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【CJI2024】レポート─02─80以下級、ケイド・ルオトロ&アンドリュー・タケット──躍進撃の21歳!!

【写真】躍動感あふれるファイトで、準決勝進出を決めたケイドとアンドリュー(C)SATOSHI NARITA

16日(金・現地時間)と17日(土・同)の二日間にわたって、ラスベガスのトーマス&マックセンターで開催されたクレイグ・ジョーンズ・インビテーショナル(CJI)。驚愕の優勝賞金100万ドルが用意されたこの大会のレビュー2回目は、80キロ以下級の後半ブロックの準々決勝までの戦いをレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi

一回戦第5試合は、双子の兄弟タイと並ぶ優勝候補であり、2022年ADCC世界大会77キロ以下級王者のケイド・ルオトロが登場、2019年ADCC世界大会級88キロ以下王者のマテウス・ジニスと新旧王者対決が実現した。

開始早々、ジニスが強烈に当てる足払いから頭を──「いなす」というよりむしろ──はたく動作を仕掛けてくると、なんとケイドは軽く掌打を3連打してお返し。もちろんこれはレフェリーから注意を受けたが、先日のMMAデビューを経て打撃勝負上等という姿勢を披露した。


その後もジニスの足払いにローキックを返したケイドは、突進してジニスの頭で顎を押し、傾斜壁まで押し付けて体勢を崩す。ジニスが横に逃げようとしたところでワキを差してのテイクダウン。相手を金網に押し付けるケージレスリングの技術を、傾斜壁がある今大会で利用した形だ。

ジニスはリバースハーフ下からのリバーサルを狙うが、卓越したバランスでこれを堪えるケイドは、四の字を組んだジニスの右足を引っ張り出してワキに挟むとそのままストレートレッグロックへ。

強烈に絞り上げるとすぐにジニスはタップ。残り18秒、階級差をまるで問題にせず、世界グラップリング界の先頭を走り続ける男の勢いを見せつけての勝利だった。

一回戦第6試合は、北欧の極め業師トミー・ランガカーがベテランのヘナート・カヌートと対戦。

上から飛び込んでのバック狙いや担ぎパスで終始圧倒したランガカーが、肩固めや腕十字狙いでカヌートを追い詰めて判定で完勝した。

一回戦第7試合は、2022年にADCC世界大会88キロ級において、レジェンドのシャンジ・ヒベイロやSUG王メイソン・ファウラーを連覇してブレイクアウト・スターの一人となった英国のエオガン・オフラナガンが登場。

(道着着用ルールでは)ベースボールチョークの名手として知られるマジッド・ヘイジと対戦した。

シッティングから相手の体を跳ね上げつつ後転するような動きで足を取ったオフラナガンは、そのままヘイジの両足を束ねて左ワキで抱える。

やがて右足を孤立させたオフラナガンがヒールを露出させて捻りかけたところで、ヘイジはすぐにタップした。

一回戦最終試合は、今大会の主催道場とも言えるB-teamの中量級エースであるニッキー・ライアンが道場し、今年のADCC西海岸予選を制し、またWNO大会でトミー・ランガカーにチョークで一本勝ちして波に乗る21歳のアンドリュー・タケットと対戦した。この注目の一戦は、1Rから両者のポジションが入れ替わる一進一退の凄まじい攻防が展開されたが、残り2分のところでタケットがノースサウスの形からニッキーのガードを超えて完全パスに成功。

足を戻したニッキーは必殺のレッスルアップで上を取り返すが、やがてまた上になったタケットは再びパス。初回を3-0でリードした。

その後のラウンドは動きの落ちたニッキーに対し、タケットが面白いようにパスを決めマウント、バックグラブから極めを狙う展開に。他大会のようにポイント制を採用していたら数十点差が付くほどの一方的な展開のなか、抑え込んだまま髪を整える仕草まで見せるほどやりたい放題のまま試合終了。

結局判定3-0でタケットの圧勝劇に。

ニッキーの実力を知る世界のグラップリングファン達に衝撃を与えたタケットは「僕のお母さんはヘアスタイリストだ! だから髪にはこだわりがあるんだ! 僕はまだ21歳さ! 相手を押さえる退屈な試合じゃなく、動き回ってどんどん狙っていかないとね!」と会心の笑顔を見せた。

<80キロ以下級準々決勝/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国) 
Def.3-0:30-26.30-26.30-27
トミー・ランガカー(ノルウェー)

ONEサブミッショングラプリング・ライト級世界王座を賭けて、1年で3戦目となる両者。過去2試合はどちらも判定決着だったが、ケイドが圧勝している。

試合開始すぐにランガカーに突進していったケイドは、一回戦同様に傾斜壁にランガカーを押し付ける。が、ランガカーは傾斜を登って上からのギロチン狙いという斬新な返しを見せる。

それを凌がれたランガカーが小内からのテイクダウンを仕掛けると、ケイドは下になった瞬間にオモプラッタを仕掛ける。するとランガカーもすぐに抜くという見応えのある攻防を展開する。

