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朝倉未来、「鈴木千裕すげーな」と絶賛しつつも「高確率で勝てると思うよ」

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 格闘家の朝倉未来が5日、自身のスレッズを更新。アゼルバイジャン(現地時間4日)で行われたRIZIN初の海外大会のメインイベント(第10試合)で、同国出身のヴガール・ケラモフからベルトを奪取し新王者になった鈴木千裕への思いをつづった。

 朝倉は「今知ったけど、鈴木千裕すげーな」としたためながら、ファンから「千裕にかてる?」との質問が寄せられると「高確率で勝てると思うよ」と記した。

 鈴木はケモラフ戦後、フィニッシュについて「ケラモフが朝倉未来選手とやった時に、テイクダウンに来たら首を抱えてヒジとかパウンドを打つのを見ていたので、その体勢になった時にわざとフェイクの三角を狙ったんです。そうすると上体を上げてパウンドを打ってくるので、その動きに合わせて蹴り上げをドンピシャで合わせようと思って、そこでダウンを取れたのであとは息が戻る前に決めてやろうとラッシュしました」と振り返った。

 チャンピオンとしての展望を聞かれると「子どもたちに未来を見せたい。今は日本の格闘技は不良が輝く時代になってしまって、ヤンキーとかが表舞台に出て格闘技の質を下げてしまっている。そうじゃなくて本物の、遊びも全部断ち切って真面目にやっている人が報われる格闘技を目指したい。そして真剣に格闘技をやっていけば夢をかなえられるという格闘技業界を俺が作りたい」と未来に向けて語っていた。

 もちろん「高確率で負けると思うよ」なんて言えるわけないですが、これはダサい。もう格上アピールできる立場じゃなくなっていることに気づいてないのだとしたらマズいです。続きを読む・・・
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【RIZIN LANDMARK07】衝撃の戴冠! 鈴木が蹴り上げ→ボトムからの連打でケラモフをKOし新王者に

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
鈴木千裕(日本)
Def.1R by KO
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)

開始早々、鈴木が距離を詰めた。低く構える鈴木に対し、ケラモフが左ハイを見せる。左ロー、右ハイと蹴りを散らすケラモフが、右クロスからシングルレッグに繋げて鈴木に背中を着かせた。鈴木は下からケラモフの頭を抱えるも、ケラモフが起き上がる。ここで鈴木の右カカト蹴りがケラモフの顔面を捕えた。倒れるケラモフの顔面に、鈴木が下からショートのパンチを連打する。するとケラモフの動きが完全に止まり、さらに鈴木がパンチを打ち込み続けるとレフェリーが試合をストップした。

ベルトを巻いた鈴木は試合後、「こんにちは! チャンピオンの鈴木千裕です。アゼルバイジャンに来て、アゼルバイジャンが好きになりました。今日勝ったので、ファイトボーナスが出ると思います。その一部をアゼルバイジャンに還元したいです。MMAとキックボクシング、二刀流を達成しました」とメッセージを送った。


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【RIZIN LANDMARK07】ケラモフに挑戦、鈴木千裕「僕にとって打撃は打でなく、殺なんで(笑)」

【写真】ハマれば絶対。そして、ハマらない時の対処も非常に興味深い鈴木千裕だ(C)MMAPLANET

4日(土・現地時間)、アゼルバイジャンはバクーのナショナルジムナスティックアリーナにて開催される「RIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan」のメインでRIZINフェザー級王者ヴガール・ケラモフに挑む鈴木千裕。
Text by Manabu Takashima

7月にパトリシオ・フレイレをKOした勢いをかって、RIZINフェザー級最強の男ケラモフにアウェイの地で挑む鈴木は、随分と破天荒な発言が目立つ一方で、戦いに関しては真理をつく言葉を発することが多々ある。

シンプル&ポジティブ、鈴木千裕の言葉を決戦前夜にお届けしたい。


――追い込みの大変な時期に取材を受けていただき、ありがとうございます(※取材は10月23日に行われた)。

「取材は基本的に言っていただけると、受けます。なんか、取材を断ったりするって、スカしているみたいでムカつきませんか(笑)」

――取材は受けてほしいですが、そこは練習と休息が第一だと、試合直前の選手に対して思っています。なので断られてもしょうがないタイミングはあるとかと。

「記事にしていただくことで、僕らのコトが話題になるわけですし。それは凄くありがたいことです。デビューして間もない頃、いつか記者の人達に囲まれまくりたいと思っていて。それが叶えられたのは凄く嬉しいことです」

