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【Pancrase338】西の実力者、韓国の猛者キム・サンウォン戦へ。名田英平「殺しに来てくれると思うので」

【写真】ココを取れば──そんな一戦が巡ってきた(C)MMAPLANET

明日12日(日)に東京都港区のニューピアホールでPancrase338&339が開催される。そしてダブルヘッダー第一部のコメインで、名田英平が韓国MMA界の猛者キム・サンウォンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

いわゆる関西の地味強ファイター、取りこぼしがなければベルトを巻く位置にいてもおかしくない実力者は、アンダードッグ的な今回の国際戦を逆に大いになるチャンスと捉えていた。MMAPLANET初登場の名田にMMAを始めたきっかけなどを尋ね、そのコツコツMMAファイター人生のステッピングボードとなるファイトについて話してもらった。


――キム・サンウォン戦を約1カ月後に控えた名田選手です(※取材は10月9日に行われた)。名田選手とのマッチアップは彼をタイトル戦線に送り込むための一拍を置くファイトのような印象があります。

「あぁ、勿論です。そういう試合だと分かっています。それでも海外の選手をバンバン連れてきてくれた方が活気づきますし、日本人同士よりも海外の選手とやる方がファイターとして燃えます。オファーが来た瞬間、初めての国際戦だったのでテンションが上がりました」

──逆にチャンスだと。

「ハイ。Road to UFCで修斗のチャンピオンのSASUKE選手をしっかりと倒していますしね。しかも初回はSASUKE選手がゲームメイクしているなかで、2Rにワンツーで仕留める。凄く能力の高い選手ですね。当て勘も良くて、バックステップとかも見ても凄く良い選手で。きっと殺しに来てくれると思うので、どうなるか分からないですけど、やれる試合にはなるやろなと思います。踏み台にされるかもしれない試合ですけど、前回の試合に負けているのに僕を選んでくれて有難いです」

──フェザー級王座はISAO選手が返上、続いて透暉鷹選手もバンタム級に転向で返上。挑戦者決定トーナメントに関わっていた選手として、新居すぐる選手のフェザー級王座戴冠については、どのような想いでいますか。

「なんかこう面白いですよね。あの人、ずっと負け続けていたのに連勝して、RIZINでも結果を残して。練習環境を変えたのか、打撃も凄く良くなっていて。シンプルに強いです。前は極めの一発はあっても、打撃とかない選手やったのに亀井選手との試合を見て、フェザー級の選手は皆がビックリしたんじゃないですか」

──混沌としているフェザー級戦線で、名田選手ご自身では自分の位置をどのように捉えていますか。

「結果的にRYO選手に負けているし……あと2回ぐらい勝たないと挑戦は難しいと思っています」

──だからこそキム・サンウォン戦は印象として、勝てば大きいですね。

「韓国のトップ選手とやれるのは、僕のキャリアのなかで一番大きい肩書を持っている相手になります」

──では、先ほどから良い選手だと言われていたキム・サンウォンですが、改めて印象を教えてください。

「打たれ強いし、スタミナがあります。やられても圧を掛け続けることができる。粘り強いし、打たれ強い。パウンドも凄い強力で。そこも気を付けたいです」

──そのような相手に対して、どのような戦いを挑みたいでしょうか。

「今やっているレスリングもそうですし、打撃も良くなってきているので、そういうところを見せたいですね」

──今日はパラエストラ東大阪のプロ練習、竹中大地選手と瀧口脩生選手、健斗デリカット選手という実力がありながら、少し停滞気味のファイターたちとの力のこもったスパーリングが見られました。

「基本、このメンバーでやっていて。あとは林RISE選手、それと起一(ストラッサー)さんと月・金でやらせてもらっています」

──他の曜日の練習はどのようになっているのですか。

「火・木がカルペディウム芦屋で岩﨑(正寛)さんのところに行かせてもらって。ほんで水曜日は岸本(泰昭)のSISUでやらせてもらっています。あとは所属するコブラ会の夜のグラップリングクラスで、やってくる選手と練習して」

