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【Pancrase325】逆転王座防衛、久米鷹介「局面、局面での発さんの声はなぜか覚えています」

【写真】日沖発stArt代表、鈴木陽一ALIVE代表、村元友太郎、先ごろ引退した春日井たけし、中田大貴。久米は良い仲間に恵まれている──んっ?? (C)MMAPLANET

12日(日)、東京都江東区のスタジオコーストで開催されたPancrase325で正規ライト級KOP久米鷹介が、暫定ライト級KOPの雑賀ヤン坊達也を逆転で下し王座防衛に成功した。

初回に強烈なダウンを喫しながら、ガードワークで凌いだ久米。打撃&スクランブル全盛の現代MMAにおいて、しっかりと背中をつけた寝技を若き日から修得してきたことと──敬愛する先輩の声が今回の防衛を可能にした。

激闘直後、久米に話を訊いた。


──大激闘でした。かなりダメージがあるようですが、インタビューの方は構いませんでしょうか。

「ハイ。ありがとうございます。ただ、まだあんまり試合のことを覚えていなくて……」

──それだけダメージがあったということですね。試合前にデカゴンに入る直前、日沖選手とはしっかりとハグしていたのですが、鈴木ヨーイチ社長とはサッと離れたことは覚えていますか。

「あぁ、そこはやはり試合前は目を大切にしたいので。残像で……パンチが見えなくなりますからね(笑)」

──アチっていう声が聞こえましたよ。

「昨日の計量の時も……」

鈴木陽一(ALIVE代表) いい加減にしておけよ(笑)。

「計量の時も、そのネタでヤン坊選手が笑っていましたしね。いやぁ、昨日のことは覚えているんですよ」

──あのパンチを貰ってから、記憶があやふやという感じでしょうか。

「その前のこともですね……。最後、雑賀選手の腕がバキバキ鳴っていたのは覚えています」

──そこだけですか!!

「それと断片的です。良いのを貰った瞬間、その記憶はあります。

でも下にいて抱えた時、そしてレッスルアップする時とか発さんの声は聞こえていました。そこは覚えています。なんか局面、局面での発さんの声はなぜか覚えています。それと社長の残像ですね(笑)」

──いや、ここで笑いは……。ダウンを喫したあと、雑賀選手がラッシュをかけなかった。そこもあったと思いますが(※理由は、雑賀のコメントで判明)、ハイガードから幻の必殺技ともいえる三角絞めを仕掛ける仕草が見えました。久米選手の15年以上の積み上げが救ってくれたような。

「でも、極まっていないということはダメだったわけですよね(笑)」

──2Rもダブルレッグから引き込んでレッスルアップ。そしてリバーサルに成功してバックに回った。最後の腕十字といい、記憶がない状態で仕掛けた……体にしみ込んでいる動きだったのですね。

「ハイ。なんか、今日は要所しか覚えていなくて、発さんと練習したことや、あの場面での指示だけが残っています。『抱えろ』という声、マンツーマンで練習してきたことが……」

日沖発 ヤン坊選手は腰が強いので、テイクダウンはなかなか取れないというのは想定内でした。だから引き込んでロックアップからレッスルアップというのは、作戦として練習してきたことなんです。

──それにしても今のストライキング&スプロール時代のMMAにあって、この試合のための対策だけで下から攻撃は一朝一夕ではできなかったはずです。

ほんとに良い仲間たちだ

「やってきたことを出す。今までもそうですが、今回も試合のテーマはそこでした。

マンツーマンで発さんにやってもらってきたことも含めて。一通りグラップリングであったり、柔術をずっとやってきました。それが助けてくれたということはあると思います」

※鈴木陽一代表によると一晩休んだ久米は頭痛も吐き気もなく体調に問題はないとのことだが、眼窩底と脳神経の診断のために病院に行くとのことだった。

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【Pancrase324】内村洋次郎戦へ、透暉鷹─02─「名古屋の偉大な先輩方に続くことができるよう」

【写真】どの局面も一通りできる。今後は、その一つ一つの精度を上げることが大切になってくる (C)MMAPLANET

17日(日)、東京都江東区のスタジオコーストで行われるPancrase324で、内村洋次郎と対戦する透暉鷹インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