――ありがとうございます。ケラモフ戦に向け、どのような追い込み具合でしょうか。

「いつも通りです。そんなに変わりない、日常ですね」

――アゼルバイジャンで戦うことは非日常でもあるかと思います。そこで記者会見で一度訪れることができたのは、大きくないでしょうか。

「街を見られること、気候を知ることができるのは凄く良いことなんですけど、ぶっちゃけ変わらないですね。別にどこで試合をしようが、やることは変わらないんで」

――とはいえ飛行機の長旅もあります。

「そこは……トルコのイスタンブール経由で、かなり長くて。ただ体を動かせないのは窮屈ですけど、到着して動かせば元に戻るので。時差とか凄く心配されましたけど、アゼルバイジャンと日本は5時間の時差があって。なら5時間余分に眠れば良いだけで(笑)」

――アハハハハ。

「めっちゃ簡単なことなんで、難しく考えすぎないことです」

――ポジティブ、イケイケ志向が強みですね。

「分かり切ったことを考えるのが、本当に嫌いで。アゼルバイジャンに行くことは決まっていて、そこには時差がある。それを嫌だと言っても、しょうがないです。行って戦うのだから、なら余分に5時間寝れば良いだけで」

――心配しても、時差はなくならないと。

「そうなんですよ。そこは考えても変わらない。なら、そういう無駄なことは考えたくないんです」

――なるほどぉ。素晴らしい考え方ですね。

「『練習場所はあるの?』って心配されても、あればある。なければ、外に出て走るしかないわけで」

――いや、その考え方ができるのは強いです。あの会見での、やり切り感にも通じているようにも感じます。

「どうせ1人で乗り込むなら、行ってやろうかって。なんか、気づいたら立っていました(笑)」

――感情に身を任せた、と。

「でも乱闘になって歯が欠けると嫌なので、マウスピースは持って行きました。乱闘はあるかもと準備はしていましたけど、台に乗ったのはあの時の感情、そのままです」

――ケラモフ×朝倉未来、クレベル×鈴木千裕を並べると、今回の試合はやはり組みの展開がどうなるのか。そこが焦点になるかと。

「まぁ、試合なんでテイクダウンされないというのは難しいです。15分の攻防で、UFCの選手でもテイクダウンを取られているわけで。なのでテイクダウンをされたら、テイクダウンをされた時に考えれば良くて。組んで倒されることに抵抗はないです。クレベル選手と戦って、彼以上強い寝技の圧力はないはずなので。自信を持って寝技に応じようと思います。

とはいっても多分、僕は倒されないです。ただ格闘技に100パーセントはないから。ほぼほぼ倒されないですけど、倒されたときに――倒されないという自信があったのに、倒されると焦っちゃうじゃないですか。でも倒されたら、倒された後がある。僕らが戦うのMMAであって、キックボクシングではないので」

――寝技の攻防になるとクレベルは日本一かもしれないです。ただし、相手を立たせない。立たせてもコントロールできる能力となると、ケラモフは相当あるように思います。

「もちろん、そうです。でも、スバ抜けてはいないです。スバ抜けていたら、今頃は世界チャンピオンになっています。そうじゃないので、だからどうしたって感じで、そんな深く考えたちゃダメなんです。格闘技って凄くシンプルで。倒されたら――こうして、こうするとか考えるのではなくて、その時に見えてくる答えがあるので。

その瞬間、向き合って初めて分かる隙とかもあって。僕は感性で動く方なので――ハイ。技術はありますけど、その時に見えてくるス。今はこうして、こうこうというのはないです」

――感性、直感で動くということはそれだけ準備をしてきたということですね。

「それはもう練習はやっています。どうやって立つか、ノウハウもあります。その引き出しはたくさん持っているので。その時に合った引き出しを開けるだけです」

――同時にセコンドが言っていることを守るよりも、直感で動くという風にも言われていましたね。

「ハイ。セコンドの声は参考にする――ということです。自分で考えて動き、ピンチの時は聞きます(笑)。バックチョークを取られそうなときは、指示の通りに動きます。ピンチでない時は、僕のやりたいようにやります。塩田(歩)さんも、それで良いと言ってくれています。練習中は聞きます。練習では頭を使って、試合では感性でいきます」

――クレベル戦では奥足を取られて、倒されました。対して、ケラモフは前足を取ってくる。その違いもあるかと。

「クレベル選手との試合は、とくにかくバックを取らせたくなかったです。そこが一番でした。結果的にテイクダウンをされても後ろに回られたくなかったので、いっぱいいっぱいでした。ダブルに移行されたときもそうです、とにかく背中に回らせないことに集中して」

――となると、ケラモフはシングルからバックに回ることに長けていますが。

「取らせないことが一番ですけど、取られたら取られたなりに処理しないといけないです。それと、ケラモフはワンフックからでも極めることができます。皆は力、力と言いますけど、テクニックがあって成り立っている。立ち技でも寝技でも、足は絡ませないことですね」

