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【Road to UFC2024Ep05&Ep06】準決勝でシェ・ビンと対戦、河名マスト「これまでの29年間を出せるか」

【写真】タフな展開に競り勝つ。そんな強さを見せて勝ち星を重ねている河名だ(C)TAKUMI NAKAMURA

23日(金・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでRoad to UFC2024 Ep05 & Ep06=Road to UFC Season03 Semi Finalsが開催され、フェザー級準決勝で河名マストがシェ・ビンと対戦する。
text by Takumi Nakamura

グラジエイターでの王座戴冠を経て、Road to UFC(RTU)出場のチャンスを得た河名。5月の一回戦=AFC王者ソン・ヨンジェとの対戦では、ヨンジェの打撃を浴びる場面があったものの、渾身のバックコントロールで判定勝利をもぎとった。準決勝ではイープークールーとの中国人対決を制したシェ・ビンとの対戦となり、「ケージの中でこれまで生きてきた29年間をどれだけ出せるか」と人生をかけた勝負になると語った。


──RTU準々決勝はソン・ヨンジェに判定勝利して初戦突破となりました。ヨンジェ戦を終えて、その後の練習や調整の状況はいかがでしたか。

「少しヨンジェ戦で怪我をしてしまったので1カ月半ほど休養して、そこからちょっとずつ上げてきた感じですね」

──RTUは短期間で試合が続く形ですが調整の難しさはないですか。

「そこは大丈夫ですね。デビュー1年目・2年目は一時期ほぼ毎月のように試合をしていた時期があったので、試合感覚が短くなって、練習できなくても焦りはなかったです」

──改めてヨンジェ戦を振り返っていただきたいのですが、ご自身で映像を見て、どんな感想を持ちましたか。

「自分自身、普段は1Rを濁して、2・3Rを確実に取って、判定で言うと29-28で、あわよくば30-27で決着つけられればいいかなという試合の進め方をするんですね。でも今回は1Rから飛ばしてみようという戦法だったので、そのせいかおかげか、1Rで見事にバテてました(苦笑)。それで2Rはどうしよう?となったところで、なかなかクリンチできずにボコボコ殴られる展開になって。

このパンチでKOされることはないとは思いつつ、こっちが攻撃をしているわけでもなかったので、暗いトンネルをずっと走っているような状況でした。ただ残り10秒の僕の縦ヒジがボコン!と入って、見るからにヨンジェがひよってくれたので、そこで視界が開けましたね。それもあって3Rは再び走り出すことができて、左のオーバーハンドがバチンと当たって、ここからはもう(勢いに)乗り続けるしかないと思いました」

──大事なトーナメントの1発目で、戦い方を変えるのは勇気も必要だと思ったのですが、なぜ戦い方を変えようと思ったのですか。

「僕が直近で負けた試合がGladiatorのパン・ジェヒョク戦で、あの試合は1Rで自分が行ききれなくて微妙で、その後の2~3Rを少し流しちゃったというか。お互いフワフワっとした試合展開になって、自分が判定負けしたんですよ。あの試合が自分のなかではものすごく悔いが残っていて、もう二度と後悔はしたくないっていうか。MMAは試合時間が15分と決められているわけじゃないですか。お前の人生は15分で決まるよって言われているのに、それで行かないのは……悔いが残りますよね」

──余力を残した自分が許せなかったですか。

「はい。そこでちゃんと出し切れる人間でありたいと思いました」

──そのなかでも一か八かのギャンブルではなくて、しっかり勝つ確率を上げたうえで1Rから飛ばしたわけですよね。

「過去のヨンジェの試合を見ていると、1Rで決着をつけていることが多くて、3Rまでいくとドロドロになって、ギリギリで勝っているんですよ。今までヨンジェがやってきたヤツらよりも僕の方がクリンチできる覚悟があると思ったので、自分を信じて1Rから飛ばしていこうと思いました」

──1Rはテイクダウン・バックコントロールで優勢に試合を進めてインターバルを迎えたわけですが、どういう状況でしたか。

「もう腕がパンパンで。本当にウェイトトレーニングだったら、その日のアームカールをオールアウトしましたぐらいの張り方でした(苦笑)。だからガードを上げる上げないとかそういう問題じゃなくて、それもあって2Rにケージ内をランニングしちょうような場面が来たんです」

──見ている側からすると、このままだ逆転されるんじゃないかという不安もありました。その展開を変えたのが縦ヒジですが、あれは練習している技だったのですか。

「絶対これで倒すっていうノリで鍛錬していた技じゃなくて、ちょっと遊びの動きの中でヒジを出したりしていたんですよ。そういう引き出しを一応用意しておきましたよみたいな感じで、それがギリギリのところで出てくれました」

──いい意味で遊びの技がピンチを救ってくれた、と。

「僕もMMAを初めて3年経ちましたけど、これまでずっと守破離で言うと、守るべき型をずっと作るという感じでやってきたんですね。その中で破=型を破ることも見つけながら試合ができているのかなって思います。それが今回で言えば左の縦ヒジですね」

――2R後のインターバルはかなり息を吹き返した状態ですか。

「はい。完全にヨンジェが萎えているのがわかったんで『よしよし!』と。もう一回捕まえれば『もうお前は終わりだろ?』ていう感じで捉えていましたね。セコンドの上久保(周哉)さんはからももう一回捕まえろみたいな指示が出ていて、あと5分だから頑張れ、と」

──河名選手の表現でいくと「暗いトンネルから光を見つけた」状態になると、体力的にも動けるものですか。

「そうですね。僕はレスリング時代から、3分2Rの中で自分の形でポイントを取れたら『この試合は勝てる!』というところまで、相手が諦めるまで頑張るスタイルだったんですね。それはMMAでもスタイル的には続けていて。そういう意味では本当は組み続けて、2Rまで相手にヒザをつかせて、立たせない状況にできれば一番良かったんですけど、それができないなかでヒジで明らかに相手を萎えさせる状態を作ることができたので、あとは頑張ろうと。MMAとレスリング、競技は違いますけど、そこはブレずにできているかなと思います」

──試合が終わった瞬間、1回戦を突破した時のお気持ちはいかがでしたか。

「もう本当に早く時間が過ぎ去ってくれみたいな感じの3Rだったので、やっと開放されたという感じでしたね」

──怪我の影響もあったかとの思いますが、準決勝のシェ・ビン戦に向けてはどんな準備を続けてきましたか。

「シェ・ビンは完全にジャブとワンツーでアウト(ボクシング)する、僕が一番嫌なタイプの選手です。なのでそこをどう捕まえるか。捕まえたあとにどうコントロールするかというところをやってきました」

──シェ・ビンのファイトスタイルが明確な分、自分がやるべきことも明確になっていますか。

「そうですね。自分の得意な形は一緒ですが、そこのバリエーションを相手に合わせて…というイメージですね」

──そこは順調に完成してきていますか。

「得意な形というか、とにかくマン振りする系の戦い方はできるようになってきたかなと思います。これに関しては試合でしか出せないし、練習で思いっきり人をぶん殴ることはできないからこそ、ケージに入った時の覚悟が試されるんじゃないかなと思います」

──今年の2試合は接戦を競り勝つという展開が続いていますが、そこで勝ち切れていることで自分の成長を感じることはありますか。

「15分みっちりじゃないですけど、人生にビバレッジをかけるべき時間は明確に定められていて、そのために練習したり、というのはあります。ケージの中でこれまで生きてきた29年間をどれだけ出せるかという部分は、ちょっとずつカッコつけず、後悔しないようにはやれてるかなと思います」

