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DEEP123:メインイベント・青井人 vs. 芦田崇宏

フェザー級ノンタイトル戦。

現王者青井は今年3月に王者神田コウヤのタイトルに挑戦。5ジャッジの判定が3-2に割れる接戦の末青井が勝利し初のタイトルを手にした。今回は王者としての初戦となる。現在4連勝中。27歳。

芦田は2017年にフェザー級王座を獲得。翌年の初防衛戦で弥益ドミネーター聡志に敗れて王座から陥落している。その後RIZINに出場するが2勝4敗。RIZINでの摩嶋戦、鈴木博昭戦と連続1Rフィニッシュ負け。今年7月にフロリダのCombate Globalに初参戦したが、計量失敗した現UFCファイターのロベルト・ロメロに1Rチョークで一本負けし、現在MMA3連敗中。35歳。

オーソドックスの青井に芦田はサウスポー。ジャブで牽制する両者。芦田インロー。カーフキック。青井が飛び込んで右を一発打ち込む。さらに右フックから左フックで出る。芦田が左眉付近から出血しておりタイムストップ。ドクターチェックが入る。再開。両者ジャブで距離を測る。青井ワンツー。芦田の左ミドルをキャッチして軸足を蹴る青井。芦田は左ハイ。踏み込んできた青井に左フック。ローを蹴る芦田。青井が詰めてきた。ジャブ。右ミドル。1R終了。

2R。詰める青井。ジャブから右。お互いのパンチが交錯し、両者スリップしたがすぐに立ち上がる。右を打ち込んで出る青井。芦田ケージを背負ったが、サークリングで抜け出した。しかしまた詰める青井。芦田が左ハイを空振りしてスリップ。下になったところで青井がサッカーボールキック。芦田の顎にヒット!追い打ちのパウンドを打ち込む青井。起き上がろうとした芦田にアッパー!後方に倒れた芦田を見てレフェリーストップ!

2R2分26秒、青井TKO勝ち。

青井「前回タイトルマッチで、結果は良かったんですけど、内容が納得行かなかったので、『こうはならないぞ』と意識して毎日淡々とやってきました。まだ反省点はいっぱいあるんですけど、しっかり倒せていい試合を見せれたかな。まだまだ強くなって、もっともっと面白い試合するんで、よろしくお願いします」

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【UFC309】スクランブル出場のロメロが奮闘を見せるも、デヴィッド・オナマが判定勝利

<ライト級/5分3R>
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
ロベルト・ロメロ(メキシコ)

当初、オナマはルーカス・アルメイダとの対戦を予定していたがアルメイダが欠場。7月のCombate Globalで芦田崇宏にRNCで一本勝ちしているロメロと拳を交えた。

オナマがオーソドックスからサウスポーにスイッチし、ロメロが右を伸ばして前に出る。オナマがオーソドックスに戻して右カーフを蹴ると、ロメロも右カーフを蹴り返す。構えをスイッチするオナマだが、ロメロは変わらず強い右インローを蹴っていく。このインローでオナマの足が流れるようになり、ロメロはパンチを顔面とボディに打ち分けて前に出る。

オナマも鋭いジャブを返すが、ロメロは下がらず右フックを連打。これでオナマが後方に倒れ、ロメロがすぐにバックについてRNCを狙う。足をフックさせなかったオナマが立ち上がると、ロメロが左腕を差してオナマをケージに押し込む。ここでオナマがアナコンダチョークを狙い、頭を抜いたロメロがシングルレッグに入る。

距離が離れるとロメロがジャブから右アッパー、オナマはサウスポーにスイッチして左の前蹴りから右フック。ロメロも右アッパーからパンチをまとめ、再び右フックを強振。オナマはロメロの右カーフに右ストレートを合わせ、近距離でパンチをまとめると右フックから左ストレート。これでロメロが後方に倒れ、オナマがダウンを奪い返した。

2R、オーソドックスに構えるオナマが鋭いジャブを当て、サウスポーにスイッチすると左ミドルと右フックを見せる。オナマはオーソドックスからジャブを突き、ロメロはスピニングバックキック。オナマは構えをスイッチしながら長いジャブで距離を取り、ロメロはなかなか距離を詰められない。

逆にオナマはワンツーを打ち込み、ロメロの足を止める。ロメロも右ローを蹴って前に出るが、そこにオナマが右を伸ばす。さらにオナマは縦ヒジ、ワンツー、左ボディ、右ストレートと手数を増やす。ロメロがスピニングバックエルボーを狙うが空振りし、そのまま距離を潰したオナマがグラウンドで上を取る。

一度立ち上がったオナマはロメロの右足を超えてハーフガードでトップキープし、左の垂直ヒジを落とすと立ち上がる。最後は両者スタンドの状態で終了となった。

3R、サウスポーのオナマは左前蹴り、スイッチしての左ジャブ。ここもオナマがスイッチとジャブ&前蹴りで距離を取り、サウスポーから左ストレート、オーソドックスでジャブからパンチをまとめる。ロメロもしつこくインローを蹴り続け、転倒するオナマだがすぐに立つ。