地元・三重から愛知に出てMMAを始めた透暉鷹は、所属する石綱MMAの林拓馬代表、そしてプライベートレッスンを受ける日沖発など、自身のファイター人生を大きく変える人たちと出会ってきた。

Ryoのギロチンで絞め落とされてから約4カ月、ベテラン内村との対戦を控える透暉鷹に、現在の練習環境と今後について訊いた。

<透暉鷹インタビューPart.01はコチラから>


――MMAを始めたのが2016年の冬で、2017年からアマチュア修斗に出場しながら、DEEP勝川大会やGRANDSLAMなどでプロの試合にも出るようになっているのですね。

「自分の中では、DEEP勝川大会での勝利が大きいです(2017年10月、NAOKIに判定勝ち)。MMAを始めて9カ月ぐらいの時に、林代表が『勝つ喜びを知ってほしい』と言って決めてくれた試合でした。

その時に勝てて、MMAが楽しくなりました。今は週3回、日沖発さんのところで練習させてもらって、自分も成長してきていると思います」

――日沖選手と練習し始めたのは、いつ頃からなのでしょうか。

「ネクサスで負けた頃ですね(2019年7月、島村豊に判定負け)。あの頃にまず1カ月、日沖さんにコーチしていただいて、そこから自分も変わったと思っています。もともと日沖さんとは関わりがなかったんですけど、林代表が日沖さんに連絡してくれて、そこからプライベートレッスンでお世話になっています」

――林代表から日沖選手に、透暉鷹選手のコーチをお願いしたということですか。

「はい。『俺が教えるより、実績のある日沖さんに教えてもらったほうが強くなれるから』って」

――それは驚きというか……ジムの代表で指導者でもある人が、選手が強くなるために、他のコーチに預けるという決断ができるのは、凄いと思います。

「そうなんです。僕がMMAを続けてこられたのは、妻と林代表のおかげです。20歳の冬にMMAを始めてから、半年後ぐらいのゴールデンウィークに一度、三重に帰ろうと思ったことがあるんです。MMAって、やることが多いから練習もキツいじゃないですか。そんななかで、『自分は何を目指してやっているんだろう?』と分からなくなって」

――……。

「それで『ジムを辞めて地元に帰る』と伝えたら、林代表が止めてくれたんですよ。『いま地元に帰っても、地元の人からバカにされるだけだよ。どうせ帰ってくると思っていた、とか。それよりも、せっかく始めたのだから頑張れ』って――。そう言われて、1年は頑張ろうと思いました。結果、1年だけじゃなくて今もMMAをやることができているのは、あの時に林代表が僕を止めてくれたからです」

――「勝つ喜びを知ってほしい」とDEEP勝川大会の試合を決めてくれたのは、林代表も透暉鷹選手にMMAを続けて欲しかったからなのでしょうね。一方、日沖選手にはどのようなことを教わっているのでしょうか。

「日沖さんから一番学んだのは、練習の取り組み方ですね。一つひとつの技術はもちろん、練習に取り組む姿勢について影響を受けています」

――日沖選手はMMAPLANETのインタビューで、透暉鷹選手について「彼が相当に力をつけてきているので、良い練習ができた。しっかりとスパーリングの相手をしてくれている」と語っています。

「すごく嬉しいです。最初はプライベートレッスンだけだったんですが、あの時はプラス違う曜日にスパーリングをやっていました。日沖さんの強さは異次元の世界ですよ(笑)。そんな日沖さんから教わったり、一緒に練習させてもらったおかげで、僕も強くなったと思います」

――日沖選手のプライベートレッスンを受けるようになってから、修斗新人王を獲得するなどMMAで4連勝しました。その中には、格上であった田中半蔵選手を下す大金星も含まれています(2020年10月、パンクラスで対戦して判定勝ち)。

「あの試合は、周りから『まだ上位の選手と対戦するのは早いんじゃないか』という声もありました。でも林代表は『透暉鷹が決めることだから』と言ってくれて。自分も強い選手と試合したい気持ちが強かったので、オファーを聞いてすぐ『やりたい』と伝えました。あの試合で勝てたことは、自分の中でも大きな自信になっています」