スタンドに戻ったケイドはワキを差して再び壁までランガカーを押していってガードを余儀なくさせ、上の体勢でラウンド終了、ジャッジ3者とも10-9でケイドを支持した。

2R、立ちから素早くワキを潜ったケイドがボディロックを取り上に。

ランガカーもオクトパスの形からの形成逆転を試みるが、ケイドは持ち前の腰の強さで競り勝ち、強引に押し倒すような形で上を譲らない。さらにランガカーの背中に付いたケイドは、まるでストレートパンチの如き鋭さで腕を捻じ込んでのギロチン狙い。

さらに右腕を首に回してRNCの形で絞め上げるが、ランガカーは驚異的な耐久力で凌いでみせた。

しかし、一方的にケイドが攻めた5分間は10-8というビッグラウンドとなった。

3R、後のないランガカーはシングルレッグからボディロックに移行してのテイクダウンを狙う。

ケイドは左腕で小手を巻く得意の形から払い腰で豪快に切り返す。

再びランガカーの背後に付いたケイドは、その左腕を両脚で捕らえてクルスフィクスに。

そこからチョークを狙ってゆくがケイドだが、ランガカーはここも極めさせず、体をずらして上を取り返した。その後インサイドガードから仕掛けたいランガカーだが、ケイドが決めさせずに試合終了。判定は30-26が二人、30-27が一人でいずれもケイドがフルマークの判定勝ちを手にした。

躍動感溢れる動きで攻め続け、なおかつ際の競り合いも凄まじく強いという魅力爆発の内容で準々決勝に進出したケイドは「勝てたことで安心した。僕ら兄弟はいつも俺が強いいや俺だって言い合っているけど、本当に正直のところを言うとタイの方が60-40くらいで強いんだよ。タイは僕にとって最高のトレーニングパートナーだ。でもさっきの試合、彼は初回に大怪我をしてしまい力の全てを見せることができなかった。だけど僕がこの階級で一番怖かったのはタイなんだよ。僕ら兄弟にとって、お互いが負けるのを見るのはすごく辛い。特に兄弟がもっと強いって分かっているときはね。でもタイなら怪我をすぐに治してトップに返り咲いてくれるはずだ。タイとガルバォンがセコンドにいるとものすごく心強いね」と、自分をそっちのけで、リーヴァイ・ジョーンズレアリーにまさかの敗戦を喫した双子の兄弟タイへの想いを語ったのだった。

<80キロ以下級準々決勝/5分3R>
アンドリュー・タケット(米国) 
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
エオガン・オフラナガン(英国)

1R、すぐに座ったオフラナガンは下から素早く腕狙いへ。これをタケットが抜くと、さらに一瞬で右足に絡んでの内ヒールをセットしていく。

あわや踵が露出する状態だったが、タケットは回転しながら左足をこじ入れて逃れてみせた。

オフラナガンはさらに内回りから三角へ。そのまま右腕を伸ばしかけるも、タケットはここも抜き、同時に担ぎの要領でパスしてサイドへ。

一回戦でも見せたお得意の髪をかきあげる姿勢を作ると、ノースサウスに移行した。その後オフラナガンが足を入れて戻すと、タケットは左にプレッシャーをかけておいて右に回ってパス。さらにもう一度パスを決めたタケットはさらにマウントを奪取し、初回を3者とも10-9のスコアで先制した。

2Rになるとさらに勢いを増したタケットは、ノースサウスの体勢からのパスや、左右に回って担ぐ形のパスを面白いように決めて圧倒。

ここは三者とも10-8のスコアが付いた。一回戦の圧勝劇の主因はニッキーの不調やスタミナ切れにあるのではないかという見方もあったが、何よりもタケットのパスガード力が突出しているということがまざまざと証明された。

21歳という年齢を考えるとまさに恐るべしだ。

3Rには側転パスを仕掛けたタケット。オフラナガンは、それを三角でキャッチして大逆転の望みを賭けて右腕を伸ばしにゆくが、タケットは1Rと同じ要領の体捌きで担いでパスを決める。

こうしてオフラナガンの最後の攻撃も潰したタケットは、その後も好き放題にパスを決めてマウントも取り、最後まで圧倒したまま試合を終えた。判定は3者とも30-26。ニッキー・ライアンとオフラナガンという二人の超技巧派プレイヤーのガードゲームを完膚なきまでに破壊するという衝撃的な強さを見せつけた若者は「いやあ、もう夜の1時だぜ! みんなが帰れるように短くするよ。明日も行くぜ!」と叫ぶと、会場に設置されているトーナメント表の準決勝進出者の欄に、自らの名前のかわりに”I want sleep”と書いて去って行ったのだった。

こうしてもう一つの準決勝は、期待通りの動きで実力を見せつけた優勝候補タイ・ルオトロと、この日最大の衝撃と言えるほどの強さを見せつけたアンドリュー・タケットという二人の21歳による、グラップリングの未来を体現するような組み合わせが実現することになった。

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45 AB ADCC2022 CJI MMA MMAPLANET o ONE   アンドリュー・タケット ケイド・ルオトロ ジョセフ・チェン タイ・ルオトロ トミー・ランガカー ニッキー・ライアン マテウス・ジニス リーヴァイ・ジョーンズレアリー ロベルト・ヒメネス

【CJI】ついにケイド&タイのルオトロ兄弟も、CJIに鞍替え。揃って80キロ以下級にエントリー! ミカは?