オナマはジャブと右ボディ、ロメロの左の蹴りをキャッチして組みの攻防になると、ロメロをケージに押し込む。オナマは四つからロメロの足を刈ってテイクダウンして一気にマウントへ。体を起こしてヒジを落とすと、ロメロも足を戻してクローズドガードを取る。

オナマは中腰の状態からパンチとヒジを入れ、足を振りながらパンチを落とす。ロメロは足関節も仕掛けるが、オナマは冷静にトップキープを続けてパンチを落とす。最後は立ち上がったオナマが勢いよくパンチを落とし続け試合終了。オナマがスクランブル出場のロメロから判定勝利を収めた。


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【UFC309】展望 余人をもって代え難き存在=ジョーンズ×普通の男であることに価値を置くミオシッチ

【写真】持ち過ぎた才能が、人生を狂わせながら強さは絶対のジョン・ジョーンズ。そして強さを求めて、幸福な人生を歩むこととなったミオシッチ。対照的な強者の戦いだ(C)Zuffa/UFC

16日(土・現地時間)ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンにてUFC 309「 Jones vs Miocic」が行われる。由緒ある大会場におけるメインイベントは、事実上無敗で二階級制覇を達成したジョン・ジョーンズに、元王者のスタイプ・ミオシッチが挑むヘビー級タイトルマッチだ。
Text by ISAMU HORIUCHI

王者JJは、実に13年半前の2011年3月にマウリシオ・ショーグン・フアを3RTKOに下してライトヘビー級王座を獲得すると、6度の防衛に成功し長期政権を築いた。しかし、その後はコカイン使用、ひき逃げ、禁止薬物使用といったさまざまな問題行動を起こして3度に渡って王座を剥奪されてしまう。だがそのたびに復活しては、恐るべき強さで王座復帰を果たしてきた。

さらに2020年には飲酒運転&発砲事件による逮捕を経て、自ら王座を返上。ヘビー級への転向の意志を明らかにするが、その翌年にフィアンセへの家庭内暴力で再逮捕された。


それでも昨年3月には宣言通りヘビー級で復帰。シリル・ガンヌとの王座決定戦において1Rわずか2分でギロチンチョークで仕留め、二階級制覇を達成している。オクタゴン内での絶対的な強さにおいても、その内面に棲まうデーモンの巨大さにおいても余人をもって代え難き、格闘技の矛盾を最大限に体現する存在だ。

対するミオシッチは、8年半前の2016年5月にファブリシオ・ヴェウドゥムを敵地クリチバで1RKOに下し、ヘビー王座を獲得。その後アリスター・オーフレイム戦ジュニオール・ドスサントス戦フランシス・ガヌー戦とヘビー級王座3連続防衛というUFC新記録を樹立した。その後ダニエル・コーミエに敗れるも、リマッチで勝利して王座奪還に成功。が、21年3月にフランシス・ガヌーとの再戦に敗れて再び王座を明け渡している。

ちなみにミオシッチは、以前からファイターであると同時に消防士としての職を持ち続けている。仕事で地域に貢献し、家庭でも妻と子供を大切にする「普通の男」であることに何よりも価値を置く、JJとはあらゆる意味で対照的な生き方を実践している。

2022年にはフルタイムの消防士となったことが報じられ、ミオシッチは幸せな引退を果たしたと考える向きも多かった。しかし昨年3月、上述のようにガンヌを倒したJJがオクタゴンの上で「みんな、俺がスタイプを倒すところが見たいか? スタイプよ、練習してくれていると嬉しいぜ。あんたは歴史上のグレーテイストヘビーウェイトだ。あんたと戦いてえんだ。ものすごくな!」と不敵な笑顔で宣戦布告。11月に復帰してJJへの王座挑戦が決まった。

だが、この大一番に向けての練習中にJJが胸筋断裂の大怪我を負ってしまい、手術と半年以上の治療期間を要することが判明し欠場を余儀なくされてしまう。ここでUFCは、当日のバックアップファイターとして用意されていたセルゲイ・パブロビッチとミオシッチの暫定王座戦を行うことはせず、パブロビッチとトム・アスピナルによる暫定王者決定戦を敢行し、1R1分でKO勝利したアスピナルが王座に就いた。

強引な措置とも言えるが、デイナ・ホワイトUFC代表は「ミオシッチ対JJはレガシーファイト。歴史上最も偉大なヘビー級王者と、歴史上最も偉大なミックストマーシャルアーティストの激突だぞ。レジェンド二人の対決をファンも見たいし、私も見たいし、両者ともやりたがっている。スタイプに暫定王座戦を戦ってくれなどと頼むこと自体、まったくもって失礼な話だよ」と説明した。両者のカードは、競技の理屈をスキップしてでもUFCが実現させたいメガファイトということだ。

その後アスピナルがまたしても1分KOにて暫定王座を防衛する間に、正規王座のJJは手術を経てリハビリを完了。一年の延期を経て、今回──暫定王者として圧倒的に勝ち続けているにもかかわらず挑戦できない気の毒なアスピナルが「老いぼれどもによる、異議にまみれたタイトル戦だ」と毒づくのをよそに──ついにミオシッチとの防衛戦がついに実現することとなった。

