【写真】猿飛流の両日のフォルムの違いは北米クラスか(C)MMAPLANET
昨年12月25日(日)に開催されたPancrase330。同大会の上位カードに出場した10選手の前日計量とファイト当日の肉体のフォルムの見比べてみたい。
欧米の選手たちと比較して減量及びリカバリーの幅を少なくする傾向にある日本人ファイターだが、何に水を抜き、再び水分を取り戻し筋肉が膨らむのか。大胸筋や僧帽筋、そして肩回りにもギリギリの状態まで落とし込んでいる選手がいることが確認できる。
【写真】猿飛流の両日のフォルムの違いは北米クラスか(C)MMAPLANET
昨年12月25日(日)に開催されたPancrase330。同大会の上位カードに出場した10選手の前日計量とファイト当日の肉体のフォルムの見比べてみたい。
欧米の選手たちと比較して減量及びリカバリーの幅を少なくする傾向にある日本人ファイターだが、何に水を抜き、再び水分を取り戻し筋肉が膨らむのか。大胸筋や僧帽筋、そして肩回りにもギリギリの状態まで落とし込んでいる選手がいることが確認できる。
【写真】伊藤は1年ぶりの試合で快勝。メインの勝者との絡みが楽しみだ(C)MMAPLANET
<フライ級/5分3R>
伊藤盛一郎(日本)
Def.2R1分26秒 by RNC
上田将竜(日本)
伊藤が右サイドキック、それをバックステップでかわした上田が左ハイを見せる。身長で劣る伊藤が左を伸ばしながら距離を詰め、組んでケージに押し込んだ。しかし上田が左腕を差し上げて、体勢を入れ替える。四つで組んだ上田は肩パンチとヒザで相手を削っていく。伊藤も右のオーバーフックを効かせて、ヒザとカカト蹴りで削る。ここでレフェリーがブレイクをかけた。
ケージ中央で再開後、伊藤が左右の蹴りを見せる。低い体勢から入る伊藤の顔面に、上田が左ジャブを2発突き刺した。頭を振り、左ストレートを伸ばした伊藤が、さらに右ストレートを見せながら組み付く。ボディロックでテイクダウンを狙う伊藤、しかし上田もすぐに立ち上がる。伊藤は上田をケージに押し込み、グラウンドに持ち込もうとするが倒せず。相手のクラッチを切った上田が離れた。
ケージ中央で上田の右前蹴りをキャッチした伊藤が、左フックを相手の顔面に叩きつける。下がる上田に組みついた伊藤が、右腕を差し入れてケージに押し込み、ヒザを突き上げて初回を終えた。
ジャッジ2名が10-9で上田に、1名が10-9で伊藤につけている。
2R、右サイドキックで飛び込む伊藤。上田の右ミドルハイをキャッチした伊藤は、そのままグラウンドに持ち込む。サイドからマウントを狙った伊藤は、上田のブリッジに合わせて腕十字へ。動く上田をバックマウントで抑え、右のパンチを連打していく。そして左腕を相手の首に巻き付けて仰向けに。上田は伊藤の右手首を取ってクラッチを切るも、伊藤はワンハンドで首を絞め上げてタップを奪った。
パンクラス初参戦でランキング2位の上田を破った伊藤は、「これからパンクラスで試合をやらせていただきたいと思うので、応援よろしくお願いします」とアピールした。
【写真】さらっと7キロの減量といった岡野 (C)MMAPLANET
24日(土)午後12時45分より、東京都新宿区のサンエービル地下1階会議室で明日25日(日)に横浜市中区の横浜武道館で開催されるPancrase330の第1試合から第7試合に出場するファイター達の計量が行われた。
マッハ道場の同門、葛西和希が15日(金)に負傷し全治6週間という診断結果を受け急遽、代役を買って出て粕谷優介と対戦することになったHEATライト級チャンピオン岡野裕城は70.5キロでクリアしている。
「そんなに厳しくなかったですよ。ちょうど体重も落ちていて、7キロぐらいしか減量していないです」と常人の理解の範疇を越えた発言を涼しい顔で出来る岡野は、パンクラス初陣でどのようなファイトを見せることができるか。
ここでは計量直後の各選手のコメントをお届けしたい。
Ryo
「田村選手とはホントずっとやりたかったです。
明日、気持ちをしっかりと込めて頑張ります」
林源平
「ぶっとばします」
村山暁洋
「ずっとやるかもしれないと思っていた相手なんですけど。
凄いタフなんですけど、明日はフィニッシュで勝ちます」
長岡弘樹
「明日は根性を出して、魂を燃やして。