――そのために、打撃の圧を掛けることができるか。MMAではレスラーなど貰っても組めば――という考え方があります。

「ハイ。でも、僕は一発で失神させることができるので。やっぱり、それが一番じゃないですかね。殴られても組めば――じゃ、僕と戦うと地面を見ている。そういう展開になるパンチを僕は持っている。だから、逆にそういう風に思ってくれている方が、都合が良いですね。殴られても良いなんて、思っていたら失神させます。僕にとって打撃は打でなく、殺なんで(笑)」

――9月24日、クレベルに勝った金原選手から「勝って来いよ」とエールを送られました。

「うるせぇんだ、分かってるよ。やるに決まっているだろって(笑)。じゃないと解説席にいないです。もちろん、嬉しかったですし、ありがたかったです。でもリスペクトを持って『分かってるよ』と」

――ケラモフに勝って、金原選手と戦うということも考えているのでしょうか。

「もちろんです。僕ら若手が引退させてあげないといけないので。それが使命なんです。RIZINはベテランが多いので、僕らのような20代の若手が勝って引退させてあげないといけない。でもベテランは強いから、勝っちゃいます。なので、いつまでも残っている。

だから僕ら若手が一発で失神させてあげて『もう俺は無理かも』――と、引退させてあげることが若手の仕事です。ベテランは若手の壁になることが仕事で。でも、若手がベテランを凌駕する分岐点は、もう近いかと。そうやってジムでも練習していて、ジムの練習で後輩にやられるようになったら、僕もお終い――引退します。だから壁になるように練習しています」

――ジムに自ら銅像を創るという夢に向かって、現時点で何パーセントまで来ていますか。

「ケラモフに勝って、銅像を創ります!!」

――では、最後に意気込みをお願いします。

「今回はアゼルバイジャンと国を代表して戦います。なので、日本の人達は皆に応援してほしいです。むしろ、応援よろしくお願いします。日本人が昔から持つ忍耐力と侍魂がどれだけ強いのかを世界に見せるチャンスだと思っています。日本を背負って戦うので、皆さん、応援してください」

■視聴方法(予定)
11月4日(日)
午後9時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN LANDMARK07対戦カード

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
[挑戦者]鈴木千裕(日本)

<ライト級/5分3R>
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
武田光司(日本)

<ライト級/5分3R>
ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)

<60キロ契約/5分3R>
メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)
フェリット・ギョクテペ (トルコ)

<ライト級/5分3R>
ドゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)
キム・ギョンピョ(韓国)

<女子ストロー級/5分3R>
アナスタシア・ヴェッキスカ(ウクライナ)
ファリダ・アブドゥエバ(キルギス)

<フェザー級/5分3R>
ホアレス・ディア(南アフリカ)
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)

<ライト級/5分3R>
イリヤール・アスカノフ(カザフスタン)
ヴラディスラヴ・ルドニエフ(ウクライナ)

<ヘビー級/5分3R>
クエンティン・ドミンゴス(ポルトガル)
ショータ・ペトレミドゥゼ(ジョージア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ハサン・メジエフ(ラトヴィア)
コンスタンティノ・メルクロフ(カザフスタン)

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お蔵入り厳禁【Special】月刊、柏木信吾のこの一番:7月―その弐―鈴木千裕✖パトリシオ「Bellatorが……」

【写真】フレイレ戦の勝利後の会見の席での鈴木。この時点では、彼の米国での活躍に胸を躍らせたファンも多くいたに違いない――(C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。
Text by Shojiro Kameike

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾という3人のJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。

今回は柏木信吾が選んだ2023年7月の一番、7月30日に行われた鈴木千裕×パトリシオ・フレイレ戦の続編……前編から2カ月以上を経てという掲載は、当時――記事化できなかったBellatorの状況が多々あったからだ。

お蔵入り厳禁――8月の時点で氏の口から語られていた『事実』こそ、鈴木千裕がアゼルバイジャンでヴガール・ケラモフと戦うという現在に通じている。

<月刊、柏木信吾のこの一番:7月:鈴木千裕✖パトリシオ・フレイレPart.01はコチラから>


――パトリシオにしても、よく受けたなと思う試合でもありました。

「それに関していうと、Bellator側の最初のリアクションは『スズキは何か悪いことでもしたのか?』だったんです(笑)」

――アハハハ。懲罰だと?

「ハイ(笑)。スズキはサカキバラを怒らせたのか、と。パトリシオに関しては、本当は試合をすることは嫌だったみたいです。『なぜ、やらないといけないのか』って」

――実はBlack Houseでマネージメントをしているエド・ソアレスは「イージーマネーだ」とホクホク顔で話をしていましたね(笑)。

「アハハハ。パトリシオからすると嫌だけど、条件が割りに合うというか……そこにあったら取るでしょと。お腹いっぱいでも、まだ食べられるということだったと思います」

――色々な背景があって実現した試合。鈴木選手が勝利し、彼はFigth&Lifeのインタビューで今後に関して、しっかりと「一番良い条件のところ」という話をしていました。お金の話ができる選手って、強いと思います。

