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【RIZIN47】仮想スーチョル=水垣偉弥が語る井上直樹「酷い目にあったので勝ってもらわないと困る」

18日(水)都内にて、29日(日)さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで行われるRIZIN48に出場する選手たちの合同公開練習が行われた。
Text by Takumi Nakamura


ファン公開形式で行われた今回の公開練習は全14選手が参加。新井丈のミット打ち&木下カラテによる空手の型からスタートし、RIZIN初参戦の秋元強真がJTTのエリーコーチとのミット打ちを披露する。

3組目から6組目までは対戦相手が見ている前での公開練習となり、宇佐美正パトリックのシャドー→矢地祐介ミット打ち、佐藤将光と高橋遼伍によるMMA形式のマススパーリング→牛久絢太郎のミット打ち、太田忍の気配斬り→元谷友貴のミット&打ち込み、浅倉カンナと重田ほのかのMM形式のマススパーリング→伊澤星花とCOROのグラップリングスパーリングと続いた。

そして練習仲間でもある高木凌と井上直樹は揃ってミット打ちを見せた。キム・スーチョルとのバンタム級王座決定戦を控える井上のミットを持ったのはMMAPLANET「今月の一番」シリーズでもおなじみの水垣偉弥。井上曰く、水垣が仮想スーチョルとしてトレーニングパートナーを務めているそうだが、公開練習のミット打ちはあくまで軽めのもの。

公開練習後に水垣にコメントを求めると「今回、仮想スーチョルとして頑張りました。最後の方は色々な攻撃を当てられまくって酷い目にあったので、仕上がりはいいと思います。これで仮想の相手を出来るのはもう最後かもしれないくらい出し切ったので、勝ってもらわないと困ります」と井上の仕上がりの良さを教えてくれた。

そして締めに登場したのはルイス・グスタボとの防衛戦を控えるライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザ。柔術衣を着てマットに表れたサトシは原点回帰ともいえる柔術形式のスパーリングで「久しぶりの試合、タイトルマッチです。絶対にベルトを守ります。日本の名前とRIZINの名前を守ります」と意気込みを語った。

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【RIZIN48】新井×ズールー、元谷×太田、牛久×将光、金太郎×秋元、ダウトベック×木下、矢地×宇佐美が決定

21日(水)都内にて、9月29日にさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN48の追加対戦カードが発表された。
Text by Takumi Nakamura

超RIZIN3で発表されていたライト級選手権試合=ホベルト・サトシ・ソウザ×ルイス・グスタボ、バンタム級王座決定戦=井上直樹×キム・スーチョル、伊澤星花×浅倉カンナ、萩原京平×高木凌に続いて、以下の6カードが追加された。

フライ級:新井丈×エンカジムーロ・ズールー
バンタム級:元谷友貴×太田忍
バンタム級:牛久絢太郎×佐藤将光
バンタム級:金太郎×秋元強真
フェザー級:カルシャガ・ダウトベック×木下カラテ
ライト級:矢地祐介×宇佐美正パトリック


今大会でRIZINに初参戦するのがエンカジムーロ・ズールーと秋元強真だ。南アフリカ出身のズールーは地元EFCでフライ級王座に就いたあと、2016年に同国出身選手として初めてTUF(シーズン24)に出場し、ここではトーナメント一回戦で扇久保博正に一本負けを喫している。現在はEFCでフライ級・バンタム級の2階級でタイトルを保持し、RIZIN初参戦を果たすことになる。

また先日のUFC305でイスラエス・アデサニャに一本勝ちして、王座防衛を果たしたUFCミドル級王者ドリキュス・デュプレッシーとは同門で、今回の試合にもデュプレッシーが帯同するという情報もあり、現役のUFC王者がコーナーマンとしてRIZINのリングに立つというのも興味深い。

もう一つのRIZIN初参戦ファイター=秋元はパラエストラ柏(現THE BLACKBELT JAPAN)所属として2022年6月にGladiatorでプロデビューし、その後はDEEPに参戦。今年3月にJAPAN TOP TEAMに移籍し、その初戦となったABEMA「格闘代理戦争 THEMAX」でアラン“ヒロ”ヤマニハにTKO勝利し、プロ戦績を5戦5勝(3KO・1S)とした注目の18歳だ。各選手のコメントは以下の通り。

エンカジムーロ・ズールー(コメント代読)
「世界中の格闘技ファンのみんな、俺は日本のRIZINで試合をする事になった。対戦相手はとてもタフな相手だが、俺はいつも通りベストを尽くし、観客が喜ぶような試合をするだけさ。遊びに行くわけではない。アライをフィニッシュしに行く。会場で会おうぜ。チャオ」

新井丈
「昨年大晦日のRIZINでたくさんのものを失って9カ月。自分の穴を埋めるべくたくさん準備してきました。テーマはジョー・イズ・バック。また強い新井丈を見せて、観客のみなさんの心を振るわせる試合をするつもりです。チャオ」

カルシャガ・ダウトベック(コメント代読)
「9月29日に再びRIZINに戻る事になった。ボスには超RIZIN3に出場してもらいたいと言われたが良い対戦相手がいないという事で9月になった。RIZINは世界中の中でもビッグな団体だと思う。試合内容も良いし演出も最高だ。スタッフは皆プロフェッショナルだしファンも世界一だ。次の対戦相手は打撃レベルの高い選手だ。空手ベースでKOできる質の高い日本人選手だ。9月29日にはみんなに素晴らしいショーをお見せしたい。RIZIN48で私の試合を見逃さないで欲しい。間違いなく素晴らしい大会になるのでぜひ会場まで見に来てもらいたい。さいたまスーパーアリーナで会おう」

木下カラテ
「押忍。ダウトベック選手、すごく強い選手ですけど、しっかり空手をして倒せるようにやっていきたいです。よろしくお願いします。押忍」

宇佐美正パトリック(コメント代読)
「矢地選手との対戦が決まり、とても興奮しています。自分の力を証明する時が来たと感じています。全力を尽くして、最高のパフォーマンスをお見せします」

矢地祐介
「宇佐美選手とは過去に試合が決まりかえたことがあったんですけど、色々と事情があって流れてしまいました。それがこうやって決まるということは、彼とは縁があるのかなと思います。前回(宇佐美は)徳留一樹選手にいい勝ち方をしていますし、若くて強い、これからの選手だと思います。そういう選手と戦えるのはうれしいことなので、しっかりMMAで上回って決着をつけたいと思います」

牛久絢太郎(コメント代読)
「発表でもありました通り、9月29日に試合が決まりました。佐藤選手は強い選手ですが、僕の全てをぶつけて勝ちます」

佐藤将光
「初めてのナンバーシリーズで、初めてのさいたまで試合をするので、気合い入れてやっていきます。判定が続いているので、しっかり殺しがあるところを試合で見せたいと思います」

元谷友貴(コメント代読)
「太田選手とリマッチということですが、今の太田選手は僕が以前対戦したときよりも強くなっているだろうし、勢いもすごいと思います。僕はこの試合に対して、しっかり仕上げて、前回は判定勝ちだったのですが今回ははっきり決着させたいなと思います。少しでも成長した元谷を見せたいと思います。いい試合しましょう」

太田忍
「まず元谷選手、再戦・リベンジマッチを受けてくれてありがとうございます。リベンジマッチは簡単にできるわけじゃないと思っていましたし、ここまで辿り着いた自信もあります。この試合をクリアすることでタイトルマッチ、ずっと公言してきた2024年内のタイトルが現実的になってくると思うので、しっかりフィニッシュしてタイトルにつなげたいと思います」

秋元強真
「自分は金太郎選手とやりたくて、そういう声も多かったので試合が決まって気合いが入っています。ただ実力的には相手にならないと思っているので期待していてください」

