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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC308 キック ファリド・バシャラット ヴィクトー・ウゴ

【UFC308】バシャラットがウゴの回転技と足関節を潰して、コンパクトな打撃とTDで判定勝利

<フェザー級/5分3R>
ファリド・バシャラット(アフガニスタン)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28.
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

ウゴが計量オーバーをしたため、この一戦はバンタム級からフェザー級に変更して行われた。ウゴがジャブを突いて前進。シングルレッグに入ろうとするが、バシャラットが距離を取る。試合がスタンドに戻るとウゴが右ストレート、右ロー、スピニングバックフィストと手数を増やし、左フックを当てる。バシャラットもジャブ・右ストレートを返すが、ウゴは前に出続ける。

一度組みの攻防になるが、バシャラットが離れる。変わらウゴがず前に出て、バシャラットがケージをサークリングしながら右カーフ、ダブルルレッグでテイクダウンを仕掛ける。切ったウゴも右カーフを蹴り、バシャラットは前に出るウゴに右ストレートを狙う。

バシャラットもジャブを突いて前に出ていくが、そこにウゴがスピニングバックエルボーを見せる。さらにウゴが意表をついたイマナリロールで左足へ飛び込むが、バシャラットは落ち着いて対処し、トップキープする。

ここはウゴがバシャラットの体を蹴り離して立ち上がる。試合がスタンドに戻るとバシャラットがスピニングバックキックを繰り出し、足を使いながらジャブを当てる。ウゴもスピニングバックキックを返し、終了間際にダブルレッグで飛び込むと、自ら引き込んでヒールフックへ。ウゴは「極まっていない」とアピールして足を抜く。

2R、バシャラットが前蹴りとインロー、ウゴは左ミドルを蹴って前に出る。バシャラットはそこに飛びヒザ蹴りを当てると、ウゴの動きが鈍くなる。下がるバシャラットも右カーフを蹴って応戦。バシャラットはパンチのタイミングを測って右ストレートで前に出る。ウゴはスピニングバックエルボーや回転系の技を狙うが当たらない。

バシャラットはしっかり距離を取って右カーフとジャブ、右ストレートで飛び込む。ウゴもジャブを返して左フックを狙うがクリーンヒットはない。バシャラットは飛び込むような右ストレートを当て、ステップを使ったジャブと足を触るフェイントを見せる。ウゴは両手を広げて打ち合おうとアピールするがバシャラットはそれに乗らない。

ならばとウゴは組みついてバシャラットをケージに押し込んダブルレッグでテイクダウンするが、バシャラットはすぐに立ち上がる。試合がスタンドに戻るとウゴが右カーフ、バシャラットはペースを崩さずジャブを突く。ウゴがスピニングバックエルボーを繰り出すと、バシャラットもスピニングバックキックを蹴り返す。さらにバシャラットが左アッパーから右ストレート、ウゴも右を振って前に出る。

3R、すぐにウゴがパンチで前に出ていく。バシャラットはジャブとシングルレッグでテイクダウンを狙う。これを切ったウゴが右アッパー、そしてボディへのスピニングバックキック。これでバシャラットを吹っ飛ばし、一気に打撃で襲い掛かる。立ち上がったバシャラットは距離を取るが、ウゴはすぐにパンチで前に出る。下がるバシャラットはジャブを返し、シングルレッグでテイクダウンを奪う。

ウゴがラバーガードから展開を作ろうとするが、バシャラットはウゴの左足を超えてパスガードを仕掛ける。ウゴはバギーチョークのような変則的なチョークも狙うが、それを外したバシャラットがバックへ。一度はここから脱出したウゴだったが、再び立ち上がろうとしたところでバシャラットにバックを許す。

ここからバシャラットがRNCを狙うが、ウゴは首に巻かれた腕を外し、ケージに体を預けながら正対する。バシャラットがシングルレッグでテイクダウンすると、ウゴがすぐに足関節を狙う。バシャラットが距離を取って試合がスタンドに戻ると、ウゴが右アッパーから組み付く。

バシャラットがそれを切ってバックにつくと、両足を入れて四の字フックでコントロールする。ウゴは一度自分がグラウンドで下になりつつ足関節を狙う。バシャラットが足を抜いたところで試合終了。バシャラットが計量オーバーのウゴに判定勝利した。


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【UFC308 】展望 語学堪能=強さの秘密、王者イリャ・トプリア×拳で語る挑戦者マックス・ホロウェイ

【写真】ホロウェイはテクニックに裏付けされた喧嘩ができる男。王者トプリアはタフな終盤戦に持ち来れ込んだ時、喧嘩ができる気持ちの持ち主なのか(C)Zuffa/UFC

26日(土・現地時間)、アラブ首長国連邦アブダビのエティハド・アリーナにてUFC 308「Topuria vs. Holloway」 が行われる。ロバート・ウィティカーとカムザット・チマエフによるミドル級戦をコメインとする今大会のメインは、無敗の新王者イリャ・トプリアにBMF王者マックス・ホロウェイが挑戦するフェザー級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

トプリアは2020年10月に、8戦全勝の戦績をもってUFCデビュー。当時は強力なテイクダウンから肩固め、RNC、ギロチン、ダースといった見事な首技の連携を駆使するハイレベルグラップラーのイメージが強かったが、やがて立ちで距離を詰めてからの強烈かつ正確無比な拳のコンビネーションでKOを量産するようになった。

昨年6月にはランキング5位のジョシュ・エメットと戦い、幾度となくダウンを奪って5R判定で圧勝、今年の2月に絶対王者アレックス・ヴォルカノフスキーに挑戦する機会を得た。2Rに王者の右ジャブをかわしたトプリアは、瞬時に距離を詰めて右ボディから左フック。次の右ストレートは外れたものの、すぐに角度を調整しての右フックが炸裂。パウンドフォーパウンドランキングのトップに君臨し続けていた世界最高峰のMMAストライカーを圧巻のコンビネーションで葬り去り、15戦全勝の戦績で(15歳の頃から住んでいる)スペイン初のUFC王座に輝いた。

対して生粋のハワイアンのホロウェイは、2016年12月にアンソニー・ペティスを倒してフェザー級王座を獲得。4度の防衛を重ねるが、2019年12月にヴォルカノフスキーに5R判定で敗れて王座転落した。

その後ヴォルカノフスキーに2度挑戦するもいずれも5R判定負けを喫し、王座復帰は遠のいたかに見えた。しかし昨年アーノルド・アレンとコリアンゾンビことジョン・チャンソンに完勝して健在を示すと、4月のUFC 300にて一階級上のBMF(Baddest Motherfucker=最高にヤバい奴)王者ジャスティン・ゲイジーに挑んだ。


ホロウェイは1R終盤にバックスピンキックでゲイジーの鼻を破壊すると、その後は打撃戦で終始主導権を握る。そして最終ラウンド残り10秒の時点でオクタゴン中央で床を指差し、俺と打ち合えと咆哮。それに応じたゲイジーが振り回す拳よりも高い回転力でパンチの連打を繰り出し、最後は右フックをスマッシュヒット。残り1秒でゲイジーが前のめりに失神するUFC史上最高のKOシーンをもってBMF王者に輝いた。

