カテゴリー
45 AB DEEP MMA MMAPLANET o TSUNE UFC YouTube   アレックス・ペレス キック ジョシュア・ヴァン ボクシング マネル・ケイプ ムハマド・モカエフ 修斗 和田竜光 岡田遼 平良達郎 松根良太 海外 食事

【UFC 】平良達郎&松根良太、師弟対談─02─「次が世界戦でなければ、モカエフ×ケイプの勝者と」(平良)

【写真】平良がUFC世界王者になるために、頑強が足場が整ってきている(C)THE BLACBELT JAPAN

UFC on ESPN58でアレックス・ペレスを倒し、フライ級で5位にランクされることとなった平良達郎と師・松根良太対談、第2弾。
Text by Manabu Takashima

UFC世界フライ級王座を見据え、武器を増やしながらも軸を崩さない平良の成長の裏には、強い信頼感で結ばれた人間関係とプロアスリートとして彼を支えるマネージメントの存在があった。

王座挑戦が現実的になってきた平良が描く、青写真はファンが見たくなるストーリーだった。

<平良達郎&松根良太対談Part.01はコチラから>


「ボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえた」(松根)

──課題を克服しつつ長所が伸びる。この稀な例を最高に引き出しているのが、平良選手の環境かと感じています。コロラドでの出稽古と拠点である沖縄での練習。そこがしっかりと調和できているようで。

平良 拠点は沖縄にある。そこは絶対です。そのうえでエベレーションファイトチームのコーチも「セカンド・ホームとして使ってくれれば良いから」と言ってくれています。

──練習をするならこっちに来て、チームの一員になれということではないと。

平良 そういうガツガツしたところはないです(笑)。だからってよそ者扱いすることなく、本当に親切で。それでも今回は試合前に行くのは初めてだったで、不安はありました。でもコーチ達もアレックス・ペレスの映像を視て、アドバイスをくれました。それはチームメイトも同じで。沖縄でやってきたことを信じ、最後にコロラドで練習をして良いイメージを持った状態でオクタゴンに上がることができました。

──その最後の調整に帯同していたのも松根さんではなくて、岡田遼選手だった。そこが機能するのも、THE BLACKBELT JAPAN平良チームの良さかと思います。

松根 試合が2度延期されて、ペレス戦が決まったのはジョシュア・ヴァン戦のために渡米する前日でした。あのタイミングで米国に行くと40日間ほど向うにステイしないといけない状態で。相手もペレスになったので、あのタイミングで渡米するのはよそうということになりました。

そこから2週間半、沖縄でペレスと戦うための準備をして、最後にデンバーで高地トレをしつつ時差ボケを解消するというプロセスがしっかりとハマりました。2週間半、平良とペレス戦について話して、対策を施した。そこを岡田に託して、米国で創ってもらえましたね。本当に岡田のサポートには感謝しています。岡田だからこそ、できたことだと思っています。

──3人の間に絶対の信頼関係があるからこそ、この選択ができたと思います。

松根 とても良いチームができています。その上で今年からセカンドキャリアというボクシングを主体としているマネージメント(井上尚弥、武居由樹、平岡アンディらプロボクサーをマネージメントしている)と一緒にやって行くことが本当に大きいです。

2023年まで沖縄の企業様の協力を頂いていましたが、去年の夏ごろからセカンドキャリアから声を掛けてもらって。色々と話をするなかで2024年から一緒にやって行くことが決まりました。「平良達郎をUFCチャンピオンにするためなら、何でもサポートをする」と言って頂けています。

今回のデンバーでの最終調整に関しても岡田遼、そして食事面のサポートをしてもらうために達郎のお母さんにも同行してもらったんですが、渡航及び滞在に必要な費用を全てセカンドキャリアが用意してくれました。「何不自由することなく平良達郎が勝てるベストの状況を整えて欲しい」ということで、最終合宿が実現できました。セカンドキャリアさんと一緒にやって行けていることは、本当に大きいです。

平良達郎の練習、睡眠、食事だけを考えることに集中して欲しいと、SNSやYouTube、テレビなど露出する必要もない。とにかく試合前は練習と体調管理に集中できています。

──プロとは?という部分で強調される露出と話題創り、ここを考える必要がないということですね。

松根 ハイ。オフの時に、自分でやりたいことがあればやってください──というスタンスなんです。これ以上ない、マネージメント会社とチームが組めたと思います。同時に長い歴史を誇るボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえたのかと。その最初の一例を平良達郎で創ることができました。後に続く選手たちに良い背中を見せることができています。

先ほど仰っていただいた打撃、テイクダウン、寝技のつなぎができていることに踏まえて、プライベートの部分もUFCチャンピオンになる環境が整ってきていると実感しています。

──松根さんの言葉も本当に力がこもっていますね。

松根 MMAで頑張る。達郎は今、MMA以外に興味がない人間になっていますね。

平良 僕はだらしないんで、SNSとかやると失言しそうで怖くて。

──炎上ビジネスとは真逆の人間性。ホッとします。UFCでも沖縄で煽りVが撮られるまでの位置にきた。それでいて、修斗で2回戦を戦っていた時のような純朴さが残っている。

平良 その辺りは変わらないです(笑)。というよりも、変われないです。

「達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ」(松根)

──一方で、平良選手のMMAは進化し続けている。前回の試合で話題になったオタツロックですが、着目するようになったのは、どのようなことからだったのでしょうか。

平良 和田選手が使っていることでオタツロックという技があるのを知って、修斗の頃からチョコチョコ使っていました。今ではオタツロックを意識しているというよりも、流れのなかでバックを取れば自然に出るようになっています。流れの中で使う技ですね。そこに関しても和田選手から、勉強をさせてもらえました。

僕はアマ修斗から修斗をやってきて、修斗しか知らなかったんです。そのなかでDEEPのフライ級チャンピオンだった和田選手の試合を視た時に、『全てがしっかりしている選手だ』と思ったんです。MMAとして全ての要素を混ぜて戦っていて、柔軟性がある。パンチも強くて、カーフキックも強い。和田選手の戦い方も好きで、注目して視ていました。

松根 実は達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ。

──そうだったのですね。自分は初めて撮影をした試合だったからか、両足フックの大翔選手をパウンドしたイメージが強かったです。

松根 両足フックを使う時もありますけど、以前からオタツロックでコントロールをしてきました。沖縄では達郎がオタツロックを使うということで、後に続く選手も多かったです。和田選手とは体形も違いますし、もしかすると独自で進化している部分もあるかもしれないです。

──ペレス戦ではスタンドでオタツロックを取り、すぐに煽りました。ペレスと垂直になるぐらいまで煽って、また背中に戻った。ペレスの軸が強いのもありますが、平良選手の軸とロックの強固さにも驚かされました。

松根 そういう技なんだよな?

平良 ハイ、そうなんです。

松根 日本では和田選手がいてくれて皆が知っていたけど、海外ではアルジャメインが「あの技はなんだ」と騒いでいました。なので、これから世界に広まるでしょうね。達郎もタツなんで、面白いですよね(笑)。

──確かに(笑)。

平良 だから僕のオリジナルではないということは、しっかりと言っていかないといけないと思っています。

松根 達郎のタツでなく、和田竜光選手のタツだと。

「何だかんだとモカエフが勝つ」(平良)

──そこを気にするのも、この師弟ならではです。そして、この勝利でUFCフライ級5位にランクされました。ここでパントージャの名前を出すことも説得力があります。実際問題、実現の可能性はどの程度に感じていますか。

平良 UFCのマッチメイク的に、これで進んでくれるのだったら、もうやれます。そうでないなら、次に誰かと戦ったあとで挑戦したいです。挑戦権を争ううえで一番盛り上がる……自分自身、一番燃えるのはやっぱりムハマド・モカエフとマネル・ケイプの勝った方と戦うことですね。僕自身そうだし、フライ級の流れとしても盛り上がるのではないかと思っています。この試合で勝った選手と試合をする方が僕も燃えますし、そこで勝つと「もう平良しかいないだろう」という空気になるでしょうし。

──7月27日、UFC304で対戦する両者。実はこの取材で、両者の対戦について平良選手の予想を尋ねたいと思っていました。

平良 まぁ……何だかんだとモカエフが勝つとは思うのですが、毎試合危なっかしい試合をしますよね。モカエフにはスパッと極めるイメージはもともとないです。でも1Rでフィニッシュできないと、危ない場面を見ることになるかと。それでもフィニッシュするにしろ、判定になるにしろ、モカエフが勝つと思います。

<この項、続く>

The post 【UFC 】平良達郎&松根良太、師弟対談─02─「次が世界戦でなければ、モカエフ×ケイプの勝者と」(平良) first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB CORO DEEP DEEP JEWELS DEEP120 K-1 MMA MMAPLANET o RIZIN UFC YouTube   カルシャガ・ダウトベック サンチン パンクラス ボクシング ユン・チャンミン リョート・マチダ 中村大介 久保優太 五明宏人 佐藤洋一郎 修斗 嶋田伊吹 平田直樹 斎藤 朝太 木下カラテ 梶本保希 泉武志 海外 瀧澤謙太 石塚雄馬 神田コウヤ 竹原魁晟 誠悟 野村駿太 鈴木槙吾 阿部大治

【DEEP120】体重超過の神田コウヤと対戦する木下カラテが語っていた──ハマるパンチと空手論

【写真】これが加藤丈博流ハマったパンチ。この湾曲に注目 。そしてゴツイ拳だ(C)MMAPLANET

本日14日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP120 IMPACTで木下カラテが神田コウヤと対戦する。しかし、昨日の計量の結果、再計量でも1.9キロオーバーだった神田のイエロー2枚からスタートし、木下が勝利したケースのみ公式結果として認められるという変則マッチとなってしまった。
Text by Manabu Takashima

(C)TAKUMI NAKAMURA

格闘代理戦争のワンマッチで、ユン・チャンミンから見事なKO勝ちを収めたことでデビュー前から注目を集めていた木下。

だが修斗では打撃の強さを警戒されることとなり、厳しい状態が続いた。4年間で戦績は5勝6敗1分──しかし、2023年5月にからDEEPに戦場を変えると、RIZINでの久保優太戦こそ黒星を喫したが、DEEPフェザー級戦線では3連勝、3試合連続でフィニッシュ勝利と、結果だけでなくパフォーマンスそのものも変化している。

畠山祐輔、梶本保希に続き、タイトルコンテンダーの五明宏人を倒し、タイトル挑戦が見えてきた木下に変化、進歩について尋ねた(※取材は10日に行われた)。

すると空手家時代、そして今も師であり続ける武心塾・加藤丈博師範の「ハメる」論理を掴み、空手への理解を深めたことが好調の裏にあることが分かった。


──MMAPLANET初インタビューとなります。いきなりですが、DEEPで戦うようになってからの勢い。どのような変化が木下選手のなかであったのでしょうか。

「修斗で児山(佳宏)選手と戦って1RTKO勝ちができて、良い勝ち方ができたと思ったら、次の竹原魁晟戦(2022年10月)で酷い負け方をして。あの時に大沢(ケンジ)さんから、『層の厚いDEEPで戦って、より厳しい状況においてしっかりとやっていかないか』というようなことを言われたんです。

それから練習でも細かい部分を意識していくようにして、練習以外でも自分を変えよるようになりました。そうですね、ケージって戦う人間の人となりが出ると思うんですよ。今でも(江藤)公洋さんや大沢さんから『後片付けができない』って指摘されるんですけど(苦笑)、そういう部分ですね。やることは早く済ます……とか」

──つまり普段の自分を律するようにしたと。

「そこまでじゃないんですけど、普通のことを普通にできるように……ですね(苦笑)」

──普段の自分を変えることで、ここまで戦績も良くなった?