――これまでの試合を見ていて、田中戦からスクランブルの攻防や抑え込みだけでなく、バックの奪い方など細かいグラップリングの技術が見られるようになったと思います。スロエフ・ストレッチも繰り出したりとか。

「スエ……何ですか?」

――スロエフ・ストレッチです。バックに回りながらヒザ十字のような形で相手の足を伸ばす技ですね。

「あぁ、アレですね! やろうと思ってやった技ではなかったです。自然に出ました」

――ということは、アマール・スロエフなどスロエフ・ストレッチを極めている試合も、見たことはないのですか。

「たぶん……すみません」

――いえ、あの技が自然に出てくるとは凄いですね。しかし、田中戦の次に迎えたRyo戦では試合時間残り1秒でギロチンを極められ敗れてしまいました。勝利したRyo選手がランキングを上げ、次の試合で中島大貴選手とのフェザー級挑戦者決定戦に挑んだことを考えると、キャリアの中で大きな敗北だったのではないかと思います。

「あの負けは……今までにない悔しさがありました。ギロチンの形になった時、試合時間もラスト10秒ぐらいだと分かっていましたし、これは極まらないだろうという感覚があったんです。でも自分のほうが、息が上がっていて――試合を想定した練習ができていなかったかもしれない。必然的に負けた、でもそれで良かったと思っています」

――それで良かった、とは?

「負けないと分からないこともありますよね。あの時は4連勝から、最悪な負け方をしました。あの試合で勝っていても、いずれ同じような負け方をしていたと思います。負けて良かった、ということはないです。でも、そういう経験ができて良かったです」

――その経験を経て、次はベテランファイターの内村洋次郎選手と対戦します。

「内村選手、ザ・ストライカーという感じですね。キックボクシングやシュートボクシングに出ている試合も見ました。気持ちが強い選手だと思います。もちろん技術も、ベテランの経験もあって強い相手ですけど、僕はもう負けられないです。前回がああいう負け方だったので、今回は僕にとっても大事な試合です」

――パンクラスのフェザー級は、チャンピオンのISAO選手を頂点に、新しいファイターも出てきています。

「チャンピオンのISAO選手が頭ひとつ抜けていますけど、中島太一選手も強い。前のタイトルマッチ(今年5月、ISAOが中島に判定勝ち)も凄かったですよね。Ryo選手も前の試合で、うまくやられた感じで(9月、中田大貴に判定負け)。そんななかで、僕はパンクラスのベルトが欲しいです」

――現在、透暉鷹選手フェザー級8位です。タイトルに挑むために、次の内村戦は再スタートの一戦でもありますね。

「はい。今はベルトに向かって戦っています。最終目標としては、パンクラスのベルトを獲って世界で戦いたいですね。前回の試合から、ずっと練習してきて、自信もついてきました。次は自分を信じて戦います。そして、日沖さんをはじめ名古屋にいる偉大な先輩方に続くことができるよう、必ず勝ちます」

■視聴方法(予定)
10月17日
午後1時00分~ TIGET LIVE
午後1時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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Grachan49 MMA YouTube   タクミ 日沖発

【Grachan49】日沖発&タクミ──試合直後、同時インタビュー「ラバー狙いでしたよね?」、「その通り」

【写真】試合後に戦った両者同時インタビューは、MMAPLANETでも初めての試み。グラップリングならではの話が聞かれた (C)MMAPLANET

8日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されたGrachan49で組まれたグラップリングマッチ=日沖発✖タクミは時間切れドローとなった。

攻める日沖、凌ぐタクミ。一見、このように映った試合の裏でどのような駆け引き、判断が見られたのか。

日沖はタイトな抑えからのパスは見せず、草刈りスイープを食らった。

タクミは上半身は裸でロングスパッツを着用していた。

大会終了直後、戦った当人に同時に──彼らしか分からない水面下の精神戦、駆け引きを深堀りしてもらった。


──見どころの多い試合でした。

タクミ ありがとうございます。練習ではもうチョット極めることができているんですけどね(笑)。発君のぐらいのレベルになると、早々仕掛けることはできなかったです。極めはおろか……。

──それでも負けない。攻め込まれないという試合ができました。日沖選手は1Rはトップからパスを中心に攻めましたが、足を越えることができなかったです。

日沖 あそこ動いていて、途中で気づいたんです。タクミさん、クローズド狙いでしたよね?