【写真】今年に限って、趨勢は決まった。ADCCの77キロ級とCJIの80キロ以下級を比較すると後者の方が楽しみなのは明白だ(C)ONE

20日(木・現地時間)、ついにCraig Jones Invitationalの公式SNSがケイド&タイのルオトロ兄弟の出場を発表した。8月16日(金・同)と17日(土・同)の両日、ネヴァダ州ラスベガスのトーマス&マック・センターで開催されるCraig Jones Invitationalにグラップリング界のアイコンでありアイドルでもあるルオトロ・ブラザースが登場。ADCCでなくCJIを選んだツインズは揃って-80キロ級で戦うことに。
Text by Manabu Takashima

ADCC2022の77キロ級世界王者で、現在はONEサブミッショングラップリング・ライト級世界王者のケイド。タイは無差別級の銅メダリストでONEサブミッショングラップリングでは世界ウェルター級王者に君臨している。

前回のADCCでタイは88キロ級に出場し、今年の世界大会も同級で招待出場となっていたため、CJIに移ったとしても+80キロに挑むものと思われていた。それが2人とも80キロ以下級にエントリー、兄弟100万ドルをどちらかが獲得するため……の判断といえるだろう。

決勝でケイドとルオトロが100万ドルを掛けて戦うのも夢のような話だが、決勝の同門対決はいずれかが勝利を譲るという柔術界の伝統に従う恐れもある。そこを避けるために同じ山となることも考えられるが、果たして。ともあれルオトロ兄弟の参戦決定でCJIの80キロ以下級は、以下のように16名中14名が埋まった。

■ケイド・ルオトロ
■タイ・ルオトロ
■ジョセフ・チェン
■アンドリュー・タケット
■ロベルト・ヒメネス
■ルーカス・バルボーサ
■ニッキー・ライアン
■リーヴァイ・ジョーンズレアリー
■マテウス・ジニス
■ヘナト・カヌート
■ジェイソン・ノルフ
■アンディ・ヴァレラ
■トミー・ランガカー
■オーウェン・オフラナゲン

こうなると気になるのが、柔術の神の子ミカ・ガルバォンの動向だ。ミカはONEからのオファーを固辞したことがあり、独特の感性の持ち主でもある。現時点でADCCのリストに残っているままだが、残り2枠に彼の名が連なることはあるのか──気になるところだ。


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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC FPI06 ニコラス・メレガリ マテウス・ジニス

【UFC FPI06】術と道=柔の融合、ニコラス・メレガリがマテウス・ジニスをRNCで下す

<アブソリュート級/10分1R>
ニコラス・メレガリ(ブラジル)
Def.6分43秒by RNC
マテウス・ジニス(ブラジル)

インローのような小内刈りを繰り出したジニスに対し、メレガリは左の釣り手から右手でシングルレッグを仕掛け、そのまま首の後ろに手を置く。ジニスはレベルチェンジし、ダブルレッグのフェイクを見せる。小外掛けを見せたジニスに対し、メレガリはノーギ柔道というべき組みから内股を仕掛ける。グラップリング隆盛の今でも、珍しい柔道で立ち勝負のメレガリとニータップを見せるジニス。そのジニスが組手のなかで、アームスナップでメレガリの姿勢を乱す。

しかし、ジニスは再度のアームスナップをすかされバランスを崩すと、そのままメレガリにサイドで抑えられる。ハイマウントで圧を掛けるメレガリだが、ジニスのブリッジに腕十字が不発でポジションを失ってしまう。

場外近く、中央で再開になるとすぐに立ち上がったジニスは、2度目のダブルレッグの仕掛けから引き込む。さすがはマルセリーニョの一番弟子ジニスはシングルXを取りにいくが、メレガリが潰し足関節のエントリーは足首をコントロールして一気にバックへ。ボディトライアングルと同時に、左腕を深く喉下に差し込むと、自らの首を振りつつパームトゥパームを組みタップを奪った。

レスリングと柔術の融合、スクランブルとトップ攻めのグラップリング界にあってノーギ柔道とノーギ柔術をハイブリッドしたメレガリは寝技になると圧倒的な強さを見せつけた。極めながら首を振ったことを勝利者インタビューで聞かれたメレガリは「あまり良いフィーリングではなかった。僕らは昔から近い仲で、彼がどれだけ素晴らしい人間が知っているから。ただ、この場に立ったら自分のやるべきことをやるだけで。今日に関しては、それほどハッピーじゃない」と答えた。


