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45 MMA MMAPLANET o POUNDOUT01 山内渉 松場貴志

【POUNDOUT01】山内が1年3カ月振りの白星。右ストレート&ローを当てて松場にユナニマス判定勝ち

【写真】松場のカウンターもヒットしていたが、山内が冷静さを貫いた(C)MMAPLANET

<フライ級/5分2R+ExR>
山内渉(日本)
Def.3-0
松場貴志(日本)

オーソドックすの山内に対し、松場が距離を詰めてから右ジャブを突く。山内はケージを背負いながら右ローを返す。山内の右ハイをかわした松場は、ワンツーから組みに行くも切られた。山内の右インローが当たる。松場の右ジャブに右ストレートを返す山内。松場は左ミドル、左ストレートを伸ばす。松場の左スイングをかわした山内が、ポジションを入れ替えてケージを背負わせた。山内の右ヒザに右フックを合わせる松場。山内が距離を詰めて、右ストレートを当てると松場がバランスを崩す。

すぐにプレスをかける松場の顔面を、山内の右ストレートが襲う。しかし松場も山内のローに右ジャブを合わせていく。カウンターの取り合いから、松場が左右フックを放つもブロックされた。山内は至近距離から右横ヒジ、さらに右ストレートをボディに伸ばす。ローの交錯で松場のバランスが崩れる。ラウンド終了間際の打ち合いでは、山内が幾度となく右を当てた。

最終回、松場が右ジャブを伸ばす。山内の右ローに右ジャブを合わせる松場。山内は左右に回りながらローでけん制する。そして一気に距離を詰めて右ストレートを突き刺していく。右ボディストレート、右前蹴りで松場をケージに追い込む山内。松場はパンチを放ちながら距離を詰め、そして下がる。山内の右ストレート、左フックがカウンターで当たり、さらに右インローで松場がバランスを崩すように。

松場は山内の右跳びヒザに右フックをカウンターで打ち込んだ。山内が右を振るって松場にケージを背負わせる。至近距離で山内は右ストレート、松場が右フックを放つ。山内が右で松場の顔面を跳ね上げ、さらに右を突き刺すと松場の表情も変わる。右ストレートを当て続ける山内は、組んできた松場を振り切りケージ中央へ。蹴りで距離を保ち、そのまま試合終了のホーンを聞いた。

ユナニマス判定勝ちで1年3カ月ぶりの白星を得た中村は「次、必ず倒すので宜しくお願いします」と挨拶した。


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【POUNDOUT01】髙谷裕之、第二章2ndクール「純粋に強さを求めて練習している選手が活躍できる場を」

【写真】選手は強化してきた。その場を創る活動が、再び始まる (C)MMAPLANET

本日5 日(土)、ついに千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールでPOUNDOUTが産声を挙げる。
Text by Manabu Takashima

POUNDSTORMから2年半、2021年と2022年に実施された格闘DREAMERSは中村倫也というUFCファイターを生み、外敵ファイターを含めJ-MMA界の中心を担う、海外に活路を求めるという両面で人材を輩出してきた。

両大会の総監督であった髙谷裕之が手がけるPOUNDOUTはあの日の続き、言い出しっぺのプライドが日本人を強くするベクトルを持ち再び動き出す。リアル・ガチ路線続行、髙谷の話を訊いた。


選手たちは育っている。自分だけが足踏み状態になっていました

──POUNDSTORMから2年半、LDHの格闘技イベントが諸事情で休止しているなかで髙谷裕之総監督が手掛ける新しいMMA大会=POUNDOUTが始まります(※取材は9月25日に行われた)。ここで自らのイベントをスタートさせることになったのは?

「もともとPOUNDSTORMで、プロモーターとして活動をしていこうと思っていたのですが、そこの動きが止まった。でも選手たちは育っている。自分だけが足踏み状態になっていました。選手を強くするのと、大会を開くというのは自分のキャリアとして別モノとして捉えていて。後者の方は止まってしまっていたのですが、色々な人の協力もあって動き出すことができました」

──POUNDSTORM後、描いていた将来像が崩れたといっても過言でないかと思います。

「再開を待つこともできました。でも、だんだんとモヤモヤしてきて。このままじゃいけないんじゃないのか、と。それに再開したときに何かをやっていた方が合流もしやすいという想いでした」

──Grachanの岩﨑ヒロユキ代表が実務面で相当にサポートしているようですが、なぜ関係性の強いサステインでなくGrachanの協力を仰ぐことになったのでしょうか。

「なんでですかね……(笑)。たまたま声をかけてもらったこともありすし、坂本(一弘サステイン代表)さんは先生なんで。ちょっと一緒にというのは、おこがましいというか……(苦笑)。岩﨑さんは宮田(和幸)さんをサポートして、Brave Fightとの合同興行の経験も長いので、その乗りで『一緒にやらない?』みたいな感じでしたね、最初は。

僕の活動が止まってしまっているので、心配して声をかけてくれたんです。『じゃあ、やってみたいんです』みたいな感じで気楽に……そこまで深く考えていなくて(笑)。でも、進めていくなかでドンドン気合いが入って、ちゃんと世界を目指していけるような大会にしたいと思うようになりました」

──POUNDOUTという名称は?

「僕が考えました。POUNDSTORMもそうで。その流れで考えていくうちにPOUNDOUTという名前に決めたことで、しっかりとやらないといけないという考えになって」

──格闘DREAMERSの卒業生やFight Farm所属選手で、今一緒にやっていける選手が中心という考えだったのですか。

「もちろん、自分が指導している選手は全員が出て欲しいという気持ちはありました。でも(中村)倫也はUFCですし、出られるわけがないですよね。修斗でチャンピオンになった(齋藤)奨司も、修斗世界王者をいきなり担ぎ出すことも失礼だし。と同時に全員が同じ大会で試合があると、実はしっかりと練習ができない。皆が自分の戦いのことを第一に考えるのは当然なので、練習仲間を勝たせるために練習ができないんですよ。

個々を勝たせる練習を同時に行うことはできなくて。皆が自分が勝つ練習ばかりになり、チーム力が分散してしまう。これは本当にPOUNDSTORMの時に学んだことでした」

──なるほどっ!! そういうなかで岩﨑代表が、良い対戦相手を用意してくれたかと。Grachan関係の主力級の選手が出場します。

「山内に関しては、新井丈戦でダメージを受けてからの再起戦で。『弱いヤツとはやりたくない。あと何試合、戦えるのか分からない。自分の体は消耗品』という気持ちでいます。そこで松場(貴志)君は元チャンピオンだけど、現チャンピオンよりも強いという風に聞かされた山内が、『ぜひ戦いたいです』と。

