もないし、とにかく攻撃を当てるだけみたいな。そこまで自分を殺してやったのに結果を出せなくて、1戦目・2戦目どちらも後悔しか残らなかったです。だから諦めるにも諦めなきれない気持ちがあって。今回はオランダまで乗り込むことになって、全身全霊をかけて戦って、勝つか負けるか分からへんけど、絶対に後悔は残したくないという気持ちがあります。勝ちたいも気持ちももちろんあるけど、自分自身へのリベンジもあるし、ペッチに対してはそういう感情もありますね」

――例えば最初の対戦のときは「どうやったらこの相手に勝てるんだろう?」という気持ちになっていたのですか。

「ほんまそうでしね。あの時は正直やる前から負けていたんですよね。なんか戦う前からちょっと勝たれへんわと思っちゃって。ペッチはほんまに強い選手やし、GLORYの現役チャンピオンやしっていう。画面越し映像の強さに負けてしまって、とにかく倒されないようにしようという頭で戦ったんですよ。極端な話、勝つのは無理やから、倒されんように戦おうみたいな」

――あの時はそこまで追い込まれていたんですね。それだけペッチにはインパクトがあったのですか。

「僕も外国人とやったことはあるけど、日本在住の外国人というレベルやったんです。それがいきなりGLORYの現役チャンピオンと戦うことになって、自分自身、世界最強と戦いたかったところもあるけど、いざそういう相手が目の前にいるとめちゃくちゃオーラがあるし、なんかもう……なんなんやろ、こいつみたいな。これホンマ戦われへんわっていう思いになっていました」

――そういった試合だったからこそ、2022年8月のリマッチでは、悪い意味で勝ちに徹してしまったのでしょうか。

「まさにそれですね。どうせ倒されへんし、効かされへんから、とにかく自分が攻撃を当てるところだけをレフェリーに見せて、うまいこと(ポイントを)取ってくれんかなっていう感じで戦ったんですよね。それで延長まで行ってよかったんですけど、延長も本戦と同じ気持ちで戦ったから、やっぱり最後は押し切れなかったですね」

――試合後にはレフェリングやジャッジに対して批判的コメントを残していましたが、あの時は感情的に言葉が出てしまったのでしょうか。

「あの時はあの試合にかけて必死でやってたし、6月に『THE MATCH 2022』でヒデさん(山崎秀晃)と戦って、ヒデさんの思いも背負ったつもりで戦ったんですよ。僕はヒデさんに勝てたおかげで自信がついたし、ヒデさんに勝ったからこそ、RISEから『ペッチと再戦いけるか?』と言われて『今ならペッチいけます』と答えて、再戦を組んでもらったんですね。自分としてはゴールデンフィストを宿して、RISEを背負って戦ったつもりだったんですけど、レフェリーに判定を委ねる試合をしてしまって、そのレフェリーに裏切られたという気持ちにもなって。

だからあの時は思っていたことも言ったし、ホンマは思ってないようなことも言ってしまって……すごく失礼な言い方してしまったと思うし、今となっては申し訳ないことをしたという気持ちもあります。でも今はそれが自分の弱かった部分だということも認めているし、そんな自分へのリベンジを込めてもう一度ペッチとやりたいという想いがあります」

――2度目のペットパノムルン戦以降、原口選手の相手を一撃で仕留めるスタイル・戦い方が、より洗練されて磨かれた印象があります。あの試合を経て自分の技術レベルが上がったと感じていますか。

「僕は気持ちで戦い方が変わると思っていて、もともと自分は倒せる威力もスピードもテクニックもあって、倒しに行くかどうかは自分で決めて動けるタイプなんですね。それで2度目のペッチ戦ははじめから『倒すのは無理』『倒せないから倒しに行かない』と思って、ああいう試合をしちゃいました。だからあれ以降、そういう気持ちを捨てて、勝てるかどうかは分からへんけど、とりあえず自分が思ってることを全部やろうと思って戦うようになって、それがペッチ戦以降のファイトスタイルになっていて、結果的にKO勝ちが続いています。だから戦い方を変えたというよりも、気持ちの面を変えた感じですね」

