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【ONE FN27】身長差12センチ、澤田千優対戦──モン・ボー「もうワンパンチ・ファイターじゃない」

【写真】計量前夜、動いて汗をかいていたモン・ボー。澤田とともども計量&ハイドレーションもクリア。セレモニアル計量とファイトを残すのみ(C)MMAPLANET

明日11 日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night27「Tang vs Abdullaev」が開催され、モン・ボーが澤田千優と対戦する。

11年と2カ月前のMMAデビュー戦で、ともにプロMMA初陣だった現UFC世界ストロー級王者ジャン・ウェイリを倒しているモン・ボーは、女子MMA界屈指のハードパンチャーだ。しかし、打撃主体の母国でのMMAではカバーできていた弱点=組み技の完成度の低さは、ONEで戦うと彼女の強ささえもスポイルするようになった。

そして一昨年11月に三浦彩佳にアヤカロックを極められると、タイのパタヤに拠点を移したシンジャン・ファイトジムを離れてなんか、プーケットのタイガームエタイで汗を流すようになった。徹底的にレスリングと柔術の強化に取り組んだモン・ボーは、澤田との対戦を前に「弱い自分を乗り越えることができた」と、この1年を振り返る。

身長差は12センチ、長所がハッキリした対戦は澤田、そしてモン・ボーにとって──MMAファイターとしての完成度の高さが問われるタフファイトになりそうだ。


――1昨年の11月に三浦彩佳選手のアヤカロックで敗れて以来、実に14カ月ぶりの試合となりました。この間、これだけ試合間隔が空いたのは何か理由があったのでしょうか。

「そうね、長い間試合をしてこなかったわ。ONEから試合出場の要請がなかったこともあるけど、自分の方から急いで試合をしようとは思っていなかったのも事実で。私にはまだ組み技、寝技に穴があったから。

この14カ月の間にレスリングと柔術の練習をしっかりと積んできた。そして、ONEが私の相手を見つけてオファーがあった。新しいモン・ボーを見せる時がやってきたのよ」

──その1年強の間、タイで練習していたのですか。

「そうね。タイガームエタイで1年間、練習してきた。日本人選手とも練習してきたわ。リョースケ・ホンダとか。その甲斐もあって、今ではグラップリングやレスリングにも自信が持てるようになった。もちろん、打撃に関しては自分の力は把握している。弱点を克服しただけでなく、長所を伸ばすことができた。その成長を今回の試合で見せたいと思う。

私は自分の力を把握している。グラップリングも今では悪くない。何より、自信がついたことが大きい。以前は寝技の展開になることを恐れていた。でも今ではそういう……弱かった自分を越えることができた。まずは自分自身に勝てたと思っているわ」

──女子アトム級の最強のパンチャーが、より強い拳を持つことになったのですね。

「私のパンチは、一発で相手を倒すことができるわ。でも、それだけじゃダメだった。今ではコンビネーションを使えるし、レスリングも柔術もできる。ウェルラウンディット・ファイターになった。全ての局面で、進化できたわ。もうワンパンチ・ファイターじゃない」

──成長を感じるなかで、ONE女子アトム級最強のレスラーである澤田選手と相対します。

「彼女の試合は、全てチェックしたわ。とても気持ちの強い選手ね。1度でもテイクダウンを決めると、そこから攻撃を止めることがない。どれだけパンチを顔面に被弾しても、絶対に諦めない。本当に強いファイターで。それだけの覚悟を持って、私も土曜日には戦うつもりでいるわ」

──公称では身長差は12センチです。このサイズの違いをどのように捉えていますか。

「確かに彼女は背が低いわ。でも、凄く力強い。私は背が高いけど細い。どうなるか、試合が始まってみないと……」

──背の低い選手が、テイクダウンを得意としている。その点はどのように対策を?

「もちろん対策練習はしてきたわ。でも、彼女のような体格で、彼女のように強い練習相手を見つけることは簡単じゃないから(笑)。それでも、しっかりと作戦を立てて練習はしてきた。それに私の方が、リーチがある。距離をコントロールして、自分の間合いで戦いたい。

ファイトはファイト。本当に次の1秒で何が起こるか分からない。でも、ファンにKOを見せたいと思う」

■放送予定
1月11日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE FN27対戦カード
<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]タン・カイ(中国)
[挑戦者] アクバル・アブデュラエフ(キルギス)

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)暫定王者決定戦/5分5R>
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ(米国)
コディ・ジェロム(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
パルハム・ゲイラティ(イラン)

<サブミッショングラップリング・180ポンド契約/10分1R>
トミー・ランガカー(ノルウェー)
ダンテ・リオン(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
ジョン・リネケル(ブラジル)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
サンジャル・ザキロフ(ウズベキスタン)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アーロン・カナルテ(エクアドル)
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
モン・ボー(中国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
スーブラック・トー・プラン49(タイ)
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE169 マカレナ・アラゴン 三浦彩佳

【ONE169】やはりアヤカロック=スカーフホールド&アメリカーナ! 三浦がアラゴンを撃破しボーナス獲得

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
Def.1R2分20秒 by スカーフホールド&アメリカーナ
マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)

開始早々、距離を詰めた三浦がシングルレッグへ。アラゴンが左腕を差し上げてグラウンドに持ち込んだ。袈裟固めに移行すると三浦が反転し、四点ポジションから立ち上がる。しかしアラゴンも立ち上がり際にヒザを突き刺す。三浦はガブられながらもアラゴンの左腕を巻き付け、さらに相手の首を抱える。そのままアラゴンの左腕を両脚で挟み、「リバース・アヤカロック」の形に。これは極まらなかったが、上になってアヤカロック=スカーフホールド&アメリカーナでさらにアラゴンの左腕を絞り上げる。一度は腕が外れるものの、再度セットアップしてタップを奪った。

勝利した三浦は「ナメなんな!」を雄たけびを挙げ、リングアナウンサーと抱き合うと恒例の涙顔に。「相手は柔道で凄い戦績を持っていて、私は柔道は全然戦績を残せていません。でも今日はMMAで、アヤカロックを決めて『私の技だぞ』と照明できて良かったです」と喜びを語る。そんな三浦に5万ドルのファイトボーナスを与えられ、「いつも満足のいく試合じゃないし、試合もキャンセルされて――今日はアヤカロックで5万ドルをもらえて嬉しいです。長南さん、視ていますか? 今日はジムのボスが来られなくて、彼氏のアーセンとトレーナーの堀江さんが来てくれました。5万ドルは皆のために使います」と、さらに喜びを爆発させた。


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45 o ONE ニュース マカレナ・アラゴン ルンピニー 三浦彩佳 平田樹

【ONE】速報中!ONE 169 三浦彩佳× マカレナ・アラゴン

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ロッタンの計量失敗というバッドニュースもありましたが、今日はONEのナンバーシリーズONE 169: Malykhin vs. Reug Reugがタイのルンピニースタジアムで開催されます。日本人ファンの注目はやはり三浦彩佳。最近は平田樹との日本人対決を制して波に乗るかと思いきや、試合のキャンセルが続いて今回に至りました。アルゼンチンの新鋭マカレナ・アラゴンを相手に勝ち切る事が出来るか。U-NEXTを観戦しつつ、電波と充電の続く限り速報します。乱筆乱文にはご容赦くださいませ。


【ONEアトム級】
◯三浦彩佳(日本)
(1R アヤカロック)
×マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)
1R、開始直後に組み付いた三浦。しかしアラゴンの腰は重い。逆に投げてテイクダウンに成功。組み技の強さを見せる。三浦も下から組み付いてリバースを狙うがアラゴンが堪える展開。押し切ってリバースすると得意の袈裟固め!腕も極めて絞め上げるとアラゴンはタップ!三浦が完勝です!
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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE169 YouTube アドリアーノ・モライシュ アナトリ―・マリキン アニッサ・メクセン アフメド・ムジタバ アミール・アリアックバリ ウマウ・ケニ・ログログ キック ケイド・ルオトロ ゲイ・ババカール ゴントーラニー・ソー・ソンマイ サムエー・ガイヤーンハーダオ ジャッキー・ブンタン ダニー・キンガド ボクシング マカレナ・アラゴン マーカス・アルメイダ マーカス・ブシェシャ・アルメイダ ルンピニー ロッタン・シットムアンノン ヴァウテル・ゴンサウベス 三浦彩佳 水口清吾

【ONE169】三階級制覇、無敗&判定勝ち無し=マレキンに挑む、セネガル相撲出身ログログ

【写真】インスペクターも含め、怪獣総進撃のようだ(C)ONE

明日9 日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE169が開催される。日本から三浦彩佳が出場する同大会。ONEムエタイ世界フライ級王座の防衛戦を行う予定だったロッタン・シットムアンノンが制限時間内に計量をパスできず、王座剥奪。キャッチ戦となった変則世界戦は、ジェイコブ・スミスが勝利した場合のみ王者に認定されることとなった。
Text by Manabu Takashima

トリプルクラウンがダブルクラウンとなったイベントのメインはONE世界ヘビー級選手権試合=王者アナトリ―・マリキン×挑戦者ウマウ・ケニ・ログログの一戦だ。ミドル&ライトヘビー&ヘビー級の三冠王者にとって、ヘビー級王座の初防衛戦となる。


マレキンはこれで2022年2月の暫定ヘビー級王座決定戦から、同年12月のライトヘビー級王座挑戦。昨年6月のヘビー級王座統一戦。そして今年3月のミドル級王座挑戦を経ての王座防衛戦で、5試合連続の世界戦となる。

ONE独自の階級により、北米階級ではヘビー級に相当する選手がライトヘビー級で戦える背景もある3階級制覇とはいえ、腰に巻き、両肩に掛けるベルトの数よりもマレキンの偉業はその圧巻の試合内容といえるだろう。

