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Grachan52 MMA RIZIN ブログ 伊藤空也 手塚基伸

【GRACHAN52】伊藤空也に挑戦、タイトル奪還を狙う手塚基伸─01─「まぁ、眼中に無かったので」

【写真】手塚も今や絶滅危惧MMAファイターといえるスタイルの持ち主だ(C)MMAPLANET

19日(日)、千葉市美浜区の幕張ベイパークアリーナで開催されるGrachan52で、手塚基伸が伊藤空也の持つバンタム級のベルトに挑む。

Grachanバンタム級のベルトは2014年から2016年にかけて、手塚がその腰に巻いていた。しかし2016年7月、グラジエイターの舞台で同フェザー級王者の大道翔貴に敗れたことで、手塚は同王座を返上した。

その彼が今年8月、3年ぶりにGrachanへ参戦し当時のグラジエイター・バンタム級王者である竹本啓哉を判定で下し、今回の伊藤への挑戦に至った。タイトル奪回に向けた一戦の前に、竹本戦を振り返ってもらうとグラップラーとしての新たな自信を得ていることが分かった。


――Grachan復帰2戦目にして、伊藤空也選手の持つバンタム級王座挑戦が決まりました。今年8月、3年ぶりにGrachanで戦ううえでベルトに挑むことは、当初から念頭に置かれていたことだったのでしょうか。

「やっぱり出るからにはベルトを獲りたいですよね。3年前、堀(友彦)選手と対戦した時に獲れなかったので」

――手塚選手は2014年7月、中村謙作戦で判定勝ちしてGrachanバンタム級王座を獲得しました。そのベルトは一度防衛後に返上しましたが、2018年9月には当時の王者・堀友彦選手に挑戦するも再びベルトを腰に巻くことはできませんでした。

「あれから、自分の中でもいろいろ変わりましたからね」

――ずいぶん前の話になりますが、2016年1月のGrachanとWardogの合同興行で青木孝明選手に勝利したあと、「いろんな団体のベルトを集めたい」という言葉がありました。これまではGrachanとHEATのベルトを腰に巻いています。

「そんなこと言っていましたね(笑)。今は、そこまでの気持ちは無くなってきています。それやったら今の日本で一番デカい団体――RIZINとかに出たいとは思いますけど」

――今年はRIZINでバンタム級トーナメントも開催されていました。

「RIZINのトーナメントは、正直出たかったです。『これぐらいの戦績で出られるんや』と思ったところもありますけど、それなりにメンツも揃って良い感じやったんで」

――では、今の目標はRIZIN出場なのですか。

「大きいところで試合をしたいということもありますけど、強い相手と試合したいんです。ここまで続けてきて、今はモチベーションを維持するのも難しいというか。ファイターとして強い選手と試合をしないと、“こなし”になってしまうんで」

――ただ試合をこなしていくだけになる、ということですね。

「今は自分の成績が上がってきたから、そう思うのかもしれないですけど……」

――堀選手に敗れて以降は、2019年から現在まで5連勝中です。

「最近は『この試合、ヤバいんちゃう?』って感じることがないんです。そう感じられる試合をしたいですね。それもあって修斗に出たところはあったんですけどね」

――修斗は2019年から3試合で全勝しました。ただ、2020年1月の試合後、新型コロナウィルスによるパンデミックが起こってしまい……。

「まぁ、そういうことですね」

――ではまず前回の竹本啓哉戦についてお聞きしたいのですが、3年ぶりのGrachanの試合は、何か感じるものはありましたか。

「あの試合は大阪なので、そんなにGrachan感は強くなかったと思うんですよ。次、関東の大会に出た時、どう感じるかじゃないですか。これだけ試合をしてきているので、どの大会に出ても同じっちゃ同じです。でも自分の中でGrachanはホームやと思っているんで」

――竹本戦前のインタビューでは「塩になるのか、結構動かされる展開になるのか、やっぱり塩ですかね」と仰っていました。

「アハハハ。まぁ、一般受けする試合だったかといえば、そうじゃないと思います。だから、塩だったかもしれないです(笑)。でも自分の中では、まあまあの出来だったかなと思うんですけどね」

――1Rは竹本選手がグラウンドで固めてきました。しかし2R以降は完全に手塚選手のペースとなりましたが、あれは1Rで相手のやってくることが見えたのでしょうか。

「そうですね。1Rも焦ることはなかったです。これ(クルスフィックス)を凌いだらイケるわっていうのと、極められることはないと思って。そこから相手が出してきたものには全部対処したので。相手がやることは読めたし、何より1Rで持っている技を使い果たした感があって、それなら2Rと3Rで行こうと思いました」

――では、試合内容は満足していますか。

「フィニッシュしていないので、満足しているかといえば、そうでもないです。でも最近、グラップラーとの対戦が続いたじゃないですか」

――2021年は4月に、聖帝・土肥潤選手に判定勝ち。続く竹本選手もグラップラーでしたね。

「グラップラー同士の試合で凌いでいけたのは、自信になりました。俺も寝技は弱くないんやなぁって(笑)。自分のスタイル的には、打撃の選手と試合をしたほうが、見ている側は面白いかもしれないですけど」