長年パウンドフォーパウンドランキングのトップに君臨し、一年前には体にかなり脂肪が乗ったヘビー級としても圧巻の強さを見せつけた37歳のJJと、片や42歳にして3年8ヶ月ぶりの復帰戦となるミオシッチ。当然下馬評は圧倒的にJJ有利だ。

が、もしミオシッチが王者時代に劣らぬコンディションでJJの前に現れれば話は別だ。全てに卓越した王者JJだが、最大の武器はレスリングをベースとした圧巻のグラップリング力。相手が組みを警戒するからこそ、JJはスタンドでオクタゴン中央を取りプレッシャーをかけつつ、他の追従を許さない創造性に溢れた攻撃を交えて距離を支配することができる。

ただし体格に勝りレスリングにも長けたミオシッチは、JJのテイクダウンを恐れずスタンドで逆に圧をかけてくるだろう。仮にミオシッチがJJのテイクダウンや寝技を凌ぎ、スタンドで前に出る展開が生まれれば、俄然試合は興味深いものとなる。アルロフスキー、ヴェウドゥム、オーフレイム、ドスサントスといった名だたるヘビー級王者たちを沈めてきた一撃必殺の右を持つミオシッチの圧力を、手を開いた柔らかい構えと関節蹴り等独自の武器を用いて間合いを作る──しかしライトヘビー時代の機動力はないと思われる──JJがいかに捌くのか。

ここで忘れてはならないのは、苦境に陥った時の強さこそがJJの真骨頂だということだ。かつてJJは、1度目のアレクサンダー・グスタフソン戦ドミニク・レイエス戦で前半は思うようにテイクダウンを取れず大苦戦を強いられたことがある。が、いずれも後半に驚くべき精神力とスタミナを発揮。何より勝利への執着心が試される極限状況下にて、前に出て挑戦者を削り続けて圧倒して逆転勝利をもぎ取っている。

また、JJと組技の練習を重ねる世界最強のグラップラー、ゴードン・ライアンは、「グラップリングのみの練習でも、ジョンは展開に応じて直感的にゲームプランを変えることができるんだ。また、一つのことを教えると、たちまちそれを別の部分でも応用できてしまう」とJJの真の強さは試合中の適応力や応用力にあると語る。

試合が競った展開になればなるほど、JJの恐るべき勝利への執念、適応力、創造力を我々が目にする可能性は高まる。

今回、JJ自身も己の全てを出し尽くすフルラウンドの戦いを予期している模様だ。「お互いにとって長い夜になるだろう。相手の心臓を皿に盛りつけてみんなの前で食らうのは格別だ。奴を深海に引き摺り込んで溺死させてやる。スタイプの技術じゃなく、心臓に襲いかかるつもりだ」と、心にダークサイドを秘めた者ならではの発言でその覚悟を語っている。

相手を罵ることはもちろん、試合前には多くを語りたがらないミオシッチも「ライトヘビーで戦ってきたジョンは、俺のような相手と戦ったことはない。試合が開始すればすぐに体感するはずだ」と自信をのぞかせている。

適正階級ではない怪我上がりの38歳と、3年8ヶ月ぶりに戦う42歳の戦いでありつつも、まごうことなきMMAレジェンド二人による重量級スーパーファイトであるこの試合。UFCヘビー級最多防衛記録を持つミオシッチが、MMA史上最高のファイターと呼び声高いJJを追い詰めることで、その奥深くにさらに眠っている力が呼び覚まされる──そんな極限の戦いを期待したい。

■視聴方法(予定)
11月17日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

■UFC309対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国)

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
ポール・クレイグ(英国)

<女子フライ級/5分3R>
カリーニ・シウバ(ブラジル)
ヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
ハメ・ジョントップ(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・マルチネス(米国)
マーカス・マギー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ウェイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
デイモン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ジョナタ・ジニス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
バシル・ホフェス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)

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【UFC309】UFC300の次はMSG、6勝6フィニッシュのNCAA3冠=ボー・ニコル「マッシブなポスチャーを」

【写真】とても穏やか。そして拙い英語へもPatienceしてくれます (C)MMAPLANET

16日(土・現地時間)、ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンでUFC 309「Jones vs Miocic」が開催される。
Text by Manabu Takashima

同大会のメインカード、コメイン前でキャリア7戦目、UFCでは4戦目となるボー・ニコルがポール・クレイグと戦う。NCAAを制すること3度、MMAに転向後は5試合連続で初回フィニッシュ。前回のUFC300におけるコディ・ブランデージ戦で初めて2Rを経験も、全試合フィニッシュ記録は更新している。

ガードからの三角絞めと腕十字に特別な強さを見せるクレイグ戦を前にニコルにインタビューをすると、MSGで戦うことの特別さが伝わってきた。


──今週末のポール・クレイグ戦に向けて、今の気持ちを教えてください。

「最高の気分だよ。ただ減量という一番気が滅入る時間帯を向けているけどね。そこ以外は何かも素晴らしいよ」

──NCAAを3度制したレスラーなので減量は手慣れたモノという印象があるのですが、それでもやはり気が滅入るものなのですね。当日計量だったレスラー時代と、前日計量のMMAとはまた違うものですか。

「そりゃあレスリング時代の方がきつかったね。試合まで時間もなくて、リカバリーもそれほどできない。と同時に、レスリングではMMAほど体重を落とさない。レスリングもMMAも直接比較すると楽な部分もどちらにもある。でも、全てをひっくるめるとレスリングの減量の方がしんどいね。とにかく計量後1時間で試合が始まる。これはタフだよ」

──ではMMAを戦うようになってリカバリーには、レスリング時代にない知識も必要になったということは?

