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【Shooto2021#07】結城大樹戦へ。レーダーチャートばらつきまくりの岩本健汰「打撃もチョットできるぞ」

【写真】まるで個性派俳優のような岩本。別に俳優などつけなくても、個性派ということで良いのだが…… (C)MMAPLANET

6日(土)、東京都江東区のスタジオコーストで行われるShooto2021#07で、グラップリング国内最強と言われるようになり久しい岩本健汰が、9月に続きMMA2戦目を結城大樹相手に行う。

初陣=椿飛鳥戦では打撃を被弾することなく、ケージに押し込みテイクダウン。組みの展開になると圧倒的な力の差を見せた。とはいえ今回戦う結城は、環太平洋王者だった仲山貴志と7月に分け、修斗戦績は4勝1敗3分とMMAの経験値は岩本とは明白に差がある。

打撃はルーキー、寝技は国内最強。ケージレスリングの強さを折り紙付きという──レーダーチャートが極端にばらつくルーキーは、MMAとしてどのような打・倒・極の回転を見せることができるのか。MMA初戦を振り返り、結城戦について自信のほどを尋ねた。


──修斗2戦目というか、MMAの2試合目が今週末に迫ってきました(※取材は11月2日に行われた)。デビュー戦後に話を聞かせてもらおうと思ったら、さっさと帰宅されてしまったようで(笑)。

「試合は最後まで見たのですが、すぐに帰りました(笑)」

──もう40日前ですが、初めてのMMAの手応えは?

「自分で思っていたよりもスムーズにいきました。もう少し、打撃の洗礼とか受けるかと思っていたので。ケガもなくて終わったので良かったといえば良かったですが、経験という点では本当のMMAの打撃の攻防がなかったので、そこは足らなかったかと思います」

──スタンドで殴られることなく組んでケージへ。その前に蹴りを使っていましたね。

「対峙した時の緊張感が、こういうものかと感触があって。それほど恐怖心はなかったです」

──岩本選手の組みの圧力が、椿選手の打の圧力より上だったかと。椿選手が振りまわす様な無軌道なパンチを振るってくる方が嫌だった?

「そこは……どうですかね。前に出てくる方が、組みやすいといえば組みやすいかもしれないです。凄くプレッシャーを掛けられていたら別ですけど。前にガムシャラに出てくるのなら、組みつくだけなので問題なかったと思います」

──実戦のなかでケージレスリングを初めて行ったかと。その辺りについては?

「グラップリングに関しては、ケージで試合をしたのも過去に1回で相手が引き込むという試合内容でした。でも、グラップリングやケージレスリングに関しては心配はなかったです」

──組みのなかの打撃も互いに少なかったです。

「一応、寝かしたときにチョコチョコ殴ったのですが、効かせたとかはなかったですね」

──それよりも鼻がもげるんじゃないかというチョークの仕掛けを見て、モッティはえげつない絞め方をすんだと思いました(笑)。

「えげつない……ハハハハ、ありがとうございます!! けっこう、無理やりに入れることが多いです」

──そして、すぐに今回の試合が決まりました。

「11月は実はUnrivaledが明日(※3日)にあるじゃないですが、そこに出る予定でいました。だけど1週間ほど考えて、MMAに出たいと伝えました。Unrivaledでは海外の選手を呼ぶと言ってくれていたのですが、それができない状態だったのでUnrivaled側もそこは理解してくれました。

僕自身、グラップリングで日本人選手と戦うなら、今はMMAの経験を積むべきだと考えました。練習もMMAが中心というか、MMAを優先していますし」

──前日計量の65.8キロというのは、2年前のアブダビの66キロ以下級以来ではないでしょうか。

「アブダビの時も水抜きをしましたけど、知識は今の方があるので大丈夫だと思います。前の試合の前から、ずっと試合があるかどうかということで体重を抑えてきて、それほど落とし幅もないですし」

──対戦相手の結城大樹についての印象は?

「試合映像を見ましたが、結城選手も打撃を振るうとすぐに組みつくタイプの選手だったので、僕と戦うときはどうするのかチョット楽しみです。もしかしたら打撃を続けるかもしれないけど、すぐにテイクダウンに来るかもしれないし」

──ジャブで突き放し、徹底して組みを拒否する戦いになると一番厄介でしょうか。

「そうしたら、僕が打撃でプレッシャーをかけます」

──おお!! 