村山選手と戦いたいと思います」
新居すぐる
「試合が決まってからずっと高木選手のことを考えてきたんで、明日は練習してきたことを全部出して勝ちにいきたいと思います」
岡野裕城
「えぇと……パンクラス・デビュー戦なんで、頑張ります」
粕谷優介
「また子供達に恰好良いところを見せます」
井村塁
「横浜のビッグマッチで組んでいただいて、ありがとうございます。
相手、佐久間選手なんですけど、自分らしくフィニッシュして良いクリスマスを迎えます」
佐久間健太
「久しぶりなんですけど、パンチを当てられるよう頑張ります」
沙弥子
「第1試合をやります、沙弥子です。世界で戦ってきた選手とこのタイミングで試合をすることは、一生の経験になると思います。明日は挑戦者という気持ちを忘れずに、攻め続けて勝ちたいと思います」
ジェニー・ファン
「最初に、このケージで戦う機会を与えてくれたパンクラスに感謝しています。私の対戦相手はとても強くて、とても良い選手です。明日の試合に期待しています。ベストと尽くします」
■視聴方法(予定)
2022年12月25日(日)
午後1時30分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
午後2時30分~ U-NEXT
■ Pancrase330計量結果
※赤字選手名をクリックすると関連記事やインタビューに跳びます
<フライ級KOPC/5分5R>
[王者] 猿飛流:56.5キロ
[挑戦者] 鶴屋怜:56.45キロ
<フェザー級/5分3R>
透暉鷹:66.25キロ
パン・ジェヒョク:66.15キロ
<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
シュウジ・ヤマウチ:70.45キロ
<バンタム級暫定王座決定戦/5分5R>
TSUNE:60.95キロ
田嶋椋:61.05キロ
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:51.85キロ
ソルト:52.45キロ
<フライ級/5分3R>
上田将竜:57.0キロ
伊藤盛一郎:56.95キロ
<フェザー級/5分3R>
田村一聖:65.75キロ
Ryo:65.35キロ
<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太:77.4キロ
林源平:77.45キロ
<ウェルター級/5分3R>
村山暁洋:77.5キロ
長岡弘樹:76.75キロ
<フェザー級/5分3R>
高木凌:66.2キロ
新居すぐる:66.1キロ
<ライト級/5分3R>
岡野裕城:70.5キロ
粕谷優介:70.3キロ
<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
佐久間健太:61.55キロ
<女子アトム級/5分3R>
沙弥子:47.5キロ
ジェニー・ファン:46.55キロ
<フェザー級/5分3R>
加藤泰貴:65.95キロ
倉本拓也:66.25キロ
<バンタム級/5分3R>
矢澤諒:61.3キロ
木本海人:61.35キロ
<57.7キロ契約/5分3R>
水戸邉荘大:57.7キロ
金澤臣人:56.7キロ
<アマMMAバンタム級/3分3R>
山口怜臣:61.05キロ
岡田嵐士:60.95キロ
【写真】Make weight大賞は猿飛流。これだけ筋肉を残し、9キロ・10キロを60キロ台の体格で落とすのは相当な減量テクニックを有しているはずだ。その猿飛流、パス後の水分補給で「世界で一番美味い水」と連呼していた(C)MMAPLANET
24日(土)正午より、東京都新宿区のサンエービル地下1階会議室で明日25日(日)に横浜市中区の横浜武道館で開催されるPancrase330のメインから第8試合までの計量が行われた。
メインのフライ級KOPCで戦う猿飛流鶴屋怜を始め12人の上位カード出場選手は全員が一発で計量をクリアした。
ここでは計量直後の各選手のコメントをお届けしたい。なお透暉鷹は新幹線が遅れたことで、会場への到着が遅れ最後に計量とコメント、パン・ジェヒョクとの撮影を済ませている。
猿飛流
「明日はメインイベンターとして、チャンピオンとしての試合を見せます。見ていてください。絶対に盛り上げます。以上」