――そことで、次の対戦相手の伊藤空也選手は、RIZINの金太郎戦で激しい打ち合いを見せたファイターです。Grachanに出場していた頃、伊藤選手のことを意識したことはありましたか。

「世代が違いますからね。Grachanでも一緒の大会に出たこともあるとは思いますけど、そこまで見てもいなかったです。まぁ、眼中に無かったので」

<この項、続く>

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Grachan52 Interview J-CAGE ブログ 伊藤空也 手塚基伸

【Grachan52】手塚基伸の挑戦を受ける伊藤空也「ここで負けるようだとそれまでの選手と思われます」

【写真】随分と失礼なことを尋ねてしまっていますが、しっかりと答えてくれました(C)MMAPLANET

12月19日(日)に千葉市美浜区の幕張ベイパークアリーナで開催されるGrachan52でGrachanバンタム級チャンピオン伊藤空也が、手塚基伸の挑戦を受ける。

RIZINバンタム級GP出場を経て、古巣での凱旋防衛戦に向けて、伊藤は何を想うのか。10月25日に渋谷区の恵比寿カルフールSTUDIOで行われた記者会見後に、訊いた伊藤空也の声を届けしたい。


──グラチャン出場は1年3カ月、そしてバンタム級王座の初防衛戦になります。

「正式に発表されたし、逃げられないです。あとはもう作っていくだけで、ホントにやるだけです」

──この間、RIZINで戦った経験というのはキャリアのなかで、どのように捉えていますか。

「自分、2度目(✖渡部修斗)戦はコロナで陽性になり欠場したのですが、1回目(✖金太郎)は会場も当然デカいし、演出とかあの規模のお客さんの前で試合をするのは初めてでした。当然相手も強かったんで、ね。キャリアも僕より全然上だったので、あの状況下でああいう相手と試合ができたことで僕自身、殻を破れたかと思います。

あの試合に向けて、いつも通りの練習じゃ絶対に無理だと思っていたから、試合に対してやれることを全部やっていきました。だからこそ、成長を出来たと思います」

──私は正直、伊藤選手がバンタム級GPに出場することに対して、あのトーナメントに出場していなくても修斗、DEEP、パンクラスには伊藤選手だけでなく、獅庵選手、渡部修斗選手より強いバンタム級のファイターがいる。そういう見方をしていました。グラチャンのチャンピオンになる、それはステップアップをしていく道程ですが、いきなりRIZINというのは違うだろうと。

「もちろん、そう思われるのは当然です。僕もRIZINが全てだと思っていないです。でも世間では、なかなかそうは思ってくれない。当然、Grachanって何?っていう人が多いです。

パンクラス、修斗、DEEPからRIZINに行くモノじゃないのかと、格闘技界のなかで思わるのも分かります。あのトーナメントに出場するのに、僕は相応しくないと最初は思っていました。そのなかで声が掛った。なら、そこに何か意味があるはずだし」

──オファーがあって、「No」という必要な全くありません。

「だから勝てば良いんだろうって(笑)。見せてやれば良いんだろうっていう気持ちで、やっていました」

──それが殻を破ることに繋がったと。だからこそ、その成果を見せるにはしっかりと手塚選手と戦う必要がありますね。それにグラチャンとしても、チャンピオンが戻ってタイトル防衛戦をすることがRIZIN参戦効果だと思います。

「RIZINに出る選手って、もともと出ていた大会に出ない人が多いじゃないですか。僕はそれはちょっと違うんじゃないかなって思っています。正直、手塚選手とのタイトルマッチのオファーが来た時も、気持ちが上がりました。グラチャンで戦うこともそうですけど、手塚選手が相手だって聞いて断る理由はないですからね。もう2度とないチャンスだし、勝てば僕の力を証明できる試合になります。

僕にとって格闘技を始めた原点はプロレスで、プロレスラーは会場を選ばないです。小さな会場でもリングに立つと、やることは同じです。大谷晋二郎さんとか、絶対にそうですし」

──う~ん、スミマセン。その例えは分からないのですが、言われている言葉は格好良いです。

「アハハハ。会場の大小に関係なく、やるべきことをやる。僕もそうありたいと思っていますし、そのつもりでMMAを戦っています」

──幕張ベイパークアリーナでの試合にも、モチベーションが下がることがないと?

「ないですね。言うと、もっと魅せる試合をするつもりです。そこは変わんないです。だからこそ、負けられないです」

──強さを見せる試合と、負けられない試合では感じるプレッシャーも違うかと。

「ベルトを防衛するのもそうですし、RIZINに出て何だかんだと以前よりも注目されるようになりました。でも、ここで負けるようだとそれまでの選手と思われます。UFCに出てHEATとグラチャンのベルトを巻いた手塚選手に、どこまでできるのか。これは自分が試されている試合です。ここで勝つことができれば、僕自身を証明できる」

