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【RIZIN LANDMARK10】ケージ大会でイ・ジョンヒョンと対戦、伊藤裕樹「僕は壁レスが好きなんですよ」

【写真】取材当日はネックスイチムエのチームメイトたちと壁レス~MMAスパーリングに臨んだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(日)、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催されるRIZIN LANDMARK10で、伊藤裕樹が韓国のイ・ジョンヒョンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

伊藤は現在、RIZINで3連勝中。得意の打撃をベースとし、安定した試合運びを身につけた。それはMMAファイターとして着実に成長している証でもある。今回の国際戦をステップにして、堀口恭司を頂点としたRIZINフライ級の中で駆け上がっていくのか。そんな伊藤を所属のネックスイチムエに尋ねた。


MMAファイターとしてのグラフを考えると綺麗な形になってきた

――本日はネックスイチムエに伺っています。現在、MMAの練習もこちらが中心になっているのですか。

「基本はこのネックスイチムエと、小牧のネックス本部が中心になりますね。イチムエでは夜のキックボクシングのクラスで練習したあと、DEEPに出ている選手たちと一緒にMMAの練習をします。小牧は週2回——午前中の柔術と夜のレスリング、あとはMMAの選手練に参加しています」

――伊藤選手といえば打撃のイメージが強いですが、柔術の練習も見てみたいですね。

「道衣を着たら、ずっと動かされっぱなしです(苦笑)。ノーギ、グラップリングなら素早く動くことができるけど、道衣があったら自分の動きを止められちゃいます。

だけど柔術もMMAのためには、絶対に必要不可欠なもので。下からの攻めにこだわるわけじゃないけど、トップを取られた時の対処ができないと、試合では何もできないですからね。できないことを、なるべく少なくしていきたいです」

――テイクダウンディフェンスに長けているストライカーは多いです。しかし絶対にテイクダウンされないとは限りません。

「昔は――自分はストライカーだから、パンチやキックを極めれば良いやと思っていた時期はありました。でも、それだけではある程度のところまでしか行けない。自分も対戦相手が一定のラインを越えた時に、そう感じて。レスリングや柔術を鍛えるからこそ、自分の打撃が生きてくると思いますし」

――正直、気持ちと集中力で寝技を凌いでいる印象が強い時期もありました。それはそれで、余程の修羅場をくぐっていないと難しいことだとは思いますが……。

「アハハハ、そうですね。まだまだMMAとして完成はしていないですけど、『うまく回り始めたかな』と思ったのは、RIZIN佐賀大会の上田将年戦でした」

――というと?

「自分の組み技ってクセがあるんですよ。テイクダウンを切っても、切っただけになってしまう。組まれてもバックにつかせて逃げるのが得意だから、どうしてもすぐバックを見せてしまう。でも巧い人には完全にバックマウントを取られてしまうじゃないですか。そこでバックを見せずに、しっかり倒しに行くプランがハマッたのが上田戦だと思います」

――たとえフィニッシュにつながらなくても、一度バックにつかせてしまうと印象は悪いですからね。

壁レスでテイクダウンを切るだけでは終わらない練習——これこそ目指すTD防御(C)SHOJIRO KAMEIKE

「そうなんですよ。ずっとレスリングの練習も続けていたけど、なかなか練習していることを試合で出すのが難しくて。それが去年の山本アーセン戦の後ぐらいから、やっと試合で出すことができるようにはなりました」

――DEEPフライ級GPを経て、主戦場がRIZINへと移るなか、2連敗を経て現在は3連勝中です。その期間に何か大きな変化があったのでしょうか。

「先ほど言ったような……練習していることを試合でも出せるようになったんですけど、世間の評価は厳しいですね(苦笑)。やっぱりフィニッシュしないと『華がない』とか『塩試合しとる』とか言われて」

――MMAがスポーツである以上、まずはしっかりと勝つことが重要だと思います。特にここ3試合は伊藤選手も安定感が増してきました。ただ、フライ級GPで見せていたようなKO劇はなく、3連勝も全て判定勝ちではあります。その点について本人としては、何か思うところがあるわけですか。

「MMAファイターとしてのグラフを考えると、打撃、組技とか綺麗な形になってきたと思うんですよ。だから試合も安定はする。けど――何か突出している部分があったほうが、観ている人も面白いだろうとは感じますよね。でも自分が練習していることを試合でうまく出せるようになればなるほど、選手としては地味になっちゃうというか」

――とはいえ、何か一つの要素だけ突出していても、欠けている部分を突かれたら負けてしまいます。グラフで1点だけ突き抜けるとしても、他の要素が充実していないと意味はないでしょう。

「そうですね。やっぱり『地味だ』『塩試合』とか言われるのも悔しいし、そう言っている人たちを黙らせるには、勝ち方も重要だと思うんです。だけどMMAをやっていたら、どうしても一つの負けが大きくなってしまいますよね。そこを乗り越えて、どうやったらKO勝ちできるようになるかは考えています」

壁レスを練習し始めてから、逆に好きになって

――そんななかで次は韓国のイ・ジョンヒョンと対戦することになりました。正直なところ、RIZINで3連勝している伊藤選手は、フライ級の上位陣と当たるかと思っていました。

「う~ん、確かに海外のチャンピオンクラスと試合したいという気持ちはありました。そんななかでトップノイもイ・ジョンヒョンも去年のRoad to UFCに出ていて――弱い相手に勝ち続けることって、誰にでもできると思うんですよ。強い相手を呼んでもらって、注目を集めたところで勝ちたい。またRIZINも海外から選手を呼ぶことが増えているので、こういう相手に勝って世界にアピールしていきたいです」

――ただ、海外の強豪とギリギリの試合を展開すると……。

「また何か言われるでしょうね(苦笑)。そういう強い相手をバチッと倒せると、もう一段階上に行けると思っています。今の僕のイメージは、普段パチンコばかりして試合は……とか」

――そういえばMMA以外にパチンコ関連の活動もしていますね。SNSはパチンコの話題ばかりですが(笑)。

「あれが僕の素なんですよ。『パチンコ好きを演じているんじゃないか』って言われることもありますけど」

――試合でもパチンコでも、いろいろ言われているのですか。

「はい。僕はパチンコをしながらでもMMAで強い、というパイオニアになりたいです」

――ギャンブルに溺れることなく、MMAでも成功すると(笑)。

「僕は試合直前までパチンコをやっていたりしますね。追い込みの練習期間で、減量もあるなか家にいると、やっぱり邪念が入ってくる。そこでパチンコに行くと邪念もなく、戦っている気持ちのままでいられるんですよ。そういう意味ではパチンコに助けられています」

――なるほど。MMAの話に戻すと、前回の上田戦に続き今回もケージで戦います。伊藤選手の場合、足捌きからしてもケージのほうが得意なのだろうと思っています。

壁レスからパンチを生かした距離感、防御からの攻撃——伊藤の良さは次の試合でも発揮されるか(C)SHOJIRO KAMEIKE

「やっぱりケージのほうが、やりやすいですね。今日の練習でも見ていただいたとおり、僕は壁レスが好きなんですよ。ボクシングからMMAに転向した時、壁レスで倒されてばかりでした。それで壁レスを練習し始めてから、逆に好きになって。相手がグラップラーであれば、ケージのほうがやりやすいです。

次のイ・ジョンヒョンも最初はストライカーかと思っていました。でも韓国ではグラップリングの大会にも出ているみたいで。前回RIZINで戦った神龍誠が強すぎて何も分からなかったけど、何でもできる選手だと思って練習しています。次こそキッチリと倒したいですね」

――ここでイ・ジョンヒョンを倒したあと、先にはどのような展開を見据えていますか。パチンコはともかくとして。

「アハハハ。フライ級のチャンピオンは堀口恭司さんで、今回はフライ級の試合が多くて『堀口恭司包囲網』と謳われているじゃないですか。そのなかで自分はKO勝ちして、大晦日も出てから来年は堀口さんのベルトを目指したいです」

■視聴方法(予定)
11月17日(日)
午後1時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN LANDMARK10対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
摩嶋一整(日本)

<バンタム級/5分3R>
昇侍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
シン・ユリ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
イ・ジョンヒョン(韓国)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
ヒロヤ(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<フライ級/5分3R>
北方大地(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)

<バンタム/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)
山本聖悟(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
加藤久輝(日本)

