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【ONE FN23】シェ・ウェイ戦前の和田竜光を岡田遼が訪ねた─01─オタツで勝利の平良達郎、その原風景とは

【写真】岡田が鶴屋怜のセコンドでベガスに向かう前夜、和田を訪ねて都内某所で取材。ココカ〇ファインの明かりを借りてオタツロックを実演 (C)MMAPLANET

6日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE FN23「Ok vs Rasulov」に和田竜光が出場し、シェ・ウェイと対戦する。
Text by Manabu Takashima

1年4カ月振りの実戦復帰となる和田だが、今、その存在過去最高に注目されている。6月15日のUFC ESPN57のメインで平良達郎がアレックス・ペレスを負傷TKOに追い込んだのが、和田の十八番=オタツロックから、煽って後方に倒れたことでヒザの負傷をペレスが負った。

日本ではお馴染みのオタツロックだが、まだ世界のMMA界に使い手という使い手は見当たらず、衝撃な結末とともに和田オリジナルというべきオタツロックが世に拡散されている。

そんななか、平良のセコンドを務める岡田遼が和田を訪問、かつてTRIBE TOKYO MMAで練習をしていた両者。世の中はもちろん、和田本人がオタツロックの本当の怖さに気付いていない時の光景が、平良のUFC6連勝に繋がっていた。

ただし、オタツロックだけが和田ではない。岡田が認めるように、練習仲間やコアファン層は承知のウェルラウンダー=和田と、岡田のオタツロック論と和田竜光のこれからについて対談を行ってもらった。


「ONEがなかったら、MMAを辞めているかもしれない」(和田)

――和田選手、1年4カ月振りの試合が近づいてきました(※取材は6月25日に行われた)。

和田 去年の3月のFriday Fights以来ですね。

岡田 ずっと日本大会に出場するものだと思っていました。こないだ久しぶりに電話をくれても、試合のこととか教えてくれなかったですもん(笑)。

和田 契約問題は言っちゃいけないことが多いから(笑)。

──守秘義務というやつですね。ただ自分が知っている限りは、実は日本大会の時に契約は切れていたと。

岡田 えっ、そんなことがあるんですか。

和田 あるんだよ。Friday Fightsは単発だったみたいで(笑)。

岡田 まぁ、それだと日本大会の出場もないですよね。

和田 皆が気付いていなかったようで。そりゃぁリストに名前がないんだから、日本大会に出場も何もないよね(笑)。

──ある意味、奇跡ですよ。マネージメント、マッチメイカーが気付いていないなんて……。

和田 去年の12月に気付いたけど、そこからクリスマス休暇とか新年とかでなかなか時間が掛ってしまって。

──そのタイミングになると和田選手は試合に出られても、ビザが取れないから外国人選手を招聘できないですよね。それにしても、そこからまた7カ月が掛ったわけですし。

和田 長かったですね。でも、組まれないものはしょうがない。ようやく決まりましたね。

岡田 なんで、再契約したんですか。

和田 そもそも俺はONEに感謝しているから。ONEがなかったら、MMAを辞めているかもしれない。DEEPでチャンピオンになって、RIZINの出場も1回きりで。UFCも行けないし、『もうやれることはない。このままダラダラやってもしょうがない』って思っている時にONEが契約してくれて。

──「なぜなら、僕は修斗を愛してるから」と叫んで、全然でない人もいますが。

岡田 アッハハハハハハ。それ、僕じゃないですか。でも和田さん、義理堅いッスね。

和田 俺も悩んだよ。色々な人と話もしたし。RIZINも頭にあったけど、俺の試合が組まれるなんて保障もないし交渉もしていない。だからファイトマネーがいくらになるのかも分からない。けど、そういう状況でいえばONEの方が確実に稼げるので。

──う~ん、勝手ながら和田選手とブラジル人や欧州系の選手との試合、例えUFCでなくても見たいです。

和田 UFCには一応、この契約が空いている期間に交渉をしてもらいましたが、全然だめでした(笑)。

──それでも交渉を試みたんですよね。いやぁ、良い話です。

和田 まぁ年齢もあって、成績も抜群に悪いんで。DJとやって良いところがあった。それと大昔ですけど、カイ・カラフランスに勝っている。そこを材料にダメもとで、契約が切れている間に一丁聞いてもらいました。

