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GLADIATOR 029:メインイベント・田中有 vs. 小森真誉

ライト級王座決定戦。

当初はキルクリフFCのデマルケス・ジャクソンが田中と対戦予定だったが、ジャクソンがビザの問題で来日できず、小森が抜擢された。

田中は修斗出身で、キャプテン☆アフリカと環太平洋王座戦で対戦経験あり(1R一本負け)。GLADIATOR初参戦でライト級挑戦者決定戦に勝利すると、昨年3月にジョン・ハングクと暫定王座決定戦で対戦するも、体重オーバーしたハングク相手にカーフスライサーで一本負け(規定によりノーコンテスト)。その後正王者佐々木信治が引退して王座は空位となっている。29歳。

代役で王座戦出場が決まった小森はGLADIATOR初参戦。NEXUSでは9勝3敗、パンクラスでは3勝7敗。本来はフェザー級を主戦場としている選手で、階級を上げての試合となる。33歳。

身長では小森が上回る。間合いを詰める。左ミドル。田中タックルへ。ケージに押し込む。四つでクラッチした小森が外掛けでテイクダウンを狙う。しかし田中がサバ折りでテイクダウン。サイドを取っている。背中を向けて立った小森。スタンドでハーフバックの体勢の田中。ケージを背負って後ろに回らせない小森。またテイクダウンを狙う田中。尻もちを着かせた。ケージを使って立つ小森。田中シングルレッグから軸足を刈ってまた尻もちを着かせる。寝かせた。また背を向けて立つ小森。残り1分。崩してヒザを着かせたところでバックを狙うが、向き直った小森。残り30秒。田中が立つと首相撲からヒジを一発入れたが、田中入れ替えて正対。ゴング。

1R田中。

2R。左ミドルを入れた小森。パンチの連打で出る。ケージを背負った田中。組みに行くと小森がケージに押し込む。入れ替える田中。四つでクラッチして外掛けからテイクダウン。またサイドについている。立ちに行く小森だが、田中ハーフバック。向き直った小森が逆に上になり寝かせに行く。レッグマウントに。ハーフで寝かせた。田中下からキムラを取る。極まる体勢ではないが、小森もクラッチでディフェンスするのみで攻められない。ゴング。

2Rは微妙。

3R。田中タックル。受け止めた小森がケージに押し込むと崩してテイクダウン。背中を向けて立つ田中。小森バッククリンチ。田中はバックを取られた体勢でアームロック狙い。小森前方に潰してグラウンドに持ち込む。ハーフバックから両足フックしバックマウント。小森パウンド!体を伸ばされたまま打たれ続ける田中。レフェリーストップ!

アウェイの小森、初参戦でキャリア初のタイトル獲得。

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【Gladiator029】デマルケス欠場→小森真誉とライト級王座決定戦。田中有「ここで勝たな海外で勝てない」

【写真】対戦相手の変更による複雑な想いも明かした田中だが、海外進出のために勝たなければいけない試合であることは変わらない(C)TAKUMI NAKAMURA

12日(日)、大阪府豊中市の176boxでGLADIATOR029が開催され、田中有がGladiatorライト級王座決定戦に出場し小森真誉と対戦する。
Text Takumi Nakamura

昨年12月の挑戦者決定戦でグスタボ・ウーリッツァーをフルマークの判定で破った田中。3月に組まれたジョン・ハングクとの暫定王座決定戦はハングクが計量失敗し、田中が勝った場合のみ暫定王座獲得という変則タイトルマッチだったが、結果は田中が体重オーバーのハングクにカーフスライサーで敗れて暫定王座は空位のままに。その3カ月後に正規王者の佐々木信治が韓国・ZFNでのキム・サンウク戦を最後に現役引退を表明し、ライト級王座は宙に浮く形となっていた。

そのなかで今大会では田中とLFA・Bellatorに参戦経験のあるデマルケス・ジャクソンとの王座決定戦が組まれていたが、デマルケスがビザのトラブルで来日できず。王座決定戦という形を残し、田中と小森の一戦が組まれた。海外進出を目標に掲げる田中にとってデマルケス戦消滅と対戦相手変更は「試合を受けるかどうか悩んだ」というものだったが、2025年の海外進出に向けて自分の強さを見せるための試合という新たなテーマを設けて小森戦に臨む。


――今大会では当初LFA・Bellatorに参戦経験のあるデマルケス・ジャクソンとの対戦を予定していました。そのデマルケスがビザの問題で来日不可となり、小森真誉選手と王座決定戦で対戦する形に収まりました。デマルケスの欠場を聞いたときは率直にどんな心境でしたか。

「デマルケスとはめっちゃ戦いたかったんで、なんて言ったらいいんだろう……正直、納得はできなかったですし、それは伝えました」

――田中選手は海外志向も強い選手なので、デマルケス戦が決まった時はかなり気持ちも上がったのではないですか。

「めちゃくちゃ上がりました。過去一ぐらい上がりましたね。だからこそデマルケスが欠場すると聞いた時は本当に落ち込みましたし、色々と悩んで考えました。ただ僕はファイターやし、ぜいたくは言っていられないので、やると決めたからには気持ちを作り直して、小森選手のことだけを考えて練習を続けています」

――試合をキャンセルすることも考えましたか。

「デマルケス戦に向けてモチベーションを上げて練習を頑張っていたんで、それで相手が変わると分かった瞬間、正直試合を受けるかどうかめちゃくちゃ悩んだ自分がいました。ビザの問題だったら、4月にスライドして出来ないのかなと思いましたし。ただ周りの人たちから『ファイターだったら試合はした方がええんちゃう?』と言われて、 僕自身もデマルケス戦のためにタイまで練習に行ったり、かなり練習を頑張ってたんで、 相手が変わってもやることは変わらんなと思って。自分が今どこまでパワーアップしたかを試す意味でも最終的に試合をするという決断をしました」

――田中選手は昨年12月に挑戦者決定戦に勝利したあと、なかなかタイトルマッチが組まれないという状況が続いていました。対戦相手がデマルケスから小森選手に変わって、その試合が王座決定戦として組まれたことをどう感じていますか。

「自分はもう何とも思わないですけど、相手からしたらラッキーやと思うし、他の選手がどう思うかですよね。正直、年始のこのタイミングで試合をやってくれるんやみたいな感じでリスペクトはありますね」

――デマルケス戦に向けてはどういった準備をしていたのですか。

「デマルケスは一撃がある選手で、打撃も組みの両方できるので、打撃を多めに練習しつつ、組み・グラップリングの能力を上げようと思って練習していました。今回もタイのバンタオ・ムエタイ&MMAで合宿して、向こうでは色んな外国人選手と打撃メインのMMAみたいなスパーリングをたくさんやっていました」

――昨年のグスタボ・ウーリッツァー戦の前にもバンタオで合宿されていますが、やはりそれはVS外国人を見据えてのものですか。

「そうですね。自分はずっと海外でやりたくて、そのためには外国人の選手とたくさん肌を合わせて、 どんな感じなのかを経験する必要があると思っていました」

――バンタオの合宿を重ねてより磨かれている部分はどこですか。

「どうですかね……自分的にレスリングは結構強いと思っているんで、そこでやられることはあまりなかったんですよ。逆に打撃は危ない部分が何回もあったんで、やっぱり打撃を強化していかないとダメだなと思いながら今に至りますね。だから通用する部分、伸ばさないといけない部分、その両方がある感じです」

――対戦相手の変更はどのタイミングで知ったのですか。

「バンタオの合宿が終わって日本で練習している時ですね。なんか噂が回ってきたんですよ、デマルケスのビザがなんやって。自分としては嘘やろ!?と思いつつ、それを信じないでデマルケスとやるつもりで練習していたんです。そしたらビザのトラブルがホンマやったという(苦笑)」