タクミ ハイ、そうです(笑)。

日沖 僕はパスでは密着系のパスが得意なんですけど、距離を取ってのパスになって……。あの時、スイープ狙いとかよりもガードのテンションと、クローズドに入れてラバーガードを狙っているなって気付いたんです。

タクミ その通りです。まさにその通り(笑)。

日沖 だから途中でポジショニングよりも、足系に切り替えました。一度、僕の足が揃って草刈りスイープを仕掛けられた時があったじゃないですか? 

アレは実は久米と立てた作戦の1つで。展開が止まったら、わざとスイープをされながらマウントとか取りに来るタイミングで、スクランブルを作ろうかなとも思ったんです。

タクミ それ、僕も気づいたんで行かなかったんです(笑)。上に行ったら、バクって何かやられそうな気がして。

──いやぁ、そんな精神戦。騙し合いが行われていたのですね。

日沖 動きを創る展開にさせてもらえなかったです。

──自分がタクミ選手の敵陣営だったら、長袖ラッシュを着てくださいと主催者に要望を出します(笑)。タクミ選手の新陳代謝は半端ないですからね。

日沖 ハハハハ。

タクミ 今日もめちゃくちゃ汗が出ました(笑)。で、ラバーを取る作戦だからロングスパッツを履いたんです。

練習通りにはいかなかったですけど(笑)。

日沖 ルールミーティングが当日で、どういう服装で戦うのか分かっていなかったので、僕も上から下までロングタイツ、ショート、ラッシュと揃えていたんです。

裸なのかどうかも、分かっていなかったので。結果、特に規定がなかったので滑らないようにラッシュを着て、下も履きました。

勝負を賭けようと思いました。でタクミさんを見たら、ロングタイツだったので作戦を考えてきているなって(笑)。

──してやったりでしたね。それにキム・スーチョルとグラップリングで戦った時より、ずっと動きも良かったです。

タクミ レスリングやスクランブル、あれこれ全部を練習しても発君には追い付けないと思いました。だから下の一点突破、クローズドからラバーもしくは下からヒールで一発を狙う。そのどっちかだけとしぼって、そればっかりを練習してきました。全部、防がれてしまいましたけどね(笑)。

──足関節を仕掛けられた時の反応も良くて。50/50やサドルを組ませることなく対処していたじゃないですか。

タクミ 来たらサッと回転して逃げる。そこも……僕から行くことも考えていたんですけど、怖かったです。

日沖 一度、右足をタクミさんのワキの下において、誘ってみたんですけど乗ってくれなかったです(笑)。

──アハハハ。最後の最後に日沖選手がバックを取るという動きが見えました。

タクミ あれは……僕的には時間的にバックマウントから絞めが来ても耐えることができると思って。その動きで足関節を狙おうと思いました。

バックをとられながら、カウンターで足関節にいく。だから、行かせたというとアレですけど、流れを使おうかと思いました。もう時間もないし、一本決着のルールだったので。

──一見、攻めているのは日沖選手。でも譲らない妙を見せたのはタクミ選手のようにも見えました。

タクミ そういう風に見える試合だったかもしれないです。

日沖 この試合用に作ってこられましたよね?