「そこに関しては、凄く科学的な減量方法を取り入れているから問題ないよ。確かに細かい失敗はあったけど、全ての経験が生きてきている。毎回、しっかりとその時に合ったカットとリカバリーをしてきたしね」

──ところで前回の試合は初めて2Rを経験しました。5分以上戦ってどのような印象を持ちましたか。

「ハハハハ。いう間でもなく、良い経験になったよ。ケージの中に以前より長くいることができたのは良かった。9分間戦っても何も問題はないばかりか、より動けることが確認できたんだ。フレッシュなままだったよ。コンディションとスタミナに自信が持てるようになった」

──押忍。前回のUFC300は誰もが認める歴史的なショーでした。そして今回はMSGでのファイトになります。28歳のボーにとって、MSGで戦うことは特別なのでしょうか。

「そりゃあそうさ。この機会を得られたことは、最高に光栄に感じている。ものすごく歴史のある会場……MMAだけでなくバスケットボール、アイスホッケー、ボクシングの名勝負が繰り広げられた来た。ガーデンに一歩足を踏み入れると、その伝統と威厳が感じられるんだ。そういうエネルギーを得て、今週末は戦えると思うとワクワクしてくるよ。

ただ大観衆の前で戦うのとは、違う。なんというのか、特別な感覚……それを心の底から感じられそうだ。確かに米国にはもっと大きくて、近代的な会場も増えている。スフィアなんて、その最たるものだよね。

ただニューヨーク、マンハッタンのど真ん中で戦うことは特別だ。アリーナの壁に飾れた数々のポスターからも、あの場で何が行われたのかが伝わってくる。その歴史の重みは皆が共有しているんだよね。今回の試合にサインしたことを伝えると、皆が『おぉ!! MSGで戦うのか!!』って興奮していたから」

──米国の人は格別、その感覚を持っているのでしょうね。そのMSGで戦う相手ポール・クレイグは、ボトムからの三角絞めと腕十字に特別な強さを見せるファイターです。

「危険な相手だ。UFCにおける戦績を見ても、それが証明されている。経験に裏付けされたサブミッションの使い手で、僕としては冷静かつ自信を持って戦う必要がある。焦って戦いたくない。過去に経験したたことがない試合になるだろうから、我慢強く戦うことが自分を助けてくれると思う。それでも、しっかりとポジションを考えて戦うと、サブミッションの餌食なることはないだろう」

ポール・クレイグはUFCで9勝8敗。4試合が三角絞めで勝っている(C)Zuffa/UFC

──ボーも既に仕留め方を心得ているかと思います。

ただし、ボーはレスラーです。テイクダウンからトップコントロールという常套手段が、クレイグの望む戦場になるということが特異な状況です。

「アームバーやトライアングルをセットするまでに、上手くパンチやエルボーを使っている。辛抱強く、三角絞めや腕十字の機会が訪れるのを待つことができるファイターだ。その時が来たら、全力でフィニッシュに掛かる。その機会を与えない。それが僕に必要になってくることは間違いない。あのハイガードを取れないと、彼にはチャンスはない。そのためのコントロールを僕ができるのかだよ」

(C)Zuffa/UFC

──ボーのポスチャーに要注目です。

「そこはしっかりと、やってきた。ポスチャーが悪くて、頭が下がっていることを僕らはデンジャーゾーンと呼んでいるんだ。しっかりとポスチャーができていれば、打撃を叩きこむことができる。ポスチャーに関しては、トレーニングキャンプの軸だったといえる。徹底的に考え、対策をこうじてきた。マッシブなポスチャーを見せるよ」

──ただ寝技に付き合わない戦いもMMAには存在しています。

「つまりは打撃だよね。今回のファイトキャンプ以前から、最高のコーチの下でストライキングを学んできた。打撃に関しては、僕にアドバンテージがある。彼の方が経験値は高いけど、僕の方が若くて速く、パワーもある。スタンドでの勢いのある打撃のある攻防は、ポールの弱点だ。立ち技は絶対的に僕の方が上だよ。

テイクダウンの機会があればするし。そうでなかったとしても、どの局面でも問題ない。それだけファイトキャンプで準備は整えてきたからね」

──ボー、今週末の試合を楽しみにしています。最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。

「UFC309を日本のファンにも楽しんでもらいたい。いつか日本を訪れて東京、地方、富士山に行きたいんだ。僕はMMAもそうだし、日本のレスリングの大ファンでもあるんだ。レスリング時代はタツヒロ・ヨネミツ(米満達弘。2012年ロンド五輪フリースタイル66キロ級金メダリスト)、今はリンヤ・ナカムラ、キョージ・ホリグチという友人がいる。日本のファンの応援に感謝しているよ」