ただ変な話、僕はONEと契約した時からDJ以外に試合がしたいという相手がいなかったんです。で、DJと試合ができてから僕のなかでは、ある意味もう上がっていて。もう一番戦いたい人と試合はした。だから明日、ケガをしてMMAができなくなっても、僕のなかでは悔いはないです。もうやりたいことはやったというベースがあります。そこと海外で試合をすること、それと稼ぎも天秤に掛かっていて。

岡田 で、再契約をしたのですね。

──6日に戦う相手は、シェ・ウェイです。かつて若松選手と戦った中国人選手ですね。

和田 佑弥がハイドレーションで引っ掛かった時に戦って、やっつけたヤツで。

岡田 あぁ、あの時の。

和田 今はランカーじゃないけど、トップ5だった時もある。現状はその下の選手です。

岡田 いや、もうフィニッシュしてください。やっぱり、ここはオタツロックから。本家ですから。

「あの形といえばあの形なんです。達郎が勝った理屈も、もう7、8年前のあの練習の時も」(岡田)

和田 オタツロックねぇ。ホント、平良君。ありがとうって。まぁ、得意だから出せる可能性は高いけど、一本を取るならそこからの形ですね。でも、狙って出すようなモノではないので。あれって、オタツロックだよねぇ?

岡田 ハイ、勿論オタツロックです。TRIBE TOKYO MMAのプロ練習に参加させてもらっていた時に、僕と同門の佐久間健太も一緒で。その時に和田さんが練習で仕掛けて、あの形といえばあの形なんです。達郎が勝った理屈も、もう7、8年前のあの練習の時も。

和田 あの時は僕も未熟で。あれでケガをして以来、佐久間選手をTRIBE TOKYO MMAで見かけなくなってしまって……。

岡田 でも、僕もあの時は何が起こったか、分からなかったです。

和田 本当にこの間の平良君とアレックス・ペレスの試合のような形でした。立った状態でオタツロックに入って、組んでいる方でない足に全体重が掛かってしまって。それで倒れた時にはACLがいくような……。ただおんぶされていただけなら煽っても踏ん張られてしまいます。

オタツロックは組んでいる足が入っていくことで、相手の足が持ち上がるような形になります。するともう一方の足にオタツロックを仕掛けた方の人間と、仕掛けられた相手の2人分の体重が全て掛かるんです。

岡田 踏ん張ると、ケガしちゃいます。グラウンドに自分からいくぐらいでないと。

──ペレスは一度目の煽りで倒れず、平良選手が後ろ手に取ってから煽って倒れました。

岡田 体が強い。だから、耐えてケガをした形ですね。

和田 DJは体重を逃がして、転がっていました。初見だったはずなのにさすがです。ただ佐久間選手にケガをさせてしまった時は、オタツロックのメカニズムがまだ分かっていなかったです。もちろん、平良選手のように煽ることもなかったし、足を上げて崩そうとしていたぐらいで。

今だとあんな風にはやらないです。でも、当時は危なさにも気付いていなかった。それで練習相手に仕掛けて、相手がバランスを崩して倒れることがほとんどで。その時、踏ん張り過ぎたり、マットに引っ掛かったりして佐久間選手にケガをさせてしまいました。

岡田 あれはインシデントでなく、アクシデントでした。ああいう風になることを狙うわけがなく。狙っても、そんな風になるものでもないですし。

「達郎って和田さんに憧れていたんです」(岡田)

和田 偶然でも起こり得る動きなので、練習では本当にそうならないようにしています。だから、オタツロック単体で勝とうとかはなく、そこから展開のために使っています。平良選手もあの結末を狙ったわけじゃなかったよね?

岡田 起こり得ると想定した中での仕掛けです。達郎のアクションで事故が起こることもある。その意識でしたね。

和田 試合だとケガをするとか躊躇すると、隙を与えて逃げられてしまいます。同時にケガをさせようなんて思わない。ただし、ケガをするかもしれないとは頭にあって仕掛けています。

──ケガは付き物ですし。殴って、蹴ってという競技ですからMMAは。ところで岡田選手が佐久間選手のケガを見ていたことが、平良×ペレス戦に繋がっているのでしょうか。

岡田 それをいうなら、僕もナンボでもオタツロックの餌食になっています。被害者の会の一員ですから。ケガはしていなくても。何より、これはこの間の勝利があるから話すのではなくて、達郎って和田さんに憧れていたんです。

