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【FAW2024#03】代理戦争決勝でトミー矢野と対戦、中村京一郎「彼には柔術という逃げ道がある」

【写真】計量終了直後に見せた表情、どこまでもリラックス。そして余裕が感じられる(C)MMAPLANET

明日、17日(金)に会場未公開で開催される格闘代理戦争-THE MAX-決勝大会で、中村京一郎がトミー矢野と対戦する。格闘DREAMERS出身、デビュー戦は両国国技館のPOUND STROMにおける狩野優戦だった。その敗北から、始まったといっても過言でない中村のMMAファイター人生。
Text by Takumi Nakamura

初戦と準決勝の戦い振りもそうだが、前回の試合と今回の決勝戦について話す中村の言葉の一つ一つから、この2年の間、彼がどれだけMMAと向き合った来ていたかが伝わってきた。


──試合を3日後に控え、やはりリラックスしていますね(※取材は14日に行われた)。

「緊張はしていないです。試合まで、このままです」

──4月のギレルメ・ナカガワ戦は組みを切って、殴る。殴って組ませない。その流れが完全に出来上がってきたところで仕留めに掛かると、打撃で思わぬ反撃を食らいました。

「まぁ、僕の試合が無かったら代理戦争も盛り上がっていなかったと思います。そういう点でも流れが僕に来ている。パンチを被弾したのは……僕の練習相手は綺麗な打撃で、見やすいんですよ。それが久しぶりの喧嘩ファイトというのか、見えなかったです。『うわ、そこから来るのか!!』みたいに。汚い打撃を久々に食らいましたね。でも、あれって練習ではできないことなんですよね。

やっぱりボンサイは打撃に拘っていないからこそ、打撃を当てることができるんだと思いました。クレベルにしても、サトシにしても、ギレルメにしても」

──組み技に秀でていても、喧嘩ができるというか。

「ボディも顔も打って、心が折れるグラップラーも多いのですが……。本人も打撃ができないのが分かっているのに、打撃で来る。根性ありますよね。油断をしているつもりはなかったのですが、どこかで打撃では来ないという想いがあったのだと思います」

──日本のストライカーは組まれると終わりという状態にまだあると思っています。それが北米に行くと、ムンジアル優勝者や世界のトップクラスの柔術家に組ませない。柔術家が如何に勝つかという点に注目がいくのと、真逆の状態が続いています。その点で、中村選手とギレルメの試合は北米の構図になっている試合内容でした。

「シャーウス・オリヴェイラ、ジルベウト・ドリーニョ、ディアス兄弟もそうです。あれだけ寝技ができる柔術家が、打撃がメチャクチャ強い。なんなら寝技をしなくて勝つ。自分はUFCで勝つことを目標にしているので、組まれるのは当然だと思ってやっています。組まれたら、嫌だという思考でなくて。そこで切れずに、打撃戦に戻せないならMMAのストライカーじゃないです。

同時に彼らに組ませたら危ない。その意識を持ち続けています。練習で取られないようになっても、やはり戦う相手本人ではないです。今もトミー対策で、今成(正和)さんのところで解除方法を習っていますが、それが絶対でないという意識でいます」

──関節技と打撃は練習で100ではできないですし。

「打撃に関しては、トミーがそこを分かっているのかなって思っています。本気で殴られたことがない。何発か被弾すると、凄い恐怖を感じるはずです」

──それは足関節やサブミッションにも当てはまりませんか。

「今成さんは際どく攻めてくれるので、有難いです(笑)。それでも100ではないので、ビックリタップには気を付けないといけない。ただ、トミーも本来は上を取りたいはずです。MMAなんで。それが無理なら、足関節に来る。でも、僕は殴れるので」

──真剣の斬り合いのような攻防になりそうです。Kガードからのエントリーなど、殴られる覚悟で仕掛けてくると怖そうです。

「どういう流れになるのか……でも、Kガードを仕掛ける時間があるのか。確かに殴られる覚悟で仕掛けてくると厄介かもしれないですけど、効かさると本来の極めの強さも維持できないですからね。元気な状態の下と、効かされた状態は違うと思っています。トミーに関しては、もう倒すイメージはできています。僕も組みが強い人と練習していますから。

でも、そういう選手と戦えると思っていなかったので、格闘代理戦争に出て本当に良かったです。きっと、普通にMMAの団体で戦っていたらギレルメもトミーも試合ができなかった。いうと初戦のミスター・ホンデも含めて、全て国際戦を経験できているので」

──なるほど。本当にその通りですね。

「今後、世界に出ると道程にあってMMAはそれほどでも、柔術はしっかりとデキる選手と戦うことができた。戦績だけ見ると僕が一番上のようですが、彼らの格闘技歴は僕なんかより、ずっとあって。それだけ戦うことに慣れている。そういう選手と戦うことができて良かったです。3カ月連続で試合をすることもなかったと思いますし」

──なんだか、もう優勝したあとの言葉に感じられますが(笑)。

「そうですね。ここはしっかりと勝たせてもらいます。僕は本気でBMFのベルトが欲しいんです。そのために絶対にUFCに行く……。そのために生きています。でも、トミーってそこまでじゃないだろうって。