──つまり軸となるのは昼のプロ練習ということですね。

「そうですね。基本、昼に動かしてもらって。夜はコブラ会もそうだし、ボクシングジムとかで腕を磨くような練習をしています」

──そんな名田選手ですが、なぜMMAを始めコブラ会で練習するようになったのですか。

「MMAを始めたのは16歳ぐらいで、西成にあったチーム・クラッチという地下格、パワーゲートに出ているジムだったんです。友達が中三ぐらいの時からやっていて、僕は柔道をやっていたのですがMMAに凄く興味があったので、通うようになりました。その時からもうコブラ会でも練習していて。でも、じつはどっちのジムにも二カ所で練習していることは言い辛くて黙っていたんです」

──ハイ。

「でも試合に出る時にチーム・クラッチから出ることになって、まだ昔の慣わしがあった頃で二つの所属って無理だったんですよね。その試合で勝って──17歳の時だったんですけど、もっと強くなりたいと思ったのでコブラ会一本で練習するようになりました。もう12年とか前の話です」

──当時と比較すると、パンクラスのMMAもプロ練習もあり、交流もあって凄く変わりましたね。

「ハイ。組み技が凄く強くなりました。打撃は昔から強いジムはあったのですが、特に組み技……レスリングも身近になりました。岩崎さんが来てくれてから、凄く良い環境になっていますね」

──キャリア的にはDEEPからパンクラスで戦ってきましたが、久しく大阪大会が途絶えたパンクラスに拘っているのは?

「単に強いヤツが多いからです。高木凌選手とか、こないだはRIZINで負けてしまったけど、あの選手のストレートとか凄くヤバいです。イケメンやし、そういう選手に勝ちたいんです」

──そういうイケメンの選手を倒して(笑)、ベルトを目指すと。

「ベルトもそうやし、やっぱり今回のように海外の選手とやっていきたいですね。ここに勝っての話ですけど、海外勢にとってパンクラスの門番のようになって──いずれは海外でも試合がしたいです。ONEとか、アジア圏で」

──そこに向けて、絶好のアピールになるのが今回のキム・サンウォン戦かと思います。

「そうですね。しっかりと戦って、倒す──相手よりしんどいことをやって、しっかりと勝ちたいです」

■Pancrase339視聴方法(予定)
2023年11月12日(日)
午後5時~ PANCRASE YouTube チャンネル、U-NEXT、TIGET/PPV(英語のみ)

■Pancrase339対戦カード

<ライト級/5分3R>
松本光史(日本)
西尾真輔(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
矢澤諒(日本)

<ライト級/5分3R>
平信一(日本)
丸山数馬(日本)

<ミドル級/5分3R>
佐藤龍汰朗(日本)
荒井勇二(日本)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
岡田拓真(日本)

<フライ級/5分3R>
濱田巧(日本)
大塚智貴(日本)

<バンタム級/5分3R>
平岡将英(日本)
谷内晴柾(日本)

<ストロー級/5分3R>
米山唯人(日本)
織部修也(日本)

■Pancrase338視聴方法(予定)
2023年11月12日(日)
午前11時45分~ PANCRASE YouTube チャンネル、U-NEXT、TIGET/PPV(英語のみ)

■Pancrase338対戦カード

<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂(日本)
櫻井裕康(日本)

<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
キム・サンウォン(韓国)

<女子フライ級/5分3R>
ライカ(日本)
重田ホノカ(日本)

<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
寺岡拓永(日本)

<バンタム級/5分3R>
高城光弘(日本)
平田丈二(日本)

<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎(日本)
前田浩平(日本)

<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗(日本)
上田智大(日本)

<フライ級/5分3R>
饒平名知靖(日本)
金澤臣人(日本)

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MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase338 RIZIN UFC YouTube   キム・サンウォン チャンネル ボクシング ライカ ヴァレンチーナ・シェフチェンコ 三宅輝砂 丸山数馬 井村塁 前田浩平 名田英平 大塚智貴 平岡将英 平田丈二 杉山廣平 松井斗輝 松本光史 浅倉カンナ 矢澤諒 糸川義人 荒井勇二 重田ホノカ 鈴木悠斗 高城光弘 高本千代 鶴屋怜 鶴屋浩

【Pancrase338】ライカ戦への自信。重田ホノカ─02─「普通にやれば負けない。パンチの前に必ず仕留める」

【写真】シェフチェンコとのスパー。まだプロデビュー前の経験だ(C)MMAPLANET

12日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase338で、ライカと対戦する重田ホノカのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

重田はパラエストラ柏に入会したあとに憧れの浅倉カンナとの練習はもちろん、当時UFC世界王者だったヴァレンチーナ・シェフチェンコのファイトキャンプも経験した。1年で成長し続ける彼女は、ライカ戦への大きな自信を見せた。