金太郎
「前回の試合が終わってアメリカに戻ってATT所属になって、アメリカでしっかり準備してきました。むちゃくちゃ強くなっているので期待してください。(秋元の)試合したいというのを聞いて、しっかり後悔させてやろうと思います」

また会見には試合が発表されている8選手も出席し、試合に向けた意気込みを語った。

高木凌
「いい感じで練習できています。1分くらいで終わらせます」

萩原京平
「試合前から変な絡み方をされて、リスペクトがないやつだと思って、ムカついています。格の違いを見せて倒そうと思います」

浅倉カンナ
「改めて引退試合を組んでもらえたことをうれしく思います。自分の集大成として、今の自分が持っているすべての力をぶつけたいと思います。記念試合とは思っていないです。後悔ない試合をしたいと思います。

伊澤星花
「カンナちゃんの引退試合なので、カンナちゃんの試合のなかで最高の試合をして、しっかり自分が極めて勝ちたいと思います」

キム・スーチョル
「お久しぶりです。地獄から来たキム・スーチョルです。命を懸けて準備しているので、井上選手も覚悟して準備してきてください」

井上直樹
「タイトルマッチを組んでいただき、ありがとうございます。タイトルマッチなので誇りを持って、気合いでも勝ちに行きます」

ルイス・グスタボ
「今までやってきた練習がどれだけ辛かったかは自分だけが知っている。前回の試合も2Rに激しく戦って骨折もした。素晴らしい試合をしてブラジルにベルトを持って帰りたい」

ホベルト・サトシ・ソウザ
「グスタボがどれだけ相応しいかを知っている。すごくいい試合になると思います。このベルトを絶対に守ります」

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【RIZIN】RIZIN.48追加対戦カード発表!


9月29日にさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN.48の追加対戦カードが発表されました。


【MMA バンタム級(61kg)】
元谷友貴(アメリカン・トップチーム)
太田忍(THE BLACKBELT JAPAN)

【MMA バンタム級(61kg)】
牛久絢太郎(アメリカン・トップチーム/K-Clann)
佐藤将光(坂口道場一族/FightBase都立大)

【MMA ライト級(71kg)】
矢地祐介(フリー)
宇佐美正パトリック(Battle-Box)

【MMA フェザー級(66kg)】
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン/タイガームエタイ/LEGION)
木下カラテ(和術慧舟會HEARTS)

【MMA フライ級(57kg)】
新井丈(和術慧舟會HEARTS)
エンカジムーロ・ズールー(南アフリカ/CITパフォーマンス・インスティチュート)

【MMA バンタム級(61kg)】
金太郎(アメリカン・トップチーム)
秋元強真(JAPAN TOP TEAM)

まじりっ気のない好カード連発。これはテンション上がります。さらにドーピング使用問題に揺れる平本蓮について、榊原信行CEOはドラッグテストを行っている事を明らかにしました。詳細は追ってまとめます。
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45 CORO o 中村大介 木下カラテ 瀧澤謙太 白川陸斗 神田コウヤ

【DEEP】木下カラテが体重超過の神田コウヤに判定勝ち 白川陸斗が中村大介に判定勝ち 瀧澤謙太がCOROに判定勝ち 

139: 実況厳禁@名無しの格闘家 2024/07/14(日) 18:03:01.45 ID:RasfTo+40
置いておくぞ

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45 DEEP DEEP120 MMA MMAPLANET o 木下カラテ 神田コウヤ

【DEEP120】神田がTDとヒジで先行するも計量オーバーの減点が響き、後半にグラつかせた木下が判定勝ち

【写真】計量オーバーがあったものの、両者が死力を尽くした激闘だった(C)MMAPLANET

<68.2キロ契約/5分3R>
木下カラテ(日本)
Def.2-1:28-27.28-27.26-27.
神田コウヤ(日本)

神田が前日計量で1.9キロオーバーだったため、イエロー2枚からスタートし、木下が勝利したケースのみ公式結果として認められるという変則マッチに。

1R開始早々、神田が前に出た。木下も重心を落として迎え撃つが、神田がシングルレッグでテイクダウンを奪う。Zハーフの木下の首を取ろうとした神田。ケージ際まで下がった木下をボディロックで捕らえる。木下がケージに体を預けようとすると、神田が逆側に回して背中を着かせた。神田がパウンドを落とすと木下が立ち上がる。離れ際に神田が左ヒジで斬りに行く。ここで木下の左グローブのテープが剥がれ、対応後に再開される。

飛び込んくる木下に神田が右フックを合わせる。木下の左前蹴りをキャッチした神田は、シングルレッグへ。ケージ際でサイドバックに着くと、右足を差し入れた神田に対し、木下が立ち上がる。神田がそのままケージに押し込み、ヒジと首相撲からのヒザを突き刺していく。ケージ中央に戻り、木下の左ハイをかわしてテイクダウンした神田が、左右のヒジとパウンドをを落とす。ハーフガードから潜った木下に強烈なパウンドとヒジを連打する神田。木下はスクランブルから立ち上がった。

2R、木下が右ボディブローを放つ。サウスポーとオーソドックスを混ぜてローを散らす神田が、ニータップでグラウンドに持ち込んだ。しっかりと重心をかけて押さえ込みながら、神田が右ヒジを落とす。しかし木下が立ち上がった。木下がパンチで飛び込んでくると神田は右を合わせ、ダブルレッグでケージに押し込むと離れ際にヒジを浴びせる。そしてケージ際で尻もちを着かせた神田は、背中越しに木下の右手首を抑える。

反転しようとした木下に対し、ハンマーロックからバックマウントへ。四の字フックから、おたつロックで固めにいく神田に対し、木下は反転して立ち上がった。木下は右グローブが外れかかったようだが、ここはオンゲームに。疲労が見られる木下を、跳びヒザからケージに押し込んだ神田が、右ヒジを打ち込みながら離れた。ケージ中央でダブルレッグからグラウンドに持ち込んだ神田が、右パウンドと左ヒジを連打する。うつ伏せになった木下に左パウンドを打ち込むが、ここは木下が立ち上がってケージに押し込んだ。

最終回、神田が組んで木下をケージに押し込む。右手を首にかけた神田は左ヒジ、さらに首相撲からヒザを突き上げて離れる。ダブルレッグからシングルレッグに切り替えるも倒せなかった神田は、そのままケージに押し込み右ヒジを入れる。疲労が見える神田に、木下がパンチを打ち込む。さらにニータップを切った木下は、ケージ際では左オーバーフックで耐える。首相撲に切り替えた木下は、ヒザを突き刺して離れた。

ケージ中央に戻り、左ボディストレートを突き刺す。木下の蹴りを食らい、フラつく神田。神田がテイクダウンの体勢に入ると、木下は右アッパーを狙うも、そのまま押し込まれた。グラウンドに持ち込んだ神田は木下の首を抱える。木下はスクランブルから立ち上がって神田を押し込むが、ケージ際で切り返されてしまう。しかし足技で神田に背中を着かせた木下は、立ち上がった神田に右フックから右ボディ、左ストレートを振るっていった。

両者ともにスタミナを使い果たした大激闘の末、判定はスプリットながらイエロー2枚スタートが響き、木下が勝利した。


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【DEEP120】体重超過の神田コウヤと対戦する木下カラテが語っていた──ハマるパンチと空手論

【写真】これが加藤丈博流ハマったパンチ。この湾曲に注目 。そしてゴツイ拳だ(C)MMAPLANET

本日14日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP120 IMPACTで木下カラテが神田コウヤと対戦する。しかし、昨日の計量の結果、再計量でも1.9キロオーバーだった神田のイエロー2枚からスタートし、木下が勝利したケースのみ公式結果として認められるという変則マッチとなってしまった。
Text by Manabu Takashima