4試合の世界戦はおろか、ONEで戦った6試合の全てがフィニッシュ勝利。キャリア全般においても、敗北も判定勝ちも一度としてない。

対するログログはMMA二戦目からONEで戦い、通算戦績は5勝1敗。前回の試合ではムエタイ初陣をKO勝ちで飾っている。ONE特有のマルチウェイトカテゴリー、マルチスタイルが融合したMMAヘビー級のベルトに挑むこととなったログログのベースは、ルッ・セネガル=セネガル相撲だ。

セネガル相撲といえば、先月14日に第1回大会が実施されたROMANにゲイ・ババカールが出場し、僅か18秒で水口清吾をパウンドアウトしている。

ナチュラルにパンチを出せ、被弾しても怯まないレスラー。それがセネガル相撲勢といえる。殴ることが許されたレスリングだけに、MMAでいえばダーティーボクシングがクリーンファイトとなり彼らのDNAに組み込まれている。過去の試合からいえば序盤のテイクダウン能力の高さは、マレキンも警戒が必要だろう。とはいえ距離を取ったキックボクシングをされると、距離の詰め方とスタミナ配分には課題も残る。

グラップリングといえば攻めより、防御力の方が高いか。マーカス・アルメイダ・ブシェシャに極めさせなかったのは、ともに疲労困憊でグダグダのファイトであったとはいえ特筆すべきことだろう。

MMAファイターとしての完成度の高さでは、チャンピオン。そしてフィニッシュ力もマレキンだが、序盤の瞬発力ではログログも負けていない。加えて、そこから試合が長引くと……マレキンも持久戦には未知数な部分が残っている。とはいえログログのスタイルからも、試合がチャンピオンシップラウンドまで続く可能性は低い。

同時に短時間のファイトではマレキン有利だが、ログログも序盤にだからこそ発揮でいる一発を有しているかもしれない──そんな王者有利なヘビー級の頂点争いといえるだろう。

■ONE169 視聴方法(予定)
11月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE169 対戦カード

<ONE世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アナトリ―・マリキン(ロシア)
[挑戦者] ウマウ・ケニ(セネガル)

<ONEムエタイ世界フライ級変則選手権試合135.5ポンド契約/3分5R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
ジェイコブ・スミス(英国)

<ONEキックボクシング女子世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者] ジャッキー・ブンタン(米国)
[挑戦者] アニッサ・メクセン(フランス)

<フライ級((※61.2キロ)/5分3R>
アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
ダニー・キンガド(フィリピン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)
タギール・カリロフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
アフメド・ムジタバ(パキスタン)

<キック・ストロー級/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
ジャン・ペイメン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
エディ・アバソロ(米国)
モハメド・ユネス・ラバー(アルジェリア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(マレーシア)
ヴァウテル・ゴンサウベス(ブラジル)

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE169 RIZIN UFC YouTube   アドリアーノ・モライシュ アナトリ―・マリキン アニッサ・メクセン アフメド・ムジタバ アミール・アリアックバリ アレッシャンドリ・パントージャ ウマウ・ケニ・ログログ キック ケイド・ルオトロ ゴントーラニー・ソー・ソンマイ サムエー・ガイヤーンハーダオ ダニー・キンガド ボクシング マカレナ・アラゴン マーカス・ブシェシャ・アルメイダ ルンピニー ロッタン・シットムアンノン ヴァウテル・ゴンサウベス 三浦彩佳 朝倉海

【ONE169】1年半振りの実戦=アドリアーノ・モライシュがONEの現状&ATT同門パントージャ×朝倉海を語る

【写真】もう11年も太平洋、時には赤道を越えて、赤道付近まで戻るという遠征をしてきたアドリアーノだからこそ──という言葉が訊かれた(C)MMAPLANET

9 日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE169で元ONE世界フライ級王者アドリアーノ・モライシュが、昨年5月のDJ戦以来18カ月振りとなる戦線復帰でダニー・キンガドと戦う。
Text by Manabu Takashima

1年半振りの試合に向け、ONEでの現役生活も11年を数えるようになった元世界チャンピオンは、ここ数年のONEの変化を敏感に感じ取り、気持ちが途切れたこともあったと振り返る。

しかし、今年の6月の長女の誕生とともにやる気を取り戻したアドリアーノの心境とは。そしてATTチームメイト、アレッシャンドリ・パントージャと朝倉海のUFC世界フライ級選手権試合に関して、チームメイトとして見立てとは?


──アドリアーノ、お久しぶりです。調子はいかがですか。

「本当に久しぶりだよね。今は計量にむけて、体重の調整に入っているけど調子は上々だよ。この間もトレーニングを欠かすことはなかった。そして、家族と一緒の時間を過ごした。チームメイト、家族、皆が支えてくれて今を迎えている。凄くワクワクしているよ」

──その久しぶりというのも今回は18カ月振りの試合だから、ということもあります。ここまで試合間隔が空いたのは何か理由があったのでしょうか。

「ノー。ずっとONEに試合がしたいと伝えていたけど、今回まで実現しなかっただけだ」

──この2年ほど、ONEは明らかにキックやムエタイ、そしてサブミッショングラップリングに力を入れています。アドリアーノにもキックやグラップリングの試合のオファーはなかったのでしょうか。

「そこは……ちょっとね、ビックリさせられているよ。MMAは打撃とグラップリングの複合競技だ。そのMMAの根幹を引き裂いて、MMAファイターにどちらかの試合をさせようというのは……。僕らは打撃は打撃、組み技は組み技ということでストライキングやグラップリングのトレーニングをしているわけじゃない。

それでも僕はプロとして、契約下にあるのだからONEのために戦いたいと思っている。短期間でなく長い目で見てONEとやってきたのだから、僕は僕の役割を果たし金を稼ぐんだ(笑)」

──プロモーションとして必要なのでしょうが、世界的に見てネームバリューのあるMMAファイターを他競技に投入し、本職に敗れる姿を見るのは悲しいことです。

「MMAファンは悲しむよ。個人的にキックやムエタイの試合を見ることも好きだけど、戦うならMMAだ。MMAを戦うために、練習してきたのだから」

──そんななか9月にDJが引退を発表しました。彼がいなくなったことはONEで現役生活を全うしているアドリアーノの気持ちの部分に影響を与えないですか。

「3度目の試合が勝ち負けに関係なく、内容が良くなかった。だから、DJと戦う機会が永遠に失われたことは残念に思う。特に僕は試合にも負けたし、もっと積極的なアクションのある戦いをDJともう1度繰り広げたかったよ。

と同時にDJが全てをやり切って、引退を決意したことを祝福したい。全てをやり切ったレジェンドが、身を引く決意をした。その決断をリスペクトしているし、DJが決めたことだから正しいタイミングだったと思っている。でも、僕がベルトを取り戻すとDJも戻って来るんじゃないかな(笑)」

──なるほどです(笑)。DJと同様に、アドリアーノもMMAファイターとしてやり切ったと感じる年齢になりつつあると思います。DJが去った今、どのようなモチベーションを持って戦いの場に戻ってきたのでしょうか。

「そこはDJの引退云々でなく、6月に娘が生まれたことが一番大きいね」

──おお、それはおめでとうございます。

「ありがとう。彼女の誕生が、過去になかったモチベーションを僕に与えてくれた。実は試合がしたいと思っても、なかなかその機会が与えられないできた間は、もうどうでも良いやという投げやりな気持ちになることもあった。

ONEのMMAのなかでも、特にフライ級の試合は少ないと感じていたし。タイトル戦線も動かない。そりゃあ、やる気が削がれたよ。でも、娘が生まれて僕の心に再び火がついた。まだ契約が残っている。なら、やってやろうという気持ちになったんだ。

肉体的にも衰えはないし、そこに精神が融合すると今の僕は20代の時と何ら変わりない。大きなケガもないし、手術をしたこともない。同時に35歳になって、あと何年戦うことができるのか自分でも分からない。でも少なくとも契約が満了になるまでは、強い気持ちを持って戦い続けることができる。なにより、今回の試合でも娘が僕の力の根源になっていることは間違いないよ」

──娘さんがパパは何をやっているのかを理解できるようになるまで、アドリアーノには戦い続けてほしいです。

「そうだね。彼女が誇ることができる父でいたい。そうなるためにも、僕は気持ちを込めて戦い続ける」

──そのようななか7年前に戦ったダニー・キンガドと戦うことに関しては、何か想うところはありますか。

「そこに関しては、良い試合が組まれたと思っているよ。

2017年11月10日、ONE世界フライ級 王者だったアドリアーノは、1R4分45秒にRNCでキンガドを破り王座防衛に成功している

僕もダニーも7年前とは別人だ。お互いが成長してきた。ダニーは今も変わらずパワフルなパンチとキックを使う。何よりグラップリング面での成長は目を見張るものがある。

それでも、僕の方がまだ彼の前を行っている。技術的に僕の方が上だし、しっかりとフィニッシュしたい」

──ではリングでの試合をどのように考えていますか。

「リングとケージで、MMAが違うスポーツになるとは思っていない。でもアジャストが必要なのは絶対だ。ケージコントロールができないことは、大きい。それでもコーナーも使えるし、僕の戦いがものすごく変わることはない。リングでやれることをやるだけだよ。

レフェリーが試合を止めて、頭を中央に回す。パンチとキックが加わっただけで、その流れは柔術で十分に経験してきたからね(笑)」

──押忍。試合を今週末に控えて、そこに集中しているアドリアーノですが、一つチームメイトに関して質問をさせてください。

「パントージャのことだね(笑)」

──ハイ。12月に朝倉海選手の挑戦を受けます。朝倉選手とアドリアーノは、身長がほぼ同じ。パントージャの対策練習のパートナーだったのではないかと。

「パントージャとは、本当に多くの練習を繰り返してきたよ。キャンプ中も僕が彼を助けて、彼が僕を助けてくれた。パントージャは、次の試合に向けてめちゃくちゃ気持ちが入っている。

そうだね……カイ・アサクラはとても良い試合を日本でしてきた。ただし、それをラスベガスで再現できるかといえば疑問は残る。それに彼にとって、125ポンドで戦うのはいつ以来になるのか?」