――相手が変わったとはいえ、デマルケス戦に向けて準備してきたことはプラスになっていますか。

「かなりプラスになっていますね」

――対戦相手として小森選手にはどんな印象を持っていますか。

「結構壁レス(リング)で押し込んで、テイクダウンして、最後までしっかり戦いきる。丁寧なファイターというか、僕のなかでは結構グラップラーなのかなって感じですね」

――最後まで戦いきる小森選手だからこそ仕留めたい・フィニッシュしたいですか。

「そうですね。デマルケス戦に向けてやってきたことを試合で出せれば、絶対にフィニッシュできるという自信もあります」

――今後の目標についても聞かせてください。デマルケスと仕切り直して戦いたいという気持ちはありますか。

「ありますね。逆に僕があっち(アメリカ)に行ってやるのもいいなっていう考えもあります。『俺がそっちに行ったるわ!』という意気込みです」

――2025年は本格的に海外に打って出る年にしたいですか。

「はい。今年は海外で試合をしたい気持ちがあるんで、ここは絶対に勝たなあかんなっていう、自分にプレッシャーをかけてます。ここで勝たな海外で勝てんぞ、海外に行かれんぞって。今回はタイトルマッチというより、自分の強さをしっかり見せてやらなあかん試合だと思っています」

――具体的にこういう団体に出たいという希望はありますか。

「もちろんファイターなのでUFCには行きたいですが、そんなに簡単な世界じゃないことは分かっています。今グラジエイターがLFAと絡んでいるので、その流れでLFAに出たいという気持ちがありますし、名前がある海外の試合だったら、どこでもいいから出たいなというのがありますね」

――今回の小森戦はそのスタートになる一戦です。どんな試合を見せたいですか。

「今まで僕の試合で派手なKOとかはないんですけど、 僕が試合をしたら周りが盛り上がってくれるので、泥臭くても勝ちにいく僕の姿を1人でも多くの人が見てくれたらなと思います」

■視聴方法(予定)
1月12日(日)
午後3時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
※メインカードのみ

■Gladiator029対戦カード

<Gladiatorライト級王座決定戦/5分3R> 
田中有(日本)
小森真誉(日本)

<Gladiatorフライ級王座決定戦/5分3R>
今井健斗(日本)
オトゴンバートル・ホルドバートル(モンゴル)

<Gladiator暫定バンタム級王座決定戦/5分3R>
吉田開威(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)

<Gladiatorフェザー級王座決定戦/5分3R> 
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<ライト級/5分3R>
チハヤフル・ヅッキーニョス(日本)
岩倉優輝(日本)

<フェザー級/5分3R>
水野翔(日本)
桑本征希(日本)

<フライ級/5分3R>
久保健太(日本)
井口翔太(日本)

<ウェルター級/5分3R>
森井翼(日本)
井上啓太(日本)

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
藤原克也(日本)

<フェザー級/5分2R>
田口翔太(日本)
花園大輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
こう(日本)

<ストロー級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
高橋佑太(日本)

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
八木祐輔(日本)

<バンタム級/5分2R>
野口蒼太(日本)
萩原和飛(日本)

<ウェルター級/5分2R>
後藤丈季(日本)
松生知樹(日本)

<バンタム級/5分2R>
秋田良隆(日本)
熊崎夏暉(日本)

<ライト級/5分2R>
八木敬志(日本)
キンコンカンコンケンチャンマン(日本)

<ライト級/5分2R>
藤井丈虎(日本)
健椰(日本)

<フライ級/5分2R>
岩崎圭吾(日本)
福島祐貴(日本)

<OPバンタム級/5分1R>
岩田虎之助(日本)
小林龍輝(日本)

<OPライト級/5分1R>
LUCKYBOY慶輔(日本)
内山裕太郎(日本)

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【RIZIN LANDMARK10】2年振りの復帰戦に臨む浜崎朱加─01─「柔道時代の貯金とポテンシャルだけで」

【写真】写真は今年1月、クレア・ロペス戦に向けたインタビュー時のもの(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(日)、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催されるRIZIN LANDMARK10で、浜崎朱加が韓国のシン・ユリと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

これまでジュエルス、Invicta FC世界アトム級、そしてRIZIN女子スーパーアトム級のベルトを巻いている浜崎は日本の女子MMA史上、最高位の実績を残しているファイターの一人だ。しかし2021年大晦日から伊澤星花に2連敗を喫し、さらに翌年のRIZIN女子スーパーアトム級GPでは準決勝でパク・シウに敗れ、その試合で左腕を骨折したためブランクをつくってしまう。
そんな浜崎は当初、今年2月にRIZIN LANDMARK佐賀大会で、クレア・ロペスを相手に復帰戦を行う予定だった。MMAPLANETでも1月、浜崎にインタビューを行っていたが、その後またも左腕を骨折したことにより試合の中止が発表される。
今回はまずは前編として、1月のインタビューからRIZIN参戦以降について訊いた内容を掲載したい。


負けた相手にリベンジしたい、という気持ちはあります

――MMAPLANETに浜崎選手のインタビューが掲載されるのは2018年1月以来、6年振りになります。個人的には2016年3月、インヴィクタ世界アトム級王座の初防衛に成功した後のインタビューが最後で、あれからもう8年が経ちました。

「あぁ~、もうそんなに経つんですね」

――2018年から浜崎選手がRIZINに参戦して以降、浜崎選手を取り巻く環境も大きく変わったかと思います。

「RIZINに出て、ガラッとではなく徐々に変わっていきましたよね。簡単にいうと知名度が上がったというか。私を知ってくれている人が多くなり、街や会場でも声を掛けられることも多くなりましたし」

――浜崎選手はパク・シウ戦で負った怪我のために1年半のブランクがあります。この期間はどのように過ごしていたのですか。

「動けない期間は、ずっと休んでいました。パクちゃんとの試合で蹴りを受けた時、左腕を骨折して。我慢して試合を続けたら粉砕骨折していて……試合翌日に入院、その翌日に手術しましたね。それが2022年の9月で、12月ぐらいから軽いウェイト程度はやっていました。MMAの練習は年明けから再開していたと思います」

――その状態から復帰まで1年近い期間があるのは、試合に出る状態仕上げることに時間を要したのでしょうか。

「いえ、試合はできましたけどオファーがなくて。だから堂々と休んでいました(笑)」

――オファーがなかった……、どうしても女子の選手層の問題はありますよね。定期的に、もう対戦経験のある選手ばかりという状態になってしまう。

「そうなんですよ。あの時はグランプリだったけど、もう対戦相手も一周してしまっているし、私が休んでいる間も停滞している感はありました」

――特に浜崎選手の場合は、対戦相手選びも難しくなるとは思います。GP前に伊澤星花選手に2連敗を喫している。かといって、GP後の復帰戦で誰と対戦するのか。

「分かります。今もなかなか相手はいない状態ですよね。特に日本人相手だと」

――RIZINの女子スーパーアトム級トップグループで、対戦していないのはRENA選手ぐらいでしょう。

「そうなりますね。RENAとの対戦について、求められていることは感じます。でも……試合したいか、したくないかでいえば、やりたくはないですよ。やっぱり仲間だから」

――RENA戦を求める声は大きいですか。

「大きいです。自分の中でも興味はありますよ。RENAも強くなっていますし。正直、何年か前だったら、RENAと試合をしても普通に勝っていたとは思います。でも今は分からないですね。RENAには一発があるし、寝技も強くなっていて――MMAファイターとして成長していますから」

――では伊澤選手との2連戦があり、ジェシカ・アギラーやパク・シウと対戦したあと、「次は誰と戦えば良いのだろう?」とは考えませんでしたか。

「その時は別に、次のことなんて考えていなかったです。気づいたら対戦相手がいなくなっていたというか。昔から私の中で『誰と対戦したい』という気持ちはなくて。でも負けた相手にリベンジしたい、という気持ちはあります。負けている以上、私に発言権はないけど」