<バンタム級/5分3R>
白川ダーク陸斗(日本)
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)

<ライト級/3分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
倉本大悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
秋元強真(日本)

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<ヘビー級/5分2R>
稲田将(日本)
佐々木克義(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
平松翔(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
JIN(日本)

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45 Bloom FC03 MMA MMAPLANET o アリエル・オリバース パンクラス 上田将年

【Bloom FC03】タフなオリバースに仕掛け続けた上田が判定勝ちで現役続行「あと20試合ぐらいやりたい」

【写真】上田も攻め続けたが、オリバースもタフでディフェンスも固かった。昨年のオトゴンバヤル戦同様の熱戦に(C)MMAPLANET

<フライ級/5分3R>
上田将年(日本)
Def.3-0
アリエル・オリバース(フィリピン)

ガードを高く構えるオリバースに対し、上田が右ハイを見せる。強い右ローを繰り出すオリバース。上田は左ジャブを突くと、右フックを振るって前に出るオリバースにシングルレッグで組みつき、グラウンドに持ち込んだ。オリバースはフックガードから上田の体を押しながら、下からパンチを打ち込む。足を捌いてパスを狙う上田。オリバースのガードも硬い。上田はしっかりと背中を着かせたまま、トップをキープする。立ち上がった上田がパンチを落とすと、オリバースが下から蹴り上げた。上田の左ヒザがマットに着いているとみなしたのか、レフェリーが試合を中断してオリバースに注意を与える。再開後、初回終了のゴングが鳴った。

2R、オリバースの右ローに対し、上田が左ハイを放った。オリバースは左フックから一気に距離を詰める。さらに右を浴びせるオリバースは、上田の左ジャブに右を被せていく。バックステップで距離をつくる上田は、オリバースの右ストレートをかわしてニータップでクリーンテイクダウンに成功した。立ち上がるオリバースをボディロックで離さない上田が、再びグラウンドに引き戻す。ハーフのオリバースをパンチと鉄槌で削る上田。オリバースも上田の右腕を取ってリバーサルを狙うも、その動きに合わせて上田がバックに回った。バックマウントを整えるつつ右腕を首に回す上田。オリバースが腕を引きはがすが、上田がワンハンドからセットアップし直す。オリバースが左腕のクラッチを解かせたが、上田は渾身の力でワンハンドで絞め上げる。オタツロックでバックをキープする上田は、パンチで削りながら腕十字→三角、さらに腕十字に切り替えてオリバースの左腕を伸ばす。しかしオリバースもラウンド終了まで耐えた。

最終回、上田が少し距離を取る。左ジャブを突き、右ミドルハイでけん制する上田。テイクダウンを切られた上田は、ケージに押し込んでくるオリバースの左腕をキムラで抱える。そのままグラウンドに引き込んだ上田は腕十字を狙うも、オリバースがトップに。すると上田は下からオリバースの腕を伸ばしにかかる。オリバースも耐えて、左腕を抱えられたままトップをキープし、パンチを上下に落とす。上田がクラッチを切り、左腕をに対してキムラをセットアップする。しかしオリバースも腕を抜いてトップを守る。上田のスイープを防ぐオリバース。上田はオリバースの手首を押さえ、十字狙いか。そのクラッチも解いたオリバースだが、右腕をオーバーフックで抱えられているため動けない。上田は試合終了までオリバースのパウンドとヒジをかわし続けた。

試合終了のゴングが鳴った瞬間、オリバースは大喜びでケージに登る。裁定はユナニマスで上田の判定勝ちに。オリバースも笑顔で上田の勝利を称えた。上田は「ショッパイ試合しちゃって、すみません。でも、どうしても勝ちたかったです。鬼木さんが6月に亡くなって、パンクラスで勝つことができませんでした。前回若い子に負けて、引退も頭によぎったんですけど、鬼木さんがつくったこのBloomで勝ちたかったです。自分の格闘技の最後を見届けてほしかったです。でも仕方ないことなので――鬼木さん、いつもどおりショッパイ試合で勝てました。こんな試合で成仏することができないので、あと20試合ぐらいやりたいと思います(笑)」と現役続行を宣言した。


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【Bloom FC03】地元とライト級、そして国際戦。結城大樹「後悔したくない。悔しい想いをしない試合に」

【写真】瞬き率の高い、結城選手でした (C)MMAPLANET

本日27日(日)に福岡市中央区のアクロス福岡で開催されるBloom FC03で、結城大樹が韓国のソ・ジェファンとライト級で戦う。
Text by Manabu Takashima

「東京では勝てない」。そんな風に振り返るようになったキャリは13年目を迎える。そして、地元の福岡の独立団体で迎えた再起戦。気合満々、戦意があふれ出ていると思いきや――結城はライト級で戦うことに不安を感じ、練習でもキレキレということはなかった。

とはいえ地元、減量幅の小さなファイトはストレスも少ない。33歳のベテランになっても、やるべきことは「後悔しない」こと。本人は否定するが、福岡だけで年に4試合を戦うことができる状況になったからこそ、プロモーションの縛りがない状況で戦うことができる若い選手たちは、結城の試合から何かを感じ取ることができるはずだ。


――3月に椿飛鳥選手に敗れ、今回が地元でライト級の国際戦で再起戦となります。椿選手に敗れる。それはキャリアのターニングポイントになる敗戦になったのではないかと。

「正直、椿選手との試合は自信満々で臨んでいました。東京でなかなか勝てていなかったのですが、椿選手は仕事とファイトを両立している選手だし、絶対に勝てると踏んで。SASUKE君なんかも色々と助言してくれていたのですが……ターニングポイントというか、ショックでしたね。応援してくれた皆の期待に応えることができなくて。『また負けたか。東京で勝てないな』と……かなり凹みました」

――ライト級に転向を決めたのは、フェザー級の体重を創ることが厳しくなったからでしょうか。

「まぁ落とせないことはないです。ただ年々きつくなっていたのも事実で。今回はチームメイトの試合が決まっていて、自分だけ試合がないなかで弘中さんから『Bloom FCで戦うか』と言って頂きました。

正直、フェザー級の体を創る状態になっていなかったのも事実で。そうしたら弘中さんが『思い切って、ライト級でやってみるか』と。65キロ級に戦うことを考えると、ライト級では減量がないに等しいです。これまで試合になると、練習の時と比べると動きが悪くて。そういう部分でもライト級で戦うということに関して、『勝ち負け以上に思い切って戦えるのか』ということも言ってもらいました」

――師匠の言葉で、ライト級で戦うことを決意したと。

「ハイ、かなり悩みましたが……。今も試合まで3週間あっても最後の水抜き分ぐらいまで体重も落ちていますし、凄く練習できています。今回の試合の動きで、今後のことも考えていきたいと思っています」

――絶対的な強さでいえばパフォーマンスは上がると思います。ただしMMAは対戦相手いるので、相対的な部分でパフォーマンスは上がるのか。しかも対戦相手はフィジカルが強いとされる韓国人ファイターです。

「ホント、そこまで深く考えていなかったのですが、対戦相手がめちゃくちゃマッチョで。凄く怖くなって、『これはヤバくないですか』と弘中さんに話しました(苦笑)」

――弘中さんの返答は……。

「『でかいから強いなら、ボディビルダーが一番強いってことになるだろ』と(苦笑)」

――アハハハ。なるほど。器の大きさが伝わってきます(笑)。「そういうことか」と納得できましたか。

「正直、いまだに不安です(笑)」

――今夜(※取材は3日に行われた)の練習でもフライ級の小田魁斗選手にテイクダウンされる場面がありましたが……。

「それは……いつも、あんな感じなんです(笑)。もう分からないです(笑)」

――……。今回の試合、修斗公式戦の闘裸男ではなくBloom FCといういわば地元密着の独立プロモーションでの試合になりますが、その辺りを意識することはありますか。

「僕がデビューした頃は福岡に、プロ選手はほとんどいなかったです。でも、今回の大会にはこれだけの数の福岡の選手が出場します。最近、練習をしていても気づけば僕が一番年上になっています。今日もたくさんの選手が出稽古に来てくれていて、凄く刺激になります」