インタビューを読んだけど、スターになりたいとか言っている。スターになりたいなら、別にMMAじゃなくて良いだろうと思います。柔術をずってやってきて、ちょっとMMAにヌルッと入り過ぎたんじゃないかと。

MMAでスターになりたいけど、なれなくても柔術が残るんだろうし。僕はMMAしかない。彼には柔術という逃げ道がある。僕には、逃げ道はない。MMAだけで、人生を生きていくんです。お世話になった人に、MMAで恩返しをする。そういう俺と戦って、『お前、大丈夫か?』という気持ちはありますよ。気持ちの問題ですよ、そことは別に技術は存在しているので。ただ俺とは、覚悟が違うだろうって。

接戦になった時、その差は出ます。そういう覚悟がPOUND STORMで狩野(優)選手に負けた時に無かったから、僕には凄く分かるんです。今のように腹が括れていなかったから、ラスト30秒でタップした……」

──POUND STORMにおけるDREAMERS勢で、その覚悟があったのは中村倫也選手だけだったと思います。

「記者会見で……高島さんが狩野選手と岩﨑(大河)選手に『リスクしかない、やる意味のない試合をなぜ、受けたのですか』みたいな質問をしたんですよ」

──中村選手と、ヘンリー(三上大智)選手にとっては失礼極まりない質問ですね(笑)。

「ホント、あの時は『あんた、俺と話したこともないだろう?』ってムカついていたんです」

──スミマセン(苦笑)。

「でも今なら、ああいう風に思われていてもしょうがないと分かります。あの時の僕はヌルッとMMAをやっていた。倫也さんを筆頭に、格闘技で実績がある選手や(鈴木)崇矢みたいにやる気に満ちている連中が周囲にいて。それで自分が強くなっている気でいたんです。同じ電車に乗っているだけで、自分の荷物は違うのに、同じ風景を倫也さんと見ていると勘違いしていました」

──……。

「だから狩野選手に言っていたことは、もうその通りで。そりゃあ、そうだし。あの時の自分は、それだけ分かっていなかったんです。腹の括りようも甘くて、本当にヌルッとしていました」

──……。

「トミーは柔術が本当に強い。尊敬しています。さっきも言ったように試合で競い合って来た歴史も凄く長いし。でも、KIDさんやアーセンがいたからMMAをやっている気分になっている。あの時の自分と同じじゃないかなって。この試合で腹の括り方の違いが出ます。あの時の僕の経験を、今回の試合でトミーにしてもらいます。

逆にこの試合で負ければ柔術も辞める─ぐらいの覚悟だと、怖いですよね。でも、そんなこと思っていないから。そこは今の僕とは違いがあります」

──押忍。では今後に関してですが、どのようなプランを考えていますか。なんといっても、まだ2024年は7カ月も残っています。

「まずトミーと戦うことでKRAZY BEEに行くことができていなかったので、また練習環境を整えたいです。この間、本当にそれは感じました。まだ知らないので、米国で練習もしてみたいですし。

米国に行ったからって、強くなれるとは思ってはいないです。だいたい、言葉も通じない。食べるモノ、水も変わる。よほどの適応能力がないと、食べるって強さの根源ですよ。それが変わって、簡単に強くなれるなんて僕は思っていなくて」

──それは鈴木崇矢選手と、意見がぶつかりますね(笑)。

「アハハハ。だからこそ、行ってみたいんです。僕は行っていないから、分かっていないので。格闘代理戦争の間、試合間隔が短いからスパーリングでバカバカやることを減らして、調整もできました。凄く良い期間になっていて、自分の日本での練習環境は最高です。だから、経験として米国に行く必要があると思います。

実際、崇矢も強くなって帰ってきましたらね。何かあるのだろうし、それは経験したいです。強くなることに正解はないので、何でもトライしたいと思っています」

──では試合に関しては?

「優勝したら超RIZINという話が途中で出てきて……。まぁ、対戦相手にもよるんだけど……。ただ、スーパーアリーナのでっかいバージョンなんですよね。そこは倫也さんから、『そういう大観衆の前で試合をすることは、絶対に今後に生きる。RIZINに関しては好き嫌いはあっても、そこはあるよ。京ちゃんはUFCの雰囲気を知ったけど、試合をするのとセコンドは絶対に違うから』と言われて……。

あれだけMMAに掛けている倫也さんの言葉は、やはり重みが違って。それに、どアウェイ。そこを乗り切る練習になるかなと思っています」

──超RIZIN後も、まだ半年残っています。

「ハイ。来年のRoad to UFCに出るなら、国内のタイトルも必要で。Grachanでフェザー級タイトルを狙うというのもありますけど、チャンピオンの小島勝志さんは僕が山梨でMMAを始めた時のジムの会長なんです……。あとGLADIATORのチャンピオンは(河名)マストさんで練習仲間で。パンクラスは(新居)すぐるさんで、先輩だし(笑)。そうなると、戦う場所もしぼられてくるかなと思っています。

とにかく、僕はMMAファイターとしてまだまだです。だからRoad to UFC云々でなく、UFCで勝つためにBMFのベルトを取るためにグラップリングもレスリングも、打撃だってもっともっと強くなる必要があります。だから、まずは本当に自分がどう強くなれるのかを考えていきたいです」