■視聴方法(予定)
11月17日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

■UFC309対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国)

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
ポール・クレイグ(英国)

<女子フライ級/5分3R>
カリーニ・シウバ(ブラジル)
ヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
ハメ・ジョントップ(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・マルチネス(米国)
マーカス・マギー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ウェイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
デイモン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ジョナタ・ジニス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
バシル・ホフェス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)

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45 Combate Global MMA MMAPLANET o ロベルト・ロメロ 芦田崇宏

【Combate Global】ガチガチの殴り合い――でなく、ロメロのTD&コントールから芦田崇宏はRNCで一本負け

<150.8ポンド契約/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
Def.1R 4分48秒by RNC
芦田崇宏(日本)

ロメロの計量失敗でキャッチウェイト戦となった一戦。サウスポーの芦田に対して、左ローを蹴るロメロ。芦田はハイ、続いて左ミドルの芦田だが、ロメロも勢いのある右ミドルを返す。距離を詰めたロメロはボディを連打して組むと、ケージ中央方向にシングルレッグでテイクダウンを奪う。芦田はパスを許したがブリッジから足を戻す。すぐに右足を抜いたロメロは芦田の2度目のブリッジをすかしてバックを取る。

ロメロは両足をフックし、ボディトライアングルからRNCへ。アゴの上からの絞めを防御し、スクランブルに持ち込もうとする芦田に対し、ロメロはサイド、バックコントロールとポジションを支配する。胸を合わせつつ立ち上がろうとした芦田の動きに対応したロメロが再び両足をフック。残り30秒、後方から激しく左を打ち下ろすロメロ。芦田は前転して逃れようとしたところでRNCをしっかりとセットされ、タップを強いられた。


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【Combate Global】芦田の相手は5lbs近くオーバー=ロベルト・ロメロ「気持ちで戦うのがMMAの本質」

【写真】計量では150.8ポンドと5ポンド近いオーバー。芦田はキャッチウェイトを飲んで戦う (C)COMBATE GLOBAL

27日(土・現地時間)、フロリダ州マイアミのユニヴィジョン・スタジオで開催されるCombate Global「Mexico vs Japan 2」で芦田崇宏と対戦するロベルト・ロメロ。
Text by Manabu Takashima

チーム・オーヤマ所属のメキシカン・ブルファイターは、試合まで2週間を切った時点で「試合があるかも」というオファーを受け、5日前に正式に決まった。そんなドタバタにも動じない、恐らくは体重を落とせないでも戦うという意志の持ち主は、拳と同様に硬いハートの持ち主に思われる。


──ロベルト、Combateで芦田選手と急遽戦うことが決まりました。まず、いつぐらいにこの試合のオファーがあったのでしょうか。

「最初にオファーがあったのは先週の月曜日だった。ラミロ・ヒメネスがビザの問題で試合ができないかもしれないという連絡があって。まだ試合ができるかどうかは確定していなかったけど、彼が戦えないなら僕の出番になるということだから、すぐに体重を落とし始めた。アシダの試合のチェックもしたし、もう戦うつもりでいたんだ」

──あるかどうか正式に分からないという状況で、減量をして試合の準備をするのは複雑ではなかったですか。

「正直に言うと、全てにおいて『チョット』という感じだったよ(笑)。試合があるならと少しエキサイトしていて、でも大きな期待はしないでおこうと。まだ戦えると決まったわけじゃないと自制もしていた。同時にどれだけ準備をしても試合ができず落ち込むんだろうなって、チョット考えもして。練習で疲れて、減量で腹は減るし。そうなると、そんなことを考えてしょうがないだろうと自分を言い聞かせたりして……」

──なかなか心身ともにハードでしたね。

「でも月曜日に試合ができると決まって、やってきたことが報われる。今、ここにいるわけだしね。ただ火曜日の夜のフライトでマイアミに向かう予定だったのが、飛行機が遅延するからという連絡があった。で時間を潰して、空港に着いたら本当に奇妙なことなんだけど、その便はまた出発時間が変わって定刻通りに出発してしまったんだ。結果、火曜の夜に飛行機には乗れず、水曜日の午前11時にカリフォルニアを出たんだ。

で、オースチンからマイアミに向かう便が遅延して、到着したのはもう夜の10時半とかだったよ。しかも、ロストバッゲージのオマケつきだで(笑)」

──OMG!!