――そんな若い選手に、ファイトを通して伝えたいことはありますか。

「派手な試合はできないですし、全然強くもないです。僕が何かを伝えることがあるのかと思いますが、何かを感じてくれる選手がいれば嬉しいです。でも今日も一緒に練習していた野瀬(翔平)君や小田君のように強くて若い選手がいます。あの子たちに負けないように、もうチョイ頑張ろうと思っています。

それにメインは上田(将年)さんで、修斗でなくパンクラスで戦ってきた選手と一緒の大会に出られることはチョット不思議な感じします。僕自身、修斗で戦ってきて今年は試合があるなら山口の闘裸男だろうと思っていたのですが、声が掛からなくて。弘中さんも『今年は修斗では試合は組まれないだろう』と。そんなときにBloom FCで戦えるのは、本当にタイミングが良かったです。

一番は調整しやすい。それと普段から応援してくださる人の前で試合ができる。それが出場を決めた要因です」

――ならフェザー級で良かったのではないですか(笑)。

「アハハハ。僕も段々とそれを思ってきているところです。だから大丈夫かなって思って(笑)。でも、本当にそこは思っているところです。試合が近づくにつれて、減量が楽過ぎて。それに減量しながら東京まで行くということがないのが、凄く気持ちが楽になっています。なんなら原付バイクで、パァっと計量会場に行ける近さなので。で、終わったらすぐに家に戻ることもできます。

やっぱり東京の試合の時は、水抜きをして飛行機に乗って計量会場に行く。そこからホテルまで行く移動や……ご飯も、僕は家でゆっくり食べたいので、東京だと外食になってしまいますよね。そういうストレスは、今回の試合ではないです。計量後ものんびり、ゆっくりできるだろうなと思います」

――ここから再び、キャリアの再構築になります。

「自分もプロになって12年、そろそろ引退も考える年齢になっています。自分でも練習と試合の動きが違うと、毎試合思って。一致すると、サクっといけて調子が良いです。そうならないと、『もっとできたはず』と13年目になっても思い続けています。それが一番悔しくて」

――結城選手の試合の時、弘中さんが「後悔するぞ」という声を出すことがあります。

「SASUKE君も、そうやって叫んでくれます……。いやぁ……そうなんですよね。だからこそ後悔したくない。悔しい想いをしない試合に今回はしたいです」

■Bloom FC03視聴方法(予定)
10月27日(日)
午後1時15分~ Twit Casting LIVE

■ Bloom FC03主な対戦カード

<フライ級/5分3R>
上田将年(日本)
アリエル・オリバース(フィリピン)

<ライト級/5分2R>
結城大樹(日本)
ソ・ジェファン(韓国)

<59キロ契約/5分3R>
永留惇平(日本)
マルヴィン・マルネス(フィリピン)

<バンタム級/5分2R>
荒木雄登(日本
ハ・テグン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
水永将太(日本)
チョン・ウジェ(韓国)

<フライ級/5分2R>
平賀二郎(日本)
下田洋介(日本)

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【Bloom FC03】3戦目で国際戦=ハ・テグン戦。荒木雄登「オールランダ―も格好良いけど僕はストライカー」

【写真】ウィッキー夫妻と荒木夫妻。平日の午前中に撮影のためにジムにきて、汗を流す仲間がいる。ウィッキージム、良い空気でした (C)MMAPLANET

明日27日(日)に福岡市中央区のアクロス福岡で開催されるBloom FC03。福岡をベースとした大会で、福岡✖韓国&フィリピンという国際戦が5試合組まれている。
Text by Manabu Takashima

そのなかでキャリア3戦目の荒木雄登が、ハ・テグンと対戦する。20歳の時に上京、KRAZY BEEに所属するも首の負傷で実戦経験のないままUターンした。首の手術に成功し、昨年11月のBloom FC旗揚げ戦でTKO勝ちデビューを飾ったころ、西浦ウィッキー聡生が福岡でジムを開く準備をし始めた。

KIDに憧れ、アーセンと過ごし、ウィッキーの指導を受ける。そんな荒木のKRAZY BEEなMMAファイター人生を振り返ってもらい、今回の試合から今後に関して話を訊いた。


──Bloom FCでデビューし、3戦目で再びBloomで戦います。

「もともと20歳の時に上京してKRAZY BEEでMMAを始めたのですが、東京だとたくさん試合もありました。試合を戦う機会が多いことが上京した理由の一つでした。ただ、福岡に戻って来た時に試合数が圧倒的に少なくて、しっかりと考えてキャリアを積まないと大きな舞台で戦うことはできないなと考えていました。

そんな時にBloom FCの旗揚げ戦で戦わないかと声を掛けて頂き、これは本当に良い機会だと思いました。ここで良い試合をして、Bloom FCを盛り上げることができれば上の舞台に進めると。まずは地元の福岡で良い機会を与えてもらえたので、ここで花を咲かせようと思いました。

ただ福岡では知名度は上がってきたのですが、DEEPや修斗と比較すると格闘技界では名前は低いです。そこは悔しいので福岡から修斗やDEEP、パンクラスに負けない選手になって飛び立っていきたい。自分が先陣を切るんだという気持ちが以前より強くなっています」

──東京時代は山本アーセン選手と親しかったと伺いましたが、KRAZY BEEに入門したのは?

「やっぱり山本KID徳郁さんの影響です。亡くなられたKIDさんが大好きで。KIDさんのジムで強くなりたかった。KIDさんの魂を受け継いだKRAZY BEEで育ちたかったんです。実際KIDさんが格好良かったから、KRAZY BEEでは皆が格好良かったです。

東京では誰も知り合いがいなかった時に、アーセン君が一番最初に声を掛けてくれました。そこから、ごはんを連れていってくれたり力不足の僕を練習パートナーに選んでくれたり、本当によくしてもらって。僕はすぐに首を痛めて引退まで考えたこともありましたが、アーセン君も腰を痛めていて、色々と悩んでいたみたいで。アーセン君は『一緒に乗り越えようね』って僕の背中を押してくれて、本当にかわいがってもらいました。

KRAZY BEEではスタッフとして働かせてもらっていたので、ジムの近くに住んで朝9時30分から夜の10時までずっとKRAZYBEEにいました。結果として2年ほどの東京生活でしたが、ちゃんと格闘技に向き合いと思って手術に踏み切って。でも良い先生と出会うことができて、今があります」

──手術をするために福岡に戻ってきたのですか。

「いえ、手術は東京でやりました。でも首にコルセットをつけている状態で、家事もなかなかままならない状態でした。あの時、家族とも相談して一度福岡に戻って、これからを考えようと。2022年の年末に、こっちに帰ってきました」

──今、首の状態は?

「全く問題ないです。ただ、いつ再発するかは分からないので1試合、1試合が最後のつもりで戦っています。今は東京だとか、福岡だっていうことではなくて。どこで、どう自分が頑張れるのかが大切だと思っています。

しかも戻って来て1年もしないうちにウィッキーさんが、ジムを福岡に開かれて。東京でやってきたウィッキーさんが指導をしてくれるんで、東京と変わりなく練習ができています。こんな練習環境が整うことになるとは、福岡に戻ってきた時は思ってもいなかったです」

──プロデビュー戦は所属ジムが違っていました。

「ハイ。ウィッキーさんがジムを開く時に、物件やロケーションの相談をしてもらって。内見にも一緒に来ました。ウィッキーさんがジムを開くことを、その段階で教えてもらっていたので、もうワクワクしていましたね。

今では福岡でも練習環境は整ってきてはいるのですが、やはりKRAZY BEE繋がりということは大きかったです。KIDさんと一緒にやっていたウィッキーさんと一緒にやれて、今は本当に幸せです」

──そして、荒木選手が目指すのもKO勝ちできるMMAファイターなのでしょうか。

「そうですね。MMAは立ち技、打撃から始まりますし。それほどMMAのことが分かっていない人も見ていて面白いでしょうし。やっぱり打撃で一発KOをかまして、会場を盛り上げたい。オールラウンダーって呼ばれるのも格好良いのですが、僕はストライカーでいたいです」

──今回は初の国際戦。対戦相手のことは余り分かっていないのですが、極めが強いと聞いています。

「ハイ、極めに来ると思います。でも、打撃をバチバチ当てて初回でしっかりと倒します」

──今後のキャリアアップはどのように考えていますか。

「目指すのは日本の最高峰RIZINです。2戦目でLANDMARKで出させてもらって負けて……応援してくれる人たちの期待に応えることができなかった。あの悔しさは忘れていないですし、あの負けがあるからこそ練習にもより厳しく向き合うことができています。そうですね、Bloom FCでしっかりと結果を残し将来的にはRIZINの顔になりたいです」