──7年半振りかと思います。

「だろう? それは大変だよ。対してパントージャにとって、ラスベガスはホームのようなものだ。減量も問題ないだろう。グラップリングに関しては、絶対的な差が存在している。カイ・アサクラは125ポンドに落として、5Rを戦い切ることができるのか──お手並み拝見だよ。簡単なことじゃないはずだ。そこに関してパントージャはアドバンテージを持っている。UFCの世界戦、ラスベガスで戦う感覚を体が覚えているからね。

UFCデビュー戦で、UFC世界王座に挑戦できるなんて人生最大のチャンスをカイ・アサクラは手にした。だから、その状況を楽しんでほしい。そんな機会を得られる選手は、今やいない。それに勝てば、確か日本人で初のUFC世界チャンピオンになるんだよね?」

──ハイ。その通りです。

「そりゃあ、日本のMMA界にとっても凄く良いことじゃないか。皆がカイ・アサクラに期待しているのも分かるよ」

──初陣がタイトル戦というのは、国内でも様々な反応がありました。ただ、UFCが日本で盛り上がるために朝倉海選手への期待は相当に高まっています。

「小さいことに拘っていちゃダメだ。でも、本当にカイ・アサクラにとっては過去に経験したことがないようなタフな戦いになるだろう。時差、気候の違い、全てがファイトに影響してくる。本当にカイ・アサクラはRIZINで良い試合をしてきた。ただし、日本で戦っていた時のようなパフォーマンスを米国で発揮できるとは限らない。どうなるか、だね」

──そうはいってもアドリアーノ自身がかつてはブラジルから、今はフロリダから朝倉選手以上の長旅と時差、気候の違いを乗り越えて東南アジアで戦っているではないですか。そして、能力通りの力を発揮している。なら、朝倉選手も可能だということですよね?

「本当だ。メェ~ン、痛いところをついてくるね(笑)。僕らはファイターだ、世界のどこにいようが、しっかりと戦わないといけない。そうだね、どういう戦いになるのか見届けようじゃないか。一つだけ言えるのは、パントージャは本当にタフだということ。

彼はチャンピオンのマインドセットを備えて、戦っている。彼の武器、拳、蹴りは他にないモノだ。グラップリングも日々進化している。カイ・アサクラにとって、本当に手強い相手になる。それは断言させてもらうよ」

──ONEのメディアデーに関わらず、UFC世界戦について話していただきありがとうございます。では、アドリアーノの18カ月振りのファイト。期待しています。

「本当に長い間、待ち続けた。僕はまたフライ級王者になる。そしてONEフライ級タイトル戦線を活発化させるよ。日本のファンにも、期待してほしい。いつも、応援ありがとう」

■ONE169 視聴方法(予定)
11月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE169 対戦カード

<ONE世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アナトリ―・マリキン(ロシア)
[挑戦者] ウマウ・ケニ・ログログ(セネガル)

<ONEムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者] ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジェイコブ・スミス(英国)

<ONEキックボクシング女子世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者] ジャッキー・ブンタン(米国)
[挑戦者] アニッサ・メクセン(フランス)

<フライ級((※61.2キロ)/5分3R>
アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
ダニー・キンガド(フィリピン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)
タギール・カリロフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
アフメド・ムジタバ(パキスタン)

<キック・ストロー級/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
ジャン・ペイメン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
エディ・アバソロ(米国)
モハメド・ユネス・ラバー(アルジェリア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(マレーシア)
ヴァウテル・ゴンサウベス(ブラジル)

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【ONE169】2度目のMMAへ。ケイド・ルオトロ「次にやってくる波は、失われた柔術の技だよ。それが……」

【写真】緊張しているようには、感じられたなかったケイド。インタビューでは、それを見せないだけかもしれないが──とにかく興味深い話が聞かれた(C)ONE

9 日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE169でケイト・ルオトロが2度目のMMAに挑む。
Text by Manabu Takashima

アフメド・ムジタバと相対するケイドは、8月にCJIを制し100万ドルを獲得。ADCC2022の優勝に続き、この惑星で一番のグラップラーであることを示した。グラップラーが競技で食っていける時代を突き進むケイドが、1億5000万円を獲得した3カ月後にMMAを戦う理由とは。

そして意外な師弟関係にあるエリック・パーソンについて尋ねた。


僕は頭のネジが外れてしまっている

──今週末、アフメド・ムジタバと2度目のMMAを戦います。今の気持ちを教えてください。

「凄くワクワクしているけど、少し緊張しているかな」

──ナーバスになっているというのは?

「いつだって試合前は、ある程度はナーバスになるものだよ。そしてMMAだから、柔術の時よりも緊張の度合いは強い。それでも、楽しみな気持ちの方が大きいけどね」

──もちろん今はムジタバ戦に集中しないといけないのですが、CJI優勝を振り返ってもらえないでしょうか。前回のADCCに続き、CJIの優勝はケイドが改めて世界一のグラップラーであることが証明されました。

「本当に特別な時だったよ。ADCC2022から今年のCJIまで、自分をさらに高めてきた。ただ、これまでのトーナメントで優勝した時のような清々しい気持ちにはなれなかったのも事実だ」

──えっ?

「ONEではタイもベルトを持っている。WNOもそうだ。2人でベルトを巻いた。CJIではタイは不運にもヒザの負傷に見舞われて、決勝まで一緒に進むことがならなかった。確かに100万ドルを手にできたことは、凄いよ。本当に素晴らしいトーナメントだったしね。そこで最高の選手たちに勝つことができた。アメージングな経験になったよ。ただ、タイと優勝をシェアしたかった……」

──ADCCとは違い、同じ階級に出場をしました。決勝に両者が揃って進んでいれば、最後の1試合は行われなかったわけですね。

「そうだね。ファイナルはタイとシェアするつもりだったよ。ただ、タイが2回戦で負ったヒザのケガは酷くて、次の試合に進めなかった。最悪だよ。技術的にタイは僕と比べても……いや、この階級の誰よりも優れているんだ。でも、それが競技の怖いところで、最高の選手が色々なことが要因となって、勝ち上がれるわけじゃない」

──タイの負傷は残念でした。と同時にCJIではアンドリュー・タケットとの準決勝戦、リーヴァイ・ジョーンズレアリー決勝戦など、ケイドや若い選手がグラップリングを観賞用スポーツに昇華させたともいえます。

「そうだね。CJIのルールが、大きく後押ししてくれた。そして、参加選手の多くがただ柔術を戦うだけでなく、エキサイティングな攻防を仕掛けることの大切さを理解していた。退屈な柔術の試合をしていても、生きていくにはアカデミーを開いて指導をしないといけない。

でも柔術を戦って生きていくには、エキサイティングな試合をすることは欠かせない。皆、そういう試合を楽しみにしているのだから。アンドリュー・タケット、そして僕も相当にエキサイティングなファイターだ。その2人が戦ったのだから、試合はああいう風になるよ(笑)」

──CJIはグラップラーが競技生活で、生きていける道筋を創りました。そして100万ドルを手にしたケイドが、3カ月もしないうちにMMAを戦うというのは?

「MMAを戦う理由……、それはCJIが生まれる前からMMAを戦うことを決めていたからだよ。ただし、CJIは本当にタフなトーナメントで体を酷使し過ぎてしまった。ケガも多くて、9月のデンバー大会には出場できなかった。体調はかなり戻せたけど、部分的にはヘルシーでない箇所もある。今週末のファイトが、今年最後の試合になる。タイと一緒に体の回復に努めて、来年はもっと強くなって戻って来るつもりだよ」

──ケイドやタイのグラップリング戦を見るのが楽しみなのは、100パーセントのリアルファイトでシリアスな戦いにあっても、2人も楽しく戦っているように映るからです。その一方で殴りに来る相手と戦うMMAで、ケイドは楽しむという気持ちがあるのでしょうか。

「MMAと柔術は違うね(笑)。正直、それでも楽しもうと思っているよ。その恐怖を楽しむような感覚があるんだ。サーフィンで、とてつもないビッグウェイブに挑む時のようにね。そして、海に投げ出されるとサメが回りにいる。そういう危険な状況を欲している自分がいるんだよ」

──命綱なしにクライミングに挑むようなモノですか。

「それっ!! その通りだよ。MMAって、僕にとってそれに等しいんだ。相手は僕を失神させようと殴って来るんだけど、僕は頭のネジが外れてしまっているのか……そこをエンジョイしているんだ」

──そんなMMAを戦う時に、コーナーにエリック・パーソンの姿が見られました。UFCの前から日本で、30年以上前に戦っていたエリックはいわばオールドスクール・ガイです。もちろん今のMMAに適応していますが、彼の指導をケイドが受けているのが凄く不思議で興味深いです。

左にエリック。右にタイ。6月のMMA初戦のケイド陣営(C)ONE

「エリックは日本に30回以上行っていると言っているし、そうか……顔見知りなんだね。

凄いや、それって!! 僕がエリックに初めて会ったのは、5年ぐらい前かな。まだガキの頃だよ。当時の僕にとって、プロフェッサー・アンドレ・ガルバォンこそが最高であり、唯一絶対的な指導者だった。

でもエリックって、別モノなんだよ。彼は柔術も学んでいるけど、それこそ柔術が失ってしまったモノを持ち続けている。シュートレスリング、キャッチレスリングには僕らが目にしなかった技術が存在していた。

技術の変遷って、サークルじゃないか。ADCCでもレスリングが全盛で誰もがレスリングに懸命になっている時期があった。その前はレッグロックの時代だ。皆がレッグロッグを学ぶ必要があった。で、僕が想うには次にやってくる波は、失われた柔術の技術だ。それがエリック・パーソンのシュートレスリング、キャッチレスリングに残っている技術なんだよ」

──もの凄く興味深いですね。

「レッグロックを見てみようよ。昔のテクニックだ。ダーティーだと忌み嫌われて、誰もが忘れていた。でも、今では絶対に欠かせない技術になっている。20年の年月を経て、エディ・カミングスがレッグロックを極めまくり、その重要性を皆が再確認した。

エリック・パーソンが見せてくれたテクニックは、僕が見たことがないものだった。殺しの術というのか、もの凄く興味深いモノだったんだ。加えてエリック・パーソンはMMAの経験も豊富でパンチ、キックも含めて知識の宝庫といえる。何もかも知り抜いているよ。

なによりも人として最高なんだよ。本当のナイスガイで、このスポーツで出会ったことがない人間性の持ち主だ。そんなエリックだから、彼の教えを受けることを決めたんだよ」

エリックは聖水で僕の体を清めてくれ、十字を切り、オイルを焚いて……

──いやぁ、ケイドがそんな風にエリックのことを話してくれると、こっちまで嬉しくなってしまいますね。

「エリックって、一度見たことを写真に収めるように忘れることがないんだよ。本当に凄まじい知識量を誇っている。100万にも及ぶ技術を、シェアしてくれるんだ。彼のMMAの技術、知識、そして重ねて言うけど素晴らしい人間性が僕を助けてくれる。

実はあまり言ってこなかったけどMMAデビュー戦の前夜、僕はものすごく体調が悪化していたんだ。凄く寒気がして、血を吐きだすぐらいで」

──えぇ、そうだったのですか!!

