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【PFC34】北の大地で新フェザー級王座決定戦&G-FIGHT=サブオンリーのワンデートーナメント開催

【写真】渡部、黒石、そして森。それぞれベルトを賭けた戦いへ(C)PFC

6日(日)、北海道札幌市のPODアリーナでPFC34が開催される。メインでは森崇純と村井和道が空位のPFCフェザー級王座を争うこととなった。
Text by Shojiro Kameike

また、グラップリングマッチ=G-FIGHTの初代バンタム級王座決定トーナメントが行われ、渡部修斗、黒石大資、DAIKI、庄山真司の4人がワンデートーナメントに挑む。


PFCフェザー級王者、林優作のベルト返上を受けて新王者決定戦が実施されることとなった今大会。7月に次期挑戦者決定戦でハント高島をパウンドアウトした森が、ONE出場経経験を持つ村井和道と空位のベルトを賭けて戦う。

森にとっては2023年3月、林に挑みギロチンで敗れて以来の王座挑戦に向けて「いろんな環境の変化で格闘技を続けられない方々もいるなかで、俺は運良く格闘技をやれていて、そんな方々の気持ちを勝手に背負って今回試合をして勝ちます。最後までやり切って、勝ってタイトルを獲ります」とコメントを出している。

対する和道からは「コンディションを調整して、冷静にいつもどおり動くことができれば、良いものを見せる自信はあるので、変に気を張らずに試合まで変わらずやっていきます」とのコメントがリリースに寄せている。

一方、PFCで開催されるサブオンリー・グラップリング=G-FIGHTでは、7月に伊藤光をRNCで下した渡部修斗の希望どおり王座決定トーナメントが開催されることに。渡部はリリースの中で「PFCは大好きな団体なので、しっかり自分がベルトを巻いて北海道の地でグラップリングを盛り上げ、活性化させられるように頑張りたいと思います!」と語る。

MMA引退宣言後、復帰して9月16日にDEEPでKENTAと対戦するも敗れた渡部。その後も毎週のようにグラップリング、柔術の試合に出場しており、さらに10月14日にはROMAN柔術ルールで橋本真吾との対戦も決定済。とにかく今は格闘技の試合を楽しむことができているような渡部の積極的な活動は続く。

トーナメント対抗馬はPFCフライ級王者の黒石か。黒石は7月大会で中西テツオを判定で下しベルトを防衛。しかし意外なことに「初めてのグラップリングの試合なので、ワクワクドキドキしています」(公式リリースより)とのこと。また、同トーナメントに出場するDAIKIは山本空良の実兄で、今回は5年ぶりの復帰戦だという。北の大地からグラップリングの風が吹き荒れるかどうか注目だ。

■PFC34 視聴方法(予定)
10月6日(日)
ROOKIES&STONES 午前11時~
PFC34 午後16時~
PFC公式YouTubeチャンネルにて ※メンバーシップ限定

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【NEXUS36】横山武司に挑戦、岸野JUSTICE紘樹「格闘技は、社会との接点を持ち続ける唯一の場所」

【写真】それぞれの格闘技、格闘家としての生活。素敵な格闘技観だ (C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(日)、東京都港区のニューピアホールで行われNEXUS36にて、ライト級王者の岸野JUSTICE紘樹が横山武司の持つ同フェザー級王座に挑戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年8月にジェイク・ウィルキンスとの王座決定戦を制し、ライト級のベルトを獲得した岸野は今年2月の村井和道戦=フェザー級次期挑戦者決定戦で勝利し、今回のフェザー級王座挑戦に至っている。

岸野のプロデビューは2012年6月、もうMMAキャリアは12年となっている。デビューしてから2014年11月まで勝ち星がなかった岸野が、いかにネクサスのライト級王座まで辿り着いたのか。さらに今回フェザー級のベルトに挑む理由とは――。


ずっと辞めたいと思っているんですよ。それが目標で

――MMAPLANETでは初のインタビューとなります。岸野選手は2012年7月プロデビューで今年30歳になります。ということは高校生の時にプロデビューしたのですか。