「人となりを気にすることで、練習への集中力が変わりました。打撃も組みも細かいところまで気にするようになって。何より練習の時から、本番に挑むイメージを持つようになったんです。やっぱり試合と練習は気持ち的にも違うので、そのズレを少なくするようにしました。

あと打撃の方では、自分の打撃の基礎は武心塾の加藤丈博(1991年、全日本ウエイト制中量級準優勝、第5回全世界空手道選手権日本代表。ボクシングでも活躍し、空手家としてMMA=パンクラスにも挑む)先生なんですけど、DEEP初戦だった畠山(祐輔)戦の頃になって、ようやく先生の言っていることが分かるようになったんです。

先生って技術が独特なんですよ。本人は謙遜されているんですけど、天才なんです。で、天才の言うことって全然分からなくて(笑)」

──アハハハハハ。凄く分かります。リョート・マチダが前蹴りでヴィトー・ベウフォートをKOをして、観空大の前蹴りだと言われても誰が真似ができるのかと。グレイシーがRNCや三角絞めで勝って、皆が影響を受けたのとは違うかと思います。

「そうなんですよ(笑)。空手の人たちってセミナーを開けないです。多くの人にいっぺんに教えるって、彼ては本来はできないものだと思うんです」

──確かに沖縄の手、唐手(トウディ)は、もとは1対1で指導をしていたもので。それが体育の授業に用いられ、集団に指導するようになって武道から運動に代わりました。

「僕は加藤先生から型も1人でやるものだと教わりました。直接の指導になると、ずっと基本稽古をやっていて。そこに先生は自己流でボクシングなんかを融合しているんですけど、その説明の仕方が奇抜すぎて(笑)。ずっと『何、言っているんだ』と思っていたんです。大体、第5回世界大会の日本代表なんて天才だらけですよね」

──緑健児、増田章、黒澤浩樹、八巻健志、七戸康博、岩崎達也、加藤丈博……。

「天才ですよ。天才の言うことは分からない(笑)。先生はパンチが巧い人で、その表現がハマるというモノだったんです」

──ハマる……。

「ハイ。もともと僕は蹴りの選手で、パンチは下手で分からないなりにやっているんですけど、『ハマんねぇな』と。でも、ハマるってなんだよって(笑)。そのハマるというのが、畠山戦前からようやく理解できるようになったんです」

──つまり、ハマるとは?

「それが……いざ、分かるようになってくるとハマるとしか表現のしようがなくて(苦笑)」

──ダハハハハハ。最高です。

「あれだけちゃんと説明してくれよって思っていたのに、いざ自分ができるようになると加藤先生と同じことを言っているんですよ(笑)」

──ハハハ。では畠山戦の左フックは?

「完全にハマったヤツです。手首でキュッと持っていくと、肩甲骨がキュッとハマって」

──自然とヒジが湾曲を描く?

「そうそうそう、それです!! そこでハメるんですよ。ヒジを下に向けると、肩甲骨がちょっと立つ。結果、サンチン立ちと一緒なんですよ」

──いや、木下選手からサンチンについて、そのような意見が聞かれるということは──木下選手のサンチンは極真のサンチンではなかったのですね。

「極真とは違って、ガニ股でも内股でもない。ヒザが内側を見ているようで違うんですよね。内も外も向いていない」

──だから内側からも、外側からも蹴られて強い、と。いやぁ、木下選手……面白いです。フルコンタクト空手家でなく、空手家ですね。

「そういうサンチンの構えの強さに気付いたのは、レスリングの練習をしていた時なんです。

時田(隆成。中央大学時代の2021年に全日本大学選手権フリースタイル61キロ級3位。アマパン=東関東選手権Sクラス・バンタム級Tで優勝)さんとトライフォース東中野で、平田直樹選手なんかと一緒に練習をしていて。

いうと、僕がほぼイジメを受けているような練習なんですけど(笑)。そこでテイクダウンを切るときにケツを入れると、親指はどうしても外に開くじゃないですか。そうなると、生物として弱い。簡単に倒されるし。『これはおかしい』って思うようになったんです。ガニ股のサンチンは違うって。

その時にK-1に出ている山口翔太選手に連絡をとって尋ねたんですよ。『ガニ股のサンチン立ちは、弱くないですか』って」

──スミマセン、立ち技格闘技は全く疎くて……。

「山口選手は、もともとは白蓮会館の空手家で白蓮の全日本は当然として正道会館やJFKOでも全日本で何度も優勝しています。今はK-1で活躍していて。そんな山口選手が山城(美智)先生の沖縄空手研究会に参加されていることを知っていたので……」

──「ガニ股のサンチンは違うだろう」と相談した?

「ハイ。山口選手と話して、僕も『親指を思い切り踏んで固定し、ヒザを外に向けてガニ股ということでなく、ケツを入れてヒザを崩れないようにする』ということだと気づいたんです」

──強いからブレず、でも柔軟に動くことできる本来……というのはおかしいかもしれないですが、空手の理ですね。

「そうッスよね。きっと、空手が沖縄から本土に渡って来た時に普及するために分かりやすさが大切になり、そのヒザの固定がガニ股とか流派によっては内股とかに変わってしまったんじゃないかと」

──MMAの試合を控えたMMAファイターとのインタビューから逸脱していますが、非常に面白いです(笑)。

「アハハハハ。でも、それって生き物として強いことだと思うんです。だから別に空手をやっていなくても、生き物として強い選手の姿勢ってそうなっている。

このテイクダウン防御で強い体って、加藤選手が言おうとしてくださっていた強いパンチを打つときの体の構造と同じだったんです。『あぁ、こうして。こうやるんだ』って言われていたことと(笑)。

加藤先生の特別なところは、武道の動きは直線的じゃないですか。そこにフックを加えたことなんですよね。ただ、それがフックじゃない。振っているけど、出し方は真っ直ぐで。

ヒジがやや湾曲している縦から横への拳の動きで。そこに加藤先生は手首を入れることを加えたんですよ。足からヒザ、腰、肩、ヒジと固めてフレームから、手首を振って」

──つまりは、それが加藤丈博師範のハメる理論なのでは……。 

「あっ、そうですね。これが一つ掴めると、他のことも分かって来る。幹ができたから、神経が枝葉にも行き渡るというか。こういう風にちょっとずつ理解を深めている際中ですね。

接近戦でも、決してボクシングではないんですよ。ただディフェンスは加藤先生も完全にボクシングで。防御という部分での空手は僕はまだ分かっていないです。同時にパンチの質は誰が見ても分かってもらえるぐらい変わりました。デカいグローブでミットをやっても、皆が痛いと言っています。

それをいうと加藤先生は試合用の小さなグローブでやっていて、中指と人差し指のところはグローブが破けるんですよ」

──えぇ、凄まじいですね。

「それを見せてくれていたので。説明は何を言っているか分からないですけど(笑)」

──アハハハ。そんななか神田選手との試合に向けて、組みに打撃戦を加えて神田選手のスタイルに、木下選手はハメることができるのか。

「打撃の時間を多く創れたら、神田選手はおっかなくてしょうがなくなると思います。組みは……木下カラテって言っていても、MMAの門を叩いてずっとやってきた部分です。HEARTSでこれだけやってきたので、そんなに簡単にやられない自信はあります。それでやられればしょうがない。でも、そんな緩くないですよ。僕がここでやってきたことは」

──今回の試合でDEEP4連勝となると、タイトル挑戦も見えてくるかと。そこから先はどこを目指しているのでしょうか。

「やっぱり、海外。ベストはUFCです。現役でやる以上、そこを意識しないと。でも僕はレコードが汚いんで、現実的かどうかといわれと、まぁ非現実的ですよね。だったらMMAを続けている限り、少しでも強いヤツと戦っていきたいです。

RIZINのフェザー級で中央アジアとか強いし、チャンスがもらえるならどんどん戦っていきたい。それに僕みたいに強くなるためにUFCを意識している人間と、本気でUFC一本でという選手ってキャリアの積み方も違うと思うんです。

UFC一本の選手は、やっぱりキレーなレコードでいないといけないから、強い相手に触れないで進むことも必要で。対して僕の場合はカルシャガ・ダウトベック選手然り、ラジャブアリ・シェイドゥラフ選手然り、ヤバい連中に触れて負けても損はない。

UFCが現実的でないから、そういう相手を望んでいける。それでもUFCへの想いを完全に消すことはできないのですが、強いヤツと戦うことができるなら場所は問わないです」

──では世界の猛者と戦うために、越えないといけない神田コウヤ戦。どのような戦をしたいと思っていますか。

「やることは決まっています。レスリング×空手、グッといって、そこでガガァとやってからドンと仕留めます」

──完全に加藤イズムを継承していますね(笑)。

「アハハハハ」

■視聴方法(予定)
7月14日(日)
午後5時45分~U-NEXT, サムライTV, YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■DEEP120計量結果

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]鈴木槙吾:76.95キロ
[挑戦者]佐藤洋一郎:77.05キロ

<バンタム級/5分3R>
CORO:61.45キロ
瀧澤謙太:61.50キロ

<フェザー級/5分3R>
中村大介:66.20キロ
白川Dark陸斗:66.20キロ

<ウェルター級/5分3R>
阿部大治:77.40キロ
嶋田伊吹:77.30キロ

<フェザー級/5分3R>
神田コウヤ:68.05キロ
木下カラテ:66.05キロ

<ライト級/5分3R>
野村駿太:70.75キロ
泉武志:70.70キロ

<メガトン級/5分2R>
誠悟:119.30キロ
朝太:103.90キロ

<ライト級/5分2R>
石塚雄馬:70.75キロ
佐々木大:70.75キロ

<68キロ契約/5分2R>
太田将吾:67.75キロ
相本宗輝:67.95キロ

<フライ級/5分2R>
木村琉音:57.10キロ
斎藤璃貴:57.00キロ

<アマ・フェザー級/3分2R>
菅涼星:66.15キロ
平石光一:65.90キロ

The post 【DEEP120】体重超過の神田コウヤと対戦する木下カラテが語っていた──ハマるパンチと空手論 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 CORO DEEP DEEP JEWELS DEEP120 MMA MMAPLANET o PRIDE RIZIN RIZIN47 Road to UFC UFC YouTube イー・チャア リー・カイウェン 中村大介 佐藤洋一郎 修斗 嶋田伊吹 斎藤 朝太 木下カラテ 松根良太 泉武志 海外 瀧澤謙太 牛久絢太郎 石塚雄馬 神田コウヤ 誠悟 野村駿太 鈴木槙吾 阿部大治 青井人

【DEEP120】初の連敗から復帰、木下カラテ戦へ。神田コウヤ「MMAのMがミックスではなくメルトに」

【写真】Bushidoというニックネームとともに、神田のMMAへの探求心は増す一方だ(C)SHOJIRO KAMEIKE

14日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP120で、神田コウヤが木下カラテと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

