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【DEEP121】フライ級サバイバル。倒されても立ち上がりパンチを当てた関原が杉山をスプリットで下す

【写真】激化するフライ級戦線、関原が接戦を制した(C)MMAPLANET

<フライ級/5分2R>
関原翔(日本)
Def.2-1:20-18.19-19(マスト関原).18-20.
杉山廣平(日本)

サウスポーの関原が右ジャブを突いて距離を詰める。杉山は右ミドルから組みつくも、関原が突き放した。プレスをかける杉山の顔面を、関原の右フックがとらえる。サークリングする関原が左ハイを見せた。関原にケージを背負わせた杉山が右ストレートを伸ばす。杉山の右ボディを受けた関原は右に回ってケージ際を脱した。ケージ中央で関原が組むも、杉山が左腕を差し上げてケージに押し込む。関原が切り返して離れる。互いにフックを当てるなか、関原が右を打ち込んだ。ケージ際で杉山がダブルレッグですくい上げ、関原に尻もちを着かせる。

関原の両足を畳ながら右側にパスした杉山。その瞬間、関原が立ち上がりケージに押し込む。切り返した杉山が右ボディを突き刺す。ここで関原のグローブのテープが外れたか、試合は中断。再開後、関原が左三日月蹴りへ。対する杉山も右ストレートを打ち下す。組んだ関原がテイクダウンすると、杉山は右足を取って内ヒールを狙ったが、ここは関原が立ち上がった。蹴りで距離をつくる関原は、テイクダウンのフェイントも見せる。杉山のパンチに対し、右から左フックを返した関原。杉山は右カーフキックを当てた。

最終回、関原がオーソドックスに構える。杉山が中に入ると、サウスポーにスイッチしてフックを当てる。ケージ中央でニータップを狙った関原だが、これは杉山にスプロールされてしまう。腰を上げる関原の頭を抑えた杉山は、ギロチンに捕らえながら関原をケージに押し込んだ。関原に尻もちを着かせた杉山は、両足を抱えて立たせない。すると関原がニンジャチョークで絞め上げる。これは極まらず、杉山がボディロックで押し込む。関原はギロチンから立ち上がった。杉山が右腕を差し上げてケージに押し込む。

離れた両者、杉山が関原にケージを背負わせて右ハイを繰り出した。ショートフックの打ち合いでは、杉山は疲労からか動きが落ちる。関原のパンチが幾度も杉山の顔面にヒットする。杉山も右カーフ、右ストレートを打ち込み、再びテイクダウンしたがすぐに立たれた。残り30秒、ケージ中央での打ち合いでは関原が優勢に。首相撲で抱えられた杉山は関原をケージに押し込み、シングルレッグで尻もちを着かせる。すぐに立ち上がった関原が杉山と打ち合い、試合を終えた。

裁定はスプリットで関原が勝利を収めている。


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【DEEP121】バンタム級王座を賭けた福田龍彌戦へ、瀧澤謙太「理想のスタイルは固まってきました」

【写真】幼少期の学んだことは残る。そして生かされる(C)SHOJIRO KAMEIKE

16日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP121で、瀧澤謙太が福田龍彌と空位の同バンタム級王座を争う。
Text by Shojiro Kameike

DEEP初参戦となった今年7月のCORO戦で判定勝ちを収めた瀧澤は、2戦めでベルトに挑むこととなった。連敗を脱したものの、本人としてはCOROとのタフファイトは「苦戦だった」と振り返る。しかし、そんな苦戦の中で見せた自身が理想とするスタイルとは。


フィジカルとスタミナの2つが伴ったことで、メンタルも良くなった

——前戦から2カ月後の試合となります。これだけ早いペースで試合をすることは瀧澤選手からの希望だったのですか。

「たくさん試合したいと思っていたので、良いペースです。今回勝てば年内にもう1試合やりたいという気持ちではいます」

——そしてDEEP2戦目がタイトルマッチとなりました。

「ベルトを巻くのは早いに越したことはないですが、2戦目というのはラッキーな巡り合わせですね」

——結果的にタイトル前哨戦となったCORO戦の感想を教えてください。

「1戦目よりも苦戦してしまった——倒し切れなかったです。1戦目は1~2Rと完全に支配して最後に倒すという、自分のやりたいことしかしていなかった試合で。今回は1Rにダウンを取り、2Rに相手が盛り返してきて、最終回に僕が手数で勝ったという感じでした。もうちょっと綺麗に勝ちたかったですね」

——なるほど。同時に、タフな試合で削り勝つことができた。それは今までの瀧澤選手の試合にはなかった、良い面だったのではないかと思います。

「ありがとうございます。実は試合の1週間前に、綺麗に風邪や喘息が治ったんですよ。もともと小児喘息があり、今も風邪をひいたら症状が出てしまう時があって。一度出ると、咳が治まるまで1カ月ほど掛かってしまうこともありました。そうなると練習にも支障が出たり、インターバル中にも咳が出てしまうこともあって」

——それはキツい……。

「今回もスタミナがヤバいかなと思っていたら、1週間前に風邪と喘息が止まったので、メチャクチャ自信ができました。ずっとフィジカルトレーニングとスタミナのトレーニングはやっていて、数値的には自分の最高記録を更新することができていたんです。そのフィジカルとスタミナの2つが伴ったことで、メンタルも良くなって。

CORO戦では最初のインターバルが終わって2Rが始まる時、次のインターバルから最終回に臨む時に『これは動ける!』と思いました。セコンドからも『ガンガン前に出て、確実に最終ラウンドを取れ!』とも言われていましたし、しっかり動くことができましたね」

——それは直近の試合で味わったことのない感覚でしたか。

「そうですね。まず井上直樹戦(2022年大晦日に一本負け)はあまり体調が良くなくて、さらに削られてスタミナもキツかったです。太田忍戦(2023年7月にTKO負け)は1Rで終わってしまいましたし、野瀬翔平戦もスタミナはキツかったですね。そこから集中してスタミナとフィジカルに取り組んで、CORO戦ではその2つが挙がったことを実感できました。

でもCORO戦より今回のほうが、スタミナもパワーも自信があります。試合まで残り1週間——今すごく体の調子が良くて、このまま自信を持って臨むことができます」

——今挙げた試合と比較して、CORO戦は自身が先手をとって試合をつくることができていました。

「やはりスタミナとフィジカルが伴うと、試合も自信を持って臨めますよね」

——もう一つ、試合中はずっとスイッチし続けていましたね。あれはテイクダウンディフェンスであり、CORO選手対策だったのでしょうか。

「あれは僕がずっとやりたかったことなんです。やっと試合で出すことができました。今までも練習仲間の対戦相手がサウスポーなら、僕もサウスポーで構えたりとか、対策練習でサウスポーになることはあって。だけど、いずれ試合でも実際に出したいとは考えていたんですよ。でもサウスポーになるとオフェンスはできても、オフェンスが甘くなったりすることもあって。オフェンスもディフェンスもできるようになったら試合で出そう、とはずっと考えていました。今後はオーソドックス、サウスポー両方出していきたいです」

福田選手が持っている戦いのメカニズムが分かってきました

——すり足でスタンスを変えるのは、スイッチというよりも空手の足捌きですよね。

「そうなんです! 僕はフルコンタクト空手をやっていて、相手との距離が近いフルコン空手では、オーソドックスかサウスポーかという概念が無いというか――流れの構えが入れ替わる、足が交差する場面は多くて。だから昔からオーソドックスでもサウスポーでも、攻めることはできていました。でもMMAだと顔面打撃とテイクダウンがあるので、そのディフェンスが試合でも出せるようになったということなんです」

——高校時代はレスリング部に所属していたとのことですが、空手のあとにレスリングを経験してスタンスに影響を及ぼしたのでしょうか。

「そういうわけではないですね。MMAを見越してレスリングを始めたので、打撃でいえばオーソドックス——左足前でレスリングもやっていました。オーソドックスのままテイクダウンに入れたほうが良いかなと思っていて」