「ジムの扉を開いたのが15歳、高校1年生でした。プロデビューが18歳の時なので、ギリギリ高校3年の冬だったかなと思います。当時は水戸に住んでいて、桜井隆多さんのR-BLOODでお世話になっていたんです。その時は梅田恒介さんに面倒を見てもらっていて、『ジャスティス』というリングネームも梅田さんが漫画のキャラクターから付けてくれました」

――なぜ15歳の時にMMAを始めようと思ったのでしょうか。

「中学の時は柔道とレスリングをやっていました。それまでは特にスポーツに興味があったわけではなく、小学生の時は学校から帰ってきて、ポテトチップスを食べてテレビゲームをして1日を終える生活でした」

――アクティブとは言えなかったのですね。(笑)。

「ハイ。でもウチの中学校は皆が部活に入るような感じで、父親からは『紘樹はモヤシみたいな体格だし、運動部に入っておけ』と言われました。僕は球技ができなくて、柔道のほうが良いかなぁと思ったんです。ただ柔道もレスリングも結果はふるわず、納得がいかなかったというか……。『この試合は勝っていたんじゃないか』、『ここで勝っていたら高校の推薦も決まったんじゃないか』と思ったり、やりきった感がありませんでした。

進学した高校には柔道部がなく、他にやりたい部活もなかったので、格闘技のジムに入りました。そこでプロ選手になり、ライト級のチャンピオンになろうと」

――ジムに入会した時に、チャンピオンになる階級も決めていたのですか。

「当時はDREAMのライト級GPを観ていて、自分も体重が同じくらいだし、ライト級でチャンピオンになりたいと思ったんです」

――プロデビュー後、1分けを挟んで5連敗。初勝利は2014年11月と苦しい時期が続きました。

「苦しい時期でしたね。当時はいろんなMMA大会が始まって、セミプロみたいな選手へのオファーが増えた時期でもあったんです。そこでうまくプロデビューできたような感じですね。しっかりアマチュアで経験を積んだわけでもないので、最初の頃は戦績もふるわない時期が長く続きました」

――序盤でMMAを続けることを諦めてもおかしくないレコードだったと思います。

「MMAを辞めようとは思わなかったです。ただ『すぐに勝てる世界ではないんだなぁ』と――誤算やナメていた部分があったのは事実です。体も出来ていなくて、怪我もありましたし。怪我のために辞めようと考えることもありましたけど、勝てないから辞めようとは思わなかったですね。柔道とレスリングをやっていた頃と同じですけど、MMAでも『この試合は勝っていただろう。ここで勝っていたら流れも変わったんじゃないか』と思う試合があったりして」

――同じように自分の中で納得がいっていない。だから辞めるわけにはいかないという気持ちもあったのですか。

「はい。高校卒業後、専門学校に進んで社会人になる時に一度、区切りをつけようとは思いました。2014年11月のTTF Challenge03で勝って『もういいかな』と思っていたんですけど、ネクサスの山田さんにお願いして、また試合に出るようになりました。上京してからはトイカツ道場に入って、今に至ります」

――その後、2016年から徐々に勝ち星が増えていきます。岸野選手の中で何か大きな変化があったのでしょうか。

「……何もないですね(苦笑)。ちょっと時間の背景が戻ってしまいますけど、専門学校を留年して、もう1年あるからMMAをやろうかと思っていた時期です」

――ということは、社会人になったらMMAを辞めようと……。

「思っていないですよ。逆です」

――えっ!? 逆ということは、就職したくなかったということでしょうか。

「専業格闘家を目指していたので、就職したくなかったです(笑)。勝てるようになったのは――デビュー当時に黒星から引き分けるところまで持っていくことができて、ちょっと実力を出せるようになってきたかなと思っていたんですよ。どう戦えば評価されるのか、それが分かるまで10試合ぐらい掛かって。

基本的にはずっと同じことをやっています。負けていたら何か変えようとする選手が多いと思いますけど、僕の場合は逆にどんどんシンプルになって、今はほとんどスパーリングしかしていません」

――なるほど。そこからDEEP、韓国TOP FC、そしてZSTに出場します。この頃も「ライト級チャンピオンになる」という目標は同じですか。

「その時は、さすがにそうは思っていなかったですかね。そうですね……うん」

――では「ライト級王者になることは難しい」と思った当時のモチベーションは何だったのでしょうか。

「何でしょうね……ずっと辞めたいと思っているんですよ。それが目標で」

――辞めることが目標、とは?