「デビュー戦の時よりも、打撃も成長しています。前回の試合を比較すると、良くなっています。練習していた、どの部分が試合で出すことができるのか分からないですけど怖さも前よりないですし、良くなっていると思います。打撃でプレッシャーを掛けることもできるんじゃないかと思います」

──グラップリングのトップ選手として、西川大和選手のように下から殴って来る戦術をどのように思いますか。

「上を取ったから殴られないとか、危なくないというのは全くないと思います。上を取っても頭の位置とか気を付けないといけないし。だから上を取るだけでなく、ポジショニングが大事だと思います。だから、西川選手のようなスタイルの相手がいればまずは足を一本抜いてハーフに行きます。僕自身はパウンドとかは、ちゃんとポジションを取ってからの方が良いという考えです」

──西川選手ほど上手く使えなくても、あの試合を見て真似る選手は出てくるかと思います。

「下から殴る人は出てくるかもしれないですね。ただ、僕としては簡単に下になってくれる方が楽です」

──なるほど。では、今回の試合ではMMAファイターとして成長した姿を見せるとすると、どこに注目してほしいですか。

「戦い方は相手次第になると思います。ただ打撃もちょっとはできるぞというのは、見せられるんじゃないかと思います」

──不敵な笑みを浮かべていますね。

「アハハハ。打撃に関しては、ここ最近になって以前より見えるようになってきていますし、結城選手が打撃で突っ込んで来ても、見て距離を取る準備をしているので大丈夫だと思います。

それに打撃をもらったとしても気持ちが折れることはないと思います。とにかく負けたくないので、僕の気持ちを折ることはできないです」

■視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後1時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■Shooto2021#07対戦カード
             
<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
[王者] 黒部三奈(日本)
[挑戦者] SARAMI(日本)

<修斗暫定世界ストロー級王座決定戦/5分5R>
猿丸ジュンジ(日本)
黒澤亮平(日本)

<フェザー級/5分2R>
結城大樹(日本)
岩本健汰(日本)

<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
澤田千優(日本

<フライ級/5分2R>
高橋SUBMISSION雄己(日本)
山内渉(日本)

<ミドル級/5分2R>
岩崎大河(日本)
清水洸志(日本)

■VTJ2021視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後4時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■VTJ2021対戦カード

<58.5キロ契約/5分3R>
平良達郎(日本)
アルフレド・ムアイアド(チリ)

<フェザー級/5分3R>
宇野薫(日本)
原口央(日本)

<ライト級/5分3R>
西川大和(日本)
菅原和政(日本)

<63キロ契約/5分3R>
佐藤将光(日本)
河村泰博(日本)

<ライト級/5分3R>
原口伸(日本)
岡澤弘太(日本)

<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
野村駿太(日本)

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【VTJ2021&Shooto2021#07】坂本一弘代表に訊く、Shootoのヒエラルキー─03─「勝ちゃあ、良い」

【写真】岩本健汰はプロアマ通して、1度もMMAを経験することなくプロ修斗公式戦を戦った(C)MMAPLANET

いよいよ 6日(土)に迫ったVTJ2021とShooto2021#07。東京都江東区のUSENスタジオコーストで両大会を主催するSustainの坂本一弘氏インタビュー最終回。

VTJが復活した今、修斗公式戦では中村倫也及び宇佐美正パトリックというEXFIGHT勢がアマ修斗を経ず、公式戦でKO勝ちデビュー。岩本健汰がアマでもMMAを経験せずにプロ修斗に参戦し、RNCで一本勝ちした。彼らのデビュー関して、修斗のヒエラルキーが崩れるという声がはからずとも起こった。

アマからプロという一貫した競技性を気付いてきた修斗における変化を坂本氏はいかに捉えているのか。そこにはVTJと再び行う意志に通じる、強さへを追求する姿勢が見られた。

<坂本一弘インタビューPart.02はコチラから>


──VTJと修斗と同日興行、その先には海外というモノが存在しています。再び、富国強兵の時がやってきたのかと。

「まぁ修斗とVTJに関連づけると、現状において海外で成功している日本人は堀口恭司──ただ1人ですよね。ならばその成功例を真似るというのは一つの正解だと思います。SASUKE選手とかにもそういう話をしました。同じテンションではできなくても1カ月とか2カ月の間、米国で練習をして、その経験を日本に持ち返る。次の戦いに備えて自分のできることをやっていく。

堀内恭司にはなれなくても、自分のやり方は見つかるはず。だから焦ったり、短絡的な選択をしない。そのためのステップという意味はありますよね──今回のVTJというのは。だから厳しい試合を外から持って来る。今はコロナ禍で制限もありますが、そこを崩しに掛かっているので、90年代にVTJでやってきたことをやる。今回だけでなく、2022年の公式戦に関しても、その方向性で見ています。

日本は最弱ではないです。でも、どこもかしこも強くなっているから置かれている状況は厳しい。厳しいからこそ、厳しいことを強いて殻を破らないといけないです。1996年の『日本最弱』、あれは日本の総合格闘技がピンチを迎えた時ではあったと思います。強さという威厳を保つうえで。で、そのピンチの後には、何があったか……。

VTJが7月7日に浦安のNKホールであり、7月28日にクラブチッタ川崎で第3回全日本アマチュア修斗があったんです」

──ウェルター級(※69キロ)の決勝が……。

「桜井速人✖宇野薫でした。この時は川崎フリーファイトとしてプロの試合も組んで、郷野聡寛が須田匡昇と戦っているんですよね」

──郷野選手はその後のVTJに出場はなく、年が明けて1月の後楽園ホール大会で戦う。そういう印象が強いです。須田選手は98年のVTJでマーク・コールマン門下のブランドン・リー・ヒンクルに足関節を仕掛けてカカトで顔面に蹴られまくった。