僕が和田さんと毎週のように練習をさせてもらっていた時期に沖縄に行って、まだ修斗のチャンピオンになる前の達郎から「オタツロックってどうすれば、掛けることができるのですか」って質問されたことがあったんです。達郎は当時から和田さんの試合映像を見て、ずっと研究していましたね。

和田 へぇ、嬉しいなぁ。

──世界的にもヘンゾ・ロックはあっても、日本人選手以外でオタツロックは見た記憶がありません。

岡田 ヘンゾ・ロックは対角に足を入れる。アルジャメイン・ステーリングが使っているやつですね。

和田 僕もこないだの平良君の試合後に、ヘンゾ・ロックなのっていうリプを見てチェックしたのですが、アレは斜めにいれているだけで、足一本に2人分の体重が掛かるということはないです。

──となると、オタツロックは日本のMMAを代表する技ですね。上久保選手、後藤選手、鶴屋怜選手らがオタツ・ツイスターを使っています。

和田 鶴屋君、使っているよね?

岡田 使っています。ハイ、使っています。

和田 俺や上久保が掛けたことがあって。で、極め方は違うのですが、そこにオタツロックの原型は残っているんです。俺もあの極め方のアレンジを使っているから。で、怜君に「良いでしょ。あの仕掛け」って話しかけたら、「あれは違います』って(笑)。それを聞いていた上久保も「いやアレは自分たちが掛けたやつです」と言っていて(笑)。

岡田 アハハハハハは。そこが怜っぽくて良いです。それが達郎だったら「ハイィ。そうなんですぅ」って言いますよ(笑)。

和田 あの若さが良いですよね。買いです。あの雰囲気ね。良いです。イケイケで。絶対に、そこが怜君の強味です。実際にUFCに行っているし。火曜日にロータスまで来て、一緒に練習していますけど本当に強いです。

岡田 怜の目標は日本人初のUFCチャンピオンだから、達郎に先を越されたくなくて。そこがアイツの良さなんです。でも「そうなんですぅ」って言っておけば、先輩に可愛がってもらえるのに。

──その気持ちが透けて見えるのが、岡田選手ですよね(笑)。

<この項、続く>

■ ONE FN23放送予定
7月6日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

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【Shooto2021#04】修斗世界フライ級王者・平良達郎「UFCに飛び込んじゃえば、もっともっと強くなれる」

【写真】精悍な新チャンピオンだ(C)MMAPLANET

4日(日)、大阪市淀川区のメルパルクホール大阪で開催されたShooto2021#04で平良達朗が福田龍彌を下し、修斗世界フライ級チャンピオンに輝いた。

最初のカーフのタイミングでテイクダウンを奪うと、スクランブルゲームこそ許したが、一度として離れることなく組み技の展開を続け、最後は三角絞めでタップを奪った。

沖縄で育ったプロシューターとして、初めて修斗の頂点に立ったホッカノホカの王者にイベント終了直後に話を訊いた。


──改めて今の気持ちを教えてください。

「今は本当に沖縄の人、練習仲間にベルトを持って帰ると約束していたので、ホッとしています」

──平良選手が嬉し泣きキャラだったとは、凄く意外でした。

「自分でも驚いています。試合に勝って、涙が出たのは初めてです。最初は『よっしゃー!』っていう気持ちだったのが、ベルトを巻いてもらうぐらい前から、『終わったな』って肩の荷が下りたような気持ちになりました」

──安堵の涙だったのですね。

「そうッスね。ホッとしたのと、本当に松根さんに育ててもらってきたので感謝の気持ちで涙が出たんだと思います」

松根良太の左手。再び涙を見せた弟子の肩に掛けられた──これが2人の関係の全てを語っているかのようだ

──撮影の時に笑顔が欲しくて『笑って』と伝えたら、顔をくしゃくしゃにしてまた泣いてしまって……。

「なんか……優しい言葉をかけられると、また涙が出てしまって……」

──試合展開ですが、一発もカーフを貰いませんでした。ばかりでなく、一発目のカーフに合わせたテイクダウンを決めました。

「最初に警戒すべき攻撃はローキックだと思っていました。オーソに構えたので、カーフを狙っているということは頭にありました。なので距離取っていたら、自然とテイクダウンに入れた感じです」