――今回のペットパノムルン戦は対戦相手の対策と自分のパフォーマンスを見せること、どんなバランスで練習してきたのですか。

「対策は4割ぐらいで、6割ぐらいは自分自身を出す、持ってる技術を全部出すという練習ですね。それができたら絶対に勝てると思っているし、倒せたら倒せたでいいですし、あらゆることを想定して練習をしてきました」

――試合時間も3分5Rで、対策が試される部分もあるでしょうし、素の強さが求められる部分もあると思います。

「しかもラウンドマストで延長がないので、楽と言えば楽やし、やばいと言えばやばい。1・2・3Rを取ったら、4・5Rはダウンを取られなければ勝ちやし、逆に1・2・3Rを取られたら、ダウンを取ってもドローになりかねない。そういうこともイメージして練習は続けてきました。試合をコントロールする力も求められれば、一発逆転や一瞬の隙をつく技も求められる。ラウンドマストのことを考えると、最後に自分が攻めて攻勢を印象付けることも必要やし、あらゆることを利用して勝ちたいと思っています」

――まさに総力戦ですね。

「ペッチってリズムが最初から最後まで変わらなくて、それがペッチの強いところなんですよ。何が起きてもずっと一緒、自分のリズムでやる。だから落ち着いて見えるし、そこを上手いこと利用したいなと思ってますね」

――そういう意味では昨年12月にチャド・コリンズがペットパノムルンに勝った試合は参考になりましたか。

「そうですね。元々ペッチがチャドとやる前から、次戦うときはチャドっぽい動きで行こうと思ってたんですよ。それで実際にペッチに勝ったチャドを見て、自分の考えは間違っていないんだなという気持ちになりました」

――チャドの戦い方を参考にしつつ、原口選手ならではのテイストも入れていく、と。

「はい。ペッチができないような攻撃も使って、フルに痛めつけられるところは痛めつけたいと思います」

――3度目の対戦はペットパノムルンが持つGLORYのベルトに挑む形です。RISEは原口選手とペットパノムルンの3度目の対戦が実現できるように、原口選手とGLORYのランカーの試合を組んで、原口選手がそれに勝ち続けたことで今回の対戦が決まったという経緯もあります。そういった周りの想いを背負って戦うという心境もありますか。

「今回はオランダで試合ということで、試合の約1週間前にオランダに入って、現地で調整することになったんですね。本来ならあり得ないスケジュールなんですけど、RISEがこちらのリクエストを形にしてくれて。(RISEが)全面的に全身全霊でサポートしてくれるおかげで、最高の形で試合当日を迎えられると思います。それだけRISEも懸けてくれていると思うし、一緒に戦ってくれていると思います。自分自身のためにはもちろん、自分がGLORYでベルトを獲れば、格闘技の歴史に名を残すことになると思っているんですよ。

日本のキックボクサーが誰も成し遂げたことがないことやし(※2013年に久保優太がGLORYの世界トーナメントで優勝したことはあるが、ワンマッチ形式でGLORYのタイトルを獲った日本人はいない)、日本人初の偉業をRISEファイターが達成したとなれば、RISEとしても誇りになると思っています。そういう意味も込めて、RISEには恩返しいたいです。本来なら3度目の対戦を組むのもなかなか難しいと思うし、きっと色々な意見もあると思うんですよ。僕も実力でここまで勝ち上がってきましたけど『何回やらすねん!』とか『もう見たくないよ』と思う人もいると思います。それでも僕を信じてくれている人がいるし、RISEも僕に期待をしてくれている。自分を信じてくれている人のために勝つこと。それが団体のエースとしての仕事だと思っているので、何が何でも勝って、RISEをホンマに世界一の団体にしたいと思っています」

――2024年は立ち技格闘技が変わる1年になると思っていて、武尊選手や野杁正明選手がONE Championshipに参戦し、海人選手はGLORYのベルトを目指している。日本のトップ選手が海外のタイトルを狙う・挑戦する流れが出来つつあります。そのなかで原口選手がGLORYのベルトに挑むことになって、原口選手・RISEファン以外の日本の格闘技ファンが原口選手のことを応援していると思います。