間違いなく自分が勝っている試合で、最後の10秒にて階級上の超弩級の強打者と足を止めて殴り合いを挑む──常人にはまったく考えられない、これ以上BMFに相応しい行動は存在しないほどの超BMFぶりを見せつけて会場を熱狂の渦に叩き込んだホロウェイは、その場で「エル・マタドールよ!」とトプリアのニックネームをコールアウトすると「お前はこのブルから逃げている! 145パウンドのベルトを賭けて俺と戦え!」と対戦表明した。

それに応じたトプリアは「ああ、ホロウェイと防衛戦をやろうじゃないか。ただし奴がBMFベルトも掛けた場合のみだ」と発言。しかしその案はUFCから却下されたのか、今回トプリアのフェザー級王座のみが掛かったタイトル戦が実現の運びとなった。

さて今回の試合に先立ち、UFCの企画にてトプリアの住むスペインとホロウェイの住むハワイを二画面で繋いでの同時インタビューが行われている。その際トプリアは、フェザー級ベルトだけでなくBMFベルト(のレプリカ)まで入手して部屋に飾って登場し「マックスは今回このベルトを掛けなかったけど、今回勝てば事実上俺がBMFさ」と不敵に微笑みながら挑発してみせた。

ホロウェイが「お前はそれわざわざ買ったんだろ、俺のファンだからだよな」と聞くと、トプリアは「ああ、正直ファンだったよ。あんたは俺ら新世代にとってのグレイト・イグザンプル(偉大なる模範)だった」とリスペクトを示す。が、その後は薄笑いを浮かべながら

「でも今は俺の時代さ。試合が終わったら、あんたが俺のファンになるだろうよ。そもそもあんたはキャリアで7敗。俺は無敗。戦ったらどうなるかは分かるだろ?」

「あんたが75分間も使ってできなかったこと(=打倒ヴォルカノフスキー)を、俺はたった7分間でやってのけたんだぜ」

「ところで俺は最近老人ホームをオープンしたんだよ。ヴォルクがすでに入居した。あんたにも一部屋用意してあるぜ。試合後すぐに放り込んでやるよ。あ、心配しなくてもいい、料金は一切無料だから」と知的にして絶妙に無礼な挑発を繰り返し、トラッシュトークに興味を示さないホロウェイを苛立たせたのだった。

さらにトプリアはホロウェイのBMF戦に触れて「ありゃすごく退屈だった。エキサイティングだったのは最後の10秒だけだ。戦略もテクニックもまるでない酒場の喧嘩だね。最後の10秒もそうだ。ゼロ・テクニックだ。俺みたいな技術とパワーを持った選手を倒すことはできないな。嘘だと思うなら、あれを俺らの試合の最初の10秒でやってみるってのはどうだい?」と不敵な提案をする。

そこでホロウェイが「そりゃお前にとってはなんとも都合のいい話だな。お前は試合ですぐに疲れちまう(get tired)んだから」と反応すると、トプリアは微笑みを崩さず「ああ、俺は確かにget tiredするよ。相手をKOすることにget tired(=うんざり)しているんだ。だから今回はあんたをサブミットすることにするかな」と言い返した。

第一言語ではない英語でのやりとりにおいて、この見事な切り返しは特筆に値する。実際トプリアはホロウェイに「何を言っているんだ、ちゃんと話せ」と言われた時にも余裕の表情で「おいおい、俺はあんたの言語で話してやっているんだぜ。じゃあスペイン語がジョージア(グルジア)語かロシア語かドイツ語で話そうか」と言うと、おもむろに(おそらくホロウェイには理解できないだろう)流暢なスペイン語を披露し、言語マウントを取ったのだった。

放映後、この両者のディベート対決(?)の勝敗を判定するメディアがいくつかあったが、ほぼ満場一致でトプリアに軍配を挙げていた。もっともホロウェイ自身が相手を言い負かすことに興味を示しておらず、勝敗を付けること自体に無理はある──とは言え、トプリアは母語でない英語を用いて、英語ネイティブのホロウェイを翻弄してみせた。

ジョージア系の両親のもとドイツに生まれジョージア、スペインと移住を繰り返す中で身に付けた多言語能力と知性は「俺は打撃、レスリング、グラップリングと全てにおいてネクストレベルにあるし、パワー、テクニック、ファイトIQとあらゆる面で卓越している」と豪語する新王者の強さの一端なのかもしれない。

閑話休題。

この試合に誰もが期待するのは、卓越した二人のMMAボクサーである両者による最高レベルの打撃戦だ。両者の戦績だけを見ると、本人が挑発的に語っていたように──ホロウェイが3回戦って倒せなかったヴォルカノフスキーをトプリアは2RでKOしており、新王者有利という見方が成り立つ。しかし両者と戦った張本人のヴォルカノフスキーが、この三段論法を否定してホロウェイ有利を予想している。

曰く「イリアには相性が悪い試合だと思うよ。マックスは5Rずっとペースが落ちないから、イリアが勝つには序盤でKOする必要がある。もちろんその力はあるよ。でもマックスはとにかく打たれ強いから、難しいんじゃないかな。テイクダウンディフェンスや立つ力も抜群だから、寝技でマックスをフィニッシュするのも困難だ。

そして、試合が長引くとイリアにはスタミナの問題が生じてくる。序盤はイリアがマックスの打撃をしっかりガードして有利に進めるだろう。でも相手がいつまでも倒れない、テイクダウンできない、自分の呼吸が上がってくる、となると話が変わってくるのさ。中盤以降はマックス有利になるだろうね。僕が思うに、一番可能性が高いのはマックスの判定勝利だ。あるいは4、5ラウンドにマックスが大量のパンチを当ててTKOするかもしれないね」

この前王者の鋭い予想にさらに注目点を付け加えるなら、それはスタンド戦における両者の距離とケージ上の位置取りだ。180センチの長身を誇り、自分のパンチが当たる絶妙の間合いを保つことに長けているホロウェイ。対する王者トプリアは身長173センチ。頭を振りながら間合いを詰め、懐に入り込んでのパンチコンビネーションを決め技とする。果たして自分の得意な距離を作るのはどちらか。

また、ホロウェイは(前回のBMF戦でゲイジーに大ダメージを与えた)バックキック、トプリアは強烈な右カーフを持っている。パンチの間合いの取り合いにおいて、これらの足技を両者がどう用いるかも興味深い。

そしてトプリアの拳が最も威力を発揮するのは──前戦でヴォルカノフスキーを倒した時のように──相手をケージ際に追い詰め、下がるスペースを無くした時であることに留意したい。アーノルド・アレン戦でスイッチや横への動きを巧みに使ってみせたホロウェイを、新王者がいかなるステップで金網を背負わせるのかは、この試合の重要ポイントとなる。

上述のように、トプリアは開始10秒間、ケージ中央での足を止めての殴り合いを提案している。対するホロウェイは「(BMF戦での)あの瞬間は理由があったから成立したんだ。エキサイティングな戦いで俺が勝っていたから、ジャスティンにチャンスを与えた。もともと彼が階級下の僕に戦うチャンスをくれたのだからね」と、理由もなく闇雲に打ち合うことには興味を示さない。