──いやぁ、代理戦争のキャラ潰しになるかもしれないですが、全然傍若無人の若者でなく、口の聞き方も礼儀作法も心得ていますよね。ケージの中でカメラマンを手で払うとは、思えないです(笑)。

「いや、あれは……レフェリーも、カメラマさんに外に出てって言っているのに、ずっといるから(笑)。レフェリーの声が聞こえていたから、早く外に出てくださいって伝えたんですよ。でも代理戦争はカメラさんが下りてからも長い。そこは何とかしてほしいです(爆)」

──アハハハハ。

■視聴方法(予定)
5月17日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

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【FAW2024#02】準決勝=ギレルメ戦へ、中村京一郎「BMFのベルトを日本に持ってくるためにUFCに」

【写真】インタビューはUFC300の前。面白い志向のJ-MMAファイターが出てきた(C)MMAPLANET

本日、会場非公開で開催される格闘代理戦争-THE MAX-準々決勝大会。3月15日の1回戦でミスター・ホンデを96秒で破った中村京一郎は、ギレルメ・ナカガワと対戦する。
Text by Manabu Takashima

プロとしての実績は出場メンバーのなかで頭抜けている中村は、当初より本命視されていた。しかし、そこにギレルメとトミー矢野というMMA志向の強豪柔術家が加わったことで、一気に周囲の危機感は増した。と思いきや、ダブル・ディレクター制を敷く中村を支える中村倫也はポジティブ・シンキングに満ち溢れている。対照的に、岡見勇信は不安が頭が離れない。まるでアクセルとブレーキのような両監督とともに準決勝に向かう中村に話を訊いた。


──準々決勝の勝利から3週間弱(※取材は4月2日に行われた)。中村選手は格闘DREAMERSで既にリアリティTVショーを経験していますが、そこが優位に働くことはあるのでしょうか。準々決勝大会も通常のMMAイベントと空気が違っていたのは確かですし。

倫也 ああ、確かに違いますよね。

岡見 なるほど。

中村 「初めましてっ」ではないので。そこは他の選手とは違うかもしれないですね。ただ僕自身はカメラとかスタッフさんとか、DREAMERSの時から気にしていなかったです。逆にホンデ選手の方があったかもしれないですよね。日本語が分からない。収録。格闘技の試合と揃っていて。だってファイトショーツを試合当日に忘れているぐらいだし。新宿に買いに行っていたらしいです。なんかそれを聞くと、勝った嬉しさがどんどん軽減してしまいましたよ(苦笑)。

──とはいえ、プロのキャリアが上限いっぱいの中村選手だけでに、本命過ぎる。その怖さが監督という立場のお二人はなかったですか。

岡見 絶対に負けられないというのは……変な話、TVの企画だし、負けさせてはならない。ここで負けることはあってはならないという気持ちでした。すんなりと優勝をしてもらわなければいけない。でも番組には、魔の空気感があるので。そこは怖かったです。

──ここに1人、魔の空気感の欠片もなかった人がいます。

倫也 アハハハハ。僕ですか?

岡見 そこが倫也とパト(宇佐美正パトリック)は、何かが乗り移ったかのような強さがありました。特に倫也の最後の凄まじい勝ち方なんかは。「こんなハッピーエンドがありますか」って(笑)。

倫也 それとトーナメント戦って、ワンマッチより想定外のことが起こるとは思います。今回のように3カ月で3試合だとケガの影響とかも出てくるでしょうし。

──そういうなかで、やたらと打撃の前評判が高いミスター・ホンデにあの勝ち方ができたことをどのように自己評価していますか。

中村 たまたまです。あのフィニッシュは。作戦も3分✖2Rで普通と違う。相手の情報もない。だからペースを上げるのは2Rからだったんです。テイクダウンも織り交ぜようとか、そういう話もしていていましたし。

倫也 1日しかないなかで映像を探して、Breakingdownの試合と朝倉海選手のYouTubeでマススパーをしているのを見つけました。スパーと試合の動きが一致していて。奥手のストレートと返しのフック、それとインロー。キックボクシングのなかで嫌な攻撃は、すぐに分かりました。ただキックボクシングの距離だから、一歩外せば良い。それを京一郎は5戦ぐらいの経験でなぜかできてしまうから、僕は全く心配していなかったです。こっちは組みも考えて、試合を組み立てることができるので。

岡見 倫也がそこまでやっているから、スタッフに「岡見選手は何もやっていないですね」って言われちゃいましたよ。アハハハハハ。

──アハハハハ。確かに。

中村 キックの間合いで面倒くさいことにならないよう、四つで組むというゲームプランでしたが、そうはならなかった。組んでみて、ちょっとならないなって思いました。ただ向き合った時に、動きが固かったです。だから最初にフラッシュダウンを奪った時も、そこで仕留めにいかなかった。ホンデ選手は焦っていたけど、集中力が増しました。

倫也 相手がそうなった時って、結構同調してしまうんですよ。そこでラッシュをかけずに、次に勝機が訪れるのを待っていたのも良かったです。あそこで同調していくと、逆に貰うこともあるので。

中村 本当は中に入って、もっと面白い試合をした方が良いかもしれないですが、トーナメント戦なので。

──面白い試合など、必要ないですよね。岡見監督!!