タクミ そうですね。それはセコンドに就いてくださった岩崎(正寛)さんに指導をしてもらってきました。僕だけでなく、関西中のパラエストラ勢がお世話になっています。いつも練習後に細かいアドバイスをしてもらえて。それが凄くありがたいです。

──岩崎さんからすると、この勝負はどのように見ていたのですか。

岩崎 やっぱり全体で考えたときに、不利ではあるので。最初に崩されると、徹底される。だから最初をしっかりと守る。それを徹底してもらいました。

日沖選手は凄く丁寧に攻撃されることは分かっていたので。それと同じぐらい丁寧にしないと、攻め込まれて危ないよということを伝えて、作戦を立てたんです。

──日沖選手、最後は悔しさを露わにしていました。

日沖 最後は行きたかったですね。行きたかったけど、入る感じのところまでは持っていけなかったです。

──試合直後に戦った当人を同時に、しかもセコンドの岩崎さんも試合を振り返っていただきありがとうございました。より2人の試合が楽しめるので、ここで聞いた話を頭にいれて後日アップされる予定のYouTubeを楽しみたいと思います。

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【Grachan49】初の単独大阪大会、岩﨑ヒロユキ代表に訊く「大阪に足らなかった部分に力を入れたい」

【写真】グラチャンらしさという部分で、突き抜けた感のある千葉・幕張大会も9月5日に行うこととなった岩﨑ヒロユキ代表 (C)MMAPLANET

8日(日)、豊中市176boでGrachan49が開催される。同大会はでグラチャンにとって初の大阪での単独イベントとなる。

なぜ、このタイミングで大阪大会なのか。そして、このカードなのかをグラチャン岩﨑ヒロユキ代表に訊いた。


──このタイミングで大阪で初の単独イベントを開催する。その意図はどこにあったのでしょうか。

「選手から大阪大会を開いてほしいと、ずっと言われてきました。東京の大会に出たいという気持ちが強い選手が多くて、東京とつながりがあるグラチャンを開いてほしいと。何年越しかで言われてきました。

あとアマチュア大会がアマ修斗しかなくて、プロデビューできる実力があっても試合機会がないという声もありましたし、アマチュアのグラチャンチャレンジと一緒にやろうかと思いました。

それと……獅庵がRIZINが決まる前にもう辞めるという話になったことあって。『ちょっと待て、お前が希望していた大阪大会をやるつもりで、俺はこうやってタクミさんと話をしているんだ』という話になりました。タクミさんも『お前、ここまで岩﨑さんが言ってくれているんだぞ』って。そうしたらRIZINの話が持ち上がってきたんです。

そんな風ないろいろな理由があって、どう考えても赤字になるだろうけど……人肌脱ぐかっていう、変な漢気を見せてしまいました」

──それがこのタイミングであったと。

「五輪期間中は緊急事態宣言はないだろうという勝手な見込みでした(笑)。でも大変ですねぇ、リングアナの確保から……地方の自主興行って本当に大変で。サステインさんって、改めて凄いなって思いました。

それでもGLADIATORの櫻井さんとは結構話し合いをしてきました。あとはDEEPの佐伯さん、サステインの坂本さんには報告させてもらって。大阪の場を荒らさないように大会開催に至りました」

──場を荒らさないマッチメイクということですか。

「手塚はグラジエイターに出ないだろうし、竹本君には名前を挙げるチャンスです。竹本君にとっておいしい試合という形で、櫻井さんと組んだ試合です。手塚にしても、坂本さんからは『岩﨑君のところに出るのだったら、また修斗に出てもらえるようにできる』と言ってもらっています」

──選手の今後も考えてのマッチメイクということですね。

「ハイ、そこは選手を守って試合機会を与えたいと思っています。関西の選手はグラチャンから修斗に出て、回れば良いという風にも坂本さんは言ってくれていますしね」

──グラジからはレッツ豪太選手も出場します。

「レッツも連敗中で、このまま埋もれるのは惜しい。だからラストチャンスのつもりで戦ってほしいです」

──グラジとすればチャンピオン2人が潰される可能性もある勝負の場でもあります。

「それが格闘技じゃないですか(笑)。櫻井さんも選手を育てるということで、片意地を張らずに興行に向き合っていますし、そういう彼に背中を見せたいという気持ちもあります。それを櫻井さんもわかってくれています。