──大きな舞台を経験して自信がついたのか、口ぶりも変わりましたね。

「(囁くように)その振りです。自信は全然ないです。強気で言っているだけなんです。人間が変わったということはないので、大丈夫です」

──以前の伊藤選手に一気に戻りましたね(笑)。

「場慣れ……とか、分からないです。インタビューは緊張しているままですし(苦笑)」

──では12月19日、どのような試合……いや試合ではないですね。どのような伊藤空也を見せたいですか。

「そうっスね。マジの選手を相手にして、グラップラーだとかレスラーとかは関係なく勝てる……そういうMMAの強さを見せたいッスよね。このベルトを防衛できるだけ、防衛し続けたいです」

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Grachan51 Grachan52 MMA NEXUS25 伊藤空也 修斗 手塚基伸 藤村健悟 鈴木崇矢 長野将大

【GRACHN51】長野将大が、初出場。グラチャン、ネクサス、修斗にEXFIGHT12月19日はJ-MMA Day

【写真】選手はいつも負けられないが、8月に続き本当に負けられない一戦に長野が挑む (C)MMAPLANET

16日(火)、GRACHANより12月19日(日)に千葉市美浜区の幕張ベイパークアリーナで開催される二部興行=Grachan51&52に長野将大が出場し、佐々木歩夢と対戦することが発表された。

長野にとっては、8月にEXFIGHTで16歳の鈴木崇矢にKO負けからの再起戦──後がない状態でのグラチャン初出場となる。


所英雄のDNAを持つ長野はMMAだけでなく、ZSTでKOKルールやIREでコンバット柔術なども経験しており、常に動き続けることが信条のファイターだ。鈴木戦という危ない賭けに出て、敗れたこ事実は残るが、あのファイトに挑んだことこそ、長野の逃げない姿勢を表している。

今大会では長野✖佐々木以外に藤村健悟✖林 RICE 陽太のライト級戦、さらにはヨコヤマクレガー✖田馬場貴裕のヘビー級、さらにはミランダ亜廉✖中嶋紳乃介、寺石恭平✖上田賢人の育成枠マッチと、グラチャンの特性が出たマッチアップが揃っており、伊藤空也✖手塚基伸というバンタム級戦がメインで組まれた夕方からのGrachan52にバトンをつなぐことになっている。

千葉でGrachan51&52、東京ではNEXUS25とEXFIGHT03、そして大阪ではプロ修斗と、12月19日はクリスマス前のJ-MMA Dayとなっている……。

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DEEP Grachan52 K-1 MMA RIZIN   上田幹雄 伊藤空也 手塚基伸

【Grachan51&52】極真世界王者から、MMAへ。上田幹雄「顔面パンチ? 空手本来の部分が好きなので」

【写真】この拳、どのような突きがMMAで見られるのか楽しみ (C)MMAPLANET

25日(月)に東京都渋谷区の恵比寿カルフールSTUDIOでGrachan51及びGrachan52、そして上田幹雄の極真会館大会&MMA転向決意表明会見が行われた。

Grachan51&52は11月28日(日)に千葉市美浜区の幕張ベイパークアリーナで昼・夕2部制で開催される。その夕方の部=Grachan52ではメインでGrachanバンタム級選手権試合=王者・伊藤空也✖挑戦者・手塚基伸の間で組まれ、伊藤が会見に出席した。

伊藤のバンタム級王座防衛戦に関する質疑応答の後、第50回全日本空手道選手権及び第12回全世界空手道選手権大会優勝の上田のMMA転向会見に場が引き継がれた。


「4年前に極真の全日本を取った時以来、どうすれば空手の強さを広められるのかを考えてきて、大晦日の試合とか見ていると自分がやるべきことはそこ。MMAで戦うことだと自然と思うようになりました。もともと小学生の時にK-1の選手になりたいと思い、ああいう大舞台で戦いたいという気持ちがあった」と質疑応答で上田はMMA転向理由を話した。

「日本の重量級なら今でも勝てる」と上田を指導する宮田和幸BRAVE代表は言い、さらに「レスリングを今やらせていますが、柔道をしていたので組みに対するアレルギーはないです。レスリングと空手はMMAに生かせるので活躍できる」と太鼓判を押している。

柔道だけでなく相撲の経験もある上田は「抑え込みの基礎やどういう体の状態が抑え込まれやすいのか。レスリングというか相撲ですが、組み合いで何が悪い状態かは頭の中にはあるので、今は心と頭を一致させる作業をしている」という風に組み技対策の現状を話した。

その上田本人はデビューの時期は周囲に任せると言い、グラチャンの岩﨑ヒロユキ代表は「国内でやるならヘビー級ということもありグラチャン、DEEP、RIZINしかないですが、世界に行くための過程なので、一発目で世界のローカル団体かもしれないですし、グラチャンかもしれない。他の2つの団体かもしれない。僕はグラチャンに拘っているわけでなく、純粋に世界で戦える人を応援したい。そういうつもりでやっていて、そのなかでグラチャンは経験を積む場になる」とのことだった。

ここからは顔面直接打撃に関する上田と宮田への質疑応答を抜粋して再現したい。

──MMAでは顔面パンチという要素が大きいと思いますが、フルコンタクト空手出身の選手は蹴りが非常に綺麗ですが、この顔面パンチという部分で慣れが必要になるかと。

宮田 うちの川中(孝浩)というKO勝ちもしている打撃の強い選手がいますが、パンチでも普通にやれています。100パーセント、ガチのスパーリングではないですけど、ほとんどのパンチが見えていると思うし、BRAVE以外の打撃の選手もみていますが、特殊な……見えない角度からの蹴りもあって、皆ビックリすると思います。