──ところで新婚さんだと伺いました。

「ハイ。2カ月前に結婚しました」

──おめでとうございます。

「ありがとうございます」

──一緒に生きていく人ができて、より充実した格闘家人生を送ることができますか。

「そうですね。格闘技でなくても、何かに対して真剣に向き合っていると応援してくれる人なので。恩返しをしたいです。ただ、さっきも言いましたが……格闘技ですし、一発で終わることがあるかもしれない。そこで悔いを残したくないんで、やっぱり打撃で倒して1試合、1試合結果を残したいです。それが応援してくれる人達に対して、嫁さんに対しての恩返しになると思っています。

しっかりとKOで良い姿を見せたいという気持ちが、なおさら強くなりました。そんな僕の試合を見て、日々の活力にしてくれる人が増えてくれると嬉しいです」

■Bloom FC03視聴方法(予定)
10月27日(日)
午後1時15分~ Twit Casting LIVE

■ Bloom FC03主な対戦カード

<フライ級/5分3R>
上田将年(G-face TEAM/緒⽅道場)
アリエル・オリバース(フィリピン)

<ライト級/5分2R>
結城大樹(日本)
ソ・ジェファン(韓国)

<59キロ契約/5分3R>
永留惇平(日本)
マルヴィン・マルネス(フィリピン)

<バンタム級/5分2R>
荒木雄登(日本)
ハ・テグン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
水永将太(日本)
チョン・ウジェ(韓国)

<フライ級/5分2R>
平賀二郎(日本)
下田洋介(日本)

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【Bloom FC03】引退撤回→休養返上。オリバース戦に挑む漢・上田将年「ドキドキ、モヤモヤからワクワク」

【写真】男に二言、三言があっても構わない。そこれこそ前言撤回が、漢らしい──なら (C)MMAPLANET

27日(日)に福岡市中央区のアクロス福岡で開催されるBloom FC03で上田将年がフィリピンのアリエル・オリバースと戦う。
Text by Manabu Takashima

昨年11月にBloom FC旗揚げ大会のメインでツェルマー・オトゴンバヤルに勝利した上田だが、2月のRIZIN LANDMARK佐賀大会、そして6月のパンクラスと伊藤祐樹&眞藤源太に連敗を喫した。その眞藤戦後に上田の口から「次のBloom FCを最後にしたいと思います」という引退宣言がなされた。

しかし、Bloom FC03の当初の出場選手に彼の名はなかった。と思いきや、突然の国際戦の発表に。この間、上田は如何に進退と向き合って来たのか。随所の判断に男らしさが感じられる上田の今に至った経緯を尋ねた。


──アリエル・オリバースと、地元・福岡。そしてBloom FCの第3回大会に出場が決まった漢・上田将年選手です(※取材は4日に行われた)。しかし、男に二言はないだけはできていません(笑)。

「アハハハハ。そうですね……もう……前回の試合が終わって、周囲にも記者の方にも色々と語らせていただいたのですが……(苦笑)。やはり強い相手、ドキドキする相手を目の前にして戦わないという選択肢はなかったです……」

──前回の試合後から、この試合出場にかけて既に1度前言撤回がありました(笑)。

「ハイ。6月の眞藤源太選手との試合で負けて、このBloom FCという地元の大会で最後にしようという風に伝えさせてもらっていました」

──しかし、Bloom FCのマッチメイク案を内々に頂いた時に、上田選手の名前がありませんでした。

「……。試合が終わり、ケガがあるなか練習に行ってしまう自分がいました。もう、その時点で原田(惟紘)さんとか周りの人達は『上田君、辞めれんて』という風に言っていたのですが、『いえ、次が最後です』と断言していたんです。ただ、ケガをかばいながらも若い子たちと練習をしていると、『あの時、こうしておけば』とか『あの時はリカバリーがちゃんとできていなかったな』という反省点が色々と見つかりました。

すると『こう、すればできる』という改善点がたくさんある。成長できるところが、まだいっぱいあると感じるようになりました。そのときに所(英男)さんとヒロヤ選手の試合見まして。あのドカンとかました所さんの勝利がものすごく刺激になりました。あのKOを見て、次の1試合だけでなくまだまだ戦いたいという気持ちになったんです。

これまで大きなケガがないからというのも関係していますが、やはり自分の想いは戦いたいということだったんです。本当に我儘だななぁという気持ちと、行けるところまで行ってやろうという両極端の気持ちがありましたけど」

──結果、最後の舞台と一度は決めたBloom FCのラインナップから名前がなくなっていたのは?

「もう一度、戦うためにしばらく体を休め、ケガを直してダメージを抜く期間を設けようと思いました。なので今回は(屋宮)ハントさんにも、裏方として大会を手伝いますって話をさせていただきまました。

そんななかハントさんから、オリバースの相手が見つからないという話を聞きました。自分も彼と戦える選手がいないか、探すという形でハントさんをサポートしていて……で、そのためにもオリバースという選手を知らないといけないので映像をチェックしたりして調べていくうちに、段々と『結構、良い選手じゃないか』と思うようになって……(苦笑)。

ドキドキしつつ、モヤモヤする自分がいました。その気持ちが大きくなって、『ハントさん、誰も行かないなら俺が行きましょうか』って自分から言ってしまいました(苦笑)」

──アハハハハ。まさに漢・上田の「男には二言・三言ある」という流れに(笑)。

「ドキドキ、モヤモヤからワクワクするようになった自分の直感に従いました」

──ハントさんからすれば「待っていました」という一言だったでしょうね。

「もう『宜しくお願いします』という言葉だけでした(笑)。あの一言を発して、現時点で試合まで3週間なんですけど、凄くコンディションも良いです。試合が楽しみでならないです」

──引退撤回から休息を取る。しかし急転直下の国際戦。奥様の反応は如何でしたか。

「まぁ、もととも辞めないとは思っていたようで。現役続行に関しては何を言うことはなかったのですが、この時はさすがに『早くない?』とは言われました(笑)。『試合が決まるかも』と伝えると」

──いや上田選手。自分でやると決めているのに、「決まるかもしれない」というのは(笑)。

「アハハハハ。そこはちょっと言葉を濁しました。『フィリピン人で、相手がなかなかおらんらしくて。ハントさんから頼まれて』って(笑)。その時は『決まったら教えて』という感じで言っていたのですが、もう僕のなかでは決めていたので。2、3日後に『決まったばい』って(笑)」

──ハハハハハ。

「嫁さんの機嫌を伺いつつ、タイミングを見て伝えたような感じです。家庭内にも勝負があります」

──いやぁ、もう話を聞く方としては面白い限りですが……。その一方で、九州で試合ができない。その苦労をずっとしてきた上田選手にとって、オリバースと戦う選手が他にいなかったことに関しては、どのように思っていますか。

「う~ん、自分が若い時にこの質問を貰うと『ふざけるな』という返答をしていたと思います。ただ今はUFCという世界の頂点があって、他の海外の大会もあります。そして国内にはRIZINという大舞台もあります。そういうなかでレコードが大切になってきます。

昔は外国人選手や格上の相手との試合を受けない選手には、『どういうつもだりだ』という風に絶対になっていたはずです。でも、今は勝ち星を稼ぎたいという気持ちも分からないでもないです。分からないでもないのですが……それでも自分のなかでは戦って欲しいというのが正直な気持ちです。

リスクはあります。でも、格闘技界のなかでそこで勝てば評価につながる凄いチャンスです。守りに入らず、攻めの姿勢で格闘技に向き合って欲しいというのが本音です」

──勝手ながらファンの人達もそうだろうし、メディアもそう。市井に生きる自分たちができないことをやってくれる選手たちに尊敬の念を抱きます。なので前言撤回で、この場で戦う選手が魅力的なんですよ(笑)。

「……(苦笑)」

──では、対戦相手オリバースの印象を教えてください。

「試合が決まってから、映像を見返しました。荒い部分もあるけど、寝技や組み技もできる。改めて本当に戦いたいと思った相手です。(苦笑)。8勝8敗ですけど、負けているのはUAEWでの試合とかで。大きな舞台も経験しています。