インヴィクタに出ている時よりは、いろんなことを知ろうとする気持ちが増えた

――2019年の大晦日、ハム・ソヒに敗れてRIZINのベルトを失いました。そのハム・ソヒはコロナ禍を経て、2021年からONE女子アトム級GPに出場しています。浜崎選手としては、同じくONEのGPに出場してハム・ソヒにリベンジしたいとは思わなかったのですか。実際、浜崎選手のGP出場を望む声もありました。

「あぁ~、あの時は私もハムちゃんを追っかけてONEに行こうかとも考えたんですよ。判定の内容はどうあれ負けたことは悔しかったし、このままじゃモヤモヤするだろうと思って。実は当時、RIZINとの契約も終わってフリーだったし、ONEとも話をしました。でも私はRIZINで戦い続けることを選んで」

――その時、RIZINで戦うことを選んだ理由は何だったのですか。

「そもそもインヴィクタのベルトを返上して、日本で戦うことを選んだ理由が『応援してくれる人たちの前で試合をしたい』ということでした。さらに一度契約が終わった後も榊原(信行RIZIN CEO)さんからも『RIZINで戦ってほしい。浜崎が必要だ』と言われたことに誠意を感じて。あとは『いつかまたハム・ソヒを呼んでリベンジの機会をつくる』とも言われたから。今となっては難しいと思うので、仕方ないですけど」

――一方で当時、伊澤星花選手の存在に対して、どのように見ていたのでしょうか。伊澤選手はまだプロで4試合しか経験しておらず、パク・シウに勝っているとはいえ2021年大晦日に浜崎選手と対戦するのは意外でした。

「まぁ、何て言うんでしょうね……私も相手がいなかったですし」

――ジュエルス、インヴィクタ、そしてRIZINのベルトを巻いていた浜崎選手にとって、当時のモチベーションは何だったのでしょうか。

「モチベーションかぁ……、最初の伊澤戦は、さすがにちょっとヘコみましたよね」

――えっ!? 初戦のほうが負けてヘコんだのですか。

「初戦しかヘコんでいないです。2試合目はむしろ自分に可能性を感じたというか。今まであんまり、ちゃんと練習していなかったんですよ」

――……!?

「ちゃんと頭を使って練習していなかった、というのが正しいのかな。初戦のあと、いろいろ初めてのことをやり始めました。柔術の強い人に技術を教わり始めたり、福山BURSTの佐々木信治さん藤井惠(佐々木惠)さんにも、いろいろと教わって。だから2試合目は新しくできたことも多かったし、『なぁんだ。新しいことを覚えたら、まだまだ試合で出せることは多いんだな』と思いました(笑)」

――その状態で、よくインヴィクタの世界王者になりましたね(笑)。

「アハハハ! あの時は本当に柔道時代の貯金とポテンシャルだけで。あと勢いで戦っていましたね」

――年齢のことを言うのは恐縮ですが、40歳まで貯金とポテンシャルだけで戦う選手は、なかなかいないと思います。

「もちろん今までAACCでも教わっていたはずなんですよ。それがインヴィクタに出ている時よりは、いろんなことを知ろうとする気持ちが増えた気はします。いまだにMMAについて知らないことだらけで、驚かれることもあるぐらいで。ただ、今のほうが吸収する力はあると思う。

だけど、とにかく次のクレア・ロペス戦で勝たないと今後も厳しいとは思っています。だから勝ちにこだわりたいですね」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
11月17日(日)
午後1時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN LANDMARK10対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
摩嶋一整(日本)

<バンタム級/5分3R>
昇侍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
シン・ユリ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
イ・ジョンヒョン(韓国)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
ヒロヤ(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<フライ級/5分3R>
北方大地(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)

<バンタム/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)
山本聖悟(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
加藤久輝(日本)

<バンタム級/5分3R>
白川ダーク陸斗(日本)
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)

<ライト級/3分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
倉本大悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
秋元強真(日本)

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<ヘビー級/5分2R>
稲田将(日本)
佐々木克義(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
平松翔(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
JIN(日本)

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【RING C05】バンタム級T準決勝へ、國頭武「練習で楽はしない。シンドイところで頑張らんと勝てない」

【写真】パブリック計量にて。しっかりと仕上がっている(C)MMAPLANET

20日(日・現地時間)、韓国はインチョンのサンサンプラットフォーム・ウェーブホールでRing Championship05で開催され、同バンタム級王座決定トーナメント準決勝で國頭武がキム・ウンソンと戦う。
Text by Shojiro Kameike

昨年12月に野尻定由を下し、修斗でランキング入りしたなか、なぜ國頭は韓国で戦うことを選択したのか。そこには師であり7月に現役を引退した佐々木信治が見せてきた戦いがあった。さらに「昨日の敵は今日の友」――自身の課題をクリアすべく、昨年8月に敗れている神田T800周一との練習についても語った(※取材は10月15日に行われた)。


――今年4月、トーナメント初戦のパク・サンヒョン戦は相手の体調不良で中止となりました。そもそもRING Cへの参戦は、いつ頃決まったのでしょうか。

「試合の1カ月ぐらい前ですね。その時は他の試合の話もなかったですし、断る理由もなかったのでオファーを受けました」

――昨年、野尻選手に判定勝ちして修斗のランキングに入りました。そうなると次も修斗で試合をしてランキングを上げ、いずれベルトに……という気持ちはなかったですか。

「もちろん、その気持ちはありました。野尻選手に勝った時も『これでランキングに入る。修斗で上がっていく』というイメージは持っていました。そこにRING Cのオファーが来て――仕事の都合で試合に出るのが難しい時はあります。でも、出られる試合を断るのは逃げたような感じがして。今後もずっと自分の中に『逃げた』という気持ちが残ってしまうと思うので、基本的にオファーは断りたくないです」

――それでこそファイターです! 國頭選手にとっては初めて海外で戦うということも大きかったですか。

「はい。佐々木さんがRoad FCで戦っている時に、現地へ応援に行ったり、セコンドにつかせてもらっていました。現地で会場の盛り上がりを感じて、韓国で試合をすることに憧れがあったんです」

――しかし、その初戦は相手が「減量時に倒れた」とのことで直前に中止に……。

「ビックリした、というのが一番大きかったです。急きょ代わりの対戦相手を探してくれたようですけど、やっぱり急すぎて見つからずに。

試合ができなかったのは残念でした。でもトーナメントだから次の試合があるのも確定していたし、『今回は次の対戦相手の動きをしっかり見よう』と気持ちを切り替えることができました」

――結果、試合期間が空くこととなりました。

「もともと4月、7月、12月というスケジュールでトーナメントが行われると聞いていました。でも会場の関係で予定がズレてしまったそうで。もし最初から準決勝が10月だと分かれば――その間に他の大会に出ることはOKを貰っていたんです。でも、なかなか開催が決まらず、結果的に期間が空いてしまいましたね」

――4月は試合をしていないので、実質的に野尻戦以降10カ月のブランクです。

「これだけ試合間隔が空いたのは初めてです。でも『もしかしたら試合があるかもしれない』と考えながら調整し続けていました。体重も以前は一気に落とすことが多かったんですよ。でも今回は少しずつ絞ることができて、今までで一番コンディションが良いです。逆に良かったというか(笑)」

――4月から10月までの間に見直した面はありますか。

「僕ってメチャクチャ運動神経が悪くて……。これまで道場の練習のほかに、自宅でウェイトトレーニングをやっていたんです。でもそれは単に体を大きくしていただけで。今回は重量だけを追い求めるのではなく、『どう体を使えば効率的に動かせるか』と勉強しました。おかげで、今まで穴だった打撃が伸びていることは実感しています。