「柔道とレスリングを始めた頃は、しぶしぶ続けていたような感じでした。でも自分が格闘技をやっていなかったら、どうなっていたのか。きっと学校でも端っこのほうにいて、それほど勉強も頑張っていなかったし、どうもなっていなかったと思います。

就職するタイミングでも――口下手で、人とのコミュニケーションも苦手でした。人と関わるのも好きではなかったので、できるだけ人と関わらないような仕事を見つけて……。でもそうして過ごしていると、人と成長する機会も失っていたと思います」

――……。

「僕にとって格闘技は、社会との接点を持ち続ける唯一の場所なんです。だから格闘技は続けたい。そうではなく社会人として一生懸命、仕事をして家庭を持って、自分も周囲も幸せだっていう状態が一番あるべき姿だとは思っています。実際に就職もして、結婚していた時期もありました。だから『もう格闘技はいいんじゃないか』と思う時もありました。

だけど試合に負けた時とかに『この試合だけは勝っておきたかったな』と思ったり。TOP FCに出て何もできずに負けた時も『もう少し頑張って勝って終わりにしたい』とか。『燃え尽きたい』という気持ちで続けている-——続けてしまっているというか」

僕は、ネクサスでキャリアを終えようと思っています。

――ネクサスで目標であったライト級のベルトを巻いた時に、燃え尽きることはできなかったのですか。

「ベルトを獲得して辞めようとは思いました。でもベルトを巻いた人間として、ちゃんと負けてベルトを奪われるまで続けるのが格闘技界のルールじゃないかと思ったんです。自分がベルトを獲って辞めるというのは、自分勝手なことじゃないのかなって」

――……。試合内容も大きく変わってきていると思います。過去の試合では左右のステップからテイクダウンを奪いに行っていたのに対し、ウィルキンス戦と続く村井和道戦は前後のステップも加わっていました。それは打撃のディフェンスが向上したからではないか、と。上半身が突っ立ってアゴが上がりがちだった点も修正されています。

「そこは大きく変わりました。一度KOされて30秒~1分ぐらい意識が戻らなかったことがあるんです。『もう打ち合うのは得策じゃない』と打ち合わないスタイルにシフトしていって、今はスタンドのディフェンスに注力しています。もともと打撃は下手で怖かったけど、今は打撃でも勝負できるぐらいになってきました。特にディフェンスは自信があります」

――ウィルキンス戦では岸野選手も打たれているように見えて、ダメージは少なかったからこそダウン後にフィニッシュできたのでしょうか。

「はい。昔はパーリングやヘッドスリップを使っていましたけど、最近はブロッキングで防げる自信もあります。ブロッキングが一番動きは小さく、遠い距離と近い距離どちらも同じようにディフェンスできるようになったから、戦略の幅が増えました。それが距離の詰め方にも繋がっていると思います」

『横山選手のことをどう思うか』と訊かれても、『どうも思っていない』としか答えられない

――結果、ライト級のベルトを巻くことができました。それが今回、フェザー級に挑むというのは……。

「まず僕は、ネクサスでキャリアを終えようと思っています。ライト級のベルトを獲った時、もっと大きな舞台に行くという考えはありませんでした。まぁ、オファーもなかったんですけど(苦笑)。もともと僕にとってはベルトを獲って他の団体で戦うことよりも、防衛戦のほうがネクサスでやるべき仕事だと思っています。