——今回タイトルを賭けて戦う福田選手はサウスポーです。サウスポーに対しても、同じような足捌きで戦うことはできるのですか。

「もちろんです。自分の中で理想のスタイルは固まってきました。福田選手の場合は、どの展開で何が理に適っているか、理解して戦っている。試合映像を視ていると、福田選手が持っている戦いのメカニズムが分かってきました。分かっている技は掛からないとは思っていますね。福田選手のメカニズムにハマらないよう、自分から早く仕掛けていきたいです」

——瀧澤選手の視点が、まるで武術家のようです。

「あぁ、どうなんですかね。あまり人の試合は視ないんですよ。どちらかといえば練習で自分の攻撃が良い感じで当たった時、なぜそうなったのかを見直したりするほうが多いです。当たるパンチ、倒せるパンチって何かしら理由がある。そのパンチを分析して自分のモノにしたりするのが好きなんですよ。それこそが自分にとっての格闘技の楽しさであって。あとは試合が決まったら対戦相手の映像を視て、自分の技術を適応させていきます」

——その点では福田選手も同じタイプのファイターだと思います。今回の対戦が楽しみですね。

「そうですね。福田選手との試合は、いろんな展開を考えています。エキサイティングな試合をする選手だと分かっていますけど、漬けてくる場面もあるかもしれない。特に打撃勝負をして、分が悪いと感じたら——そういう展開も想定していますね。僕はKOを狙いますが、実は今までプロの試合で一度も自分からテイクダウンに行ったことがないんですよ」

——えぇっ!? そうだったのですね。

「アハハハ。自分からテイクダウンに行くことなく、ベルトを獲得できるのかどうか検証したいです」

——次の福田戦で初めてテイクダウンを狙おうとは思っていないのですか。

「いずれテイクダウンを混ぜていきたいとは思っていますが、いつにするのかは分からないです。自分の場合は寝技と打撃であれば、打撃のほうが勝つ確率は高い。でもテイクダウンに行くのはリスクも生まれるじゃないですか。もしかしたら今回テイクダウンを狙うかもしれないし、テイクダウン無しでベルトを獲るかもしれません。まだ見せていない部分は、メチャクチャあります。僕の試合を楽しみにしていてください。全て見せた時は、みんな驚くと思いますよ」

■DEEP121 視聴方法(予定)
9月16日(月・祝)
午後5時35分~U-NEXT、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、サムライTV

■DEEP121 対戦カード

<DEEPバンタム級王座決定戦/5分3R>
福田龍彌(日本)
瀧澤謙太(日本)

<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者] 江藤公洋(日本)
[挑戦者] 野村駿太(日本)

<メガトン級/5分3R>
水野竜也(日本)
大成(日本)

<フライ級/5分2R>
KENTA(日本)
渡部修斗(日本)

<フライ級/5分2R>
関原翔(日本)
杉山廣平(日本)

<フェザー級/5分2R>
五明宏人(日本)
相本宗輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
雅駿介(日本)
谷岡祐樹(日本)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
鹿志村仁之介(日本)

<ストロー級/5分2R>
多湖力翔(日本)
中務修良(日本)

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【DEEP121】福田龍彌✖瀧澤謙太、江藤公洋✖野村駿太。2階級のタイトル戦と、粒ぞろいすぎる2回戦!!

【写真】RIZIN枠を考慮し、旬を逃さないカードが組まれているDEEPだ(C)MMAPLANET

23日(火)、DEEPより9月16日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP121 Impactの対戦カードが、タイトルマッチ2試合を含み、11試合が発表されている。
Text by Manabu Takashima

ベルトが懸かった試合は、バンタム級王座決定戦=福田龍彌×瀧澤謙太、そしてライト級チャンピオン江藤公洋に野村駿太が挑戦する2試合だ。


フライ級王者でもある福田は、5月に元谷友貴とバンタム王座決定戦に出場予定だったが、タイでの練習中に肩鎖関節脱臼で欠場となっていた。

対する瀧澤は14日の後楽園ホール大会でDEEP初出場を果たし、COROに判定勝ちを収めている。試合後のマイクでは「DEEPのベルトを獲ってRIZINにリベンジしにいく」と宣言していた。超RIZIN後、9月以降のRIZIN参戦を目指し、ベルトを切符代わりとしたい瀧澤だが、CORO戦はテイクダウンを警戒して慎重なファイトに終始していた。

福田はいわば、命のやり取りをする覚悟で日々の練習をし、ケージに上がっている。そんな福田を凌駕するには、同じ戦意を持ち福田のフィールドに足を踏み入れる必要がある。それができれば、瀧澤の天賦の才といえる当て勘が活きてくるはずだ。

対して、福田としてはやはり負傷の復調具合が気になるところ。筋や腱に傷が及んでいれば、完治までそれ相応の期間は必要となる。それでも福田の性分からして、五体満足になることを欲して、試合機会を減らす選択はしないはず。つまりは完治しなくとも、瀧澤と斬り合い──セッションを求めるのであれば、このタイトル戦は福田にとってリスクが高いファイトとなる。

ライト級戦タイトル挑戦者の野村はDEEP120で泉武志から逆転TKO勝ちを収め、江藤へのリベンジと挑戦をアピールしていた。昨年7月に江藤のテイクダウン&コントロールに屈した野村は、泉のテイクダウン&コントロールを跳ね返したことで、自信を確信に変えてベルト獲りに挑む。

チャンピオン江藤は3月にイ・ソンハをRNCで下して以来、半年ぶりの実戦となる。RIZIN、海外再進出を模索する江藤はとにかく強さを見せての防衛が必要となってくる。

そんな江藤への挑戦に向け、泉を下した直後の取材で野村は以下のように話していた。

「来てくれる方が、ぶっ飛ばせます」(野村駿太)

──2日前のGladiator Challenger Seriesに出場したジムの後輩、南友之輔選手が右ストレートから左フックで強烈なKO勝ちを収めました。あのKOを見て、先輩としてやらないといけないという気持ちになったのでは?

「バリバリなっていました。『コイツ、やってくれるなぁ』みたいな(笑)。『野村さん、繋ぎました』とか言ってくれて。試合の流れも逆転勝ちで、変なところまで同じでしたね。友之輔がBRAVEに加わってくれたところで、自分がやって行くべきことのなかで、空手の良さも再発見することができました。

友之輔がやろうとしていることも、僕のなかで刺激になっています。木村(柊也)や南を見て、自分も『コイツらに負けていらない』という風になりますし。あの2人が、自分を手本にしたくなるような選手に、自分はなっていかないといけないです」

──泉選手を返り討ちしたことで、江藤選手への挑戦権を手にしたかと思います。同じテイクダウン&コントロールにしても、江藤選手のソレはより柔軟に包み込んでくるようなイメージがあります。

「そこは1度、触れているので。自分のなかで江藤選手と戦うなら、どうすべきが分かっている部分はあります。今日みたいにやられないように戦ってしまうと、また去年と同じになってしまうので、自分から仕掛けていっても良いと思っています。そこをタイトル戦で見て欲しいです」

──一発、右アッパーを被弾して下がらされました。

「攻め気でいた時に、自分の流れに持ちこみ過ぎようとして……余りない形のアッパーを貰いました。打撃が上手な人と練習をしていると、あのパンチはなくて。でも、喧嘩のような動きのパンチを貰ったのは反省材料です。変に自分のなかで貰わないという自信があって、それが慢心になってしまっていたかと思います」

──以前よりも、そして泉選手と比較しても、江藤選手は貰っても怯まないようになってきたようにも感じます。

「そっちの方が戦いやすいです。気持ちを強く持ってくれているほうが、向かい合ってくれるでしょうし。ビビッて距離を取られる方が面倒くさくなるので。変に自信を持ってくれている方が、術中にハメやすいです。来てくれる方が、ぶっ飛ばせます」

──打撃でなく、テイクダウンでも出てくる方が戦いやすいですか。

「逆にソレしかしてこないと思っています。泉選手には失礼な言い方になってしまいますが、あのスタイルでさらに強化されているのが江藤選手です。なので、今日は攻め込まれる場面があって良かったです。今日の経験を生かして、煮詰めていけばさらに成長できると思っています」