神田にとってはRoad to UFC準決勝のリー・カイウェン戦、青井人とのDEEPフェザー王座防衛戦と連敗からの復帰戦となる。この2試合を通じて神田が得たものとは。自分の中にあるMMAの変化とマインドを語ってくれた。


連勝している時より今のほうが好奇心は旺盛です

――SNSでは神田「Bushido」コウヤというニックネームが付いています。いつからBushidoをつけるようになったのですか。

「Road to UFCに出場してから、ですね。海外で戦う時に、単に名前だけよりもニックネームがあったほうがインパクトも大きいかなと思って。海外ではPRIDE武士道も知られていますし、UFCでもまだ誰も付けていない日本語を探して『Bushido』にしました」

――なるほど。そのRTUで敗れ、続いてDEEPのベルトも失いました。試合直後には、どんな想いでしたか。

「直後、ですか。不甲斐ない負け方ではなかったと思いますし、防衛戦の義務も終わったので次はRIZINに出たいと思いました」

――SNSでは6月9日のRIZIN47出場をアピールしていたようですね。

「そうなんですよ。本来はアピールしないで出場できるのが一番なんですけど。ただ、最近は海外の選手も増えて日本人の出場枠も減っていると思うので、SNSでアピールしてみました」

――ということは、DEEPのベルトを失ったあともRIZINなりRTUへの意欲は失っていなかった、と。

「もちろんです。RTUも出られるうちは出たいです。連敗していたので今年のRTUは難しいと思いましたけど、チャンスがあるうちは出たいですね」

――RTUは神田選手に勝利したリー・カイウェンが、決勝でイー・チャアに敗れました。

「しかも計量もオーバーで(苦笑)」

―カイウェンに対して「自分に勝っておいて、決勝でそれはないだろう」とは思いますか。

「う~ん……、やっぱりトーナメントは大変ですよ。短期間で何試合もするから、途中で気持ちが切れることもあると思います。減量も大変だし、怪我もあったりして」

――神田選手はRTUが終わったあと、すぐに気持ちを切り替えることはできましたか。

「はい。RIZINにしろRTUにしろ、次の試合で王座防衛できないとチャンスはないと思っていました。それと、ベルトを巻いたら防衛戦をやるのは義務じゃないですか。僕の場合は、前の王者の牛久絢太郎選手があまり防衛戦をやっていないことに対して、良くは思っていなかったので。王者としての義務は果たすべきだし、果たせないなら返上すべきというのが僕の考えです」

――RTUと青井戦を経て、自分の中でプラスになったことはありますか。ファイターとして黒星はマイナスとなるかもしれません。しかし、そのマイナスを糧にどう生きるのか。

「連敗したのが初めてだったので、初心に戻る良い機会だなって捉えています。連勝している時より今のほうが、『自分はどこまでできるのか』という好奇心は旺盛ですね」

――その好奇心は、どのようなところに表れているのでしょうか。

「今は練習していて、『どんどんMMAになってきている』と思っています」

左右の乖離を少なくしていけば海外の選手にも負けない

――どんどんMMAになってきている……とは?

「MMAのMが、自分にとってはミックス(Mixed=混ざった)ではなく、メルト(Melted=溶けた)になってきています。全ての要素が溶けて一つになる。それは打投極という要素だけではなく、左右の乖離も少なくなってきたと思いますね」

――左右の乖離というのは、構えやスイッチということですか。

「そうです。自分の性格的に、オーソドックスで構えた時とサウスポーで構えた時に差があるのは好きじゃなくて。そういう差をなくしたかったんですよ。海外の選手と戦うためには必要だと感じていました。海外の選手と比べてもフレームやリーチはあると思うので、その左右の乖離を少なくしていけば負けないかな、と」

――確かにもうMMAはスイッチという概念すら無くなりつつあります。

「UFCとかだと、絶え間なく自然と構えが変わりながら動いていますからね。それがミックスではなくメルトということなんですよ」

――後悔などではなく「カイウェン戦や青井戦の時に、これができていれば……」と思えるほど、今は仕上がっている状態ですか。

「その自負はあります。あとはコンディション次第ですね。でも自分は、コンディションづくりは上手いほうだと思うので」

――コンディションや減量方法も含めて、神田選手は研究者タイプのように感じます。

「あぁ、そうなんですかね。常に情報に対してはアンテナを張っておくようにはしています。自分が興味あるものだけですけど……やっぱり格闘技は自分のビジネスですから」

――格闘技が自分のビジネスである。その感覚は以前から持っていましたか。

「デビューした頃は、そう思えなかったですね。やっぱりデビュー当時はファイトマネーも安かったし。だけど今はファイトマネーも、デビューの頃と比べたら遥かに高いです。そういうことの積み重ねで意識は変わっていきますよ。

僕はプロのファイターとして、常に高い品質のものを提供していきたいです。今の環境に全然満足していないし、もっと成功したい。もっと稼ぎたい。そうなることで自分の発言にも説得力が増していくじゃないですか」

――もう神田選手もプロデビューして6年が経ち、ジムで後輩たちが増えていることも影響していますか。

「ジムの後輩たちは……、僕はライバルとして見ていますね」

――えっ!?

「刺激し合えるライバルというか。結果って、自分の努力の成果じゃないですか。僕のほうが長くMMAをやっているのに、ここで後輩に越されてしまうと――という感じで『絶対に負けたくない』と思っています。お互いにそう考えることができると、ジム全体が良くなりますし。後輩たちもそう考えて頑張ってほしいです」

――ジムの先輩である松根良太さんのTHE BLACKBELT JAPAN沖縄にも行ってきたそうですね。

「修斗沖縄大会の時には選手のセコンドで行っていましたけど、大会がある時は松根さんも忙しくて、なかなかお話できない。だからジムをリニューアルされたということもあり、大会がない時に沖縄に行ってきました。

沖縄に行ったのは、練習よりもマインドの部分が大きいです。自分を鼓舞するために――連敗して気持ちが落ちている時に、沖縄で松根さんと話すと気持ちも上がるかなと思って。おかげで気持ちも落ち着きました」

――そうした経験と変化を踏まえ、次の木下戦はどんな試合を見せたいですか。

「木下選手は一撃必殺の打撃を持っていて、勝ちっぷりも負けっぷりも良い選手だと思います。最近は構えが変わりましたよね。HEARTS特有の、ガードを固めて前に出るスタイルが最近のKO勝ちに繋がっているのかなって思います。

自分も構えというか、左右の差がなくなって良い感じになってきています。フィニッシュを狙う木下選手が相手なら、自分もフィニッシュできる確率は上がる。自分もピンチから逃げずにチャンスを掴みに行きたいですね」

■視聴方法(予定)
7月14日(日)
午後5時45分~U-NEXT, サムライTV, YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■DEEP120 対戦カード

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
佐藤洋一郎(日本)

<バンタム級/5分3R>
CORO(日本)
瀧澤謙太(日本)

<フェザー級/5分3R>
中村大介(日本)
白川Dark陸斗(日本)

<ウェルター級/5分3R>
阿部大治(日本)
嶋田伊吹(日本)

<フェザー級/5分3R>
神田コウヤ(日本)
木下カラテ(日本)

<ライト級/5分3R>
野村駿太(日本)
泉武志(日本)

<メガトン級/5分2R>
誠悟(日本)
朝太(日本)

<ライト級/5分2R>
石塚雄馬(日本)
佐々木大(日本)

<68キロ契約/5分2R>
太田将吾(日本)
相本宗輝(日本)

<フライ級/5分2R>
木村琉音(日本)
斎藤璃貴(日本)

<アマチュアルール フェザー級/3分2R>
菅涼星(日本)
平石光一(日本)

The post 【DEEP120】初の連敗から復帰、木下カラテ戦へ。神田コウヤ「MMAのMがミックスではなくメルトに」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB KENTA MMA MMAPLANET o ONE TOMA Torao TORAO33 YouTube ガッツ・takato 修斗 健太エスペランサ 宇野薫 打威致 渡辺健太郎 神田T800周一 蒔田伸吾

【TORAO33】約4年ぶりの試合、打威致と戦う渡辺健太郎「魅せて勝ったら騒ぐ。負けたら黙って去る」

【写真】この感じでオラつかない。「沸かせる職人」としての信念がある(C)SHOJIRO KAMEIKE

14日(日)、広島市南区のBLUE LIVE HIROSHIMAで開催されるTORAO33で、渡辺健太郎が打威致を相手に4年4カ月ぶりの試合に臨む。
Text by Shojiro Kameike

2008年3月、渡辺はTORAO(闘裸男GIG01)でプロデビュー。所属する直心会主催のプロ修斗興行「BORDER」を中心に戦い、世界フライ級1位にまで上り詰めた。しかし2020年3月の試合を最後に大きなブランクをつくっている。「お客さんを沸かせるために試合をしている」と公言する渡辺が、戦いの舞台に戻ってきた理由とは。そして「沸かせる職人」としてのポリシーを語る。


初めて観に来たお客さんに『コイツの試合はオモロイな』と言わせたら勝ち

――今回は4年4カ月ぶりの試合となります。これだけ試合から離れていた理由から教えていただけますか。

「僕の中で火は消えていなかったけど、まずコロナ禍は大きかったです。コロナ禍の間でも幾つかオファーは頂いていました。でも当時は大会を開催しても無観客ですよね。お客さんがおらんところで試合というのは、たとえ凄い相手だったとしても……。

『お客さんを沸かせてナンボ』という気持ちが、自分の中には絶対なんですよ。『金を取れる試合をする』という意地があって。だから無観客の大会が続くことで、自分の中の気持ちも少しずつ落ちていきました」

――そうだったのですね……。

「それで『当分、試合に出ることはないな』と思いました。しかも試合に出たり、興行を開催すると叩かれるような世の中になっていて。それが試合に出ていなかった一つの理由ではあります。

非常事態宣言が明けて、少しずつ格闘技の興行も再開されるようになったなかで『もうそろそろかな』とは思いました。でも自分の中にある火は中途半端な状態で――そんな状態で試合に出たら、間違いなく面白くない試合をしてしまう。勝てたとしても、面白くない試合になってしまうから……」

――もう10年以上前の話になりますが、直心会主催のプロ修斗興行「BORDER」で、当時すでにランキング上位であったはずの渡辺選手が第1試合に出場していました。その理由を生駒純司さんに訊いたところ「第1試合で面白い試合をして、大会を盛り上げてもらうため――だと聞いています」とのことで。

「アハハハ! BORDERの時は他にも事情がありましたけど、やっぱりお客さんを沸かせたいという気持ちは、プロデビューした頃から変わっていないんです。それこそ今日初めてMMAを観に来たお客さんに『コイツの試合はオモロイな』と言わせたら勝ちや、と思っていて。勝つことは当然として、負けても何かインパクトは残したい。変な意地ではありますけどね。

デビュー戦の渡辺。試合へのモチベーションは当時から変わっていない(C)SHOJIRO KAMEIKE

昔から『チャンピオンになりたい』『ランキングで上に行きたい』とかっていう気持ちは少なかったです。それよりも1試合1試合を全力で戦って、当日一番オモロイ試合をすることが目標でした。この4年間は、そういう気持ちが欠けてしまっていました」