未知の相手ですが、せっかく手にした国際戦なので相手に合わせず、自分の我儘なファイトする。そこを目的にしたいと思います。

ここ数年、技術的は向上しても若い時のようなガムシャラなファイトができていないです。経験値があがると、できることとできないことが分かる。だから慎重になってしまう。と同時に、昔はできていたことができない自分が許せない。

進化した自分を出したいから、今も試合に拘っています。我儘に……そうですね、自分は相手に合わせてしまうところがあるので、自分の持っているモノを出すことに専念したいです」

──そういう点で考えると、この試合の決定の流れが思い切ったファイトに繋がるのではないかと。

「そうですね。相手の情報も少ないですし、それが良い方向になっていくかなと。日本人選手が相手だと、やはり色々な情報を手にできます。すると『こういう技を持っている』と、警戒心が強くなって躊躇してしまう。それが最近の試合では顕著でした。だから、この情報量の少なさがあって行けるのかなっていう気持ちはありますね」

──上田選手の場合、試合で受けるダメージ以上にあの減量が体にダメージを与えているように感じます。それでもフライ級なのですか。

「そこは正直なところ、バンタム級にあげることは考えていました。落とすのはしんどくなってきて、戻り幅も少なってきています。ただ、今回の相手はストロー級で戦うことを予定していた選手で、重くてもフライ級ということで選手を探している時から知っていました。なら、そこは折角フィリピンから来てくれるのだから合わせようと」

──もう任侠の世界かと思うほどの、生き様ですね。

「ただ、そのなかでも減量に関しては慎重にしないといけないとも思っています。今回の試合で、この次からの階級も自ずと決まって来るのかと」

──水抜きをして東京への移動を考えると、福岡の試合はコンディションが良くなると単純に考えてしまいます。計量後に新宿のコンビニで座り込んで、栄養補給をするのとは違うと。

「長い間、ずっとやってきたことなので……。そこは仕方ないという風に捉えている部分ではあります。でも去年と今年、福岡と佐賀で試合をして東京の試合とはコンディションは全然違いました。それをいうと海外からくる選手は、自分が東京に行くよりもハードな環境で戦っているはずです。

だから、そこは言い訳にはできない。自分がちゃんと向き合って東京でも、海外でも、福岡でもベストの状態に持って行かないといけないことです」

──押忍。そんななかでBloom FCの特徴は福岡のイベントということでパンクラスもDEEPも、修斗も関係なく選手が戦える場所になっています。今回は結城大樹選手という修斗でやってきたベテランと、上田選手が揃い踏みを果たします。そして若い選手と一緒に国際戦を戦う。

「関東だとパンクラス、修斗、DEEPとどうしても交われない関係性があると思います。それが地方の年に2回の興行では、そこに関係なく同じケージで戦うことができる。凄く良いことです。それがBloom FCの魅力で、福岡のMMAの活性化につながると思います。

昔は闘裸男もなくて、福岡では修斗の新人王を勝ち上がることが絶対で。そこで負けると年に1回、もしくは2年に1回と中国地方の大会で試合ができるかどうか。それが今では闘裸男とBloom FCが年に2度ずつ福岡であり、加えて中国地方でも多くの大会が開かれています。昔とは環境も変わってきました。

そのなかで昔からやっている古株の自分ができることは、しっかりと外国人選手に地元で勝つこと。その姿を見せて、ここで戦い続けても中央に行けるし、外国人選手も戦える。もっと俺たちも頑張ろうと思う若い選手を増やしていきたいです。福岡の選手達の底上げにつなげていきたいと思っています」

■Bloom FC03視聴方法(予定)
10月27日(日)
午後1時15分~ Twit Casting LIVE

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45 AB Bloom FC03 Brave CF MMA MMAPLANET o UAEW YouTube   アリエル・オリバース ツェルマー・オトゴンバヤル パンクラス ボクシング マルヴィン・マルネス 上田将年 修斗 水永将太 永留惇平 海外 眞藤源太 結城大樹

【Bloom FC03】日韓戦に続き、✖フィリピン戦決定。漢・上田将年「誰もいかんなら、俺にいかせんかい!」

【写真】さすがの漢・上田。こうあってほしいファイター像を貫いてくれている (C)MMAPLANET

25日(火)にBloom FCより、10月27日(日)に福岡市中央区のアクロス福岡で開催されるBloom FC03の追加カードが発表され上田将年と永留惇平が、それぞれアリエル・オリバース、マルヴィン・マルネスの両者とフライ級&59キロ契約で戦うことが発表されている。
Text by Manabu Takashima

昨年11月に旗揚げされた福岡をベースとするBloom FCの第3回大会では結城大樹×ソ・ジェファン、水永将太×チョン・ウジェ、荒木雄登×ハ・テグンという日韓対抗戦が発表されていたが、さらに日本×フィリピンという国際戦2試合が加わった。


(C)BLOOM FC

今回、国際戦を戦うチャンスを手にした永留はMMA Rangers Gym所属でキャリア3勝1敗。まだ22歳と九州MMA界における若い力の代表格だ。

これまでの3試合は全て闘裸男で戦ってきており、修斗公式戦以外のファイトは初めてで、初の国際戦を戦うこととなった。

対するマルネスは5勝2敗で、4つの一本勝ちと1つのKO勝ちを残している。

MMA以外でもベアナックルファイトやボクシングの経験もあり、一本勝ちは全てRNC。とはいえ対戦相手はキャリアが少なく、この試合は日本とフィリピンの若手の力試しという見方ができる。

(C)BLOOM FC

一方、上田と戦うオリバースは戦績8勝8敗。

それもUAEWやBRAVE CFという中東MMA(BRAVE CFはフィリピンとパキスタン大会に出場)ベテランならではレコードといえよう。一方、上田は旗揚げ大会のメインでモンゴルのツェルマー・オトゴンバヤルに判定勝ちをしたのに続き、2年連続で国際戦を地元福岡で戦うことが決まった。

その上田、下記のコメントにあるように7月のパンクラスで眞藤源太戦の敗北で引退に気持ちが傾き、今大会が最後という話も聞かれた。その後、現役続行を決め裏方でイベントをサポートする予定だったが、一転フィリピン人ファイターと戦うことが決まった。その理由もコメントに譲るが、まさに漢・上田の面目躍如といったところだ。

首都圏を経由せず、国際的な舞台へ──そんな目標を掲げるBloom FCらしくアジアの生き残り合戦が5試合組まれることとなった。以下、今大会参戦及びオリバース戦を受けた上田の出場理由だ。

上田将年
「前回の敗戦で、その瞬間は若い選手に出し切った感が強くて周囲に次が最後だと言ってました(笑)。ただ試合後、わりかしすぐに練習を再開し、時間が経って振り返るとリカバリーから試合内容含め、色々な反省点が見つかりました。結果、本当に格闘技が好きで……全然辞められる気配がない。どうしようもないな俺──と思っていました(笑)。 

ただ連戦で身体も休めてやる為に、1年ぐらい試合からは距離を置くつもりでした。そんな中で今回のBloom FCはハントさんと大会サポートに回るつもりで動いてましたが……そのなかで招聘が決まった外国人選手の相手探しが困難しているという事で、自分も一緒に探していました。

そうしたら、俺が段々とやりたくなってきて……胸の鼓動が早まるような感じがしてきました(笑)。ハントさんに『誰もいかんなら、俺いきましょうか?』と尋ねると、『是非、頼む』と。こういう流れで急遽出場が決まった次第です(笑)。

『誰もいかんなら、俺にいかせんかい!』というのが本当に素直な思いです(笑)。強い相手が目の前にいるのに戦わないという選択は、自分にはできなかったです。それに鬼木さんが作ってくれたこの舞台の助けになりたかったというのもあります。

いつか年齢的にできなくなる日が来るし、負けたモヤモヤした気持ちは結果はどうあれ戦うことでしか払拭できないですから(笑)。

地元でまた海外の選手と試合ができることは、凄く嬉しいです。自分のこのドキドキする直感を信じて、勝利に貪欲な姿勢を見せたいです。何より、応援してくれる皆さんに執念じみた自分の生き様を見てほしいです。

負けるたびにイジけて引退発言する歳になりましたが、福岡の大仁田厚目指して頑張ります」

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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase344 上田将年 眞藤源太