上田 そこが一番心配される部分ですが、自分自身はそれほど違和感……ヤバイな、怖いなという意識はないです。空手ではルール上は顔面パンチはないですけど、型とかで常に顔面への意識をしていますから。ルールに依存していると、そういうこともあるかもしれないですが、自分自身は空手本来の部分が好きなので、そこは意識してやってきたので、恐怖心もなく、そこには自信があります。

──MMAグローブの方が、ボクシンググローブより素手に殴る感覚に近いということはありますか。

上田 そこは凄く感じました。ボクシンググローブの方が自分は難しい。そのグローブテクニックというのか、それは素手でやってきたのでないですし。そういう意味でいえば、MMAグローブの方が攻撃的な部分ではやりやすいです。防御的な部分でいえば、それほど変わりないかと思うんですが、大きさもあるので今後、続けていくと違いを感じることもあるかと思います。とにかく攻撃面でいえばMMAグローブは変わりないです。練習ではMMAグローブをつけてきたので。

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Grachan45 J-CAGE Report ブログ 伊藤空也 獅庵

【Grachan45】カーフが効いた獅庵を、徹底して削った伊藤空也がグラチャン・バンタム級王者に

【写真】殴り合いの気持ちのテイクダウン奪取──気迫のファイトだった(C)MMAPLANET

20日(日)、東京都大田区の産業プラザPIOでGrachan45が開催された。ここではメインのGrachanバンタム級王座決定戦、伊藤空也✖獅庵戦の模様を振り返りたい。

<Grachanバンタム級王座決定戦/5分3R>
伊藤空也(日本)
Def.3-0
獅庵(日本)

ジャブ、右ストレート、ワンツーなどのパンチの交換のなか、獅庵は左ミドル、伊藤は左インサイドローを入れて右をブロックする。獅庵のボディ打ちは当たりが浅く、踏み込んで伊藤が前足でのハイキックを繰り出す。

これを獅庵がかわし、互いに左ローを蹴る。と、続く伊藤の右カーフで獅庵の体がよろける。獅庵は踏み込んで右を放つが、ここでも体が流れてしまう。

カーフで踏ん張りが効かなくなったか。伊藤は右カーフだけでなく、獅庵の蹴りに合わせて左のインサイドローを左ヒザ裏に蹴り抜く。バランスを崩し、下がった獅庵に組みついた伊藤だが、獅庵がいなして離れると右ストレートを放つ。

しかし左足は突っ立ったままで、踏み込めていない。左足に攻撃を重ねる伊藤に対し、獅庵のパンチはどうしても大振りになってしまう。

ダブルレッグでテイクダウンを決めた伊藤は、スクランブルも制し打・組ともに試合をリードしバックに回る。獅庵も胸を合わせた立ち上がりながらニータップへ。

伊藤はケージを背にして耐えると、離れて打撃戦へ。どうしてもバランスが崩れる獅庵に対し、右カーフを蹴り、スピニングバックフィストには左ストレートを合わせた伊藤が初回をリードした。

2R、獅庵の左ハイの直後に右カーフを入れた伊藤。左足が完全に効かされた獅庵は飛び込むような右を振るい、距離を詰めていくも至近距離ですら伊藤が左足を狙って蹴りを入れる。

左ローで姿勢を乱しながら、意地の右オーバーハンドを入れた獅庵の左フックはフォアアーム・ラリアットのように伊藤の側頭部を捕え、伊藤の腰が落ちる。

踏み止まった伊藤はカーフだけなく、右ローで太腿を蹴り上げ、左インサイドローで徹底して左足を削っていく。ここでのシングルを切り、がぶった獅庵に対し、伊藤は立ち上がって離れると右ローを蹴っていく。

左から右を被弾しながら右ヒザを放った獅庵だが、伊藤は右ストレート当てて首相撲からヒザ、離れてワンツー、さらに左を伸ばす。ケージに詰まった獅庵にテンカオを入れた伊藤はヒザを返されても、右フックにダブルレッグを合わせてテイクダウンに成功する。

バックを譲って立ち上がった獅庵はキムラに取るが、そのセットアップを利して伊藤がダックアンダーのような形からテイクダウンし、上を取り切る。

獅庵はクローズドガードからヒジを入れ、ラウンド終了に。立ちあがった獅庵はすぐにコーナーに戻らず、一度動きを止めてから歩き出す。明らかに痛みを見せないための一呼吸、勝負を諦めてない気持ちが伺えた。

最終回、あとのない獅庵が思い切りパンチを振るい、乱打戦に持ち込もうとする──と思いきやテイクダウンを狙いトップを取ることに成功する。

ウィザーの伊藤は内股気味に小手を効かせスクランブルに持ち込むと、ダブルからシングルに移行してリバーサル。

ここからバックに回り、寝技に持ち込んだ伊藤に対し獅庵は背中を取られた状態でシングルへ。ボディロックから体重をかけてトップを取った伊藤は、獅庵の起き上りながらのニータップには、冷静に距離を取る。