ただ、僕が防衛戦をやりたくても、今はライト級に挑戦者がいない。そこでどうするか――実は2年ぐらい前から適正階級はフェザー級なんだろうと思っていたので、フェザー級に挑戦してみようかなと。やっぱり二階級制覇って夢があるじゃないですか」

――はい。

「もう一つ、山本空良選手がフェザー級王者になった時のトーナメントに、ライト級から転向して出ようかと悩んでいたんですよ。結局、出ることは叶わなかったけど『あの時もしかしたら自分が優勝できたんじゃないか』と思うこともあって。だから今回のフェザー級挑戦は、あの時に獲りに行かなかったものを獲りに行くという感じなんです」

――柔道&レスリオング時代から『やり残したこと』を追いかけ続けるのも格闘技人生だと思います。そしてライト級のベルトを獲得すると、次はフェザー級への想いがつのる。心の中では、ずっと格闘技を続けたいのではないですか。

「いやぁ、その言葉は聞きたくなかったです(笑)」

――アハハハ!

「僕は今でも辞めたいですよ(笑)。でも続けていくうちに、新しいことができるようになって、新しい目標ができて――それが嬉しいと思うこともあるんです。ただ、自分の中では『当時は手に入れられなかったものを得たい』と考えているだけであって。一通り欲しいものを揃えたら辞めると思います」

――一通りとは?

「フェザー級のベルトを巻いたら、最終的にストロー級まで獲って5階級制覇——というのはどうですか。階級を上げていくのではなく、落としていくという(笑)。たくさんベルトを巻けるからライト級でスタートしたんだなと勝手に考えています」

――勝手に(笑)。次に対戦する横山選手の印象を教えてください。

「ファイターとしては、スパッとしているところですかね。僕はいろいろ思い返して、ゴネゴネして『やるの? やらないの?』『……やります』みたいな感じで生きているわけですよ。でも横山選手はその場その場で判断していそうな感じですよね」

――横山選手の試合を視ていると、そうかもしれません。グラウンドでも一つの動きに執着しすぎることなく、切り替えが速い。

「そういうところは、自分と違って幅があって素敵だなぁと思います。でもそう聞かれると難しいんですよね。『横山選手のことをどう思うか』と訊かれても、『どうも思っていない』としか答えられないんです。自分にとってはフェザー級のベルトを獲る――その相手が横山選手だったというだけで。これは通過点であり、終着点ではないので。

僕としては試合に関して自分を持ち上げたり、相手を貶めるような発言はしません。別にこの試合が、世界最高峰の技術を見せるものだとも思っていませんし。だけどネクサスの中でライト級とフェザー級の王者が戦う。罵り合いを必要とせず、楽しんでもらえる試合になったら嬉しいです」

■視聴方法(予定)
8月25日(日)
午後12時30分~Fighting NEXUS公式YouTubeチャンネル

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【Fighting NEXUS】横山武司復活!岸野”JUSTICE”紘樹と対戦!

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8月25日にニューピアホールで開催されるFighting NEXUS vol.36。河村泰博(和術慧舟會AKZA)×小倉卓也(スカーフィスト)のバンタム級タイトルマッチをプッシュしたばかりですが、さらなる豪華カードが追加発表されました。フェザー級チャンピオン横山武司(Swells柔術ジム)が岸野"JUSTICE"紘樹(トイカツ道場)とのタイトルマッチに臨みます。

横山は全日本柔術選手権アダルト黒帯フェザー級で優勝したグラップラー。Fighting NEXUSでプロデビューすると寝技を武器に3連勝。わずか3試合目でRIZIN常連だった山本空良を判定で下してフェザー級チャンピオンを戴冠しました。

その後はRIZINに参戦すると契約体重オーバーの山本琢也から腕十字で一本勝ち。次戦の摩嶋一整との重厚なグラップリング対決には敗れ、その後に網膜剥離の手術を受けたものの、プロ戦績は5勝1敗(4試合が一本勝ち)で27歳と伸びしろ充分。強気な性格と引き出しの多い寝技を武器に改めてブレイクしても不思議ではありません。