「うん、そうですね。その辺りのハングリーさは、結果にも出てきますね。そういうファイターが成功しているんです。ブラジル人そうで。鈴木千裕選手のパトリシオ戦は、ハングリーな選手の魅力が詰まった試合でもありました」

――この試合で勝利した鈴木選手の北米MMA界における価値を柏木さんは、どのように捉えていますか。

「大筋は変わらない」

――えっ……。

「MMA業界の勢力分布図には、影響を与えないと思っています」

――……。

「Fight Matrixで鈴木選手のランクが12位に跳ね上がりました。それは数字的にパトリシオに勝った選手が自動的に上位にランクされるということです。ただしBellatorやUFCというMMA業界においては、お祭りのなかで事故が起きた――という捉え方だと僕は思っています」

――Bellatorで再戦だろう、とか。パトリシオをKOしたのだから、UFCのアンテナに引っかかってくるのではないという期待が……。

「お祭りの時に起こった事故って言っちゃうと、それは申し訳ないのですが……パトリシオも、そこまで深く受け止めていないかと。僕の立場としては、この勝利で色々と仕掛けられるかなっていうのはありますけど。そういう期待感があって、実際にBellatorで戦うことになったとしましょう。なら、高島さんはどう思いますか?」

――簡単ではないです。

「ジェレミー・ケネディ戦とか実現したら、どうなりますか」

――勝つことは難しい。もちろん、一発で勝つ力はあります。ただし、それを連続するだけの力はまだ備わっていない。

「そういうことですよね。鈴木千裕選手が活きるマッチメイクをBellatorや北米のプロモーションが組んでいくのかといえば、それはないですよね。特にBellatorはグラップラーが多いので……そこは簡単ではないと思います。正直、パトリシオをKOしたからといって、パトリシオより強いという風にはならないと思います」

――ハイ。

「もちろん格闘技の魅力が大爆発した試合ではあったのは間違いないです。ですが、それが現状ではないかと」

――その勝負に勝ったのだから、ライズしたモノが何倍にもなって返るようになってほしい……。

「オールインして、勝ったわけです。それは本当に素晴らしい勝利でした」

――Bellatorは柏木さんと違って、あの勝敗で何かを仕掛けることはないと。

「それは……ほら、今は状況が状況じゃないですか。10月以降のことを、今のBellatorが考えることができているのか。残念ながら、そうではないと思います。本来ならBellatorでリマッチが組まれても、全くおかしい話ではないです。でも、今はそれどころじゃない――ということは、伝わってきますよね」

――Bellatorの今後が不透明すぎますし、PFLがBellatorの全選手の契約を買い取るとは思えないです。

「選手を回すこともできないですよね。PFLのシステムで、そこまで選手を抱えることはないと思いますし」

――PFLはどうなのか……。ONEの元スタッフで、凄く優秀だった人がPFLの中東の担当になったり、自分の周囲ですら色々と勘繰りたくなる動きは見られます。

「いずれにせろ、契約を満了にする期間は必要ですよね。その母体を残さないと、契約を履行でいない」

――9月以降のBellatorは凄まじい数のマッチメイクを組むようになっています。

「そうですね。だから、本当にこの状況でなければ……。逆にいえばBellatorが、こういう状態だったからパトリシオ・フレイレと鈴木千裕戦を組むことができた。RIZINからすると漁夫の利です。アハハハ、言っちゃった(笑)」

――ダハハハハ。

「同時にBellatorが通常営業していれば、米国で再戦もあっただろうし、我々の方から米国で試合を組んでほしいと伝えていました。そこは絶対です。あの試合に勝ったんだから、それはやっていますよ。でも、今はそういう状況ではない。向こうがそういう状況ではないから話はしてこないし、こっちもできないというのが現状です」

――Bellator300以降の話が、まず聞かれないです。

「ないですね。10月7日以降がどうなるのか。それが10月7日前に分かるのか(※9月13日にBellator301=11月17日大会の開催が発表された)。いずれにしても、こういう状況で生まれた試合で、あの勝ち方をした鈴木千裕選手は今のRIZINフェザー級で誰とやっても面白い選手になったんです。

一発当てると、勝負を終わらせることができる。これまで燻っていてものがあったけど、パトリシオ戦の勝利で――こんなに良い選手なんだということが伝わった。鈴木千裕という選手の生き方が集約された試合が、パトリシオ戦だったかと思います。そこが凄く分かりやすい形で、多くの人に伝わった作品となりましたね」

■視聴方法(予定)
11月4日(日)
午後10時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN LANDMARK07対戦カード

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
[挑戦者]鈴木千裕(日本)

<ライト級/5分3R>
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
武田光司(日本)

<ライト級/5分3R>
ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)

<60キロ契約/5分3R>
メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)
フェリット・ギョクテペ (トルコ)

