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【UFC ESPN12】withコロナのUFCでフラヒメジと対戦、佐藤天─01─「これだけ徹底していると──」

【写真】UFC PIで汗をかく佐藤 (C)ON THE ROAD MANAGEMENT

27日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC ESPN12「Poirier vs Hooker」に佐藤天が出場しラミズ・ブラヒメジと戦う。

パンデミック後、日本人としてUFCで初めて戦うことになった佐藤に、まずはウィズ・コロナのファイトウィークの様子と、これまでの練習について尋ねた。

UFCの感染予防、その対策の徹底さは改めて──この状況でMMAが見られることが特別であることを再確認させられた。


──ベガスに入ったのは?

「昨日ですね」

──新型コロナウィルスのパンデミックが起こり、初めての試合となりますが、ここまでどのような流れで過ごしてきましたか。

「ホテルに着いて、すぐに検温とPCR検査をしました。ホテルは完全にマスク着用で、IDがないと入れないです。そしてPCR検査の結果が出て、陰性だと分かるまでホテルから出てもいけないです。

僕も結果が出て初めてスーパーに買い物や、UFC PIで練習ができました。

これから検温は毎朝あって、木曜日と金曜日にもPCR検査があり、金曜日の検査後は誰もホテルから出ることは許されないという感じです。練習場もいつものようなコーナーごとではなくて選手1人ひとりに与えられていて、他の選手と接触しないようになっています。

ホテルも一軒借り切っている感じで、その辺りは徹底していますね。部屋もキッチンやリビングのあるスイートで。聞いた話によると、試合当日の控室も自分のチームしか同室でなく、入れ替え制で消毒を徹底するそうです。試合が始めると僕らの荷物も控室から撤収されていて、試合後はメディカルとインタビューが終わるとそのままホテルに戻るという流れらしいです」

──いやぁ、ゾーニングが徹底しているのですね。ひょっとすると世界で一番、感染予防がなされている場所かもしれないですね。

「ハイ、今回はニックさんが日本から来てくれたのですが、PCR検査の結果が出るまでUFC PIに行くこともできない状態です」

──逆に心理面として大変な事態だと再確認してしまうとか、なかったですか。

「いやぁ、検査もしてもらっていますし、これだけ徹底していると……いつもと雰囲気は違いますが、コロナが気になることはないです」

──やはり出場選手、関係者がPCR検査をするというのは安心材料になりますね。

「米国も経済活動を再開して、ビーチとかに人が溢れていて感染者が凄く増えていますしね」

──と同時に、なかなか試合が決まらなかったです。正式決定した時の心境を改めてお教えください。

「ようやく決まったとう感じですね。もともと6月の終わりに試合ができるよう動いてもらっていたので、そこに向けて練習はしてきましたし、ホントにずっと『早く決まってくれ』と思っていました。

対戦相手も3回変わりましたし、2回目の時には『もう、どんなことも起こるんだ』っていう気持ちになれました。ずっと練習していましたし、1度違う日程で試合が決まりそうになった時も、同じ気持ちでしたね」

──このゴタゴタで試合を落とすようなことがあると、凄く後悔することになるんじゃないかと

「もう、それは自分で決めてやることですしね。相手も条件としては同じでフェアだし、そういう風に思うことはないです。確かにヘンリー(フーフト)も『来週か?  受けるなら、デキることをやろう。でも急過ぎるなぁ』っていう感じでしたね」

──現状、フロリダ在住の選手が一番チャンスも多いかと思いますが、経済活動が一部再開され練習状況は変わりましたか。

「そうですね、ロックダウン中はガレージで一緒に住んでいるメンバーと練習していましたが、1カ月半ぐらい前から通常通りの練習をしています。最初は少人数でやり、プライベートがメインでしたけど、5月になってから普通に練習できていました。練習環境は問題なかったです」

──実はその練習環境に関して、尋ねさせてもらいたいことがありました。サンフォードMMAではカマル・ウスマンとジルベウト・ドリーニョがUFC世界ウェルター級王座を賭けて、同門対決があります。これはジムの空気に影響を与えることはなかったでしょうか。