対する岸本はFighting NEXUSライト級チャンピオン。ジェイク・ウィルキンスを下して王座を戴冠すると、今年になって1階級下のフェザー級に挑戦。2月には4連勝中だった村井和道に判定で競り勝ってタイトル挑戦権を獲得しました。

派手さはありませんが、立っても寝ても安定感があって、グラウンドで上をキープも出来る選手。横山の仕掛けを封じ込めてドロドロの競り合いに持ち込めば、フィジカルにモノを言わせて競り勝つ可能性も充分。河村×小倉とのダブルメインだけでも観戦する価値アリ。見逃せません。
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【PFC32】渡部修斗に挑戦、ボビー・オロゴン×ホイスを視てMMAを始めた亀松寛都「所さんと戦いたい」

【写真】卍固めは仕掛けられた人の姿勢も大切です(笑) (C)KENICHI YAMAMOTO

3日(日)に札幌市北区のPODアリーナで開催されるPFC31。今大会ではPFCバンタム級選手権試合としてチャンピオン渡部修斗と亀松寛都が挑戦する。
Text by Takumi Nakamura

前PFCフライ級王者で、バンタム級転向2戦目で今回のチャンスを掴んだ亀松は「YouTubeで見た『ファニエスト外語学院』のボビー・オロゴンがきっかけ」でMMAに興味を持ったという変わり種。

山本喧一会長率いるPOD GYMに入門し、PODで純粋培養されたファイターでありながら、今回の試合前にはハワイのグレイシー・テクニックスでマックス・ホロウェイとも練習を重ねた。亀松は今回の渡部戦を「出世試合にする」と語った。


──試合3日前のインタビューありがとうございます。試合に向けた調整は万全ですか。

「今回会長からハワイのグレイシー・テクニックスで練習する話をいただいて、約一週間ほどハワイで練習してきました。通常の追い込みより期間は短かったんですけど、いい調整ができています」

──ハワイで練習を!

「道衣を着た柔術の練習がメインで、MMAではマックス・ホロウェイ選手とも練習させてもらって、貴重な経験をさせてもらいました」

──ホロウェイと練習できる機会は貴重だと思います。元UFC王者のホロウェイと向かい合って、どのようなことを感じましたか。

「(打撃は)軽くコンタクトするレベルの強度で、やっている最中はよく分からなかったんですけど、練習が終わってホテルに帰ってきてスパーリングの映像を見てみたら、びっくりするくらいやられていました(苦笑)。まだ自分がホロウェイ選手のすごさが分かるレベルに達していないというか。そのくらいホロウェイ選手は強かったですし、よくある表現ですけど世界の広さを肌で感じました」

──柔術の練習はいかがでしたか。

「自分はウワー!と動いて逃げることが多いのですが、道衣を着ているとそれができないし、道衣があると裸のグラップリングでは極められない技を極められてしまうので、勉強になりました。道衣の練習をして、より細かい部分まで意識するようになりましたね」

──亀松選手は今回がMMAPLANET初登場ということで、これまでのキャリアについて聞かせてください。格闘技を始めた何歳の時だったのですか。

「ジムに入ったのは14歳の時です。格闘技を始めた理由としては、真面目に学校に行くタイプではなくて、よく友達と学校をサボってYouTubeで昔のバラエティ番組を視ていました。それで『ファニエスト外語学院』の動画を見つけて、友達と一緒にハマって(笑)」

──「さんまのSUPERからくりTV」の人気企画ですね。もしかしてそれに出ていたボビー・オロゴンさんの……。

「そうです(笑)。あの番組でボビーがホイス・グレイシーと戦っていたのを見て総合格闘技のことを知って。それでネットで総合格闘技を検索したときにPOD GYMを見つけて入会することになりました」