京一郎はRookies Cupを途中欠場したので、Grachanで戦う選手にしっかりと勝ってGrachanのタイトルを狙うという意味合いの試合ですね」

──それと千葉から世界へ。なかなか首都圏に属している大都市圏からは出てくるフレーズではないですが、千葉連合が実現したようにも見えます。

「地元から、ですね。地元の企業も応援してくれますし。鶴屋(浩)さんも、その考えに共鳴してくれて。千葉から世界に出したい。鶴屋さんが協力してくれたので、自分が思っていた以上のカードが組めました。それでいて千葉同士を当てているんですけどね(笑)」

──アハハハハ。千葉から世界へ──という部分ですが、日本人を強くするためにLDHとABEMEMAのリアリティTVショーと大箱での大会があった。そして2年が過ぎて、Road to UFCでは準決勝で日本人が姿を消した。この現実を髙谷さんはどのように見ていますか。

「確かにショックでした。準決勝で中国人ファイターに日本人選手が全敗をして。ただ中国人選手が優勝するために選手を選んだ。そんな風に感じられていました。あの結果が日本の全てではないと思っています。POUNDOUTから、その場を目指す選手を育てたいです」

『世界を目指して、やろうぜ』という企画をやった責任があるので、中途半端なところで辞めてはいけないですし、辞めたくない

──格闘DREAMERSに出ていた選手たちが、今や日本をリードし中枢にならんとばかりの活動を続けています。

「そこは凄く嬉しく思います。色々な選手が集まっていた、良い企画でした。ただ僕が育てたわけじゃないですけどね(笑)。素直にあの企画に出演していた選手たちのキャリアアップに、元DREAMERSという肩書が役立っているのは嬉しいです。今回も今も地方でも頑張っている選手に声を掛けると、岡田(達磨)が出てくれました。DREAMERSがスタートで、ここに来たというのは絶対です」

──POUNDSTORM、EXFIGHTのことがあったので継続という部分にはしっかりと向き合っているかと思いますが、今後の青写真というのは?

「『世界を目指して、やろうぜ』という企画をやった責任があるので、中途半端なところで辞めてはいけないですし、辞めたくない。POUNDSTORMが復活する時も、自分がPOUNDOUTをやっていることが、形としても責任を果たしていることになりますし。自分で、そういう風に思いたい。なので少なくとも年に2度のペースで開いて、しっかりと定期開催をしていきます。今後は世界に行くためなら、国際戦も組まないといけないですし。簡単ではないですが、それだけの力をつけないといけないです」

──旗揚げ戦のガチ路線はSTORMからOUTになっても、しっかりと引き継がれています。

「いや、そういうカードしか思いつかないんですよねぇ(笑)」

──格闘技ってこうじゃなかっただろう……と思うことが増えた2024年のMMA界にあって、それこそが我々が髙谷裕之に望む部分です。なんせ「強い外国人とは戦いたくない」という選手が普通にいる現状です。

「そんなこと、本当にあるんですか!! ウチには、そんなヤツはいないですよ。そして、そんなヤツらに夢を見させたのは自分なんだから。続けないといけないというプライドもあります。コレを続けないと、恥ずかしいです。

やはり選手たちには、世界を目指して欲しいですし。僕自身がDREAMでチャンピオンになったけど、世界一になった気持ちは少しもなかったです。僕は世界一を目指していたし、今の選手達にも、どうせやるなら世界一を目指して欲しい。その世界一はUFCなので、UFCを目指して欲しい。そういう気持ちの選手が集まる大会にしたい。ゆくゆくはここからUFCファイター、UFC世界チャンピオンが生まれて欲しいとは思っています。でも、まずは純粋に強さを求めて練習している選手が活躍できる場を創りたいと思っています」

──押忍。盟友の岡見勇信選手が、どこで合流するのか期待しています(笑)。

「アハハハハ。岡見はまだ現役なので。自分のことに集中して、次の試合ことを考えるべきなんです」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後4時30分~髙谷裕之YouTubeチャンネル

■ POUNDOUT対戦カード

<フライ級/5分2R+ExR>
山内渉(日本)
松場貴志(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
中村京一郎(日本)
鍵山雄介(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
山本琢也(日本)
岡野裕城(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
斎藤翼(日本)
児山佳宏(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
手塚基伸(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
能坂陸哉(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
岡田達磨(日本)
八木匠(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
樋口幹太(日本)
高木恭平(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
椎名渉(日本)
渡邊架月(日本)

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【POUNDOUT01】11カ月振りの復帰戦=松場貴志戦へ、山内渉「勝つことを最優先に一本かKOで」

【写真】この試合がなかった期間で、いかにMMAファイターとして熟成されたか楽しみだ(C)MMAPLANET

5日(土)に千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールで開催されるPOUNDOUT旗揚げ戦で山内渉が約11カ月振りに、実戦復帰を果たし松場貴志と対戦する。
Text by Manabu Takashima

プロ修斗デビューから2年4カ月、6連勝で修斗世界フライ級王座獲りにチャレンジした山内は、新井丈にKO負けを喫しキャリア初黒星となった。あれから11カ月、師・髙谷裕之が主宰するPOUNDOUTのメインで、GrachanとGRANDのフライ級を制した松場という――知る人ぞ知る実力者を迎え撃つこととなった。

格闘家の体は消耗する。そのことを学び、覚悟をもって挑む再起戦。山内渉のその胸の内を訊いた。


世間の評価よりも強い選手

──山内選手、ご無沙汰しています。

「ハイ。よろしくお願いします」

――昨年11月に新井丈選手と修斗世界フライ級王座を争い、激闘の末敗れた。以来の再起戦まで11カ月を要しました。

「一番はダメージです。打たれ弱くなりたくないので、時間を置いた方が良いと髙谷さんとも話して。それとデビューしてから連戦で対策練習が続いていたので、強くなるための練習をこの間に一からやろうと思って取り組んでいました。見直しの期間、自力をつける時間にしたという感じです」

――あの激闘でしたし、やはりダメージがあったのですね。

「試合後に具合が悪くなって病院にいってCTを撮りましたが、異常はなかったです。ただ、振動があると……ミットを持っていてもフラフラすることもあって。これは休むべきだと。この間に脳のダメージの回復のための食事だとか、色々と教えてもらいつつ勉強をしてDHAやアマニ油を摂るようになりました。食事、睡眠と私生活も改善して、自分でも変わったなという感覚があります」