あと際の部分ですね。今回も組んで寝技になったら勝てると思っています。でも相手は力が強そうだし、壁の攻防で細かい打撃とかを練習しています」

――神田戦、野尻戦どちらもタフファイトでした。ノンストップで面白い試合ではあったものの、毎試合これを続けられるかどうか。

「理想はスクランブル合戦ではなく、抑えて殴って極めることです。寝技のコントロールは練習していて、それも見直してきました。バックを取られても逃げられることが多かったですし。ノンストップの攻防になるのは、相手を抑えきれていないわけなので」

――そんななかで、最近は神田選手と一緒に練習しているのですか。

神田T800周一との広島ネットワーク(C)TAKESHI KUNITO

「試合で負けた瞬間に『神田さんと練習したい』と思いました。神田さんをしっかりコントロールできるようになれば、メチャクチャ強くなるんじゃないか――と。でも神田さんは巧すぎて、なかなか押さえ込みきれないです」

――いつから神田選手と練習し始めたのでしょうか。

「最初は去年の12月、レオスに行ったんですけど、いらっしゃらなくて。自分も連絡していなかったんですけど(苦笑)」

――神田選手と練習するために行ったのに、本人に連絡していないとは(笑)。

「しかも2回も(笑)。神田さんが今年ジムをオープンしたじゃないですか。その時に『一緒に練習させてもらいたい』と連絡して、そこから月1~2回行かせてもらっています。それ以上のペースで行くと、お互いに慣れてしまうと思うので。

今は道場だと、佐々木(信治)さん以外はコントロールできることが多いんですよ。でも神田さんは自分が押さえ込もうとしても、常にギリギリのところで逃げる。その練習動画を視返しながら、『ここはいけんかったな』と自分の雑だった部分が見えてきます。

自分がシンドイ時に神田さんはシンドイことをしてくるんです。自分もそこで『もう一つやってたろう』という気持ちになりますね。練習で楽はしない。そのシンドイところで頑張らんと自分は勝てないと思うので」

――なるほど。4月は試合が中止になりましたが、RING Cというイベントの印象はいかがですか。

「まだキャリアの浅いけど、その分若くて勢いのある『ここから強くなるだろう』という選手が多かったですね。トーナメントに出ているなかで一人、カザフスタンの選手だけ何か違いましたけど」

――ボォレット・ザマンベコフですね。

「あの選手だけ違いますよね。とはいえ他の選手も韓国MMAらしいアグレッシブで」

――では準決勝で対戦するキム・ウンソンの印象を教えてください。

國頭は61.5キロ、キム・ウンソンは61.3キロで毛量をパスしている(C)MMAPLANET

「まだ粗さはありますけど、体つきを観ても分かるとおり、打撃の破壊力は凄いです。あれは一発もらったら倒されてしまうと思いますね」

――レスリングベースで、まさに「腕っぷしが強い」タイプではありますね。

「そうですね。あのパンチはガードしていても効かされてしまうので、そこは気をつけたいです。あと組んでも四つが強そうで、その組みにどう対処するかを考えています」

――なるほど。2024年は師である佐々木信治さんの現役引退もありました。

「結構前から『次が最後なのかな……』と思いながら、佐々木さんの応援に行っていて。だから覚悟はしていました。14年ぐらい一緒にいて、ずっと近くで見させてもらいました。佐々木さんの試合に向かう姿とか、戦っている姿、試合に対する覚悟とかを勉強させてもらい――寂しい気持ちはありますけど、佐々木さんには感謝しかないです。

韓国でラストファイトを行った師・佐々木信治と。次は自身が韓国でチャンスを掴むか(C)MMAPLANET

今、RINGのトーナメントにも出場しています。今まで僕が佐々木さんの背中を見てきたように、これから佐々木さんの戦っている姿を見られない子たちに、僕が背中を見せていくのが佐々木さんへの恩返しだと思っています」

■RING C05 視聴方法(予定)
10月20日(日)
午後7時00分~ RING Championship YouTubeチャンネル

■RING C05対戦カード

<Rringバンタム級王座決定T準決勝/5分3R>
キム・ウンソン(韓国)
國頭武(日本)

<Rringバンタム級王座決定T準決勝/5分3R>
シン・ユミン(韓国)
ボォレット・ザマンベコフ(カザフスタン)

<ミドル級/5分3R>
ユン・ジェウン(韓国)
マクシム・ミクティプ(ロシア)

<フライ級/5分3R>
ソン・ミンソォ(韓国)
和田教良(日本)

<ライト級/5分3R>
ムン・ジュンヒ(韓国)
パク・ジフワン(韓国)

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45 MMA MMAPLANET o ZFN01 キム・サンウク 佐々木信治

【ZFN01】佐々木信治、キム・サンウクの下になり続け0-3の完敗。感謝の言葉と引退を韓国のファンに伝える

<ライト級/5分3R>
キム・サンウク(韓国)
Def.3-0:30-29.30-27.30-27
佐々木信治(日本)

ジリジリと距離を詰めるキム・サンウクが右ロー。続いて右ストレートからシングルレッグを仕掛け、テイクダウンを奪う。佐々木はすぐに立ち上がり、ジャブを伸ばす。カーフを蹴るキム・サンウクが、右オーバーハンドからダブルレッグで2度目のテイクダウン。スクランブルでバックを取りつつ、ボディロックで佐々木を倒す。シングルをを切ってバックに回ろうとするキム・サンウクに対し、ケージを利することができなかった佐々木は後方から右パンチを連打される。サイドバックでパンチを受ける展開が続く佐々木は、正対することも立ち上がることもできない。佐々木はさらにヒジを落とされた、左のパンチを打たれた。

2R、キム・サンウクは右カーフから、左ミドルハイ。佐々木は右オーバーハンドに続いて放った右ショートを当てる。しかし、蹴りで詰めてきたキム・サンウクがここも左足を取ってテイクダウンに成功。サイドで抑えられた佐々木は、足をきかすことできずマウントを取られる。キム・サンウクは佐々木の動きに合わせてワンフックでバックを取りつつ、肩固めを狙う。足を入れシングルに出た佐々木だが、反転したキム・サンウクがエルボーを太腿に入れ、頭を越えると足を引き抜く。座ったままでパンチを受けた佐々木は、立ち上がるがジャブからワンツーを被弾する。

それでも粗いワンツーで前に出る佐々木に対し、キム・サンウクが右をテンプルに打ち込み、左右のフックを連打する。佐々木はシングルから軸足払いで下になるとハーフバタフライを越えられ、背中を預ける。キム・サンウクは左のパンチを続け、佐々木が必死にワキの下で左腕を挟んで時間まで耐えた。

大きく息そして3Rを迎えた佐々木は、キム・サンウクにハグをする。応えたキム・サンウクは前蹴り、左ジャブ。佐々木が左ロングフックを返すが、すぐにケージに追い込まれる。左に回る佐々木に対し、キム・サンウクがインローからカーフ。佐々木は右オーバーハンドを当てる。ジャブで詰めるキム・サンウクは、右アッパーからショートの追撃へ。ここから組んだキム・サンウクが、小外でテイクダウンを決める。

佐々木はクローズドを取りラバーガード、さらに四角も絞めには移行できず頭と腕を抜いたキム・サンウクのパウンドで背中を見せる。バックから右パンチ、鉄槌を打つキム・サンウク。佐々木は引き込むが、ワキ差しパスの圧からマウントを取られる。半身の佐々木にエルボー、パンチを打ち続けたキム・サンウクが3-0の判定勝ちを収めた。

佐々木はマイクで韓国のファンに感謝の言葉を送り、引退を伝えた。この言葉のために、佐々木は現役生活をここまで続けていたのだろう。


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【ZFN01】コリアン・ゾンビ=ジョン・チャンソンがUFCへの登竜門イベント開催。注目はユ・ジュサン