──なるほど。今の話を聞くと凄い時代が来たな…と思います(笑)。

「おそらくこういう理由で格闘技を始めた選手は僕だけだと思います(笑)」

──では亀松選手はPOD生まれ・POD育ち、山本会長に格闘技のイロハを教わったのですね。

「はい。格闘技経験ゼロだったので、そうなりますね。会長のこともPRIDEの昔の映像を知っていたので、その人から格闘技を一から教わるというのも不思議な感じでした」

──プロデビュー戦は2020年3月、タイガー石井選手と対戦しました。異例の相手だったと思うのですが、どういう経緯で決まったのですか。

「もともとは別の選手とプロ昇格戦をやる予定だったんですけど、コロナの影響で欠場になっちゃったんです。その選手とタイガー選手の相手が同じジムで、ちょうど僕とタイガー選手の相手がいない状況になって、急きょ僕とタイガー選手が試合をすることになりました」

──そういった事情があったのですね。デビューから4連敗と勝てない時期が続き、5戦目で初勝利。そこからは4連勝と快進撃が続きました。何か変化があったのですか。

「当時は高校生で試合に出ても全く勝てなくて、腐りかけたんですよね。でも負けたまま格闘技をやめるのはかっこ悪いから『とりあえず高校生のうちは続けよう』、『何連敗してもいいから1回は勝とう』と思ってやったら、勝つことができました」

──しかも石井選手にはデビューから3年後にリベンジしました。あの時は勝てるという自信があったのですか。

「デビューしてから泥水をすすってきたわけだし、先輩の遠藤来生さんや山本空良さんにボコボコにされながら練習を続けてきたので、今の自分だったらタイガー選手にも勝てるという自信を持って戦いました」

──今大会は一夜限りのMMA復活となる渡部修斗選手と対戦することになりました。渡辺選手と対戦することは想像していましたか。

「ちょうど僕がジムに入った頃、ジムにFighting NEXUSのポスターが張ってあって、そこにデカデカと載っていたのが渡部選手だったんですよ。特に予備知識はなかったのですが自然と渡部選手に目がいって。で、タイガー選手や村井和道選手もそうだったんですけど、ポスターにデカく載っていたり、自然と目が行く選手と試合が決まることが多いんです。だから『ああ今回も決まったなぁ』って感じでした」

──オフィシャルのコメントでは「この試合が出世試合になる」という言葉がありましたが、どんな試合にしたいと思っていますか。

「どっちかが失神するんだろうなと思います。ただし、散る覚悟はありますけど、散るつもりはないです。自分が勝つパターンも見えているし、負けるパターンが分かっているからこそ、その対策も練習してきたので自信はあります」

──ターニングポイントになりうる試合で結果にこだわりたいという気持ちはありますか。

「もちろん勝つ気ではいるんですけど、ここで負けたからと言って僕の格闘技人生が終わるわけじゃないし、もし負けても次で勝てばいい。絶対に勝つという気持ちは変わらないですが、変な気負いはせずにのびのびと戦おうと思います。僕の場合はそういう姿勢で勝ってきたし、その方がいい結果を残せていたので、今回もそれでいこうと思います」

──試合する以上は白黒はっきりつけたい、勝つならフィニッシュして勝つ。そういったこだわりはありますか。

「僕はそれがプロの仕事だと思っています。前々回の村井戦は負けてしまったんですけど、すごく後楽園ホールが盛り上がっていて、会長から『試合には負けたけどプロの仕事は出来ていたぞ』と言われて、それがすごくうれしかったんです。僕はずっと面白い試合をしたいと思ってやってきたし、改めてプロの仕事はこういうことなんだなと思わされました。でもだからこそ負けてそう言われたことは悔しかったし、次は勝ってプロの仕事をしたいです」

──渡部戦をクリアした先の目標は?