<ライト級/5分3R>
ドゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)
キム・ギョンピョ(韓国)

<女子ストロー級/5分3R>
アナスタシア・ヴェッキスカ(ウクライナ)
ファリダ・アブドゥエバ(キルギス)

<フェザー級/5分3R>
ホアレス・ディア(南アフリカ)
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)

<ライト級/5分3R>
イリヤール・アスカノフ(カザフスタン)
ヴラディスラヴ・ルドニエフ(ウクライナ)

<ヘビー級/5分3R>
クエンティン・ドミンゴス(ポルトガル)
ショータ・ペトレミドゥゼ(ジョージア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ハサン・メジエフ(ラトヴィア)
コンスタンティノ・メルクロフ(カザフスタン)

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【RIZIN LANDMARK07】ムサエフ戦 inバクー、 武田光司「返事をする前の晩は泣いちゃってましたから」

【写真】恐怖心があり、克服する。怖さを感じるから生身の人間。武田光司、漢です(C)TAKUMI NAKAMURA

4日(土・現地時間)、アゼルバイジャンはバクーのナショナルジムナスティックアリーナにて開催される「RIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan」にて、武田光司がトフィック・ムサエフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2020年からRIZINを主戦場に戦い、直近5試合は海外勢との試合が続いている武田。今回は2連敗している中で、敵地アゼルバイジャンでムサエフに挑むという試合だが「勝ち以外はいらない」と勝利への執念を語った。


――ムサエフ戦に向けてタイのプーケットで合宿を張っていたそうですね。

「今回は『気持ちを作る』をテーマにして、10月の頭に10日間だけ行ってきました。練習場所はタイガームエタイとプーケットグラップリングアカデミーの2カ所を拠点にしていて、そこに来る選手たちはみんな強いんですよ。違う階級の選手も含めるとUFC、Bellator、ONE Championshipに出ている選手がいて、自分の動きがそういった相手にどれだけ通用するのか。ガチンコで殴り合うわけではないですが、試合をするつもりで彼らと肌を合わせてきました。今回はそういう緊張感を持った練習をすることが目的だったので10日間という短い期間にしました」

――試合前に同階級の外国人選手と練習しておくことは重要ですか。

「僕はすごくそれは大事だと思います。海外にいかないと強くなれない、日本にいても強くなれる。考え方は人それぞれだと思いますが、僕が外国人選手と試合をするにあたって、ライト級になると相手のフィジカルが異次元の世界なんですよ。だから試合前に同じ階級の外国人選手と肌を合わせて、彼らのフィジカルの強さを体感しておくことは僕にとっては必要なことですね」

――ライト級で戦う上で外国人選手とのフィジカル差をどうするかは大きなテーマだと思います。

「軽量級でも差はあると思うんですけど、フェザー級以上になると一気に外国人の身体の強さが変わってくる。ジョニー・ケース選手とやった時はそもそもの身体の作りが違うなと思いました。そういう部分でも、ライト級で生き残るうえでは色んな工夫もしないといけないと思います」

――タイで合宿は定期的に行っているのですか。

「今年は2回目ですね。前回はスパイク・カーライルからタイで一緒に練習しようよと言われて、一カ月間行っていました。今回は一人だったし、試合前ということもあって、短い期間にしました。プーケットと言うと日本のみなさんは観光地とかリゾート地みたいなイメージがあるじゃないですか。でもそれはパトンビーチと呼ばれる地域の方で、僕が滞在していた場所から1時間くらいかかるんです。逆に僕らがいた地域はジムと飯屋とタイ式マッサージ屋とサウナしかないんです」

――どちらかというと合宿地のような場所なのですね。

「はい。泊まっていたホテルから徒歩10分の場所にタイガームエタイがあって、そこからタクシーで10分くらいのところにプーケットグラップリングアカデミーがあって、滞在中はホテルと練習場所の往復でしたね」

――どのようなスケジュールで練習されていたのですか。

「朝8時くらいにタイガームエタイのすぐ近くにあるアポロファイトキャンプという場所でフィジカルトレーニングをやって、タクシーでプーケットグラップリングアカデミーに移動して、9時半からグラップリングとレスリングの練習、一度ホテルで休憩して16:30からはタイガームエタイでMMAの練習をして、一日が終わるスケジュールです。

1日3部練習だから最後の練習が終わってホテルに戻ってくると疲れ果てているわけですよ。外に出歩く体力も残っていないし、格闘技漬けの毎日で練習にも集中できて、自分とも向き合うことができました」

――さて今回のムサエフ戦、最初にオファーを受けた時の心境は?