先人たちとも付き合い、あとに続いてくれる人とも協力してやっていく。櫻井さんも選手の試合出場を創ってくれてありがたいと言ってくれています」

──そんななかグラップリングも楽しみです。

「日沖さん、RIZINの名古屋大会で目が合ったんです。その時にジム経営も上手くいっているし、ありなんじゃないかと思いました。日沖さんには試合感覚を取り戻すためにもグラップリングはありじゃないかと。それでALIVEの鈴木(ヨーイチ)さんに伝えると、『発が乗り気です』という返事をもらって」

──つまりは日沖選手にはMMAも、いずれ戦ってもらうという腹積もりなのですか。

「それはグラチャンではないです。どこかふさわしい舞台で、最後に1試合だと僕は思っています。中途半端にウチで試合をする意味合いはないですから、それは考えてはいないです。それと以前から日沖さんとタクミさんは練習をしていたこともあったようで、その信頼関係も実現した大きな要因ではあります」

──今回の大阪大会、東京での大会にも線としてつながっていってほしいです。そうでないと奉仕で終わってしまいます。

「今回、アマチュアが凄く集まりました。夢と希望を持っています。若い選手たちのモチベーションが高まっていると手塚と獅庵から聞きました。パーソナルまで受ける選手がいるそうです。ここが大阪に足らなかった。なので、ここにはしっかりと向き合っていきたいです。

若い選手が上に出てくるという部分を活性化させたいのは、東京でも同じですね。9月5日は幕張ベイパークアリーナで初めて大会を開きます。ニューピアを予定していたのですが、ワクチン接種会場になってしまって……、そうしたら今回の会場を紹介していただいて。

ここも若手中心のカードとアマチュア大会になります。20歳の藤村がメインで、DEEPで戦ってきた小川道的選手と対戦します。山本琢也はフェザー級でやっていくことになるでしょうし、ライト級の今後を睨んだカードですね」

──そのほか、若い選手というのは?

「2019年の全日本レスリング選手権フリー70キロ級優勝の原口伸がプロデビューを戦います」

──おおBRAVEの原口選手はアマ・マッチですが、EXFIGHTで漆間將生選手をテイクダウンとパウンドで圧倒した試合を見ました。

「そうなんですか。もう既に十分に強いかと。それと全日本空手道連盟の全日本組み手の部で5位という野村駿太もBRAVEからデビューします。鶴屋さんのパラエストラ柏からはボクシングで国体3位の松井斗輝もプロMMAデビューとなります」

──思い切った舵取りで、独自性がありますね。

「先輩方と同じことをやっても、しょうがないです。だから色は創っていかないといけないと思っています。それでいえばヘビー級ですね。今、ヘビー級はDEEPさんのメガトン級とグラチャンでしか組まれていないですが、うちはヘビー級もアマチュアから育てているので、ここも力を入れていきます。

大阪大会に関しては配信もしません。この状況で配信をすると、ネガティブな反応があるからもしれないです。『この時期に何やっているんだ』と言われないようにと思ってのことです。

先輩方が引っ張ってくれた格闘技界の足を引っ張りたくない。だから検査もしかり、当日計量もアマチュアの選手は会場を別にしました。そこを意識しながら、グラチャンらしい大会を大阪、そして東京と開いていきます」

■ GRACHAN 49対戦カード

<Grandウェルター級挑戦者決定戦/5分3R>
レッツ豪太(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分3R>
手塚基伸(日本)
竹本啓哉(日本)

<フェザー級/5分2R>
小島勝志(日本)
村田俊(日本)

<グラップリング70キロ契約/4分2R>
TAKUMI(日本)
日沖発(日本)

<ライト級/5分2R>
植田豊(日本)
林 RICE 陽太(日本)

<無差別級/5分2R>
荒東”怪獣キラー”英貴(日本)
田馬場貴裕(日本)

<バンタム級/5分2R>
高橋謙斗(日本)
上田祐起(日本)

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【Grachan49】タクミと組み技戦、突然カムバックの日沖発「顔見せとか、エキシという気持ちは全くない」

【写真】stArtもJAPANとesteemと2カ所でジム展開しており、多忙な日沖はジムを持つ前より痩せたという(C)MMAPLANET

8日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されるGrachan49で日沖発が、タクミとグラップリング戦に臨む。