なお今回の発表ではメガトン級の水野竜也×大成が3回戦で組まれることが明らかとなっている。また関原翔×杉山廣平のフライ級戦、涙の引退から約1年で復帰の渡部修斗もフライ級でKENATと知りなおしの一戦。五明宏人✖相本宗輝のフェザー級戦。バンタム級ではルーツは立ち技同士、ムエタイ=雅駿介×キック=谷岡祐樹、同じくバンタム級で力也×禊の鹿志村仁之介。WardogからRIZIN、GRALDIATOR、HEX FSを経てDEEPストロー級戦線に辿り着いた中務修良✖Blackcombatでの勝利で6連勝中の多湖力翔のマッチアップ──と、粒が揃い過ぎている2回戦6試合も決定している。

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【Pancrase346】リベイロ戦へ、元キックボクサー=濱田巧「内藤のび太選手みたいになりたい」

【写真】この位置、このスタンスからパンチだけでなく蹴りも出せる。それでいて、のび太志向!!(C)MMAPLANET

21日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346で、濱田巧がラファエル・リベイロと対戦する。
Text by Manabu Takashima

KNOCK OUTでタイトル挑戦経験もある元キックボクサーの濱田は2022年5月にMMAデビューを果たすと、伊藤まこととの同門マッチを制してネオブラッドトーナメントで優勝すると、早々にランキング上位となり──その後の連勝を経て、初の国際戦を戦うこととなった。

対するはハファエル・モントウロ・ヒベイロこと、ラファエル・リベイロはキャリア7勝3敗でJungle Fight等ブラジルでキャリアアップをしてきたアグレッシブなファイターだ。そのアグレッシブさ故に、キックの経験が生きるファイトにしたい濱田だが、そのMMA論を聞くと意外にも寝技思考のファイターであることが分かった。


──MMAに転じて5戦目、経験豊かなブラジル人選手と勝てばタイトルが見えてくる試合を行う。このようなキャリアの積み方になる腹積もりでしたか。

「一応ランキングで2位になってしまい、連続で下位の選手とも戦いました。もう下の選手とは戦いたくないと自分では思っていて、次は1位とやることになるのかもとは考えていました。でも1位がタイトルに挑戦することが決まって、自分の相手は誰になるのかと思っていると、海外の選手を用意してくれました」

──デビューから1年9カ月で、ここまで来たことに関してはどのように思っていますか。

「運が良かった部分はあると思います。上田(将年)選手、猿飛流選手がランキングから抜けたことで、僕がそこに入ったと思っています。ただ、前回の試合で山﨑(聖哉)選手を倒せたことで、自分が2位だと言い切ることはできます」

──猿飛流選手世代といいますか、彼とタイトルを争っていた選手たちがと試合をして勝つ力が備わっているのか。それは濱田選手に何ら非がなくても、やはり思うところにはなります。

「猿飛流選手たちが残っていても、ここでブラジル人に勝ってタイトルを目指すだけの力が僕にはあると思っています。MMAは2年目ですけど、打撃をずっとやってきました。打撃でいえばチャンピオンが相手でも、1位に対しても、自分の方が上です。寝技はそうでなくても、打撃では僕にアドバンテージがあります」

──濱田選手はキックを戦っているときから、MMAに転向することを公言していたそうですね。

「キックで強くなりたくて、練習場所の数を増やそうと思った時に、中学の1つ上の先輩に黒澤亮平選手がいて、黒澤選手を通してパラエストラ柏で練習をさせてもらうようになったんです。それが4年ぐらい前の話です。その時はキックの練習だけをしていたのですが、MMAの練習にも参加するよになると……キックでも勝っていてタイトルマッチもやらせてもらったのですが、もうMMAが面白くなってしまいました。凄く寝技が楽しくて」

──えっ、打撃でなく寝技が楽しかった?

「ハイ。キック時代からMMAの試合も見ていて、自分がやるなら寝技を修得したいと思っていました。内藤のび太選手が好きで」

──もう意外過ぎますね(笑)。

「MMAをやるなら、内藤のび太選手みたいになりたい。それぐらい寝技が好きで」

──打撃にアドバンテージがあり、のび太選手のような組み技ができれば、それぞれが強度の高いウェルラウンダーですね。

「試合でも、のび太選手みたいな戦いがしたいんです。練習では結構できていると感じています。扇久保さんにも『のび太みたいだな』って言ってもらえて、それが凄く嬉しかったです。少しずつ近づいていけているのかなって。ただ、試合ではそう上手くはいかないです。テイクダウンに行く勇気が持てないです」

──寝技が好きで、スパッと極められるようになりたいというのであれば、まだ理解できます。それをのび太選手のようなしんどい試合がしたいとは……。

「MMAを始めるようになってから、ずっとそう思ってきました。しんどい試合がしたいと」

──なるほど、重ねて打撃ができてその考えを持てることはMMMAファイターとして、アドバンテージを握っていると感じます。ところでキック時代はteam AKATSUKI所属だっということは、今やMMAファイターから絶大に信頼されている良太郎さん門下だったわけですね。

「ハイ。僕が所属していた頃から、もう中島太一選手のミットをマンツーでやっていて、MMAの勉強をされていました。本当に自由にやらせていただいて、良くしてもらっていたのに『MMAをやるので、パラエストラ柏に行きます』て伝えた時も、良太郎さんは嫌な顔一つもしなかったです。

キックの指導も選手の個性を見て、僕の場合は体力があるという長所を生かした動きを指導してくれました」

──その打撃も足を取られ、テイクダウンがある。距離もスタンスも違うMMAに転向をして戸惑うことはなかったですか。

「そこは苦労をしました。正直にいって打撃単体のレベルは落ちた……落ちたというか、上がっていないです。あのままキックを続けていたら、もっと打撃のレベルは上がっていたはずですけど。でもMMAは寝技があるので、打撃の練習時間は少なくなって、ミット打ちの回数も少なくなっています。

でも、それをやり過ぎてしまうとMMAに欠かせない柔術、レスリング、グラップリングが身につかない。なので僕はグラップリングの方に練習の比重を置いてやってきました。打撃の質は落ちてしまったのですが、組みがあることで性質もかなり変わりますし。それでもMMAのキック、打撃としては少しずつ進化しつつあります」

──組みを切る。倒されると、立ち上がってスタンドで戦う。それがキックからの転向組の主なスタイルだと思いますが、濱田選手のMMAは別モノになりそうです。

「ハイ、そこはドロドロの展開で勝てる選手になりたいので。それができると寝かされても立てる。逃げるだけでなく、攻めも学ぶことで色々な状況に対応できるようになります」

──MMAです。打撃がいくら強くても、組を怖がっているとその強さは出てこない。そして、一瞬のキックのような間になっても持ち味である打撃は出てこない。同時に組み技系のMMAファイターは、その距離で打撃の攻防もなかなかできない。対して濱田選手は、一瞬のその距離で強さを見せているように感じます。

「その距離になって打つのは、キックの名残りですね(笑)。やはり20戦以上キックをやっているので、感覚が残っているのかと。組みの展開になっても、自然とすぐにヒザが出ますし。テイクダウン狙いを切って、キックの距離になると即反応はできています。意識することなく、自然と出ていますね」

──無意識にあのカウンターが出る。それは大きな武器ですね。

「僕は目がそれほど良くなくて、ボクシングも上手い方ではないです。でも、一つだけカウンターという武器を持っています」

──THE BLACKBELT JAPANのフライ級の陣容は、途轍もないです。そんなジムでの練習があって、猿飛流世代の選手たちがいても王座挑戦できる力があると言えるだけ自信になっているということはありますか。

「そこは絶対です。うちのフライ級は本当に凄いです。鶴屋怜、杉山廣平、内田タケル、松井斗輝とレベルが高いです。練習で怜君のテイクダウンを切ることは難しい。でも、試合になると相手のテイクダウン能力は、怜君ほどじゃない。それは本当に自分の強味になっています。