「夏前くらいにRIZINのオフィスでミーティングをして、11月にアゼルバイジャンで大会をやるかもしれないという話を聞いて、僕は海外で試合をやりたかったので、是非やりたいと伝えました。最初は僕もムサエフ選手もそれぞれ別の相手で調整していたと思うのですが、最終的にムサエフ戦のオファーをもらって。正直僕は連敗中だったし、そんなオファーが来ると思っていなかったんですね。だから一晩考えました。正直に言うとめっちゃ怖いし、俺なんかがムサエフ選手とやってもいいの?と思いました。でもRIZINは僕にこういうチャンスを与えてくれて、最終的にやるしかないだろと決断しました」

――試合を受けるまで葛藤がありましたか。

「喜怒哀楽、色んな感情がこみあげてきて、返事をする前の晩は泣いちゃってましたから(苦笑)。ムサエフ選手はめちゃくちゃ分厚くて高い壁ですけど、こういう壁を乗り越えないと、格闘技をやっている意味も面白みもないし、僕は去年から強いヤツに挑戦するという姿勢を貫き通しているので、ここでムサエフ選手から逃げたら終わっちまうぞと思って決断しました」

――今回の試合は武田選手にとってターニングポイントになる試合だと思います。

「海外の選手とやるのは一戦一戦が分岐点ですよね。ダミアン・ブラウン戦はRIZINデビュー戦&初めて欧米選手と戦って、試合前にヘルニアで腰がぶっ壊れていて、ろくな試合が出来ずにファンにボロクソに言われて。それからカーライルに一本負けして、ケースとザック・ゼインに勝って、ガジ・ラバダノフとルイス・グスタボに連敗したけど、次はムサエフ選手と試合が決まって。本当にたくさんチャンスをいただいていますよね。なぜかは分からないけど」

――それは試合結果だけじゃなく、武田選手が『また外国人選手と戦うところを見たい』と思わせるものを試合で見せているからではないですか。

「実は僕、それがすごく嫌いなんですよ。そう思っている周りに対してではなくて、そう思わせてしまっている自分自身に対して。やっぱり勝負だから勝ちたいんですよね。『あの選手と判定までいったからすごいね』や『負けたけど試合が面白かったよ』じゃなくて、勝たないと意味がない。勝つための過程が必要なことも分かっていますけど、最後は勝たないとダメなんです。だからムサエフ戦は何が何でも勝ちにいくし、勝ち以外はいらないです」

――格闘技には色々な価値観があると思いますが、あくまで武田選手は勝負にこだわる姿を見せていきたい、と。

「格闘技はエンターテイメントの側面もあるし、個人をどう売るかという意味ではタレントに近いものもあると思います。でも僕はどんなジャンルでも勝負はあると思っていて、例えばオーディションを勝ち抜いて役をもらうのも勝負じゃないですか。そのなかでも格闘技は特に勝ち負けが重要で、強いことが正義だと思うんです。僕はそれを強調したいし、勝つことと強さにはこだわり続けたいです」

――それこそ格闘技は1対1で、どちらが強いかを決めるもので、はっきりと勝者と敗者が分かれる、ある意味で残酷なものだと思います。

「だからこそ人は格闘技に魅了されるんだろうし、あれだけの熱を生むんだと思います。僕はトラッシュトークが苦手なんですよ。でも興行にはそういう要素も必要だし、十人十色だからそういう選手がいてもいいと思うようになりました。そういうのもひっくるめて格闘技は面白いなって思いますし、僕はそっち側の人間ではないので強さや結果で見ている人を魅了したいです」

――話が脱線しましたが、ムサエフ選手をどう攻略しようと思っていますか。

「直近で言えばムサエフ選手とアキラ選手の試合を見て、これは僕の見方なので本人の考えとは違うかもしれませんが、ムサエフ選手はハンドスピードが尋常じゃなく速くて、その相手に対してアキラ選手がインファイトを仕掛けるのは玉砕覚悟だと思いました。僕はムサエフ選手と要所要所で勝負したいと思っていますが、僕がムサエフ選手に勝てる所は少ない。じゃあ、どこで勝負するかと言ったらやっぱりレスリングなんですよ。

ムサエフ選手も『武田は打ち合わないだろう』と予想していると思います。でも僕にはそれ(レスリング)しかないから。もちろんそこを生かすための色んな作戦は考えていますが、勝負する場所はレスリングです。あとは気持ちですね。そこはみんな同じだと思うんですけど、そのなかでも僕は気持ちで譲りたくないし、絶対に気持ちでは上回ります」

――今回は武田選手の勝負論や勝利へのこだわりを聞くことが出来ましたし、ムサエフ戦の前にそれを読者に届けることができてよかったです。

「勝ちたいですよ、本当に。榊原(信行)さんの本のタイトルにもなっている『負ける勇気を持って勝ちに行け!』ってすごく良い言葉だなと思っていて。ムサエフ✖武田のテーマにぴったりなんです。自分が負けるパターンが想像できるなかで、勝ちにいかないといけないという意味で。あとこの言葉がいいのは、最後は勝ちにいけ=結果にこだわれってことだから、僕は必ず勝ちに行きます。