(C)TAKUMI NAKAMURA

格闘代理戦争のワンマッチで、ユン・チャンミンから見事なKO勝ちを収めたことでデビュー前から注目を集めていた木下。

だが修斗では打撃の強さを警戒されることとなり、厳しい状態が続いた。4年間で戦績は5勝6敗1分──しかし、2023年5月にからDEEPに戦場を変えると、RIZINでの久保優太戦こそ黒星を喫したが、DEEPフェザー級戦線では3連勝、3試合連続でフィニッシュ勝利と、結果だけでなくパフォーマンスそのものも変化している。

畠山祐輔、梶本保希に続き、タイトルコンテンダーの五明宏人を倒し、タイトル挑戦が見えてきた木下に変化、進歩について尋ねた(※取材は10日に行われた)。

すると空手家時代、そして今も師であり続ける武心塾・加藤丈博師範の「ハメる」論理を掴み、空手への理解を深めたことが好調の裏にあることが分かった。


──MMAPLANET初インタビューとなります。いきなりですが、DEEPで戦うようになってからの勢い。どのような変化が木下選手のなかであったのでしょうか。

「修斗で児山(佳宏)選手と戦って1RTKO勝ちができて、良い勝ち方ができたと思ったら、次の竹原魁晟戦(2022年10月)で酷い負け方をして。あの時に大沢(ケンジ)さんから、『層の厚いDEEPで戦って、より厳しい状況においてしっかりとやっていかないか』というようなことを言われたんです。

それから練習でも細かい部分を意識していくようにして、練習以外でも自分を変えよるようになりました。そうですね、ケージって戦う人間の人となりが出ると思うんですよ。今でも(江藤)公洋さんや大沢さんから『後片付けができない』って指摘されるんですけど(苦笑)、そういう部分ですね。やることは早く済ます……とか」

──つまり普段の自分を律するようにしたと。

「そこまでじゃないんですけど、普通のことを普通にできるように……ですね(苦笑)」

──普段の自分を変えることで、ここまで戦績も良くなった?

「人となりを気にすることで、練習への集中力が変わりました。打撃も組みも細かいところまで気にするようになって。何より練習の時から、本番に挑むイメージを持つようになったんです。やっぱり試合と練習は気持ち的にも違うので、そのズレを少なくするようにしました。

あと打撃の方では、自分の打撃の基礎は武心塾の加藤丈博(1991年、全日本ウエイト制中量級準優勝、第5回全世界空手道選手権日本代表。ボクシングでも活躍し、空手家としてMMA=パンクラスにも挑む)先生なんですけど、DEEP初戦だった畠山(祐輔)戦の頃になって、ようやく先生の言っていることが分かるようになったんです。

先生って技術が独特なんですよ。本人は謙遜されているんですけど、天才なんです。で、天才の言うことって全然分からなくて(笑)」

──アハハハハハ。凄く分かります。リョート・マチダが前蹴りでヴィトー・ベウフォートをKOをして、観空大の前蹴りだと言われても誰が真似ができるのかと。グレイシーがRNCや三角絞めで勝って、皆が影響を受けたのとは違うかと思います。

「そうなんですよ(笑)。空手の人たちってセミナーを開けないです。多くの人にいっぺんに教えるって、彼ては本来はできないものだと思うんです」

──確かに沖縄の手、唐手(トウディ)は、もとは1対1で指導をしていたもので。それが体育の授業に用いられ、集団に指導するようになって武道から運動に代わりました。

「僕は加藤先生から型も1人でやるものだと教わりました。直接の指導になると、ずっと基本稽古をやっていて。そこに先生は自己流でボクシングなんかを融合しているんですけど、その説明の仕方が奇抜すぎて(笑)。ずっと『何、言っているんだ』と思っていたんです。大体、第5回世界大会の日本代表なんて天才だらけですよね」

──緑健児、増田章、黒澤浩樹、八巻健志、七戸康博、岩崎達也、加藤丈博……。

「天才ですよ。天才の言うことは分からない(笑)。先生はパンチが巧い人で、その表現がハマるというモノだったんです」

──ハマる……。

「ハイ。もともと僕は蹴りの選手で、パンチは下手で分からないなりにやっているんですけど、『ハマんねぇな』と。でも、ハマるってなんだよって(笑)。そのハマるというのが、畠山戦前からようやく理解できるようになったんです」

──つまり、ハマるとは?

「それが……いざ、分かるようになってくるとハマるとしか表現のしようがなくて(苦笑)」

──ダハハハハハ。最高です。

「あれだけちゃんと説明してくれよって思っていたのに、いざ自分ができるようになると加藤先生と同じことを言っているんですよ(笑)」

──ハハハ。では畠山戦の左フックは?

「完全にハマったヤツです。手首でキュッと持っていくと、肩甲骨がキュッとハマって」

──自然とヒジが湾曲を描く?

「そうそうそう、それです!! そこでハメるんですよ。ヒジを下に向けると、肩甲骨がちょっと立つ。結果、サンチン立ちと一緒なんですよ」

──いや、木下選手からサンチンについて、そのような意見が聞かれるということは──木下選手のサンチンは極真のサンチンではなかったのですね。

「極真とは違って、ガニ股でも内股でもない。ヒザが内側を見ているようで違うんですよね。内も外も向いていない」

──だから内側からも、外側からも蹴られて強い、と。いやぁ、木下選手……面白いです。フルコンタクト空手家でなく、空手家ですね。

「そういうサンチンの構えの強さに気付いたのは、レスリングの練習をしていた時なんです。

時田(隆成。中央大学時代の2021年に全日本大学選手権フリースタイル61キロ級3位。アマパン=東関東選手権Sクラス・バンタム級Tで優勝)さんとトライフォース東中野で、平田直樹選手なんかと一緒に練習をしていて。

いうと、僕がほぼイジメを受けているような練習なんですけど(笑)。そこでテイクダウンを切るときにケツを入れると、親指はどうしても外に開くじゃないですか。そうなると、生物として弱い。簡単に倒されるし。『これはおかしい』って思うようになったんです。ガニ股のサンチンは違うって。

その時にK-1に出ている山口翔太選手に連絡をとって尋ねたんですよ。『ガニ股のサンチン立ちは、弱くないですか』って」

──スミマセン、立ち技格闘技は全く疎くて……。

「山口選手は、もともとは白蓮会館の空手家で白蓮の全日本は当然として正道会館やJFKOでも全日本で何度も優勝しています。今はK-1で活躍していて。そんな山口選手が山城(美智)先生の沖縄空手研究会に参加されていることを知っていたので……」

──「ガニ股のサンチンは違うだろう」と相談した?

「ハイ。山口選手と話して、僕も『親指を思い切り踏んで固定し、ヒザを外に向けてガニ股ということでなく、ケツを入れてヒザを崩れないようにする』ということだと気づいたんです」

──強いからブレず、でも柔軟に動くことできる本来……というのはおかしいかもしれないですが、空手の理ですね。

「そうッスよね。きっと、空手が沖縄から本土に渡って来た時に普及するために分かりやすさが大切になり、そのヒザの固定がガニ股とか流派によっては内股とかに変わってしまったんじゃないかと」

──MMAの試合を控えたMMAファイターとのインタビューから逸脱していますが、非常に面白いです(笑)。

「アハハハハ。でも、それって生き物として強いことだと思うんです。だから別に空手をやっていなくても、生き物として強い選手の姿勢ってそうなっている。

このテイクダウン防御で強い体って、加藤選手が言おうとしてくださっていた強いパンチを打つときの体の構造と同じだったんです。『あぁ、こうして。こうやるんだ』って言われていたことと(笑)。

加藤先生の特別なところは、武道の動きは直線的じゃないですか。そこにフックを加えたことなんですよね。ただ、それがフックじゃない。振っているけど、出し方は真っ直ぐで。