「寒くて寒くて。父もどうして良いか分からなくて。咳が酷くて、息苦しくもあった。でも真夜中にエリックが部屋に来てくれた。エリックは聖水で僕の体を清めてくれ、十字を切り、オイルを焚いてマッサージを1時間もしてくれた。すると体の毒素が洗い出されたみたいになって、もう別人かのように回復したんだ。マーシャルアーチストだけでなく、彼はヒーラー(宇宙や生命のエネルギーを活用して、人々を癒す人物)なんだ」

──その話、皆が訝しく思うかもしれないですが……。今日は時間がなくて、私の話をすることはできないのですが、実はカリフォルニアで体調不良に陥った自分は、エリックに同じ癒されたことがあります。いやか、いつの日かケイドとエリックの対談をさせて欲しいです。

「おお、そうなんだ!! 絶対、その取材をやろうよ!!」

──ハイ。ただ今日は試合前のメディアデーで、時間も限りがあります。なので……2度目のMMAファイトでケイドは、何を見せたいのか話してもらえますか(笑)。

「まずベストを尽くすこと。キックもパンチも使うよ。そして、最後は僕のルーツ……柔術を駆使してフィニッシュする。対戦相手はレスラーで、柔術も茶帯か紫帯で危険な相手だ。KO勝ちもできるしね。テイクダウンの距離もグラップリングとMMAでは違ってくる。でも、僕だって打撃とグラップリングの融合を目指して練習してきた。しっかりと、仕留めるよ」

──さきほど、年内は今回の試合が最後になると言っていました。では2025年はどのような目標を持っているのでしょうか。

「来年はよりMMAに集中して、戦績を積み重ねていきたい。ただ柔術家としても、ONEのベルトを保持続ける。そしてADCCやCJIのような機会があれば、頂点を目指すつもりだ。それでもMMAで戦績を増やすことに、より集中したいと思っている」

■ONE169 視聴方法(予定)
11月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE169 対戦カード

<ONE世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アナトリ―・マリキン(ロシア)
[挑戦者] ウマウ・ケニ・ログログ(セネガル)

<ONEムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者] ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジェイコブ・スミス(英国)

<ONEキックボクシング女子世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者] ジャッキー・ブンタン(米国)
[挑戦者] アニッサ・メクセン(フランス)

<フライ級((※61.2キロ)/5分3R>
アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
ダニー・キンガド(フィリピン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)
タギール・カリロフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
アフメド・ムジタバ(パキスタン)

<キック・ストロー級/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
ジャン・ペイメン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
エディ・アバソロ(米国)
モハメド・ユネス・ラバー(アルジェリア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(マレーシア)
ヴァウテル・ゴンサウベス(ブラジル)

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【ONE169】試合キャンセルから1カ月後のアラゴン戦へ。三浦彩佳「まだ私に需要があるんだとプラスに」

【写真】「今年は大変な1年でしたけど、報われるものにしたいです」と笑顔で語る三浦(C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE169で、三浦彩佳がアルゼンチンのマカレナ・アラゴンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

三浦にとって2019年のONE参戦以降、特にコロナ禍を経て2020年からは苦難が続いた。今年に入っても1月の平田樹戦からONEアトム級に転向し、2度のジヒン・ラズワン戦のキャンセル――そんななかでアラゴンとの試合が決まった三浦が、ONEアトム級で見出した光明とは。


――MMAPLANETではタイ入り直後にインタビューし、計量後にもコメントをもらってアップする予定でした。そこで試合中止というニュースが入り、三浦選手に連絡すると「怒りのミーティング中です」との返事があって『何が起こっているのか!?』と思いました。

「アハハハ! そうでしたね」

――公式発表は「ラズワンがハイドレーションテストをクリアできず、三浦彩佳との試合は中止」というものでした。計量当日、どのような状況だったのか教えてもらえますか。

前回は入国直後にインタビューを受けてくれていた三浦。計量後にアップ予定だったが……(C)SHOJIRO KAMEIKE

「まず私が計量をパスして、リカバリーに入ったんですよ。その間、トレーナーの堀江(登志幸)さんが計量会場に残ってくれていました。私はラズワンも計量をパスするだろうと思っていたけど、『ラズワンは体重もハイドレーションもオーバー』と聞いて……」

――最初はラズワンが両方ともクリアできなかったわけですね。

「はい。私は『えっ!?』という感じでした。そこで正直——私はラズワンに対して怒りを覚えてしまったんですよ。前回は怪我でキャンセル、今回は計量オーバーって……。

4月のキャンセルも、発表後にラズワンがSNSにラズワンがSNSに『これなら試合できただろ』と思えるような投稿をしていたんです。キャンセルの理由は怪我だったけど、体重が落ちなかったんじゃないかとも考えてしまいますよね」

――実際のところは分かりませんが、そう疑われても仕方ない面はあるでしょう。ラズワンは3月の澤田千優戦でも計量オーバーでしたし。

「それで私は気持ちを揺さぶられたくないと思って、堀江さんと長南(亮TRIBE代表)さんにリカバリーに専念します』と、その場を離れました。でも2時間リカバリーして食事も終えたあと、『ラズワンが体重は落とせていたけど、尿を提出できなかった。ラズワンは失格で、この試合は中止となる』という情報を、SNSで視たんですよ」

――……えっ!? 対戦相手に連絡する前にSNSで発表したのですか。

「……いろいろと衝撃的すぎました。日本に帰ってきてからは普通に過ごしましたけど、当日はホテルで大暴れしましたよ。『こんなに人って怒れるんだ』っていうぐらいに(笑)。

私としては前回、すごく調子が良かったんです。全てを研ぎ澄ますことができていて、長南さんもそれを信じて『やっと試合ができる』と喜んでくれていました。自分は人生を賭けてONEに来ている。もともとはONEでいえばストロー級なのに、アトム級に落としている――という、いろんな感情があって大暴れしましたね」

――その時の状況を想像するのも怖いです(苦笑)。

「アハハハ。もうあの場にもいたくなかったので、すぐ飛行機の便を変更してもらい、帰国しました」

――結果、自身が出場する大会を日本で視聴していたそうですね。あの時、冷静に大会を視ることはできたのでしょうか。

「落ち着いていましたけど、ちょっと変な感じはしましたよね。本当に何とも言えなかったです。でもすぐに試合を組んでくださって、帰国してすぐにファイトキャンプに入った形になりました。ここまでドタバタな1カ月でした(笑)」

――ラズワン戦に向けて「すごく調子が良かった」とは、それだけONEアトム級への減量も順調だったのですね。

「順調でした。『もともとアトム級なんじゃないか』って言われるぐらいで。それはもう本当にトレーナーさんのおかげです。私自身もすごく勉強になりましたし」

――初のONEアトム級戦であった、1月の平田樹戦よりも遥かに良かったのですか。

「遥かに――そうですね。遥かに良かったです。これは今だからこそ言えますけど……あの時は試合が決まってから、毎日お腹を壊したり、胃が痛かったりして。試合直前まで、いろいろありました。『こんなに苦しい試合ってあるんだろうか』と思うぐらい。それを乗り越えることができたのは自信になりました」

――なるほど。以前なら2度も試合をキャンセルされたら、ずっとモヤモヤした気持ちが残るタイプだったように思います。それは成長といえるのでしょうか。

「今日はまだ文句を言いいましたけど(笑)、もうラズワンのことは相手にしていません。なるべく記憶からなくすようにしている、と言いますか。それもONEがすぐに試合を組んでくださったおかげで、感謝しています。ラズワン戦がキャンセルになったあと、現地でも『すぐ試合を組む』とは言ってもらえていました」

――これまでONEで試合をし続けるなかで、様々な苦難がありました。しかし今回それだけのフォローをしてもらえたとは、嬉しいことではないですか。

「ありがたいですし、実はラズワンに勝ったら今後はこう――という提案も頂いていて。私が階級を落とすことで対戦相手の幅も広がったでしょうし、そういう提案を頂くことができているのは、『まだ私に需要があるんだ』と気持ち的にはプラスになりました」

――需要がある。つまり試合が組まれるということは、一番安心できる材料でしょう。

「はい。現地で提案を頂いた時は、『今はラズワン戦に集中します』と答えました。結果的に試合がなくなり――でも、すぐにファイトキャンプに入って。これが今年4回目のファイトキャンプなんですよ。この年齢(現在34歳)になっても、まだ自分を作り上げることができる。それもプラスになっています。……ということも、試合に勝ってから言えることかもしれないですけど、私は勝つと信じてやっているので」