鶴屋怜
「2022年ラストのパンクラスの大会のメインイベントで、しっかりKO、一本勝ちして盛り上げるので。チャンピオンになります」
パン・ジェヒョク
「コンバンワ。初めまして。ボクハ、コリアン・スパイシー・パンチ、この名前を覚えてください。オポネント、ドコデスカ。アリガトゴザイマス」
透暉鷹
「初の国際戦なんですけど、普通に勝つだけじゃなくてしっかりと自分の強さを証明して、勝ちたいと思います」
雑賀ヤン坊達也
「まずはシュウジ選手、ブラジルから日本までありがとうございました。明日は最高の試合をして、皆さんにクリスマスプレゼントができれば良いなと。しっかりKOするので、よく見ておいてください」
シュウジ・ヤマウチ
「初めまして、ヤマウチ・シュウジです。パンクラスに出ることはとても嬉しいです。明日は良い試合をするので、皆さん期待してください」
TSUNE
「明日のためにしっかりと仕上げてきました。試合で魅せます。応援よろしくお願いします」
田嶋椋
「明日はしっかりとやりきって、勝ちます。応援よろしくおねがいします」
KAREN
「しっかりKO、一本して。クリスマスに連勝して、2022年を締めくくります。お願いします」
ソルト
「パンクラスに初参戦できて嬉しいです。試合を組んでいただいてありがとうございます。明日はチャンピオンのKAREN選手との試合なので、連勝を止めて行こうと思っています。宜しくお願いします」
上田将竜
「伊藤選手、パンクラスに来てくれてありがとうございます。伊藤選手はイケメンで試合が面白くて、いつもジェラシーを感じていました。でも、こっちもパンクラスで10年間戦ってきた意地があるんで。さらに明日はクリスマスなんで、家族も子供も置いて戦いに来ているので、激熱、ポイズンな試合をしましょう」
伊藤盛一郎
「今回、パンクラスのデビュー戦になるんですけど、ZST、Groundslamで育ってきた自分らしく戦い、一本、KOで勝ちたいと思います」
■視聴方法(予定)
2022年12月25日(日)
午後1時30分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
午後2時30分~ U-NEXT
■ Pancrase330計量結果
※赤字選手名をクリックすると関連記事やインタビューに跳びます
<フライ級KOPC/5分5R>
[王者] 猿飛流:56.5キロ
[挑戦者] 鶴屋怜:56.45キロ
<フェザー級/5分3R>
透暉鷹:66.25キロ
パン・ジェヒョク:66.15キロ
<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
シュウジ・ヤマウチ:70.45キロ
<バンタム級暫定王座決定戦/5分5R>
TSUNE:60.95キロ
田嶋椋:61.05キロ
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:51.85キロ
ソルト:52.45キロ
<フライ級/5分3R>
上田将竜:57.0キロ
伊藤盛一郎:56.95キロ
<フェザー級/5分3R>
田村一聖:65.75キロ
Ryo:65.35キロ
<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太:77.4キロ
林源平:77.45キロ
<ウェルター級/5分3R>
村山暁洋:77.5キロ
長岡弘樹:76.75キロ
<フェザー級/5分3R>
高木凌:66.2キロ
新居すぐる:66.1キロ
<ライト級/5分3R>
岡野裕城:70.5キロ
粕谷優介:70.3キロ
<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
佐久間健太:61.55キロ
<女子アトム級/5分3R>
沙弥子:47.5キロ
ジェニー・ファン:46.55キロ
<フェザー級/5分3R>
加藤泰貴:65.95キロ
倉本拓也:66.25キロ
<バンタム級/5分3R>
矢澤諒:61.3キロ
木本海人:61.35キロ
<57.7キロ契約/5分3R>
水戸邉荘大:57.7キロ
金澤臣人:56.7キロ
<アマMMAバンタム級/3分3R>