「ホント、修斗が世界に逆襲、打倒ブラジルを掲げて99年に成就した。でも、それって今から思うと綺麗なストーリーですけど、当時はひたすらに必死になってやっていただけですからね。とにかく負けるかって言うことで」

──坂本さんは今もある意味、必死のパッチじゃないですか(笑)。

「ホンマにそうですよ(笑)」

──VTJと修斗はレコードのA面とB面という話でしたが、A面の方ではアマ修斗を経ず公式戦デビューをした中村倫也、宇佐美正パトリックの両選手ばかりか、プロアマ問わずMMAを経験していない岩本健汰選手が、プロ修斗でプロMMA初陣を戦う。そしてアマ修斗を経てプロになった選手を圧倒しました。これはA面のヒエラルキーとして、危機感を持つことはないですか。アマ修斗を経ない選手たちの出現に、修斗が修斗でなくなるという声も聞かれますし。

「まぁ、そういう声があるということに関して正直にいうと、『だから、どうなんだ?』ということですよね。修斗のヒエラルキーを守ろうとする人たちに関しては、そういう風に思ってくれて有難いです。修斗をそうやって大切に思ってくれている。そういう人たちがいてくれて、修斗は成り立っているのも確かです。

でも、強い選手にプロ修斗公式戦を戦ってもらうことを否定して良いモノでしょうか。なら外国人選手を招聘することも、厳密にいえばヒエラルキーから外れてきてしまうじゃないですか」

──確かにそうですね。

「20年以上前にマット・ヒューズとデイブ・メネーを招聘した時、『なんで、ククラスBじゃないんだ。修斗で実績がないだろう』という意見も出ました。強い選手はどこにでもいるんですよ。岩本健汰の出場に反対する。それがアマ修斗の存在を脅かすというのであれば、椿飛鳥が岩本に勝たなアカンかったんですよ。アマ修斗の存在感を頑強にするのであれば。

これは椿の敗北に関して、注文をつけているわけじゃないです。青木のあんな要求を受けて、試合を受けた。大したもんです。試合なんです。椿は勝つためにオファーを受けた。勝つチャンスは均等に与えられているんです。

それをモノにするかどうか。これは修斗に関わっている人間に対しての僕の考えです。ファンの人たちに対しての言葉ではないです。ファンの人たちは好き勝手、自分の想う修斗を応援してください。

その一方で、修斗関係者に対しては、自分たちが修斗の在り方を守りたいために、力のある選手が修斗公式戦に出ようという状況を阻害するのはおかしいと思っています。それを守って、強さを追求するというのは違う。それは修斗の理念ではないんじゃないかという気がします。

僕はプロモーターです。だから『お前の解釈だと、岩本が出ることは都合が良いんだろう』って言われたとしても、『強いから、しょうがないやないか』と。別に最初から世界王座に挑戦しているわけでもないですからね。試合になる椿との試合を組んだ。正しいのは勝った岩本です。それだけです。勝ちゃあ、良い。

それだけアマ修斗が大切なら、アマ修斗の全日本王者が無敗でずっと勝ち続けられるよう選手を強化していけば良いじゃないですか。それができていなくて、アマ修斗から勝ち上がってきた選手が、MMA初戦の選手に負けたら、その試合の存在を否定するのではなくて、より強さを目指すアマ修斗であれば良いんじゃいかと」

──はい。

「強くなるという目標に向かっていくと、手段は一つではないです。山の頂上を目指すためには、ルートが複数あるように色々な登り方がある。強さを追求するのも同じことだと思いますよ。それに椿が岩本に負けたからってアマ修斗は否定されるモノではないです。アマ修斗が必要な選手は全国にいくらでもいますから。アマ修斗の経験をプロ修斗で生かす人がいれば、グラップリングや柔術の経験をプロ修斗で生かすことができる選手もいて然りです。活かし方は個人の判断です。それは自分で決めないと。

まぁ、でもそうやって疑問を投げかけてくれる人がいるというのは、本当に有難いことだと思っています。修斗らしさ、アマからプロという筋道を大切にしてほしいと言われるのが修斗なんだと僕は捉えています」

──坂本さんはそういう意見も、我々マスコミが書くことも苦虫を嚙み潰したような表情になるでしょうが、許容してくださっていますしね。だから、修斗だけは書きやすいというのは私のなかではありますね。

「ホンマ、勘弁してほしいですけどね(笑)。皆、それぞれに『俺たちの修斗』がある。これは幸せなことやと思います。昔話をして、振り返って。そこで答え合わせをするのもありです。でも、これからのことを考えるうえで、将来の答え合わせを今することはできない。挑戦するから、答が出てくるわけで。挑戦しないと、分からんままです。

だから岩本とか中村倫也、パトリックの出場もそうだし、VTJの再開もそう。挑戦するから、何かが分かる。岩本に勝ちたい、中村に負けるか。パトリックなんぼのもんじゃ──っていう風な選手が出てくること。VTJから世界目指すんやっていう選手が現れることを期待していますし、それにはこっちが動かないとあかん。そういうもんやと考えています」