打撃戦から伊藤がダブルレッグ、右ヒザを合わせた獅庵は尻もちをつかれ、バックを譲って立ち上がる。

正対されるとヒザを突き上げた伊藤は時間が少なくなり、左右のパンチを思い切り振るう獅庵のフックを打たれる。

直後にダブルでケージに押し込んだ伊藤は、エルボーを落とされながらもダブルで獅庵を担ぎ上げ肩の上に乗せると、豪快にスラムを決める。

打撃の打ち合いでなく、インパクトのある上の取り方で試合を締めた伊藤は、Braveでの練習の成果を見せ、新バンタム級王者に輝いた。

ベルトを巻かれ、リングガールと協賛スポンサーの代表との記念撮影後に、宮田和幸がケージインし、並んで写真となると伊藤は涙を堪えることはできなかった。

■ Grachan45計量結果


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Grachan45 J-CAGE News ブログ 伊藤空也 小谷直之 岸本篤史 植田豊 獅庵 鈴木一史

【Grachan45】試合スタートまで、あと1時間。プロは計量全員がクリア、抗原検査は全てが陰性に

【写真】計量と同時に行われた抗原検査を受ける、小谷直之。忘れがちだが、検査をしてくださる医療従事者の方は常にリスクがある。改めて感謝だ (C)GRACHAN

試合開始まで、あと1時間──20日(日)、東京都大田区の産業プラザPIOで開催されるGrachan45の計量が19日(土)に渋谷区のGグローバル本社で新型コロナウィルス感染予防のために時差を設けて行われた。

プロ選手に体重オーバーはなかった計量結果は以下の通りだ。


また、同時に行われた抗原検査はセコンド、選手ともに全員が陰性だった。

■視聴方法(予定)
9月20日(日・日本時間)
午後1時30分~FITE

■ Grachan45計量結果

<Grachanバンタム級王座決定戦/5分3R>
獅庵:61.1キロ
伊藤空也:61.2キロ

<ライト級/5分2R>
植田豊:70.4キロ
小谷直之:70.7キロ

<ライト級/5分2R>
岸本篤志:70.5キロ
鈴木一史:70.8キロ

<フェザー級/5分2R>
拓MAX:65.5キロ
小島勝志:66.1キロ

<ウェルター級/5分2R>
竹川光一郎:77.0キロ
川中孝浩:77.1キロ

<バンタム級/5分2R>
今村豊:61.6キロ
高橋謙斗:60.8キロ

<フライ級/5分2R>
石綱テツオ:57.0キロ
宮内拓海:56.3キロ

<ライト級/5分2R>
阿仁鬼:70.2キロ
藤村健悟:70.5キロ

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Grachan45 Interview J-CAGE ブログ 伊藤空也 獅庵

【Grachan45】獅庵とバンタム級王座決定戦、伊藤空也─02─「自分の我を出して、打撃ばかりにならない」

【写真】ストライカーではなく、打撃の強いウェルラウンダーというファイトができるか (C)MMAPLANET

20日(日)に東京都大田区の産業プラザPIOで開催されるGrachan45のメインで、獅庵とGrachanバンタム級王座決定戦を戦う伊藤空也インタビュー後編。

これから先に進むために、今回のタイトルを必ず獲らないといけない通過点と断言した伊藤。Braveでの日々が、彼に自信と自覚を与えた。

<伊藤空也インタビューPart.01はコチラから>


──Braveで練習するようになり、どういう部分で違いを感じましたか。

「それぞれの局面のレベルの高さですね。レスリングだけでなく、打撃にしても。当然のようにレスリングは一から教わりました。強い選手が多くて、そのなかで食らいついていくという状況はやはり地方で練習をするのとは違うかと思います。ここで練習していれば、間違いなく強くなると思いました」

──Braveで練習するようになり、伊藤選手のMMAの変化した点はどこになるのでしょうか。

「僕も一応、空手出身なので打撃で勝負していた部分があったのですが、その打撃に関して際が良くなったと思います。それは組みが成長したので、打撃を思い切って使うことができるようになったからで。

以前は寝かされたら最後だっていう感じで戦っていたのですが、今は寝てからでも勝負できると思えるようになりました。宮田先生にグラップリングを指導してもらえるようになり、選定は本当に寝技も強くて……」

──鈴木隼人選手が引退し、坂巻魁斗選手が他のジムに移りました。体格的にも良い練習パートナーだったと思うのですが、この辺りの影響はないですか。

「先輩がいなくなったのは、寂しいです。目標だったので。でも、甘えるのではなくて自分たちがしっかりとやっていかないといけない、強くならないといけないと思っています」

──打撃重視からMMAとして幅を広げてきた。そういう部分で対戦相手の獅庵選手と重なる部分もありますね。

「実はそう思っていたんです。ファイトスタイルだけでなく、大阪ですけど色々と苦労して格闘技をやってきたと聞いていますし。背負うモノとか、重なってくることはあります。ケガで苦しんできたという部分も含め。