それでも世界最高のMMAボクサー二人によるこの試合が、開始直後からまったく目を離せないものであることに変わりはない。

■視聴方法(予定)
10月26日(土・日本時間)
午後11時00分~UFC FIGHT PASS
10月27日 午前3時~PPV
午後10時 30分~U-NEXT

■ UFC308対戦カード

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者] イリャ・トプリア(スペイン)
[挑戦者] マックス・ホロウェイ(米国)

<ミドル級/5分5R>
ロバート・ウィティカー(豪州)
カムザット・チマエフ(スウェーデン)

<ライトヘビー級/5分3R>
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
レローン・マーフィー(英国)
ダン・イゲ(米国)

<ミドル級/5分3R>
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)
アルメン・ペトロシアン(アルメニア)

<ライトヘビー級/5分3R>
イボ・アスラン(トルコ)
ハファエル・セルケイラ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ジェフ・ニール(米国)
ハファエル・ドスアンジョス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ミクティベク・オロルバイ(キルギス)
マテウス・レンベツキ(ポーランド)

<ヘビー級/5分3R>
ケネディ・ンゼチェクウ(米国)
クリス・バーネット(米国)

<バンタム級/5分3R>
ファイト・バシャラット(アフガニスタン)
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
イズミール・ヌルディエフ(オーストリア)

<ウェルター級/5分3R>
リナット・ファクレトディノフ(ロシア)
カルロス・レアル(ブラジル)

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45 MMA MMAPLANET o UFN UFN240 キック ペドロ・ファルカォン ライカ ヴィクトー・ウゴ

【UFN240】ストライカー=ウゴ。ケージに押し込んでくるファルカォンに、蹴りを多用し判定勝ち

<バンタム級/5分3R>
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)
Def.3-0:30-27.29-28.29-28
ペドロ・ファルカォン(ブラジル)

左前蹴り蹴ったウゴに組みついたショートノーティス出場のファルカォンが、ケージに押し込む。時間をかけボディロックテイクダウンを決めたファルカォンがバックを取り、シングルフックに取る。トップを選択したファルカォンに対し、ウゴははラバーガードからゴゴプラッタ仕掛ける。立ち上がって外したファルカォンが、スクランブルのウゴをシングルでケージに押し込む。頭を押して頭を抜いたウゴ新田石、左から右を当てたファルカォンが再び金網に押し込んでいく。

離れたファルカォンは右ローを蹴られるが、前に出ていく。ケージの前を移動するウゴがシングルのファルカォンを切り、エルボーを落とす。頭を上げたファルカォンを押し返して離れたウゴがハイキック、そしてローからミドルハイ、スピニングバックキックを繰り出す。ここに組みに行ったファルカォンだが取り切れず、ウゴが右アッパーを決める。ワンツーに続く左ミドルがファルカォンの急所に入り、試合が中断。1分弱で再開に応じたファルカォンが勢いよく距離を詰めてきたウゴの攻撃を制して初回が終わった。

2R、ワンツーで前に出たファルカォンに対し、ウゴが左ハイから後ろ回し蹴りを狙う。直後にダブルレッグでケージに押し込んできたファルカォンから回って離れたウゴが左フックを当て、右カーフへ。ファルカォンも左ジャブから右で前に出ると、ケージを背負ったウゴにダブルレッグを仕掛ける。エルボーを入れてウィザーのウゴが離れ、左カウンターを当てる。ウゴは右ローを蹴り、前蹴りを見せるがケージを背負った状態が続く。ファルカォンは左を見せてダブルレッグ、シングルに移行する。ここでもウゴは頭を押して離れると左フック、続くスピニングバックフィストにファルカォンが組んでドライブする。

組んでも倒せないファルカォンは疲れが目立ち、カーフからパンチを食いそうになる。ウゴは左前蹴りも、ファルカォンが組んでケージへ。押し返したウゴが豪快な後ろ回し蹴りを繰り出し、組んでバックへ。離れたファルカォンに左ハイ、左前蹴りのウゴが力強い右ローを蹴るが拳の攻撃は極端に少ないままラウンド終了を迎えた。

最終回、左三日月から左フックでダウンを奪ったウゴが、スタンドで待ち受ける。左ハイ、左前蹴りのウゴは組まれても逆にケージにファルカォンを押し込み、小手投げを切る。ケージに押し込まれても、苦も無く離れてスピニングバックキックを見舞ったウゴ。ファルカォンが急所だとアピールするも、レフェリーは有効だと試合続行を命じる。

直後の打撃の交換から組んだファルカォンだが、もうここから何かを仕掛ける倒しにいく力は残っておらずパンチから組むという流れから、組んで殴るという流れに。離れてカーフを蹴るウゴが左を入れ、必死にパンチで前に出たファルカォンが組みつく。距離を取り直したウゴがワンツーからハイキック、ファルカォンが右を振って組んでバックへ。正対してエルボーを落とすウゴは時間を確認する。残り20秒、パンチを振るいながらここも組んだファルカォンに対し、離れて意味のないショータイムキック&手をついてのハイを蹴っていったストライカーのニックネームを持つ──ウゴは勝利を確信して笑みを浮かべ3-0の勝利を挙げた。


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45 AB MMA MMAPLANET o Road to ADCC UFC UFC300 WNO22 YouTube アデーレ・フォーナリノ アマンダ・アレキン アンディ・ムラサキ アンドリュー・タケット ウィリアム・タケット ケイド・ルオトロ ジエゴ・パト・オリヴェイラ ジョセフ・チェン ダンテ・リオン トミー・ランガカー ニック・ロドリゲス ヴィクトー・ウゴ 岩本健汰

【WNO22】ミカ・ガルバォンに挑戦、岩本健汰─02─「これからのことは一切考えていない。どうでも良い」

【写真】この試合後のことは考えていない。ルックスもどうでも良い。そんな岩本健汰でした(C)MMAPLANET

9日(金・現地時間)、カリフォルニア州コスタメサはOCフェアー&イベントセンター内ザ・ハンガーで開催されるWNO22「Rodriguez vs Hugo」で、ミカ・ガルバォンの持つWNOウェルター級王者に挑戦する岩本健汰インタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

柔術の神の子への挑戦が降ってわいたように巡ってきた岩本は、この完全無欠のグラップラーを相手に勝つには「どうすれば良いんだ」と笑う。が、インタビューを進めていくと笑顔の裏にADCC世界大会イヤーでありながら、全てを賭ける気持ちがヒシヒシと伝わってきた。

ワールドステージで戦う岩本、その覚悟のほどを知って欲しい。

<岩本健汰インタビューPart.01はコチラから>


──とはいえウィリアム・タケットをパスしまくったという状況も、WNOだとパスもポイントにならないので極めを防げる選手は、IBJJFルールのように絶対にパスを許さないという姿勢では望んでいないかもしれないです。

「そこもあるかもしれないですね」

──グラップリングといってもサブオンリーのWNO、ポイントがありスクランブルが欠かせないADCC、ポイント制のIBJJFノーギとルールの違いが戦いをまるで変えるものかと、と。いくら技術は共通でも。