■VTJ2021視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後4時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■VTJ2021対戦カード

<58.5キロ契約/5分3R>
平良達郎(日本)
アルフレド・ムアイアド(チリ)

<ライト級/5分3R>
西川大和(日本)
菅原和政(日本)

<63キロ契約/5分3R>
佐藤将光(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
宇野薫(日本)
原口央(日本)

<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
野村駿太(日本)

<ライト級/5分3R>
原口伸(日本)
岡澤弘太(日本)

■Shooto2021#07視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後1時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■Shooto2021#07対戦カード
             
<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
[王者] 黒部三奈(日本)
[挑戦者] SARAMI(日本)

<修斗暫定世界ストロー級王座決定戦/5分5R>
猿丸ジュンジ(日本)
黒澤亮平(日本)

<ミドル級/5分2R>
岩崎大河(日本)
清水洸志(日本)

<フェザー級/5分2R>
結城大樹(日本)
岩本健汰(日本)

<フライ級/5分2R>
高橋SUBMISSION雄己(日本)
山内渉(日本)

<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
澤田千優(日本)

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【VTJ2021】国際戦が消えた──西川大和は、菅原和政と対戦。2022年の修斗の主役は西川か平良か

【写真】疑問符がつこうが、西川の試合への関心度は高まるばかりだ(C)MMAPLANET

3日(水・祝)、Sustainより6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストで開催されるVTJ2021で西川大和が菅原和政と対戦することが発表された。

1日(月)にSustainの公式Twitterで『西川大和の対戦相手として海外選手招聘が決定していましたが、カード発表直前にPCR検査で陽性が出たと急報があり、招聘を断念することになりました。西川選手の対戦相手は現在交渉中です。発表をお待ちください!』という発表があり、『某雑誌でもお伝えした『vs元●●●王者/北米のガチ強豪』は幻に…期待してくださったファンの皆様、関係者の皆様、何より西川選手、申し訳ありません。海外強豪の招聘&西川選手との激突は今後実現させるべく動いて参ります!』という投稿も見れた。


招聘予定選手のコロナ陽性の報はVTJ2021に関わる、あらゆる方面の関係者が忸怩たる思いで耳にしたに違いない。某雑誌=現在発売中のFight&Lifeの平良達郎インタビュー・ページに「vs元●●●王者/北米のガチ強豪」という囲み記事が掲載されているが、この来日が幻に終わった選手こそVTJらしさが集約された北米の強豪選手だったからだ。

雑誌に飛ばし記事として掲載されているこの強豪、敢えてここでは名前を伏せるが、米国MMA界イーストコーストの登竜門、さらにフィーダーショー王手のフェザー級王座に就き、元&現UFCファイターを幾人も破っており、西川にとっては世界への扉を開く、いや世界の強さを肌で感じる絶好の機会であった。

9月の後楽園ホール大会で修斗史上最年少18歳10カ月で、世界のベルトを巻いた西川も、このマッチアップにはどれだけ期待し、心が躍ったかと想像すればするほど、代役出場となる菅原戦が危険に感じられる。

試合まで1週間を切り、北米の強豪との対戦がなくなった彼が、どれだけ気持ちを切り替えることができるか。そして菅原にとっては、10月17日にHEATライト級挑戦者決定戦で岡野裕城に敗れたばかりで、まさに棚ぼたで再浮上のチャンスを掴んだことになる。

西川といえば、そのガードからの打撃攻撃で脚光を浴びるなか、世界を見据えてあの斬新なスタイルが通用するのかが常に論じられている。上を取る必要がなく、下で勝てるのだから良しとする説と、上を取れないで下になるようであれば世界には通じないという説、賛否両論がある。

菅原を相手に上を取り、上攻めで強さを見せることができるのか。あるいは意地の下攻めを貫くのか。とはいえ西川本人はスタンドの打撃戦を制し、そこで戦いたくない相手との組みの攻防は、上下を意識せずに勝負しているという意識でしかないかもしれない。

と同時に菅原の勝機は、スタンドの打撃戦を嫌がらずに戦えるかという点に掛かって来る。そして、菅原は上になった時、クローズドから足を一本抜くことができるか。足を抜かれた場合、先の川名雄生戦のようにすぐさま西川は戻すことができるのか。それとも、スクランブルを狙うという選択も出てくるのか。

賛否両論が起こるのも、プロとして存在感が強くなっている表れだ。2022年の主役の座を平良達郎と争うという意味でも西川の一挙手一投足から目が離せない一戦となる。

■視聴方法(予定)
11月6日(土)
午後4時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■VTJ2021対戦カード

<58.5キロ契約/5分3R>
平良達郎(日本)
アルフレド・ムアイアド(チリ)

<ライト級/5分3R>
西川大和(日本)
菅原和政(日本)

<63キロ契約/5分3R>
佐藤将光(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
宇野薫(日本)
原口央(日本)

<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
野村駿太(日本)

<ライト級/5分3R>
原口伸(日本)
岡澤弘太(日本)

