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【Black Combat13】駒杵嵩大とフライ級王座決定戦、消防士戦士ユン・ホヨン「毎日練習よりメリハリ」

【写真】MMAファイター、Black Combatファイター・バージョンのユン・ホヨン。下のリモート取材時とは、相当に感じが違う(C)MMAPLANET

28日(土・現地時間)に韓国はソウルのソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催されるBlack Combat13で、駒杵嵩大とフライ級王座決定戦を戦うユン・ホヨン。
Text by Manabu Takashima

かつてZSTに来日経験のあるユン・ホユンは「日本のMMAを尊敬している」と言いつつ、駒杵はその日本のトップ中のトップではないと言い切った。普段は消防士として生きるファイアーファイターMMAファイターに話を訊いた。


――5日後に駒杵選手とフライ級王座決定戦で戦うユン・ホヨン選手です(※インタビューは23日に行われた)。日本人選手とは他の韓国人選手との対戦のようにBlack Combat特有のYouTube等でのストーリー創りは難しい面があるかと思いますが、どのような背景があって駒杵選手とのタイトル戦が決まったのでしょうか。

「自分がランク1位なのですが、ランキング2位は以前に勝っている選手で、3位はチームメイト。なので4位の駒杵選手と戦うことになりました。やはり日本人選手なので言葉の壁はあります。それでもBlack Combatは映像などで盛り上げることに長けているので、それほど難しくなく盛り上げることはできていると思います。

日本でも撮影をしたのですが、駒杵選手は仕事があると撮影に来ませんでした。その時に『Black Combatに愛がないのか』と挑発しました」

――ハハハ。ところでユン・ホヨン選手は7,8年前にZSTで試合をしていますね。

「日本のMMAのことは、すっと尊敬しています。特にフライ級はワールドクラスの選手が多いですし。ZSTでは伊藤盛一郎選手に負けました。伊藤選手と比べると、駒杵選手はそこまで強くはないと思っています。今は駒杵選手に勝ってBlack Combatのチャンピオンになることに集中していますが、その先には強い日本人選手と戦ってみたいという気持ちもあります」

――そのような中で駒杵選手の実力をどのように考えていますか。

「テイクダウンが特に強くて、寝技も巧いです。日本の頂点ではないですけど、経験値の高い選手だと思います。ただ組み技のディフェンス面には自信があるので、しっかりとテイクダウンを防いで打撃で勝負したいと思っています」

――入場の際、消防士の恰好をしていますが、本職が消防士ということですか。K-MMA界の消防士ファイターといえば。Road FCのシン・ドングク選手の印象が強いです。

「MMAのプロデビューが2015年で、4年後に消防士の試験に受かりました。そしてRoad FCの最後の試合の時は消防士になっていたので、シン・ドングク選手とプロモーション活動をしたこともあります」

――日本では消防士は交代制勤務で24時働いて、48時間非番という形態らしいですが、韓国も同じように交代制なのでしょうか。

「日本と同じですね。24時間働いて、非番は48時間です。その48時間を使って練習をしています。勤務の日も現場への出動がない日は、体を鍛えることができています」

――試合前でもまる1日練習ができない時もあるということですか。

「ハイ。でも今の自分は、この生活サイクルが馴染んでいます。毎日練習できるよりも、この方がメリハリがあり集中して練習できるんです」

――消防の仕事は、それこそ命がけで身の危険に直面することもあるかと思いますが、そういう部分でMMAに役立つことはありますか。

「現場ではケージに入っている時と同じように緊張します。そういう部分ではどちらの経験も、互いに生きる。マインドコントロールができるようになったように感じます。ただ、命を落とすかもしれないという現場は何年も消防士をやっていて、滅多にあるものではないです」

――その時のための日頃の訓練が必要という部分では、MMAも良く似たモノかもしれないですね。そんな日々を送るユン・ホヨン選手ですが、土曜日のタイトル戦ではどのような試合をしたいと思っていますか。

「駒杵選手はアグレッシブな選手だと思います。打撃なら打撃、グラップリングならグラップリング。駒杵選手の出方に合わせて、積極的に対応して動きのある試合にしたいと思います」

■視聴方法(予定)
12月28日(土・日本時間)
午後6時30分~メインカードBlack Combat YouTubeメンバーシップ
午後2時00分~アンダーカードBlack Combat YouTubeメンバーシップ

■Black Combat13対戦カード

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
木下カラテ(日本)

<Black Combatミドル級選手権試合/5分3R>
[王者]チェン・ウォンジュン(韓国)
[挑戦者] オ・イルハク(韓国)

<Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
[王者]大原樹理(日本)
[挑戦者] ムン・ギボム(韓国)

<Black Combatバンタム級王座決定戦/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
山本聖悟(日本)

<Black Combatフライ級王座決定戦/5分3R>
ユン・ホヨン(韓国)
駒杵嵩大(日本)

<ウェルター級/5分3R>
ジン・テホ(韓国)
チェ・ジュンソ(韓国)

<ライト級/5分3R>
パク・オジン(韓国)
ジョン・ハングク(韓国)

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【Pancrase351】2年振りのパンクラス復帰、猿飛流「別にUFCが目標じゃなくてもいいじゃん」

【写真】その通り──と共感ばかりの猿飛流の言葉です(C)TAKUMI NAKAMURA

15日(日)に東京都港区のニューピアホールで行われるパンクラス師走の大一番=PANCRASE350&351の昼夜大会。夜の部351で猿飛流がジョセフ・カマチョと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

3月のEternal MMA83でフライ級王者アンソニー・ドリリッチに2RKO負けを喫した猿飛流。UFC出場という目標に近づくために挑んだ一戦に敗れる結果に終わったが、この敗戦が猿飛流の格闘技に対する向き合い方を変えることになった。「僕はMMAに救われた人生。自分がどこまで強くなれるのかを満足いくまでやりきりたい」という想いを持ってカマチョとの戦いに臨む。


――本日は記者会見後の取材ですが(11月29日)、会見では「一時は格闘技を辞めようと思っていた」とお話されていました。改めてそのことを詳しく聞かせてもらえますか。

「ずっと自分の中ではUFCという目標があって、ちょうど2年前の防衛戦で鶴屋怜君と対戦することになったんですね。負けなしで期待されていた怜君に勝つことが出来たら『UFCを目指す』と言える資格があったと思うのですが、結果的にはRNCで一本負けてしてしまって。その時に自分の中でちょっとUFCへの気持ちが途絶えてしまって。そうなった時に、国内で目標だったパンクラスのベルトを獲って、先輩の仙三さんからベルトを受け継ぐことが出来て、もうやることはやったんじゃないかと思ったんです。

格闘技そのものは好きだし、まだ引退はしたくないと思って練習は続けていたのですが、自分の気持ちとしてはそういう状況でした。そんな時に、3月のEternal MMAでアンソニー・ドリリッチとタイトルマッチのオファーが来て、Eternal MMAはUFCのフィーダーショー的な位置づけで、UFCにつながる大会だと思ったので、これがラストチャンスだと思って試合を受けました。ただその試合でもぶっ飛ばされてしまって、また進退を考えたんですけど、 やっぱりまだ格闘技が好きで、仲間が好きで、僕に期待してくれる人もいる。パンクラスの坂本(靖)さんからも『またうちでやらないか』という連絡をいただいて、気持ちもすごく前向きになっていた時で、色々とタイミングが重なって(復帰を)決めました」