――本当に根本からですね。本格的な練習を再開したのは、いつ頃でしたか。

「5月ですね。じっくりと時間を掛けました。そこまでは頭が揺れない、振動を受けない練習……これまでやってこなかったフィジカルトレに集中していました」

――動くようになってからも、5カ月間は試合に出なかった。強くなるためのトレーニングで、上積みもできましたか。

「ハイ。試合に勝っていたので、打撃も寝技も不安を持ち続けていても、勢いで誤魔化していたところがありました。この間に一から見直して、レスリングも始めました」

――食事、睡眠、練習を見直す。周囲は試合を続けているなかで、よく取り組めたと思います。

「それだけ負けが大きかったです。現実を見せつけられて、考え直すきっかけになりました。(齋藤)奨司さんのがタイトルマッチがあったりしましたけど、逆に自分は自力をつくまで試合ができないという考えになっていました」

――自分は国内でタイトルを取ることも大切ですが、強くなるにはそれ以上にどのような試合経験をするのか大切だと思っています。正直、層が薄くなっているなかでタイトル戦が頻繁に行われる現状には疑問を持っていますし。そのなかで山内選手の再起戦がPOUNDOUTになったことが興味深いです。

「実は今後に関しては、この間に髙谷さんにも相談しました。やはり強い相手と戦いたいというのがあります。前回試合でダメージを受けたことで、体は消耗することを実感しました。考えて試合をしていかないと、どんどん消耗します。そのなかで髙谷さんがPOUNDOUTを開くことになり、修斗の上位陣とはほぼ当たっている中で、強い相手を当ててくれるなら試合をさせてほしいと伝えていました。そうしたら、髙谷さんが良い相手と当ててくれました」

――松場貴志選手、その言動は疑問符しかないですが強い選手です。まだポテンシャルを発揮していないと思えるほど、自力はあるかと。

「RIZINの竿本(樹生)戦とか、本当に強いと思いました。経験も豊富だし、僕の中では世間の評価よりも強い選手だという印象です。フィジカルが強くて、レスリングが強い。そこを想定して、練習をしてきました」

――そんな猛者との試合を前にして、齋藤選手以外にDREAMERSの仲間と練習をすることはあるのでしょうか。

「最近は行けていないですけど、EXFIGHTで須藤(晃大)君と練習をしていました。あとは津田さんと一緒にやっている安永(吏成)さんとも、セコンドに就いたりして練習をしました。出稽古だと前から行かせてもらっていたZEEKジム以外で、川口REGIPでFight Farmの力也さんと一緒に猿飛流選手や大竹陽選手とも練習をしています。同階級の選手とやることが増えました」

僕は田村さんを信じて戦います

――POUNDOUT、師匠の髙谷さんにとっても特別な意味のある大会だと思います。そこでメインを任されました。

「メインらしい試合をしないといけないという気持ちもありますが、大前提は勝つことです。同時に今後を考えると、欲をかきすぎるといけないのですが一本かKOで勝ちたい。それでも勝つことを最優先して、戦いたいと思っています。何よりここで松場選手に勝てば、自信がつく試合です」

――この間、MMAは最低基準の一気にコントロールを重視しない方が変わりました。盟友・齋藤選手のタイトルマッチでは殊更色々な意見も聞かれましたが、その辺りは試合の組み立てが変わるということもありますか。

「そこは考えていますし、頭にいれて練習もしてきました。ただ僕はセコンドの田村(彰敏)さんを絶対的に信頼しているので。田村さんの指示通りに動きます。上を取った時も、下になった時も田村さんが言ってくれたことができるように戦うつもりです。それができるように練習をしてきました。それで判定負けしたら、それまでです。僕は田村さんを信じて戦います」

――では最後に意気込みの方をお願いします。

「前回負けて、応援してくれる人をガッカリさせてしまったので、この1年間やってきたことを出して……しっかりと強くなったことを証明して、勝って喜んでもらいたいです」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後4時30分~髙谷裕之YouTubeチャンネル

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45 DEEP DEEPフライ級GP Grachan MMA MMAPLANET o POUNDOUT01 YouTube チャンネル ライカ 中村京一郎 児山佳宏 宮内拓海 山内渉 山本琢也 岡田達磨 岡野裕城 御代川敏志 手塚基伸 斎藤 松場貴志 笹晋久 鍵山雄介 髙谷裕之

【POUNDOUT01】メインで山内渉と激突。前Grachan王者、松場貴志「大縄跳びに加わっていきたい」

【写真】リモート取材では本人の希望で2パターンのスクショを撮影。ポーズに意味はないそうです……(C)SHOJIRO KAMEIKE

5日(土)、千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールで開催されるPOUNDOUT01のメインで、松場貴志が山内渉と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年2月、松場は御代川敏志に敗れてGrachanフライ級のベルトを失った。結果こそ松場が御代川の投げに対してマットに手を着き、左ヒジを脱臼したため負傷TKOとなったが、試合前からいつもの松場と違っていたことは確かだ。そんな王座交代劇、そしてPOUNDOUTでの復帰戦について松場は何を語るのか――と思えば、やはり松場は松場だった。


――御代川戦で左ヒジを脱臼していましたが、その後の回復具合はいかがですか。

「何も問題ありません。次の試合は新生松場を見てほしいです」

――……いきなりインタビューを終わらせようとしないでください。新生ということは、生まれ変わったのですか。

「はい。ヒジを負傷したことで、ヒザの重要性を感じることができました」

――ヒザの重要性とは?

「……、……ひとつ何かを失うことで、大切なものに気づくことができたんです」

――おそらくオチはないだろうと思って聞いていたら、本当に何もなかったです。

「いやいや、そんなことはないです。新生松場を見てほしいです」

――試合ではあれだけ二手三手と用意しているのに、トークでは一の手しか用意していないですよね。

「アハッハァ! 前回の試合も、一の手しか用意していないから、ああいう結果になったんじゃないですか」

――ベルトを失ったことについては、今の時点でどのように考えていますか。

「やらかした、というか。まぁ、うん、何というか……」

――試合の話になると急に素のモードですね。

「まぁ、等身大でやっていかないといけないですね」

――等身大というのは分かります。あの時、試合前から少しムキになっていませんでしたか。いつもの松場選手とは違う雰囲気を漂わせていました。

「そうなんですよ。なんだか試合前からグッと力んでしまっていて。いろいろと歯車が回っていなかったような気はします」

――試合後、松場選手のセコンド陣に訊くと「いつもより攻め急いで、スタミナが切れるのが早かったのではないか」という意見がありました。

「それもありますけど、いっぱい練習しているので、あれでスタミナが切れることはないです。ただいつもより力んでいて……、もうこの話は止めましょう(苦笑)」

――リアルに止めようとしている表情じゃないですか。ひとつ言えるのは、タイトルマッチなのに王者がベルトを自宅に忘れてきたのは……。

「はい。その点は私が100パーセント悪いです」

――試合で敗れ、そのベルトを失ったことについては?