「WNOルールだと確かにミカは強いなって。どうやったら勝てるのか。まぁ全力でやるしかないですね(笑)」

──結果、ベストを尽くすと。とはいえ、どのルールでも防御力が絶対かと思うのですか。

「サブミッションエスケープは、僕は得意な方だと思います。なので、そこは気にせずに戦うことができるのですが、エスケープは印象点を悪くするので。だから入らせない。入られたら、すぐにカウンターでいくというマインドで行くしかないですね」

──ドロドロになってきたら、チャンスが増えるのか。

「う~ん、ドロドロ……そうっすね。ミカってヨーロピアンに出ていますよね」

──ハイ。ミドル級決勝でアンディ・ムラサキを腕十字で破り優勝しています。

「ヨーロピアンって、ドーピング検査ないんですかね?」

──あっ、そこですか。

「そうなんですよ。WNOはチェックはないですけど、ヨーロピアンに出ていたら抜けている可能性がある」

──そうしたら、使い続けている岩本選手の方が有利だと。

「ハイ(笑)」

──アハハハハハ。勘弁してください。

「でも本当にミカには、以前のようなパワーがない可能性はあります」

──なるほどです。そこは当日の楽しみとして、岩本選手は今回もB-Teamで調整をしてきました。

「ハイ、香港でのセミナーが終わってそのまま来ました。ニッキーやクレイグが不在だったのですが、まだ名前がないB-Teamのメンバーがめちゃくちゃ強いです。めっちゃ強い。ここでやっていることが、自分のバロメーターになります。初めて来た時から比べると、強くなっていると思います。でも回りも強くなっているし、紫帯でもメチャクチャ強い人もいて。ほぼ無名で強い人が、結構います。ここで練習をしていると、力がつきます」

──これはまるで別件なのですが、ケイド・ルオトロとトミー・ランガカーの日本での試合は視聴されましたか。

「ハイ。ケイドが圧勝しましたね、凄い試合でした。ケイドは凄いです。本当に世界一だと思います」

──実はこの試合が決まるまで、岩本選手の位置関係としてアンドリュー・タケットやジョセフ・チェンとのライバルストーリーが綴られていくことが楽しみでした。ただミカと戦うことで、岩本選手の存在がケイド、ミカというところにやってきたのかと。

「ここで勝てば、そうです」

──それがまさに今大会でのタイトル挑戦に表れているのかと。メインがニッキー・ロッド✖ヴィクトー・ウゴ。他にダンテ・リオン✖ディエゴ・パト、タイナン・ダルプラ✖オリヴィエ・タザ、ジェイコブ・カウチ✖セブ・ロッドという面々の中に日本人グラップラーが出場する。それこそUFC300で日本人ファイターがタイトルに挑戦する……NBAやMLBのオールスターに日本人プレイヤーが出場するようなもので、グラップリング界での快挙かと。

「まぁ……それは難しいことじゃないと思います。勝たないと意味がないので」

──ただし一部のグラップラーしか出場できないイベントです。それだけケンタ・イワモトは世界で評価されていることかと。

「そうですね。知名度的に僕が高いから、選ばれたというのはあるかもしれないです」

──ここでインパクトを残せば、今後のレギュラー参戦もあるのかと期待が膨らみます。

「きっと僕は良い試合ができることを期待されているんだと思います。攻防が多い、スクランブルが多い試合。ミカと相性が良い試合になると思われているのかと。でも、この試合に限らず……ですけど、一つひとつの試合が一つの終わりと心得ているので」

──というと?

「むしろ、この試合が僕にとって最後の戦いだという感覚です。もう後のことは考えていない」

──つまり今回の試合はRoad to ADCC世界大会ではないと。

「ハイ。キャリアとかこれからのことは一切考えていないです。これが最後だと思ってやっています。帰りのチケットも買っていないです。試合までのことしか、考えていないので。そこしか見ていない。カリフォルニアから戻ることは今、頭にないです。とにかくミカとの試合に集中しています。終わってからのことは、どうでも良い。米国から帰国するチケットもキャンセルできるやつを買って、こっちに来ているので」

──凄まじい覚悟のうえでのミカへの挑戦ですね。

「もう、この試合で終わりです。それからのことは一切、考えていないです」

──押忍。そんな岩本選手を応援している人々に一言お願いします。

「うん……えぇと……。勝つことしか考えていないです」

──痺れる想いを持つ岩本選手ですが、最後に一つスミマセン。気になったことがあります。

「えっ、何ですか」

──岩本選手、インタビューの受け答えは英語の方が上手くないですか。あのFLOに挙がっているインタビューとか、凄く流暢で。

「アハハハハ、そんなことないですよ。英語より日本語の方が……多分、大丈夫です。今日は……最近、日本語を使っていないので。もうカタコトになって、表現力がないなって自分でも思っていました(笑)。本当に日本語をしゃべったのが、久しぶりだったので申し訳ないなって(笑)。言葉が上手く回らなかったです」

──それだけ動きは上がっていると、期待しています。

「ハイ。ありがとうございます。口はこうでも、体は動くので。そして日本語、勉強しなおします(笑)」

■視聴方法(予定)
2月10日(日・日本時間)
午前11時00分~Flo Grappling

■ WNO22対戦カード

<ヘビー級/15分1R>
ニック・ロドリゲス(米国)
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

<WNOウェルター級選手権試合/15分1R>
[王者]ミカ・ガルバォン(ブラジル)
[挑戦者]岩本健汰(日本)

<WNO級ライト選手権試合/15分1R>
[王者]ダンテ・リオン(カナダ)
[挑戦者]ジエゴ・パト・オリヴェイラ(ブラジル)※フェザー級王者

<女子フライ級/15分1R>
アマンダ・アレキン(米国)
アデーレ・フォーナリノ(豪州)

<ミドル級/15分1R>
タイナン・デルプラ(ブラジル)
オリヴィエ・タザ(カナダ)

<ミドル級/15分1R>
ジェイコブ・カウチ(米国)
セバスチャン・ロドリゲス(米国)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ゴードン・ライアン タイ・ルオトロ ニコラス・メレガリ ニック・ロドリゲス ファブリシオ・アンドレイ ブログ ホベルト・アブレウ ユーリ・シモエス ラクラン・ジャイルズ ヴィクトー・ウゴ

お蔵入り厳禁【ADCC2022】無差別級 古豪ユーリ・シモエスがスタンド磨いてオープンクラスを制す

【写真】いうとルオトロ兄弟や一部の新世代が特別で。シモエスの勝ち方こそ、ザADCC。ただしジェネラルに理解を求めることは難しい古典的グラップリングだ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第22回は――お蔵入り厳禁、無差別級決勝戦の模様をお伝えしたい。


88キロ以下級の体格で快進撃を見せた19歳タイ・ルオトロを、ニコラス・メレガリが激闘の末にレフェリー判定で制して決勝進出を決めた無差別級。もう一つの準決勝を戦ったのは、ベテランのユーリ・シモエスとサイボーグことホベルト・アブレウだった。

シモエスは1回戦、前回大会の無差別級で重量級を次々と足関節で仕留める大活躍を見せたラクラン・ジャイルスと対戦。ジャイルスの下からの仕掛けに対し、腰を引いて丁寧に潰して延長に持ち込み――ペナルティを承知で引き込んだジャイルスの仕掛けを潰し続けて勝利した。