――次の対戦相手、アラゴンはONE初戦で情報も少ないかと思います。

「情報はあまりないですね。柔道がベースで、MMAの試合ではアヤカロック(スカーフホールド・アメリカーナ)をやっている映像は視ました。

柔道ではアルゼンチン代表になっているみたいですけど、正直実力は分からないですね。まだMMAでは3戦しかしていなくて、そこは私のほうが場数は多いですし。MMAでは私のほうがいろんな経験をしてきていると思いますし、全てにおいて圧倒したいです」

■ONE169 視聴方法(予定)
11月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE169 対戦カード

<ONE世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アナトリ―・マリキン(ロシア)
[挑戦者] ウマウ・ケニ(セネガル)

<ONEムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者] ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジェイコブ・スミス(英国)

<ONEキックボクシング女子世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者] ジャッキー・ブンタン(米国)
[挑戦者] アニッサ・メクセン(フランス)

<フライ級((※61.2キロ)/5分3R>
アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
ダニー・キンガド(フィリピン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)
タギール・カリロフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
アフメド・ムジタバ(パキスタン)

<キック・ストロー級/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
ジャン・ペイメン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
エディ・アバソロ(米国)
モハメド・ユネス・ラバー(アルジェリア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(マレーシア)
ヴァウテル・ゴンサウベス(ブラジル)

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FN25 YouTube アレクシ・ニコラ イー・チャア キック サンザール・ザキロフ ジヒン・ラズワン ジョン・リネケル スムダーチー ダニエル・ウィリアムス ツオロンチャアシー バンマードォーチー ボカン・マスンヤネ ボクシング マンスール・マラチェフ ライカ ルンピニー レギン・アーセル ヴァウテル・ゴンサウベス 三浦彩佳 箕輪ひろば

【ONE FN25】ハイドレーションをパスするために、体重超過のバンマードォーチーが話していたこと

【写真】その端麗な容姿を褒められると、照れたようにお礼の言葉を発する。実はシャイかもしれないバンマードォーチーだった(C)ONE

5 日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night25。三浦彩佳の対戦相手のジヒン・ラズワンがハイドレーションがパスできず試合が中止になり、ムエタイでも同様に1試合がキャンセルに。他にもハイドレーションをパスすると体重がリミットまで落ちない選手が2名出るなど、ONE計量=ハイドレーションの効果が薄まる中で、その数値で是非を決めるシステムにほころびが感じられつつある。
Text by Manabu Takashima

そのハイドレーションをパスするために、体重オーバーとなった1人がダニエル・ウィリアムスと対戦するバンマードォーチーだ。中国のイケメンファイターは、実に15カ月振りの実戦となる。驚いたことにロングレイオフには、映画出演が関係しているというバンマードォーチーに話を訊いた。


――バンマー、今週末にダニエル・ウィリアムスと対戦します(※取材は2日に行われた)。ところで去年の7月にヴァウテル・ゴンサウベスに勝利して以来、15カ月振りの試合となります。これだけの間、試合をしなかったのは何か理由があったのでしょうか。

「ONEからは一度オファーがあったけど、体重が落とせないから断ったんだ。今年に入ってからは、しっかりと練習はしたけど……ちょっとしたことがって試合からは遠ざかってしまっていた」

──ちょっとしたの詳細を尋ねることは控えますが、体重が落ちないから試合を断ったというのはショートノーティスでのオファーだったのですか。

「そうだね、カタール大会の3週間前だった。ちょうど映画の撮影が終わったばかりで、あの期間で体重の調整は難しかった」

──映画に出ていたのですか!!

「そうなんだ、中国で最初のボクシング世界王者になった人物を題材とした映画に出演していたんだよ」

──バンマーはどのような役を演じていたのでしょうか。

「主役だよ(笑)」

──えぇ、バリバリのムービースターではないですか。

「そうかもしれないね(笑)。他にも映画出演はしているし、TVにも出ている。でも、僕の目標はチャンピオンベルトを巻くことで銀幕のスターになることではない。MMAで成功したいんだ。

なぜ僕が映画に出たり、TV番組に出演できてより大きな額の報酬を手にできるのか。それは僕がMMAファイターだからだよ。監督やプロデューサーがMMAの試合を通じて僕のことを知ったのだから。MMAファイターだから、この機会を手にすることが可能になった。8歳からやってきたMMAこそが僕の人生。漢として、MMAやマーシャルアーツでキャリアアップすることを諦めたくないんだ。

それに映画界やTV業界で活動したことで、僕は人として成熟できた。ムービーワールドとMMAワールドは関わっている人間が違う。本当に違うんだ。彼らと会話したり、現場の様子をこの目で見て違う世界を知ることができた。僕の試合を通してMMAを知った人もいる。責任感が増したよ」

──なるほどです。この間、バンマーが所属するエンポ―・ファイトクラブ所属のスムダーチー、イー・チャアやロンチュウというファイター達は上海や米国で練習するようになっていますが。バンマーは、ずっとエンポー・ファイトクラブでトレーニングを続けてきたのでしょうか。

「そうだね。エンポー・ファイトクラブでの練習は、良い指導者に恵まれているし満足している。ただ、この試合後は、僕も新しい技術を身に着けるために米国で練習しようかとも考えているよ」

──では、ダニエル・ウィリアムスの印象を教えてください。

「素晴らしいストライカーだ。これまでもストライカーを相手に、良い試合をしてきた。それに僕の友人のツオロンチャアシーに勝っている。同時に僕も打撃には自信を持っている。この試合は互角の展開になるだろう。技術的にも、互角だと思う。ただ、この試合はMMAだからね。打撃だけでなく、グラップリングでも華麗な動きを披露したい。MMAの神髄とは何かが分かる。そんな試合になるだろう」

──ところでDJが引退をしました。フライ級王座を巡っての戦いは激化するかと思います。

「DJはいつだって僕のアイドルだった。大好きで、本当に尊敬していたんだ。DJの試合から学ぶことは本当に多かった。なぜ引退するのか驚いたよ。今も完璧なアスリートなのに……。ただ僕に関しては、この試合が終わるとストロー級に戻そうと思う。今年になるのか、来年になるのか分からないけど次の試合はストロー級で戦うつもりなんだ。ストロー級の黄金のベルトが僕のゴールだ」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後8時45分~U-NEXT

■放送予定
10月5日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

■対戦カード

<ONEキックボクシング世界ライト級選手権試合/3分5R>
[王者]アレクシ・ニコラ(フランス)
[挑戦者]レギン・アーセル(スリナム)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
シンサムット・クリンミー(タイ)
ユセフ・アスイック(デンマーク)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
アレクセイ・バリカ(ロシア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョハン・エストゥピニャン(コロンビア)
ザカリア・ジャマリ(モロッコ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
箕輪ひろば(日本)
サンザール・ザキロフ(ウズベキスタン)

<ムエタイ119.25ポンド契約/3分3R>
エイミー・ピルニー(英国)
シール・コーエン(イスラエル)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
トンプーン・PKセンチャイ(タイ)
ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)

<136.25ポンド契約/5分3R>
バンマードォーチー(中国)
ダニエル・ウィリアムス(豪州)

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45 AB BELLATOR DEEP DEEP JEWELS MMA MMAPLANET o ONE PFL ブログ 三浦彩佳 渡辺華奈

【PFL&ONE】三浦彩佳meets 渡辺華奈─02─「修行です」(三浦)&「超結果主義者なので」(渡辺)

【写真】凄く面白い対談となりました。イメージアップには役立っていないかもしれないですが…… (C)MMAPLANET

6月13日のPFL2024#04でリズ・カモーシェとシーズン2戦目、そして3年前のリベンジ戦を戦った渡辺華奈とONEで戦う三浦彩佳の対談後編。
Text by Manabu Takashima

渡辺の敗北こそ喫したが、MMAファイターとして成長振りをハッキリと見せた。そんな充実の3カ月を過ごした渡辺に対して、試合がなかなか決まられない三浦はどのような心境できるのか。また渡辺の試合から何を感じることができたのか。

柔道ベースの渡辺と三浦だが、渡辺はいち早く柔道を利したMMAを戦う。首投げとアヤカスペシャルを持つ三浦に対し、渡辺のアドバイスとは──。渡辺がこれまで取材で見せていなかった一面を開放したことと同様に、注目してほしい。

<渡辺華奈&三浦彩佳子対談Part.01はコチラから>


──カモーシェは、男子のプロレベルですか!!

渡辺 ハイ。しかも階級が上の男子選手ですね。ただ、あそこからの対応は凄く練習をしていたので焦ることはなかったです。同時にすぐに立ち上がると、離れられて打撃の展開になりタコ殴りされるかもとか色々と考えました。

──考え得る限りベストの試合展開はどういう風だったのでしょうか。

渡辺 打撃を出してからテイクに入りたかったです。それが気が付けば走っていました。アハハハ。

三浦 もう決めていたかのような仕掛けでしたよ。それに隼人さんと、切られてからの練習をしていましたよね。

(C)PFL

渡辺 そう。

がぶられても、その手を外して、差し返してテイクダウンを取るという練習をずってやっていました。練習でイジメられていた良かったです(笑)。ただ自分がテイクダウンを決めてトップをとっても、今までに経験したことがない強さを下から感じました。上を取ると、もっと簡単にできるかなって思っていたのに凄く上手かったです。プレッシャーが強くて……必死に戦っているなかで、あの圧力が少し楽しかったです。

──楽しかったですか。素晴しいですね。スクランブル中やテイクを切られた時などに、カモーシェが相当の勢いでパンチを入れるシーンもありました。カモーシェは一度秒殺をしている相手に対して、全く奢るところがなかったです。

渡辺 ハイ、もっと調子に乗っていてほしかったです。

三浦 ずっと華奈さんのことをリスペクトしていましたよね。

渡辺 ……。でも、クソって感じです(笑)。

三浦 あの肩固めの極まり具合ってどうっだったんですか。

渡辺 う~ん、私は結構、肩固めが得意なんだけど。

三浦 マジで、フィニッシュできるんじゃないかと思って視ていました。

渡辺 ちょっと、ずらされた。

三浦 足じゃなくて、ずらされていた?