「まぁ、大丈夫だよ(笑)。とにかく自分のやれることに集中するしかない。こういうことも起こるんだ。自分でコントロールできないことを気にしてもしょうがないしね。バッグは遅れて届くんのだから」

──まさにアスタマニャーナの精神ですね。ところで日本のファンはロベルトのことも、メキシコのMMA界のこともほぼ分かっていないです。今もボクシングのイメージが強い国ですが、そんなメキシコでロベルトがMMAに出会ったのはいつ頃なのでしょうか。

「8歳からキックボクシングをやっていて、2008年だったかな。メキシコではMMAは知られていなかったけど、兄がTVでブロック・レスナー×ケイン・ヴェラスケスの試合を見ていたんだ。で、このヴェラスケスっていうヤツはメキシコ人だぞって興奮していて。『メキシコ人がこういうことをやっているのか。僕もいつの日か、コレをやりたい』って思うようになった。

でも僕が生まれ育ったチワワの街には、MMAを習えるところなんてなくて10歳になった頃ぐらいから、兄と一緒にビデオでMMAを見て、サブミッションの真似事をするようになったんだ。ただ楽しいから、やっていたんだよ。で13歳の時には初めてアマチュアMMAを戦った」

──なんと!!

「フィットネスジムにケージを置いて、ローカルの大会が開かれた。戦わないかと誘われた僕は、キックだけ使って戦った。それから2試合ほどアマで試合をして、16歳になった時に初めて本格的に柔術を習うようになったんだ。あの時、僕らの街にも3つの柔術スクールができて。今では10以上のアカデミーがあるんだけど、当時は3カ所しか柔術を習う場所はなかった」

──2018年にプロデビューをして、4試合後にはCombateで戦うようになっていますね。

「2019年にカリフォルニアに移った。今では兄のように慕っているUFCファイターのフェルナンド・パディーヤもチワワ生まれなんだ。僕らは同じ場所で練習をしていたんだけど、フェルナンドはいち早く米国に行き、チーム・オーヤマでトレーニングをするようになっていた。そこでコーチ・オーヤマに僕の話をして、コーチが米国に連れてきたら良いと言ってくれて。それからチーム・オーヤマのファイターズ・ハウスで寝起きして、練習をするようになったんだ」

──チーム・オーヤマのファイターズ・ハウスといえば堀内佑馬選手も一緒だったのでは?

「その通りだよ。ブラザー・ユーマにあの時、初めて会ったんだ」

──チワワでの練習とチーム・オーヤマでのトレーニング、どこが一番違っていましたか。

「とにかくレベルが違った。チワワではフェルナンドが米国に行ってからは、プロは僕しかいなかった。だから、あれ以上成長することは難しかった。チーム・オーヤマではすぐに違いを感じたよ。とにかく練習仲間全員が強い。全てのスパーリングセッションがハードで、全てのスパーリングパートナーがタフなんだ。

ユーマが良い例だよ。アイツは小さいのに、スパーでは本当に苦しめられた。最初の半年間は、いつもボコボコにされていたよ(笑)。レスリングやグラップリング自体、当時のメキシコではそれほどやり込むことがなかったしね。君も言ったように、メキシコはボクシングの国だから。特にレスリングはもう初めてといって良い感覚で、グラップリングにしてもまるで質が違っていた」

──ロベルトの試合をチェックさせてもらったのですが、バチバチの殴り合いをしているかと思えば、柔術やレスリングも使っています。自分の強さはどこにあると考えていますか。

「どうなんだろう。正直をいえば、全ての局面が同じレベルにあると思っている。ただ、スタンドでやり合うのが好きだけどね。僕はメキシカンだから。でもレスリングやグラウンドが必要な局面になると、ちゃんとレスリングにも寝技にも付き合うよ。作戦が決れば、それに則してどの局面でも戦うことができると思っている」

──Combateはファンにエキサイティングな試合を届けるという意味でも世界有数のプロモーションです。メジャープロモーションにステップアップする上でも、Combateで戦うことにどのような意味を持っていますか。

「Combateはこの世界でも最高のプロモーションの一つだ。だからプレッシャーを感じることもある。でも本音を言えば、僕は機会が与えられるなら、どこでも戦う。舞台がどこになろうが、バチバチの試合の皆に見てもらう。自分のやってきたことを全てぶつけるだけだよ」

──なるほどです。では芦田選手の印象を教えてください。

「彼のことは尊敬しているよ。凄いキャリアを持つベテラン・ファイターだからね。良い大会で、良い選手と戦ってきた。ただ、僕は少し彼より背が高い。そこがアドバンテージになるだろう。リーチも僕の方が長いし、自分の距離で戦えるはずだ。フィジカルで上回っているけど、アシダはタフなファイトも辞さない。そこも尊敬しているよ。

だからこそ、ハートの勝負になると思っている。何より、気持ちで戦うのがMMAの本質だから。ボクシング、レスリング、柔術、自分の全てをぶつける。それが僕のやるべきことだからね」

──フェルナンド、今日はありがとうございました。最後に日本のファンにメッセージをお願いしますか。

「日本のファンは本物だ。MMAへの皆の想いをリスペクトし、感謝している。何よりユーマ・ホリウチは僕の日本人の兄弟だからね。日本の皆の心に何かを刻む戦いをする。皆、ありがとう」

■視聴方法(予定)
7月28日(日・日本時間)、
午前10時00分~ABEMA格闘チャンネル

■Combate Global 対戦カード

<150.8ポンド契約/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
芦田崇宏(日本)

<ウェルター級/5分3R>
マルコス・ヨレーダ(メキシコ)
山田聖真(日本)