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ABEMA MMA VTJ VTJ2021   修斗 原口伸 大搗汰晟 宇佐美正パトリック 宇野薫 岡澤弘太 野村駿太

【VTJ2021】VTJ2021はBRAVE INVASION?! 原口伸がMMA2戦目で、佐山道場の岡澤弘太と対戦

【写真】2戦目がVTJとなった原口伸(C)MMAPLANET

28日(木)、Sustainより11月6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストで開催されるVTJ2021で原口伸✖岡澤弘太のライト級5分✖2R戦が組まれることが発表されている。

2019年フリースタイルレスリング全日本王者からMMAへ転身、9月のグラチャンで大搗汰晟をパウンドアウトして初陣を飾った原口のVTJ参戦が決まった。


今大会では兄・央が宇野薫と対戦し、早くも兄弟揃い踏みが実現するだけでなく所属するBRAVEからは野村駿太も宇佐美正パトリック戦が決まっており、VTJ2021はBRAVE Invasionの様相を呈している。

そんな原口伸と対戦するのは、佐山道場所属の岡澤だ。グランドスラム所属時代から組み技の強さは評判だった岡澤はZST、パンクラスなどで経験を積み、佐山道場に移籍し修斗初陣でエドモンド金子にエドモンド金子に判定勝ちを収めている。

原口にとって岡澤戦はジムの先輩のリベンジ戦という意味合いも含まれるプロMMA2戦目となった。

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DEEP Gladiator015 MIKE MMA   原口伸 原口央 竹本啓哉

お蔵入り厳禁【Gladiator015】新フェザー級王者・原口央「どこでも戦えるぞという気持ちはあります」

【写真】そろそろ次戦が決まったという話もチラホラ聞こえてい来るグラジエイター・フェザー級チャンピオン原口央(C)MMAPLANET

9月26日(日)も大阪府豊中市の176boxで開催されたGladiator015で、原口央がMIKEを2R0分11秒でパウンドアウトし、フェザー級のベルトを巻いた

今年2月に自らのローがMIKEの下腹部に当たり、NCとなった一戦を経て完全勝利で原口がチャンピオンに。これまでグラジのベルト保持者は最東端で愛知の竹本啓哉だったが、首都圏にグラジのチャンピオンが誕生した。

9月には実弟の伸がフリースタイルレスリング全日本王者の実績を引っ提げ、GrachanでMMAデビューを飾っている。何かと比較されるであろう弟の存在を「特に気にしない」という新チャンピオン。

お蔵入り厳禁、タイトル奪取直後に訊いた原口央の声をお届けしたい。


──タイトル奪取おめでとうございます。今の気持ちを教えてください。

「率直に嬉しいです」

──首都圏に基盤のある選手が、Gladiatorのベルトを巻く。関西、沖縄から愛知までの箱根はおろか、天竜川を越えたチャンピオン誕生は初めてのことです。

「僕自身、2月に初参戦させていただいた時にタイトルマッチが組まれて、それまでは出場していたDEEPなどでキャリアを積んでいきたいと思っていたのですが、そういうチャンスを得られたことで本気でグラジエイターのベルトを獲るつもりでやってきました。2月にああいう結果に終わってしまって、そのこともあって本気度が上がりました」

──今後に関しては、どのようにキャリアを積んでいきたいと考えていますか。

「チャンピオンになったからにはベルトを防衛戦するのは当然ですが、色々な団体で強い選手と戦っていきたいというのはあります。自分はまだMMAを始めて3年程度で、初心者レベルです。まだまだ学ぶことだらけですし、しっかりと練習をしてどんどん強い人と戦っていきたいです。今後、勝って……勝っていくと、強い人と試合をすることは当然になってきますし、組まれた試合は全部勝つつもりで戦います」

──グラジ以外でプロモーションは?

「どこか……そういう拘りはないですが、使ってくれるところでしたら、どこでも戦えるぞという気持ちはあります」

──実弟の伸選手のインタビューをMMAPLANETで掲載させていただいた際、ツイッターに竿本樹生選手が『あっという間にアニキを追い抜いた』というようなことを潰されていましたが……。

「それは……僕は何も感じないです(笑)」

原口伸 ふざけて書いているだけなので(苦笑)。

──実際に弟さんがレスリングの実績を引っ提げて、デビュー戦から注目を浴びている状況は兄として、また同じMMAファイターとして発奮材料になりますか。

「コイツがレスリングが強いのは知っていますし、僕は僕で頑張って。弟のことは、特に気にすることはないです。ライバル心を持っているわけでもなく……」

原口伸 本当にそういうのはないんですよ。

「今日のタイトルマッチにしても、伸がメチャクチャ協力してくれましたし。今、BRAVEには内弟子が13人ほどいるのですが、やっぱり兄弟だと気を遣うこともないし、互いを助け合って強くなっていればと思っています」