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45 AB BELLATOR LFA MMA MMAPLANET o ONE UFC UFC FPI06 YouTube クレイグ・ジョーンズ コディ・スティール ジェイ・ロドリゲス ジジ・カヌート ニコラス・メレガリ ニッキー・ロドリゲス ベン・エディ ペドロ・マリーニョ ホナウド・ジュニオール マテウス・ジニス メイソン・ファウラー ラケル・カヌート ラファエル・ロバトJr ロベルト・ヒメネス

【UFC FPI06】まもなくクレイグ×ロバトJr、ニッキー・ロッド✖ヒメネス。ジジにベン・エディらが競演

【写真】UFC昇格とはならず、FIGHT PASS Invitationalで実力発揮といきたいジジ・カヌート(C)LFA

3日(日・現地時間)、これから1時間半後にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC Fight Pass Invitational06が開催される。いわばMMAの最高峰が開催するプロ・グラップリング大会には毎大会強豪グラップラー、MMAファイターらが出場している。
Text by Manabu Takashima

10分間のADCC、15分間のWNO、10分間のIBJJFノーギ、12分のONEとも違い8分1R(※上位カードは10分1R)のUFC FPIは前回大会より延長になるとEBIのタイブレーク方式から、4分ないし5分のオーバータイム制が採用されるようになった。


いわば視覚的にもよりスピーディーさが求められるような空気があるなかで、今回は上位3カードが無差別の戦いでクレイグ・ジョーンズ✖ラファエル・ロバトJr、ニッキー・ロドリゲス✖ロベルト・ヒメネスなど、一言で組み技といっても戦いのフィロソフィーに明確な違いがあるマッチアップが揃った。

新足関節時代からレッスルアップ、トップゲームとウェルラウダーのなかで急激な技術の変遷があり、そこを地で行き、今や特別なステージでしか試合を見ることができなくなったといっても過言でないジョーンズ。対してロバトJrはMMAに通じるオールドスクール柔術で、Bellatorの頂点に立ち様変わりした組み技シーンに戻ってきた。

フォークスタイルレスリング&柔術の融合、現状の最先端──というべきかADCCで一番勝てる戦いができるニッキー・ロッドに対して、ロベルト・ヒメネスも23歳という年齢には不釣り合いなオールドスクール、こちらは下から創りあげる道着のない柔術を実践するグラップラーだ。

昨年6月のFPI04で対戦した時にはEBIタイブレークのファーステスト・エスケープでニッキー・ロッドに軍配が上がっているが、今回はどうなるか。

中盤と下位カードでもメイソン・ファウラー✖ペドロ・マリーニョというSUBを思わせるカード。LFAで暫定女子ストロー級王座獲得に失敗し、UFCではなく日本上陸を目論むアブダビ・プロ優勝のジジことジオヴァナ・カヌート、元祖ヒンドゥーガード&10thPlanetの鬼才ベン・エディと非常に多彩なメンツが揃ったUFC FPI06、90分後に開演となる。

■視聴方法(予定)
3月4日(日・日本時間)
午前11時00分~UFC FIGHT PASS

■対戦カード

<アブソリュート級/10分1R>
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
ラファエル・ロバトJr(米国)

<アブソリュート級/10分1R>
ニッキー・ロドリゲス(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)

<アブソリュート級/8分1R>
ニコラス・メレガリ(ブラジル)
マテウス・ジニス(ブラジル)

<215ポンド契約/8分1R>
メイソン・ファウラー(米国)
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)

<175ポンド契約/8分1R>
ホナウド・ジュニオール(ブラジル)
コディ・スティール(米国)

<ミドル級/8分1R>
ジェイ・ロドリゲス(米国)
マテオ・カルドナ(米国)

<女子フライ級/8分1R>
ジジ・カヌート(ブラジル)
デニージ・ゴミス(ブラジル)

<165ポンド契約/8分1R>
ベン・エディ(米国)
シェーン・シャピロ(米国)

<女子フェザー級/8分1R>
ラケル・カヌート(米国)
カロル・ホザ(ブラジル)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o WNO15   エオガン・オフラナガン シャンジ・ヒベイロ ジェイ・ロドリゲス ジャンカルロ・ボドニ マテウス・ジニス メイソン・ファウラー ルーカス・バルボーザ

【ADCC2022】88キロ級 次々と現れる組み技界の未来=ジャンカルロ・ボドニ─準決勝までの勝ち上がり

【写真】柔術とレスリングが見事に調和されたボドニ。上でも下でも勝てるスタイルは、ADCCルールとサブオンリーの両ルールでも同様の活躍が見込める選手だ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第12 回からは88キロ級──まずはジャンカルロ・ボドニ×エオガン・オフラナガンの準決勝の模様と両者の勝ち上がりをお伝えしたい。

北米予選覇者のジャンカルロ・ボドニは、ベウナウド・ファリアの教えを受けてアリアンシの黒帯を取得し、昨年からジョン・ダナハー門下に移った選手。昨年のノーギパンナムでルーカス・バルボーザを倒した実績が光る。