<女子フライ級/5分3R>
レヒーナ・タリン(メキシコ)
ギセラ・ルナ(アルゼンチン)

<バンタム級/5分3R>
イズマエル・サモラ(メキシコ)
フアン・プエルタ(米国)

<130ポンド契約/5分3R>
ヴィクトル・キンタナ(メキシコ)
ロイス・バトラー(米国)

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【Combate Global】「痕跡を残し、名を刻む」。芦田崇宏がメキシコのバチバチファイター=ロメロと対戦

【写真】この状況が芦田の真価を発揮させる状況を創り出しているのであれば、嬉しい限りだ (C)MMAPLANET

27日(土・現地時間)、フロリダ州マイアミのユニヴィジョン・スタジオで開催されるCombate Global「Mexico vs Japan 2」に芦田崇宏が出場し、ロベルト・ロメロと対戦する。
Text by Manabu Takashima

RIZINで摩嶋一整、鈴木博昭に敗れ、この間のDEEPでの戦いが流れるなど厳しい時間を過ごす芦田に、世界で最も殴り合うMMA大会=Combateからオファーがあった。当初の相手はキャリア10勝0敗のラミロ・ヒメネスだったが、渡米前日に対戦相手が変更され、コーナーマンとして帯同した武田光司はニューアーク空港で足止めを食い──芦田は1人でマイアミに降り立った。

それでも「笑って過ごした」という芦田は、まさに猛牛というべきバチバチの殴り合い上等のメキシカンを相手に完全に腹が決まっていた。


──今回、Combateで試合をすることになった芦田選手ですが、実は対戦相手のラミロ・ヒメネスのインタビューを申し込んでいたら、「ロベルト・ロメロに代わったから1日待ってくれ」という連絡が今週の火曜日にありました(※取材に24日に行われた)。

「僕も聞いたのは、日本を出る直前でした(苦笑)。正直をいえば、前の相手の方が高いモチベーションを持てていたというのはあります。でも色々と準備をしてきたし、相手のスタイルとか変わってしまうとは思いますけど、そこはこれまでの経験を活かしてしっかりと戦いたいです」

──ヒメネス戦のオファー自体は、いつ頃にあったのでしょか。

「ちょうど1カ月ほど前ですね。他にも候補がいたようですが、話が来た時点で減量も始めました」

──6月の終わりの時点でオファーを受けたということは7月、8月と試合の予定がなかったということですか。

「ハイ、僕のなかで勝手にですけど8月31日のDEEPお台場の大会に出たいという気持ちではいました。ちょうど誕生日の次の日で、屋外でやるって珍しいじゃないですか(笑)。ただ、自分の知り合いも外でやるなら、応援に行けるかどうか分からないって言っていましたね(笑)」

──ハハハハハ。真面目な話、あの大会に出ることを考えていたということは、このところの試合結果を踏まえて──ということでしょうか。

「勿論、そうです。弁えて試合をやっていきたいので。今、RIZINということは口にしたくないので。ちゃんと這い上がってからでないと」

──去年の春にFight & Life誌でフェザー級特集をして、インタビューはおろか名前と写真の紹介ぐらいのページでも芦田選手に触れなかった。あの時、SNSで本人から怒りの反応がありました。

「あっ、あの時ですね(笑)。発奮材料になりました。もう1回、取材をしてもらえるようにならないといけないって。そうじゃないとやっていけねぇぞって思うぐらい『何クソ』ってなりました」

──逆にそう思ってもらえるのは有難いことです。そうですね……今回はただの海外での試合ではない。Combateで10勝0敗の選手と戦うということで芦田選手に取材をさせてもらおうと思った次第で。当時は、勝ってからでないと取材はできないという気持ちでした。ただし、2月に鈴木博昭選手に敗れた。あの試合は芦田選手のキャリアを考えるうえでも、非常に痛い敗北だったかと。

「本当にその通りです。あの試合は勝つべくして勝たないといけない試合でした。それは師匠の宮田(和幸)先生とも話をしました。これまでの負け以上に、重く受け止めた敗北でしたね。

完全に評価が落ちる負けですし、年齢もそう。ちゃんと順番を踏まえて上の舞台で戦いたい人間なので、DEEPのベルトを獲る前は基本的にRIZINに出たいということは口にせずに戦っていました。目標はそこであっても。

なので鈴木戦の負け、試合内容を考えると34歳になってもう一度這い上がることができるのか、と。その部分に関して、自分と向き合ってきました。ただ所(英男)さんとか金原(正徳)さんが戦い続けていて、僕の年齢で引退を考えること自体が甘いんじゃないか、とか。それでもファイターとしての限界なのかとか、凄く考えちゃいましたね」

──BRAVEは若くてピチピチの選手が台頭しているので、余計に年齢を考えるということはなかったですか。

「本当に勢いがあります。ただスケジュール上、三郷のプロ練習は参加できていなくて、今の若い子たちとは年に数回胸を合わせるぐらいんです」

──奇しくも、今の若い子という発言がありました。

「そうですね(苦笑)。たまにしか会わないので、その成長の度合いももの凄く感じられます。野村(駿太)もそうだし、木村(柊也)も南(友之輔)もそう。(黒井)海成も勢いよく来ています。アイツらに負けたくないという気持ちも、当然ありました。今でもそうですけど」