渡辺 ずらされていた。

三浦 潰されますよ、華奈さんの肩固め……本当に。もう我慢とかの問題でなく、骨が圧迫されて。男の人に仕掛けられるのとも、違っているんです。

渡辺 でもさっきも言ったけど、本当に男と戦っているような感じで。「コイツ、女か?」って。エヘヘヘヘ。

三浦 リカバリーも凄かったですよね。

渡辺 でも向き合った時に、コイツもビビっているなと思いました。もちろん、私もビビってたんですけど。「あっ、人間なんだな」と思いました。

──勝てると踏んでいたのか、五分五分、もしくは不利だけどひっくり返そう。この間の経験を積んで来て、正直なところ試合前の自信はどれほどだったのでしょうか。

渡辺 自分が絶対に勝つとは思っていたのですが、心の奥底で五分五分の勝負を何とかモノにするという気持ちで挑みました。ポイント的にはフィニッシュをしないといけないし、勿論フィニッシュは狙うけどプレイオフのこととかは一切頭になくて。「とにかくコイツに勝ちたい」、「骨が折れても勝ちたい」と考えて戦った……結果、負けてしまったんですけど(苦笑)。ボロボロになっているのも練習通りです。アハハハ。

三浦 結果的に1Rと2Rを取っていますよね。これは行けるって……特に肩固めの時に思って。それはカモーシェが苦しんでいて、本当に必死だったじゃないですか。

渡辺 フゥゥみたいな苦し気な呼吸が聞こえたんですよ。 

三浦 もちろん試合を視ている時は初回と2Rのポイントが分かっていなかったですが、それでも最後まで戦えば勝つと思っていました。

──腕十字というのは意外でした。

渡辺 自分が一本を取られるなんて、想像もしていなかったです。メリメリメリって音がして

──うわぁ……。想定していない形でびっくりタップではなかったのですね。

渡辺 下から殴られて、それも効いていて。カッとなって、「ふざけんな」って言う風に思い切り殴りにいってしまったんです。十字の対処も焦っていましたね。あそは練習通りでない対処をしていました。

ただ、あのワンミスは普通の選手なら見過ごしてと思います。でもカモーシェは見逃してくれなかった。そこはもう一枚上手だったと認めるしかないです。

──立ち上がって時点で、ヒジが抜けるという感覚だったのでようか。

渡辺 はい。それはありました。でも、立つかどうかというタイミングで極められてしまいましたね。三角を狙われたりして。

──結果論なのですが、立ち上がると同時にカモーシェの頭を跨いでいれば……とか思ってしまって。

(C)PFL

三浦 めっちゃ、そうなんですよね。

渡辺 そうなんですよ。あの時は立てば抜けるかもって思ってしまって。汗もかいているし。あと数秒だからと。

三浦 8秒ですよね……。

渡辺 練習だと立つってことあまりやらないのに……逆に私が仕掛けていたとしても、カモーシェなら立たなかったと思います。緻密だし、そういうミスはしない。そこの差が出た試合だと思います。それは認めています。

(C)PFL

──勝負なので、勝ち負けはついて回ります。

それでも、足にしがみついても上を取るという姿勢は見ている者の胸に何かが突き刺さったファイトだと思います。

渡辺 良い試合だったと言ってもらえることは嬉しいです。でも自分は超結果主義者なので。やっぱり凄く悔しいです。

──勝った人間が正義。ですが、そこまで勝ちに拘っているからこそ、負けてもその姿勢を貫いていることで皆が感動をしたのだと思います。

渡辺 ありがとうございます。MMAを始めた時に世界チャンピオンになることと、もう一つ目標があって。

──それは?

渡辺 一度、完全に柔道で挫折して。そこからMMAをやるようになりました。その時には「誰かに勇気を与えることができるようになりたい」と思って始めました。自分が本当にクソみたいなところまで落ちていたので。

──話の腰を折って申し訳ないですが、相当に言葉使いが悪いですよね。これまでの取材ではなかった部分です。三浦選手がいてくれて、素が出てきたというか、

三浦 本当に華奈さんは真面目ぶっているんですよ(笑)。

渡辺 アハハハハハハハ。

三浦 これがいつも通り……いや、これでもマイルドなので全く問題ないです(笑)。もう、練習中とか酷いですから。男の人より、言葉は悪いです。

渡辺 中学生の子のケツを「おいっ!!」って言いながら叩いたり(笑)。

──ケツ……。皆に勇気を与えられる言葉ですね(笑)。

渡辺 アハハハ。どん底まで行った人間が、頑張ればチャンピオンになれる。そうすれば「私も頑張ってみようかな」と思ってくれる人が出てくるかもしれない。そうやって勇気を与えられる選手になる。それはチャンピオンになるのが一番で。負けてしまったけど、そういう風なことがチョットできたなかって……でも、複雑ですね。

──僅か3カ月の間にPFLの2試合で色々なことを経験して、葛藤もしていた。そして一生懸命だった渡辺選手を見て、自身と照らし合わせるとどういう想いでしたか。

三浦 羨ましかったです。

──1月に勝って、そこから試合がない。途中で発表されてキャンセルされた試合も、他の日本人選手が勝った相手だった。なかなか厳しい時間が続きますね。

三浦 それもありますか……自分はそもそもストロー級の選手だという気持ちでいるんです!! ヂィンナンとなるという気持ちが強くて。最初にアピールさせてもらったのはスタンプが欠場になったんだから、9月にヂィンナンと組んで欲しいということでした。でも、9月大会からヂィンナンがいなくなっていて。

渡辺 三浦さんと一緒にいて……「試合が決まりそう」、「でも、なくなった」、「決まった」、「流れた」っていう話があり過ぎる。なんか、びっくりします。コロコロ変わって。

三浦 それでも去年よりマシだっていう風に考えていて。去年は試合に負けた状態で有る、無い。ある、ないが続いていて。精神的に本当に焦っている状態が続いていました。

渡辺 続いていた。うん、続いていた。

──ようやく決まった平田戦も、不本意な試合だったことは確かで。

渡辺 あの試合はよく戦いましたよ。因縁なんてないのに、無理矢理に因縁を作られて。お互い、お別れしてから次の相手と付き合いだしたわけで。それがね、被ったりしていたら自分もボコボコにしてやりたいですけどね。アハハハハ。

あっ、自分もそういうのやりたいなぁ。なんか、因縁創ってくれないですか(笑)。

──面白がっているじゃないですか。

三浦 アハハハハ。酷い。

──いずれにせよ、平田戦を受けた。そして勝った。ならご褒美は?となりますよね。

三浦 しんどいのが続いています。

──ONEと契約している選手って、しんどい状況のなかでポジティブな面を見つけるのが上手くなっていますよね。

三浦 そうなんです。それなんですよ。どうやって自分のモチベーションを保つのか、修行です。(若松)佑弥君もずっと「精神修行です」って言っていますけど、ホンっとに、その通りです。でも、長南さんも常に試合ができるように、動いてはくれるので……秋ぐらいには、と。

──同時に渡辺選手もPFLシーズン制の厳しいところで、3カ月で2試合を終え、プレイオフ進出を逃すと試合がない。逆にONEだと「負けても、良い試合だった」と次がすぐに決まることもあります。

渡辺 その点でいえば、本当にどれだけ良い試合をしても、結果は一本負け。それしか残らないんで。意味ないですよ。

──意味がないなんてことは決してないのですが、次の試合という部分になると過去にないケースではあるかと思います。

渡辺 どうなるんですかね。Bellator Championship Seriesに出られる可能性があるかもしれないし、年末に何かあるかもしれない。Bellatorの時に結んだ契約は残っているので、それがどのタイミングで組まれるのか──ですね。

三浦 決まっているのは、カラオケだけですか(笑)。(※8月31日にDEEPサマーフェスティバルでMMAファイターのカラオケ大会が行われる)

渡辺 そう。人生はポジティブな要素を見つけて生きないといけないので(笑)。真面目な話、試合が決まっている期間は自分の武器を増やせない。この試合が決まっていない期間に手持ちの武器を増やして、成長できればなと思っています。

──両者とも柔道ベース。凄く対談の締めっぽくなるのですが、渡辺選手から三浦選手にアドバイスをできることなどありますか。

三浦 お願いしますっ!!

渡辺 えぇと……下にならない。下にならないというか、背中をつけたままにしないこと。それは試合でも、練習でも。自分がそこを心掛けるようになって、変わることができました。下になっても腕十字、三角絞め、足関節、アームロックという攻める手段はあります。でも、そういうのは全部捨てて。レスリングでボッコボコにされて苦しいけど、何が何でも背中をつけずに上を取るという気持ちをずっと持っていたら、ちょっと自分は変わることができました。

カモーシェ戦もバックは取られましたが、一度も背中はマットにつけていないです。そこ……ですかね。首投げを失敗しても、下になって足関節とかいかない。レッスルアップからテイクダウンをしてリバーサル……上を取る。でもね、下になることがあるんだから、下の練習もしないといけない。そして、如何に下なる時間を短くするのか。自分はテイクダウンを仕掛けられている瞬間に、立つことを考えています。

三浦さんは試合で下になっていないので、そこまで考える必要はないのかもしれないけど、練習でやっておくと試合で役に立つ時がくるから。

三浦 確かにレスリングの練習で追い込まれても、華奈さんは立っていますね。私は追い込まれると、体も思考も止まることがあって。

──三浦選手は思い通りならない時に、焦りというか感情が表情に出ているような気もします。

三浦 そうなんです。

──あのう……渡辺選手、今の時代にコレを尋ねると、色々と言ってくる人もいるかと思いますが……。

渡辺 ハイ。何ですか(笑)。

──女を武器に生きたことがありますか。

渡辺 ないです。それは絶対にいえます。

──渡辺選手からは「ワァ」、「キャア」という空気が一切感じられなくて。

渡辺 えぇ、それ感じない?  ちょっとぉ、感じてぇ。

三浦 アハハハハハ。

渡辺 キャァァァァァァ。感じてぇ(笑)。

──ダハハハ。本当にこれまでの取材では本性を隠していたのですね。

渡辺 自分、練習で男に負けるもの絶対に嫌なんですよ。隼人さんに、ボコられても「コイツ、許さない」ってなりますから。

──とはいっても、その女性という部分がプロとしてセールスポイントになることもあります。三浦選手もパンクラス時代は女性タレントに似ているということで、可愛い派でいけましたしね。

渡辺 あぁ、西内まりあね。

三浦 やめてよ!!