「勉強になった、というぐらいですね。そんなにベルトにはこだわっていないですし。それよりも今まで大きな怪我をしたことがなかったので、良い経験になりました」

――翌月のDEEP大阪大会にセコンドとして来ていた時、何もなかったように腕を動かしていたので回復具合に驚きました。

「5月ぐらいには試合したいと思っていましたからね。それほど大ごとになることもなくて良かったです。ちょっと他にも怪我があって、ここまで復帰も延びちゃいましたけど。この期間に良いところを残しつつ、いろいろ進化してきました。次の試合は新生松場を見てください」

――今回はその一言だけで乗り切ろうとしていますね。

「アハッハァ」

――話を戻すと、DEEPフライ級GPを経てグラチャンのベルトを失って以降、松場選手が何を目指していくのでしょうか。

「何かを目指す、ということじゃないんですよね。どこで引退するか、なんてことも決めていないし。何なんですかね?」

――そんななかで、復帰の舞台がPOUNDOUTになったことは少し意外でした。

「そうですか? POUNDOUTに出ることができて嬉しいですよ。僕、髙谷裕之さんのことがメッチャ好きで」

――えっ、それは本当の話ですか。

「本当ですよ。何もかも疑わないでください(笑)。高校生の頃に試合を見ていて、メチャクチャ好きでしたよ。今でも当時の試合映像を視ているほどですから」

――髙谷さんと松場選手はファイトスタイルが違うので、それも意外です。

「髙谷さんってストライカーで、スタンドではメチャクチャ強いじゃないですか。でも、あの立ち方はレスリングも強いと思うんですよ。あれだけテイクダウンを防いでスタンドで戦う姿が本当にかっこ良くて」

――POUNDOUTでは、高谷さんの弟子である山内選手と対戦します。

「はい。僕はずっと髙谷さんの試合映像を視ていますから、弟子が試合でやってくることも筒抜けです。もう髙谷さんの試合を見るだけで、何もかも分かりますよ」

――山内選手の試合映像は視ていないのですか。

「視ていません。髙谷さんの試合映像を視ていれば大丈夫です」

――……また一点突破しようとしていますね。

「アハッハァ。もちろん100パーセント勝つ気でいますよ。今の国内フライ級って、実力的に拮抗していると思うんです。ほぼ団子状態というか――扇久保選手、神龍選手をはじめ、多くのトップ選手が大縄跳びに並んでいる状態で。

僕もしっかりとリズムを取って、縄に引っかかることがないよう大縄跳びに加わっていきたいです。そして何回も何回も、跳べるかぎり跳び続けていきます。山内選手はその大縄跳びに加わるというより、縄を回す選手という印象ですね」

――縄を回す選手、というと?

「所詮は縄を回す人だな、ってことですよ。僕たちは跳ぶ側の人間ですから。そして僕は何回も跳び続けて、最後まで大縄跳びに残ります。ファンの皆さんは会場で、あるいは配信で何回跳んだか声を挙げて数えてください」

■POUNDOUT01 視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後16時30分~ YouTube髙谷裕之チャンネル

■POUNDOUT01 対戦カード

<フライ級/5分2R+ExR>
山内渉(日本)
松場貴志(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
中村京一郎(日本)
鍵山雄介(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
山本琢也(日本)
岡野裕城(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
斎藤翼(日本)
児山佳宏(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
手塚基伸(日本)
笹晋久(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
岡田達磨(日本)
八木匠(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
能坂陸哉(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
樋口幹太(日本)
高木恭平(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
椎名渉(日本)
渡邊架月(日本)

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【POUNDOUT01】髙谷裕之が新イベント開催!! 山内渉&中村京一郎揃い踏み。山本琢也もライト級で再起戦

【写真】格闘DREAMERSの1期生と2期生。髙谷チルドレンが集結する(C)MMAPLANET

27日(火)、Gグローバルより10月5日(土)に千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールでPOUNDOUT旗揚げ戦の開催と対戦カードが発表された。
Text by Manabu Takashima

同大会を主宰するのは「格闘技には、人の心を動かし、人生を変える力があると信じています」という髙谷裕之だ。髙谷といえば2022年4月にLDHマーシャルアーツの格闘技プロジェクトの一環として、対世界を目指す若い選手を世に送り出す──格闘DREAMERSと連携したPOUNDSTORMを開催したが、その後は人材育成大会として開いていたEX FIGHTと共に活動は停止していた。

今回のPOUNDOUTは企画としては上記の試みとは一線を画しているのは明らかだが、髙谷の格闘技に対する軸にはブレはない。リリースで9試合と1名の出場選手の名前が記されており、ずばり髙谷人脈にGRACHANが協力という形でイベントが実施されるような形だ。


(C)SATOSHI NARITA

髙谷の城というべきFIGHTFARMからは昨年11月の修斗フライ級王座決定戦以来の実戦復帰となる山内渉、齋藤翼、そして樋口幹太が出場。

EXFIGHTから中村京一郎、SAI-GYMから岡田達磨とDRAMERS系ファイターの名前が見られ髙谷チルドレンが集まる。そこに上記にあるようにGRACHAN畑のファイター、THE BLACKBELT JAPAN、マッハ道場、津田沼道場など千葉系列が揃う。

山内は元GRACHN & GRANDフライ級王者の松場貴志、中村京一郎は鍵山雄介という一筋縄にはいかないファイターとの対戦が決まっている。山内としては松場がかつてのような徹底して組んでコントロールというファイトを仕掛けてくると、これまでに経験がしたことがない試合展開になるやもしれない。

格闘代理戦争で強さを見せた中村は超RIZINでも、海外でもなく鍵山戦を迎えることになる。MMA打撃能力の高さは周知のところといって良い中村は、柔術家の組みへの対処も3分3Rという戦いのなかで見せている。では1R5分の時間軸のなかで、しつこさに定評のあるベテランとの戦いはどうなるのか。その辺りが焦点となる鍵山戦だ。