──MMAPLANETの読者の皆さんも、この勝利で原口央選手により注目するようになると思います。自身がどのようなファイターが、アピールをしていただけますか。

原口伸 人間臭さだよ(笑)。

「人間臭さ? 」

原口伸 ナヨナヨしていて。

──そういう意味ですか、人間臭さって(笑)。

「いや、でも本当に性格的にはナヨナヨしているんです。けっこう人見知りですし……」

原口伸 格闘家っぽくはないよね。

「格闘家っぽくないですし、空気を読まないところもあります。試合も空気を読まないので(笑)、そういうところを見てくれればと思います。これからも空気を読まない試合をします」

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Grachan50 MMA ブログ 原口伸

【Grachan50】原口伸、ジャパニーズネクタイは極め切れずもMMA初戦でパウンドアウト勝利

【写真】打撃が強くて組みに課題、柔術が強いが打撃が課題──そんな一芸に秀でたファイターと経験を積むようなが試合が見てみたい原口だ(C)MMAPLANET

<ライト級/5分2R>
原口伸(日本)
Def.1R4分36秒by TKO
大搗汰晟(日本)

2019年フリースタイルレスリング全日本70キロ級優勝、原口伸の注目のMMAデビュー戦。サウスポーの原口は大搗の右ジャブに左フックを合わせていく。さらに右ローを蹴り、最初の組みでは大搗が投げを狙う。原口は冷静にバックを取りケージに押し込む。大搗が胸を合わせると、原口は離れて左ストレートにダブルレッグを仕掛け、ケージに押し込むとコーナーの指示通り、リフトアップからテイクダウンへ。

腹ばいに落とされた大搗が、スクランブルから内股を狙う。原口は手をついてバランスを保ちバックに回る。大搗も胸を合わせてヒザをボディに突き刺す。レベルチェンジからシングル、ダブルに移行した原口がテイクダウンを決めて、パウンドからサイドを取る。

大搗が足を戻していくが、原口はその足を捌いて左のパウンドを打ち込む。懸命のバタフライガードも、強烈なパウンドを受けた大搗が、頭を抱えて背中を見せる。

一度は背中が伸びた大搗は、懸命に足を取ってレッスルアップ狙いも原口は冷静にがぶって潰し、師匠譲りのワールド=ジャパニーズネクタイで絞めていく。

これは極め切れなかったが、再びサイドバックから原口がサイドバックから鉄槌を連打。大搗が動かくなくなり、レフェリーが試合をストップ──一方的な試合展開でMMA初戦でTKO勝ちを収めた原口はバック宙を披露した。


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Grachan50 MMA キック 中村倫也 修斗 原口伸 大搗汰晟 河名マスト 藤村健悟

【Grachan50】GrachanでプロMMAデビュー、原口伸─02─「レスリングと融合させる打撃を」

【写真】内輪ネタのようなものでうが、クレジットがMMAPLANETの試合写真は過去数年はシャッタースピードが320/秒か400/秒で撮影しています。この時は320/1ですが、見様見真似のパウンドで拳がこれだけブレる。それが原口伸の資質、ポテンシャルと捉えています (C)MMAPLANET

5日(日)、千葉県千葉市の幕張ベイパークアリーナで開催されるGRACHAN50で、大搗汰晟とのプロデビュー戦に挑む原口伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

中村倫也、河名マスト、修斗とNEXUSでMMAデビューした国内トップレスラー勢、第3の男、原口はMMAを始めてわずか2カ月、右も左も分からない状態で挑んだアマチュアマッチを経て何を掴んだのか。

レスリングとMMAの違い、そこから学ぶ打撃の重要性――プロデビュー戦で、原口はMMAファイターとして成長した姿と可能性を見せつける。

<原口伸インタビューPart.01はコチラから>


――今年2月に初めてMMAに触れてから、4月にEXIFIGHTのアマチュアマッチに出場するまでは、どのような練習を行っていたのでしょうか。

「基礎的な練習をしていましたが、まだ寝技も打撃も見様見真似でやっているような状態でしたね。とにかく先輩方の練習に、必死に食らいついていました」

――その状態で試合に出るのは、不安はなかったのですか。

「宮田先生から『出る?』と聞かれて、『出ます』と答えてしまった、みたいな感じです(苦笑)。試合も特に作戦はなく、僕にとっては出たとこ勝負でした。当時はパスガードもよく分かっていなかった状態で……」

――えっ……。

「テイクダウンしたあと、セコンドから『ニーオン!』という声が聞こえるんですけど、まだニーオン(ニーオンザベリー)の意味も分からないほど、無知でした」

――そこで、テイクダウンからスラムに行くのですね。

「スラムは3回ぐらいやりました。普段の練習でスラムをやることもないんですけど、無意識にやっていたんです。ポイントを取るためにはスラムで叩きつけておいたほうがいいかな、と考えたのかもしれないですね。自分にはできることが少なかったので」

――打撃については?