【写真】メインに出場のユ・ジュサン。ゾンビ・ネイションからUFCへステップアップできるか(C)MMAPLANET

本日29日(土・現地時間)、韓国はソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)でZFN(Zombie-Fight Nation)01が開催される。
Text by Manabu Takashima

コメインで佐々木信治がキム・サンウクと対戦する大会は、その大会名が示す通りコリアンゾンビことジョン・チャンソンがプロモートしている。昨年8月の現役引退前から、キム・ドンヒョンに続けとTV界に進出していたコリアンゾンビが、UFCへの登竜門として旗揚げするZENはプロファイト6試合の前に、自らは行ったリアリティTVショー「ゾンビ・トリップ」から選抜された選手が戦うアマMMA大会=Z-ROYALも第1部として実施される。


ZEN01は全6試合で、韓国勢同士の対戦は1試合のみ。その他は韓日対決が3試合(うち1試合は韓国から高校生の時に来日し、ラグビー選手として活躍。今では日本国籍を取得し、修斗で3連勝中のグ・ジユンの試合も含まれる)、韓国×ブラジルが2試合となっている。

メインでヘイナウド・エクソンを迎え撃つユ・ジュサンは昨年8月に日本でHEATフェザー級王者となった6勝0敗の新鋭だ。佐々木と戦うキム・サンウクは去年のRoad to UFCに出場しベスト4だった。

ファブシリオ・アゼベドと戦うキム・ハンスルはDouble GFCとAFCのウェルター級王座を統一し、3年連続でRoad to UFCワンマッチ出場も、昨年と去年は結果を残せなかった。

UFCの登竜門は、UFCを狙うファイターの再生とステップアップの場であり、国際戦の経験を積ませる場としてK-MMA界の中枢になりうるのか。注目の旗揚げ戦だ。

■視聴方法(予定)
6月29日(土・日本時間)
午後7時~UFC Fight Pass

■ メイン対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ユ・ジュサン(韓国)
ヘイナウド・エクソン(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
キム・サンウク(韓国)
佐々木信治(日本)

<ウェルター級/5分3R>
キム・ハンスル(韓国)
ファブリシオ・アゼベド(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
パク・ジェヒョン(韓国)
グ・ジユン(日本)

<ウェルター級/5分3R>
ジャン・ユンソン(韓国)
倉岡寿美津(日本)

<フェザー級/5分3R>
パク・ジン(韓国)
チェ・ソンヒョク(韓国)

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45 Black Combat DEEP MMA MMAPLANET o RIZIN ROAD FC Road to UFC Torao UFC YouTube ZFN01 キム・サンウク キ・ウォンビン ジョン・チャンソン ロン・チュウ 佐々木信治 古賀愛蘭 國頭武 大原樹理 田中有

【ZFN01】韓国でキム・サンウクと対戦、佐々木信治「6年前のことがあるからこそ、後悔のないように」

【写真】元UFCファイタでーZFNプロモーターのコリアンゾンビと、今年4月Ring Championship会場にて (C)SHINJI SASAKI

29日(土・現地時間)、韓国はソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で「Z-Fight Night01」が開催される。コリアンゾンビことジョン・チャンソンがプロモートするこの大会で、佐々木信治がキム・サンウクと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

佐々木が韓国で戦うのは、2017年7月のアマチュシン・フーヘンフウ戦以来7年振り。翌2018年5月、北京でバオ・インカンと戦った佐々木は大怪我を追い、長期ブランクを余儀なくされる。そして2021年2月にグラジエイターで復帰した佐々木は「やり残したこと」としてTORAOとRIZINに出場し、最後の一つ——再び韓国で戦う機会を実現させた。佐々木が韓国での戦いにこだわる理由と、キム・サンウク戦について語る。


もう一回、韓国で応援してくれる人たちの前に戻りたい

――ZFNでキム・サンウクと対戦することが発表された時、驚きとともに「そうだったのか……」という想いもありました。佐々木選手の中では再び韓国で戦うということに、ずっとこだわっていたのですか。

「そうですね。Road FCで怪我をしてから……正確に言うと怪我をしたのはRoad FCの北京大会ですけど。ただ、そこで怪我をしたから、ということではなくて。Road FCで自分の格闘技キャリアが変わったというか、ステップアップできた気がするんです。何より韓国の人たちが僕のことを応援してくれていて。

最後が韓国で試合をしたわけではない。北京で大怪我して、韓国に戻ることもなく格闘技のキャリアがそこで一度ステップしてしまいました。もう一回、韓国で応援してくれる人たちの前に戻りたいという気持ちは、ずっと持っていました」

――韓国で応援してくれる人たちというのは、たとえばSNSのDMなども来たりするのですか。

「メッチャ来るんですよ。インスタライブをやったりすると韓国の方が入ってきてくれて、日本語と英語と韓国語が入り混じって大変なことになっています(笑)。その中で『また韓国で試合をしてほしい』と言われることも多くて」

――DEEPからBlack Combatで戦う大原樹理選手も同じような状況であると聞きます。

「あぁ、大原選手も韓国で人気が高いみたいですね」

――ZFN01の会場となる高麗大学校のファジョン体育館は、今年1月のBlack Combatで大原選手が戦った会場です。現地で取材しましたが、大原選手が入場してくると大声援が起こっていました。ちなみに佐々木選手は、ハングルを読むことができるのですか。

「それが全然読めないんですよ……。翻訳アプリを利用して回答したりしていました」

――2021年にグラジエイターで復帰して以降、ずっとRoad FCをはじめ韓国のプロモーションと交渉していたのでしょうか。

「復帰した時点では交渉していなかったです。というより、本格的な交渉は今までずっとしていなくて。まず復帰した時は、自分がどこまでできるか分からなかったですし。でも韓国で試合をしたいという気持ちが消えずに残っていたので、SNSとかでアピールしていました。すると韓国の団体からもお話が来るようになって。

あくまで自分が韓国で試合したいというだけで、できるかどうかは分からなかったです。あくまで韓国のプロモーターが僕を呼んでくれるかどうかで。そんな中で少しだけ『もう韓国で試合はできないかもしれないなぁ……』とは思っていました。RIZINでも負けてしまいましたしね。ただ、その後も練習し続けていたので良かったです」

――試合の話が来たのは、Road FCに限らず?

「はい。Road FCからも話はもらっていましたけど、なかなか話がまとまらなくて。そうしたら今回、ジョン・チャンソンの大会から話をもらい、第1回大会ということで出させてもらおうかと決めました」

――SNSでアピールしていたら韓国にも届く、とは凄いお話です。

「アハハハ、確かに。Road FCは関係者の連絡先を知っていたので、やり取りは続けていたんですよ。Road FCは『佐々木選手の引退試合を組みたい』と言ってくれて。嬉しいけど、まだ引退は――」

――ということは、このキム・サンウク戦も最後ではない、と。

「それは、どうなんですかね……」

――もちろん怪我もあり、体がもつかどうかの問題はあります。本人の気持ちとしては、いかがですか。

「気持ちですか。それは正直……、……、怪我をした時にベッドの上で『自分が格闘技でやり残したこと』を挙げていました。その時に挙げていたことの中で残っているのは、韓国で試合をすることだけです。だから、今回の試合が終わってみないと何とも言えなくて」

――MMAを続けられるものなら続けたい、気持ちはあるのですね。

「ファイターなら、その気持ちは誰もが持っているんじゃないですかね。だから今も長く続けている選手がいて、自分も復帰して……。だけど、どこかで最後を決めないといけないという気持ちもあります。『最後なんて決めなくていいよ』という意見もあるとは思いますよ。だけど自分の場合は他の選手と少し違っていて」

――というと?