――2年前に鶴屋選手に敗れて、一気に目標を見失ったような気持ちだったのですか。

「そんな感じでしたね。自分がチャンピオンになった時は年齢的にも若くなかったし、1回でも負けたら正直UFCへの道は厳しいだろうと思っていました。僕は勝ち方も派手ではないので。でも、あのタイミングで怜君に勝てばUFCを目指す資格があると思っていたので、あそこで負けた時にバタっと(UFCへの道が)閉ざされた気がしました」

――Eternal MMAの試合を受けたのも、Eternal MMAがUFCにつながる可能性がある団体だからで、そこでもう一度気持ちが燃えましたか。

「燃えましたね。怜君に負けて、これからどうしよう?と考えながら練習を続けていた時にEternal MMAの話が来たんで、すぐに飛び乗りましたね」

――ただしUFCへの道という部分では、わずかな可能性に賭けて出場したEternal MMAでKO負けしてしまったわけじゃないですか。なぜそこからまた気持ちを持ち直すことができたのですか。

「実はあの試合がすごく楽しかったんです。怜君とやって以来、約1年3カ月ぶりの試合で初めての海外だったのですが、Eternal MMAの人たちがすごく歓迎してくれて。Eternal MMAは豪州以外の選手も多いのに歓声もすごいんです。僕も試合をしていて、すごく気持ちが良くて楽しくて、試合中に自然に笑っていました。

試合はぶっ飛ばされてKO負けだったのですが、やっぱり格闘技は最高だなと思って。試合後の気持ちは前向きでしかなかったし、帰りの飛行機でもセコンドのSASUKEと『ここからまた頑張っていこう!』という話をしていました。だからあの試合で格闘技への気持ちが再燃しました」

――映像・中継ベースでしか見たことがないのですが、Eternal MMAはホーム&アウェイ関係ないイベントという印象があります。

「めちゃくちゃいい団体でしたね。代表のカム・オニールさんが海外の選手に対してもすごくよくしてくれて、選手がUFCに行くことになったら、仮にチャンピオンであっても快く送り出してくれるような団体なんです。お客さんも豪州以外の選手にブーイングとかしないですし、他の試合を見ても判定が公平で、めっちゃ好きな団体になりました」

――日本で復帰するのではなく、海外に出てEternal MMAのようなイベントに出られたことが非常に大きかったのではないですか。

「はい。帰りの飛行機の中でも『UFCの道が途絶えてこれからどうしよう…』 じゃなくて『まだまだ強くなれる』や『すげえいい経験できたな』という感じでした」

――しかも気持ちが前向きになったところでパンクラスからもオファーがあって。

「ありがたいことに色んな試合の話をいただいていたのですが、パンクラスからオファーをもらっていて、僕はパンクラスに育ててもらって、パンクラスにずっとお世話になっていて、パンクラスに恩も感じています。しかも×外国人選手のオファーということもあって決めました」

――日本人相手ではなく外国人選手と復帰戦というシチュエーションも燃える要素になりますよね。

「そうなんですよ。今年初めて外国人選手とやって負けて、それを払拭したいという気持ちがある中でのオファーだったので、それも嬉しかったです。あとは唯一パンクラスで心残りだったのが伊藤盛一郎選手と戦えなかったことなんです。Eternal MMAの試合が決まる前、1月ぐらいですかね。まだ自分もギリギリでランキングに残っていたので、今復帰したらもしかしたら伊藤選手とやれるかなと思ったのですが、さすがにそれは出来ないということで。僕は伊藤選手が相手だったらすごい試合ができるんじゃないかなと思っていて、それもパンクラスで復帰するきっかけの一つですね」

――こうしてお話を聞いていると2年前はUFCという目標一択だったのが、鶴屋戦とドリリッチ戦の負けを経験して、MMAをやる上でのモチベーションのベクトルが変わったようですね。

「ホントに情けない話になるのですが、自分はUFCに行くレベルにいなかったんだと思います。怜君に負けて、Eternalでぶっ飛ばされて。でも格闘技が好きな気持ちは変わらないし、格闘技をやるのが楽しいし、まだ自分が強くなっている実感もあります。今、亀海喜寛さんにボクシングを教わっていて、亀海さんからも『伸びしろしかない』と言ってもらえるし、他の先生方も『絶対やめない方がいいよ』と言ってくれています。最後は格闘技を楽しもう、別にUFCが目標じゃなくてもいいじゃんという気持ちが芽生えています」

――しかも今回の対戦相手=ジョセフ・カマチョはまさに手が合う、戦っていても楽しめる相手ではないですか。

「はい。カマチョ選手はフィジカルも強くて”頑張る”選手なので、自分も楽しめる相手だと思います。今はUFCを目指すとかではなく、今までやってきたことの答え合わせというか、最後に自分がどこまで強くなれるのかというところを満足いくまでやりきりたいです」

――自分が考えるMMAを全うしたいですか。

「僕はMMAに救われた人生なので。MMAがなかったら精神疾患も克服できなかったと思うし、まだMMAをやりたいです」

――試合としてはどんな展開をイメージして勝とうと思っていますか。

「イメージ的には全局面で自分は勝ちたいと思います。相手も組みが得意だと思いますが、そこは自分も得意で自信があるところなので、試合スタートの時点で組みは自分の方が上回っていると思います。プラス打撃も強化できているので、打撃でも組みでも両方で圧倒できるんじゃないかなと思います」

――先ほどは現王者の伊藤選手とやりたいというコメントもありましたが、そこまで伊藤選手に魅力を感じる理由はなんですか。

「まず純粋に強い選手ですよね。あと伊藤選手はSASUKEの高校の先輩で、SASUKEから色々といい話を聞いていて、すごく人格者だと思っています。そんな伊藤選手と試合をしたら、自分たちも楽しめて、お客さんも巻き込んで盛り上がる試合ができるんじゃないかなと思うんです。

自分の中ではそれが格闘技で、それができるのが最高だと思うし、伊藤選手とはいつか戦いたいです。で、今回のカマチョ選手もそういう試合が出来る相手だと思います」

――これから自分が理想とする試合をやっていくためにも、カマチョ戦は結果も必要になる試合ですね。

「まさにその通りだと思います。カマチョ選手に勝たなければ、次の話もないと思うので。しっかりカマチョ選手に勝って、これからも自分のMMA、格闘技を見せていきたいと思います」

■ONE FN26視聴方法(予定)
12月15日(土)
U-NEXT

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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase346 ブログ ムハンマド・サロハイディノフ 伊藤盛一郎

【Pancrase346】ニンジャを狙った伊藤が、最後はワンハンドでサロハイディノフを仕留めて王座防衛!

ニンジャチョーク、ワンハンドチョーク——これぞ勝村流!!【写真】(C)MMAPLANET

<フライ級KOP選手権試合/5分5R>
伊藤盛一郎(日本)
Def.3R1分12秒 by RNC
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

伊藤が左から距離を詰める。サロハイディノフの左ローでバランスを崩したが、パンチをかわしてニータップで組みつきグラウンドへ。トップから十字を狙い、サロハイディノフが体を起こそうとしたところに横三角をセットアップする。

サロハイディノフはリフトしてケージを歩いてグラウンドに戻った。すかさず伊藤は十字で右腕を伸ばしにかかる。回転して腕を外したサロハイディノフがバックに回った。バックコントロールに対し、伊藤は頭をケージにつけてクラッチを外しにかかる。ダブルレッグに切り替えたサロハイディノフだが、倒すことはできず。バックコントロールに戻り、伊藤に尻もちを着かせた。

伊藤はラバーガードで固めて左の拳を叩きつける。サロハイディノフが左側へパスを狙うと、伊藤が潜ってスイープに成功。右腕をキムラで抱え、シザースチョークで捕らえた。ここもサロハイディノフが反転してトップに戻る。伊藤はケージに背中を着けて立ち上がった。バックコントロールからハイクロッチに切り替えたサロハイディノフ。伊藤は徐々に正対して初回を終えた。ジャッジ3者とも伊藤に10-9をつけている。