扇久保さんもそうです。今はずっとマンツーで練習をさせてもらっているのですが、本当にきついです。でも、その練習ができているから、試合の方が楽に感じることができます」

──それはリベイロ戦にも当てはまりそうですね。

「あまり相手のことは分かっていないのですが、柔術の黒帯みたいです。グラウンドはどちらというとトップを取って殴るようなイメージです。スタンドでも結構振ってきます。頭をずらして、パンチを伸ばす。そんなに奇麗な打ち方ではないですが、全然打撃でも攻めてきますね」

──ブラジリアン・キックボクシングをやってくるなら、それこそ濱田選手のカウンターが楽しみです。

「打たれ強いので、かなりの打ち合いになるんじゃないかと思います。でも、僕はその瞬間にテイクダウンに行くかもしれないです。組みに関しては、やっぱり向うが上で倒されることも出てくると思います。ただ、そこから殴って来るのでスクランブルに持ち込める。それを繰り返すと、向うが削られると思うので、1Rを取られても2Rと3Rで取り返します。1Rに相手の力量を測りたいですね」

──初回を絶対に取るということではなくて、初回を落としても2Rと3Rで逆転できる。キャリア5戦の選手は、なかなかそんな風に考えることはできないかと。

「アハハハハ。そうッスね。まぁ最終的に勝てば良い。相手は一度上げて、下がるタイプなので後半勝負で勝ちます。パウンドアウトできるかと思います」

──会見では同じ日にに組まれたフライ級選手権試合の予想で、勝つのは伊藤盛一郎選手。でも挑戦したいのはムハンマド・サロハイディノフという発言がありました。その真意は?

「伊藤選手は今回が初防衛戦で、ここで勝っても12月に防衛戦をしてくれないんじゃないかと勝手に思っています。そうなるんだったら、サロハイディノフが勝ってもらって……彼なら12月にも試合をするだろうと。ここで勝ったら12月にタイトルマッチ、それがなくても試合は組んで欲しいと思っています」

──つまりはもうRoad to UFCを狙っているということですね。

「ハイ、そうです。年齢的にもギリギリの部分があるのですが、僕らのジムはイリディウムがマネージメントしてくれますし、無敗で今年を終えてレコードが6勝0敗ならチャンスが巡って来るのではないかと。そのために必ずKO……でも、その想いが強すぎるとできなくなりますね。

前回の試合も、それほどKOするという気持ちは強くなかったです。チャンスがあれば、倒せるぐらいでいて。これからの2試合も同じです。チャンスがあれば倒す。絶対的なのは負けるとダメだということなので。最低でも勝つ、そこは絶対のつもりで、チャンスがあればKOするという気持ちで戦います」

■Pancrase346視聴方法(予定)
7月21日(日)
午後1時45分~U-NEXT

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45 DEEP DEEP Tokyo Impact DEEP TOKYO IMPACT2024#01 MMA MMAPLANET o キック 杉山廣平 風我

【DEEP Tokyo Impact2024#01】組んでも粘り勝ち。杉山廣平が風我からしっかりと判定勝ちを収める

【写真】組の圧力、気迫のこもった杉山だった(C)MATSUNAO KOKUBO

<フライ級/5分3R>
杉山廣平(日本)
Def.3-0:30-27.29-28.29-28
風我(日本)

DEEPフライ級終わりのないサバイバル合戦――杉山がまず右を伸ばす。サウスポーの風我は左インローを蹴る。オーソで構えた風我に左ハイを杉山は蹴っていく。構えを小刻みに変える風我が左インロー、杉山は右カーフを蹴って、右ミドルに続ける。左インローをチェックしつつ構えを変えた風我は、組まれ際に小外掛けテイクダウンを奪う。

シングルXから潜った杉山がスイープ狙いからスクランブルで立ち上がる。左腕を差して、小内刈りでテイクダウンを決めた風我に対し、杉山はレッスルアップからシングルレッグ、ボディロックからバックに回る。このままの状態で初回が終わった。

2R、風我が左ストレートを伸ばし、圧を掛けてくる杉山にテンカオを狙う。シングルに出た杉山はギロチンにも頭を抜いてバックを伺う。

立ち上がったところで両足をフックした杉山は、着地してバックコントロール。後方からヒザを突き上げ、足を一本入れて捨て身でテイクダウンした杉山が起き上がってトップを取り切る。

三角狙いを防がれた風我が立ち上がり、杉山が続いた。風我がノーモーションの左ストレートをヒットさせるが、次の手はすぐに出ない。その風我がインロー、杉山が右ハイを狙うが様子の展開が続き、互いに有効打はなかった。

最終回、ワンツーから拳の圧を掛ける杉山に対し、蹴りを使う風我だがキャッチされそうになる。風我は左に回り、組みの展開を待っているか。追いかけて右ストレートを打った杉山に対し、風我はローからオーバーハンドを見せるが、左回り基調に変わりはない。

杉山がシングルレッグでテイクダウンを決めると、風我は三角狙いも潰される。削られ、厳しそうな表情の風我に対し、杉山はケージに押し込んでスイープ狙いにバックへ。スタンドでのバックコントロールから杉山がテイクダウンを狙うと、風我がケージを掴む。

残り2分を切り、バックを取られた状態が続く風我は胸を合わせるタイミングで、小外でテイクダウンを取られる。スクランブルでバックに回った杉山は、後方に倒れながら両足をフック。風我は立ち上がり体をゆするが、杉山は落ちない。

足を押してフックを解いた風我が前転――も、杉山は上体を越して立ち上がりサッカーボールキック狙いへ。風我は足を利かせて防ぐも反撃に出ることはできずタイムアップを迎えた。組み勝ち、風我を削った杉山が3-0で判定勝ちを手にした。


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45 AB ABEMA DEEP F1 Jr.BORDER MMA MMAPLANET o ONE PRIDE RIZIN RIZIN LANDMARK09 UFC ベラトール 山本アーセン 杉山廣平 柴田MONKEY有哉 海外 神龍誠

【RIZIN LANDMARK09】柴田MONKEY有哉、山本アーセン戦へ「アーセン君に勝ったら海外の強い選手と」

【写真】PRIDEへの憧れが、強い選手が海外からやっていること──という柴田(C)MMAPLANET

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09で、柴田MONKEY有哉が山本アーセンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2019年、神龍誠とDEEPフライ級王座を争う試合前、柴田は「負けたら終わり」と発言していた。それは引退という意味ではなく、「今のやり方じゃダメなんやな」ということだったと過去のインタビューで発言している。そして環境の変化と怪我もありつつ、柴田は2022年12月に杉山廣平に勝利して以来の試合を、初出場となるRIZINで迎えることとなった。なぜ柴田はMMAを続けるのか。そこにMMAがあるから――だけではない。そこに、MMAを始めた頃から叶えたかった夢があるから。


――柴田選手にとっては1年3カ月振りの試合となります。コロナ禍もありましたが、ここ数年は試合のペースも以前と比べて落ちているのではないでしょうか。

「そうですね。今はそれほど試合をしたいわけでもなくて」

――というと?