ヒジがやや湾曲している縦から横への拳の動きで。そこに加藤先生は手首を入れることを加えたんですよ。足からヒザ、腰、肩、ヒジと固めてフレームから、手首を振って」

──つまりは、それが加藤丈博師範のハメる理論なのでは……。 

「あっ、そうですね。これが一つ掴めると、他のことも分かって来る。幹ができたから、神経が枝葉にも行き渡るというか。こういう風にちょっとずつ理解を深めている際中ですね。

接近戦でも、決してボクシングではないんですよ。ただディフェンスは加藤先生も完全にボクシングで。防御という部分での空手は僕はまだ分かっていないです。同時にパンチの質は誰が見ても分かってもらえるぐらい変わりました。デカいグローブでミットをやっても、皆が痛いと言っています。

それをいうと加藤先生は試合用の小さなグローブでやっていて、中指と人差し指のところはグローブが破けるんですよ」

──えぇ、凄まじいですね。

「それを見せてくれていたので。説明は何を言っているか分からないですけど(笑)」

──アハハハ。そんななか神田選手との試合に向けて、組みに打撃戦を加えて神田選手のスタイルに、木下選手はハメることができるのか。

「打撃の時間を多く創れたら、神田選手はおっかなくてしょうがなくなると思います。組みは……木下カラテって言っていても、MMAの門を叩いてずっとやってきた部分です。HEARTSでこれだけやってきたので、そんなに簡単にやられない自信はあります。それでやられればしょうがない。でも、そんな緩くないですよ。僕がここでやってきたことは」

──今回の試合でDEEP4連勝となると、タイトル挑戦も見えてくるかと。そこから先はどこを目指しているのでしょうか。

「やっぱり、海外。ベストはUFCです。現役でやる以上、そこを意識しないと。でも僕はレコードが汚いんで、現実的かどうかといわれと、まぁ非現実的ですよね。だったらMMAを続けている限り、少しでも強いヤツと戦っていきたいです。

RIZINのフェザー級で中央アジアとか強いし、チャンスがもらえるならどんどん戦っていきたい。それに僕みたいに強くなるためにUFCを意識している人間と、本気でUFC一本でという選手ってキャリアの積み方も違うと思うんです。

UFC一本の選手は、やっぱりキレーなレコードでいないといけないから、強い相手に触れないで進むことも必要で。対して僕の場合はカルシャガ・ダウトベック選手然り、ラジャブアリ・シェイドゥラフ選手然り、ヤバい連中に触れて負けても損はない。

UFCが現実的でないから、そういう相手を望んでいける。それでもUFCへの想いを完全に消すことはできないのですが、強いヤツと戦うことができるなら場所は問わないです」

──では世界の猛者と戦うために、越えないといけない神田コウヤ戦。どのような戦をしたいと思っていますか。

「やることは決まっています。レスリング×空手、グッといって、そこでガガァとやってからドンと仕留めます」

──完全に加藤イズムを継承していますね(笑)。

「アハハハハ」

■視聴方法(予定)
7月14日(日)
午後5時45分~U-NEXT, サムライTV, YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■DEEP120計量結果

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]鈴木槙吾:76.95キロ
[挑戦者]佐藤洋一郎:77.05キロ

<バンタム級/5分3R>
CORO:61.45キロ
瀧澤謙太:61.50キロ

<フェザー級/5分3R>
中村大介:66.20キロ
白川Dark陸斗:66.20キロ

<ウェルター級/5分3R>
阿部大治:77.40キロ
嶋田伊吹:77.30キロ

<フェザー級/5分3R>
神田コウヤ:68.05キロ
木下カラテ:66.05キロ

<ライト級/5分3R>
野村駿太:70.75キロ
泉武志:70.70キロ

<メガトン級/5分2R>
誠悟:119.30キロ
朝太:103.90キロ

<ライト級/5分2R>
石塚雄馬:70.75キロ
佐々木大:70.75キロ

<68キロ契約/5分2R>
太田将吾:67.75キロ
相本宗輝:67.95キロ

<フライ級/5分2R>
木村琉音:57.10キロ
斎藤璃貴:57.00キロ

<アマ・フェザー級/3分2R>
菅涼星:66.15キロ
平石光一:65.90キロ

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【DEEP120】計量よもやま話。前売り完売の後楽園、佐伯代表と好調の理由を立ち話。計量後の握手率は……

13日(土)、東京都新宿区ホテルローズガーデンのオークルームで明日13日(日)に文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP120 IMPACTの計量が行われた。
Text by Takumi Nakamura

メインのDEEPウェルター級選手権試合をはじめ出場選手が続々と計量をクリアしていくなか、神田コウヤが68.05キロでフェザー級のリミットを約2キロと大幅にオーバー。対戦相手の木下カラテは66.05キロで計量をクリアしており、16時に行われる神田の再計量の結果によって、この試合がどういう形になるか公式アナウンスされる。


今大会は7月6日時点で前売りチケットが完売し、当日券5,000円を残すのみ。後楽園ホールもステージを作らないフルバージョン仕様で、まさに超満員の大会だ。瀧澤謙太、白川Dark陸斗、阿部大治といったRIZINを主戦場にするファイターが並びつつ、メインの鈴木×佐藤、神田×木下、野村駿太×泉武志などDEEP内で組まれた好カードが散りばめられている。

前回の後楽園大会=5月のDEEP119も前売りチケット完売だったが、元谷友貴と対戦予定だった福田龍彌の欠場で払い戻しがあったためフルハウスとはならなかったが、最近のDEEPの好調ぶりがうかがえる。計量後に佐伯繁代表にDEEP好調の理由を聞いてみた。

「ここ最近はRIZINにおけるDEEPの立ち位置が分かりやすくなってきたかもね。RIZINで試合のチャンスがないけど、試合をしたいという選手がうち(DEEP)に出るようになって。うちはRIZINを目指す選手、Road to UFCを目指す選手…色んな目標を持った選手が出てもいいと思っているから。

あとはRIZINの選手だけじゃなくて、うちで温めてきたものが、いい形になっているという実感もあります。DEEPの選手たちもファンに知ってもらえるようになって注目度が上がっているし、相本宗輝選手とか木村琉音選手とか新鋭も出てきている。CORO×瀧澤と中村大介×白川だって、瀧澤・白川にとって簡単な試合じゃないから。RIZINから来た選手とDEEPで上がってきた選手がやる図式も面白いし、DEEPで温めてきたカードも面白い。今はすごくわかりやすいイベントが作れてますよ」

佐伯代表によれば、正式発表こそまだではあるものの、秋までの主要マッチメイクもほぼほぼ決まりつつあるということ。正式アナウンスを待ちたい。

ちなみにDEEPでは計量→写真撮影→選手挨拶という順で計量が行われるのだが、選手挨拶を終えてそのままステージから降りる選手もいれば、双方のコメントが終わって握手を交わしてリングを降りる選手もいる。この日はアマチュアルールも合わせて全11試合中6試合で握手が交わされ、握手率は54.5%だった。

■視聴方法(予定)
7月14日(日)
午後5時45分~U-NEXT, サムライTV, YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■DEEP120 対戦カード

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]鈴木槙吾:76.95キロ
[挑戦者]佐藤洋一郎:77.05キロ