あとは僕も後輩たちが増えてきて、プロ練に参加しているメンバーは全部で20人くらいいるんですよ。一緒に練習はするけど、昔と違って若い子たちの面倒を見きれなくなっていて。だから試合でかっこいい姿を見せて、自慢できる兄貴でいたいです」

■視聴方法(予定)
11月4日(日)
午後10時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN LANDMARK07対戦カード

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
[挑戦者]鈴木千裕(日本)

<ライト級/5分3R>
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
武田光司(日本)

<ライト級/5分3R>
ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)

<60キロ契約/5分3R>
メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)
フェリット・ギョクテペ (トルコ)

<ライト級/5分3R>
ドゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)
キム・ギョンピョ(韓国)

<女子ストロー級/5分3R>
アナスタシア・ヴェッキスカ(ウクライナ)
ファリダ・アブドゥエバ(キルギス)

<フェザー級/5分3R>
ホアレス・ディア(南アフリカ)
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)

<ライト級/5分3R>
イリヤール・アスカノフ(カザフスタン)
ヴラディスラヴ・ルドニエフ(ウクライナ)

<ヘビー級/5分3R>
クエンティン・ドミンゴス(ポルトガル)
ショータ・ペトレミドゥゼ(ジョージア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ハサン・メジエフ(ラトヴィア)
コンスタンティノ・メルクロフ(カザフスタン)

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『RIZIN CONFESSIONS』第135回動画

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 『RIZIN CONFESSIONS』第135回の動画。今回は『RIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan』で行われるヴガール・ケラモフ vs. 鈴木千裕、トフィック・ムサエフ vs. 武田光司の見どころ紹介です。続きを読む・・・
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【RIZIN RANDMARK7 勝敗予想】ヴガール・ケラモフ vs. 鈴木千裕、トフィック・ムサエフ vs. 武田光司。

最後までご視聴ありがとうございました。
また次回の動画でお会いしましょう。

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2019〜2020  Bellator(アメリカ)
2021〜. RIZIN(日本)

—-目次—-
0:00 オープニング
1:42. トフィック・ムサエフ vs. 武田光司
9:13. ヴガール・ケラモフ vs. 鈴木千裕

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【RIZIN44】「頭をつけてのパスは、吉岡大さんがきっかけ」。金原正徳がクレベル戦を振り返る─02─

【写真】写真は3Rに仕掛けたパス。この圧で背中を見せたクレベルからバックを取った(C)RIZIN FF

9月24日(日)さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されたRIZIN44のメインベント=クレベル・コイケ戦の勝利を金原正徳自らが振り返るインタビュー後編。
Text by Takumi Nakamura

インタビュー前編ではスタンドの打撃におけるリズムの重要性、ギロチンや足関節の防御を対策練習でなく日々、何年も繰り返してきたと金原は話していた。練り上げという部分において、後編ではパスガード、スクランブルについて振り返った彼は、試合が決まってから対策を始める選手たちに対して。「一緒にすんなって話です」と言い切った。

<金原正徳インタビューPart.01はコチラから>


――そして2Rに金原選手が相手のワキの下に頭を置くパスガードを仕掛けていきます。これは金原選手の必殺技と言ってもいい形ですよね。あれはいつ頃から使うようになったのですか。

「それも北岡さんと練習していて、首を抱える相手に対するパスガードとしてやり始めたんですよ。具体的にいつからっていうのは分からないですけど、あれでバレット・ヨシダ選手をパスガードしたことがあったんです。その時にこの技に自信を持っていいんだなと思って、それが一つのターニングポイントになりましたね」

――クレベル戦後にUFCでの金原選手の試合を見返したのですが、すべてあのパスガードを仕掛けていますよね。

「そうなんです。全部あれなんですよ。ずっと自分の強い部分はトップキープとパスガードだと思っているんで、それで勝てなかったら俺は勝てないよねって開き直りも多少あります」

――まさに必殺技ですね。

「必殺技はどんなに研究されようが、どんなに対応されようが決まるものじゃないですか。あれはそういう必殺技なんですよ。だからクレベルが相手でも自信を持っていきました」

――あのパスガードは誰かに教わったものなのですか。

「自分なりに色々試行錯誤して、最終的にあの形にたどり着きました。僕のパスガードはグラップリングじゃなくて、MMAグラップリングなんです。だからパスガードしきれなくても殴れてヒジが落とせる。逆に殴ってヒジを落としてパスガードもできる。そういう技なんですよね。でも原点という意味で言うなら、数年前に亡くなられた吉岡大さんと柔術の練習をしたときに、吉岡さんが絶望的に強かったんです。

その吉岡さんが僕みたいに頭をマットにつける形ではなかったんですけどフックガード潰しが上手くて、そこで色々と教えてもらっていたんですよね。その時に『これはMMAでも使えるな』と思ったので、そういう導きになったのは吉岡さんがきっかけですね」