「昔は自分が上に行くことしか考えていなかったから、怪我がない限りオファーは断らない。とにかく試合をして勝ち、できるだけ早く上に行きたいという感じでした。でも今は試合が終わったら1回オフに切り替えないと、気持ちの面が続かなくなってはきています。年齢的なこともあるでしょうし、ジムの運営もあるので、少し間隔を空けたほうが試合に対する気持ちをつくりやすいんですよ。

KIZUNAはJr.Borderの常連チームだ

だからそんなに試合を詰めなくても良い。

間隔を空けられるなら年2回でも良いかな、と思っていますね」

――結果、今回のRIZIN神戸大会出場は、柴田選手にとってはタイミングが良かったのですか。

「あくまで結果として、タイミングは良かったのかなと思います。というのも去年、子供が生まれたんですよ」

――おぉ、それはおめでとうございます。

「ありがとうございます。杉山選手との試合後、会場でプロモーターさんには『子供が生まれるので、しばらく試合はできないです』と伝えていました。嫁さんのサポートをしたかったので。その時点で休むのが1年か2年かは決まっていなかったけど、『そろそろ試合ができるかな……』と考えていた時にオファーが来たんです」

――それがRIZINからのオファーだったのですか。

「いえ、まずDEEPのオファーがありました。でも僕が気持ちをつくることができる相手ではなかったというか。いつも自分は『僕が負けると思われる相手と試合をさせてほしい』とお願いしているんですよ」

――しかし対戦オファーがあった相手は、そうではなかった。確かに柴田選手は2011年のプロデビューで、もう誰が相手でも戦うというキャリアやポジションでないとは思います。同時に普段DEEPで視ている選手であれば、どういった試合になるかも予想がつくかもしれません。勝ち負けはともかく。

「そうですね。普段から『自分と戦ったら、どんな試合展開になるか』と考えながら試合を視ているわけで。もちろん試合はやってみないと分からないです。自分も今まで、どれだけ勝つと意気込んでいても負けたことはありますし。

そんな時にRIZIN神戸大会があると聞いて、佐伯(繁DEEP代表)さんに『RIZINに出たい』という希望を伝えました。そうしたらタイミング良く、山本アーセン君との試合が決まって」

――柴田選手は対戦カード発表の記者会見で、PRIDEへの憧れを口にしていました。現在であれば柴田選手にとって、それだけRIZINで試合をすることの価値は高かったということですか。

「まず今年は意味のある試合をしたいと考えていました。RIZINに出ると注目度は一気に上がるじゃないですか。それとDEEPでは組まれないような相手とも試合ができる。そう考えた時に、RIZINに出ることは自分にとってはプラスしかない――と。周りの人も……簡単に言えば、RIZINに出ることが発表されてから、知り合いが増えました(笑)」

――知り合い、ですか。それは会ったことのない親戚が増えたのではなく(笑)。

「アハハハ。有名になると、よくあるやつですね。そこまでではないけど、『あれ? 誰やったかなぁ……』みたいなことは増えて」

――特に山本アーセン選手が相手となれば、より注目度は高まるでしょう。

「そうですね。オイシイ相手やなぁって思います。これは決して、相手のことをナメているわけじゃなくて。プロモーター側からすれば『柴田って、どれだけやれるんや』って測るために良いカードだったんでしょうね。別にアーセン君のほうが注目されているからって、それは気にしていないです。

僕はアーセン君のことを尊敬しているんですよ。レスリングで世界を獲っているじゃないですか。彼が世界カデット選手権で優勝した時のことをドキュメンタリーで視て、『凄いな!』と思いました。そのレスリングで世界を獲った選手と自分が戦ったら、どんな試合になるんやろう? 単純にワクワクしています。RIZINならではのカードで」

――ファイターとしても、ジム経営者としても認知度を高めていく必要はあると思います。柴田選手の中では、いつ現役生活を終わりにするのか決めているのですか。

「何年後かって決めているわけではないけど、もう長く続けられないとは思います。年齢や怪我のことだけじゃなく、ジムの若い選手をサポートしたい。ウチのジムで強くなりたいと言ってくれている若い選手のために、もっともっと良い環境をつくらなアカンと考えています」

――なるほど。ではMMAファイターとしてのアーセン選手の印象を教えてください。

「パンチが強くなっているのと、真っ直ぐな気持ちが試合に出るファイターですよね。RIZINファンの方や、世間の味方としてはアーセン君が勝つと思っているかもしれない。でも僕は、もちろん自分が勝つと思っています」

――ご自身のキャリアの中で、今回の試合はどのような位置づけになると思いますか。

「今の最終的な目標は、RIZINで強い外国人選手と戦うことです。僕の夢は、PRIDEに出ることでした。最初にPRIDEを視たのは、ヒョードル×ミノタウロの2戦目で。あの試合を視て『自分もコレをやりたい』と思ったんですよ」

――強い外国人選手というと……。

「海外のベルトを持っている選手や、元UFCファイターとかになりますね。特にUFCで勝っている選手なら、誰もが強いと思ってくれると思うので。以前、海外でUFCやONEに出ているファイターと練習したことがあるんですよ。僕としては、その選手たちが練習している環境があれば、UFCファイターとも戦えるなって感じました。今は自分自身で、そういう練習環境をつくっているつもりです」

――柴田選手がデビューした2011年には、すでにPRIDEは活動を休止していました。以降は日本の格闘技界も厳しい時代が続いていました。

「確かにファイターとして目指す場所は、なくなっていたかもしれないです。でもそれ以上に、PRIDEに出ていたファイターのように強くなりたいという気持ちが一番で。プロデビューして、勝って、ベルトを巻きたい――デビューした頃ならUFCが一番だったかもしれないですよ。でも何か違うな、って」

――UFCの何が違ったのでしょうか。

「もちろん一番の舞台やけど、別に海外で試合したいと思っていたわけじゃないんです。当時はUFCもフライ級がなかったですし。当時は何回か、PRIDEが復活するという噂もあったじゃないですか。自分の中では『PRIDEが復活して軽量級もやってくれるなら、出られるようにしておこう』と考えていました」

――柴田選手にとっては、かつてのPRIDEが今のRIZINということなのですか。

「正直、今のRIZINも当時のPRIDEと同じようには考えていないです。それが一昨年の大晦日にRIZINとベラトールの対抗戦があったじゃないですか。僕はPPVで視ていて、PRIDEのテーマが使われているし、対世界や団体対抗戦の雰囲気を感じました。自分の中に『ここでやりたい。ここで海外の強い選手と戦いたい』という気持ちが沸き上がってきて。

あの時は、PRIDEのテーマを聴いただけで鳥肌が立ちました。今回アーセン君に勝ったら、『海外から強い選手を呼んでください!』と言ってもエエんちゃうかな、と思っています。次の試合は自分の夢を叶えるために――僕が発言権を得るための戦いです」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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45 AB ABEMA DEEP MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN LANDMARK08 Road to UFC UFC ツェルマー・オトゴンバヤル パンクラス 上田将年 伊藤盛一郎 伊藤裕樹 修斗 小川徹 有川直毅 本田良介 杉山廣平 猿飛流 田中半蔵 鶴屋怜

【RIZIN LANDMARK08】伊藤裕樹と対戦、上田将年「RIZINに出られて『おめでとう』のモヤモヤは……」

【写真】上田将年の言葉は、日々を生きる市井の人々に活力を与える (C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 8 in SAGAにて、上田将年が伊藤裕樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

目の前にある困難から逃げない。自分に嘘をつくようなキャリアを送りたくない。それが2011年3月のプロデビューから13年もの間、上田がMMAファイターとして貫いてきた信念だ。その信念ゆえに厳しい1年――鶴屋怜と伊藤盛一郎に敗れた2022年を経て、昨年11月には地元・福岡でモンゴルのツェルマー・オトゴンバヤルを下し、再起を果たした。2014年初戦は、同じ九州の佐賀での試合となった上田。しかも伊藤裕樹という強豪を相手に、今回も上田は自分の信念を貫く。


――RIZIN初の佐賀大会で伊藤裕樹選手と対戦することが決まりました。上田選手にとっては昨年11月、福岡で開催されたBloom FCのオトコンバヤル戦に続き、九州で2連戦となります。

「まさか今回も九州で戦えるとは思っていなかったです。感慨深いし、嬉しいですね」

――福岡を拠点にMMAを戦う上田選手ですが、九州での連戦は2013年以来、10年振りです。オトコンバヤル戦は福岡開催ということで、応援団も多かったのでしょうか。

「はい。現役を続けるなかで、地元でも多くの人たちが応援してくれています。自分の中でもずっと『福岡で試合がしたい』という気持ちがありましたし、実際に地元で試合をして勝つことができたので、嬉しいという気持ちが一番です」

――試合としては、オトコンバヤルとのタフファイトを判定で制しました。あの試合内容と結果については、いかがですか。

「モンゴルから未知の強豪を呼んでいただき、勝つことができました。その結果については満足しています。でも改めて試合映像を見返すと、内容に満足できている部分もあるし、満足できなかった部分もあります。まだまだ納得がいかない点がある――それがずっとMMAを続けている理由なのかもしれないですけど(笑)」

――オトコンバヤル戦で満足できている部分と、満足できていない部分とは?