2R、伊藤が右ローを放つと、サロハイディノフがローシングルレッグを合わせる。ここはかわした伊藤だが、再度シングルレッグで尻もちを着かされた。ヒジを突き刺しつつ立ち上がった伊藤は、サロハイディノフのシングルレッグに対して左腕を両脚で伸ばし、右腕を抱えに行く。スクランブルからアンクルピックで尻もちを着かせたサロハイディノフを即スイープした伊藤がダースを狙う。離れたサロハイディノフは、やはりテイクダウンへ。

ケージ際で正対した伊藤をシングルレッグで寝かせたサロハイディノフ。伊藤もギロチンで抱えると、やはりサロハイディノフは離れてから再び組みつく。伊藤は足を抜いてケージ中央に。ダブルレッグからドライブしたサロハイディノフの首を取った伊藤が、師匠・勝村周一郎の技=ニンジャチョークを狙う。ここは極まらずグラウンドに持ち込まれたが、伊藤はバックに回り、四の字フックで削っていった。このラウンドも伊藤が10-9で取った。

3R、伊藤が左ミドルからパンチの打ち合いへ。右ヒジを繰り出すと、サロハイディノフが首相撲からヒザを突き上げる。しかし伊藤が払い腰で投げ飛ばしてサイドに。スクランブルに持ち込もうとするサロハイディノフからバックを奪った伊藤が、左腕を首に回しワンアームで絞め落とした。

ベルトの防衛に成功した伊藤は「決定戦をせずに正規王者になったので、スッキリしませんでした。でもランキング1位の選手に勝ったので、これで正規王者と名乗ってもいいですか?」と喜びを語った。


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【Pancrase346】杉山しずかの超挑戦を受ける、重田ホノカ「ハートの強さで、自分は負けないです」

【写真】昨日の計量は問題なく、笑顔を見せてクリア。この笑顔の裏、色々な想いと覚悟を隠している(C)MMAPLANET

本日21日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346で、フライ級QOP重田ホノカが杉山しずかの挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima

3月に大ベテラン端貴代を破り、デビューから11月で王座戴冠。トーピング検査で陽性となり、出場停止処分を受けた重田。そこも踏まえて5日の調印式及び記者会見前にインタビューを行うと──重田からオラオラはキャラで、自分の素ではなかったと涙の告白があった。


強気の言動とか、もうあのキャラに疲れちゃって……

──タイトル初防衛戦の前に、まず3月31日に王座奪取がなった試合で端貴代選手と共にエフェドリンの陽性反応が出た件について話を伺わせてもらえますか。

「ハイ」

──端選手は風邪薬、重田選手は漢方薬を服用していた。ただし試合結果は変わらずとタイトルはそのままで、重田選手は100日間のサスペンションとファイトマネーの20パーセント返却に。サスペンション明けの1週間後に防衛戦、ファイトマネーの一部返却以外は事実上のお咎めなしという形です。

「ドーピング=ステロイドという印象でした。お医者さんか漢方薬を処方されて、漢方だし大丈夫なんだと思っていました」

──自然の生薬という説明があると、そのように理解するのは重田選手に限らず多いと思います。生薬である麻黄の成分にエフェドリン、つまりは中枢神経・交感神経系に対して賦活作用がある。つまりは興奮剤の類ですよね。

「ハイ……それを分かっていなかったです」

──使用上の注意にも実は「精神興奮」という交感神経系への副作用の可能性が明示されています。田中路教選手が過去に花粉症を抑えるために漢方薬を服用して、UFCからサスペンションを食らったこともありました。でも重田選手からすると、10歳の時の話なんですよね。チームメイトとは、そのような話をすることはなかったのでしょうか。パンクラスはタイトル戦ではドーピングテストがある状況でも。

「私の方が漢方は大丈夫だと思っていたので、ジムで話すこと自体がなかったです。家族は当然、漢方薬を摂っていることを知っていたのですが、その禁止という意識がなくて……。パンクラスにも飲んでいる薬を伝えるのですが、そこには市販薬となっていたので、私は処方してもらったから書かなかったんです」

──禁止成分が入っているわけないという想いがありますしね。チーム全体で勉強になったと思います。

「今回は服用しているモノ全て、期間と場所と量まで事細かに報告しました」

──ここまで良くも悪くも天真爛漫、SNSでの活動にしても奔放だった重田選手も、色々と勉強になった。それで一件落着ということでしょうか(笑)。

「今回の件でというか……強気の言動とか、もうあのキャラに疲れちゃって……」

──キャラ?  あの言動は作っていたのですか。

「もうキャラを続けるのに疲れて、煽りVでも素がでちゃって……。涙を見せちゃったり、でも逆に楽になりました。デビューから負け知らずで、ここまでやってきた。そこ自体がイケイケの印象を与えていたし、そのキャラのままで行こうと思っていたんですけど……疲れちゃって……陰で泣いていることの方が多くなって。

今では練習でも泣いています(笑)。ボクシングの練習に行っても、泣いてばかりで。でも、それで楽になりました」

──オラオラが一転、泣き虫になって練習面に影響が出てしまっていませんか。

「もう、辞めたいって(笑)。での前から毎回、試合が決まってから練習で追い込まれると『このあとはめっちゃ休む』とか『早く辞める』とか言っていて、情緒不安定になっていました。それが(浅倉)カンナさんに、『ありのままで良いんだよ』と言ってもらえて。『泣きたかったら、泣いて良い。でも試合が決れば、やらなきゃ。それはもうしょうがないんだよ』って。じゃぁ、泣きキャラでも良いかなって」

──いうとデビューして11カ月でパンクラスの頂点に立ったわけですし、色々な変化があって然りだと思います。4戦目でチャンピオンになった。そのなかで杉山選手が挑戦者として、登場してきたことに関してはどのように思いましたか。

「やるしかないやって……。前の試合前、会見の時からやると思っていたし。パンクラス的にも、それが面白いから。『やるよね』、『そうだよね』って」

高本選手が一番強かったです

──ではMMAファイターとして杉山選手の印象は?

「杉山選手は基本的にMMAが綺麗にできるタイプの選手ですよね。左のノーモーションのパンチ……サウスポーもオーソもデキる。でもサウスポーの方が多くて、ノーモーションとワンテンポ遅らせてのフック。近距離でのハイキック、離れ際のハイキックも上手いです。

ただテイクダウンに関しては、レスラーのような綺麗な入り方はできないです。自分の方が身長も低いし、入りにくいかと思います。そんな感じですけど、前回の試合は久しぶりの試合だったからか固かった。でも次の試合では感覚を取り戻しているかもしれないし、フィジカルも組んで見ないと分からない。だから、杉山選手云々でなくて自分のやりたいことをやろうって思っています」

──そんな杉山選手に対して、重田選手のストロングポイントはどこだと考えていますか。

「杉山選手の方が経験があって、スタンドでもある程度できます。ただ折れない心は自分の方が持っていると思います。ハートの強さが自分の武器です。私は気持ちで戦うタイプなので。試合を見てもらうと分かってもらえると思うんですけど、フィニッシュへの技がたくさんあるわけじゃないんです(涙声に)。けど……」