「ONEでは武尊選手と野杁君が負けて、過去にGLORYのタイトルマッチで海人君や小林愛三さんも負けている。僕もペッチには2回負けているんですけど、初めてペッチと戦ったのが2021年で、他の選手よりも早くVS世界の戦いを始めたと思っているんですよ。誰よりも早く世界の壁にぶち当たっているからこそ、一番早くそこで勝てると思ってるし、勝たなあかんと思ってるし、誰よりも責任感は強いです。失礼な言い方になるかもしれませんが、誰よりも自分が世界で勝ちたいという気持ちはあるし、みんなの応援を力に変えて、ぶちかましてこようと思います」

――今日は出発直前のインタビューありがとうございます。後ろの壁に飾っている「獲る」という文字はいつ書いたものなですか。

「これは今年の書初めで書いたものです」

――まさに2024年はペッチに勝ってGLORYのベルトを獲るという想いを込めたものですね。

「そうですね。しかも(年末に)RISEとGLORYで65kgのトーナメントがあるということを聞いていたので、そのトーナメントも獲るという意味もあります。だから今年は自分が獲れるものをすべて獲りたい。強さ、地位、名誉、お金……全部含めて獲ったろうって感じです」

■視聴方法(予定)
7月20日(土)
深夜25時15分~U-NEXT

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45 AB F1 K-1 MMA MMAPLANET o ONE ONE167 YouTube キック シッティチャイ・シッソンピーノン ボクシング 武尊 海人 海外 野杁正明

【ONE167】野杁正明、ONEへ―02―「ONEでチャンピオンになったら、初めて『ここがゴールだ』と思える」

【写真】5月18日、野杁は武尊が結成したteam VASILEUSに加入することを発表。武尊、そして渡辺雅和トレーナーらと共にONEの頂点を目指す(C)TAKUMI NAKAMURA

6月8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167にて、野杁正明がフェザー級(70.3キロ)キックボクシングルールでシッティチャイ・シッソンピーノンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

注目のONE参戦、そしてシッティチャイとの対戦が決まった野杁。ONE参戦を決意した理由を語ってくれて前編に続き、インタビュー後編ではシッティチャイとの対戦やONEでの戦い、そして先にONEに戦いの場を移した武尊への想いを語った。

<野杁正明インタビューPart.1はコチラ
<シッティチャイ インタビューはコチラ


――さてONEデビュー戦では、いきなりトップ選手のシッティチャイと対戦することになりました。オファーを受けた時はどんな心境でしたか。

「驚きはなかったですね。素直に嬉しかったです。キャリア豊富なベテランですし、ランキングでも3位に入っていて、デビュー戦で当ててもらえてよかったです」

――試合をやるならランカーやトップ選手とやりたかったですか。

「やりたかったです。その方が手っ取り早いので。シッティチャイはONEでタワンチャイにも勝っていますし、ONE以外ではスーパーボンに勝って、グレゴリアンには通算戦績で勝ち越していて、そうそうたるメンバーに勝ってるじゃないですか。ここをクリアすれば次のステージが見えてくるので、ノーランカーの選手とやってチャンスが回ってくるのを待つよりは、シッティチャイのような選手とやれてよかったです」

――ファイトスタイルについてはどんな印象を持っていますか。

「一言で言うとテクニシャンですよね。サウスポーで上手く戦いながら、相手が入ってくるところにヒザを合わせる、みたいな。もろにムエタイスタイルではないですけど、ムエタイスタイルをこのルールに合わせて戦っている印象です」

――シッティチャイは野杁戦が決まって、野杁選手と対戦経験があるゲーオ・ウィラサクレックを臨時コーチとして招聘しているそうです。

「最初はそれを知らなかったのですが、ファンの方が『シッティチャイがゲーオと練習しているみたいです!』とDMで教えてくれて(笑)、それでゲーオのインスタを見に行ったら一緒に練習している動画がアップされていたので、驚きはしないですけど、そうなんだくらいの感じですね」

――僕はシッティチャイのこの試合に対する本気度が伝わってきたのですが、野杁選手はいかがでしょうか。

「嬉しい限りですね。弱いシッティチャイじゃなくて、過去最強のシッティチャイで来てもらいたいので、しっかり対策も練ってきてもらいたいです」

――意外にも野杁選手の過去の戦績を振り返るとタイ人との対戦はゲーオとプライチュンポンの2人だけで、タイ人と戦うことに警戒心はないですか。

「僕は全く気にならないですね。僕のファイトスタイル的に相手がオーソドックスでもサウスポーでも関係ないですし、タイ人に苦手意識はないです。ONEの日本大会でシッティチャイとグレゴリアンがやった試合も会場で見ていて、なんとなく戦うことはイメージしていたので、今回も(倒し方は)何パターンか用意しています。グレゴリアンが3Rで倒しているので、それより早いタイムで倒して上位ランカーたちにアピールしたいですね」