山口怜臣:61.05キロ
岡田嵐士:60.95キロ
【写真】2017年10月には所英男とグランドスラムでグラップリングを戦っているが、MMAを戦ったのは6年も前になる伊藤 (C)MMAPLANET
25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330で、上田将竜と対戦する伊藤盛一郎のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
伊藤にとっては今回の試合がパンクラス初参戦で、しかもケージは2016年11月のグランドスラム以来6年ぶり2回目となる。パンクラスフライ級の大ベテラン、ランキング2位の上田将竜を相手に不安はないのか。伊藤にケージでの試合と上田戦について訊いた。
<伊藤盛一郎インタビューPart.01はコチラから>
――伊藤選手も現在29歳です。同じフライ級でも伊藤選手より若い世代が出てきています。
「そうですね。まさか自分がベテランになっているとは思いませんでした(笑)。鶴屋(怜)君は今20歳ですか? DEEPの試合を見ていると、毎回すぐ終わっちゃうから分からない部分はありましたよね。でもパンクラスでランカーに圧倒的な内容で勝っているので、すごく強いんだなって思います。鶴屋君と練習したことのある人からも『鶴屋怜は強い。ブン投げられまくった』と聞きますし」
――そんななか、今回が初参戦となるパンクラスの印象を教えてください。
「パンクラスは好きですよ。横浜グランドスラムからアマもプロもパンクラスの試合に出ることが多くて、自分もセコンドや応援で結構行っています。僕自身は試合をしたことがないですけど、そういう意味では慣れ親しんだ場所というか(笑)」
――ただ、会場は慣れ親しんでいるとしても、伊藤選手にとってケージの試合はVTJとグランドスラムに続き今回が3回目です。その点はいかがですか。
「自分はリングかケージか、というのは気にしていないです。横浜グランドスラムは壁の練習ができるし、周りもケージの試合に出ている選手ばかりで。普段からリング用の練習は全くしていないかもしれないです。ケージ向けの練習をしてリングの試合に出る、みたいな(笑)」
――改めて戦績を見ると、伊藤選手の世代でここまでケージを経験していないことは意外でした。
「この間、パンクラスのケージに入ったんですよ。セコンドで行った時に、選手のアップのために。やっぱりケージって圧迫感というか、鳥かごの中に閉じ込められているような感覚がありますよね。グランドスラムの時も思いましたけど、だからこそ試合に集中できるっていうところはあります。リングは周りが開けているので、いろいろ目に入ってくるんです。でもケージは周りが見えないし、本当に1対1で集中して戦えるとは思います。そのケージで戦うのは自分にとってプラスになると思います」
――今回そのケージで対戦する上田将竜選手の印象を教えてください。
「まずフライ級の中では背が高いですよね(公式プロフィールでは上田が174センチ、伊藤が161センチ)。ずっとランキング上位にいて、まさにパンクラスのフライ級を代表する選手だと思います。まさかパンクラス初参戦の僕と、その選手が試合をしてくれるのかって驚きました」
――上田選手は鶴屋怜戦前のインタビューで、鶴屋戦のオファーを受けた理由として「強い相手から逃げるわけにはいかない」と仰っていました。本人に直接お聞きしたわけではないですが、今回も同じように考えたのかもしれません。
「そう思っていただいていたら、本当に嬉しいです。上田さんって熱くて、スーパー気持ちの良い人ですよね。僕がセコンドでパンクラスに行った時、上田さんが試合後に控室で対戦相手と話をしているのを見たことがあるんです。しっかり握手して、話をして――スーパー気持ちの良い人だと思いました」
――そのスーパー気持ちの良い上田選手を、どう倒すか。もう作戦は決まっているのですか。
「いえ、自分は普段から作戦は立てないんです。いつも打撃でも寝技でも勝てると思っているので、特に作戦を立てることはなく試合をしながら、っていう感じですよね。相手の試合映像を見て、気をつけておかなければいけないことはチェックしておくぐらいで。いつも本能で戦っています」
――本能ですか!