「僕は格闘技を始めた時から道場長だったじゃないですか」

――はい。当時でいうところの格闘技サークルから始めて、本格的に練習していくために自身でBURSTを立ち上げました。

「でも現役の間は道場生の練習も見ながら、どうしても自分の練習がメインになってくるじゃないですか。試合前は特にそうなりますよね。でも最近はウチの若い選手たちも頑張って、結果を出してきている。だから自分の練習よりも彼らの練習に比重を置いたほうが良いのかな、っていう気持ちも芽生えてきています」

――ご自身だけでなく、國頭武選手や古賀愛蘭選手も韓国で試合に出場しています。

「そうなんです。もう自分のやりたいことが終わるのであれば、ずっと僕を支えてきてくれた教え子の試合に力を入れてあげたいとも思っています。RING Championshipのトーナメントも8月ぐらいに準決勝を開催したい、という話もありますし」

相手が殴ってくるなら、殴り合ってブッ倒してやる

――今年4月に國頭選手と古賀選手の試合に同行した際も、現地でファンから声をかけられたりしたのですか。

「ありましたね。ジョン・チャンソンも控え室まで会いに来てくれて。一緒に写真を撮って、今回の試合について話をしました。その時はキ・ウォンビンも来てくれて――今回の試合、最初はキ・ウォンビンと対戦する予定だったんですよ」

――えっ!? そうだったのですか。

「Road FCで何度か同じ大会に出ていたこともあって、キ・ウォンビンは昔から知り合いだったんです。4月の会場では『今回は敵になっちゃうね』なんて話をしていて。でもその後にキ・ウォンビンがRoad to UFCのワンマッチに出ることが決まり、今回はキム・サンウク選手と対戦することになりました」

――その前に昨年12月のグラジエイターで田中有選手がグスタボ・ショーマン・ウーリッツァーに勝利し、佐々木選手の持つ同ライト級王座に挑戦するという流れもありました。

「実はその頃にちょうどRoad FCとコンタクトを取っていていたんですよ。櫻井(雄一郎グラジエイター会長)さんには、自分が韓国で試合をしたい理由も説明して――櫻井さんもRoad FCを優先させてくれました。結局Road FCは決まらず、今回のZFNで戦うことになりましたけど、韓国で勝ってもう一度ベルトの防衛戦について話をしたいです」

――話を戻すと、韓国での試合が発表されると現地のファンからも反応はありましたか。

「驚いた、という感じのメッセージが来ましたね。バオ・インカン戦は北京で、韓国で試合をしたのは2017年だからもう7年前で、改めて『そんなに経っていたんだな』と実感がわきました。何より『7年も自分のことを待ってくれていたんだ』と思って」

――愛されていますね。

「本当に嬉しいです。7年間も韓国で試合をしていない自分のインスタライブに参加してくれる人がいて。しかも日本語が分かるわけでもないのに」

――しかし今回も敵地で強豪と対戦する。6年前の大怪我のことは頭をよぎりませんか。

「それはね、ありますよ。今回だけでなく復帰してから毎試合……。敵地で試合となったら『また同じことになるかも』と思ったりもします。この試合が決まって、周りからも『頑張って勝ってきてね』とは言われることは少なくて、ほとんどの人が『無事に帰ってきて』と」

――……。

「もちろん自分も不安はあります。でも僕の中では、その不安よりも『韓国で試合ができる』という嬉しさのほうが若干上回っていて」

――周りから心配されるのは、キム・サンウク戦が決まったあとにSNSで「これで悔いなく死ねる」とか書くからでしょう。6年前のことがあるのに。

「あぁ、それは……(苦笑)。6年前のことがあるからこそ、自分も後悔のないように生きたいと思って。今はただただ、周りの人の優しさが身に染みています」

――なるほど。では対戦するキム・サンウクの印象を教えてください。

「ウェルター級で戦っていた時期も勝っているし、去年はライト級でRoad to UFCに出て、準決勝で優勝したロン・チュウに判定負けで。打撃を食らっても諦めずに向かっていく気持ちの強さが見える。良い選手だと思います。今は30歳で、絶好調でしょう。

韓国ではテレビ番組か何かで、キム・サンウク選手が『今回は打撃で行く』とか言っているらしいんですよ。それは寝技で分が悪いと思っているのか、僕は打撃が弱いと思っているのか……。どちらにしても、自分はありがたいですけどね」

――そこで打ち合う気はない?

「いや、あります」

――打ち合うつもりなのですか。

「アハハハ。試合映像を視るかぎり、自分がグラウンドでやられることはないと思っています。テイクダウンされることはあってもパウンドアウトや、極められることはない。一方で相手も、それほど打撃が巧いという感じでもなくて。それで向こうから打ち合ってきてくれるなら――自分のパンチも当たったら倒れると思っています。KO負けが怖い、という気持ちはないです。相手が殴ってくるなら、殴り合ってブッ倒してやりますよ」

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RIZIN.47:オッズ/予想と展望

MMAの試合のみ。

徳留一樹 2.30
宇佐美正パトリック 1.57

3年前のサトシ戦以来の復帰となる徳留だが、サトシ戦の前からすでに八王子市役所の職員になることが決まっていて、実質セミリタイア状態。

宇佐美は2022年のデビュー2年目にRIZINデビュー。相手は今回同様ベテランの佐々木信治だったが、2Rまで佐々木に組み付かれる展開で苦戦し、3R目に打撃を入れての逆転勝ち。MMAでの前戦となる昨年4月のギョンピョ戦では、テイクダウン→パウンド→背中を向けたところでチョークに捕まり完敗。

徳留は34歳から3年のブランクは厳しい。佐々木戦の頃の宇佐美が相手でも難しいのでは。宇佐美KO勝ち。

ジョニー・ケース 1.15
ブラックパンサー”ベイノア 5.00

4月に大凡戦をやらかしたベイノア。極真出身でキックで王座を獲得し、AKAで1年間組技も強化してきたのでもっとできるはず。相手が井上で、負けられないという意識が働きすぎたのか。今回はそんな意識を持つ心配がない、RIZINタイトル挑戦者のケースとの対戦に。

昨年4月のアブドゥルカリコフ戦を負傷欠場したケースは1年半ぶりのMMAの試合となるが、昨年11月にはボクシングの試合にも出場しており、ブランクほどには体調の問題はなさそう。

ベイノアが検討した上でケース一本勝ち。

カルシャガ・ダウトベック 1.22
関鉄矢 4.00

6年ぶりRIZIN参戦となるダウトベックは1月のTOP BRIGHTSで松嶋こよみを1RKO。その試合を含めて5試合連続1RKO勝利。

ZST王者関はRIZINでは対日本人のみで3勝2敗。DEEPも含め、中堅クラスの日本人相手に勝ったり負けたり。

お互いストライカーだが、倒す力はダウトベックが上か。ダウトベックKO勝ち。

スパイク・カーライル 1.67
キム・ギョンピョ 2.10

現在3連敗中のカーライルだが、前戦の堀江戦はスタンドで背中に乗った状態からヒジを後頭部に入れてしまい減点されての負けで、内容では勝っていた。サトシ戦では負けたものの、サトシの極めを逃れてフィニッシュを許さず。

パトリックは宇佐美を1Rフィニッシュした後、昨年のアゼルバイジャン大会で地元選手を秒殺KO。2月に佐賀で矢地戦が組まれていたが負傷欠場。

2人ともタイトルマッチまでは行けなそうだが、この階級の日本人選手にとっては大きな壁。ギョンピョが打撃を効かせての判定勝ちと予想。

武田光司 2.50
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ 1.50

武田のフェザー級2戦目は初参戦で無敗のシェイドゥラエフに。ライトから落としてきた武田に対し、シェイドゥラエフはバンタム→63kgと上げてきて、昨年はROAD FCの63kg級トーナメント準決勝で体重オーバーし失格。