2019年7月にブラジリアン柔術の試合に出て以来、プロという場は2018年8月のRIZINでの朝倉未来戦が最後になっていた日沖が、まさかのGrachan出場だ。

今回の組技戦に向けてインタビューを行うと、日沖発というMMAファイターの戦う目線は一切変わりないことが伝わってきた。


──2019年6月に全日本マスターオープンに出場して以来、2年振りに実戦の場に復帰する日沖です。いやグラチャンで、しかもグラップリングということで驚きました。

「なぜですかね(笑)。まぁ、話を貰ったからなんですけど。条件とかで出るというわけではないですよね」

──道場を開いて3年半が過ぎ、最後の実戦から2年。この間、日沖選手自身の練習をすることはあったのですか。

「自分の練習というか、選手達との練習は続けてきました。それにこの試合に向けては、しっかりと準備してきました。勝つための練習です。顔見せとか、エキシビションとかっていう気持ちは全くないです。

正直にいえば、回りの空気やノリはそんな風に感じられることもあります。客観的に見て、そう風に感じることはありましたね。でも、勝負だし──勝負は勝つためにやります」

──ならば、しっかりと日沖発を見せてほしいです。

「そうですね……ジムで一般の人たち、あとは選手練習、それと以前からプライベートレッスンで、パンクラスに出ている透暉鷹選手とやってきたことを出したいですね」

──透暉鷹選手と、ですか。

「ハイ。石綱MMAの林代表にお願いされて2年ぐらい一緒にやってきたんです。彼が相当に力をつけてきているので、良い練習ができました。彼はまだ世界レベルでは厳しいですが、頑張っています。今回の試合に向けても週に1度ですが、しっかりとスパーリングの相手をしてくれました」

──了解しました。ところで盟友・久米鷹介選手の名前が出てこないですが……。

「昨日の夜も久米と作戦会議もしていましたよ(笑)。やってきたことを出せれば……出すために、試合中に気を付けて指示してほしいことも伝えました。その通りに進めば良いですね」

──久米選手と……完全にガチモードじゃないですか。

「ノーポイントで、サブオンリーなので、ある程度のキャリアがあると守ることだけなら、それほど難しくなくなります。逆に極めに行くとフィジカル的にも厳しくなる。でも、せっかくの試合ですから守りに入らず、極めにいきたいですからね。取られるリスクはあっても、試合に出るなら斬るか、斬られるかをやらないと意味はないと思っています」

──MMAグラップリング、サブオンリーのグラップリング。日沖選手はどちらもできると思いますが、タクミ選手を相手にどちらを見せてくれるのか。

「それをここで言っちゃあ、対策されてしまうじゃないですか(笑)」

──ではリバース・デラヒーバからのベリンボロを期待しています。

「アハハハ。それもあるかもしれないです。とにかく攻めます。ただし、タクミ選手だって狙ってくるはずです。やはり展開を創って戦いたいですね」

──実戦前の昂ぶり、緊張感はありますか。

「試合前という空気はあります。ただMMAではないですし、ピリピリはしていないです」

──今大会ではALIVE時代の後輩、竹本啓哉選手も出場して手塚基伸選手と試合をします。

「タケとも一緒に練習をしていますよ。対策とか、何か特別なことをするということはないですが、一緒にやっていて。タケも強くなっています。ホント、吹上にALIVEがあった頃と比べると随分と強くなりました」

──そりゃそうでないと(苦笑)。

「そうですよね(笑)。タケはのんびり屋でマイペース。風変わりですけど、頑張っています」

──アハハハ。確かに個性的ですね(笑)。ところで日沖選手、ケージでグラップリング、またMMAを戦うということを視野に入れていると考えても良いのでしょうか。

「MMAは……そうですね、区切りをつけたいというのはあります。ちゃんと引退したわけではないので。どこで戦うとか、そういうことは何も決まっていないですけど、以前のようにMMAに取り組むことはできないのは明白ですからね」

──だから区切りのファイトと?