――徐々に興行も有観客で開催されるようになるなかで、1年以上も試合をしていないと「もうこのままフェードアウトかな」と思うことはなかったですか。

「それは、なかったですね。自分は引退する時はキッチリしたい、と思っています。中途半端な状態で、何となく辞めるというのは嫌で。4年間、試合が空きましたけど『久しぶりやなぁ』というぐらいの感覚なんですよ。今年41歳になるので、若手と練習して自分の中に衰えを感じたら引退も考えます。でも練習していて『まだやれるわ』と思いました(笑)」

――2023年3月にはBORDERが開催されました。その時点で復帰しようとは思わなかったでしょうか。

「もちろんお話はありました。でもその時はまだ——『今じゃない』と思いました。何に関してもそうなんですけど、自分はゼロか100で。自分の中の火が50パーセントぐらいの状態で、無理やり試合をしようと思っても結果が出ないんですよ」

――次のTORAOで試合をする、つまり『今だ!』と思った理由があるということですか。

「まぁ、タイミングですよね。TORAOの山本(陽一プロモーター)さんからオファーを頂いて。去年8月のTORAO福岡大会でTOMA選手が試合をした時、僕もセコンドで行っていたんですよ。そこで久しぶりに山本さんとお話させていただいて。そのあと試合のオファーを頂いて一気に火がつきました。

一番大きいのは、ウチのジムで後輩が育ってきたんですよ。小学生の頃からジムに通っている子がプロになったり、20代の後輩たちがプロを目指してアマ修斗で頑張っていたりとか。そういう後輩たちに、もういっぺん自分の背中を見せなアカンかなと思ったんです」

――今回対戦する打威致選手も、所属する有永道場Team Resolveにとっては同様の存在です。小学生の頃から道場に通い、修斗でプロデビューして……。ただ、その打威致選手が上に行くためのマッチメイクであるとは思います。

「はい、自分は噛ませ犬として広島に行きますよ」

――噛ませ犬……自分でハッキリと言ってしまいますか。

「そういうマッチメイクに対して、思うところはないです。大阪にいる自分を広島の興行に呼んでもらえるだけで、ありがたいですし。相手は若くて期待されている選手、自分は『少し落ち目かな?』というオッサンのファイターで。それはそれで面白いんじゃないですか」

――そこに『オッサンをナメんなよ』という気持ちはないのですか。

「その気持ちもないです。僕は対戦相手のことを絶対にリスペクトしています。自分は結構、オラオラ系が苦手なんですよ。今は若い子たちが、試合前からオラオラと煽るじゃないですか。それはそれで同じ世代の子にもウケるんでしょうから、良いと思います。ただ、自分は相手がどれだけ煽ってきても、冷静でいたいですよね」

肉体的にも技術的にも、20代の時より今のほうが上ですよ

――フェイスオフや試合前は常に冷静でいる。すると『面白い試合をする』というスイッチは、どの時点で入るのでしょうか。

「ゴングが鳴った時ですね。リングやケージに入るまでは気合いを入れることもなく、ずっと無でいます。ゴングがなった瞬間にスイッチが入ります」

――職人の成せる業ですね。

「もう熟練の職人やと思いますよ(笑)。魅せるのは試合の中だけでいいですから。口でどうこう言うよりも、試合で魅せて勝ったら騒ぐ。負けたら黙って去る。それしかないです」

――過去には何度も連敗を経験しています。その時に辞めることは考えなかったですか。

「もう潮時かな……と考えることも何回かありました。特に初めて連敗した時(2014年のONE参戦から2016年のPXCまで4連敗)は、引退のことも頭に浮かびましたね。

でも僕って単純なんです。一人でも『お前、はよ次の試合せぇ』と言ってくれたら、火がつきます。今回も――僕がデビュー当時から応援してくれている人たちに『4年ぶりに試合します』と報告したら、『待っとったで』と喜んでくれたんですよ。『相手は22歳の若手です』『エェやんけ。オッサンの力を見せたれや』という感じで(笑)。そういう人たちにも背中を押してもらいました」

――気持ちは盛り上がった、では体はどうでしたか。やはり試合用の練習をしていない時期も長かったと思います。

「実は4年の間——特にコロナ禍の時ですね。ジムでの練習も制限されていたし、僕も全く練習していなかった時期がありました。練習するといっても、ちょっとジムで体を動かす程度だったり。でも練習を始めたら、すぐに戻りましたね」

――正直、4年前よりグッドシェイプだと思います。

「自分でもそう思います。肉体的にも技術的にも、20代の時より今のほうが上ですよ」

――見た目の話だけでいえば、『どうしたのだろうか?』と思うほど、体が筋肉でパンパンになっていた時期がありました。

「アハハハ、あの時期はウェイトトレーニングにハマッていたんですよ。日本にフィジークの文化が入ってきた頃で、日本中に24時間のフィットネスジムが増えたじゃないですか。自分もそこにハマッて体を鍛え始めて……デカくなりすぎました(笑)」

――当時は筋肉がつきすぎたことでワキも開き、インサイドから真っ直ぐ突くようなパンチも打つことができなくなっていた印象です。

「それは……、まずステップから無理でした。筋肉が重いから体を振ることもできないし、足を使うこともできない。ワキが開きすぎるのもありますし、あと腕が重すぎて後半はガードも上げられなかったんです。『そりゃ相手のパンチを食らうわ』って。だからウェイトは止めました」

――それが現在グッドシェイプになっている理由なのですね。

「おかげで昔の状態に戻ってきました。練習方法も昔のものに戻したんですよ。今は情報化社会だから、いろいろ取り入れていました。でもやっぱり自分に向いていない練習もあるし、違うと思ったものを辞めていって。今回は完全に昔の練習方法にして――10年前ぐらいの自分に戻ったと思います」

――10年前というと……。

「修斗でランキング1位になって、ONEと契約した頃ですね」

――なるほど! これは試合を控えた選手に訊くことではないかもしれませんが、もし渡辺選手が引退するとしたら、惨敗を喫した時か。それとも面白い試合ができなくなった時ですか。

「面白い試合ができなくなった時——というより、『お客さんを沸かせよう』という気持ちがなくなった時ですね。『そんなの今回はどうでもエェわ』と考えるようになったら、それは潮時やと思います。沸かしたいという欲だけで試合をしていますから(笑)。

今回も相手の若さを受け止めて、職人として良い試合を見せます。一つ言えるのは――噛ませ犬の仕事は、負けることじゃないですからね」

■視聴方法(予定)
7月14日(日)
午後2時45分~ ツイキャスLIVE

■TORA33対戦カード

<フライ級/5分2R>
渡辺健太郎(日本)
打威致(日本)

<グラップリングマッチ ライト級/5分2R>
宇野薫(日本)
岡田剛史(日本)

<バンタム級/5分3R>
ガッツ・takato(日本)
神田T800周一(日本)

<2024年新人王決定Tライト級準決勝/5分2R>
KENZO(日本)
シヴァエフ(日本)

<55キロ契約/5分2R>
高橋佑太(日本)
蒔田伸吾(日本)

<バンタム級/5分2R>
アサシン秋雄(日本)
健太エスペランサ(日本)

<フライ級/5分2R>
ふじい☆ペリー(BURST)
八木祐輔(TKエスペランサ)

<2024年新人王決定Tバンタム級級1回戦/5分2R>
小見山瞬(日本)
宮口龍鳳(日本)

The post 【TORAO33】約4年ぶりの試合、打威致と戦う渡辺健太郎「魅せて勝ったら騒ぐ。負けたら黙って去る」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Gladiator Gladiator Challenger Series02 Gladiator CS02 MMA MMAPLANET o Progress YouTube ソドノムドルジ・プレブドルジ チハヤフル・ズッキーニョス チャンネル テムーレン・アルギルマー パン・ジェヒョク 上久保周哉 修斗 南友之輔 大尊伸光 松嶋こよみ 河名マスト 海外 田中有 石田拓穂 竹内稔

【Gladiator CS02】石田拓穂、トーナメント準々決勝のパン・ジェヒョク戦は「一番ハズレですよね」

【写真】石田は計量を66.15キロ(※1ポンド許容あり)でクリア(C)RANK5/ GYO DOK LEE

12日(金)に会場非公開で無観客&配信大会のGLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj」が開催される。そのなかでフェザー級次期挑戦者決定トーナメント準々決勝が行われ、石田拓穂が前フェザー級王者のパン・ジェヒョクと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2020年2月にグラジでプロデビューした石田は、ここまで修斗大阪大会とグラジでキャリアを重ねてきた。昨年3月には約2年半ぶりのグラジ参戦で、チハヤフル・ズッキーニョスに逆転KO負け――わずか1分弱の試合ではあったが、フィニッシュ直前まで石田が優勢であった。今回のトーナメント出場について、本人は「人数合わせかと思った」というが、だからこそトーナメントを盛り上げるという意気込みを語ってくれた(※取材は6月5日に行われた)。


ここ1年は打撃に重点を置いてきた

――MMAPLANETでは初のインタビューとなります。石田選手も他のリライアブル所属ファイターと同様、地元の繋がりでジムに入ったのでしょうか。

インタビュー時の石田(C)SHOJIRO KAMEIKE

「いえ。他の人は神戸の長田出身が多いけど、僕は兵庫県でも小野市という田舎の出身です。ただ、柔道時代に有(田中有)と仲が良くて。僕は柔道で大学に行って、卒業後は1年ぐらい東京で働いとったんですよ。その時、SNSで有が東京でMMAの試合に出ることを知って。あれは大尊伸光選手と戦った時ですかね(2018年9月、田中がKO負け)。

もともとMMAに興味はあったけど、生で観る機会がなくて。そこで有の試合を観た時に、負けたけど『めっちゃカッコエェな。俺もやりたい』と。どうせなら仕事を辞めて地元に帰ろうと思って、有がおるリライアブルに入りました」

――大学はどこへ?