<重田ホノカのインタビューPart.01はコチラから>


――MMAを始めてちょうど1年! それは驚きです。ただ、親御さんの反対はなくなったのでしょうか。

「MMAをやりたいと伝えた時には、両親から『格闘技だけで食っていくことが、どれだけ難しいか分かっているのか!? 現実はそんなに楽なもんじゃないんだ!』と言われて。だけど仕事をしながらだと、強くなるのは難しいと思ったんです。だからお母さんに『2年欲しい』とお願いしました。

まず1年でプロデビューして、その1年後は実家暮らしだけど自分の生活は何とかするぐらい稼げるようになるから。そう約束した3カ月後にアマチュアデビューし、さらに4カ月経ってプロデビューしています」

――お母さんとの約束を守っているわけですね。しかも前倒しで。そもそも入るジムとしては、やはり憧れの浅倉カンナ選手のいるパラエストラ柏しか考えていなかったのですか。

「もちろんです。憧れの選手を倒すために他のジムに入る人もいるとは思いますけど、私は常に憧れの選手の背中を追いかけたいタイプなんです。高校も、すごく強い憧れの先輩がいるところを選んだりとか。とにかく『カンナさんみたいな選手になりたい!』と思ってパラエストラ柏に入りました。でも私がジムに入った時は、カンナさんが試合後に休養していた頃で。初めてお会いしたのは、入会から1カ月ぐらい経った頃です」

――初めて会った時の浅倉選手の反応は……。

「……『えーっ!? ありがとう!』と言ってもらいましたけど、やっぱり最初は距離がありました(笑)。カンナさんにしてみれば『気づいたらいる……誰だろう?』という感じだったと思うんです。でも一緒に練習していくうちに、だんだん距離も近くなって。一番大きかったのはシェフチェンコとの練習でした。毎日カンナさんにくっついていて」

――今年1月から2月にかけて、ヴァレンチーナ・シェフチェンコがパラエストラ柏でファイトキャンプを行った時ですか。ということはMMAを始めて3カ月ほどでシェフチェンコと一緒に練習をしているのですね。

「とにかく倒されまくって、シェフチェンコにしがみつくのが精いっぱいでした。練習がキツすぎて死にかけましたね……。あとは防具を全て付けた状態で練習していたら、シェフチェンコが下からヒジ打ちを入れてきて、メッチャ鼻血が出ました(笑)」

――練習で下からヒジ打ちとは……、シェフチェンコは重田選手のキャリアを知っていたのでしょうか。

「いや、絶対にアマチュアでも試合をしたことがない人間だとは知らなかったはずです(苦笑)。組めば投げられるし、ガンガン殴られるし――でも毎日朝から晩までシェフチェンコと一緒に練習できて、得られるものは大きかったです」

――目指しているのは浅倉選手も出場しているRIZINなのですか。

「やっぱりRIZINには強い憧れがあります。憧れの選手が出ている舞台で――さいたまスーパーアリーナで試合がしたいんです。もしRIZINが女子ストロー級のベルトをつくってくれるなら、そのベルトを目指して頑張っていきたいですね。もしストロー級でベルトができなくても、スーパーアトム級までは落とせます」

――もしRIZINのベルトの前に浅倉選手が立ちはだかったら、どうしますか。以前から鶴屋浩代表は「パラエストラ千葉ネットワークは同門対決でも問題ない」と仰っています。

「えーっ!? うーん……、その時は全力で潰しに行きます。いつか憧れは越すしかないですから」

――なるほど。もともと入会してすぐ選手練習に参加していたのですか。

「そうですね。夜のプロ練はアマチュア選手も女子選手もいなくて、杉山廣平さん、鶴屋怜君や松井斗輝君とか男子のプロ選手だけ参加している時もありました。そのなかでまだ入会したばかりの私が、みんなにコテンパンにされて(笑)。でも私は強くなるためにパラエストラ柏へ入ったので、そういう練習に付いていくしかなかったです。柔道以外は何の経験もなかったので、初めてミットを打ったり、レスリングをイチから教えてもらったり……」

――重田選手に関しては、1戦目から2戦目の間の成長具合が速い印象があります。特にシングルレッグの入り方とスピードは、1戦目の高本千代戦と比べて2戦目のソン・ヘユン戦は、1年目とは思えないほど速かったです。