──RTUを勝ち上がることで、本戦契約まであと2勝です。今はUFCで戦うことも意識はしていますか。

「そうですね。目の前のことを1つずつやりながら、今回は(中村)倫也もセコンドに来てくれるので、UFCを経験している選手とイメージを共有しながら、UFCで戦うっていうこともイメージしてやろうと思います。今回は会場もUFC APEXなので、そういう意味でもいいイメージを作って臨めるかなと思います。

──APEXでの試合を経験している中村選手がセコンドについてくれるのは心強いですね。

「はい。前回はRTUを経験している上久保さんがついてくれて、今回は倫也がついてくれて。現地に入って試合までのスケジュールをある程度把握してくれているセコンドがいると、自分も動きやすいというのはありますね」

──RTUは河名選手の格闘技人生のターニングポイントになるものだと思いますが、そこにかける想いも強くなっていますか。

「結局、最後はケージに入ったら全部剥がされちゃうと思うので。そこまでに何をやってきたかはケージの中で全て明らかになるので、試合まで残り1週間ぐらいしかないですけど、やり残しがないようにやりたいですね。この1週間でまだまだ強くなれると思っているので」

──なるほど。もっと言うなら、試合直前まで勝つ確率を上げることはできますからね。

「そう思います。レスリング時代はある程度のところまで競技水準を持って行っていたので、試合までに強くなることはないから弱くならないように調整しようと思ってやっていたんです。でもMMAにおいては1週間あれば強くなれると思っているので、そこは信じてやっていきたいなと思います」

──今年UFCでは平良達郎選手がランキング入りして、朝倉海選手の参戦も発表されました。昨年と比べるとUFCそのものの注目度が上がっていると思いますが。そこをどう捉えていますか。

「特に朝倉選手がUFCに参戦して、日本人のファンをUFCに連れてくるということは、もの凄く価値のあることだと思っているんで、自分は乗れるものには乗っかります。そのためには勝たなきゃいけないんで、自分のやるべきことをやって、その流れに乗っていければなと思います」

──ちなみに河名選手はパリ五輪のレスリングは見ていましたか。

「見てました。女子に関しては全員金メダルを獲る可能性があるぐらい強いと言われて注目されていたのですが、そこで男子がめちゃくちゃ金メダルを獲って、金を獲れなかった選手も銀メダルを獲っていたじゃないですか。その姿を見ていて、僕はそれが羨ましいと嫉妬できるほどレスリングに取り組んでなかったなと思いました(苦笑)」

──レスリング時代の河名選手はそこまで競技に打ち込めていなかったのですか。

「どうしても同じ環境と同じメンバーで、同じ練習をずっとやっていると、自分ではそう思っていなくても、マンネリ化みたいになっちゃうんです。逆にMMAは本当にやることが多すぎて、毎日この日はこの練習をやってみようとか、練習終わってこれができなかったから明日はこれをやろうとか、自分の中で課題を持って練習のサイクルを回せるようにはなってきた感じはあります」

──レスリングは競技の形がある程度は決まっているので、その枠を超えることが難しいですか。

「それもありますし、特にグレコローマンはフリースタイルと違って、上半身しか攻めちゃダメなんで、本当に技術の幅が制限されるんですよ。制限されているからこそ、その中でどう工夫できるかというところがあって、今思うともっとそこで突き詰められる部分はあったんじゃないかなと思います。(レスリングから)離れて分かったことですけど。もちろんMMAは技術の終わりが見えないので、それはそれで大変ではあるんですけどね」。

──でもだからこそまた気持ちを新たにMMAに取り組めていますか。

「そうですね。技術も完璧に達しているものが1つもなくて、その意味ではずっと斜め上に右肩上がりに上がっていくわけじゃないですが、落ちたり上がったり、落ちたり上がったりという波を繰り返している中で、技術習得があるのかなと思います」。

──試合まで一週間、最後の最後まで強くなって、ケージの中で15分間自分をさらけ出して勝利を掴んできてください。

「それがダサくなるかカッコよくなるかはその時の自分次第だと思いますが、そこを信じて戦って勝ってきたいと思います」

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MMA o UFC シャノン・ロス 北野一声 平良達郎

UFC305:第1試合・スチュワート・ニコル vs. ヘスス・アギラー

フライ級だったが、アギラーが1.5ポンドオーバー。

オーストラリア北東・ソロモン諸島出身のニコルはUFCデビュー戦。地元プロモーションのBeatdown Promotionsでキャリアを積み、前戦で日本の北野一声に1RKO勝ちしてUFCとの契約を勝ち取った。キャリア8戦全勝だが、まだメジャーレベルの相手との対戦経験はない。学生時代は格闘技と無縁で、サッカー・バスケ・ラグビーなどをしていたが、ヒョードル vs. チェ・ホンマンを見てMMAに興味を持ち、ロシアのプロモーション・ACBのブリスベン大会でMMAデビュー。29歳。

メキシコのアギラーは昨年2月のUFCデビュー戦で平良達郎と対戦したが、1R三角十字で一本負け。2戦目はUFC0勝1敗のシャノン・ロスからパンチでダウンを奪い、わずか17秒でキャリア初のKO勝ち。今年2月の前戦は、UFC0勝2敗のマテウスメンドンサに一進一退の展開となり、メディアのジャッジも真っ二つに割れる接戦でのスプリット判定勝ち。しかし最後に横三角の捕らえられて疑惑のタップに見える動きもあった。得意技はギロチン。28歳。

カーフを蹴るニコルだが、アギラーがパンチで飛び込む。距離を取るニコルを追いかけてスタンドバックへ。ニコルバックを取られたところからアームロック。投げた。亀になったアギラーからバックマウント。体を伸ばしてパウンドを入れる。アギラー向き直ってハーフ。ガードのアギラーにパンチで飛び込むが、アギラは足で阻むと立った。立ち際に得意のギロチン!首がかなりがっちり入っていて外せないニコル。落ちた!

アギラー、UFCで得意のギロチンでの初勝利。これでUFC3連勝。

ニコルは得意のバックマウントの体勢になるなど優勢に試合を進めていたが、ワンミスでMMA初黒星。ギロチンが得意技なのは事前に確認済みだと思うが、不用意に取られてしまった。

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【Shooto2024#07】国内3冠制覇へ、住村竜市朗が西條秀成と対戦。環太平洋王座決定Tに野瀬がエントリー

【写真】脱・塩漬けを果たした住村が国内3冠を目指して修斗のタイトルを狙う(C)MMAPLANET

9月22日(日)東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2024#07の第一弾カードが決定。現ウェルター級キング・オブ・パンクラシストの住村竜市朗×西條秀成、環太平洋バンタム級王座決定トーナメントを含む9試合が発表された。


2017年7月にDEEP(2022年5月に返上)、2023年12月にパンクラスでベルトを巻いている住村だが、2009年11月のプロデビューから4戦目までは修斗で試合を続けていた。今回は2010年12月の新人王決定トーナメント決勝戦=井上雄策戦以来、約13年9カ月ぶりの修斗凱旋となる。もちろん住村の目指すものはDEEP・パンクラスに続く修斗での王座戴冠で、今回は国内MMA3冠制覇に向けた第一歩となる試合だ。