「山梨学院大学です。高校の時は近畿大会で優勝して、大学に行ったんですけど……。大学は1年から3年までヒザを怪我して、復帰して怪我をして――という繰り返しで。4年の時にようやく団体戦に間に合ったという感じです。大学時代に全国大会に出たのは、その最後の試合ぐらいですね」

――柔道から離れたあとに田中選手の試合を観て「MMAをやりたい」と思ったのは、「柔道でやり切ることができなかった」という気持ちがあったのでしょうか。

「その気持ちは絶対にあったと思います。柔道も長いことやっていて、辞める時は『もうエェわ』とう感情でした。でも、よくよく考えたら――柔道やり切っていないし。それで有の試合を観て、自分の中でまた火がついた感じです。リライアブルでMMAを始めたのは23の時ですね。グラジでプロデビューする1年前です」

――その1年間はアマチュア修斗に出ていたのですか。

「はい。アマ修にはウェルター級で出ました。重たい階級は人数が少ないから、すぐ全日本に出られるんじゃないかと思って(笑)。全日本選手権で3位になってプロ昇格しています」

――2020年から2021年にかけてグラジと修斗で4連勝を収めています。しかし今年3月のチハヤフル戦まで1年以上も試合が空いたのは、何か理由があったのですか。

「海外で試合を組んでくれるという話があって、ずっと待っていたんですよ。去年の10月にウズベキスタンのタシュケントで開催される、NAIZA FCで試合が組まれて。だけど相手が計量オーバーで試合できなかったんです(※対戦予定だったシャクゾドベク・ズマノフが計量をクリアできず)」

――1年ぶりの試合で、ウズベキスタンまで行って試合不成立とは……。

「試合が決まった時は『ヨッシャ!』という感じで、かなり練習で追い込みました。でもいざ向こうに行ったら、相手が計量オーバーで……」

――キャッチウェイトで試合を行う話は出なかったのですか。

「それが――キャッチウェイトはキャッチウェイトですけど、『違う相手を用意する。ウェルター級でデビュー戦の選手と対戦してくれ』と言われたんですよ(苦笑)。さすがに周りからも『そんなの怪我するだけやから』って止められましたね」

――NAIZA FCの試合消滅後、復帰戦となったチハヤフル選手との試合ではKO負けを喫しました。あの黒星については、どのように受け止めていますか。

「負けて落ち込んだりはしなかったです。自分が『かっこつけたろ』と思ったせいで、あの結果に転がってしまいました。僕は本来、組みから試合をつくっていくタイプで、打撃も自分から倒しに行くものじゃないんです。イライラさせて、相手が振ってきたところに組みに行く。

でもチハヤフル選手と向かい合ったら相手の打撃も怖くないし、自分の距離でもあったので『これは行けるな』と思ったんですよ。いつもの試合やったら、スクランブルの中で組みに行けている。でもチハヤフル選手は河名マスト戦で、同じような展開で倒されとったじゃないですか。だから自分も『もうちょい殴ったら倒れんちゃうかな?』と打ち合いに行って。代表(田中淳リライアブル代表)からも『行き過ぎや』と言われました」

――そんななかで、フェザー級トーナメント出場のオファーが来るのは意外でしたか。

「意外でした。もともとライト級で試合をしていて、フェザー級はチハヤフル戦が初めてやったんですよ。だからトーナメントと言われても、評価してくれているのか、人数合わせで入れてくれたのか(笑)」

――ライト級時と比べて、フェザー級戦で動きは変わりましたか。

「ライト級の時は減量がなく、計量当日の朝に測って300グラムや500グラムのオーバーっていうぐらいで。そこから厚着して散歩していたら、リミットまで落ちているような感じでした。フェザー級に落とそうと思ったのは、NAIZA FCがキッカケなんです。海外でフィジカルが強い外国人選手と対戦するなら、ライト級やと危ないなと思って。

だからフェザー級でも、そんなに減量はキツくないです。チハヤフル戦は試合時間が短かったけど、ライト級時代と変わった感じはなかったですね。あの試合では組んでないから、まだ分からない部分もありますけど……」

――チハヤフル戦では、ライト級時代よりも打撃のスピードとキレは増していたように感じます。

「あぁ、そうなんですね。それは階級を落とした影響もあると思いますけど、ここ1年は打撃に重点を置いてきたんです。打撃ができんと組みつくこともできない。相手をイラつかせたり、『コイツ打撃が強いんちゃうか』と思わせたほうが、組みに行くタイプとしては有利じゃないですか。そのために打撃を練習してきました」

僕がフィニッシュしたら、バーンと一気に名前が上がる

――ではトーナメント初戦の相手、パン・ジェヒョクの印象を教えてください。

「一番ハズレですよね」

――……ハ、ハズレ!?

「だって今回の出場メンバーで、一番強いじゃないですか。日本のトップファーターは誰もパン・ジェヒョクをフィニッシュすることができていなくて。判定決着でもハッキリと負けたのは、前の河名戦だけやと思うんです。それだけ強いからこそ、一番オイシイ相手でもありますよね。これで僕がフィニッシュしたら、バーンと一気に名前が上がるので」

――パン・ジェヒョクを下したら、いきなりトーナメント優勝候補になります。

パン・ジェヒョクも66.25キロでクリアしている(C)RANK5/ GYO DOK LEE

「あんまりトーナメント優勝とかは考えていないんですよ。出ている選手はみんな強いから、自分としては1試合1試合、しっかり戦うだけで。

パン・ジェヒョクはテイクダウンディフェンスを見ると、体のバランスが良いなと思います。でも今まで対戦した相手は、みんなレスリングのテイクダウンですよね。僕の柔道式のテイクダウンは、他とは違います。僕は壁レスの仕方が変で」

――変、というのは?

「みんな壁レスになると、ガッチリとクラッチして倒しに行きますよね。僕は柔道の足払いを生かして攻めていくタイプなんです。だからパン・ジェヒョクにとっては、今までのレスラータイプとは違う攻め方やと思います。

相手は打撃のバランスが良いから、ジャブにレスリングのような足へのテイクダウンを合わせても倒せんやろう、と思っているんですよ。だから相手の嫌なことをしながら、組みに行きたいです」

――なるほど。

「このトーナメントでは、僕はダークホースですよね。だからこそ盛り上げたいです。面白くない試合はしないので、皆さん配信を視てください。自分はやります!」

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS02対戦カード

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
ソドノムドルジ・プレブドルジ(モンゴル)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
石田拓穂(日本)

<Progressフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]竹内稔(日本)
[挑戦者] 上久保周哉(日本)

<バンタム級/5分3R>
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
南友之輔(日本)

The post 【Gladiator CS02】石田拓穂、トーナメント準々決勝のパン・ジェヒョク戦は「一番ハズレですよね」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Gladiator Gladiator Challenger Series02 Gladiator CS02 Level-G MMA MMAPLANET o Progress YouTube ソドノムドルジ・プレブドルジ チャンネル テムーレン・アルギルマー パン・ジェヒョク 上久保周哉 修斗 南友之輔 峯岸零弥 松嶋こよみ 石田拓穂 竹内稔 竹本啓哉

【Gladiator CS02】上久保周哉の挑戦を受けるプログレス王者、竹内稔「首を抱えれば絶対に極められる」

【写真】冷静と情熱のあいだ――アナコンダを極める時の熱量が凄い竹内 (C)SHOJIRO KAMEIKE

12日(金)に会場非公開で開催される無観客&配信大会のGLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj」で、PROGRESSフェザー級王者の竹内稔が上久保周哉の挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike

竹内にとっては今年2月に代名詞のアナコンダチョークで竹本啓哉を下し、巻いたベルトの初防衛戦となる。ケージ戦の経験は上久保のほうが圧倒的に多い。しかし竹内はケージでアナコンダを極める自信を深めているようだ。ロータス世田谷で一緒に練習することもある上久保を、誰もが来ると分かっているはずのアナコンダで仕留めることができるのか。そんな竹内がアナコンダと、上久保の強さについて語る。


壁ありのほうがアナコンダに入るバリエーションは多い

――5月11日のADCCアジア&オセアニア二次予選では、66キロ級3回戦敗退で世界大会出場は成りませんでした。まずADCC予選の感想を教えてください。

「ちょっと思い通りに体が動かなかったというか、自分がミスをしてしまいました。確かに相手は強かったけど、メチャクチャ強いという感じでもなくて。もうちょっとうまく考えて戦えば、勝てたのかなって思います」

――体が動かなかった、というのはコンディションの問題でしょうか。

「調子は良かったです。3回戦は試合中に焦ってしまったんですよ。まずノーポイントの時間に自分がスイープできて、『これならまたスイープできるかな』と思いました。そのあとポイントが入る時間になると、自分がパスを狙った時にスイープされて。相手にポイントが入って『ヤバイッ!』と焦ってしまい、プランが全て崩れてしまいました。さらに自分が不用意にバックを狙った時、逆に相手にバックを奪われました。そこで焦ることなく、もっと考えて戦っていれば――と思っています」

――――ADCCルールの特徴の一つが、前半はノーポイントで後半からポイントが入るというものです。日本ではADCCルールの試合を経験する機会がなく、そのルールが体に染みついていないという問題点はありせんか。

「それはあると思います。結局『ポイントを取られても一本で勝てばいい」と考えてしまうんですよね。だけど相手はヌルマゴ軍団出身で、メチャクチャ力が強かったんです。アナコンダを狙っても力で跳ね返されてしまうような感じでした。

アナコンダを極めることができないなら、スイープとかポイントを取りに行けば良かったです。でも切り替えることができず、自分はスイープされ、アナコンダを極めることもできず焦っていました。その状態で残り2分になっていて、巻き返すのは難しかったですね」

――昨年11月の1次予選ではアナコンダを極めまくっていただけに、2次予選では警戒されていたのでしょうか。

「3回戦の相手は、それほど僕のことを知らなかったと思います。だから自分も『『アナコンダを極めることができるだろう』と考えてしまったんですね』

――やはり竹内選手の中で、アナコンダには絶対的な自信があるのですね。

「首を抱えれば絶対に極められると思っています。100パーセントと言ったら言い過ぎですけど……、95パーセントは極めることができます(笑)」

――まだ修斗でプロデビューする前に修斗グラップリングの大会で、初めて竹内選手がアナコンダを極めるところを見てから十数年が経ちます。以降もずっとアナコンダを極めているなかで、取り方は変化してきましたか。

「昔はそこまでレスリングができず、完全にカウンター待ちでした。今は組手で崩し、相手の頭を下げて首系を取りに行くという技術も身につけました。入り方のパターンは、かなり増えています」

――3月3日の峯岸零弥戦(Level-G、サブオンリーで判定負け)のように、相手がボトムになった場合は?

「峯岸戦は不完全燃焼でした(苦笑)。やはり相手が下になった状態では難しいですね。やはりカウンタータイプではあるので、相手が攻めて来るかスクランブルになった時に取るのが70パーセント、自分から攻めて取るのが30パーセントぐらいです」

――では2月にプログレスのベルトを獲得した竹本戦は、相手がシングルレッグで入ってくるように誘いこんだのでしょうか。

「いえ、それが……完全に警戒してテイクダウンに来ないと思っていたけど、来たので確実に仕留めました」

――えっ!? 竹内選手から誘ったわけではないのですか。それは意外です。

「どういうことですか?」

――竹本選手に訊いたところ、シングルレッグに行くように誘い込まれたような感覚があっていたそうです。

「いえいえ、そんなことはないです」

――えっ、えぇ……。普通は竹内選手のアナコンダを警戒して、シングルレッグで入るのは躊躇しますよね。それでも相手がシングルレッグで組んでくるのは……。

「そういう試合、よくあるんですよ。ADCCでも、アナコンダが来るのは分かっているはずなのにテイクダウンを狙ってきて。もしかしてテイクダウンしやすいと思われているのでしょうか(笑)」

――自分でも気づかないうちに相手を誘い込んでいるのは、もう魔性のアナコンダですよ。

「アハハハ。練習だと、相手がテイクダウンに来ることは少ないです。でも試合だとシングルレッグで入ってくるのは、やっぱり焦りがあるからじゃないですか。試合では自分からアクションを起こしていかないといけない、という気持ちが出てきますよね。それが焦りにつながって――とは考えます」