「試合中はセコンドの勝村先生が指示をくださるので、それに合わせて動いています。試合中に、セコンドの指示に『はい!』って返事しちゃうことがあるんですよ(笑)。あとはアイコンタクトで、何をすれば良いのか理解したりとか。勝村先生が心配そうな表情だと、ここで行ったほうが良いのかな、と考えたり……。僕は横浜グランドスラムで育ってきた、純グランドスラムファイターです。勝村先生は僕のことを全て分かっていてくださるので心強いですね」
――その結果、劣勢でも逆転勝ちできるというわけですね。
「アハハハ、確かに逆転勝ちは多いです(苦笑)。前回の試合(RIZINで橋本薫汰に勝利)も顔がボッコボコになりながら、最後はRNCを極めて」
――グランドスラムの内藤頌貴戦も、左ハイを受けてからの逆転勝利でした(2R、ニンジャチョークで勝利)。逆転勝利は、もちろん会場は盛り上がります。対して戦っているファイターは、どのように考えているのでしょうか。
「もちろん最初から、そんな逆転勝ちをしようとは思っていないです。できるならサクッと勝ちたいですよ。でも、ボコボコにされたからって諦めるわけにはいかない。みんなが応援してくれているし、僕も負けたくないし。だから逆転勝ちは、やられていても諦めなかった結果なのかなと思っています」
――ポジティブですね! では次の試合に向けての意気込みをお願いします。
「今回がパンクラス初参戦ということで、判定ではなく、KOか一本で決着をつけたいです。上田選手に勝ってランキング2位になれば、来年にはタイトルマッチを組んでいただけるかもしれないので、ベルトに向けて頑張ります!」
■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
【写真】もう29歳、すっかり大人の男──男性になっている伊藤盛一郎 (C)SHOJIRO KAMEIKE
25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330に元ZSTフライ級王者の伊藤盛一郎がパンクラス初参戦。上田将竜と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
ZSTのSWAT!トーナメントから、VTJのオープニングファイトを経てプロデビューした伊藤は、その後もZSTを中心に活動してきた。2015年2月にZSTフライ級王座を獲得し、GRANDSLAMでは内藤頌貴を下して2019年よりRIZINへ。2021年10月にRIZINで行われた橋本薫太戦から1年――伊藤がパンクラスに参戦することとなった経緯を訊いた。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第4弾は伊藤盛一郎インタビュー前編をお届けしたい。
――まずは1年ぶりの試合が決まったことに関する率直な気持ちをお願いします。
「今年に入って、ずっと試合ができる状態にありました。というのも、RIZINは毎年春や秋に横浜大会があったので、いつでも出られる状態にしていたんです。でも横浜大会自体がなく……。もちろん7月には、さいたま大会があったのでずっと良い調子でいたのですが、それも試合は決まりませんでした」
――それは前回の試合後に負傷などがあったのでしょうか。
「いえ。いつも僕は試合で怪我や負傷することがあるのですが、今回はそれも全くなくて。だからずっと調子は良いし、試合間隔が1年空いてしまったことも気にならないですね」
――ということは、いつでも試合に出られる状態のまま1年間も……。
「そうなんです(苦笑)。ずっと試合が決まってほしいと思っていました。急なオファーがあっても、いつでも出られるように体重もキープしていて。しかもずっと体がカツカツな状態ではなく、自然と試合に出られる体重をキープできていたんですよね。2週間前のオファーでも出られましたよ。アハハハ」
――その間、国内ではDEEPやパンクラスでフライ級戦線が盛り上がりを見せていました。ご自身が試合に出ていない時、同じフライ級の動きをどのように見ていましたか。