「試合前から決めていたのは、絶対に自分から仕掛けることでした。どんどんアクションを起こしていく。いろんな人から『上田君は自分から仕掛けた時は強い』と言われます。一度戦ったことのある猿飛流選手や小川徹選手にも、そう言われました。だから何があっても常に自分からアクションを起こしていく。そのことを意識して、自分から試合をつくることができたのは満足しています。逆に満足できていないのは――これは言っていいことかどうか分からないんですけど(苦笑)」

――何でしょうか。

「何度も極められるチャンスがありました。本当に自分がファイターなら、バシッと極めることができたと思うんです。折るとか、完全にタップさせるとか。これは過去にも何度かあったことで、変な優しさというか、緩めてしまった部分があって」

――緩めた、とは……。

「終盤に腕十字が入った時、バキバキと音も鳴っていて。そのままバキッと折ることもできました。でも、それはファイターとしてどうなのかなと考えてしまったんです。そう考えてしまう自分は、ファイターに向いていないのかもしれません」

――えっ!?

「もし自分がいっぱいいっぱいの状態であれば、完全に極めないと負けるって考えるはずです。でも1R、2Rの段階でグラウンドについては差があると感じました。だから3Rに入り、相手に対して『タップしてくれ!』という気持ちがあったことは事実で。相手も苦悶の表情を浮かべていましたし、自分の中では『このまま折りたくない』と……。結果、それ以上は先に進めることができなかった。自分の精神的な弱さが出てしまいました」

――それは優しさでも弱さでもなく、ゲームコントロールの範囲ではないでしょうか。3Rに極めきらずとも判定で勝てる。3Rもあの展開で上田選手がスタミナを使った末、オトコンバヤルが頭を抜いてトップをキープすれば、上田選手にとって危険な展開になったかもしれません。2連敗で迎えた地元の試合で、確実に勝利を狙いに行くのも当然だと思います。

「そうですね……。オトコンバヤル選手が結構パンチを振ってくるファイターであることは分かっていました。その相手が3R通じてテイクダウンもグラウンドも警戒している。僕は組んでしまえば怖くなかったし、2Rまで終わった時点で『もう負けることはない』と考えていました。あとは予想以上というより予想外にオトコンバヤル選手がタフで」

――確かにオトコンバヤルのタフさは、全く予想できないレベルでした。他の選手であれば1Rの後半、上田選手が腕十字に入った時にタップしていたように思います。

「序盤に三角も十字も深く入っていたので、『ここで終わるかな?』と考えたりもしました。でもオトコンバヤル選手のハングリー精神というか、『ここで絶対に勝ちたい』という気持ちはすごく伝わってきましたね」

――『上田君は自分から仕掛けた時は強い』という声が出たのは、鶴屋怜戦と伊藤盛一郎戦は見すぎた部分があったということでしょうか。

「あの2試合に限らず、自分は試合になると見すぎてしまう部分があるんですよ。一度待ちに入ってしまうと悪循環というか2R、3Rも動けなくなってしまう。だからオトコンバヤル戦については動きが雑になっても良いので、とりあえず自分から触ってスクランブルをつくる。スクランブルをつくり、相手の息が上がってしまえば何とかなると考えていました」

――上田選手との試合後、伊藤盛一郎選手はパンクラスのベルトを獲得し、鶴屋選手はRoad to UFCで優勝しました。

「鶴屋君に関しては、素直に嬉しかったです。鶴屋怜の強さを体感した者としては、彼がUFCと契約するのは当たり前だと思っていました。でないと、自分が報われない(笑)」

――アハハハ。

「伊藤盛一郎選手の戴冠については悔しいです。自分が何もできずに負けていれば、こういう気持ちにもならなかったでしょうね。でも1Rに自分がポイントを取って、気持ちに余裕が生まれました。すると2Rは入り方が雑になってしまい、そこからグラウンドに持ち込まれ、何もできずに負けて。

チャンスがあれば伊藤選手にもリベンジしたいですね。今はパンクラスで1年以上試合をしていないのでランキングから外れていますが、また勝って行けばチャンスはあると思いますし。Bloom、RIZINと戦っていくなかで、必ずパンクラスにも戻ります」

――なるほど。その意味では絶対に負けられなかった、地元でのオトコンバヤル戦で勝利を掴みました。ここで負けていればRIZINで、しかも伊藤裕樹選手という強豪との試合が組まれていたかどうかは分かりません。パンクラスとDEEPのタイトルマッチ経験者同士、日本フライ級でも上位の対決となります。

「オトコンバヤル選手に負けていたら、たとえ佐賀大会に出たとしてもオープニングファイトで若手選手と――といった試合になっていたかもしれないですね。そうなると、自分はオファーを受けていなかったと思います。だから今回、対戦相手として伊藤裕樹選手を提示された時、嬉しかったです。ずっと福岡でMMAをやってきて、自分のことも認めてもらっているんだなと思いました」

――一方で、ここ数年は強豪相手の試合が続きます。コロナ明けの2020年からは杉山廣平、猿飛流、小川徹、有川直毅、鶴屋怜、伊藤盛一朗、オトゴンバヤル、そして今回が伊藤裕樹戦というのはハードですね。

「う~ん……自分がまだ20代前半だと、キャリアのつくり方も考えるでしょう。でも今36歳で、40歳まであと少し。そんな自分の中で大事にしたいのは、『どこで戦うか』よりも『誰と戦うか』ということなんです。その戦いが決まって自分自身がドキドキするのか、しないのか。そのドキドキを大切にしていきたい、という気持ちはありますね」

――では上田選手にとってドキドキする相手、伊藤裕樹選手の印象を教えてください。

「まずはあの強打――左ストレートを軸にした打撃の巧さですね。組みに関して怖さはないですが、ディフェンスが巧い。柔らかい動きで、力を逃がしてエスケープするのが巧いと思います」

――2023年11月に、上田選手の盟友である本田良介選手に敗れてから、さらに巧さが増したように感じます。

「あの試合で僕は本田君のセコンドについていました。グラウンドになっても簡単には背中を着けさせてくれない相手ですよね。本田君と自分ではタイプも違うので、試合内容も違うものになるとは思います。ひとつ言えるのは組みだけ、打撃だけという展開になると良くない。伊藤選手を相手に、そういう試合は通用しないですよね。だから打撃、寝技、テイクダウン全て混ぜながら、自分から仕掛けていきたいです」

――ちなみに伊藤裕樹戦が決定し、現在はタイにいる本田選手とは話をしましたか。

「試合が決まって、すぐに電話がありました。『決まりましたね! 上田さん、イケるっすよ~』と、すごく軽い感じでした(笑)」

――とても本田選手らしいです(笑)。

「アハハハ。今回はRIZINで試合をすることになり、地元の反響も大きいです。やはり地方だと、MMAといえばRIZINしか知らない人も多いので。何百人という応援団も会場に駆けつけてくれることになりました。その中で戦えるのは嬉しいですね。

でも、ひとつだけ言いたいことがあるんです。いろんな方から『RIZIN出場おめでとう!』と声をかけてもらいます。でもそう言われたらイライラというか、モヤモヤする自分がいて」

――……どういうことでしょうか。

「自分が10年間パンクラスで戦ってきて、その自分を否定されているような――よく分からない感覚がありました。先日、田中半蔵さんと練習したあと、その話をしたんですよ。そうしたら半蔵さんから『モヤモヤするのは、おめでとうって言葉に対してじゃないか』と言われて。半蔵さんもRIZIN佐賀大会に出ることになり、同じことを思ったそうなんです。

自分たちからすればパンクラスでも、修斗でも、DEEPでもMMAをやることには変わりません。もちろんRIZINの知名度が高いことは分かります。でも『おめでとう』と言われたら、それ以外で戦ってきた自分たちのキャリアを否定されてしまうような、複雑な気持ちもありました」