さらにはバンタム級で手塚基伸×笹晋久という渋すぎる実力者対決。さらにさらに齋藤✖児山佳宏、ここで復活か──という山本琢也×岡野結城の千葉✖茨城ライト級対決も見ものだ。

「名前を上げたいなら、力で掴み取れ」、「ジムを創るならクラファンに頼るな」という髙谷節が聞こえてきそうなカードが揃ったPOUNDOUT。その旗揚げ戦に向けての髙谷のコメントは以下の通りだ。

髙谷裕之
「僕自身、格闘技との出会いが人生を大きく変えてくれました。それは、ただのスポーツではなく、僕の人生に新たな道を切り開いてくれたものです。格闘技には、人の心を動かし、人生を変える力があると信じています。この力を皆様にも感じていただきたく、今回のPOUNDOUTを開催することを決意しました。

POUNDOUTでは、本当の強さを求め、自分の限界に挑む選手たち、そして世界に挑戦する勇気を持つ選手たちを応援しています。彼らの熱い戦いを通して、格闘技が持つ無限の可能性と感動を感じていただければ幸いです。

地元千葉から世界へ。新たな挑戦の瞬間を、皆様と共に作り上げていきたいと心から願っています。どうぞ、僕たちと一緒に格闘技の力を感じ、選手たちに熱い応援をお願いします。皆様のご声援が、彼らの力になります。よろしくお願いいたします」

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45 MMA MMAPLANET o RIZIN Shooto Shooto2023#02 Shooto2023#05 Shooto2023#07 Special   ヒロヤ 修斗 安芸柊斗 山内渉 新井丈 関口祐冬

【Special】J-MMA2023─2024、新井丈「負けも含めて……絶対にまた強くなれるから」「必ず戻ってくる」

【写真】さらに強い意思を持って、新井丈は戻ってくる(C)TAKUMI NAKAMURA

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Takumi Nakamura

J-MMA2023-2024、第十四弾は修斗で史上初のストロー級&フライ級の二階級同時制覇を成し遂げるも、大晦日RIZINでKO負けを喫した――新井丈に話を訊いた。

8連勝中で迎えた2023年も連勝記録は続き、7月にストロー級王座をKO防衛、9月にフライ級王座をKO勝利で獲得。新井は常に激闘を連発し、修斗のみならずJ-MMAの年間MVP候補と言ってもいい活躍を見せていた。しかし大晦日RIZINではヒロヤにまさかのKO負けを喫し、約4年ぶりの黒星で年を越す形となった。まだ敗戦の傷も言えないなか、新井がインタビューに応じてくれた。

■2023年新井丈戦績

3月19日 Shooto2023#02
○3-0 関口祐冬(日本)

7月23日 Shooto2023#05
○1R4分41秒 by KO 安芸柊斗(日本)

11月19日 Shooto2023#07
○3R2分55秒 by KO 山内渉(日本)

12月31日 RIZIN.45
●2R2分53秒 by TKO ヒロヤ(日本)


――大晦日の試合が終わってからはどのように過ごしていたのですか。(※取材は10日に行われた)

「もちろん練習も運動もせず、人とも会ってないですね。人と会うとどうしてもごめんねって気持ちになっちゃうし、場の空気も悪くなっちゃうんで(苦笑)。立ち直りたい気持ちもあるんですけど、少なからず気持ちが落ちているところもあるから、相手に気を遣わせるんだったら、一人で考える時間を過ごそうと思っています」

――ヒロヤ戦は約3年半ぶりの敗戦で、しかも11連勝中が途切れる敗戦でした。前回の敗戦とは意味合いが違ってくると思います。

「意味が違いますね。連敗中は積んでいるものがなかったから、負けるべくして負けていたし、負けが増えたところで失うものがなかったから、自分が恥ずかしくなるだけでした。でも今は勝ってきた分、修斗のファンも背負っていたし、応援してくれる人も増えているから、自分が負けたことで落ち込ませてしまう人が多いという状況ですよね」

――衝撃的なKO負けでしたが、試合映像は後からチェックすることはできましたか。

(C)RIZIN FF

「ちゃんと見ています。

まずKOされたシーンは完全に記憶が飛んでいたので、どうやって自分がKOされたのかを把握したかったんです。そうはいっても悔しさがよみがえるから、すぐに映像を見ることはできなかったです。気持ちがちょっとずつ回復してきたタイミングで何回か見ました」

――11月の修斗でのタイトル戦から短期間での大晦日RIZIN出場となりました。結果論で語るのはナンセンスだと思いますが、試合をしなかった方がよかったのではないかという声も出ています。その上で大晦日に試合をしたことはどのような経験になりましたか。

「今までにないキャパと注目度だったので、それは自分の経験値になりましたよ。だからそこは絶対にプラスになったと思います。あとは負けも含めて………絶対にまた強くなれるから。こんなに悔しい気持ちは久々で、自分自身にも周りにもこんな悔しい気持ちはさせちゃいけないと強く思ったんで、もう負けたくないですね。一戦一戦自分のすべてをかけて戦わなきゃいけないと思いました」

――自分の負けで落ち込んでくれる人間がこんなにいたのかと驚いた部分もありますか。

「そうですね。自分のことのように悔しがってくれている人がいて、そこまで自分の試合に感情移入してくれてたんだなって。だからそれを知ったことはより辛かったんですけど、言い方を変えれば、そのくらい人の心を動かせられる・影響を与えられる選手になったんだなとは思いますね」

――では大晦日をのぞいて2023年は新井選手にとって、2023年とはどのような1年でしたか。

「大晦日をのぞけば100点です。自分が持っている以上の力を発揮できたし、より多くの人を巻き込むことが出来た1年だったと思います」

――年の始めにそのような1年になることはイメージしていましたか。

「いざ現実と照らし合わせたら、ここまでになるとは思っていなかったけど、もっと輝いている自分を想像して生きているんで、なるべくしてなっているなって気持ちはあります」

――修斗ではストロー級王座を防衛して、フライ級にもチャレンジして史上初の2階級同時王者となりました。ある意味、ストロー級ではやりきった部分もあると思います。これから階級はどこで戦っていこうと思っているのですか。

(C)SATOSHI NARITA

「基本的にはフライ級でいいのかなと思っています。

それこそストロー級でたくさんの人の心を動かすカードやモチベーションになる試合があるならいいんですけど、正直今はそれが見当たらない。だったら僕は挑戦していく姿を見せていきたいし、だからフライ級でやることになると思います」