岡見 そこはあえて、僕を名指しですか(笑)。勝ちゃあ良いです。でも京一郎は、僕にない感覚の持ち主なんで。打撃の間合い、見方っていうのは素晴らしいです。あまり被弾しないでKO勝ちができているので。しっかりとMMAを考えた打撃ができる。つまり僕が見ることができなかったところが、見えているのだろうなと。そこを凄く信用しています。

全く緊張をしない。そこも僕とは違うのですが、実はテンションがいつもより高かった。倍までとは言わないけど、8割増しぐらいで話しているし。これから試合だという空気感は全然なくて。

中村 ストライカーだからというのもあったと思います。前日に戦うことが決まったわけで、研究する時間もないからこそ絶対に負けないと思いました。

岡見 普通はそこまでリラックスすると危ないんですよ。普通は。

中村 ケージの中に入ると、スゥっと落ち着くんですよ。そしてグンと集中力が増します。人間の集中力って限られているので、ケージの中に入って上げた方が良いかと思っています。

岡見 僕のキャリアにはないものなので、試合前の京一郎は見ていて不思議な感覚でした。だから逆に怖くなってしまって。そういう選手って、負けて百八十度変わってしまうのも見てきたので……。なので「試合だからね」って言う感じで、要所を締めてはいました。

──今回のフォーマットは約2カ月間に3試合。1カ月に1度のペースで試合があります。初戦は69キロ契約、次からはフェザー級。中村選手の普段の体重は何キロなのでしょうか。

中村 多い時は80キロ以上あります。ただ、今回は75キロぐらいまでしか戻さなくて、今は73キロぐらいです。

──3、4カ月に一度の試合だと中村選手のフィジカルは絶対に武器になると思います。ただ、1カ月おきに10キロの減量がある場合はどうなのか。

倫也 確かに……ただ、僕は高校の時に2週間おきに60キロから50キロまで落としていていました。意外と大丈夫。人間は凄いです。

中村 体が覚えているっていうのもありますね。65キロを覚えていて、食事を抑えると「ハイ、ハイ、ハイ、これね」って体重が落ちていきます。

──いやぁ、岡見選手……この両者の言葉を聞いていると、やはり時代が変わったのかと考えてしまいます。

岡見 特にDREAMERSで出会った子たちは、僕らの時とは違うというのは実感しています。僕らの時代はノウハウがなくて、水を飲まないで落とすなんていう選手もいましたからね。計量が終わったら、コンビニで勝って来たパスタを食べるとか。

──力石徹シンドロームですよね。

中村 アハハハハハ。でも、そういう話も聞いたことがあります。減量は倫也さんに教えてもらったやり方がハマっています。4年目なんですけど、65キロに落としたのは6、7回なので体もフレッシュなんだと思います。

倫也 いや、僕も中学の時とか全く知識がなくて。もちろん、母親もなかった。だから、ずっとコンニャクとキュウリだけを泣きながら、「辛ぇ」って食べていました(笑)。

──エグい、カロリーが低くても栄養価も……。ともあれ進化したダイエットを駆使している中村選手ですが、準決勝はギレルメ・ナカガワ選手と戦うことになりました。決勝進出を考え、他の選手と戦いたかったということはないですか。

中村 僕は誰かと戦いたいとかはなかったです。

岡見 僕も誰でも良かったですね。

倫也 僕は「中谷選手で行こう!!」と。というのも、シャッフルされることを知らなくて。仮で組まれたトーナメント表だと中谷選手だったから、気持ちが中谷選手だったんです。

中村 シャッフルされるっていうのは、試合に勝ってから知りました(笑)。

岡見 まぁ、とにかく山は1回戦。1回戦が全てだと思っていたので。やっぱりリアリティTVショーは特殊な環境で。DREAMERSを経験しているとはいえ、凄く怖かったです。普通の大会なら、全然平気です。でも、この格闘代理戦争の空気が何かを狂わせるんじゃないかと……老婆心ですよね。

中村 それ、対策済みでした。DREAMERSの時、番組をチェックしながら収録が続いていて。あれは感情の起伏が激しかったです。だから、今回は代理戦争の動画を視ていないです。試合だけにフォーカスする。それ以外は目にも耳にも入れないようにしています。番組はトーナメントで優勝してから視ます。

これは狩野(優)選手に負けたことも踏まえて、勉強したことです。あの頃はただ喧嘩をしていていただけで、僕はアスリートじゃなかったです。

だってPOWNDSTORMで勝ったのは倫也さんだけで。控室が一緒の皆が負けた。じゃあ、なぜ? この人だけは勝てたんだって考えました。泣きながら帰ってくる人間とか、いるわけですよ。それだけ背負うモノがあって、実際に背負っているのに戦う時は、それは別モノとして捉えていた。だって、あの時の倫也さんは試合の2週間前に鼻も折っていたんですよ。

倫也 「何があっても関係ない。知らねぇよ」っていう気持ちで。言うと「誰が負けようが知らねぇよ」という気持ちでしたね(笑)。

中村 そこを見習いました。スポーツとしてやっている。減量も練習も、試合に対してのプロセスが──撮影があろうが、徹底していたんだなって。僕も今は割り切りがあるから、試合前に対戦相手の横でインタビューに答えることができて。分けていないと、試合に影響したかもしれないです。それと1試合目だったのが良かったです。試合と試合の間が長いとか、そこは僕には関係なかったので。