――確かに、RIZINに出場することがファイターのゴールではないですからね。RIZINであろうと、どの舞台であろうと勝つこと。それこそがMMAを戦う目的でしょう。

「もちろん『おめでとう』と言ってくれた人も、悪気があるわけではないんですけどね(苦笑)。ただ、そう言われてモヤモヤするということは、自分たちがしっかりMMAと向き合ってきた証拠なんです。自分たちのモヤモヤは間違っていない。だからこのモヤモヤを――僕たちがMMAと向き合ってきた年月を、この試合にぶつけますよ」

■視聴方法(予定)
2月24日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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45 AB DEEP DEEP JEWELS DREAM KOMA MMA MMAPLANET o RIZIN キック ハルク大城 パンクラス ボクシング 三村亘 佐伯繁 前薗渓 劉獅 山口コウタ 山本有人 平本丈 杉山廣平 松田亜莉紗 栗山葵 漆間將生 瀧口脩生 瀧澤謙太 鈴木琢仁 風我 飴山聖也

【DEEP Tokyo & Osaka Impact2024#01】大阪インパクトと東京インパクトのカードが続々と決定

【写真】松田は西で。前薗は東で(C)MATSUNAO KOMATSU & SHOJIRO KAMEIKE

1月29日(月)、DEEPより3月17日(日)に大阪市住吉区の錦秀会住吉区民センター大ホールで開催されるDEEP OSAKA IMPACT2024#01の対戦カードが発表されている。
Text by Manabu Takashima

そしてDEEP JEWELSストロー級チャンピオン松田亜莉紗が、チャンピオンとして初めての試合をノンタイトルの3回戦&初の国際戦として臨むことが決まった。


対戦相手はマドンナ・ザ・ロケット。アムを筆頭にタイのザ・ロケット集団はゲオチャイ、アンドレ、ダイヤモンドローズ、ノーパン、プリンセスらがDEEPで戦っているが、そのアム以外は白星がない。前例からいえばマドンナも、苦戦は必至というところか。半面、チャンピオンとはいえキャリアは2年の松田は試合毎に穴が見つかる肯定にあるため、思わぬ落とし穴があるかもしれない。

とはいえ組んでからのパンチ=ダーティーボクシングとパウンドの強烈さは、松田がグラップリングの基礎をしっかりと叩きこまれているからこその強味だ。マドンナ・ザ・ロケット──佐伯繁代表によると「ロケット軍で一番の美女」──がそこに対応できるようだと、今後のDEEP JEWLESタイ勢の核となるルーキーが現れたことになる。

この他、女子では2回戦で栗山葵がMANAと対戦する59キロ契約マッチやアマを含め7試合が決まっている。一方、男子のカードは3回戦で三村亘✖劉獅のフェザー級、2回戦では鈴木琢仁✖角野晃平のウェルター級など11試合、計18試合のラインナップとなっている。

アマ時代に平本丈にKO勝ちを収めている飴山聖也が、井上暉也を相手に3度目の正直でプロ初勝利となるか。西の実力者=瀧口脩生が、ロケット軍団に負けじと増殖中のグラップリングシュートボクサーズジム軍団からRIZIN帰りの銀グラップリングシュートボクサーズジムを迎え撃つ一戦も注目だ。

また3月24日のDEEP TOKYO IMPANCT2024#01の対戦カードも──杉山廣平✖風我のトップ返り咲きを目指すフライ級永遠に続くサバイバル3回戦を筆頭に、10試合が1月27日(土)に明らかとなっている。

気になるのは元パンクラシストで、KROSS X OVERでMMAとキックの二冠王となったハルク大城の初出場だ。2018年3月に瀧澤謙太に敗れ、MMAから距離を置いていた大城はキック、ムエタイ、シュートボクシングと立ち技に専念していたが、昨年6月にMMAに戻ってくると11月にKROSS X OVERのバンタム級のベルトを巻いている。山本有人戦の勝敗もちろん、パフォーマンス次第でトップ戦線返り咲きが見えてくる──そんなハルクのDEEP初陣となる。

初参戦でいえばバンタム級で山口コウタと対戦する、漆間將生も気になる存在といえよう。格闘DREAMERS出演から、パンクラスでは3勝4敗と思うような結果を残すことができなかった漆間が、DEEPで同じような状況にある山口とのマッチアップ。戦場を変える、外敵を迎え撃つ──という状況は、キャリアのアクセントとなる戦いだけに、現状を打破するために両者とも落とせない一戦となろう。

また大阪大会で5連勝中の前薗渓が、待望の東京での初試合を迎える。柔道とグレコローマンレスリングで培った組みの強さが、関東初お目見えとなる。が、対戦相手のアシルベックは今話題の中央アジア=ウズベキスタン人ファイターだけに、前薗の最大の長所が潰される可能性もあるタフなマッチメイクといえるだろう。

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MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase338 RIZIN UFC YouTube   キム・サンウォン チャンネル ボクシング ライカ ヴァレンチーナ・シェフチェンコ 三宅輝砂 丸山数馬 井村塁 前田浩平 名田英平 大塚智貴 平岡将英 平田丈二 杉山廣平 松井斗輝 松本光史 浅倉カンナ 矢澤諒 糸川義人 荒井勇二 重田ホノカ 鈴木悠斗 高城光弘 高本千代 鶴屋怜 鶴屋浩

【Pancrase338】ライカ戦への自信。重田ホノカ─02─「普通にやれば負けない。パンチの前に必ず仕留める」

【写真】シェフチェンコとのスパー。まだプロデビュー前の経験だ(C)MMAPLANET

12日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase338で、ライカと対戦する重田ホノカのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

重田はパラエストラ柏に入会したあとに憧れの浅倉カンナとの練習はもちろん、当時UFC世界王者だったヴァレンチーナ・シェフチェンコのファイトキャンプも経験した。1年で成長し続ける彼女は、ライカ戦への大きな自信を見せた。

<重田ホノカのインタビューPart.01はコチラから>


――MMAを始めてちょうど1年! それは驚きです。ただ、親御さんの反対はなくなったのでしょうか。

「MMAをやりたいと伝えた時には、両親から『格闘技だけで食っていくことが、どれだけ難しいか分かっているのか!? 現実はそんなに楽なもんじゃないんだ!』と言われて。だけど仕事をしながらだと、強くなるのは難しいと思ったんです。だからお母さんに『2年欲しい』とお願いしました。

まず1年でプロデビューして、その1年後は実家暮らしだけど自分の生活は何とかするぐらい稼げるようになるから。そう約束した3カ月後にアマチュアデビューし、さらに4カ月経ってプロデビューしています」

――お母さんとの約束を守っているわけですね。しかも前倒しで。そもそも入るジムとしては、やはり憧れの浅倉カンナ選手のいるパラエストラ柏しか考えていなかったのですか。

「もちろんです。憧れの選手を倒すために他のジムに入る人もいるとは思いますけど、私は常に憧れの選手の背中を追いかけたいタイプなんです。高校も、すごく強い憧れの先輩がいるところを選んだりとか。とにかく『カンナさんみたいな選手になりたい!』と思ってパラエストラ柏に入りました。でも私がジムに入った時は、カンナさんが試合後に休養していた頃で。初めてお会いしたのは、入会から1カ月ぐらい経った頃です」

――初めて会った時の浅倉選手の反応は……。

「……『えーっ!? ありがとう!』と言ってもらいましたけど、やっぱり最初は距離がありました(笑)。カンナさんにしてみれば『気づいたらいる……誰だろう?』という感じだったと思うんです。でも一緒に練習していくうちに、だんだん距離も近くなって。一番大きかったのはシェフチェンコとの練習でした。毎日カンナさんにくっついていて」

――今年1月から2月にかけて、ヴァレンチーナ・シェフチェンコがパラエストラ柏でファイトキャンプを行った時ですか。ということはMMAを始めて3カ月ほどでシェフチェンコと一緒に練習をしているのですね。