お互い組みが武器で、どちらが上回るかという試合。23歳と若いシェイドゥラエフは、組みで上を行かれて苦戦した時に弱気にならないか。一方の武田は、前回の萩原戦は組みで削りきって勝利したものの、それが精一杯でその先の攻めまで行けなかった。それが階級転向初戦だったためなのか、フェザー級での限界なのか。お互い不安要素がある。

より苦しい展開を経験している武田が競り勝って判定勝ちと予想。

上田幹雄 1.50
シェミスラブ・コバルチェク 2.50

お互いキャリア3勝同士だが、コバルチェクはアマチュアMMAでキャリアが豊富。ただし、3連続1RKO勝利とはいえ、相手の実力は微妙。

コバルチェクがどれくらいMMAでの組みができるかによる。

上田KO勝ち。

クレベル・コイケ 1.95
フアン・アーチュレッタ 1.83

フェザーでもパトリシオ・ピットブル相手に5R判定まで行っているアーチュレッタ。フィジカルの不利はおそらくない。クレベル相手にもテイクダウンで攻められるだけの組みの実力はある。金原戦のように、テイクダウンからパスの圧で削られる展開になった時の対応をクレベルが身につけているかどうか。

アーチュレッタ判定勝ち。

堀口恭司 1.36
セルジオ・ペティス 3.00

前回よりも差がついたオッズで堀口がフェイバリット。たしかに最後のフィニッシュまでは堀口が圧倒していたし、リングでの試合経験も堀口が圧倒的に上。ペティスはアメリカ大陸から時差がある海外に出ての試合も初。堀口に不安があるとすれば、一度フライに落としてからまたバンタムに体を作り直しての試合となることと、この試合へのモチベーションがあまり高くなさそうなところだが。

堀口判定勝ち。

イベント開始は9日14時予定。速報します。

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45 AB ABEMA MMA MMAPLANET o ONE RIZIN RIZIN47 カルシャガ・ダウトベック ホベルト・サトシ・ソウザ 佐々木信治 岡見勇信 徳留一樹 鈴木千裕

【RIZIN47】約3年ぶりの復帰戦でパトリックと激突、徳留一樹「サトシ戦のあと、八王子市役所に――」

【写真】仲間とMMAに対する徳留の想いが伝わってきた(C)GOZO

9日(日)に国立代々木競技場第一体育館で開催されるRIZIN47で、徳留一樹がカルシャガ・ダウトベックと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

徳留にとっては2021年3月のホベルト・サトシ・ソウザ戦以来、のMMAを戦うこととなった。ONEとの契約からコロナ禍を経て、国内復帰戦となったサトシ戦からの約3年間について訊くと、驚きの情報が続々と――さらに、かつて練習を共にしたこともある対戦相手パトリックと、MMAに対する想いを語った。


――お久しぶりです。2021年3月のホベルト・サトシ・ソウザ戦以来の試合を控えていますが、この3年間でMMA以外の試合には出場していたりしていたのですか。以前はMMAの試合がない間にクインテッドに出場していたこともありますが……。

「何の試合にも出ていないです。だから格闘技の試合自体、3年ぶりですね。実はサトシ戦のあと、八王子市役所に勤め始めたんですよ」

――えぇっ!? ということは、現在は公務員なのですか。

「はい。公務員だからプロ活動はできないけど(※国家公務員法あるいは地方公務員法で、金銭が発生する他の仕事を兼務することは禁じられている)、『ファイトマネーを貰わなければMMAをやって良い』という契約にしてもらっています。この舞台に戻ってくるまで八王子市役所も含め、いろんな人が動いてくれて。最終的には八王子市をあげて応援してくれることになったので、胸を張ってRIZINに出られるようになりました」

――……いきなり驚きを隠せません。八王子市役所に勤務しているということは、まず公務員試験を受けるところから始まったのですか。

「もちろんです。サトシ戦の前に市役所に入ることは決まっていたんですよ。試合前は『これが最後になるかなぁ』と思っていたけど、『もしかしたらMMAを続けられるかもしれないよ』と言ってくれる人もいて。だから希望は捨てずに――もともと格闘技は大好きだから辞めるつもりはなく、練習を続けていたら、おかげさまで今回の試合に至りました」

――そもそも、なぜ公務員試験を受けようと思ったのですか。

「サトシ戦の前までONEと契約していたじゃないですか。コロナ禍で2年間も全く試合が組まれないなか、自分は練習だけ続けながらスポンサーさんのお金で生活していたんです。そんな生活が嫌で……。

スポンサーさんが僕と契約してくれているのは、僕が試合をして活躍することが前提だと思うんです。スポンサーさんは『それだけじゃないよ。気にしなくていいから』と言ってくださるけど、ただただお金を貰っているだけの自分が嫌になったんですよ」

――……。

「それは何かが違うなと思ったから、他の仕事を探そうかと考えた時に、ウチの母ちゃんから――母ちゃんも八王子市に勤めているんです。その母ちゃんが『市が職員を募集しているみたいだから、受けてみる?』と教えてくれて。『頭も良くないし、受けても合格しないよな……』と思いながら勉強して、地方公務員の試験を受けてみたら合格しちゃいました」

――「合格しちゃった」というのは、徳留選手としても予想外の展開だったと(笑)。

「アハハハ、そうなんですよ。だけど『ここで試験に受かるっていうことは、もう市役所に入る運命の流れなのかな』と。その時は特に試合も決まっていなかったですし。そこで最後に強い相手と試合したいなぁと思っていたら、RIZINでサトシ戦を組んでくれて」

――お母様も徳留選手の現状を心配していたのかもしれないですね。

「えっ、そうなんですかね?」

――この年齢になっても「母は偉大だなぁ」と思うことがあります。離れて暮らしていても、自分が仕事で疲れている時に……一言も伝えていないにも関わらず、そんな時に限って息子の好物を送ってきたり。ご本人に訊いてみないと分かりませんが、徳留選手のお母様もそうだったのではないかと思います。

「あぁ、なるほど。自分もずっと試合がなくて『こんなことじゃダメだなぁ』と思っていたから、そんな気持ちが母ちゃんにも伝わっていたのかもしれないですね」

――話を戻すと徳留選手は、これまで正規社員として勤務した経験はなかったでしょう。

「ないですね。手に職をつけておこうと思って、柔道整復師の資格は取ったんですよ。でも、ほとんど使ってはいなかったです。人と喋るのが得意じゃなくて(苦笑)」

――そこで市役所に勤めるということは、気持ちはもう完全にMMAから離れることになりませんか。あの時点でMMAから離れることに、自分自身の中で納得できたのか……。

「コロナ禍も含めて、そういう流れなんだろうなと思いました。だから流れに身を任せよう――これはもう辞めるしかないと思いました。サトシ戦も『これが最後になるかもしれない』と考えていたから練習でも追い込むことができたし、内容も完敗だったから気持ちもスッキリしたんですよ。『あぁ、やっぱりサトシは強いな』って」

――しかし自分自身も、できることならMMAを続けたかった。それこそ徳留選手の気持ちを汲んだ周囲の方々の協力で、再び戻ってくることができたわけですね。

「今回、自分の職場から何十人も応援に来てくれるんですよ。もともと市役所に入る前から『RIZINに出ていた選手がウチに入ってくるらしい』と騒ぎになっていたらしくて(笑)。いざ仕事が始まってみると市役所の皆さんもそうだし、仲間たちも『辞めるなよ。続けようぜ』と言ってくれました。そういう人たちの想いを背負って、もう一回戦いたい。3年間ずっとウズウズしていた自分の背中を押してくれた人たちのために――。

だからファイトマネーがなくてもいい。この人たちに自分が戦う姿を見てもらいたい、と思って、今回の試合に出ることを決めました。ファイトショーツにバナーは付けるけど、それもスポンサーフィーは一切もらいません。応援してくれている方たちの気持ちに応えるために、自分が付けたいだけなので」