「あぁ(苦笑)。そうなんですよね……ジムの雰囲気は変わらないです。最近まで2人は顔を合わさないように、別の時間に練習していたのですが、今はウスマンは別の場所でトレーニングするようになりましたね」

<この項、続く>

■UFC ESPN12対戦カード

<ライト級/5分5R>
ダスティン・ポイエー(米国)
ダン・フッカー(ニュージーランド)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
マイク・ペリー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ブレンダン・アレン(米国)
カイル・ダウカウス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
モーリス・グリーン(米国)
ジャン・ヴィランテ(米国)

<ライト級/5分3R>
ルイス・ペーニャ(米国)
カーマ・ワーシー(米国)

<ヘビー級/5分3R>
タナー・ボーザー(カナダ)
フィリッピ・リンス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
ロメロ・ボレラ(イタリア)
ミランダ・マーヴェリック(米国)

<150ポンド契約/5分3R>
ショーン・ウッドソン(米国)
カイル・ネルソン(カナダ)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤天(日本)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジョーダン・グリフィン(米国)
ユーゼフ・ザラル(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ジン・ユ・フレイ(米国)
ケイ・ハンセン(米国)

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【UFC ESPN12】佐藤天と対戦するラミズ・ブラヒメジは日本大好きファイターだった!!「ただただ楽しい」

【写真】サブミッションでの勝利ばかりだが、喧嘩が強そうな外見のブラヒメジだ(C)LFA

27日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC ESPN12「Poirier vs Hooker」で、佐藤天と対戦するラミズ・ブラヒメジ。

日本では全く無名のこの選手は、実は日本大好きなファイターだった。MMA戦績8勝2敗、8つの勝利は全て一本勝ちという未知のファイターは、ファイト前をエンジョイできる強心臓の持ち主だった。


──今週末、佐藤天選手と戦うラミズです。日本のファンに佐藤選手の対戦相手のことを知ってほしくて、今回は話を聞かせて貰えればと思います。

「もちろん。なんでも聞いておくれ」

──ありがとうございます。まずUFCデビューに向けて、今の気持ちを教えてください。

「凄くエキサイトしている。特にサトーのような素晴らしいファイターと、UFCで戦えることは光栄だよ。2016年の5月に1カ月ほど僕は米国陸軍の予備軍のミッションで、キャンプ座間にいたんだ。東京も神奈川も大好きだ。ホント、叶うならすぐに東京に戻りたいよ(笑)。親切で素晴らしい人達ばかりだったよ、日本は。六本木で楽しんだし、色々と楽しい思い出ばかりだ」

──その時に格闘技の練習をすることは?

「それはなかったよ。ベースで仲間と練習をしていたから」

──ところでラミズがMMAを始めたきっかけは何だったのですか。

「僕の父はユーゴスラビア連邦のコソボ出身で、米国に移住した。そして僕はNYで生まれた。子供のころ、その父に連れられて極真カラテを始め、それからボクシングを経験した。で、高校になってMMAを凄く見るようになり、完全にハマっていったんだ。UFCだけでなくPRIDE時代の試合やDREAM、日本のファイトも見ていた。アンデウソン・シウバ、カズシ・サクラバという生ける伝説のことを心の底から尊敬しているよ。

ゲガール・ムサシ、アリスター・オーフレイム、タカノミ・ゴミ、日本で戦っていた彼らがいたから、僕はMMAの練習をするようになり、試合で戦うようになった。だから4年前に日本に滞在できた時、夢が一つ叶ったと思ったんだ。で、もう1つの夢がUFCで戦うことだった。

ただ、この夢が実現するには、この1年は本当にタフな時間を過ごすことになったよ……」

──ラミズは去年の3月にLFAで勝利して以来、実戦から遠ざかっていました。

「そうなんだ。6月にコンテンダーシリーズに出場することが決まっていたけど、目に腫物が見つかり視界を塞ぐようになってしまったんだ」

──それは……パンチを被弾したことなどが遠因になったのでしょうか。

「いや、MMAの練習や試合は関係ないよ。ただ、そういう症状が僕の体に起きた。そして、手術が必要になったからコンテンダーシリーズにも出られなくなったし、その後の計画は全て頓挫したよ。