対戦相手の西條はTHE BLACKBELT JAPAN(旧・Theパラエストラ沖縄那覇)所属で、プロ戦績は4戦4勝と無敗。昨年のウェルター級新人王で、現在は世界ランキング5位に名を連ねている。戦績こそ浅い西條だが今年5月には中国のMMA団体=YFU武林笼中对のジャン・シイジェンからTKO勝利を収め、6月には「UFC on ESPN58」に出場した平良達郎に帯同してエクストリーム・クートゥアでトレーニングするなど、幅広く経験を積んでいる。

直近2試合はいずれもパウンドによるTKO勝利で塩漬け上等から脱却した住村が、力強いテイクダウン&トップキープを武器とする西條に対して、どんな戦略を選んで戦うかが見どころの一戦だ。

また藤井伸樹が返上した環太平洋バンタム級の新王者を決定する4選手参加のトーナメント開催が決定した。出場選手のなかで最も注目されるのは野瀬翔平だろう。

今年2月のRIZIN佐賀大会では瀧澤謙太をグラウンドで圧倒してヒジ打ちによるTKO勝利を収め、3年連続出場となったRoad to UFCでは1回戦でユ・スヨンと対戦。一時はDEEP・Black Combat・NAIZA FCのアジア・バンタム級三冠王だったスヨンに敗れたものの、組み技・スクラングルで真っ向勝負し、ハイレベルな攻防を繰り広げている。

その野瀬はMMA戦績3勝1敗、2連続KO勝利中の人見礼王と対戦。逆ブロックでは4連勝中の川北晏生と直近では修斗&RIZINでキャリアを積むダイキ・ライトイヤーが対戦する。

■ Shooto2024#07対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
住村竜市朗(日本)
西條秀成(日本)

<ライト級/5分3R>
マックス・ザ・ボディ(カメルーン)
田村ヒビキ(日本)

<環太平洋バンタム級王座決定トーナメント/5分3R>
川北晏生(日本)
ダイキ・ライトイヤー(日本)

<環太平洋バンタム級王座決定トーナメント/5分3R>
野瀬翔平(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
平川智也(日本)
新井拓巳(日本)

<インフィニティリーグ2024フライ級/5分2R>
大竹陽(日本)
ヤックル真吾(日本)

<インフィニティリーグ2024女子アトム級/5分2R>
平田彩音(日本)
檜山美樹子(日本)

<インフィニティリーグ2024女子アトム級/5分2R>
パク・ソヨン(韓国)
NOEL(日本)

<2024年度新人王決定トーナメント一回戦ライト級/5分2R>
手島 響(日本)
直島弘昌(日本)

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【UFC ESPN61】パーソンズ消滅、木下憂朔が話していたこと「自分を傍から見ると、めっちゃアホそう」

【写真】インタビューの受け答えだけでも、木下の変化が分かる(C)MMAPLANET

10日(土・現地時間)、ネバダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC on ESPN61「Tybura vs Spivac 2」が開催され、木下憂朔がジョニー・パーソンズと対戦予定だった。しかしパーソンズの負傷で試合はキャンセルに。ここでは試合中止の前に行われた木下のインタビューをお届けしたい。
Text by Shojiro Kameike

木下は2022年にDWCSからUFCと契約するも、翌年はデビュー戦から2連続KO負けを喫した。今回、1年振りの復帰戦に挑む木下に対し、MMAPLANETでは8月1日(日本時間)にインタビューを行っている。その数日後にマネージメントサイドから試合中止の報が届けられた。取材では、木下は2連敗を経て大きなマインドチェンジを語っていた。


うまく言えないですけど、ピュアレスリングが重要やと思います

――日本は現在、8月1日の朝7時です。木下選手がいるフロリダは何時ですか。

「朝早くから、ありがとうございます。こちらは7月31日の夕方6時ですね。もう練習を終えて帰宅したところです」

――朝早くから練習をスタートして、夕方には終わる。フロリダのキルクリフFCに行ってから、日本にいる頃とは生活習慣も大きく変わったのではないでしょうか。

「メチャクチャ変わりましたね。練習のスケジュールが全く違いますから。こっちは朝メインで動くんですよ。夜は早よ寝て、翌朝の練習に備えるという感じです」

――朝の練習は何時からスタートするのですか。

「日によって違いますけど、僕は今、朝6時30分ぐらいには起きるようにしていますね。朝はゆっくりしてから、練習が始まる1時間前にはジムへ行ってアップしています」

――1日を有意義に過ごすためにも、朝起きてから一度ゆっくりする時間を設けるのは大切ですよね。

「はい。最近は早起きしてから、少し外を散歩するのが好きで。朝の空気感が好きというか、『これから1日の生活が始まる』っていう感じがして面白いんです」

――早起きして、ゆっくりしてから練習に向かうと、トレーニング内容の成果など実感はありますか。

「練習の効果という面は分からないけど、まず『今日はこうしよう、ああしよう』『先週はコレをやったから今週は……』というふうに、まず1日の練習内容を整理してから臨む。そういう良いサイクルが出来ているとは思います」

――なるほど。試合は昨年8月のビリー・ゴフ戦以来1年振りです。その前に今年2月には、ダニー・バーロウ戦が中止となっていました。

「あの試合って、契約書にはサインしていなかったんですよ」

――えっ!? どういうことですか。

「まずオファーが来た時にコーチと話をして。『次の試合で負けると内容次第ではリリースもあり得るし、そんなに焦らんと、つくり直してから試合したほうが良いんじゃないか』と言われたんです。だから中止というか、そもそも契約書にはサインしていなかったです」

――ということは、メディアの飛ばし情報だったわけですね。

「そうなんです。米国では結構ありますね(苦笑)」

――それだけUFCで2連敗、しかも2連続KO負けという結果を受けて、次の試合については慎重に考えざるをえなかったですか。

「結果に関して言うと、そうですね。前回のゴフ戦は、内容は悪くなかったと思うんですよ。でもやっぱり結果が求められる世界ですから。試合が終わった直後は『あぁ~』と考えました。この結果やとリリースもあり得るとは思っていて」

――内容が悪くなかったと感じるのは、どのような点でしょうか。

「前半は良く進めることができていた。それはメチャクチャ手応えがありました。相手のテイクダウンを防いで、打撃も上下に散らすことができていたので。自分も良いパンチを当てることはできていましたし、引き続きそういう練習はしていく。特にレスリングについては、より意識するようになりました」

――確かにゴフ戦はKO負けしたものの、テイクダウンを許さなかったことは大きいと思います。

「その点で初戦から2戦目まで半年あって、MMAとしてトータルで上がってきている実感はあります。ちゃんと練習してきたことが出ている、身になっているんやと感じました」

――やはり渡米してみると、現地で練習するレスリングは何か違いましたか。

「技術が違うというより、レスリングをこなしている量が圧倒的に違うんですよ。立っている時と組んでいる時のスタミナって違うじゃないですか。自分の場合はレスリングをやることで、組んだ時のスタミナも変わってきたと思います。それだけレスリングをやることで、スタンドの安心感も違いますし」

――それはピュアレスリングと言いますか、いわゆる競技としてのレスリングを指すのですか。あるいはMMAとしてのレスリングやグラップリングなのでしょうか。

「それでいうと、ピュアレスリングですね。表現するのが難しいんですけど……、MMAとしてのレスリングの場合『テイクダウンを切る』と表現される。その『テイクダウンを切る』ための技術が、ピュアレスリングになるともっと細かくなるわけですよね。それだけピュアレスリングのテイクダウンを切る方法を知っているかどうかで、MMAでも大きく変わってくる。うまく言えないですけど、それだけピュアレスリングが重要やと思います」