「メジャーな舞台に出たいですし、最近口にしているのは所英男選手とやることです。もともと所選手は会長が東京でやっていたPODの出身ですし、それを抜きにしても見ていて熱くなる試合をする、こういう選手になりたいと思っていた選手なので、いつか所選手と戦いたいです。前回所選手が平井総一朗選手のセコンドでPODアリーナに来ていて、おこがましいのですが『所選手と戦いたいです』と直接お伝えさせてもらって、所選手からは『待てるかどうかは分からないけど待っています』と声をかけてもらいました」

──それはドラマがありますね。

「僕自身、ジムに入るまで所選手が会長の教え子ということを知らなくて、あとから知ったんですよ。それを知った時はすごく驚きましたし、嬉しくなりました。簡単に戦わせてもらえる相手じゃないことは理解していますが、それは目標にしたいと思います」

──それでは最後にファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「今回は相手が強いこともあるし、この試合に勝てば地元以外でも試合が組まれるチャンスが広がると思っているので、会場には僕を応援してくれる人たちがたくさん来てくれます。その人たちに感謝の気持ちが伝わる試合をしたいです」

■PFC32第2部対戦カード

<PFCバンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]渡部修斗(日本)
[挑戦者]亀松寛都(日本)

<PFCウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者] 新名正啓(日本)
[挑戦者] 成田佑希(日本)

<ライト級/5分2R+1ex>
飛田拓人(日本)
佐藤力斗(日本)

<63キロ契約/5分2R+1ex>
伊藤光(日本)
綾哉(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
河永重春(日本)
中場ガッツマン大地(日本)

<ミドル級/5分2R+1ex>
森崇純(日本)
カタナマン(日本)

<ミドル級/5分2R+1ex>
カタナマン(日本)
金田一利明(日本)

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『Fighting NEXUS vol.32』試合結果

Fight&Life(ファイト&ライフ) vol.98


第11試合 トリプルメインイベント3 Fighting NEXUS初代ライト級王者決定戦 5分3R
×ジェイク・ウィルキンス[Jake Wilkins](LIBERTAS学芸大ジム)※フリーから所属変更
○岸野“JUSTICE”紘樹(トイカツ道場)
判定0-3 (大藪28-29/小池28-29/梅田28-29)
※岸野が王者に

第10試合 トリプルメインイベント2 Fighting NEXUS初代ストロー級王者決定戦 5分3R
×木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(トイカツ道場/修斗世界同級8位)
○宮澤雄大(K-PLACE/パンクラス同級4位)
判定0-3 (梅田27-30/小池27-30/大藪28-29)
※宮澤が王者に

第9試合 トリプルメインイベント1 PFCバンタム級チャンピオンシップ 5分3R
×小倉卓也(スカーフィスト/王者)
○渡部修斗(FIGHT LINX/挑戦者、元Fighting NEXUSバンタム級王者)
判定0-2 (梅木28-28/梅田28-29/出口28-29)
※渡部が王者に

第8試合 MMA フライ級(ノンタイトル戦) 5分2R(延長1R)
×浜本“キャット”雄大(クロスポイント大泉/Fighting NEXUS同級王者、元WPMF日本スーパーバンタム級(55.33kg)王者)
○荻窪祐輔(K-PLACE)
判定0-3 (大藪18-20/梅木18-20/山崎18-20)

第7試合 MMA 88kg契約 5分2R(延長1R)
×廣野雄大(パンクラスイズム横浜)
○ましん(BULE DOG GYM)
1R 0’58” KO (右フック)

第6試合 MMA バンタム級 5分2R(延長1R)
―森永ユキト(ストライプル新百合ヶ丘)
―中桐涼輔(トイカツ道場)
1R 0’22” 無効試合

第5試合 MMA フェザー級 5分2R(延長1R)
○岩松哲也(リベルダージ)
×千春(FREEDOM@OZ)
1R 0’49” 反則

第4試合 キック 60kg契約 3分3R
○渡邉奎介(HIDE’S KICK)
×瀬川 琉(稲城キックボクシング道場/元新日本キックフェザー級1位)※伊原道場稲城支部から所属先名称変更
判定3-0 (小池30-25/山崎30-25/梅木30-25)

第3試合 MMA フライ級 5分2R(延長1R)
×倉岡幸平(蒼天塾あざみ野道場)
○豪瑠[ごうる](Evermove)
3R 判定1-2 (梅田9-10/大藪9-10/出口10-9)
2R 判定0-1 (梅田18-20/大藪19-19/出口19-19)