──えっ、ここって泣くところなのですか……(汗)。競り合った時には負けない強さは持っている。そこが杉山選手との試合で武器になると。

「競り合いになるとハートの強さで、自分は負けないです」

──気持ちの勝負になる前に、技術の勝負ではどのように考えていますか。

「ハッキリ言って、技術的には自分の強味が何か分かっていないです。ただ杉山選手は似たタイプだと思っています。立ちも寝技もどっちもやる──みたいな。でもスクランブルは負けないですね。体の動かし方とか、一瞬の判断からの動きは自分の方が長けていると思います。だからスクランブルに持ち込んで、競り勝ってバックに回るというのは、自分のなかで組み立てています」

──ところで過去4戦の対戦相手、誰が一番手強かったですか。

「デビュー戦で戦った高本(千代)選手です。どうしてですか?」

──この3年ほど、日本の女子MMAレベルは急速に上がったように感じています。それはこの間にデビューした選手達は明確にMMAを戦う目標があり、基礎を身に着けてデビューしている。結果、自力があって数年にさかのぼるキャリアの差を埋めることができているからだと考えています。

「あぁ……。高本選手が一番強かったです。高本選手こそ、下手をするとそこら辺の少しキャリアのある人に全然勝っちゃうんじゃないかと思います。最後にパンチを貰ってカットし、縫っていますし。あれが2Rだと、私はTKO負けしていました。

ただ世代とかは気にしていないです。世代交代を強く意識することもないし。選手一人ひとりのことは尊敬していて、当てられた選手に勝つことに集中しています」

──そんななか、今後に関してですが。国内の女子フライ級は相当に層が薄いです。キャリアップを狙うとなると、海外も視野に入れないといけないかと思うのですが、その辺りはどのように考えていますか。

「自分が憧れているのは、RIZINのベルトです。RIZINがきっかけMMAを始めましたし。ただ盛り上がっているのは49キロで。同時にフライ級は適正階級ではないので今回の試合が終わったら、階級を下げて強い選手と……戦って……いきたいです」

──なぜ、そこで涙が……。

「泣いてないです(笑)。今は泣いてないです」

──ではストロー級、スーパーアトム級に落としていくと。

「ハイ。今回が最後のフライ級なので、しっかりと勝ちたいです」

──そして、RIZINに殴りこむと。

「先のことは今回の試合が終わってから、考えます」

■視聴方法(予定)
7月21日(日)
午後1時45分~U-NEXT

■Pancrase346計量結果

<フライ級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 伊藤盛一郎:56.65キロ
[挑戦者] ムハンマド・サロハイディノフ:56.55キロ

<フライ級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] 重田ホノカ:55.95キロ
[挑戦者] 杉山しずか:56.45キロ

<ライト級/5分3R>
平信一:70.55キロ
鈴木悠斗:70.7キロ

<フライ級/5分3R>
濱田巧:56.95キロ
ラファエル・リベイロ:57.05キロ

<バンタム級/5分3R>
高城光弘:61.3キロ
オタベク・ラジャボフ:61.65キロ

<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂:66.2キロ
石田陸也:65.9キロ

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志:70.55キロ
丸山数馬:70.15キロ

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永:52.0キロ
高島俊哉:52.55キロ

<58.55キロ契約級/5分3R>
前田浩平:58.55キロ
増田大河:58.20キロ

<ネオブラッドT バンタム級準決勝/5分3R>
山口怜臣:61.6キロ
宮城成歩滝:61.55キロ

<ネオブラッドT バンタム級準決勝/5分3R>
白井誠司:61.3キロ
荒田大輝:61.25キロ

<フェザー級/5分3R>
沢木純也:66.2キロ
小島健史:65.8キロ

<フライ級/5分3R>
田中亮祐:56.7キロ
鳴海秀哉:56.75キロ

<フライ級/5分3R>
名久井悠成:56.5キロ
萩島answerタクミ:56.8キロ

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【Pancrase346】リベイロ戦へ、元キックボクサー=濱田巧「内藤のび太選手みたいになりたい」

【写真】この位置、このスタンスからパンチだけでなく蹴りも出せる。それでいて、のび太志向!!(C)MMAPLANET

21日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346で、濱田巧がラファエル・リベイロと対戦する。
Text by Manabu Takashima

KNOCK OUTでタイトル挑戦経験もある元キックボクサーの濱田は2022年5月にMMAデビューを果たすと、伊藤まこととの同門マッチを制してネオブラッドトーナメントで優勝すると、早々にランキング上位となり──その後の連勝を経て、初の国際戦を戦うこととなった。

対するはハファエル・モントウロ・ヒベイロこと、ラファエル・リベイロはキャリア7勝3敗でJungle Fight等ブラジルでキャリアアップをしてきたアグレッシブなファイターだ。そのアグレッシブさ故に、キックの経験が生きるファイトにしたい濱田だが、そのMMA論を聞くと意外にも寝技思考のファイターであることが分かった。


──MMAに転じて5戦目、経験豊かなブラジル人選手と勝てばタイトルが見えてくる試合を行う。このようなキャリアの積み方になる腹積もりでしたか。

「一応ランキングで2位になってしまい、連続で下位の選手とも戦いました。もう下の選手とは戦いたくないと自分では思っていて、次は1位とやることになるのかもとは考えていました。でも1位がタイトルに挑戦することが決まって、自分の相手は誰になるのかと思っていると、海外の選手を用意してくれました」

──デビューから1年9カ月で、ここまで来たことに関してはどのように思っていますか。

「運が良かった部分はあると思います。上田(将年)選手、猿飛流選手がランキングから抜けたことで、僕がそこに入ったと思っています。ただ、前回の試合で山﨑(聖哉)選手を倒せたことで、自分が2位だと言い切ることはできます」

──猿飛流選手世代といいますか、彼とタイトルを争っていた選手たちがと試合をして勝つ力が備わっているのか。それは濱田選手に何ら非がなくても、やはり思うところにはなります。

「猿飛流選手たちが残っていても、ここでブラジル人に勝ってタイトルを目指すだけの力が僕にはあると思っています。MMAは2年目ですけど、打撃をずっとやってきました。打撃でいえばチャンピオンが相手でも、1位に対しても、自分の方が上です。寝技はそうでなくても、打撃では僕にアドバンテージがあります」

──濱田選手はキックを戦っているときから、MMAに転向することを公言していたそうですね。

「キックで強くなりたくて、練習場所の数を増やそうと思った時に、中学の1つ上の先輩に黒澤亮平選手がいて、黒澤選手を通してパラエストラ柏で練習をさせてもらうようになったんです。それが4年ぐらい前の話です。その時はキックの練習だけをしていたのですが、MMAの練習にも参加するよになると……キックでも勝っていてタイトルマッチもやらせてもらったのですが、もうMMAが面白くなってしまいました。凄く寝技が楽しくて」

──えっ、打撃でなく寝技が楽しかった?