それに僕が1試合目にKOをしたことで、他の選手は影響を受けたはずで。逆にあの場で判定勝ちをした中谷選手も、割り切れているんだと思います。

倫也 アスリートって制限のなかで生きているので、ああいう場に立たされると自由にできない。不良上がりは自由にできる。それはそれで羨ましいけど、そういう人はアスリートのような規律はない。そこは戦い方にも表れます。でも、今の京一郎は不良や喧嘩屋とアスリート性の両方を持っています。

中村 髙谷(裕之)さんにも言われました。相手が決まって「作戦とかねぇだろう。明日は喧嘩をすれば良いんだ。相手もお前のこと研究できないんだし」って。

倫也 不良がアスリートになるパターンが一番怖いですよ。

──まさにビビアーノ・フェルナンデスのテイクダウンを切って、殴れる不良上がりですね。

中村 そうなんですよ。テイクダウン防御になると髙谷さんはアスリートになって、技術を言語化もできる。熱いところと、冷静なところを持っているんですよね。

──中村選手がギレルメに対して、そのような戦い方ができるのか。

倫也 初戦の勝ち方も良くて、パフォーマンスも良かったです。もちろん警戒もして、準備もしています。技術的なことをいうと、ワンアタックにピークを持って来ると思うので。そこを集中力を持って対処すれば2回、3回と続くと切れてくるんじゃないかと。無敗といっても、柔術では負けています。そこは京ちゃんの自由さが上回るはずです。

初戦の京ちゃんの打撃を見ると、ギレルメ選手だって同じようには戦えないはずです。真っ直ぐ下がらないし、サークリングもできるので。そういうことにギレルメ選手が、初めて遭遇する試合になりますからね。

岡見 倫也はファン目線というか、もう京一郎の試合を見ることを楽しめるんですけど……僕は心配ばかりで(苦笑)。ホントに勝ってもらわないと。このメンバーのなかでギレルメ選手は一番の相手だと思っていました。ボンサイMMA、クレベルとサトシを引き継いでいる。打撃も振るところは振って、テイクダウンからどんどん極めてくる。固めるのではなく、極める。それがボンサイで創り上げてきたMMAです。

倫也が言ったようにテイクダウンがハマらないと、ボンサイMMA……クレベルは打撃の乱打戦に勝負を賭けてきます。つまりは京一郎の土俵です。そこに持ってくることができれば、京一郎はしっかりと戦ってくれるに違ないです。

──こなれた様に話してくれましたけど、リアリティTVショー向け過ぎて。もう少し、具体的な技術論を話してもらえないですか(笑)。

倫也 アハハハハハハハハ。

岡見 いやいやいや(笑)。ちゃんと話しているじゃないですか。

──ギレルメが引き込む可能性は?

岡見 それもあり得ます。引き込むのか、覚悟を決めて殴り合いにくるのか。気持ちが入っている時と気持ちが落ちた時、ギレルメ選手はどちらを選ぶ選手なのか。何にしろ、京一郎はテイクダウン狙いを1度、2度、3度と切ることが重要です。そこから殴ってくると、僕は思っています。

中村 1回戦と違って対策ができる。それが恐怖になる。フィニッシュしている試合が多いから、この左のパンチを気を付けない──という気持ちが一瞬でも出ると、ギレルメ選手の弱さが出る。ただし恐怖を乗り越えてくるだろうし、そこからの距離、間合いの勝負になると思います。一瞬でも距離を間違えるとギレルメ君、終わるので。組まないといけないという焦りを、3分間で如何に引き出すか。

──逆にギレルメのやるべきことに、ファーストアタックでハメられる恐怖感はないですか。

中村 初戦を見てもパワーを使ってボディロックから倒しに来るので、そこは余りないです。だからこそ2回、3回と切れば落ちてくるのか。それでも前に出てくるのか。あとプレッシャーだけでなく、物理的に削って集中力を切らせる必要もあります。ボディで削るとか、そこに持っていきたいですね。

倫也 バックギアに入っている顔つきをしていて、読めないことをやってきそうで。そこは警戒は必要だと思います。

中村 フィニッシュに入った時、あの顔が少し和らぐんですよ。

岡見 その顔にさせない戦い方をするということで。

──ところで先日、このトーナメントで優勝すると超RIZIN03に出場できるという話がありました。

中村 それもオマケですよね。番組の途中で出てきた話で。「俺もRIZINを目指しています」というキャラになるのは嫌です。

倫也 アハハハハハ。

──ABEMAから「でも、許す」と言って欲しいです(笑)。

岡見 アハハハハ。ストラッサー(起一)じゃないですか(笑)。

中村 僕はやっぱりUFCに行きたいので……というか、行くので。BMFのベルトを日本に持ってくるためにUFCに行きます。次、ゲイジーとホロウェイがBMFでやるじゃないですか。ホロウェイが勝ってくれると、ベルトがフェザー級にくるので。ホロウェイに勝って欲しいです。