「DEEPフライ級GPは、もともとRIZINでやるという噂もあったじゃないですか。だから僕も、RIZINのフライ級GPに出たいと考えていました。それがDEEPで行われることが決まり、出場メンバーを見たら――DEEPの主要メンバーという感じでしたよね。みんな強い選手ばかりだけど、もし僕がその中に加わったらと考えても、自分としては燃えなかったです。
結局、RIZINではそこまでフライ級が重要視されていないのだろうと思いました。このままだと、ただ待っているだけでは試合がない。チャンスは巡ってこない。そんななかで、パンクラスの横浜武道館大会が発表されたんですよね。
自分は今年ずっと良い調子で来ているのに、1試合もせずに終わるのはもったいなくて。すると勝村(周一朗リバーサルジム横浜グランドスラム代表)先生から『パンクラス横浜大会に出るか?』と声をかけていただいて。僕も『出ます!』と答えて、勝村先生からプロモーターサイドにお話ししていただきました」
――ということはパンクラスのフライ級の動きも、そこまで把握はしていなかったということですね。
「はい。そもそも自分がパンクラスに出ることになるとは思っていなかったです。ずっとZSTに出ていて、ZSTからRIZINに出て――僕の中にはZSTファイターという誇りがありましたから。でもZSTが活動休止になり、RIZINで試合も決まらず。ここでパンクラスに出させていただくという選択をしました。このまま試合をしていないと、みんなから存在を忘れられちゃうんじゃないかと思って(笑)」
――確かにここで伊藤選手がパンクラスに出場するというのは、横浜大会最大のサプライズの一つだったように思います。一方、フライ級では修斗王者の平良達郎選手がUFCで2連勝し、DEEP王者の神龍誠選手は米国CFFCでベルトを獲得しています。そういった海外参戦組の動向は気にならなかったでしょうか。
「海外プロモーションと契約する日本人選手が増えていたり、そこで活躍しているのは嬉しいです。でも、それぐらいですね」
――やはり今もZSTが活動していれば、RIZIN以外の舞台ではZSTで試合をしたかったですか。
「もちろんです。ずっとZSTで戦っていたら、ZSTの中では相手もいなくなるし、そのためにRIZINで他プロモーションの王者と戦ったりしていました。あるいは、ZSTへ他のチャンピオンに来てもらったり――ZST以外に出ることは考えていなかったです」
――伊藤選手にとって、ZSTとはどのような存在だったのでしょうか。
「ここが僕のアナザースカイ、みたいな」
――……何を仰っているのですか(笑)。
「アハハハ。グランドスラムと同じように、僕が育ってきたホームです。だから王座は返上していましたけど、ZSTの代表としてRIZINでマネル・ケイプと神龍君に連敗した時は、ZSTの株を落としてしまったなと思いました。特に神龍君はDEEP王者で、DEEPとZSTのチャンピオン対決で負けてしまいましたから」
――これまでZSTから他プロモーションに参戦している選手に何人もインタビューしてきましたが、皆さんZSTへの愛が強いです。
「みんなZSTが大好きなんですよ。今は他の大会に出ている選手も、ZSTが再開されたらすぐに集まると思います。今もZSTファイターが他の大会で試合をする時、『頑張ってね』とかメッセージを送り合ったりしているんです。僕がパンクラスに出ることが決まった時は、上原さん(元ZST代表の上原譲氏)からもメールを頂きました。『盛ちゃんなら絶対にやれるから頑張って』と」
――とても熱い関係性ですね。
「修斗、DEEP、パンクラスと比べたら、どうしてもZSTって下に見られていたじゃないですか。それが僕だけじゃなく、みんな悔しかったです。だから、みんなでZSTを大きくしていこうと思っていました。
今回パンクラスに出させていただきます。試合を組んでもらったからには、スポット参戦ではなく継続して参戦していきたいと考えています。ただ、自分がZSTファイターであることの誇りは忘れていません。パンクラスにとって僕はZSTから来た、リバーサルジム横浜グランドスラムの伊藤盛一郎です」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