猛威を振るった技術はすぐに研究されるという、競技における技術進化の必然を改めて確認させられたジャイエルスの敗退だった。

シモエスの2回戦の相手は、最重量級準優勝を果たしたニック・ロドリゲス。両者は昨年3月のWNO大会でも対戦しており、その時は引き込んで下を選択したシモエスは、ロドリゲスにボディロックを作られパスを許して完敗している。その教訓を生かしてか、今回シモエスは気迫を全面に出してのスタンドレスリングでの勝負を選択。本戦、延長と両者決定的な場面こそ作れなかったものの、積極性で勝って勝ったシモエスがレフェリー判定を制してリベンジを果たした。

迎えた準決勝でシモエスを待っていたのは、やはり最重量級のサイボーグことホベルト・アブレウ。サイボーグは前戦にてヴィクトー・ウゴの巨体を足払いで崩してから引き倒し、ワキをすくって上を奪取する形でテイクダウンポイントを獲得して制しての準決勝進出だ。

ちなみにそのウゴの初戦の相手は、最軽量級のファブリシオ・アンドレイだった。この最重量級vs最軽量級の超体重差対決にて、序盤はダックアンダーからのテイクダウンを許す場面もあったウゴだが、終盤ファブリシオの側転パスに乗じて上を奪取。巨体を浴びせての肩固めで勝利した。

2013年の無差別級を制したサイボーグと、2015年の88キロ以下級、2017年の99キロ以下級を制覇したシモエス。ADCCレジェンド対決となった準決勝は、スタンドレスリングでお互い譲らぬ展開に。

が、気力&スタミナともに充実したシモエスが延長戦でダブルレッグを決め、2-0で改良した。こうしてシモエスは決勝進出。前日の99キロ以下級の二回戦にて、微妙なレフェリー判定の末に苦杯を舐めさせられたニコラス・メレガリ相手にリベンジのチャンスを得たのだった。

<無差別級決勝/20分1R・延長10分x2R>
ユーリ・シモエス(ブラジル)
本戦0-0 マイナスポイント1-2
ニコラス・メレガリ(ブラジル)

試合開始直後、気合十分のシモエスが前進。跳びついてメレガリの首を取って崩しにかかり、さらに勢いよく足を飛ばす。さらに前に出るシモエスは、右のフック掌打のような勢いでメレガリの頭に手を伸ばして、レフェリーから注意を受けた。

3分弱経過した時点で、シモエスは素早い小内刈りからのシングルに入り、メレガリの右足を抱える。片足立ちでそれを堪えたメレガリは、落ち着いた表情で引き込んでハーフガードに。まだ後半の加点時間帯に入っていないので、通常のADCCルールの試合ならば問題ない判断だ。

しかし決勝戦は引き込みのマイナスポイントは最初から付いてしまう。ここを失念していたのか、メレガリは引き込まずとも、シモエスのテイクダウンに身を任せる形で倒れれば無失点で下のポジションを取れただけに、なんともマイナスポイントとなった。

その後は上からパスを試みるシモエスと、下から足を効かせるメレガリの攻防が続く。6分少々経過したところで、立ち上がったシモエスの左足にデラヒーバで絡んだメレガリは、内側からシモエスの右足をすくって体勢を崩してからシットアップ。

見事に上のポジションを取ってみせたが、まだ加点時間帯ではないのでポイントは得られず。自ら引き込んでスイープを決めたのにポイントで負けているというのは、おそらくADCCの決勝以外ではあり得ない状況だろう。

とまれ、ここからはメレガリがトップから攻めるターンに。しきりに右のニースライスでプレッシャーをかけていったメレガリは、やがてハーフで胸を合わせてシモエスを抑え込み、枕を作ることに成功した。

そこから足を抜きにかかるメレガリ。シモエスは腕のフレームと足を利かせて一度距離を作ることに成功したが、メレガリはすぐに体重をかけてシモエスの体を二つ折りにし、後転を余儀なくさせて再びハーフ上のポジションに入った。

加点時間開始が近づいたところで、一旦上体を起こしてニースライスを試みるメレガリ。が、シモエスは左のニーシールドで防ぎ、さらにかついで来るメレガリの体を足で勢いよく押し返して立ち上がってみせた。ここでちょうど10分が経過し、加点時間帯が開始。シモエスはマイナスポイント一つ分有利な形で、得意分野であるスタンドからのリスタートに持ち込んだことになる。

ここから試合はスタンドレスリングの攻防に。シモエスは前に出て、腰高のメレガリの右足を取っては押してゆく。そのたびに片足立ちで耐えて、やがて足を振りほどくメレガリ。テイクダウンこそされないものの、展開が作れないまま時間が過ぎていった。

残り6分少々の時点で、このままでは埒が明かないと見たかメレガリが引き込み、2つ目のマイナスポイントを受けることに。得意のオープンガードから仕掛けたいメレガリだが、このままリードを保てば勝てるシモエスは低い姿勢で対応。浅く片足担ぎの形を作るなどしてメレガリの攻撃を防いでゆく。

その後もシモエスは腰を引いてメレガリに足を深く絡ませず、たまに立ち上がって横に動き、またニースライスを仕掛けてマイナスポイントを回避する。メレガリはたまにシモエスの片足を引き寄せるが、その度にシモエスはすぐに立ち上がって距離を取る。メレガリとしては思うように形が作れないなか、時間が過ぎていった。

残り1分。シモエスは低く入る両足担ぎと片足担ぎでメレガリに攻撃をさせない。メレガリがシッティングを試みると、すかさず上半身を浴びせて潰すシモエス。終了寸前にシモエスに一つマイナスポイントが入るが、時すでに遅し。

結局マイナスポイントが1つ少なかったシモエスが、階級別2回戦のリベンジを果たすとともに、2015年の88キロ以下級、2017年の99キロ以下級に続いて3階級制覇を果たした。メレガリとしては、序盤に犯した痛恨のミステイク──ADCC決勝戦のみ適用されるルールへの対応を間違えて引き込み、マイナスポイントをもらってしまったこと──が、最後まで響いた形となった。

戦前は大きく注目されていなかったベテラン、シモエスが執念の優勝。戦いぶりは決して派手ではなく、実際無差別級の4試合は全て僅差のポイントかレフェリー判定での勝利だ。しかし相手が誰であれ常に前に出続けた、その気迫とコンディショニングの充実ぶりは際立っていた。

またスタンドレスリングではニック・ロドリゲスにすらテイクダウンを許さず、トップでは安定したベースを保ち相手の仕掛けを遮断し、下になってもメレガリのプレッシャーに耐え、パスを許さずにスタンドに戻る粘り強さを見せる等、ポジショニングの全ての面で強さを発揮したことも勝因だろう。

次回大会のスーパーファイトで当たるゴードン・ライアンには、過去4戦4敗と圧倒的に分の悪いシモエス。彼らの初対決は、16年のEBI 6準決勝だ。その前年のADCCで世界の頂点に輝いていたシモエスは、当時まだ線の細かった若手のゴードンにOTでチョークを極められ、まさかの敗退を喫している。ゴードン・ライアンに初のジャイアントキリングを許し、大ブレイクのきっかけを作ったのがシモエスというわけだ。