去年の9月に手術をして、当然暫らくの間は治療に専念する必要があった。でも気持ちを強く持ち続け、体力を落とさないように心掛けて過ごし、今では100パーセント問題なくなったよ。そして練習に戻れるようになったら、新型コロナウィルス感染拡大という事態を迎えてしまったんだ」

──この状況で、UFCで戦う機会が巡ってくるということは頭にありましたか。

「まずUFCが活動を再開するまで、そういうことは一切考えていなかった。でも、UFCがイベントを開くようになると大会は米国人中心だし、そういう機会は巡ってくるかもという風には思っていた。

タカシがいつ頃、この週末に試合があると聞かされていたのかは知らないけど、僕らの試合が決まってからも急いで2 試合が決まったり、UFCは試合数を確保しないといけない状況にあることは確かだったはずだ」

──ところでラミズはレコードを見ると、白星は全て一本勝ちです。ベースは柔術なのでしょうか。

「フィニッシュが多いのでは、僕がファイトしているからだよ。そして僕はMMAファイターだ。打撃も好きだし、レスリングも好きだ。グラップリングも柔術も全てが好きなんだ。全てが楽しいよ」

──日本が大好きなラミズのUFCデビュー戦の相手が佐藤選手というのも何かしら運命的なモノを感じますね。

「ホントにどういうことだろうね。でも、僕は他のどの選手よりも日本の人々の素晴らしさを知っている。日本の文化も人々も大好きだ。だからこそ、タカシと素晴らしい試合をするつもりだ」

──グラップラー✖ストライカーの試合になると思うファンも多いはずです。

「僕は打撃、レスリング、グラップリング全てができる。どこでも戦うよ。タカシのような素晴らしいファイターと、同じ時間にケージの中に入ることができて凄く嬉しいよ」

──ところで、これまでのファイトウィークと比べると、色々と戸惑うことはないですか。

「試合自体はショートノーティスだけど、チームメイトの試合のために2週間前からラスベガスに来ていて、もう繰り返しPCR検査を行った。まったく体調に問題ないよ。

ファイトウィークをずっと試合が開かれる場所で過ごすことができるのだから減量もイージーだし、試合に集中することができているよ。何といっても僕はアーミーにいたんだから、それがどういうことか分かるよね? アーミー時代と比べると、ファイトウィークのホテル暮らしなんて、ただただ楽しいだけさ(笑)」

──では最後に日本のファンに一言お願いします。

「世界中のファンに、何より大好きな日本のファンに絶対に喜んでもらえる試合がしたいと思っている。この試合が終わると日本のMMAファンが僕のことを応援してくれるようになることを願っているよ。

そして、いつの日か……サイタマで戦いたい。アリガトウゴザイマス」

■UFC ESPN12対戦カード

<ライト級/5分5R>
ダスティン・ポイエー(米国)
ダン・フッカー(ニュージーランド)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
マイク・ペリー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ブレンダン・アレン(米国)
カイル・ダウカウス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
モーリス・グリーン(米国)
ジャン・ヴィランテ(米国)

<ライト級/5分3R>
ルイス・ペーニャ(米国)
カーマ・ワーシー(米国)

<ヘビー級/5分3R>
タナー・ボーザー(カナダ)
フィリッピ・リンス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
ロメロ・ボレラ(イタリア)
ミランダ・マーヴェリック(米国)

<150ポンド契約/5分3R>
ショーン・ウッドソン(米国)
カイル・ネルソン(カナダ)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤天(日本)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジョーダン・グリフィン(米国)
ユーゼフ・ザラル(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ジン・ユ・フレイ(米国)
ケイ・ハンセン(米国)

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2020年6月27日(土・現地時間)
UFC ESPN12
ネヴァダ州ラスベガス
UFC APEX