「ハイ。キック時代からMMAの試合も見ていて、自分がやるなら寝技を修得したいと思っていました。内藤のび太選手が好きで」

──もう意外過ぎますね(笑)。

「MMAをやるなら、内藤のび太選手みたいになりたい。それぐらい寝技が好きで」

──打撃にアドバンテージがあり、のび太選手のような組み技ができれば、それぞれが強度の高いウェルラウンダーですね。

「試合でも、のび太選手みたいな戦いがしたいんです。練習では結構できていると感じています。扇久保さんにも『のび太みたいだな』って言ってもらえて、それが凄く嬉しかったです。少しずつ近づいていけているのかなって。ただ、試合ではそう上手くはいかないです。テイクダウンに行く勇気が持てないです」

──寝技が好きで、スパッと極められるようになりたいというのであれば、まだ理解できます。それをのび太選手のようなしんどい試合がしたいとは……。

「MMAを始めるようになってから、ずっとそう思ってきました。しんどい試合がしたいと」

──なるほど、重ねて打撃ができてその考えを持てることはMMMAファイターとして、アドバンテージを握っていると感じます。ところでキック時代はteam AKATSUKI所属だっということは、今やMMAファイターから絶大に信頼されている良太郎さん門下だったわけですね。

「ハイ。僕が所属していた頃から、もう中島太一選手のミットをマンツーでやっていて、MMAの勉強をされていました。本当に自由にやらせていただいて、良くしてもらっていたのに『MMAをやるので、パラエストラ柏に行きます』て伝えた時も、良太郎さんは嫌な顔一つもしなかったです。

キックの指導も選手の個性を見て、僕の場合は体力があるという長所を生かした動きを指導してくれました」

──その打撃も足を取られ、テイクダウンがある。距離もスタンスも違うMMAに転向をして戸惑うことはなかったですか。

「そこは苦労をしました。正直にいって打撃単体のレベルは落ちた……落ちたというか、上がっていないです。あのままキックを続けていたら、もっと打撃のレベルは上がっていたはずですけど。でもMMAは寝技があるので、打撃の練習時間は少なくなって、ミット打ちの回数も少なくなっています。

でも、それをやり過ぎてしまうとMMAに欠かせない柔術、レスリング、グラップリングが身につかない。なので僕はグラップリングの方に練習の比重を置いてやってきました。打撃の質は落ちてしまったのですが、組みがあることで性質もかなり変わりますし。それでもMMAのキック、打撃としては少しずつ進化しつつあります」

──組みを切る。倒されると、立ち上がってスタンドで戦う。それがキックからの転向組の主なスタイルだと思いますが、濱田選手のMMAは別モノになりそうです。

「ハイ、そこはドロドロの展開で勝てる選手になりたいので。それができると寝かされても立てる。逃げるだけでなく、攻めも学ぶことで色々な状況に対応できるようになります」

──MMAです。打撃がいくら強くても、組を怖がっているとその強さは出てこない。そして、一瞬のキックのような間になっても持ち味である打撃は出てこない。同時に組み技系のMMAファイターは、その距離で打撃の攻防もなかなかできない。対して濱田選手は、一瞬のその距離で強さを見せているように感じます。

「その距離になって打つのは、キックの名残りですね(笑)。やはり20戦以上キックをやっているので、感覚が残っているのかと。組みの展開になっても、自然とすぐにヒザが出ますし。テイクダウン狙いを切って、キックの距離になると即反応はできています。意識することなく、自然と出ていますね」

──無意識にあのカウンターが出る。それは大きな武器ですね。

「僕は目がそれほど良くなくて、ボクシングも上手い方ではないです。でも、一つだけカウンターという武器を持っています」

──THE BLACKBELT JAPANのフライ級の陣容は、途轍もないです。そんなジムでの練習があって、猿飛流世代の選手たちがいても王座挑戦できる力があると言えるだけ自信になっているということはありますか。

「そこは絶対です。うちのフライ級は本当に凄いです。鶴屋怜、杉山廣平、内田タケル、松井斗輝とレベルが高いです。練習で怜君のテイクダウンを切ることは難しい。でも、試合になると相手のテイクダウン能力は、怜君ほどじゃない。それは本当に自分の強味になっています。

扇久保さんもそうです。今はずっとマンツーで練習をさせてもらっているのですが、本当にきついです。でも、その練習ができているから、試合の方が楽に感じることができます」

──それはリベイロ戦にも当てはまりそうですね。

「あまり相手のことは分かっていないのですが、柔術の黒帯みたいです。グラウンドはどちらというとトップを取って殴るようなイメージです。スタンドでも結構振ってきます。頭をずらして、パンチを伸ばす。そんなに奇麗な打ち方ではないですが、全然打撃でも攻めてきますね」

──ブラジリアン・キックボクシングをやってくるなら、それこそ濱田選手のカウンターが楽しみです。

「打たれ強いので、かなりの打ち合いになるんじゃないかと思います。でも、僕はその瞬間にテイクダウンに行くかもしれないです。組みに関しては、やっぱり向うが上で倒されることも出てくると思います。ただ、そこから殴って来るのでスクランブルに持ち込める。それを繰り返すと、向うが削られると思うので、1Rを取られても2Rと3Rで取り返します。1Rに相手の力量を測りたいですね」

──初回を絶対に取るということではなくて、初回を落としても2Rと3Rで逆転できる。キャリア5戦の選手は、なかなかそんな風に考えることはできないかと。

「アハハハハ。そうッスね。まぁ最終的に勝てば良い。相手は一度上げて、下がるタイプなので後半勝負で勝ちます。パウンドアウトできるかと思います」

──会見では同じ日にに組まれたフライ級選手権試合の予想で、勝つのは伊藤盛一郎選手。でも挑戦したいのはムハンマド・サロハイディノフという発言がありました。その真意は?

「伊藤選手は今回が初防衛戦で、ここで勝っても12月に防衛戦をしてくれないんじゃないかと勝手に思っています。そうなるんだったら、サロハイディノフが勝ってもらって……彼なら12月にも試合をするだろうと。ここで勝ったら12月にタイトルマッチ、それがなくても試合は組んで欲しいと思っています」

──つまりはもうRoad to UFCを狙っているということですね。

「ハイ、そうです。年齢的にもギリギリの部分があるのですが、僕らのジムはイリディウムがマネージメントしてくれますし、無敗で今年を終えてレコードが6勝0敗ならチャンスが巡って来るのではないかと。そのために必ずKO……でも、その想いが強すぎるとできなくなりますね。

前回の試合も、それほどKOするという気持ちは強くなかったです。チャンスがあれば、倒せるぐらいでいて。これからの2試合も同じです。チャンスがあれば倒す。絶対的なのは負けるとダメだということなので。最低でも勝つ、そこは絶対のつもりで、チャンスがあればKOするという気持ちで戦います」

■Pancrase346視聴方法(予定)
7月21日(日)
午後1時45分~U-NEXT

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【Pancrase346】伊藤盛一郎に挑戦、サロハイディノフ「経験不足? アマで勝つ難しさが分かっていない」

【写真】IMMAFの世界王者は、既に国内老舗団体のチャンピオンレベルにあるといっても過言でない(C)MMAPLANET

21日(日)、立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346でムハンマド・サロハイディノフがフライ級KOP伊藤盛一郎に挑戦する。
Text by Manabu Takashima

2023年2月に行われたIMMAF世界大会でフライ級を制したサロハイディノフは、その7カ月後に日本の地=パンクラスでプロデビューを果たした。

それから僅か10カ月──秋葉太樹、松井斗輝を下したサロハイディノフは、プロ3戦目にしてパンクラスの頂点に挑む。ケージのなかのパフォーマンスを見れば、納得の王座挑戦だが、その実──サロハイディノフに関しても、彼を生んだタジキスタンのMMAについても我々はほとんど分かっていない。ほんの数年前まで中央アジアのMMAにあって最弱だったが、今やIMMAFで世界有数のアマMMA強豪国になったタジキスタンMMAの実情と、タイトルマッチについてチャレンジャー=サロハイディノフに尋ねた。


──10日後に伊藤盛一郎選手の持つフライ級のベルトに挑戦します(※取材は7月10日に行われた)。今の調子を教えてください。

「何も普段と変わらない。まだプロ3戦目でも、アマチュア時代に本当にタフな相手と戦ってきたから」

──その辺りは、また後ほど聞かせていただくとして、パンクラス3戦目でベルトに挑むことになること昨年のデビュー戦時に想像できていましたか。

「もちろんだ。過去2戦の相手も強かったし、特に2戦目で戦ったトキ・マツイは6勝0敗だった。加えて僕に負けてなお、Road to UFCのメンバーに選ばれたファイターだからね。彼のような勝ったのだから、すぐにタイトル挑戦が実現すると期待していたよ」