――なるほど。試合がない3年もの間、体を維持する練習はできていたでしょう。一方で、ファイターとして自分を伸ばすための練習はできていたのですか。

「落ちないようには練習していたけど、なかなか「伸ばす」というのは難しいですよね。年齢的なこともあるし、やっぱり試合が決まらないと。でも体力的にはやれる自信があるんですよ。最近はもう規則正しい生活をしていて」

――市役所の職員として朝早く起き、職場に行くという規則正しい生活に。

「そうなんです(笑)。もちろん以前よりは練習時間も限られています。でもそのほうが効率良く――限られた時間の中で、どれだけ以前の自分に戻るかを考えながら練習できています。

今日も心配機能を高めるトレーニングをやってきたんですけど、試合が決まった頃よりもレベルはメチャクチャ上がっていますから。あとは以前お世話になった拓殖大学のレスリング部とか、行けるところには全部行って仕上げてきました。『強くなっているか?』と聞かれたら、それは試合をやってみないと分からないです。だけど以前の自分には戻ってきていると思います」

――体力は戻った。では技術面はいかがですか。

「有給休暇を使ってGENに行ったりとか、今はパラエストラ八王子も強い選手ばかりじゃないですか。20歳前後なのにハンパじゃない強さを持っている子が多くて。まだプロになっていない練習生でも『何だコイツ!?』と思うぐらい強い。鈴木千裕選手ともパラ八で一緒に練習したことがありますしね。本当に良い環境だと思います。

あとはGENに行って岡見勇信さんから『次の試合に向けて1カ月と少し、ちゃんと直していかないとね。ココはもうちょっと、こうしたほうが良いんじゃない?』と言われたことが凄くフィットしたんですよね。また行くようになって良かったです」

――そして今回、パトリック選手を相手に復帰戦を行うこととなりました。パトリック選手は徳留選手がMMAを戦っていない3年の間に上がってきたファイターの1人です。

「パトリックの相手を探していて、それが自分に決まったんじゃないかと思います。僕は誰が相手でもオファーは受けると、自分の中でも決めていました。3年ぶりの復帰戦で、前回は負けていますし――誰が相手でもOKしなきゃいけない立場ですから」

――ではパトリック選手に対して、どのような印象を持っていますか。

「パトリックはEXFIGHT時代にプロデビュー前から、よく岡見さんがGEN練習にも連れて来ていたんですよ。だから当時は何度も手合わせしていて、彼が強いことも分かっています。打撃もフィジカルも強いし、あれから3年も経っているから寝技も強くなっているでしょうしね。しっかりとMMAファイターになっていると思うので、自分が知っている頃より強いイメージを持って練習してきました」

――2022年10月の佐々木信治戦は、終始押されながら最終回に逆転KO勝ちを収めていました。あの試合内容を見るだけでも、気持ちも強い選手なのだろうと思います。

「彼は練習の時から気合いが入っていましたよ。だから試合で劣勢になってもひっくり返す力は持っていると思います。

自分は泥臭くても良いから、しっかり勝ちたいという気持ちが強いです。今後のことは、まだ考えていません。次の試合がキーポイントになると思うので、とにかく勝ちに行きます」

■視聴方法(予定)
6月9日(土)
午後12時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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【Gladiator025】フライ級王座T3試合。メインは田中有✖韓国の名勝負製造機=暫定ライト級王座決定戦

【写真】この試合を乗り越えることで、マックス・ザ・ボディ戦の敗北も払拭したい田中(C)MMAPLANET

北は北海道から南は九州まで各週末でMMA大会が開かれるJ-MMA月間。3日(日)には北のMMAことPFCだけでなくアジアのフィーダーショー化を目指す活動が2年目に入るGLADIATOR本戦の2024年第1弾=Gladiator025が開催される。
Text by Manabu Takashima

16日の無観客&配信特化大会=GLADIAGOTR CHALLENGER SERIES01に続き、フライ級王座決定トーナメント準々決勝3試合が組まれた同大会、メインはGLADIATOR暫定ライト級王座決定戦=田中有✖ジョン・ハングクの一戦が組まれている。


昨年12月のGLADIATOR024で挑戦者決定戦=グスタボ・ウーリッツァー戦に勝利し、ケージの中でチャンピオン佐々木信治と握手を交わした田中だが、佐々木はRoad FC出場の話などがあり、今大会でのタイトル戦は実現しなかったという。

そこで挑戦者の資格を得ている田中が暫定王座に挑むこととなった。当初、対戦相手の一番手はKTT所属でRoad to UFCベテランのホン・ソンチャンであった。しかし、ホン・ソンチャンは今月10日のEternal MMA82で体重オーバーしたウェズ・キャッパーに判定負け。ダメージも考慮したうえで彼の出場は取りやめとなった。

その一方でジョン・ハングクはホン・ソンチャンが第一候補ということを承知のうえで、バックアップファイターとして3月3日に向けて調整を続けてきた。韓国の名勝負製造機=「信じて見るジョン」と呼ばれるアグレッシブかつ真っ向勝負が信条のファイターはキャリア10勝9敗2分ながら、Gentleman Flower FCとZEUS FCのライト級王座を持つことでタイトルを争うに相応しい実績の持ち主と認められた。

この他、プレリミながら3回戦で組まれたフェザー級のチハヤフル・ズッキーニョス×石田拓穂、ハンセン玲雄✖桑本征希戦はGLADIATORの原点といえる関西勢のサバイバルバトルだ。

なお19日に出されたプレスリリースに寄せられたタイトル戦に出場する両者のコメントは以下の通りとなっている。

田中有
「佐々木さんとのタイトル戦だと思っていましたが、誰が相手でも倒すだけです! なので何も問題ないです!

GLADIATORを背負い、LFAや世界の舞台に自分も挑戦したいです! まずは今回しっかり勝てるよう準備しています。皆さん、楽しみにしていてください」

ジョン・ハングク
「自分は韓国で”信じて見るジョン”と呼ばれるように、常に面白い試合をしています。どのような選手が相手でも、決して怯むことなく、血まみれになるような戦いを得意としています。

またそのような機会を心待ちにしていたところ、GLADIATORさんからライト級暫定タイトル戦の話を頂き、参戦を決意しました。有難いチャンスなので、既に私のことを認識している韓国のMMAファンだけでなく、日本のファンにも忘れられなくなる試合をしますので、ご期待して下さい。

田中君、お互い無傷で帰るは諦めましょう。タイトルマッチに相応しい試合しましょう。田中君の健闘を祈ります」

■視聴方法(予定)
3月3日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■Gladiator025対戦カード

<GLADIATOR暫定ライト級王座決定戦/5分3R>
田中有(日本)
ジョン・ハングク(韓国)

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
NavE(日本)
藤沢彰博(日本)

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
久保健太(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
イ・スンチョル(韓国)
ツェルマー・オトゴンバヤル(モンゴル)

<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
石田拓穂(日本)

<フェザー級/5分3R>
ハンセン玲雄(日本)
桑本征希(日本)

<バンタム級/5分3R>
藤原克也(日本)
上荷大夢(日本)

<フェザー級/5分2R>
水野翔(日本)
福田泰暉(日本)

<バンタム級/5分2R>
吉田開威(日本)
土本暉弘(日本)

<フライ級/5分2R>
宮川日向(日本)
八木祐輔(日本)

<フライ級/5分2R>
澤田政輝(日本)
田中義基(日本)

<ライト級/5分2R>
八木敬志(日本)
磯嶋祥蔵(日本)

<フェザー級/5分2R>
田口翔太(日本)
髙橋惺哉(日本)

<フェザー級/5分1R>
向井琉綺弥(日本)
岩田虎之助(日本)

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