■視聴方法(予定)
6月28日(日・日本時間)
午前6時~UFC FIGHT PASS

■対戦カード

<ライト級/5分5R>
ダスティン・ポイエー(米国)
ダン・フッカー(ニュージーランド)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
マイク・ペリー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ブレンダン・アレン(米国)
カイル・ダウカウス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
モーリス・グリーン(米国)
ジャン・ヴィランテ(米国)

<ライト級/5分3R>
ルイス・ペーニャ(米国)
カーマ・ワーシー(米国)

<ヘビー級/5分3R>
タナー・ボーザー(カナダ)
フィリッピ・リンス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
ロメロ・ボレラ(イタリア)
ミランダ・マーヴェリック(米国)

<150ポンド契約/5分3R>
ショーン・ウッドソン(米国)
カイル・ネルソン(カナダ)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤天(日本)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジョーダン・グリフィン(米国)
ユーゼフ・ザラル(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ジン・ユ・フレイ(米国)
ケイ・ハンセン(米国)

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【UFC ESPN12】佐藤天、紆余曲折の末に判定勝ちゼロ──8つの一本勝ち=ブラヒメジとの対戦決定

【写真】さぁ、たまりにたまったモノを一気にぶちまけて欲しい佐藤だ(C)Zuffa/UFC

27 日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC ESPN12「Poirier vs Hooker」に佐藤天が出場し、ラミズ・ブラヒメジと対戦することが決まった。


佐藤本人がSNSで発信してきたように、この試合が決定するまで紆余曲折が見られた。5月のフロリダ州ジャクソンビル3連戦から、ラスベガスに場所を移してUFC APEXでの6連戦、7月にはファイトアイランドにステージが移行するため、佐藤陣営では6月終盤のAPEX大会への出場をターゲットにし、交渉をしてきた。

しかしUFCからは6月13日大会への出場要請が、大会まで10日を切ろうかという時に届き、対戦相手は5月30日大会で判定勝ちを収めたばかりのダニエル・ロドリゲスの名前が挙がっていた。このショートノーティス出場に関して、調整を続けてきた佐藤はこのオファーは受けるつもりだったが、ロドリゲスの方が試合のダメージが残っており万全でないと固辞。ロドリゲスに代わりUFCサイドは、コンテンダーシリーズからUFCを契約し、デビュー戦がコロナでキャンセルされたフィリップ・ロウに打診したが、結局まとまることはなかった。

この時点で6月の出場を諦め、8月の米国大会に標準を変えようという空気もあるなか、陣営は27日大会に向けて調整、交渉を続け──先週の金曜日にティム・ミーンズ戦の話が挙がる。試合まで2週間だが、UFC戦績21戦(※11勝9敗1NC、2度の契約期間を合わせると7年7カ月間も在籍しているミーンズ戦に関して、佐藤に「No」という選択肢はなかった。

2月のマキ・ピトロ戦を相手の体重オーバーで戦えなかった佐藤にとって、昨年9月以来8カ月振りのオクタゴン3戦目が決まった──かに思えたが、ここからも一筋縄にはいかなかった。試合を10日後に控えた17日(水・同)にミーンズが出場を撤回し、相手はラミズ・ブラヒメジに変更。ようやく佐藤はく契約書にサインすることができた。

(C)LFA

ブラヒメジにとって、今回がUFC初戦でLFAからのステップアップとなる。そのLFAでは4勝2敗。キャリア全体では9勝2敗で、8試合で一本勝ちしているフィニッシャーだ。

その内訳はRNCが3試合、ギロチンでも3度タップを奪っており、この他の一本勝ちは肩固めとサイドからのキムラを極めている。このサイドからのキムラと肩固め、抑え込みが必要なサブミッションでの勝利は、ブラヒメジが上攻めからポジションを奪う戦いや、スクランブルでもギロチンを使いこなすことが予想される。

オクタゴン2勝目を目指す佐藤は、度重なる対戦相手の変更にも「負けて良い試合は、一つもない」と力強い言葉を残している。