<65キロ契約/7分1R>
伊藤盛一郎(日本)
Def.3分18秒by ヒザ十字
橋本圭右(日本)
座った橋本に対し、飛び込んだ伊藤は首を狙う。一度、伊藤を浮かせて引き込み直した橋本だが、サイドで抑えられる。ニーインから逃げようとした橋本は、首を取らせないように動くが体力と瞬発力で上回る伊藤が再びパスから、ギロチンを狙う。
足を絡まれても、首を極めさせず防御に徹する橋本は大健闘だ。それでもハーフの橋本に対し、伊藤は組んだ足を取りヒザ十字を極めた。
【写真】75キロ級に世羅、90キロ級にイゴール。注目のノーギおできるグラップラーが出場する(C)SATOSHI NARITA & MMAPLANET
19日(金)、ZSTより7月26日(日)に東京都大田区のゴールドジムサウス東京アネックスで開催されるZSTグラップリング=GTF04のトーナメント各階級出場選手及びスーパーファイト、さらに2階級の予選会が同5日(日)に行われることが発表されている。
同大会は無観客で開かれ、動画配信が予選会とともにされること、クラウドファンディングが実施されることも明らかにされている(※詳細は後日発表)。
60キロ、75キロ、90キロの3階級、8人のワンデートーナメントは、60キロ&75キロの出場確定選手は6名で、残り2つの枠を掛けた予選会があり──その出場選手もリリースでアナウンスされた。スーパーファイトでは無差別級でハイサム・リダアンディ・コング、78キロ級で大浦マイケ松本大輔、70キロで小野隆史藤代晃精、65キロ以下で伊藤盛一郎橋本圭右の4試合が組まれている。
GTFらしいのがスーパーファイトに伊藤盛一郎が出場するように柔術家だけでなく、MMAファイターも参加も少なくない点だ。
60キロ以下級には5月31日のプロ修斗に出場したばかりの清水清隆がエントリー。潤鎮魂歌や高橋サブミッション雄己という名前も見られる出場確定選手に対し、予選会にも渋谷カズキ、三谷敏生というMMAファイターが参加する。
75キロ級には世羅智茂が参戦。4月のRoad to ONE02で青木真也と、5月は修斗の大会で岩本健汰と戦いドロー。今や日本のグラップリングを引っ張る存在として、同門の竹内稔、岩本のチームメイトの山中健也らが優勝争いのライバルとなるか。
90キロ級には昨年のムンジアルは3位ながら、2018年の紫帯時代にムンジアルとノーギワールドのどちらも制しているイゴール・タナベに断トツの注目が集まる。QUINTET FNではハイサムと対戦して3度の警告で両者失格となったイゴール、IBJJF競技柔術家のサブオンリー・ノーギがどのように変化しているのか楽しみでならない。
各階級の出場選手は以下の通りだ。
【60キロ級】
高橋サブミッション雄己(和術彗舟會新宿HEARTS)
米倉大貴(IGLOO)
後藤貴史(ALMA FIGHT GYM HOMIES)
潤鎮魂歌 (総合格闘技ハーヴェスト)
井手智朗(エクストリーム柔術)
清水清隆(TRIBE.TOKYO.MMA)
【75キロ級】
渡部拳士郎(スーパータイガージム)
世羅智茂(Carpe Diem)
寒河江寿泰(トイカツ道場/今成柔術)
竹内稔(Carpe Diem)
山中健也(IGLOO)
高本裕和(高本道場)
【90キロ級】
イゴール・タナベ(IGLOO)
濱岸正幸(U-FILE CAMP登戸)
高橋快人(エクストリーム柔術)
柳井夢翔(リバーサルジム新宿me,we)
グラント・ボグダノフ(KUSSANO TEAM)
内藤由良(リバーサルジム横浜グランドスラム)
レダ・メブトゥシュ(Carpe Diem)
谷口実(RBアカデミー)
【60キロ級予選】
渋谷カズキ(高本道場)
長野将大(所プラス)
N.O.V(Team GBF/EnjoyGym)
二之宮徳昭(クロスワンジム湘南)
堤宏太(福住柔術)
三谷敏生(総合格闘技コブラ会)
【75キロ予選】
ベン・ブッカン(総合格闘技津田沼道場)
坂野開(SORA BJJ)
鹿志村仁之介(IGLOO)
小川智也(リバーサルジム新宿me,we)