<バンタム級/5分3R>
CORO:61.45キロ
瀧澤謙太:61.50キロ

<フェザー級/5分3R>
中村大介:66.20キロ
白川Dark陸斗:66.20キロ

<ウェルター級/5分3R>
阿部大治:77.40キロ
嶋田伊吹:77.30キロ

<フェザー級/5分3R>
神田コウヤ:68.05キロ
木下カラテ:66.05キロ

<ライト級/5分3R>
野村駿太:70.75キロ
泉武志:70.70キロ

<メガトン級/5分2R>
誠悟:119.30キロ
朝太:103.90キロ

<ライト級/5分2R>
石塚雄馬:70.75キロ
佐々木大:70.75キロ

<68キロ契約/5分2R>
太田将吾:67.75キロ
相本宗輝:67.95キロ

<フライ級/5分2R>
木村琉音:57.10キロ
斎藤璃貴:57.00キロ

<アマチュアルール フェザー級/3分2R>
菅涼星:66.15キロ
平石光一:65.90キロ

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45 CORO DEEP DEEP JEWELS DEEP120 MMA MMAPLANET o PRIDE RIZIN RIZIN47 Road to UFC UFC YouTube イー・チャア リー・カイウェン 中村大介 佐藤洋一郎 修斗 嶋田伊吹 斎藤 朝太 木下カラテ 松根良太 泉武志 海外 瀧澤謙太 牛久絢太郎 石塚雄馬 神田コウヤ 誠悟 野村駿太 鈴木槙吾 阿部大治 青井人

【DEEP120】初の連敗から復帰、木下カラテ戦へ。神田コウヤ「MMAのMがミックスではなくメルトに」

【写真】Bushidoというニックネームとともに、神田のMMAへの探求心は増す一方だ(C)SHOJIRO KAMEIKE

14日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP120で、神田コウヤが木下カラテと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

神田にとってはRoad to UFC準決勝のリー・カイウェン戦、青井人とのDEEPフェザー王座防衛戦と連敗からの復帰戦となる。この2試合を通じて神田が得たものとは。自分の中にあるMMAの変化とマインドを語ってくれた。


連勝している時より今のほうが好奇心は旺盛です

――SNSでは神田「Bushido」コウヤというニックネームが付いています。いつからBushidoをつけるようになったのですか。

「Road to UFCに出場してから、ですね。海外で戦う時に、単に名前だけよりもニックネームがあったほうがインパクトも大きいかなと思って。海外ではPRIDE武士道も知られていますし、UFCでもまだ誰も付けていない日本語を探して『Bushido』にしました」

――なるほど。そのRTUで敗れ、続いてDEEPのベルトも失いました。試合直後には、どんな想いでしたか。

「直後、ですか。不甲斐ない負け方ではなかったと思いますし、防衛戦の義務も終わったので次はRIZINに出たいと思いました」

――SNSでは6月9日のRIZIN47出場をアピールしていたようですね。

「そうなんですよ。本来はアピールしないで出場できるのが一番なんですけど。ただ、最近は海外の選手も増えて日本人の出場枠も減っていると思うので、SNSでアピールしてみました」

――ということは、DEEPのベルトを失ったあともRIZINなりRTUへの意欲は失っていなかった、と。

「もちろんです。RTUも出られるうちは出たいです。連敗していたので今年のRTUは難しいと思いましたけど、チャンスがあるうちは出たいですね」

――RTUは神田選手に勝利したリー・カイウェンが、決勝でイー・チャアに敗れました。

「しかも計量もオーバーで(苦笑)」

―カイウェンに対して「自分に勝っておいて、決勝でそれはないだろう」とは思いますか。

「う~ん……、やっぱりトーナメントは大変ですよ。短期間で何試合もするから、途中で気持ちが切れることもあると思います。減量も大変だし、怪我もあったりして」

――神田選手はRTUが終わったあと、すぐに気持ちを切り替えることはできましたか。

「はい。RIZINにしろRTUにしろ、次の試合で王座防衛できないとチャンスはないと思っていました。それと、ベルトを巻いたら防衛戦をやるのは義務じゃないですか。僕の場合は、前の王者の牛久絢太郎選手があまり防衛戦をやっていないことに対して、良くは思っていなかったので。王者としての義務は果たすべきだし、果たせないなら返上すべきというのが僕の考えです」

――RTUと青井戦を経て、自分の中でプラスになったことはありますか。ファイターとして黒星はマイナスとなるかもしれません。しかし、そのマイナスを糧にどう生きるのか。

「連敗したのが初めてだったので、初心に戻る良い機会だなって捉えています。連勝している時より今のほうが、『自分はどこまでできるのか』という好奇心は旺盛ですね」

――その好奇心は、どのようなところに表れているのでしょうか。

「今は練習していて、『どんどんMMAになってきている』と思っています」

左右の乖離を少なくしていけば海外の選手にも負けない

――どんどんMMAになってきている……とは?

「MMAのMが、自分にとってはミックス(Mixed=混ざった)ではなく、メルト(Melted=溶けた)になってきています。全ての要素が溶けて一つになる。それは打投極という要素だけではなく、左右の乖離も少なくなってきたと思いますね」

――左右の乖離というのは、構えやスイッチということですか。

「そうです。自分の性格的に、オーソドックスで構えた時とサウスポーで構えた時に差があるのは好きじゃなくて。そういう差をなくしたかったんですよ。海外の選手と戦うためには必要だと感じていました。海外の選手と比べてもフレームやリーチはあると思うので、その左右の乖離を少なくしていけば負けないかな、と」

――確かにもうMMAはスイッチという概念すら無くなりつつあります。

「UFCとかだと、絶え間なく自然と構えが変わりながら動いていますからね。それがミックスではなくメルトということなんですよ」

――後悔などではなく「カイウェン戦や青井戦の時に、これができていれば……」と思えるほど、今は仕上がっている状態ですか。

「その自負はあります。あとはコンディション次第ですね。でも自分は、コンディションづくりは上手いほうだと思うので」

――コンディションや減量方法も含めて、神田選手は研究者タイプのように感じます。

「あぁ、そうなんですかね。常に情報に対してはアンテナを張っておくようにはしています。自分が興味あるものだけですけど……やっぱり格闘技は自分のビジネスですから」

――格闘技が自分のビジネスである。その感覚は以前から持っていましたか。

「デビューした頃は、そう思えなかったですね。やっぱりデビュー当時はファイトマネーも安かったし。だけど今はファイトマネーも、デビューの頃と比べたら遥かに高いです。そういうことの積み重ねで意識は変わっていきますよ。

僕はプロのファイターとして、常に高い品質のものを提供していきたいです。今の環境に全然満足していないし、もっと成功したい。もっと稼ぎたい。そうなることで自分の発言にも説得力が増していくじゃないですか」

――もう神田選手もプロデビューして6年が経ち、ジムで後輩たちが増えていることも影響していますか。

「ジムの後輩たちは……、僕はライバルとして見ていますね」

――えっ!?

「刺激し合えるライバルというか。結果って、自分の努力の成果じゃないですか。僕のほうが長くMMAをやっているのに、ここで後輩に越されてしまうと――という感じで『絶対に負けたくない』と思っています。お互いにそう考えることができると、ジム全体が良くなりますし。後輩たちもそう考えて頑張ってほしいです」

――ジムの先輩である松根良太さんのTHE BLACKBELT JAPAN沖縄にも行ってきたそうですね。

「修斗沖縄大会の時には選手のセコンドで行っていましたけど、大会がある時は松根さんも忙しくて、なかなかお話できない。だからジムをリニューアルされたということもあり、大会がない時に沖縄に行ってきました。

沖縄に行ったのは、練習よりもマインドの部分が大きいです。自分を鼓舞するために――連敗して気持ちが落ちている時に、沖縄で松根さんと話すと気持ちも上がるかなと思って。おかげで気持ちも落ち着きました」

――そうした経験と変化を踏まえ、次の木下戦はどんな試合を見せたいですか。

「木下選手は一撃必殺の打撃を持っていて、勝ちっぷりも負けっぷりも良い選手だと思います。最近は構えが変わりましたよね。HEARTS特有の、ガードを固めて前に出るスタイルが最近のKO勝ちに繋がっているのかなって思います。

自分も構えというか、左右の差がなくなって良い感じになってきています。フィニッシュを狙う木下選手が相手なら、自分もフィニッシュできる確率は上がる。自分もピンチから逃げずにチャンスを掴みに行きたいですね」