──なるほどです。そんなムハンマドですが、我々はタジキスタンのMMAの現状さえ分かっていないです。まずムハンマドがMMAを始めたきっかけや、それまでの格闘技歴を教えていただけますか。

「9歳から17歳までコンバットサンボをやっていた。そして2019年、17歳の時にMMAに転向したんだ」

──コンバットサンボだけで、打撃なしのスポーツサンボの経験はなかったのでしょうか。

「もちろん、スポーツサンボもやっていたし、柔道の経験もある。サンボではタジキスタンのチャンピオンになって、マスター・オブ・スポーツのサティフィケートを取得している」

──サンボマスターが、なぜMMAに転向したのでしょうか。

「タジキスタンではMMAの人気が高まってきて、日本でエメリヤーエンコ・ヒョードルが戦って人気者だったり、カビブ・ヌルマゴメドフの活躍を知り、自分もMMAも戦おうと思ったんだ」

──ムハンマドはIMMAFの世界王者からプロに転向を果たしましたが、タジキスタンではアマチュアからプロのMMAファイターになるのが普通のステップアップ方法なのでしょうか。

「アマチュアのキャリアはとても大切だよ。しっかりと経験を積んでからプロになるべきだと僕は思っている。加えていうと、タジキスタンには当時はプロのMMA大会は存在していなかった。ここ最近になって、ようやく活動が始まった程度だ。だからパンクラスという日本でも歴史のある組織から、オファーがあった。だから日本でプロデビューを戦うことに決めたんだ」

──実は2018年にキルギスでMMA大会の取材をした時、当時の中央アジアのMMAはカザフスタンがリードし、そこをキルギスが追いかける。ウズベキスタンが続き、正直なところタジキスタンの選手はアンダードッグばかりでした。なのでムハンマドのパンクラスでの試合や、最近のIMMAFでの活躍には驚かされていました。

「この5、6年でタジキスタンのMMAは劇的なまでに成長しているんだ。2018年当時だと公式なMMAの組織もなかった。ただし2019年からMMAの組織が創られ、今ではIMMAFのトップ3にランクされるまでになった。既に4人のUFCファイターがタジキスタンから生まれている。

実力的にはもっとUFCファイターがいても不思議じゃない。ただし、ビザを取得するのが僕らの国では難しいんだ。今ではタジキスタンが、中央アジア最弱なんてことは決してない。他の国と肩を並べている」

──押忍。ではそのアマチュアMMAですが、カザフスタンの選手などは政府や企業からのサポートがあり、アマチュアファイターでも生活ができるとIMMAFの国別対抗トーナメント=Super Cupを取材した時に聞きました。タジキスタンでも同じなのでしょうか。

「カザフスタンではMMAは五輪委員会の傘下にあって、政府のサポートを受けている。タジキスタンも同じような状況だけど、経済的な支援はカザフスタンと違って受けてはいない。ただし、公式的に文書で国の承認を受けているんだ」

──未知のタジキスタンMMAの状況が少し見えてきました。では話題をタイトル戦に戻しましょう。まず伊藤選手の印象を教えてください。

「いつも通りなんだけど、プロの経験は僕より多い。そして尊敬もしている。17勝もプロの試合で勝っているしね。ただ、経験でいえば僕はコンバットサンボやアマチュアMMAで百戦以上の経験がある。

多くの人に『なぜ、こんなに強い相手に挑戦するんだ』って質問されるけど、僕はアマのファイトで多くの経験を積んでいるから、今回のタイトル戦も凄く自信を持っている。経験不足? アマで勝つ難しさが分かっていない。タジキスタンやロシアで開催されているアマチュアMMAではタジキスタン人だけでなく、ロシア人、チェチェン人、ダゲスタン人ファイターが出ているんだ。アマの試合といってもダゲスタン人やチェチェン人に勝つこと、あの場でチャンピオンになることがどれだけ困難なことか。皆、知らないんだよ」

──では伊藤選手の極め系ファイトをどのように思っていますか。

「イトーは確かに極めの強いファイターだ。でも、それを言うなら……彼は僕のようなレスラーと戦ったことがないから、一本を取ることができるだけだよ。イトーのサブミッションのアタックは、僕には通じない。

ベストを尽くし打撃、レスリング、テイクダウンとフルパフォーマンスを見せることで、僕がベルトを巻く。全ての局面で新しい技術、新しいムハンマド・サロハイディノフを見せるつもりだ」

──今回はパンクラスのタイトル戦ですが、将来的にMMAファイターとしての目標をどこに置いていますか。

「パンクラスのチャンピオンになって、ベルトを防衛していく。その過程でマネージャーとパンクラスの方針で、どこで戦っていくのかを決めることになるだろう」

──では、最後に日本のファンに一言メッセージをお願いできますか。

「日本で2試合を戦い、僕のインスタに日本のファンが応援のメッセージを送ってくれる。それが今回のチャンピオンシップに向けても、凄くモチベーションになっているんだ。そんな皆の前で良い試合をしたい。アリガトウゴザイマス」

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7月21日(日)
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【Pancrase344】1年半振りのパンクラス=上田将年「若いファイターと対戦したくないと考えるのは違う」

【写真】筋が通っているというか、軸がぶれないというか。さすがの上田将年です(C)SHOJIRO KAMEIKE

30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるダルヘッダー昼の部=Pancrase344で、上田将年が眞藤源太と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

上田にとっては2022年12月以来、1年半振りのパンクラス参戦となる。昨年11月のBloom FC、そして今年2月のRIZIN佐賀大会と地元・九州での2試合を経て、上田は何を掴んだのか。さらに幾度もタイトルに挑み、ランキング上位の常連でもあった上田がノーランカーとの復帰戦を受けた理由に、上田らしさが溢れていた。


――2022年12月の伊藤盛一郎戦以来、1年半振りのパンクラス参戦となります。パンクラス以外で戦っていた1年半は、上田選手にとってどのような期間でしたか。

「地元で2連戦できたのは大きかったです。自分のMMAキャリアが終盤に向かいつつあるなかで、ずっと『地元で試合をしたい』という気持ちがありました。まず鶴屋怜選手、伊藤盛一郎選手と2連敗して、1回期間を空けようかと考えていたんですよ」

――上田選手の場合は、コロナ前からフライ級上位陣と戦い続けてきました。そのぶん疲れが溜まっているのでは……とも思っていました。

「体の疲れよりも、2連敗して心が疲弊していましたね。だから『1回休もう』と。ちょうどその頃に、所英男選手のセミナーが福岡で開催されたんです。僕にとっては所選手って、高校時代にテレビで見ていた憧れのファイターで。その所選手からアドバイスが欲しいと思って、自分の今の気持ちを話してみたんですよ。すると『そういう時は1回ガッツリ休んでみても良いと思う』と言われました。所選手もDREAMやRIZINに出ている中で、ガッツリと休んだ時期があったそうで……」

――伊藤盛一郎戦からBloom FCのオトコンバヤル戦まで約1年の期間がありました。その間はどう過ごしていたのでしょうか。

「いつもどおり練習して、育ってきている福岡の後輩選手たちのサポートに回ったりとか。でもサポートに回っていても、見ていると自分も試合がしたくなってきて(笑)。サポートしながら刺激をもらって、またサポートしながら刺激を――という繰り返しでした」

――Bloom FCではオトコンバヤルに判定勝ちを収めたものの、続くRIZINでは伊藤裕樹選手に敗れています。あの試合については?