だからこそベルトを獲るという気持ちは強いと思います。そこは僕も同じです」

──Braveの一員として、このような試合がしたいというのはありますか。

「打撃だけじゃないというのは見せたいです。レスリングから寝技まで対応できる、全てを出して戦いたいです」

──レスリングや寝技に自信がついたことで、逆に打撃とのバランスが狂うということはないでしょうか。絶対に立って戦うんだと思って試合をしてきたときと比較して、できることが増えたので。

「自分の我を出して、打撃ばかりにならないこと。その方が気を付けたいです。レスリングをやるべきところで、レスリングで勝負できるように」

──このタイトル戦後、どのようなキャリアの積み方を考えていますか。

「BraveにはRIZINに出ている選手も多いので、セコンドとかで会場へ行くとやはり憧れる気持ちは大きくなります。いつかRIZINに出たいという気持ちはあります。

ただ出るのがゴールじゃないです。盛り上がっているバンタム級のトップと鎬を削り合える選手になっていきたいです。その前にグラチャンでベルトを獲らないといけないです。ここは通過点と思って、今やるべきことをやりぬく。その繰り返しで、トップの選手に勝てるようになろうと思います」

■視聴方法(予定)
9月20日(日・日本時間)
午後1時30分~FITE

■ Grachan45対戦カード

<Grachanバンタム級王座決定戦/5分3R>
獅庵(日本)
伊藤空也(日本)

<ライト級/5分2R>
植田豊(日本)
小谷直之(日本)

<ライト級/5分2R>
岸本篤志(日本)
鈴木一史(日本)

<フェザー級/5分2R>
拓MAX(日本)
小島勝志(日本)

<ウェルター級/5分2R>
竹川光一郎(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
高橋謙斗(日本)

<フライ級/5分2R>
石綱テツオ(日本)
宮内拓海(日本)

<ライト級/5分2R>
阿仁鬼(日本)
藤村健悟(日本)

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Grachan45 Interview J-CAGE ブログ 伊藤空也 獅庵

【Grachan45】獅庵とバンタム級王座決定戦、伊藤空也─01─「禅道会で先輩の試合を見てMMAへ」

【写真】キリッとした表情の伊藤 (C)MMAPLANET

20日(日)に東京都大田区の産業プラザPIOで開催されるGrachan45のメインで、伊藤空也が獅庵とGrachanバンタム級王座決定戦を戦う。

Braveの所属となって1年半、ここまでの経験の全てをぶつけるタイトル戦を前にして、長野県で歩み始めたMMAファイター人生を振り返ってもらった。


──伊藤選手は長野県の出身だと伺っています。

「ハイ。長野県諏訪市の出身です。」

──中央自動車道がかなり高いところを走っていて、諏訪湖が見える……諏訪ですか。

「ハイ。そうです(笑)」

──格闘技を始めたのも諏訪で、ですか。

「もともと子供の頃に空手をやっていました」

──長野で空手というと……。

「禅道会です。無理やり、親からやれって言われて保育園に通っている時からやらされていました」

──やらされていた(笑)。

「本当に嫌々やっていて……僕は運動音痴だったら親は習わせたかったのでしょうが、小学校の2年になったぐらいで一度、辞めたんです。でも中学生になるかどうかっていう頃に『このままで良いのかな』ってモヤモヤとして、打ち込めるモノがないかなって考えるようになって……」

──えらく早熟というか、真面目だったのですね。

「心のどこかで禅道会を茶帯で辞めたので……頑張って黒帯を巻きたいという想いがあったんだと思います」

──でも中学生になると部活動がありますよね。それでも再び禅道会でやりたいと思ったのですね。

「ハイ、格闘技もテレビで放送していた時代だったのでHERO’S、DREAM、UFCも見ていていたので宮田先生が戦っているのも当時から知っていました。ただ特定の選手ではなく、格闘技に憧れを持つようになっていましたね」

──先ほどは空手という呼び方をされていましたが、稽古は空手なのでしょうか。

「子供の頃は投げと抑え込みまである空手でした」

──なるほど、最初から打・投・抑という要素のある格闘技の稽古をしていたのですね。

「勝ち負けも分からずやっている感じでしたけど(笑)」

──そして中学になると、何をやるべきか分かってもう一度門を潜り、MMAへの道を進んだと。

「自分の場合は石岡(沙織)さん、石岡さんと結婚された青木(隆明)長野支部長、それにZSTで活躍していた矢島雄一郎選手達、先輩方のMMAの試合の応援に行き、影響を受けたのも大きいです」

──禅道会の所属選手は禅道会のトップを目指す、もしくはMMAファイターを目指す、どちらなのですか。

「2つに分かれていますね。禅道会の全日本を目指す選手、全日本で勝つ負けるにかかわらずプロを目指す道もありますし。僕も最初は全日本を目指していたのですが、さっきも言ったように先輩方のMMAの試合を見て……高校を卒業した時に、名古屋の公武道ファイトでプロの試合に出ました。

ただ首都圏の試合に呼んでもらえることはなくて、まず大阪のWardogに呼んでもらえるようになりました。Wardogでは今はカットマンとしてラウェイなんかでも活動されている永井(明広)さんが、中心になっていた時にチャンスをくれたのですが、永井さんは自分が同郷ということもあってのことだったと思います」

──それからはMMAの練習に専念してきたのですか。

「20歳になってからですね。稽古を続けていて、ある時にMMAに特化した練習が必要だと思うようになって」

──MMAの練習というのは道場のカリキュラムには?