【Pancrase344】アグレッシブ眞藤、2Rにギロチンを極めかけて上田にスプリット判定勝ち

【写真】上田はギロチンのディフェンスで力とスタミナを使い果たしたか。とにかく眞藤がよく攻めた(C)MMAPLANET

<フライ級/5分3R>
眞藤源太(日本)
Def.2-1:30-27.29-28.28-29.
上田将年(日本)

ガードを固める上田に対し、眞藤が左右に体を振って距離を詰める。頭を下げて中に入る眞藤に、上田が左フックを合わせた。左右に動いて中に入ってきたところを右ハイで迎え撃つ。上田の遠い距離からのダブルレッグを眞藤が外した。眞藤はプレスをかけて上田にケージを背負わせる。右カーフからボディロックで組みついた眞藤が左右に揺さぶるも、上田が左オーバーフック&左足を絡めて耐える。ここは眞藤が離れた。

ケージ中央で上田が右ローに左ジャブを合わせる。左を合わせるタイミングを掴んだか。眞藤は中に入れず、来いと上田を挑発する。挑発に乗らない上田に、眞藤が右カーフを当てる。上田は左ジャブからニータップで入り、背中を着かせた。眞藤の左手を抑えている上田は、頭を着けて押さえ込む。リストのクラッチを切った眞藤は左オーバーフックで抱え、スイープを狙うもボトムを強いられた。初回はジャッジ1名が10-9で眞藤、2名が上田の10-9としている。

2R、上田が左ジャブを繰り出すと、眞藤も右カーフを当てる。上田の左ハイをかわした眞藤が跳びヒザを繰り出すも、かわされてグラウンドへ。すかさずトップに回る上田。眞藤はケージに背中を着けてバタフライガードに。上田がクラッチすると、眞藤が左腕を巻き付け、ギロチンで引き込んだ。絞り上げる眞藤に対し、上田はパンチを打ち込む。

体勢を変える眞藤、回転したために極まりが浅くなってしまう。首を抜いた上田は苦しそうな表情を浮かべている。ボディロックで押し込む上田は、両脇を差し上げて押さえ込み続ける。眞藤の左手を抑えたが、すぐにクラッチを切られた。このラウンドはジャッジ1名が上田の10-9、2名が眞藤の10-9としている。

最終回、上田が組んでケージに押し込む。眞藤は左オーバーフックからボディロックへ。なおも上田が押し込んでいく。頭をおっつけてボディロックで組んだところで、なぜかレフェリーがブレイクをかけた。これは上田にとって苦しい……。上田のシングルレッグを切った眞藤に対し、立ち上がった上田がバランスを崩し、そのままトップを奪われる。眞藤がケージに押し込むが、立ち上がってブレイクを促す。スタンドで再開後、眞藤が右を当てる。上田はダブルレッグで押し込むが、足を切った眞藤がシングルレッグで食らいつく上田にパウンドを落とす。両者が立ち上がると、眞藤が払い腰で投げて試合を終えた。

裁定は割れたが、ジャッジ1名が眞藤にフルマークを付ける判定で眞藤が勝利した。


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45 AB LFA MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase344 Pancrase345 Road to UFC RYO UAEW UFC アリ・カラダギィ キック キム・サンウォン パンクラス 上田将年 中田大貴 内藤由良 大塚智貴 小森真誉 山崎聖哉 平田直樹 泰斗 海外 眞藤源太 神谷大智 糸川義人 西尾真輔

【Pancrase345】メンタル乱降下のファイトウィーク、内藤由良「勝たないと何も始まらない」

【写真】スーツを脱げばカルバンクラインのカラダギィに対し、内藤はまさかのミーアキャット。実家でミーアキャットを飼っているそうだ (C)MMAPLANET

本日30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるダルヘッダー夜の部= Pancrase345のメインで、内藤由良がアリ・カラダギィと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2年3カ月振りの実戦となる内藤は、キルクリフFC所属のディラン・オサリバンと対戦予定だったが、水曜日の夜にオサリバンが入国できなかったことが発覚──急遽、カラダギィと戦うことが決まった。

J-MMA重量級期待の新鋭はUFCを目指し、海外でのステップアップを図るも決まりかけた試合がことごとく流れた。この間も練習仲間の間で語られる内藤の強さは伝わってきたが、やはりファイターは公衆の面前で強さを見せつける必要がある。紆余曲折がありながらも、その場に戻って来る内藤の話を計量直後に訊いた。


――オサリバン戦が無くなったと聞いたのは、いつ頃だったのでしょうか。

「水曜日の夜でした(苦笑)。ちょうど、パンクラスのオフィスに用事があって。『ロッキーが迎えに行っているから』という話も聞いていたんです。で、チケットを配って家でゴロゴロとしていたら、彼が入国できなかったという連絡がありました。

最悪、体重オーバーはあり得るとは思っていました。でも、ここまできて試合がなくなるとは……。もう99.99パーセント、試合はないと思っていました。国内で階級下の選手がやってくれるわけがないし。外国人が3日で来れるものでもない。もう水曜日の夜から木曜日の夜まで、死んでいました(苦笑)。何もやる気がおきなくて……計量の前日なら、心が折れて食べていたかもしれないですね(笑)。

だから、良く対戦相手を見つけてもらえて……凄く人に恵まれ、パンクラスに愛されていると思います。木曜日の夜に『見つかるかもしれない』、『やってくれると言っている選手がいる』という話があって、そこで気持ちを戻しました。

これから海外で戦っていくと、対戦相手が直前で代わるなんて普通にあると思うんです。そういう場合も気持ちを切らさない必要がある。その予行演習になるんだと言い聞かせていました。で、正式に金曜日の朝にアリ選手が試合に応じたという連絡がありました」

──2年3カ月振りの試合、チャンピオンといえどもキャリアは5試合。オサリバンは北米MMA育ちで、そのポテンシャルを見せつける試合になるという期待がありました。

「ハイ、絶対に噛ませ犬じゃないし。5勝1敗で全て1Rフィニッシュ、UFCを目指している30歳。年齢も近かったですし、自分も目指す道があるので必ず倒さないといけない。そういう相手だったので、めちゃくちゃやりたかったです」

──試合が決まってからの日々は、試合が確定しない時期と比べるといかがでしたか。

「やっぱり気持ちの入り方が違いました。相手が決まってから、あっと言う間にファイトウィークになるぐらい充実していましたね。生きているというか、『これだよ、これ』みたいな。何か、体の中から出てくるモノがありました」

──その成果をアリ・カラダギィ選手にぶつけるのみ……なのですが、キックやラウェイを戦っているUAEがベースのファイターだと聞きました。

「ハイ。中井(裕樹)先生と親交が深くて、柔術をやっていると。あとは合気道とか日本の武術にも傾倒していると聞いています。MMAはやったことがないみたいですけど」

──MMAファイターとしては全く分からないです。ただ、この期間で内藤選手との試合を受けて、計量にあの表情と装いで現れる。人として、相当な強さではないかと。

「確かにそうですね(笑)。ドバイに住んでいるって、バシッとしたスーツ姿でやってきて。格闘技をやる必要なんてない人なんじゃないですか。アハハハハ。これで俺に勝てば、パンクラスのチャンピオンに勝ったという泊がつきますし、腕試しをやってやろうという気持ちなのかもしれないです」

──対して、内藤選手は……。

「もうリスクしかないですよね(苦笑)。負けるわけにいかないです。気を抜かないように、自分の得意なところで仕留めに行きます」

──そこですね。オサリバンが相手だとMMAファイターとしての成長や可能性を見せる試合になるはずでした。ただし、相手が代わってキックボクサーなら、もうベースとなる強い部分で勝つのみという試合が必要です。

「そうッスよね。いくら仲間内で評価されても、それが試合で発揮されるのか。本当に言われているような強さがあるのかっていう見方をされていると思います。そこを見せる試合が、ディラン選手とできると期待していました」

──この間、上を目指してなかなか上手くことは運ばなかったです。この試合後、その状況が劇的に変わることはないはず。そのなかで、今後のキャリアアップをどのように考えていますか。