7月のWNO15におけるジェイ・ロドリゲス戦ではグラップリングの未来といえる柔術とレスリングの融合体を見せてジャッジ3人の支持を得て勝利した試合も印象深い。

そのボドニは1回戦で元柔術世界王者のイザッキ・バイエンセと対戦。

巧みなシッティングガードやハーフガードでバイエンセの上からのプレッシャーに対抗。足関節合戦からのスクランブルで背後に回ってフック入れて3点を先取すると、一度フックを緩めてから入れ直してさらに3点追加。バイエンセの左腕を足で封じた状態でチョークを狙い続けて6-0で完勝した。


続く2回戦では前回王者にして優勝候補筆頭と見られたマテウス・ジニスとボドニは相対することに。

序盤にアームバーからニータップにつないでテイクダウンを奪いパスまで決めたボドニは、加点時間帯に入ってから場外際のスクランブルでボディロックを取り、ブレイク後に中央から再開されると直後にテイクダウンに成功。さらにニアマウントから腕十字を狙い、最後は三角絞めを完全にロックオンして本戦で一本勝ちを収めた。

バイエンセ&ジニス、柔術&グラップリング界の超ビッグネーム2人に完勝という驚くべき快挙を成し遂げて、絶好調のボドニは準決勝進出を決めたのだった。

そのボドニの相手はヨーロッパ予選覇者にして、こちらも前日に2戦連続で大物食いを果たして世界を驚かせた英国のエオガン・オフラナガンだ。

1回戦、下から柔軟なガードでレジェンド中のレジェンドであるシャンジ・ヒベイロのプレッシャーに対処したオフラナガンは、足関節攻撃でむしろ優位に本戦を終えた。

延長ではシャンジのタックルをギロチンで切り返したオフラナガンは、バックにまわってフックを入れて先制点。その後シャンジに脱出されるも、柔軟性を存分に活かしたガードワークと巧みな足関節の仕掛けをもってシャンジに反撃を許さず、3-0で完勝した。

続く2回戦も、オフラナガンは柔軟性を利したガードワークをもってメイソン・ファウラーのトップからの攻撃に対処。ファウラーが上から外ヒールを仕掛けてきたところを内ヒールで切り返し、最後は両腕を組むような形で極めてみせた。

世界的には比較的無名の存在ながら、大ベテラン世界王者のシャンジ、SUG王ファウラーを連覇したオフラナガンは、今大会のブレイクアウト・スターの1人といえるだろう。

<88キロ級準決勝/10分1R>
ジャンカルロ・ボドニ(米国)
Def. 2分18秒by トーホールド
エオガン・オフラナガン(英国)

揃って大物2人を撃破し勢いに乗る両者の準決勝。試合後すぐ座ったのはオフラナガンの方。自分の両足の間にあるボドニの右ヒザ裏を外から抱え、崩しながら下の足を抜いてサドルに入るフォールス・リープを狙うが、ボドニは同時に回転し、絡んでくる左足を両手で押し下げて回避する。

さらに絡もうとするオフラナガンの足を丁寧に捌くボドニは、やがて体勢を低くして上半身でオフラナガンの足を潰しにかかる。が、オフラナガンはインバーテッドから柔軟な股関節を利用して足をこじ入れて、回転しながらサドルを作る。

ここからが足関節を熟知しているダナハー門下のボドニの真骨頂だった。アフラナガンの動きに冷静に付き合うと、絡まれている足の支点をヒザより下に持ってきてから、改めて手で押し下げて絡みを解除し、再び低く体重を預けてゆく。オフラナガンは再びインバーテッドから鋭く回転してサドルへ。が、ここもボドニは落ち着いて回転しつつ、外掛けで絡むフラガナンの左足を右手で抑えて防御する。

それでもオフラガナンが左足を絡めようとするが、ボドニはその左足を左手で抱えて自らの胸部にかかとを付けると、右手を内側から入れて(自らの胸部とかかとの接着面を支点に)足首を捻りあげる。フリーだった左足首を突然極められたオフラガナンはすぐにタップ。ボドニはしてやったりと言わんばかりにニヤリと笑ってみせた。

今大会一躍注目の的となったオフラガナンの下からの攻撃に対し、抜群の安定感のベースを軸に慌てず騒がず、きわめて落ち着いた様子で対処し、段階を踏んで着実に潰していったボドニ。

その姿は、技の一つ一つの工程を丁寧に説明する師匠ジョン・ダナハーの教則映像の如しであった。そして最後は、人体の関節の構造を知り尽くしたかのようなカウンターの足関節。この階級では今まで見たことがないような類の緻密な技術を披露し、ボドニが決勝に進出した。

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ABEMA IRE06 MMA MMAPLANET カイナン・デュアルチ マテウス・ジニス 村田卓実 魚井フルスイング

【IRE06】バックを譲り、ヒザ十字狙いの村田卓実が魚井の掌底に耐えてクローバーリーフ(?)で一本勝ち

【写真】クラッチが違うとクローバーリーフ(レッグレイス)と呼んで良いのか──正直分からないが、理屈はカイナン・デュアルチがマテウス・ジニスに決めた技と同じだろう(C)MMAPLANET