――またこの試合はケージ、そして海外遠征にもなります。そこについてはいかがでしょうか。

「ケージはあんまり気にしないですかね。リングの方が詰めやすいとは思いますけど。あと海外やアウェーで戦うのは好きなんですよ。過去にフランスで2試合やっているんですけど、最初のフランス遠征で戦った(エディ・ネイト・)スリマニが地元のヒーローみたいな選手で、会場の雰囲気が僕の攻撃が当たっても『シーン…』で、スリマニが攻撃を出すだけで『ウォー―!』みたいな反応だったんです。でも僕がKO勝ちしたら、フランスのお客さんも僕に声援を送ってくれるようになって、そうやって周りの見方をひっくり返すのは気持ちいいですね。ちなみにその大会で一緒だったのがアラゾフと(ローマン・)クリークリャだったんです」

――のちにONEでチャンピオンになる2人とそこで会っていたんですね。

「アラゾフにいたっては年齢も一緒だし、K-1のベルトを獲った日(2017年6月18日)も初防衛に成功した日(2018年3月21日)も同じなんですよ。だから色んな縁を感じますね」

――またONE参戦が決まった時にSNSで「武尊くんと2人でONEの世界チャンピオンになりたい」と発信していました。改めて野杁選手の武尊選手へのリスペクトを感じたのですが、野杁選手にとって武尊選手はどんな存在ですか。

「もともと武尊くんは敵チームだったんですよ。僕がK-1ジム恵比寿にいた頃は僕と小澤海斗が仲良くて、ちょうどその時期に武尊くんと海斗がバチバチだったんです。海斗が武尊くんと試合した時は、僕も武尊くんの試合を見まくって、海斗に対策をさずけて、試合当日はセコンドにもついたんです。その時に何に驚いたかというと、武尊くんは僕が考えた対策の一歩上を行くんですよ。それがすごく印象的で『どんな練習をやったらそんなことができるんだろう?』と。で、実際に武尊くんと一緒に練習するようになったら、とにかく練習量がすさまじい。サンドバックをやるにしても、周りが止めない限り、全力でやり続ける勢いなんです。あれだけのトップ選手が自分で自分をそこまで追い込んでいることにびっくりでした」

――色んな面で想像を超える選手だったわけですね。

「あと武尊くんはむちゃくちゃ頭が良いですね。試合だけを見ているとバチバチに打ち合うじゃないですか。だから打ち合うこと以外は考えていないように思われがちですけど、本当に色んなことを考えながら練習もスパーもやっているんですよ。一度、ボクシングのスパーをやらせてもらったんですけど、1Rのなかでもこっちの動きに対する対応を変えてきたり、対応力もすごいんです。練習量と頭の良さが両方あるからこそ、武尊くんはあれだけ勝ち続けられていると思うし、一格闘家として尊敬できる存在です。あとは『THE MATCH 2022』で僕が海人選手に負けてしまって、いい形で武尊くんにつなげられなかったことが悔しくて。そのリベンジではないですけど、同じ日に試合をして勝ちたいですし、2人でONEのベルトを巻いて世界一になりたいです」

――例えば武尊選手と2人で色々と話すことはあるのですか。

「team VASILEUSに加入してから話すようになったんですけど、KREST時代は若干距離があったんですよ(笑)。僕がKRESTに入った当初、みんな僕のことを“野杁くん”と呼んでいて、そこにちょっと距離を感じていたので、しばらくしてトレーナー陣に『下の名前で呼んでもらっていいですか?』とお願いしたいんです。そしたらトレーナー陣から徐々にみんな“野杁くん”から“正明”に呼び方が変わっていったんですけど、唯一武尊くんだけ“野杁くん”呼びのままで。それで微妙な距離を感じていたら、K-1横浜アリーナ大会(2019年9月)の前のインタビューで武尊くんが『正明は~』と言っているのを見て『あっ!“正明”って呼んでる!』と思って、それで距離が縮まりました(笑)」