■視聴方法(予定)
4月19日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

■FAW2024#02 対戦カード

<フェザー級/3分3R>
ギレルメ・ナカガワ:65.6キロ
中村京一郎:65.65キロ

<フェザー級/3分3R>
中谷優我:65.75キロ
トミー矢野:65.6キロ

<63キロ契約/3分3R>
田畑魂:60.7キロ
ガブリエル・クサノ:62.4キロ

<66キロ契約/3分3R>
脇田仁:63.80キロ
袖裂雄貴:65.75キロ

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【FAW2024#01】中村がホンデから左ストレートでダウンを奪い、パウンドアウトで1回戦突破

【写真】左ストレート、左ハイで中村がスナイパー振りを発揮(C)MMAPLANET

<69キロ契約/3分3R>
中村京一郎(日本)
1R1分36秒 by KO
ミスター・ホンデ(韓国)

サウスポーの中村に対し、ホンデがプレスをかけていく。ガードを下げた中村が左ストレートのカウンターで、腰を落とさせる。マットに両手を着いたホンデがすぐに立ち上がる。スイッチしながらケージ中央に押し戻した中村は、下がりながら左ハイを当てた。ホンデの左フックも中村の顔面をとらえる。しかし中村が左ストレートでダウンを奪うと、追撃のパウンド連打でレフェリーストップを呼び込んだ。

KO勝利を収めた中村は「ホンデ選手も打撃に自信があったと思いますけど、打撃で良い試合ができたと思います。次の試合は観るのを楽しんじゃいます」とコメント。監督である岡見は「緩い感じはしましたが、新世代の感覚を実感しました」、同じく監督の中村倫也は「変わらず同じスタイルで決勝までやりきってくれると思います」と語った。


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【FAW2024#01】向坂準之助擁した平本蓮「僕のレベルアップと同時に剛毅會も進んで行ければ」

【写真】相当な手術をしたことが、語調からも伝わってきた(C)MMAPLANET

14日(木)、15日(金)に会場非公開で開催される格闘代理戦争 THE MAXの計量及びトーナメント組み合わせ抽選会が行われ──監督となった数々の大物ファイターを会見場に待たせ、最後に会場入りしたのが平本蓮だった。

その平本に組み合わせ抽選会終了後に、格闘技代理戦争参戦について話を訊くと、剛毅會というMMAチームの結束力を高める絶好の機会と捉えている様子だった。


──最近、手術をしたとか。

「ハイ、やっと抜糸しました」

──相当痛みを抱えていたと聞きました。

「ハイ、試合後にリカバリーでデカ食いしてしまって。肛門が波状になっているのが、痔でケツの穴の横に穴が開いてしまって。以前に韓国で痔ろうになってから、膿が溜まるような癖がついちゃったんです」

──痔ろうの人から、痔は本当に痛いと聞きます。

「ヤバいですよ。もうヤバすぎて……怖すぎて。チョットマジでヤバいぐらい痛くて。放置していると癌化するそうで」

──えっ、そうなのですか。

「だから根治手術っていうのか、保険治療だと下半身だけの麻酔になるのですが、もうそれで耐えられない痛さだろうって思って実費で根治手術をして──めっちゃ医療費が掛かりました(笑)。抜糸して、なんとかコンタクトのないぐらいの練習ができるようになった感じです(笑)。でも、やって良かったです」

──平本選手がマジ・モードの練習になるのは、試合の発表があってからだと思っています。そのなかで向坂準之助選手を要してTEAM平本蓮として格闘代理戦争に臨むこととなりました。

「岩﨑(達也)先生と大塚(隆史)さんと僕らが、剛毅會というMMAのチームになって──ドミーネーター戦から1年半近くになります。どんどん岩﨑先生と大塚さんと僕のチームワークが固まって来て、MMAの正解を見つけに行っています。

多分、当初考えていたことよりも大分MMAをやろうということになっています。大塚さんと色々な映像を見て、際とか細かいところに取り組んで。ただ、まだまとまっているとかではなく、今も進化段階です。

ここがMAXの状態でなく、これから成長していくためにチームワークという部分で凄く一体感があります。皆の想像する強さが一緒、頭のなかのイメージが一緒でセコンドのアドバイスもスッと入ってきます。MMAを戦う上で皆の共通項がある。それってチームにとって、凄く大事なことじゃないですか。

岩﨑先生の理論であったり、大塚さんの経験値、僕の発想が混ざり合って、剛毅會はチームとして強くなっています。

明日は向坂君の試合で、僕の試合じゃないけど、チームとしてのレベルアップを共にしていけたら良いなと思っています。僕と大塚さんがコーチ、コーナーについてやるのって弟の試合ぐらいで。剛毅會は決して選手が多いわけじゃないので、こういう機会も使ってチーム力をつけていきたいです。

今は選手を募集しようかとも話していますし、明日の試合に勝つことが大事なんですけど、その先、その先へと僕のレベルアップと同時に剛毅會も進んで行ければと。そういう意味では今回の格闘代理戦争で、より結束を強めていきたいです」

■視聴方法(予定)
3月15日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

■ 対戦カード

<69キロ契約/3分3R>
ミスター・ホンデ(韓国)
中村京一郎(日本)

<69キロ契約/3分3R>
中谷優我(日本)
松岡拓(日本)

<69キロ契約/3分3R>
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)
諸石一砂(日本)

<69キロ契約/3分3R>
トミー矢野(ブラジル)
向坂準之助(日本)