10日(日・祝)に東京都港区のリバーサル田町芝浦スタジオで開催されたIRE06。

コンバット柔術ルールの6試合がABEMAでライブ配信されるという画期的な大会から──掌底を受けながら足関節を仕掛ける村田が、カイナン・デュアルチばりのフィニッシュを見せた一戦の模様をお届けしたい。

<65キロ契約/7分1R>
村田卓実(日本)
Def.5分04秒by クローバーリーフ
魚井フルスイング(日本)

シングルからボディロックの魚井に対し、村田が引き込む。足を捌く魚井。村田はスタンドへ戻る。半身、いや背中を見せる村田に魚井が組んでバックへ。村田はヒザ十字を狙い、村田は後方から掌底を打っていく。

ヒザを抜いた魚井は、村田がグラウンド状態にある間に掌底を打っていく。試合がスタンドに戻るや、村田は再び背中を見せつつ、組むことを魚井が躊躇すると一気に組んでギロチンを狙う。

ワキを潜った魚井がバックに回ろうとすると、大外刈り気味に村田が投げる。バックをキープした魚井に対し、村田はここもヒザ十字を仕掛ける。

足を畳んで組んだ魚井が後方からワキに掌底を打っていく。前転からサドルに入った村田は内ヒールを仕掛ける。魚井が左手首を両手で掴んで、カカトを組ませないよう対処すると村田は上体を起こして逆足を取りにいく。

ここで魚井が左の掌底を狙い、村田が懸命におでこで受ける。足掴んで、ガードが取れない村田が頭を出しても頬や目の辺りを魚井が叩いていく。

村田は尻をずらしてクロスヒール気味に魚井の右足の右足をワキの下で抱え、サドルで捕えた右足のカカトを右腕で抱える──と、RNグリップでなくパームトゥパームに組んだクローバーリーフ(と呼んでよのか……)が極まり、右足が捻り気味に伸ばされた魚井がタップした。


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MIKE MMA ONE Road to ADCC カイナン・デュアルチ マテウス・ジニス

【Road to ADCC】カイナン・デュアルチ、2分03秒──クローバーリーフでマテウス・ジニスを一蹴

【写真】日本ではクロスヒール、米国ではレッグレイスやクローバーリーフと呼ばれているフィニッシュ (C)CLAYTON JONES/ROAD TO ADCC

17日(土・現地時間)にテキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンでRoad to ADCCが開催された。来年開催予定のノーギグラップリングの祭典=ADCC世界大会への前哨戦として位置付けられたワンマッチ大会は、注目の対戦が並んだ。
Text by Isamu Horiuchi

Road to ADCCプレビュー第3回はメインイベント、ADCCのチャンプチャンプ対決=カイナン・デュアルチ✖マテウス・ジニスの一戦の模様をお届けしたい。

<無差別級/20分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.2分03秒 by クローバーリーフ
マテウス・ジニス(ブラジル)

試合開始後、デュアルチがジニスの首に手をかけて軽く引くと、大きくバランスを崩す。前日の軽量では8キロほどの差だが、それ以上に両者にはパワー差があるようだ。

前に出るデュアルチは、ジニスのシングルをあっさり防ぐと、またしても首を押し下げて崩し、そこから小外刈りにテイクダウン。本来下になりたくないはずのジニスだが、あっさり上を許してしまった。

(C)MIKE CALIMBAS

さらに左足をステップアウトしてリバースハーフを作ったデュアルチは、下になりつつインサイドサンカクをセットする。

ここからジニスの右足を巻き込んだクローバーリーフ──いわゆるクロスヒールホールドの形で左足をキャッチ。RNグリップから右の掌でかかとを掴んで捻り上げると、ジニスはタップした。

わずか2分03秒で圧勝したデュアルチは試合後に「もう少し自分の柔術を見せることができればとは思ったけど、極めるチャンスがきたからね。本当はパスも狙いたかったんだけどね。マテウスは、体重差にもかかわらず試合を受けてくれて感謝しているよ。僕はこれまでヒーフルックを2度極められていて、自分の弱点が分かっていたからそこを重点的に練習してきたんだ。今まではギとノーギを並行してやってきたけど、最近はノーギに集中しているんだ」と語った。

来年の世界大会無差別級の優勝候補最右翼と見られるデュアルチ。2019年の前回大会では中量級のラクラン・ジャイルスに、また昨年はサイボーグことホベルト・アブレウにヒールフックを取られたことから、しっかりと対策をしてきたようだ。立ち技も強く、トップからもボトムからも戦うことができて、さらに足関節等極めの力もあるこの23歳を誰が止めるかが、来年の本戦の見所になりそうだ。

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【Road to ADCC】計量終了 メインのカイナン・デュアルチ✖マテウス・ジニスの体重差は8キロ弱