「伊藤裕樹戦は、自分が守りに入りすぎてしまいました。自分は組みたい、伊藤選手は殴りたいと互いの作戦が違うなかで、僕は伊藤選手の打撃をブロッキングして組みに行きたかった。そのために伊藤選手としては、打撃の防御についてはイージーになったと思います。自分が殴って触って、次に僕が組みに来るのは分かっていたはずですから」

――伊藤裕樹戦前のインタビューでも、ご自身が守りに入ってしまう点について触れていました。一方でオトコンバヤル戦では、自分からアクションを起こすことができていた、と。しかし伊藤戦で守りに入ってしまったのは、何か理由があるのでしょうか。

「伊藤戦は当て勘が良くて、カウンターを当てるのも巧いですよね。こちらが変に打撃を出したところにカウンターを合わせられたくなかった。序盤に伊藤選手のパンチをブロックした時、このまましっかりブロックしていればKOされることもないし、ダメージを受けることはないと思ったんです。それで逆にブロッキングに頼ってしまい、相手に触られる機会をつくってしまったと考えていて。自分もジャブを打ちながら前に出て、相手に反応させてから組みに行けば――と試合後、原田惟紘さん(G-face代表)とも話をしました」

――では伊藤裕樹戦の内容と結果を受けて、ここまでに取り組んできたことはありますか。

「まず思ったのは……経験値がない時代は、良い形で組めなくてもガムシャラに攻めていたんですよね。スタミナのことも考えずに(笑)。でもその結果、動きが出来てスクランブルになって自分が上を取る。それが僕の強みだったと思います。

でも経験を重ねるなかで、『今ここで行くべきか……』と変に落ち着いて考えてしまうことも増えました。伊藤裕樹戦の映像を視返すと、『ここは練習なら行っとうよな』と思う場面は結構あって。でも試合中は『ここで行ったらスタミナがどうなるか』と考えてしまう。

最近は丁寧につくっていこうという気持ちが強くなっていたかもしれないです。だけど、ちょっと雑でも良い。ドリルとかスパーリングの中でも、自分が完全に良いところを取れていなくても動きをつくることを意識してきました。もちろん、動きをつくる分疲れます。でもその部分をクリアできないと、前回と同じことになってしまうので」

――きっとMMAはその繰り返しなのだろうと思う時はあります。上田選手ほどのベテランでなくても……たとえば若い選手でも、できることが増えたら試合中に考えてしまう場面が増えてしまったと。そこで一瞬、動きが止まったところを相手も見逃さないわけで。

「なるほど。最初のガムシャラな気持ちがあって、技術的にできることも増やし、さらに経験を積んでいった時に、それらをうまく融合させられたら動きに繋がるのでしょうね」

――パンクラスでは現在ランキングから外れています。そんななかでノーランカーの眞藤選手と対戦することになりました。

「実はこの試合の前に、ランカーとの試合のオファーが来ていたんですよ。自分もパンクラスさんには『前戦で負けているので、相手を選べる立場ではないです。パンクラスさんが選んでください』と伝えていて。でもタイミングが合わずに何度か話が流れて、今回の進藤選手との試合が決まりました」

――そうだったのですね。パンクラスに復帰するうえで、目指すはパンクラスのベルトなのでしょうか。

「そうです。伊藤裕樹戦が終わって『これからどうしようかなぁ』とは考えたんですよ。『違う団体で試合をするのも一つだな』とか。でもMMAを戦ううえで何か一つ目標は欲しい。じゃあ今は何が欲しいのか、と考えた時に思い浮かんだのは――やっぱりパンクラスのベルトでした。鶴屋戦、伊藤盛一郎戦と2連敗していても、諦めることができないです」

――他の団体に出場することも考えたのですか。

「はい。でも『次どこで試合しようか……』と考えているうちに、試合もせず1年が経ち――ベテラン勢の名前だけが残っていくことって多いじゃないですか。それだとMMA業界全体の新陳代謝には繋がりにくいですよね。僕はそれが嫌で。

若いファイターたちは上の選手を喰いたい。かつて自分もそうであったように。なのにベテランが若いファイターと対戦したくないと考えるのは違う。上の選手も勝てば良い話で、負けたら『自分もここまでか』と思って引退していく。それが格闘技だと思うんですよ。

自分自身もベテランというだけで、名前だけ残しているようなファイター人生を送りたくない。特にパンクラスで試合をしている若い選手からすれば、『1年半もパンクラスで試合をしていないのに、いきなり復帰戦が上位ランカーって……このオッサンは何だ!?』と思うでしょう(笑)」

――アハハハ。逆に若い選手には、それぐらいの意気込みを持ってほしいですね。

「そうなんですよ。それは他の団体に出ても同じだと思います。たとえば僕がDEEPや修斗に出て、いきなり上位陣と組まれるとするじゃないですか。ずっとDEEP、修斗で戦っている選手は『パンクラスでランキングに入っていたからって何だよ』と思うでしょうし。何より僕が同じ立場だったら、絶対にそう思っているはずなので」

――眞藤選手は現在23歳で、次の試合が8戦目です。まさに上田選手を喰いたくて仕方ない立場でしょう。

「そういう相手と対戦することに、少しプレッシャーは感じています。でもパンクラスらしいマッチメイクですよね。オファーが来て、すぐに受けました」

――オファーが来た時点で眞藤選手のことは知っていましたか。

「いえ、名前を見ただけでは分かりませんでした。でも映像を視ると『あぁ、この選手か! 良いファイターだよなぁ』と思って。真っ直ぐ伸びのあるパンチを打つし、寝技も自分からどんどん動いてくる選手です。映像を視ることで改めて、自分もスイッチが入りました」

――とにかく動き続けるスタイルが眞藤選手の特徴です。先ほどの「自分から動きをつくっていく」という話でいえば、上田選手の今が試される相手で正直、一番嫌なタイプの相手ではないですか。

「絶妙なマッチメイクですよね。これは坂本靖さんマジックで毎回『ここで、この相手が来るか!』と感じています(笑)。でもここで自分がオファーを断る理由もなくて。それこそ『上田、お前は前回負けているから、次はこの相手だ』と言われても当然なのが格闘技だと思っていますから」

――上田選手がパンクラスへ、そのように伝えているからではないですか。「確実に自分が勝てる相手と試合を組んでください」と言えば、実現するかもしれません。

「アハハハ! たとえそうであっても、僕は自分を貫きます」

――それこそが上田選手だと思います。

「眞藤選手は運動量が多く、身体能力が高いファイターだと思います。その中にある穴も見つけています。相手もその穴を埋める練習はしているでしょうけど、さらにその穴の奥を突いて、ベテランのズル賢さを見せたいと思います。と同時に、自分としては久々のパンクラス参戦で、上田将年としては初出場です。フレッシュな気持ちで戦い抜きます!」

■視聴方法(予定)
5月30日(日)
午後12時00分~U-NEXT

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【Pancrase346】伊藤×サロハイディノフ、重田×杉山、高城×ラジャポフ~濱田巧がリベイロと国際戦!!