そのシモエスは、今や世界最強のグラップラーの名を欲しいままにするゴードンにどう挑むのか。両者の力関係が完全に入れ替わった現在、6年前の番狂わせとは比較にならないほどの世紀の大アップセットを、気迫のファイターシモエスは起こすことができるだろうか。

なお、3位決定戦はサイボーグが棄権したため、タイ・ルオトロが3位に。前回大会にて若干16歳で66キロ以下級に参戦し、ブルーノ・フラザト、パブロ・マントヴァーニという同門の先輩二人を倒して4位入賞したのに続いて、19歳の今回は88キロ以下級の体格で無差別級銅メダル。2大会続けての快挙達成となった。

■無差別級リザルト
優勝 ユーリ・シモエス(ブラジル)
準優勝 ニコラス・メレガリ(ブラジル)
3位 タイ・ルオトロ(米国)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ハイキ・ジュシラ ハイサム・リダ ルーズベルト・ソウザ ヴィクトー・ウゴ

【ADCC2022】99キロ超級 組み技人類最強=ゴードン・ライアン、初戦&QF=極めてもポイントでも盤石

【写真】これがケイド・ルオトロのいう──爆発力でない、アイソメトリック・ストレングスの強さなのか(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第17 回は最重量級=99キロ超級に出場した現代グラップリング最強の男ライアン・ゴードンの初戦と準々決勝の模様をお伝えしたい。


<+99キロ級1回戦/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.5分48秒 by RNC
ハイキ・ジュシラ(フィンランド)

言わずと知れた優勝候補本命のゴードンは初戦、フィンランドのハイキ・ジュシラと対戦。ごくリラックスした風情ですぐに座ったゴードンは、ハーフでジュシラの左足に絡むと、ゆっくりした動作で右腕を相手の右ワキに入れると、瞬時に引き寄せてのアームドラッグで崩し、あっさり背中につくことに成功した。

亀になったジュシラからシングルバックを入れたゴードンは、さらに上からジュシラの右をハーフネルソンで固めて体勢を崩し、両足フックを狙う。

ジュシラが亀に戻るが、ゴードンは慌てず騒がず上に乗り続けて両足フックを完成。再びネルソンでジュシラの体勢をしてから襷に移行。完全コントロールをした上でじっくりチョークを狙ってゆく。ジュシラも粘り強く守り、たびたび体勢を立て直して亀に戻るが、そのたびにゴードンはしっかり重心をかけては潰してゆく。

やがてジュシラの右腕を右足で絡めて殺したゴードンは、ワキの下から差し込んだ左手でジュシラの左腕もコントロール。両腕を制した上で、無防備な首に右腕を手首からじわじわ入れてゆき、最後はジュシラの肩を掴んで片腕で絞めるチョーク。

6分足らず。着実に手順を踏んで相手を詰めてゆく隙のない戦いぶりで、ゴードンが危なげなく初戦を突破した。

2回戦のゴードンの相手は、昨年と今年の世界柔術最重量級を2連覇している強豪ヴィクトー・ウゴだ。

ウゴは一回戦でルーマニア代表にしてダナハー軍所属のダン・マナソーユと対戦。本戦残りわずかのところで足関節狙いを凌いで素早くシットアップして双差しから上になったウゴは、失点を避けようと亀になったマンソーユに両足フックをイン。残り10秒ほどのところで先制点を取り3-0で勝利している。

<+99キロ級2回戦/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def. by 8-0
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

まずはスタンドで立ち会う両者。お互い手四つで組み合い、首を取って足を飛ばし合う攻防の後、ウゴがクローズドガードに飛びついた。

ウゴはゴードンの右ワキをすくって腕ひしぎ腕固めを狙うが、ゴードンは慌てず立ち上がり、左腕を使って解除。そのままウゴのガードを押し下げて開かせると、両足を上から抑えてパスを狙ってゆく。

ウゴは下からウェイターの形でゴードンの右足に絡むが、ゴードンは体重を前にかけて潰すと、スライディングするようにウゴの右足に片足担ぎ。ウゴがそれに応じて動いて正対を試みると、ゴードンは方向を変えて左足でステップオーバー。

ウゴの左足を超えると、さらにもう一度左足でまたいでマウントに。流れるようなムーブだ。それでも懸命に上体を起こそうとするウゴ。が、上半身のプレッシャーで潰したゴードンは、胸を合わせてヘッド&アームで押さえ込み、完全コントロール達成。

常に相手の一歩先を行く隙のない動きで、相手を制してみせた。

マウントから両ワキを差し、相手の腕を上げさせながらせり上がる得意の形を狙うゴードン。ウゴは下から懸命に動いて半身になり、ハーフで足を絡めてゆく。が、ゴードンは意に介さず上から低く密着し、プレッシャーをかけ続けていった。

やがて加点時間帯に入ると一度は距離を取ったゴードンは、改めてウゴの足を押さえつけながら軽快なフットワークで左に回る。やがて上四方の体勢になると、抵抗して上体を起こしたウゴの背後に付き、フックを狙ってゆく。

これを嫌ったウゴが半身になると、ゴードンはすかさず体重をかけながら両ワキを差し、強烈なプレッシャーでウゴのワキを開けさせてマウントを奪取した。またしてもゴードンは常にウゴの一手先を行き、逃げ道を潰した上でポジションを制圧したのだった。

そのままじっくりウゴの両ワキを開けさせるゴードン。一度ウゴに足を絡ませてからまたマウントに入るなどして、スコアは8-0となる。やがてウゴのワキを開けさせたまませりあがったゴードンは、Sマウントから腕十字を狙いへ。ここでウゴは素早く立ち上がってゴードンを押してゆき、試合はスタンドに戻った。

残り3分。スタンドで前に出るウゴの首をゴードンが引くと、ウゴは抵抗せずに亀になり、すぐに正対。得意のガードワークで状況の打開を狙うつもりのようだ。対するゴードンは、先ほど同様に上からウゴの両足を押さえつけて体重をかけてゆく。

ウゴは右足に絡むハーフを作り、ワキを差す形を作ると、ゴードンはウィザーで上から体重をかけてゆく。ウゴがインバーテッドでそのプレッシャーを流して正対すると、再びじっくり両足を押し下げてのパスを試みるゴードン。

やがてウゴは下からゴードンの右足を掴んで引き出して50/50を作るが、この形はゴードンもお手の物、内ヒールで逆襲する。それをウゴが防いで距離を取ると、ゴードンはそのまま下にステイ。残りの時間、ウゴは飛びつき三角やストレートレッグロックを試みるが、ゴードンに受け流されて試合は終了した。

一本勝ちこそ取れなかったものの、世界柔術最重量級現役王者にやりたいことを何もさせずに完全制圧。世界最強グラップラーの名に相応しい完成された技術を見せつけたゴードンが、ハイサム・リダを下したルーズベルト・ソウザとの準決勝に駒を進めた。

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3CG06 JJ Globo Report カイナン・デュアルチ ブログ ヴィクトー・ウゴ