――柔術家でグラップラーの世羅智茂選手はレスリングの練習について「ルールを理解せず単純に技術を学ぼうとすると、しっかり来ない。柔術の感覚のままレスリングを学ぶと難しい。レスリングの技術は、レスリングのルールの中で最適化されているものだから」と言っていました。

「あぁ、そうですよね。分かります。やっぱりレスリングのルールに沿った技術を学ばないと――それは柔術やグラップリングだけでなく、MMAも同じやと思いますよ。MMAの場合は、そのうえで立ち上がるためのレスリングをしっかりやっているというイメージですね。日本のMMAジムやと、そのレベルでレスリングを学べる環境は少ないと思います」

――それこそ自衛隊体育学校や大学のレスリング部のような場所に行かないと……。

「はい、そうやと思います」

――その環境が、米国のMMAジムには存在しているわけですね。一方、試合をしていない1年間に焦りはなかったですか。2連敗していますし、「とにかく早く試合をしたい」と。

「試合をしたい気持ちはメッチャ強かったし、去年の12月ぐらいには試合したいという話はしていました。でも、なかなかうまく決まらなくて……。だから『もう分からんことを考えていても、しゃーないな』と思うようになったんです。『いつ決まるかも分からんことを考えるよりは、今できることに集中しよう』と。それから試合間隔については、あんまり気にしなくなりました」

――朝の早起きや散歩もそうですし、過去2戦と比べて大きく変化してきているのですね。

「自分自身のメンタルと向き合って、いろいろ考えたんですよ。たとえば前回の試合は良いように進めていたのに、ちょっとした焦りからカウンターでボディを食らって、KO負けしました。そういう焦りとかはなくしていきたい。今までは何するにしても、『せっかち』やったんですよ(笑)。そういう部分を失くしていきたいと思って」

まず自分のことだけ考えて、面白い試合をします

――UFCと契約して、まず何よりも「勝たなアカン」「結果を残さなアカン」という気持ちは強かったのでしょうか。

「……はい。平良達郎君がUFCで連勝しているのを見て、『俺もやらなアカン』という気持ちが強かったです。『やらなアカン』とは今も思っているけど、他の選手のことは気にしなくなったというか。自分と平良君は全然違うファイターやし」

――そうですね。木下選手は平良選手、鶴屋怜選手、中村倫也選手、そして朝倉海選手とも違うファイターです。

「そう考えたら、自分だけ色が全く違う気がしますね(笑)」

――アハハハ! ジョニー・パーソンズと戦う次の試合は、そのマインドが重要になると思います。パーソンズのように自分のペースを貫き、序盤は押されていても最後は勝っているというタイプの選手を相手にするには、特に自分が冷静でいる必要がある。

「そうですよね。パーソンズは割と頑張って勝つタイプやなというイメージです。自分のペースでずっとやっていくタイプで。チームメイト(昨年7月、ダニー・ロバーツにKO勝ち)と対戦している試合も現場で見ていましたけど、ダニーも序盤は悪くなかった。でも自分のパンチが当たっていると思って攻めたところに、カウンターを食らってしまいましたよね。

自分にとって悪くない展開なのに、ジリジリと削られて負けてしまったというか。自分の場合でも、その点は気をつけていきたいですね。試合中は『当たっているな』という手応えはある。だからといって焦ることがないように。

ダニーとの試合を見ながら、その時も『自分やったら、こう戦うかなぁ』と勝手に対策を考えていました。もちろん当時と今の自分は違うし、今までの自分にプラスアルファで乗っかる部分があるというか」

――今までの自分、というのは?

「ずっと『勝ちに徹するような選手にはなりたくない』と思っています。それなら自分の試合は見てもらわなくて良いし、自分も試合しなくても良いです。自分の求める選手像と結果を、どちらも求めていきたい。変わったけど、そんなに変わっていないとは思います。何て言うんやろう……」

――たとえば1R開始早々に倒すのと、フルラウンド削り続けた末にKOしても同じKO勝ちですよね。どちらが良いか悪いか、ということではない。たとえ最終回のKOでもホロウェイ×ゲイジーのような、とんでもない試合もあるわけで。

「僕も記念大会の満員になった会場で、ああいう試合をやってみたいです。でも『面白いからやってみたい』とは思わなくなったんです。分かります?」

――あぁ、なるほど。UFC2戦目までのマインドであれば、インタビューでも『ああいう試合、メッチャ面白いんで自分もやります!』とか答えていたかもしれないですね。

「アハハハ、そうかもしれないですね。ここ数カ月で考えたのは――インタビューとかでそう答えている自分を傍から見ると、めっちゃアホそうやなと思って(苦笑)」

――ダハハハ!!

「だから喋り方とかも気をつけようとは思いました」

――喋り方を変えようとすると、考え方も変わるというか、考える時間が増えるでしょう。

「そうなんです。こういう言い方をしたら、変な伝わり方するかなとか考えたりするようになりました」

――マインドも大きく変わり、これからが本領発揮ということですか。

「ここで大きく変わっていないと、これから先が厳しいと思うんです。自分の変わった姿を皆さんに見てほしいです。
今までは『やったるでぇ』という気持ちが強かったので、今回は自分の好きなように――今までも好きなようにやっていたんですけど、まず自分のことだけ考えて、面白い試合をします。よろしくお願いします!」

しゃーないんで、また次に向けてつくり直します!

その後、パーソンズの負傷に試合が中止となった木下から、マネージメントサイドを通じて次のコメントが届いた。そこには、しっかりとマインドを変えることができている木下の現状が表れていた。

「試合がなくなったのはしゃーないんで、また次に向けてつくり直します!」

■視聴方法(予定)
8月11日(日・日本時間)
午前5時00分~UFC FIGHT PASS
午前4時45分~U-NEXT

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MMA o PRIDE RIZIN UFC YouTube チャンネル 平本蓮 平良達郎 朝倉未来 武尊 海外

【BreakingDown】初のベアナックルファイトが決定!?


MMAからの引退を表明した朝倉未来がCEOを務めるBreakingDown。9月1日に開催されるBreakingDown 13のオーディション動画が朝倉のYouTubeチャンネルで公開されました。

その中で参加者の1人が「素手ルールで試合しに来ました。素手で本物の殴り合い、ど突き合い、出来たらいいなと思っています。応募する時点でそれが出来ないのであれば落としてくれて構わないと書いたから、運営もここに呼んでいる時点で出来るんでしょ、素手で。もしくはやって欲しいんでしょ」と発言。別の参加がそれに呼応すると朝倉CEOは「1回試験的にやってみますか、ベアナックル」と了承しました。

BreakingDown初のベアナックルファイト。いやいやいや、悪い事は言わないから止めておきなさいと。先日の超RIZIN.3で行われたベアナックルファイトルールでパンチ一発で鼻が折れた場面は戦慄が走りましたもん。鼻が折れたであろう「パキッ」という渇いた音は妙に耳に残っています。

プロ同士の対戦でもあれだけの衝撃。もし、アマチュア同士が素手で殴り合って大きな事故が起きても不思議ではありません。もし事故ったら格闘技業界全体がダメージを負うのは確実。それでBreakingDownが吹き飛ぶのは勝手ですが、既存の格闘技イベントが巻き添いを食らうのだけはまっぴらごめんです。