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【FAW2024#01】再開、格闘代理戦争─02─。カード決定。ギレルメ&トニーが高評価。平本は秋山に絡む

【写真】明日の顔合わせが決まった──が、トーナメント表の顔写真は監督&コーチ勢だ(C)MMAPLANET

明日15日(金)に会場非公開で開催される格闘代理戦争 THE MAXの計量が終わり、引き続き組み合わせ抽選会が行われた。
Text by Manabu Takashima

その前に監督8人+コーチ1人がトーナメントに向けて、以下のように抱負を話し抽選へ。

田嶋椋
「自分、一般応募なんで有名な監督たちの選手を倒していけるよう頑張ります」

鶴屋怜
「優勝します」

イゴール・タナベ
「1回戦から全試合、一本勝ちします」

クレベル・コイケ
「自分らも1回戦から最後まで一本勝ちします」

岡見勇信
「プロの実績は一番あるので、自信を持って送り出します」

中村倫也
「明日について心配はしていないですけど、最後まで集中してチームで仕事をやり遂げます」

平本蓮
「大会の振興を妨げないように。ハハハハ」

秋山成勲
「前回、私が連れてきた選手がチャンピオンを取ったので、そのプロセスは自分のなかで分かっているので。今回も──まぁ蓮君が『秋山さん、ズルい人間を連れてくるんだじゃないか』と言っていたのを聞いたんですが、ある意味ズルい選手を連れてきたんで期待してください」

青木真也
「あのう競技じゃなくて、番組ですから。そこを忘れずに頑張りましょう」


抽選はまず全員で、枠順のアルファベットが記されたボールを箱の中から取るための順番を決めるクジ引きが行われ、1番くじを引いた平本がH枠へ。

続いて田嶋椋がD。鶴屋怜がFを引き、クレベル・コイケがEのボールを手にしたことが諸石一砂✖ギレルメ・ナカガワが決定。続いて秋山成勲がA、イゴールがGでトミー矢野✖向坂準之助が決まると、岡見の取ったボールはBで中村京一郎×ミスター・ホンデ、自動的に青木はCとなり──中谷優我✖松岡拓と準々決勝の顔合わせが決まった。

ここからは出場チームの監督&コーチは、どの相手を最も警戒しているのか──トーナメントの手引をしてもらおうと、MMAPLANETでは「自陣の試合相手以外で、明日誰に消えて欲しいのか?」を尋ね、以下のような返答が聞かれた。

田嶋椋
「柔術家の2人が強いというのは明らかに分かっているので、イゴール選手のところのトミー矢野選手がいなくなれば良いのにと思っています」

鶴屋怜
「自分もイゴールさんのところのトミー矢野選手です」

イゴール・タナベ
「自分はクレベル選手のところのギが同じ寝技で、一番やりにくいかと思います。別に負けて欲しいわけじゃないですけど、一番やりにくいかなという感じです」

クレベル・コイケ
「私も……矢野選手が一番良い選手だから……」

岡見勇信
「1回戦が一番大事なので、秋山さんに消えてもらいます」

中村倫也
「個人的にクレベル選手のところのギレルメ選手が、極める顔をしているし、極める雰囲気を持っているので楽しみです。消えてくれとは思わないですけど(笑)」

平本蓮
「僕も明日の1回戦に集中なんですけど、やっぱり秋山さんが連れてきたチートなのか、少し怖いところがありますね(笑)」

秋山成勲
「自分も岡見選手と同じで、決勝に行くまでにはまず1回戦を勝たないといけないので。ここは冷徹に岡見君に消えてもらいたいです」

青木真也
「ハイ。ノーコメント」

参加チーム監督からの支持が高いのはトミー矢野とギレルメ・ナカガワの柔術勢に。初戦で潰し合う中村京一郎×ミスター・ホンデの勝者、矢野とナカガワが中心の格闘代理戦争MAXとなりそうだ。なお準決勝の顔合わせは明日の準々決勝後に再度抽選で決定する。

■視聴方法(予定)
3月15日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

■ 対戦カード

<69キロ契約/3分3R>
ミスター・ホンデ(韓国)
中村京一郎(日本)

<69キロ契約/3分3R>
中谷優我(日本)
松岡拓(日本)

<69キロ契約/3分3R>
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)
諸石一砂(日本)

<69キロ契約/3分3R>
トミー矢野(ブラジル)
向坂準之助(日本)

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【FAW2024#01】再開、格闘代理戦争─01─。経験の中村。打のホンデ、超絶組み技力=ナカガワ&トミー矢野

【写真】4年振りの格闘代理戦争。後列がコーチ勢、前列が出場選手たち(C)MMAPLANET

14日(木)、明日15日(金)に会場非公開で開催される格闘代理戦争 THE MAXの計量及びトーナメント組み合わせ抽選会が行われた。

格闘技界の人材発掘を目的とし、2017年にABEMAが開始したリアリティTVショー=格闘代理戦争。キックとMMAの両部門で計5シーズンが実施され、MMAでは平田樹、韓国のユン・チャンミンが優勝し、前田浩平、椿飛鳥、古瀬美月らを輩出してきた。