【写真】Tシャツ着用では、それほど体格差は感じられないカイナンとジニス。20分の長丁場、スタミナ配分と後半のポイント加算が如何に勝負に影響をあたえるのか(C)COREY STOCKTON/FLOGRAPPLING

16日(金・現地時間)、17日(土・同)にテキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンで開催されるRoad to ADCCの計量が行われた。

世界規模の新型コロナウィルス感染拡大を受け、開催が1年延期されたADCC世界選手権。この間の穴埋めとなるワンマッチ形式の大会は本戦20分のみで延長なし、10分が経過してからポイントが与え、引き込みのマイナスPのみ試合開始がカウントされるというルールセットとなっている。


メインの無差別級=カイナン・デュアルチ✖マテウス・ジニス、前者が7.8キロ重いが無差別級としては、極端な体重差とはなっていない。

88キロ級のケイド・ルオトロは80キロ、対するロベルト・ヒメネスは84キロでルオトロは77キロ級でも十分に戦えるだろう。

■視聴方法(予定)
7月18日(日・日本時間)、
午前9時00分~Flo Grappling

■Road to ADCC計量結果

<無差別級/20分1R>
カイナン・デュアルチ:101.2キロ
マテウス・ジニス:93.4キロ

<175ポンド契約/20分1R>
ダンテ・リオン: 175ポンド(79.37キロ)
ニッキー・ライアン: 172ポンド(78.01キロ)

<66キロ級/5分3R>
マイキー・ムスメシ:65.7キロ
ジオ・マルチネス:66.0キロ

<88キロ級/5分3R>
ウィリアム・タケット:86.4キロ
ルーカス・バルボーザ:87.9キロ

<女子60キロ以上級/5分3R>
エリザベス・クレイ:72.0キロ
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ:71.7キロ

<88キロ級/5分3R>
ケイド・ルオトロ:80.0キロ
ロベルト・ヒメネス:84.0キロ

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【Road to ADCC】攻撃、受け、77キロ級の行方が決まる? ニッキー・ライアン✖ダンテ・リオン

【写真】ここはADCCならではのポイント制が、勝利の鍵を握ることになるか(C) MIKE CALIMABS/WNO&SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)、テキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンにてFlograppling主催のRoad to ADCCが開催される。
Text by Isamu Horiuchi

文字通り、来年開催のADCC世界大会へ向けた今大会。ニッキー・ライアン✖ダンテ・リオンは77キロの軸となる若い力の激突だ。


先月20歳になったばかりのニッキーは、日本では今成正和や所英男から一本勝ちをしたことでも知られる。最近は増量とパワーアップに励むとともに、ジョン・ダナハー軍の代名詞でもある足関節技を封印し、自らの引き出しを増やす戦いに挑んでいる。

4月のWNO 08におけるPJバーチ戦ではシッティングからシングルレッグテイクダウンにつなげる展開を狙い続け、制圧することはできなかったものの、主導権を取り続けて勝利を手にした。続いて5月のWNO 09のガブリエル・アウメイダ戦ではトップから勝負し、ここも一本勝ちは逃したがボディロックパスやクリーンテイクダウンを決めてウィナーコールを受けている。

そんなニッキーに立ちはだかるのは、2019年のADCC世界大会77キロ級にて、競技柔術の絶対王者ルーカス・レプリを倒して世界を驚かせたカナダのダンテ・リオンだ。

注目したいのは、この一戦でのリオンの勝ち方だ。レプリの必殺のニースライスパスをシッティングガードやニーシールドで防いだリオンは、そこから一瞬でシットアップしてシングルレッグを仕掛け、そのままレプリのバックについて勝利を決定付ける4ポイントを獲得した。

つまりリオンは、ニッキーがバーチ戦で試みたシッティングガードからシングルへの移行──最近「レスリングアップ」という名称で改めて脚光を浴びているムーブ──を、世界最高のパスガード・マイスターのレプリに決めてみせたほどの使い手なのだ。自分がトップにいる時の防ぎ方や対処も当然熟知しているだろう。

また、ニッキーがアウメイダ戦で試みたスタンドレスリングの攻防もまた、リオンがもともと得意とするところだ。今年2月のF2W 174におけるマニュエル・ヒバマー戦においても、リオンは階級上の相手に何度も気迫十分のテイクダウンを仕掛け、スタンドレスリングで優勢に試合を進めた。物議を醸した判定で惜敗したものの、リオンの充実ぶりは十分に伝わった。ニッキーが現在強化を試みている分野において、リオンはもともと強い。

このことを踏まえて考えると、今回ニッキーがどのような攻防を挑むかは興味深い。選手が武器を増やすことの主な目的は、試合において相手の弱い分野で戦って勝率を上げることにある。だとするならば、今回あえてリオンが得意とする攻防を挑むのは賢い策とは言えないだろう。だが最近のニッキーが、目の前の相手に対する勝利は目指しつつも、さらにそれ以上の大きな目標を見据えて試合に臨んでいることも明らかだ。そしてこの大会の名称、”Road to ADCC”が示唆するテーマはまさにそれである。