■視聴方法(予定)
7月14日(日)
午後5時45分~U-NEXT, サムライTV, YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■DEEP120 対戦カード

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
佐藤洋一郎(日本)

<バンタム級/5分3R>
CORO(日本)
瀧澤謙太(日本)

<フェザー級/5分3R>
中村大介(日本)
白川Dark陸斗(日本)

<ウェルター級/5分3R>
阿部大治(日本)
嶋田伊吹(日本)

<フェザー級/5分3R>
神田コウヤ(日本)
木下カラテ(日本)

<ライト級/5分3R>
野村駿太(日本)
泉武志(日本)

<メガトン級/5分2R>
誠悟(日本)
朝太(日本)

<ライト級/5分2R>
石塚雄馬(日本)
佐々木大(日本)

<68キロ契約/5分2R>
太田将吾(日本)
相本宗輝(日本)

<フライ級/5分2R>
木村琉音(日本)
斎藤璃貴(日本)

<アマチュアルール フェザー級/3分2R>
菅涼星(日本)
平石光一(日本)

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【SUPER RIZIN03】久保優太と対戦、斎藤裕「MMAファイターとしての完成度はまだまだ上げられる」

【写真】丁寧な言葉遣いのなかにも、MMAファイターとしての矜持が感じられた斎藤だった (C)TAKUMI NAKAMURA

7月28日(日)さいたまスーパーアリーナで行われる超RIZIN03で、斎藤裕が久保優太と対戦する。斎藤にとって2023年大晦日のクレベル・コイケ戦以来の再起戦が決まった。これまでRIZINの舞台で様々なタイプの相手と戦ってきた斎藤だが、元K-1ファイターとMMAで戦うのは平本蓮に続いて2度目。斎藤は「平本戦に向けてやってきたことが間違いなく久保戦にも出る」と平本・久保戦は地続きの試合だと見ている。
Text by Takumi Nakamura

また4月・6月と外国人選手たちの躍進が目立つ中、斎藤は「自分自身に可能性を感じて試合をして、強い自分を見せて勝って、もっと先を見ていけるように。お客さんにも期待を持ってもらえるような試合をしたい」と語った(※取材は5月24日の超RIZIN03の会見終了後に行われた)。


シバター戦をやったことで、結果的に確実にキャリアを積めている

――昨年大晦日のクレベル・コイケ戦後はどのように過ごしていたのですか。

「今後どうするかはすぐ決めなくてもいいかなと思いつつ、太らないように気をつけながらラーメン活動だったり、発信活動だったり、色んなことをやっていました」

――少し試合モードから離れたいという気持ちもあったのでしょうか。

「僕の中ではクレベル選手に勝ってタイトル戦線に行くつもりだったんですけど、そこで負けてしまって。あとは自分がやりたい選手がパッと浮かばなくて、自分は年齢やキャリア的にも一つの勝ちと負けが大きく状況が変わる中で、すぐ次をどうするか決められないなと思っていました」

――斎藤選手はフェザー級の選手と一通り対戦しているので、対戦相手以外の部分で自分にネジを巻くことが簡単ではないのかなと思っていました。

「戦う理由が欲しくなるし、頑張る目的がないと、ですよね。相手は誰でもいいから(試合を)やりますとはどうしてもなりにくい。それで対戦相手と興行のことも考えつつ、4月・6月に大会はあるけど、とりあえずそこで試合するというのもどうなのかな…と思っていました。それで(試合を)決めきれずにいたという部分はありますね」

――その斎藤選手が戦うモードになったのは、7月に超RIZINが開催されるということが大きいのでしょうか。

「それはあります。会見でも言った通り、今回は15年ぶりの(さいたまスーパーアリーナの)スタジアムバージョンで、僕自身その景色を会場で見たことがないんです。この15年間で格闘技を続けられなかった選手もたくさんいて、自分は今でも現役でいるということを改めて考えた時に、自分がそこで試合をやりたいと思って実際にできるんだったら、自分にもファイターとしての役割があるんだと思い始めましたね。もう5年くらい早かったら…と思うこともなくはないですが、今がそのタイミングなんだなと思いますね」

――ちなみに15年前はまだアマチュアでしたか。

「当時はプロを目指してアマチュアで実績を積んでいた頃ですね。まだ東京にも来ていなかったです」

――では超RIZINでの復帰に向けて準備を続けていたのですか。

「色々と試合のタイミングをRIZINサイドともやり取りさせてもらうなかで、最終的にここで決まりました」

――対戦相手として久保選手のことは想像していましたか。

「3月に高橋(遼伍)選手に勝たなければ候補に挙がってくることはなかったと思うので、もしかしたらあるかなくらいです」

――久保選手はK-1での実績を踏まえて、普通のMMAファイター選手とは違うキャリアを積んできた選手だと思います。斎藤選手とは真逆のキャリアだと思うのですが、久保選手のことはどう見ていましたか。

「デビュー2戦目がシバター戦でしたからね(※正式結果としてはエキシビションマッチ)。そのあとがプロレスラーの奥田啓介選手で、木下カラテ戦を挟んで、安保瑠輝也戦じゃ
ないですか。なんとも言い難いキャリアですよね(苦笑)。

ただ言い方を変えればシバター戦をやったことで、飛び級で試合ができない=一から試合をやらなければいけない状況になって、結果的に確実にキャリアを積めているんだなと思い
ます」

――その積み重ねが一つの形になったのが高橋戦だと思います。

「あの試合は相性もあったと思います。高橋選手の得意なローキックを久保選手がちゃんとディフェンスできたという。しかも久保選手はディフェンスだけでなく、自分から攻撃する・得意の形を作りながら、テイクダウンされない技術も試合で見せましたよね。接戦だったと思いますが、確実に力をつけてきている印象はあります」

――特にあの試合は首相撲的な技術が光っていました。

「首相撲のフレームの作り方ですよね。組まれても相手に対応できることが実力の証明だと思います。もちろんまだ穴はあると思いますが、自分ができることを明確にして勝つための試合運びを組み立てているんだなと思います。ただ僕とやったら色々と分かるんじゃないですかね。彼の良いところと悪いところが如実に出ると思います」

――カード発表会見では「最短で終わらせる」という言葉もありました。斎藤選手の口からそういった言葉が出るのは意外でした。

「MMAにおける最短ルートをやるということなんですけど、仕留めるべきときに仕留める。自分からやらないとやられる。その気持ちを持っていないと、ああいう打撃に長けている選手なので、試合が長引いた時に一発ガツンともらったら効かされてしまいますよね。そういう意味では理想を言うと1秒も一瞬も隙を与えない、そういうイメージです。スタンドで立ち会う時間を1秒でも長くしたいのが向こうの作戦だと思うので、それに対する自分の答えを持って試合をしたいと思います」

――久保選手をフィニッシュするイメージはできていますか。

「はい。勝ちパターンも3~4つは考えています」

自分が良くなるためにできることはたくさんある

――改めですがK-1王者の久保選手とMMAで試合することは想像していなかったですよね。

「はい。でも斎藤VS平本蓮もそうですよね」

皇治と芦澤竜誠の乱闘劇の際の斎藤。彼のやってきたMMAのポジションを表しているかのような表情だ

――それが実現してしまうのがRIZINという舞台でもあると思います。

「我ながらすごいキャリアになってきたなと思います。直近3試合でいったら平本、クレベル、久保優太。その前には朝倉未来やヴガール・ケラモフともやっていますからね。これだけ振れ幅がある選手はなかなかいないと思います。でも言い方を変えればRIZINに来て、対戦相手には困らなかったというか、色んなタイプの相手と色んなシチュエーションで戦ってきたなと思います」