──e-fightは、そうやって三浦選手の計量にメチャクチャ力をいれていましたよ(笑)。

渡辺 でもDEEP JEWELSの計量が水着着用の頃、私も水着でテカテカを塗られたけど、もうボディビルダーみたいになっちゃって(笑)。

──ハハハハ。絶対に女は売りにはならないと。

渡辺 あの頃は何も分かっていなくて、言われたことをやっていたけど今から考えるとヤバいですよ(笑)。ただ実際、三浦さんは練習で自分より大きな相手の選手とやることが多くなって、ガチで競り合えることが少なくなってきたから。そこは難しくて。

三浦 ハイ。体が小さくなってしまって。

渡辺 自分はガチで競り合いができる相手が、男子の選手にいるので。渋谷(カズキ)さんとか、ガンガンにやっています。

──渋谷選手が下になってヒールを狙うと、「下になるな」って怒るのですか(笑)。

渡辺 アハハハ。でも、ヒールを取られちゃうんですよ。

三浦 その時の表情が、マジでイラついていて(笑)。

渡辺 ムカつきますよね。ふくやーまんとか、打撃はガチでできないけど組みの部分は全力でやりあえます。

──三浦選手は今、普段の体重が何キロぐらいなのでしょうか。

三浦 56キロぐらいですね。ただ、ここから少しでも増えると堀江さんから注意がはいるので。やっぱり52キロで戦うには。ストロー級でいきたいのですが、現状としてアトムで戦う可能性が大きいので。体を大きくすることができないんです。

──だと、男子のユニファイド・ストローの選手でも普段は5キロぐらいは重そうですね。

三浦 ハイ。以前は大きかったので、Fighter’s Flowに来ると男子選手とも体重が合っていたのですが今は大変ですね。

渡辺 でも、下にならないところは意識してほしい……ですかね。

──女子選手との練習は?

三浦 女子選手って結構、集まってやっているじゃないですか。JTTでも黒部(三奈=マスタージャパンの女子練習)さんのところも。そこには澤田(千優)選手が参加していて、ONEのアトムだと同じ階級になるから。HEARTSも樹ちゃんがいるから、ほとんどTRIBEでしか練習ができなくて。

渡辺 なら、樹ちゃんとやるしかないじゃん。エヘヘヘヘ。もう戦うこともないだろうし。

三浦 でも……こっちから声を掛けることは、やっぱりできないですよ。

渡辺 女子の軽量級って、本当に大変ですよね。そうやって練習相手も限られてくれるし、男子の選手が胸を貸してくれても、本番とは全然違う。競り合いにならないから。

三浦 そういう意味では、私が練習し甲斐があるのが春なんです。3月とか4月はTRIBEにプロ志望の子が入って来る時期で。そこに軽量級の子もいて、やる気満々で力だけある。そういう子たちだと競れるし、パワーは私よりもあって。でも、だいだい2カ月ぐらいで皆いなくなる……。

渡辺 そこかッ!! 

三浦 もう長南さんにはずっと入会キャンペーンをしてほしい。そういうプロ志望の子が、一番良い練習相手になるので。だから、海外で練習をしたいという気持ちはあります。どこか、精神的な修行の意味も込めて海外に練習に行きたいです。

渡辺 一緒に行く?

三浦 行きたいッスねぇ(笑)。タイとか、行ってみたいです。

渡辺 でも、遊んじゃうよ。

三浦 なら無理です。バカンスじゃなくて、修行がしたいので。

──TRIBE所属でONEで戦うと、修行好きになるのですね。

三浦 アハハハハ。でも華奈さん、タイだと暑いから服を着ないで済みますよね。

渡辺 着ます。服、着ます!! 服を着ないで済むって、おかしいでしょ。

三浦 私、服を着るのが嫌いなんですよ。家の中は裸族で、ほとんどパンイチで。

渡辺 えっ?  上は裸??

三浦 それかワンピースみたいなTシャツ一枚で、下はなんもなし。

渡辺 それってチョロチョロ見えるんでしょ。ちょっと、見せてみ!! どう、チョロチョロしてんの?

三浦 アハハハ。なんか、おっさんじゃないですか。本当にエロおやじですよ、それ(笑)。

──なんだか、もうとんでもない方向にいきそうなので。この辺りで対談を締めさせてください(笑)。世界で戦う渡奈選手の姿勢を身近にいる三浦選手がどう感じているのか。その辺りのことを伺って、世界を狙う女子選手が何かを掴んでくれればということでお願いした対談でしたが、結論として渡辺華奈はおっさんで、参考にはならないといことでした(笑)。

三浦 えぇぇ。まだまだ、ですよ。こんなもんじゃない(笑)。

渡辺 10パーセントぐらいですね。普段の。試合では実力の30パーセントしかだせなくて悔しい想いをしていますが、オッサン振りは10パーセントに抑えておきます(笑)。

──……。では三浦選手、日本女子を代表して頑張ってください(笑)。

渡辺 いやいやいやいや。

三浦 本当に華奈さんは、これまで取材になると隠していたのが凄いですから(笑)。私は秋ごろに試合があることを想定して、10月を目途として創っていきます。

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【PFL&ONE】三浦彩佳 meets 渡辺華奈─01─渡辺✖カモーシェ戦から、女子J-MMAファイターが学ぶこと

【写真】シリアスな対談になることを予想していたが、試合前のインタビューや会見時とはまるで違う──渡辺の空気感により、バッカ明るい対談となった (C)MMAPLANET

6月13日のPFL2024#04でリズ・カモーシェとシーズン2戦目、そして3年前のリベンジ戦を戦った渡辺華奈。激闘と呼ぶにふさわしい勝負は、残り8秒で腕十字に切って落とされ返り討ちにあってしまった。
Text by Manabu Takashima

(C)PFL

この敗北で渡辺のPFL2024年シーズンは終幕となった。

しかし打撃を被弾しながら組んで上を取り続けた渡辺はこの間に如何にMMAファイターとして成長したのかを見せつけた。

BellatorからPFLと、フライ級という階級で世界と戦う渡辺の姿から、日本の女子MMAファイターはそれぞれが自分自身と照らし合わせて何かを感じ取ったはずだ。

MMAPLANETでは渡辺と4年に渡り練習を続けている三浦彩佳との対談を行った。1月のONE日本大会で平田樹を破りながら、次戦は澤田千優に敗れたジヒン・ラズワン戦が組まれるなど(※ラズワンの負傷で流れた)など、厳しい状態が続いている。そんな三浦が、渡辺✖カモーシェの激闘から何を感じたのか。また渡辺のカモーシェとの再戦に賭けていた想いと、下った試合結果をどのように受け止めているのか──を訊いた。


――BellatorからPFLで戦う渡辺選手と、ONEで戦う三浦選手。柔道出身、海外で戦う二人が一緒に練習をしているということですが、どれぐらいのペースで手を合わせているのですか。

渡辺 週に1度は必ず、多い時は2回ですかね。Fighter’s Flowのプロ練習に三浦さんが来てくれる感じです。

──一緒に練習するようになって、どれぐらいになりますか。

渡辺 2年ぐらい前ですかね。

三浦 そんなことないですよ。もう4年やっています(笑)。

渡辺 そんな前? そうか、まだパーソナルトレーニングのジムの方でマットを敷いて、壁レスもできないような小さなスペースでやっていたね。

三浦 初めて会ったのが、YouTubeの企画だったんです。華奈さんのところにお邪魔をして、柔道対決をして。その時に長南さんから「渡辺さん、どうだった?」って聞かれて、「メチャクチャ投げられました」と。そうしたら長南さんに「お前、そんなんで良いのか?」、「女に投げられて、悔しいだろ」、「勝つまで出稽古してこいッ!!」って言われたんです。

──そのようなスタートで4年も続いているのですね。

三浦 実は私は学生の時に、柔道が凄く好きで……。

渡辺 柔キチだよね(笑)。

三浦 ハイ、近代柔道も毎月買っていて。近柔に全日本強化選手の名簿とか載っているので、好きな選手や憧れの選手に〇印をいれて毎月チェックしていたんですよ(笑)。

渡辺 ヤバ……(笑)。

──……、……。

三浦 で、華奈さんのことがめっちゃ好きで。いっつも全日本強化選手にその名前があって。可愛い人なのに。

渡辺 嬉しいぃ。ファンだったんですとは言われたけど、そこまで詳しくは言ってくれたことじゃなかったし。

──憧れの存在とMMAの練習をするようになったと。

三浦 いざ練習を始めると、同じ柔道ベースでもレベルが違っていて。それにMMAになっても、華奈さんは頭抜けて強いんで。練習量の多さだとか、練習に対するストイックさが凄いからで。見習うところも多かったです。一緒に練習をさせてもらうことで、華奈さんの姿勢を見て、自分のモチベーションになりました。

──三浦選手から凄く良い練習ができていると早い段階で聞いていたのですが、色々と事情があって2人が一緒に練習をしていることをインタビューでも公にすることができなかったですよね。