同様の見方は、前回大会にて世界を驚かせつつも4位に終わり、次こそ優勝をと心に誓っているであろうリオンに当てはめることができる。前回の3位決定戦において、ニッキーの兄弟子ゲイリー・トノンと激闘の末外ヒールに屈したリオンは、そのトノン同様に危険な足関節の使い手であり、来年の本戦でも自分に立ちはだかる可能性の高いニッキー相手にどのような攻防を挑むのか。

本戦そのものではなく、それに向けた前哨戦であるということを念頭にこの試合の攻防を味わいたい。

■視聴方法(予定)
7月18日(日・日本時間)、
午前9時00分~Flo Grappling

■ Road to ADCC対戦カード

<無差別級/20分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
マテウス・ジニス(ブラジル)

<175ポンド契約/20分1R>
ダンテ・リオン(カナダ)
ニッキー・ライアン(米国)

<66キロ級/5分3R>
マイキー・ムスメシ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)

<88キロ級/5分3R>
ウィリアム・タケット(米国)
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)

<女子60キロ以上級/5分3R>
エリザベス・クレイ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)

<88キロ級/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)

<1R20分・88キロ以下契約>
ロベルト・ヒメネズ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)

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【Road to ADCC】世界王者対決=上も下も鉄壁の支配カイナン・デュアルチ✖閃光マテウス・ジニス

【写真】カイナン✖ジニスの階級を越えたワールチャンプ対決。世界大会は1年延期されたが、このようなワンマッチ大会の開催は嬉しい限りだ (C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)、テキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンにてFlograppling主催のRoad to ADCCが開催される。
Text by Isamu Horiuchi

今大会はその名の通り、パンデミックの影響で来年に延期されたADCC世界大会の前哨戦となる。ルールは、ADCCのスーパーファイトに基づいたものだが、延長戦はなく本戦20分のみ──前半はスコアがカウントされず、選手は一本勝ちのみを目指し、10分経過時から加点時間帯が開始する。

ただし、引き込みに関しては試合開始時からマイナスポイントが与えられることなっている。そんなRoad to ADCCのメインを飾るのは、2019年のADCC世界大会99キロ以上級優勝のカイナン・デュアルチと、同大会88キロ以下級優勝のマテウス・ジニスによるチャンプチャンプ対決だ。


本来デュアルチの適正は一つ下の99キロ以下級だろうが、それでもジニスとはひと回り以上体格が違う。デュアルチは、来年のADCC世界大会無差別級優勝の最有力候補とみられる選手で、昨年末のWNO 05ではホドウフォ・ヴィエイラとの新旧頂上対決にてチョークで圧勝している。

今年に入っても3CGグラップリングにてテックス・ジョンソン、メイソン・ファウラー、ヴィクトー・ウゴといった強敵を退けて優勝するなどここまで全勝だ。

対するジニスは、今年の試合出場はこれまで先月末のBJJ Stars におけるルーカス・バルボーザとのノーギ戦のみ。テイクダウンで先制されたものの、終盤にアームドラッグで崩して斜め後ろを取ることに成功し、RNCをセットしバルボーザを失神に追い込んだが、タイムアップ後と判断され惜敗している。

それでも今年の柔術世界王者相手に大きなインパクトを残してみせた事実に変わりないジニスは、師マルセロ・ガウッシア譲りのウェルラウンデッドな技術を持つ。

最大の強みはトップゲーム。19年ADCC準決勝のジョシュ・ヒンガー戦(カニバサミを仕掛けて下になったヒンガーに対し、試合終了寸前にパスを決めて勝利)と決勝のクレイグ・ジョーンズ戦(ジョーンズのテイクダウン狙いを切り返してポイントを奪って勝利)、前述のバルボーザ戦等、超強豪との試合では決して自ら下になることはなく、トップからの戦いに徹して勝利している。

対してデュアルチは自ら下になることも辞さない。前述した2019年ADCCでは準決勝のブシェシャ戦、決勝のニック・ロドリゲス戦と強靭な足腰を活かした鉄壁のニーシールドで相手の勢いを止め、胸を蹴ると同時にシングルに移行して瞬時に反撃に転じてみせた。

加えてデュアルチはスタンドレスリング自体も得意にしており、19年にはブシェシャの雪崩の如きテイクダウンを見事な足捌きで防ぎ後半は有利に戦い、また昨年のホドウフォ戦ではスタンドでの一瞬の崩しから見事にバックを奪って勝利している。

体格的にも、トップからもボトムからも戦える戦術の幅という点でもデュアルチの有利は動かないと思われるこの試合だが、ジニスはワンチャンスをモノにする術が秀でている。

ばかりか2019年のADCC世界大会のように、相手が見せた少しの隙も逃さず確実にポイントを取り勝ち切る勝負勘の持ち主だ。一つのミスが命取りとなる緊張感のある攻防が期待できるワールドチャンプ対決だ。

■視聴方法(予定)
7月18日(土・日本時間)
午前9時00分~Flo Grappling

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