――競技者としても色々なファイターと戦うことはプラスになりますか。

「今回は平本戦に向けてやってきたことが活きてくると思います。先ほども話したように平本戦の次がクレベル戦で、対戦相手のタイプが真逆じゃないですか。平本戦でやったことをクレベル戦に活かす・アジャストするのが難しかったんです。

でも平本選手と久保選手は同じストライカーで、平本選手は(久保と同じ)サウスポーにも構える。だから平本戦に向けてやってきたことが間違いなく久保戦にも出るだろうし、その次の試合にも活きてくると思います。だから無駄な試合は一つもないし、一戦一戦ステップアップしていきたいと思うので、久保戦もすごくやりがいがあります」

――僕はMMAは経験が重要な競技だと思っています。色んな練習をして、色んな選手と試合経験を重ねることがプラスになって、コンディションを整えることができたら、年齢を重ねても強くなることができる。外から見ていて斎藤選手はそういうモードに入っているような気がするんですよ。

「実は結構色んな人にそれを言われるんですよ。例えばクレベル戦に負けたあと、ずっと自分の試合を見てくれている人に『君のMMAは完成したの?』と言われて。まだ完成はしてないよなと思いながら、『こういうことをやったらもっとよくなるんじゃない?』という話を聞いたりすると、自分が良くなるためにできることはたくさんあるなと思って。

そのためには練習だけじゃなくて、試合も必要だし、意味のある相手とやることも大事。MMAファイターとしての完成度はまだまだ上げられると思いますし、今回は新しい取り組みも考えているので、それもプラスにできるようにしたいと思います」

――その新しい取り組みというのはなんでしょうか。

「実はタイのバンタオ・ムエタイ&MMAで一か月間練習することが決まっているんですよ。慣れ親しんだ東京を離れて練習するのは初めてのことで、不安も半分・希望も半分ですが、吸収できるものはすべて吸収したいと思います」

――ここからの斎藤選手のファイターとしての目標を聞かせてください。

「タイトル戦線ではクレベル×アルチュレタの勝者が鈴木(千裕)選手に挑む図式になると思いますが、ほかの海外ファイターもどんどん増えていますよね。4月のビクター・コレスニックやイルホム・ノジモフも強かったですし、6月にはカルシャガ・ダウトベックも出て、武田選手と対戦する選手(ラジャブアリ・シェイドゥラエフ)も相当戦績がいいですよね。これからはそういう選手たちとやっていくことになると思います」

――未知の強豪外国人選手が続々参戦するという意味では、RIZINの戦いも新しいフェーズに入ったと思います。

「僕もそう思います。外国人も日本人も選手は相当増えたので、そういう意味では対戦相手はたくさんいますよね。まずは7月しっかり勝ちます」

――大晦日以来の斎藤選手の試合を楽しみにしている人たちにどのような試合を見せたいですか。

「自分がやってきたものは格闘技で、それをデビュー戦からずっと変わらず積み上げてきました。今回で32戦目なのですが、たくさんの人に自分の試合を見てもらえる機会だと思っています。まだまだ自分自身に可能性を感じて試合をして、強い自分を見せて勝って、もっと先を見ていけるように。お客さんにも期待を持ってもらえるような試合をしたいです。何が何でも勝ちます」

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【RIZIN LANDMARK09】高橋遼伍戦へ、久保優太の真実「王者のままで引退できるチャンスはあった。でも」

【写真】木下カラテに判定勝ちをしている。ここが一番の肝(C)MMAPLANET

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09 in KOBEで久保優太が、高橋遼伍と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2021年9月にMMAデビューを果たし、4戦3勝1敗の成績を残している久保。MMAではキャラクター先行型の印象が強いキャリアを積んできたが、今大会では元修斗環太平洋フェザー級王者にして、ONE Championshipにも出場した高橋という実力者と拳を交える。

「MMAにチャレンジしないままに引退することはできなかった」という久保の“格闘技ジャンキー”な一面を今回のインタビューを通してお伝えしたい。


――昨年大晦日の安保瑠輝也戦で一本勝ちしたあと、約3カ月というスパンで今回の神戸大会出場が決まりました。試合はすぐにやりたいという考えだったのですか。

「そうですね。怪我もなくて自分の感覚的にはすぐやりたかったのですが、2、3月大会は枠がいっぱいだと聞いていたので、5月ぐらいになるのかなとか、もしチャンスがあるなら出たいな、くらいに思っていたんですね。そうしたら3月大会のオファーがあって、相手もかなり強敵。ONE Championshipでも活躍していた高橋遼伍選手ということで、MMAでは間違いなく格上の選手で、すごいありがたいというか。これを自分のMMAキャリアのステップアップとして受け入れていかないとなと思って速攻でOKしました」

――久保選手がいよいよ本格的にMMAの実績と実力がある選手と戦うことになったと思います。キャリア的にもこういった相手と戦いたいという思いはありましたか。

「僕は今36歳なので、格闘家のピークというか、めちゃめちゃ動ける期間はあと2年ぐらい。そこが勝負だと思うんですよね。だからその期間に、自分の中では勝負をかけたい。チンタラやったり、のらりくらりやるより、確実にステップアップを望める相手とやりたい。僕はただ何となく立ち技からMMAに転向したわけではないので、MMAというものに一から挑戦して、自分が立ち技で築いてきたキャリアをある意味すべてベットして、MMAをやっているつもりです。例えば一番いい終わり方で言ったら、K-1で言えば魔裟斗さんは世界チャンピオンで強いまま引退されたじゃないですか」

――負ける姿を見せず、一番強い状態のまま引退されたと思います。

「もしかしたら僕もそれができるチャンスはいっぱいあったと思うんですよ。K-1のタイトルを防衛し続けていたタイミングで辞めたりとか。でも……僕は格闘技がすごい好きで、その終わり方だと自分自身に燃えるものがないっていうんですかね。僕は格闘技中毒になってしまってるんです。だからMMAで挑戦する=頂点に立ちたいという思いがあって、そこを目指すには時間がないというわけではないですが、自分のピーク・動けるうちにできる、そこに挑戦したいという思いがありますね」

――失礼ながら久保選手はMMAデビュー戦で太田忍選手に敗れて、シバター戦の印象が強いのですが、奥田啓介選手、木下カラテ選手、そして安保選手に勝って3連勝中です。MMAの試合で勝つことで、自分のMMAの形は見えてきているのですか。

「確かにデビュー戦の太田戦だったり、シバターさんとの試合だったり、別に舐めているわけはなかったのですが、もうちょっとしっかりと準備期間を経て、やらないといけなかったなっていうことをめちゃめちゃ痛感しました。今思うと恥ずかしいのですが、自分のパンチや蹴りが当たったら勝てるだろうみたいな。それでいざMMAをやってみて、そんな甘い世界じゃなかったということを痛感したという(苦笑)。

そこからは自分の中でコツコツとやってきて、確かに相手のレベルどうこうはありますけど、結果として3連勝することができました。だからなおさら今回ホンモノの相手とやれることは、自分の力や真価が問われるし、自分の実力を見せられるチャンスだと思っています」

――その重要な一戦の相手、高橋選手にはどのような印象を持っていますか。

「試合を見れば見るほど強いなっていうのと、カーフキックをはじめストライカーのイメージですが、ONEでの試合では四つの展開や相手のテイクダウンにもしっかり対応していて、すごく上手くて何でもできるんだろうなと思います。そうじゃなかったら海外で試合はできないと思いますし、自分の中で高橋選手は何でもできる日本トップクラスの選手だと思います」