――カウンターが7割、自分から攻めていくのが3割というのは狙っている数字なのですか。それとも結果的に、自然とその割合になっているのか。

「自然とその割合になっているんだろうと思います。ただ、自分がずっと待っているわけではないです。僕が攻撃して、さらに攻撃して、相手が出てきたところを狙います」

――それを「誘っている」というのです(笑)。ではグラップリングにおいて、アナコンダなど首系以外の技を極める割合はいかがですか。

「今はボディロックでテイクダウンしてくる選手が多いじゃないですか。首系以外だとボディロック・テイクダウンへのカウンターがあります。試合ではあまり極まったことはないけど、練習では極まっていますね。プログレスの場合は、ケージに押し込んでテイクダウンを狙ってきた時のカウンターを考えていて」

――マットやリングの時とは違う取り方を考えているのですね。

「自分の中ではケージのほうが極めやすいと思っています。今までケージグラップリングの経験は少ないですけど、練習は壁ありでやっていますからね。壁ありのほうがアナコンダに入るバリエーションは多いですよ」

ポイントがあることで攻防が生まれ、取りやすくなる

――その壁ありの練習を、ロータスで上久保選手ともやっているのですか。

「そうですね。上久保選手とは2~3週間に1回、練習で会っていました(笑)。試合が決まってからは、練習で組むのは止めています。試合1カ月前になって、上久保君がロータスに行く曜日は外しました」

――では上久保戦のオファーが来た時は、やりづらいと思いましたか。

「試合したいか、したくないかと訊かれれば――まぁ、アハハハ。練習して強さも分かっていますからね。試合を視れば分かるとおり、上久保選手のファイトスタイルって試合すると削られるじゃないですか。普段一緒に練習していなくても、対戦したくない相手です(苦笑)。

とにかく相手の光を消すのが巧いですからね。さらに試合時間が5分3Rで、上久保選手はスタミナもメチャクチャありますし。だから対戦したくないです」

――先ほどから「対戦したくない」を連呼しています(笑)。

「アハハハ。上久保選手については、みんなそう思うでしょう。本当に強いですから。今まで対戦してきた中でも、特に極めづらい相手です。上久保選手は出力がずっと一定なんですよ。だから練習していると、後半のほうはもう嫌になってきます(笑)。

もう本当に凄いですよ。最初ガーッと来て、そのペースがずっと続く。だからどこかで落ちると思うじゃないですか。でも一度上がったら、ずっと出力が同じで。強弱がないから本当にキツイです」

――竹内選手が得意とするカウンターは、そんな強弱の間を探りながら、その瞬間だけ最大出力を当てていくものですよね。上久保選手の出力の出し方とは真逆といいますか。

「そうかもしれないですね。その上久保選手の攻略法を今、考えているところです。自分としても今までと同じ戦い方+、新しいものを考えないと勝てないと思います」

――対して上久保選手は今までの試合とは違い、何か変えてくるでしょうか。

「変えてこないんじゃないですかね? というのも、僕がやることは向こうも分かっていると思うので。少し変えてくるかもしれないけど……どうなんだろう、という感じですね」

――その点はプログレスのルールも大きく関わってくるように思います。ケージグラップリングで、引き込むと相手にポイントが入る。一方でグラウンドになると、ボディロックで抑え込むことは反則となります。

「ケージだと押し込めるし、そこでテイクダウンできると思います。ルールの部分で不利になることはないかな、と。ただ、今回の試合はポイントも重要になってくるので、あまり自分にとってマイナスになることはやりたくないですね。

ただ、自分としてはポイント制のほうが面白い試合になると思います。サブオンリーだと峯岸戦のような試合になってしまうかもしれません。ポイントがあることによって攻防が生まれて、一本を取りやすくなるとも思いますし」

――なるほど。

「たとえばADCCだと、延長戦になるとボトムになったらマイナスポイントになります。すると必ずテイクダウンを奪いに来るので、自分も首系を狙いやすくなる面はありますね。

ただ、上久保選手も一本を取る力がありますからね。自分がいつもどおり狙いに行くと、反対に極められてしまうかもしれない。細かいことは言えませんが、今までと完全に同じ戦い方だと厳しくなってしまう。上久保選手が強いことは十分に認識しています。それでも僕が一本勝ちしますよ」

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS02対戦カード

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
ソドノムドルジ・プレブドルジ(モンゴル)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
石田拓穂(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]竹内稔(日本)
[挑戦者] 上久保周哉(日本)

<バンタム級/5分3R>
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
南友之輔(日本)

The post 【Gladiator CS02】上久保周哉の挑戦を受けるプログレス王者、竹内稔「首を抱えれば絶対に極められる」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB MMA MMAPLANET o TSUNE UFC UFC ESPN58 YouTube   アレックス・ペレス キック ジョシュア・ヴァン ティム・エリオット ボクシング マテウス・ニコラウ 修斗 前田吉朗 平良達郎 松根良太

【UFC ESPN58】ペレスを下し、ランク5位。平良達郎&松根良太、師弟対談─01─「謙虚さが強さ」(松根)

【写真】抜群の信頼関係にある松根良太と平良達郎 (C)THE BLACBELT JAPAN

6月15日(土・現地時間)のUFC on ESPN58でアレックス・ペレスから2RTKO勝ちを収めた平良達郎は、日本人前人未到のオクタゴン6連勝とし、フライ級で5位にランクされることとなった。
Text by Manabu Takashima

対戦相手が2度変更、戦う日付も2度延期された。その状態で過去最強といって良いペレスから衝撃的なオタツロック→足の負傷というフィニッシュ勝利をした平良と、師匠である松根良太氏に今回の勝利を振り返り、これからに関して尋ねた。

武器を増やしながらも自分の軸を崩さない平良。UFCで王座挑戦が現実的に見えてきた平良の根底にある強さの源が何なのか──が、両者の言葉から見えてきた。


「上手くいかないことを考える時間が凄く長かった」(平良)

──メインでアレックス・ペレスに勝利し、フライ級のランク5位になりました。ティム・エリオット、ジョシュア・ヴァンと対戦相手が2度も変わり、また試合の日も2週間、また2週間と1カ月近く延びました。ただ、一番良い相手との試合をしっかりと勝てたのではないかと。

平良 3人とも面白い選手でしたが、これからチャンピオンを目指す上でペレスが一番良い相手だったと思います。ペレスのテイクダウンディフェンス能力の高さは誰もが認めるところで。そこに対し、僕はどうすれば勝てるのかなってメチャクチャ考えました。

ティム・エリオットだとガチャガチャの展開になって、彼の方から下になることもあったと思います。ジョシュア・ヴァンはグラップリングに穴があって、これまでの試合と戦い方はそれほど変わることはない試合になっていた可能性が高いです。対してペレスと戦うことで、上手くいかないことを考える時間が凄く長かったです。そのペレスからテイクダウンが取れて、自分がやらないといけないことができて勝てた。結果として、一番良い相手に勝てました。

松根 これまでの5試合はランク外の選手と戦って、UFCで上にいくために良い経験が積めているという気持ちはありました。例えば修斗で戦っていた時に清水(清隆)選手に勝った後に、ランキング的に王座挑戦ということでなく前田吉朗選手と戦うべきだと思いました。

ワンクッションを置いてから、挑戦だと。それは平良達郎の経験が足りていないと感じていたからです。前田選手と戦うための練習をしっかりとすることで成長し、福田(龍彌)選手と戦いで勝利する道に繋がりました。彼が修斗で戦っているときは、そんな風に考えていました。対して今の達郎はUFCの5試合で経験が積めています。

ジョシュア・ヴァンとやっても、彼も言ったようにその5試合と同じような試合になっていたはずです。ティム・エリオットに関しては、扇久保(博正)とのストーリーがあるのと、彼のようなスタイルの選手と戦うと、これまでの試合とは違う経験ができるという想いもしていました。

達郎自身も興味を持っていましたし。でも、アレックス・ペレスは現状で一番良い相手でした。紛れもない実力者で、その彼にああいう試合展開で勝てた。達郎にとって、良い経験になりました。ティム・エリオットですが、ACLを痛めたと聞き、その回復の時や今後の復調を考えるともうやることはないかなと思います。

これまでの16試合、達郎も相当に良い経験を積むことができています。機は熟してきているんじゃないかと、僕は思います」

──ペレスはタイトル挑戦経験もあり、直近の試合でマテウス・ニコラウに勝ったこともタイトル挑戦に近づくうえで大きかったのではないかと。

松根 マテウス・ニコラウも越すことができましたしね。

──UFCで上にいくほど、相手は穴が無くなります。そして防御能力が高い。そこが先ほどから平良選手も言われているペレスのテイクダウン防御能力の高さを含めて、過去一番穴のない相手だったかと。

松根 そうですね。そのペレスに対して、初回にはしっかりとジャブをつくことができていました。ペレスがフック系のパンチだったのに対して、達郎は真っ直ぐが打てていた。そして距離を創ることもしっかりとできていました。

バッと来た時に被弾した場面もありましたが、効かされたパンチは一発もなかったです。届いたように見えるパンチも顔を背けて、抜かしています。

沖縄の琉豊ボクシングジムで、與那城(信一)会長の下でやってきたこともしっかりと試合で出ていました。会長も「アッパーをあそこで出せると思わなかった。試合で出せている」と言ってもらえたように、1Rに打撃でやり合えたことはとても大きいです。戦前に僕が予想していたのは、距離感と相手のステップの雰囲気を掴むのに時間を使う。でも2R以降、3R、4Rと達郎はどんどん見えてくるはずだと。それが2R開始の時点で、相当に見えていましたね。

あのまま打撃戦を続けていても、達郎は目が良くて距離感も良いので彼のペースになっていたはずです。岡田(遼)とも話しましたが、初回にやられているということは全くない。そういう印象でした。ただ、取っているかどうかでいうと、そうでないかもしれない。そこで取られるようなことがあれば(※ジャッジは3者とも10-9でペレスを支持していた)、判定に関して今後ももっと勉強をしないといけないと考えています。

平良 1Rは良いラウンドとは言えないですけど、想定通りというか。ペースも思った通りでした。ケージに詰められて手数が減り、ペレスがカーフキックやパンチで攻めてくる展開が続くことは避けたいと試合前に考えていました。それに一番警戒していたカーフキックを2、3発貰ったのですが、「大丈夫だ」と本当に思えて。

──一番嫌だった技が、そうでもなかった。

平良 スコアはそれほど頭になくて、カーフキックに関して「対応できる」と凄く安心できたのは大きかったです。

──個人的に平良選手がUFCとサインをした時に、やっていけるのか不安ばかりでした。スタイル的に一番の武器が寝技、その前のボディロックテイクダウン。寝技はスクランブルゲームが発達している。そしてボディロックは、、その距離に入るための打撃が必要だったからです。

松根 ハイ。

──そうなると、よりボクシング&レスリングが必要で。ただ、そのために自分の良さを失う選手も見てきました。対して平良選手は課題を克服しつつ、得意だったところもより良くなっている。そこが凄いと感じています。

平良 ありがとうございます。

「達郎を信じて少し背中を押した」(松根)

松根 例えば琉豊ジムでのボクシングに関しても、UFCに合わせて近い距離のボクシングが増えています。そこで技術的に上達すると、安心して試合でも距離が近くなります。そこが、自分が通常はボクシングに手を出し始めた選手に感じる不安です。

でも達郎は、それがないんです。自分の戦いを忘れない。軸を崩さないです。ボクシングに関してはいざという時の近い距離の目慣らしをして、試合の時は自分の距離で戦えます。これまでやってきた15戦、今回が16試合目ですが、それまでやってきたことを信じているからだと思います。テイクダウンと寝技を信じて、打撃も信じて戦うことができています。