【3CG06】1万5000ドル獲得は、カイナン・デュアルチ。ヴィクトー・ウゴをレフェリー判定で破り優勝

<3CG GP決勝/7分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.OT Ref Judge 3-0
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

ヴィクトー・ウゴに入場に続き、リングアナから入場の呼び出しが掛ったカイナン・デュアルチがBGMが流れ終わっても姿を見せない。その後、5分のインターミッション後にデュアルチがマットに戻るというアナウンスなされる。

何もなかったようにマットサイドの姿を現したデュアルチに対し、ウゴが引き込む。デュアルチは内ヒールを仕掛け、ロールしたウゴが尻を蹴って足を抜く。トップのデュアルチに対し、今度はウゴがヒールを仕掛ける。今度はデュアルチがカウンターアタックを仕掛けつつ、足を抜く。ウゴのXガードを潰したデュアルチがサドルをセットアップする前にウゴが反転して足を抜く。

両者が足関節の仕掛けは、爆発力とスピードに欠け、その次の展開を念頭に置いての仕掛けのように見える。ゆっくりとしたリズムのまま進み、デュアルチが足首を掴んでパスを伺う。ウゴがインヴァーテッドから50/50も立ち上がることはできず、ポイントは入らずデュアルチが解除する。早くも残り時間は1分を切っている、両者揃って延長に向けて力をセーブした終盤戦となった。

ゴールデンスコア形式の延長戦は、ウゴに選択権が与えられボトムを取る。キムラを仕掛けたウゴ、このまま時間が過ぎると仕掛けられているデュアルチはレフェリー判定で勝てない。残り2分、立ち上がったデュアルチはスイープ狙いを潰し、シングルレッグにバックにつく。横回転からワンフック&シートベルトのデュアルチに対し、ウゴは上を向いてガードに戻し、危機的状況は逃れる。

残り75秒、ボトムから仕掛けを増やしたウゴは外掛けからカーフクラッシュへ。この筋肉潰しを20秒間流したデュアルチ、タイムアップとなりジャッジはカイナン・デュアルチの勝利を支持した。

8人トーナメント、7試合。本戦決着はなく、延長でもサブミッションはマイケル・ファウラーの準々決勝のみ。レフ判定が決勝を含め、3試合。ルールを理解し、勝ちに徹する戦略をもって戦うグラップラーを否定はできない──故にグラップリングは難しいと考えさせられるトーナメントとなった。


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3CG06 JJ Globo Report ニック・ロドリゲス ブログ ヴィクトー・ウゴ

【3CG06】新星ロドリゲス、延長もポイントなくレフェリー判定でヴィクトー・ウゴに下る

<3CG GP準決勝/7分1R>
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)
Def.OT Ref’s Judge 3-0
ニック・ロドリゲス(米国)

準々決勝と違いすぐに座ったウゴ。ここから手を手繰り寄せにいき、頭を抑えられると一旦背中をマットについてクローズドを狙う。ロドリゲスは立ち上がるが、ガードのなかに入ると、ウゴがハイガードから腕十字を狙う。頭を刈らない十字に、立ち上がったロドリゲスはスラム禁止ルールに、腕を抜いて離れる。シッティングを続けるウゴに対し、ロドリゲスもヒザをついた状態で、組み手重視の試合を続ける。

ウゴは一旦立ち上がって、すぐに座り直し圧力を回避──ニーシールドを取り続ける。ロドリゲスが立ち上がると、足を取りに行ったウゴだが尻をマットにつけているので、離れたロドリゲスを追うことはできない。

アイポークがあったとレフェリーにアピールするウゴ、残り試合タイムは2分になる。と、ロドリゲスが一気に飛び込んでボディロックに取る。ハーフか、フルガードとかいう攻防にわきまくる館内。ここで下から煽ったウゴが、ボディロックを解除した。

ニースライスのロドリゲスは、ウゴの左足を挟んで右腕を抱えるも、ここから先に進めない。手を引き寄せたウゴがクローズドガードへ、今度はロドリゲスが下がり──時間に。ポイントはないままだったが、レフェリーはウゴにOTGSのポジションの選択権を与えた。

ロドリゲスのレスリング力を警戒するウゴは、当然のようにガードの中を選ぶ。この日、初めて下になったニックに対し、ウゴがボディロックからパスを狙う。蹴って立ち上がったロドリゲスは、クリンチにいくが場外へ。

ボディロックから再開をレフェリーに訴えるロドリゲスをよそに、ウゴはさっさと引き込んでガードを取る。ロドリゲスをクローズドに入れたウゴだが、立ち上がられてガードが開く。ロドリゲスも大きく動くことはなく、正座状態からニースライスで圧力をかける。

残り90秒、左手首を両手で掴んだウゴが、腕を引き寄せてを引いたロドリゲスをクローズドに入れる。首を畳みにいくロドリゲスは、足関節狙いに足を抜き、パスの圧力を高める。ここでタイムアップとなり、ジャッジは3者ともウゴを支持した。新星ニック・ロッドはガードに収まったことで、準決勝敗北となった。この敗北は柔術社会に足を踏み入れ、グラップリングで名を挙げようとするロドリゲスは受け入れるしかないだろう。


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3CG06 JJ Globo Report ウィリアム・タケット ブログ ヴィクトー・ウゴ

【3CG06】準々決勝第1試合。本戦残り12秒でポイント逆転。延長GSで下を選択できウゴがタケット下す

<3CG GP準々決勝/7分1R>
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)
Def.OTGS2-0
ウィリアム・タケット(米国)

かなり体格差がある両者、マットが小さく立ちレスはすぐに場外になる。押されたタケットが、ステージが落ちるという場面も開始1分を過ぎる前に見られた。タケットのアームドラッグに反応したウゴが、シングルで逆襲へ。ここを耐えたタケットはダックアンダーからシングルへ、切ったウゴがボディロックを腰に乗せて投げようとする。

ここも場外となり試合は中央で再開され、3分が経過する。まだ両者揃って引き込まない展開のなかで、3分30秒にタケットがシングルレッグでテイクダウンに成功する。2Pを先取したタケットはハーフのウゴから離れ、足を払っていく。ウゴの草刈りを察知して離れたタケットが足を捌いてパスを狙う。

タケットが頭を抱えてきたところで後方にスイープを狙ったウゴだが、タケットは即スタンドに戻る。デラヒーバにもタケットは足首を掴んで捌く。と、タケットは自ら足を差し込み、内ヒールを狙う。即座にウゴが立ち上がり、スイープを試みる。ポイントは許さまいと立ち上がったタケットは、続く後方へのスイープ狙いには場外へ。

小さなマットでは場外逃避とならず、試合はそのままスタンドで展開に。残り1分を切り、座ったウゴが足を絡ませレッグロックからスイープを狙う。立って逃げたタケットだが、追いかけたウゴがボディロックテイクダウン、さらに残り12秒でパスを決める。続けてマウントに移行したウゴが肩固めへ。ここで本戦はタイムアップに。ポイント的には9-2で逆転したウゴだが、11点には届かずゴールデンスコアの延長戦に突入した。