「UFCを目指す中でUAEWなのか、LFAなのか。海外の目根―ジメントと契約していて、ここで勝てば6勝無敗になるのでゴリゴリに押してもらうしかないです。当然、コンテンダーシリーズに出るつもりでいます。その気は満々です。ミドル級だとRoad to UFCもないし、そこで引っ掛かるしかないと思っています。正規ルートなんてないし、何が正解とかもない。僕の階級だと、この島国からUFCに行くというのはそういうことで。日々、模索し続けないといけない。

とにかく明日の試合で勝つ。フィニッシュして勝つ。2年も試合をしていないので、勝たないと何も始まらない。ここで試合をするというのは、そういうことですし。これからのことは、また周囲と協力しあって……今年こそ、UFCに行かないといけないので──明日はしっかり勝ちますっ!!」

■Pancrase344&345視聴方法(予定)
6月30日(日)
午後12時00分~U-NEXT

■Pancrase345

<ミドル級/5分3R>
内藤由良(日本)
アリ・カラダギィ(UAE)

<フェザー級次期挑戦者決定戦/5分3R>
平田直樹(日本)
Ryo(日本)

<ライト級/5分3R>
西尾真輔(日本)
神谷大智(日本)

<フライ級/5分3R>
大塚智貴(日本)
山崎聖哉(日本)

<ウェルター級/5分3R>
渡邉ショーン(日本)
武者孝大郎(日本)

<バンタム級/5分3R>
友寄龍太(日本)
さぶろう(日本)

■Pancrase344

<フェザー級/5分3R>
キム・サンウォン(韓国)
中田大貴(日本)

<フライ級/5分3R>
上田将年(日本)
眞藤源太(UAE)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
小森真誉(日本)

<フライ級/5分3R>
大野友哉(日本)
小林了平(日本)

<ネオブラットTフライ級準決勝/5分3R>
饒平名知靖(日本)
山崎蒼空(日本)

<バンタム級/5分3R>
渡邉泰斗(日本)
佐藤ゆうじ(日本)

<ストロー級/5分3R>
渋井宏行(日本)
日向優希(日本)

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45 DEEP DREAM MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase344 RIZIN YouTube パンクラス 上田将年 伊藤盛一郎 伊藤裕樹 修斗 原田惟紘 所英男 眞藤源太 鶴屋怜

【Pancrase344】1年半振りのパンクラス=上田将年「若いファイターと対戦したくないと考えるのは違う」

【写真】筋が通っているというか、軸がぶれないというか。さすがの上田将年です(C)SHOJIRO KAMEIKE

30日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるダルヘッダー昼の部=Pancrase344で、上田将年が眞藤源太と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

上田にとっては2022年12月以来、1年半振りのパンクラス参戦となる。昨年11月のBloom FC、そして今年2月のRIZIN佐賀大会と地元・九州での2試合を経て、上田は何を掴んだのか。さらに幾度もタイトルに挑み、ランキング上位の常連でもあった上田がノーランカーとの復帰戦を受けた理由に、上田らしさが溢れていた。


――2022年12月の伊藤盛一郎戦以来、1年半振りのパンクラス参戦となります。パンクラス以外で戦っていた1年半は、上田選手にとってどのような期間でしたか。

「地元で2連戦できたのは大きかったです。自分のMMAキャリアが終盤に向かいつつあるなかで、ずっと『地元で試合をしたい』という気持ちがありました。まず鶴屋怜選手、伊藤盛一郎選手と2連敗して、1回期間を空けようかと考えていたんですよ」

――上田選手の場合は、コロナ前からフライ級上位陣と戦い続けてきました。そのぶん疲れが溜まっているのでは……とも思っていました。

「体の疲れよりも、2連敗して心が疲弊していましたね。だから『1回休もう』と。ちょうどその頃に、所英男選手のセミナーが福岡で開催されたんです。僕にとっては所選手って、高校時代にテレビで見ていた憧れのファイターで。その所選手からアドバイスが欲しいと思って、自分の今の気持ちを話してみたんですよ。すると『そういう時は1回ガッツリ休んでみても良いと思う』と言われました。所選手もDREAMやRIZINに出ている中で、ガッツリと休んだ時期があったそうで……」

――伊藤盛一郎戦からBloom FCのオトコンバヤル戦まで約1年の期間がありました。その間はどう過ごしていたのでしょうか。

「いつもどおり練習して、育ってきている福岡の後輩選手たちのサポートに回ったりとか。でもサポートに回っていても、見ていると自分も試合がしたくなってきて(笑)。サポートしながら刺激をもらって、またサポートしながら刺激を――という繰り返しでした」

――Bloom FCではオトコンバヤルに判定勝ちを収めたものの、続くRIZINでは伊藤裕樹選手に敗れています。あの試合については?

「伊藤裕樹戦は、自分が守りに入りすぎてしまいました。自分は組みたい、伊藤選手は殴りたいと互いの作戦が違うなかで、僕は伊藤選手の打撃をブロッキングして組みに行きたかった。そのために伊藤選手としては、打撃の防御についてはイージーになったと思います。自分が殴って触って、次に僕が組みに来るのは分かっていたはずですから」

――伊藤裕樹戦前のインタビューでも、ご自身が守りに入ってしまう点について触れていました。一方でオトコンバヤル戦では、自分からアクションを起こすことができていた、と。しかし伊藤戦で守りに入ってしまったのは、何か理由があるのでしょうか。

「伊藤戦は当て勘が良くて、カウンターを当てるのも巧いですよね。こちらが変に打撃を出したところにカウンターを合わせられたくなかった。序盤に伊藤選手のパンチをブロックした時、このまましっかりブロックしていればKOされることもないし、ダメージを受けることはないと思ったんです。それで逆にブロッキングに頼ってしまい、相手に触られる機会をつくってしまったと考えていて。自分もジャブを打ちながら前に出て、相手に反応させてから組みに行けば――と試合後、原田惟紘さん(G-face代表)とも話をしました」

――では伊藤裕樹戦の内容と結果を受けて、ここまでに取り組んできたことはありますか。

「まず思ったのは……経験値がない時代は、良い形で組めなくてもガムシャラに攻めていたんですよね。スタミナのことも考えずに(笑)。でもその結果、動きが出来てスクランブルになって自分が上を取る。それが僕の強みだったと思います。

でも経験を重ねるなかで、『今ここで行くべきか……』と変に落ち着いて考えてしまうことも増えました。伊藤裕樹戦の映像を視返すと、『ここは練習なら行っとうよな』と思う場面は結構あって。でも試合中は『ここで行ったらスタミナがどうなるか』と考えてしまう。

最近は丁寧につくっていこうという気持ちが強くなっていたかもしれないです。だけど、ちょっと雑でも良い。ドリルとかスパーリングの中でも、自分が完全に良いところを取れていなくても動きをつくることを意識してきました。もちろん、動きをつくる分疲れます。でもその部分をクリアできないと、前回と同じことになってしまうので」

――きっとMMAはその繰り返しなのだろうと思う時はあります。上田選手ほどのベテランでなくても……たとえば若い選手でも、できることが増えたら試合中に考えてしまう場面が増えてしまったと。そこで一瞬、動きが止まったところを相手も見逃さないわけで。

「なるほど。最初のガムシャラな気持ちがあって、技術的にできることも増やし、さらに経験を積んでいった時に、それらをうまく融合させられたら動きに繋がるのでしょうね」

――パンクラスでは現在ランキングから外れています。そんななかでノーランカーの眞藤選手と対戦することになりました。

「実はこの試合の前に、ランカーとの試合のオファーが来ていたんですよ。自分もパンクラスさんには『前戦で負けているので、相手を選べる立場ではないです。パンクラスさんが選んでください』と伝えていて。でもタイミングが合わずに何度か話が流れて、今回の進藤選手との試合が決まりました」

――そうだったのですね。パンクラスに復帰するうえで、目指すはパンクラスのベルトなのでしょうか。

「そうです。伊藤裕樹戦が終わって『これからどうしようかなぁ』とは考えたんですよ。『違う団体で試合をするのも一つだな』とか。でもMMAを戦ううえで何か一つ目標は欲しい。じゃあ今は何が欲しいのか、と考えた時に思い浮かんだのは――やっぱりパンクラスのベルトでした。鶴屋戦、伊藤盛一郎戦と2連敗していても、諦めることができないです」