――MMAでも使えるという意味で、あのパスガードを仕掛けることで相手を体力的に削ることもできるのかなと。

「クレベルは下になっても強いんですけど、練習仲間から『パスガードの攻防でも削ることはできるから』と言ってもらっていて。だったら完全にパスガードできなくてもハーフガードまで持っていて、パウンドとヒジを入れて相手にダメージを与えて消耗させようと思いました」

――それがまさに2Rの最後でしたね。

「クレベルは2Rが終わってかなり消耗していましたけど、あれは僕がパスガードの攻防で削ることができたんだなと思います」

――そして3Rにはバックを巡る攻防があり、そこでも金原選手が競り勝ってトップポジションをキープします。あれは2Rの攻防でクレベル選手が消耗していたことも影響していたように見えました。

「それはあったと思います。バックからのスクランブルの時、僕は絶対に下になりたくなかったんですけど、クレベルは多少下になってもいいやって考えもあっただろうし。あと試合を見返してもらえれば分かりますけど、3R序盤のレスリングの展開でクレベルはロープを掴んだり、途中で背中を見せて立ち上がろうとしているんですよ。これが僕以外の相手だったらクレベルは引き込んでいたと思うんですよね。

でも僕が相手だとそれをやらずにレスリングで頑張った。僕はここに勝機を見出したんですよね。グラウンドで下になっても自信があるクレベルが下になるのを嫌がっているじゃんって。それが分かったから3Rを頑張れたんですよね」

――なるほど。

「あんなにグラウンドで背中をマットにつけることを気にしないクレベルが、背中をつけたくないからバックを取らせるわけですよ。そんな場面が今までありましたか?と。そのぐらい僕にトップキープされるのが嫌なんだなと思ったから、むちゃくちゃ元気になれたんですよ。ここでトップキープしたらいけるって」

――また金原選手のYouTubeチャンネルを見させていただいて、組手の重要さを説いていましたよね。あの試合でも組手は重要な部分だったのですか。

「あまり細かい部分は言えないんですけど、ちゃんと組手を理解しているならば対応できるってことなんですよ」

――個人的には「組手」というワードを使って試合を振り返る選手があまりいなかったので、そこがすごく興味深かったです。

「はっきり言って、みんな浅いんですよね。三角をとられる・ギロチンをとられるとなった時に、その形になってからどう対処するかを考えるじゃないですか。でも実際は技の形に入る前に組手があって、そこから段階を踏んで技の形に入るわけですよ。だから一番最初の組手の時点で対処できていれば、相手がゴールまでたどり着くことはない。そういうことを考えずに技の逃げ方がどうとか言ってるやつらとはね………一緒にすんなって話です。これちゃんと書いておいてください」

――はい、しっかり書いておきます。

「もちろん技の形になった時の対処法や対応策はありますよ。でも僕のなかで【1】→【2】→【3】くらいの段階があって、まずは【1】でしっかり潰す、【1】で対処することが大事なんですよ。それでも試合だから【2】・【3】まで持っていかれることはあるし、それはもうしょうがない。だからそうなった時の対処法は持っておかないといけない。僕からするとみんなは【2】・【3】の対処ばっかりなんです」

――【1】で対処しておけば逃げられるものでも、【2】・【3】になればなるほどリスクは高くなりますよね。

「そうです。今回で言えばクレベルのレベルまでいくと【2】・【3】の段階まで持っていかれると逃げられないんです。だからそうなる前に対処しようって話で、何も難しいことはないです。簡単です」

――横着せずにやるべきことをやれ、と。

「ただ【1】で対処するという話になったとき、そればっかりになってしまうと他のサブミッションをかけたられたり、スイープされてしまったりする。だから他の技にも対応できるベースを作っておいて、相手が狙っている技を【1】で対処するわけです」

――こうして話を聞いていても、金原選手が色々な経験を積んでMMAの技術を練り上げてきたことが分かります。まさに年季が違うMMAだな、と。

「今まで三角絞めが得意な選手とは何人も戦ってきたし、その時に三角絞め対策を何度もやってきました。そういう経験値があるから、僕ぐらいのキャリアになれば対戦相手用の対策はそこまでやらなくてもいいところはありますよね」

――それだけ経験値がある金原選手が先ほどのパスガードのように、一つの技を練り上げてそれで勝負しているというのがMMAの面白さですね。

「その通りです。みなさんもこれからMMAを勉強していきましょう(笑)」

――僕も引き続き勉強させていただきます(笑)。次の試合は大晦日が期待されていると思いますが、そこに向けては準備を始めているのですか。

「筋肉痛くらいしかなかったので、すぐに練習は再開しました。ヴガール・ケラモフ×鈴木千裕次第になりますけど、大晦日に試合をやってほしいという話もいただきましたし、いつでもいける準備はしています」


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