ただし、試合前は不安になるタイプなんです。15連勝していても、試合前は常に不安に陥って。スタート時点が「これで勝てるのか」ということになるので、そういう彼の謙虚さが、強さです。だからこそ、自分のなかで色々と考えて、噛み砕くことができるので。

平良 今回は特に──でした。これまで戦ってきた選手のなかでテイクダウン防御が一番強く、無駄打ちすると勝手に自分の方からガス欠になってしまう。ただ松根先生にも言ってもらったのですが、自分を信じて2Rになるとテイクダウンに行こうと思っていました。結果、体が動いてテイクダウンからバックを取ることができました。それができたので、しっかりと自信を持つことができる試合になりました。

──5R制だったので3Rよりも不安で、いつも以上に考える。結果、クリアできて自信になったということでしょうか。

松根 今回の試合、そこの部分で達郎と意見が食い違うこともありました。アレックス・ペレスはオールアメリカンで、ディフェンス能力が高いレスラーです。だから達郎はテイクダウンが通用しないかもしれない、無駄打ちすると5R制なので切られてガス欠が怖いと思っていました。

僕はテイクダウンをしっかりと見せること。切られても打撃、打撃からまたテイクダウンを初回から続けることが大切だと考えていました。そういう僕の考えと、5Rだからという達郎の間でせめぎ合いがありました。でも僕は達郎のテイクダウンは、アレックス・ペレスに通じると信じていました。

と同時に達郎が1Rはテイクダウンにいかなかったことで、ペレスは2Rにモロに受けてしまった。そこがあったとしても達郎のテイクダウン能力は、1度で取れなくても2回目、3回目で取れると思っていました。すんなりでなくても、しっかりと取れてきたモノなので。そこに関しては「自信を持って、行きなさい」と伝えていました。

──それでも取れないかもと、考えてしまうものかと。

松根 ハイ。取れないとしても、強い気持ちを持ってリセットする。テイクダウンのフェイントから打撃、打撃からのテイクダウンを織り交ぜて戦う。試合前にデンバーに入って、高地トレーニングでスタミナもあげていたので。スタミナ面も信じていました。

僕自身、5Rを戦ったこともないのに(笑)。でも、達郎を信じて少し背中を押した感じですね。

<この項、続く>

The post 【UFC ESPN58】ペレスを下し、ランク5位。平良達郎&松根良太、師弟対談─01─「謙虚さが強さ」(松根) first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 DEEP MMA MMAPLANET o PFC33 YouTube   カタナマン 中西テツオ 亀松寛都 修斗 吉田開威 山本喧一 新井丈 松岡疾人 森崇純 渡部修斗 飛田拓人 黒石大資

【PFC33】北の大地で黒石大資のベルトに挑戦、中西テツオ「自分の得意なものが明確になりました」

【写真】Tシャツの下には、以前よりも筋量が増えた肉体が……(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、北海道札幌市北区のPODアリーナで開催されるPFC33で、中西テツオが黒石大資の持つ同フライ級王座に挑戦する。
Text by Shojiro Kameike

中西は昨年11月、PFCに初参戦して澤口悠之介を下した。続く2戦目でベルトに挑戦する中西に起きた昨年からの変化とは。


怪我もなく練習も試合もできるのは幸せなこと

――2021年からDEEP名古屋大会と大阪グラジエイターを主戦場としていた中西選手が、ここで北海道のPFCに参戦することになったのは、どのような経緯があったのでしょうか。

「本当にタイミングですね。去年は3月と8月に試合をして、その後すぐにでもまた試合をしたかったんです。調子も良かったですし。でも他の団体ではなかなか試合が決まらない状態で。そんな時に、たまたま山本喧一代表が『PFCに出場する選手を募集しています』とXに投稿していて、僕から連絡しました」

――山本代表に直接連絡を! 「調子が良かった」というのは、何か湧き上がるものがあったのですね。

「何て言ったらいいのか……。周りには格闘技が好きなのに怪我で練習も試合もできない人がいるんで。そういう人たちを見ていると、自分は怪我もなく練習も試合もできていて――それって幸せなことだなって思うんです。だからDEEPが終わったあとに『試合したいな』って気持ちが沸き上がりました」

――結果、2023年は3連勝を収めました。2連敗のあとの3連勝というのは、何か変わったところなどはあるのですか。

「自分の中で特に『変わったなぁ』と思うところはないです。試合の中で『自分がやるべきことを決めた』という感じですね。特に去年は3試合とも、相手が若手だったんですよ。相手の対策などではなく、自分の得意なところを出せば勝てるという3試合でした」

――確かに最近の試合では、思い切りの良さは感じました。2022年は何か考えながら試合をしていたのに対し、2023年以降は自然と体が動いているというイメージです。

「そうですね。その点は凄く大きいです。相手云々ではなく自分次第、という3試合を経験しました。調子の良い時は必ず自分の得意なポジションを取ることができる。そういう自分の得意なものが明確になりました」

――自分の得意なポジションとは?

「バックポジションですね。バックを奪うことは、僕にとっては明確な一つの武器なので。同じバックでも細かい部分が違っていて。それが自然と、僕にとって良いポジションを取れるようになってきました。

自分の中では去年8月のDEEP名古屋の試合(カネタケマンに判定勝ち)が一番大きかったんですよ。練習感覚で試合ができたので。今までは切羽詰まった感じで試合をしていたというか。でも8月の試合は余裕を持って、練習の延長で試合できたことが大きかったです」

――一方、今年4月にはDEEP名古屋大会で松岡疾人選手に敗れています。中西選手がコントロールしていたようにも見えましたが……。

「僕としても『負けはないだろう』とは感じていました。何か相手の攻撃でダメージを与えられたとか、そういうのは感じなかったので。

判定となると難しいところですね。人が決めることですし。最近は判定基準も流れが変わってきて、まず明確な差を見せないといけない。僅差だと、どちらにポイントがつくか分からない状態だと思います」

――ちなみに、凄く体が大きくなっていませんか。

「あぁ、今回は凄く追い込んできたので(笑)」

――今だけでなく、最近の試合を視ていると以前よりも筋量が増えているように感じます。

「ありがとうございます。特別なトレーニングをやっているわけではなく、練習量が増えた結果だと思います。やっぱりジムを立ち上げた頃は、自分の中でも練習をセーブしていたところがあって。その状態で試合をするのは良くないですよね。ジムと選手の両立は簡単ではないけれど、現役のうちは選手として頑張っていきたいですからね」

――ジムと選手を両立できる方法が見つかったのですか。

「いえ。自分が何かしたというよりは、運が良かったんですよ」

――運が良かった?

「自分の試合がある時に、たまたまジムで指導を替わってくれる人がいたりとか。あとはNAGOYA TOP TEAMのように、みんなが集まって練習できる環境も増えて」

――そういえば中国でKO勝ちを収めた吉田開威選手は、NTTやガイオジムで一緒に練習しているそうですね。

「彼は本当に凄いですよ。一緒に練習しているので分かります。自分と一緒に練習している時も、優しくしてくれているなぁって(笑)。打撃に関しては太刀打ちできません。彼のような新しいファイターも出てきて、名古屋のMMAも盛り上がってきていると思います」

『これはベルトを獲るでしょ』と自分でも思っています

――そんななか、中西選手は名古屋から札幌に行って試合をするわけですね。

「僕はどこでも戦います!」

――昨年の初参戦時はPODの選手でしたが、敵地ということも意識していなさそうです。

「アハハハ、全く気にしていません。前回試合した時、イベントとして凄い熱量を感じたんです。おもしろい団体だなって思いました。お客さんとの距離も近いですし」

――そしてPFCのベルトに挑戦することになり、相手が黒石選手というのも何か運命的なものを感じます。

2017年8月、中西と黒石は共に中国WLFで試合に臨む予定だったが、大地震の発生で大会が中止に(C)TETSUO NAKANISHI

「あぁ、2017年のWLFですね。去年11月に大会で『お久しぶりです!』と挨拶しました(笑)。でもお互いPFCの同じ階級で試合をしていて、いつか対戦するかもしれないなと思ったんですよ。だから、その時は挨拶程度で」

【参考】「2017年のWLF」について、詳しくはこちら
中西テツオ・インタビュー 
新井丈インタビュー
黒石大資インタビュー

――ファイターとしては黒石選手について、どのような印象を持っていますか。

「ベテランらしさがあって、自分のやることを決めているファイターですよね。お互いにやることが決まっている。黒石選手も僕がやることを分かっていて、しっかり対策はしていると思います。もちろんMMAだから、いつもとは違うこともやってくるでしょうし」

――それは中西選手も同じですよね。

「もちろんです。僕としては、相手は自分の対策をしてきてくれたほうが戦いやすいですよね。僕のリズムに合わせてくれたほうが、逆にやりやすくなるので。結局、何があるか分からないっていうのがMMAの面白さだと思います。

今回はタイトルマッチなので、僕も気合いが入っています。この2カ月強、メチャクチャ追い込んできました。『これはベルトを獲るでしょ』と自分でも思っていますので、応援よろしくお願いします!」

■PFC33対戦カード

<バンタム級選手権試合/5分5R>
亀松寛都(日本)
森永ユキト(日本)

<フライ級選手権試合/5分5R>
黒石大資(日本)
中西テツオ(日本)

<ミドル級選手権試合/5分5R>
新名正啓(日本)
カタナマン(日本)

<ウェルター級/5分2R+Ex>
成田佑希(日本)
飛田拓人(日本)

<フェザー級次期挑戦者決定戦/5分2R+Ex>
森崇純(日本)
ハント高島(日本)

<グラップリング戦 フェザー級/5分2R>
渡部修斗(日本)
伊藤光(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex>
中場ガッツマン大地(日本)
綾哉(日本)

The post 【PFC33】北の大地で黒石大資のベルトに挑戦、中西テツオ「自分の得意なものが明確になりました」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Gladiator Gladiator027 MMA MMAPLANET o ONE RIZIN YouTube しゅんすけ アドニス・セビジェーノ オトゴンバートル・ボルドバートル ダギースレン・チャグナードルジ チハヤフル・ズッキーニョス チャンネル ハンセン玲 ハンセン玲雄 パク・サンヒョン 上久保周哉 上田祐起 中川晧貴 修斗 和田教良 土本暉弘 森井翼 水野翔 澤田政輝 田口翔太 竹中大地 竹本啓哉

【Gladiator027】目標はRIZIN──も、竹中大地「今は竹本選手に勝つことだけに意識を集中させています」

【写真】理路整然としている。そこが竹中のMMAにも通じている (C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027で、竹中大地が同バンタム級王者の竹本啓哉に挑む。
Text by Shojiro Kameike

ONEとの契約を終え、2023年に国内復帰を果たした竹中。7月に古巣の修斗で藤井伸樹を下すと、続いて12月にはグラジエイターでテムーレン・アギルマーに勝利した。その後RIZIN出場の噂もあった竹中が、ここで再びグラジのケージに足を踏み入れる理由とは?