「クラスとしてはなかったです。ただ、場所はありますし、MMAの練習をするときには道場で、そういう練習をしたい人間ととりあってやっていまいした。道場長も凄く理解があり、心の広い方だったので道場を自由に使わせてくださいました」

──地方でもできるという気持ちで戦う選手、首都圏に出て戦う選手。この2つがあり、結果的に伊藤選手は東京に出てきました。

「ハイ。向うでやっている時に、僕が思ったのはもっと揉まれないといけないということだったんです。試合に出ていて、そう思うようになりました。そして都内のジムに出稽古をさせてもらうようになり、宮田先生のBraveにお世話になるようになったんです」

──所属もBraveですし、引っ越して来たということでしょうか。

「ハイ。宮田先生から『内弟子が1人空いているけど』と言っていただき、お給料をもらってBraveの所属にさせていただきました」

──素晴らしい環境ですね。

「ハイ。禅道会の先生たちも快く送り出してくれて、去年からこっちでやっています」

<この項、続く>

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【Grachan45】記者会見─01─Grand王座戦は桜井の負傷で来年6月に。伊藤空也「内弟子生活の集大成」

【写真】左から山本琢也、岩崎ヒロユキ代表、伊藤空也、阪本洋平が会見に出席した(C)MMAPLANET

7日(火・現地時間)、20日に東京都大田区の産業プラザPIOで開催されるGrachan45と、ライト級チャンピオン山本琢也およびフェザー級チャンピオン坂本洋平の今後に関する記者会見が渋谷区のグラチャンの運営するGグローバル本社で開催された。

まず会見の冒頭で岩崎ヒロユキ代表より同大会のメインに予定されていたGrandウェルター級選手権試合=チャンピオン桜井隆多✖チャレンジャー長岡弘樹の一戦は王者の負傷により取りやめられ、長岡が暫定王者となることが発表された。


グラチャンでは王座獲得から1年以内に防衛戦を行うという規定があるが、本日8日に手術を行う桜井は長期欠場が決定的だ。しかしながら長岡の桜井と戦いたいという強い要望により、グラチャンでは正規王者との契約を延長。来年度2021年の6月に桜井の回復を待って、両者の一戦が組まれることが決まった。「万全の状態で戦う」(岩﨑)ことを第一に、これだけの期間を置く説明がなされた。

今回の負傷→タイトル戦のキャンセル→来年の対戦について、両者からは以下のようなメッセージが届き、会見で読み上げられた。

桜井隆多
「この度は自身の怪我により、試合を楽しみにして下さっていた方々、対戦相手の長岡選手、また大会関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。本来は1年以内に防衛戦をしなければベルトを返上する契約ですが、暫定王者になる長岡選手からの要望によりGRACHAN実行委員会で協議いただき、契約を6月大会まで延ばして頂きました。

長岡選手、GRACHAN実行委員会の皆様、感謝致します、有難うございます。8日に手術し、しっかりと治してまたベルトを懸けて最高な状態で長岡選手と闘いたいと思います。何卒宜しくお願い致します」

長岡弘樹
「昨年次期挑戦権決定戦に勝ち、それからは、この試合に向けて全てかけて準備してきたので本当に残念です。 ただ選手の怪我は誰にでもあることなので、仕方ないと思っています。桜井選手にはしっかり治してもらいお互いに万全の状態で戦いたいと思いますまた今回暫定王者に認定していただき光栄です。岩崎代表に感謝致します。
 
来年統一戦と言う形になりました。自分の全てを賭けて、この試合に挑み必ず桜井選手に勝って正規王者になりたいと思います」

続いて、会見に出席にしていた──Grandウェルター級選手権試合の消滅により、メインイベントでGrachanバンタム級王座決定戦を戦うこととなった伊藤空也が、「グラチャンに参戦するようになり3年目で、念願のタイトルマッチに辿り着きました。何が何でもベルトを獲りに行きます。(※所属するBRAVEの)宮田(和幸)先生には内弟子生活で1年半お世話になっているので、その集大成を試合で見せることができればと思っています」と意気込みを語った。

長野県諏訪市出身、禅道会所属選手としてMMAで戦ってきた伊藤は、一念発起して上京しBrave所属選手となり、ウェルラウンダーとして成長してきた。そんな伊藤とベルトを賭けて戦う獅庵からは、以下のような抱負が届いており会見で読み上げられた。

獅庵
「今回、コロナで大変な時期に大会を開いてくださり岩崎代表はじめ関係の皆様ありがとうございます。タイトルマッチをやらせてもらうことになり大変光栄です。必ずベルトを巻いてグラチャンを盛り上げていけるよう頑張ります。

対戦相手の伊藤選手はパンチも蹴りも勢いがあり、組でも凄くアグレッシブで良い選手です。バチバチの殴り合いで激しい試合になると思います。泥臭くてもなんでも良いので勝ちにこだわりチャンピオンになります。当日は楽しみにしていてください」