――キャラクターや性格は違う2人ですが、格闘技や練習に対する考え方は似ていると思いますか。

「なんて言ったらいいんだろう…僕も武尊くんも“格闘技バカ”なんでしょうね。いい意味でお互いネジがはずれてるんだと思います」

――野杁選手の年齢・キャリアを考えると、ONEが最後の挑戦になりそうですか。

「ONEが僕の最終章だと思っています。そのデビュー戦でランキング3位のシッティチャイと試合を組んでもらったので、このまま最短距離で一気にベルトまで駆け上がりたいと思います」

――今まで色んなベルトを巻いて、トーナメントでも優勝してきたと思いますが、ONEのベルトを巻いて「世界一になった」と思いたいですか。

「はい。今までトーナメントで優勝してうれしい・ベルトを巻いてうれしいと思ったことはあるのですが、これでゴールだと思ったことは一度もないんです。でもONEでチャンピオンになったら、初めて『ここがゴールだ』と思えると思うので、そこを目指して戦っていきたいです」

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【GLORY93】原口健飛がオランダ大会でペットパノムルンの持つフェザー級王座に挑戦!

【写真】原口とペットパノムルンの3度目の対戦はGLORYオランダ大会、GLORY王座をかけて実現した(C)RISE

7月20日(土・現地時間)、オランダはロッテルダムのトップスポーツセントラムで開催されるGLORY93にて、原口健飛がペットパノムルン・キャットムーカオが保持するGLORYフェザー級(65kg)タイトルに挑戦する。
Text by Takumi Nakamura


原口は2020年1月にRISEライト級(63kg)を獲得し、同年10月のRISE DEAD OR ALIVE 2020 -63kgトーナメントで優勝。2021年からはスーパー・ライト級(65kg)に階級を上げて、2022年6月の「THE MATCH 2022」ではK-1の山崎秀晃にKO勝利すると、2022年12月以降はGLORY王座を見据えて、セルゲイ・アダムチャック、アンバー・ボイナザロフ、アブラハム・ヴィダレスとGLORYフェザー級の選手たちから勝利を収めた。

王者のペットパノムルンはムエタイでの活躍を経て、2016年からGLORYに参戦。2018年7月にケビン・ヴァン・ノーストランドを下してGLORYフェザー級王座に就くと、これまで8度の王座防衛に成功して、長期政権を築いている。

ペットパノムルンはGLORYで戦う一方、RISEにも定期参戦。2021年11月と2022年8月に原口を下し、2度目の対戦ではRISE世界スーパーライト級王座にも就いた。2023年12月にチャド・コリンズに敗れてRISE王座は明け渡したものの、一時はGLORYとRISEの2冠王に君臨していた。原口にとってはGLORY王座奪取はもちろん、2度苦杯を舐めさせられているペットパノムルンへのリベンジという意味も持つ一戦だ。

今年、GLORYではヘビー級(無差別)、ライトヘビー級(95kg)、ミドル級(85kg)、ウェルター級(77kg)の4階級でワンデートーナメント形式のグランプリが行われている。フェザー級に関しては、GLORYとRISEが協力関係にあり、年末に日本国内、RISEの興行内でのトーナメント開催が計画され、GLORY・RISEの両大会でトーナメントに向けた査定試合が組まれている。

3月のRISE東京体育館大会ではミゲール・トリンダーデがコリンズをKOするアップセットを起こし、70kgから階級を下げたイ・ソンヒョンが白鳥大珠から勝利を収めた。GLORYでは4月大会で初参戦のボボ・サッコがダビド・メヒアをKOし、5月大会ではデニス・ウォーシックがヤン・カッファ、ベルジャン・ぺポシがアマド・チック・ムサとのランカー対決に勝利している。ペットパノムルンと原口のタイトルマッチの行方はもちろん、年末のトーナメントに向けて、どんな選手が台頭してくるかも見逃せない。

またライト級(70kg)王者テイジャニ・ベスタティのウェルター級挑戦により、一部では階級そのものが休止になると報道されたライト級だが、ベスタティはタイトルを返上せず、ライト級王者としてウェルター級に挑戦する流れ。現時点でライト級のトーナメントが予定されていないだけで、階級そのものは存続し、ワンマッチでの実施も計画されている。