三浦 そうでした。そうでした(笑)。色々とあって(笑)。

──ただ、当時はそういう風には思っていなかったのですが、改めて並んでいるところを見ると、階級差は明白に感じられますね。

渡辺 いや、着ぶくれですよ。これ。オーバーサイズのTシャツを着ちゃって(笑)。

三浦 アハハハハ。

──いえ、明らかに骨格です。

三浦 でも以前は同じぐらいの体重だったんですよ。

──これだけ骨格に違いがあって体重が同じなら、三浦選手がデブだっただけじゃないですか(笑)。

三浦 ハハハハ。でも、本当にブーちゃんだったんですよ。

渡辺 それがいつの間にか、どんどん小さくなってしまって。ズルい(笑)。挙句にアトム級だとか、言いだすし。

──三浦選手の話を聞く限り、渡辺選手はアスリートとして完成形にあったかと。ただし、国内で試合をしている時は、その柔道の強さと柔道で鍛えたフィジカル、そして生来の運動神経で勝っていて、MMAができている風には正直思えなかったです。

三浦 本当に一生懸命にやっていましたよ。でも今から振り返ると練習の効果は鈴木隼人さんが指導をしてくれるようになってから、より出てくるようになったかと思います。

渡辺 上田(貴生)さんは基本に則した防御と、極めるまでのパターン創りを細かく組み立てたりする感じで。

──上田さんは戦略家というイメージがあります。

渡辺 そうなんです。そこに隼人さんが加わって、レスリングが強化されました。上を目指せば目指すほど、MMAにはレスリングが必要になってきますし。

三浦 隼人さんが来てすぐの頃、お互いにテイクダウンを狙って、頭もぶつけたことがありましたよね(笑)。

──実は中学の時の女子の部活を傍から見ていて、先輩のイジメとか怖いイメージがトラウマになっていて。女子同士って、色々あるのではないかと勘繰ってしまうことも多々あったんです。

渡辺 三浦さんとはそういうのはないですよ。階級も違うし(笑)。

──そこ強調しますね(笑)。

三浦 そもそも戦っている団体が違いますからね。

渡辺 一緒に練習をし始めた頃には、三浦さんはもうONEで戦っていたしね。でも私は格闘技のことは知らないので、ONEがどういう団体なのかも一緒に練習をするようになって知ったんです。でも彼女こそ、一生懸命でしたよ。

──一生懸命の褒め合いになっているので、何か違う三浦選手の特徴はなかったですか(笑)。

渡辺 体が柔らかい。そして、ドンくさい。アハハハハハ。マット運動とかヤバいですよ(笑)。ジャンプもなんかタイミングが変だし、跳べていない。それなのに縄跳びは上手いから、意味が分かんなくて(笑)。

──そこは一緒に練習して解消されたのでしょうか。

渡辺 いえ、ドンくさいままなんです。でも、だから良いところがある。器用にできるわけではないので、一つのことを修得するまでずっと時間が掛っても続けています。そんなことを言っても、自分もBellatorに出始めたころとか技術的には本当にヤバかったですけど……。装備なしで、戦地に出向いているようなモノで。

──正直に申し上げて、自分は渡辺選手を過小評価していました。柔道流のテイクダウンはできても、その形に入るまでの打撃の距離をどう戦うのか。また組まれても、「切れますよ」という選手が米国やブラジルにはいる。Bellator Japanのイララ・ジョアニはともかく、Bellatorデビューとなったアレハンドラ・ララ戦などは、フィジカル&柔道では勝てないと思っていました。

渡辺 たくさんの人がそう思っていたと思いますよ(笑)。

──でも、自分の目は節穴でしたね。

(C)BELLATOR

渡辺 いえ最初のリズ・カモーシェ戦の結果こそ、その予想通りになっていますから。

三浦 あの試合の後から、華奈さんはサウスポーに変えて凄く変わったと思います。しっくり来ている感じで。

渡辺 柔道では右手前だったので、そのまま組めるような感じになって。

三浦 打って入って、差しが反対だとワンテンポ遅れるというか。だから両方できれば良いんですよね。

──以前、米国では組みのオーソも、打撃では一旦は打撃のオーソに前手を変えて指導をすると聞いたことがあります。ストロングハンドを後ろにすることで、打撃の理解が進み。そこからサウスポーが良いか、スイッチヒッターになるのも可能だからと。

三浦 そうなんですね。

────柔道とレスリングは姿勢がまた違うのですが、「レスラーに体を起こさせ打撃が使える構えになっても、前足と同じサイドの左ジャブを打ち込む際に、体重が足に掛かり過ぎる。そうなると相手のテイクダウン狙いに対応できない。なので、まず遠い距離からでも優れた身体能力を生かして打ち込める右クロスを指導する。右のクロスだと、重心を後ろ足に掛けやすく、テイクダウン狙いをスプロールするのも容易くなる。そうやって打撃とは何かを、利き手が後ろの構えで一旦は教えるんだ。そこからサウスポーでもスイッチでも、採り入れれば良い」と今は亡き名コーチ、ショーン・トンプキンスが話していました。

渡辺 なら、オーソを経験していて良かったということになるんですね。

三浦 そういえば浜崎(朱加)さんも、そうだったと聞いたことがあります。最初はオーソで、サウスポーにしたと。でも、本当に華奈さんはサウスポーがハマって結果にも表れるようになったと思います。

──カモーシェ戦後のMMAファイターとしての成長振りは、目を見張るものがあるかと思うのですが、間近で見てきた三浦選手はその辺りはそのように見ていましたか。

三浦 だって日本を代表して戦うなんて、華奈さん以外にいないですよ。その通りになったというか、エリート街道をいっているなと。顔、顔、顔(と渡辺に)、なんて顔をしているんですか(笑)。

渡辺 褒められることはなれていないので、もっとけなして(笑)。

三浦 そんなことできないですよ。Bellatorのファイトウィークって、華奈さんの話を聞くとONEとは違って、本当に大変だったみたいで。リズ・カモーシェ戦の時とか凄かったんですよね?

渡辺 試合直前になってコンタクトは禁止だって、外されました(苦笑)。ウォーミングアップ場も寒くて。全然汗をかけなくて、コロナ禍だったので外も出られない。バスタブもなかったです。米国でも州によって違うし、もちろん国が違うと全然違っていました。

三浦 その点、ONEのファイトウィークは凄く過ごしやすいです。ホスピタリティとか、凄くよくて。

渡辺 だって通訳さんとかいるんでしょ?

三浦 通訳というか、日本人のスタッフもいますし、直接テキストを送ったりとかしてコミュニケーションも取れます。逆に通訳もいない、そんなファイトウィークで戦えるだけ、華奈さんは精神的に強いと思います。

渡辺 まぁ、ぶっちゃけ大丈夫よ。どんな状況でも(笑)。

──三浦選手からサウスポーに構えが変わって、スムーズになったという話がありましたが、ご自身では何が変わったと思っていますか。

渡辺 それまでやってきたことが、出るようになったことはあるかと思います。それ以上に練習環境を変えたことですね。カモーシェに負けて打撃をやらないといけない。そしてテイクダウンの種類を増やさないといけないと凄く感じたので。まだ打撃なんて全然出せていないですけど、あれから週に3、4度ずっとやっているし、隼人さんが来てくれてから試合前はマンツーマンぐらいの勢いでずっと見てもらっていて。

そうやってここ3年を過ごしてきたので、試合前のインタビューで「強化してきたところは?」という質問があると、ずっと打撃とレスリングと言い続けてきたと思います(笑)。自分は色々なことはできないので、そこだけを突き詰めてきました。それが試合でちょっとずつ出てくるようになってきた感じです。

三浦 ちょっとじゃないです。こんなに出るんだっていうぐらい試合毎に変わっています。打撃に関しても、出ないこともあるかもしれないけど、持っているというのがあれば気持ち的に全然違うと思います。

──いわば三浦選手も同じようなことを追求してきたと思います。客観的に渡辺選手の成長を観察することができていますが、自身に照らせ合わせて思うところはありますか。

三浦 いやぁ、もう……。だからこそ、華奈さんのコレを見て出したいなって思うんです。私も首投げ一辺倒でないように。そこはまだ色々な意見を言ってもらうこともありますが、1月の(平田)樹ちゃんとの試合は自分のなかでちょっとずつ出せてきているのかと思いました。試合を決めきることはできなかったことは悔しかったのですが、差してヒジを出すとか、少しは出せたかなと。華奈さんのようにドーンと出せていないですけど(苦笑)。

渡辺 もっとデキるんだよ。私はあんなもんじゃない。

──凄いどや顔ですね。「もっとできる」ということは出せていないのに(笑)。

渡辺 アハハハハハ。

三浦 でも、ホントにもっとデキますよ。華奈さんは。

渡辺 もっとデキるんですけどねぇ……。あんなもん、まだ30パーセントですからね(笑)。

──渡辺選手と三浦選手の違いは、特に直近の試合では首に手を巻いて投げることを相手が怖がるのか、それはもう通じないよという風に戦ってくるのか。その違いもあったかと思います。ONEでもティファニー・テオやシィォン・ヂィンナン戦を想定すると、そこまでセットできないことを考えて首投げ以外のテイクダウンが必要になってくる。ただし、平田選手は組めるし、首投げを嫌がって腰を落とすのだから、すかしてコントロールという流れは何も悪くないです。

三浦 つまり首投げの形に入れない相手と、華奈さんは戦っているということですよね。カモーシェは投げの反応とか、本当に対策練習もしていたと思います。

(C)PFL

渡辺 マジで強かった。

──開始早々のテイクダウン狙いを苦も無く反応してがぶった。奇襲にも反応できるのかと驚きました。

渡辺 実は自分も思い切り入ったので、その当たりで効いちゃったぐらいなんです。

三浦 えぇ!!

渡辺 だから、セコンドには「自分、あの時に何か貰いました?  ヒザですかね?」とかって聞いているんですよ。でも「普通に入っただけだよ」と言われて(苦笑)。

──凄まじい話です。

渡辺 ぶっちゃけていうと、男子選手とやっているような気分になりましたね。あんな風に対応されると。

<この項、続く>

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