「ありがとうございます。でもレスリングを教わってから1カ月ぐらいで、あれぐらいの入り方はできていたと思います。柔道をやっていたおかげか、相手の懐に入ることには全く抵抗がなくて。ただ、1戦目から2戦目までの間に成長できているというのは、私自身もそう感じています。前の試合から今回のライカ戦まで3カ月ぐらいしか経っていないじゃないですか。その間に私は二回りぐらい、また成長しているので」

――プロ3戦目でライカ戦というのは、かなりのチャレンジだと思いました。しかしマッチメイクの裏には、それだけの自信があったのですか。……今、「チャレンジ? そんなことないよ」という表情になりましたね(笑)。

「ウフフフ。確かにキャリアを考えたら、周りからチャレンジマッチだと思われても仕方ないです。でも私にとっては別に――。今回はストロー級ではなくフライ級の試合だけど、そこも問題ないです。まずは与えられた試合を勝っていくことのほうが大事ですからね。

次も普通にやれば負けないかなと思っています。ライカ選手は元ボクシング世界王者ですけど、これはMMAなので。もちろんパンチの距離になったら危ないとは思っています。階級はひとつ上だし、パンチの距離からガッと詰められることは警戒しています。でも、その前に必ず仕留めますから」

■視聴方法(予定)
11月12日(日)
Pancrase338:
午前11時45分~U-NEXT、PANCRASE YouTubeチャンネル
Pancrase339:
午後17時15分~

■Pancrase338 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂(日本)
櫻井裕康(日本)

<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
キム・サンウォン(韓国)

<女子フライ級/5分3R>
ライカ(日本)
重田ホノカ(日本)

<ストロー級/5分3R>
リトル(日本)
寺岡拓永(日本)

<バンタム級/5分3R>
高城光弘(日本)
平田丈二(日本)

<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎(日本)
前田浩平(日本)

<ライト級/5分3R>
鈴木悠斗(日本)
上田智大(日本)

<フライ級/5分3R>
饒平名知靖(日本)
金澤臣人(日本)

■Pancrase339 対戦カード

<ライト級/5分3R>
松本光史(日本)
西尾真輔(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
矢澤諒(日本)

<ライト級/5分3R>
平信一(日本)
丸山数馬(日本)

<ミドル級/5分3R>
佐藤龍汰朗(日本)
荒井勇二(日本)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
岡田拓真(日本)

<フライ級/5分3R>
濱田巧(日本)
大塚智貴(日本)

<バンタム級/5分3R>
平岡将英(日本)
谷内晴柾(日本)

<ストロー級/5分3R>
米山唯人(日本)
織部修也(日本)

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE PANCRASE Pancrase335 キック パンクラス 三宅輝砂 中田大貴 高木凌

【Pancrase335】高木凌戦へ、中田大貴─01─「ボクサーやキックボクサーと比べたらダメージは溜まらない」

【写真】ボクサーやキックボクサーと比較しないと、ダメージは溜まらないのか。そこは尋ねてみたいです(C)SHOJIRO KAMEIKE

7月9日(日)、東京都港区のニューピアホールでパンクラスが昼夜興行を開催する。昼の部Pancrase335のメインでは、中田大貴と高木凌のフェザー級ランカー対決が組まれた。
Text by Shojiro Kameike

中田といえば、常に試合が大激闘になるというイメージが強い。しかし大激闘になるがゆえ、星を落とすことも増えてきた。そんな自分のスタイルに対して、中田自身はどのように考えているのか。今年3月の三宅輝砂戦を経て見つかった課題と対策について訊いた。


――いきなりですが、なぜ毎試合が激闘になるのでしょうか。

「アハハハ。自分も意図しているわけではないですけどね」

――もう試合速報でも、記事タイトルに最初から「激闘」の文字を入れておこうかと思うほど、激闘になる頻度は高いです。

「激闘になりがちな星の下に生まれたのかもしれないですね(苦笑)。相手を削って削って勝負していくタイプなので。自分は他の選手と比べて、MMAを長い間やってきたわけでもないです。そういう人間が、長く格闘技をやってきた相手と戦うためには、身を削るような戦い方をするしかない。そうすると自分の勝率も高くなります」