【写真】おかしな表現かもしれないが、強さを追求してきた強さがある──そんな濱田のMMAだ(C)MMAPLANET

12日(水)、Pancraseより7月21日(日)に立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346で濱田巧×ラファエル・リベイロのフライ級戦が組まれることが発表されている。
Text by Manabu Takashima

フライ級KOP伊藤盛一郎が、ムハンマド・サロハイディノフの挑戦を受けるタイトル戦がカード第一弾であった同大会。続いて重田ホノカが杉山しずかの挑戦を受けるフライ級QOPC、バンタム級に第二のダジック・ファイター=オタベク・ラジャボフが襲来し、高城光弘とのマッチアップが明らかとなっていた。


キックボクシングからMMAへの転向が目立つ昨今、RIZINという大舞台でなくネオブラから地道かつ着実にMMAファイターとして力をつけてきたのが、濱田だ。今やMMAファイターの打撃指導の第一人者といっても過言でない良太郎率いるteam Akatsukiに所属しKNOCK OUTでタイトル戦の経験もある濱田は、キック時代からMMA転向を公言しており、鎌ヶ谷から東武野田戦を北上しパラエストラ柏(現ザ・ブラックベルト・ジャパン)へ。

重心、後ろ足の位置取りやリズムの取り方に変化が見られる濱田のMMAでの構えだが、中間距離からインファイトで相手のパンチを見切ってカウンターを打ち込むなど、キックボクサーとしての強味がしっかりと武器になっている。

打撃で圧を掛け、組まれてもトップを取って強烈なパウンドを武器にネオブラを制した濱田は、3月の立川大会では三日月蹴りでKO勝ちを手にしている。対してリベイロはオーソから前足を使った蹴りや、近距離でのハイキック、そしてカーフなど打撃を駆使しつつ、組みの強さを見せてきた。

総合力──MMAとして攻めの引き出しはリベイロの方が、濱田より多いだろう。ただしMMAはある意味、総合力の勝負ではない。例えばMMAファイターとしては、レーダーシートが綺麗な形を描いていなくとも、多岐に渡る攻撃の中から頭抜けた破壊力を持って言えれば、合計点で上回ることができる。

それこそが濱田の打撃といえる。特にリベイロのキックボクシングというよりはボクシングwithキッという打撃は、蹴りとパンチにラグが見られ、濱田のカウンターの餌食になる可能性は十分にある。同時に攻めのレスリングや柔術を駆使できるリベイロの組みと打が融合した立ち技の圧力は、過去にサークルケージで濱田が経験していない強さでもあるだろう。

超RIZINが控える7月は東京と大阪で、MMA興行が続く夏のMMA月間だ。そして21日のパンクラスで見られる日本×タジキスタン、日本×ブラジルのフライ級戦は見逃すことができないマッチアップといえる。

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【パンクラス】重田ホノカ×杉山しずか 女子フライ級タイトル戦決定!

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7月21日に立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 346。既に伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム/ZST)×ムハンマド・サロハイディノフ(Katran Gym/タジキスタン)のフライ級タイトルマッチが決定していますが、今回新たに重田ホノカ(THE BLACKBELT JAPAN)×杉山しずか(リバーサルジム新宿Me,We)の女子フライ級タイトルマッチが追加発表されました。

MMA戦績4戦4勝で20歳にしてパンクラスのタイトルを一気に奪取した重田。とても20歳とは思えないどっしりとした試合運びが印象的です。最近では対戦相手が宙に浮いた中井りんに対して対戦要求したかと思えば、パンクラスのタイトルマッチで行ったドラッグテストで興奮剤の陽性反応が出てペナルティが課せられるなど、良くも悪くも注目を集めてきました。7月21日は100日間のサスペンドが終わって迎える復帰戦。故意の陽性ではなかったものの、思わぬ形で課せられた汚名を晴らす事が出来るのか。

対するはDEEP JEWELSからパンクラスに主戦場を移した杉山。初戦のライカ戦では要所要所でテイクダウンを奪ってグラウンドをコントロールして判定勝ち。パンクラスでも安定感のある強さを見せました。これで女子フライ級1位にランクインしてタイトル奪取に早くも王手をかけました。

そんな両者の対戦。まだまだ底が見えず成長過程の重田。前戦はベテランの端貴代を相手にしっかりとテイクダウンを奪って判定勝ち。杉山と似たような試合運びだけに、どっちがグラウンドで上になるか、テイクダウンを巡る激しい攻防になる予感がしてきました。でも、得てしてこういうマッチメイクは、1周回ってスタンドでの打ち合いになったりするんですよね。今から楽しみ。久しぶりに立川ステージガーデン行こうかな。。。
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【Pancrase343】ヒザ蹴り地獄に持ち込んだ浜本。逆転狙うカマチョを振り切ってユナニマス判定勝ち

【写真】(C)MATSUNAO KOKUBO

<フライ級/5分3R>
浜本“キャット”雄大(日本)
30-27.30-27.30-27.
ジョセフ・カマチョ(グアム)

サウスポーのカマチョが右ローを見せると、浜本が右ストレートを返した。蹴りを散らしながら回るカマチョに対し、浜本は右ストレートかから組み立てる。カマチョが距離を詰めると、浜本が下がって右ミドルを繰り出した。ケージを背負った浜本だが、左に回ってケージ中央付近から組みつき、そのままグラウンドへ。立ち上がったカマチョへのヒザ蹴りがローブローとなってしまい、試合が中断される。再開後、浜本が右ミドル、右ヒザを当てていく。カマチョがダブルレッグで飛び込み、リフトして尻もちを着かせた。

立ち上がる浜本の両足をすくって、再びグラウンドに持ち込む。浜本はスタンドに戻り、ボディへのヒザを効かせていく。下がるカマチョを追う浜本は右ストレートからヒザを突き刺した。グラついたカマチョにヒザを浴びせ、頭を押さえてパンチを打ち込む浜本。スクランブルに持ち込むカマチョをガブったが、起き上がってバックに回られる。しかし正対した浜本が体勢を入れ替えてヒザを連打していく。カマチョのシングルレッグからスタンドに戻した浜本はヒザとガブり、さらに左縦ヒジでコントロールして初回を終えた。

初回はジャッジ3者とも浜本の10-9とした。

2R、カマチョが距離を詰める。浜本は下がりながら右ミドル、右テンカオで迎え撃つ。カマチョは右を当ててから組みつき、リフトしてグラウンドに持ち込む。立ち上がった浜本はケージに押し込まれながらもヒザを突き上げていく。頭を下げたカマチョをガブり、ヒザを繰り出しながら押し潰す浜本。逆のケージ際まで押し込んだ浜本が首相撲からヒザを連打するも、カマチョがシングルレッグから尻もちを着かせた。片足を引いてバックに回るカマチョに対し、正対した浜本はやはりボディへヒザを連打する。離れたカマチョに右ミドルを決めた浜本は、ガブりながらケージに押し込んでヒザで削っていく。離れようとするカマチョに、そのまま浜本はヒザを打ち続けた。

このラウンドもジャッジ3名が浜本の10-9としている。

最終回、カマチョが右に回りながら距離を詰めてパンチの連打を浴びせる。ここは浜本が組んでケージに押し込み、右腕を差し上げる。頭をおっつけてヒザを突き刺す浜本は、離れたいカマチョをヒザ地獄に落とし込んでいく。カマチョはテイクダウンし、上半身を起こした浜本の首にギロチンを仕掛ける。頭を抜いた浜本のバックに回るが、浜本が立ち上がって再びヒザ地獄へ。カマチョに尻もちを着かされた浜本がハーフネルソンからスタンドに戻ってヒザで削る。浜本の左ヒザがボディだけではなく、カマチョの顔面を襲う。カマチョも耐えてダブルレッグから押し込み、浜本の背中をマットに着けた。ハーフガードの浜本の首を抱えたカマチョがギロチンで絞り上げにいくも、浜本が凌ぎきった。

裁定は浜本のユナニマス判定勝ち。同級KOPの伊藤盛一郎との対戦を目指す浜本が、パンクラス初戦を勝利で飾った。


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