「自分が強くなることだけ考えて、それだけのために練習して生きていくという人生ではなくなったので。生徒もいますし、違った責任が出てきていますから。それでも自分が成長したい、強くなりたいという気持ちはまだいっぱいあります。火が消えていない部分も少しあります」

──強くなりたいという想いが、今も。

「強くなりたいですよ。ただし、僕が今からUFCで戦うとかいっても、現実にそぐわないことで。若い選手と同じような舞台を考えているわけではないですが、強くなりたいとは思っています。そういう場が創れれば、やりたいという気持ちは残っています」

──その気持ちがあるから、今回のケージでのグラップリングの試合を受けたということは?

「言ってみれば、その気持ちだけですね。あとは頑張っている生徒に見せたいのと。今はもう、自己顕示欲的な部分で試合に出るというところはないです」

──なるほどぉ。でも、以前から自己顕示欲があったようには見えなかったですが……。

「まぁ、そうですね(笑)」

──では日沖選手、日曜日の試合はYouTubeで後日公開になるそうですが、長い間応援してきてくれたファンに一言お願いします。

「守りに入らない試合をします。応援、宜しくお願いします」

──そこは三角極めます──で、お願いしますよ(笑)。

「そんなの、もう誰も知らないですよ(笑)」

■ GRACHAN 49対戦カード

<Grandウェルター級挑戦者決定戦/5分3R>
レッツ豪太(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分3R>
手塚基伸(日本)
竹本啓哉(日本)

<フェザー級/5分2R>
小島勝志(日本)
村田俊(日本)

<グラップリング70キロ契約/4分2R>
タクミ(日本)
日沖発(日本)

<ライト級/5分2R>
植田豊(日本)
林 RICE 陽太(日本)

<無差別級/5分2R>
荒東”怪獣キラー”英貴(日本)
田馬場貴裕(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
池田貴一(日本)

<バンタム級/5分2R>
高橋謙斗(日本)
上田祐起(日本)

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【写真】岸本欠場は残念だが、日沖のグラップリングは素直に楽しみだ(C)MMAPLANET

3 日(土)、Grachanが8月8日(日)に豊中市の176boxで初の大阪での単独イベントとなるGrachan49の対戦カードの変更と新たなカードを発表している。

手塚基伸✖竹本啓哉、レッツ豪太✖川中孝浩、林RICE陽太✖植田豊、荒東”怪獣キラー”英貴✖田馬場貴裕と並んで組まれていてグラップリングマッチ=中山巧と岸本泰昭の一戦が、契約体重がまとまらず中山が日沖発と相対することになった。


TKO、修斗、SRCのフェザー級王者からUFCに参戦した日本を代表するMMAファイターが、プロ興行では2018年8月のRIZIN以来、3年振りに出場を果たす。

またグラップリングとはいえ、日沖のケージでのファイトは2017年10月の髙谷裕之戦以来となる。2019年7月には全日本マスターオープン柔術では、色帯時代以来道着の試合を経験しているが、ノーギのワンマッチ出場は非常に興味深い。

中山もKOTCライト級王者、パンクラスでは暫定フェザー級キング・オブ・パンクラシストとなっている往年の日本を代表する実力者だ。47歳の中山と37歳の日沖──10歳違いだがプロMMAデビューは2年ほどしか違わない。それでも中山が70キロで戦っている期間が長かったため、2人が修斗や他のリングで拳を交えることはなかった。そんな両者が、時を経て手を合わせる非常に興味深い。

また今回のリリースによると、岸本も引き続き組み技で出場予定だったが、見合う相手が見つからず今大会は欠場となるとのこと。

MMAではBRAVE所属、無敗の高橋謙斗がreliableの上田祐起と対戦するバンタム級マッチも決まっている。上田はキャリア3勝3敗ながら、Gladiatorで3連勝中と調子を上げている選手だ。

グラチャン初の大阪大会はアママッチ=グラチャン・チャレンジの実施など、関西のMMAの揺り起こし的な意味合いがあるものの、プロマッチに関しては完全に関西、いやグラジ侵攻といえる。このGrachan Invasionに対しては、新体制から15度のイベント開催を経たグラジ&関西勢の真価が問われる大会となる。そんなガチンコ・バトルにあって、一服の清涼剤となる組み技戦だ。

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