――新井選手が試合を受けるうえで、どれだけ人に響くか。チャレンジできるかが基準になっているのですか。

「そこが大事ですね。『そりゃ新井丈が勝つだろ?』という試合はやりたくないし、勝った時にどれだけの人が沸くかを考えて試合を受けています。特にこれからはコンスタントに試合をするというよりも、一試合一試合どれだけ意味がある試合なのか、注目してもらえる試合なのか。そこを考えてやっていきたいですね」

――どの選手にも2024年の抱負や目標を聞いているのですが、今はまだ次の試合のことは考えられないですか。

「まず大晦日に勝ったとしても半年は休むつもりだったんですよ。それこそフライ級でやることになったら、そのための身体作りも必要だし、自分のウィークポイントでもある組み技も強化しないといけない。そこは時間がかかると思っていたので。そこは負けても変わらず、です。なんならKO負けしているので、しっかり時間をかけてダメージを抜いて、体作りから始めたいです」

――フライ級仕様に仕上げるには時間がかかる、と。

「いずれフライ級でやるだろうなと思っていたから、この2~3年は常に増量とバルクアップを念頭に置いて過ごしてきたんですけど、どうしても試合数が多いと通常体重が変わらないんですよね。身体作りには時間がかかるし、コンスタントに試合をやりながらでは難しいということを身をもって分かっているので、今は試合間隔を空けて、身体を作る時間にあてたいですね」

――また一から作り直すという感覚ですか。

「一からではないですね。自分は器用じゃないから、このスタイルを突き詰めるしかないと思っているし、時間がある分、変えなきゃいけないところや伸ばさなきゃいけないところを考えてから動き出したいです。そこはジムでも話し合いつつですが、自分のスタイルをガラッと変えることはないです」

――ではまた改めて新井選手が復活する時を待ちたいと思います。

「自分が試合で勝ってきた感覚や戦い方はすぐになくなるものではないし、試合でガチガチに緊張するタイプでもないので、自分は半年(試合が)空いても問題ないと思っています。本当は勝って、そうしたかったんですけど人生そこまで楽じゃないですね(苦笑)。でも必ず僕は戻ってきますよ」


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【RIZIN】RIZIN.45 新井丈×ヒロヤのあとがき


堀口恭司×神龍誠、朝倉海×ファン・アーチュレッタ、平本蓮×YA-MANなどが注目を集めたRIZIN.45。その前半戦でわりとひっそりと行われた新井丈×ヒロヤの一戦に注目していた格闘技マニアは何気に多いのではないでしょうか。

新井は修斗でストロー級とフライ級の2階級を同時に制覇した唯一の選手。そして9連敗から11連勝して成り上がった破天荒な経歴。さらにはケンカのような間合いで衝撃的なKOを量産するファイトスタイルが相まって2023年最も修斗で輝いた選手と言っても過言ではないでしょう。

そんな修斗の象徴が初めてのRIZINで対戦したのは朝倉未来門下生のヒロヤ。DEEPでの戦績は勝ったり負けたりと平凡なものの、朝倉のプッシュもあって今年RIZIN初参戦。結果0勝2敗と1度も勝っていませんが、ブレイキングダウンで得た人気をバックに大晦日にも出場。そればかりか修斗の顔と言うべき新井とぶつかる事になったから、修斗マニアの心中は穏やかではなかったはずです。

その裏側では実績と勢いに勝る新井が成敗してくれるだろうと期待していたのも束の間、得意のはずの打撃戦で相次いでパンチを被弾。最後はハイキックを効かされ、追撃のパンチを浴びてTKO負けを喫しました。

負ける事が想像出来なかった新井のよもやの敗戦。現実を受け止める事が出来ず、落胆したフォンがどれだけいた事か。でも、両者のファイトスタイル、試合までの流れを見ると、あながちヒロヤのまぐれ当たりではなく、ある種必然だったようにも思えます。

まずはファイトスタイル。戦前の展開予想でも触れた通り、連勝中に新井が対峙してきたのはストライカーが中心。真っ向から打ち合ってくれたからこそ、新井の強みでもある打撃が十二分に活かされ、KOの山を築いてこれたのは紛れもない事実です。

対するヒロヤはテイクダウンにこだわり、グラウンドでガッチリ固めてコントロールするファイトスタイル。新井はこの手のコテコテのタイプとの対戦経験はほとんどなく、手を焼くであろうと予想していました。

現に試合では、テイクダウンこそ許さなかったものの、再々タックルで組み付かれて間合いを潰され、スタンドでの打撃に集中し切れなかった様子が見て取れます。

そして組み一辺倒のイメージが強いヒロヤですが、スタンドの打撃が着実に上達している事も番狂せを起こした要因のひとつ。タックルの合間を縫って的確にパンチを入れた場面が印象的。さらに序盤から狙っていたハイキックをクリーンヒットさせるあたりは、しっかりと新井対策を講じてスキルアップしてきた所以ではないでしょうか。

現にヒロヤと同じJAPAN TOP TEAM所属の西谷大成も11月のFIGHT CLUBで初めてのキックルールに挑戦。ここでも本職のキックボクサー山口裕人から3度のダウンを奪ってKO勝ちを収めました。ヒロヤが勝利した瞬間、西谷の勝利がオーバーラップしてきたのは私だけでしょうか。日本、海外問わず名コーチを招聘してメガジム化してきたJTTの成果がこの2試合に表れ始めた気がします。

さらに言うと新井のフィジカル(体調)も引っかかるポイント。元々ストロー級を主戦場にしてきた新井にとって1階級重いフライ級は若干背伸びした感は否めません。リング上でヒロヤと並んだ時にも一回り小さく見えたし、普段よりも大きい相手をプレスし切れなかったように見てました。

そして、新井の体調が万全だったかと言えばこれもまた疑問。直近では11月19日に修斗の世界フライ級王座を賭けて山内渉と対戦。身長、リーチ、フィジカルで上回る山内が前蹴りで新井の動きを止めて、左右のフック、ハイをヒットさせてKO寸前に追い込まれました。

結果的には逆転のKO勝ちを飾ったものの、新井のダメージは相当大きかった。しかも、この試合は修斗初の2階級同時制覇がかかった大一番。全てのモチベーションを集中させていただろうから、試合の1ヶ月後の大晦日にRIZINでビッグマッチと言われてもモチベーションも上がり切らず、ダメージも回復し切れなかった事は想像に難くありません。

とはいえ、そんな事は新井本人もトレーナーを務める大沢ケンジも百も象徴でしょう。リスクを背負ってでもRIZINに参戦して、名前を売る、より高みを目指す事を優先したわけだから、その決断は決して責められません。