「その時点では自分が攻めるより、相手の打撃を見て守る、という練習が多かったんですね。試合でも相手のハイキックをガードしたら、そのまま相手がマットに背中を着けたので、寝技の展開に持ち込むことができました」

――とにかく何も分からない状態でのアマチュアMMAデビューだったのですね。

「この試合のおかげで、MMAについて考える時間が一気に増えました。今考えると、宮田先生も『まず試合をしてMMAを覚えろ』と考えていたのかもしれないです」

――では、アマチュアの試合を経て、どのようなことが分かりましたか。

「練習でも試合でも、ずっとレスリングのテイクダウンばかりでしたけど、MMAのテイクダウンって何か分かってきました。テイクダウンしたあと、ニーオンからパウンドを打って、相手が嫌がったらサブミッションというように、繋げていく。繋げることを考えてテイクダウンしないといけないんですよね」

――なるほどぉ。

「それまでは相手が立ち上がってきたところを、ひたすらもう一回抑え込もうと無理をしていたんですね。でも、相手が立ち上がったら無理をして抑え込もうとせず、打撃に移行する。それがMMAなんだと思って練習しています」

――すると、MMAとしての打撃の習得が必須になりますね。

「はい。……ずっとレスリングをやってきたから、試合でも倒して殴れば良いと思っていました。でも、武田(光司)さんとかトップの選手は、シンプルなレスリングでは通用しないんです」

――倒して殴ろうにもそもそも倒すことができない、と。

「そうなんです。打撃と繋ぎ合わせないと、テイクダウンできない。今はテイクダウンに繋げるための打撃も練習しています。自分の持ち味はレスリングですけど、そのレスリングと融合させることができる打撃を身につけたいです」

――なるほど。MMAの練習で、面食らうことも多いでしょうね。

「競技が違うので、『レスリングが強いからMMAも強い』とは思っていなかったです。でも勝手が違いすぎて、レスリングの練習よりキツイですね(苦笑)。打撃に関しては完全に初心者でしたから、技術を覚えるのが大変で、その分すぐに疲れてしまいますし」

――アマチュアデビューから5カ月、MMAファイターとして、どのような点が成長したと思いますか。

「自分の中では、全体的に底上げしている感じです。『ここが成長した!』ということではなく、MMAファイターとして必要な部分、全てですね」

――宮田和幸代表をはじめ、練習仲間からは「ここが伸びた」という声をもらうことはありますか。

「打撃を褒めてくださることは増えました。あとは、スクランブルですね。スクランブルはレスリングと動きが似ているところもあるので、伸びているんじゃないかと思います」

――9月5日、GRACHANでプロデビュー戦を迎えます。相手は総合格闘技宇留野道場の大搗汰晟選手です。

「ずっと柔道をやっていて、プロデビュー戦(今年7月、WARDOGでワタナベ関羽マサノリに判定勝ち)はしっかり漬け込んで勝利したと聞いています。レスリング力は僕のほうがあると思うので、レスリングでも勝負しますし、打撃でも勝負します」

――今、緊張していますか。

「あっ、すみません。インタビューって慣れなくて……」

――こちらの聞き方が悪かったですね(笑)。プロデビュー戦に向けて、緊張していますか。

「アハハ、そういうことですね(笑)。試合に向けて緊張しています。でも僕は、緊張感がないと自分の力を出せないタイプなんです。ずっとレスリングの試合をやってきたおかげか、そういう自分の付き合い方は分かっています」

――では最後に、プロデビュー戦への意気込みをお願いします。

「今回の試合は――いろいろと作戦もありますが、まず全力を出し切ることがテーマです。よろしくお願いします!」

■ GRACHAN 50対戦カード

<ライト級/5分2R>
藤村健悟(日本)
小川道的(日本)

<ライト級/5分3R>
原口伸(日本)
大搗汰晟(日本)

<バンタム級/5分2R>
松本尚大(日本)
上荷大夢(日本)

<ライトヘビー級/5分2R>
小沢祐介(日本)
高桑格(日本)

<バンタム級/5分2R>
GEN(日本)
松井斗輝(日本)

<ライト級/5分2R>
野村駿太(日本)
前田啓伍(日本)

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【Grachan50】初陣、2019年フリー70キロ全日本王者=原口伸─01─「ここでやらないと絶対に後悔する」

【写真】4月11日のEXamateurFIGHTで、打撃有りの試合に初めて挑んだ原口。パンクラスでプロデビューの資格を得ていてDREAMERS=漆間をレスリングで圧倒して判定勝ちしている (C)MMAPLANET

9月5日(日)、千葉県千葉市の幕張ベイパークアリーナで開催されるGRACHAN50で、レスリング全日本王者の原口伸がプロデビュー戦を迎える。

幼少期にレスリングを始めた原口は、国士舘大学時代に、2018年の全日本レスリング選手権でフリースタイル70キロ級で3位に。翌2019年には同クラスで優勝している。安定した就職先は数多存在した原口が、なぜMMAを始めたのか。そして、今年4月のEXFIGHTのアマチュアマッチで初めて体験したMMAとは――。


――1週間後にプロデビュー戦を控える原口伸選手です(※取材は8月30日に行われた)。今年3月に国士舘大学を卒業してMMAを始めたとのことですが、MMAを始めたキッカケを教えてください。