その過激さオラオラしたやりとりが生命線のBreakingDown。ベアナックルファイトに留まらず、再生回数を稼ぐため、PPVを売り上げるために、より過激な方向に傾倒し過ぎないかはどうしても不安が残ります。海外で注目を集めつつある2対1の格闘技戦など導入しないか本気で心配ですもん。

那須川天心×武尊を経て、朝倉未来×平本蓮ではさいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンを満員にするほどRIZINの人気が高まり、平良達郎のUFC王座挑戦が目前に迫っている現在。盛り上がりはピークと言っても過言ではありません。それだからこそ、守るべきものは守ってもらえたらなと。

PRIDEの人気が絶頂だった時でさえ、黒い噂が蔓延してから消滅に至るまではあっと言う間でしたもん。あの喪失感と言ったら。。。もう味わいたくはありません。せっかくここまで人気が盛り返した今だからこそ、一歩立ち止まって考える勇気を。
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45 MMA MMAPLANET o Special UFC アレッシャンドリ・パントージャ ドミニク・クルーズ マネル・ケイプ ムハマド・モカエフ 大沢ケンジ 平良達郎 柏木信吾 水垣偉弥

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:6月 平良達郎×ぺレス「フィニッシュより、あの戦い方に驚き」

【写真】おたつロックからのフィニッシュが話題になったが、そこに至るまでの戦いぶりを再評価したい(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年6月の一番──6月15日に行われたUFC on ESPN58の平良達郎×アレックス・ぺレスについて語ろう。


――平良選手がフライ級5位のぺレスに2RTKO勝利し、日本人前人未到のオクタゴン6連勝を果たし、フライ級で5位にランクされることとなりました。当然、水垣さんにもこの試合をセレクトしてもらったのですが、率直にどんな感想を持ちましたか。

「フィニッシュもそうなんですけど、僕は一発でテイクダウンを決めたことに驚きましたね。ああいう風にパっと(テイクダウン)出来るとは思っていなかったので。ムハマド・モカエフもぺレスをテイクダウンするのに手こずっていたので、ああいう形でテイクダウンしたことに驚きました。またあの時の平良選手のテイクダウンはどちらかというと(テイクダウンを)切られるパターンなんですよ。タックルに入って、出ている頭と逆側の脇を差されるっていう。あの形は仮にケージまで押し込めたとしても、脇を差し上げられて四つ組みになりやすいんです。でも平良選手はそうなりそうなところで、上手くぺレスの身体を引き出して足をかけてテイクダウンする。あれは見ていて僕も勉強になりました」

――私も試合前は平良選手が勝つにしても、一発でテイクダウンを取るという展開は想定ませんでした。

「僕も平良選手がどこで勝負するのかなと思っていて、もっとスタンドでカーフを蹴って削ったり、四つ組で上手くテイクダウンしたり、そういう試合をイメージしていたんです。実際の試合では自分からタックルに入ってテイクダウンしましたけど、あれは考えていなかったですね。レスリングレスリングしていない、足をかけてのテイクダウンというか、ダゲスタン系の選手がやるような足をかける系のテイクダウンですよね。アメリカの純レスリングにはない技術だと思うし、それを上手く使って戦っているなと思いました。それでいて彼には柔術的なテクニックもあって、そこをミックスさせたものが平良選手のスタイルだし、フィニッシュは機転を利かせた技というか、ああいう技を使うのは彼の頭の良さであり、すごく頭が柔らかいなと思いました」

――むしろ平良選手にとってぺレスは苦戦を強いられる、攻略が難しい相手だと思っていました。

「フィニッシュもそうですけど、ぺレス相手にあの戦い方をして勝ったことが驚きました。僕は『どうやってぺレスを攻略するんだろう?』と見ていて、例えば組みの部分でも下になってスクランブルを仕掛ける、もしくはスイープして上を取るのかなと思っていたんですよ。ただぺレスは首系サブミッションも上手いので怖いなとか。だから平良選手がどう戦うのかすごく興味深くて。最後のフィニッシュも、試合後のインタビューで『レスラー対策のスペシャルムーブだ』ということを言っていましたが、ああやって自分がスタンドでバックを取るところまでイメージしていたんじゃないのかなと思います。レスラーに尻餅をつかせれば背中を見せて立ってくるから、そこに飛び乗ってスタンドのバックから攻める、みたいな」

――あとはぺレス相手に一切気持ちがひかない、自信たっぷりに堂々と戦っている姿が頼もしく見えました。

「僕が引退して思ったのが、相手がランキングのトップ5以内の選手になってくると、博打を打たないと勝てないんじゃないのかなというマインドになっていたんです。普段通りのスタイルを貫くのが難しいというか。チャンピオンクラスの選手と戦うと、どこかで自分が劣っているという考え方になって、自分自身の戦い方に自信を持てないから、一発先に当ててやろうとかどうやって一発逆転しようみたいな。ドミニク・クルーズとやった時なんかはそういうメンタルだったんです。でも平良選手を見ていると、そういうメンタルになっていないところがすごい。相手がトップ5でもなんとも思わずに、いつもの自分を出せば勝てると思ってやっている。それが僕からするとすごいなと思いますね」

――まさに強い人間のメンタリティですね。

「僕もランキング5位~10位の相手だったら、そういうメンタリティで戦えたんですよ。でもチャンピオン付近・トップ5になってくると、そうは思えなかったんです。でも平良選手はそうじゃないから、今後の試合にも期待が膨らみますよね」

――戦い方という面で先ほどは「平良選手のスタイルがある」という言葉もありましたが、彼独自のスタイルがあったうえでMMA的にもレベルが高いという印象ですか。

「これもまた僕との比較になっちゃうんですけど、僕はレスラーに対してレスリングを頑張って何とかしようと思って、それでレスリングを必死に練習して、自分のいい部分を出すこともできました。ただそれがトップレスラー相手になると、どうしてもレスリングが弱点になっていて、そこで勝てない苦手意識がありました。でも平良選手はレスラー相手にレスリングだけじゃなく、レスリング以外の色んな技術を駆使して対抗していると思うんですね」

――ランキング5位のぺレス相手に今回の試合内容で勝ったわけなので、僕はこのまま平良選手には自分のスタイルをぶつける形でトップ5の選手と戦ってほしいんですよね。

「チャンピオンのアレッシャンドリ・パントージャが柔術家なので、柔術家相手にどう戦うのかが見たいですよね。今回のぺレスの試合を見ると、柔術家とやるとどうなるんだろう?というところがあるので。僕はレスラーが苦手で、柔術家は得意なところがあったので」

――今後、平良選手よりも組み技・寝技が強い相手と戦うことになったら、平良選手はどんな戦い方をするんだろうという興味も沸きます。

「想像が膨らみますよね。7月27日(現地時間)にマネル・ケイプとモカエフが試合をしましたけど、あの試合を比べると平良選手の方が期待感を持てる試合だったと思うんですよ。しかもモカエフがUFC離脱という話(※取材日は28日)も出ているので、それだったらなおさら(タイトルマッチを)期待しちゃいますよね。同じ日本人だからということを抜きにしても、どちらがチャンピオンとやった時に期待を持てるかと言ったら、僕は平良選手の方だと思いますね」

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45 MMA o ONE PFL RIZIN UFC UFC304 ダナ・ホワイト マネル・ケイプ 平良達郎 朝倉海

【UFC】7連勝ムハンマド・モカエフ UFCがリリース!