この後、会見は阪本のフェザー級王座返上、山本が階級を落とし12月にフェザー級王座防衛戦を戦うことが発表された。

※上記の件に関しては、後程詳細を掲載します。

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【Grachan45】岩﨑ヒロユキ代表自ら斬り込む──獅庵インタビュー「母親が亡くなる以上に怖いものはない」

【写真】 この時、獅庵の胸に去来していたものは……(C) MMAPLANET

9月20日(日)に東京都大田区産業プラザPIOで開催されるGrachan45。半年ぶりのイベントとなる同大会ではGRANDウェルター級選手権試合=桜井隆多✖長岡弘樹とともに、堀友彦が返上したバンタム級王座を賭けて伊藤空也と獅庵が対戦することが決まっている。

糸東流空手出身、打撃の勢いを誰もが認めていた獅庵だが、その打撃が荒くなり気味で一時期は黒星を重ねた。心機一転グラチャンに転じ、階級も変え再出発を図る裏で、彼は大切な存在を亡くしていた。

オフィシャルから、岩﨑ヒロユキ代表自らが聞き手を務めた獅庵インタビューをここで紹介したい。
Special Thanks to GRACHAN & Mr.Hiroyuki Iwasaki


──昨年12月大会でグラチャン初参戦しましたが、オファー来た時はどのよう心境でしたか。

「そうですね。最初、坂巻選手でオファーが来たときは、なかなか強い相手を当ててくるなと言う印象でした。強い選手ですし、正直苦手なタイプだったのでビビってはいました」

──ビビっていた?

「初参戦の時は様子見の選手かなと思ってはいたのですが……坂巻選手でしたので(苦笑)。

──私たちとしてはベルト狙いたいと聞いていたので、最初から強い相手のマッチメイクを組んで即戦力として考えていたんです。そもそも中山巧代表も苦手なタイプだなという話はしていましたね。ただし、ここを抜けたら新しい光が見えるんじゃないか──そんな話にもなりました。結果、勝利して中山代表も喜んでいたのではないでしょうか。

「はい。それまでは打撃にこだわって喧嘩みたいに、パンチを振り回すだけで戦って来たのが、あの試合では練習通りの戦い方が出来たので。冷静に戦えました」

──試合のオファーを出した時期は、色々大変だったと聞きました。

「ハイ。2019年9月ぐらいでした。最初の予定の選手から坂巻選手に変更になって、ちょうどその頃、闘病生活が続いていた母が亡くなった時期で。精神的にも落ちてしまい、試合を断ろうかなと思いましたが、今まで親元を離れて大阪に出てきてやっていて、母親が亡くなったからと試合を断るのもどうかと思って。

──お母様は獅庵選手が格闘技をしていることを心配していましたか。

「心配はしていたと思いましたし、辞めてほしかったかと思います。けど、その言葉は1度として辞めて欲しいと言われたことはなかったです。

だから、勝った時は自然と涙がこぼれてきました……。試合中に冷静になれたのも、母親が亡くなる以上に怖いものはない──そんな気持ちで試合に挑んでいたからだと思います。だからこそ、一皮むけて成長につながった気がします」

──次の試合に向けて、現在は誰と練習していますか。

「鍵山選手とか、平日は手塚君(第3第GRACHANバンタム級王者)とも練習していて、ドミネートされまくっています(笑)」

──獅庵選手は空手ベースで、デビュー当時から「天才現れる!」的な期待されていたと思いますが中々良い結果に恵まれませんでした。

「そうですね。当時は減量苦と練習環境があまり整っていませんでした」

──大阪でパンクラス✖ DEEPの対抗戦で、神龍誠選手と試合し敗北。あの時の黒星はキャリアアップに影響を与えたのではないかと。

「今更ですが、試合の1週間前の練習で右耳の鼓膜が破れて手術する、しないの話という状態でした。減量も試合当日に100グラムが落ちなくて……。走って何とか落として、メンタル的にも辛かったです。何より減量が辛かった。もちろん神龍選手は凄く強い選手で活躍もされていますので、それは敗因にはなりませんが。

──その後、フライ級からバンタム級に階級変えましたね。

「階級をあげて自分自身のスピードは遅くなりましたが、フライ級の時は身体に力もあまり入らずフワフワしていたので、下半身に力が入る感じが変わり良い感じです」

──フィジカル的にもバンタム級用に身体を作っている感じでしょうか。

「そうですね。1階級あげたのでフィジカル強化と持ち味のスピードと瞬発力を活かせる戦い方をしたいと考えています。正直、今までにないくらい、精度は上がってきてる感じがします」

──伊藤選手の印象は?

「元々1階級上の階級から落としてきた選手ですよね。しっかり勝ってきている選手なのと。体幹が強そうです」

──タイトル戦後ですが、チャンピオンになると大きい舞台に出ていきたいですか。

「そうですね。出たいですね。盛り上げる自信はあります。日本でも海外でも。ただどこの舞台でも自分のやることは変わりませんし、誰が見ても『アイツ凄いな!』って思ってもらう試合する自信はあるので。それが獅庵の良さと思っていますので、どこでも戦います!」