「とにかく倒されまくって、シェフチェンコにしがみつくのが精いっぱいでした。練習がキツすぎて死にかけましたね……。あとは防具を全て付けた状態で練習していたら、シェフチェンコが下からヒジ打ちを入れてきて、メッチャ鼻血が出ました(笑)」

――練習で下からヒジ打ちとは……、シェフチェンコは重田選手のキャリアを知っていたのでしょうか。

「いや、絶対にアマチュアでも試合をしたことがない人間だとは知らなかったはずです(苦笑)。組めば投げられるし、ガンガン殴られるし――でも毎日朝から晩までシェフチェンコと一緒に練習できて、得られるものは大きかったです」

――目指しているのは浅倉選手も出場しているRIZINなのですか。

「やっぱりRIZINには強い憧れがあります。憧れの選手が出ている舞台で――さいたまスーパーアリーナで試合がしたいんです。もしRIZINが女子ストロー級のベルトをつくってくれるなら、そのベルトを目指して頑張っていきたいですね。もしストロー級でベルトができなくても、スーパーアトム級までは落とせます」

――もしRIZINのベルトの前に浅倉選手が立ちはだかったら、どうしますか。以前から鶴屋浩代表は「パラエストラ千葉ネットワークは同門対決でも問題ない」と仰っています。

「えーっ!? うーん……、その時は全力で潰しに行きます。いつか憧れは越すしかないですから」

――なるほど。もともと入会してすぐ選手練習に参加していたのですか。

「そうですね。夜のプロ練はアマチュア選手も女子選手もいなくて、杉山廣平さん、鶴屋怜君や松井斗輝君とか男子のプロ選手だけ参加している時もありました。そのなかでまだ入会したばかりの私が、みんなにコテンパンにされて(笑)。でも私は強くなるためにパラエストラ柏へ入ったので、そういう練習に付いていくしかなかったです。柔道以外は何の経験もなかったので、初めてミットを打ったり、レスリングをイチから教えてもらったり……」

――重田選手に関しては、1戦目から2戦目の間の成長具合が速い印象があります。特にシングルレッグの入り方とスピードは、1戦目の高本千代戦と比べて2戦目のソン・ヘユン戦は、1年目とは思えないほど速かったです。

「ありがとうございます。でもレスリングを教わってから1カ月ぐらいで、あれぐらいの入り方はできていたと思います。柔道をやっていたおかげか、相手の懐に入ることには全く抵抗がなくて。ただ、1戦目から2戦目までの間に成長できているというのは、私自身もそう感じています。前の試合から今回のライカ戦まで3カ月ぐらいしか経っていないじゃないですか。その間に私は二回りぐらい、また成長しているので」

――プロ3戦目でライカ戦というのは、かなりのチャレンジだと思いました。しかしマッチメイクの裏には、それだけの自信があったのですか。……今、「チャレンジ? そんなことないよ」という表情になりましたね(笑)。

「ウフフフ。確かにキャリアを考えたら、周りからチャレンジマッチだと思われても仕方ないです。でも私にとっては別に――。今回はストロー級ではなくフライ級の試合だけど、そこも問題ないです。まずは与えられた試合を勝っていくことのほうが大事ですからね。

次も普通にやれば負けないかなと思っています。ライカ選手は元ボクシング世界王者ですけど、これはMMAなので。もちろんパンチの距離になったら危ないとは思っています。階級はひとつ上だし、パンチの距離からガッと詰められることは警戒しています。でも、その前に必ず仕留めますから」

■視聴方法(予定)
11月12日(日)
Pancrase338:
午前11時45分~U-NEXT、PANCRASE YouTubeチャンネル
Pancrase339:
午後17時15分~

■Pancrase338 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂(日本)
櫻井裕康(日本)

<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
キム・サンウォン(韓国)

<女子フライ級/5分3R>
ライカ(日本)
重田ホノカ(日本)

<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
寺岡拓永(日本)

<バンタム級/5分3R>
高城光弘(日本)
平田丈二(日本)

<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎(日本)
前田浩平(日本)

<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗(日本)
上田智大(日本)

<フライ級/5分3R>
饒平名知靖(日本)
金澤臣人(日本)

■Pancrase339 対戦カード

<ライト級/5分3R>
松本光史(日本)
西尾真輔(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
矢澤諒(日本)

<ライト級/5分3R>
平信一(日本)
丸山数馬(日本)

<ミドル級/5分3R>
佐藤龍汰朗(日本)
荒井勇二(日本)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
岡田拓真(日本)

<フライ級/5分3R>
濱田巧(日本)
大塚智貴(日本)

<バンタム級/5分3R>
平岡将英(日本)
谷内晴柾(日本)

<ストロー級/5分3R>
米山唯人(日本)
織部修也(日本)

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【DEEP117&DEEP Tokyo Impact2023 #07】越智×佑勢乃花のストロー級暫定王座戦、上迫は国際戦で復帰

【写真】ベテラン同士の暫定王者決定戦(C)MMAPLANET

2日(木)、12月2日(日)東京都港区にあるニューピアホールで開催される「DEEP117」と「DEEP Tokyo Impact2023 #07」の対戦カードが発表された。
Text by Shojiro Kameike

夜の部となるDEEP117では同ストロー級暫定王者決定戦として、越智晴雄と佑勢乃花が対戦する。今年5月に大原樹理の持つライト級王座に挑み、ベルト獲得に失敗した上迫博仁は、フェザー級での再起戦で韓国のソ・ドンヒョンを迎え撃つこととなった。


越智にとってはかつて自身が保持していたストロー級王座を、暫定という形ながら取り戻すチャンスがやってきた。2020年8月に越智を下して同ベルトを巻いた川原波輝は、現在ONEに参戦中だ。越智はベルトを奪われたあとにフライ級へ転向するも、DEEPフライ級GPで敗れてストロー級に戻って2連勝中だ。いずれも得意のギロチンで勝利しているが、何よりフライ級での試合と比べ、越智にとって最大の武器である踏み込みの速さで相手を圧倒している。

対する佑勢乃花はMMA戦績19勝14敗3分うち、13の一本勝ちを挙げているサブミッションファイターだ。2022年9月からDEEPに参戦し、これまで2戦を経験しているが、いずれも一本勝ち。テイクダウンを奪われても下からのサブミッションやリバーサル、トップを奪ってからのコントロールも強い。2010年にZSTでプロデビューしてから13年の大ベテランだ。過去の実績では越智が大きく上回るものの、そんな越智の踏み込みの速さを佑勢乃花がいかに捌くのかも注目したい。

”ピナクル”ソ・ドンヒョン×上迫博仁(C)DOUBLE GFC & MMAPLANET

上迫と対戦するソ・ドンヒョンは「ピナクル」(Pinaccle=頂点、所属ジムの名称でもある)のニックネームを持ち、MMA戦績は5勝2敗1分。これまでTop FC、Angel’s FC、さらにDoubleG FCと韓国MMA団体を渡り歩き、今年4月にはAngel’s FCの代表としてHEATとの対抗戦に出場した。倉本拓也を相手に前蹴りとローで距離を制し、パンチのカウンターとテイクダウンで優位に立ち判定勝利を収めた。

しかし距離とテイクダウンの勝負となれば、上迫が有利となることは間違いない。さらにこの試合からフェザー級に戻す上迫の動きにも注目が集まる。一方のソ・ドンヒョン――というよりも今の韓国勢は、DEEP×Black Combat対抗戦の内容でも明らかなように、相手の研究と実行、そして自身の成長具合が計り知れない。過去の試合映像と全くファイトを見せるのが、今の韓国勢の強さだ。

また、昼の部となるDEEP Tokyo Impact2023 #07では原虎徹が三ツ塚勇介と対戦する。2022年は元KOPの小川徹をKOしてブレイクかと思われた原だが、続く杉山廣平戦では一本負け。ここが踏ん張りどころだ。また、プロデビューから2連勝中の中務太陽が諏訪部哲平と対戦する

11月から12月にかけて、大阪大会も含めて6大会――現在のDEEPの勢いを見せつけるかのような大会数と内容が、来年の展開にのどのような影響を及ぼすのか見逃せない。

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