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超RIZIN.3の真裏で開催されていたらUFC304。アンダーカードながら注目を集めていたカードがムハンマド・モカエフ×マネル・ケイプでしょう。平良達郎がランキング5位につけるフライ級戦線を占う意味で重要な一戦。しかも試合前にはド派手な乱闘劇を演じて、SPに囲まれて入場するという異常な状況の中で試合が行われました。

結果は一進一退のシーソーゲーム。どっちに転んでも不思議ではない大接戦の末、モカエフが勝利しました。これでタイトル挑戦も視界に入ったか通り思ったのも束の間、試合後にモカエフがUFCをリリースされた事が発表されました。

記者会見でダナ・ホワイトは「彼はもう契約していない。PFLは素晴らしい無敗の男を手に入れることになると思う。彼に幸運を祈る」と発言。言葉の端々にトゲを感じるのは私だけではないはずです。PFLにくれてやる的な雰囲気が漂うワードチョイスが何とも切ない。

UFCで7連勝中の将来有望な23歳。MMAではいまだに無敗。レスリングをベースに手堅い試合運びは気になるものの、過去にパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを取って極めがないわけではないんですけどね。それでもリリースされるんだからUFCのハードルは高いというか何というか。。。

ケイプとの激しい舌戦や試合中にショーツを掴んでレフェリーに激怒されていたシーンを思い返すと、実力以外のところで何か問題があったのかとさえ勘繰ってしまいます。ダナの発言通り、PFLと契約するのか。もちろんフリーエージェントという事であれば、ONEにも RIZINにもチャンスはあるわけですが。。。

そしてモカエフの抜けたUFCフライ級も風雲級。これで平良達郎がパントーハの持つ王座挑戦というストーリーは十分にあり得るし、噂されている朝倉海のUFC初戦がいきなりタイトルショットという可能性もあり得るか。いずれにしてもUFCフライ級とモカエフの動きから目が離せません。
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【UFC】師弟対談─03─平良達郎&松根良太が語る朝倉海 。「戦うんだったらベルトを賭けて」(平良)

【写真】個人に夢を追う立場から、日本のリーダーになりつつある平良達郎(C)THE BLACBELT JAPAN

UFC on ESPN58でアレックス・ペレスを倒し、フライ級で5位にランクされることとなった平良達郎と師・松根良太対談、最終回。
Text by Manabu Takashima

ファイターとして世界の頂点に立ちたいと思っていた平良は、同じ想いで戦う日本人ファイターをもっと応援してほしく、UFCの国内での知名度をもっと上げたいと思うようになってきた。UFCで戦うことで、世界を知ったといっても過言でない師弟は、その壁の高さを誰よりも知っている。そんなUFCの日本人ロースターに朝倉海というスーパースターが加わる。

平良、そして松根は朝倉の参戦をどのように捉えているのか。またUFCに愛弟子を送り込んだ松根に「単に打・投・極を総合的に闘えばいいというものでもない。自然の流れにのった技術がとぎれなく連係し、なめらかに回転すること」という修斗の理念をどのように考えているのか──を尋ねた。

<平良達郎&松根良太対談Part.02はコチラから>


「勝てる時に勝つ。とにかく、勝つ。負けない、勝つ。そこを大前提に達郎を育ててきたつもりです」(松根)

──モカエフがケイプに勝ったとして24歳同士、16勝0敗の平良選手と、12連勝のモカエフが事実上の次期挑戦者決定戦として戦えば最高のストーリーになりますね。モカエフになるのか、他になるのか。27日のモカエフ×ケイプも見逃せないです。いずれにせよ、次の試合はいつ頃に戦いたいと思っていますか。

平良 誰と戦おうが、希望としては10月以降に戦いたいと思っています。10月以降で、年内にもう1試合したい。それまで武器を増やして、もっと強くなってオクタゴンに入ります。

──この間に増やしたい武器とは?

平良 打撃が強くなりたいから打撃の練習をするというのは、MMAファイターとして……僕はそういう風に練習はできないと思っています。

──と、言いますと?

平良 アレックス・ペレスと初回に打撃戦で競り合いになりました。5R制になると、あの競った展開が続くのは厳しくなると思います。それにフライ級の上位陣は、柔術が強い選手が多いです。そのなかでは頭一つ抜けた極め力と、相手を削るパウンドということを意識してやって来て、手応えを感じています。サブミッションももっと強化しないといけないですし、打撃ももっと伸ばしたい。その結果として打撃、テイクダウン、極めを上手く融合させた自分のスタイルを創りたいと思っています。

──ストロングベースを持ち、それ以外の部分を補足している選手と戦う時に、日本人選手は総合力で戦うということを口にします。平良選手が育った修斗の選手は、本当にそういう風に言います。ただしUFCで、そういうファイターに総合力で勝つということは、際の攻防や回転させて勝つという次元ではなくて、打撃もレスリングも柔術も全て高いレベルで戦えないといけないと思っています。技術力が足らないと、回転などできない。全てが強ければ、回転させなくても勝てる。その辺り、修斗ジャンキーこと松根さんはどのように考えていますか。

松根 達郎に関してはレスリングが強い選手と戦っても、柔術で上が取れると思っています。僕の指導方針とは、そういうことなんです。レスリングが強い人、柔道が強い人にはレスリングや柔道では負けるけど、柔術を駆使したトップの取り方があって、上が取れればそれで勝てる。そういう風に沖縄の選手には指導をしています。

同様に打撃からテイクダウンのフェイントでつかって、打撃を使いうという立ち技も同じです。レスリングに対しては、倒されても柔術を駆使して上になれる。総合力という一つの言葉では収まらない。強い人は全てができます。

達郎は成績が表しているように、全てができるようになっています。当然、現時点でも完成はしていません。まだまだ伸びるので、本人もそういうところを伸ばしたいと思っているはずです。

──松根さんだからこそ、伺いたいです。回転をさせたいのか、勝ちたいのかと。

松根 そうですね、相手の穴をついて勝てるところで戦えば、回転させなくても勝てます。回転させずとも勝つときには打撃でKOしますし、テイクダウンができればバックチョークで仕留めます。勝てる時に勝つ。とにかく、勝つ。負けない、勝つ。そこを大前提に達郎を育ててきたつもりです。

──とにかく勝つ。2003年8月の松根良太×大石真丈戦を思い出します。

松根 僕が指導する上でやっぱり鶴屋(浩)さん、鶴屋イズムが根底にあります。負けない。判定でも、とにかく勝つ。そこがベースにあって、成長するためにも取れる人は一本を取る、倒せる人はKOする。勝てる時に勝つためにKOする。勝てる時に勝つために、一本を取る。それも負けない鶴屋イズムです。

「世界と勝負している日本人選手のことをもっと知って欲しい」(平良)

──そんななか朝倉海選手が、UFCで戦うことを公言しました。朝倉選手は大きなパイで、UFCにファンを連れてきてくれる選手です。朝倉選手のことは、これまで意識していましたか。

平良 交わることはない人だと思っていました。それが……フライ級で戦うのであれば、交わることがあるかもしれないと思うようになりましたね。何よりも朝倉選手は影響力が大きいので、UFCの知名度を上げてくれると思います。