それでも、この敗戦はぶっちゃけ本当に痛い。全てがフイになる事はないとしても、11連勝も修斗2階級同時制覇も、手にしていたものが、1回の敗戦でヒロヤに総取りされました。修斗を見続けて新井の勝利に胸を震わされた1人のファンとして正直残念だし、悔しい気持ちで一杯です。

しかし、酷な事を言うようですが、これもまた格闘技。これもまた人生。いい事ばかり続かないし、チャンスを掴むためにリスクを負って勝負しなきゃならない事だってありますもん。それでこそ新井丈なのかなと。

でも、このままでは終われない。今回の敗戦を受けて新井はどう動くのか。敗戦を無かった事にして修斗で防衛戦を重ねるのは避けてもらいたい。目線の先にはRIZIN再上陸を見据えてリベンジのチャンスを伺ってほしいというのが無責任な外野のファンの願いです。

そして、現役の二冠王者の首を獲られた修斗。新井陣営が負った責任なのかもしれませんが、このまま引き下がっていいものか。フライ級なら山内渉、関口祐冬、体重を調整出来るなら、バンタム級の藤井伸樹や竹中大地あたりがヒットマンとして送り込まれたら、因縁があってストーリー的にも面白くなりますが。。。果たしてどうなりますか。

でも、よく考えたら9連敗しても現役にこだわり続けて結果を出した新井丈。今回の1敗なんてわけないんじゃないかと。2024年もまた何か大きな事をやってくれる予感がしています。ご武運あれ。
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AB DREAM Grachan MMA MMAPLANET o RYO RYOGA Shooto Shooto2024#01 TOMA イーサン・トーマス ヤックル真吾 亮我 修斗 宮城友一 山内渉 永井奏多 藤井伸樹 鈴木崇矢 須藤拓真 齋藤翼

【Shooto2024#01&#02】2024年、プロ修斗開幕戦は藤井伸樹×須藤拓真。鈴木崇矢は初陣&新人王T決勝

【写真】嚙み合えば須藤。噛み合わなければ藤井という見方は成り立つ(C)MMAPLANET

30日(土)、Sustainよりプロ修斗公式戦2024年第一弾=1月28日(日)に東京都港区ニューピアホールで開催されるShooto2024#01&#02の対戦カードが発表されている。
Text by Manabu Takashima

昼夜二部入れ替え制でスタートを切るプロ修斗の新年、第一部はフェザー級のTOMA×齋藤翼、フライ級で関口佑冬×ヤックル真吾&宮城友一×鈴木崇矢という3回戦に加え、新人王トーナメント決勝戦5試合など計9試合。第二部は環太平洋バンタム級選手権試合=チャンピオン藤井伸樹×チャレンジャー須藤拓真、インフィニティリーグ女子ストロー級2回戦を中心に8試合が明らかとなっている。


第一部の注目は、やはり鈴木崇矢のプロ修斗公式戦初参戦か。格闘DREAMERS出身、今年はGRACHANが主催したJ-MMA Rookies CUPフライ級を優勝した鈴木は、GRADIATORからいよいよ主戦場を修斗としたベテランの宮城友一と戦う。

鈴木にとって過去最強の相手といって良い宮城だが、昨年は長年の格闘家人生で蓄積したダメージという部分も試合で感じられたのも事実だ。とはいえ精神的に宮城は鈴木の打撃に圧されることはなく、テイクダウンも切って首相撲に持ち込める。

鈴木に必要なのは勢い+αの部分。押せ押せの動きのなかで、冷静にカウンターを打ち抜くことがあれば――鈴木が格闘DREAMERSの動機=山内渉の位置に一気に近づくこともできるマッチアップだ。

その鈴木がランカーと3回戦で修斗初戦を行うなか、キャリアでさほど変わらないのにかかわらず注目度という点で、大きな差があるフライ級新人王Tファイナルに進む亮我と永留惇平は、負けてたまるかという気持ちが強いはず。

逆をいえばリアリティTVショーからプロデビューが武道館、プロモーションの枠を超えた新人戦優勝者の鈴木に対し、アマ修斗からライセンスを取得し、プロシューターとしてキャリアを踏み始めた者が意地を見せなければ、何のための修斗のヒエラルキーか。

そういう意味ではフライ級決勝で戦う両者だけでなく、5階級のファイナリスト全員、いやバンタム級2回戦で戦うHAMMER KATUと永井奏多も同じ思いで2024年初陣に挑んでほしいものだ。

第2部のメイン。厳密にいえば修斗のヒエラルキー外から顔の一人となった藤井が、グラップリング&柔術&MMAの3つの草鞋を履く須藤の挑戦を受ける環太平洋バンタム級選手権試合は2大会を通して再注目マッチとなる。

MMAのレーダーチャートとしては、圧倒的に形が整っているチャンピオンに対し、須藤はサブミッション……特に足関節が極端に突き抜けているファイターだ。とはいえ須藤は11月のADCCアジア&オセアニア予選66キロ級では優勝したイーサン・トーマスに、その足関節を凌がれ引き込んでことで敗北を喫している。

ADCCは引き込めば、マイナス。MMAでは下になれば殴られる。ここは藤井の足関節の防御力が問われる。とはいって、この試合はMMAだ。拳が届くより遠い距離で徹底して組みや引き込み、今成ロールを突き放すという勝利の方程式が、藤井には存在している。

いってみれば須藤としては、自身がボトムになった時に藤井がパウンドを落とそうが、寝技に付き合ってくれる展開を望むであろう。なんせ15分の試合中、1度でも自分の形になれば藤井のヒザを壊すことができる。それが最初の30秒で訪れるのか、最後の10秒で訪れるのか。

ハーフから、あるいはK ガードも十分にありうる須藤の組手のなかで、藤井は抱えられそうな脚の足裏をいかにマットにしっかりとつけて、絡んでくる足を捌くことができるのか。精神的にタフすぎる局面でミスをしないことこそ、藤井がベルトとヒザを守る命綱となる。

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AB ABEMA CORO DEEP MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN45 UFC シン・ジョンミン パンクラス ヒロヤ ヴィンス・モラレス 中島太一 中村優作 伊藤裕樹 佐藤将光 修斗 元谷友貴 太田忍 山内渉 岡田遼 後藤丈治 新井丈 朝倉未来 朝倉海 猿丸ジュンジ 石原夜叉坊 那須川龍心