昨年8月にベスタティの持つ王座に挑戦して敗れているシュートボクシングの海人がベスタティへの再挑戦を見据えて試合をしていくことがアナウンスされた。これはシュートボクシングがRISE・GLORYサイドとコンタクトをとったうえでの発表で、今後は海人がGLORY王座挑戦につながる試合が組まれていく方向だ。こちらの動向も引き続き注目していきたい。

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【25-0全勝 18KO】WBCラテン王者ロサ🇦🇷 KO集! ウェルター級 24才 Angel Rosa 25-0, 18KO

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【全勝KO】武居由樹🇯🇵KO集 Takei Yoshiki 8-0, 8KO Undefeated Boxer 54.5Kg

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45 MMA MMAPLANET o SHOOTBOXING キック ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー 海人

【SHOOTBOXING】海人、ペットモラコットの首相撲を崩せずに延長判定負け

<70キロ契約エキスパートクラス特別ルール(ヒジあり)/3分3R延長無制限R>
ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー(タイ)
Def.2-0:10-10.10-9.10-9
海人(日本)

サウスポーのペットモラコットが右の前蹴りから左ミドル、海人もインローを蹴り返す。ペットモラコットは前手で距離を取りつつ、右の前蹴りと強烈な左ミドルを蹴る。海人は左フックを見せつつ、右ミドルにつなげる。首相撲になるとペットモラコットが海人を後方に倒す。さらにペットモラコットは右手で触って左のヒジ、左ストレート左ミドルで前に出る。海人も右ミドと右の前蹴り、ペットモラコットは左ミドル。海人は蹴り足を掴むがペットモラコットは倒れない。海人がミドルとインロー、ペットモラコットはやはり左ミドルを蹴る。

2R、ペットモラコットは右の前蹴りから左ハイキック。これは海人がスウェーでかわす。海人は細かいジャブからインロー、ペットモラコットはジャブから前に出て左ミドル。首相撲になると海人の顔を突き放してヒジとヒザ蹴り。ここからペットモラコットは首相撲を多用して、入り際の左ヒザ蹴り・左ヒジを狙う。ヒジ・ヒザから首相撲を繰り返すペットモラコット。何度も海人を崩し、倒れ際にヒザ蹴りを突き刺した。

3Rもペットモラコットが左ミドルで先制。海人も右ミドルを3連続で蹴るが、すぐにペットモラコットが首相撲に捕まえる。海人の右ミドルをカットして、すぐに左ミドルを蹴るペットモラコット。海人は左ボディを当て、組みにくるペットモラコットに右ヒジを狙うが、ペットモラコットの組みを止めきれない。残り1分、ペットモラコットは下がりながら左ミドルを蹴って、左ストレートから組む。ここで本戦終了となり、判定は30-29(ペットモラコット)、29-29、29-29とドローで延長戦へ。

延長R、ペットモラコットはすぐに首相撲に持ち込む。海人は右ミドルと右ストレート、左ボディから右ストレート、縦ヒジ。ペットモラコットも左ヒジを入れて首相撲へ。ペットモラコットはヒジで前に出て首相撲、半身になる海人にヒザ蹴りを入れる。疲れが見えるペットモラコットは首相撲で時間を使って左ミドルを蹴る。延長判定はジャッジ1名が10-10としたものの、残り2名は10-9でペットモラコットを支持し、ペットモラコットから勝利を収めた。


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【SHOOTBOXING】スーパーレック×武尊と並ぶビッグマッチ!海人が元ONE王者ペットモラコットと激突

【写真】70kg国内最強・海人が元ONEムエタイ世界王者ペットモラコットとヒジありルールで激突…これで熱くならないわけがない。(C)SHOOTBOXING & MMAPLANET

10日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるSHOOT BOXING 2024 act.1でシュートボクシング(SB)世界スーパーウェルター級王者の海人が、ペットモラコット・ペッティンディーアカデミーと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

ONE日本大会でのスーパーレック・ギアットムーガーオと武尊の激闘も記憶に新しいが、そのスーパーレック×武尊と並ぶビッグマッチ=海人×ペットモラコットがSBのリング、しかも後楽園ホールで行われる。