――高橋選手は一発一発を強く打つ・組みも意識したMMA用のストライキングという印象です。彼の打撃についてはどう見ていますか。

「確かにボクシンググローブとMMAグローブの違いやテイクダウンの有無で、使える打撃・使えない打撃が大きく変わってくると思うんですけど、そこで僕が高橋選手を乗り越えないと、RIZINでチャンピオンになるという宣言が絵空事というか、全然実現できないことになってしまう。自分自身が立てている目標を実現するためには、ここを攻略しないと、上にはいけないと思っていますね。もちろん高橋選手は日本トップクラスの選手だと思いますけど、ここを攻略することによってRIZINのチャンピオンへの階段を登ることができるんじゃないのかなと思います」

――言える範囲で構わないですが、彼の打撃をどう攻略するのかイメージは出来上がっていますか。

「正直僕が高橋選手を寝技でどうこうは通用しないというか、そういうレベルの差はあると思います。もちろん実際に向かい合ってどう戦うかを考えると思いますが、高橋選手がどういう選択をするか。過去の試合映像を見ても高橋選手からテイクダウンにいくところはほとんどなかったですが、僕相手には絶対にテイクダウンを狙ってくると思っているので。打撃の時間が長くなるにしても、単純な立ち技だけになることは絶対にないと踏んでいます。そのうえで、僕は元K-1チャンピオンとしてRIZINの舞台に来て、打撃の部分では圧倒的に差を見せつけるというか。

今のところ『さすが久保優太の打撃だな!』というところは見せられていないと思うし、K-1時代が100としたら、MMAでは20も出せてないと思うんです。MMAでもいかにK-1時代のような100に近づけられるか。そこが自分の課題であり、今回それが出せれば、高橋選手は相当強敵でめちゃめちゃ格上ですけど、絶対負けないとは思っていますね」

――そこが立ち技からMMAに転向する選手は誰もがぶつかる壁だと思うのですが、久保選手は何を意識してMMAにおける打撃を100に近づけているのですか。

「これはもうMMAの練習と試合を続けて、MMAで使える打撃・使えない打撃を取捨選択するというか。それそのものが変わってくる部分もあるのですが、2年ちょっとMMAをやって来て、その取捨選択が積み上がってきてはいます。練習では100に近づいたものを出せているので、あとは試合で出せるかどうかというところが一番の課題でありポイントですね」

――逆に言えば相手が高橋選手レベルになると、100に近づいた打撃を出せなければ勝てない相手でもありますよね。

「そうですね。なので、そこが自分の課題というか、本当に自分がK-1時代に出せていた打撃を発揮しなきゃいけないし、それが出来たら絶対どんな相手にも正直負けるわけではないと思っているので。繰り返しですけど、なかなかそれが出せないことがMMAの難しさなんですけどね」

――決して立ち技のスキルそのものが使えないわけではないと。

「そこは感じますね。MMAでもK-1でやってきた人間は打撃において負けちゃいけない、そういった自負は僕の中でもあるんですよ。だから、それを発揮できていない自分に対する悔しさもあります。と同時に、それを発揮できたら自分がいかに格闘技の天才であるかをアピールできるというか。世間に評価してもらえると思うので、そこは頑張りたいなと思っていますね」

――例えば去年の大晦日は立ち技から多くの選手がMMAに挑戦しました。久保選手はこのことをどう感じていますか。

「今は世界の格闘技のマーケットがどうしてもMMAになっていますし、なおかつ日本のマーケットはRIZINが今一番大きくなっているじゃないですか。そのRIZINはMMAが主の団体なので、マーケットの中心がMMAになるし、格闘家である以上、それに合わせていくことは、自然な流れだと思います。

世界的に見てもGLORYで活躍したアレックス・ペレイラやイスラエル・アデサニャがMMAに転向して、UFCチャンピオンになっていますからね。武尊選手のように、自分が得意な立ち技・キックボクシングでそういう世界を創っていくこと、そこで頂点を極めることは本当にかっこいいし、それは素晴らしいことだと思います。でも僕は格闘家である以上、どうしても自分が最強というか、自分が強いという承認欲求があって。

一時はK-1を離れてボクシングに行こうとも思ったのですが、やっぱり何でもありの最強を決めるMMAに挑戦するという選択をしました。あとはK-1ファイターやキックボクサーが寝たら弱いと思われていることに、自分もコンプレックスがあるというか。やっぱりそれを払拭したいんですよね」

――久保選手はボクシングの試合こそやらなかったですが、ずっとボクシングジムで練習もして、ボクシングのトレーナーの指導も受けていて。ボクシングという競技には触れてきたわけじゃないですか。

「そうですね。かなり色んなジムに行かせてもらいましたし、結構ボクシングジムからスカウトも受けていました」

――だからテコンドーから始まって、ムエタイ、キックボクシング、ボクシングと久保選手ほど立ち技競技をやりこんで、MMAに転向した選手はいないと思うんです。

「グローブ空手にも白帯で出たことがあるので空手経験者でもあります(笑)」

――なるほど(笑)。そんな久保選手が立ち技の強さを証明するためにMMAにチャレンジすることは格闘技のロマンだし、久保選手は本当に格闘技が好きなんだなと思います。

「うれしいですね。本当に格闘技ジャンキーだと思うので」

――ずばりMMAにチャレンジしないまま引退することはできなかったのですか。

「そうですね。太田選手にデビュー戦で負けてから余計に悔しくなって。試合でテイクダウンされると練習と全く違うんですよ。言うても練習では試合と同じことはやらないし、多少はみんな加減もするじゃないですか。でも試合になったらそういう加減はなくて、僕、太田選手に投げられたときにヒザを骨折したんです。それで本当にMMAは厳しい世界だなと思って、それと同時にこの道を極めたいと思いました」

――僕は旧K-1時代から久保選手を取材してきて、これだけずっと純粋に格闘技が好きな選手はいないと思っていて。でもRIZIN参戦以降は試合以外のキャラクターの部分がクローズアップされることが多かったので、久保優太はそうじゃないということを今回のインタビューで伝えたかったです。

「ありがとうございます。どうしても僕はネタ枠というか。特にシバターさんとの件で、自分自身にも原因があると思うんですけど、エンタメ性に走ってしまったというか。僕自身、目立ちたいという承認欲求もあったりして。あの件で僕が元K-1チャンピオンで3回防衛したとか、GLORYでチャンピオンになったこととか、そういう格闘技の実績が見ている人たちの記憶から忘れ去られていると思うんです。

だからここで格闘家・久保優太としての強さや久保は格闘技の天才なんだってところを見せたいです。そのために練習も必死に頑張って、なおかつ格上の選手に挑戦させていただくわけですから」

――久保選手にそういう思いがなかったら、ここで高橋遼伍というファイターとはやらないですよね。周りからは止められなかったですか。

「めちゃくちゃ止められました。まだ早いんじゃないかって。ただ、僕はチンタラMMAをやるつもりはないんで。ここで評価を上げたいし、そうすることでタイトル戦線に近づくことができると思ったので、今回はやらせてくださいという想いを伝えました」

――これまで何度も大一番を経験している久保選手だと思いますが、MMAにおける大一番になりますね。

「格闘技に詳しい人からすると『絶対久保は勝てない』や『総合力が違いすぎるだろ』って、そういう予想や評価だと思うんです。だからこそ純粋に挑戦できるというか。ある種すっきりしているわけではないし、気持ちいいと言ったらあれなんすけど、生き生きとしていると言ったらいいんですかね。格闘家として生きてるなって感じがしています。格闘家冥利に尽きるというか。やってやるぜ、最高だぜみたいな」

――今日のインタビューで久保選手の試合がより楽しみになりました。

「負けられないプレッシャーを感じていると、それこそK-1時代の防衛戦の僕はずっとディフェンシブな戦いだったじゃないですか。でも若い頃の僕はガンガン前にいけていたし、今回はそういう自分や格闘家・久保優太の生きがいを取り戻せるんじゃないかと。そういう予感がしています。だから僕自身、次の試合は楽しみだし、みなさんも楽しみにしていてください」



■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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