【RIZIN45】元谷友貴が元UFCファイターのモラレスと対戦、新井丈×ヒロヤ、那須川龍心×ジョンミンが決定

【写真】11月のDEEPではCOROにTKO勝利した元谷。6年連続での大晦日出陣となった(C) MMAPLANET

18日(日)、ABEMAで放送されたRIZIN特番にて、12月31日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN45の追加カード発表された。

大会まで約2週間、新たに元谷友貴×ヴィンス・モラレス、新井丈×ヒロヤ、那須川龍心×シン・ジョンミンの3カードが追加された。元谷のRIZIN参戦は今年5月の朝倉海戦以来、約7カ月ぶり。11月にDEEPでCOROと再起戦を行い、TKO勝利を収めてのRIZIN凱旋となる。

(C)Zuffa/UFC

一方のモラレスはレスリング出身で、2018年11月からはUFCに参戦して8戦3勝5敗のレコードを残しているファイター。今年5月にはXMMAで石原夜叉坊と対戦し、2Rに右のオーバーハンドを効かせると、アナコンダチョークで一本勝ちを収めている。現在は朝倉海のスパーリングパートナーとして来日中で、今回のRIZIN参戦が決まった。

元谷がRIZINを離れている間、RIZINバンタム級では岡田遼とのパンクラス×修斗王者対決に勝利した中島太一、初参戦で太田忍を下した佐藤将光、ツイスターで2連勝した後藤丈治らが台頭している。同日にはフアン・アーチュレッタVS朝倉海のバンタム級タイトル戦が組まれており、元谷×モラレスは2024年のタイトル戦線浮上をかけた一戦だ。

修斗世界ストロー級&フライ級王者・新井丈とヒロヤの一戦も決まった。新井は昨年9月に猿丸ジュンジを下して修斗世界ストロー級王座に就くと、今年11月には山内渉をKOしてフライ級王座も戴冠。修斗史上初の2階級同時戴冠を達成した。

一方のヒロヤは朝倉未来1年チャレンジ一期生で、2003年7月からRIZINに参戦し、伊藤裕樹と中村優作に連敗しているものの、いずれもスプリット判定によるもので健闘が光った。修斗で11連勝してRIZIN初参戦となる新井と結果こそ出ていないもののRIZINで戦績を積むヒロヤという対照的なキャリアを歩んできた2人のマッチアップだ

また会見前日のRISE両国大会でRIZIN参戦&MMA挑戦をアピールした那須川龍心の出場も正式に決まり、韓国のシン・ジョンミンと対戦することもアナウンスされた。

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AB ABEMA DREAM F1 MMA o Shooto   エフェヴィガ雄志 エンゼル☆志穂 オーディン チャンネル パンクラス ブラック ライダーHIRO 修斗 吉成はるか 宇野薫 山内渉 川北晏生 後藤陽駆 新井丈 杉本静弥 浜松ヤマト 竹原魁晟 藤野恵実

プロフェッショナル修斗公式戦『PROFESSIONAL SHOOTO 2023 Vol.7』試合結果

GOOD ENOUGH グッドイナフ ジャケット サイズ:M 55枚限定 UCS 宇野薫商店 5周年記念 袖レザー メルトン スタジャン 2006年モデル 00s ブラック ホワイト 黒白 アウター ブルゾン 【メンズ】【中古】【K3909】



第10試合 メインイベント 修斗世界フライ級チャンピオン決定戦 5分5R
×山内 渉(FIGHT FARM/世界1位)
○新井 丈(和術慧舟會HEARTS/世界暫定1位、ストロー級世界王者)
3R 2’55” KO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
※新井が王者に

第9試合 セミファイナル フェザー級 5分3R
○オーディン(格闘DREAMERS/世界3位)
×宇野 薫(UNO DOJO/元ライト級世界王者)
2R 0’56” KO (レフェリーストップ:右飛び膝蹴り)

第8試合 epsomsalt seacrystals Presents インフィニティリーグ2023 女子ストロー級 5分2R
△藤野恵実(JAPAN TOP TEAM/パンクラス3位・元王者/勝ち点6→7)※トライフォース赤坂から所属先名称変更
△杉本 恵(AACC/女子スーパーアトム級1位/勝ち点4→5)
判定1-0 (長久保20-18/橋本19-19/杉本19-19)

第7試合 epsomsalt seacrystals Presents インフィニティリーグ2023 女子ストロー級 5分2R
○吉成はるか(パラエストラ小岩/勝ち点0→3)※シューティング宇留野道場から所属変更
×エンゼル☆志穂(GSB多治見/勝ち点0)
2R 4’36” Vクロスアームロック

第6試合 epsomsalt seacrystals Presents インフィニティリーグ2023 フェザー級 5分2R
○竹原魁晟(パラエストラ松戸/勝ち点6→10)
×浜松ヤマト(T・GRIP TOKYO/勝ち点6)
1R 0’38” KO (右フック)

第5試合 バンタム級 5分2R
×ライダーHIRO(シューティング宇留野道場)
○川北晏生[はるき](TRIBE TOKYO MMA)
2R 3’34” フロントチョーク

第4試合 バンタム級 5分2R
△江口 諒(SAI-GYM)
△シモン・スズキ(和術慧舟會HEARTS/23年全日本アマ同級優勝)
判定0-0 (19-19/19-19/19-19)

第3試合 フライ級 5分2R
×本多“弥彦”直樹(SAI-GYM)
○中池武寛(パラエストラ小岩/23年全日本アマ同級優勝)
1R 1’32” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)

第2試合 フライ級 5分2R
△大竹 陽(HAGANE GYM)
△杉本静弥[せいや](パラエストラ柏)
判定1-1 (19-19/19-19/19-19)

第1試合 ライト級 5分2R
○エフェヴィガ雄志 (TRIBE TOKYO MMA/2022ウェルター級新人王)
×後藤陽駆[ようく](シューティングジム大阪)
1R 0’21” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)

オープニングファイト バンタム級 5分2R
×Jセロウ若林(SAI-GYM)
○中野剛貴(KRAZY BEE)
判定0-3

 11月19日に後楽園ホールで開催されたプロフェッショナル修斗公式戦『PROFESSIONAL SHOOTO 2023 Vol.7』の試合結果。メインイベントの世界フライ級チャンピオン決定戦は新井丈が山内渉に3R KO勝ち。セミファイナルはオーディンが宇野薫に2R KO勝ちしています。オーディンは「この試合を機に一回格闘技界に一区切りをつけます。どっかで名前を見た時は応援お願いします」とコメント。


 宇野薫はXでこんなコメントをしています。続きを読む・・・