と同時にフライ級で戦っていくならライバルになりますけど、僕は僕でベルトを目指して戦っていこうと思います。朝倉選手と戦うんだったら、ベルトを賭けてやりたいです。

松根 日本人同士の世界戦というのはボクシングでもありますが、言っても世界の広さは圧倒的なので。中村倫也選手もそうですし、木下憂朔選手も風間敏臣選手もそう。もちろん鶴屋怜、平良達郎、そして朝倉海選手も加わりますが、純粋に世界に挑む彼らが、どう海外の選手に勝つのかを応援してほしいですね。そういった意味では朝倉選手は仲間というわけではないですが、同じ志を持った同志です。

「戦えば、どっちが強いんだ」という風になりやすいですが、やっぱり世界は圧倒的ですよ。もう、見てきたじゃないですか。UFCは強い選手が集まっていて、凄く良い選手でも負けてリリースされてしまう。ここ数年、達郎の後押しをするために海外に出ていくようになって、圧倒的に強い人が多すぎます。日本には島国の良さがありますが、選手もファンも世界をもっと見て、そこで戦う選手を応援して欲しいです。

平良 僕もUFCと契約した頃は、ただひたすらUFCでチャンピオンになりたいということだけを想っていました。それが今ではUFCをもっと日本の人達に知って欲しいという気持ちが、凄く強くなっています。多くの国ではMMA=UFCと思われている世界の最高峰プロモーションと、そこで世界と勝負している日本人選手のことをもっと知って欲しいです。

そういう面で僕はまだまだで……もっともっと影響力を増して、試合を見てくれる人を増やしたい。UFCに朝倉選手が来てくれたら、RIZINだけを見てきたファンの人もUFCに興味を持ってくれるだろうし、朝倉選手がUFCに来ることでUFCが日本でも盛り上がる。それが嬉しいです。

松根 朝倉選手がUFCで戦うことで、達郎が言ったようにRIZINしか見ていない日本のファンの人達がUFCを見るようになる。そんな良いことはない。そして、皆さんに本物を見て欲しいなと思います。本当にそこを日本のMMAファンにも見て欲しいですね。世界には本当に強いファイターがいて、そこに日本人選手達が挑戦しているところを純粋に見て、楽しんで、応援してほしいです。

──そんな世界と戦う日本勢を、平良選手がこれからもリードする存在になることを願っています。

平良 ありがとうございます。頑張りますっ!! 自分が好きでやっているMMAという競技で試合の度に、もっといえば毎日の練習の度に強くなるという気持ちで過ごしています。相手が誰でも準備をしっかりとして挑むので、次の試合も期待して見て欲しいです。

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【UFC 】平良達郎&松根良太、師弟対談─02─「次が世界戦でなければ、モカエフ×ケイプの勝者と」(平良)

【写真】平良がUFC世界王者になるために、頑強が足場が整ってきている(C)THE BLACBELT JAPAN

UFC on ESPN58でアレックス・ペレスを倒し、フライ級で5位にランクされることとなった平良達郎と師・松根良太対談、第2弾。
Text by Manabu Takashima

UFC世界フライ級王座を見据え、武器を増やしながらも軸を崩さない平良の成長の裏には、強い信頼感で結ばれた人間関係とプロアスリートとして彼を支えるマネージメントの存在があった。

王座挑戦が現実的になってきた平良が描く、青写真はファンが見たくなるストーリーだった。

<平良達郎&松根良太対談Part.01はコチラから>


「ボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえた」(松根)

──課題を克服しつつ長所が伸びる。この稀な例を最高に引き出しているのが、平良選手の環境かと感じています。コロラドでの出稽古と拠点である沖縄での練習。そこがしっかりと調和できているようで。

平良 拠点は沖縄にある。そこは絶対です。そのうえでエベレーションファイトチームのコーチも「セカンド・ホームとして使ってくれれば良いから」と言ってくれています。

──練習をするならこっちに来て、チームの一員になれということではないと。

平良 そういうガツガツしたところはないです(笑)。だからってよそ者扱いすることなく、本当に親切で。それでも今回は試合前に行くのは初めてだったで、不安はありました。でもコーチ達もアレックス・ペレスの映像を視て、アドバイスをくれました。それはチームメイトも同じで。沖縄でやってきたことを信じ、最後にコロラドで練習をして良いイメージを持った状態でオクタゴンに上がることができました。

──その最後の調整に帯同していたのも松根さんではなくて、岡田遼選手だった。そこが機能するのも、THE BLACKBELT JAPAN平良チームの良さかと思います。

松根 試合が2度延期されて、ペレス戦が決まったのはジョシュア・ヴァン戦のために渡米する前日でした。あのタイミングで米国に行くと40日間ほど向うにステイしないといけない状態で。相手もペレスになったので、あのタイミングで渡米するのはよそうということになりました。

そこから2週間半、沖縄でペレスと戦うための準備をして、最後にデンバーで高地トレをしつつ時差ボケを解消するというプロセスがしっかりとハマりました。2週間半、平良とペレス戦について話して、対策を施した。そこを岡田に託して、米国で創ってもらえましたね。本当に岡田のサポートには感謝しています。岡田だからこそ、できたことだと思っています。

──3人の間に絶対の信頼関係があるからこそ、この選択ができたと思います。

松根 とても良いチームができています。その上で今年からセカンドキャリアというボクシングを主体としているマネージメント(井上尚弥、武居由樹、平岡アンディらプロボクサーをマネージメントしている)と一緒にやって行くことが本当に大きいです。

2023年まで沖縄の企業様の協力を頂いていましたが、去年の夏ごろからセカンドキャリアから声を掛けてもらって。色々と話をするなかで2024年から一緒にやって行くことが決まりました。「平良達郎をUFCチャンピオンにするためなら、何でもサポートをする」と言って頂けています。

今回のデンバーでの最終調整に関しても岡田遼、そして食事面のサポートをしてもらうために達郎のお母さんにも同行してもらったんですが、渡航及び滞在に必要な費用を全てセカンドキャリアが用意してくれました。「何不自由することなく平良達郎が勝てるベストの状況を整えて欲しい」ということで、最終合宿が実現できました。セカンドキャリアさんと一緒にやって行けていることは、本当に大きいです。

平良達郎の練習、睡眠、食事だけを考えることに集中して欲しいと、SNSやYouTube、テレビなど露出する必要もない。とにかく試合前は練習と体調管理に集中できています。

──プロとは?という部分で強調される露出と話題創り、ここを考える必要がないということですね。

松根 ハイ。オフの時に、自分でやりたいことがあればやってください──というスタンスなんです。これ以上ない、マネージメント会社とチームが組めたと思います。同時に長い歴史を誇るボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえたのかと。その最初の一例を平良達郎で創ることができました。後に続く選手たちに良い背中を見せることができています。

先ほど仰っていただいた打撃、テイクダウン、寝技のつなぎができていることに踏まえて、プライベートの部分もUFCチャンピオンになる環境が整ってきていると実感しています。

──松根さんの言葉も本当に力がこもっていますね。

松根 MMAで頑張る。達郎は今、MMA以外に興味がない人間になっていますね。

平良 僕はだらしないんで、SNSとかやると失言しそうで怖くて。

──炎上ビジネスとは真逆の人間性。ホッとします。UFCでも沖縄で煽りVが撮られるまでの位置にきた。それでいて、修斗で2回戦を戦っていた時のような純朴さが残っている。

平良 その辺りは変わらないです(笑)。というよりも、変われないです。

「達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ」(松根)