海人はSB、RISE、KNOCKOUTの3団体でベルトを保持し、「THE MATCH 2022」ではK-1ウェルター級王者の野杁正明にも勝利。中量級の日本人No.1ファイターとして、海外の強豪たちと戦い続けている。2023年はGLORYの世界王座奪取を目標に掲げ、8月にティジャニ・ベズタティの持つGLORY世界ライト級(154ポンド)王座に挑戦するも、判定負けでベルトには手が届かず。その後は11月にSBでマサロ・グランダー、12月にRISEでジェームズ・コンデにKO勝利し、2023年を5勝1敗という戦績で終えた。

その海人が2024年の初陣で迎え撃つのは元ONEムエタイ世界フェザー級王者のペットモラコットだ。ルンピニースタジアムではミニフライ級(105ポンド)とスーパーフェザー級(130ポンド)でベルトを巻き、スーパーフェザー級王者時の2015年4月にREBELSで初来日し、梅野源治の挑戦を退けた。

2018年6月からONEに参戦すると、翌2019年に行われたONEキックボクシングフェザー級(155ポンド)グランプリに出場。1回戦でジョルジオ・ペトロシアンと対戦し、左ストレートと組み際のヒザ蹴りを駆使して判定勝利を収めるも、試合後にレフェリーがペットモラコットの反則=クリンチ行為を適切に裁かなかったとして無効試合に結果が覆り、再試合という異例の事態が発生。再試合でもペットモラコットは左ストレートとテンカオ(組まないヒザ蹴り)でペトロシアンと打ち合ったが、判定負けに終わった。

ペットモラコットの戦績にこそ白星が残らなかったが、当時世界最強に目されていたペトロシアンと互角以上に戦ったことは、逆にペットモラコットの強さを世界に知らしめた結果になった。事実、2020年2月にポンシリ・PKセンチャイムエタイジムに勝利してONEムエタイ世界フェザー級王座に就くと、ヨーセングライ・フェアテックス、マグネス・アンダーソン、ジミー・ヴィエノを撃破。2022年9月にタワンチャイ・PKセンチャイムエタイジムに敗れて王座を明け渡すまで、合計3度の防衛に成功している。

タワンチャイ戦後は所属するペッティンディーアカデミーのONE離脱に伴い、RWS(ラジャダムナン・ワールド・シリーズ)に主戦場を変え、スーパーウェルター級(154ポンド)トーナメントにエントリー。準優勝敗退に終わったが、その敗戦もトーナメントを優勝するタナンチャイ・シッソンピーノンにスプリット判定で敗れたもので、どちらが勝ってもおかしくない接戦だった。

これまでの戦績と経歴を見ても分かる通り、ペットモラコットは間違いなく70kgの世界トップレベルにいる選手。しかも海人戦のルールはヒジありのSBルールで行われるため、当然首相撲からの攻撃も認められる。いわば海人はフルムエタイルールでペットモラコットと対戦することになる。

ペットモラコットはサウスポーで懐が深く、ジャブ・左ミドルで距離を作って、左のヒザ蹴り・左ストレートで試合を組み立てるスタイル。海人としてはいかに間合いを詰めて得意のパンチと蹴りのコンビネーションに持ち込むかがポイントとなる。ただし今回はヒジ打ち・首相撲が有効のため、近距離に持ち込んだとしても、今度はペットモラコットのヒジと首相撲への対処も必要になる。

海人はペットモラコットにジャブ・左ミドルで遠い間合いを作らせず、ヒジをもらわない&首相撲に捕まらない距離で戦う時間を長くすることが必須だ。海人は右の三日月蹴りとカーフキックも得意で、パンチの距離に入る前段階=前半のラウンドでどれだけペットモラコットのボディと足を削って、後半の勝負につなげられるか。距離が近くなる・攻防が激しくなる前の展開が重要な一戦だ。

なお1.28ONEのスーパーレック×武尊に始まり、今回の海人×ペットモラコット、2.12RWSでのプレーオプラーオ・ペップラオファー×吉成名高と国内で日本のトップがムエタイの強豪に挑むカードが続く。ONE Friday Fights(ルンピニー)やRWS(ラジャダムナン)の定期開催で復権したムエタイの強さを知る機会であると同時に、そこに挑む日本人の戦いにも注目したい。

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