本戦をポイントでリードしたウゴがボトムを選択。50/50 を取らせず、デラヒーバもセットさせないタケットは、立ち上がりながらリバーサルを仕掛けられてもしっかりと対処する。両者がスタンドで離れると、すぐにウゴが座る。両者、疲れが目立ってきたが、小さなタッカーは果敢にパスを仕掛ける。

50/50を警戒し続けるタケットは、場外からマット中央での再開でウゴの蹴り上げからのアタックもリバーサルは許さない。ウゴはガードから立ち上がり、シングルからバックコントロールへ。前転してヒザ十字をタケットが狙うも、足を取り切れず下になったためリバーサルのポイントがウゴに入り、準決勝進出。本戦終盤でポイントを挽回し、延長ゴールデンスコアで下の選択をできたことが、ウゴにとって最大の勝因。このルールで勝ち抜く、秘訣にも見えた。


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3CG06 JJ Globo Preview ウィリアム・タケット カイナン・デュアルチ テックス・ジョンソン ニック・ロドリゲス ブログ ペドロ・マリーニョ マニュエル・ヒバマー メイソン・ファウラー ヴィクトー・ウゴ

【3CG06】準々決勝後半戦にADCC世界王者カイナン・デュアルチとSUG王者メイソン・ファウラー登場

【写真】本命カイナン・デュアルチ、大穴メイソン・ファウラー。ファウラーの活躍がトーナメントを面白くする(C)SATOSHI NARITA & SUG

3日(土・現地時間)、テキサス州ヒューストンのホワイトオーク・ミュージックホールにて、プログラップリング大会Third Coast Grappling 06が開催され、トップグラップラー8人が参加した総額20000ドルが懸けられた賞金トーナメントが行われる。

ヴィクトー・ウゴ✖ウィリアム・タケット、ニック・ロドリゲス✖ペドロ・マリーニョ、カイナン・デュアルチ✖テックス・ジョンソン、メイソン・ファウラー✖マニュエル・ヒバマーという4試合が準々決勝で組まれている。

前半の山2試合の準決勝に見所に続いて、後半の山の2試合──マットでポイント有りのADCC、ケージで5分のサブオンリーに加えてOTが大きな要素となっているSUGのチャンピオンらの異ルール交流戦の見所をお届けしたい。
Text by Isamu Horiuchi


<3CG GP準々決勝/7分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)

デュアルチは、2019年に世界柔術ヘビー級を制し、さらに同年のADCC世界大会99キロ超級を制し、黒帯1年目にして道着とノーギの両方で世界の頂点に立った男だ。ムンジアルのでレアンドロ・ロ戦では怪物のスイープに、ADCCでは競技柔術世界一=ブシェシャのテイクダウンにもまるで揺るがないすさまじく強靭な足腰を誇り、それは下の体勢では鉄壁のニーシールドと化す(が、世界柔術の方は後に薬物検査に失格して優勝取り消しになっている)。

バックテイク力と極めの力も抜群で、昨年末のWNO 5ではホドウフォ・ヴィエイラと新旧重量級頂上対決を行い、わずか2分半、アームドラッグからバックを奪いチョークで完勝してみせた。

対するジョンソンは爆発的な極めを武器とするノーギグラップラー。特にチームメイトのエディ・カミングス譲りの足関節は強烈で、2019年にはフィリッピ・ペナをヒールで仕留めて一躍名を挙げた。今年に入っても1月のF2W161でアルナウド・マイダナを腕ひしぎ腕固めで一蹴したジョンソンだが、2月のF2W163でマックス・ジメニスにジャッジの裁定で不覚を取っている。地力ではデュアルチ有利は否めないこの対決。実際に両者はこれまでノーギグラップリングで2度対戦し、1度目は6-1のスコアで、2度目はチョークでどちらもデュアルチが完勝している。

が、ジョンソン必殺のヒールが実力差をひっくり返す威力を秘めた武器であることは確か。対するデュアルチは2019年のADCC無差別級ではラクラン・ジャイルズ戦や、2020年にはホベルト・アブレウにヒールで敗れており、このジョンソン戦においても如何に足関節の攻防を回避するかを念頭に置いて臨むことだろう。

<3CG GP準々決勝/7分1R>
メイソン・ファウラー(米国)
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)

強豪揃いのこのトーナメントの最注目選手を一人挙げるとするならば、それはメイソン・ファウラーだろう。

カイオ・テハを師と仰ぎ、主戦場とするチェール・ソネンが率いるサブミッション・アンダーグラウンド(SUG)と共にコロナ禍の於いて存在感を増したファウラー。2020年はロベルト・ヒメネス戦クレイグ・ジョーンズ戦、ヴィニー・マガリャエス戦、石井慧戦らとのビッグネームから次々と勝利して8連勝、無差別級王座に君臨する。

ただこれらの勝利のほとんどは、SUG独自のルール(本戦5分間で一本決着がつかない場合は、EBI方式──バックやスパイダーウェブ等お互い有利なポジションからはじめて、フィニッシュとエスケープ時間を競う──の延長戦)を巧みに利用してのもの。

つまり本戦ではいなしや距離を取る動きを多用して攻防を避けて延長に持ち込み、そこで持ち前の爆発力を活かした高速エスケープと強烈な極めで勝つのがファウラーの必殺パターンだ。世界的にも突出した極めとエスケープの力を持っているのは間違いないが、その前段階で優位なポジションを奪取する力がどれほどなのかはまだ見えていない。

最近の試合ではライアン・ベイダー戦に続き、リッチー・マルチネス戦とタイトル防衛戦では本戦で一本勝ちを収め、確かな実力を示しているファウラー。が、真の世界トップの重量級グラップラー達とどこまで渡り合えるかは未知数なままだ。

対するヒバマーは、トップゲームを中心に堅実な戦い方を得意とする。今年のF2W 164では、ダンテ・リオンに対して待ちの姿勢からテイクダウンをギロチンで切り返す等でポイントを稼ぎ2-1で勝利

F2W 166ではウィリアム・タケットに開始早々のカニバサミからのヒールで敗戦を喫したが、これは実力を発揮する間もなく敗れてしまった形だ。

SUGで無敗を誇るファウラーが、自らの庭から出てどう戦うかが注目の今大会。本戦7分で未決着の場合はサドンデスのオーバータイムにゆくという点ではSUGと似ているが、SUGのように相手を制さずにバックポジション等をもらえることはなく、最終的にはポジションに基づいたポイント、あるいは極めで決着が付く。ポジション取りからフィニッシュまでのグラップリング総合力が問われるルールだ。

相手にポジションを譲らない戦いには定評あるヒバマーを、ファウラーはいかに攻略してポイントを取ってみせるのか。

そしてここをファウラーが突破すれば、準決勝では重量級の世界の頂点の一人であるカイナン・デュアルチと当たる可能性が高い。世界のグラップリングファン注目の初対決は実現するか──ファウラーが暴れると、この大会はより楽しみが増すことは間違いない。

トーナメント戦、ヒール有りということで準決勝以降を予想することが困難であるが、MMAPLANET的には本命カイナン・デュアルチ、対抗ニック・ロドリゲス、穴ヴィクトー・ウゴ、大穴がテックス・ジョンソン、巨大穴=メイソン・ファウラーとしたい。

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