「大学1年生の時、兄(原口央、BRAVE所属のMMAファイター)や先輩と一緒に、RIZINを見に行ったんです。その時すぐ『MMAがやりたい!』と思いました」

――大学時代は、MMAをやることが念頭にあって、レスリングを続けていたのですか。

「大学1年生の時はレスリングで成績を残せていなくて、MMAという世界も考えていました。ただ、大学4年間はレスリングを続けることは決めていたので、すぐにMMAを始めるということはなかったです」

――それまでMMAは見たことがなかったのですね。

「試合を見たことはなかったです。でも格闘技の映画は好きで観ていました。ブルース・リーとか」

――ブルース・リー! それはお父さんの影響でしょうか。

「いえ、自分でハマっていきました(笑)。もともとは何かのアクション映画を見せられたことがキッカケなんですけど、そこから自分でブルース・リーやジャッキー・チェンの映画を調べて観るようになって。小学校低学年ぐらいの頃ですね」

――レスリングを始めたのは、そういった映画の影響なのですか。

「レスリングは別です。父の作ったレスリング道場があって、そこで兄たちが練習していたんです。でも、親も僕には『好きなことをやっていいよ』と言ってくれていまして。僕も本格的にはレスリングをやらず、道場でずっと遊んでいるだけでしたけど」

――そんななか、小学校3年生の時にレスリングを始めたのは……。

「好きなことをやっていいと言われても、特に好きなこともなかったんです。そんな時――ハッキリとは覚えていないんですけど、レスリングの番組か試合の中継かを見て、カッコいいと思ったことがキッカケですね」

――なるほど。大学時代の話に戻りますが、原口選手は2019年、大学3年生の時に全日本フリースタイル70キロ級で優勝しています。すると東京オリンピックも視野に入っていたのではないのでしょうか。

「オリンピックでは、僕の階級が開催されなかったんです。上は74キロ級、下は65キロ級で……74キロ級は体格的に難くて、65キロ級まで減量できるかどうか、という感じでした」

――なるほど、ほぼほぼ五輪期間しかレスリングを見ないジェネラル層や門外漢には、意外と伝わっていない事実ですね。そういった場合、多くの選手はどちらを選択するのでしょうか。

「強引に階級を上げることが多いですね。でも僕は、全日本で優勝したあとにケガをしてしまい、試合も出ることができない状態でした。その時点でオリンピックまでは考えていなかったです」

――しかし、大学を卒業してMMAを始める際、周囲に引き留められなかったですか。

「レスリング部の監督と僕の親が話し合いました。僕はMMAをやりたいと伝えていたんですけど、親と監督は『レスリングを続けてほしい』と」

――親御さんも反対していたのですね。

「全日本で優勝していたので、いろんな企業さんからも声をかけていただいていたんです。親からも『条件の良いところに就職してほしい』と言われていました。でも僕は、ここでMMAをやらないと絶対に後悔すると思っていて、親も理解してくれて『お前の好きなようにやれ』と言ってくれました」

――監督さんはどうでしたか。

「そのあと親が監督と話をして、最初は監督も渋っていましたが、最後は納得してくれて『人生一回きりだから頑張れ』と送り出してくれましたね」

――そこから宮田和幸さんが主宰するBRAVEに入るわけですね。

「BRAVEには兄が先に入っていたんですけど、僕は僕でジムを探していました。でも宮田先生がインタビューで『レスラーを強くさせる自信がある』と仰っている記事を見て、やっぱりBRAVEに入ろうと思ったんです。選手が第一、自分が経験した失敗は弟子にはさせない、と仰っていたので。部活を引退して、大学を卒業する直前――今年の2月にBRAVEで初めてMMAに触れました」

――えっ!? 原口選手は今年4月に、EXFIGHTのアマチュア試合に出ていますよね。MMAを始めて2カ月で試合に出場したのですか。

「そうなんです」

――しかも、パウンドありのルールですよね。

「今考えると、ムチャしたなって思います(苦笑)」

――EXFIGHTでは、格闘DREAMERSにも参加していた漆間將生選手に判定勝ちしています。

「とにかくテイクダウンしかしていませんでした。自分のイメージでは、もっと簡単にパウンドを打てると思っていたんです。でも単にパウンドは打てても、効かせるパウンドを打つことが難しくて……」

――どのようなところが一番難しかったのでしょうか。

「テイクダウンばかりしていた、つまり一度倒して抑え込むことができなかったんですね。倒されてから立つという動作がレスリングにはないので、そこを抑えてポジションを獲ることが難しかったです」

<この項、続く>

■ GRACHAN 50対戦カード

<ライト級/5分2R>
藤村健悟(日本)
小川道的(日本)

<ライト級/5分3R>
原口伸(日本)
大搗汰晟(日本)

<バンタム級/5分2R>
松本尚大(日本)
上荷大夢(日本)

<ライトヘビー級/5分2R>
小沢祐介(日本)
高桑格(日本)

<バンタム級/5分2R>
GEN(日本)
松井斗輝(日本)

<ライト級/5分2R>
野村駿太(日本)
前田啓伍(日本)

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