――他の団体に出場することも考えたのですか。

「はい。でも『次どこで試合しようか……』と考えているうちに、試合もせず1年が経ち――ベテラン勢の名前だけが残っていくことって多いじゃないですか。それだとMMA業界全体の新陳代謝には繋がりにくいですよね。僕はそれが嫌で。

若いファイターたちは上の選手を喰いたい。かつて自分もそうであったように。なのにベテランが若いファイターと対戦したくないと考えるのは違う。上の選手も勝てば良い話で、負けたら『自分もここまでか』と思って引退していく。それが格闘技だと思うんですよ。

自分自身もベテランというだけで、名前だけ残しているようなファイター人生を送りたくない。特にパンクラスで試合をしている若い選手からすれば、『1年半もパンクラスで試合をしていないのに、いきなり復帰戦が上位ランカーって……このオッサンは何だ!?』と思うでしょう(笑)」

――アハハハ。逆に若い選手には、それぐらいの意気込みを持ってほしいですね。

「そうなんですよ。それは他の団体に出ても同じだと思います。たとえば僕がDEEPや修斗に出て、いきなり上位陣と組まれるとするじゃないですか。ずっとDEEP、修斗で戦っている選手は『パンクラスでランキングに入っていたからって何だよ』と思うでしょうし。何より僕が同じ立場だったら、絶対にそう思っているはずなので」

――眞藤選手は現在23歳で、次の試合が8戦目です。まさに上田選手を喰いたくて仕方ない立場でしょう。

「そういう相手と対戦することに、少しプレッシャーは感じています。でもパンクラスらしいマッチメイクですよね。オファーが来て、すぐに受けました」

――オファーが来た時点で眞藤選手のことは知っていましたか。

「いえ、名前を見ただけでは分かりませんでした。でも映像を視ると『あぁ、この選手か! 良いファイターだよなぁ』と思って。真っ直ぐ伸びのあるパンチを打つし、寝技も自分からどんどん動いてくる選手です。映像を視ることで改めて、自分もスイッチが入りました」

――とにかく動き続けるスタイルが眞藤選手の特徴です。先ほどの「自分から動きをつくっていく」という話でいえば、上田選手の今が試される相手で正直、一番嫌なタイプの相手ではないですか。

「絶妙なマッチメイクですよね。これは坂本靖さんマジックで毎回『ここで、この相手が来るか!』と感じています(笑)。でもここで自分がオファーを断る理由もなくて。それこそ『上田、お前は前回負けているから、次はこの相手だ』と言われても当然なのが格闘技だと思っていますから」

――上田選手がパンクラスへ、そのように伝えているからではないですか。「確実に自分が勝てる相手と試合を組んでください」と言えば、実現するかもしれません。

「アハハハ! たとえそうであっても、僕は自分を貫きます」

――それこそが上田選手だと思います。

「眞藤選手は運動量が多く、身体能力が高いファイターだと思います。その中にある穴も見つけています。相手もその穴を埋める練習はしているでしょうけど、さらにその穴の奥を突いて、ベテランのズル賢さを見せたいと思います。と同時に、自分としては久々のパンクラス参戦で、上田将年としては初出場です。フレッシュな気持ちで戦い抜きます!」

■視聴方法(予定)
5月30日(日)
午後12時00分~U-NEXT

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【Pancrase344. 345&346】7/21伊藤盛一郎が防衛戦。6/30内藤由良出場&リッチザウルスはサンウォンと

【写真】存在感をアピールするために変顔をリクエストすると、「変顔はできないですけど、物真似ならできます」とティラノザウルスの物真似をしてくれた中田──会見場が一気に氷河時代に……(C)MMAPLANET

13日(月)、東京都新宿区のサンエービルで25日(土)に港区のニューピアホールで開かれるPancrase343出場5選手が出席した会見第一部に続き、6月30(日)に同所にて開催されるPancrase344&344に出場する内藤由良、キム・サンウォン戦が決まった中田大貴、そして直接対決となる西尾真輔と神谷大智に加え、7月21日(日)に立川市の立川ステージガーデン大会=Pancrase346でムハンマド・サロハイディノフの挑戦を受けるフライ級KOP伊藤盛一郎が出席した会見第2部が行われた。
Text by Manabu Takashima

ここでは出席した5選手の会見冒頭における挨拶とMMAPLANETの質問への返答に特化して、同会見の模様をお伝えしたい(要約)。

神谷大智
「自分のやるべきことをしっかりとやって、勝ちたいと思います」

西尾真輔
「今回、勝つと負けるのとじゃ凄く違ってくると思うので。今回は泥臭くても、何が何でも勝っていきたいと思います」

中田大貴
「前回の試合、キャンセルになっちゃってどうしようかと思っていたら、パンクラスの方からゴツイ相手を用意していただいたので自分の全てを出してぶつかって行こうと思います」

内藤由良
「チャンピオンになってから2年振りの試合になるんですけど、世界で戦っていく準備等々──紆余曲折、色々とあった2年でした。最後にパンクラスで試合をしてから、今年中にはUFCに参戦できるようにやっていきたいと思います。まず第一ステップとして、相手はまだ誰になるのか分からないのですが、しっかりと倒して、しっかりと今年は世界に向かっていきたいと思います」

伊藤盛一郎
「パンクラスさんがまた強い海外の選手を連れてきて、今ランキング1位にとても強い選手がいるんですけど、ぶちのめしたい。勝って今後、皆に違う舞台で試合を見たいと言ってもらえるような試合で勝って盛り上げていきたいと思います」


──伊藤選手と内藤選手、前回の試合から目指していたところがあったかと思いますが、結果としてこのタイミングでパンクラスで再び戦うことになった。そこへの意気込みの方をお願いします。

伊藤 前回の試合が終わってチャンピオンになってから、自分もRoad to UFCにエントリーして──通らなかったのですけど、チャンピオンになってから世界へという違う道が見えてきて。今回、海外の選手とやれるんで。この試合が自分の実力を試す良い場なのかと。ここで負けているようじゃ、Road to UFCに行ってもダメだっただろうし。世界に出て行っても、どうせ勝てないと思うので。ここでしっかりと勝って、グランドスラムから世界で戦っていける選手になりたいです。

内藤 パンクラスは想い入れのある団体でもあるし、前回の試合が終わってから海外のマネージメントとは契約をさせてもらいました。でもなかなか試合の機会……例えばLFAとかUAW Warriorsだったりだとか。あの辺との掛け合いとかもあったんですけど、決まっていた試合がなくなったり、色々と様々な問題があって……。これから世界に出ていくには、どうしようかなと考えた時に、とにかく試合をしないと。格闘家なので試合をしないと始まらないので、何か1つアクションを起こすとして、さまざまな色んな声があるなか、最後はパンクラスでやらせてくれるということだったので。ここでしっかりと勝って、世界に向かいたいと思います。

──中田選手、会見の第一部でフェザー級挑戦者決定戦を戦う2選手がいました。そこを見て、ご自身の現状とこの試合に向けての気持ちを教えていただけますか。

中田 ちょっと前と比べると、大分ランキングも落ちちゃって(笑)。試合も1年振りになっちゃって、悔しい想いをしているんで。平田選手とRyo選手の試合ももちろん注目していますし、とにかく今は勝ちたいという気持ちが強いです。ずっと苦しい気持ちでいたので、まずは勝ちたいです。

──神谷選手、BRAVEジムの先輩と後輩には他競技で実績を伸している選手達が一気にステップアップを果たすような形で試合をしています。対して神谷選手は、パンクラスでコツコツとキャリアを積んできました。派手な後輩たちと、ご自身のキャリアの積み方の違いをどのように捉えていますか。

神谷 ジムの後輩たちは派手にKOしたり、派手に勝ったり、色々と魅せ方もありますけど、強さも持っているので。そこは僕も羨ましいと思います。対して、自分は地道に勝っていてレコードは良いかもしれないですけど、魅せ方としてはアマチュアというか、まだダメだという面もあると思います。でも自分は自分なので。先輩として後輩たちに強いところを見せていく、回りの人たちにもこの戦い方でも違う意味で華があるよう魅せていけるような選手になっていきたいです。

また6月30日のニューピア大会は上田将年×眞藤源太のフライ級戦、谷内晴柾×原田惟紘のバンタム級戦など他4試合も明らかとなっている。上田&原田、筑豊パンクラシストの揃い踏みとなる。

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