そんな格闘代理戦争が、現役ファイターをコーチにプロキャリア5戦目までの選手に参加資格があるという形で4年振りに行われることとなった。

準々決勝は69キロ契約で3分✖3R(裁定は10Pラウンドマスト)、ドローの場合はマスト判定で決着がつけられる。明日の準々決勝後は4月に準決勝、5月に決勝が実施されるという短期決戦かつハードなトーナメントとなるという話も伝わってくる。

既に番組内で青木真也&中谷優我、秋山成勲&ミスター・ホンデ、平本蓮&向坂準之助、岡見勇信+中村倫也&中村京一郎、クレベル・コイケ&ギレルメ・ナカガワ、イゴール・タナベ&トミー矢野というコーチ陣&出場選手が発表されていた。


そして本日実施午後2時に実施された計量時に鶴屋怜&諸石一砂、田嶋椋&松岡拓という残り2枠のコーチ&出場選手が発表された。

「名前のない選手が優勝すれば、名前が売れて優勝賞金がもらえるので今後に生かせるので凄く良い企画」と格闘代理戦争の印象を語った鶴屋は、21歳で最年少コーチ就任となる。今回の出場選手と比較しても、8人中5人が彼より年上で、秋山との年齢差は実に27歳だ。

また約2週間後にパンクラスで井村塁戦が控える田嶋は、一般公募から出演が決まり、「格闘技は実力だけでなく知名度も必要になってくる。ここで知名度を上げて大きな舞台で戦う」という明確な参戦理由を話した。

ここでからは出場選手の計量結果と戦績を比較し戦力分析を行ってみたい。

中谷優我:68.85キロ(TEAM青木真也)
プロMMA戦績1勝1敗(※DEEP)
巌流島ルール1勝
打〇
倒〇〇
寝〇〇〇

ミスター・ホンデ:68.35キロ(TEAM秋山也勲)
プロ&アマキック36戦24勝
WBKF世界スーパーフェザー級王者
Breakingdown 2戦2勝
打〇〇〇〇〇
倒???
寝???

向坂準之助:65.45キロ(TEAM平本蓮)
極真空手4年
打???
倒???
寝???

中村京一郎:68.6キロ(TEAM岡見勇信+中村倫也)
MMA戦績4勝1敗(※Poundstorm、EXFIGHT、GRACHAN)
打〇〇〇〇
倒〇〇〇
寝〇〇〇

ギレルメ・ナカガワ:68.9キロ(TEAMクレベル・コイケ)
2023年IBJJFアジア茶帯ライトフェザー級3位
アマMMA10戦10勝(※DEEP SPルール等)
打〇〇
倒〇〇〇〇〇
寝〇〇〇〇〇

トミー矢野:68.8キロ(TEAMイゴール・タナベ)
2023年IBJJFムンジアル茶帯フェザー級3位
2023年IBJJFアジア茶帯フェザー級3位
2023年マリアナス・オープン茶帯オープン優勝
2023年JBJJF全日本ノーギ茶帯フェザー級優勝
アマパンクラスSクラストーナメント・ライト級優勝
打???
倒???
寝〇〇〇〇〇
※紫帯時代に南日本柔術選手権フェザー級で野瀬翔平に4-2で勝利

諸石一砂:68.95キロ(TEAM鶴屋怜)
プロMMA 2戦2勝
打〇〇〇〇
倒〇〇
寝〇〇

松岡拓:68.5キロ(TEAM田嶋椋)
アマMMA 15戦10勝5敗
2023年アマ修斗全日本ライト級3位
打???
倒???
寝???

MMAとして一番経験があるは中村、プロで4勝1敗の戦績を残しPOUNDSTORMで両国国技館という大舞台で戦っている。中谷と諸石もDEEP、修斗でプロとして戦っている。後者は長崎総合科学大学附属高等学校時代にサッカー部で、あの国見高校を長年率いていた名称・小嶺忠敏監督の指導を受けており、パンチだけでなく蹴りの強さも定評がある。

ミスター・ホンデの打撃の強さ、ナカガワと矢野の組みの強さは絶対的だ。MMA、トータルで見れば未知数だが、ナカガワはDEEPのアマMMAでも勝利しており、ケージで戦った経験もある。対してBreakingdownで2勝を挙げているポンデと、アマパンクラス優勝経験がある矢野は得意分野以外の部分で、どれだけの修練度があるか。

3分✖3Rという試合タイムを考えると──ブレイクのタイミング等は不明だが、組み技に秀でたファイターは極めだけでなく、ゲームコントロールができるという優位性を持つ。

とはいえ矢野がテイクダウンゲームを仕掛ける姿が想像でないのも事実。近づく、下になるという柔術では苦もない距離設定をどのように克服しているのか──幼少期からMMA思考だったとも聞くトミー矢野は要注目だ。

同様に突き抜けた打撃力を誇り、見るからにフィジカルが強そうなホンデは最もデンジャラスなファイターといえるだろう。

対して未知なのは松岡拓と向坂準之助の両者だ。前者のアマ修斗全日本3位という実績は誰もが残せるものではないが、プロ5戦目まで参加可能なことを考えると心もとない。向坂に関しては、一般募集から一度は合格も負傷欠場となった山本歩夢、溝口司という両者と比較すると格闘家としての実績不足は明白だ。同時にトーナメント戦は、組み合わせという要素が大きく作用する。その抽選の模様は後編で。

<この項、続く>

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