第2試合 MMA フェザー級 5分2R(延長1R)
○村井和道(FIGHT BASE都立大)
×亀松寛都(POD/PFC/元PFCフライ級王者)
3R 判定3-0 (出口10-9大藪10-9/小池10-9)
2R 判定0-0 (出口19-19/大藪19-19/小池19-19)

第1試合 キック 57.5kg契約 3分3R
○大島広也(TANG TANG FIGHT CLUB)
×紺野煌人(神龍ワールドジム)
判定3-0 (山崎28-26/小池28-26/梅木28-26)

 遅ればせながら8月20日に後楽園ホールで開催された『Fighting NEXUS vol.32』の試合結果。トリプルメインイベント3の初代ライト級王者決定戦は岸野“JUSTICE”紘樹がジェイク・ウィルキンスに判定勝ち。トリプルメインイベント2の初代ストロー級王者決定戦は宮澤雄大が木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅に判定勝ち。トリプルメインイベント1のPFCバンタム級チャンピオンシップは渡部修斗が小倉卓也に王座戴冠と共に引退し有終の美を飾っています。続きを読む・・・
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【NEXUS32】ケージ際の攻防を制したのは村井。PFCフライ級王者の亀松を延長戦の末に判定で下す

<フェザー級/5分2R>
村井和道(日本)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
亀松寛都(日本)

亀松が右カーフを当てて距離を取る。村井が左右に回る亀松に組みつき、両腕を差し上げてケージに押し込んだ。しかし左腕を差し返した亀松が体勢を入れ替える。村井が差し返して押し込むも、左ヒザが亀松の下腹部を捉えて試合が中断。再開後、互いの左ミドルが交錯してから村井が組みつく。しかし離れた亀松がダブルレッグでドライブしてから両腕を差し上げた。

ケージ際で差し合いから体勢を入れ替え合う両者。村井がシングルレッグに切り替えるも倒せず。亀松が体勢を入れ替えた瞬間に村井がバックに回り、そのままケージに押し込んでいく。どちらも倒せずブレイクが掛かった。再開直後、飛び込んできた村井の顔面に亀松の右ショートがカウンターで当たった。ダウンした村井を抑え込み、そのまま立ち上がる相手のバックに回った。しかし同じく差し合い、体勢の入れ替え合いが展開されるなか、村井が内股を狙ったがテイクダウンできずにラウンドが終了した。

村井の鼻から大量の出血があり、ドクターチェックが入った後に2Rが始まる。村井が飛び込んで右前蹴り、右ミドルを連打していく。左右に回る亀松は左右のパンチを振りながらシングルレッグで飛び込むも、かわした村井にバックに回られた。亀井は正対するも相手を抱え込む。亀松の頭をケージに押し込んだ村井は、そのままボディロックで固める。一度離れてパスを狙った村井の左足を取りに行く亀松。しかしヒールフックを極めることはできず、ケージに背中を着けられてしまう。さらに背中を着かされた亀松が下から仕掛けるが、村井がバックからトップをキープして試合を終えた。

2Rを終えての裁定がジャッジ3者とも19-19のドローだったため、試合は延長戦に。

延長ラウンドは村井の右ハイからスタート。蹴りを散らす村井に組みつく亀松が、離れると右を当てる。村井も右ミドル2発から右ストレートで亀松のアゴを跳ね上げた。組んだ村井が左腕を差し上げて亀松をケージに押し込む。体勢を入れ替えられるもバックに回った村井がグラウンドに持ち込んだ。しかし腕をくぐってバックに回った亀松がバックへ。ケージ際の差し合い、バックの奪い合いを制したのは村井だった。そのままバックマウントからRNCを狙う。スクランブルに持ち込んだ亀松が立ち上がった村井のバックに跳びつき、首に腕を回したが試合終了のゴングに阻まれた。

裁定は村井の29-28、29-28、29-28--ということは、延長ラウンドは村井が取ったか。結果、村井が3-0でPFCフライ級王者の亀松に判定勝ちを収めた。


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