――相手を削っていくために、自分の身を削る。以前のインタビューでも、戦うことへの覚悟を話されていました。

「自分でもよく分からないけど、こういう生き方を選んじゃったので続けていくしかない。そう自分で思い込んでしまっているような気はします」

――それだけの覚悟を持った生き方を選んだのは、格闘技を始める前か後か。どちらなのでしょうか。

「もちろん格闘技を始めてから、命を懸けて戦うという意識を持ちました。でも自分は生まれ持って――小さい頃から『ここで行っちゃうか!』というところでも突っ走っちゃう傾向はありましたね(笑)。小学生ぐらいまでは大人しい子供だったらしいんですけど、中学生になってからタガが外れたというか」

――アハハハ。前回の三宅戦についてはいかがですか。まず1Rはジャッジ2名が中田選手につけ、もう1名は相手につけていた。オープンスコアリングで採点を聞いた時、ご自身やセコンド陣の認識と合っていましたか。

「ダメージは確実に自分のほうが与えていたと思います。だからジャッジが自分につけていておかしくないと思っていましたけど、テイクダウンされていましたね。前回の試合は結果が良かっただけで、内容は全然ダメでした」

――ここ最近、日本のMMAではテイクダウンとグラウンドコントロールよりも、抑え込まれている選手がパンチを出し続けているほうが評価される。そのような採点となっている試合がよく見られます。

「あぁ、そういうの結構多いですよね。ユニファイドではなく日本独自というか。ONEでもそういう試合がありますし」

――中田選手の場合は打撃の手数を増やすなど、そうしたジャッジの傾向を考えることはありますか。

「何ていうか……、ジャッジの傾向を知っているというぐらいです。だから自分の中でどう考えるか、というのはなくて。僕はただ自分のやるべきことやる。それが前回の試合はできていなかったから、相手にポイントがついていても仕方ないと思っていましたね」

――では「自分がやるべきこと」とは何だったのでしょうか。

「打撃でプレッシャーをかけることができていたのは良かったんですけど、その打撃に意識が行きすぎて、テイクダウンディフェンスが疎かになっていました。背中を着けられて、そのままにしてしまったりとか。テイクダウンされた瞬間にエスケープのために動かないといけないのに、動けていなかったです」

――それは技術的なものよりも、意識の問題ということですね。

「そうですね。ぶん殴ることに意識が行きすぎました(苦笑)。もともと自分が、ひとつのことに集中しすぎちゃう性格なんですよ。いろんなことを同時並行で進めることが苦手だったり。それはMMAをやっていくうえでも課題です。いろんな要素がMMAにはあるから、同時並行で進めていかないといけないことも多いじゃないですか。今までの試合もそうだし、これからも常に自分が意識していかないといけない問題です」

――とはいえ、それが中田選手の課題であり、強みでもあるわけですよね。弱点を克服すれば長所を失ってしまうこともあります。そのバランスを、どのように取っていくのか。

「それは大沢(ケンジHEARTS代表)さんにも言われるんですよ。『巧くなって、いろんなことができるようになってきた。でもお前の良いところは失うなよ』って。『前に出て勝負できるのが強みだから。巧くなってきたからって、それを試合で出さないのは良くない』と常日頃、言われています」

――とはいえダメージの心配はないですか。

「もちろん打撃のディフェンスは、もっと考えないといけない部分ではあります。ただ、自分の場合は、まだそれほどキャリアが長くないですからね。これもよく大沢さんに言われることで、ボクサーやキックボクサーと比べたらダメージは溜まらないと思うんです。打撃系競技の人は普段からガチスパーをやって、攻撃が頭部に集中するじゃないですか。MMAは、打撃のみの競技と練習メニューが違いますからね。だから言われるほど、自分の中ではダメージは溜まっていないって考えています」

――確かにMMAではパウンドもあって、より試合でダメージが溜まりやすい競技でもあります。だからこそ普段の練習内容が重要になってきますね。

「今回の試合に対しても、めちゃくちゃスパーをやっているわけではないです。金原(正徳)さんと強めのスパーをやるぐらいで。スパーをやる目的って、行くときに行ける感覚を掴むためだと言う人もいますよね。でも僕は常に、スイッチひとつ押すだけで前に出られますから(笑)。それよりも今回は形をつくる練習——シチュエーションのドリルに時間を割いてきました。この形になったら自分がどうするか、という動きを体に染み込ませるための練習ですね。次の相手のタイプを考えて」

<この項、続く>

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【パンクラス】中田大貴×高木凌 ストライカー対決決定!