──一方で、平良選手のMMAは進化し続けている。前回の試合で話題になったオタツロックですが、着目するようになったのは、どのようなことからだったのでしょうか。

平良 和田選手が使っていることでオタツロックという技があるのを知って、修斗の頃からチョコチョコ使っていました。今ではオタツロックを意識しているというよりも、流れのなかでバックを取れば自然に出るようになっています。流れの中で使う技ですね。そこに関しても和田選手から、勉強をさせてもらえました。

僕はアマ修斗から修斗をやってきて、修斗しか知らなかったんです。そのなかでDEEPのフライ級チャンピオンだった和田選手の試合を視た時に、『全てがしっかりしている選手だ』と思ったんです。MMAとして全ての要素を混ぜて戦っていて、柔軟性がある。パンチも強くて、カーフキックも強い。和田選手の戦い方も好きで、注目して視ていました。

松根 実は達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ。

──そうだったのですね。自分は初めて撮影をした試合だったからか、両足フックの大翔選手をパウンドしたイメージが強かったです。

松根 両足フックを使う時もありますけど、以前からオタツロックでコントロールをしてきました。沖縄では達郎がオタツロックを使うということで、後に続く選手も多かったです。和田選手とは体形も違いますし、もしかすると独自で進化している部分もあるかもしれないです。

──ペレス戦ではスタンドでオタツロックを取り、すぐに煽りました。ペレスと垂直になるぐらいまで煽って、また背中に戻った。ペレスの軸が強いのもありますが、平良選手の軸とロックの強固さにも驚かされました。

松根 そういう技なんだよな?

平良 ハイ、そうなんです。

松根 日本では和田選手がいてくれて皆が知っていたけど、海外ではアルジャメインが「あの技はなんだ」と騒いでいました。なので、これから世界に広まるでしょうね。達郎もタツなんで、面白いですよね(笑)。

──確かに(笑)。

平良 だから僕のオリジナルではないということは、しっかりと言っていかないといけないと思っています。

松根 達郎のタツでなく、和田竜光選手のタツだと。

「何だかんだとモカエフが勝つ」(平良)

──そこを気にするのも、この師弟ならではです。そして、この勝利でUFCフライ級5位にランクされました。ここでパントージャの名前を出すことも説得力があります。実際問題、実現の可能性はどの程度に感じていますか。

平良 UFCのマッチメイク的に、これで進んでくれるのだったら、もうやれます。そうでないなら、次に誰かと戦ったあとで挑戦したいです。挑戦権を争ううえで一番盛り上がる……自分自身、一番燃えるのはやっぱりムハマド・モカエフとマネル・ケイプの勝った方と戦うことですね。僕自身そうだし、フライ級の流れとしても盛り上がるのではないかと思っています。この試合で勝った選手と試合をする方が僕も燃えますし、そこで勝つと「もう平良しかいないだろう」という空気になるでしょうし。

──7月27日、UFC304で対戦する両者。実はこの取材で、両者の対戦について平良選手の予想を尋ねたいと思っていました。

平良 まぁ……何だかんだとモカエフが勝つとは思うのですが、毎試合危なっかしい試合をしますよね。モカエフにはスパッと極めるイメージはもともとないです。でも1Rでフィニッシュできないと、危ない場面を見ることになるかと。それでもフィニッシュするにしろ、判定になるにしろ、モカエフが勝つと思います。

<この項、続く>

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LFA o UFC UFC302 キック 堀内佑馬 平良達郎

UFC on ESPN59:第6試合・ジョシュア・ヴァン vs. チャールズ・ジョンソン

フライ級。

ミャンマーのヴァンはUFCデビューから3連勝中のプロスペクト。打撃が武器だが、一方で組まれてグラウンドに持ち込まれると穴がある所を見せていた。先月のUFC302で平良達郎戦が組まれていたが、急遽試合がシャッフルされ、相手がタギル・ウランベコフに変更され、試合も2週間後に延期となった上に、ウランベコフの体重オーバーで試合が消滅。その前には4月に組まれていた試合も相手の欠場で消滅しており、本来の試合予定から3ヶ月半開いてようやく試合出場となる。フライ級では鶴屋に次いで2番目に若い22歳。

ジョンソンはLFAでの暫定王座決定戦で堀内佑馬と対戦し、疑惑の減点があっての僅差判定勝ち。その後正王者に昇格して防衛を果たし、2022年7月にUFCデビュー。ここまで4勝4敗と五分。一時3連敗でリリースの危機にあったが、急遽代役で出場した無敗のアザト・マクスムとの対戦で勝利し生き残ると、5月には地元ミズーリでの大会に出場し判定勝ちで連勝。今回もまた、相手の消滅したヴァンの相手探しで、2ヶ月のインターバルでの連戦となるが。マクスム戦に続いてのプロスペクト退治となるか。SNSで「堀口は昔はトップ選手だったけど今は違う」と書き込んだことで、日本のファンから攻撃されたこともあった。33歳。

両者スイッチを見せる。リーチに勝るジョンソン。パンチからカーフキック。左ストレート、前蹴りと攻撃を散らしている。パンチで出るとヴァンがバックステップ。ミドルを入れたジョンソン。詰めるヴァン。左を打ち込んだジョンソン。前蹴り。手数が多い。ヴァンが詰めると脇を差してケージに押し込んだ。膝。離れようとするヴァンだがケージに押し込むジョンソン。離れ際にヒジを入れたヴァン。ジョンソンタックル。ヴァン切った。詰めて右を打ち込むヴァン。右。さらに右。距離を取りながら蹴りを出すジョンソンだがケージに詰まる。詰めて右を打ち込むヴァン。ジョンソンの蹴り足をキャッチすると軸足を払ってテイクダウン。ジョンソンKガードを仕掛けるがヴァン立った。ジョンソンまたタックル。しかし切ったヴァン。立ち際に膝。また詰めたヴァン。左右のボディを打ち込む。ホーン。

1R手数でジョンソン。しかし後半はヴァンがペースを握っている。

2R。また詰めて行くヴァン。アッパーがヒット。パンチを貰い効いたジョンソン。右ボディを入れたヴァン。ジョンソン圧されてケージ際まで下がるが、入れ替えると手数を増やしてきた。ワンツー。左がヒットしているが、ヴァン詰めてくる。左のダブルから右。ジョンソンも打ち下ろしの右を返した。ややペースを取り戻してきたか。詰めてカーフを蹴るヴァン。ジョンソンが右に体を沈めたところに打ち下ろしの右を合わせるヴァン。ハイペースな試合。ジャブ、ワンツーから左ボディを入れるヴァン。右ボディ。ジョンソンステップでケージ際から逃れるが、ヴァンがどんどんパンチで詰める。飛び膝を出したジョンソン。ジョンソンのバックブローは腕でブロックしたヴァン。ヴァン右ハイ。ジョンソンパンチで出たがバックステップでかわした。ホーン。

2Rはヴァンか。

3R。先に仕掛けたジョンソン。バックヒジ。右フック。左ボディ。左フックがヒットしヴァン効いた!ジョンソン追い打ちの右アッパー!ビッグヒットしヴァン仰向けにダウン!レフェリー止めた!

両者1Rずつ取り合ったところから、勝負の3Rに序盤からラッシュを仕掛けたジョンソン。プロスペクトをKOして、3連敗からの3連勝。

ヴァンも序盤劣勢だったところからペースを取り返したが、攻めながらも決定打が入れられず。UFC初黒星。