──躊躇したり、取り切れないと福田選手にペースを譲るかもしれないというなかで見事な攻撃だったと思います。自分の感覚を信じた形ですか。

「感覚というか、距離を取り福田選手の動きを見ることができていたのでスっと入ることができました」

──直後に一度は立たれましたが、大腰気味に投げて立ち際にケージに押し込みスクランブルから上を取り切りました。あそこはもう立たせたくないという気持ちでしたか。

「正直、立たれても慌てないように練習はしていました。1Rは相手も元気なので、立たれるとまた打撃に集中するという気持ちでもいました。だから立たれても慌てることはなかったです」

──立たれても離れることは許しませんでした。

「ハイ、1Rはなるべく打撃戦にならないように福田選手の苦手な組みの展開で削ろうと思っていました」

──結果として、そのまま打撃戦にはならず三角絞めで一本勝ちでチャンピオンに。仮に打撃戦になった時の自信は如何程だったでしょうか。

「100パーセントとは言えないですが、自分のパンチは絶対に当たる。被弾してもやり返すというつもりでいました。だから……自信はありました」

──平良選手を個人として認識したのは2019年11月の沖縄大会でした。大翔選手にTKO勝ちし『活きの良い選手だ』と思い初めてインタビューさせていただいたのですが、この短期間でここまで強さを見せて修斗の頂点に立つとは予想もしていなかったです。

「いえいえいえ……まぁ、ハイ。本当に早かったと思います。でも、まだ全然足らないことは分かっています。この結果に奢らず、努力を続けて絶対にUFCのチャンピオンになるんで」

──ケージの中では海外という表現をしていましたね(笑)。

「ONEとの決まり事もあるし、スポンサードを修斗を受けているわけですから。あの場ではいうべきではないと思いました」

──なんて大人なのですかっ!! でも気持ちはUFCだと。

「UFCに挑戦したい。絶対にベルトを巻きたい。今はそういう強い意志があります」

──このところの完勝続きなので、不安になるのが外国人を相手に同じことができるのか……ということです。レスラーや打撃の圧の違う相手に。以前のように、そういう国際戦が日本でできなくなっているので。

「ハイ、その通りだと思います。レスラーとできていないのは正直、不安材料です。でも、負けるのを恐れて挑戦しない選択はないです。経験を積みたい気持ちはありますけど、レスラーとの対戦が決まれば、そこを強化する。重点を置いて練習すれば、自分も自然と強くなります。相手が決まって練習をすれば、やはり集中力も違いますし。試合が決まることが、自分の力が上がることに繋がります。

だからUFCに飛び込んじゃえば、自分はもっともっと強くなれると思っています」

──千葉に拠点を移して、より強度の高い練習を日々行うということは?

「拠点を移すことはないですが、千葉での練習は増やそうと思います。千葉だけでなく、海外でも練習したいですしね。でもベースは沖縄であることは変わりないです」

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J-CAGE Report Shooto2021#04 ブログ 平良達朗 福田龍彌

【Shooto2021#04】TDから完封の三角絞め、平良達朗が福田龍彌からタップを奪い世界フライ級王座を奪取

<修斗世界フライ級選手権試合/5分5R>
平良達朗(日本)
Def.1R4分31秒 by 三角絞め
福田龍彌(日本)

スタンスを広くとって近づいていく福田。平良がダブルレッグから福田をケージに押し込む。ボディロックで両脇を差し上げてから福田に尻もちをつかせる平良だが、福田は立ち上がる。しかし、しっかりとテイクダウンを奪った平良は、パスからサイドへ。そしてマウントに移行して福田の両足を挟み込むも、福田がガードに戻す。

ハーフガードの福田のボディにパンチを落とす平良、福田は平良の右腕を抑える。左腕のクラッチは離れたが、右腕を差し込む福田。平良はパスしてマウントを奪うと、三角絞めの体勢へ。福田が上半身を起こすと、下になって絞り上げ、タップを奪った。

無敗のまま修斗世界王座を獲得した平良は、試合直後こそ笑顔を浮かべたが、ベルトを巻く際は目頭を押さえた。
平良がマイクを握ると、目を細めて背を向ける師・松根良太。
新王者は「これから世界で戦っていく。沖縄代表として、日本代表として、修斗として強い相手を倒していく」と宣言した。


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