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7月9日にニューピアホールで開催されるPANCRASE 335/336の追加対戦カードとして、中田大貴(和術慧舟會HEARTS)×高木凌(パラエストラ八王子)のフェザー級ワンマッチが決定しました。

パンチをもらっても前に出続けるゾンビスタイルの中田は師匠・大沢ケンジの掲げる「ミエテイレバキカナイ」を体現する選手。打っても打っても間合いを詰めてくる姿は相手にとっては脅威でしょう。

RIZINで連敗を喫したものの、3月のパンクラスでは月には、三宅輝砂に押されながらも、最後は下からのフロントチョークを極めて逆転の一本勝ち。打撃だげではない奥行きを見せて復調を印象付けています。

対する高木は中田とは対照的に1発で相手を仕留めるシャープな右ストレートが持ち味。私が見てきた試合でも林優作、遠藤来生など打撃をもらった相手の倒れ方のヤバい事。右を武器にブレイクする可能性を秘めています。

そうなると楽しみなのは被弾上等、打たれ強さが身上のザリッチ中田を右ストレートでダウンさせる事が出来るかどうか。1発の短時間決着なら高木優位、長時間の削り合いならザリッチ中田優位か。パンクラスのタイトル戦線はもちろん、RIZINフェザー級にも直結し得る一戦。注目です。
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MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase331 パンクラス 三宅輝砂 中田大貴

【Pancrase331】TDで劣勢のまま終わったと思われた2R終了間際、中田が三宅をギロチンで絞め落とす

<フェザー級/5分3R>
中田大貴(日本)
Def.2R4分59秒 by ギロチン
三宅輝砂(日本)

身長とリーチで上回る三宅に対し、中田が一気に距離を詰めた。ガードを固めて頭を振り、パンチとローで攻め立てる。上下にパンチを散らす中田は、三宅の前蹴りをキャッチしてグラウンドに持ち込もうと試みる。しかし三宅がディフェンス、一度はマットに着いたが両者すぐに立ち上がった。

三宅が組みつき、中田をケージに押し込む。バックに回った三宅に対し、中田が上手投げを見せるも、三宅がトップを奪った。フルガードの中田、三宅はニースライドで足を一本越える。三宅がハーフガードの中田をパンチで削りながら、頭をつけて抑え込む。中田はフルガードに戻した。上半身を起こした三宅はパンチを振るうもヒットはなし。

中田が立ち上がると、そのまま三宅が追い、ケージに押し込む。ワキを差し上げる三宅、中田は首相撲の展開から離れた。パンチで三宅にケージを背負わせた中田が、そのまま三宅をケージに押し込む。ケージ中央に戻ると、中田が左右フックのラッシュを見せながら左ストレートをボディに突き刺す。さらにテイクダウンを狙うも、これはカットされた。

ジャッジは2名が10-9で中田、1名が10-9で三宅につけている。

2R開始早々、レフェリーが試合を中断した。三宅の左目が腫れており、ドクターチェックが入る。チェック後、試合は再開。三宅が右前蹴り、右ローを繰り出す。中田は距離を詰めて左右フックを狙う。中田のパンチを潰した三宅がシングルレッグで組みつき、尻もちを着かせてケージ際へ。三宅が中田の足を抑える。

立ち上がる中田、三宅は食らいついていくも中田が首相撲で体勢を入れ替えた。離れる三宅に中田がパンチを連打で当てる。三宅が再び組みついてグラウンドへ。ハーフガードを取る中田に対し、三宅もパンチで削りながらパスを狙う。しかし中田が足を利かせ、パウンドもクリーンヒットを許さない。

三宅が体を起こしたところで、中田がフィフティフィフティの体勢を狙うも、三宅はトップに戻った。そのままハーフガードの中田を抑え込む三宅。パンチと鉄槌を浴びせながら、中田のギロチンを凌ぎ、そのままトップでラウンドを終えた。

……と思われたが、なんとここで三宅が絞め落とされていることが判明。中田がギロチンで一本勝ちを収めた形となった。

勝利した中田は「まずはパンクラス30周年おめでとうございます! いろんな方々の想いが受け継がれて、そのバトンを自分が受け取りました。明日からまた生きるぞ!」と叫んだ。


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