――昨年12月にテムーレンを下して以来、7カ月振りの試合を迎えます。もともとRIZIN出場を掲げていましたが、この期間はRIZINと交渉していたのでしょうか。

「まず3月のRIZIN神戸大会の出場を目指して、オファーを待っている状態でした。実際、間に人を介して、RIZINに対してアクションを起こしていました。2人ぐらい対戦相手も上がったのですが、結局は決まらなかったです」

――現在、竹中選手が最も希望するのはRIZIN出場なのですね。

「今の自分が一番見ている先はRIZINです。それは決して思いつきではなく――今、国内のバンタム級はRIZINに選手が集まっていますし、自分がパフォーマンスを出せる間にRIZINで勝負させてほしいと思っています」

――そこで今回、どのような経緯でグラジに出場することになったのですか。

「まずRIZINも3月の神戸大会は試合が決まりませんでした。そのあと6月と7月も難しく、もし組まれるとしても秋ごろじゃないか、と……。自分としては、そこまで試合間隔を空けたくないので、7月には試合をしたいと思っていたんです。ちょうどその時にグラジエイターから『7月大会に出てほしい』というオファーがあり、こちらもお願いしました。

正直言って、本当にRIZINで試合が組まれるのであれば、それまで待ってもいいという気持ちでした。でも『秋ごろじゃないか』というのも、確実な話ではなくて。待った結果、もし秋にも試合が組まれなかったら、どんどん試合間隔が空いてしまいますからね。やっぱり僕もファイターなので、とにかく試合をしないと。いろいろ考えた結果、『7月に試合せななぁ』と思ったんです。それでグラジから『出てほしい』と言われたのは嬉しかったですね」

――昨年9月、グラジのケージに入り参戦発表を行いました。あの時点でグラジに継続参戦することは考えていましたか。

「半々、ですね。12月にグラジで戦い、RIZINに出られたら――と。2024年の動きは、12月の試合次第やと思っていました」

――今回対戦する竹本選手は竹中選手の参戦が決まり、続いて上久保周哉選手もグラジに出る話を耳にした時、仕事を辞めたことをご存じですか。

「えっ!? どういうことですか」

――「この2人がグラジに来るなら、もっと格闘技に集中しないといけない」と思ったそうです。

「僕のテムーレン戦を観て、そう思ったということですか?」

――いえ、参戦発表で竹中選手が入場してきた瞬間に、そう思ったとインタビューで話していました。

「すみません、そのインタビューを読んでいなくて……。でもそれは本当に嬉しいです。竹本選手が僕のことを、そんなに評価してくれているなんて」

――「2024年の動きは、12月の試合次第やと思っていた」ということですが、では12月のテムーレン戦の内容については、どう考えていますか。

「結果はフィニッシュでしたけど、テムーレンのポテンシャルをケージの中で感じた試合でした。テムーレンは攻撃の一つひとつに力があると感じましたね。僕としては内容的にもっと圧倒したかったです。見ている人も一瞬『竹中、大丈夫か?』と思ったでしょうし。自分としては、本当はもっと圧倒できたなと思います」

――昨年7月の藤井戦も、予想以上に竹中選手が苦戦しているような場面もありました。藤井戦とテムーレン戦は、何かまだギアが上がっていないような……。

「あぁ、それはあります。特に藤井戦は試合自体が、だいぶ久々で。しかも藤井選手が相手というのも急に決まったので、仕上がりという面では不安定な部分もありました。この2戦を経て、今はだいぶ良い感じになってきていますね。試合感覚はバッチリ取り戻せています」

――藤井戦とテムーレン戦を経て、何か新しく取り組んでいることはありますか。

「新しいことというか、竹本戦が決まってからはチアゴ・ハタダさんとマンツーマンで柔術の練習をさせてもらっています。チアゴさんは堺市でアルティメット柔術というジムを開いている方で、メチャクチャ強いんですよ」

――それはギの練習をしているということですか。

「グラップリングですね。チアゴさんもMMAをやりたいということで、MMAグローブを着けたスパーリングもやっています」

――改めて柔術家とグラップリングの練習をして気づいたことはありますか。

「気づいたこと……、難しいですね。でもMMAでしっかりやってきたおかげで、寝技専門の人と寝技の練習をしていても対応できる部分がある。もちろん自分がやられることもあるけど、自信になることも多くて。

細かいことは言えないけど、練習の中ではできることも増えています。それと精度が高まっていますね。足の位置、クラッチの位置とか自分の中で技術が整理されていて、今が一番良い状態なんですよ。ずっとMMAグラップリングの練習をしてきて、竹本選手との試合が決まってから寝技の部分を改めて確認しているような感じです」

――それだけ竹本選手の印象=グラップリングということになりますか。

「グラップリングも強いけど、打撃の距離のコントロールも巧いですよね。それとテムーレン戦を見ると、ガッツある試合ができる選手で。あの試合は僕も会場で観ていて『あの展開で最後まで諦めず、攻め切った!』と思いました」

――竹本選手はテムーレンとギリギリの勝負を展開して判定勝ち。対して竹中選手はテムーレンをフィニッシュしているという点は、次の試合に向けて自信になりますか。

「どうですかね? 僕と竹本選手ではタイプも違うので――MMAを長くやっていたら、そこは関係ないって分かると思いますよ」

――やはりそうなのですね。竹本選手も今回の試合に向けたインタビューで、「格闘技で三段論法は通用しない」と言っていました。

「まさに、僕もそう思います」

――今回は竹本選手が持つベルトに竹中選手が挑む形となります。グラジのベルトを巻くことに対する意識はいかがですか。

「グラジに限らず、今は特にベルトは意識していないです。最初に今回のオファーを頂いた時も、ベルトが賭かっているかどうかも気にしていなくて。タイトルマッチであろうと、そうでなかろうと、竹本選手とは戦う。強い選手に勝てば、ベルトは後から付いてくるものだと考えています。

今は自分の中に『ベルトのために試合をする』という気持ちはないです。やっぱりファイターであるかぎり、強い相手や条件のほうが重要で。RIZINを目指す中で、グラジを軸に戦いたいと思っています。テムーレン戦も良い条件のオファーを貰いましたし、これからはRIZINとグラジで良いキャリアを積んでいけるんちゃうかな、と思っています」

――竹中選手としてはここで竹本選手に勝ち、年内にはRIZINに出場するのがベストなスケジュールでしょうか。

「いえ、竹本選手との試合が決まってからは、今後のことは考えていないようにしています。自分の中で『今後のことは喋りたくない』と言い聞かせているんですよ。今はただ7月7日、竹本選手に勝つことだけに意識を集中させています」

■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027対戦カード

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉(日本)
[挑戦者] 竹中大地(日本)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
中川晧貴(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄(日本)
パク・サンヒョン(韓国)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔(日本)
田口翔太(日本)

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
和田教良(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
土本暉弘(日本)

<81キロ契約/5分2R>
森井翼(日本)
織田ジュラシック(日本)

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
澤田政輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
上田祐起(日本)
福井竜郎(日本)

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
カーヴィ(日本)

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太(日本)
鶴屋健人(日本)

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
上野滉太(日本)

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵(日本)
友實竜也(日本)

<フライ級/5分1R>
藤原浩太(日本)
小早川大地(日本)

The post 【Gladiator027】目標はRIZIN──も、竹中大地「今は竹本選手に勝つことだけに意識を集中させています」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
o ONE SASUKE UFC パンクラス ボクシング 修斗 高木亮 高橋遼伍

PANCRASE344:メインイベント・キム・サンウォン vs. 中田大貴

フェザー級。サンウォン4位、中田7位。

サンウォンは昨年のRoad To UFC修斗フェザー級王者SASUKEに2RKO勝ち。準決勝では優勝したイー・ジャーに判定負けしたが健闘した。昨年11月のパンクラス初参戦では、名田を組みでコントロールし続けて判定勝ち。翌月に早くも組まれた2戦目は、ONEからの帰還となる元修斗環太平洋王者高橋遼伍相手に1R・2Rともにオープンスコアが割れる内容だったが、パンチで目が腫れた高橋が続行不能となりTKO勝ちで連勝。30歳。

中田はパンチを貰っても意に介さず打ち返していく打たれ強さが武器だったが、昨年7月の高木亮戦で初のKO負け。今年3月に復帰戦が組まれていたが、相手のシュウジ・ヤマウチの体重オーバーで消滅している。バックボーンは空道だが、ぶん回すだけの打撃から、欠場中に専門のトレーナーをつけて打撃のレベルを向上させている。28歳。

夜の部ではフェザー級次期挑戦者決定戦が組まれるが、この試合の勝者もそれに続く位置に入ってくると思われる。

両者オーソドックス。中田ガードを固めて詰めていく。ケージに詰めてボディブロー。サンウォンタックルに。テイクダウン。中田の左足を両足でロックし、右足を右腕でつかんで立たせない。中田はサンウォンの首を抱えている。サンウォン両足をホールドしレッグマウント。背中を向けて立った中田。サンウォンバッククリンチからテイクダウン。サイドで固める。足をまたいだ。マウント。また背中を向ける中田。残り1分。サンウォン四の字バック。チョークを狙っていく。中田足を掴んで足関を狙おうとするが、サンウォンがバックマウントに。立って正対したタイミングでホーン。

1R三者サンウォン。

2R。中田カーフ。タックルを警戒しつつじわじわ出る。ケージまで詰めたところでサンウォンがタックルに。切れずにテイクダウンされた中田。バックを取らせた体勢で立った中田。正対するとまた首をギロチンに抱える。サンウォンまたダブルレッグへ。クラッチしてテイクダウン。中田また立った。振りほどいて離した。中田パンチで出る。ボディ。首図もうからヒザ。押し込んできたサンウォンを引き剥がす。また組んできたサンウォン。ヒジを入れて引き剥がした。パンチ・ヒザを入れる。サンウォンまたタックルでケージに押し込む。ダブルレッグ。サンウォンテイクダウン。背中を向けた中田。残り30秒で立った。パンチを入れて離れたサンウォンだが、残りわずかで追いかけてパンチを入れた中田。ホーン。

2R三者中田。

3R。すぐに出る中田。サンウォン下がりながらジャブ。中田のアッパーにサンウォンが打ち返す。もらっているが出ていく中田。ジャブを顔面にもらった中田。サンウォン距離を取ってのボクシングに切り替えた。中田ワンツーで出る。サンウォンの右をもらったが、カーフを返す中田。サンウォンのタックルを振りほどいた中田。またタックル。ケージに押し込まれたが、すぐ引き剥がした中田。サンウォンの右がヒット。中田はカーフ。詰めてワンツー。右ハイ。組みに来たサンウォンにヒザ。残り1分。中田左ボディ。アッパー。カーフ。サンウォンのワンツーにパンチを返す中田。最後に両者パンチを打ち合う。タイムアップ。

3Rは一転して打撃戦になった。打たれながらも打っていった中田だが…。

29-28サンウォン×3の3-0でサンウォン勝利。中田、サンウォンの壁を越せず。

しつこい組みが持ち味のサンウォンだが、2Rにテイクダウンしても打撃でラウンドを取られると、3Rには消耗しながらも打ち合いに持ち込んで勝利。

サンウォン「メインでプレッシャーもあったが乗り越えることができた。感謝している人は多くてここでは伝えきれないが、みなさんに感謝を伝えたい。I love Japan