──そういうなかでCombateで戦わないかいという話があったと。

「僕のキャリアで今後、こういうチャンスが巡って来るとは限らないです。ハッキリ言って、現役生活は終盤に入っていると思うので。だから、この機会は絶対に逃したくなかったです。グアム、シンガポール、ブラジル、中国で試合をしたことはあるのですが、北米で試合をしことがなかったので。

しかもCombateはUFCに選手を送り出している大会ですし。僕はいわゆる格闘氷河期と呼ばれるRIZINがなかった時代に、皆がUFCを目指す中で戦ってきました。だから北米で試合をするということには特別な思い入れがあります。そういう意味でも、この試合はチャンスです。

海外にも国内にも強い選手がたくさんいるなかで、このチャンスが来た。ラストチャンスだというぐらいの気持ちでオファーを受けました」

──そんなマイアミへの遠征ですが、飛行機の旅でトラブルがあったそうですね。

「そうなんですよ、セコンドで武田(光司)と来きていたのですが、まずニューアーク空港からマイアミ行きの飛行機の手配ができていなかったんです」

──……えっ!!

「最終的には今回の試合の世話をしてくれたシュウ・ヒラタさんがチケットを抑えてくれたのですが、パスポート・コントロールが凄い人で混雑していて。僕は乗り継ぎ便に乗れたけど、武田は間に合わなかった」

──それはパスポートの写真と違うからじゃないですか(笑)。

「アハハハ。顔が違いますからね。前もそれで止められたそうですよ(笑)。結果マイアミに来て、まだ僕は1人です。昨日の夜も、武田と動いて体重の調整をする予定だったのですが、それでもできず1人でロードワークをしていました」

──なんとも。

「でも、それが海外ですよね。笑って過ごしていました」

(C)COMBATE GLOBAL

──それぐらいでないと、海外では戦えないです。

ところで新しい相手のロベルト・ロメロも7勝3敗1分というレコードの持ち主で、試合を見る限り相当なブルファイターです。

「メキシコ人だからなのか、心が強くてタフな戦い方をしますね。ガードを上げて『はじめの一歩』みたいにゴリゴリ打ち合うなかで、組んでもくる。凄くしんどそうな戦い方をするなって思います。暴れ狂ったような戦い方をしてくるので、日本人選手と戦い方とは違いますね」

──とはいえ、芦田選手としては得意な部分で戦える相手ではないかと。

「その通りです。これまで相手の弱点をつくMMAの競技特性を意識し過ぎていたようで、僕の一番の持ち味であるボクシングをほとんど出さなくなっていました。今回のテーマは真っ向勝負、相手は代わってもそこは噛み合うと思います。気持ちの入った試合を見てもらって、感じ取って欲しいです」

──日本人だけでなく韓国人選手もそうですが、手応えのあるパンチを入れても、逆に勢いをつけて反撃してくる選手に打ち負けることがままあります。

「そこはボクシングの経験があるので。ボクサーって、そんなヤツばかりなんですよ(笑)。いくら殴っても倒れない相手は過去にもいましたし、その経験を生かして戦います。何より、日本人ボクサーは技術力が高いですからね。

技術力といえば、先輩の井岡(一翔)さんと普段から接させてもらっていて、日本人の強さはそこだと凄く感じています。今回の試合に向けて、そういうところで準備をしてきたので、それを見せたいです。荒々しいメキシコのファイターに吞まれないで、技術力で勝つ。魅せる試合をしたいです」

──三郷でのプロ練習は出らないと言われていましたが、Combate出場に向けてはどのような準備を?

「BRAVE世田谷で海成と練習をして、それと久保(優太)さんが良く来てくれていました。試合前の久保さんに本当に申し訳なかったのですが、バンバン質問をさせてもらって。久保さんに僕の長所と短所を洗い出してもらい、あとは武田と調整をしてきました。

それと昔のようにHELAO TOP TEAMでKrushで戦っている川島康佑と週に2回、互いに倒すつもりで本当のガチンコ練習をやってきました。川島との練習で緊張感を創って、考えながら1日、1日と練習をしてきました」

──では最後にこの試合に向けての想いをお願いします。

「この試合に賭けています。勝ち負けは大事なのですが、選手としての存在意義を見せることができるようCombateに痕跡を残し、なおかつ北米MMAに名を刻みたいです。僕の覚悟を皆に見て欲しいと思っています」

■視聴方法(予定)
7月28日(日・日本時間)、
午前9時30分~ABEMA格闘チャンネル

■Combate Global 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
芦田崇宏(日本)

<ウェルター級/5分3R>
マルコス・ヨレーダ(メキシコ)
山田聖真(日本)

<女子フライ級/5分3R>
レヒーナ・タリン(メキシコ)
ギセラ・ルナ(アルゼンチン)

<バンタム級/5分3R>
イズマエル・サモラ(メキシコ)
フアン・プエルタ(米国)

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